JP2021106565A - ライブラリーの製造方法、環状ペプチド、FXIIa結合剤、及びIFNGR1結合剤 - Google Patents

ライブラリーの製造方法、環状ペプチド、FXIIa結合剤、及びIFNGR1結合剤 Download PDF

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JP2021106565A
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裕明 菅
Hiroaki Suga
裕明 菅
敬行 加藤
Takayuki Kato
敬行 加藤
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Abstract

【課題】非天然型アミノ酸を含む多様なペプチドを効率的に製造する方法の提供。【解決手段】2種以上の環状ペプチドを含むライブラリーの製造方法であって、前記ライブラリーに含まれる環状ペプチドの少なくとも一つが、4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有し、前記環状構造内に、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つを含む、環状ペプチドであり、式(1)で表される配列;−(Xaa)n1−(1)[式(1)中、Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−cAAから選択される1種であり、n1は、2〜28の整数である。]を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを準備する工程;前記mRNAライブラリーを用いて、無細胞翻訳系により前記ペプチドを発現させ、ライブラリーを製造する工程;を含む、ライブラリーの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ライブラリーの製造方法、環状ペプチド、FXIIa結合剤、及びIFNGR1結合剤等に関する。
天然産物にはα−アミノ酸以外のβ、γ等の非天然型アミノ酸が存在しており、これらは、生物活性、ペプチダーゼ耐性、標的特異性、さらには膜透過性に寄与することが知られている。
リボソーム翻訳系を用いるペプチド合成においては一般に20個の天然型α−アミノ酸を利用するため、β、γ−アミノ酸等の非天然型のアミノ酸を含む天然に存在するペプチドの製造には、通常、翻訳後修飾又は非リボソームペプチド合成によって得ることが一般的である。
ペプチド鎖へのβ、γ−アミノ酸等のリボソーム取り込みに向けた遺伝暗号操作による手法が検討されてきているが、非天然型のアミノ酸の取り込み効率は本質的に低く、連続的な伸長は不可能と考えられている。
取り込み効率が低い理由としては、リボソームのペプチジル転移酵素中心におけるペプチジル−β−アミノアシル−tRNAと、β−アミノアシル−tRNAとの相溶性が低いため、β‐アミノアシル‐tRNAがEF-Tuによって媒介されるリボソームA部位に緩やかに収容されること、およびβ‐アミノ酸間のペプチジル転移速度が遅いことに主に起因すると考えられている。さらに、遅いペプチジル転移はリボソームの停止及びリボソームからのペプチジルtRNAの脱落を引き起こすと考えられている。
非天然型のアミノ酸の取り込み効率を向上させる方法として、例えば、特許文献1には、翻訳因子EF-Pと組み換えられたtRNAPro1E2とをリボソーム合成に適用する方法が提案されている。特許文献1の方法によると、tRNAPro1E2を用いることにより、特定のD-アミノ酸及び非環状β-アミノ酸の取り込み効率が改善され、ペプチドへの取り込みが7回連続して可能となる。
国際公開第2019/077887号
構造多様性や化合物の物性の改善の観点等から、非天然型アミノ酸を含む多様なペプチドを効率的に製造する方法が求められている。
特許文献1のtRNAを用いる方法によると、D-アミノ酸及び非環状β-アミノ酸といった非天然型アミノ酸の取り込み効率を向上できるとされている。しかしながら、特許文献1においては、上記非天然型アミノ酸以外の非天然型アミノ酸を含むペプチドのリボソーム合成は検討されていない。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、β、γ、及びδ−環状アミノ酸を含む環状ペプチドを、無細胞翻訳系を用いて発現させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、本明細書において、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸をcAAと記載する場合もある。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
2種以上の環状ペプチドを含むライブラリーの製造方法であって、
前記ライブラリーに含まれる環状ペプチドの少なくとも一つが、
4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有し、
前記環状構造内に、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つを含む、環状ペプチドであり、
式(1)で表される配列;
−(Xaa)n1− (1)
[式(1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
n1は、2〜28の整数である。]
を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを準備する工程と;
前記mRNAライブラリーを用いて、無細胞翻訳系により前記ペプチドを発現させ、ライブラリーを製造する工程と;
を含む、
ライブラリーの製造方法。
[2]
2種以上の環状ペプチドを含むライブラリーの製造方法であって、
前記ライブラリーに含まれる環状ペプチドの少なくとも一つが、
4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有し、
前記環状構造内に、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つを含む、環状ペプチドであり、
式(1)で表される配列;
−(Xaa)n1− (1)
[式(1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
n1は、2〜28の整数である。]
を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを準備する工程と;
前記mRNAライブラリーの各mRNAの3'末端にピューロマイシンを結合させ、ピューロマイシン結合mRNAライブラリーを製造する工程と;
前記ピューロマイシン結合mRNAライブラリーを用いて、無細胞翻訳系により前記ペプチドを発現させ、ペプチド−mRNA複合体ライブラリーを製造する工程と;
を含む、
ライブラリーの製造方法。
[3]
無細胞翻訳系が、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種をチャージしたtRNAを含み、前記tRNAが、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNA又はEF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAである、
[1]又は[2]に記載のライブラリーの製造方法。
[4]
無細胞翻訳系が、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種をチャージしたtRNAを含み、前記tRNAが、tRNAPro1E2及びtRNAGluE2から選択される少なくと
も一つである、
[1]〜[3]のいずれかに記載のライブラリーの製造方法。
[5]
式(1)で表される配列を含むペプチドが、式(2);
Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (2)
[式(2)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
n1は、2〜28の整数であり、
mは、0〜10の整数を表す。]
で表される、
[1]〜[4]のいずれかに記載のライブラリーの製造方法。
[6]
β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸が、それぞれ、
式(I-1);
Figure 2021106565
(式(I-1)中、p1は、1〜4のいずれかの整数である。)
式(I-2);
Figure 2021106565
(式(I-2)中、p2は、1〜4のいずれかの整数である。)
式(I-3);
Figure 2021106565
(式(I-3)中、p3は、1又は2の整数である。)
式(I-4);
H2N-Ar-COOH (I-4)
(式(I-4)中、Arは、2価の芳香族基であり、芳香族基における芳香環は1又は複数の置換基により置換されていてもよい。)
により表される、
[1]〜[5]のいずれかに記載のライブラリーの製造方法。
[7]
cAAが、式(1)で表される配列中に2個以上ランダムに含まれる、
[1]〜[6]のいずれかに記載のライブラリーの製造方法。
[8]
cAAが、式(1)で表される配列中に2個以上連続して含まれる、
[1]〜[7]のいずれかに記載のライブラリーの製造方法。
[9]
cAAが、
式(1)で表される配列中に3個以上15個以下連続して含まれ、
(1S,2S)-2-ACPC:
Figure 2021106565
で表されるβ−環状アミノ酸である、
[1]〜[8]のいずれかに記載のライブラリーの製造方法。
[10]
cAAが、
Figure 2021106565
から選択される少なくとも1種のβ−又はγ−環状アミノ酸(i)、及び/又は、
Figure 2021106565
から選択される少なくとも1種のβ−又はγ−環状アミノ酸(ii)であり、
無細胞翻訳系が、
β−又はγ−環状アミノ酸(i)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有するtRNA、及び/又は、
β−又はγ−環状アミノ酸(ii)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有しないtRNAを含む、
を含む、
[1]〜[8]のいずれかに記載のライブラリーの製造方法。
[11]
β−又はγ−環状アミノ酸(i)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有するtRNAが、tRNAPro1E2であり、
β−又はγ−環状アミノ酸(ii)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有しないtRNAが、tRNAGluE2である、
[10]に記載のライブラリーの製造方法。
[12]
4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有する環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩であって、
前記環状構造の4〜30のアミノ酸又はその誘導体のうち2つのアミノ酸又はその誘導体Xaa1及びXaa2は、環状構造を形成するための構造を含み、
前記Xaa1と前記Xaa2とは、2〜28のアミノ酸又はその誘導体から構成されるアミノ酸配列を介して連結した構造を有し、
前記2〜28のアミノ酸又はその誘導体から構成されるアミノ酸配列が、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つ、並びに、任意のアミノ酸又はその誘導体で構成される、
環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[13]
前記環状ペプチドが、式(3);
Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (3)
[式(3)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−環状アミノ酸(cβAA)であり、
Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
n1が、10〜16の整数であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
mは、0〜10の整数を表す。]
により表され、
Xaa1を1番目のアミノ酸とするとき、少なくとも1つのcAAは、5〜9番目に存在する、
[12]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[14]
Xaaの少なくとも1つが、塩基性アミノ酸又はその誘導体である、
[13]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[15]
式(3)中の(Xaa)n1が、f1〜f4から選択されるいずれかである、
[13]又は[14]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
Figure 2021106565
[式中、cAAは、β−環状アミノ酸である。]
[16]
前記環状ペプチドが、式(3-1);
Figure 2021106565
[式(3-1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
cAAは、β−環状アミノ酸であり、
n1aは、3〜8の整数であり、n1bは、2〜8の整数であり(ただしn1aとn1bの合計が、10〜16の整数である)、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaa1は、Phe又はTyrであり、
mは、0〜10の整数を表す。ただし、(Xaa)n1aには、cAAを含まない。]
により表される、
[13]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[17]
Xaaのうち少なくとも1つが、塩基性アミノ酸又はその誘導体である、
[16]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[18]
n1aとn1bとの差(絶対値)が、4以下である、
[16]又は[17]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[19]
前記環状ペプチドが、以下のF1〜F4のいずれかである、
[13]〜[18]のいずれかに記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
Figure 2021106565
[式中、
cAAは、それぞれ独立してβ−環状アミノ酸であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
mは、0〜10の整数を表す。]
[20]
β−環状アミノ酸が、
式(I-1);
Figure 2021106565
(式(I-1)中、p1は、1〜4のいずれかの整数である。)
で表される、
[13]〜[19]のいずれかに記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[21]
前記環状ペプチドが、式(4);
Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (4)
[式(4)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−環状アミノ酸(cAA)であり、
Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
n1が、9〜15の整数であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
mは、0〜10の整数を表す。]
により表され、
Xaa1を1番目のアミノ酸としたとき、少なくとも1つのcAAが、5〜8番目に存在する、
[12]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[22]
式(4)中の(Xaa)n1が、i1-1〜i1-6から選択されるいずれかである、
[21]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
Figure 2021106565
[式中、cAAは、β−環状アミノ酸である。]
[23]
前記環状ペプチドが、式(4-1);
Figure 2021106565
[式(4-1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
cAAは、β−環状アミノ酸であり、
n1aは、3〜7の整数であり、n1bは、5〜8の整数であり(ただしn1aとn1bの合計が、
9〜15の整数である)、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaa1は、Phe又はTyrであり、
mは、0〜10の整数を表す。ただし、(Xaa)n1aには、cAAを含まない。]
により表される、
[21]に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[24]
前記環状ペプチドが、以下のI1-1〜I1-6のいずれかである、
[21]〜[23]のいずれかに記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
Figure 2021106565
[式中、
cAAは、それぞれ独立してβ−環状アミノ酸であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
mは、0〜10の整数を表す。]
[25]
β−環状アミノ酸が、
式(I-1);
Figure 2021106565
(式(I-1)中、p1は、1〜4のいずれかの整数である。)
で表される、
[21]〜[24]のいずれかに記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
[26]
[13]〜[20]のいずれかに記載の環状ペプチド、又はその医薬的に許容可能な塩
を含む、活性化した血液凝固第XII因子(FXIIa)結合剤。
[27]
[21]〜[25]のいずれかに記載の環状ペプチド、又はその医薬的に許容可能な塩
を含む、II型インターフェロン受容体複合体(IFNGR1)結合剤。
本発明によれば、β、γ、及びδ−環状アミノ酸を含む環状ペプチドを含むライブラリーの製造方法を提供することができる。
実施例における、cAAの取込みに用いたtRNAの二次構造を示す図である。aは、tRNAPro1E2 CGGの二次構造である。EF-Pとの結合のためのDアーム構造(D arm motif)は、安定な4塩基対のステムによって閉じられた9塩基のDループを含む。また、EF-Tu結合のT-ステム(T-stem motif)を有する。bは、tRNAGluE2 GAUの二次構造である。EF-Tu結合のT-ステム(T-stem motif)を有し、これはtRNAPro1E2と同一である。cは、開始コドンAUGによるClAcD-Pheの取り込みに用いられたtRNAfMet CAUである。 I、II、III、及びIVは、それぞれ(1R,2R)‐2‐ACPC、(1R,2S)‐2‐ACPC、(1S,2R)‐2‐ACPC及び(1S,2S)‐2‐ACPCをペプチドrP1〜rP10に導入した際のペプチドの発現レベルの結果を示す図である。予めチャージした2-ACPC-tRNAPro1E2 CGGを用いてCCGコドンに2-ACPCを割り当てた。黒いバーはEF-P存在下(EF-P(+))で行った翻訳であり、白いバーはEF-P非存在下(EF-P(-))で行った翻訳である。棒グラフ上の数字は、EF-P非存在下の発現レベルに対するEF-P存在下の比(EF-P(+)/EF-P(-))を示す。EF-P存在下で行った際のEF-Pの濃度は5μMであった。反応時間は30分とした。 a、b、c、d、及びeは、それぞれ、(1R,2R)-2-ACPC、(1R,2S)-2-ACPC、(1S,2R)-2-ACPC、(1S,2S)-2-ACPC、及び2-ACHCをペプチドへ導入した際のトリシンSDS-PAGEの解析結果を示す図である。 a、b、及びcは、それぞれ、(1R,2R)-2-ACPC、(1R,2S)-2-ACPC、(1S,2R)-2-ACPCを含むペプチドのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。EF-P存在下での翻訳におけるEF-Pの濃度は5μMであった。矢印は、所望のペプチドのピークを示す。高分子量側(高m/z側)の矢印は一価のイオン、低分子量側(低m/z側)の矢印は二価のイオンを示す。「Calcd.」は計算値を、「Obsd.」は観測値をそれぞれ表す。N.D.は、検出されなかったことを表す。*は、翻訳系に由来する鋳型の不純物のピークである。 (1S,2S)-2-ACPCを含むペプチドのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。EF-P存在下での翻訳におけるEF-Pの濃度は5μMであった。矢印は、所望のペプチドのピークを示す。スペクトル中の矢印、「Calcd.」、及び「Obsd.」は、図4中のそれらと同義である。N.D.は、検出されなかったことを表す。 (1R,2R)-2-ACHC、(1R,2S)-2-ACHC、(1S,2R)-2-ACHC、及び(1S,2S)-2-ACHCをペプチドrP1又はrP2に導入した際のペプチドの発現レベルの結果を示す図である。予めチャージした2-ACHC-tRNAPro1E2 CGGを用いてCCGコドンに2-ACHCを割り当てた。黒いバーはEF-P存在下(EF-P(+))で行った翻訳であり、白いバーはEF-P非存在下(EF-P(-))で行った翻訳である。棒グラフ上の数字は、EF-P非存在下の発現レベルに対するEF-P存在下の比(EF-P(+)/EF-P(-))を示す。EF-P存在下で行った際のEF-Pの濃度は5μMであった。反応時間は30分とした。N.D.は、検出されなかったことを表す。 e、f、g、及びhは、それぞれ、(1R,2R)-2-ACHC、(1R,2S)-2-ACHC、(1S,2R)-2-ACPC、及び(1S,2S)-2-ACHCを含むペプチドのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。スペクトル中の矢印、「Calcd.」、「Obsd.」、及び*は、図4中のそれらと同義である。 ペプチドrP11、rP12、及びrP13のMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。スペクトル中の矢印、「Calcd.」、「Obsd.」、及び*は、図4中のそれらと同義である。 FXIIa結合ペプチド及びIFNGR1結合ペプチドの血清安定性アッセイの結果を示す図である。F1、F2、F3、F4、I1-6、F1A、F3A、F4A、及びI1-1Aの各々を、ヒト血清中の内部標準ペプチドと37℃で一緒にインキュベートした。0、1、3、9、24、72、144、及び240時間で、標準ペプチドに対する各ペプチドの相対強度をLC/MSによって推定した。0時間での相対強度を100%と定義した。 FXIIaに結合したF3の構造をX線結晶解析で解析した結果を示す図である。aは、スティックモデルで示したF3の全体構造である。水素結合を破線で示した。局所的なターン構造は矢印で示した箇所である。bは、FXIIaとF3との複合体の全体構造である。基質のArg残基(Arg6)を収容するS1ポケットは点線で示した。cは、Asp5-ACHC8セグメントのFXIIaへの結合を示す。dは、F3の分子中央部のFXIIaへの結合を示す。 cis-3-ACBC, trans-3-ACBC, (1R,3S)-3-ACPC, (1R,3S)-3-ACPC, (1S,3R)-3-ACPC), (1S,3S)-3-ACPC, (1R,3R)-3-ACHC、及び(1R,3S)-3-ACHCを含むペプチドのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。スペクトル中の矢印、「Calcd.」、「Obsd.」、及び*は、図4中のそれらと同義である。 Abz誘導体のペプチドrP1へのリボソーム取り込みを示す図である。aは、mRNA (mR1)と対応するペプチド(rP1)の配列を示す。予めチャージしたアミノアシル‐tRNAPro1E2 CGGを用いて、Abz誘導体をCCGコドンに割り当てている。flagは、mR1においてはGACUACAAGGACGACGACGACAAGであり、rP1においてはAsp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lysである(図13及び図14において同様)。bは、Abz誘導体を含むペプチドのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。スペクトル中の矢印、「Calcd.」、「Obsd.」、*は、図4中のそれらと同義である。cは、オートラジオグラフィーにより推定したrP1ペプチドの発現レベルを示す図である。黒いバーはEF-P存在下(EF-P(+))で行った翻訳であり、白いバーはEF-P非存在下(EF-P(-))で行った翻訳である。棒グラフ上の数字は、EF-P非存在下の発現レベルに対するEF-P存在下の比(EF-P(+)/EF-P(-))を示す。 複数のAbzのペプチド(rP2〜rP4)へのリボソーム取り込みを示す図である。aは、mRNA(mR2〜mR4)と対応するペプチド(rP2〜rP4)の配列を示す。bは、オートラジオグラフィーにより推定したペプチド(rP1〜rP4)の発現レベルを示す。N.D.は、検出されなかったことを表す。cは、Abzを含むrP4ペプチドのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。矢印は、所望のペプチドの一価のイオンを示す。「Calcd.」及び「Obsd.」は、図4中のそれらと同義である。 Abz誘導体の環状ペプチド(rP5〜rP10)へのリボソーム取り込みを示す図である。aは、mRNA(mR5〜mR10)と対応する環状ペプチド(rP5〜rP10)の配列を示す。D-Cysのチオール基はN末端のクロロアセチル基とチオエーテル結合を形成する。bは、ペプチド(rP5-rP10)のMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。スペクトル中の矢印、「Calcd.」、「Obsd.」、*は、図4中のそれらと同義である。 Abz又はAbz5OMeを含むrP8ペプチドの構造を示す図である。 実施例における、cAAの取込みに用いたμhRNA及びtRNAの二次構造を示す図である。aは、μhRNAの二次構造である。bは、tRNAPro1E2 CGGの二次構造である。EF-Pとの結合のためのDアーム構造(D arm motif)は、安定な4塩基対のステムによって閉じられた9塩基のDループを含む。また、EF-Tu結合のT-ステム(T-stem motif)を有する。アンチコドンループの配列は、表14に記載するように別のコドンをデコードするために適宜変更される。cは、開始コドンAUGによるClAcD-Tyr及びClAcD-Pheの取り込みに用いられたtRNAfMet CAUである。dは、CCGコドンによる(1S,2S)-2-ACPCの取り込みに用いられたtRNAGluE2 CGGである。 a、b、c、及びdは、それぞれ、Abz、Abz5OH、Abz5OMe、及びAbz5Fの無水物を用いてμhRNAをアミノアシル化した際の酸変性PAGEの解析結果を示す図である。各バンドは、エチジウムブロマイド染色によって検出された。中央の矢印は、所望のモノアミノアシルμhRNAを、上方と下方の矢印は、それぞれ、マルチアミノアシルμhRNA及び未反応のμhRNAの位置を示す。 a、b、c、及びdは、それぞれ、Abz、Abz5OH、Abz5OMe、及びAbz5Fを用いてアミノアシル化した際のアミノアシルμhRNAのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。左から2番目の最大ピークを指す矢印は、所望の所望のモノアミノアシルμhRNAのピークを示す。より高分子量側(高m/z側)の矢印は、マルチアミノアシルμhRNAを示し、より低分子量側(低m/z側)の矢印は未反応のμhRNAを示す。「Calcd.」及び「Obsd.」は、図4中のそれらと同義である。†は、カリウム付加物を示す。 a、b、c、及びdは、それぞれ、Apy、Atp、Atz、及び3NAbzのシアノメチルエステル(CME)とフレキシザイム(eFx)を用いてμhRNAをアミノアシル化した際の酸変性PAGEの解析結果を示す図である。上方と下方の矢印は、それぞれ、所望のアミノアシルμhRNA及び未反応のμhRNAの位置を示す。 a、b、c、及びdは、それぞれ、Apy、Atp、Atz、及び3NAbzを用いてアミノアシル化した際のアミノアシルμhRNAのMALDI-TOF MSスペクトルを示す図である。高分子量側(高m/z側)の矢印は所望の所望のモノアミノアシルμhRNAを示す。低分子量側(低m/z側)の矢印は未反応のμhRNAを示す。「Calcd.」及び「Obsd.」は、図4中のそれらと同義である。*及び†は、それぞれ、ナトリウム付加物及びカリウム付加物を示す。 図12cにおけるAbz誘導体を含むrP1ペプチドのトリシンSDS-PAGE分析の結果を示す。 図13bにおけるAbzを含むペプチド(rP1〜rP4)のトリシンSDS-PAGE分析の結果を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ライブラリーの製造方法>
本発明は、2種以上の環状ペプチドを含むライブラリーの製造方法である。
本発明におけるライブラリーに含まれる環状ペプチドの少なくとも一つは、
4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有し、
前記環状構造内に、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つを含む、環状ペプチドである。
本発明のライブラリーの製造方法の一つは、
式(1)で表される配列;
−(Xaa)n1− (1)
[式(1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
n1は、2〜28の整数である。]
を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを準備する工程と;
前記mRNAライブラリーを用いて、無細胞翻訳系により前記ペプチドを発現させ、ライブラリーを製造する工程と;
を含む。
また、本発明のライブラリーの製造方法の一つは、
式(1)で表される配列;
−(Xaa)n1− (1)
[式(1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
n1は、2〜28の整数である。]
を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを準備する工程と;
前記mRNAライブラリーの各mRNAの3'末端にピューロマイシンを結合させ、ピューロマイシン結合mRNAライブラリーを製造する工程と;
前記ピューロマイシン結合mRNAライブラリーを用いて、無細胞翻訳系により前記前駆体ペプチドを発現させ、ペプチド−mRNA複合体ライブラリーを製造する工程と;
を含む。
ペプチド鎖中にβ−アミノ酸残基やγ−アミノ酸残基が存在する場合、その安定したらせん状性質のために、独特の折りたたみ構造を形成することができる。さらに、β−アミノ酸は、γ−ターンやβ−ターンのようなペプチドのターン構造を誘導することもできる。特に環状のβ‐、γ−アミノ酸(cβAA、cγAAとも記載する)は、特に強いヘリックス/ターンインデューサーとして作用する。したがって、環状のβ‐、γ−アミノ酸を環状ペプチドに導入することができれば、環状アミノ酸に剛性を発現させる可能性がある。本発明のライブラリーの製造方法によれば、環状のβ‐、γ−アミノ酸等の環状アミノ酸を含む環状ペプチドを取得することができる。
本発明者らは、今回新たに、非天然型のβ−又はγ−アミノ酸であり、なおかつ、嵩高く、リジッドな構造を有する環状アミノ酸においてもリボソーム合成が適用できることを見出した。
本明細書において、「環状ペプチド」とは、4以上のアミノ酸により形成される環状構造を分子内に少なくとも有するペプチドを意味する。環状ペプチドの分子構造として、環状構造以外に、アミノ酸がペプチド結合により連結した鎖状構造を有していてもよく、また、ペプチド構造以外の構造を有していてもよい。
本明細書において、「環状構造」とは、直鎖状ペプチドにおいて、2アミノ酸残基以上離れた2つのアミノ酸によって分子内に形成される閉環構造を意味する。
本明細書において、「2アミノ酸残基以上離れた」とは、2つのアミノ酸の間に少なくとも2残基のアミノ酸が存在することを意味する。
本明細書において、「ライブラリー」とは、2種以上の環状ペプチドを含む、環状ペプチドの群を指す。
本発明における環状ペプチドは、β−環状アミノ酸(cβAA)、γ−環状アミノ酸(cγAA)、δ−環状アミノ酸(cδAA)の少なくとも1種のcAAを含む。また、本発明における環状ペプチドは、さらに天然アミノ酸(本明細書において、単に「アミノ酸」ともいう)に加え、人工のアミノ酸変異体及び/又は誘導体(本明細書において「アミノ酸の誘導体」ともいう)を含んでいてもよい。
本発明における環状ペプチドを構成するアミノ酸としては、例えば、天然タンパク質性L−アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物等が挙げられる。
タンパク質性アミノ酸(proteinogenic amino acids)は、当業界に周知の3文字表記により表すと、Arg、His、Lys、Asp、Glu、Ser、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Ala、Ile、Leu、Met、Phe、Trp、Tyr、及びValである。また、タンパク質性アミノ酸は、当業界に周知の1文字表記により表すと、R、H、K、D、E、S、T、N、Q、C、G、P、A、I、L、M、F、W、Y、及びVである。
非タンパク質性アミノ酸(non-proteinogenic amino acids)としては、タンパク質性アミノ酸以外の天然又は非天然のアミノ酸を意味する。
非天然アミノ酸としては、例えば、主鎖の構造が天然型と異なる、α,α−二置換アミノ酸(α−メチルアラニン等)、N−アルキルアミノ酸、D−アミノ酸、β−アミノ酸(ここでいうβ−アミノ酸は、cβAA以外のアミノ酸である。)、α−ヒドロキシ酸、側鎖の構造が天然型と異なるアミノ酸(ノルロイシン、ホモヒスチジン等)、側鎖に余分なメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸、ホモフェニルアラニン、ホモヒスチジン等)、及び、側鎖中のカルボン酸官能基がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸等)等が挙げられる。非天然アミノ酸の具体例としては、国際公開第2015/030014号に記載のアミノ酸が挙げられる。
本発明におけるアミノ酸の誘導体としては、アルキル基がα位のアミノ基に結合したアミノ酸である、N−アルキル−α−アミノ酸が好適に挙げられる。
環状構造を形成するアミノ酸残基の数は4以上であれば特に限定されないが、例えば、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上であってもよい。環状構造を形成するアミノ酸残基の数は30以下であれば特に限定されないが、25以下、20以下、17以下、15以下であってもよい。
環状構造を形成するアミノ酸の数は、通常5以上30以下であり、5以上30以下の範囲内で、環状構造を形成するアミノ酸の数を6以上、8以上、10以上としてもよく、30以下、25以下、20以下、15以下としてもよい。環状構造を形成するアミノ酸の数を5以上30以下の範囲とすることにより、ライブラリーを構成する環状ペプチドの多様性が担保される傾向にある。
環状構造を形成するアミノ酸の数は、8以上20以下としてもよく、8以上17以下としてもよく、9以上17以下としてもよく、10以上15以下としてもよく、10以上13以下としてもよい。
環状構造を形成するアミノ酸の数は、環状ペプチドの折りたたみ構造の発現等の機能性の観点から、好ましくは9以上25以下、より好ましくは10以上20以下、さらに好ましくは10以上18以下である。
本発明において、環状ペプチドは、リン酸化、メチル化、アセチル化、アデニリル化、ADPリボシル化、糖鎖付加、及びポリエチレングリコールの付加等の修飾が加えられたものであってもよく、他のペプチド及び/又はタンパク質と融合させたものであってもよい。また、環状ペプチドは、適当なリンカーを介して、ビオチン化や標識化されていてもよい。
また、本発明において、環状ペプチドは、2つの、1つの環状構造を有する環状ペプチドがリンカー構造を介して結合した分子内に2つの環状構造を有する二量体であってもよく、分子内でラクタム構造を形成した分子内ラクタムブリッジ構造を有していてもよい。
2つの環状ペプチドを繋ぐリンカー構造としては、特に限定されず、ペプチド合成分野においてペプチド同士を繋ぐリンカーとして周知の構造のものを採用することができる。
分子内ラクタムブリッジ構造は、環状ペプチドを構成するアミノ酸の側鎖同士が結合することによって形成されてよく、例えば、Lysの側鎖のアミノ基と、Asp又はGluの側鎖のカルボキシル基が結合して、ペプチド結合を形成することにより、分子内ラクタム構造が形成され、環状ペプチドは、分子内にブリッジ構造として、もう1つの環構造を有する。Lysに代えて、例えば、DAP、DAB、及びOrnがAsp又はGluと結合していてもよい。
本発明におけるcAAは、例えば、式(I)により表すことができる。
Figure 2021106565
式(I)中、環Cは、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。また、環Cは、芳香環であってもよい。さらに、環Cは、架橋構造を有していてもよい。
qは、0、1又は2のいずれかの整数である。qが0であるとき、カルボン酸基が結合する炭素とアミノ基が結合する炭素とは、単結合を形成する。
リボソーム合成により環状ペプチドへの導入を円滑に行うために、環Cは、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素環であることが好ましい。
本発明におけるcβAAは、式(I-1)により表されることが好ましい。
Figure 2021106565
式(I-1)中、p1は、1〜4のいずれかの整数であり、好ましくは1〜3のいずれかの整数である。
本発明におけるcγAAは、式(I-2)により表されることが好ましい。
Figure 2021106565
式(I-2)中、p2は、1〜4のいずれかの整数であり、好ましくは1〜3のいずれかの整数である。
本発明におけるcδAAは、式(I-3)により表されることが好ましい。
Figure 2021106565
式(I-3)中、p3は、1又は2の整数であり、好ましくは1である。
本発明におけるcβAA、cγAA、又はcδAAといったcAAは、式(I-4)により表されることが好ましい。
H2N-Ar-COOH (I-4)
式(I-4)中、Arは、2価の芳香族基であり、芳香族基における芳香環は1又は複数の置換基により置換されていてもよい。
ここで、Arが2価の芳香族基であるとは、環Cが芳香環である場合であって、芳香環の2つの結合手の一方がアミノ基(NH2)と結合し、2つの結合手の他方がカルボキシル基(COOH)と結合していることを意味する。
芳香環の2つの結合手は、少なくともNH2とCOOHと結合しているが、残る結合手は、水素原子と結合していてもよく、1又は複数の置換基と結合していてもよい。
芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン等であってもよく、1又は複数の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等と炭素原子とからなる芳香族ヘテロ環であってもよい。
芳香環が、芳香族ヘテロ環である場合には、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、フラン、ピラン、チオフェン等の1又は複数の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環化合物であってよく、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン等の縮合環化合物であってもよい。
芳香環に1又は複数の置換基がある場合には、置換基の数は、1、2、3、又は4であってよく、1〜3であってよく、1又は2であってよく、1であってもよい。
置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、水酸基、アミノ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、及び炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、アルケニル基又はアルキニル基等が挙げられる。
芳香環は、特に限定されないが、例えば、5員又は6員の環であってよい。
芳香環が6員環である場合、NH2とCOOHとがオルト位にある場合、cβAAであり、メタ位にある場合、cγAAであり、パラ位にある場合、cδAAである。言い換えると、芳香環が6員環である場合、NH2とCOOHとが1位と2位にある場合、cβAAであり、1位と2位にある場合、cγAAであり、1位と3位にある場合、cδAAである。
また、芳香環が5員環である場合、NH2とCOOHとが1位と2位にある場合、cβAAであり、1位と3位にある場合、cγAAである。
これまで芳香族アミノ酸の一種である2−アミノ安息香酸(Abz)のリボソーム取り込みはペプチドのN末端でのみ達成されていたが、本発明により、芳香族アミノ酸をN末端ではない部位に取り込んだとしてもリボソーム伸長を図ることができる。すなわち、本発明によれば、芳香族アミノ酸を伸長の間の構成単位としてペプチド鎖に取り込むことができる。
本発明の製造方法における環状ペプチドは、式(1)で表される配列を含む。
−(Xaa)n1− (1)
式(1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
n1は、2〜28の整数である。
本発明におけるcAAは、以下の構造により表されることがより好ましい。
Figure 2021106565
本発明における環状ペプチドの閉環構造は特に限定されないが、2つのアミノ酸が、共有結合することにより形成される。
2つのアミノ酸間の共有結合としては、例えば、ジスルフィド結合、ペプチド結合、アルキル結合、アルケニル結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ホスホネートエーテル結合、アゾ結合、C−S−C結合、C−N−C結合、C=N−C結合、アミド結合、ラクタム架橋、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、アミン結合、及びチオアミド結合等が挙げられる。
2つのアミノ酸がアミノ酸の主鎖において結合する場合、ペプチド結合により閉環構造が形成される。また、2つのアミノ酸間の共有結合は、2つのアミノ酸の側鎖同士、又は、2つのアミノ酸の側鎖と主鎖との結合等により、形成されてもよい。
環状構造は、直鎖状ペプチドのN末端とC末端のアミノ酸の結合に限られず、末端のアミノ酸と末端以外のアミノ酸との結合、又は末端以外のアミノ酸同士の結合により形成されてもよい。環状構造を形成のために結合するアミノ酸の一方が末端アミノ酸で、他方が非末端アミノ酸である場合、環状ペプチドは、環状構造に直鎖のペプチドが尾のように付いた構造を有する。
また、閉環構造としては、例えば、以下の官能基1を有するアミノ酸と、対応する官能基2を有するアミノ酸を、環形成アミノ酸として含めることにより、自発的な反応によって翻訳合成されたペプチドを環状化することができる。官能基1と2はどちらがN末端側に配置してもよく、N末端とC末端に配置してもよい。また、官能基1と2の配置としては、一方を末端アミノ酸、他方を非末端アミノ酸としてもよく、両方を非末端アミノ酸としてもよい。
Figure 2021106565
本発明における環状ペプチドは、式(2)により表されることが好ましい。したがって、本発明の製造方法では、式(2)により表されるペプチドをコードするmRNAライブラリーを用いることが好ましい。
Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (2)
式(2)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
n1は、2〜28の整数であり、
mは、0〜10の整数を表す。
Xaa1とXaa2との間には、上述した、ジスルフィド結合、ペプチド結合、アルキル結合、アルケニル結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ホスホネートエーテル結合、アゾ結合、C−S−C結合、C−N−C結合、C=N−C結合、アミド結合、ラクタム架橋、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、アミン結合、及びチオアミド結合等の共有結合が形成されることが好ましい。これらの結合の中でも、チオエーテル結合がより好ましい。
Xaa1とXaa2との間にチオエーテル結合が形成される場合、Xaa1は、N-クロロアセチルフェニルアラニン(ClAcPhe)又はN-クロロアセチルチロシン(ClAcTyr)であることが好ましく、N-クロロアセチル-D-フェニルアラニン(ClAcD-Phe)又はN-クロロアセチル-D-チロシン(ClAcD-Tyr)であることがより好ましい。また、Xaa2は、システインであることが好ましく、D-システイン(D-Cys)であることがより好ましい。
Xaa1とXaa2との間にチオエーテル結合が形成される場合、本発明における環状ペプチド
は、好ましくは以下の式(2')により表される。
Figure 2021106565
式(2')、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、
及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
Xaa1は、好ましくはフェニルアラニン又はチロシンであり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
n1は、2〜28の整数であり、
mは、0〜10の整数を表す。
本発明の製造方法においては、式(1)で表される配列を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーから、無細胞翻訳系を用いて、式(1)で表される配列を含むペプチドを発現させる。ここでmRNAライブラリーは、市販品等から入手することにより準備してもよく、調製することにより準備してもよい。例えば、mRNAライブラリーを調製する場合、Chemistry & Biology 18, 1562-1570 (2011)及び/又はChemistry & Biology 21, 766-774 (2014)に記載の方法に準拠してDNAライブラリーを得て、当該DNAライブラリーを試験管内で転写することでmRNAライブラリーを調製すればよい。
mRNAライブラリーは、コドンとして、複数のN1N2N3を有するmRNAを含む。
本明細書において、「N1N2N3」は、任意のアミノ酸を指定するコドンを意味し、例えばN1、N2及びN3は、それぞれ独立に、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)及びウラシル(U)から選択される。1つのmRNAには、N1N2N3が複数含まれているが、それぞれのN1、N2及びN3はそれぞれ独立に選択される。したがって、例えば、mRNAに、−N1N2N3−N1N2N3−が含まれる場合、それぞれ2つのN1、N2及びN3は、互いに同一であっても異なってもよい。
本発明においては、式(1)で表される配列−(Xaa)n1−を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを用いるため、少なくとも−(N1N2N3)n1−で表されるmRNAを含むことが好ましい。
本発明においては、N1N2N3には、任意のアミノ酸が再割当されるが、少なくとも1つのN1N2N3にcAAが再割り当てされる。再割当においては、天然の遺伝暗号表におけるコドンとアミノ酸の関係とは異なるものを割り当てることもでき、同一の関係を割り当てることもできる。本明細書において、「天然の遺伝暗号表」とは、生体においてmRNAのトリプレットからなる遺伝暗号が表すアミノ酸を示した表をいう。天然の遺伝暗号表においてN1N2N3は、以下のアミノ酸を示す。
Figure 2021106565
mRNAライブラリーは、複数のN1N2N3として、例えば、複数のN1N2K、複数のN1N2S、複数のN1N2M、複数のN1N2W、複数のN1N2A、複数のN1N2U、複数のN1N2C、複数のN1N2Gのいずれかを含むmRNAを含むものであってもよい。本明細書において、N1及びN2は前記と同義であり、Kはそれぞれ独立にウラシル(U)、グアニン(G)のいずれかであり、Sはそれぞれ独立にシトシン(C)、グアニン(G)のいずれかであり、Mはそれぞれ独立にアデニン(A)、シトシン(C)のいずれかであり、Wはそれぞれ独立にアデニン(A)、ウラシル(U)のいずれかである。
以下、便宜的に、mRNAライブラリーが複数のN1N2Kを含むmRNAを含む場合、すなわちmRNAライブラリーがN1N2N3としてN1N2Kをコドンとして複数含むmRNAを含む場合を例に挙げて本発明を説明するが、その他のmRNAライブラリーを用いた場合でも、翻訳されたペプチドライブラリーに含まれるペプチドがプレニル化する限りは同様に実施可能である。天然の遺伝暗号表においてN1N2Kは、上記表の右欄がG又はUである場合の20種のアミノ酸を示す。
また、本明細書においては、例えば、天然の遺伝暗号表のとおりにUUGにはLeuを割り当ててもよいし、コドンを再割当することによりLeu以外のアミノ酸を割り当ててもよい。「N1N2K」コドンには、あらゆるアミノ酸を割り当てることができる。「コドンにアミノ酸を割り当てる」とは、あるコドンがそのアミノ酸をコードするように遺伝暗号表を書き換えることを意味する。本明細書においては、「コドンにアミノ酸を割り当てる」と「コドンを再割当する」とは同義で用いられる。
各コドンに対する、天然の遺伝暗号表とは異なるアミノ酸の割り当ては、例えば、人工アミノアシル化RNA触媒フレキシザイム(Flexizyme)を利用したコドン再割当によって実現される。フレキシザイムによれば、任意のアンチコドンを有するtRNAに所望のアミノ酸を結合させることができるため、任意のコドンに任意のアミノ酸を割り当てることが可能となる。フレキシザイムについては後述する。本明細書においては、tRNAにアミノ酸を結合させることを、アミノ酸をtRNAにチャージする、tRNAをアミノアシル化する、又は、アミノ酸でtRNAをアシル化する、という場合もある。
本発明においては、「N1N2K」に、cAAが割り当てられ、また、cAA以外の非タンパク質性アミノ酸を割り当ることもできる。mRNAに「N1N2K」が2以上含まれる場合、すべてをcAAあるいは非タンパク質性アミノ酸に割り当ててもよく、一部をcAAあるいは非タンパク質性アミノ酸に割り当ててもよい。
本発明における無細胞翻訳系とは、細胞を含まない翻訳系を指し、より具体的には細胞から抽出したタンパク質合成機能を利用して目的のペプチド又はタンパク質を試験管内で合成する系を指す。無細胞翻訳系としては、例えば、大腸菌抽出液、小麦胚芽抽出液、ウサギ赤血球抽出液、昆虫細胞抽出液等を用いることができる。また、無細胞翻訳系としては、それぞれ精製した、リボソームタンパク質、アミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)、リボソームRNA、アミノ酸、rRNA、GTP、ATP、翻訳開始因子(IF)伸長因子(EF)、終結因子(RF)、及びリボソーム再生因子(RRF)、並びに翻訳に必要なその他の因子を再構成することで構築した、再構成型の無細胞翻訳系を用いてもよい。
DNAからの転写を併せて行うためにRNAポリメラーゼを含む系としてもよい。市販されている無細胞翻訳系として、大腸菌由来の系としてはロシュ・ダイアグノスティックス社のRTS-100(登録商標)、再構成型翻訳系としてはPGI社のPURESYSTEM(登録商標)やNew England BioLabs社のPURExpressR In Vitro Protein Synthesis Kit等、小麦胚芽抽出液を用いた系としてはゾイジーン社やセルフリーサイエンス社のもの等を使用できる。
また、大腸菌のリボソームを用いる系として、例えば次の文献に記載された技術が公知である:H. F. Kung et al., 1977. The Journal of Biological Chemistry Vol. 252, No. 19, 6889-6894; M. C. Gonza et al., 1985, Proceeding of National Academy of Sciences of the United States of America Vol. 82, 1648-1652; M. Y. Pavlov and M. Ehrenberg, 1996, Archives of Biochemistry and Biophysics Vol. 328, No. 1, 9-16; Y. Shimizu et al., 2001, Nature Biotechnology Vol. 19, No. 8, 751-755; H. Ohashi et al., 2007, Biochemical and Biophysical Research Communications Vol. 352, No. 1, 270-276。無細胞翻訳系によれば、発現産物を精製することなく純度の高い形で得ることができる。なお、本発明の無細胞翻訳系は、転写に必要な因子を加えて、翻訳のみならず転写に用いてもよい。
本発明において、無細胞翻訳系によりペプチドの発現をさせることは、例えば、Goto, Y., Katoh, T. & Suga, H. Flexizymes for genetic code reprogramming. Nat Protoc 6, 779-790, (2011)に記載の方法に準拠して、Flexible In vitro Translationシステム(FITシステム)により行うことができる。
本発明における無細胞翻訳系は、得られる環状ペプチド内にcAAを含むものとするために、cAAをチャージしたtRNAを含むことが好ましい。
本発明者らが、リボソーム合成によって環状ペプチド内へcAAを導入する方法について検討した結果、cAAの種類に応じてチャージするtRNAを選択し、そのcAAをチャージしたtRNAを用いることにより、cAAを含む環状ペプチドを効率的に取得できることを見出した。
cAAをチャージさせるtRNAは、翻訳因子であるEF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNA又はEF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAを用いることができる。cAAをチャージさせるtRNAとしては、上記tRNAのいずれも用いることができるが、cAAの種類に応じて適宜選択される。したがって、本発明における無細胞翻訳系は、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種をチャージした、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNA又はEF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAを含むことが好ましい。
EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAとしては、例えば、国際公開第2019/077887号に記載のtRNAを用いることができる。
EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAとしては、具体的には、N1N2GCN3N4N5N6N7N8N9N10N11GCN12N13(配列番号1)の塩基配列を含有するtRNAが挙げられる。N1〜N13は、それぞれ任意の塩基を示し、N3〜N11はDループを形成し、N1N2GCが、N13N12CGと塩基対を形成する。N1N2とN12N13が塩基対を形成する限り、任意の塩基を選択し得るが、N1はGであり、N13はCであることが好ましい。
また、N2はCであり、N12はGであることが好ましい。
配列番号1で示される塩基配列は、DループとDステムからなるDアームであり、配列番号1で示される塩基配列をtRNAに導入することにより、EF-Pペプチドによるぺプチジルトランスファーを促進する傾向にある。
配列番号1で示される塩基配列を含有するtRNAにおける、他の構造、すなわち、アクセプターステム、アンチコドンステム、アンチコドンループ、バリアブルループ、Tアームの塩基配列は、任意である。アンチコドンループは、cAAを割り当てるコドンに対応した塩基配列を適宜有していればよい。tRNAの3'末端は、CCA配列を有し、cAAと結合する。
配列番号1で示される塩基配列は、配列番号3で示される塩基配列であること好ましい。
GCGCN3N4N5N6N7N8N9N10N11GCGC(配列番号3)
配列番号3において、N3〜N11は、前記と同義であり、GCGCが、CGCGと塩基対を形成する。
配列番号1及び配列番号3におけるN3〜N11の塩基配列は、配列番号4で示される塩基配列であることが好ましい。
AGCCUGGUA(配列番号4)
配列番号4で示される塩基配列は、tRNAにおけるDループを形成する。
配列番号4においては、1又は複数の塩基が置換されていてもよい。
塩基が複数置換されるとは、Dループを形成する9個の塩基において、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個の塩基が置換されていてもよいことを意味し、1〜4個の塩基が置換されていてもよく、1〜3個の塩基が置換されていてもよく、1〜2個の塩基が置換されていてもよく、1個の塩基が置換されていてもよい。
配列番号1で示される塩基配列は、配列番号5で示される塩基配列であること好ましく、配列番号6で示される塩基配列であることが好ましい。
N1N2GCGCAGCCUGGUAGCGCN12N13(配列番号5)
配列番号5において、N1、N2、N12及びN13は、前記と同義であり、N1N2GCが、N13N12CGと塩基対を形成する。
GCGCGCAGCCUGGUAGCGCGC(配列番号6)
配列番号5及び配列番号6においては、1又は複数の塩基が置換されていてもよい。配列番号5及び6において塩基が複数置換されるとは、Dループを形成する9個の塩基を示す配列番号4において、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個の塩基が置換されていてもよいことを意味し、1〜4個の塩基が置換されていてもよく、1〜3個の塩基が置換されていてもよく、1〜2個の塩基が置換されていてもよく、1個の塩基が置換されていてもよい。
EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNA、及び、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAは、共に配列番号2で示される塩基配列を含有していてもよい。
AGGGG(N14)mCCCCU(配列番号2)
配列番号2において、N14は、任意の塩基を示し、mは、1以上の整数であり、(N14)mはTループを形成し、AGGGGが、UCCCCと塩基対を形成する。
アミノアシルtRNAのTステムは、EF-Tuタンパク質との相互作用を調節し、非タンパク質性アミノ酸の取り込みを増強する。配列番号2で示される塩基配列は、TループとTステムからなるTアームであり、配列番号2で示される塩基配列をtRNAに導入することにより、cAAを環状ペプチドに導入するにあたり、EF-Tuタンパク質によるアコモデーションが促進される傾向にある。
mは、(N14)mはTループを形成する限り特に限定されないが、2、3、4、5、6、7、8、9、10の整数であればよく、6〜8の整数であることが好ましい。
(N14)mは、tRNAGluE2のTループに由来する配列番号7で示される塩基配列であることが好ましい。
UUCGAAU(配列番号7)
配列番号7においては、1又は複数の塩基が置換されていてもよい。塩基が複数置換されるとは、Tループを形成する7個の塩基において、2個、3個、4個、5個、6個、7個の塩基が置換されていてもよいことを意味し、1〜3個の塩基が置換されていてもよく、1〜2個の塩基が置換されていてもよく、1個の塩基が置換されていてもよい。
配列番号2において、塩基対を形成するAGGGGとUCCCCとは、Tステムを形成する。Tステムを形成する塩基配列において、塩基対を形成する限り、1又は複数の塩基が置換されていてもよい。
配列番号2のTステムにおいて塩基が複数置換されるとは、Tステムを形成する10個の塩基において、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の塩基が置換されていてもよいことを意味し、2個の塩基が置換されていてもよく、4個の塩基が置換されていてもよく、6個の塩基が置換されていてもよく、塩基対を形成する限り、1個、3個、5個の塩基が置換されていてもよい。
本発明において、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAを用いる場合、好適なtRNAとしては、EF-Pタンパク質によるペプチジルトランスファーの促進作用及びEF-Tuタンパク質によるアコモデーションの促進作用を発揮させるために、配列番号1で示される塩基配列と配列番号2で示される塩基配列の双方を含有する。
EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAは、好適には、tRNAPro1及びtRNAGluE2のキメラであり、かかるtRNAを、本明細書においては、tRNAPro1E2と呼ぶ。
EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAは、具体的には、tRNAGluE2のTステムがtRNAPro1に導入されていることが好ましい。
本発明において、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAを用いる場合、好適なtRNAとしては、EF-Tuタンパク質によるアコモデーションの促進作用を発揮させるために、配列番号2で示される塩基配列を含有する。
EF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAは、好適には、tRNAGluE2である。
したがって、本発明のライブラリーの製造方法における無細胞翻訳系の好ましい態様の一つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種をチャージしたtRNAを含み、前記tRNAが、tRNAPro1E2及びtRNAGluE2から選択される少なくとも一つである態様である。また、cAAが、芳香族アミノ酸である場合には、前記tRNAが、tRNAPro1E2であることが好ましい態様である。
EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNA及びEF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAにおいて、配列番号1及び/又は配列番号2以外の塩基配列については、野生型tRNAに由来する配列であってもよく、大腸菌由来野生型tRNAに由来する配列であってもよく、in vitroの転写で調製した人工tRNAであってもよい。
本発明のライブラリーの製造方法における式(1)で表される配列は、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸から選択される少なくとも1つのcAAを含んでいればよい。
2個以上のcAAを含むとき、cAAは、式(1)で表される配列中に2個以上ランダムに含まれていてもよく、式(1)で表される配列中に2個以上連続して含まれていてもよい。ここで、本明細書において、cAAが式(1)で表される配列中に2個以上ランダムに含むとは、少なくとも2つのcAAが式(1)の配列の任意の位置に含み、且つ、2個以上のcAAが隣接していない態様を指す。したがって、2個以上のcAAを含むとき、2個以上のcAAのそれぞれには、cAA以外の、アミノ酸又はその誘導体が隣接して結合する。
式(1)で表される配列中にcAAを少なくとも1つ含む場合、cAAの種類は特に制限されないが、好ましくは、式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)、及び式(I-4)のいずれかのcAAであることが好ましく、式(I-1)、及び式(I-2)のいずれかのcAAであることがより好ましく、式(I-4)のcAAであることがより好ましく、以下の構造により表されることがさらに好ましい。また、式(1)で表される配列中にcAAを2個以上ランダムに含む場合、cAAの種類は特に制限されないが、好ましくは、式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)、及び式(I-4)のいずれかのcAAであることが好ましく、式(I-1)、式(I-2)、及び式(I-4)のいずれかのcAAであることがより好ましく、以下の構造により表されることがさらに好ましい。
cAAを2個以上ランダムに含む場合、式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)、及び式(I-4)のいずれかのcAAの任意の組み合わせであり得るが、式(I-1)のみの2個以上の組み合わせであってよく、式(I-2)のみの2個以上の組み合わせであってよく、式(I-3)のみの2個以上の組み合わせであってよく、式(I-4)の2個以上の組み合わせであってもよい。
Figure 2021106565
式(1)で表される配列中にcAAを2個以上連続して含む場合、2個連続のcAAの種類は特
に制限されないが、好ましくは、式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)、及び式(I-4)のいずれかのcAAであることが好ましく、式(I-1)、式(I-2)、及び式(I-4)のいずれかのcAAであることがより好ましく、式(I-1)のcAAであることがさらに好ましく、式(I-4)のcAAであることがさらに好ましく、以下の構造により表されることがさらに好ましい。
Figure 2021106565
ここで、式(1)で表される配列中にcAAを2個以上連続して含むとき、式(1)で表される配列中に−cAA−cAA−で表されるユニットを少なくとも一つ含んでいればよく、その他にもcAAを含んでいてもよい。その他にも含まれるcAAは、特に制限されないが、式(1)で表される配列中にcAAを2個以上ランダムに含む場合のcAAと同様の好ましい態様が挙げられる。
また、ここで、式(1)で表される配列中にcAAを2個以上連続して含むとき、その連続したcAAの数は2であることが好ましい。
式(1)で表される配列中にcAAを3個以上連続して含む場合、cAAは、好ましくは式(I-1)のcAAであり、より好ましくは(1S,2S)-2-ACPCである。cAAとして(1S,2S)-2-ACPCを用いることにより、より効率的に環状ペプチド内へのcAAの連続的取込みを行える傾向にある。(1S,2S)-2-ACPCの折りたたみは、4残基程度で発現されるため(Kwon, S., Jeon, A., Yoo, S. H., Chung, I. S. & Lee, H. S. Unprecedented molecular architectures by the controlled self-assembly of a β-peptide foldamer. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 49, 8232-8236 (2010)、及び、Kim, J. et al. Microtubes with rectangular cross-section by self-assembly of a short β-peptide foldamer. J. Am. Chem. Soc. 134, 20573-20576, (2012)参照)、特に4個以上の(1S,2S)-2-ACPCを連続して含む環状ペプチドは、らせん構造に折りたたまれると考えられる。以上のように、本発明によれば、折りたたみ分子を生化学的に合成することができる。
ここで、式(1)で表される配列中にcAAを3個以上連続して含むとき、式(1)で表される配列中に−cAA−cAA−cAA−で表されるユニットを少なくとも一つ含んでいればよく、その他にもcAAを含んでいてもよい。その他にも含まれるcAAは、特に制限されないが、式(1)で表される配列中にcAAを2個以上ランダムに含む場合のcAAと同様の好ましい態様が挙げられる。
Figure 2021106565
(1S,2S)-2-ACPCを3個以上連続して含む場合、その導入数の上限は特に制限されないが、好ましくは15以下であり、より好ましくは12以下であり、さらに好ましくは10以下である。
上述したように、環状ペプチド内へのcAAの導入を効率的に行う観点から、cAAの種類に応じてチャージするtRNAを選択することが好ましい。
以下に示されるcAA(以下をまとめてβ−又はγ−環状アミノ酸(i)という)は、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAにチャージさせることが好ましく、tRNAPro1E2にチャージさせることがより好ましい。
Figure 2021106565
以下に示されるcAA(以下をまとめてβ−又はγ−環状アミノ酸(ii)という)は、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAにチャージさせることが好ましく、tRNAGluE2にチャージさせることがより好ましい。
Figure 2021106565
本発明における無細胞翻訳系は、構成する成分の種類や濃度を適宜調整してもよい。
例えば、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAを用いる場合、具体的には、β−又はγ−環状アミノ酸(i)をチャージしたEF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAを用いる場合、当該tRNAを使用しない場合と比べて、EF-Pの濃度を大きくなるよう調整してもよい。
また、例えば、tRNAPro1E2あるいはtRNAGluE2を用いる場合、具体的には、β−又はγ−環状アミノ酸(i)をチャージしたtRNAPro1E2あるいはβ−又はγ−環状アミノ酸(ii)をチャージしたtRNAGluE2を用いる場合、当該tRNAを使用しない場合と比べて、EF-Tuの濃度を大きくなるよう調整してもよい。また、tRNAPro1E2あるいはtRNAGluE2を用いる場合、具体的には、β−又はγ−環状アミノ酸(i)をチャージしたtRNAPro1E2あるいはβ−又はγ−環状アミノ酸(ii)をチャージしたtRNAGluE2を用いる場合、当該tRNAを使用しない場合と比べて、EF-Gの濃度を小さくするよう調整してもよい。EF-Tu及びEF-Gの濃度を上記のとおり制御することにより、翻訳途中のペプチジル-tRNAがリボソームから脱落することを防止できる傾向にある。
<環状ペプチド>
本発明は、4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有する環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩であって、前記環状構造の4〜30のアミノ酸又はその誘導体のうち2つのアミノ酸又はその誘導体Xaa1及びXaa2であり、Xaa1及びXaaは環状構造を形成するための構造を含み、Xaa1とXaa2とは、2〜28のアミノ酸又はその誘導体から構成されるアミノ酸配列を介して連結した構造を有し、前記2〜28のアミノ酸又はその誘導体から構成されるアミノ酸配列が、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つ、並びに、任意のアミノ酸又はその誘導体で構成される、環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩である。
本明細書において、環状ペプチド及びその医薬的に許容可能な塩をまとめて、単純に環状ペプチドともいう。
本発明の環状ペプチドは、cAAを含むことにより、折りたたみ構造を形成することができ、環状アミノ酸に剛性を発現させる可能性がある。また、本発明のペプチドは、血清等に対する安定性が高く、生体内での分解が抑制される。そのため、本発明のペプチドは、標的タンパク質へ作用する前に分解されることが抑制されると考えられる。
本発明の環状ペプチドは、上述した<ライブラリーの製造方法>によって取得することが可能である。また、ライブラリーの中から選択され、特定された環状ペプチドは、一般的な固相合成法によって製造することができる。
本発明の環状ペプチドにおける、「アミノ酸又はその誘導体」、「Xaa1」、「Xaa2」、「β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)」の定義及び態様は、上述した<ライブラリーの製造方法>にて説明した定義及び態様と同様であり、同様の好ましい態様であることができる。
<FXIIaへの親和性を有する環状ペプチド>
本発明の環状ペプチドの一態様は、式(3)により表される環状ペプチドである。
Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (3)
式(3)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−環状アミノ酸(cβAA)であり、
Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
n1が、10〜16の整数であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
mは、0〜10の整数を表す。
ここで、Xaa1を1番目のアミノ酸とするとき、少なくとも1つのcAAは、5〜9番目に存在する。
式(3)により表される環状ペプチドは、活性化した血液凝固第XII因子(FXIIaとも記載する)に親和性を有する。本発明の一つは、式(3)により表される環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩を含む、FXIIa結合剤である。FXIIaは、凝固及び炎症に寄与するカリクレインキニン系に関与するセリンプロテアーゼである。FXIIaに対する阻害剤は、抗血栓薬として有用である。
式(3)中のcβAAは、式(I-1)で表されることが好ましく、(1S,2S)-2-ACHC及び/又は(1R,2R)-2-ACPCであることがより好ましい。
式(3)中のXaaの少なくとも1つは、塩基性アミノ酸又はその誘導体であることが好ましい。ここで塩基性アミノ酸又はその誘導体は、側鎖にアミノ基を有するものであれば特に制限されず、例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン、又はこれらの誘導体を挙げることができる。式(3)中のXaaの少なくとも1つが塩基性アミノ酸又はその誘導体であることにより、FXIIaにおける本発明の環状ペプチドの結合部位への相互作用をより高めることができ、結合がより強くなる傾向にある。これは、FXIIaにおけるS1ポケット(図10b参照)に上記塩基性アミノ酸又はその誘導体が嵌るためであると考えられる。
式(3)中の(Xaa)n1は、f1〜f4から選択されるいずれかであることが好ましい。
Figure 2021106565
式f1〜f4中、cAAは、β−環状アミノ酸である。
式(3)により表される環状ペプチドは、好ましくは式(3-1)により表される。
Figure 2021106565
式(3-1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
cAAは、β−環状アミノ酸であり、
n1aは、3〜8の整数であり、n1bは、2〜8の整数であり(ただしn1aとn1bの合計が、10〜16の整数である)、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaa1は、Phe又はTyrであり、
mは、0〜10の整数を表す。ただし、(Xaa)n1aには、cAAを含まない。
n1aとn1bとの差(絶対値)は、4以下であることが好ましい。
式(3-1)により表される環状ペプチドは、以下のF1〜F4のいずれかであることが好ましい。
Figure 2021106565
式F1〜F4における、cAA、Xaax、mは、式(3-1)におけるcAA、Xaax、mと同義である。
<IFNGR1への親和性を有する環状ペプチド>
本発明の環状ペプチドの一態様は、式(4)により表される環状ペプチドである。
Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m
式(4)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaaの少なくとも1つは、β−環状アミノ酸(cβAA)であり、
Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
n1が、9〜15の整数であり、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
mは、0〜10の整数を表す。
ここで、Xaa1を1番目のアミノ酸としたとき、少なくとも1つのcAAが、4〜8番目に存在する。
式(4)により表される環状ペプチドは、II型インターフェロン受容体複合体(IFNGR1とも記載する)に結合親和性を有する。IFNGR1は、炎症及び自己免疫疾患において重要な役割を果たす炎症誘発性サイトカインであるインターフェロン−γ(IFN−γ)の受容体である。IFNGR1の阻害剤は、自己免疫疾患の治療に有用である。
式(4)中のcβAAは、式(I-1)で表されることが好ましく、(1S,2S)-2-ACHC、(1R,2R)-2-ACPC、(1S,2S)-2-ACPCから選択されるいずれか1種以上であることがより好ましい。
式(4)中の(Xaa)n1は、i1-1〜i1-6から選択されるいずれかであることが好ましい。
Figure 2021106565
式i1-1〜i1-6中、cAAは、β−環状アミノ酸である。
式(4)により表される環状ペプチドは、好ましくは式(4-1)により表される。
Figure 2021106565
式(4-1)中、
Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
cAAは、β−環状アミノ酸であり、
n1aは、3〜7の整数であり、n1bは、5〜8の整数であり(ただしn1aとn1bの合計が、9〜15の整数である)、
Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
Xaa1は、Phe又はTyrであり、
mは、0〜10の整数を表す。ただし、(Xaa)n1aには、cAAを含まない。
式(4-1)により表される環状ペプチドは、以下のI1-1〜I1-6のいずれかであることが好ましい。
Figure 2021106565
式I1-1〜I1-6における、cAA、Xaax、mは、式(4-1)におけるcAA、Xaax、mと同義である。
本発明の環状ペプチドは、FXIIa又はIFNGR1に結合してその働きを阻害することができる。したがって、本発明の一つは、本発明の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩を含む、FXIIa又はIFNGR1の阻害剤である。具体的には、本発明の一つは、式(3)で表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含む、FXIIa阻害剤である。また、本発明の一つは、式(4)で表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含む、IFNGR1阻害剤である。
本発明の結合剤又は阻害剤は、それを含む医薬組成物として用いることができる。
本発明の医薬組成物は、FXIIa阻害剤に関しては血栓に関連する疾患の治療又は予防に用いることができる。本発明の医薬組成物は、IFNGR1阻害剤に関しては自己免疫疾患に関連する疾患の治療又は予防に用いることができる。
医薬組成物の投与形態は特に限定されず、経口投与でも非経口投与でもよい。非経口投与としては、例えば、筋肉内注射、静脈内注射、及び皮下注射等の注射投与、経皮投与、並びに経粘膜投与等が挙げられる。経粘膜投与の投与経路としては、例えば、経鼻、経眼、経肺、経膣、及び経直腸等が挙げられる。
医薬組成物中の環状ペプチドに対し、代謝及び/又は排泄等の薬物動態の観点から、各種の修飾を行ってよい。例えば、環状ペプチドにポリエチレングリコール(PEG)及び/又は糖鎖を付加して血中滞留時間を長くし、抗原性を低下させることができる。
また、ポリ乳酸・グリコール(PLGA)等の生体内分解性の高分子化合物、多孔性ヒドロキシアパタイト、リポソーム、表面修飾リポソーム、不飽和脂肪酸で調製したエマルジョン、ナノパーティクル、ナノスフェア等を徐放化基剤として用い、これらに環状ペプチドを内包させてもよい。経皮投与する場合、弱い電流を皮膚表面に流して角質層を透過させることもできる(イオントフォレシス法)。
医薬組成物は、有効成分として環状ペプチドをそのまま用いてもよいし、医薬的に許容可能な添加剤等を加えて製剤化してもよい。
医薬製剤の剤形としては、例えば、液剤(例えば注射剤)、分散剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、粉末剤、坐剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、及びパップ剤等が挙げられる。
製剤化は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解剤、溶解補助剤、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、及び抗酸化剤等の添加剤を適宜使用して、常法により行うことができる。
製剤化に用いられる添加剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、精製水、食塩水、リン酸緩衝液、デキストロース、グリセロール、エタノール等の医薬的に許容可能な有機溶剤、動植物油、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ソルビトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、コーンスターチ、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ぺクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガント、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、高級アルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、及びヒト血清アルブミン等が挙げられる。
経粘膜吸収における吸収促進剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類、ラウリル硫酸ナトリウム、及びサポニン等の界面活性剤;グリココール酸、デオキシコール酸、及びタウロコール酸等の胆汁酸塩;EDTA及びサリチル酸類等のキレート剤;カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、及び混合ミセル等の脂肪酸類;エナミン誘導体、N−アシルコラーゲンペプチド、N−アシルアミノ酸、シクロデキストリン類、キトサン類、並びに一酸化窒素供与体等を用いてもよい。
錠剤又は丸剤は、糖衣、胃溶性、及び腸溶性物質等で被覆されたコート錠等であってもよい。
液剤は、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、及びアルコール類等を含んでもよい。液剤は、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解剤、溶解補助剤、及び防腐剤等を加えてもよい。
本発明は、FXIIa阻害剤又はIFNGR1阻害剤を、それ必要とする患者に投与して、患者における疾患を治療又は予防する方法も提供する。
本発明のHGF阻害剤の投与量は、当業者が、それを必要とする患者の症状、年齢、性別、体重、感受性差、投与方法、投与間隔、及び製剤の種類等に応じて、適宜決定することができる。
患者は、哺乳動物であり、ヒトであることが好ましい。
本実施例に用いたtRNAの調製方法は以下のとおり行った。
(tRNAの調製)
フレキシザイム(dFx及びeFx)、並びに、2‐ACPC、2‐ACHC、ClAcD‐Phe、ClAcD‐Tyr及びD‐CysをチャージするためのtRNAとを、T7 RNAポリメラーゼを用いたin vitroでの転写により調製した。転写のための鋳型DNAは、フォワード及びリバース伸長プライマーペアの伸長により、続くフォワード及びリバースPCRプライマーペアを用いたPCRによって調製した。プライマーの配列については表3を参照のこと。
得られたPCR産物をフェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈殿により精製した。鋳型DNAは、5'末端のT7プロモーターと、下流のtRNA又はフレキシザイム配列からなる。配列については表3を参照のこと。
PCR産物からのRNAの転写は、500μL反応混合物(40mM Tris-HCl(pH 8.0)、22.5mM MgCl2、1mM DTT、1mM スペルミジン、0.01% Triton X-100、0.12μM T7 RNAポリメラーゼ、0.04 U/μL RNasin RNase阻害剤(Promega)及び3.75mM NTP混合物)中で、37℃、16時間行った。tRNAの転写には、G又はCからの転写を開始するために、5mMのGMP又はCMPを上記溶液に添加した。得られたRNA転写物を、RQ1 DNase(Promega)を用いて37℃で30分間DNase処理した後、6M尿素を含む、8%(tRNAの場合)又は12%(フレキシザイムの場合)ポリアクリルアミドゲルで精製した。
Figure 2021106565
(tRNAのアミノアシル化)
以前に報告された方法(Murakami, H., Ohta, A., Ashigai, H. & Suga, H. A highly flexible tRNA acylation method for non-natural polypeptide synthesis. Nat. Methods 3, 357-359 (2006)、及びSaito, H., Kourouklis, D. & Suga, H. An in vitro evolved precursor tRNA with aminoacylation activity. EMBO J. 20, 1797-1806 (2001)参照)にしたがって、2‐ACPC、2‐ACHC及びD‐Cysは3,5‐ジニトロベンジルエステル(DBE)形態として予備活性化し、ClAcD‐Phe及びClAcD‐Tyrはシアノメチルエステル(CME)形態として活性化した。これらの活性化アミノ酸は、フレキシザイム(2‐ACPC、2‐ACHC及びD‐Cys‐DBEにdFx、又は、ClAcD‐Phe‐CME及びClAcD‐TyrにeFx)を用いて、tRNA上にチャージした。フレキシザイムを用いたアミノアシル化を、50mM緩衝液(2-ACPC及び2-ACHCについてはBicine-KOH(pH 8.7)、D-Cys、ClAcD-Phe及びClAcD-TyrについてはHEPES-KOH(pH 7.5))、600mM MgCl2、20% DMSO、25μM dFx又はeFx、25μM tRNA、及び5mM活性化アミノ酸中、0℃で行った。次いで、得られたアミノアシルtRNAをエタノール沈殿にかけて活性化アミノ酸を除去し、次いでペレットを0.1M酢酸ナトリウム(pH 5.2)を含む70%エタノールで2回洗浄した。
[実施例1:ペプチドへの2-ACPCの取り込み試験]
ペプチド鎖への一つ又は複数のcβAAの取り込みに対するリボソームの能力を検証するために、まず4種の2-ACPC異性体:(1R,2R)-2-ACPC、(1R,2S)-2-ACPC、(1S,2R)-2-ACPC、及び(1S,2S)-2-ACPCを用いた際のペプチド配列の伸長を調べた。
Figure 2021106565
Murakami, H., Ohta, A., Ashigai, H. & Suga, H. A highly flexible tRNA acylation method for non-natural polypeptide synthesis. Nat. Methods 3, 357-359 (2006)及びGoto, Y., Katoh, T. & Suga, H. Flexizymes for genetic code reprogramming. Nat Protoc 6, 779-790, (2011)に記載の方法に準拠して、フレキシザイム(flexible tRNA-acylation ribozymes)により、これらのアミノ酸を、EF-P結合に特異的なD-armモチーフ及び改変T-ステムモチーフを有するtRNAPro1E2 CGGにチャージさせた。tRNAPro1E2 CGGを図1に示した。
次に、それぞれのプレチャージされたtRNAを、再構成されたE. coli翻訳システムであるFIT(Flexible In vitro Translation)システムに加えて、ペプチドrP1-rP10を発現させた。ペプチドrP1-rP10は、表4に示した。なお、それぞれの配列におけるflagは、mR1〜mR13においてはGACUACAAGGACGACGACGACAAGであり、rP1〜rP13においてはAsp-Tyr-Lys-A
sp-Asp-Asp-Asp-Lysであった。
Figure 2021106565
ペプチドの翻訳は具体的には以下の手順にしたがって行った。
本実施例で使用したFITシステムは、5μMのEF‐P、3μMのIF2、20μMのEF‐Tu、及び0.1μMのEF‐G、並びに、最小限のアミノ酸及びアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)、すなわちMet、Lys、Gly、Tyr、Asp、及びこれらに対応のARSのみを含んでいた。
cβAAとtRNAとの親和性を向上するために、従来のFITシステム(Katoh, T. & Suga, H. Ribosomal incorporation of consecutive β-amino Acids. J. Am. Chem. Soc. 140, 12159-12167 (2018)、Katoh, T., Tajima, K. & Suga, H. Consecutive elongation of D-amino acids in translation. Cell Chem. Biol. 24, 1-9 (2017)、及びKatoh, T., Iwane, Y. & Suga, H. Logical engineering of D-arm and T-stem of tRNA that enhances D-amino acid incorporation. Nucleic Acids Res. 45, 12601-12610 (2017)参照)から、EF‐Tuの濃度を10μMから20μMへ増加させた。同様に、EF-Gの濃度を0.26μMから0.1μMに低下させて、翻訳途中のペプチジル-tRNAがリボソームから脱落することを防止した。
EF-Pの効果を評価するために、EF-Pの非存在下での翻訳も行った。この特定のFITシステムの詳細な組成は、以下の表5のとおりとした。
Figure 2021106565
ペプチドの翻訳のための鋳型DNAは、フォワード及びリバース伸長プライマーペアを用いた伸長と、続くフォワード及びリバースPCRプライマーペアを用いたPCRによって調製した。プライマーの配列は表3を参照。得られたPCR産物をフェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈殿により精製した。鋳型DNAはFITシステムに含まれるT7 RNAポリメラーゼによってmRNAに転写され、ペプチドに翻訳された。ペプチジルtRNAの脱落(drop-off)を抑え、MALDI-TOF MSでのイオン化を促進するために、ペプチドrP1-rP11及びrP13はcβA
A取込み部位の前にTyr-Lys-Lys-Tyr-Lys-Lys-Tyr-Lys配列を含んでいた。翻訳反応は、2.5μLの溶液中37℃で行い、2.5μLの停止溶液(0.9M Tris-HCl (pH 8.45)、8% SDS、30%グリセロール及び0.001%キシレンシアノール)を添加して停止し、95℃で3分間加熱した。次に、サンプルを15%トリシンSDS-PAGEに供し、Typhoon FLA 7000(GE Healthcare)を用いたオートラジオグラフィーにより分析した。放射性同位元素標識ペプチドの発現レベルは、[14C]‐Aspバンドの強度によって正規化した。
翻訳ペプチドのMALDI-TOF MSは以下の手順にしたがって行った。
放射性[14C]-Aspの代わりに0.5mMの非放射性Aspを含む上記反応混合物中で翻訳を45分間行った。次に、等量のHBS緩衝液(100mM HEPES-KOH(pH 7.6)、300mM NaCl)を2度添加し、5μL ANTI-FLAG M2アフィニティーゲル(Sigma)と混合し、室温で30分間インキュベートした。ゲルビーズを25μLのHBS緩衝液(50mMのHEPES-KOH(pH 7.6)、150mM NaCl)で1度洗浄し、15μLの0.2%トリフルオロ酢酸を加えることによってペプチドをビーズから溶出させた。次に、ペプチドをSPE C‐チップ(Nikkyo Technos)で脱塩し、α‐シアノ‐4‐ヒドロキシけい皮酸と共結晶化した。MALDI‐TOF MSは、UltrafleXtreme(Bruker Daltonics)を用いて行った。ペプチドキャリブレーションスタンダードII(Bruker Daltonics)を外部質量キャリブレーションに使用した。
4種の2-ACPC異性体を用いた際のペプチドの発現レベルを図2に示した。4種の2-ACPC異性体を用いて得られた翻訳生成物のSDS-PAGE分析の結果を図3のa〜dに示した。4種の2-ACPC異性体を用いて得られた翻訳生成物のMALDI-TOF MSの結果を図4及び図5に示した。
tRNAPro1E2は、一般にD-アミノ酸およびβ3-アミノ酸の連続した取込み効率を改善するという事実にもかかわらず、EF-Pは(1R,2S)-2-ACPCでrP2の発現のみを増強し、他の3つの立体異性体を含むペプチドの発現には負の効果を示した。
(1S,2S)‐2‐ACPCの二重伸長は単一伸長と同程度に効率的であることが明らかになった。また、より長いペプチド(rP3〜rP10)の発現について試験したところ、連続した伸長は10残基まで延長することができた(図2、IV参照)。
[実施例2:ペプチドへの2-ACHCの取り込み試験]
4種の2-ACHC異性体:(1R,2R)-2-ACHC、(1R,2S)-2-ACHC、(1S,2R)-2-ACHC、および(1S,2S)-2-ACHCを用いて、rP1及びrP2(表4参照)への導入の可能性について試験をした。
Figure 2021106565
4種の2-ACHC異性体を用いた際のペプチドの発現レベルを図6に示した。4種の2-ACHC異性体を用いて得られた翻訳生成物のSDS-PAGE分析の結果を図3のeに示した。4種の2-ACHC異性体を用いて得られた翻訳生成物のMALDI-TOF MSの結果を図7に示した。
rP1への1回の取り込みでは、4種の2-ACHCが導入され、EF-Pの存在下及び非存在下によって、発現レベルに有意差は見られなかった。
2-ACHCの2連続取り込みに関して、rP2の生成物はEF‐Pの非存在下では観察されなかった。一方、(1R,2R)-2-ACHC又は(1S,2S)-2-ACHCを含むrP2の発現は、EF-Pの存在下において観測され、EF-Pはそれらの連続した取り込みを促進できることを示した。
[実施例3:設計されたフォルダマーペプチドのリボソーム合成]
多種類のcβAAの連続的な取り込みの可能性について試験した。
まず、AUU及びCAUコドンにそれぞれ割り当てられた2つの(1S,2S)-2-ACPC及び1つの(1S,
2S)-2-ACHCを含むペプチドrP11を設計した。rP11を表6に示した。
Figure 2021106565
実施例1において、EF‐Pの存在が(1S,2S)‐2‐ACPCの取り込みを阻害すること(すなわち、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNAが(1S,2S)‐2‐ACPCの導入に最適ではないこと)を示唆する知見が得られたことから、tRNAのT‐ステムはEF‐Tuを誘導できるが、そのD‐アームはEF‐Pと相互作用しないtRNAGluE2 GAUをtRNAとして選択した。一方、(1S,2S)‐2‐ACHCの取込みのために、EF‐TuとEF‐Pの両方を誘導するtRNAPro1E2 GUGを選択した。
EF-Pの存在下でのrP11の翻訳は、MALDI-TOF MSにおいて所望の完全長rP11のピークを生じた。同様に、(1S,2S)-2-ACPCのN末端にN-クロロアセチル-D-フェニルアラニン(ClAcD-Phe)を有し、且つ、(1S,2S)-2-ACPCの下流にD-システイン(D-Cys)を有するrP12(表6参照)を発現させ、MALDI-TOF MSにおいて所望のチオエーテル環状骨格が得られたことを確認した。さらに、3番目ごとに4つの(1S,2S)-2-ACPCを含むrP13(表6参照)を発現させ、所望のペプチドが得られたことを確認した。rP11、rP12、及びrP13のMALDI-TOF MSの結果を図8に示した。
(1S,2S)-2-ACPCを含むこのタイプのペプチドは10/11/11-ヘリックスを誘導することが知られている(Schmitt, M. A., Choi, S. H., Guzei, I. A. & Gellman, S. H. New helical foldamers: heterogeneous backbones with 1:2 and 2:1 α:β-amino acid residue patterns. J. Am. Chem. Soc. 128, 4538-4539 (2006)参照)。したがって、これらの結果により、ヘリックスを有する設計されたフォルダマーペプチドのリボソーム合成が可能であることが実証された。
[実施例4−1:ライブラリーの調製]
cβAAを含む環状フォルダマーペプチドを発現させる方法に基づき、Yamagishi, Y. et al. Natural product-like macrocyclic N-methyl-peptide inhibitors against a ubiquitin ligase uncovered from a ribosome-expressed de novo library. Chem. Biol. 18, 1562-1570 (2011).及びPassioura, T., Katoh, T., Goto, Y. & Suga, H. Selection-based discovery of druglike macrocyclic peptides. Annu. Rev. Biochem. 83, 727-752 (2014).を参照し、RaPID (Random Non-standard Peptides Integrated Discovery)システムを用いて、ヒト因子XIIa (FXIIa)およびインターフェロンγ受容体1(IFNGR1)の2つの標的として選択し、ランダム配列ライブラリーから生理活性分子を新たに発見することを検討した。
環状ペプチドライブラリーは、以下に示されるとおり、環化ClAcD-Tyr及びD-Cysに挟まれた、3種のcβAA、(1S,2S)-2-ACHC、(1R,2R)-2-ACPC、及び(1S,2S)-2-ACPCを含む6〜15個のランダム残基の反復(NNUコドンによりコードされる)を有し、ピューロマイシンリンカーを介してmRNAの3'末端に連結された設計とした。NNUコドンへのアミノ酸の割り当てを表7に示した。
Figure 2021106565
Figure 2021106565
ライブラリーの調製は具体的には以下の手順にしたがって行った。
環状ペプチドライブラリーの調製に用いたFITシステムは、以下の表8のとおりとした。
Figure 2021106565
ペプチドライブラリーは、150μL(1回目の選択のため)又は10μL(2回目から4回目の選択のため)又は5μL(5回目から7回目の選択のため)のFITシステム中、37℃、30分間翻訳された。
次いで、反応混合物を室温で12分間インキュベートし、500mM EDTA(pH 8.0)を0.04倍量添加し、37℃で30分間インキュベートして、mRNA-ペプチド複合体からのリボソームの解離を誘導した。
逆転写は、42℃で15分間、NNUAUG-GT3.R38プライマー(5'-TTTCCGCCCCCCGTCCTAGGTCCCC
GTACCCGTGCCCA-3')及びRNase H活性を欠くM-MLV逆転写酵素(Promega)を用いて行った。
次いで、cDNA/mRNA/ペプチド複合体を、1.2倍翻訳量の、FXIIa結合選択用のネイクドDynabeadsストレプトアビジン(Thermo Fisher)、又は、IFNGR1結合選択用の表面上に固定化されたヒトIgG1 Fcを有するDynabeads プロテインG(Thermo Fisher)と混合し、ネガティブセレクションとして、4℃、15分間、3回インキュベートした。なお、ネガティブセレクションは、セレクションの最初のラウンドでは行わなかった。
ネガティブセレクションの上清を回収し、翻訳体積の0.48倍量のFXIIa固定化Dynabeadsストレプトアビジン、又は、翻訳体積の0.24倍量のIFNGR1固定化Dynabeads プロテインGと、4℃、15分間混合し、100μLの冷やされたTBS-T緩衝液(100mM Tris-HCl pH7.5、300mM NaCl、0.05% Tween20)でビーズを3回洗浄した。
組換えビオチン標識化ヒトFXIIaは、Molecular Innovationsから購入した。組換えヒトIgG1 Fc及びFc標識化ヒトIFNGR1は、それぞれR&D systems及びAcroBiosystemsから購入した。
次に、100μLのPCR緩衝液(10mM Tris-HCl(pH 9.0)、50mM KCl、0.1% Triton X-100、0.25mM dNTP、2.5mM MgCl2、0.25μM T7.F52プライマー5'-GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTGAACTTTAAGTAGGAGATATATCCAT-3'、及び0.25μM NUAUG-GT3.R38プライマー)をビーズに添加し、95℃で5分間cDNAを溶出させ、PCRによって増幅した。1μLの溶出液を、SYBR Green IおよびTaq DNAポリメラーゼを含むPCR緩衝液19μLと混合し、リアルタイムPCRによってcDNAの量を定量した。
[実施例4−2:環状フォルダマーペプチドの新規発見]
ライブラリーは、上述のとおりまずビーズ−結合種を除去するためにネガティブセレクションにかけ、次にポジティブセレクションとして磁性ビーズ上に固定化された標的タンパク質に接触させた。
7ラウンドのアフィニティー選択を行い、各ラウンドのcDNAの回収率をqPCR法で測定したところ、FXIIa及びIFNGR1のアフィニティー選択において、第4ラウンド後に回収率の有意な増加が観察された。cDNAのディープシークエンシングにより、第4ラウンドのライブラリーには、1つ以上のcβAAを有するペプチド配列が豊富に存在することが明らかになった。ライブラリーに存在したペプチドを表9(FXIIaについて)及び表10(IFNGR1について)に示した。
Figure 2021106565
Figure 2021106565
表9及び表10のうち、4つのFXIIa結合種(F1-F4)と7つのIFNGR1結合種(表I1-1-6及びI2)を化学的(固相合成)に合成し、さらなる解析を行った。なお、C末端TGTGTリンカー配列は、化学合成する際に省略した。また、cβAA残基がアラニンで置換された陰性対照ペプチドを合成した。
また、FXIIa及びIFNGR1に対するこれらのペプチドの結合動態を表面プラズモン共鳴によって分析した。対照ペプチドは標的への有意に低い親和性を示し、cβAA残基が標的への強固な結合に必須であることが示された。なお、結合親和性は、Biacore T200装置(GEヘルスケア)を用いて25℃でSPRにより分析した。各ペプチドの5つの異なる濃度を30μL/分の流速で注入することにより、1サイクルキネティクス法により速度定数を測定した。
得られた結合センサグラムを、Biacore評価ソフトウェアを用いて分析し、標準的な1:1相互作用モデルに適合させた。
さらに、FXIIaの酵素活性に対するF1、F2、F3及びF4の阻害活性を分析し、それぞれKi値を測定した。これらの阻害活性は、FXIIaに対する小蛋白質阻害剤であるトウモロコシトリプシン阻害剤(CTI, Ki=24 nM, M.W.=12.5kDa)より有意に強かった。なお、FXIIaのKi値は、基質ペプチドH‐D‐Pro‐Phe‐Arg‐pNA(S‐2302試薬)の切断により評価した。切断反応によるpNA発色団の放出を、プレートリーダーInfinite M1000PRO (TECAN)を用いて、405nmでの吸光度によってモニターした。
合成したペプチドの構造、表面プラズモン共鳴測定の結果、Ki値の測定結果を表11及び表12に示した。
Figure 2021106565
Figure 2021106565
[実施例5:FXIIa及びIFNGR1結合ペプチドの血清安定性]
FXIIaについては、F1、F2、F3、及びF4、並びに、Ala変異体F1A、F3A及びF4Aを用いて、IFNGR1については、I1-6、その変異体I1-1Aを用いて、ペプチドの血清安定性を分析した。
上記ペプチド及び下記のペプチダーゼ耐性内部標準ペプチドを、ヒト血清中、37℃で共インキュベートした。
Figure 2021106565
0、1、3、9、24、72、144及び240時間において、標準ペプチドに対する試料ペプチドの相対量を液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって算出した。0、1、3、9、24、72、144及び240時間に対する相対量の変化を図9に示した。
高い血清抵抗性、及びペプチドの結合/阻害活性が観察されたことから、ClAcD‐TyrとD‐Cysとの間で発現するcβAAを含む環状ペプチドを含むライブラリーを、ユニークなペプチド薬剤の開発に適用できることが明らかとなった。
[実施例6:FXIIaに結合したF3の共結晶構造]
cβAA含有ペプチドの作用機序及び折りたたみの傾向を解明するために、FXIIaに結合したF3の共結晶構造をX線結晶解析により解析した。解析結果を図10に示した。
回折データより、F3が逆平行βシートに折り畳まれ、その中で、8位の(1S,2S)-2-ACHC(ACHC8)がβシートの回転端であるFXIIaの活性中心付近に位置していることが明らかとなった。AcD-Tyr1とD-Cys17は、酵素の活性部位から遠く離れたβシートのもう一方の端に位置しており、これは、D-Cys17が選択中にペプチド−ピューロマイシンリンカーを介して同族mRNAに結合しているためと予想された。
一方、Arg7、ACHC8、及びLeu9が、それぞれi、i+1、及びi+2の位置に存在し、配列の中間位置に取り込まれたACHC8は、擬似γターンを誘導することがわかった。
この結果は、i+1位のβアミノ酸が擬γターンインデューサーであるという以前の報告(Schumann, F., Muller, A., Koksch, M., Muller, G. & Sewald, N. Are β-amino acids γ-turn mimetics? Exploring a new design principle for bioactive cyclopeptides. J. Am. Chem. Soc. 122, 12009-12010 (2000))と一致した。さらに、ACHC8、Leu9、Ser10(それぞれi、i+1、i+2)によっても逆γターンが形成された。ACHC8と結合したこのような二つの連続したγターンは、このペプチドのユニークな特徴であり、逆平行βシートへのペプチドの折りたたみに寄与することが推測された。
13位の別の(1S,2S)-2-ACHC(ACHC13)は、ACHC13、Arg14、Asn15、及びTyr16がiからi+3の位置を占めるβターンに関与した。ACHC13のアミド基はまた、Ala3と分子内βシート様水素結合を形成したが、その環状側鎖はAla3及びTyr16と分子内疎水性相互作用を形成した。
以上のとおり、2つの(1S,2S)-2-ACHC残基はターン構造を誘導し、分子内相互作用を形成することによって全体的な折りたたみに寄与したことが明らかとなった。
F3は基質様にFXIIaの活性部位に結合し、いわゆる標準的なメカニズムの阻害剤(Farady, C. J. & Craik, C. S. Mechanisms of macromolecular protease inhibitors. ChemBioChem 11, 2341-2346 (2010)及びLaskowski, M. & Kato, I. Protein inhibitors of proteinases. Annu. Rev. Biochem. 49, 593-626 (1980)参照)として作用した。
Arg6とArg7の間のペプチド結合は、FXIIaの触媒性Ser563に近接していた。
Arg6側鎖はFXIIaのAsp557と塩橋を形成し、酵素のS1ポケットに収容された。Arg6は、PPACK、インフェスチン-4、EcTI (E. contortisiliquum trypsin inhibitor)、CTI、FXII618、およびFXII801のような以前に報告された阻害剤と同様に、FXIIaの天然基質の中でも広く保存されているアミノ酸である。
Arg7側鎖はまた、Ser395及びCys413と水素結合を形成し、一方ACHC8側鎖は、FXIIaのTyr515及びHis507によって形成される浅い疎水性ポケットに結合した。F3はまた、そのTyr4を介してFXIIa Gly587と分子間βシート様水素結合を形成し、その立体配座は、Asn11-ACHC13との分子内βシートの形成によって安定化された。さらに、ACHC13の周囲には、F3のAla3及びTyr16、FXIIaのTyr458及びTrp586によって寄与される広範な疎水性相互作用が存在した。
[実施例7:ペプチドへのγアミノ酸の取り込み試験]
実施例1の方法に準じて、以下のγアミノ酸の取り込み試験を行った。
Figure 2021106565
鋳型mRNAとして以下のmR1を用い、ペプチドrP1に翻訳した。γアミノ酸は、tRNAPro1E2 CGGにチャージした。
Figure 2021106565
その結果、それぞれのMALDI‐TOF MSから、8つの環状γアミノ酸、cis‐3‐ACBC、trans‐3‐ACBC、(1R,3R)‐3‐ACPC、(1R,3S)‐3‐ACPC、(1S,3R)‐3‐ACPC、(1R,3S)‐3‐ACPC、(1R,3R)‐3‐ACHC、及び(1R,3S)‐3‐ACHCがペプチドrP1に取り込まれたことが確認された(図11参照)。
また、実施例1の方法に準じて、γアミノ酸の立体異性体ごとにEF-Pの有無によるペプチドrP1に対する取り込み効率を調べた。
実施例1及び実施例7を通じて調査された、βあるいはγアミノ酸の立体異性体ごとの取り込み効率の結果を表13に示した。
Figure 2021106565
[実施例8:ペプチドへの芳香族アミノ酸の取り込み試験]
以下の芳香族アミノ酸の取り込み試験を行った。置換基を有する芳香族アミノ酸として、p‐ヒドロキシ、p‐メトキシ、及びp‐フルオロ置換におけるσ値を示す。
Figure 2021106565
(tRNAの調製)
芳香族アミノ酸をチャージするためのtRNAの調整は、上述の(tRNAの調製)と同様にして行った。なお、プライマーの配列については表14を参照のこと。
Figure 2021106565
(μhRNA及びtRNAのアミノアシル化)
μhRNA、Isatoic anhydride、5-hydroxyisatoic anhydride、5-methoxyisatoic anhydride、及び5-fluoroisatoic anhydrideは、それぞれEurofin Genomics、東京化成工業、富士フィルム和光純薬、Combi-Blocks、及びBLD Pharmから購入した(実験に用いた無水物の構造は以下のとおりである。)。
Figure 2021106565
これらの無水物を用いたアミノアシル化は、50mMのBicine-KOH(pH 9.0)、CHES‐KOH(pH 9.5若しくは10.0)、又はCAPS‐KOH(pH 10.5)を含む80μMのμhRNA又はtRNAを含む25μLの反応混合物中で、25℃で1〜3時間行った。無水物の濃度は、5-fluoroisatoic anhydride(8mM)を除き、10mMとした。
MeSer、(1S、2S)‐2‐ACPC、及びD‐Cysは3、5‐ジニトロベンジルエステル(DBE)形態として予備活性化し、Apy、Atp、Atz、3NAbz、及びClaAcD‐Pheはシアノメチルエステル(CME)形態として予備活性化した。これら活性化アミノ酸は、フレキシザイム(DBEにdFx、CMEにeFx)を用いてμhRNA又はtRNA上にチャージした。
Apy、Atp、Atz、及び3NAbzのアミノアシル化を、600mM MgCl2、20% DMSO、25μM eFx、25μM μhRNA又はtRNA、及び20mM活性化アミノ酸を含む反応混合物中で4℃で24〜336時間行った。混合物のpHを50mMのBicine-KOH(pH 9.0)、CHES‐KOH(pH 9.5若しくは10.0)、又はCAPS‐KOH(pH 10.5)で調整した。
ClAcD-Phe、MeSer、(1S,2S)-2-ACPC、及びD-Cysのアミノアシル化を、50mM緩衝液((1S,2S)-2-ACPCについてはBicine-KOH(pH 8.7)、ClAcD-Phe、MeSer、及びD-CysについてはHEPES-KOH(pH 7.5))、600mM MgCl2、20% DMSO、25μM dFx又はeFx、25μM tRNA、及び5mM活性化アミノ酸中、4℃で行った。反応時間は、ClAcD-Pheでは2時間、MeSer及びD-Cysでは6時間、(1S,2S)-2-ACPCでは16時間であった。次いで、得られたアミノアシルtRNAをエタノール沈殿にかけて、ペレットを70%エタノールで2回洗浄した。
ADDIN EN.CITE ADDIN EN.CITE.DATA 20pmolのアミノアシル-μhRNAを、6M尿素を含む20%ポリアクリルアミドゲルで分析した。pHは、Atp‐μhRNAとAtz‐μhRNA(pH 3.5)の分析を除き、50mM酢酸ナトリウム(pH 5.2)で5.2に調整した。120Vで2.5時間電気泳動を行い、次いでエチジウムブロマイド染色を行い、Typhoon FLA 7000(GE Healthcare)を用いて検出した。
(ペプチドの翻訳と電気泳動)
ペプチドの翻訳は、表5の組成の大腸菌再構成翻訳系において、0.11μM LysRS、0.68μM PheRS、及び0.5mM Pheを加えた以外は同様にして、37℃で30分間実施した。5μLの停止溶液[0.9M Tris-HCl (pH 8.45)、8% SDS、30%グリセロール、及び0.001% キシレンシアノール]を5μLの反応混合物に添加し、95℃で3分間インキュベートした。次に、サンプルを15%トリシンSDS-PAGEにかけ、Typhoon FLA 7000(GE Healthcare)を用いたオートラジオグラフィーにより分析した。ペプチドの発現レベルは[14C]‐Aspバンドの強度によって正規化した。
(ペプチド及びアミノアシル-μhRNAのMALDI-TOF MS)
MALDI‐TOF MSのために、[14C]‐Aspの代わりに0.5mM非放射性Aspの存在下で60分間翻訳反応を行った。環状ペプチド(rP5〜rP10、図14参照)の翻訳については、MetRS、Met、及び10-ホルミル-5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸を上記の反応混合物から省略した。rP5〜rP7については、PheRS及びPheも省略し、代わりに、以下のアミノアシル-tRNA合成酵素及び対応するアミノ酸を添加した:0.04μM SerRS、0.02μM HisRS、0.16μM ProRS、0.09μM ThrRS、0.03μM ArgRS、0.38μM AsnRS、0.73μM AlaRS、0.02μM ValRS、0.5mM Ser、0.5mM His、0.5mM Pro、0.5mM Thr、0.5mM Arg、0.5mM Asn、0.5mM Ala、及び0.5mM Val。翻訳反応混合物を等量のHBS緩衝液(100mM HEPES-KOH (pH 7.6)、300mM NaCl)を2度添加し、5μL ANTI-FLAG M2アフィニティーゲル(Sigma)と混合し、室温で30分間インキュベートした。アフィニティーゲルを25μLのHBS緩衝液(50mM HEPES-KOH (pH 7.6)、150mM NaCl)で2度洗浄し、20μLの0.2%トリフルオロ酢酸を加えることによって結合したペプチドをゲルから溶出させた。次にペプチドを、SPE C‐チップ(Nikkyo Technos)で脱塩し、α‐シアノ‐4‐ヒドロキシけい皮酸と共結晶化したペプチドキャリブレーションスタンダードII(Bruker Daltonics)を外部質量キャリブレーションに使用した。MALDI‐TOF MSは、UltrafleXtreme (Bruker Daltonics)を用いてリフレクタ/ポジティブモードで解析を行った。アミノアシル‐μhRNAをSPE C‐チップ(Nikkyo Technos)で脱塩し、3‐ヒドロキシピコリン酸と共結晶化し、次いでUltrafleXtreme (Bruker Daltonics)により線形/ポジティブモードで解析を行った。
下記表の条件で、アミノアシル-tRNAPro1E2 CGGの調製に適用した。
Figure 2021106565
それぞれのアミノアシルtRNAPro1E2 CGG(Abz, Abz5OH, Abz5OMe, Abz5F, Apy, Atp, Atz)をmRNA(mR1)のCCGコドンに導入し、rP1ペプチドを合成した(図12a)。翻訳反応は、6つのアミノ酸(Met、Tyr、Lys、Phe、Asp、及びGly)並びに対応するアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)が含まれるが、他の14つのアミノ酸及びそれらのアミノアシルtRNA合成酵素を省いたフレキシブルin vitro翻訳(FIT)系を用いて行った。各ペプチドの同一性はMALDI-TOF MSによって確認され、副産物を伴わない[M+H]+および[M+2H]2+イオンの所望のm/z値が得られた(図12b)。同じペプチドを[14C]標識Aspの存在下で翻訳し、トリシンSDS-PAGEにかけ、続いてオートラジオグラフィーで定量化した(図20)。EF-Pの存在は、EF-Pの非存在下と比較して、rP1発現レベルを中等度(1.5倍)から高(7倍)まで上昇させた(図12c)。
次に、Abzを連続的又は多重的に取り込むことができるかどうかを調べるために、Abz-tRNAPro1E2 CGG及び EF-Pの存在下でペプチド(rP2〜rP4、図13a)を発現させるためにmRNA(mR2〜mR4)を調製した。rP2ペプチドは2つの連続したAbz残基を有し、一方、rP3ペプチドとrP4ペプチドは2つのAbz残基間に1つ又は2つのPhe残基が挿入されている。[14C]Aspで標識したペプチド(rP2〜rP4)のそれぞれの発現をトリシンSDS‐PAGEで分析した。rP1と同程度のレベル(0.065 vs.0.072pmol/μL)のrP4発現における離散バンドを観察し(図13b及び図21)、予測分子量を有するrP4ペプチドの同一性をMALDI-TOF MSスペクトルにより確認した(図13c)。
続いて、Abz誘導体を含む複数の外来アミノ酸を含む環状ペプチドを発現させた。再プログラムされた遺伝子コード下でペプチド(rP5〜rP10)を発現するように鋳型mRNA(mR5〜mR10)を設計した(図14a)。N-クロロアセチル-D-チロシン(ClAcD-Tyr)又はN-クロロアセチル-D-フェニルアラニン(ClAcD-Phe)を開始剤(tRNAfMet CAUにeFx/ClAcD-Tyr-CME又ははeFx/ClAcD-Phe-CMEでチャージ)として、またD-Cysを下流の位置に導入(tRNAPro1E2 GUGにdFx/D-Cys-DBEでチャージ; DBEは3,5-ジニトロベンジルエステルである)するように再プログラミングされた。ここで、D-アミノ酸上のClAc基およびスルフヒドリル基は、ペプチド全体が合成されたときにチオエーテル結合を介して自動環化される(図14a)。これらの環化残基の間には、tRNAPro1E2 NNN(NNNは対応するアンチコドン)に結合したアミノ酸を、それぞれ、ペプチド(rP5、rP6、又はrP7)のアミノ酸配列内に導入した(図14a)。それぞれのペプチド(rP5-rP7)をMALDI-TOF MSスペクトルにより(図14b)、正しい環状ペプチドが発現していることを確認した。
rP8ペプチドを発現させるために、N-メチル-1-α-Ser (MeSer)、(1S,2S)-2-ACPC、Abz及びAbz5OMeは、MeSer-tRNAPro1E2 GAU、(1S,2S)-2-ACPC-tRNAGluE2 CGG、及びAbz-tRNAPro1E2 GAU又はAbz5OMe-tRNAPro1E2 GGUを用いて導入された。Abz又はAbz5OMeを含むrP8ペプチドのMALDI-TOF MSスペクトルは、望ましいピークを示した(図14b)。
最後に、ペプチド(rP9及びrP10)の環状構造への2つのAbz誘導体の取り込みを行って、複数のAbz誘導体の取り込みが可能であることを確認した(図14b)。
本実施例により、1又は複数の芳香族アミノ酸をペプチド鎖のN末端ではない伸長過程において、すなわちペプチド配列の中央の主鎖結合に導入することが可能であることを確認できた。化学合成に対するリボソームペプチド合成の最も重要な利点は、本発明により、FITシステムを用いて芳香族アミノ酸含有環状ペプチドを発現させたことができることを確認できるので、生理活性芳香族アミノ酸含有環状ペプチドのRaPID (Random Non-standard Peptides Integrated Discovery)プラットフォームを開発し、生理活性「foldamer様」ペプチドを研究プログラムに送達するための第一歩となる。

Claims (27)

  1. 2種以上の環状ペプチドを含むライブラリーの製造方法であって、
    前記ライブラリーに含まれる環状ペプチドの少なくとも一つが、
    4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有し、
    前記環状構造内に、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つを含む、環状ペプチドであり、
    式(1)で表される配列;
    −(Xaa)n1− (1)
    [式(1)中、
    Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
    n1は、2〜28の整数である。]
    を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを準備する工程と;
    前記mRNAライブラリーを用いて、無細胞翻訳系により前記ペプチドを発現させ、ライブラリーを製造する工程と;
    を含む、
    ライブラリーの製造方法。
  2. 2種以上の環状ペプチドを含むライブラリーの製造方法であって、
    前記ライブラリーに含まれる環状ペプチドの少なくとも一つが、
    4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有し、
    前記環状構造内に、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つを含む、環状ペプチドであり、
    式(1)で表される配列;
    −(Xaa)n1− (1)
    [式(1)中、
    Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
    n1は、2〜28の整数である。]
    を含むペプチドをコードするmRNAライブラリーを準備する工程と;
    前記mRNAライブラリーの各mRNAの3'末端にピューロマイシンを結合させ、ピューロマイシン結合mRNAライブラリーを製造する工程と;
    前記ピューロマイシン結合mRNAライブラリーを用いて、無細胞翻訳系により前記ペプチドを発現させ、ペプチド−mRNA複合体ライブラリーを製造する工程と;
    を含む、
    ライブラリーの製造方法。
  3. 無細胞翻訳系が、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種をチャージしたtRNAを含み、前記tRNAが、EF-Pと相互作用するDアーム構造を有するtRNA又はEF-Pと相互作用するDアーム構造を有しないtRNAである、
    請求項1又は2に記載のライブラリーの製造方法。
  4. 無細胞翻訳系が、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種をチャージしたtRNAを含み、前記tRNAが、tRNAPro1E2及びtRNAGluE2から選択される少なくとも一つである、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  5. 式(1)で表される配列を含むペプチドが、式(2);
    Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (2)
    [式(2)中、
    Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaaの少なくとも1つは、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される1種であり、
    Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    n1は、2〜28の整数であり、
    mは、0〜10の整数を表す。]
    で表される、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  6. β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸が、それぞれ、
    式(I-1);
    Figure 2021106565
    (式(I-1)中、p1は、1〜4のいずれかの整数である。)
    式(I-2);
    Figure 2021106565
    (式(I-2)中、p2は、1〜4のいずれかの整数である。)
    式(I-3);
    Figure 2021106565
    (式(I-3)中、p3は、1又は2の整数である。)
    式(I-4);
    H2N-Ar-COOH (I-4)
    (式(I-4)中、Arは、2価の芳香族基であり、芳香族基における芳香環は1又は複数の置換基により置換されていてもよい。)
    により表される、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  7. cAAが、式(1)で表される配列中に2個以上ランダムに含まれる、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  8. cAAが、式(1)で表される配列中に2個以上連続して含まれる、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  9. cAAが、
    式(1)で表される配列中に3個以上15個以下連続して含まれ、
    (1S,2S)-2-ACPC:
    Figure 2021106565
    で表されるβ−環状アミノ酸である、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  10. cAAが、
    Figure 2021106565
    から選択される少なくとも1種のβ−又はγ−環状アミノ酸(i)、及び/又は、
    Figure 2021106565
    から選択される少なくとも1種のβ−又はγ−環状アミノ酸(ii)であり、
    無細胞翻訳系が、
    β−又はγ−環状アミノ酸(i)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有するtRNA、及び/又は、
    β−又はγ−環状アミノ酸(ii)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有しないtRNAを含む、
    を含む、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  11. β−又はγ−環状アミノ酸(i)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有するtRNAが、tRNAPro1E2であり、

    β−又はγ−環状アミノ酸(ii)をチャージした、EF-Pと相互作用するD-アーム構造を有しないtRNAが、tRNAGluE2である、
    請求項10に記載のライブラリーの製造方法。
  12. 4〜30のアミノ酸又はその誘導体から構成される環状構造を有する環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩であって、
    前記環状構造の4〜30のアミノ酸又はその誘導体のうち2つのアミノ酸又はその誘導体Xaa1及びXaa2は、環状構造を形成するための構造を含み、
    前記Xaa1と前記Xaa2とは、2〜28のアミノ酸又はその誘導体から構成されるアミノ酸配列を介して連結した構造を有し、
    前記2〜28のアミノ酸又はその誘導体から構成されるアミノ酸配列が、β−、γ−、及びδ−環状アミノ酸(cAA)から選択される少なくとも1つ、並びに、任意のアミノ酸又はその誘導体で構成される、
    環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  13. 前記環状ペプチドが、式(3);
    Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (3)
    [式(3)中、
    Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaaの少なくとも1つは、β−環状アミノ酸(cβAA)であり、
    Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
    n1が、10〜16の整数であり、
    Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    mは、0〜10の整数を表す。]
    により表され、
    Xaa1を1番目のアミノ酸とするとき、少なくとも1つのcAAは、5〜9番目に存在する、
    請求項12に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  14. Xaaの少なくとも1つが、塩基性アミノ酸又はその誘導体である、
    請求項13に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  15. 式(3)中の(Xaa)n1が、f1〜f4から選択されるいずれかである、
    請求項13又は14に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
    Figure 2021106565
    [式中、cAAは、β−環状アミノ酸である。]
  16. 前記環状ペプチドが、式(3-1);
    Figure 2021106565
    [式(3-1)中、
    Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    cAAは、β−環状アミノ酸であり、
    n1aは、3〜8の整数であり、n1bは、2〜8の整数であり(ただしn1aとn1bの合計が、10〜16の整数である)、
    Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaa1は、Phe又はTyrであり、
    mは、0〜10の整数を表す。ただし、(Xaa)n1aには、cAAを含まない。]
    により表される、
    請求項13に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  17. Xaaのうち少なくとも1つが、塩基性アミノ酸又はその誘導体である、
    請求項16に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  18. n1aとn1bとの差(絶対値)が、4以下である、
    請求項16又は17に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  19. 前記環状ペプチドが、以下のF1〜F4のいずれかである、
    請求項13〜18のいずれか一項に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
    Figure 2021106565
    [式中、
    cAAは、それぞれ独立してβ−環状アミノ酸であり、
    Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    mは、0〜10の整数を表す。]
  20. β−環状アミノ酸が、
    式(I-1);
    Figure 2021106565
    (式(I-1)中、p1は、1〜4のいずれかの整数である。)
    で表される、
    請求項13〜19のいずれか一項に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  21. 前記環状ペプチドが、式(4);
    Xaa1−(Xaa)n1−Xaa2−(Xaax)m (4)
    [式(4)中、
    Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaaの少なくとも1つは、β−環状アミノ酸(cAA)であり、
    Xaa1及びXaa2は、環状ペプチドの環を形成するアミノ酸又はその誘導体であり、
    n1が、9〜15の整数であり、
    Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    mは、0〜10の整数を表す。]
    により表され、
    Xaa1を1番目のアミノ酸としたとき、少なくとも1つのcAAが、5〜8番目に存在する、
    請求項12に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  22. 式(4)中の(Xaa)n1が、i1-1〜i1-6から選択されるいずれかである、
    請求項21に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
    Figure 2021106565
    [式中、cAAは、β−環状アミノ酸である。]
  23. 前記環状ペプチドが、式(4-1);
    Figure 2021106565
    [式(4-1)中、
    Xaaは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    cAAは、β−環状アミノ酸であり、
    n1aは、3〜7の整数であり、n1bは、5〜8の整数であり(ただしn1aとn1bの合計が、
    9〜15の整数である)、
    Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    Xaa1は、Phe又はTyrであり、
    mは、0〜10の整数を表す。ただし、(Xaa)n1aには、cAAを含まない。]
    により表される、
    請求項21に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  24. 前記環状ペプチドが、以下のI1-1〜I1-6のいずれかである、
    請求項21〜23のいずれか一項に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
    Figure 2021106565
    [式中、
    cAAは、それぞれ独立してβ−環状アミノ酸であり、
    Xaaxは、任意のアミノ酸又はその誘導体であり、
    mは、0〜10の整数を表す。]
  25. β−環状アミノ酸が、
    式(I-1);
    Figure 2021106565
    (式(I-1)中、p1は、1〜4のいずれかの整数である。)
    で表される、
    請求項21〜24のいずれか一項に記載の環状ペプチド又はその医薬的に許容可能な塩。
  26. 請求項13〜20のいずれか一項に記載の環状ペプチド、又はその医薬的に許容可能な塩を含む、活性化した血液凝固第XII因子(FXIIa)結合剤。
  27. 請求項21〜25のいずれか一項に記載の環状ペプチド、又はその医薬的に許容可能な塩を含む、II型インターフェロン受容体複合体(IFNGR1)結合剤。
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