JP2021107354A - 医薬製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤が無色透明容器に収容された眼科用医薬製品に関する技術を提供することである。【解決手段】ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤を、無色透明ポリエチレン製容器に収容してなる、医薬製品。【選択図】なし

Description

本発明は、ブリモニジン及び/又はその塩を含有する水性液剤が無色透明容器に収容されてなり、光暴露によってブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物が生じるのを抑制できる医薬製品に関する。
ブリモニジン及びその塩は、アドレナリンα2受容体作動薬として知られており、眼房水産生抑制と共にぶどう膜強膜流出路を介した眼房水の流出を促進することによって、眼圧を低下させる作用があり、従来、緑内障や高眼圧症の治療に使用されている。
従来、ブリモニジン及び/又はその塩と、チモロール及び/又はその塩を併用した製剤について、製剤安定性に着目した製剤化技術についても検討されている。例えば、特許文献1には、約1〜4.5mMのブリモニジン及び約2〜16mMのチモロールを含有し、pHが約7〜8.5である組成物は、分解生成物の生成を抑制でき、安定性が向上していることが開示されている。また、特許文献2には、ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼剤を、波長360〜460nmの光の最大透過率が67%以下であり、且つ波長600〜680nmの光の最大透過率が78%以下である透明収容体に収容することにより、ブリモニジン及び/又はその塩の光暴露による分解を抑制でき、製剤安定性を確保できることが開示されている。
特表2009−533462号公報 国際公開第2017/099207号
本発明の目的は、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤が無色透明容器に収容された眼科用医薬製品に関する技術を提供することである。
本発明者は、ブリモニジン及び/又はその塩と、金属塩化物とを含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容すると、光暴露によってもブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制できることを見出した。
また、本発明者は、ブリモニジン及び/又はその塩と、ホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容すると、光暴露によってもブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制できることを見出した。
更に、本発明者は、ブリモニジン及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩と、トロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容すると、光暴露によってもブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制できることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、一実施態様として以下に掲げる発明を提供する。
項1-1. ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品。
項1-2. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項1-1に記載の医薬製品。
項1-3. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項1-1又は1-2に記載の医薬製品。
項1-4. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1-1〜1-3のいずれかに記載の医薬製品。
項1-5. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項1-1〜1-4のいずれかに記載の医薬製品。
項1-6. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項1-1〜1-5のいずれかに記載の医薬製品。
項1-7. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項1-1〜1-6のいずれかに記載の医薬製品。
項1-8. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度0.001〜0.2w/v%である、項1-6に記載の医薬製品。
項1-9. 前記水性液剤が、ホウ酸及び/又はその塩を含む、項1-1〜1-8のいずれかに記載の医薬製品。
項1-10. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項1-9に記載の医薬製品。
項1-11. 前記ホウ酸及び/又はその塩の濃度が、ホウ素濃度換算で10〜1000mMである、項1-9又は1-10に記載の医薬製品。
項1-12. 前記水性液剤が、トロメタモール及び/又はその塩を含む、項1-1〜1-11のいずれかに記載の医薬製品。
項1-13. 前記トロメタモール及び/又はその塩が、トロメタモールである、項1-12に記載の医薬製品。
項1-14. 前記トロメタモール及び/又はその塩の濃度が、0.01〜3w/v%である、項1-12又は1-13に記載の医薬製品。
項1-15. 前記水性液剤が、点眼剤である、項1-1〜1-14のいずれかに記載の医薬製品。
項1-16. 前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、又は彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上である、項1-1〜1-15のいずれかに記載の医薬製品。
項1-17. 前記ポリエチレン製容器の波長400nmの光の透過率が10%以上である、項1-1〜1-16のいずれかに記載の医薬製品。
項1-18. 前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器である、項1-1〜1-17のいずれかに記載の医薬製品。
項1-19. 緑内障の治療のために使用される、項1-1〜1-18のいずれかに記載の医薬製品。
項1-20. ブリモニジン酒石酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、並びにホウ酸及び/又はホウ砂を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品であって、
前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.2w/v%であり、
前記塩化ナトリウムの濃度が0.5〜0.6w/v%、前記塩化カリウムの濃度が0.1〜0.2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度が0.01〜0.02w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度が0.01〜0.02w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が、ホウ素濃度換算で30〜60mMであり、
前記水性液剤が、点眼剤であり、
医薬製品に対して25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射した後に、明細書に記載の測定条件で検出される水性液剤中の主分解生成物(RRT=1.5)量が1.0%以下であり、
前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器であり、
前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、且つ彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が40%以上である、
医薬製品。
項1-21. 前記水性液剤が、トロメタモールを含み、トロメタモールの濃度が0.01〜3w/v%である、項1-20に記載の医薬製品。
項1-22. ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品の製造方法であって、
ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤を調製する工程と、
前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容して医薬製品を調製する工程と、
前記医薬製品の出荷前に、前記容器に収容された前記水性液剤の性状(色調)を確認する工程と、
を含む製造方法。
別の実施態様として、本発明は下記に掲げる発明を提供する。
項2-1. ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、
ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、前記方法。
項2-2. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項2-1に記載の方法。
項2-3. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項2-1又は2-2に記載の方法。
項2-4. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、項2-1〜2-3のいずれかに記載の方法。
項2-5. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項2-1〜2-4のいずれかに記載の方法。
項2-6. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項2-1〜2-5のいずれかに記載の方法。
項2-7. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項2-1〜2-6のいずれかに記載の方法。
項2-8. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度0.001〜0.2w/v%である、項2-6に記載の方法。
項2-9. 前記水性液剤が、ホウ酸及び/又はその塩を含む、項2-1〜2-8のいずれかに記載の方法。
項2-10. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項2-9に記載の方法。
項2-11. 前記ホウ酸及び/又はその塩の濃度が、ホウ素濃度換算で10〜1000mMである、項2-9又は2-10に記載の方法。
項2-12. 前記水性液剤が、トロメタモール及び/又はその塩を含む、項2-1〜2-11のいずれかに記載の方法。
項2-13. 前記トロメタモール及び/又はその塩が、トロメタモールである、項2-12に記載の方法。
項2-14. 前記トロメタモール及び/又はその塩の濃度が、0.01〜3w/v%である、項2-12又は2-13に記載の方法。
項2-15. 前記水性液剤が、点眼剤である、項2-1〜2-14のいずれかに記載の方法。
項2-16. 前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、又は彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上である、項2-1〜2-15のいずれかに記載の方法。
項2-17. 前記ポリエチレン製容器の波長400nmの光の透過率が10%以上である、項2-1〜2-16のいずれかに記載の方法。
項2-18. 前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器である、項2-1〜2-17のいずれかに記載の方法。
項2-19. 前記水性液剤が緑内障の治療のために使用される、項2-1〜2-18のいずれかに記載の方法。
別の実施態様として、本発明は下記に掲げる発明を提供する。
項3-1. ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる医薬製品。
項3-2. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項3-1に記載の医薬製品。
項3-3. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項3-1又は3-2に記載の医薬製品。
項3-4. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項3-1〜3-3のいずれかに記載の医薬製品。
項3-5. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、項3-1〜3-4のいずれかに記載の医薬製品。
項3-6. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、項3-5に記載の医薬製品。
項3-7. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項3-5又は3-6に記載の医薬製品。
項3-8. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項3-5〜3-7のいずれかに記載の医薬製品。
項3-9. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項項3-5〜3-8のいずれかに記載の医薬製品。
項3-10. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度0.001〜0.2w/v%である、項3-8に記載の医薬製品。
項3-11. 前記水性液剤が、トロメタモール及び/又はその塩を含む、項3-1〜3-10のいずれかに記載の医薬製品。
項3-12. 前記トロメタモール及び/又はその塩が、トロメタモールである、項3-11に記載の医薬製品。
項3-13. 前記トロメタモール及び/又はその塩の濃度が、0.01〜3w/v%である、項3-11又は3-12に記載の医薬製品。
項3-14. 前記水性液剤が、点眼剤である、項3-1〜3-13のいずれかに記載の医薬製品。
項3-15. 前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、又は彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上である、項3-1〜3-14のいずれかに記載の医薬製品。
項3-16. 前記ポリエチレン製容器の波長400nmの光の透過率が10%以上である、項3-1〜3-15のいずれかに記載の医薬製品。
項3-17. 前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器である、項3-1〜3-16のいずれかに記載の医薬製品。
項3-18. 前記水性液剤が緑内障の治療のために使用される、項3-1〜3-17のいずれかに記載の医薬製品。
項3-19. ブリモニジン酒石酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、並びにホウ酸及び/又はホウ砂を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品であって、
前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.2w/v%であり、
前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が、ホウ素濃度換算で70mM以上であり、
前記水性液剤が、点眼剤であり、
医薬製品に対して25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射した後に、明細書に記載の測定条件で検出される水性液剤中の主分解生成物(RRT=1.5)量が1.0%以下であり、
前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器である、医薬製品。
項3-20. 前記水性液剤が、トロメタモールを含み、トロメタモールの濃度が0.01〜3w/v%である、項3-19に記載の医薬製品。
項3-21. ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品の製造方法であって、
ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤を調製する工程と、
前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容して医薬製品を調製する工程と、
前記医薬製品の出荷前に、前記容器に収容された前記水性液剤の性状(色調)を確認する工程と、
を含む製造方法。
別の実施態様として、本発明は下記に掲げる発明を提供する。
項4-1. ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、
ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、前記方法。
項4-2. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項4-1に記載の方法。
項4-3. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項4-1又は4-2に記載の方法。
項4-4. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項4-1〜4-3のいずれかに記載の方法。
項4-5. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、項4-1〜4-4のいずれかに記載の方法。
項4-6. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、項4-5に記載の方法。
項4-7. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項4-5又は4-6に記載の方法。
項4-8. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項4-5〜4-7のいずれかに記載の方法。
項4-9. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項項4-5〜4-8のいずれかに記載の方法。
項4-10. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度0.001〜0.2w/v%である、項4-8に記載の方法。
項4-11. 前記水性液剤が、トロメタモール及び/又はその塩を含む、項4-1〜4-10のいずれかに記載の方法。
項4-12. 前記トロメタモール及び/又はその塩が、トロメタモールである、項4-11に記載の方法。
項4-13. 前記トロメタモール及び/又はその塩の濃度が、0.01〜3w/v%である、項4-11又は4-12に記載の方法。
項4-14. 前記水性液剤が、点眼剤である、項4-1〜4-13のいずれかに記載の方法。
項4-15. 前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上である、項4-1〜4-14のいずれかに記載の方法。
項4-16. 前記ポリエチレン製容器の波長400nmの光の透過率が10%以上である、項4-1〜4-15のいずれかに記載の方法。
項4-17. 前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器である、項4-1〜4-16のいずれかに記載の方法。
項4-18. 前記水性液剤が緑内障の治療のために使用される、項4-1〜4-17のいずれかに記載の方法。
別の実施態様として、本発明は下記に掲げる発明を提供する。
項5-1. ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる医薬製品。
項5-2. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項5-1に記載の医薬製品。
項5-3. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項5-1又は5-2に記載の医薬製品。
項5-4. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項5-1〜5-3のいずれかに記載の医薬製品。
項5-5. 前記ホウ酸及び/又はその塩の濃度が、ホウ素濃度換算で10〜1000mMである、項5-1〜5-4のいずれかに記載の医薬製品。
項5-6. 前記トロメタモール及び/又はその塩が、トロメタモールである、項5-1〜5-5のいずれかに記載の医薬製品。
項5-7. 前記トロメタモール及び/又はその塩の濃度が、0.01〜3w/v%である、項5-1〜5-6のいずれかに記載の医薬製品。
項5-8. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、項5-1〜5-7のいずれかに記載の医薬製品。
項5-9. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、項5-8に記載の医薬製品。
項5-10. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項5-8又は5-9に記載の医薬製品。
項5-11. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項5-8〜5-10のいずれかに記載の医薬製品。
項5-12. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項5-8〜5-11のいずれかに記載の医薬製品。
項5-13. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度0.001〜0.2w/v%である、項5-11に記載の医薬製品。
項5-14. 前記水性液剤が、点眼剤である、項5-1〜5-13のいずれかに記載の医薬製品。
項5-15. 前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上である、項5-1〜5-14のいずれかに記載の医薬製品。
項5-16. 前記ポリエチレン製容器の波長400nmの光の透過率が10%以上である、項5-1〜5-15のいずれかに記載の医薬製品。
項5-17. 前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器である、項5-1〜5-16のいずれかに記載の医薬製品。
項5-18. 前記水性液剤が緑内障の治療のために使用される、項5-1〜5-17のいずれかに記載の医薬製品。
項5-19. ブリモニジン酒石酸塩、ホウ酸及び/又はホウ砂、並びにトロメタモールを含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品であって、
前記ブリモニジン酒石酸塩の濃度が、0.05〜0.2w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が、ホウ素濃度換算で10〜1000mMであり、
前記トロメタモールの濃度が0.01〜3w/v%であり、
前記水性液剤が、点眼剤であり、
医薬製品に対して25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射した後に、明細書に記載の測定条件で検出される水性液剤中の主分解生成物(RRT=1.5)量が1.0%以下であり、
前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器であり、
前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、且つ彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が40%以上である、
医薬製品。
項5-20. 前記水性液剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムを含み、
前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%である、項5-19に記載の医薬製品。
項5-21. ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品の製造方法であって、
ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤を調製する工程と、
前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容して医薬製品を調製する工程と、
前記医薬製品の出荷前に、前記容器に収容された前記水性液剤の性状(色調)を確認する工程と、
を含む製造方法。
別の実施態様として、本発明は下記に掲げる発明を提供する。
項6-1. ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、
ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、前記方法。
項6-2. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項6-1に記載の方法。
項6-3. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項6-1又は6-2に記載の方法。
項6-4. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項6-1〜6-3のいずれかに記載の方法。
項6-5. 前記ホウ酸及び/又はその塩の濃度が、ホウ素濃度換算で10〜1000mMである、項6-1〜6-4のいずれかに記載の方法。
項6-6. 前記トロメタモール及び/又はその塩が、トロメタモールである、項6-1〜6-5のいずれかに記載の方法。
項6-7. 前記トロメタモール及び/又はその塩の濃度が、0.01〜3w/v%である、項6-1〜6-6のいずれかに記載の方法。
項6-8. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、項6-1〜6-7のいずれかに記載の方法。
項6-9. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、項6-8に記載の方法。
項6-10. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項6-8又は6-9に記載の方法。
項6-11. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項6-8〜6-10のいずれかに記載の方法。
項6-12. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項6-8〜6-11のいずれかに記載の方法。
項6-13. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度0.001〜0.2w/v%である、項6-11に記載の方法。
項6-14. 前記水性液剤が、点眼剤である、項6-1〜6-13のいずれかに記載の方法。
項6-15. 前記ポリエチレン製容器の明度が70以上、彩度が20以下、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上である、項6-1〜6-14のいずれかに記載の方法。
項6-16. 前記ポリエチレン製容器の波長400nmの光の透過率が10%以上である、項6-1〜6-15のいずれかに記載の方法。
項6-17. 前記ポリエチレン製容器が、マルチドーズ型容器である、項6-1〜6-16のいずれかに記載の方法。
項6-18. 前記水性液剤が緑内障の治療のために使用される、項6-1〜6-17のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤を無色透明の容器に収容しても、光暴露によってもブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制でき、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を安定に維持させることができる。更に、本発明によれば、前記水性液剤を内部視性が高い無色透明容器に収容しているので、不溶性異物試験を簡易に行うことができ品質管理が容易化されると共に、水性液剤の残存量を収容体外部から容易に視認でき、使用者の利便性を高めることもできる。
試験例1〜4で使用した容器の各波長における光の透過率を測定した結果を示す図である。
1.定義
本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語及び科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
本明細書において、「水性液剤」とは、水を基剤として含み液状を呈する製剤である。
本明細書において、「ブリモニジン」とは、アドレナリンα2受容体作動薬として公知の化合物であり、5−ブロモ−N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)キノキサリン−6−アミンを指す。また、本明細書において、ブリモニジン及び/又はその塩の濃度は、特に明記しない限り、ブリモニジン酒石酸塩に換算された濃度である。
本明細書において、「ホウ酸」とは、ホウ素のオキソ酸である。
本明細書において、「金属塩化物」とは、金属イオンと塩化物イオンがイオン結合した化合物のことを指す。
本明細書において、「トロメタモール」とは、トリスヒドロキシメチルアミノメタンであり、トリス(Tris)と略称されていることもある化合物である。
本明細書において、「水性液剤の浸透圧」は、第十七改正日本薬局方の「一般試験法」の「30.浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)」に規定されている方法に従って測定される値である。
本明細書において、「水性液剤の浸透圧比」とは、生理食塩水(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)の浸透圧に対する、水性液剤の浸透圧の比率を指す。
本明細書において、「無色透明」とは、色がついておらず、不溶性異物検査法の試験に支障をきたさず内部が視認できる程度に透明性であることを指す。
本明細書において、「ポリエチレン製容器」とは、水性液剤を収容する容器であって、少なくとも、収容した水性液剤と接触する内壁がポリエチレンで構成されている容器である。「ポリエチレン製容器」は、収容した水性液剤と接触する内壁がポリエチレンで形成されていることを限度として、その他の部材がポリエチレン以外の素材で形成されていてもよい。
本明細書において、「マルチドーズ型容器」とは、複数回分の使用量の水性液剤が充填され、繰返し使用される容器を指す。
本明細書において、「ユニットドーズ型容器」とは、単回分の使用量の水性液剤が充填され、1回の点眼で使い終わる容器を指す。
本明細書において、「医薬製品」とは、水性液剤が容器に収容されている状態にある製品を指す。
本明細書において、「光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制」等の表記は、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤が光暴露によってブリモニジン及及び/又はその塩の分解生成物が生じるのを抑制し、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を安定に維持させることを指す。光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合いは、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤を収容した容器に対して、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射し、60万lx・hの光を暴露した後に、光暴露後の水性液剤を下記条件でHPLCに供し、保持時間1.5分の時点で認められるピークに該当する主分解生成物(RRT=1.5)量から確認できる。
<HPLCの条件>
・試料溶液の作製
水性液剤を2.5mL正確に量り、精製水を加えて正確に50mLとし、試料溶液とする。
・標準溶液の作製
ブリモニジン酒石酸塩標準品を50mg精密に量り、精製水を加えて正確に50mLとする。その液を5mL正確に量り、精製水を加えて正確に100mLとし、標準溶液とする。
・液体クロマトグラフィーによる測定
試料溶液及び標準溶液25μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィー(島津製作所製 高速液体クロマトグラフ:Prominence)により測定を行い、それぞれの試料溶液における分解生成物のピーク面積、及び標準溶液のブリモニジン酒石酸塩のピーク面積を自動積分法により求める。
<測定条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:264nm)
カラム:Symmetry C18, 4.6 mm I.D.×75mm, 3.5μm, Waters社製
カラム温度:25℃
移動相:リン酸二水素カリウム2.3g及び1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム47.5mgを水830mLに溶かし、リン酸を用いてpH3.0とする。この液にアセトニトリル84mL及びメタノール84mLを混ぜ、水を加えて1Lとし、移動相とした。
洗浄液:アセトニトリル/水(容積比:1/1)の混液
流量:1.0mL/min
面積測定範囲:20分
<算出式>
以下の式に従って、主分解生成物(RRT=1.5)量(対表示率%)を算出する。
Figure 2021107354
本明細書において、「光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法」とは、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤が光暴露によってブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物が生じるのを抑制し、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を安定に維持させるために行われる方法を指す。
本明細書において、「緑内障」とは、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善若しくは抑制し得る眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患を意味する。また、「治療」とは、疾患又は症状の軽減、緩和若しくは進行速度の低下を意味する。
2.好ましい実施形態の説明
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。これらの実施形態について、当業者は適宜、任意の実施形態を組み合わせ得る。
3.医薬製品(1)
一般に、光に不安定な成分を含む製剤の安定性を確保するために、金属製容器や不透明容器等の光をほぼ遮断できる遮光性容器等の収容体に収容する手法がとられている。しかしながら、日本においては、点眼剤の収容には、点眼剤の不溶性異物検査法の試験に支障をきたさない透明性のある気密容器を使用する必要がある(第十六改正日本薬局方解説書 A−108参照、東京廣川書店)。このため、ブリモニジン及び/又はその塩を含む点眼剤を収容する容器として、不溶性異物検査に影響を及ぼすような遮光性容器を使用することには制限がある。また、褐色等の有色透明容器を用いた場合、ある程度の光を遮断することが可能となるが、内部視認性が低下するうえに、不溶性異物の異物自体の色によって、不溶性異物の検出や発見が困難となる場合がある。また、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤は黄色を帯びた水溶液であるため、何らかの品質に異常(例えば、含量低下)が生じた場合には、色の変化で検出が可能であるが、有色容器ではこの確認が困難となり得る。更に、懸濁性の水溶液やエマルションの場合よりも水溶液の場合の方が、内容物中の異物が目立つため、品質管理上において容器内部の視認性がより一層重要となる。マルチドーズ型容器に収容される点眼剤では、使用者が残存する液量を容易に視認できるように、無色透明容器を使用することが最も好ましいが、ブリモニジン及び/又はその塩を含む点眼剤を無色透明のマルチドーズ型容器に収容すると、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解が生じる。
このようなブリモニジン及び/又はその塩の含量の低下は、ブリモニジン及び/又はその塩の薬効を減弱させることになる。そのため、ブリモニジン及び/又はその塩を含む点眼剤を無色透明容器に収容しても、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の含量の低下を抑制でき、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を安定に維持させる技術の開発が求められている。
特許文献2には、ブリモニジン及び/又はその塩、並びにブリンゾラミド及び/又はその塩を含む点眼剤を、波長360〜460nm及び600〜680nmの光の最大透過率が所定の範囲にある透明収容体に収容することにより、ブリモニジン及び/又はその塩の光暴露による分解を抑制できることが開示されている。また、ブリモニジン酒石酸塩を含む点眼剤は、医薬品として上市されており、着色(緑色)されたポリエチレン製容器が採用されている。しかしながら、従来、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤の組成と無色透明容器の素材との組み合わせが、ブリモニジン及び/又はその塩の光安定性に及ぼす影響については報告されていない。
点眼剤は眼粘膜に直接投与されるため、高い安全性を確保することが必要であり、保存による分解生成物の生成を抑制することが必要になる。特に、医療用の医薬品の開発において、所定条件の保存によって生成する分解生成物の濃度が一定量を超える場合には、当該分解生成物の構造を特定し、安全性に関する報告を行うことが義務づけられており(医薬審発第0624001号「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改定について」)、点眼剤の開発にあたっては、通常、分解生成物の濃度が1.0%を超える場合にこの義務が生じる。このことから、点眼剤の製剤化において、保存によって生じる分解生成物の生成を十分に抑制する必要がある。
そこで、本発明の一実施形態では、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤を透明容器に収容した医薬製品において、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明者は、ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容することにより、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制でき、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を安定に維持できることを見出した。即ち、1つの実施形態として、本発明は、ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる医薬製品を提供する。以下、当該実施形態の医薬製品を第1実施形態と表記する。第1実施形態の医薬製品について以下詳述する。
[水性液剤]
・ブリモニジン及び/又はその塩
第1実施形態で使用される水性液剤は、ブリモニジン及び/又はその塩を含有する。第1実施形態で使用されるブリモニジンの塩としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、有機酸塩又は無機酸塩が挙げられる。有機酸塩として、例えば酒石酸塩又は酢酸塩等が挙げられる。無機酸塩として、例えば塩酸塩等が挙げられる。また、ブリモニジン又はその塩は、水和物等の溶媒和物の形態であってもよい。ブリモニジン又はその塩の中でも、ブリモニジン酒石酸塩は、医薬品として上市されており安全性が確立されているため、好適に使用される。
第1実施形態で使用される水性液剤において、ブリモニジン又はその塩のいずれか一方を単独で使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。
第1実施形態で使用される水性液剤におけるブリモニジン及び/又はその塩の濃度としては、例えば0.05〜0.5w/v%、好ましくは0.1〜0.2w/v%、より好ましくは0.1w/v%が挙げられる。本明細書において、ブリモニジン及び/又はその塩の濃度は、特に明記しない限り、ブリモニジン酒石酸塩に換算された濃度である。
・金属塩化物
第1実施形態で使用される水性液剤は、金属塩化物を含有する。金属塩化物は、無色透明のポリエチレン製容器に収容した状態で、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成抑制に寄与する。
第1実施形態で使用される金属塩化物としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物;塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属の塩化物;塩化亜鉛、塩化鉄等が挙げられる。これらの金属塩化物は、水和物の形態であってもよい。これらの金属塩化物の中でも、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムが挙げられる。
これらの金属塩化物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1実施形態で使用される水性液剤の好適な一態様として、金属塩化物として、少なくとも塩化ナトリウムを含むことが挙げられる。
また、第1実施形態で使用される水性液剤の他の好適な一態様として、金属塩化物として、アルカリ金属の塩化物とアルカリ土類金属の塩化物とを組み合わせて使用することが挙げられ、より好適な一態様として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムを組み合わせて使用することが挙げられる。
第1実施形態で使用される水性液剤における金属塩化物の濃度としては、例えば、金属塩化物の総量で0.01〜2w/v%、好ましくは0.05〜1w/v%、より好ましくは0.1〜0.9w/v%が挙げられる。
より具体的には、第1実施形態で使用される水性液剤において、金属塩化物として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムを組み合わせて使用する場合であれば、例えば、塩化ナトリウムが0.01〜2w/v%、好ましくは0.05〜1w/v%、より好ましくは0.1〜0.6w/v%、特に好ましくは0.5〜0.6w/v%;塩化カリウムが0.01〜2w/v%、好ましくは0.05〜1w/v%、より好ましくは0.1〜0.5w/v%、特に好ましくは0.1〜0.2w/v%;塩化マグネシウムが0.001〜0.2w/v%、好ましくは0.005〜0.051w/v%、より好ましくは0.01〜0.02w/v%;且つ塩化カルシウムが0.001〜0.2w/v%、好ましくは0.005〜0.05w/v%、より好ましくは0.01〜0.02w/v%が挙げられる。
・ホウ酸及び/又はその塩
第1実施形態で使用される水性液剤の一態様では、ホウ酸及び/又はその塩を含有する。金属塩化物に加えて、更にホウ酸及び/又はその塩を含有することにより、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果を更に向上させることができる。
第1実施形態で使用されるホウ酸としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、テトラホウ酸等が挙げられる。これらのホウ酸の中でも、好ましくはオルトホウ酸及びテトラホウ酸が挙げられる。これらのホウ酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1実施形態で使用されるホウ酸の塩としては、薬学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、ホウ砂、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン等の有機アミン塩等が挙げられる。ホウ酸の塩は、ホウ砂等のように、水和物の形態であってもよい。これらのホウ酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ホウ酸及びその塩の中から、1種を選択して単独で使用してもよく、これらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。ホウ酸及びその塩の中でも、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはホウ酸及びホウ砂の少なくとも1種、更に好ましくはオルトホウ酸及びホウ砂の少なくとも1種が挙げられる。
また、第1実施形態で使用されるホウ酸及び/又はその塩の好適な一態様として、ホウ酸とホウ砂との組み合わせが挙げられる。このようにホウ酸とホウ砂を組み合わせて使用することによって、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果を向上させつつ、適度な緩衝作用を具備させることが可能になる。ホウ酸とホウ砂の比率については、特に制限されないが、例えば、ホウ酸100質量部当たり、ホウ砂が10〜300質量部、好ましく10〜250質量部、より好ましくは30〜100質量部、特に好ましくは40〜60質量部が挙げられる。
第1実施形態で使用される水性液剤におけるホウ酸及び/又はその塩の濃度は、特に制限されないが、例えば、ホウ素濃度換算で、10〜1000mMが挙げられる光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させるという観点から、ホウ酸及び/又はその塩の濃度は、ホウ素濃度換算で、好ましくは20〜400mM、より好ましくは30〜120mM、特に好ましくは40〜100mM、更に好ましくは30〜60mMが挙げられる。本明細書において、「ホウ酸に換算された濃度」とは、ホウ酸及び/又はその塩の濃度を、ホウ酸及び/又はその塩に由来するホウ素原子の濃度に換算した値であり、例えば、1w/v%のホウ酸はホウ素濃度換算で162mMに相当し、1w/v%のホウ砂はホウ素濃度換算で105mMに相当する。
・トロメタモール及び/又はその塩
第1実施形態で使用される水性液剤の一態様では、トロメタモール及び/又はその塩を含有する。第1実施形態で使用される水性液剤において、ホウ酸及び/又はその塩と共にトロメタモール及び/又はその塩を含有する場合には、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果より一層向上させることができる。
トロメタモールの塩としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、酢酸塩等の有機酸塩;塩酸塩、スルホン酸塩等の無機酸塩が挙げられる。
トロメタモール及びその塩の中から、1種を選択して単独で使用してもよく、これらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。トロメタモール及びその塩の中でも、好ましくはトロメタモールが挙げられる。
本発明で使用される水性液剤におけるトロメタモール及び/又はその塩の濃度は、特に制限されないが、例えば、0.01〜3w/v%、好ましくは0.05〜2w/v%、より好ましくは0.1〜1w/v%が挙げられる。本明細書において、「トロメタモール及び/又はその塩の濃度」は、トロメタモールの塩の場合にはトロメタモールに換算された値である。
・その他の添加剤
1つの態様において、第1実施形態で使用される水性液剤は、必要に応じて、等張化剤(金属塩化物以外)、多価アルコール、界面活性剤、粘稠剤、キレート剤、緩衝剤(ホウ酸、トロメタモール、及びそれらの塩以外)、防腐剤又は保存剤、清涼化剤、安定化剤、pH調整剤等の添加剤を含有してもよい。
等張化剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の金属塩等が挙げられる。これらの等張化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
多価アルコールとしては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、チロキサポール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オクトキシノール等の非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤;アルキル硫酸塩、N−アシルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤;アルキルピリジニウム塩、アルキルアミン塩等の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粘稠剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の水溶性高分子;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類等が挙げられる。これらの粘稠剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
キレート剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、エデト酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、及びこれら塩等が挙げられる。塩の形態としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらのキレート剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
緩衝剤(ホウ酸、トロメタモール、及びそれらの塩以外)としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、アミノ酸緩衝剤等が挙げられる。これらの緩衝剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
防腐剤又は保存剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ソルビン酸又はその塩、安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン酢酸塩、デヒドロ酢酸又はその塩、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化亜鉛、パラクロルメタキシレノール、クロルクレゾール、フェネチルアルコール、塩化ポリドロニウム、チメロサール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。これらの防腐剤又は保存剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
清涼化剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、l−メントール、ボルネオール、カンフル、ユーカリ油等が挙げられる。これらの清涼化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
安定化剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、亜硫酸塩、モノエタノールアミン、シクロデキストリン、デキストラン、アスコルビン酸、タウリン、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。これらの安定化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
pH調整剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、塩酸、酢酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリが挙げられる。これらのpH調整剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの添加剤の濃度は、使用する添加剤の種類や水性液剤に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。
・その他の薬理成分
1つの態様において、第1実施形態で使用される水性液剤は、必要に応じて、ブリモニジン及び/又はその塩以外の薬理成分が含まれていてもよい。このような薬理成分としては、例えば、タフルプロスト、ラタノプロスト、イソプロピルウノプロストン等のプロスタグランジン類;ピロカルピン塩酸塩等の副交感神経刺激薬;ジスチグミン臭化物等の抗コリンエステラーゼ薬;ジピベフリン塩酸塩等の交感神経刺激薬;ベタキソロール塩酸塩等のβ1遮断薬;チモロールマレイン酸塩等のβ遮断薬;ニプラジロール、レボブノロール塩酸塩等のα1・β遮断薬;ブナゾシン塩酸塩等のα1遮断薬等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの薬理成分の濃度は、使用する薬理成分の種類や付与すべき薬効等に応じて適宜設定すればよい。
また、他の態様において、第1実施形態で使用される水性液剤は、緑内障に対する直接的な有効成分としてブリモニジン及び/又はその塩を含み、実質的に他の有効成分を含まない態様が挙げられる。
・pH
第1実施形態で使用される水性液剤のpHについては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えばpH5.0〜9.0が挙げられる。第1実施形態で使用される水性液剤が、点眼剤、洗眼液等の眼科用組成物の場合であれば、眼粘膜に適用可能である眼への刺激をより緩和するという観点から、pHとして、好ましくは5.0〜9.0、より好ましくは6.0〜8.0、更に好ましくは6.5〜7.5が挙げられる。
・浸透圧/浸透圧比
第1実施形態で使用される水性液剤の浸透圧については、目的とする用途に適用可能であることを限度として特に制限されない。本発明に使用される水性液剤が、点眼剤、洗眼液等の眼科用組成物である場合であれば、浸透圧として250〜350mOsm/kgが挙げられる。
また、第1実施形態で使用される水性液剤の浸透圧比については、目的とする用途に適用可能であることを限度として特に制限されない。例えば、第1実施形態で使用される水性液剤が、点眼剤、洗眼液等の眼科用組成物の場合であれば、浸透圧比として、0.85〜1.15が挙げられる。眼の刺激を緩和するという観点から好ましくは0.9〜1.1、より好ましくは1.0が挙げられる。
・製剤形態
第1実施形態で使用される水性液剤の製剤形態については、特に制限されず、水溶液状、懸濁液状、乳液状等のいずれであってもよいが、好ましくは水溶液状が挙げられる。
第1実施形態で使用される水性液剤は、例えば、眼科用、歯科用、耳鼻科用、皮膚科用等の様々な用途の医薬組成物に調製され、局所投与製剤として使用される。第1実施形態で使用される水性液剤の一態様として、眼科用、歯科用、耳鼻科用、又は皮膚科用の組成物が挙げられ、好ましくは眼科用水性液剤が挙げられる。
眼科用水性液剤としては、具体的には、点眼剤、洗眼液、コンタクトレンズ用剤、注射剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは点眼剤が挙げられる。
・用途/用量/用法
第1実施形態で使用される水性液剤に含まれるブリモニジン及び/又はその塩は、眼房水の産生を抑制して、眼圧を低下させる効果を奏し得るので、第1実施形態で使用される水性液剤の一態様では、点眼剤として提供され、緑内障の治療用途に好適に使用できる。
第1実施形態で使用される水性液剤を点眼剤として使用する場合、1回数滴を、1日1回又は複数回点眼すればよい。また、第1実施形態で使用される水性液剤の一態様では1回1滴を1日2回点眼される。
・製造方法
第1実施形態で使用される水性液剤は、その用途に応じて、公知の調製法に従って製造すればよく、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則に記載された方法を用いて製造することができる。
具体的には、1つの態様では、第1実施形態で使用される水性液剤の製造方法は、ブリモニジン及び/又はその塩と、金属塩化物と、その他の成分とを、薬学上許容される水性媒体に配合する工程を含む。「薬学上許容される水性媒体」は、薬学的に許容される水性媒体を意味し、例えば、精製水が挙げられる。また、配合工程において、各成分の配合順については、特に制限されず、任意の順番で順次配合してもよく、また同時に配合してもよい。また、配合工程の後に、必要に応じて、フィルター滅菌、ろ過滅菌、乾熱滅菌、電子線滅菌、ガンマ線滅菌等の滅菌処理工程を行ってもよい。
[無色透明のポリエチレン製容器]
第1実施形態の医薬製品は、前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容されている。無色透明の容器は、内部視認性に優れ、不溶性異物検査法や残存する液量の確認を容易にする反面、光暴露によりブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を生じさせ易くなるが、第1実施形態では、前述する組成の水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器を収容することによって、優れた内部視認性と、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果とを両立させることが可能になっている。
第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器は、色がついておらず、不溶性異物検査法の試験に支障をきたさず内部が視認できる程度の透明性があればよい。具体的には、明度が70以上及び/又は彩度が25以下であり、且つ波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上であることが挙げられる。ここで、「明度」はCIELAB表示系におけるL*値であり、「彩度」はCIELAB表示系におけるa*値及びb*値から、式:((a*値)2+(b*値)21/2に従って求められる値である。また、波長400〜800nmの領域における光の最大透過率は、波長400nmから波長800nmまで、波長幅5nmの間隔で光の透過率を紫外可視分光光度計にて測定し、測定された各透過率の値の内、最大値を求めることにより得られる値である。明度及び彩度の双方が前記範囲を満たさない場合には、ポリエチレン製容器が有色を呈し、十分な内部視認性を確保できなくなり、特に不溶性異物の異物自体の色によって、不溶性異物の検出や発見が困難となり得る(特に容器と同色の異物が検出困難となり得る)。
内部視認性をより一層向上させるという観点から、第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器として、1)好ましくは明度が70以上、且つ彩度が25以下、より好ましくは明度が70以上、且つ彩度が20以下、且つ2)波長400〜800nmの領域における光の最大透過率が10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上であることが挙げられる。前記明度の上限値としては、例えば、100以下、好ましくは95以下、より好ましくは90以下、特に好ましくは85以下、更に好ましくは80%以下;前記彩度の下限値としては、例えば、0以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上;前記波長400〜800nmの領域における光の最大透過率の上限値としては、例えば、80%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、特に好ましくは50%以下が挙げられる。このように内部視認性が高いポリエチレン製容器であっても、前述する組成の水性液剤を採用することにより、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物を抑制することができる。
第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器の好適な一態様として、波長400nmの光の透過率が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上が挙げられる。前記波長400nmの光の透過率の上限値としては、例えば、40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下が挙げられる。波長400nmの光の透過率が前記範囲を充足するポリエチレン製容器を使用することによって、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果と内部視認性をより一層向上させることができる。
第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器において、無色透明な領域は、容器全体に設けられていてもよいが、不溶性異物試験や残存液量の確認等に必要な内部視認性を確保できることを限度として、容器の少なくとも一部に設けられていてもよい。例えば、第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器は、その一部に、商品名、成分名、使用期限、注意書き等の表示等の目的として無色透明でない領域が備えられていてもよい。第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器の一態様として、無色透明な領域は、容器の側面(蓋により覆われる領域を除く本体部外周面)の5%以上、好ましくは7%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上の領域を占めていることが望ましい。
第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器は、収容した水性液剤と接触する内壁がポリエチレンで形成されていればよく、ノズル、蓋等の他の部材は、ポリエチレン以外の素材で形成されていてもよい。また、第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器は、内壁がポリエチレンで形成され、且つ無色透明であることを限度として、容器本体がポリエチレン層に他の素材の層が積層された積層体によって形成されていてもよい。更に、第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器は、無色色透明である領域が確保できていることを限度として、シュリンクラベル、タックラベル等の被覆部材によって被覆されていてもよい。
第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器は、マルチドーズ型容器又はユニットドーズ型容器のいずれであってもよい。マルチドーズ型容器は、繰り返し使用され、使用の度に残存液量の確認等が必要になるため、内部視認性が高いことが求められているので、第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器として好適である。
第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器を構成するポリエチレンの種類については、特に制限されず、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられるが、好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE)である。
第1実施形態で使用されるポリエチレン製容器は、収容する水性液剤の用途に応じて、点眼容器、洗眼容器等の形態であればよい。
[光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合い]
第1実施形態の医薬製品では、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制することができる。第1実施形態の医薬製品の一態様では、医薬製品に対して25℃の温度条件下で白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射した後に、医薬製品に収容されている水性液剤における主分解生成物(RRT=1.5)量が1.0%以下、好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.7%以下、特に0.6%以下であることが挙げられる。
[医薬製品の製造方法]
第1実施形態の医薬製品は、前記水性液剤を調製する工程と、前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容して医薬製品を調製する工程を経て製造される。また、得られた医薬製品は、出荷前に、前記容器に収容された前記水性液剤の性状(色調)を確認する工程(検査工程)を行うことが望ましい。
第1実施形態の医薬製品は、薬事法に基づくGMP省令や各ガイドラインに従って製造管理や品質管理が行われて製造される。また、第1実施形態の医薬品製品には、内部視認性が高い容器が用いられるため、品質管理の側面において、不溶性異物検査が容易になり、検査工程の自動化も簡便となり得る。加えて、無色透明のポリエチレン製容器が採用されることによって、このような検査工程時等にブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤が容器に収容された状態でも色調(色相・濃淡)等を含む性状の検査や確認が可能となる。即ち、第1実施形態の医薬製品の製造方法によって、ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容することにより、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制でき、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を所定期間安定に維持できる医薬製品を提供でき、且つ、当該医薬製品を出荷前に容器に収容された状態で水性液剤の性状(色調)等を容器の外から容易に確認できるため、品質管理上において非常に安全性の高い医薬製品を提供できる。
また、他の側面から、第1実施形態の医薬製品の容器内の水性液剤の性状(色調)を確認する工程を含む、第1実施形態の医薬製品の検査方法を提供する。
4.ブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制方法(1)
本発明の一実施形態として、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、方法を提供する。以下、当該実施形態の方法を第1実施形態と表記する。第1実施形態の方法について以下詳述する。
第1実施形態の方法によれば、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤を無色透明の容器に収容していながらも、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制でき、ブリモニジン及び/又はその塩を安定に維持させることが可能になる。
第1実施形態の方法の一態様では、水性液剤には、ホウ酸及び/又はその塩が含まれていてもよい。また、第1実施形態の方法の一態様では、水性液剤には、更にトロメタモール及び/又はその塩が含まれていてもよい。
第1実施形態の方法において、ブリモニジン及び/又はその塩の種類や濃度、金属塩化物の種類や濃度は、「3.医薬製品(1)」の欄に記載の通りである。また、第1実施形態の方法において、必要に応じて使用されるホウ酸及び/又はその塩の種類や濃度、必要に応じて使用されるトロメタモール及び/又はその塩の種類や濃度、水性液剤に配合される他の添加剤や薬理成分の種類、水性液剤のpH、浸透圧、製剤形態、用途等についても、「3.医薬製品(1)」の欄に記載の通りである。また、第1実施形態の方法で使用される無色透明のポリエチレン製容器についても、「3.医薬製品(1)」の欄に記載の通りである。また、第1実施形態の方法で実現される、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合いについても、「3.医薬製品(1)」の欄に記載の通りである。
5.医薬製品(2)
本発明者は、更に、ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容することにより、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物を抑制できることを見出した。即ち、1つの実施形態として、本発明は、ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる医薬製品を提供する。以下、当該実施形態を第2実施形態と表記する。第2実施形態の医薬製品について以下詳述する。
[水性液剤]
・ブリモニジン及び/又はその塩
第2実施形態で使用される水性液剤は、ブリモニジン及び/又はその塩を含有する。第2実施形態で使用されるブリモニジン及び/又はその塩の種類や濃度については、第1実施形態の場合と同様である。
・ホウ酸及び/又はその塩
第2実施形態で使用される水性液剤は、ホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含有する。第2実施形態では、ホウ酸及び/又はその塩をホウ素濃度換算で70mM以上含むことにより、無色透明のポリエチレン製容器に収容した際の光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制が可能になる。
第2実施形態で使用されるホウ酸及び/又はその塩の種類については、第1実施形態の場合と同様である。
第2実施形態で使用される水性液剤は、ホウ酸及びその塩の中から、1種を選択して単独で使用してもよく、これらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。ホウ酸及びその塩の中でも、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはホウ酸及びホウ砂の少なくとも1種、更に好ましくはオルトホウ酸及びホウ砂の少なくとも1種が挙げられる。
第2実施形態で使用されるホウ酸及び/又はその塩の好適な一態様として、ホウ酸とホウ砂との組み合わせが挙げられる。このようにホウ酸とホウ砂を組み合わせて使用することによって、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果を向上させつつ、適度な緩衝作用を具備させることが可能になる。ホウ酸とホウ砂の比率については、特に制限されないが、例えば、ホウ酸100質量部当たり、ホウ砂が10〜100質量部、好ましく10〜70質量部、より好ましくは20〜50質量部、特に好ましくは20〜30質量部が挙げられる。
第2実施形態で使用される水性液剤におけるホウ酸及び/又はその塩の濃度は、ホウ素濃度換算で70mM以上であればよいが、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させるという観点から、ホウ素濃度換算で、好ましくは85mM以上、より好ましくは100〜200mM、特に好ましくは110〜150mMが挙げられる。
・金属塩化物
第2実施形態で使用される水性液剤の一態様では、金属塩化物を含有する。金属塩化物を含有することにより、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させることができる。第2実施形態で使用される金属塩化物の種類や濃度については、第1実施形態の場合と同様である。
・トロメタモール及び/又はその塩
第2実施形態で使用される水性液剤の一態様では、トロメタモール及び/又はその塩を含有する。トロメタモール及び/又はその塩を含有する場合には、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させることができる。第2実施形態で使用されるトロメタモール及び/又はその塩の種類や濃度については、第1実施形態の場合と同様である。
・その他の添加剤
1つの態様において、第2実施形態で使用される水性液剤は、必要に応じて、等張化剤(金属塩化物以外)、多価アルコール、界面活性剤、粘稠剤、キレート剤、緩衝剤(ホウ酸、トロメタモール、及びそれらの塩以外)、防腐剤又は保存剤、清涼化剤、安定化剤、pH調整剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤の具体例については、第1実施形態の場合と同様である。また、これらの添加剤の濃度は、使用する添加剤の種類や水性液剤に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。
・その他の薬理成分
1つの態様において、第2実施形態で使用される水性液剤は、必要に応じて、ブリモニジン及び/又はその塩以外の薬理成分が含まれていてもよいこのような薬理成分の具体例については、第1実施形態の場合と同様である。
また、他の態様において、第2実施形態で使用される水性液剤は、緑内障に対する直接的な有効成分としてブリモニジン及び/又はその塩を含み、実質的に他の有効成分を含まない態様が挙げられる。
・pH/浸透圧/浸透圧比/製剤形態/用途/用量/用法
第2実施形態で使用される水性液剤のpH、浸透圧、浸透圧比、製剤形態、用途、用量、及び用法等については、第1実施形態で使用される水性液剤の場合と同様である。
・製造方法
第2実施形態で使用される水性液剤は、その用途に応じて、公知の調製法に従って製造すればよく、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則に記載された方法を用いて製造することができる。
具体的には、1つの態様では、第2実施形態で使用される水性液剤の製造方法は、ブリモニジン及び/又はその塩と、ホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩と、その他の成分とを、薬学上許容される水性媒体に配合する工程を含む。「薬学上許容される水性媒体」は、第1実施形態で使用される水性液剤の場合と同様である。また、配合工程において、各成分の配合順については、特に制限されず、任意の順番で順次配合してもよく、また同時に配合してもよい。また、配合工程の後に、必要に応じて、フィルター滅菌、ろ過滅菌、乾熱滅菌、電子線滅菌、ガンマ線滅菌等の滅菌処理工程を行ってもよい。
[無色透明のポリエチレン製容器]
第2実施形態の医薬製品は、前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容されている。第2実施形態では、前述する組成の水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器を収容することによって、優れた内部視認性と、ブリモニジン及び/又はその塩の光安定性の向上とを両立させることが可能になっている。
第2実施形態で使用されるポリエチレン製容器については、第1実施形態で使用されるものと同様である。
[光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合い]
第2実施形態の医薬製品が備え得る、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合いについては、第1実施形態で使用される水性液剤の場合と同様である。
[医薬製品の製造方法]
第2実施形態の医薬製品は、前記水性液剤を調製する工程と、前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容して医薬製品を調製する工程を経て製造される。また、得られた医薬製品は、出荷前に、前記容器に収容された前記水性液剤の性状(色調)を確認する工程(検査工程)を行うことが望ましい。
第2実施形態の医薬製品の製造方法でも、第1実施形態の場合と同様に、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を所定期間安定に維持できる医薬製品を提供でき、且つ、当該医薬製品を出荷前に容器に収容された状態で水性液剤の性状(色調)等を容器の外から容易に確認できるため、品質管理上において非常に安全性の高い医薬製品を提供できる。
また、他の側面から、第2実施形態の医薬製品の容器内の水性液剤の性状(色調)を確認する工程を含む、第2実施形態の医薬製品の検査方法を提供する。
6.ブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制方法(2)
本発明の一実施形態として、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、方法を提供する。以下、当該実施形態の方法を第2実施形態と表記する。第2実施形態の方法について以下詳述する。
第2実施形態の方法によれば、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤を無色透明の容器に収容していながらも、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制でき、ブリモニジン及び/又はその塩を安定に維持させることが可能になる。
第2実施形態の方法の一態様では、水性液剤には、金属塩化物が含まれていてもよい。また、第2実施形態の方法の一態様では、水性液剤には、更にトロメタモール及び/又はその塩が含まれていてもよい。
第2実施形態の方法において、ブリモニジン及び/又はその塩の種類や濃度、ホウ酸及び/又はその塩の種類や濃度は、「5.医薬製品(2)」の欄に記載の通りである。また、第2実施形態の方法において、必要に応じて使用される金属塩化物の種類や濃度、必要に応じて使用されるトロメタモール及び/又はその塩の種類や濃度、水性液剤に配合される他の添加剤や薬理成分の種類、水性液剤のpH、浸透圧、製剤形態、用途等についても、「5.医薬製品(2)」の欄に記載の通りである。また、第2実施形態の方法で使用される無色透明のポリエチレン製容器についても、「5.医薬製品(2)」の欄に記載の通りである。また、第2実施形態の方法で実現される、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合いについても、「3.医薬製品(2)」の欄に記載の通りである。
7.医薬製品(3)
本発明者は、更に、ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容することにより、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物を抑制できることを見出した。即ち、1つの実施形態として、本発明は、ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる医薬製品を提供する。以下、当該実施形態を第3実施形態と表記する。第3実施形態の医薬製品について以下詳述する。
[水性液剤]
・ブリモニジン及び/又はその塩
第3実施形態で使用される水性液剤は、ブリモニジン及び/又はその塩を含有する。第3実施形態で使用されるブリモニジン及び/又はその塩の種類や濃度については、第1実施形態の場合と同様である。
・ホウ酸及び/又はその塩
第3実施形態で使用される水性液剤は、ホウ酸及び/又はその塩を含有する。第2実施形態で使用されるホウ酸及び/又はその塩の種類や濃度については、第1実施形態の場合と同様である。
・トロメタモール及び/又はその塩
第3実施形態で使用される水性液剤は、トロメタモール及び/又はその塩を含有する。第2実施形態では、ホウ酸及び/又はその塩とトロメタモール及び/又はその塩とを含むことにより、無色透明のポリエチレン製容器に収容した際の光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制が可能になる。第3実施形態で使用されるトロメタモール及び/又はその塩の種類や濃度については、第1実施形態の場合と同様である。
・金属塩化物
第3実施形態で使用される水性液剤の一態様では、金属塩化物を含有する。金属塩化物を含有することにより、光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制効果をより一層向上させることができる。第3実施形態で使用される金属塩化物の種類や濃度については、第1実施形態の場合と同様である。
・その他の添加剤
1つの態様において、第3実施形態で使用される水性液剤は、必要に応じて、等張化剤(金属塩化物以外)、多価アルコール、界面活性剤、粘稠剤、キレート剤、緩衝剤(ホウ酸、トロメタモール、及びそれらの塩以外)、防腐剤又は保存剤、清涼化剤、安定化剤、pH調整剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤の具体例については、第1実施形態の場合と同様である。また、これらの添加剤の濃度は、使用する添加剤の種類や水性液剤に付与すべき特性等に応じて適宜設定すればよい。
・その他の薬理成分
1つの態様において、第3実施形態で使用される水性液剤は、必要に応じて、ブリモニジン及び/又はその塩以外の薬理成分が含まれていてもよいこのような薬理成分の具体例については、第1実施形態の場合と同様である。
また、他の態様において、第3実施形態で使用される水性液剤は、緑内障に対する直接的な有効成分としてブリモニジン及び/又はその塩を含み、実質的に他の有効成分を含まない態様が挙げられる。
・pH/浸透圧/浸透圧比/製剤形態/用途/用量/用法
第3実施形態で使用される水性液剤のpH、浸透圧、浸透圧比、製剤形態、用途、用量、及び用法等については、第1実施形態で使用される水性液剤の場合と同様である。
・製造方法
第3実施形態で使用される水性液剤は、その用途に応じて、公知の調製法に従って製造すればよく、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則に記載された方法を用いて製造することができる。
具体的には、1つの態様では、第3実施形態で使用される水性液剤の製造方法は、ブリモニジン及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩と、トロメタモール及び/又はその塩と、その他の成分とを、薬学上許容される水性媒体に配合する工程を含む。「薬学上許容される水性媒体」は、第1実施形態で使用される水性液剤の場合と同様である。また、配合工程において、各成分の配合順については、特に制限されず、任意の順番で順次配合してもよく、また同時に配合してもよい。また、配合工程の後に、必要に応じて、フィルター滅菌、ろ過滅菌、乾熱滅菌、電子線滅菌、ガンマ線滅菌等の滅菌処理工程を行ってもよい。
[無色透明のポリエチレン製容器]
第3実施形態の医薬製品は、前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容されている。第2実施形態では、前述する組成の水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器を収容することによって、優れた内部視認性と、ブリモニジン及び/又はその塩の光安定性の向上とを両立させることが可能になっている。
第3実施形態で使用されるポリエチレン製容器については、第1実施形態で使用されるものと同様である。
[光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合い]
第3実施形態の医薬製品が備え得る、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合いについては、第1実施形態で使用される水性液剤の場合と同様である。
[医薬製品の製造方法]
第3実施形態の医薬製品は、前記水性液剤を調製する工程と、前記水性液剤を無色透明のポリエチレン製容器に収容して医薬製品を調製する工程を経て製造される。また、得られた医薬製品は、出荷前に、前記容器に収容された前記水性液剤の性状(色調)を確認する工程(検査工程)を行うことが望ましい。
第3実施形態の医薬製品の製造方法でも、第1実施形態の場合と同様に、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を所定期間安定に維持できる医薬製品を提供でき、且つ、当該医薬製品を出荷前に容器に収容された状態で水性液剤の性状(色調)等を容器の外から容易に確認できるため、品質管理上において非常に安全性の高い医薬製品を提供できる。
また、他の側面から、第3実施形態の医薬製品の容器内の水性液剤の性状(色調)を確認する工程を含む、第3実施形態の医薬製品の検査方法を提供する。
8.ブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制方法(3)
本発明の一実施形態として、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、方法を提供する。以下、当該実施形態の方法を第3実施形態と表記する。第3実施形態の方法について以下詳述する。
第3実施形態の方法によれば、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤を無色透明の容器に収容していながらも、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成を抑制でき、ブリモニジン及び/又はその塩を安定に維持させることが可能になる。
第3実施形態の化方法の一態様では、水性液剤には、金属塩化物が含まれていてもよい。
第3実施形態の方法において、ブリモニジン及び/又はその塩の種類や濃度、ホウ酸及び/又はその塩の種類や濃度、トロメタモール及び/又はその塩の種類や濃度は、「7.医薬製品(3)」の欄に記載の通りである。また、第3実施形態の方法において、必要に応じて使用される金属塩化物の種類や濃度、水性液剤に配合される他の添加剤や薬理成分の種類、水性液剤のpH、浸透圧、製剤形態、用途等についても、「7.医薬製品(3)」の欄に記載の通りである。また、第3実施形態の方法で使用される無色透明のポリエチレン製容器についても、「7.医薬製品(3)」の欄に記載の通りである。また、第3実施形態の方法で実現される、光暴露によるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の生成の抑制の度合いについても、「7.医薬製品(3)」の欄に記載の通りである。
以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、以下の試験例において、ホウ酸は、全てオルトホウ酸を使用した。
試験例1
1.眼科用医薬製品の製造
1−1.点眼剤の調製
点眼剤を以下の手順で調製した。表1に示す組成に従って、精製水にブリモニジン酒石酸塩、ホウ酸、ホウ砂、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、及び塩化マグネシウムを所定量加えて溶かし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを7.2に調整し、点眼剤を得た。
Figure 2021107354
1−2.容器への収容
前記で得られた各点眼剤5mlを、無色透明ポリエチレン製(無色透明PE)容器(LDPE製)、無色透明ポリプロピレン製(無色透明PP)容器、及び褐色透明ポリエチレン製(褐色透明PE)容器(いずれも5ml容)に収容し、各検体(眼科用医薬製品)を調製した。
2.ブリモニジン酒石酸塩の光安定性の評価方法
2−1.ブリモニジン酒石酸塩の残存率の測定方法
前記で得られた各検体に対して、光安定性試験装置(「LT−120A−WCD型」、ナガノサイエンス株式会社製)を用いて、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を400時間照射し、検体に120万lx・hの光を暴露した。
光暴露前後の各検体の点眼剤に含まれるブリモニジン酒石酸塩濃度を以下に示す条件で高速液体クロマトグラフシステム(HPLC、島津製作所社製)によって測定し、以下に示す算出式に従って、ブリモニジン酒石酸塩の残存率(%)を算出した。
<高速液体クロマトグラフ条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:264nm)
カラム:内径4.6mm、長さ7.5cmのステンレス管に3.5μmの高速液体クロマトグラフ用ODSシリカゲル(Symmetry C18カラム、Waters社製)を充填した。
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相:リン酸二水素カリウム2.3g及び1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム47.5mgを水830mLに溶かし、リン酸を用いてpH3.0に調整した。この液にアセトニトリル84mL及びメタノール84mLを混ぜ、水を加えて1Lとした。
流速:約1mL/min
<ブリモニジン酒石酸塩の残存率>
以下の算出式に従って、ブリモニジン酒石酸塩の残存率(%)を算出した。
Figure 2021107354
2−2.ブリモニジン酒石酸塩の主分解生成物量の測定方法
光暴露前後の各検体の点眼剤を下記条件でHPLCに供し、下記算出式に従って主分解生成物(RRT=1.5)量を分析した。
<HPLCの条件>
・試料溶液の作製
各点眼剤を2.5mL正確に量り、精製水を加えて正確に50mLとし、試料溶液とした。
・標準溶液の作製
ブリモニジン酒石酸塩標準品を50mg精密に量り、精製水を加えて正確に50mLする。その液を5mL正確に量り、精製水を加えて正確に100mLとし、標準溶液とした。
・液体クロマトグラフィーによる測定
試料溶液及び標準溶液30μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィー(島津製作所製 高速液体クロマトグラフ:Prominence)により測定を行い、それぞれの試料溶液における主分解生成物のピーク面積、及び標準溶液のブリモニジン酒石酸塩のピーク面積を自動積分法により求めた。
<測定条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:264nm)
カラム:Symmetry C18, 4.6 mm I.D.×75mm, 3.5μm, Waters社製
カラム温度:25℃
移動相:リン酸二水素カリウム2.3g及び1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム47.5mgを水830mLに溶かし、リン酸を用いてpH3.0とした。この液にアセトニトリル84mL及びメタノール84mLを混ぜ、水を加えて1Lとし、移動相とした。
洗浄液:アセトニトリル/水(容積比:1/1)の混液
流量:1.0mL/min
面積測定範囲:20分
<算出式>
以下の式に従って、主分解生成物(RRT=1.5)の生成量(対表示率%)を算出した。
Figure 2021107354
3.評価結果
光照射後の各点眼剤のブリモニジン酒石酸塩の残存率を求めた結果を表2に示す。無色透明PP容器及び褐色透明PE容器に充填した場合、処方1及び2の点眼剤におけるブリモニジン酒石酸塩の残存率は同程度であった。これに対して、無色透明PE容器に充填した場合には、処方2の点眼剤は、処方1の点眼剤に比してブリモニジン酒石酸塩の残存率が向上していた。即ち、ブリモニジン酒石酸塩を含む点眼剤を無色透明PE容器に充填した際には、金属塩化物を添加することでブリモニジン酒石酸塩の安定性を向上することが明らかになった。また、処方2の点眼剤を無色透明PE容器に収容した検体は、異物は生じておらず、色調も変化がなかった。
また、無色透明PE容器を使用した際の光照射後の各点眼剤中の主分解生成物(RRT=1.5)の結果を表3に示す。光照射前では、いずれの点眼剤でも主分解生成物(RRT=1.5)が検出されなかったが、光照射後では、ブリモニジン酒石酸塩の残存率と相関して、主分解生成物(RRT=1.5)が検出された。即ち、ブリモニジン酒石酸塩の光暴露によって生じる主要な分解産物は、主分解生成物(RRT=1.5)であることが明らかとなった。そこで、以降の試験例では、ブリモニジン酒石酸塩の光安定性を主分解生成物(RRT=1.5)量で評価した。
Figure 2021107354
Figure 2021107354
試験例2
1.眼科用医薬製品の製造
前記試験例1と同様の方法で、表4に示す組成の点眼剤を調製した。この点眼剤5mlを無色透明PE容器(LDPE製)及び無色透明PP容器(いずれも5ml容)に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)を調製した。
Figure 2021107354
2.ブリモニジン酒石酸塩の光安定性の評価方法
前記で得られた各検体に対して、光安定性試験装置(「LT−120A−WCD型」、ナガノサイエンス株式会社製)を用いて、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射し、検体に60万lx・hの光を暴露した。
記試験例1と同条件で、光暴露前後の各検体の点眼剤における主分解生成物(RRT=1.5)量を分析した。
3.評価結果
得られた結果を表5に示す。光照射前では、いずれの点眼剤でも主分解生成物(RRT=1.5)が検出されなかった。無色透明PE容器に充填した点眼剤では、ホウ酸及びホウ砂濃度に依存して、光照射後の検体中の主分解生成物(RRT=1.5)量が低下する傾向が認められ、ホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及びホウ砂が含まれている場合には、金属塩化物が含まれていなくても、主分解生成物(RRT=1.5)量を1.0%未満に低減できていた。その一方で、無色透明PP容器に充填した点眼剤では、主分解生成物(RRT=1.5)量はホウ酸及びホウ砂濃度に依存しておらず、光照射後の点眼剤中の主分解生成物(RRT=1.5)量は1.0%以下にならなかった。この結果から、無色透明PE容器とホウ酸及びホウ砂との何らかの相互作用が、ブリモニジンの光安定性に影響を与えていることがわかった。
Figure 2021107354
試験例3
1.眼科用医薬製品の製造
前記試験例1と同様の方法で、表6に示す組成の点眼剤を調製した。この点眼剤5mlを5ml容の無色透明PE容器(LDPE製)に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)を調製した。
Figure 2021107354
2.ブリモニジン酒石酸塩の光安定性の評価方法
前記で得られた各検体に対して、光安定性試験装置(「LT−120A−WCD型」、ナガノサイエンス株式会社製)を用いて、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射し、検体に60万lx・hの光を暴露した。
記試験例1と同条件で、光暴露前後の各検体の点眼剤における主分解生成物(RRT=1.5)量を分析した。
3.評価結果
得られた結果を表7に示す。光照射前では、いずれの点眼剤でも主分解生成物(RRT=1.5)が検出されなかった。無色透明PE容器に充填した点眼剤では、金属塩化物が含まれていると、光照射後の主分解生成物(RRT=1.5)量が低下していた。
一方、金属塩化物を含む点眼剤において、ホウ酸及びホウ砂に代えてリン酸水素ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを使用すると、光照射後の主分解生成物(RRT=1.5)量が増加したものの、金属塩化物を含まない場合と比べると、主分解生成物(RRT=1.5)量を低減できていた。また、点眼剤が金属塩化物と共にブリンゾラミドを含んでいても、主分解生成物(RRT=1.5)量を低減できていたが、1.0%以下にすることはできなかった。
Figure 2021107354
試験例4
1.眼科用医薬製品の製造
前記試験例1と同様の方法で、表8に示す組成の点眼剤を調製した。この点眼剤5mlを5ml容の無色透明PE容器(LDPE製)に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)を調製した。
Figure 2021107354
2.ブリモニジン酒石酸塩の光安定性の評価方法
前記で得られた各検体に対して、光安定性試験装置(「LT−120A−WCD型」、ナガノサイエンス株式会社製)を用いて、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射し、検体に60万lx・hの光を暴露した。
記試験例1と同条件で、光暴露前後の各検体の点眼剤における主分解生成物(RRT=1.5)量を分析した。
3.評価結果
得られた結果を表9に示す。光照射前では、いずれの点眼剤でも主分解生成物(RRT=1.5)が検出されなかった。無色透明PE容器に充填した点眼剤において、金属塩化物及びホウ砂を含む場合には、金属塩化物を含まない場合に比べて、光照射後の主分解生成物(RRT=1.5)量が低下していた。また、無色透明PE容器に充填した点眼剤において、金属塩化物とホウ酸に加えホウ砂も含む場合には、更に光照射後の主分解生成物(RRT=1.5)量が低下していた。
Figure 2021107354
試験例4
1.眼科用医薬製品の製造
前記試験例1と同様の方法で、表10に示す組成の点眼剤を調製した。この点眼剤5mlを5ml容の無色透明PE容器(LDPE製)に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)を調製した。
Figure 2021107354
2.ブリモニジン酒石酸塩の光安定性の評価方法
前記で得られた各検体に対して、光安定性試験装置(「LT−120A−WCD型」、ナガノサイエンス株式会社製)を用いて、25℃の温度条件下で、白色蛍光灯で0.3万lxの光を200時間照射し、検体に60万lx・hの光を暴露した。
記試験例1と同条件で、光暴露前後の各検体の点眼剤における主分解生成物(RRT=1.5)量を分析した。
3.評価結果
得られた結果を表11に示す。光照射前では、いずれの点眼剤でも主分解生成物(RRT=1.5)が検出されなかった。無色透明PE容器に充填した点眼剤において、ホウ酸及びトロメタモールを含む場合には、トロメタモールを含まない場合に比べて、光照射後の主分解生成物(RRT=1.5)量が低下していた。また、無色透明PE容器に充填した点眼剤において、金属塩化物、ホウ酸及びトロメタモールを含む場合には、光照射後の主分解生成物(RRT=1.5)量が顕著に低下していた。
Figure 2021107354
参考試験例1
前記試験例1〜4で使用した各容器の色調及び透明度を確認した。具体的には、各容器の胴部を1.0cm×2.0〜3.0cmに切り取り、分光測色計(CM−5、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、明度(L*値)及び色度(a*値、b*値)を測定した。また、式:((a*値)2+(b*値)21/2に従って、彩度(c*値)を算出した。また、各容器の胴部を1.0cm×2.0〜3.0cmに切り取り、紫外可視分光光度計(「UV−2450型」、株式会社島津製作所製)を用いて、200〜800nmの領域の光の透過率(%)を測定した。
結果を表12に示す。また、各波長における光の透過率を測定した結果を図2に示す。無色透明PE容器は、明度が70以上、且つ彩度が20以下であり、波長400〜800nmの領域における光の最大透過率は43%であり、無色で透明度が高かった。
無色透明PE容器は、収容した点眼剤の性状、異物、色調や液量を明瞭に視認し易く、格段に優れた内部視認性があり、容易且つ正確に不溶性異物検査ができた。これに対して、褐色透明容器では、褐色を呈しているため、内部を視認し難くなっていた。
Figure 2021107354
試験例5
1.眼科用医薬製品の製造
前記試験例1と同様の方法で、表10に示す組成の点眼剤を調製した。この点眼剤5mlを5ml容の無色透明PE容器(LDPE製)に収容し、各種検体(眼科用医薬製品)を調製した。
参考試験例1
前記試験例1〜で使用した各容器の色調及び透明度を確認した。具体的には、各容器の胴部を1.0cm×2.0〜3.0cmに切り取り、分光測色計(CM−5、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、明度(L*値)及び色度(a*値、b*値)を測定した。また、式:((a*値)2+(b*値)21/2に従って、彩度(c*値)を算出した。また、各容器の胴部を1.0cm×2.0〜3.0cmに切り取り、紫外可視分光光度計(「UV−2450型」、株式会社島津製作所製)を用いて、200〜800nmの領域の光の透過率(%)を測定した。

Claims (17)

  1. ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる、医薬製品。
  2. 前記水性液剤が、ホウ酸及び/又はその塩を含む、請求項1に記載の医薬製品。
  3. 前記水性液剤が、トロメタモール及び/又はその塩を含む、請求項1又は2に記載の医薬製品。
  4. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬製品。
  5. 前記水性液剤が、点眼剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬製品。
  6. 緑内障の治療のために使用される、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬製品。
  7. ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、
    ブリモニジン及び/又はその塩、並びに金属塩化物を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、前記方法。
  8. ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる医薬製品。
  9. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、請求項8に記載の医薬製品。
  10. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項9に記載の医薬製品。
  11. 前記水性液剤が、トロメタモール及び/又はその塩を含む、請求項8〜10のいずれかに記載の医薬製品。
  12. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項11に記載の医薬製品。
  13. 前記水性液剤が、点眼剤である、請求項8〜12のいずれかに記載の医薬製品。
  14. 緑内障の治療のために使用される、請求項8〜13のいずれかに記載の医薬製品。
  15. ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、
    ブリモニジン及び/又はその塩、並びにホウ素濃度換算で70mM以上のホウ酸及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、前記方法。
  16. ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤が、無色透明のポリエチレン製容器に収容されてなる医薬製品。
  17. ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤における光暴露により生じるブリモニジン及び/又はその塩の分解生成物の抑制方法であって、
    ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにトロメタモール及び/又はその塩を含む水性液剤を、無色透明のポリエチレン製容器に収容する工程を含む、前記方法。
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