JP2021106785A - 衛生用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】肌触りを向上させることができるようにした衛生用紙を提供する。【解決手段】衛生用紙において、坪量が20(g/m2)以上であり、紙厚が130(μm)以上であって、圧縮回復率RCが45(%)以下であるように構成する。これにより、肌触りを向上させることができる。さらに、0.5(gf/cm2)の圧力をかけた際の紙厚をT0とし、50(gf/cm2)の圧力をかけた際の紙厚をTmとすると、紙厚T0と紙厚Tmとの差(T0−Tm)は、0.070(mm)以上である。【選択図】なし

Description

本件は、ティシュペーパー等の衛生用紙に関する。
ティシュペーパー等の衛生用紙において、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を向上させた高機能性の衛生用紙が開発されている。
衛生用紙の「肌触り」を向上させる手法としては、例えば紙にエンボスを形成することで紙自体の肌触りを向上させるようにする技術(特許文献1参照)や、紙に保湿剤を添加することで、肌触りを向上させるようにする技術(特許文献2参照)が開発されている。
特開2003−116741号公報 特開2005−113368号公報
上記のように、紙自体に加工を施したり、紙に保湿剤を添加したりすることにより、衛生用紙の肌触りを向上させることができるが、衛生用紙の肌触りを向上させるには、さらなる改善が求められている。
本件は、このような課題に着目して創案されたもので、肌触りを向上させることができるようにした衛生用紙を提供することを目的の1つとしている。なお、本目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
本件にかかる衛生用紙は、坪量が20(g/m)以上であり、紙厚が130(μm)以上であって、圧縮回復率RCが45(%)以下であることを特徴としている。
本件によれば、肌触りを向上させることができる。
縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られた衛生用紙の圧縮回復率RCとした分布図である。 縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られた衛生用紙の紙厚T0と紙厚Tmとの差(T0−Tm)とした分布図である。 縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られた衛生用紙の縦方向の引張強さの値Tと横方向の引張強さの値Yとに基づく√TYの値とした分布図である。 縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られた衛生用紙の表面粗さSMDの値とした分布図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、衛生用紙の一例として、保湿剤を添加されたティシュペーパー(保湿ティシュペーパー)を例示する。ただし、衛生用紙はティシュペーパーに限定されるものではない。
本実施形態にかかるティシュペーパー(衛生用紙)は、抄紙原料としてのパルプスラリーを抄紙して原反ロールを製造し、この原反ロールに塗工等により保湿剤を添加して、その後、保湿剤を添加された原反ロールを所望の幅(例えば、ティシュペーパーとしての製品幅)に切断(裁断)し、切断されたティシュペーパーを折り畳み、折り畳まれたティシュペーパーの束をカートンに充填して、製品とされる。
なお、抄紙原料としてのパルプスラリーに含まれるパルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)のような化学パルプが挙げられる。また、木材パルプとしては、例えば、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)のような半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)のような機械パルプが挙げられる。非木材パルプとしては、例えば、コットンリンターやコットンリントのような綿系パルプ、麻、麦わら、バガスのような非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられる。脱墨パルプとしては、例えば、古紙を原料とし、脱墨することで得られるパルプが挙げられる。なお、パルプ成分には、上記のパルプのうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。パルプ成分としては、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。中でも、パルプ成分としては、針葉樹パルプと広葉樹パルプとを併用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)とを併用することがより好ましい。
本実施形態では、パルプスラリーは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量%と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)30質量%との混合物を用意し、この混合物0.1質量部に対して水99.9質量部を添加し調製したものである。ただし、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)との混合比率(質量%の比率)は、20:80〜80:20の範囲で調整することができる。
また、本実施形態では、原反ロールに巻かれた連続シート(原紙)は、上記パルプスラリーを、2層抄きツインワイヤーフォーマーを用いて抄造した後、脱水および乾燥することで得られるものである。
本実施形態にかかるティシュペーパーは、原紙が2枚重ね合わされた2プライに構成されており、例えばオフセットグラビア方式を用いて、2プライの原紙に保湿剤が塗布されたものである。本実施形態では、保湿剤として、グリセリン85質量%と水15質量%とを含有するものを使用するが、保湿材はこれに限定されるものではない。
また、原紙への保湿剤の供給方法も、オフセットグラビア方式による塗布(塗工)に限定されるものではない。
さらに、ティシュペーパーは、1プライでもよく、3プライ以上でもよい。
また、2プライ以上のティシュペーパーの各原紙は同一構成とする。
この他の保湿剤としては、例えば、アロエエキス、延命草エキス、オトギリソウエキス、オオムギエキス、オレンジエキス、海藻エキス、カミツレエキス、キューカンバエキス、コンフリーエキス、ゴボウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シソエキス、セージエキス、デュークエキス、冬虫夏草エキス、ドクダミエキス、ハタケシメジエキス、ビワエキス、ブドウ葉エキス、フユボダイジュエキス、プルーンエキス、ヘチマエキス、ボタンピエキス、マイカイエキス、モモノハエキス、ユリエキス、リンゴエキス、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、ジメチルシリコーン、シリコーン油、変性シリコーン、大豆油、椿油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、ヤシ油、ラノリン、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、ショ糖、ソルビトール、フルクトース、マルトース、マルチトール、マンノース、ミツロウ、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、ラムノース、キシロビオース、キシロオリゴ糖、チューベローズポリサッカライド、トリサッカライド、トレハロース、可溶性コラーゲン、グリチルリチン、コンドロイチン硫酸、ジグリセリン、スクワラン、セラミド類似化合物、トリグリセリン、尿素、ビタミンCリン酸エステルカルシウム塩、ビタミンE、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒノキチオール、流動パラフィン、ワセリン、多価アルコール等が挙げられる。これらの保湿剤の中でも、アロエエキス、延命草エキス、オトギリソウエキス、コンフリーエキス、シソエキス、セージエキス、セラミド類似化合物、ドクダミエキス、ハタケシメジエキス、ビワエキス、フユボダイジュエキス、ボタンピエキス、ヒマシ油、ホホバ油、ラノリン、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、ラムノース、キシロオリゴ糖、可溶性コラーゲン、グリセリン、コンドロイチン硫酸、スクワラン、尿素および多価アルコールが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。中でも、保湿剤は、グリセリンを含むことが好ましい。保湿剤には、上記化合物のうちの1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、本ティシュペーパーは、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を向上させることを主な目的としているが、原紙にエンボス(凹凸)を加工することも「肌触り」の向上に寄与しうる。そこで、原紙にエンボスを加工し且つ保湿材を供給して形成したエンボス付き保湿ティシュペーパーとしてもよく、原紙に保湿材を供給しないで原紙にエンボスを加工するだけとして、エンボス付きティシュペーパーとしてもよい。
ティッシュペーパーの特性を表すパラメータには、坪量、紙厚、密度、引張強さ、伸び、表面特性、圧縮特性などがあり、肌触りの観点から、これらのパラメータの値について説明する。
坪量は、JIS P8124の規定に従って測定することができる。
紙厚は、ISO187に準拠した環境で、厚さ計を用いて測定することができる。
密度は、坪量と紙厚とから算出することができる。
引張強さは、JIS P 8113の規定に従って測定することができる。
伸びは、引張破断伸びに関するもので、JIS P 8113の規定に従って測定することができる。
表面特性は、ISO187に準拠した環境〔温度23±1(℃)、相対湿度50±2(%)〕で、表面試験機を用いて測定することができる。
圧縮特性は、ISO187に準拠した環境〔温度23±1(℃)、相対湿度50±2(%)〕で、圧縮試験機を用いて測定することができる。
ティッシュペーパーの坪量は、10(g/m2)以上であることが好ましく、13(g/m2)以上であることがより好ましく、15(g/m2)以上であることがさらに好ましい。一般的にティシュペーパーの坪量の上限値は、22(g/m2)程度である。なお、本実施形態におけるティッシュペーパーの坪量は、2プライのティッシュペーパーを構成する原紙1枚当たりの坪量を表す。
したがって、製品ティッシュペーパー(すなわち、2プライのティッシュペーパー)の坪量は、20(g/m2)以上であることが好ましく、26(g/m2)以上であることがより好ましく、30(g/m2)以上であることがさらに好ましい。製品ティッシュペーパーの坪量の上限値は、44(g/m2)程度となる。
ティッシュペーパーの坪量を上記範囲内とすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができる。
製品ティッシュペーパーの厚み(紙厚)は、130(μm)以上であることが好ましく、133(μm)以上であることがより好ましく、135(μm)以上であることがさらに好ましい。また、製品ティッシュペーパーの厚みは、200(μm)以下であることが好ましい。
ティッシュペーパーの厚みを上記範囲内とすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができる。
また、ティッシュペーパーの密度は、0.200(g/cm)以上であることが好ましく、0.210(g/cm)以上であることがより好ましく、0.220(g/cm)以上であることがさらに好ましい。また、ティッシュペーパーの密度(ISO)は、0.250(g/cm)以下であることが好ましい。
また、製品ティッシュペーパーの引張強さの指標には、縦方向(T方向)の引張強さ(縦強度)T(N)と、横方向(Y方向)の引張強さ(横強度)Y(N)とがあり、さらに、縦強度Tと横強度Yとの乗算値の平方根の値√TY(N)と、横強度Yと縦強度Tとの比の値Y/T(%)とがある。
このうち、値√TYについては、0.9(N)以上であることが好ましく、1.00(N)以上であることがより好ましい。また、値√TYは、1.45(N)以下であることが好ましく、1.40(N)以下であることがより好ましく、1.20(N)以下であることがさらに好ましい。
製品ティッシュペーパーの引張強さの値√TYを上記範囲内とすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができ、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を向上させることができる。
また、製品ティッシュペーパーの表面特性については、表面摩擦係数に関する値で表すことができ、MIU(表面摩擦係数の平均値)、MMD(MIUの平均偏差)、SMD(厚みの平均偏差;表面粗さ)の3つの特性値があるが、表面粗さ(SMD)については、1.900(μm)以下であることが好ましく、1.800(μm)以下であることがより好ましく、1.70(μm)以下であることがさらに好ましい。
製品ティッシュペーパーの表面粗さ(SMD)の値を上記範囲内とすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができ、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を向上させることができる。
製品ティッシュペーパーの圧縮特性については、製品ティッシュペーパー(2プライのティッシュペーパー)に0.5(gf/cm2)の圧力をかけた際の厚みT0と、製品ティッシュペーパーに50(gf/cm2)の圧力をかけた際の厚みTmと、厚みT0と厚みTmとの差(T0−Tm)と、圧縮かたさ(LC、圧縮直線性ともいう)と、圧縮エネルギー(WC、圧縮仕事量ともいう)と、圧縮回復率(RC、厚み回復性ともいう)とに着目して評価することができる。
なお、圧縮かたさ(LC)は、押し込み深さに対する反発力の直線比例性を表すものであり、その値が大きいほど圧縮が固く反発性があることを示す。圧縮エネルギー(WC)は、圧縮時に要したエネルギーを表し、その値が大きければ圧縮されやすいことを示す。また、圧縮回復率(RC)は圧縮された状態から元に戻る際の回復性を示しており、100(%)に近いほど回復性があることを示す。
このうち、圧縮回復率(RC)については、45(%)以下であることが好ましく、40(%)以下であることがより好ましく、35(%)以下であることがさらに好ましい。
製品ティッシュペーパーの圧縮回復率(RC)の値を上記の上限以下と小さくすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができ、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を向上させることができる。
また、厚みT0と厚みTmとの差(T0−Tm)については、0.060(mm)以上であることが好ましく、0.070(mm)以上であることがより好ましく、0.080(mm)以上であることがさらに好ましい。
差(T0−Tm)の値を上記の下限以上と大きくすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができ、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を向上させることができる。
本製品ティシュペーパーは、坪量が20(g/m)以上であり、紙厚が130(μm)以上であり、圧縮回復率RCが45(%)以下であるものに規定される。これにより、ティシュペーパーにおいて、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を向上させることができる。
本実施形態にかかる製品ティシュペーパーは、さらに、紙厚T0と紙厚Tmとの差(T0−Tm)は0.070(mm)以上であり、√TYの値が0.9(N)以上で且つ1.45(N)以下であるものに規定される。これにより、「しっとり感」や「滑らかさ」といった「肌触り」を一層向上させることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1〜4にかかるティシュペーパーについては、何れも、以下のようにその原紙ウェブが製造されたものである。
まず、パルプ成分(100質量%)のうち、広葉樹クラフトパルプ(以下「LBKP」)が70質量%、針葉樹クラフトパルプ(以下「NBKP」)が30質量%となるようにパルプスラリーを調製した。さらに、パルプスラリーには、柔軟剤を0.1〜1.0質量%(対パルプ成分質量比)及び湿潤紙力剤を0.1〜1.0質量%(対パルプ成分質量比)となるように添加した。このように調製したパルプスラリーを、ツインワイヤーヤンキーマシンを用いて抄造しティシュペーパーの原紙ウェブを得た。
得られた原紙ウェブ2本をプライマシンにかけ、巻き解きながら2プライへの貼り合せを行って、貼り合せ後、保湿剤を塗布して再度巻取り、2プライのティシュペーパーの原反ロールを得た。
ただし、1プライあたりの保湿剤の量を2.5〜5.0(g/m)の範囲で調整しており、実施例1,2,3,4及び比較例では、その保湿剤の塗布量が異なっている。
つまり、実施例1,2,3,4及び比較例では、1プライあたりの保湿剤の量を2.5〜5.0(g/m)の範囲で調整した。
実施例1では、1プライあたりの保湿剤の量を3.0〜3.8(g/m)の範囲とした。
実施例2では、1プライあたりの保湿剤の量を3.5〜4.2(g/m)の範囲とした。
実施例3では、1プライあたりの保湿剤の量を2.6〜2.9(g/m)の範囲とした。
実施例4では、1プライあたりの保湿剤の量を2.5〜2.8(g/m)の範囲とした。
比較例では、1プライあたりの保湿剤の量を2.3〜2.5(g/m)の範囲とした。
(試験方法)
(坪量)
坪量の測定値は、1プライのティシュペーパーの測定値を示している。坪量は、JIS P8124の規定に従って測定した。
(紙厚)
厚さの測定値は、製品ティシュペーパーである2プライのティシュペーパーの測定値を示している。厚さは、ISO187に準拠した環境で、厚さ計(Universal Micrometer(Xill社)(ISO12625−3に準拠))を用いて、測定子を1秒間に2(mm)の速度で下ろした時の値を読み取った。なお、測定は2プライのティシュペーパー10組を1組ずつ測定し、取得した10組の厚さを平均したものを紙厚とした。
(密度)
密度は、坪量を紙厚で割って求めた。
(引張強さ)
引張強さの測定値は、製品ティシュペーパーである2プライのティシュペーパーの測定値であり、乾燥引張強さを示している。引張強さは、JIS P 8113に準拠して測定した。縦方向の引張強さと、横方向の引張強さを各10サンプルずつ測定し、その平均値を算出して引張強さとした。
(伸び)
ティシュペーパーの伸び率は、JIS P 8113に準拠して測定した引張破断伸びに関するもので、紙(横方向長さ)を幅25(mm)、スパン長(ウェブ方向長、縦方向長さ)100(mm)にカットした製品ティシュペーパーのサンプルを、引張速度100(mm/分)の条件で縦方向及び横方向にそれぞれ測定し、10回の測定の平均を算出した値とした。縦方向伸び率(%)は、試料の縦方向伸び量(mm)×100/スパン長(mm)によって求めた。横方向伸び率(%)は、試料の横方向伸び量(mm)×100/幅(mm)によって求めた。
(表面特性)
ティシュペーパーの表面特性について、KES自動化表面試験機(カトーテック株式会社製、KES FB4)で測定した。
ティシュペーパーの平均摩擦係数(MIU値)と、摩擦係数の平均偏差(MMD値)とを算出する際には、2プライ以上のティシュペーパーを縦20(cm)×横20(cm)の四角形状とし、試験サンプルとする。そして、1cm四方のシリコーン端子の接触子を、サンプルの表面に50(gf)の力で接した状態とし、1(mm/sec)の速度で一方向に3(cm)移動させ、動作を逆転して逆方向にも3(cm)移動させ、摩擦係数の測定を行った。このような測定をサンプルの縦方向と横方向についてそれぞれ6回ずつ行い、得られた測定データからHampel identifierの方法でそれぞれ異常値を除外し、縦方向の摩擦係数と横方向の摩擦係数の幾何平均値を算出し、MIU値とする。さらに、縦方向の摩擦係数の平均偏差と横方向の摩擦係数の平均偏差の幾何平均値を算出し、MMD値とする。なお、上記測定はISO187に準拠した環境〔温度23±1(℃)、相対湿度50±2(%)〕で行った。
また、ティシュペーパーの表面粗さの平均偏差値(SMD値)を算出する際には、2プライ以上のティシュペーパーを縦20(cm)×横20(cm)の四角形状とし、試験サンプルとする。そして、幅5(mm)になるようにU字に整形された0.5(mm)径のピアノワイヤーの接触子を、サンプルの表面に10(gf)の力で接した状態とし、1(mm/sec)の速度で一方向に3(cm)移動させ、動作を逆転して逆方向にも3(cm)移動させ、表面粗さの測定を行った。このような測定をサンプルの縦方向と横方向についてそれぞれ6回ずつ行い、得られた測定データからHampel identifierの方法でそれぞれ異常値を除外し、縦方向の表面粗さの平均偏差と横方向の表面粗さの平均偏差の幾何平均値を算出し、SMD値とする。なお、上記測定はISO187に準拠した環境〔温度23±1(℃)、相対湿度50±2(%)〕で行った。
この場合、「表面」とは、ティシュペーパーの使用者の肌に直接触れることが想定されている面を意味し、「裏面」とは、この表面と反対側の面を意味する。例えば、ティシュペーパーを2枚重ねにした2プライのティシュペーパーにおいては、使用者の肌に接する外面に相当する面が表面に相当し、使用者の肌に接しない内面が裏面に相当する。2プライのティシュペーパー製品は、ティシュペーパーの裏面同士を向かい合わせて重ねたものとなるので、2プライのティシュペーパー製品においては、「表面」として2つの面が存在することになる。
(圧縮特性)
ティシュペーパーの圧縮特性について、KES FB3−A自動化圧縮試験機(カトーテック株式会社製)を用いて測定した。2(cm)の加圧板と受圧板間に縦10(cm)×横20(cm)角に切り出した製品ティシュペーパーのサンプルを設置し、50(mm/秒)の速さで加圧板を下降させ、その際に時々刻々と変化する圧力とその時のサンプルの厚みを測定することで、下記の項目を算出した。
T0:圧力0.5(gf/cm)下におけるサンプルの厚み
Tm:圧力50(gf/cm)下におけるサンプルの厚み
LC:圧縮かたさ(圧縮直線性)
WC:圧縮エネギー(圧縮仕事量)
RC:圧縮回復率(厚み回復性)
上記の項目の値は、10回の測定を行い、得られた測定データからHampel idntifierの方法で異常値を除外し、平均値として算出した値である。なお、上記サンプルの測定はISO187に準拠した環境〔温度23±(1℃)、相対湿度50±2(%)〕で行った。
(官能評価)
肌触り感の評価は10人の評価者によって3段階評価で行った。肌触り感は製品ティシュペーパーを肌に当てて、柔らかさを評価した。
評価結果は、下記の◎,○,△の3段階で表記した。
< 肌触り感>
◎:特に優れている
○:優れている
△:やや劣る
以下の表1は、実施例1,2,3,4及び比較例1の各特性値を示している。
Figure 2021106785
実施例1,2のティシュペーパーは極めて優れた肌触り感を有しており、実施例3,4のティシュペーパーは優れた肌触り感を有している。
図1は縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られたティシュペーパーの圧縮回復率RCとした分布図であり、表1のデータに基づいている。
図1に示すように、圧縮回復率(RC)が小さいほうが肌触りの良さが向上することがわかる。特に、RCが、45(%)以下であることが好ましく、40(%)以下であると評価スコアは○(優れている)となり、35(%)以下であると評価スコアは◎(特に優れている)となる。
図2は縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られたティシュペーパーの紙厚T0と紙厚Tmとの差(T0−Tm)とした分布図であり、表1のデータに基づいている。
図2に示すように、差(T0−Tm)については、0.060(mm)以上であることが好ましく、0.070(mm)以上であると評価スコアは○(優れている)となり、0.080〜0.090(mm)〔0.080(mm)以上0.090(mm)以下〕であると評価スコアは◎(特に優れている)となる。
図3は縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られたティシュペーパーの縦方向の引張強さの値Tと横方向の引張強さの値Yとに基づく√TYの値とした分布図であり、表1のデータに基づいている。
図3に示すように、値√TYについては、値が小さいほうが肌触りの良さが向上することがわかる。ただし、値が小さすぎると強度が低下する。そこで、値√TYの下限は0.90(N)程度、好ましく1.00(N)程度とする。値√TYが1.40(N)以下であると評価スコアは○(優れている)となり、1.20(N)以下であると評価スコアは◎(特に優れている)となる。
図4は縦軸を官能評価のスコアとし、横軸を測定により得られたティシュペーパーの表面粗さSMDの値とした分布図であり、表1のデータに基づいている。
図4に示すように、表面粗さSMDについては、値が小さいほうが肌触りの良さが向上することがわかる。特に、SMDが、1.900(μm)以下であることが好ましく、1.800(μm)以下であると評価スコアは○(優れている)となり、1.70(μm)以下であると評価スコアは◎(特に優れている)となる。
(その他)
以上、本発明の実施形態について説明したが、圧縮回復率RC等を規定した、肌触りを向上させる所要の特性を有する衛生用紙としては、上記実施形態で説明したティシュペーパー(保湿ティシュペーパー)に限定されるものではなく、ペーパータオルなど種々の衛生用紙に適用可能である。
また、上記実施形態では、衛生用紙として、製品ティシュペーパーである2プライのティシュペーパー(保湿ティシュペーパー)について説明したが、衛生用紙としては、1プライであっても3プライ以上であってもよく、何れの場合も圧縮回復率RC等を上記のように適切に規定することで、肌触り感を向上させることができる。
また、所要の特性を付与する手法としては、原紙にエンボスを加工し且つ保湿剤を供給して形成したエンボス付き保湿性の衛生用紙としてもよく、原紙に保湿材を供給しないで原紙にエンボスを加工するだけとして、エンボス付き衛生用紙としてもよく、その他の手法(例えば抄紙方法等の工夫)によって上記の所要の特性を付与するようにしてもよい。

Claims (7)

  1. 坪量が20(g/m)以上であり、
    紙厚が130(μm)以上であって、
    圧縮回復率RCが45(%)以下である
    ことを特徴とする衛生用紙。
  2. 0.5(gf/cm2)の圧力をかけた際の紙厚をT0とし、50(gf/cm2)の圧力をかけた際の紙厚をTmとすると、紙厚T0と紙厚Tmとの差(T0−Tm)は、0.070(mm)以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の衛生用紙。
  3. JIS P 8113に準拠して測定して得られる縦方向の引張強さの値Tと横方向の引張強さの値Yとの乗算値の平方根√TYの値が0.9(N)以上で且つ1.45(N)以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用紙。
  4. 表面粗さ(SMD)の値が1.900(μm)以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生用紙。
  5. 保湿剤が含有されている
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生用紙。
  6. ティシュペーパーに適用される
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生用紙。
  7. 2プライのティシュペーパーである
    ことを特徴とする請求項6に記載の衛生用紙。
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