JP2021109125A - 排水処理装置、電極及び排水処理方法 - Google Patents

排水処理装置、電極及び排水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、排水処理において、電極反応によるエネルギーの回収・利用を可能とするとともに、電極反応効率の低下を抑制することができる排水処理装置、電極及び排水処理方法を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、被処理水に対する処理を行う排水処理において、被処理水が処理された後の処理水と電極を接触させ発電を行う発電部と、電極に含まれる気体を除去する脱気手段を備える排水処理装置及び排水処理方法、並びに脱気処理を行った電極を提供する。本発明によれば、排水処理装置に電極を用いた発電部を設けることで、排水処理における一連の処理過程の中で発電が実施できる。これにより、効率的な発電を実施し、エネルギーの回収・利用が可能となる。また、電極の脱気処理を行うことで、電極内部の比表面積低下による電極反応の効率低下を抑制し、発電の効率向上が可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、排水処理装置及び排水処理方法に関するものである。また、本発明は、排水処理装置に供する電極に関するものである。
被処理水を処理する排水処理としては、様々な処理方法が知られている。このような排水処理は、被処理水に含まれる成分や、排出される被処理水の量などのように、被処理水自体に係る物性上の特徴や、処理効率とコストのバランスなどのように、排水処理を実施するための設備や運用に係る特徴などを考慮し、処理方法が選択されている。
また、排水処理においては、異なる排水処理方法を複数組み合わせることで、排水処理の効率化を図ることが行われている。
例えば、特許文献1には、有機物を含む被処理水の処理として、被処理水中に一対の電極を浸漬し、電気化学処理を行った後、被処理水を生物処理する排水処理について記載されている。
特開2004−330182号公報
特許文献1に記載されるように、電気化学処理と生物処理とを組み合わせた排水処理においては、それぞれの処理ごとに反応効率のよい反応を進行させ、排水処理全体としての処理効率を向上させることが可能となる。その一方で、一般的に、電気化学処理は電力消費に係るランニングコストの負担が大きいという課題がある。特許文献1に記載された排水処理では、電気化学処理単独よりはランニングコストの低減が可能とされている。しかしながら、特許文献1に記載された排水処理では、排水処理の系外から電気化学処理及び生物処理に係るエネルギーを供給する必要がある。したがって、排水処理時における更なる省エネルギー化が求められている。
近年、排水処理時における設備駆動電力を抑え、省エネルギー化に優れるものとするために、排水処理の工程上でエネルギーの回収・利用が可能な技術が検討されている。
このような技術の一つとして、生物処理により発生したバイオガスを利用したエネルギーの回収が行われているが、バイオガスの貯留・精製設備や、バイオガスの燃焼により得られた熱エネルギーをガスエンジンやガスタービンを介して電気エネルギーに変換する設備など、付帯設備が必要となる。したがって、排水処理において、より簡便かつ効率的にエネルギーを回収・利用する技術が求められている。
排水処理においてエネルギーを簡便かつ効率的に回収する技術としては、排水処理工程上に電極を設け、電極反応により直接電気エネルギーを回収することが考えられる。この際、電極反応によるエネルギー回収と同時に、処理水に対する電気化学処理を行うことができ、排水処理の効率向上と省エネルギー化の実現が期待できる。
ここで、比表面積の大きい電極を用いることで、電極反応の効率向上が期待される。しかし、本発明者らは、排水処理装置において電極を用いた電極反応を行う際に、比表面積の大きい電極として多孔質からなる電極をそのまま使用すると、想定よりも電極反応効率が低くなるという課題があることを見出した。
本発明の課題は、排水処理において、電極反応によるエネルギーの回収・利用を可能とするとともに、電極反応効率の低下を抑制することができる排水処理装置、電極及び排水処理方法を提供することである。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、排水処理において、被処理水を処理した後の処理水に含まれる成分を用いて発電(電極反応)を行うことにより、効率的なエネルギーの回収・利用が可能となること、及び、電極に含まれる気体を除去することで、処理水と電極の接触面積を広げ、電極反応の効率低下を抑制することが可能となることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の排水処理装置、電極及び排水処理方法である。
上記課題を解決するための本発明の排水処理装置は、被処理水に対する処理を行う排水処理装置であって、被処理水が処理された後の処理水と電極を接触させ、発電を行う発電部と、電極に含まれる気体を除去する脱気手段とを備えるという特徴を有する。
本発明の排水処理装置は、排水処理装置に電極を用いた発電部を設置することで、排水処理における一連の処理過程の中で発電を実施することが可能となる。これにより、設備を大型化することなく、効率的な発電を実施し、エネルギーの回収・利用が可能となる。また、被処理水を処理した後の処理水に含まれる成分を用いて電極反応を行うことで、排水処理工程内で生成する成分を有効活用することが可能となる。さらに、電極に含まれる気体を除去する脱気手段を備えることにより、電極内部の比表面積が低下するという問題を解決することができる。これにより、電極反応の効率が低下することを抑制し、発電及び電気化学処理の効率向上が可能となる。
また、本発明の排水処理装置の一実施態様としては、脱気手段は、電極に対して薬剤を添加する薬剤添加手段を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、電極内部の気泡と置換する薬剤を添加するという簡易な手段により、電極の脱気を行うことができる。この場合、電極の脱気に係る付帯設備の大型化を抑制し、イニシャルコストを低減することが可能となる。
また、本発明の排水処理装置の一実施態様としては、脱気手段は、電極に対して電圧印加を行う電気的処理手段を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、電極反応により気体を生成し、電極内部の気泡を電極外部へ押し出すことにより、電極の脱気を行うことができる。この場合、電極の脱気に係る付帯設備を設ける必要がなく、イニシャルコストを大幅に低減することが可能となる。
また、本発明の排水処理装置の一実施態様としては、脱気手段は、電極に対して減圧処理を行う減圧手段を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、減圧処理により電極内部の気泡を除去することで、電極の脱気を行うことができる。特に、発電部に設置した電極に対し、減圧処理を行うことで、電極内部に処理水を導入させることが可能となり、処理水と電極の接触面積を広げ、電極反応効率を向上させることができる。また、脱気のために外部から別途供給するものがないため、発電部における電極反応に係る環境に対して与える影響を最小限とすることができる。
また、上記課題を解決するための本発明の電極としては、被処理水に対する処理を行う排水処理装置で処理された後の処理水と接触させる電極であって、脱気処理が行われているという特徴を有する。
この特徴によれば、排水処理における一連の処理過程の中で発電を実施するための電極として、電極に含まれる気体を除去する脱気処理が行われているものとすることにより、電極内部の比表面積が低下するという問題を解決することができる。これにより、電極反応の効率が低下することを抑制し、排水処理装置における発電及び電気化学処理の効率向上が可能となる。
また、上記課題を解決するための本発明の排水処理方法としては、被処理水に対する処理を行う排水処理方法であって、被処理水が処理された後の処理水と電極を接触させ、発電を行う発電工程と、電極に含まれる気体を除去する脱気工程とを備えるという特徴を有する。
本発明の排水処理方法は、排水処理において電極を用いた発電工程を設けることで、排水処理における一連の処理過程の中で発電を実施することが可能となる。これにより、設備を大型化することなく、効率的な発電を実施し、エネルギーの回収・利用が可能となる。また、被処理水を処理した後の処理水に含まれる成分を用いて電極反応を行うことで、排水処理工程内で生成する成分を有効活用することが可能となる。さらに、電極に含まれる気体を除去する脱気工程を行うことにより、電極内部の比表面積が低下するという問題を解決することができる。これにより、電極反応の効率が低下することを抑制し、発電及び電気化学処理の効率向上が可能となる。
本発明によれば、排水処理において、電極反応によるエネルギーの回収・利用を可能とするとともに、電極反応効率の低下を抑制することができる排水処理装置、電極及び排水処理方法を提供することができる。
本発明の第1の実施態様における排水処理装置の概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の排水処理装置における脱気手段を示す概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の排水処理装置における脱気手段の別態様を示す概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の排水処理装置における脱気手段の別態様を示す概略説明図である。 本発明の第2の実施態様における排水処理装置の概略説明図である。 本発明の第2の実施態様における排水処理装置の別態様を示す概略説明図である。 本発明の第3の実施態様における排水処理装置の概略説明図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る排水処理装置及び排水処理方法の実施態様を詳細に説明する。本発明における排水処理方法は、本発明における排水処理装置の作動の説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する排水処理装置及び排水処理方法については、本発明に係る排水処理装置及び排水処理方法を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
本発明の排水処理装置において、処理対象である被処理水は、処理を経ることで電極反応が可能な物質を生成するものであれば特に限定されない。電極反応が可能な物質としては、例えば、還元性物質が挙げられる。また、具体的な被処理水の例としては、例えば、食品工場、化学工場、紙パルプ工場等の各種工場から排出される工業排水や、下水などの生活排水などが挙げられる。なお、以下の実施態様においては、被処理水として、処理を経ることで還元性物質が生成するものについて主に説明するが、これに限定されるものではない。
また、本発明において、被処理水中に含まれる還元性物質とは、電子供与体として機能するものであればよく、特に限定されない。ある物質が電子供与体として機能するか否かは、電子受容体として機能する物質(以下、単に「電子受容体」と呼ぶ)との組み合わせによって相対的に決まるものである。つまり、本発明における還元性物質は、電子受容体よりも電子を放出しやすいもの、すなわち電子受容体よりも酸化還元電位が低いものとすることが挙げられる。例えば、電子受容体として酸素を用いた場合、本発明における還元性物質は、酸素よりも酸化還元電位が低いものであればよく、このような還元性物質としては、硫化水素、水素、アンモニアなどが挙げられる。
〔第1の実施態様〕
(排水処理装置)
図1は、本発明の第1の実施態様における排水処理装置の構造を示す概略説明図である。
本実施態様における排水処理装置1Aは、図1に示すように、処理槽2と、発電部3と、脱気手段4とを備えるものである。また、排水処理装置1Aは、処理槽2に被処理水Wを導入する導入配管L1と、処理槽2と発電部3を接続し、処理槽2で被処理水Wが処理された後の処理水W1を発電部3に供給する接続配管L2と、電極反応後の処理水W2を発電部3から排出する排出配管L3とを備えている。さらに、排出配管L3の後段には、反応槽5が接続されている。
(処理槽)
処理槽2は、被処理水Wに対して処理を行うための槽である。
処理槽2で行う処理は、被処理水W中に含まれる処理対象に合った処理であり、処理後の処理水W1中に還元性物質を含むものであれば、特に制限されない。例えば、生物処理、化学処理(薬剤添加、オゾン処理など)などが挙げられるが、人体に対して有害な物質の使用及び生成を伴うことがなく、かつ比較的低コスト処理が可能な生物処理とすることが望ましい。
さらに、生物処理としては、例えば、嫌気的な環境下での生物処理(嫌気処理)として、酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵や、脱窒菌により硝酸・亜硝酸の還元を行う脱窒処理や、硫酸還元菌により硫酸の還元を行う硫酸還元処理等が挙げられる。また、好気的な環境下での生物処理(好気処理)として、活性汚泥を用いる活性汚泥処理などが挙げられる。なお、生物処理としては、曝気動力が不要で、余剰汚泥がほとんど発生しないことなど、導入のメリットが高いことから、嫌気処理が好ましい。さらに、処理コストや生成ガスの有用性の観点から、メタンを生成するメタン発酵が特に好ましい。
処理槽2において、嫌気処理のうち、特にメタン発酵を行う場合、被処理水W中には、メタンのほか、硫化水素、水素、アンモニア等が生成する。なお、これら生成物は、本発明における還元性物質に相当するものである。
処理槽2で処理された被処理水Wは還元性物質を含有する処理水W1となり、接続配管L2を介して、発電部3へ導入される。
(発電部)
発電部3は、処理水W1中の還元性物質を電子供与体として発電を行うためのものである。
本実施態様の発電部3は、図1に示すように、処理槽2の後段に設けられ、第1のセル31a及び第2のセル31bと、セル31a、31bの間を仕切るように設けられたイオン交換体35と、セル31a、31bにそれぞれ配置された電極33a、33bとを備えている。ここで、第1のセル31aは、処理槽2から接続配管L2を介して導入された処理水W1が電極33aに接触するように形成されており、第1のセル31aに配置された電極33aはアノードとして機能する。一方、第2のセル31bは、電子受容体を貯留ないしは供給するように形成されており、第2のセル31bに配置された電極33bはカソードとして機能する。また、電極33a、33bは導線により外部回路と接続されている(不図示)。これにより、発電部3において、還元性物質が電子供与体として作用することで発生する電気エネルギーの回収及び利用が可能となる。
第1のセル31aは、電極33aを備え、処理水W1が電極33aに接触するように形成されているものであればよく、特に素材や形状は問わない。例えば、図1に示すように、接続配管L2を介して処理水導入口32aから導入された処理水W1を一時的に貯留可能なスペースを有し、電極33aに接触した後の処理水W2を処理水排出口32bから排出するための排出配管L3を備えるものとすること等が挙げられる。これにより、処理水W1中の還元性物質は電子供与体として電極33aに電子を供与した後、排出配管L3を介して速やかに排出される。
なお、接続配管L2及び/又は排出配管L3に、バルブ等の流量調整機構を設けるものとしてもよい。これにより、電極33aに接触させる処理水W1の量及び流速を調整し、電極33aに対する物質移動速度を制御することが可能となる。
排出配管L3を介して排出された処理水W2は、河川などへの放流が可能な水質を満たすものであれば、そのまま放流することが可能である。また、排出配管L3の後段に、処理水W2を更に処理するための反応槽5を設け、処理水W3として系外へ排出するものとしてもよい。反応槽5としては、処理水W2が系外あるいは河川への放流が可能な水質となるように処理できるものであれば特に限定されない。例えば、曝気槽やpH調整槽などが挙げられる。
第2のセル31bは、電極33bを備え、処理水W1中の還元性物質に対する電子受容体を貯留ないしは供給するように形成されているものであればよく、特に素材や形状は問わない。
ここで、電子受容体の形態は、気体、液体のいずれであってもよい。なお、液体としては、固体薬剤を溶解させた溶液であってもよく、気体を混合(溶解)させた溶液であってもよい。
特に、電極33bを配置する第2のセル31b内は電子受容体の溶液で満たすものとすることが挙げられる。これにより、後述する脱気手段4(特に、電気的処理手段4B及び減圧手段4C)に係る構成を容易に形成することが可能となる。
本実施態様において電子受容体の具体的な例については、例えば、気体としては、酸素及び酸素を含む気体が挙げられる。なお、酸素を含む気体とは、空気のように混合物として酸素を含むものや、二酸化炭素のように化合物を構成する元素として酸素を含むものが挙げられる。電子受容体として気体を用いた場合、反応後に排出したものの処理が不要(あるいは容易)であることや、入手に係るコストを低減できるという利点がある。なお、これらの利点を最大限活用するためには、電子受容体として、空気を用いることが特に好ましい。
また、本実施態様において電子受容体の他の例としては、例えば、液体として、溶存酸素を含む溶液や、フェリシアン化カリウム水溶液のような酸化剤の水溶液等が挙げられる。電子受容体として液体を用いた場合、電子受容体として効果の高い化合物(酸化剤)の取り扱いが容易となるため、発電効率をより向上させることができるという利点がある。なお、発電効率を向上させるという観点からすると、電子受容体としては、フェリシアン化カリウム水溶液を用いることが特に好ましい。
第2のセル31bとしては、例えば、図1に示すように、第2のセル31bに、液体を貯留可能なスペースを設け、電子受容体供給口34a及び電子受容体排出口34bとして、それぞれ電子受容体の溶液の供給及び反応後の溶液の排出が可能なものを設けることが挙げられる。また、第2のセル31bの他の例としては、第2のセル31bに、気体状の電子受容体(酸素、空気など)を電極33bに対して供給するために、気体を供給するための電子受容体供給口34a及び反応後の気体を排出するための電子受容体排出口34bを設けることが挙げられる。これにより、電極33aからの電子を、電極33bを介して電子受容体が受け取ることができ、電極33aと電極33bの間に電流が流れて発電が行われる。また、反応後の電子受容体は電子受容体排出口34bを介して速やかに発電部3の外部に排出される。
なお、電子受容体供給口34a及び/又は電子受容体排出口34bにバルブ等の流量調整機構を設け、第2のセル31bにおける電子受容体の濃度を調整できるものとしてもよい。さらに、電極33aにおける反応により生成した電子量に応じた電子受容体濃度が維持されるように流量調整機構を制御する制御機構を設けるものとしてもよい。これにより、電極33a及び電極33b間の電子移動に係る反応効率の低下を抑制し、発電効率の低下を抑制することが可能となる。
図1において、電子受容体供給口34a及び電子受容体排出口34bは、それぞれ1つずつ設けたものを示しているが、これに限定されるものではない。例えば、電子受容体供給口34a及び電子受容体排出口34bを複数設けるものとしてもよい。特に、電子受容体として酸素を含む気体を用いた場合、電極33bにおける反応によって水が生成する。したがって、電子受容体排出口34bを複数設ける場合、例えば、気体を排出するものと液体を排出するものをそれぞれ分けて設けること等が挙げられる。
イオン交換体35は、イオンを透過することのできる公知の構成であればよく、特に限定するものではない。特に、電極33a(アノード側)で発生する水素イオンを透過することのできる陽イオン交換膜とすることが挙げられる。これにより、電極33a(アノード側)から電極33b(カソード側)へ水素イオンが移動することで、電極33bでの電子受容体の反応効率を高めることができ、発電効率を向上させることができる。また、イオン交換体35は、酸素透過性が低いものとすることがより好ましい。これにより、電極33b(カソード側)に供給される電子受容体(特に酸素)が電極33a側に移動することを抑制し、電極33aにおける電子供与体の反応効率が酸素により低下することを抑制することが可能となる。
なお、図1において、イオン交換体35は、電極33a及び電極33bと別体として設けるものを示しているが、これに限定されるものではない。例えば、イオン交換能を有する材料と電極33a及び/又は電極33bを一体とすること等が挙げられる。これにより、発電部3全体を小型化することが可能となるとともに、メンテナンス作業に係る時間短縮が可能となる。
電極33aは、処理水W1中の還元性物質から電子を回収する電極であり、いわゆるアノードとして機能するものである。また、本実施態様における電極33aは、処理槽2で処理された後の処理水W1と接触するように第1のセル31a内に配置されている。
電極33aとしては、アノードとして機能するものであればよく、材質及び形状については特に限定されない。電極33aの材質及び形状については、材料調達や加工に係るコスト、電極33aにおける還元性物質の反応効率などを鑑みて、適宜選択することができる。電極33aの材質の例としては、例えば、電気化学分野で電極材料として広く用いられている炭素や金属(ステンレス、白金、銅等)が挙げられる。また、電極33aの形状の例としては、例えば、平板状、棒状、メッシュ状などが挙げられる。
特に、本実施態様の電極33aとしては、発電効率を鑑み、多孔質体からなるものを用いることが好ましい。例えば、電極33aとしては、多孔質体であるカーボンペーパーやカーボンクロスのような炭素繊維を用いることのほか、発泡金属、多孔質金属、金属メッシュを用いることが挙げられる。
電極33bは、電極33aの対極であって、電子受容体へ電子を受け渡す電極であり、いわゆるカソードとして機能するものである。また、本実施態様における電極33bは、第2のセル31b内に配置されている。
電極33bとしては、カソードとして機能するものであればよく、材質及び形状については特に限定されない。電極33bの材質及び形状については、材料調達や加工に係るコスト、電極33bにおける電子受容体の反応効率などを鑑みて、適宜選択することができる。電極33bの材質の例としては、例えば、電気化学分野で電極材料として広く用いられている炭素や金属(ステンレス、白金、銅等)が挙げられる。また、電極33bの形状の例としては、例えば、平板状、棒状、メッシュ状などが挙げられる。
特に、本実施態様の電極33bとしては、発電効率を鑑み、多孔質体からなるものを用いることが好ましい。例えば、電極33bとしては、多孔質体であるカーボンペーパーやカーボンクロスのような炭素繊維を用いることのほか、発泡金属、多孔質金属、金属メッシュを用いることが挙げられる。
第2のセル31b内に供給される電子受容体が気体(空気)である場合、電極33bは、一方の面は気体と接するが、もう一方の面は処理水W1と接する。このため、電極33bは、いわゆるエアカソードとして適した形態とすることが好ましい。エアカソードとして適した形態としては、例えば、気体透過性と不透水性の両方の性質を備えることが挙げられる。電極33bが気体透過性を備えた形態とすることにより、電子受容体である気体を電極33bで効果的に反応させることが可能となる。また、電極33bが不透水性を備えることにより、第1のセル31a内の処理水W1が電極33bを透過し、第2のセル31b内に流入することを抑制することが可能となる。このような電極33bの具体例としては、炭素繊維からなるものや、金属メッシュ表面に対して気体透過性及び不透水性を有する材料の塗布あるいはフィルムの積層等の表面処理を行ったもの等が挙げられる。なお、ここでの不透水性とは、水を通さないことを指し、例えば、電極33bを防水化、撥水化、疎水化、あるいは止水化することについても、不透水性を備えることに含まれるものである。
以下、排水処理装置1における発電について詳細に説明する。
図1に基づき、本発明の第1の実施態様の排水処理装置における発電に係る反応及び工程を説明する。本実施態様の配管における発電に係る反応及び工程は、被処理水Wを嫌気処理することで生成した還元性物質を電子供与体として用い、酸素や酸化剤を含む溶液を電子受容体として用いるものについて説明するものである。
なお、図1に基づく反応及び工程に係る説明は、本実施態様における発電の一例について示すものであり、これに限定されるものではない。また、以下の説明は、処理槽2から発電部3に係る反応及び工程について述べたものであり、その他の構成(導入配管L1、排出配管L3及び反応槽5など)に係る反応及び工程については説明を省略している。さらに、反応R1〜R4及び工程S1〜S3の表記については、説明のために番号を付したものであり、反応及び工程順序を特定するものではない。
図1に示すように、処理槽2に導入された被処理水Wは、処理槽2内の嫌気性微生物(酸生成菌及びメタン生成菌)により嫌気処理される(工程S1)。このとき、メタンのほかに、還元性物質(水素、硫化水素、アンモニア等)が生成する。
処理槽2で処理され、還元性物質を含む処理水W1は、接続配管L2を介して発電部3における第1のセル31a内に導入される(工程S2)。ここで、還元性物質(水素、硫化水素、アンモニア等)が電極33aに接触することで、還元性物質が電子供与体として機能し、電極33aへ電子が供与される。このとき、電子供与体として機能する還元性物質として、硫化水素を例にとると、電極33aにおける反応(反応R1)は、以下の反応式(式1)で示される。
Figure 2021109125
また、硫化水素の一部は硫化水素イオンとして反応する。このときの反応は、以下の反応式(式2)で示される。
Figure 2021109125
式1及び式2で示されるように、反応R1において、処理槽2で処理された後の処理水W1に含まれる硫化水素は電極33aに電子を供与するとともに、硫化水素自身は酸化処理されることで無害化、無臭化する。このため、本実施態様の排水処理装置は、発電とともに、脱硫・脱臭が可能となるという効果も奏する。なお、硫化水素以外の有害物質・臭気物質である還元性物質(アンモニア等)についても、同様に電子供与体として機能し、反応が進行することで、無害化・無臭化が可能になる。
式1及び式2に示された反応式に基づき、電極33aにおける反応が進行した後、電子は電極33aから導線を介して電極33bへ移動する(反応R2)。なお、このとき、電極33aにおける反応で生成した水素イオンは、イオン交換体35を介して第2のセル31b側へ移動する(反応R3)。
一方、第2のセル31bには、電子受容体供給口34aから電子受容体(溶液)を導入する(工程S3)。ここで、反応R2により、電極33aから電極33bに移動した電子を、電極33bを介して電子受容体が受け取る。また、このとき、反応R3により、イオン交換体35を介して第2のセル31b側に移動した水素イオンも電子受容体と反応する。このときの電極33bにおける反応(反応R4)は、以下の反応式(式3)で示される。なお、式3における酸素が、電子受容体に相当する。
Figure 2021109125
上述した反応R1〜R4及び工程S1〜S3に基づき、電極33aと電極33bの間に電流が流れる。これにより、本実施態様の排水処理装置における発電が行われる。
また、発電により得られた電気エネルギーは、電極33a及び電極33bに接続した外部回路を通じて回収・利用することができる。なお、電気エネルギーの利用については、特に限定されない。例えば、排水処理装置の設備駆動に用いるものであってもよく、排水処理装置外で利用するものであってもよい。
本実施態様における電極33aは、処理水W1中の還元性物質から直接電子を回収するものである。したがって、電極33aと還元性物質との接触効率を向上させることで電子供与体としての反応効率(電極33aにおける電子の回収速度)が向上し、発電効率を向上させることが可能となる。また、電極33bにおいても同様に、電極33bと電子受容体との接触効率を向上させることで、発電効率を向上させることが可能となる。
一方、電極33aや電極33bとして、発電効率を鑑み、比表面積の大きい多孔質体を用いた場合、電極内部に気体が入り込む空間が存在することになる。したがって、多孔質体からなる電極33a、33bをそのまま処理水等の液体を貯留するセル(第1のセル31a、第2のセル31b)に設置すると、電極33a、33b内には気泡が存在し、電極33a、33bの表面と処理水等の液体との接触面積が低下することになる。このとき、電極33a、33bにおいて、還元性物質や電子受容体による電極反応(発電)効率が低下するという問題が生じる。
(脱気手段)
脱気手段4は、発電部3における電極33a及び電極33bに含まれる気体を除去し、電極反応効率の低下を抑制するためのものである。
脱気手段4としては、電極33a及び電極33bに含まれる気体を除去することができるものであればよく、特に限定されない。なお、本実施態様における脱気手段4としては、電極33a及び電極33bを発電部3内に設置したまま脱気を行うものや、発電部3に設置する前や発電部3から取り出した後など、発電部3外部において電極33a及び電極33bの脱気を行うものが挙げられる。発電部3内の電極33a、33bに対し、脱気を行う場合、電極33a、33bの輸送や設置は通常通り行うことができ、発電工程の合間に脱気工程を行うことが容易である。このため、脱気処理に係る操作のタイミング等を容易に設定することが可能である。一方、発電部3外部において電極33a、33bの脱気を行う場合、発電部3に脱気に係る設備を追加することなく、複数の電極を一括で処理することができるため、作業コストを低減させることができる。したがって、脱気手段4は、発電部3内部あるいは発電部3外部のいずれで行うものとしてもよく、脱気効果や作業効率等を鑑みて適宜選択することが可能である。
本実施態様の脱気手段4としては、電極に対して薬剤を添加する薬剤添加手段4Aを備えるものが挙げられる。
薬剤添加手段4Aとしては、薬剤を加えることで電極に含まれる気体を除去することができるものであればよく、例えば、発電部3外で電極33a及び電極33bに薬剤を添加するものや、発電部3内に薬剤を添加するものなどが挙げられる。脱気手段4として薬剤添加手段4Aを用いることで、薬剤を添加するという比較的簡易な手段により、電極の脱気を行うことができる。この場合、電極の脱気に係る付帯設備の大型化を抑制し、イニシャルコストを低減することが可能となる。
薬剤添加手段4Aの具体例としては、発電部3内に設置した電極33a及び電極33bに対して薬剤を添加する機構を設けることが挙げられる。
図2は、本実施態様の薬剤添加手段4Aとして、発電部3内の電極33a及び電極33bに対して薬剤を添加する機構を設ける際の概略説明図である。なお、図2は、排水処理装置1Aにおける発電部3周辺の拡大図であり、処理槽2及び反応槽5については図示を省略している。
図2に示すように、薬剤添加手段4Aとして、第1のセル31a及び第2のセル31bにそれぞれ薬剤供給口41a、41bと薬剤供給手段42を設け、電極33a及び電極33bの表面に薬剤が触れるように配置することが挙げられる。なお、図2における破線の矢印は、薬剤の流入方向を示している。
薬剤供給手段42としては、薬剤を添加することができるものであればよく、特に限定されない。例えば、薬剤供給手段42としては、薬剤を貯留する貯留部や、薬剤の添加量を決定・調整するための制御部等を備えること等が挙げられる。
薬剤供給手段42から供給する薬剤としては、電極33a、33b内の気体と置換し、気体を電極33a、33b外に押し出すもの、電極33a、33b内の気体が溶解するもの、電極33a、33b内の気体を破泡するものなどが挙げられる。より具体的には、アルコールなどの有機溶剤のほか、消泡剤として知られる物質が挙げられる。これにより、発電部3に配置された電極33a、33bに含まれる気体を除去することが可能となる。
薬剤添加手段4Aとしては、図2に示すように、発電部3に対し、薬剤供給口41a、41bと薬剤供給手段42を設けるものに限定されない。例えば、接続配管L2に薬剤供給手段42を接続し、薬剤を処理水導入口32aから電極33aに対して供給するものとしてもよい。これにより、薬剤供給口41aを別体として設ける必要がなくなるため、装置構成の簡略化が可能となる。
薬剤添加手段4Aの別の態様として、発電部3外で、電極33a、33bに薬剤を添加する設備を設け、一括で脱気処理を行った後、保存溶液で満たした保存容器に電極33a、33bを収容したものを発電部3に輸送、配置することが挙げられる。
このとき、保存溶液としては、脱気処理後の電極33a、33b内に再度気体が流入することを抑制することができる液体であればよく、例えば、脱気処理に使用した薬剤(溶液)のほか、純水等が挙げられる。また、保存溶液としては、純水等の水溶液を用いることが好ましい。これにより、発電部3に電極33a、33bを配置した際、保存溶液が処理水と置換されやすく、また、処理水中に保存溶液が流出しても、第1のセル31a及び第2のセル31b内の環境条件に対する影響を抑えることができる。
また、このとき、保存容器としては、電極33a、33b及び保存溶液を収容し、脱気処理後の電極33a、33b内に再度気体が流入することを抑制することができる容器であればよく、例えば、通気性及び通水性を有さない材質からなる箱体や袋体等が挙げられる。このような保存容器の具体的な例としては、例えば、プラスチックフィルムや金属薄膜からなる袋体や、プラスチック板や金属板からなる箱体等が挙げられる。
薬剤添加手段4Aとして、発電部3外で薬剤による脱気処理を行うものとした場合、発電部3内に直接薬剤を投入することがないため、第1のセル31a及び第2のセル31b内の環境変化が少なく、電極反応(発電)に対する影響を抑制することができるという効果も奏する。
本実施態様の脱気手段4の別の態様としては、電極に対して電圧印加を行う電気的処理手段4Bを備えるものが挙げられる。
電気的処理手段4Bとしては、処理水等の溶液に浸漬した状態で電極に対して電圧印加を行うことができるものであればよく、例えば、発電部3内に配置した電極33a及び電極33b間の電圧・電流を制御する電気化学的装置を設けることや、発電部3外において電極33a及び電極33b間に印加する電圧・電流を制御する電気化学的装置を備えた設備を設けることなどが挙げられる。特に、脱気手段4として、発電部3内に電気的処理手段4Bを設けることで、新たに加える装置構成が少なく、設備の小型化が可能となる。
図3は、本実施態様の電気的処理手段4Bとして、発電部3内の電極33a及び電極33b間に電圧印加するものを用いた際の概略説明図である。なお、図3は、排水処理装置1Aにおける発電部3周辺の拡大図であり、処理槽2及び反応槽5については図示を省略している。
図3に示すように、電気的処理手段4Bとして、電極33a及び電極33bと接続するように電圧・電流制御装置43を設け、電気化学的処理を行うことが挙げられる。より具体的には、電極33a及び電極33bからガスが発生する電極反応が進行するように電圧を印加すること等が挙げられる。これにより、電極33a、33bに含まれる気体は、電極反応により発生するガスによって電極33a、33bの外部に押し出されるため、電極の脱気処理が可能となる。このとき、ガスが発生する電極反応としては、第1のセル31a及び第2のセル31b内に貯留された水溶液(水)の電気分解が挙げられる。発電部3内での水の電気分解によって水素及び酸素が発生し、電極33a、33bに含まれる気体ごと電極33a、33b外に放出し、電極の脱気を行うことができる。これにより、脱気手段4として新たな設備追加がほとんど不要となるため、設備コストを大幅に削減することが可能となる。
本実施態様の脱気手段4の別の態様としては、電極に対して減圧処理を行う減圧手段4Cを備えるものが挙げられる。
減圧手段4Cとしては、少なくとも電極に対して減圧処理を行い、その結果電極に含まれる気体を除去することができるものであればよく、例えば、発電部3内に電極33a及び電極33bを配置した状態でセル(第1のセル31a及び/又は第2のセル31b)内を減圧する手段や、発電部3外で電極33a及び電極33bに対して減圧処理を行った後、減圧状態を保ったまま保存容器に収容する手段などが挙げられる。脱気手段4として減圧手段4Cを用いることで、第1のセル31a及び第2のセル31b内の環境条件(pH、各種化合物の濃度等)を変えることなく電極の脱気を行うことができる。
図4は、本実施態様の減圧手段4Cとして、発電部3内に電極33a及び電極33bを配置した状態で第1のセル31a及び第2のセル31b内を減圧するものを用いた際の概略説明図である。なお、図4は、排水処理装置1Aにおける発電部3周辺の拡大図であり、処理槽2及び反応槽5については図示を省略している。
図4に示すように、減圧手段4Cとしては、流量調節弁44a〜44dと減圧装置45を設けることが挙げられる。
図4に基づき、本実施態様の減圧手段4Cの一例を説明する。図4に示した減圧手段4Cは、第1のセル31aに対して処理水W1を導入・排出する接続配管L2及び排出配管L3上に流量調節弁44a、44bを設け、第2のセル31bに対して電子受容体を導入・排出する電子受容体供給口34a及び電子受容体排出口34bに接続する接続配管L10及び排出配管L11上に流量調節弁44c、44dを設けている。これにより、流量調節弁44a〜44dの開閉操作により、第1のセル31a及び第2のセル31を、排水処理装置1Aに係る他の設備(処理槽2や反応槽5等)から区画することが可能となる。そして、区画した空間内を減圧するために、図4に示した減圧手段4Cでは、第1のセル31a及び第2のセル31bと接続するように減圧装置45を設けている。これにより、減圧装置45を駆動することで、区画された空間である第1のセル31a及び第2のセル31b内が減圧される。このとき、電極33a、33bに含まれる気体は、電極33a、33b外に放出されるため、電極の脱気を行うことができる。
減圧装置45は、第1のセル31a及び第2のセル31b内の圧力を低減することができるものであればよく、特に限定されない。例えば、減圧装置45としては、減圧ポンプとして知られるもの等が挙げられる。
減圧手段4Cとしては、図4に示す構成に限定されない。例えば、第2のセル31bに供給する電子受容体が気体であり、電極33bにおいて脱気処理が不要である場合、第1のセル側のみに減圧手段4Cを設けるものとしてもよい。このとき、減圧手段4Cとしては、流量調節弁44a、44bと、第1のセル31aのみに接続されている減圧装置45を設けることが挙げられる。これにより、処理水W1と接触し、気体を除去する必要のある電極33a側のみ脱気処理を行うことができ、排水処理装置1A全体としての簡略化が可能となる。
一方、第1のセル31aあるいは第2のセル31bのどちらか片方のみに減圧手段4Cを設け、減圧による脱気処理を行うと、セル間の圧力差により、電極33a、33bやイオン交換体35の破損が生じるおそれがある。したがって、脱気手段4として減圧手段4Cを用いる場合、図4に示すように、流量調節弁44a〜44dを設けることで、第1のセル31a及び第2のセル31bの両方を含むように区画し、区画された空間内を減圧することがより好ましい。これにより、電極33a及び電極33bの脱気処理を安定して行うことが可能となる。
また、減圧装置45を、第1のセル31a及び第2のセル31bに接続する際、新たな配管を設けるものとしてもよく、既設の配管を活用するものとしてもよい。特に、既設の配管を活用することにより、装置構成の簡略化が可能となる。
本実施態様の排水処理装置1Aにおける脱気手段4としては、上記した薬剤添加手段4A、電気的処理手段4B及び減圧手段4Cをそれぞれ単独で行うものに限定されるものではなく、上記手段4A〜4Cを複数組み合わせるものとしてもよい。これにより、電極33a、33bの形態や配設状況等に応じて好適な脱気手段4を選択して実施することが可能となり、より高い脱気効果が得られる。
本実施態様における脱気手段4による電極の脱気を実施する条件(実施回数や実施時期等)については特に限定されない。例えば、各脱気手段4(手段4A〜4C)は、発電部3に電極を設置する前や設置した後に、1回だけ行うものとしてもよく、複数回繰り返すものとしてもよい。なお、脱気手段4を繰り返し実施することで、脱気効率を高めることができるが、脱気手段4の駆動に係るコスト(薬剤コストや電力コスト等)を鑑み、実施の回数を適宜設定することができる。また、脱気手段4を実施する時期については、例えば、電極の交換時など、新規の電極を使用するタイミングのほか、電極のメンテナンス(洗浄等)後のタイミングなどが挙げられる。
また、本実施態様の脱気手段4により脱気処理が行われた電極33a、33bは、本発明の電極として独立した構成とすることができる。本発明の電極は、脱気手段4により脱気処理を行われているものであればよく、形態等については特に限定されない。例えば、発電部3外に備えた脱気手段4により脱気処理を行い、保存容器等に収容されて輸送可能な形態となっているものなどが挙げられる。
本発明の電極は、被処理水に対する処理を行う排水処理装置(本実施態様における排水処理装置1A)で処理された後の処理水(本実施態様における処理水W1)と接触させ、排水処理における一連の処理過程の中で発電を実施するための電極として、電極内部の比表面積が低下するという問題を解決することができるものである。これにより、電極反応の効率が低下することを抑制し、排水処理装置における発電及び電気化学処理の効率向上が可能となる。
本実施態様における排水処理装置1Aは、被処理水W中の還元性物質を電子供与体として用い、電気化学反応(電極反応)により発電を行い、エネルギーを回収・利用するものである。一般に、電気化学反応を行う場合、実際に電気化学反応を行う箇所(発電部3)以外へ電子が移動することで、電気化学反応の効率が低下するという問題が生じる。したがって、本実施態様における排水処理装置1Aは電気化学反応を行う箇所(発電部3)以外を絶縁処理することが好ましい。絶縁処理の具体例としては、例えば、処理槽2及び反応槽5を絶縁体の上部に設置することのほか、処理槽2及び反応槽5の外壁あるいは内壁を絶縁体で構成することや、処理槽2及び反応槽5の外壁あるいは内壁を絶縁材料でコーティングすることなどが挙げられる。また、導入配管L1、接続配管L2及び排出配管L3の絶縁処理としては、例えば、それぞれの配管を絶縁体からなるものとすることや、それぞれの配管に絶縁材料をコーティングすること等が挙げられる。
以上のように、本実施態様の排水処理装置及び排水処理方法により、排水処理における一連の処理過程の中で発電を実施することが可能となる。これにより、設備を大型化することなく、効率的な発電を実施し、エネルギーの回収・利用が可能となる。また、被処理水を処理した後の処理水に含まれる成分を用いて電極反応を行うことで、排水処理工程内で生成する成分を有効活用することが可能となる。さらに、電極内部に含まれる気体を除去する脱気手段を備えることにより、電極内部の比表面積が低下するという問題を解決することができる。これにより、電極反応の効率が低下することを抑制し、発電及び電気化学処理の効率向上が可能となる。
また、本実施態様の電極により、電極内部の比表面積の低下を抑制し、排水処理における一連の処理過程の中で発電を実施する際に、発電及び電気化学処理の効率向上が可能となる。特に、既設の排水処理装置に対して発電の機能を付加する際に、本実施態様の電極を用いることで、電極反応の効率が低下することを抑制し、発電を高効率で実施することが可能となる。
以下、本発明の排水処理装置における処理槽2、発電部3及び反応槽5の別態様について例示する。
〔第2の実施態様〕
図5は、本発明の第2の実施態様における排水処理装置を示す概略説明図である。また、図6は、本発明の第2の実施態様における排水処理装置の別態様を示す概略説明図である。
第2の実施態様に係る排水処理装置1Bは、処理槽2が、酸生成槽21とメタン発酵槽22からなるものである。また、発電部3が、処理槽2(酸生成槽21及びメタン発酵槽22)に設けられた循環流路上に設けられるものである。ここで、図5と図6に示す排水処理装置1Bは、それぞれ発電部3の設置箇所が異なるものを示している。なお、脱気手段4としては、第1の実施態様に示した脱気手段4のうち、いずれを適用するものであってもよく、特に限定されない。また、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
本実施態様における排水処理装置1Bは、図5及び図6に示すように、処理槽2は、接続配管L4により接続された酸生成槽21とメタン発酵槽22からなり、循環配管L5により酸生成槽21とメタン発酵槽22間には循環流路が形成されており、また、循環配管L6によりメタン発酵槽22内における循環流路が形成されているものである。
なお、図5に示す排水処理装置1Bにおいては、発電部3が循環配管L5上に設けられている。一方、図6に示す排水処理装置1Bにおいては、発電部3が循環配管L6上に設けられている。
本実施態様における処理槽2は、酸生成槽21及びメタン発酵槽22を備えるものである。また、酸生成槽21及びメタン発酵槽22は、内部に収容する微生物により、被処理水Wを嫌気処理するための反応槽である。なお、酸生成槽21及びメタン発酵槽22は、嫌気的条件の維持のために、天井を有し、閉じた空間を形成していることが好ましい。
酸生成槽21は、導入配管L1により導入される被処理水Wに対し、内部に収容する酸生成菌(主として嫌気性の酸生成菌)により、糖、蛋白質及び油分などの固体や高分子有機物を分解して、単糖類、アミノ酸、低級脂肪酸及び酢酸を生成する酸生成処理を行うものである。酸生成槽21で処理された被処理水Wは、接続配管L4を介してメタン発酵槽22へ供給される。
なお、酸生成槽21は、内部の水温調整手段、pH調整剤の投入手段、菌が必要とする栄養源である窒素、リン、コバルト及びニッケル等の金属類を添加する手段を備えたものとしてもよい(不図示)。
メタン発酵槽22は、接続配管L4により供給される酸生成槽21で処理された被処理水Wに含まれる単糖類、アミノ酸、低級脂肪酸及び酢酸等からメタンを生成するメタン発酵処理を行うものである。メタン発酵処理は、浮遊法、固定床法、流動床法、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)法、EGSB(Expanded Granular Sludge Bed)法等により保持されたメタン生成菌により溶存酸素のない嫌気性雰囲気で行うものである。
メタン発酵槽22には、嫌気処理に適した嫌気性菌が存在するグラニュール層が形成される。そして、酸生成槽21から被処理水Wがメタン発酵槽22内に導入されると、グラニュール層に含まれる嫌気性菌によってメタン発酵が行われる。その結果、メタン発酵槽22内では、メタン及び二酸化炭素を主成分とするガスが発生するとともに、還元性物質を含む処理水W1を生成する。なお、メタン発酵槽22の内部には気固液分離手段であるセトラー23が設けられていてもよい。メタン発酵槽22内で発生したガスは槽外に放出又は回収される(不図示)。また、メタン発酵槽22で生成された処理水W3は排出配管L7を介して処理系外に排出される。
なお、メタン発酵槽22は、さらに付帯する各種設備を設けることができる。例えば、内部の水温調整手段、pH調整剤の投入手段、菌が必要とする栄養源である窒素、リン、コバルト及びニッケル等の金属類を添加する手段を備えたものとしてもよい(不図示)。
メタン発酵槽22は、メタン発酵槽22内で発生したガスのうち、メタンガスの回収、精製及び貯留を行う手段を備えるものとすることが好ましい。これにより、発電部3による発電以外に、被処理水Wから有用なエネルギー源であるメタンガスを回収して有効利用することが可能となる。
また、メタン発酵槽22は、メタン発酵槽22内で発生したガスのうち、二酸化炭素ガスの回収、精製及び貯留を行う手段を備え、発電部3における電子受容体供給口34aから第2のセル31b内へ二酸化炭素ガスを導入可能な手段を備えるものとしてもよい。これにより、二酸化炭素ガスを電子受容体として有効利用することが可能となり、電子受容体の供給コストを低減させることが可能となる。
さらに、本実施態様におけるメタン発酵槽22は、循環配管L5及び/又は循環配管L6を備えている。循環配管L5は、メタン発酵槽22上部の被処理水Wを酸生成槽21に供給するものであり、酸生成槽21とメタン発酵槽22間の循環流路を形成するものである。また、循環配管L6は、メタン発酵槽22上部の被処理水Wをメタン発酵槽22下部に供給するものであり、メタン発酵槽22内における循環流路が形成されている。
本実施態様における発電部3は、循環配管L5及び循環配管L6により形成される循環流路上に設けられるものである。
図5に示すように、循環配管L5上に発電部3を設けるものについては、メタン発酵槽22からの処理水W1を第1のセル31aに供給し、電極33aにおける反応後の処理水W2は、循環配管L5を介して、酸生成槽21に供給される。このとき、電極33aにおける反応後の処理水W2は、式1や式2に示すように水素イオン濃度が上昇し、pHが酸性を示す溶液となる。一般に、酸生成槽21内の反応を好適に進行させるためには、酸生成槽21内のpHは酸性寄りにあることが好ましいことが知られている。したがって、発電部3から酸生成槽21に排出される被処理水Wは、酸生成槽21内の反応を好条件下で進行するためのpH調整剤として利用するものとしてもよい。また、酸生成槽21側の循環配管L5上に、バルブなどの流量調整機構や活性炭などの吸着処理手段を設けるものとしてもよい。これにより、発電部3から排出される処理水W2が酸生成槽21内に流入することで酸生成槽21内のpH範囲が適切な範囲から外れる場合、処理水W2の流入量を制御することや酸生成槽21内の被処理水WのpHを制御することができ、酸生成槽21内の反応に対する阻害を抑制することが可能となる。
また、図6に示すように、循環配管L6上に発電部3を設けるものについては、メタン発酵槽22上部からの処理水W1を第1のセル31aに供給し、電極33aにおける反応後の処理水W2は、循環配管L6を介して、メタン発酵槽22下部に供給される。このとき、電極33aにおける反応後の処理水W2は、式1や式2に示すように溶存する硫化水素の濃度が低下した溶液となる。メタン発酵槽22内のグラニュール層に含まれるメタン菌は、硫化水素により代謝を阻害されることが知られている。このため、発電部3からメタン発酵槽22下部に排出される処理水W2は、メタン発酵を阻害することなくメタン発酵槽22内を循環することができるという効果を奏する。
図6に示した本実施態様の排水処理装置1Bにおける脱気手段4として、薬剤添加手段4Aを用いる場合、薬剤を含んだ処理水W2をメタン発酵槽22に供給することで、メタン発酵槽22内のグラニュール層に含まれる菌の活性を低下させるおそれがある。したがって、処理水W2が導入される循環配管L6上に分岐配管及び流路切換機構を設け、分岐配管は反応槽5に接続させることが好ましい。これにより、菌の活性を低下させる薬剤を含んだ処理水W2については、分岐配管を介して反応槽5に導入し、メタン発酵槽22内の菌の活性が低下することを抑制することができる。なお、それ以外の脱気手段4による処理水W2は、メタン発酵槽22に導入し循環させることができるため、流路切替機構により、処理水W2の導入先を適宜切り換えることで、排水処理効率の低下を抑制することが可能となる。
なお、本実施態様の排水処理装置1Bにおいて、排出配管L7を介して排出された処理水W3は、河川などへの放流が可能な水質を満たすものであれば、そのまま放流することが可能である。また、排出配管L7の後段に、第1の実施態様に示した反応槽5を設けるものとしてもよい。これにより、反応槽5による処理を経ることで更に被処理水Wに対する処理効率を向上させ、排水処理装置1Bから被処理水Wを系外に放出することが可能となる。
また、本実施態様の排水処理装置1Bにおいては、第1の実施態様と同様の工程により発電を行うことが可能である。
以上のように、本実施態様における排水処理装置1B及び排水処理装置1Bを用いた排水処理方法は、処理槽2を酸生成槽21及びメタン発酵槽22とで構成することにより、それぞれの処理(酸生成処理及びメタン発酵)に適した条件下で排水処理を行うことができるため、排水処理効率をより向上させることができる。
また、本実施態様における排水処理装置1Bは、発電部3の設置箇所を処理槽2(酸生成槽21及びメタン発酵槽22)に設けられた循環流路上とすることにより、第1のセル31a側に供給された処理水W1を、反応後、もう一度処理槽2(酸生成槽21又はメタン発酵槽22)に供給することになる。したがって、被処理水Wが繰り返し処理されることになり、発電部3から排出される処理水W2に対しても排水処理を向上させることが可能となる。また、このとき発電部3から排出される処理水W2を処理槽2(酸生成槽21又はメタン発酵槽22)に再導入することで、処理槽2における反応を好条件下で進行させることを可能とするという効果も奏する。
〔第3の実施態様〕
図7は、本発明の第3の実施態様における排水処理装置を示す概略説明図である。
第3の実施態様に係る排水処理装置1Cは、図7に示すように、第1の実施態様に係る排水処理装置1Aにおいて、反応槽5を曝気槽51とし、曝気槽51と発電部の第2のセル31bに設けられた電子受容体供給口34aとを接続配管L8で接続するものである。なお、本実施態様における排水処理装置1Cにおける脱気手段4は、上述した脱気手段4を適宜選択することができる。また、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
本実施態様における排水処理装置1Cは、曝気槽51内の処理水W2を発電部3に供給して、発電部3における電子受容体として用いるものである。なお、接続配管L8により発電部3に供給されるもの以外の処理水W2については、処理水W3として系外へ排出する。
曝気槽51は、曝気装置52により、槽内に導入された処理水W2に対し、酸素を含む気体(酸素、空気など)の曝気を行い、好気性微生物による好気処理や溶存酸素による酸化反応を進行させるものである。
本実施態様における曝気槽51は、図7に示すように、発電部3の第1のセル31aから排出された処理水W2が導入され、導入された処理水W2に対して曝気を行うものに限定されない。曝気槽51の他の例としては、例えば、処理槽2から直接処理水W1を導入し、曝気を行うもの等が挙げられる。
曝気装置52は、酸素を含む気体を曝気槽51内の処理水W2に供給することができるものであればよく、特に限定されない。例えば、曝気処理において広く用いられているものとして、ブロワーと曝気管の組み合わせからなるもの等が挙げられる。
曝気槽51内には、曝気装置52により酸素を含む気体が導入されるため、曝気槽51内の処理水W2は、溶存酸素を含む液体となっている。したがって、接続配管L8を介して発電部3の第2のセル31b内に導入した処理水W2は、発電部3における電子受容体となる。これにより、排水処理装置1C内における処理工程で発生するものを有効活用した発電を行うことができる。
発電部3において電子受容体として用いられた後の処理水W3は、電子受容体排出口34bから排出される。このとき、排出された処理水W3は河川などへの放流が可能な水質を満たすものであれば、そのまま放流することが可能である。また、排出された処理水W3を曝気槽51に返送し、再度曝気処理を行うものとしてもよい。これにより、系外へ放流する処理水W3の水質制御をより確実に行うことが可能となる。
また、本実施態様の排水処理装置1Cにおいては、第1の実施態様と同様の工程により発電を行うことが可能である。
以上のように、本実施態様における排水処理装置1C及び排水処理装置1Cを用いた排水処理方法は、排水処理装置1C内で進行する処理工程で生じたものを、発電部3における電子供与体及び電子受容体として利用することができ、発電に係るランニングコストを低減させることが可能となる。
なお、上述した実施態様は、排水処理装置、電極及び排水処理方法の一例を示すものである。本発明に係る排水処理装置、電極及び排水処理方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る排水処理装置、電極及び排水処理方法を変形してもよい。
例えば、本実施態様における排水処理装置は、脱気手段として薬剤添加手段、電気的処理手段、減圧手段以外の別の態様を備えるものとしてもよい。脱気手段の別態様としては、例えば、処理水等の溶液内で電極33a及び電極33bに対して微細な振動を与えることによる脱気を行うものが挙げられる。より具体的には、発電部3内に配置された電極33a及び電極33bに対して超音波を照射することができるように超音波発生装置を配設すること等が挙げられる。これにより、電極33a及び電極33bに含まれる気体の細分化を行うとともに、電極33a、33b内の気体と、電極33a、33bの周囲に存在する液体との置換を促進することができ、電極の脱気を行うことが可能となる。超音波によって脱気を行う場合、電極の脱気効率を向上させるとともに、発電部3における電極反応に係る環境に対して与える影響を最小限とすることができる。
また、例えば、本実施態様における排水処理装置は、複数の発電部を備えるものとしてもよい。例えば、第1の実施態様に示した発電部と、第2の実施態様に示した発電部の両方を備えること等が挙げられる。これにより、排水処理装置内での被処理水Wの処理工程を有効活用した発電を複数箇所で行うことが可能となるとともに、排水処理効率と発電効率の両方を向上させることが可能となる。
また、例えば、本実施態様における排水処理装置の電極33a及び電極33bを、電極33a及び電極33bの表面が露出した状態で筐体内に配置し、発電部3から取り出し可能とした電極ユニットとして発電部3に設けるものとしてもよい。これにより、電極33a及び電極33bの脱気において、発電部3から取り出すことが容易となるとともに、各種脱気手段4により一括して脱気処理を行うことが容易となるため、脱気処理に係る作業コストの低減が可能となる。
また、例えば、本実施態様における排水処理装置は、発電部3として、処理槽2(メタン発酵槽22)内のセトラー23部分に電極33a及び電極33bを設けるものとしてもよい。なお、セトラー23近傍に電極33a及び電極33bを設けるものであってもよく、セトラー23そのものを電極33a及び電極33bとして利用するものであってもよい。これにより、発電部3が処理槽2内に組み込まれる形となるため、より一層の設備の小型化が可能となる。
また、例えば、本実施態様における排水処理装置は、電極33bを曝気槽51内に設け、曝気槽51が発電部3の第2のセル31bとして機能するものとしてもよい。これにより、発電部3と反応槽5(曝気槽51)を一体化し、より一層の設備の小型化が可能となる。
また、例えば、本実施態様における排水処理装置は、絶縁機構を設けるものとしてもよい。絶縁機構は、発電部3で反応する処理水W1以外の処理水(処理水W2)を絶縁することができるものであればよく、特に限定されない。
絶縁機構による絶縁手段としては、例えば、発電部3の電極33aと処理水W2との電気的な接触(液絡)の解消あるいは液絡時間の短縮が挙げられる。このような液絡解消手段又は液絡時間の短縮手段の例としては、処理水W2の流れを不連続(断続的)とする手段や、処理水W2に空気などの絶縁体を介在させる手段、あるいはこれらの手段を組み合わせるもの等が挙げられる。これにより、発電部3で生成した電子が電極33a及び電極33bの間以外に流れることを防ぎ、発電効率を向上させるものである。
なお、本実施態様における排水処理装置は、第1の実施態様に示したような排水処理装置を構成する構造物(処理槽や配管)に係る絶縁を併せて行うものとしてもよい。これにより、より一層の絶縁効果を得ることができ、発電部3における発電効率を向上させることが可能となる。
さらに、例えば、本実施態様における排水処理装置は、一部の構造を省略し、装置構成をより簡略化するものとしてもよい。
省略可能な構造としては、例えば、イオン交換体35が挙げられる。これにより、発電部3の簡略化が可能となるとともに、メンテナンス作業が容易となる。
また、省略可能な構造の他の例としては、第2のセル31bにおける電子受容体供給口34a及び電子受容体排出口34bが挙げられる。これにより、発電部3をより簡略化することが可能となる。このとき、電極33bの一面が処理水W1又はイオン交換体35に接触し、もう一方の面が全体的に外気(空気)に直接接触する構造とすること等が挙げられる。さらに、外気側の電極33b表面に交換又は洗浄容易な通気性素材を設けることが好ましい。これにより、塵などの固体不純物が電極33b表面に付着することを抑制することができる。
本発明の排水処理装置及び排水処理方法は、被処理水を処理する排水処理に利用される。特に、被処理水を処理することにより還元性物質が発生する排水処理において、好適に利用されるものである。
また、本発明の電極は、被処理水を処理する排水処理における一連の処理過程の中で発電を実施するための電極として好適に利用される。
1A,1B,1C 排水処理装置、2 処理槽、21 酸生成槽、22 メタン発酵槽、23 セトラー、24 pH調整手段、3 発電部、31a 第1のセル、31b 第2のセル、32a 処理水導入口、32b 処理水排出口、33a,33b 電極、34a 電子受容体供給口、34b 電子受容体排出口、35 イオン交換体、4 脱気手段、4A 薬剤添加手段、4B 電気的処理手段、4C 減圧手段、41a,41b 薬剤供給口、42 薬剤供給手段、43 電圧・電流制御装置、44a,44b,44c,44d 流量調節弁、45 減圧装置、5 反応槽、51 曝気槽、52 曝気装置、L1 導入配管、L2,L10 接続配管、L3,L7,L11 排出配管、L4,L8,L9 接続配管、L5,L6 循環配管、W 被処理水、W1,W2,W3 処理水

Claims (6)

  1. 被処理水に対する処理を行う排水処理装置であって、
    前記被処理水が処理された後の処理水と電極を接触させ、発電を行う発電部と、
    前記電極に含まれる気体を除去する脱気手段と、を備えることを特徴とする、排水処理装置。
  2. 前記脱気手段は、前記電極に対して薬剤を添加する薬剤添加手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の排水処理装置。
  3. 前記脱気手段は、前記電極に対して電圧印加を行う電気的処理手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の排水処理装置。
  4. 前記脱気手段は、前記電極に対して減圧処理を行う減圧手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の排水処理装置。
  5. 被処理水に対する処理を行う排水処理装置で処理された後の処理水と接触させる電極であって、
    脱気処理が行われていることを特徴とする、電極。
  6. 被処理水に対する処理を行う排水処理方法であって、
    前記被処理水が処理された後の処理水と電極を接触させ、発電を行う発電工程と、
    前記電極に含まれる気体を除去する脱気工程と、を備えることを特徴とする、排水処理方法。


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