以下に、本開示の実施の形態にかかる送信装置、受信装置、基地局、端末および送信方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。実施の形態1にかかる無線通信システムは、基地局1および複数の端末2(端末21〜2n)を備える。
端末2は、ユーザ端末またはUE(User Equipment)とも呼ばれる通信装置であり、基地局1から受信した信号の復調処理を、後述する参照信号を使用して行う。基地局1から端末2に向けた伝送路はダウンリンクと呼ばれ、端末2から基地局1に向けた伝送路はアップリンクと呼ばれる。ダウンリンクの通信においては、基地局1は送信装置であり、端末2は受信装置である。アップリンクの通信においては、端末2は送信装置であり、基地局1は受信装置である。本実施の形態にかかる無線通信システムにおいては、ダウンリンクの通信でOFDM方式を用いる。
図2は、実施の形態1にかかる基地局1の構成例を示す図である。基地局1は、受信部11、フィードバック情報処理部12、多重用制御信号生成部13、参照信号情報管理部14、参照信号生成部15、データ信号生成部16、多重部17、プリコーディング部18および送信部19を備える。多重用制御信号生成部13、参照信号情報管理部14、参照信号生成部15、データ信号生成部16、多重部17、プリコーディング部18および送信部19は送信装置50を構成する。なお、本実施の形態においては複数レイヤを多重する構成の無線通信システムを想定する。ここでのレイヤとは、データ、制御信号および参照信号の中の1つ以上を含む情報系列に相当する。複数レイヤを多重して伝送することにより容量が大きい伝送を実現できる。複数レイヤ多重はプリコーディングを行い、MIMO伝送などを用いて行う。なお、図2に記載した参照信号生成部15、データ信号生成部16および多重部17は、レイヤ番号i(レイヤ#i)に相当する情報系列を対象として処理を行う送信信号生成部を構成している。すなわち、基地局1は、送信信号生成部を複数備え、各送信信号生成部が各レイヤの送信信号を生成する。本実施の形態では、1台の端末2に対して1つのレイヤが割り当てられるものとして説明を行うが、一例である。1台の端末2に対して複数のレイヤが割り当てられるようにしてもよい。
基地局1において、各レイヤの送信信号生成部は各端末2へ送信する信号を生成し、プリコーディング部18および送信部19を介して各端末2へ送信する。すなわち、各レイヤの送信信号生成部において、参照信号生成部15は、端末2が伝送路推定および復調といった信号受信処理を行う際に使用する参照信号を生成する。データ信号生成部16は、端末2へ送信するデータ信号を生成する。多重部17は、参照信号生成部15で生成された参照信号とデータ信号生成部16で生成されたデータ信号とを多重する。ここでの多重とは、例えば、時間および周波数で定義される特定の領域内に参照信号およびデータ信号を配置することをいう。また、多重部17は、後述する参照信号の情報を含んだ制御信号が参照信号情報管理部14から入力された場合、入力された制御信号を参照信号およびデータ信号と多重する。
プリコーディング部18は、各レイヤの送信信号生成部で生成された送信信号に対してプリコーディングを行う。送信部19は、プリコーディング部18でプリコーディングが行われた後の送信信号に対して、マルチアンテナ送信処理および波形整形処理といった送信処理を行う。波形整形処理の例として、OFDM処理がある。OFDM処理において、送信部19は、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)処理およびCP(Cyclic Prefix)付加を実施する。
基地局1の受信部11は、端末2から送信された信号を受信し、復調、復号などの処理を行い、端末2が送信した情報系列を復元する。アップリンクで送信された情報系列の解読はフィードバック情報処理部12が行う。アップリンクでは、その送信元が未通信中の端末2すなわち通信を開始する前の端末2であれば通信要求を示す情報などが基地局1に伝達され、送信元が通信中の端末2であれば伝送路の状態を示す情報などが基地局1に伝達される。伝送路の状態の例としては、マルチパス伝送路におけるパス数、マルチアンテナ通信における伝送路情報などがある。なお、マルチアンテナ通信における伝送路は複素数行列を用いて表現する事ができ、この場合の伝送路情報に相当する情報は、行列の最大ランク数、固有ベクトル、固有値などである。
フィードバック情報処理部12は、端末2から受信した情報系列を解読し、伝送路の状態を示す情報である伝送路状態情報が含まれている場合はこれを抽出して多重用制御信号生成部13に出力する。
多重用制御信号生成部13は、伝送路状態情報に基づいて、参照信号生成用の制御信号を生成する。前述の通り、伝送路状態情報はマルチアンテナ通信における伝送路行列の最大ランク数などが相当する。多重用制御信号生成部13は、伝送路状態情報に基づいて多重するレイヤの数を決定するとともに、多重する各レイヤで使用する参照信号を決定する。多重用制御信号生成部13は、多重する各レイヤで使用する参照信号として、それぞれ異なる参照信号を決定する。また、多重用制御信号生成部13は、各レイヤの参照信号生成部15に対して、使用する参照信号すなわち生成する参照信号を指示する制御信号を出力する。なお、多重用制御信号生成部13は、多重化の対象外のレイヤの参照信号生成部15に対しては、制御信号を出力しなくてもよい。また、多重用制御信号生成部13は、各レイヤで使用する参照信号を示す情報を、参照信号情報管理部14へ出力する。また、多重用制御信号生成部13は、各レイヤのデータ信号生成部16に対して、データ信号の生成動作に関する制御信号を出力する。データ信号の生成動作に関する制御信号とは、データ信号の生成を指示する信号である。多重用制御信号生成部13は、多重化の対象とするレイヤのデータ信号生成部16に対して、データ信号の生成を指示する制御信号を出力する。例えば、多重用制御信号生成部13は、レイヤ#1とレイヤ#2とを多重化することに決定した場合、レイヤ#1のデータ信号生成部16およびレイヤ#2のデータ信号生成部16に対して、データ信号の生成を指示する制御信号を出力する。データ信号の生成を指示する制御信号は、データ信号の生成を指示する情報に加えて、データ信号の生成量の情報など、データ信号の生成に関連するその他の情報を含むものであってもよい。
参照信号情報管理部14は、各レイヤで使用する参照信号を示す情報を多重用制御信号生成部13から受け取ると、これを保持する。また、参照信号情報管理部14は、端末2に送信する参照信号の情報を含んだ制御信号を生成し、参照信号を送信するレイヤの多重部17へ出力する。例えば、参照信号情報管理部14が、レイヤ#1で使用される参照信号およびレイヤ#2で使用される参照信号の情報を多重用制御信号生成部13から受け取ったとする。この場合、参照信号情報管理部14は、レイヤ#1で使用される参照信号の情報を含んだ制御信号を生成してレイヤ#1の多重部17へ出力するとともに、レイヤ#2で使用される参照信号の情報を含んだ制御信号を生成してレイヤ#2の多重部17へ出力する。また、参照信号情報管理部14は、後述するターゲット端末に対する干渉端末が存在する場合、ターゲット端末に送信する参照信号の情報および干渉端末に送信する参照信号の情報を含んだ制御信号を生成し、生成した制御信号を、ターゲット端末へ信号を送信するレイヤの多重部17へ出力する。以下の説明では、「ターゲット端末に送信する参照信号」を「ターゲット端末の参照信号」と記載する場合がある。また、「干渉端末に送信する参照信号」を「干渉端末の参照信号」と記載する場合がある。なお、ターゲット端末に送信する参照信号を第1の参照信号、干渉端末に送信する参照信号を第2の参照信号とする。この場合、ターゲット端末に送信する参照信号の情報は第1の参照信号の情報となり、干渉端末に送信する参照信号の情報は第2の参照信号の情報となる。
参照信号情報管理部14から多重部17へ出力された制御信号は、多重部17に入力されると、参照信号およびデータ信号と多重された後、プリコーディング部18および送信部19を介して、端末2へ伝達される。参照信号の情報の端末2への伝達は、どのような方法で行ってもよい。以下にいくつかの例を示す。
基地局1から端末2への参照信号の情報の伝達は、上位レイヤまたは下位レイヤを用いて行うことができる。上位レイヤを使用する場合としては、例えば、3GPPで規定されている、レイヤ3(Layer 3)のRRC(Radio Resource Control)を使用した情報伝達が該当する。すなわち、基地局1は、参照信号の情報をRRCのメッセージに含めて端末2へ伝達することができる。また、下位レイヤを使用する場合としては、3GPPで規定されているPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の使用が該当する。PDCCHを使用する場合、参照信号の情報をパラメタ情報として定義し、基地局1は、参照信号の情報をパラメタ情報としてPDCCHに含めて端末2へ送信する。PDCCHはレイヤ1(Layer 1)の情報を伝送するための制御チャネルである。また、基地局1は、MAC(Medium Access Control)レイヤなどを用いて、すなわち、3GPPにおけるレイヤ2(Layer 2)で伝送されるMAC CE(Control Element)を用いて、参照信号の情報を端末2へ伝達するようにしてもよい。また、参照信号の情報が長期間変わらないパラメタであれば、3GPPにおけるレイヤ3またはレイヤ2の制御信号として、参照信号の情報が基地局1から端末2へ送信されてもよい。参照信号の情報が短期間で変わるパラメタであれば、3GPPにおけるレイヤ1の制御信号を用いて伝達すればよい。
参照信号情報管理部14で管理される、参照信号の情報は、参照信号の生成方法によって異なる。参照信号の生成方法の一例を説明する。3GPP LTEで規定された方法では、ダウンリンク用復調用参照信号(DMRS)としてPN(Pseudo Noise)系列を生成する。DMRSとして生成するPN系列は、各セルのIDと、スクランブルIDとにより決まる。すなわち、3GPP LTEでは、これらのIDに応じて異なるPN系列を生成して使用する。この場合、参照信号情報管理部14は、セルIDおよびスクランブルIDを、参照信号の情報として管理する。
また、DMRSは、指定されたポート番号に対応する時間および周波数のリソースエレメント(RE:Resource Element)に配置される。ここで、REは、周波数における単位を示し、3GPP LTEにおいては、12サブキャリアと7シンボルとによって成り立つグループのREが1リソースブロック(RB:Resource Block)と呼ばれる。ダウンリンクにおける1シンボルはOFDMシンボルである。スクランブルIDおよびセルIDは、PDCCHに含まれるDCI(Downlink Control Information)などによって伝達される。よって、3GPP LTEの端末は、PDCCHを解読することにより、自端末向けのDMRSの生成手法すなわちDMRSに用いられたPN系列と、ポート番号すなわちDMRSの配置を知る事ができる。したがって、端末は、自身に割り当てられたDMRSを使用して、自端末に向けて送信されたデータ信号を復調できる。
しかし、3GPP LTEをはじめとした従来の無線通信システムにおいて、各端末は、他の端末に向けて送信された参照信号を知る事ができない。そのため、各端末は、基地局が他の端末へ送信した信号から干渉を受けた状態の信号を受信した場合に、受信した信号に含まれている干渉成分を推定する事ができない。
これに対して、本実施の形態にかかる無線通信システムにおいては、基地局1が、端末2の各々に対し、他の端末向けの参照信号の情報を伝達する。これにより、各端末2は、他の端末向けの参照信号を知ることができ、他の端末向けの参照信号を使用して、自端末向けの信号に含まれる干渉成分を抑制することができるようになる。なお、基地局1は、ある端末2のダウンリンクの通信に対して干渉を与える他の端末2のダウンリンクの通信が存在する場合、干渉を与える端末2に向けた参照信号の情報を、干渉を受ける端末2へ伝達する。以下の説明においては、便宜上、干渉を受ける側の端末を「ターゲット端末」と記載し、ターゲット端末に干渉を与える端末を「干渉端末」と記載する。
基地局1がターゲット端末に対して干渉端末に向けた参照信号の情報を通知するには、ターゲット端末が他の端末2から干渉を受ける状況にあるかどうかを知る必要がある。そのため、基地局1はターゲット端末から通知を受けると、干渉端末の特定を行い、ターゲット端末に対して干渉端末に関する情報、すなわちターゲット端末に向けた参照信号の情報を伝える。なお、端末2が干渉端末に関する情報を知りたいか否かは端末2に干渉除去機能が備わっているかで決まる。通信リソースの有効利用、誤動作防止などのため、基地局1は、干渉除去機能を有していない端末2に対しては、干渉端末に関する情報を通知しないようにするのが望ましい。なお、効率は落ちるものの、手順を簡略化するために、同時に伝送される全てのユーザの参照信号情報を全ユーザに通知することも可能である。
基地局1がターゲット端末に対する干渉端末を特定する方法の例を説明する。なお、干渉端末の特定方法は以下に示す例に限定されない。本実施の形態においては、ターゲット端末に対する干渉端末の特定を参照信号情報管理部14が行うものとする。すなわち、参照信号情報管理部14は、データ信号の送信先の端末であるターゲット端末との通信に干渉を与える通信を行う可能性がある端末である干渉端末を特定する特定部として動作する。
(1)端末間距離に基づいて干渉端末を特定する方法
基地局1は、各端末2から位置情報をフィードバックさせることで、各端末2の位置関係を把握することができる。位置情報は、例えば緯度および経度の情報であり、端末2はGPS(Global Positioning System)などを利用して位置情報を取得する。一般的に距離の近い端末は空間分離が困難となり、干渉が発生すると考えられる。基地局1は、ターゲット端末とその他の端末2との間の距離を算出し、距離がしきい値以下の端末2が干渉端末であると判断する。
(2)端末が捕捉するビームの情報に基づいて干渉端末を特定する方法
狭ビームで通信を行う基地局1は、新規ユーザの発生を検知するために定期的にセル全域にビーム走査を実施する。この時、あらかじめ定められた位置にビームが照射されるため、基地局1は、各端末2が最大電力で受信できたビームを知ることにより、各端末2の大体の位置を知ることができる。基地局1は、受信電力が最大のビームの情報を各端末2からフィードバックさせることで、各端末2の位置関係を把握することができる。フィードバックさせるビームの情報は、ビームの識別情報とする。ビームの識別情報に加えて受信電力をフィードバックするようにしてもよい。基地局1は、ターゲット端末が存在するビームの近距離のビームに存在する端末2が干渉端末であると判断する。なお、基地局1と各端末2との間で時刻同期が確立している場合、端末2が基地局1へフィードバックする情報はビームの受信電力の最大値を検出した時刻の情報としてもよい。この場合、基地局1は、ターゲット端末が受信電力の最大値を検出した時刻とその他の端末2が受信電力の最大値を検出した時刻を比較し、時刻の差がしきい値以下の端末2が干渉端末であると判断する。
(3)空間相関に基づいて干渉端末を特定する方法
基地局1と端末2の間の伝送路情報(CSI:Channel State Information)はビームフォーミングを行うに当たって重要な情報である。基地局1は、一般的には伝送路のレシプロシティ(Reciprocity)または可逆性を活用したアップリンク既知信号を利用した伝送路情報の取得、または、端末2からの明示的なフィードバックによる伝送路情報の取得が可能である。明示的なフィードバック例として、複素数の伝送路行列、固有ベクトルおよび固有値が考えられる。伝送路の可逆性とはアップリンクおよびダウンリンクの伝送路が同じ伝送路であることを前提とできる環境である。伝送路の可逆性が成立する場合、基地局1はアップリンクで送信される参照信号を用いて伝送路推定を行うことにより、ダウンリンクの伝送路を知る事が可能となるので、端末2からダウンリンクの伝送路情報のフィードバックを受ける必要が無くなる。基地局1は、伝送路情報に基づき、ターゲット端末と他の端末2との間の空間相関を算出することができる。基地局1は、ターゲット端末との間の空間相関の高い端末2が干渉端末であると判断する。
なお、ターゲット端末に対し、複数の干渉端末が存在する事が想定される。その場合、基地局1は、上記の距離、相関値などに対して其々異なる単位のしきい値を設け、しきい値よりも低い距離またはしきい値よりも高い相関値の端末2を干渉端末として取り扱い、各干渉端末の参照信号の情報をターゲット端末に伝えるようにしてもよい。
また、端末2が干渉除去可能な干渉端末数は限られるので、基地局1は、対応できる端末数の参照信号の情報をターゲット端末に伝える。この場合、基地局1は、上記(1)の方法で干渉端末を特定するのであれば、距離が短いものから順番に、ターゲット端末が処理できる数の端末を干渉端末として選択する。同様に、基地局1は、上記(3)の方法で干渉端末を特定するのであれば、相関値が高いものから順番に、ターゲット端末が処理できる数の端末を干渉端末として選択する。基地局1は選んだ干渉端末の参照信号の情報をターゲット端末に伝える。
図3は、実施の形態1にかかる無線通信システムの動作例を示すシーケンス図である。図3では、ターゲット端末以外の端末2の記載を1台としているが2台以上の場合もある。ターゲット端末は、複数の端末2の中のいずれか1つの端末2である。実施の形態1にかかる無線通信システムでは、まず、ターゲット端末を含む全ての端末2が伝送路情報を基地局1へ通知し(ステップS11)、基地局1が、各端末2から通知された伝送路情報を保存する(ステップS12)。基地局1は、次に、受信通知をターゲット端末に送信する(ステップS13)。基地局1は、例えば、ターゲット端末以外の端末2から伝送路情報の通知を受けた場合に受信通知をターゲット端末に送信する。なお、受信通知を送るのは伝送路情報が各端末2から不定期に通知される構成の場合である。各端末2から定期的に伝送路情報が通知される場合、基地局1からターゲット端末に受信通知を送信する必要は無い。その後、ターゲット端末が干渉端末の参照信号情報のリクエストを基地局1へ送信し(ステップS14)、これを受けた基地局1は干渉端末を検索、すなわちターゲット端末以外の端末2の中のどの端末が干渉端末に該当するのかを特定する(ステップS15)。基地局1は、上述した方法(1)〜(3)のいずれか、またはその他の方法を使用して干渉端末を特定する。基地局1は、干渉端末を特定後、干渉端末の参照信号の情報をターゲット端末へ通知する(ステップS16)。なお、基地局1は、干渉端末が存在していない場合、ステップS16は実行しない。ターゲット端末は、基地局1から受信した参照信号の情報をもとに、基地局1と干渉端末との通信によって受けた干渉の成分を受信信号から除去する。ターゲット端末は、ステップS14すなわち干渉端末の参照信号情報のリクエストを、受信エラーの発生頻度が規定値に達するなど、あらかじめ決められた条件を満たした場合に行うようにしてもよい。また、手順を簡略化するためにステップS15を省略し、全ユーザに対して、同時に信号が伝送される全てのユーザの参照信号情報を通知することも可能である。
ここで、無線通信システムの全ての端末2は、ターゲット端末になり得る。そのため、基地局1は、ステップS12で伝送路情報を保存した後、通信中の全ての端末2に対して、受信通知を送信する。その後、干渉端末の参照信号情報のリクエストを受信すると、基地局1は、リクエストの送信元の端末2を対象として、ステップS15およびS16を実行する。
なお、図3では、ターゲット端末からのリクエストにより、基地局1が干渉端末の参照信号の情報を送付するシーケンスを示した。図3のシーケンスは、不定期通知であるが、基地局1が定期的に通知をおこなうようにしてもよい。この場合、図4に示したシーケンスとなる。図4は、実施の形態1にかかる無線通信システムの他の動作例を示すシーケンス図である。図4に示したシーケンスに従った動作では、図3に示したステップS11〜S13を実行した後、ターゲット端末は、干渉端末の参照信号情報の定期的通知リクエストを基地局1へ送信する(ステップS14a)。ステップS14aでリクエストを受けた基地局1は、上述したステップS15およびS16を実行し、干渉端末を検索するとともに、干渉端末の参照信号の情報をターゲット端末へ通知する。その後、基地局1は、ステップS15およびS16を定期的に実行する。すなわち、基地局1は、図4に示した通知間隔に相当する一定時間が経過するごとに、ステップS15およびS16を繰り返し実行する。ステップS15およびS16の定期的な実行は、あらかじめ決められた時間が経過するか、あらかじめ決められた回数繰り返し実行した場合に終了するようにしてもよいし、ターゲット端末から終了のリクエストを受けた場合に終了するようにしてもよい。また、基地局1は、ステップS15およびS16の定期的な実行を、ターゲット端末からの信号を受信しなくなった場合に終了するようにしてもよい。なお、図4では記載を省略しているが、各一定期間において、基地局1は、ターゲット端末を含む全ての端末2から伝送路情報の通知を受ける。
なお、ステップS14aでターゲット端末が送信するターゲット端末の定期的通知リクエストに、基地局1が干渉端末の参照信号の情報を通知する間隔の情報を含ませるようにしてもよい。また、ターゲット端末の定期的通知リクエストに、定期的通知解除を知らせる情報、または、定期的通知を行う回数の情報を含ませるようにしてもよい。
なお、基地局1がターゲット端末に通知する参照信号の情報は、干渉端末が受信処理で使用する参照信号の生成情報および参照信号の位置となる。生成情報は、参照信号の構成すなわち内容に関連する情報である。
3GPP LTEにおいて、基地局は、通信相手の端末に対してデータの受信処理で使用する参照信号の情報を通知する際、3GPPで規定されたDCIテーブルの番号を用いて行う。そのため、基地局1が3GPP LTEの基地局の場合、基地局1は、DCIテーブルの番号を用いて、干渉端末の参照信号の情報を各ターゲット端末に通知するようにしてもよい。
図5は、実施の形態1にかかる基地局1が参照信号の情報を端末2に通知する際に使用するテーブルの一例を示す図である。図5に示したテーブルは、文献「3GPP TS 36.212 V14.0.0」で規定されているDMRSの通知で使用するためのDCIテーブルである。
図5に示したDCIテーブルを使用して行う参照信号の情報の伝送では、使われるコードワード数によって左あるいは右の列の選択肢、すなわち「Value」から値が選ばれ、選ばれた値がPDCCHにて送信される。例えば、2コードワード送信時に2レイヤ多重を行う場合、右の列から“1”を選択すれば、ポート番号7および8を用いて、スクランブルIDが1すなわちnSCID=1に対応するDMRSを送信する事を基地局1から端末2に通知することになる。この場合、端末2は、ポート番号7および8に対応する位置に、nSCID=1に対応するパターンのDMRSが挿入されていることが分かり、基地局1から送信された信号を復調することができる。図5に示したDCIテーブルにおいて、OCCはOrthogonal Cover Codeを示し、レイヤ分離用を行うためにDMRSに乗算される直交符号を示す。ポート番号7および8に対応するOCCは事前に決められているので、受信側でポート番号さえ解れば、対応するOCCを生成することが可能である。
基地局1がDCIテーブルの番号を用いて、干渉端末の参照信号の情報をターゲット端末に通知する場合のPDCCHの構成例を図6に示す。図6に示す通り、PDCCHは、ターゲット端末の参照信号の情報として、DCIテーブルの値である「ターゲット端末用value」を含み、さらに、干渉端末の参照信号の情報として、DCIテーブルの値である「干渉端末用value」を含む。ターゲット端末の参照信号の情報は第1の参照信号の情報、干渉端末の参照信号の情報は第2の参照信号の情報である。なお、図6では、PDCCHに含まれる他の情報の記載を省略している。また、ターゲット端末の値と干渉端末の値とが連続して配置される必要は無い。PDCCHに含まれる情報は誤り訂正符号化されてもよい。
また、ターゲット端末の参照信号の情報と干渉端末の参照信号の情報とを複数のシンボルに分けて送信するようにしてもよい。これらの情報の送信をPDCCHにて行う場合、例えば、最初に送るPDCCHにターゲット端末に対応する参照信号情報を含ませ、次に送るPDCCHに干渉端末の参照信号情報を含ませる。この場合のPDCCHの配置例を図7に示す。
次に、本実施の形態にかかる受信端末について説明する。図8は、実施の形態1にかかる受信装置の構成例を示す図である。図8に示した受信装置3は、図1に示した端末2を構成し、基地局1から送信された信号を受信する。
受信装置3は、受信処理部31、復調部32および制御信号復調部33を備える。受信処理部31は、受信信号に対して、適用されている変調方式に応じた受信処理を行う。例えば、変調方式がOFDMの場合、受信処理部31は、CP除去、周波数領域変換処理といった処理を行った後、制御信号を制御信号復調部33に出力するとともに、データ信号を復調部32に出力する。
制御信号復調部33は、制御信号を復調して、上述したターゲット端末の参照信号の情報と干渉端末の参照信号の情報とを復元する。制御信号復調部33は、復元したこれらの情報を復調部32へ出力する。
復調部32は、伝送路推定またはレイヤ毎の復調処理を行う。このとき、復調部32は、制御信号復調部33から入力された、ターゲット端末の参照信号の情報と干渉端末の参照信号の情報とを使用する。ターゲット端末の参照信号の情報は第1の参照信号の情報、干渉端末の参照信号の情報は第2の参照信号の情報である。上述したように、ターゲット端末の参照信号は、自装置に向けて送信された信号の復調で使用する参照信号、干渉端末の参照信号は、受信信号に含まれている干渉成分を除去する処理で使用する参照信号である。したがって、復調部32は第1の参照信号の情報に基づいてデータ信号の復調を行うとともに、第2の参照信号の情報に基づいてデータ信号に含まれている干渉成分を除去する。具体的には、復調部32は、レイヤ毎の復調処理において、まず、ターゲット端末の参照信号の情報に基づき、ターゲット端末に向けた参照信号を生成し、また、干渉端末の参照信号の情報に基づき、干渉端末に向けた参照信号を生成する。復調部32は、ターゲット端末に向けた参照信号を使用してデータ信号の復調を行い、干渉端末に向けた参照信号に基づき干渉端末からの干渉波を推定し、推定した干渉波を使用して、データ信号に含まれている干渉成分の除去を行う。干渉成分の除去はIRC(Interference Rejection Combining)手法などを用いて行うことができる。
なお、図8に示した例ではデータ信号を復調する復調部32と制御信号を復調する制御信号復調部33とを別構成としたが、これらを1つにまとめてもよい。例えば、復調部32がデータ信号および制御信号の両方を復調するようにしてもよい。この場合、復調部32は、まず、制御信号の復調を行い、ターゲット端末の参照信号の情報および干渉端末の参照信号の情報を取得する。次に、制御信号を復調して得られた各参照信号の情報を使用してターゲット端末に向けた参照信号および干渉端末に向けた参照信号を生成し、生成した各参照信号を使用してデータ信号の復調を行う。
図9は、実施の形態1にかかる基地局1の動作例を示すフローチャートであり、ターゲット端末に対して干渉端末の参照信号の情報を送信する場合の動作例を示している。
図9に示したように、基地局1は、まず、端末2より伝送路情報を受け取る(ステップS1)。このステップS1において、基地局1は、全ての端末2より伝送路情報を受け取る。基地局1は、次に、ターゲット端末の干渉端末を判定する(ステップS2)。このステップS2において、基地局1は、全ての端末2を対象として、各端末2をターゲット端末としたときの干渉端末をそれぞれ判定する。すなわち、基地局1は、端末2ごとに干渉端末を判定する。基地局1は、次に、ターゲット端末へ干渉端末の参照信号の情報を通知する(ステップS3)。通常、ターゲット端末は複数存在しており、基地局1は、ステップS3において、複数のターゲット端末の各々に対して干渉端末の参照信号の情報を送信する。
以上のように、本実施の形態にかかる無線通信システムにおいて、基地局1は、各端末2から伝送路情報を受け取ると、各端末2をターゲット端末とした場合の各々について、干渉端末の判定を行い、ターゲット端末に対する干渉端末を特定する。基地局1は、次に、各端末2に対して、干渉端末の参照信号の情報、すなわち干渉端末に向けて送信する参照信号の情報を通知する。これにより、端末2は、受信信号に含まれる干渉成分を、干渉端末の参照信号の情報に基づいて算出することが可能となり、受信信号から干渉成分を除去することができる。したがって、通信品質を向上させることができる。
次に、本実施の形態にかかる基地局1のハードウェア構成について説明する。図2に示した基地局1を構成する各構成要素は、それぞれ回路により構成される。図2に示した基地局1を構成する各構成要素は、それぞれ専用の回路として実現されてもよいし、プロセッサを用いた回路で実現されてもよい。
図2に示した基地局1の構成要素のうち、ソフトウェアにより実現される構成要素は、例えば、図10に示す制御回路により実現される。図10は、実施の形態1にかかる基地局1の構成要素をソフトウェアで実現する場合に使用する制御回路100の構成例を示す図である。図10に示すように、制御回路100は、外部から入力されたデータを受信する受信部である入力部101と、プロセッサ102と、メモリ103と、データを外部へ送信する送信部である出力部104とを備える。入力部101は、制御回路100の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ102に与えるインターフェース回路であり、出力部104は、プロセッサ102又はメモリ103からのデータを制御回路100の外部に送るインターフェース回路である。図2に示す構成要素のうち少なくとも一部が、図10に示す制御回路100により実現される場合、プロセッサ102が、メモリ103に記憶された、ソフトウェアにより実現される各々の構成要素に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ103は、プロセッサ102が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
プロセッサ102は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)等である。メモリ103は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等が該当する。
また、基地局1の構成要素のうち、専用の回路として実現される構成要素は、例えば、図11に示す回路により実現される。図11は、実施の形態1にかかる基地局1の構成要素を専用のハードウェアで実現する場合に使用する専用回路100aの構成例を示す図である。図11に示すように、専用回路100aは、図10に示した制御回路100のプロセッサ102が処理回路105に置き換えられたものである。処理回路105は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。
なお、端末2も同様のハードウェアにて実現することができる。また、実施の形態2で説明する基地局および端末も同様のハードウェアにて実現することができる。
実施の形態2.
実施の形態1においては、基地局1が、干渉端末の参照信号の情報をターゲット端末へ送信し、干渉端末の参照信号の情報に基づいてターゲット端末が受信信号に含まれる干渉成分を除去することとした。この場合、干渉端末が多数存在していると制御信号量が増大し、送信可能なデータ量が少なくなる。そのため、制御信号の送信量を必要最低限に抑えることが望ましい。
そこで、本実施の形態では、制御信号の送信量を抑制しつつ複数の干渉端末の参照信号の情報をターゲット端末に送信することが可能な基地局について説明する。無線通信システムの構成は実施の形態1と同様である。また、基地局の構成も実施の形態1と同様である。本実施の形態では実施の形態1と異なる部分を説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にかかる基地局1と区別するために、実施の形態2にかかる基地局を基地局1aと呼ぶ。同様に、実施の形態2にかかる端末を端末2aと呼ぶ。
実施の形態2にかかる基地局1aは、ターゲット端末と干渉端末とをグループ化し、干渉端末の参照信号に関する情報として、以下で説明する情報をターゲット端末に送信する。基地局1aは、端末ごとに異なる参照信号の生成をグループ単位で行うようにしてもよい。すなわち、基地局1aは、同じグループに属する各端末にはそれぞれ異なる参照信号を送信するように動作し、異なるグループに属する端末に対しては同じ参照信号を送信する場合もあるように動作してもよい。また、3GPPにおいて、参照信号としてのDMRSはセルIDによって初期値が異なるように規定されているが、セルIDよりもさらにきめ細いグループIDを定義し、DMRSの初期値がグループIDごとに異なるようにしてもよい。実施の形態2にかかる基地局1aは、参照信号としてDMRSを生成する際にセルIDに代えてグループIDを使用する。
また、基地局1aは、各端末2aから取得する伝送路情報に基づいてグループを生成する。グループを作る基準は、実施の形態1で説明した位置情報または相関情報を使用し、ターゲット端末に干渉を与える端末2a、すなわち干渉端末を同じグループとする。
グループ生成方法について説明する。基地局1aは、例えば、位置情報から算出したターゲット端末と他の端末2aとの距離または相関情報に対し、それぞれ異なる単位の閾値を設ける。そして、閾値よりも短い距離の端末2aまたは閾値よりも高い相関値を持つ端末2aを、ターゲット端末と同じグループの端末2aとする。セルは決められた範囲内の単位であるが、基地局1aが決定するグループは適応的に作られるため、セルとは異なる単位である。
また、基地局1aは、ターゲット端末へ干渉端末の参照信号の情報を通知する場合、グループIDおよびグループメンバ数を干渉端末の参照信号の情報としてターゲット端末に通知する。グループメンバ数は、通知するグループIDのグループに含まれる端末2aの数である。なお、上述したグループの生成は、例えば、参照信号情報管理部14が行う。この場合、基地局1aの参照信号情報管理部14は、実施の形態1にかかる基地局1の参照信号情報管理部14が有する機能に加えて、グループ生成部としての機能も有する。
ターゲット端末は、グループIDおよびグループメンバ数の通知を受けると、通知されたグループIDおよびグループメンバ数から考えられる候補のDMRSを総当たりで探し、干渉端末から受ける干渉の推定を行う。上述したように、DMRSはセルIDおよびスクランブルIDにより決まるが、ターゲット端末は、セルIDの代わりに、通知を受けたグループIDを使用してDMRSを生成する。また、スクランブルIDは基地局1aから通知されないが、予め決められているいくつかのパターンの中から選択して使用することになる。そのため、ターゲット端末は、全てのスクランブルIDとグループIDとを組み合わせ、考えられる全てのDMRSを生成して、干渉端末から受ける干渉の推定を行う。なお、DMRSが挿入される位置は決まっているため、ターゲット端末は、DMRSの挿入位置で受信した信号と、上記生成した各DMRSとの相関をとることにより、干渉端末から受ける干渉の推定に用いるDMRSを特定する。このとき、ターゲット端末は、通知を受けたグループメンバ数と同じ数のDMRSを特定する。
前述の各グループに含まれる端末数、すなわちグループメンバ数の最大値は固定でもよい。この場合、基地局1aは、グループIDだけを通知し、グループメンバ数については通知しなくてもよい。1グループにおける端末の最大収納数は、上位レイヤなどを介して基地局1aから端末2aに通知するようにしてもよいし、あらかじめ設定された値を使用し続けるようにしてもよい。また、規格にて、1グループにおける最大収納数を規定し、規定の値を使用するようにしても構わない。
また、グループ内の端末にそれぞれ固有の番号を割り振り、基地局1aは、グループを生成した後、グループIDに加えて、グループ内の各端末2aに割り振られた番号をターゲット端末に伝えてもよい。以下、端末に割り振られる番号をグループメンバIDとする。なお、グループメンバIDは各グループで固有の値でもよいし、異なるグループ間で共通の値を用いてもよい。各端末にグループメンバIDを割り振る場合、基地局1aは、グループIDと、各端末に割り振られたグループメンバIDとを使用して、各端末に向けて送信する参照信号を生成する。
ここで、従来の3GPP LTEにおけるDMRSの生成方法について説明する。DMRSとして使用するPN系列の生成に必要な乱数生成用の初期値は、文献「3GPP TS 36.212 V14.0.0」で規定されており、以下の式(1)で表される。
式(1)において、nSCIDは0または1であり、DCIにて基地局1aから端末2aに伝達される。nSCIDはスクランブルIDと呼ばれる。式(2)で示した値には、上位レイヤから受け取るセルIDが設定される。
このように、従来の3GPP LTEでは、DMRSを生成する際、スクランブルIDおよびセルIDを使用する。
これに対して、本実施の形態にかかる無線通信システムにおいては、DMRSを生成する際に、式(2)に示したセルIDに代えて、上述したグループIDを使用する。グループIDは、適応的に設定されるようにしてもよい。グループIDが適応的に設定される場合、PDCCHを用いて基地局1aから端末2aにグループIDの設定値が送信される。また、さらに、式(1)のnSCIDとしてグループメンバIDを使用するようにしてもよい。すなわち、DMRSを生成する際、従来のスクランブルIDに代えてグループメンバIDを使用するようにしてもよい。なお、DMRSを生成する際のPN系列の初期化を式(1)に従って行う方法に限定するものではない。他の方法で初期化を行うようにしても構わない。
図12は、実施の形態2にかかる無線通信システムの動作例を示すシーケンス図である。図12では、ターゲット端末以外の端末2aの記載を1台としているが2台以上の場合もある。ターゲット端末は、複数の端末2aの中のいずれか1つの端末2aである。
実施の形態2にかかる無線通信システムにおいて、基地局1aは、各端末2aから伝送路情報を収集して保存し(ステップS11,S12)、受信通知をターゲット端末に送信する(ステップS13)。基地局1aは、その後、ターゲット端末から干渉端末の参照信号情報のリクエストを受ける(ステップS14)。これらのステップS11〜S14の処理は、実施の形態1で説明した、図3のステップS11〜S14と同じ処理である。干渉端末の参照信号情報のリクエストを受けた基地局1aは、上述した方法で、ターゲット端末を含んだグループ、すなわちターゲット端末と干渉端末とを含んだグループを生成する(ステップS21)。基地局1aは、次に、生成したグループのグループIDおよびグループメンバの情報をターゲット端末に通知する(ステップS22)。グループメンバの情報は、グループメンバ数すなわち干渉端末の数である。なお、グループメンバ数の最大値が決まっている場合、グループメンバの情報は送信しなくてもよい。
図12では、ターゲット端末からのリクエストにより、基地局1aがグループID等をターゲット端末へ送付するシーケンスを示した。図12のシーケンスは、不定期通知であるが、基地局1aが定期的に通知をおこなうようにしてもよい。この場合、図13に示したシーケンスとなる。図13は、実施の形態2にかかる無線通信システムの他の動作例を示すシーケンス図である。図13に示したシーケンスに従った動作では、図12に示したステップS11〜S13を実行した後、ターゲット端末は、干渉端末の参照信号情報の定期的通知リクエストを基地局1aへ送信する(ステップS14a)。これらのステップS11〜S13,S14aの処理は、実施の形態1で説明した、図4のステップS11〜S13,S14aと同じ処理である。ステップS14aでリクエストを受けた基地局1aは、上述したステップS21およびS22を実行し、グループを生成するとともに、グループIDなどをターゲット端末へ通知する。その後、基地局1aは、ステップS21およびS22を定期的に実行する。すなわち、基地局1aは、図13に示した通知間隔に相当する一定時間が経過するごとに、ステップS21およびS22を繰り返し実行する。ステップS21およびS22の定期的な実行は、あらかじめ決められた時間が経過するか、あらかじめ決められた回数繰り返した場合に終了するようにしてもよいし、ターゲット端末から終了のリクエストを受けた場合に終了するようにしてもよい。また、基地局1aは、ステップS21およびS22の定期的な実行を、ターゲット端末からの信号を受信しなくなった場合に終了するようにしてもよい。なお、図13では記載を省略しているが、各一定期間において、基地局1aは、ターゲット端末を含む全ての端末2aから伝送路情報の通知を受ける。
図14は、実施の形態2にかかる受信装置3aの構成例を示す図である。図14に示した受信装置3aは、実施の形態1で説明した受信装置3の復調部32および制御信号復調部33を復調部32aおよび制御信号復調部33aとしたものである。
復調部32aは、実施の形態1にかかる受信装置3の復調部32と同様に、伝送路推定またはレイヤ毎の復調処理を行う。このとき、復調部32aは、上述したターゲット端末の参照信号の情報と、グループIDおよびグループメンバ数とを使用する。復調部32aは、レイヤ毎の復調処理において、まず、ターゲット端末の参照信号の情報に基づき、ターゲット端末に向けた参照信号を生成し、また、グループIDおよびグループメンバ数に基づき、各干渉端末に向けた参照信号を生成する。復調部32aは、ターゲット端末に向けた参照信号を使用してデータ信号の復調を行い、各干渉端末に向けた参照信号に基づき各干渉端末からの干渉波を推定し、推定した干渉波を使用して、データ信号に含まれている干渉成分の除去を行う。なお、干渉成分の除去はIRC手法などを用いて行う。
図15は、実施の形態2にかかる基地局1aの動作例を示すフローチャートであり、上述したグループIDおよびグループメンバの情報を干渉端末の参照信号の情報としてターゲット端末に送信する場合の動作例を示している。
図15に示したように、基地局1aは、まず、端末2aより伝送路情報を受け取る(ステップS1)。このステップS1において、基地局1aは、全ての端末2aから伝送路情報を受け取る。基地局1aは、次に、ターゲット端末と干渉端末のグループを生成する(ステップS4)。このステップS4において、基地局1aは、全ての端末2aを対象として、各端末2aをターゲット端末としたときのターゲット端末と干渉端末のグループをそれぞれ生成する。すなわち、基地局1aは、端末2aごとにグループを生成する。基地局1aは、次に、ターゲット端末へグループIDおよびグループメンバ数を通知する(ステップS5)。通常、ターゲット端末は複数存在しており、基地局1aは、ステップS5において、複数のターゲット端末の各々に対してグループIDおよびグループメンバ数を送信する。
以上のように、本実施の形態にかかる無線通信システムにおいて、基地局1aは、各端末2aから伝送路情報を受け取ると、各端末2aをターゲット端末とした場合の各々について、干渉端末の判定を行い、ターゲット端末と干渉端末からなるグループを生成する。基地局1aは、次に、各端末2aに対して、グループIDおよびグループメンバ数を干渉端末の参照信号の情報として通知する。これにより、端末2aは、受信信号に含まれる干渉成分を、干渉端末の参照信号の情報に基づいて算出することが可能となり、受信信号から干渉成分を除去することができる。したがって、通信品質を向上させることができる。また、干渉端末が複数存在する場合に制御信号量が増大してしまうのを防止できる。
実施の形態3.
前述の実施の形態2では、ターゲット端末と干渉端末とをグループ化し、ターゲット端末は自端末と同じグループに属する干渉端末から受ける干渉を低減する無線通信システムについて説明を行った。また、実施の形態2では、無線通信システムの基地局がグループIDおよびグループメンバ数を使用して干渉端末の参照信号をターゲット端末に通知する構成、および、無線通信システムの基地局がグループID、グループメンバ数およびグループメンバIDを使用して干渉端末の参照信号をターゲット端末に通知する構成について説明を行った。これに対して、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、基地局がポート番号を使用して、ターゲット端末の参照信号をターゲット端末に通知する。無線通信システムの構成は実施の形態1と同様である(図1参照)。
図16は、実施の形態3にかかる基地局の構成例を示す図である。図16では、実施の形態1にかかる基地局1(図2参照)と共通の構成要素に同じ符号を付している。実施の形態3にかかる基地局1bは、実施の形態1にかかる基地局1の送信装置50を送信装置50bとしたものである。送信装置50bは、送信装置50の参照信号情報管理部14を参照信号情報管理部14bとし、さらに、制御部41を追加した構成である。なお、実施の形態3にかかる端末を端末2bと呼ぶ。基地局1bは、実施の形態2にかかる基地局1aと同様の方法で端末2bをグループ化する。
参照信号情報管理部14bは、実施の形態1で説明した参照信号情報管理部14と同様に、端末2bに送信する参照信号の情報を含んだ制御信号を生成する。参照信号情報管理部14bが生成する制御信号に含まれる参照信号の情報は、後述するポート番号を示す情報である。参照信号は実施の形態1,2と同様にDMRSである。
制御部41は、プリコーディングの種類を指示する制御信号を生成してプリコーディング部18に出力する。制御部41は、線形プリコーディングを指示する制御信号または非線形プリコーディングを指示する制御信号を生成する。プリコーディング部18は、制御部41から入力される制御信号が線形プリコーディングを指示する場合、送信信号に対して、線形プリコーディング、すなわち線形処理を用いたプリコーディングを行う。プリコーディング部18は、制御部41から入力される制御信号が非線形プリコーディングを指示する場合、送信信号に対して非線形プリコーディング、すなわち非線形処理を用いたプリコーディングを行う。非線形プリコーディングの例は、VP(Vector Perturbation)、THP(Tomlinson Harashima Precoding)などである。また、プリコーディング部18は、制御部41から入力される制御信号が線形プリコーディングおよび非線形プリコーディングの双方を指示する場合、送信信号に対して線形プリコーディングおよび非線形プリコーディングの双方を行う。
本実施の形態の基地局1bは、図17に示したポートマッピングテーブルを保持し、ポートマッピングテーブルを利用して、ターゲット端末へ送信する参照信号をターゲット端末に通知する。ポートマッピングテーブルは、インデックスと、インデックスに対応するポート番号と、データを含まないCDM(Code Division Multiplexing)グループの数と、用いられるDMRSシンボルの数とが含まれる。DMRSシンボルは参照信号シンボルである。CDMグループについては後述する。基地局1bは、参照信号をターゲット端末に通知する場合、ポートマッピングテーブルのインデックスを参照信号の情報として含んだ制御信号を生成してターゲット端末へ送信する。図17に示したように、ポートマッピングテーブルのインデックスには、ポート番号などが対応付けられており、インデックスはポート番号を示す情報である。基地局1bは、例えば、上述したDCIを使用してポートマッピングテーブルのインデックスをターゲット端末に通知する。
本実施の形態の各端末2bも図17に示したポートマッピングテーブルを保持している。各端末2bは、基地局1bからポートマッピングテーブルのインデックスが含まれた制御信号を受信すると、受信したインデックスに基づいて、自端末に割り当てられたポート番号を把握する。また、各端末2bは、自端末に割り当てられたポート番号に基づいて、自端末に向けて基地局1bから送信された参照信号を特定する。さらに、各端末2bは、自端末と同じグループに属する他の端末に向けて基地局1bから送信される参照信号を、自端末に割り当てられたポート番号に基づいて特定する。なお、インデックス=6,9,10,11,30においては割り当てられたポートのグループ以外のグループにおいてデータが送信されないと想定する。すなわちSU−MIMO(Single User MIMO)送信が、インデックス=6,9,10,11,30において想定される。
図18および図19は、実施の形態3にかかる基地局1bが端末2bへ送信する1リソースブロック内の参照信号の配置の一例を示す図である。
図18および図19に示した例では、CDMグループの数が2である。すなわち、CDMグループの数は、1つのリソースブロックに含まれる参照信号系列の数である。各CDMグループは周波数多重されている。ターゲット端末および干渉端末を含んで構成される端末2bのグループの1つには、1つの参照信号系列が割り当てられる。
図18および図19に示した例では、1つのリソースブロックに含まれる参照信号シンボルが1個の場合と2個の場合とで、各CDMグループに含まれるポートの数が異なる。ポートは参照信号系列と対応付けられており、端末2bは、自端末に割り当てられた参照信号系列に対応するポート番号およびDMRSシンボルの数が分かれば1つのグループを構成する各端末2bに割り当てられる可能性がある参照信号が分かる。ポート番号およびDMRSシンボルの数は、1つのグループを構成する各端末2bに割り当てる参照信号の候補を示す情報である。よって、ターゲット端末は、自端末に割り当てられた参照信号が分かれば自端末と同じグループに属する干渉端末に割り当てられた可能性のある参照信号を把握することができる。ターゲット端末は、干渉端末に割り当てられた可能性のある全ての参照信号を生成して、干渉端末から受ける干渉の推定を行う。
図18および図19に示した例の説明に戻る。図18は、1シンボル設定の場合の参照信号の配置例であり、1つのリソースブロックに含まれる参照信号シンボルが1個の場合の例を示す。図18に示した配置の場合、1つのグループに2つのポートが対応付けられており、この配列は、端末2bのグループが1台のターゲット端末および1台以下の干渉端末からなる場合に使用される事が一例として考えられる。図19は、2シンボル設定の場合の参照信号の配置例であり、1つのリソースブロックに含まれる参照信号シンボルが2個の場合の例を示す。図19に示した配置の場合、1つのグループに4つのポートが対応付けられており、この配列は、使用例として端末2bのグループが1台のターゲット端末および3台以下の干渉端末からなる場合に使用される事が考えられる。なお、各参照信号はOCCを乗算することにより直交化された状態で周波数多重される。ここで、説明の簡略化のため、1リソースブロックに含まれる参照信号シンボルの数をX、1リソースブロックに含まれるCDMグループのグループインデックスをYとして、CDMグループを「グループX−Y」のように記載する。図18に示した例の場合、グループ1−0にはポート0,1が含まれ、グループ1−1にはポート2,3が含まれる。図19に示した例の場合、グループ2−0にはポート0,1,4,5が含まれ、グループ2−1にはポート2,3,6,7が含まれる。参照信号の位置を座標(周波数,時間)で示す場合、図18に示した例において、グループ1−0に対応する端末の参照信号は座標(0,2),(2,2),(4,2),(6,2),(8,2),(10,2)に配置される。これらの座標に配置される参照信号をq0,q1,q2,q3,q4,q5とし、2ポートの参照信号が多重される場合、座標(0,2),(2,2),(4,2),(6,2),(8,2),(10,2)には、ポート0に対応する参照信号+q0,+q1,+q2,+q3,+q4,+q5と、ポート1に対応する参照信号+q0,-q1,+q2,-q3,+q4,-q5とが配置される。各参照信号はOCCによりコード多重されるので、同じ周波数および時間、すなわち同じ座標に複数の参照信号が配置されても、直交性が保たれる。
なお、参照信号を送信するリソースエレメントを使用して参照信号の代わりにデータを送信することも可能である。また、上述した「データを含まないCDMグループ」とは、参照信号を送信するリソースエレメントを使用して参照信号の代わりにデータを送信するCDMグループを意味する。参照信号を送信するリソースエレメントの全てにおいて参照信号を送信する場合、「データを含まないCDMグループの数」は「2」となる。例えば、DMRSシンボルの数が1であり、図18に示した配置例の時間=2の全てのリソースエレメント(周波数=0〜11)で参照信号を送信する場合、データを含まないCDMグループの数=2となる。また、DMRSシンボルの数が1であり、図18に示した配置例の時間=2のリソースエレメントのうち、周波数=1,3,5,7,9,11のリソースエレメントで参照信号を送信する場合、データを含まないCDMグループの数=1となる。
図17に示したポートマッピングテーブルを使用する場合、基地局1bからターゲット端末へインデックス26が通知されると、ターゲット端末は、ポート番号0,1,4に対応する参照信号が自端末に割り振られ、ランク3送信が可能、すなわち3レイヤを多重したデータ伝送が可能と判断する。このとき、ターゲット端末に割り振られたポート番号{0,1,4}に対応する通信に干渉を与える可能性がある通信に対応するポート番号は、同じグループに属するポート番号5である。しかし、ポート番号5に対応する参照信号が他の端末に割り振られているか、すなわち、干渉端末が存在するかを基地局1bからターゲット端末へ通知する手段がないため、ターゲット端末にとって干渉端末が存在するか否かは不明である。
また、基地局1bからターゲット端末へインデックス20が通知されると、ターゲット端末は、ポート番号{0,1}に対応する参照信号が自端末に割り振られていると判断する。しかし、ターゲット端末は、通知されたインデックス20からは、ポート番号{0,1}と同じCDMグループに属するポート番号4に対応する参照信号およびポート番号5に対応する参照信号の一方または双方が他の端末に割り振られているか否か把握することはできない。そのため、基地局1bは、インデックス20を通知するターゲット端末に対し、ポート番号4および5のうち、干渉端末に割り当てた参照信号に対応するポート番号(以下、「干渉ポート番号」とする)をターゲット端末に通知するようにしてもよい。干渉ポート番号の通知は、例えば、インデックスと同様にDCIを使用して行う。
しかし、前述の方法だと、ターゲット端末に通知するインデックス毎に、干渉ポート番号を送付する必要がある。そのため、シグナリング情報の種類が多様となり、オーバヘッドが増え、制御情報用に多大なビット数が必要となる。そのため、基地局1bは、干渉ポート番号の代わりに、干渉端末に割り振られた参照信号に対応するポート(以下「干渉ポート」とする)の数をターゲット端末に通知するようにしてもよい。例えば、インデックス20がターゲット端末に通知された場合、ターゲット端末にはポート0および1が割り当てられる(図17参照)。また、ポート4および5が干渉ポートとなりうる(図19参照)。この場合、干渉ポートの数は、0、1および2のいずれかになる。基地局1bからターゲット端末に干渉ポートの数を通知することで、干渉端末からの干渉を除去する必要があるか否かが明確になり、ターゲット端末は、各インデックスの数値に依存することなく干渉除去を行うことが可能となる。
なお、ポート番号を示すインデックスを含んだ制御信号を生成する参照信号情報管理部14bに対して、各グループ内で干渉ポートが存在するか否かを示すフラグを使用して上位レイヤから干渉ポートの有無を通知するようにしてもよい。例えば、上位レイヤにて、INTRA_GROUP_INTといったフラグを用いて、ターゲット端末に割り振ったポートに対する干渉ポートがグループ内に存在するか否かを参照信号情報管理部14bに通知してもよい。なお、パラメタの名前INTRA_GROUP_INTは一例であり、グループ内の干渉状況を知らせるパラメタであれば、どのような名前でもよい。INTRA_GROUP_INTをパラメタとして用いる場合、例えば、INTRA_GROUP_INT=0の時は、干渉ポートの存在を通知しない事を示す。すなわち、INTRA_GROUP_INT=0の時は、干渉ポート数の数が0となる。干渉ポートが存在しない場合は干渉ポートの数を通知しない事で、端末へのシグナリングオーバヘッドを減らす事ができる。INTRA_GROUP_INT=1の場合はグループ内に干渉ポートが存在する事を示す。参照信号情報管理部14bは、例えば、図17に示したインデックス=20を使用してポート番号0,1をターゲット端末に通知する場合、上位レイヤからINTRA_GROUP_INT=1が通知されていれば、干渉ポートの数をターゲット端末に通知する。この場合、干渉ポートの数を表すパラメタをN_INT_PORTとすると、N_INT_PORT={1,2}となる。すなわち、参照信号情報管理部14bからターゲット端末にはN_INT_PORT=1またはN_INT_PORT=2が通知される。
参照信号情報管理部14bは、図17に示したインデックス=22を使用してポート番号4,5をターゲット端末に通知する場合、N_INT_PORT=2を通知できる。ターゲット端末は、N_INT_PORT=2が通知されてきた場合、ポート番号4,5と同じグループのポート番号0,1のポートが干渉ポートとなる。
また、図17に示したインデックス=12がターゲット端末に通知される場合、ポート0がターゲット端末に割り振られ、ポート1,4,5が干渉ポートとなる可能性がある。この場合、干渉するポート数N_INT_PORTは1、2および3の何れかとなる。なお、ポート番号が昇順となるように各端末に設定される場合、N_INT_PORT=2を設定するとポート1およびポート4が干渉ポートとなる。また、N_INT_PORT=1を設定した場合、ポート1が干渉ポートとなる。
干渉端末は1または複数存在する可能性がある。干渉端末が存在する場合、基地局1bは干渉端末の数をターゲット端末に通知してもよい。上記のN_INT_PORTの通知と干渉端末数の通知とを併用する事で、さらに詳細な情報の送信が可能となる。干渉端末数を表すパラメタをN_INT_UEとする。例えば、図17のインデックス=12が通知され、ターゲット端末にポート0が設定された場合、干渉端末数は0、1、2または3となる。ポート番号が昇順となるように各端末に設定されるのであれば、干渉端末数が1の場合、すなわちN_INT_UE=1の場合、干渉端末にポート1が設定された事になる。N_INT_PORT=3であり、N_INT_UE=3の場合、3台の干渉端末にポート1,2,3が1つずつ設定された事になる。
また、N_INT_PORT=3,N_INT_UE=2の場合は干渉端末が2台あり、N_INT_PORT=3,N_INT_UE=2の通知を受けたターゲット端末は、干渉端末の1台に2つのポート、もう1台に1つのポートが設定されている事が分かる。この場合、図17のインデックス=12が基地局1bからターゲット通知され、2台の干渉端末へのポートの設定状態は、1台目の干渉端末にポート1、2台目の干渉端末にポート2およびポート3が設定された状態、または、1台目の干渉端末にポート1およびポート2、2台目の干渉端末にポート3が設定された状態となる。ターゲット端末は、両方の設定状態を考慮して干渉除去を行う。
なお、N_INT_PORTは上述したDCIにて通知される。また、INTRA_GROUP_INTは上述したRRCなどを使用して通知される。なお、干渉ポート数および干渉端末数はRRCなど上位レイヤにおいて通知されてもよい。上位レイヤにて通知される場合、頻繁に値を更新出来ないので、最大干渉ポート数あるいは最大干渉端末数などを通知してもよい。
図17に示したポートマッピングテーブルは、図18および図19に示した参照信号の配置に対応するものであるが、これに代えて図20および図21に示したポートマッピングテーブルを使用してもよい。図20および図21に示したポートマッピングテーブルは、図22および図23に示した参照信号の配置に対応するものである。なお、図20および図21が1つのポートマッピングテーブルを示しており、図20がインデックス=0〜31に対応する前半部分のポートマッピングテーブルを示し、図21がインデックス=32〜63に対応する後半部分のポートマッピングテーブルを示す。図17に示したポートマッピングテーブルである第1のマッピングテーブルと、図20および図21に示したポートマッピングテーブルである第2のマッピングテーブルとを使用する場合、上位レイヤにて、ポートマッピングの種類を基地局1bからターゲット端末に通知する。例えば、第1のマッピングテーブルの設定をconfiguration_1、そして第2のマッピングテーブルの設定をconfiguration_2とする。そして、上位レイヤにて、DMRS_CONFIG_NUMのようなパラメタを用意し、DMRS_CONFIG_NUM=0でconfiguration_1を基地局1bからターゲット端末に指示し、DMRS_CONFIG_NUM=1でconfiguration_2を基地局1bからターゲット端末に指示する。
なお、1リソースブロック内に配置される参照信号の系列であるDMRS系列は、DMRSごと信号パターンが異なってもよい。また、スクランブルIDを用いてDMRS系列を生成してもよい。例えば、DMRS系列はPN系列生成器を用いて生成されるが、PN系列生成器の初期値を以下の式(3)に従って設定し、初期値がシンボルインデックスによって変わるようにしてもよい。
式(3)において、nsはフレーム内のスロット番号、lはスロット内のシンボル番号、nSCIDは0か1であるスクランブルID、以下の式(4)で示したパラメタにはスクランブルIDに応じて異なる値が設定される。式(4)で示したパラメタは端末2bごとに異なる設定としてもよい。
基地局1bは、PN系列生成器を使用してDMRS系列を生成する場合、PN系列生成器の初期値を式(3)に従って設定し、1OFDMシンボル分のDMRS系列を生成してもよい。
なお、基地局1bは、同じグループに属する端末2bに送信するDMRS系列を生成する際、式(4)に示したパラメタを同じ値に設定してもよいし異なる値を設定してもよい。式(4)に示したパラメタを同じ値に設定する場合、ターゲット端末は、自分に与えられた前記パラメタを用いて干渉端末のDMRS系列を生成する事が可能となる。また、基地局1bは、ターゲット端末に対して、干渉ポート番号と共に、干渉端末が用いるスクランブルIDを通知してもよい。
また、基地局1bは、規定された方式を用いてDMRSを生成してもよい。すなわち、前述のグループIDなどを使用した方式でDMRSを生成する必要はなく、従来のセルIDなどを使用した方式でDMRSを生成してもよい。この場合、ポート毎にOCCが適用されればよい。このような生成方法により、ポートマッピングおよびグループIDに依存しないDMRS系列の生成が可能となる。
基地局1bは、ポートマッピングテーブルを利用して、同じグループに属する各端末2bの参照信号に関する情報をターゲット端末に通知することとしたが、他のグループに属する端末2bの参照信号に関する情報をターゲット端末に通知するようにしてもよい。基地局1bから端末2bへの送信信号はグループごとに異なる周波数に割り当てられ、同じ時間において多重されている。しかし、OFDM信号内にて伝送路が変動する場合、RE間で干渉が発生する可能性がある。この場合、ターゲット端末は他のグループの端末2bから干渉を受ける、すなわち、ターゲット端末に対する干渉端末が、ターゲット端末が属するグループとは別のグループに存在することになる。そのため、他のグループに属する端末2bの参照信号に関する情報を基地局1bがターゲット端末に通知することで、ターゲット端末はグループ間で発生する干渉を抑制することが可能となる。その結果、通信品質を向上させることができる。
図17などに示したポートマッピングテーブルの構成から明らかなように、ターゲット端末はデータを含まないCDMグループの数の通知を基地局1bから受ける。そのため、ターゲット端末は、他のグループに属する端末に参照信号が割り振られているか否かを把握できる。しかし、ターゲット端末は、他のグループに属する端末に参照信号が割り振られていることを把握できても、どのポートに対応する端末2bが干渉端末であるかを把握することはできない。そこで、グループ間の干渉を示すために、I_N_INT_PORT、I_N_INT_UEを定義し、これらを使用して基地局1bがターゲット端末に他のグループの干渉端末の参照信号を通知する。I_N_INT_PORTは、異なるグループの干渉ポートの数、すなわち、異なるグループに属する干渉端末に割り振られているポートの数である。I_N_INT_UEは、異なるグループに属する干渉端末の数である。例えば、図17に示したポートマッピングテーブルと、図18および図19に示した参照信号の配置とを使用し、インデックス=4が基地局1bからターゲット端末に通知される場合、データを含まないCDMグループの数が2であり、2つのグループのそれぞれに基地局1bからデータを受信する端末2bが存在することを表す。また、それぞれのグループに対応するポートの数が2である。そのため、I_N_INT_PORT={1,2}、I_N_INT_UE={1,2}となる。すなわち、異なるグループの干渉ポートの数は1または2であり、異なるグループに属する干渉端末の数は1または2である。なお、上位レイヤから通知されるパラメタINTER_GROUP_INTを定義し、INTER_GROUP_INT=1の状態であれば異なるグループからの干渉を通知し、INTER_GROUP_INT=0であれば異なるグループからの干渉を通知しないようにしてもよい。
なお、本実施の形態ではCDMグループの数が2の場合、すなわち、基地局1bからデータを受信する端末2bを2つのグループに分ける場合について説明したが、一例である。CDMグループの数が3であってもよい。CDMグループの数が3の場合、かつターゲット端末が他のグループの端末2bから干渉を受ける場合、基地局1bは、ターゲット端末に干渉を与える端末2bが属する他のグループ(以下、「干渉グループ」とする)をターゲット端末に通知する。例えば、基地局1bは、干渉グループ0の有無を示すINTER_GROUP_INT_0および干渉グループ1の有無を示すINTER_GROUP_INT_1といったパラメタを使用してターゲット端末に干渉グループを通知する。例えば、INTER_GROUP_INT_0=1は干渉グループ0が存在する事を示し、INTER_GROUP_INT_0=0は干渉グループ0が存在しない事を示し、INTER_GROUP_INT_1=1は干渉グループ1が存在する事を示し、INTER_GROUP_INT_1=0は干渉グループ1が存在しない事を示すものとする。そして、3つのCDMグループをグループ2−0、グループ2−1、グループ2−2とした場合のターゲット端末に対する干渉グループと他のグループとの対応付けを以下のように定義しておく。ターゲット端末がグループ2−0に存在するときのターゲット端末に対する干渉グループ0と“グループ2−1”が対応し、干渉グループ1と“グループ2−2”が対応し、ターゲット端末がグループ2−1に存在するときのターゲット端末に対する干渉グループ0と“グループ2−0”が対応し、干渉グループ1と“グループ2−2”が対応し、ターゲット端末がグループ2−2に存在するときのターゲット端末に対する干渉グループ0と“グループ2−0”が対応し、干渉グループ1と“グループ2−1”が対応すると定義しておく。そして、例えば、グループ2−0に存在するターゲット端末が、グループ2−1の端末から干渉を受け、かつ、グループ2−2の端末から干渉を受けない場合、基地局1bは、グループ2−0に存在するターゲット端末に対して、INTER_GROUP_INT_0=1,INTER_GROUP_INT_1=0を通知する。グループ2−1に存在するターゲット端末が、グループ2−0の端末から干渉を受け、かつ、グループ2−2の端末から干渉を受ける場合、基地局1bは、グループ2−1に存在するターゲット端末に対して、INTER_GROUP_INT_0=1,INTER_GROUP_INT_1=1を通知する。グループ2−2に存在するターゲット端末が、グループ2−0の端末から干渉を受けず、かつ、グループ2−1の端末から干渉を受ける場合、基地局1bは、グループ2−2に存在するターゲット端末に対して、INTER_GROUP_INT_0=0,INTER_GROUP_INT_1=1を通知する。同様に、各グループの端末に割り当てられる各ポートが干渉ポートに該当するか否かを示すI_N_INT_PORT_0、I_N_INT_PORT_1といったパラメタ、端末2bが干渉端末に該当するか否かを示すI_N_INT_UE_0、I_N_INT_UE_1といったパラメタを定義し、各パラメタとポートの対応付け、各パラメタと端末2bの対応付けを予め行っておき、これらのパラメタを使用して基地局1bがターゲット端末に干渉グループ内の干渉端末および干渉ポートを通知する。
なお、本実施の形態では、1つの基地局に対応した干渉通知、すなわち、1つの基地局とターゲット端末が通信する場合の干渉端末をターゲット端末に通知する動作について説明した。しかし、複数の基地局がターゲット端末と通信する場合の干渉通知も可能であり、基地局からターゲット端末に対して、複数のSU−MIMO用のポート番号を通知することが可能である。なお、ポートマッピングテーブルにおいてSU−MIMO用のポート番号は規格等において決められる。図24に示すような、端末2bが基地局1b−1および基地局1b−2と通信を行う場合、端末2bは基地局1b−1および基地局1b−2のそれぞれから別のSU−MIMO用のポート番号が通知される事を事前に把握しておけば、各基地局との通信が他の基地局との通信から受ける干渉を測定できる。また、図25に示すような、ターゲット端末2−1および干渉端末2−2が存在する場合、干渉端末2−2に通知されるDMRSポート情報をターゲット端末2−1が把握すれば、ターゲット端末2−1は、基地局1b−1および1b−2と干渉端末2−2との通信から受ける干渉の除去が可能となる。規格において、複数の基地局が送信する際に各端末に設定されるCDMグループあるいはポート情報を事前に定めておけば、干渉測定が簡易となる。例えば、図20に示したポートマッピングテーブルのインデックス=23の場合に、図22に示したグループ1−0の2つのポートおよびグループ1−1の2つのポートから1ポートずつ用いるモードを複数基地局通信用に用いてもよい。また、ポート番号1,3の組み合わせを示すようなインデックスを使用するようにしてもよい。また、図17に示したポートマッピングテーブル内のインデックス番号、図20および図21に示したポートマッピングテーブル内のインデックス番号の一部を複数基地局通信用として使用してもよい。
以上のように、本実施の形態にかかる無線通信システムにおいて、基地局1bは、実施の形態2にかかる基地局1aと同様に、ターゲット端末と干渉端末からなるグループを生成する。また、基地局1bは、ターゲット端末に対して、基地局1bと各端末の双方が保持しているポートマッピングテーブルを使用して、ターゲット端末へ送信する参照信号の情報と、干渉端末へ送信する参照信号の情報とを通知する。これにより、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、基地局1bは、ポートマッピングテーブルのインデックス番号を通知することによりターゲット端末へ送信する参照信号の情報と、干渉端末へ送信する参照信号の情報とをターゲット端末に通知するため、ターゲット端末へ送信する制御情報の量を抑制できる。
実施の形態4.
本実施の形態では、実施の形態3で説明した基地局1bのプリコーディング部18について説明する。
近年、送信信号に非線形処理を実行してプリコーディングを行う非線形プリコーディングの適用が検討されている。非線形プリコーディングは複数の端末のそれぞれに送信する信号に対して行う処理であり、非線形処理が行われた信号の送信先の各端末は、自端末宛のデータ信号を復調する際に、他の端末へ送信された参照信号を知る必要がある。すなわち、ポート番号を使用して参照信号の情報を通知する基地局1bと通信する各端末は、他の端末に割り振られたポート番号を知る必要がある。そのため、基地局1bは、プリコーディング部18が非線形プリコーディングを行う場合、干渉端末に割り振ったポート番号をターゲット端末に通知する。実施の形態3では基地局1bがDCIでポートマッピングテーブルのインデックスをターゲット端末に通知することでターゲット端末に割り振られたポート番号を通知することとした。これに対して、実施の形態4にかかる基地局1bは、DCIでポートマッピングテーブルのインデックスをターゲット端末に通知してターゲット端末に割り振られたポート番号を通知するときに、干渉端末に割り振られたポート番号も通知する。例えば、干渉端末に割り振られたポート番号を通知するためのパラメタとしてNLP_INTF_PORT_0を定義し、このパラメタにポートマッピングテーブルのインデックスの値を設定して基地局1bがターゲット端末に送信することにより、干渉端末に割り振られたポート番号である干渉ポート番号を通知する。例えば、基地局1bは、図17に示したポートマッピングテーブルのインデックス=20に対応するポート番号0,1をターゲット端末に割り振り、干渉端末にはインデックス=22に対応するポート番号4,5を割り振った場合、ターゲット端末に割り振ったポート番号に対応するインデックスに加えて、NLP_INTF_PORT_0=22をターゲット端末に通知する。
ここでは2端末を対象として非線形プリコーディングを行う場合について説明したが、3端末以上を対象として非線形プリコーディングを行うようにしてもよい。3端末を対象とする場合、上記のNLP_INTF_PORT_0に加えてNLP_INTF_PORT_1を定義し、基地局1bは、ポートマッピングテーブルのインデックスのうち、2つの干渉端末に割り振ったポート番号に対応するインデックスをNLP_INTF_PORT_0およびNLP_INTF_PORT_1に設定する。例えば、基地局1bは、図17に示したポートマッピングテーブルのインデックス=20に対応するポート番号0,1をターゲット端末に割り振り、残り2台の干渉端末のそれぞれにインデックス=16に対応するポート番号4およびインデックス=17に対応するポート番号5を割り振った場合、NLP_INTF_PORT_0=16,NLP_INTF_PORT_1=17となる。
上記の説明では、NLP_INTF_PORT_0などのような、干渉ポート番号を通知するパラメタを定義して使用する例を説明したが、図17に示したポートマッピングテーブル、図20および図21に示したポートマッピングテーブルに干渉ポート番号含めるようにしてもよい。この場合、基地局1bは、ターゲット端末に割り振ったポート番号および干渉ポート番号を1つのインデックスを使用してターゲット端末に通知することができる。
なお、ポート番号を示すインデックスを含んだ制御信号を生成する参照信号情報管理部14bに対して、非線形プリコーディングを行うか否かを示すフラグを使用して上位レイヤから非線形プリコーディングの実施の有無を通知するようにしてもよい。例えば、上位レイヤにて、NLP_FLAGといったフラグを用いて、非線形プリコーディングの実施の有無を参照信号情報管理部14bに通知してもよい。参照信号情報管理部14bは、フラグが設定されている場合、干渉端末に割り振られたポート番号を示すインデックスを含んだ制御信号を生成する。
上記の説明では、非線形プリコーディングのみを実施した信号を基地局1bが端末2bへ送信する場合に干渉ポート番号を通知する方法について示したが、次に、非線形プリコーディングおよび線形プリコーディングを実施した信号を送信する場合に基地局1bが干渉ポート番号を端末2bに通知する方法について説明する。
例えば、図19に示した参照信号の配置を使用する場合に、ポート0が端末2b−1、ポート1が端末2b−2、ポート4が端末2b−3、ポート6が端末2b−4に割り振られ、端末2b−1および端末2b−2からなる第1のグループと端末2b−3および端末2b−4からなる第2のグループとが線形プリコーディングにより分離され、端末2b−1および端末2b−2に対して非線形プリコーディングが行われたとする。この場合、線形プリコーディングにより分離された2つのグループ間で干渉が発生する。ターゲット端末を端末2b−1とする場合、基地局1bは、端末2b−1に対しては本実施の形態にて説明した通り、端末2b−2に割り振ったポート番号の情報を通知する。そして、上述したN_INT_UEおよびN_INT_PORTを用いて、N_INT_UE=2、N_INT_PORT=2と設定してターゲット端末へ送信することで、端末2b−3および端末2b−4が干渉端末である事を基地局1bは通知する。本例は非線形プリコーディングおよび線形プリコーディングの両方を使用する形態なので、基地局1bは、上位レイヤのパラメタを使用するなどして、非線形プリコーディングおよび線形プリコーディングの両方を使用することを干渉端末およびターゲット端末に通知する。
なお、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を使用して送信するデータ信号に対して非線形プリコーディングを行い、DMRSに対して線形プリコーディングを行うと想定する。非線形プリコーディングをDMRSに対して行うと、DMRSシンボルの位相および振幅が歪むので、受信側でDMRSを用いた伝送路推定を行うことが出来なくなる。そのため、基地局1bが線形プリコーディングおよび非線形プリコーディングの両方を行う場合、基地局1bのプリコーディング部18を、線形プリコーディングを行う信号処理部と非線形プリコーディングを行う信号処理部とを備えた構成とする。そして、プリコーディング部18は、制御部41からに指示に従い、線形プリコーディングまたは非線形プリコーディングを行う。
図26は、実施の形態4にかかる基地局が備えるプリコーディング部の一例を示す図である。図26に示したプリコーディング部18は、1次プリコーディング部181および2次プリコーディング部182を備える。図26に示したプリコーディング部18では、1次プリコーディング部181および2次プリコーディング部182の一方が線形プリコーディングを行い、他方が非線形プリコーディングを行う。例えば、1次プリコーディング部181が線形プリコーディングを行い、2次プリコーディング部182が非線形プリコーディングを行う。1次プリコーディング部181が非線形プリコーディングを行い、2次プリコーディング部182が線形プリコーディングを行う構成でもよい。1次プリコーディング部181が線形プリコーディングを行い、2次プリコーディング部182が非線形プリコーディングを行う構成とした場合、制御部41は、プリコーディングの対象が参照信号のときは1次プリコーディング部181にプリコーディングを行うよう指示するとともに2次プリコーディング部182にプリコーディングを行わないよう指示する。また、制御部41は、プリコーディングの対象がデータ信号のときは1次プリコーディング部181にプリコーディングを行わないよう指示するとともに2次プリコーディング部182にプリコーディングを行うよう指示してもよい。使用するプリコーディングの方式を基地局1bが端末2bに通知する場合、プリコーディングの方式を示すパラメタを定義し、上述したRRCなどを使用して通知を行うようにすればよい。また、基地局1bは、上述したMAC−CE、DCIなどを使用してプリコーディングの方式を切り替える制御を行ってもよい。また、データ送信の場合、1次および2次プリコーディングの両方を実施してよい。
また、プリコーディング部18の構成を図27に示したものとしてもよい。図27は、実施の形態4にかかる基地局が備えるプリコーディング部の他の例を示す図である。図27に示したプリコーディング部18は、第1プリコーディング部183、第2プリコーディング部184および選択部185を備える。第1プリコーディング部183および第2プリコーディング部184の一方が線形プリコーディングを行い、他方が非線形プリコーディングを行う。例えば、第1プリコーディング部183が線形プリコーディングを行い、第2プリコーディング部184が非線形プリコーディングを行う。この場合、選択部185は、参照信号が入力されると第1プリコーディング部183に出力して線形プリコーディングを実行させ、データ信号が入力されると第2プリコーディング部184に出力して非線形プリコーディングを実行させる。なお、第1プリコーディング部183を図26に示したような線形プリコーダーと非線形プリコーダーとが連結された構成のプリコーダーとし、第2プリコーディング部184を線形プリコーダーとしてもよい。
以上のように、本実施の形態にかかる無線通信システムにおいて、基地局1bは、線形プリコーディングおよび非線形プリコーディングを実施可能なプリコーディング部18を備え、非線形プリコーディングを実施して得られた信号を送信する場合、ターゲット端末に干渉ポート番号をさらに通知する。本実施の形態にかかる基地局1bによれば非線形プリコーディングにより生成した参照信号を使用して端末2bが伝送路を推定できるようになる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。