JPH07284886A - 電磁場を利用した金属薄帯の製造方法 - Google Patents

電磁場を利用した金属薄帯の製造方法

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JPH07284886A
JPH07284886A JP8036094A JP8036094A JPH07284886A JP H07284886 A JPH07284886 A JP H07284886A JP 8036094 A JP8036094 A JP 8036094A JP 8036094 A JP8036094 A JP 8036094A JP H07284886 A JPH07284886 A JP H07284886A
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metal
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JP8036094A
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Masakatsu Nara
正功 奈良
Yoshihide Kato
嘉英 加藤
Koichi Tozawa
宏一 戸澤
Kenichi Tanmachi
健一 反町
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属薄帯の製造初期におけるトラブルを解消
するために、パドルの早期安定化を実現する。 【構成】 高速回転する冷却ロールの表面に、該ロール
の軸方向に延びるスリット状の吐出口を有するノズルか
ら溶融金属を吐出し、該溶融金属を急冷凝固させて金属
薄帯を製造するに当たり、上記ノズルに対して、その長
手方向および幅方向のいずれか一方に静磁場を印加する
とともに、長手方向および幅方向のいずれか他方に直流
電流を流してノズル内の溶融金属に鉛直方向の電磁力を
作用させ、磁場強さ、電流量および電流の方向の少なく
ともいずれか1つを変更してノズル内の溶融金属に作用
する電磁力の強さおよび向きのいずれか一方または両方
を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、双ロール法や単ロー
ル法などに代表される、内部を冷却されたロールを使用
して溶融金属から直接急冷金属薄帯(以下、単に薄帯と
示す)を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融金属から直接薄帯を製造する方法と
しては、高速回転する冷却ロールの周面に、ノズルから
噴出させた溶融金属を接触させて冷却凝固する方法が知
られている。
【0003】この方法には、冷却ロールを1つ用いる単
ロール法と冷却ロールを2つ用いる双ロール法とがあ
る。すなわち、単ロール法は、冷却ロールの周面に向け
てノズルから溶融金属を射出し、冷却ロールの周面と接
触した溶融金属を急冷凝固させて薄帯を製造する。ま
た、双ロール法は、1対の冷却ロールを僅かの隙間を介
して配置し、両冷却ロール間にノズルから溶融金属を注
入し、冷却ロール間にかみ込ませて冷却と同時に圧延を
行って薄帯を製造する。
【0004】いずれの方法においても、最終製品を一工
程で製造するため、薄帯の製造(以下、製板と示す)の
初期段階でトラブルが発生した場合には、それ以降の製
造が不可能となる上、製造途中で製品の修正を行うこと
はできない。すなわち、製板初期段階において、溶融金
属をノズルから射出したとき、スリット状ノズルの吐出
口の長手方向に沿ってノズルと冷却ロ−ルとの間隙に、
半凝固状の溶融金属溜まり(以下、パドルという)を、
600 〜800 ms程度の短時間で安定して形成することが
肝要であり、これが達成されないと、それ以降の製板が
不可能となる。
【0005】従って、製板の初期段階において適正なパ
ドルを形成することは、得られる薄帯における厚みを均
一化するとともに、良好な表面性状などを維持するため
に重要である。しかし、例えば単ロール法で製造される
薄帯の厚みは50μm以下と極めて薄くかつ製板速度は20
m/s以上であるため、パドルの早期安定化手段を製鉄
分野における従来のスラブの初期鋳造技術に求めること
はできない。
【0006】一方、薄帯の製造技術に関して特公昭60−
38226 号公報には、ノズル内の溶融金属を外部加熱炉様
の手段で加熱した上で、ノズルの噴出口から溶融金属を
ガス圧によりロ−ル上に噴出させ、金属薄帯を製造する
方法が提案されている。しかしながら、パドルの安定化
についての開示はなく、しかも、ガス圧による溶融金属
の噴出はガス圧の緩慢な上昇に従うため、その噴出が一
定量に達するまでには時間を要し、パドルの安定化には
不利である。また、外部加熱炉様の加熱手段ではノズル
の温度制御を素早く行うことが難しいため、必要以上の
加熱が行われてノズルから湯洩れが生じやすく、ノズル
が均一温度になっていることを確認することが困難であ
るため、溶融金属の射出が完全に溶融していない状態で
行われ、ノズル詰まりを起こす、等の問題がある。さら
に、ガス圧によって溶融金属の射出を行うとバッチ操業
になることは避けられず、溶融金属の連続注湯が不可能
であるため、工業規模での生産コストが嵩むことにな
る。
【0007】また、製板初期以降における板厚の均一性
や良好な表面性状などを維持するためには、製板速度に
対応した高速での板厚制御、中でも高速リアルタイムで
のオンライン板厚制御が必要となる。
【0008】そこで、例えば特開昭56−158257号公報で
は、冷却ロールの回転速度とロールに射出する圧力によ
って溶鋼流量を制御し、均一な板厚の薄帯を得るという
技術が提案された。
【0009】しかし、この方法によって幅の広い薄帯を
得ようとした場合、600 〜800 ms以内の短時間にノズ
ル全幅にわたり均一なパドルを形成することが困難であ
り、さらに冷却ロールの回転速度を変化させて金属薄帯
の厚さを制御することは、表面性状を劣化するだけでは
なく、ロール回転の変化によって、脆化等の薄帯品質の
低下をもまねく、おそれがあった。
【0010】また、特開昭58-23547号や同58-23548号各
公報には、板厚測定装置を設け、その測定値を用いてロ
ールのノズルに対する位置を調節し、薄帯の幅方向の板
厚を制御することが開示されている。
【0011】しかしながら、この方法では、ロールとノ
ズルの位置調節に関してロールを移動させる手法を採用
しており、またその移動のアクチエータとして油圧サー
ボを用いているため、ロール自体に不可避に発生する振
動を助長してしまう。そして、このロールの振動を防ぐ
ためにはロールのチョック部を固定する等の手段によっ
て、その振動を抑えなくてはならないが、単に固定した
冷却ロールを回転させた場合でも、数十μmの振幅で振
動がロール表面に発生するのに、この方法では少なくと
も数百μmもの振幅の振動を発生させてしまうことにな
る。すなわち、わずか数十μmの板厚制御を行うため
に、ロールに数百μmの振動を発生させたのでは、製板
そのものが困難になる。
【0012】さらに、特開58-20568号公報には、発生す
る振動そのものを実際に測定装置を用いて予め測定して
おき、ロール表面上において振動が発生した場合、それ
をキャンセルする技術が開示されている。
【0013】しかしながら、薄帯の製板速度は20m/s 以
上とかなり大きく、またそのとき発生する振動は数十H
zからさらに数百kHzの高周波域にある場合もあり、
薄帯の製板速度と同調させてロールの振動をキャンセル
させることは非常に困難であった。
【0014】なお、以上の板厚制御に関する各提案に
は、薄帯両端の板厚変化に関する対策は開示されている
が、薄帯の幅中央部と両端部の板厚変化は考慮されてい
ない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の薄
帯の製造方法では、特に製板初期におけるパドルの早期
安定化を実現することは難しく、また、得られる薄帯の
厚みを均一化する技術も確立されていない。
【0016】そこで、この発明は、製板初期におけるト
ラブルを解消するために、パドルの早期安定化を実現し
た、薄帯の製造方法について提案することを目的とす
る。さらに、この発明は、製板初期以降において、薄帯
の表面性状や品質を劣化することなしに板厚制御を実現
する方法について提案することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明は、高速回転す
る冷却ロールの表面に、該ロールの軸方向に延びるスリ
ット状の吐出口を有するノズルから溶融金属を吐出し、
該溶融金属を急冷凝固させて金属薄帯を製造するに当た
り、上記ノズルに対して、その長手方向および幅方向の
いずれか一方に静磁場を印加するとともに、長手方向お
よび幅方向のいずれか他方に直流電流を流してノズル内
の溶融金属に鉛直方向の電磁力を作用させ、磁場強さ、
電流量および電流の方向の少なくともいずれか1つを変
更してノズル内の溶融金属に作用する電磁力の強さおよ
び向きのいずれか一方または両方を制御することを特徴
とする電磁場を利用した金属薄帯の製造方法(第1発
明)である。
【0018】また、この発明は、高速回転する冷却ロー
ルの表面に、該ロールの軸方向に延びるスリット状の吐
出口を有するノズルから溶融金属を吐出し、該溶融金属
を急冷凝固させて金属薄帯を製造するに当たり、上記ノ
ズルに対して、静磁場および高周波磁場を重畳して印加
し、ノズル内の溶融金属に電磁力を作用させてノズル内
に溶融金属を拘束し、磁場強さを変更して溶融金属に付
加する拘束力を制御することを特徴とする電磁場を利用
した金属薄帯の製造方法(第2発明)である。
【0019】ここで、ノズルの長手方向に間隔を置いて
設けた複数の磁場をノズルに印加することが、第1およ
び2発明を実施するに当たり有利である。
【0020】さらに、この発明は、上記第1発明または
第2発明において、さらに急冷凝固後の薄帯の厚みを測
定し、その測定値と目標値との差に基づいて、ノズル内
溶融金属に作用する電磁力の強さおよび向きのいずれか
少なくとも一方を変更し、ノズルから吐出する溶融金属
の流量を調節して薄帯の厚みを制御することを特徴とす
る薄帯の製造方法(第3発明)である。
【0021】ここで、薄帯の厚みを、その幅方向に間隔
を置いた複数の位置で測定し、ノズルから吐出される溶
融金属を測定点に対応した複数の流域に区画し、各測定
点での測定値と目標値との差に基づいて、各区画流域の
溶融金属量を独立に調節することが、第3発明を実施す
るに当たり有利である。
【0022】さて、図1〜3に第1発明に用いる薄帯の
製造装置を示す。図1において、符号1は内部が冷却さ
れた冷却ロールおよび2は溶融金属を収容したタンディ
ッシュであり、このタンディッシュ2の底面には、溶融
金属を冷却ロール1の周面に吐出するノズル3をそなえ
る。このノズル3から高速回転する冷却ロール1の周面
に吐出された溶融金属は、ロール表面で急冷凝固して薄
帯4となり、ラインロール5を介して巻取りリールへと
導かれる。
【0023】ここで、ノズル3は、図2に示すように、
冷却ロール1の両端面間にわたってその軸方向に延びる
スリット状の吐出口5を有する。また、ノズル3の長手
方向の両側面に沿って磁場発生器6をそれぞれ設置する
一方、残りの幅方向の両側面には、図3に示すように、
ノズル3に通電するための電極7をそれぞれ取り付け、
磁場の向きと電流の向きとを直交させる。なお、磁場発
生器6および電極7には、図1に示す電源8から、それ
ぞれ電流が供給される。
【0024】上記構成の製造装置を用いて、ノズル3に
磁場を印加するとともに、ノズル内の溶融金属に磁場と
直交する向きに通電を行うことによって、フレミングの
左手の法則に従って溶融金属に鉛直方向上向きまたは下
向きの電磁力が作用する。そして、鉛直方向上向き、す
なわち重力場を打ち消す力を作用させれば、溶融金属を
ノズル内に保持しておくことが可能であり、また、この
印加磁場強さおよび通電する電流値のいずれか一方また
は両方を変化させることによって保持力は変化するた
め、ノズル吐出口5からの溶融金属の流出の開始および
停止と吐出量制御が可能になる。さらに、電流の方向を
逆にすることによって、電磁力の作用方向が上(下)向
きから下(上)向きに変化するため、特に下向きに電磁
力を作用させれば、ノズルからの溶融金属の流出を速め
ることも可能である。
【0025】次に、図4〜6に第2発明に用いる薄帯の
製造装置を示す。この装置は、図1〜3に示した装置に
おいて磁場発生器6と組み合わせた通電手段に替えて、
高周波コイル9を磁場発生器6と組み合わせたものであ
る。すなわち、図5に示すように、ノズル3の長手方向
両側面とこれらに沿って設置した磁場発生器6との間
に、それぞれ高周波コイル9を設置し、これら高周波コ
イル9を高周波電源10に接続してコイル間に高周波の電
磁場を発生させる。
【0026】上記構成の製造装置によって、高周波の電
磁場と静磁場とを重畳させて印加することになり、まず
高周波コイルによって誘起された溶融金属中に渦電流が
発生し、溶融金属が該高周波磁場から離れる向きに、す
なわち溶融金属流を絞る方向に作用し、これより重力場
を打ち消す力が作用し、ノズル内に溶融金属を拘束する
ことができる。従って、高周波コイルに通電する電流値
を変化させることによって、ノズル内の溶融金属に付加
する拘束力の強さを調節できるため、ノズル吐出口5か
らの溶融金属の流出の開始および停止と、さらには吐出
量制御が可能になる。なお、静磁場を重畳して印加する
のは、高周波磁場の印加だけでは溶融金属の動きが不安
定となるため、溶融金属の動きを安定化させるものであ
る。
【0027】また、図7に示すように、製造後の薄帯の
厚みを、渦流式板厚測定センサーや静電容量型板厚セン
サー等の板厚計11で測定し、この測定値と目標値とを制
御器12で比較し、その差に応じて電源8からの電流供給
量を調節し、磁場発生器6による磁場強さおよび電極7
による通電量のいずれか一方または両方を変化させてノ
ズルからの溶融金属の吐出量を調整して薄帯の厚みを制
御することが有利である。なお、板厚の測定方法として
は、X線およびγ線透過式板厚測定装置等を用いて、離
れた場所から測定することも可能である。ここで、図7
の例では、溶融金属の吐出量の調整を図1に示したとこ
ろと同様に、静磁場強さおよび/または通電量の調節で
行ったが、図4に示したように、高周波磁場強さを変化
させることで行ってもよい。
【0028】さらに、上記板厚計11を冷却ロールの軸方
向に間隔を置いて複数台、例えば3台設置し、それぞれ
の位置で薄帯の厚みを測定し、より精密な薄帯の厚み制
御を行うことも可能である。すなわち、図8に示すよう
に、磁場発生器6を、ノズル3の長手方向に間隙を置い
て、この例で3個設置し、溶融金属にノズル中央部とそ
の両側の流域で独立に磁場を印加する構成とし、3台の
板厚計11での測定値と目標板厚との差に応じて、各磁場
強さを調節し、ノズルから流出する溶融金属量を、3つ
の流域で個別に調整するのである。
【0029】
【作用】従来、薄帯の製板初期において冷却ロールおよ
びノズル間に形成されるパドルは、ロール軸方向で瞬時
に均一とはならず、さらにノズル温度が安定していない
こともあり、非常に不安定である。従って、製板初期に
おいては、パドルブレークなどのトラブルが発生しやす
く、生産性および薄帯の品質を阻害する原因になってい
る。
【0030】これに対してこの発明では、溶融金属に印
加する電磁力により溶融金属をノズル内に保持し、この
電磁力を変化させることによって、ノズルから溶融金属
を瞬時に吐出するから、600 〜800 ms以内のごく短時
間に安定したパドルが形成され、安定した薄帯の製造が
実現する。
【0031】すなわち、電磁場によりノズル内溶融金属
を保持し、通電および/または磁場強さあるいは高周波
電磁場強さを変化させることにより、溶融金属を吐出す
ることを可能としたものであり、溶融金属の吐出をガス
圧が担うような、従来の技術と異なり、ノズルから溶融
金属が瞬時にかつノズル吐出口の長手方向へ均一に吐出
されるために、冷却ロールの軸方向に均一なパドルが瞬
時に形成されるのである。
【0032】また、ノズルに通電および/または磁場の
印加を行うと、溶融金属が内部加熱されため、その温度
低下を防いで凝固によるノズル詰まり等の初期トラブル
を回避する効果も併せて期待できる。また同様の効果と
して、在来の機械式流量調整を行う場合に流量を絞る
と、熱給供量が少なくなって凝固が発生する等の問題が
生じるが、この発明では通電磁場印加によって溶鋼流量
を調整するため、流出中の溶融金属に対しても温度低下
を防止し得る。
【0033】さらに、図7に示したように、製板された
薄帯の板厚をオンラインで測定し、その実測値と目標値
との差に基づいて、ノズルに印加する磁場および/また
は溶鋼に通電する電流値を変化させてノズルから流出す
る溶融金属量を調節して薄帯の厚みを制御することが可
能である。
【0034】特に、薄帯の板厚をオンラインでその幅方
向の複数点で測定し、その実測値と目標値との差に基づ
いて、図8に示したように、それぞれの測定点に対応し
て複数設けた磁場発生器によってノズルに印加する磁場
強さを個々に変化させ、ノズルからの溶融金属の流量
を、ノズル長手方向に並ぶ複数の流域で個別に制御する
ことが望ましい。その際、薄帯の厚みの測定を、幅中央
部とその両端部近傍で行うことが有利である。
【0035】
【実施例】
実施例1 図1〜3に示した装置を用いて、表1に示す条件に従っ
て薄帯を製造した。
【表1】金属薄帯組成:Fe:80at%−B:10at%−Si:
9at%−C:1at% 溶鋼温度:1300℃ 1チャージロット:500 kg(3チャージ連続で実験) 冷却ロール周速:27m/s 製板後の薄帯幅:200 mm 薄帯の目標板厚:25μm 印加磁場(それぞれの磁極中心):0.2 〜0.5 T 電流値:200 〜1000A
【0036】さらに、図4〜6に示した装置を用いて、
上記と同様の鋳造条件にて、上記の電流供給に替えて高
周波電磁場を、印加磁場(磁極中心):0.1 〜0.4 Tお
よび高周波コイル供給電流:500 〜3000Aの条件で印加
して薄帯の製造を行った。
【0037】また、比較として、図12に示すところに従
う、ガス圧による溶融金属の吐出法での薄帯の製造も行
った。この手法において、タンディッシュ2は溶解炉か
ら受けた溶解金属の温度を保持しつつ加圧できるよう
に、温度保持用に高周波コイル12を外側に配置し、かつ
タンディッシュの蓋もねじ止めとして気密性を高めてあ
る。そして、計測した板厚を板厚信号変換器13で信号に
変換してガス加圧装置14に入力し、ガス加圧力を調節し
て溶鋼の吐出量を調整した。
【0038】上記した各製造において、溶鋼吐出後に冷
却ロールの軸方向でパドルが安定するまでの時間につい
て測定した結果を表2に示す。ここで、パドルの安定状
態は、タンディッシュが連続する溶解炉における溶鋼重
量変化ΔWF と、タンディッシュにおける溶鋼重量変化
ΔWT/D とを測定し、単位時間ΔTに関する、次式(1)
がゼロになる時間を測定した。
【数1】 (ΔWF /ΔT)−(ΔWT/D /ΔT)----(1)
【0039】
【表2】
【0040】表2より明らかなように、従来法では、溶
融金属を吐出して数秒後にパドルブレークが発生して鋳
造が不能になったのに対し、この発明に従って溶融金属
の吐出を行った場合は、700 ms以内でパドルが安定
し、パドルブレークは発生することがなかった。
【0041】さらに、溶融金属を吐出する直前のノズル
の温度を熱電対で測定した結果を、図9に示すように、
従来法ではノズル予備加熱終了後から溶融金属がノズル
を通過して吐出されるまでの間でノズルの温度が低下し
ているの対し、この発明ではノズルの温度低下が抑制さ
れることが明らかである。従って、従来法では不可能で
あった、商業規模での広幅薄帯の製造が、この発明を用
いることによって可能となった。
【0042】実施例2 図7および8に示した装置を用いて、表3に示す条件に
従って薄帯を製造した。
【表3】金属薄帯組成:Fe:80at%−B:10at%−Si:
9at%−C:1at% 溶鋼温度 :1300℃ 1チャージロット:500 kg(3チャージ連続で実験) 冷却ロール周速:27m/s 製板後の薄帯幅:200 mm 薄帯の目標板厚:25μm 印加磁場(それぞれの磁極中心):0.2 〜0.5 T 電流値:200 〜1000A 薄帯厚み測定:静電型板厚測定法により、薄帯の幅中心
と両側端部より20mm内側の3点での厚みを測定し、これ
らの値をフィードバック値として、磁場強さ、通電量お
よび通電方向を変化することにより薄帯の厚みを制御
【0043】また、比較として、同様の薄帯の製造にお
いて、同様に薄帯の厚みを測定した結果に基いて、ノズ
ルと冷却ロールの間隔を調節することによって、薄帯の
厚みを制御した。
【0044】製板中にロール軸方向での薄帯厚みを均一
化する制御を行いながら、板厚を測定した結果について
図10に示す。ここで、板厚指数は、指数として用い、板
幅方向、1/4 幅、1/2 幅の3点で同時測定した結果の平
均厚みtを求めて、目標板厚をtm と実測板厚tとの関
係を、t/tm ×100 に従う指数で表示したものであ
る。同様に、板長指数は、薄帯の実測長さLをlで割っ
たm=L/lを指数として用いた。ここで、lはロール
径をDとしたとき、l=πDとして定義される。同図よ
り明らかなように、従来法では、製板方向における板厚
指数で最小4〜−4の範囲で変動があったのに対して、
この発明を用いることによって−0.8 〜0.8 まで抑さえ
られることがわかる。
【0045】さらに、製板後に薄帯幅方向に厚みを測定
した結果を、図11に示す。同図に示すように、従来法の
板厚のプロフィールを見ると、明らかに太鼓状になって
いるのに対して、この発明では、薄帯の幅方向の板厚変
化は極めて少なくなる。なお、この発明により得られた
薄帯は、その表面が平滑であり、気泡等の巻き込みが少
ないため、材質も均一であった。
【0046】
【発明の効果】この発明は、特に商業規模の広幅薄帯を
製造するに当たり、溶融金属を吐出する初期段階におけ
るパドルブレークを防止し、瞬時に均質なパドルを形成
するため、均質な薄帯を製造することが可能である。ま
た、製板時の板厚変化を測定し、その値を用いてノズル
からの溶融金属流量を制御することにより、薄帯の特
性、例えば表面品質を劣化させることなく、均一な厚み
の製板を実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明に使用する装置を示す模式図である。
【図2】第1発明に使用する装置を示す模式図である。
【図3】第1発明に使用する装置を示す模式図である。
【図4】第2発明に使用する装置を示す模式図である。
【図5】第2発明に使用する装置を示す模式図である。
【図6】第2発明に使用する装置を示す模式図である。
【図7】第3発明に使用する装置を示す模式図である。
【図8】第3発明に使用する装置を示す模式図である。
【図9】製板時のノズル温度を示す図である。
【図10】製板時の薄帯厚みの変化を示す図である。
【図11】製板後の薄帯厚みを示す図である。
【図12】ガス加圧型タンディッシュを示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 冷却ロール 2 タイディッシュ 3 ノズル 4 薄帯 5 ラインロール 6 磁気発生器 7 電極 8 電源 9 高周波コイル 10 高周波電源 11 板厚計 12 高周波コイル 13 板厚信号変換器 14 ガス加圧装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸澤 宏一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 反町 健一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速回転する冷却ロールの表面に、該ロ
    ールの軸方向に延びるスリット状の吐出口を有するノズ
    ルから溶融金属を吐出し、該溶融金属を急冷凝固させて
    金属薄帯を製造するに当たり、上記ノズルに対して、そ
    の長手方向および幅方向のいずれか一方に静磁場を印加
    するとともに、長手方向および幅方向のいずれか他方に
    直流電流を流してノズル内の溶融金属に鉛直方向の電磁
    力を作用させ、磁場強さ、電流量および電流の方向の少
    なくともいずれか1つを変更してノズル内の溶融金属に
    作用する電磁力の強さおよび向きのいずれか一方または
    両方を制御することを特徴とする電磁場を利用した金属
    薄帯の製造方法。
  2. 【請求項2】 高速回転する冷却ロールの表面に、該ロ
    ールの軸方向に延びるスリット状の吐出口を有するノズ
    ルから溶融金属を吐出し、該溶融金属を急冷凝固させて
    金属薄帯を製造するに当たり、上記ノズルに対して、静
    磁場および高周波磁場を重畳して印加し、ノズル内の溶
    融金属に電磁力を作用させてノズル内に溶融金属を拘束
    し、磁場強さを変更して溶融金属に付加する拘束力を制
    御することを特徴とする電磁場を利用した金属薄帯の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 ノズルの長手方向に間隔を置いて設けた
    複数の磁場をノズルに印加する請求項1または2に記載
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の方法におい
    て、急冷凝固後の金属薄帯の厚みを測定し、その測定値
    と目標値との差に基づいて、ノズル内溶融金属に作用す
    る電磁力の強さおよび向きのいずれか少なくとも一方を
    変更し、ノズルから吐出する溶融金属の流量を調節して
    金属薄帯の厚みを制御することを特徴とする金属薄帯の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 急冷凝固後の金属薄帯の厚みを、その幅
    方向に間隔を置いた複数の位置で測定し、ノズルから吐
    出される溶融金属を測定点に対応した複数の流域に区画
    し、各測定点での測定値と目標値との差に基づいて、各
    区画流域の溶融金属量を独立に調節する請求項4に記載
    の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005342734A (ja) * 2004-05-31 2005-12-15 Shinko Electric Co Ltd 急冷帯の製造方法及びその装置
KR20200015114A (ko) * 2018-08-02 2020-02-12 주식회사 포스코 금속 소재 제조장치 및 그 방법
KR20200047112A (ko) * 2018-10-26 2020-05-07 주식회사 포스코 금속 소재 제조장치 및 그 방법
CN114807799A (zh) * 2022-05-10 2022-07-29 上海交通大学 用于激光成型的电磁场加压凝固方法及装置

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