JP2021105627A - 防眩機能付き前面板、それを用いた表示装置及び車両用情報表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精細な表示装置においても、ギラつきを抑えかつ高い鮮明性を備えた防眩性付き前面板を提供する。【解決手段】凹凸を有し、少なくとも1つの熱可塑性樹脂と、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1つの硬化性樹脂の硬化物とを含み、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂との相分離構造を備えた防眩層16が設けられたフィルムと樹脂10とが一体成形されており、防眩層16が視認側に配置される。【選択図】図1
Description
本発明は、車両メーター等の情報表示装置の前面に設置される防眩機能付き前面板、それを用いた表示装置及び車両用情報表示装置に関する。
自動車等の液晶ディスプレイ(液晶)や計器盤等、運転時の各種情報を表示する情報表示装置の外側には、埃や液晶等を保護するための前面板(カバー、またはフロントパネルとも称される)が設けられている。また、近年では、メータークラスター部だけでなく、センターインフォメーションディスプレイの広面積化、その他に、サイドミラー代替等に表示装置を適用するデザインが進んでおり、それに伴い、当該表示装置部へ前面板が適用されている。
前面板(カバー)が透明な場合、外光によって内部の液晶ディスプレイが照らされ、液晶ディスプレイの液晶面の反射により、ディスプレイの偏光板や透明電極が見え、非表示時の見栄えが悪くなる。そこで、前面板として、透過率20%〜70%程度のグレースモーク調の半透明のアクリル樹脂等が使用されている。透過率20〜70%程度のグレースモーク調の半透明の前面板(カバー)は、通常はアクリル樹脂やポリカーボネート等の樹脂自体が着色されたものを原料として、主に射出成形にて製造されている。
このように、グレースモーク調の前面板を用いることで、液晶ディスプレイの表面での反射外光を減少させ、表示のコントラストを上げることができる。また、グレースモーク調の前面板を用いて液晶ディスプレイ等が非表示時に情報表示装置の内部を見せないようにすることにより、余分な情報によって判断が煩雑になることを防いでいる(特許文献1参照)。
また、グレースモーク調の樹脂の代りに偏光板と透明樹脂を一体に成形する前面板が提案されている(特許文献2)。この場合、液晶等の表示装置部からは偏光光が出射されるため、グレースモーク調であっても前面板で出射光を減衰させることなく、効率良く画像表示部からの出射光を取り出すことができる。
また、自動車等の情報表示装置においては、表示部と内装部品のデザインとの一体性をもたらす目的のため、又は、当該表示部においては車内に入り込む太陽光等の外光反射によって当該表示画像が見づらくならないようにするため、当該前面板の表面に艶消し等の防眩性(アンチグレア)加工を付与する場合がある。例えば、射出成形品の表面に防眩性を付与するためには、表面を荒らした金型や予め凹凸を有するフィルムを型として、溶融又は軟化した樹脂に当該凹凸を押し当てて転写する方法や、射出成形後の樹脂表面をサンドブラストすることで、成形品の表面に防眩性を付与する方法が採用されている。また、例えば、液晶等に用いられる防眩層は、有機系又は無機系の微粒子(フィラー)を混合したアクリル樹脂等の紫外線硬化樹脂をフィルム表面に薄膜状に塗布し硬化させたものが用いられる。さらに、当該フィルムは偏光板の支持フィルムとして接着層を介して偏光フィルムに積層されて用いることもある。具体的には、防眩層を有するフィルムと樹脂とをインサート成形してなる前面板が開示されている(特許文献3)。
しかしながら、これらの方法では車両の内装デザインや光学設計が変わるごとに防眩層の光学特性を調整することは容易ではない。
また、防眩性フィルムやそれを積層した偏光板を樹脂と一体に成形する場合、成形時の高温高圧な処理により、防眩性フィルムの表面の凹凸が潰れ、加工後に防眩性能が低下してしまい、本来設計された防眩性フィルムの防眩性機能を十分に活かすことができない問題がある。
また、近年、液晶等の表示装置の表示パネルは高精細化が進み、従来からある微粒子を混合した防眩性フィルムでは表示がギラついてしまい、高精細化に十分に対応できなくなってきている。特に、表示装置に前面板が設けられる場合、車内の設置箇所や用途等の設計に応じて、表示装置と前面板との距離が変わる。距離が近い場合は、防眩層による表示像のギラつきが問題となる。一方、距離が離れる場合は、防眩層によって表示像の鮮明性に影響が出てしまう。従って、表示装置の前面板には、これらの課題に対応し得る防眩層を付する必要がある。
本発明は、上記問題に鑑み、高精細な表示装置においてもギラつきを抑え、かつ高い鮮明性を備えた防眩性付き前面板を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、凹凸を有する相分離構造を備えた防眩層が設けられたフィルムと樹脂とが一体成形することによって、高精細な表示装置においてもギラつきを抑え、かつ高い鮮明性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の1つの態様は、凹凸を有する相分離構造を備えた防眩層が設けられたフィルムと樹脂とが一体成形されており、前記防眩層が視認側に配置されることを特徴とする表示装置の前面板である。
ここで、前記防眩層は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂と少なくとも1つの硬化性樹脂の硬化物とを含み、前記熱可塑性樹脂と前記硬化性樹脂との相分離構造を備えることが好適である。
また、前記硬化性樹脂は、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好適である。
また、前記フィルムは、二色性染料を含む偏光フィルムと、前記偏光フィルムの両面を挟持する支持フィルムと、を備え、前記支持フィルムの少なくとも一方は、前記防眩層を備えることが好適である。
また、前記防眩層は、ヘイズ値が1%以上10%以下であり、前記防眩層は、光学櫛幅が0.05mmにおける透過像鮮明度が40%以上であり、かつ、光学櫛が0.125mmにおける透過像鮮明度が70%以上であることが好適である。
また、前記防眩層は、前記フィルムと前記樹脂とを一体成形する前のヘイズ値と一体成形した後のヘイズ値との変化の差が1.5%以下であり、前記フィルムと前記樹脂とを一体成形する前の表面粗さと一体成形した後の表面粗さにおける算術平均粗さ、二乗平均平方根高さ及び最大高さの変化の比がそれぞれ10%以下であることが好適である。
また、前記樹脂は、透過率20〜70%のグレースモーク色の樹脂であることが好適である。
また、前記防眩層と樹脂との間に接着層を備え、前記接着層は、非晶性ポリエステルを含むことが好適である。
本発明の別の態様は、上記前面板を備えることを特徴とする表示装置である。
本発明の別の態様は、上記前面板を備え、車載された表示装置に用いられることを特徴とする車載用情報表示装置である。
本発明によれば、高精細な表示装置においてもギラつきを抑え、高い鮮明性を備えた防眩性付き前面板を提供することができる。
本発明の実施の形態における前面板100は、図1の断面模式図に示すように、樹脂層10、接着層12、支持フィルム14及び防眩層16を積層して構成される。なお、本発明の適用範囲は、樹脂層10及び防眩層16が一体に成形された構成であればよく、前面板100はその一例である。また、図1はあくまで模式図であり、実際の各層の膜厚等については図示のとおりではない。
前面板100は、自動車等の液晶ディスプレイ(液晶)や計器盤等、運転時の各種情報を表示する情報表示装置の視認側に設けられる。前面板100によって、表示装置を埃や傷から保護することができる。
なお、前面板100は、カバー又はフロントパネルと称されることもある。本実施の形態において、前面板100は、情報を表示する表示装置を外界から保護するために用いることができる。本実施の形態では前面板100と呼ぶが、必ずしも表示装置の前面に用いるものに限定されることはなく、表示装置の側面、裏面、上下面に使用されてもよい。すなわち、前面板100は、表示装置からの情報を視認するための面に配置されるものであればよい。
また、本実施の形態において表示装置とは、少なくとも一つの発光によって情報を表示する装置を意味する。すなわち、表示装置は、発光した光を外部に放出することにより、人又は機械が認識し得る一定の情報を表示するものであればよい。表示装置の発光は、自発光でもよいし、バックライトや反射光のような他から供給される光でもよい。表示装置としては、液晶ディスプレイ(液晶)、有機EL(OLED)等が挙げられる。表示装置は複数であってもよいし、それらは同一の形式のものでもよいし、異なる形式のものであってもよい。また、同一の色調のものであってもよいし、異なる色調のものであってもよい。表示装置は、状態を表示する固定情報を表示するためのものであってもよいし、スピードメーターやタコメーター等の可変情報を表示するものであってもよい。
[防眩層16]
本発明に係る防眩層16は、視認側に設けられる表面処理された層であって、一般に「アンチグレア層(AG層と略される)」、その他には「艶消し層」と称される。防眩層16は、フィルムや樹脂等の表面に微細な凹凸構造を設けた層である。
本発明に係る防眩層16は、視認側に設けられる表面処理された層であって、一般に「アンチグレア層(AG層と略される)」、その他には「艶消し層」と称される。防眩層16は、フィルムや樹脂等の表面に微細な凹凸構造を設けた層である。
防眩層16は、例えば、表示装置の前面に配置され、その微細構造で光を拡散反射させることによって、表示装置の画面に外光や室内灯が反射して表示画像が見づらくなったり、眩しく感じたりすることを軽減するために用いることができる。また、自動車の内装部材の表面は一般的にエンボスや艶消し等の凹凸加工が施されており、当該内装部品と表示装置部とで調和性のあるデザインが求められることがある。したがって、防眩層16は、車内の表示装置に対する前面板に適用される。
なお、硬化性樹脂の硬化により、防眩層16にハードコート性(又は耐擦傷性)を付与することができる。これにより、前面板100に対して擦傷等によってキズが付き難くすることができる。また、防眩層16は、例えばシリコン系やフッ素系の添加剤を含ませることにより防汚性を付与することができる。これにより、前面板100において指紋や汚れをふき取り易くすることができる。
本実施の形態における防眩層16は、その凹凸構造が相分離構造であることを特徴とする。相分離構造は、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂とを含む樹脂組成物から構成される。すなわち、相分離構造とは、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂とを溶媒に混合させた液相からスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により形成される構造をいう。より具体的には、スピノーダル分解は、通常、少なくとも1つの熱可塑性樹脂と少なくとも1の硬化性樹脂と溶媒とを含む混合液又は樹脂組成物を支持体に塗布し、塗布層から溶媒が蒸発されることにより生ずる。熱可塑性樹脂と硬化性樹脂とを溶媒に混合させた液相から乾燥等により溶媒を蒸発させる過程において、濃度の濃縮に伴ってスピノーダル分解が起こり、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂との相分離により相分離構造が得られる。相分離構造では、その凹凸の距離が比較的規則的になる。
硬化性樹脂は、例えば、エポキシ(メーター)アクリレート、ウレタン(メーター)アクリレート、ポリエステル(メーター)アクリレート、シリコーン(メーター)アクリレート、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体等とすることが好適である。
熱可塑性樹脂は、スピノーダル分解により相分離可能な樹脂であればよく、例えば、セルロース誘導体、スチレン系樹脂、(メーター)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等とすることが好適である。
また、防眩層16には、必要に応じて、種々の添加剤を添加してもよい。添加剤として、シリコン系やフッ素系等の表面調整剤の他、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤が挙げられる。
防眩層16は、透明フィルム上に形成することができる。具体的には、透明フィルム上に防眩層16を塗布や転写等の方法により防眩層16を有するフィルムを形成することができる。
防眩層16は、公知の方法を用いて、支持フィルム等の表面に形成することができる(例えば、特開2006−103070号公報を参照)。支持フィルムを形成する樹脂としては、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、脂環式ポリイミド系樹脂、アセチルセルロース系樹脂等を適用することができる。偏光フィルムと容易に接着し偏光板を得るという観点では、アセチルセルロース系樹脂、より好ましくはトリアセチルセルロース(TAC)を用いることが好ましい。また、防眩層を有するフィルムは、市販のものを用いてもよく、例えば、市販のダイセル化学工業製PFT80000HNPを用いることができる。
[偏光板]
防眩層16を有するフィルムを偏光板の支持体として利用することもできる。そこで、防眩層16を有するフィルムを偏光板の支持体として適用した構成について説明する。
防眩層16を有するフィルムを偏光板の支持体として利用することもできる。そこで、防眩層16を有するフィルムを偏光板の支持体として適用した構成について説明する。
図2は、防眩層16を有するフィルムを偏光板の支持体とした場合の前面板100の構成を示す。この場合、前面板100は、樹脂層10、接着層12、第1支持フィルム14a、偏光フィルム18、第2支持フィルム14b及び防眩層16を積層して構成される。なお、樹脂層10、偏光フィルム18及び防眩層16が一体に成形された構成であればよく、前面板100はその一例である。また、図2はあくまで模式図であり、実際の各層の膜厚等については図示のとおりではない。
偏光板は、偏光素子として機能する偏光フィルム18の片面又は両面に支持フィルム14(図2では、両面にそれぞれ第1支持フィルム14a,第2支持フィルム14b)を貼り合せた構成を有する。偏光フィルム18のみを使用することもできるが、偏光フィルム18の両面を第1支持フィルム14a及び第2支持フィルム14bで挟持した偏光板として用いる方が好ましい。なぜなら、偏光フィルム18は、一般に、二色性色素を染着したポリビニルアルコールを一軸延伸されたものであり、且つ薄膜状のものであるから、第1支持フィルム14a及び第2支持フィルム14bで挟持されていない状態では、熱や水分により容易に変形し、さらには当該偏光特性を損ねてしまうおそれがあるからである。したがって、第1支持フィルム14a及び第2支持フィルム14bにより挟持された偏光板として用いることによって、一体に成形する場合における加工性を向上させることができる。
偏光フィルム18は、自然光を直線偏光に変換する機能を有するフィルムであり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものとすることが好適である。
二色性色素としては、ヨウ素、又はアゾ系、アントラキノン系、若しくはテトラジン系等の二色性染料を用いることができる。
例えば、二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素により染色処理を施した後、又はこれと同時に、延伸処理、硼酸処理、さらに必要であれば塩素化合物含有水溶液中に浸漬する補色処理を施すことにより製造することができる。
また、例えば、二色性色素としてアゾ系、アントラキノン系、又はテトラジン系等の二色性染料を用いて染色処理してもよい。二色性染料としては、例えば、アゾ化合物系染料、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 28、 C.I.Direct Yellow 44、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 31、C.I.Direct Red 79のいずれかとすることができる。また、特開2003−215338号公報に記載の染料やWO2007/138980号公報に記載の染料を用いてもよい。また、可視域の各波長における偏光特性を補うようにこれらの染料を2種又は3種以上配合し、これらの染料によりポリビニルアルコール(PVA)を染着することによって、ニュートラルグレーを呈する色相とすることが好ましい。なお、偏光フィルム18の厚さは、通常は10〜40μm程度である。
二色性色素として二色性染料を用いた場合、高温条件下や高温高湿条件下における光学特性の耐久性がヨウ素よりも優れ、また、成形時での色変化もヨウ素より少ない。したがって、偏光フィルム18における色相調整が容易と共に、二色性色素としてヨウ素を用いた場合に比べて黄色味を低くすることができる。
また、偏光フィルム18は、従来の着色されている偏光フィルム18ではなく、無彩色の偏光フィルム18としてもよい。この場合、無彩色の偏光フィルム18は、平行ニコル(パラレルニコル)における色相a*及び色相b*(色相a*及びb*は国際照明委員会(CIE)により定められた色座標)の絶対値が共に1.0以下であることが好適である。このような無彩色の偏光フィルム18は、公知の方法(例えば、国際公開WO2014/162634A1に開示の方法)で製造することができる。
具体的には、前面板100に適した偏光フィルム18の単体透過率Ysは20〜50%、偏光度Pyは90%以上であることが好ましい。ここで、単体透過率Ysが20〜30%以下の偏光板を生産する場合、高濃度の染着液を用いたり、染着を長時間行う必要があったりすることから生産性が低下する。また、二色性色素をPVA等のフィルムへ吸着させる際に吸着量が飽和することで、単体透過率Ysを20〜30%以下まで低下させることができないおそれがある。そこで、前面板100において所望する透過率を得るためには、偏光板とグレースモークの樹脂を併用するようにしてもよい。
透過率及び偏光度は、日本分光株式会社製V−7100及び株式会社日立製作所製U−4100により測定することができる。具体的には、偏光板を作製し、該偏光板を1枚使用したときの透過率を単体透過率Ys、2枚の該偏光板を吸収軸方向が同一となるように重ねた場合の透過率を平行位透過率Yp、2枚の該偏光板を吸収軸が直交するように重ねた場合の透過率を直交位透過率Ycとする。それぞれの透過率は、380〜700nmの波長領域で、所定波長間隔dλ(ここでは5nm)おきに分光透過率τλを求め、数式(1)により算出する。数式(1)において、Pλは標準光(C光源)の分光分布を表し、yλは2度視野等色関数を表し、τλは分光透過率を表す。
偏光板として支持フィルム14を用いる場合、偏光フィルム18の片面又は両面に支持フィルム14を貼り合せる。支持フィルム14(第1支持フィルム14a,第2支持フィルム14b)を形成する樹脂としては、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、脂環式ポリイミド系樹脂、アセチルセルロース系樹脂等を適用することができる。
本実施の形態の場合、前面板100の視認側の第2支持フィルム14bに防眩層16を設ける。防眩層16は、上記のように、第2支持フィルム14b上に形成することができる。
なお、支持フィルム14を設けることによって、前面板100を構成する樹脂10と一体に成型する際に、支持フィルム14と樹脂10とが同質の材料であれば加熱により界面を互いに溶着させることができる。
偏光板が一体に成形される場合、偏光フィルム18を設けた側が情報表示装置の内側となるように配置することが好適である。このように配置した場合、偏光フィルム18が情報表示装置の内側に存在することから、樹脂起因の偏光解消性や光学異方性成分によるや虹ムラの発生の影響を抑制することができる。さらに、偏光フィルム18を保護するための支持フィルムを設けない構成としてもよい。ただし、樹脂10に起因する偏光解消性や光学異方性成分は樹脂10の材料の選択や成形加工時の条件によって調整することもできるため、偏光板を情報表示装置の外側に設置する構成としてもよい。
[位相差フィルム]
防眩層16を有するフィルムと偏光フィルム18とを有する偏光板とする場合、偏光板の視認側に位相差フィルムを設けてもよい。
防眩層16を有するフィルムと偏光フィルム18とを有する偏光板とする場合、偏光板の視認側に位相差フィルムを設けてもよい。
自動車の運転者らが偏光サングラスを装着した場合、液晶表示装置の視認側に偏光板を有する前面板100を配置しているとその偏光フィルム18と偏光サングラスとの偏光軸が一致し、表示画像が視認できなくなるおそれがある。そこで、前面板100の視認側、すなわち偏光板の視認側に位相差フィルムを設けることによって視認性の問題を解消することができる。
本実施の形態では、位相差フィルム上に防眩層16を直接形成して防眩層16を有する位相差フィルムとしてもよい。さらに、これを偏光板の支持フィルム14として用いてもよい。
位相差フィルムとは、複屈折材料でできたフィルム状の光学部材である。位相差フィルムの厚さは、5μm以上500μm以下とすることが好適であり、さらに10μm以上300μm以下とすることがより好適である。位相差フィルムの厚さが5μm未満であると、工業材料としての取り扱い性が低下する。
位相差フィルムのレターデーションは、300nm以上30000nm以下の範囲にすることが好適である。レターデーションが30000nmより高いと、フィルムの膜厚が相応に厚くなり、工業材料としての取り扱い性が低下する。位相差フィルムとしては、λ/4位相差フィルムやλ/2位相差フィルムが挙げられる。
[樹脂10との一体成形]
前面板100では、樹脂10と防眩層16を有するフィルムが一体に成形されている。本実施の形態において、一体成形とは、樹脂10と防眩層16を有するフィルムが物理的に一体化されていることを意味する。一体成形は、射出成型やインサート成形等の成形手段によるだけでなく、接着剤や粘着剤による貼り合せによってもよい。
なお、前面板100の形態が湾曲していたり、三次元な構造を有していたりする場合は、防眩層16を有するフィルムと樹脂10とを追随させて加工できるようにするため、射出成形やインサート成形による成形手段を適用することが好ましい。また、さらに複雑な構造を有する前面板100の場合、防眩層16を有するフィルムに予め賦形処理を施し、防眩層16を有するフィルムと樹脂10とをより追随し易くすることが好ましい。一方、平面以外の形状であったり、凹凸を有したりする前面板100である場合、接着剤や粘着剤により防眩層16を有するフィルムを樹脂10に貼り合せる方法では、貼り合せの際に接着層又は粘着層に空気を巻き込むおそれがあり、外観よく仕上げることは容易ではない。
前面板100では、樹脂10と防眩層16を有するフィルムが一体に成形されている。本実施の形態において、一体成形とは、樹脂10と防眩層16を有するフィルムが物理的に一体化されていることを意味する。一体成形は、射出成型やインサート成形等の成形手段によるだけでなく、接着剤や粘着剤による貼り合せによってもよい。
なお、前面板100の形態が湾曲していたり、三次元な構造を有していたりする場合は、防眩層16を有するフィルムと樹脂10とを追随させて加工できるようにするため、射出成形やインサート成形による成形手段を適用することが好ましい。また、さらに複雑な構造を有する前面板100の場合、防眩層16を有するフィルムに予め賦形処理を施し、防眩層16を有するフィルムと樹脂10とをより追随し易くすることが好ましい。一方、平面以外の形状であったり、凹凸を有したりする前面板100である場合、接着剤や粘着剤により防眩層16を有するフィルムを樹脂10に貼り合せる方法では、貼り合せの際に接着層又は粘着層に空気を巻き込むおそれがあり、外観よく仕上げることは容易ではない。
樹脂10は、一体成型が可能な材料であって、外界から保護できる機械的強度を有する材料であれば特に制限はない。
自動車においてメータークラスター部ではなく、センターインフォメーション部に前面板100を用いる場合等は、高温条件下や高温高湿条件下においても安定した性能を得るためには、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)を用いることが好適である。この場合、より高い成形温度を必要とするため、偏光フィルム18には高い耐熱性が必要となる。したがって、二色性染料を用いた偏光フィルム18とすることが好ましい。
樹脂10は、透明であることが望ましいが、透明であることに限定されるものではなく、グレースモーク等のスモークされたものでもよい。例えば、偏光板単体のみで所望する低透過率の前面板を設計することが不可能である場合は、偏光板とグレースモークの樹脂と一体に合わせて、前面板全体での透過率を調整してもよい。この場合、偏光板の偏光度は、90%以上有しているものであれば、偏光板を有する前面板100の効果を十分に得ることができる。また、前面板100に偏光板を用いない場合、防眩層16を設けた支持フィルム14と透明又はグレースモークの樹脂10とを組み合わせて前面板100を構成してもよい。
グレースモークの樹脂10の透過率は、20%以上であればよく、好ましくは20%以上50%以下の範囲である。透過率が20%未満である場合、表示がオンの状態(液晶等の表示が行われている状態)において表示が暗く見えてしまう。また、透過率が50%を超える場合、表示がオフの状態(液晶等の表示が行われている状態)においてスピードメーターの針等の内部機構が透けて見えてしまって見栄えが悪くなる。
一体成型に適している樹脂10の材料としては、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)、PC樹脂等が挙げられる。樹脂10の材料は、価格、透明性、破損した際の飛散し難さ等の観点からPMMA樹脂とすることが好適である。また、これらの樹脂10の材料は、市販されているペレット状の材料を使用することができる。
樹脂10には、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性、色相を改良する目的で必要に応じて酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、架橋助剤、無機充填材等の添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。具体的には、ラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。フェノール系酸化防止剤としては2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられているものを用いることができる。具体的には、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
着色剤としては、特に制限はなく、アントラキノン系、アゾ系、カルボニウム系、キノリン系、キノンイミン系、インジゴイド系、フタロシアニン系等の有機顔料、アゾイック染料、硫化染料等の有機染料、チタンイエロー、黄色酸化鉄、亜鉛黄、クロムオレンジ、モリブデンレッド、コバルト紫、コバルトブルー、コバルトグリーン、酸化クロム、酸化チタン、硫化亜鉛、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。その配合量は、特に限定されない。
難燃剤としては、特に制限はなく、臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アクリロイル基を有する臭素化エポキシ化合物、アクリロイル基を有する酸変性臭素化エポキシ化合物等のような臭素含有化合物、赤リン、酸化スズ、アンチモン系化合物、水酸化ジルコニウム、メーターホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤、リン酸アンモニウム化合物、ホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含窒素リン化合物、ホスファゼン化合物等のリン系化合物等が挙げられる。
防眩層16を有するフィルムと樹脂10とを一体に成形された前面板100において、一体に成形される前後における防眩性能の低下の度合いは、例えば、表面粗さ測定、ヘイズ測定、及び透過像鮮明度の測定から評価することができる。これらの値は、凹凸形状の変化に対して相関性をもって変化する。
本実施の形態における前面板100では、成形前後における測定値の変化が、表面粗さにおいては算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根高さ(Rq)および最大高さ(Rz)の変化の比がそれぞれ10%以下、成形前のヘイズ値と成形後のヘイズ値の差分が1.5%以下、透過像鮮明度においては成形前と成形後の差分が、光学櫛の幅が0.05mmのときに15%以下であり、光学櫛の幅が0.125mmのときに5%以下であることが好適である。すなわち、本実施の形態における前面板100は、成形加工の前後において外観の変化や防眩性能の低下が殆どないものとなる。
表面粗さとは、部品やフィルム等の表面の凹凸の状態を表し、凹凸の高さ、深さ、間隔が異なる山及び谷が連続する周期的な形状を指す。表面粗さは、算術平均表面粗さRa、二乗平均平方根粗さRq、最大高さRz等の値を用いて評価することができる。すなわち、これらの評価値を用いて、防眩層16の凹凸の精細度や成形加工前後の凹凸の高さの変化等を評価することができる。
算術平均表面粗さRaは、表面の凹凸の高さを示す評価値であり、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出し、その区間の凹凸の高さの平均値を表した値である。二乗平均平方根粗さRqは、基準長さの区間における凹凸の高さの二乗平均平方根を表した値であり、表面粗さの標準偏差を意味する。最大高さRzは、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出し、最も高い部分(最大山高さ)と最も低い部分(最大谷深さ)の和の値で求める。
本実施の形態における表面粗さに関する評価値は、株式会社ミツトヨ製サーフテストSJ−310を用いて測定したものである。具体的には、平滑なガラス板上に防眩層16を上側にしてフィルムを固定し、測定機の標準検出器(測定力が0.75mN、スタライス形状が先端半径2μ、先端角度60度である)を備えた標準駆動ユニットをフィルムの凹凸面に置く。そして、検出器の先端を表面の凹凸に接触させながら直線移動させることによって連続的な表面凹凸の高さ情報を得る。この時、検出器の測定距離は4.8mm、移動速度は0.5cm/sとした。
ヘイズ値は、防眩層16の表面の凹凸による散乱(外部散乱)と防眩層16の内部の散乱(内部散乱)との和として求められる。例えば、防眩層16の内部に有機系微粒子を内在させた場合、表面に凹凸構造を有していなくても、微粒子とバインダーとなる樹脂層との屈折率差に起因する内部散乱によってヘイズ値が測定される。
本実施の形態におけるヘイズ値は、(株)村上色彩技術研究所製HM−150を用いて測定したものである。ヘイズ測定は、測定試料構成内部に散乱成分が無く且つ平滑なものであれば、直接、防眩層16を有するフィルムを含む偏光板や前面板の状態で行ってもよいが、正確に防眩層16のヘイズ値を求めるためにはフィルム単体の状態で行うことが好ましい。また、内部散乱分のヘイズ値を得る場合、例えば、防眩層16を有するフィルムの表面に粘着層とガラス板とを順に積層し、表面の凹凸が粘着層で埋もれた状態とする。この状態においてヘイズ値を測定することによって、外部散乱分のヘイズ値は測定されず、内部散乱分のみのヘイズ値を得ることができる。
一般的に、液晶表示装置等の前面に設けられる防眩層のヘイズ値は、1%以上30%以下である。ヘイズ値が10%を越えると表示画像が白ボケして見えるようになる。一方、ヘイズ値を1〜4%にした防眩層16を用いることにより、黒色が締まった表示画像を得ることができる。そこで、防眩層16のヘイズ値は、1%以上10%以下とすることが好適である。
透過像鮮明度は、フィルムを透過した光のボケや歪みを定量化した評価値である。透過像鮮明度は、移動する光学櫛を通してフィルムからの透過光を測定し、光学櫛の明暗部の光量に基づいて算出される。すなわち、フィルムが透過光をぼやかす場合、光学櫛上に結像されるスリットの像は太くなるため、透過部での光量は100%未満となり、一方、不透過部では光が漏れるため0%を超える値となる。透過像鮮明度Cは、光学櫛の透明部の透過光最大値Mと不透明部の透過光最小値mから数式(4)により定義される。すなわち、透過像鮮明度Cの値が100%に近づく程、フィルムによる像のボケは小さいといえる。
本実施の形態において、透過像鮮明度Cの測定にはスガ試験機(株)製写像性測定器ICM−1を使用した。透過像鮮明度の測定は、測定試料構成の内部に散乱成分が無く且つ平滑なものであれば、直接、防眩層16を有するフィルムを含む偏光板や前面板の状態で行ってもよいが、正確に防眩層16の透過像鮮明度を求めるためにはフィルム単体の状態で行うことが好ましい。
測定機には、0.05、0.125、0.5、1.0及び2.0mmの光学櫛が備えられており、透過像鮮明度Cの測定は各光学櫛において行うことができる。試料中に微粒子等の光の散乱成分ある場合、散乱成分のサイズに依存して光学櫛の幅が細かいほど透過部での光量が低下する。そのため、光学櫛の幅がより細かい条件において透過像鮮明度Cがより高い値であるほど防眩層16の凹凸構造が微細であり、且つ透過像がボケにくいと評価できる。したがって、透過像鮮明度Cは、光学櫛の幅が0.05mm及び0.125mmの場合における値がより高いことが好ましい。具体的には、透過像鮮明度Cは、光学櫛の幅が0.05mmのときに40%以上70%以下、光学櫛の幅が0.125mmのときに70%以上90%以下であることが好適である。また、このとき、0.5mm以上の幅の光学櫛における透過像鮮明度Cは80%以上を有していることが好適である。
特に、防眩層16を前面板100に付する場合、情報表示装置の表示部に防眩層16を付する場合よりも防眩層16と表示部との間に距離があるため、表示像がボケやすくなる。したがって、透過像鮮明度Cを上記の好適な範囲とすることで、防眩機能を有しつつ表示装置の表示像を鮮明にすることができる。
また、透過像鮮明度Cは、防眩層16が高精細な表示装置に対応するか否か指標としても用いることができる。透過像鮮明度Cが上記適切な範囲より小さい場合は表示のギラがつき易く、上記範囲より値が大きい場合は防眩性能が十分に得られない。ここで、ギラつきとは、凹凸構造がレンズとして働き、表示体の赤(R)、緑(G)、青(B)の画素が見えてしまったり、明るさにムラが生じたりすることによってチラついて見える現象のことを意味する。表示装置の高精細化に伴い、画素が微細化されることで凹凸が相対的に増大し、ギラツキの問題が顕在化し易くなる(https://www.daicel.com/research/features.html)。
防眩層16を有するフィルムと樹脂10とを一体に成形する方法としては、射出成形法を適用することが好適である。射出成形にはインサート成形法がある。インサート成形法とは、防眩層16を有するフィルム(偏光板としてもよい)を予め所望の形状に切断又は予備成形し、それを射出成形の金型内に配置し、樹脂10の成形と同時にフィルムを樹脂10に一体的に成形する方法である。インサート成形法では、金型内で樹脂の成形と同時に偏光板との貼り付けができる。したがって、製造工程を非常に簡素化することができる。また、インサート成形法では、溶融された樹脂の射出圧力によりフィルムが伸ばされて金型の形状に追随するため、曲面等を有する3次元形状の前面板100を容易に製造することができる。
インサート成形法において、樹脂10と防眩層16を有するフィルムの接着性を向上させるために、樹脂と防眩層16を有するフィルムの間に接着層を設けてもよい。例えば、支持フィルム14と樹脂10とが異種材料である場合に接着層を設けることが好適である。使用する接着剤は、例えば、ポリアクリル樹脂やポリエステル樹脂等が挙げられる。ポリアクリル樹脂等は、樹脂と高い密着性が得られるが、一体成形時の熱によって接着層が溶出し、前面板100の外観が著しく低下する可能性がある。そこで、使用する接着剤は非晶質ポリエステル樹脂とすることが好適である。この場合、当該接着層は、防眩層16を有するフィルムの片側に塗工装置等によって予め設けておくことが好ましい。また、接着層の厚みは、1〜50μm、より好ましくは10〜30μmとすることが好ましい。これによって、樹脂との密着性、さらには樹脂形状との追随性、一体成形後の外観に優れた前面板100を得ることができる。
防眩層16を有するフィルムが金型に沿いやすくするために、防眩層16を有するフィルムの近傍に、赤外線ヒーターやニクロムヒーター等を配置して加熱してもよい。ただし、防眩層16を有するフィルムに偏光フィルム18が含まれる場合、あまり高温に曝されると光学特性が劣化するおそれがあるので、金型の温度を必要以上に高温にするのは好ましくない。そこで、金型の温度は、50℃以上100℃以下とすることが好適であり、より好ましくは50℃以上80℃以下とすることが好適である。成形金型を所定の位置において所定の方向に沿って防眩層16を有するフィルム(又は偏光板)を固定し、成形金型を閉じた後、固定型に設けたゲートより溶融させて樹脂10をキャビティ内に射出充満させる。シリンダー温度は、樹脂の種類にもよるが、例えば200℃以上290℃以下の温度範囲とすることが好適である。樹脂10の射出圧力は、70MPa以上150MPa以下の圧力範囲とすることが好適である。溶融させた樹脂10をキャビティ内に射出充満させた後、成形品を冷却し、成形金型を開いて成形品を取り出せば、樹脂10に対して特定の位置に防眩層16を有するフィルム(又は偏光板)が一体に成形された前面板100を製造することができる。
また、前面板100に偏光板を一体に成形する場合、防眩層16を有するフィルムと偏光フィルム18と樹脂10とを接着層等を介して視認側から順に積層すればよい。または、防眩層16を有するフィルムと樹脂10と偏光フィルム18とを接着層を介して視認側から順に積層してもよい。このとき、上記のように偏光フィルム18に防眩層16を有するフィルムを支持フィルム14として貼り合せた偏光板を用いることが好ましい。この場合、偏光板は表示装置の外側、即ち、前面板100の視認側となる。これによって、前面板100を一体に成形する場合において、フィルム数や工程数を減らすことができる。
なお、本実施の形態では、前面板100を一体成形する方法として射出成形法について説明したが、成形された樹脂10の表面に防眩層16を有するフィルム(又は、偏光板)を接着する方法を用いてもよい。
また、前面板100において防眩層16を有するフィルム(又は偏光板)は樹脂10の全面に設ける必要はない。図1及び図2では、樹脂10の全面に防眩層16を有するフィルム(又は偏光板)が成形された態様を示したが、これらは模式的に示した例示に過ぎない。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。
[実施例1]
<偏光フィルム18の製造>
ポリビニルアルコール樹脂製フィルム(株式会社クラレ製 VF−PS(75μm))を30℃の水中で5分間膨潤させた後、30℃の染色液(水1000重量部、トリポリリン酸ナトリウム1重量部に対して、市販のアゾ化合物C.I.Direct Red 81を0.3重量部、日本化薬(株)製アゾ化合物KAYAFECT BLUE KWを0.7重量部、市販のC.I.Direct Orange 39を0.3重量部、市販のアゾ化合物C.I.Direct Violet 9 0.06重量部含有)の中に5分間浸して染料による染色処理を行った。次いで、50℃の3重量%の硼酸水溶液中で4〜5倍に延伸し延伸フィルムを得た。延伸処理の後、50℃の5重量%の硼酸水溶液中に延伸フィルムを2分間浸し、水洗後、30〜80℃の空気中で乾燥してニュートラルグレー色の偏光フィルム18を得た。得られた偏光フィルム18の厚さは30μmであった。
<偏光フィルム18の製造>
ポリビニルアルコール樹脂製フィルム(株式会社クラレ製 VF−PS(75μm))を30℃の水中で5分間膨潤させた後、30℃の染色液(水1000重量部、トリポリリン酸ナトリウム1重量部に対して、市販のアゾ化合物C.I.Direct Red 81を0.3重量部、日本化薬(株)製アゾ化合物KAYAFECT BLUE KWを0.7重量部、市販のC.I.Direct Orange 39を0.3重量部、市販のアゾ化合物C.I.Direct Violet 9 0.06重量部含有)の中に5分間浸して染料による染色処理を行った。次いで、50℃の3重量%の硼酸水溶液中で4〜5倍に延伸し延伸フィルムを得た。延伸処理の後、50℃の5重量%の硼酸水溶液中に延伸フィルムを2分間浸し、水洗後、30〜80℃の空気中で乾燥してニュートラルグレー色の偏光フィルム18を得た。得られた偏光フィルム18の厚さは30μmであった。
得られた偏光フィルム18を、日立製作所製分光光度計U−4100を用いて測定を行ったところ、単体透過率Ysは30%、偏光度Pyは99%であった。
<防眩層16を有するフィルムの作製>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、DPHA)を25.87重量部、アクリル(根上工業(株)製、M−5001)を0.35重量部、重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を2.24重量部、イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.56重量部、硬化促進剤としてジエタノールアミンを0.56重量部、を配合し、シクロペンタノン70重量部に溶解させた。この溶液をトリアセチルセルロースフィルム(80μm)の片面にマイクログラビアコート法にて塗布し、80℃で溶剤を蒸発させた後、80W/cmの高圧水銀ランプにて光を照射して硬化させ、表面に凹凸構造を有する防眩層16を有するフィルムを得た。この防眩層の膜厚は約6μmであった。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、DPHA)を25.87重量部、アクリル(根上工業(株)製、M−5001)を0.35重量部、重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を2.24重量部、イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.56重量部、硬化促進剤としてジエタノールアミンを0.56重量部、を配合し、シクロペンタノン70重量部に溶解させた。この溶液をトリアセチルセルロースフィルム(80μm)の片面にマイクログラビアコート法にて塗布し、80℃で溶剤を蒸発させた後、80W/cmの高圧水銀ランプにて光を照射して硬化させ、表面に凹凸構造を有する防眩層16を有するフィルムを得た。この防眩層の膜厚は約6μmであった。
得られた防眩層16を有するフィルムを透過型光学顕微鏡により観察したところ、液滴状相分離構造を有していた。
<防眩層16を有するフィルムを含む偏光板の作製>
偏光フィルム18の両面にTACフィルム(厚さ80μm)を、ポリビニルアルコール(PVA)を成分とする水系接着剤にてラミネートした後、70℃で5分間乾燥して偏光板を得た。このとき、ラミネートする一面には第2支持フィルム14bとして、防眩層16を有するフィルムを使用し、他面には防眩層16の無いTACフィルム(富士フィルム製TD80)を第1支持フィルム14aとして使用した。
偏光フィルム18の両面にTACフィルム(厚さ80μm)を、ポリビニルアルコール(PVA)を成分とする水系接着剤にてラミネートした後、70℃で5分間乾燥して偏光板を得た。このとき、ラミネートする一面には第2支持フィルム14bとして、防眩層16を有するフィルムを使用し、他面には防眩層16の無いTACフィルム(富士フィルム製TD80)を第1支持フィルム14aとして使用した。
<接着層の形成>
防眩層16を有するフィルム(偏光板)と樹脂10とを接着させるための接着層の形成方法について説明する。
防眩層16を有するフィルム(偏光板)と樹脂10とを接着させるための接着層の形成方法について説明する。
接着層は、偏光板において防眩層16が設けられていない側の支持フィルム14に非結晶性ポリエステル樹脂接着剤(東洋紡社製バイロン)を設けることで得られる。具体的には、主剤を非晶系ポリエステル樹脂として、希釈剤としてシクロヘキサノン及び硬化剤としてイソシアネートを添加した。非晶質ポリエステル樹脂を1としてシクロヘキサノンを0.33及びイソシアネートを0.04の割合で混合した接着剤を生成した。次に、当該配合された接着剤を離型フィルム上に塗布し、乾燥工程において溶剤を揮発させた。乾燥工程は、それぞれ40℃から100℃の温度範囲に設定された複数の乾燥炉を用いて、接着剤を塗布した離型フィルムから溶剤を揮発させた。このとき、乾燥後の塗布層の厚みが15μm以上30μm以下となるように塗布量を調整した。その後、塗布面を偏光板の防眩層16の無い第1支持フィルム14aに向けて貼り合わせた。
<前面板100の製造>
射出成形機を用いて、防眩層16を有するフィルムを含む偏光板と樹脂10による成形品との一体成形を行った。成形機の金型内部に偏光板を吸引により固定した。このとき、接着層に設けられている離型フィルムを剥離し、偏光板の防眩層16が金型面に接触し、一方、接着層面は注入される樹脂10の側となるように金型に挟み込んだ。そこにシリンダー温度200℃から290℃で溶融した状態のPMMA樹脂(株式会社クラレ製パラペットHR−L)を流し込むことにより、透明な樹脂10に偏光板が一体となって成形された前面板100を製造した。なお、金型の温度は50〜100℃で保持することによって、偏光板を金型の形状に沿ったものとすることができた。これより得られた前面板100の総厚は2mmであった。
射出成形機を用いて、防眩層16を有するフィルムを含む偏光板と樹脂10による成形品との一体成形を行った。成形機の金型内部に偏光板を吸引により固定した。このとき、接着層に設けられている離型フィルムを剥離し、偏光板の防眩層16が金型面に接触し、一方、接着層面は注入される樹脂10の側となるように金型に挟み込んだ。そこにシリンダー温度200℃から290℃で溶融した状態のPMMA樹脂(株式会社クラレ製パラペットHR−L)を流し込むことにより、透明な樹脂10に偏光板が一体となって成形された前面板100を製造した。なお、金型の温度は50〜100℃で保持することによって、偏光板を金型の形状に沿ったものとすることができた。これより得られた前面板100の総厚は2mmであった。
[実施例2]
<防眩層16を有するフィルムの作製>
実施例1にて生成した接着剤を離型フィルム上に塗布し、乾燥工程において溶剤を揮発させた。乾燥工程は、それぞれ40℃から100℃の温度範囲に設定された複数の乾燥炉を用いて、接着剤を塗布した離型フィルムから溶剤を揮発させた。このとき、乾燥後の塗布層の厚みが15μm以上30μm以下となるように塗布量を調整した。その後、前記塗布面を防眩性付きTACフィルム(ダイセル化学工業製PFT80 000HNP)の防眩層16の無い側の面に向けて貼り合せた。
<防眩層16を有するフィルムの作製>
実施例1にて生成した接着剤を離型フィルム上に塗布し、乾燥工程において溶剤を揮発させた。乾燥工程は、それぞれ40℃から100℃の温度範囲に設定された複数の乾燥炉を用いて、接着剤を塗布した離型フィルムから溶剤を揮発させた。このとき、乾燥後の塗布層の厚みが15μm以上30μm以下となるように塗布量を調整した。その後、前記塗布面を防眩性付きTACフィルム(ダイセル化学工業製PFT80 000HNP)の防眩層16の無い側の面に向けて貼り合せた。
<前面板100の作製>
射出成形機を用いて、防眩層16を有するフィルムと樹脂10による成形品との一体成形を行った。成形機の金型内部にフィルムを粘着テープ又は吸引により固定した。このとき、接着層に設けられている離型フィルムを剥離し、フィルムの防眩層16が金型面に接触し、一方、接着層面は注入される樹脂10の側となるように金型に挟み込んだ。そこにシリンダー温度200℃から290℃で溶融した状態にしたPMMA樹脂(株式会社クラレ製パラペットHR−L)を流し込むことにより、透明な樹脂10にフィルムが一体となって成形された前面板100を製造した。なお、金型の温度は50〜100℃で保持することによって、フィルムを金型の形状に沿ったものとすることができた。これより得られた前面板100の総厚は2mmであった。
射出成形機を用いて、防眩層16を有するフィルムと樹脂10による成形品との一体成形を行った。成形機の金型内部にフィルムを粘着テープ又は吸引により固定した。このとき、接着層に設けられている離型フィルムを剥離し、フィルムの防眩層16が金型面に接触し、一方、接着層面は注入される樹脂10の側となるように金型に挟み込んだ。そこにシリンダー温度200℃から290℃で溶融した状態にしたPMMA樹脂(株式会社クラレ製パラペットHR−L)を流し込むことにより、透明な樹脂10にフィルムが一体となって成形された前面板100を製造した。なお、金型の温度は50〜100℃で保持することによって、フィルムを金型の形状に沿ったものとすることができた。これより得られた前面板100の総厚は2mmであった。
[比較例1]
平均二次粒子径1.0μm、平均二次粒子径の標準偏差が0.5μmのシリカ微粒子を7.5重量部及び光重合開始剤(イルガキュアー184:チバガイギー社製)を5重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを30重量部、N−ビニル−ε−カプロラクタムを20重量部、含有する紫外線硬化型のアクリル系樹脂を準備する。そのアクリル系樹脂を100重量部とトルエンとイソプロピルアルコールとを混合した溶媒中で高速撹拌後、1.3重量部のヒドロキシプロピルセルロースをトルエンとイソプロピルアルコールを混合した溶液に添加し、固形分が50重量%になるように分散液を調製した。それを厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの片面にマイクログラビアコート法にて塗布し、溶剤を80℃で蒸発させた後、80W/cmの高圧水銀ランプにて光を照射して硬化させ、防眩層の厚さが約4μmの防眩層を有するフィルムを得た。
平均二次粒子径1.0μm、平均二次粒子径の標準偏差が0.5μmのシリカ微粒子を7.5重量部及び光重合開始剤(イルガキュアー184:チバガイギー社製)を5重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを30重量部、N−ビニル−ε−カプロラクタムを20重量部、含有する紫外線硬化型のアクリル系樹脂を準備する。そのアクリル系樹脂を100重量部とトルエンとイソプロピルアルコールとを混合した溶媒中で高速撹拌後、1.3重量部のヒドロキシプロピルセルロースをトルエンとイソプロピルアルコールを混合した溶液に添加し、固形分が50重量%になるように分散液を調製した。それを厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの片面にマイクログラビアコート法にて塗布し、溶剤を80℃で蒸発させた後、80W/cmの高圧水銀ランプにて光を照射して硬化させ、防眩層の厚さが約4μmの防眩層を有するフィルムを得た。
得られた防眩層を有するフィルムを用いて、実施例1と同様に偏光板を作製した。すなわち、接着層の形成や、樹脂との成形加工は、実施例1の記載内容と同様に行った。ただし、防眩層は、微粒子を混合した表面に凹凸を有する硬化性樹脂がTACフィルム上に形成されたものとなった。
[比較例2]
防眩性付きTACフィルムとして、大日本印刷製DSR3を用いて、実施例1と同様に偏光板を作製した。すなわち、接着層の形成や、樹脂との成形加工は、実施例1の記載内容と同様に行った。防眩層は、微粒子を混合した表面に凹凸を有する硬化性樹脂がTACフィルム上に形成されたものとなった。
防眩性付きTACフィルムとして、大日本印刷製DSR3を用いて、実施例1と同様に偏光板を作製した。すなわち、接着層の形成や、樹脂との成形加工は、実施例1の記載内容と同様に行った。防眩層は、微粒子を混合した表面に凹凸を有する硬化性樹脂がTACフィルム上に形成されたものとなった。
[ヘイズ測定]
実施例1及び比較例1、2で得られた防眩性付き偏光板のヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定には、村上色彩技術研究所製HM−150を用いた。表1は、ヘイズ値の測定結果を示す。実施例1及び比較例1、2のいずれも、防眩性付き偏光板のヘイズ値は、防眩層を有するフィルムのみの場合と殆ど差はなかった。なお、一体成形後のヘイズ測定は、防眩性付き偏光板を樹脂部から単離し、残存した接着層を完全に除去した状態のものを測定した。
実施例1及び比較例1、2で得られた防眩性付き偏光板のヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定には、村上色彩技術研究所製HM−150を用いた。表1は、ヘイズ値の測定結果を示す。実施例1及び比較例1、2のいずれも、防眩性付き偏光板のヘイズ値は、防眩層を有するフィルムのみの場合と殆ど差はなかった。なお、一体成形後のヘイズ測定は、防眩性付き偏光板を樹脂部から単離し、残存した接着層を完全に除去した状態のものを測定した。
実施例1における前面板100は、比較例1,2の前面板に比べて、樹脂との一体成形前後において殆どヘイズ値が変化していなかった。また、上述の方法により防眩層の内部散乱分のヘイズ値を測定したところ、実施例1及び比較例1は内部散乱分のヘイズ値は殆どなかったが、比較例2は約20%のヘイズ値を有していた。
[透過像鮮明度測定]
実施例1及び比較例1、2で製造した防眩性付き偏光板の透過像鮮明度を測定した。透過像鮮明度の測定には、スガ試験機(株)製写像性測定器ICM−1DPを用いた。測定には、ヘイズ測定で測定したサンプル片を使用した。実施例1及び比較例1、2のいずれにおいて、防眩性付き偏光板の透過像鮮明度は、防眩層を有するフィルムのみの場合と殆ど差はなかった。表2は、透過像鮮明度の測定結果を示す。
実施例1及び比較例1、2で製造した防眩性付き偏光板の透過像鮮明度を測定した。透過像鮮明度の測定には、スガ試験機(株)製写像性測定器ICM−1DPを用いた。測定には、ヘイズ測定で測定したサンプル片を使用した。実施例1及び比較例1、2のいずれにおいて、防眩性付き偏光板の透過像鮮明度は、防眩層を有するフィルムのみの場合と殆ど差はなかった。表2は、透過像鮮明度の測定結果を示す。
実施例1の前面板100は、比較例1,2の前面板に比べて、樹脂との一体成形前後において殆ど透過像鮮明度が変化していなかった。
[表面粗さ]
実施例1及び比較例1、2で製造した防眩性付き偏光板の表面粗さを測定した。表面粗さの測定には、株式会社ミツトヨ製サーフテストSJ−310を用いた。測定には、ヘイズ測定で測定したサンプル片を使用した。表3は、表面粗さの測定結果を示す。
実施例1及び比較例1、2で製造した防眩性付き偏光板の表面粗さを測定した。表面粗さの測定には、株式会社ミツトヨ製サーフテストSJ−310を用いた。測定には、ヘイズ測定で測定したサンプル片を使用した。表3は、表面粗さの測定結果を示す。
実施例1の前面板100は、比較例1,2の前面板に比べて、樹脂との一体成形前後において殆ど表面粗さが変化していなかった。
成形前における算術平均粗さ(Ra)と二乗平均平方根高さ(Rq)について、実施例1と比較例2は、比較例1よりも小さく、共に近い値を示した。これは、比較例2の防眩層は、実際例1の防眩層16と同等のきめ細かい表面構造を有していることを示している。しかしながら、成形加工後における最大高さ(Rz)は、実施例1では殆ど変化がないのに対し、比較例1及び2は大きく低下した。これは、比較例1及び2では防眩層の凸部が成形加工により潰れてしまったためと考えられ、実施例1では凸部の潰れが抑制されたといえる。
比較例1,2のような従来の有機系又は無機系の微粒子と硬化性樹脂とを混合して防眩層を構成した場合、表面の凹凸が「海と島」で表現されるように凸部が点在し、且つ凸部の高さが不均一となる。このような構造では、一体成形加工時において圧力が凸部に集中して掛かることになり、凸部が潰れてしまい、本来設計された防眩性能が薄れてしまう。
一方、実施例1のように相分離構造からなる凹凸を有する防眩層16を有するフィルムを用いる場合、一体成形加工後においても防眩性能の変化が殆どなかった。これは、相分離構造では凸部が連続的に繋がり、且つ凸部の高さが略均一となり、一体成形加工時に凸部に掛かる圧力が分散され、凸部の変形が小さくなるためと考えられる。
[ギラつきの評価]
実施例1及び比較例1、2で製造した前面板について表示像のギラつきの評価を行った。高精細表示装置としてAPPLE社製タブレットiPad(登録商標) MD513J/A(解像度:264ppi)上に実施例1及び比較例1、2で製造した前面板をそれぞれ防眩層が視認側に来るように設置した。このとき、タブレットの表示画像は緑色に設定した。前面板と表示画像部の距離を0から10cmまで変化させて、前面板を通して表示画像を目視により観察したときのギラつきの有無を評価した。
実施例1及び比較例1、2で製造した前面板について表示像のギラつきの評価を行った。高精細表示装置としてAPPLE社製タブレットiPad(登録商標) MD513J/A(解像度:264ppi)上に実施例1及び比較例1、2で製造した前面板をそれぞれ防眩層が視認側に来るように設置した。このとき、タブレットの表示画像は緑色に設定した。前面板と表示画像部の距離を0から10cmまで変化させて、前面板を通して表示画像を目視により観察したときのギラつきの有無を評価した。
[表示の鮮明性の評価]
上述と同様に、実施例1及び比較例1、2で製造した前面板について表示像のボケの評価を行った。APPLE社製タブレットiPad(登録商標) MD513J/Aに実施例1及び比較例1、2で製造した前面板をそれぞれ防眩層が視認側に来るように設置した。このとき、タブレットの表示画像は文字と白色から黒色が段階的に階調で示してあるテストチャートを表示させた。前面板と表示部の距離を0から10cmにし、前面板を通して表示画像を目視により観察したときの見え方を評価した。なお、本評価における前面板と表示部の距離は、車載において表示装置の前面板が適用される範囲を想定したものであるが、これに限定されるものではない。
上述と同様に、実施例1及び比較例1、2で製造した前面板について表示像のボケの評価を行った。APPLE社製タブレットiPad(登録商標) MD513J/Aに実施例1及び比較例1、2で製造した前面板をそれぞれ防眩層が視認側に来るように設置した。このとき、タブレットの表示画像は文字と白色から黒色が段階的に階調で示してあるテストチャートを表示させた。前面板と表示部の距離を0から10cmにし、前面板を通して表示画像を目視により観察したときの見え方を評価した。なお、本評価における前面板と表示部の距離は、車載において表示装置の前面板が適用される範囲を想定したものであるが、これに限定されるものではない。
比較例1では、表示装置との距離が近いと表示像がギラついて見えた。距離を離すことによってギラつきは解消されたが、透過像鮮明度が低いため、表示像が鮮明に見えなくなった。比較例2では、防眩層16が高精細対応であり、透過像鮮明度が高いためギラつきが発生し難かった。しかしながら、内部散乱起因のヘイズがあるため、像が白っぽくなった。これに対して、実施例1では、表示装置との距離に関わらず、ギラつきは小さく、高い鮮明性が維持された。
以上の試験結果より、本実施の形態における前面板100は、樹脂10との一体成形後において防眩性能を殆ど損ねておらず、本来設計された防眩性能を維持できる。また、高精細な情報表示装置に用いても、ギラつきを抑え、高い鮮明度を有する表示装置とすることができる。
10 樹脂(樹脂層)、12 接着層、14(14a,14b) 支持フィルム、16 防眩層、18 偏光フィルム、20 透過率、100 前面板。
Claims (10)
- 凹凸を有する相分離構造を備えた防眩層が設けられたフィルムと樹脂とが一体成形されており、前記防眩層が視認側に配置されることを特徴とする表示装置の前面板。
- 請求項1に記載の表示装置の前面板であって、
前記防眩層は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂と少なくとも1つの硬化性樹脂の硬化物とを含み、前記熱可塑性樹脂と前記硬化性樹脂との相分離構造を備えることを特徴とする表示装置の前面板。 - 請求項2に記載の表示装置の前面板であって、
前記硬化性樹脂は、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする表示装置の前面板。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置の前面板であって、
前記フィルムは、
二色性染料を含む偏光フィルムと、
前記偏光フィルムの両面を挟持する支持フィルムと、
を備え、
前記支持フィルムの少なくとも一方は、前記防眩層を備えることを特徴とする表示装置の前面板。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置の前面板であって、
前記防眩層は、ヘイズ値が1%以上10%以下であり、
前記防眩層は、光学櫛幅が0.05mmにおける透過像鮮明度が40%以上であり、かつ、光学櫛が0.125mmにおける透過像鮮明度が70%以上であることを特徴とする表示装置の前面板。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置の前面板であって、
前記防眩層は、
前記フィルムと前記樹脂とを一体成形する前のヘイズ値と一体成形した後のヘイズ値との変化の差が1.5%以下であり、
前記フィルムと前記樹脂とを一体成形する前の表面粗さと一体成形した後の表面粗さにおける算術平均粗さ、二乗平均平方根高さ及び最大高さの変化の比がそれぞれ10%以下であることを特徴とする表示装置の前面板。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置の前面板であって、
前記樹脂は、透過率20〜70%のグレースモーク色の樹脂であることを特徴とする表示装置の前面板。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置の前面板であって、
前記防眩層と樹脂との間に接着層を備え、
前記接着層は、非晶性ポリエステルを含むことを特徴とする表示装置の前面板。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の前面板を備えることを特徴とする表示装置。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の前面板を備え、車載された表示装置に用いられることを特徴とする車載用情報表示装置。
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