JP5367545B2 - 無線中継装置 - Google Patents

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Description

本発明は、受信した無線信号から既知信号に付加された雑音を除去して無線信号を転送する無線中継装置に関する。
無線通信システムでは、長い通信距離及び障害物等により正常な通信することができない状況を解消するために、中継装置が利用されている。従来の中継装置においては、デジタル信号処理を介さずに、第1の無線通信装置から受信された無線信号をそのまま増幅して第2の無線通信装置へ再送信している。このような、受信信号をそのまま増幅して中継する手法は、AF(Amplify and Forward)方式と呼ばれ、小さな処理遅延で信号を中継することができる。しかしながら、無線信号を受信する際に発生される雑音も同時に増幅するために、中継先である第2の無線通信装置では、このような中継時の雑音による誤り率の増加が起こる。
特許文献1には、受信信号をデジタル化し、復調し、誤り訂正することで、中継時に生じる雑音の影響を除去して転送する無線中継装置が開示されている。特許文献1に開示される手法は、DF(Decode and Forward)方式と呼ばれ、中継先での誤り率を低減することができる。
特開2009−10781号公報
上述のように、AF方式の中継装置は、処理遅延の少ない中継を実現することができる。しかしながら、AF方式では、中継装置を介することで生じる雑音も同時に増幅されるために、中継時に信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)が劣化され、その結果、中継先での誤り率特性が劣化される問題がある。DF方式の中継装置では、このような問題を緩和することができるが、データの復調及び誤り訂正等の処理量の増大に応じて処理遅延が増大する問題がある。増大するデータ処理としては、例えば、伝送路の影響を取り去る等化処理、信号点の復元処理、ビタビ復号及びターボ復号等が挙げられる。さらに、データ復調処理では、特定の時間(又は、特定の周波数帯、特定の拡散符号等)に送信される制御情報を復調し、復調された制御情報に応じてデータチャネルに使用されるパラメータ(例えば、変調方式等)を特定することから、多くの時間が必要とされる。
システムが中継を前提としていない、或いは、第1及び第2の無線通信装置間に中継装置が介在していることを認識していない場合、中継装置における処理遅延が許容されないことがある。さらに、復調及び誤り訂正処理のための回路規模の増大は、中継装置のコスト増を招くこととなる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、信号受信時に生じる雑音を低減し、短い処理時間で無線信号を転送することができる無線中継装置を提供することを目的とする。
本発明の無線中継装置は、第1無線装置から第2無線装置へ信号を中継する無線中継装置であって、前記第1無線装置から送信された電波を受信し、データ信号及び第1の既知信号を含む第1の受信信号を得る受信アンテナと、前記第1の受信信号をフィルタリングし、増幅し、ダウンコンバートして第2の受信信号を得る受信RF部と、前記第2の受信信号を第1のデジタル信号に変換するAD変換器と、前記第1のデジタル信号に含まれる前記第1の既知信号に基づいて、前記第1無線装置で生成された既知信号と同一パターンを有する第2の既知信号を生成する既知信号生成部と、前記第2の既知信号を使用して、前記第1の既知信号から雑音成分を除去した信号と同一の信号となる第3の既知信号を再生する既知信号再生部と、前記第1のデジタル信号に含まれる前記第1の既知信号を前記第3の既知信号に置き換えて、前記データ信号及び前記第3の既知信号を含む第2のデジタル信号を得るマッピング部と、前記第2のデジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換器と、前記アナログ信号をアップコンバートし、増幅し、フィルタリングして送信信号を得る送信RF部と、前記送信信号を前記第2無線装置へ送信する送信アンテナと、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、信号受信時に既知信号に生じた雑音を低減しながらも、短い処理時間で無線信号を中継することができる。
第1の実施の形態に係る無線中継装置を概略的に示すブロック図である。 図1に示した伝送路推定部を概略的に示すブロック図である。 第2の実施の形態に係る無線中継装置を概略的に示すブロック図である。 図3に示した既知信号パターン生成部を概略的に示すブロック図である。 図3に示した伝送路推定部を概略的に示すブロック図である。 図3に示した中継装置に採用される無線通信方式である3GPP−LTEのフレームフォーマットを示す図である。 第3の実施の形態に係る無線中継装置を概略的に示すブロック図である。 第4の実施の形態に係る無線中継装置を概略的に示すブロック図である。 図8に示した同期信号生成部を概略的に示すブロック図である。 第5の実施の形態に係る無線中継装置を概略的に示すブロック図である。 図10に示した伝送路推定部を概略的に示すブロック図である。 図10に示した既知信号パターン生成部を概略的に示すブロック図である。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る無線中継装置を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る中継装置100の構成を概略的に示している。この中継装置100は、図1に示されるように、基地局130から送信された電波を受信アンテナ101で受信し、受信信号に含まれる既知信号(RS:Reference Signal)に対して電波受信時に生じた付加雑音を除去した後に、受信信号を電波として送信アンテナ116から無線端末131に送信する。本実施の形態では、複数の搬送波を利用するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式に従って通信する無線通信システムの例を説明する。
なお、図1には、中継元が基地局130であり、中継先が無線端末131である例が示されているが、これに限定されず、中継先及び中継元の各々は、所定の無線通信方式に従って通信するいかなる無線通信装置であってもよい。
基地局(第1無線装置ともいう)130から送信された電波は、中継装置100の受信アンテナ101で受信される。受信アンテナ101で得られた、データ信号及び既知信号を含む受信信号は、受信RF(Radio Frequency)部102によって増幅され、フィルタリングされ、ダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた受信信号は、AD変換器103によってサンプリングされ、デジタル信号に変換される。AD変換器(A/D)103から出力されるデジタル信号は、受信フィルタ104によって所定の帯域内の信号成分を抽出され、ダウンサンプリングされる。ダウンサンプリングされたデジタル信号は、タイミング同期部105及び高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)部106へ伝達される。
タイミング同期部105は、ダウンサンプリングされたデジタル信号を受信フィルタ104から受け取ると、このデジタル信号に基づいて同期タイミングを推定する。例えば、タイミング同期105は、受け取ったデジタル信号に含まれている特定パターンを有する信号(PN(Pseudo Noise)信号等)を利用して、同期タイミングを推定する。同期タイミングが確定されると、タイミング同期部105からは、タイミング信号がFFT部106へ伝達される。
FFT部106は、タイミング同期部105からのタイミング信号に基づいて、OFDMシンボルの区切りを認識することができる。受信フィルタ104によってダウンサンプリングされたデジタル信号は、FFT部106によって、ガード・インターバルを除去され、さらに、高速フーリエ変換により時間領域の信号から周波数領域の信号へ変換される。FFT部106からは、搬送波の数の信号が既知信号抽出部107へ伝達されることとなる。既知信号抽出部107は、周波数領域の信号に変換されたデジタル信号から既知信号部分を受信既知信号として抽出する。本実施の形態における既知信号は、参照信号のような、伝送路推定に使用される信号を示す。既知信号抽出部107で抽出された受信既知信号は、伝送路推定部108に伝達される。伝送路推定部108では、後に説明されるように、既知信号抽出部107で抽出された受信既知信号と既知信号生成部109で生成された既知信号パターンとに基づいて、基地局130と中継装置100との間の伝送路が推定される。伝送路推定部108で推定された伝送路値は、既知信号再生部110へ伝達される。
既知信号生成部109は、基地局130から送信される既知信号と同じ既知信号パターンを生成する。例えば、既知信号生成部109は、基地局130から送信される既知信号と同じ既知信号パターンを図示しないメモリに予め保持している。既知信号生成部109で生成された既知信号パターンは、伝送路推定部108及び既知信号再生部110へ伝達される。
既知信号再生部110は、伝送路推定部108で推定された伝送路値及び既知信号生成部109で生成された既知信号パターンから、中継すべき既知信号を送信既知信号として再生する。既知信号パターンは、基地局130により送信される既知信号と同一の信号であり、この既知信号パターンは、基地局130及び中継装置100間の伝送路の影響を印加されて送信既知信号として再生される。従って、既知信号再生部110で再生された送信既知信号は、受信アンテナ101で受信された既知信号から付加雑音を取り除いた信号に相当する。既知信号再生部110で再生された送信既知信号は、マッピング部111へ伝達される。無線中継装置100では、受信信号に含まれるデータを復調しない、即ち、受信信号のデータ部分は、基地局130から中継装置100間の伝送路による影響を含む状態で端末131へ送信される。そのため、中継先の端末131において受信された信号を正確に復調するには、中継すべき既知信号も、基地局130及び中継装置100間の伝送路による影響を含む状態で送信される必要がある。従って、既知信号再生部110において、伝送路推定部108で推定された伝送路値が既知信号生成部109で生成された既知信号パターンに印加される。
一方、既知信号抽出部107からは、周波数領域のデジタル信号がマッピング部111へ伝達される。このデジタル信号の既知信号部分は、マッピング部111によって既知信号再生部110で再生された送信既知信号にマッピングされる(置き換えられる)。送信既知信号をマッピングされたデジタル信号は、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)部112によって逆高速フーリエ変換され、ガード・インターバルを付加される。周波数領域の信号に変換されたデジタル信号は、送信フィルタ113によって所定の帯域内に含まれる信号成分が抽出され、アップサンプリングされる。アップサンプリングされたデジタル信号は、DA変換器(D/A)114によってアナログ信号に変換される。このアナログ信号は、送信RF部115によって所望の周波数帯にアップコンバートされ、増幅され、フィルタリングされて送信信号となり、電波として端末131(第2無線装置ともいう)へ送信アンテナ116によって送信される。このように、既知信号は、信号受信時に付加された雑音を取り除かれるが、データ信号は、復調せずに増幅して中継される。従って、中継装置100においては、受信した信号に含まれる雑音を低減しながらも、短い処理時間で信号を中継することができる。
なお、受信アンテナ101及び送信アンテナ116は、図1に個別部品として示されるが、これに限定されず、通信システムによっては同一部品として共用されてもよい。
図2は、伝送路推定部108の構成を概略的に示している。伝送路推定部108は、図2に示されるように、既知信号抽出部107で抽出された複数の受信既知信号を保持するバッファ120、及びバッファされた複数の受信既知信号に対して重み付け平均を実行して伝送路値を算出する重み付け平均化部121を備えている。重み付け平均化部121においては、複数の受信既知信号に重みを付けて平均化することで、受信既知信号に付加された雑音成分を抑制することができる。この重み付け平均化では、既知信号生成部109で生成された既知信号パターンが乗算される。
以上のように、第1の実施の形態に係る無線中継装置においては、既知信号から付加雑音を除去して中継することで、中継先において、伝送路推定精度を向上させることができ、誤り率を低減することができる。
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る中継装置300の構成を概略的に示している。本実施の形態では、無線通信方式として、3GPP−LTE(3rd Generation Partnership Project - Long Term Evolution)を想定している。本実施の形態における既知信号は、伝送路推定に使用される参照信号を示す。なお、3GPP−LTEでは、この参照信号をReference Signalと呼ぶため、本実施の形態では、RSとは参照信号を表す。図3に示される中継装置300は、図1に示される中継装置100と同様に、基地局からの電波を端末に中継する。図3では、中継元(送信側ともいう)である基地局及び中継先(受信側ともいう)である端末の表示を省略している。3GPP−LTEにおいては、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が採用されているため、通常、中継装置は、受信系及び送信系の各々に関して複数の系統を備えている。図3に示される中継装置300には、2つの受信系統350a及び350b、並びに2つの送信系統360a及び360bが設けられている。第1及び第2の受信系統350a及び350bは、夫々、受信アンテナ301a及び受信アンテナ301b、受信RF回路302a及び302b、AD変換器303a及び303b、受信フィルタ304a及び304b、並びにFFT部306a及び306bを備えている。また、第1及び第2の送信系統360a及び360bは、夫々、IFFT部312a及び312b、送信フィルタ313a及び313b、DA変換器314a及び314b、送信RF部315a及び315b、並びに送信アンテナ316a及び316bを備えている。本実施の形態では、第2の受信系統350b及び第2の送信系統360bは、第1の受信系統350a及び第1の送信系統360aと同様に動作するために、その説明を省略する。
なお、本実施の形態では、基地局が2つの送信アンテナから電波を送信する例を説明するが、これに限定されず、基地局、端末及び中継装置300の各々は、3以上の送信及び受信系統を備えてもよい。
図3に示される中継装置300は、基地局から送信された電波を2つの受信アンテナ301a及び301bで受信し、受信アンテナ301a及び301bの各々からデータ信号及び既知信号を含む受信信号を得る。第1の受信系統350aでは、受信アンテナ301aからの受信信号は、受信RF部302aによってフィルタリングされ、増幅され、ダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた受信信号は、AD変換器303aによってサンプリングされ、デジタル信号に変換される。AD変換器303aから出力されたデジタル信号は、受信フィルタ304aによって所定の帯域幅内の信号成分を切り出され、ダウンサンプリングされる。ダウンサンプリングされたデジタル信号は、タイミング同期部305及びFFT部306へ伝達される。
タイミング同期部305は、受信フィルタ304a及び304bの各々からダウンサンプリングされたデジタル信号を受け取ると、これらのデジタル信号に基づいて同期タイミングを推定する。タイミングが確定されると、タイミング同期部305からは、タイミング信号がFFT部306a及び306bへ伝達される。本実施の形態に採用される3GPP−LTEでは、後に説明されるPrimary synchronization Signal(P−SS)を利用してタイミング同期が検出され、タイミング同期の取得時にP−SSからセルグループ内IDが取得される。取得されたセルグループ内IDは、既知信号(RS)パターン生成部309に伝達され、既知信号パターン生成部309において既知信号パターンの生成に使用される。
受信フィルタ304aでダウンサンプリングされたデジタル信号は、タイミング同期部305からのタイミング信号に従って、FFT部106aによってガード・インターバルを除去され、高速フーリエ変換により周波数領域の信号に変換される。周波数領域の信号に変換されたデジタル信号は、既知信号(RS)抽出部307及びRS生成部309へ伝達される。
既知信号パターン生成部309は、タイミング同期部305からのセルグループ内IDとFFT部306a及び306bからのデジタル信号とに基づいて既知信号パターンを生成する。生成された既知信号パターンは、伝送路推定部308及び既知信号再生部310へ伝達される。3GPP−LTEの場合、3GPP TS 36.211 v8.4.0の6.11節(以下、参照文献1と称す)に示されるように、既知信号パターンは、セルIDから決定される。参照文献1においてNID cellと示されるセルIDは、基地局に割り当てられた固有IDであって、2つのID、即ち、セルグループ内ID及びセルグループIDから決定される。参照文献1においてNID (2)と示されるセルグループ内IDは、前述のように、Primary Synchronization Signal(P−SS)を使用するタイミング同期の取得時に取得される。参照文献1においてNID (1)と示されるセルグループIDは、Secondary Synchronization Signal(S−SS)から取得される。このように、P−SS及びS―SSは、基地局から受信された信号に含まれ、これらP−SS及びS―SSに基づいて基地局から送信される既知信号と同じ既知信号パターンが生成される。
既知信号パターン生成部309では、図4に示されるように、S−SS抽出部330は、FFT部306a及び306bで周波数領域に変換されたデジタル信号からS−SSを抽出する。グループ内ID検出部331は、S−SS抽出部330で抽出されたS−SS及びタイミング同期部305で取得されたセルグループ内IDに基づいてセルグループIDを検出する。続いて、セルID検出部332は、タイミング同期部305で取得されたセルグループ内ID及びセルグループID検出部331で検出されたセルグループIDに基づいてセルIDを特定する。既知信号生成部333は、特定されたセルIDに対応する既知信号パターンを生成して出力する。
RS抽出部307では、FFT部306a及び306bから出力されたデジタル信号の各々から既知信号部分が受信既知信号として抽出される。抽出された受信既知信号は、伝送路推定部308へ伝達される。伝達路推定部308は、既知信号抽出部307で抽出された受信既知信号及び既知信号パターン生成部309で生成された既知信号パターンに基づいて伝送路を推定する。具体的には、図5に示されるように、伝送路推定部308では、既知信号抽出部307で抽出された受信既知信号がバッファ320に一時的に格納され、重み付け平均化部321は、受信既知信号に適切に重みを付けて平均化した後に、既知信号パターン生成部309から受信した既知信号パターンを使用して伝送路値を算出する。重み付け平均化部321では、重みを付けて平均化によって受信既知信号に含まれる雑音が除去される。
本実施の形態に採用される3GPP−LTEでは、既知信号は、特定のサブキャリアによって搬送され、図6に示されるように、時間軸及び周波数軸に間引いて挿入されている。そのため、重み付け平均化部321は、平均化処理のために、時間軸に沿って配列される既知信号を使用してもよく、周波数軸に沿って配列される既知信号を使用してもよく、或いは、時間軸及び周波数軸に2次元的に配列される既知信号を使用してもよい。
本実施の形態では、基地局の送信アンテナ数(アンテナポート数)が2であり、既知信号は、基地局の第1及び第2の送信アンテナから常に送信されていることを想定している。既知信号は、多重化して送信されるデータ信号と異なって、MIMO多重されないため、既知信号用に確保されたサブキャリアからは、基地局の第1及び第2の送信アンテナのいずれか一方からの既知信号が送信される。基地局の第1のアンテナポートから送信される既知信号p1,kと中継装置300の受信アンテナ301a及び201bで受信される信号r1,k及びr2,kとの関係は、下記式1のような伝搬モデルで表わされる。
Figure 0005367545
ここで、kはサブキャリア番号を表わす。また、行列要素h11,k、12,k、21,k及び22,kは、夫々基地局の第1の送信アンテナと中継装置300の第1の受信アンテナ301aとの間の伝送路、基地局の第2の送信アンテナと中継装置300の第1の受信アンテナ301aとの間の伝送路、基地局の第2の送信アンテナと中継装置300の第2の受信アンテナ301bとの間の伝送路、及び基地局の第2の送信アンテナと中継装置300の第2の受信アンテナ301bとの間の伝送路を表わす。さらに、n1,k及びn2,kは、中継装置300の第1の受信アンテナ301aに付随する受信系統の雑音、及び中継装置300の第2の受信アンテナ301bに付随する受信系統の雑音を表わす。
一方、第2のアンテナポートから送信される既知信号p2,mと中継装置300の受信アンテナ301a及び201bで受信される信号r1,k及びr2,kとの関係は、下記式2のような伝搬モデルで表わされる。
Figure 0005367545
ここで、mはサブキャリア番号を表わす。
簡単にするためにサブキャリア番号の表示を省略すると、伝送路推定部308では、伝送路h11、h12、h21及びh22が推定され、既知信号パターン生成部309では、既知信号p及びpが生成される。また、既知信号再生部310では、式1及び式2に示される受信信号r1,k及びr2,kから雑音成分を除去した信号h11×、h12×、h21×及びh22×が送信既知信号として再生される。
マッピング部311にバッファリングされているデジタル信号の既知信号部分は、既知信号再生部310で再生された送信既知信号にマッピングされる。マッピング部311からは、各受信系統で受信した信号に対応する信号を各送信系統で送信するように、送信既知信号をマッピングされたデジタル信号がIFFT部312a及び312bへ伝達される。
第1の送信系統360aでは、受信既知信号がマッピングされた送信デジタル信号は、IFFT部312aによって逆高速フーリエ変換され、ガード・インターバルを付加される。IFFT部312aから出力された送信デジタル信号は、送信フィルタ313aによって所定の帯域幅内の部分を抽出され、DA変換器314aによってアナログ信号に変換される。このアナログ信号は、送信RF部315aによってアップコンバートされ、増幅され、フィルタリングされて送信信号となり、送信アンテナ316aによって送信される。
以上のように、第2の実施の形態に係る中継装置においては、3GPP−LTEのようなOFDMにMIMOが組み合わさったシステムに対して既知信号のSNRを改善することができ、中継先における伝送路推定の精度を向上させることができ、誤り率を低減した中継を実現することができる。
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態に係る中継装置700の構成を概略的に示している。この中継装置700は、図示しない基地局からの電波を図示しない端末へ中継する。本実施の形態では、無線通信方式として、3GPP−LTEを想定している。また、本実施の形態における既知信号は、タイミング同期用の信号であるP−SSを示す。
図7に示される中継装置700は、第1及び第2の受信系統750a及び750bと、第1及び第2の送信系統760a及び760bを備えている。第1及び第2の受信系統750a及び750bは、夫々、受信アンテナ701a及び701b、受信RF部702a及び702b、AD変換器703a及び703b、並びに受信フィルタ704a及び704bを備えている。また、第1及び第2の送信系統760a及び760bは、送信フィルタ708a及び708b、DA変換器709a及び709b、送信RF部710a及び710b、並びに送信アンテナ711a及び711bを備えている。本実施の形態では、第2の受信系統750b及び第2の送信系統760bは、第1の受信系統750a及び第1の送信系統760aと同様に動作するために、その説明を省略する。
第1の受信系統750aでは、受信アンテナ701aは、基地局から送信された電波を受信して受信信号を得る。この受信信号は、受信RF部702aによってフィルタリングされ、増幅され、ダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた受信信号は、AD変換器703aによってサンプリングされ、デジタル信号に変換される。AD変換器703aから出力されたデジタル信号は、受信フィルタ704aによって所定の帯域幅内の信号成分を抽出され、ダウンサンプリングされる。ダウンサンプリングされたデジタル信号は、タイミング同期部705及びマッピング部306へ伝達される。
タイミング同期取得前であれば、タイミング同期部705は、受信フィルタ704a及び704bの各々からのダウンサンプリングされたデジタル信号に含まれるP−SSを検出することで、同期タイミングを推定する。タイミングが確定されると、タイミング同期部705は、P−SS生成部706にセルグループ内IDを送信して、基地局から送信されたP−SSに同一パターンを有する送信P−SSを生成するように指示する。P−SS生成部706は、タイミング同期部705の指示に従って所定のタイミングで送信P−SSを生成してマッピング部707へ伝達する。
受信フィルタ704aから出力されたデジタル信号のP−SS信号部分は、P−SS生成部706で生成された送信P−SSに置き換えられる。このマッピング部707は、タイミング同期部705からのタイミング信号に従って動作される。既知信号がタイミング同期用の信号である場合、既知信号が中継先での伝送路推定に使用されないことから、既知信号には、基地局及び中継装置間の伝送路の影響が含まれる必要がない。このように、第3の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態で説明されたような伝送路推定を実行する必要がなく、その結果、中継すべき信号を作成するための処理時間を短縮することができる。さらに、中継先に送信される送信信号は、基地局から中継装置700までの伝送路の影響、並びに付加雑音を含まない送信P−SSを有するため、中継先の端末は、精度良く同期をとることができる。
マッピング部707で送信P−SSをマッピングされたデジタル信号は、送信フィルタ708aによって帯域制限され、DA変換器709aによってアナログ信号に変換される。このアナログ信号は、送信RF部710aによってアップコンバートされて送信信号となり、送信アンテナ711aによって中継先の端末に送信される。
以上のように、本実施の形態に係る中継装置においては、既知信号に付加された雑音を除去して中継することで、中継先において、タイミング同期の精度を向上させることができ、誤り率を低減することができる。
(第4の実施の形態)
図8は、第4の実施の形態に係る中継装置800の構造を概略的に示している。本実施の形態では、無線通信方式として、3GPP−LTEを想定している。図8に示される中継装置800は、第1から第3の実施の形態と同様に、基地局からの電波を端末に中継する。本実施の形態における既知信号は、タイミング同期用の信号であるP−SS及びS−SSを示す。
図8に示される中継装置800は、第1及び第2の受信系統850a及び850bと、第1及び第2の送信系統860a及び860bを備えている。第1及び第2の受信系統850a及び850bは、夫々、受信アンテナ801a及び801b、受信RF部802a及び802b、AD変換器803a及び803b、受信フィルタ804a及び804b、並びにFFT部806a及び806bを備えている。また、第1及び第2の送信系統860a及び860bは、IFFT部809a及び809b、送信フィルタ810a及び810b、DA変換器811a及び811b、送信RF部812a及び812b、並びに送信アンテナ813a及び813bを備えている。図8に示される受信系統850a及び850b並びに送信系統860a及び860bは、図3に示される受信系統350a及び350b並びに送信系統360a及び360bと同様に動作されるため、その説明を省略する。
タイミング同期部805は、受信フィルタ804a及び804bからのデジタル信号に含まれるP−SSを検出することで、同期タイミング(即ち、OFDMシンボルの境界)を推定する。タイミングが確定されると、タイミング同期部805は、タイミング信号をFFT部806a及び806bへ伝達する。さらに、タイミング同期部805では、第2の実施の形態と同様に、タイミング同期の取得時にセルグループ内IDが取得され、このセルグループ内IDが同期信号生成部807へ伝達される。
FFT部806aは、タイミング同期部805からのタイミング信号に従って、受信フィルタ804aからのデジタル信号を高速フーリエ変換して周波数領域の信号に変換する。
同期信号生成部807は、タイミング同期部805からセルグループ内IDを受け取り、FFT部806a及び806bから周波数領域の信号に変換されたデジタル信号を受け取る。同期信号生成部807では、受け取ったセルグループ内ID及びデジタル信号に基づいてS−SS及びP−SSを生成する。より詳細には、同期信号生成部807では、図9に示されるように、S−SS抽出部820は、FFT部806a及び806bから周波数領域の信号に変換されたデジタル信号を受け取り、受け取ったデジタル信号からS−SSを抽出する。セルグループID検出部821は、S−SS抽出部820で抽出されたS−SS及びタイミング同期部805で取得されたセルグループ内IDに基づいてグループ内IDを特定する。ただし、本実施の形態では、第2の実施の形態とは異なり、既知信号を再生しないため、セルグループID検出部821においては、参照文献1に示されるように、セルグループIDであるNID (1)を特定する途中で検出されるm及びm1が特定されれば十分である。
S−SS生成部822は、セルグループID検出部821で特定されたセルグループID及びタイミング同期部805で取得されたセルグループ内IDに従って送信S−SSを生成する。さらに、P−SS生成部823は、セルグループ内IDに従って送信P−SSを生成する。
マッピング部808では、FFT部806a及び806bから周波数領域の信号に変換されたデジタル信号のS−SS及びP−SS部分が同期信号生成部807で生成された送信S−SS及びP−SSに置き換えられる。続いて、同期信号生成部807で生成された送信S−SS及びP−SSをマッピングされたデジタル信号は、第1及び第2の受信系統860a、860bへ伝達される。
第3の実施の形態に示したように、P−SSに関しては、デジタル信号に変換された受信信号に対してFTTを実行することなく置き換えすることができる。しかしながら、本実施の形態では、受信信号のS−SS部分に関してもマッピングするために、デジタル信号に変換された受信信号に対してFFTが実行される。
以上のように、第4の実施の形態に係る無線中継装置においては、同期用の信号であるP−SS、及びS−SSに対して雑音除去して中継元からの電波を中継することで、中継先におけるタイミング同期の精度を向上させることができ、誤り率を低減することができる。
(第5の実施の形態)
図10は、第5の実施の形態に係る中継装置1000の構造を概略的に示している。本実施の形態では、無線通信方式として、3GPP−LTEを想定している。図10に示される中継装置1000は、第1から第4の実施の形態と同様に、基地局からの電波を端末に中継する。本実施の形態における既知信号は、同期信号及び参照信号を示す。本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、RSが参照信号を示すものとする。
図10に示される中継装置1000は、第1及び第2の受信系統1050a及び1050bと、第1及び第2の送信系統1060a及び1060bを備えている。第1及び第2の受信系統1050a及び1050bは、夫々、受信アンテナ1001a及び1001b、受信RF部1002a及び1002b、AD変換器1003a及び1003b、受信フィルタ1004a及び1004b、並びにFFT部1006a及び1006bを備えている。また、第1及び第2の送信系統760a及び760bは、IFFT部1009a及び1009b、送信フィルタ1010a及び1010b、DA変換器1011a及び1011b、送信RF部1012a及び1012b、並びに送信アンテナ1013a及び1013bを備えている。図10に示される受信系統1050a及び1050b並びに送信系統1060a及び1060bは、図3に示される受信系統350a及び350b並びに送信系統1060a及び1060bと同様に動作されるため、その説明を省略する。
タイミング同期部1005は、受信フィルタ1004a及び1004bからのデジタル信号に含まれるP−SSを検出することで、同期タイミングを推定する。タイミングが確定されると、タイミング同期部1005は、タイミング信号をFFT部1006a及び1006bへ伝達する。さらに、タイミング同期部1005では、第2の実施の形態と同様に、タイミング同期の検出時にセルグループ内IDが取得され、このセルグループ内IDが既知信号パターン生成部1009へ伝達される。
既知信号抽出部1007では、第1及び第2の受信系統1050a、1050bから出力された周波数領域に変換された受信信号から伝送路推定用の受信既知信号(即ち、受信参照信号)が抽出される。
伝送路推定部1008では、図11に示されるように、既知信号抽出部1007で抽出された複数の受信参照信号がバッファ1020に一時的に格納される。伝送路推定部1008内の重み付け平均化部1021では、これらの受信参照信号と、後に説明する既知信号パターン生成部1009で生成された参照信号パターンとに基づいて伝送路を推定する。伝送路の推定は、第2の実施の形態と同様の方法で実行され、中継元の送信アンテナの数及び当該中継装置のアンテナの数に応じた数の伝送路が推定される。
図10に示される既知信号パターン生成部1009は、参照信号パターンと、送信S−SS及びP−SSとを生成する。この既知信号パターン生成部1009は、図12に示されるように、RS生成部1032、S−SS抽出部1030、セルグループID検出部1031、セルID検出部1033、S−SS生成部1034及びP−SS生成部1035を備える。同期信号パターン生成部1009において、送信S−SS及びP−SSを生成する動作は、図9に示される同期信号生成部807と同様であり、参照信号パターンを生成する動作は、図5に示される既知信号(RS)パターン生成部309と同様である。即ち、S−SS抽出部1030によって、FFT部1006a及び1006bで周波数領域の信号に変換されたデジタル信号からS−SSが抽出され、セルグループID検出部1021によって、抽出されたS−SS及びタイミング同期部1005からのセルグループ内IDに基づいて、セルグループIDが特定される。S−SS生成部1034は、セルグループID及びセルグループ内IDに対応する送信S−SSを生成し、マッピング部1011へ伝達する。P−SS生成部1035は、セルグループ内IDに対応する送信P−SSを生成し、マッピング部1011へ伝達する。セルID検出部1033は、セルグループID及びセルグループ内IDからセルIDを特定する。RS生成部1032は、セルIDに対応する参照信号パターンを生成し、伝送路推定部1008及び既知信号再生部1010に伝達する。
既知信号再生部1010では、伝送路推定部1008で算出された伝送路の推定値と、既知信号パターン生成部1009で生成された参照信号パターンとから、端末に送信すべき送信参照信号が再生される。
マッピング部1011では、バッファリングされている周波数領域の受信信号の対応する既知信号部分が、既知信号再生部1010で再生された送信参照信号と既知信号パターン生成部1009で生成された送信S−SS及びP−SSとに置き換えられる。
以上のように、第5の実施の形態では、3GPP−LTEのような、OFDMにMIMOが組み合わされた通信システムにおいて、既知信号のSNRが改善され、中継先での伝送路推定及び同期推定の精度が向上される。
なお、種々の実施の形態において示された機能は、例えば、チップ及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現することができる。例えば、図1に示されるように、第1の実施の形態において示された機能を実現する回路150は、AD変換器103、受信フィルタ104、タイミング同期部105、FFT部106、既知信号抽出部107、伝送路推定部108、既知信号生成部109、既知信号再生部110、マッピング部111、IFFT部112、送信フィルタ113及びDA変換器114を含む。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
101…受信アンテナ、102…受信RF部、103…AD変換器、104…受信フィルタ、105…タイミング同期部、106…高速フーリエ変換部、107…既知信号抽出部、108…伝送路推定部、109…既知信号生成部、110…既知信号再生部、110…既知信号再生部、111…マッピング部、112…逆高速フーリエ変換部、113…送信フィルタ、114…DA変換器、115…送信RF部、116…送信アンテナ、120…バッファ、121…重み付け平均化部、130…基地局、131…端末、

Claims (6)

  1. 第1無線装置から第2無線装置へ信号を中継する無線中継装置であって、
    前記第1無線装置から送信された電波を受信し、データ信号及び第1の既知信号を含む第1の受信信号を得る受信アンテナと、
    前記第1の受信信号をフィルタリングし、増幅し、ダウンコンバートして第2の受信信号を得る受信RF部と、
    前記第2の受信信号を第1のデジタル信号に変換するAD変換器と、
    前記第1のデジタル信号に含まれる前記第1の既知信号に基づいて、前記第1無線装置で生成された既知信号と同一パターンを有する第2の既知信号を生成する既知信号生成部と、
    前記第2の既知信号を使用して、前記第1の既知信号から雑音成分を除去した信号と同一の信号となる第3の既知信号を再生する既知信号再生部と、
    前記第1のデジタル信号に含まれる前記第1の既知信号を前記第3の既知信号に置き換えて、前記データ信号及び前記第3の既知信号を含む第2のデジタル信号を得るマッピング部と、
    前記第2のデジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換器と、
    前記アナログ信号をアップコンバートし、増幅し、フィルタリングして送信信号を得る送信RF部と、
    前記送信信号を前記第2無線装置へ送信する送信アンテナと、
    を具備することを特徴とする無線中継装置。
  2. 前記第1のデジタル信号から前記第1の既知信号を第4の既知信号として抽出する既知信号抽出部と、
    前記第2及び第4の既知信号に基づいて、前記第1無線装置と当該無線中継装置との間の伝送路の推定値を算出する伝送路推定部と、をさらに具備し、
    前記既知信号再生部は、前記伝送路の推定値及び前記第2の既知信号を使用して、前記第3の既知信号を再生することを特徴とする請求項1に記載の無線中継装置。
  3. 前記既知信号は、タイミング同期用の信号であることを特徴とする請求項1に記載の無線中継装置。
  4. 前記伝送路推定部は、前記第4の既知信号を重み付け平均化して、前記伝送路の推定値を算出することを特徴とする請求項2に記載の無線中継装置。
  5. 第1無線装置から第2無線装置へ信号を中継する無線中継装置であって、
    前記第1無線装置から受信された、データ信号及び第1の既知信号を含む信号を第1のデジタル信号に変換するAD変換器と、
    前記第1のデジタル信号に含まれる前記第1の既知信号に基づいて、前記第1無線装置で生成された既知信号と同一パターンを有する第2の既知信号を生成する既知信号生成部と、
    前記第2の既知信号を使用して、前記第1の既知信号から雑音成分を除去した信号と同一の信号となる第3の既知信号を再生する既知信号再生部と、
    前記第1のデジタル信号に含まれる前記第1の既知信号を前記第3の既知信号に置き換えて、前記データ信号及び前記第3の既知信号を含む第2のデジタル信号を得るマッピング部と、
    前記第2のデジタル信号をアナログ信号に変換して、前記第2無線装置用の送信信号を得るDA変換器と、
    を具備することを特徴とする無線中継装置。
  6. 前記第3の既知信号は、前記第1無線装置と当該無線中継装置との間の伝送路の影響を含む信号である、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線中継装置。
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