図1〜図3は、本発明の一実施形態である薬液供給装置1を示している。なお、本実施形態の薬液供給装置1は、例えばトイレ内空間の芳香及び/又は消臭や便器の洗浄のために、水洗トイレにおける貯水タンク上部に設けられた皿状の手洗い部に設置されるタイプ(オンタンクタイプ)のものを例に挙げている。
薬液供給装置1は、薬液容器2と、薬液容器2に収容される薬液と、薬液容器2が着脱可能に取り付けられる支持体3と、薬液容器2に薬液とともに収容される装飾物7とを備える。薬液供給装置1は、支持体3の底面部30から突き出た案内部材5及び複数本の長脚32が手洗い部の排水口に挿入されるようにして手洗い部に設置される。以下、薬液供給装置1の各部材について説明する。
薬液容器2は、図1〜図4に示すように、薬液を収容可能な胴部20と、胴部20に連続して一体形成された円筒状の口部21とを備える。なお、薬液容器2は、使用時に口部21が下方を向く上下逆さの状態で支持体3に取り付けられるので、以下の説明では、薬液容器2の口部21側を「下側」、胴部20側を「上側」としている。
薬液容器2は、外側から内部を視認することが可能であり、例えば全体を透明又は半透明とすることで内部を視認可能とすることができる。なお、薬液容器2の少なくとも一部を透明又は半透明にすることにより、内部を視認可能としてもよい。薬液容器2の胴部20及び口部21は、例えばガラスや合成樹脂などで形成することができる。胴部20の底には、口部21と連通して胴部20内の薬液を吐出するための吐出口22が開口している。口部21には、キャップ23が着脱可能に被せられている。キャップ23は、例えば軟質の合成樹脂により形成することができる。キャップ23は、口部21を塞ぐ部分に薄肉部25を介して閉塞部24を備えている。
薬液容器2は、キャップ23を口部21に装着したまま、キャップ23(胴部20の吐出口22)側を下に向けた逆さの状態で使用される。そして、使用に際しては、後述する支持体3の円筒状の接続部材44を薬液容器2の口部21内にキャップ23の閉塞部24を突き破るように差し込むことで、薬液容器2と支持体3とが接続される。これにより、薬液容器2内の薬液が吐出口22から口部21を通り、接続部材44を介して支持体3に吐出される。支持体3の接続部材44は、薬液容器2の口部21と嵌合することで、接続部材44が口部21から抜け出し難くなっている。
次に、支持体3は、図1〜図3及び図5〜図8に示すように、上部が開口するカップ状に形成されており、接続された薬液容器2を下方から支持する。支持体3は、底面部30及び側面部31と、カバー部材4と、案内部材5とを備えている。支持体3は、薬液容器2と同様に、図6に示すように、平面視において、第1の方向(図6の左右方向)の長さがこれと直交する第2の方向(図6の上下方向)の長さよりも長い横長状の外形を有している。本実施形態では、支持体3は平面視略楕円形状に形成されている。手洗い部の形状が横長形状である場合、薬液供給装置1は、第1の方向(支持体3及び薬液容器2の左右方向)が手洗い部の左右方向と一致するように設置される。この支持体3は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂により形成することができ、可撓性を有している。
底面部30には、下方に突き出る複数本(図示例では2本)の長脚32が設けられている。また、長脚32の周囲には、長脚32より短い複数本(例えば4本)の短脚33が側面部31から下方に突き出るようにして設けられている。複数本の短脚33は、長脚32が手洗い部の排水口に挿入された状態で、支持体3を手洗い部上にほぼ水平に定置させる。
また、底面部30には、上方に突き出る略矩形枠状の周壁34が設けられている。この周壁34内には後述するカバー部材4の内側壁41が嵌め込まれる。周壁34の上端には、互いに対向する位置において凹状に切り欠かれていることで、切欠き35が形成されている。底面部30の周壁34に囲まれた領域の中央位置には、貫通孔36が形成されている。底面部30の周壁34の外側位置には、手洗い部に供給された水が支持体3の内部へ浸入したときに、その水を外部へ排出するための開口37Aが形成されている。また、側面部31には、薬液の芳香成分を外部に拡散させるための開口37Bが形成されている。
カバー部材4は、図9〜図12に示すように、平面視略矩形状の上面部40と、上面部40から垂下する略矩形枠状の内側壁41と、内側壁41の外側に位置し上面部40の周縁から垂下する外側壁42とを備えている。内側壁41を周壁34の内側に嵌合させることで、図8に示すように、カバー部材4が底面部30上に設置され、底面部30とカバー部材4との間に緩衝室6が形成される。緩衝室6は、薬液を貯留可能な空間である。
外側壁42は、カバー部材4が底面部30上に設置されたとき、周壁34の外周面から離反しており、外側壁42の下端から外側に突き出た一対の係合突起43が底面部30に設けられた一対の係合爪38と一対一で係合することで、カバー部材4が底面部30に固定される。内側壁41には、その上端から下端まで上下方向に延びる一対の切欠き47が形成されている。一対の切欠き47は、支持体3の周壁34の一対の切欠き35に一対一で対応するように配置されている。カバー部材4が底面部30上に設置されたとき、切欠き35と切欠き47とが一致することで、緩衝室6内に空気を流通させる空気流通孔が形成される。
上面部40は、その中央部の平面視円形状の下段部40aと、下段部40aより高い位置にある下段部40aの周囲の上段部40bとからなる。下段部40aの中央位置には、薬液容器2の口部21内に差し込まれる円筒状の接続部材44が設けられている。接続部材44は、上面部40の下段部40aに上段部40bよりも上方に突き出るように設けられている。接続部材44は、薬液容器2の口部21内に差し込まれる際に、キャップ22の薄肉部を容易に突き破ることが可能なように、上端が斜めに切り取られて尖っている。
上面部40の下段部40aには、下方に突き出る排出部材45が設けられている。排出部材45は、接続部材44よりも小径の円筒状であり、接続部材44と同心円状に配置されている。接続部材44と排出部材45とは連通しており、接続部材44及び排出部材45の内部は、薬液を薬液容器2から後述する案内部材5に通す薬液通路を構成している。排出部材45の内部は、緩衝室6とは仕切られており、排出部材45は、底面部30の中央に位置する貫通孔36内に嵌合可能である。
下段部40aの接続部材44の内側かつ排出部材45の外側には、小径の通液孔46が複数(図示例では3個)形成されている。この通液孔46は、薬液容器2から接続部材44を介して吐出された薬液の一部を緩衝室6へ導入する。
緩衝室6は、温度変化によって薬液容器2内に圧力変化が生じた場合でも、薬液容器2から排出される薬液の量を調整するものである。緩衝室6は、薬液容器2の温度変化に対して次のように作用をする。例えば、温度が上昇して薬液容器2が暖められた場合には、薬液容器2内の空気が膨張して薬液容器2内は正圧になる。この場合、薬液容器2内の薬液は押し出されて口部21から吐出されるが、吐出された薬液は、接続部材44及び排出部材45から案内部材5に流れる他、通液孔46を介して緩衝室6にも流れ込む。そのため、薬液が案内部材5へ過剰に流出するのが防止される。
一方、流水で冷やされるなどして、薬液容器2の温度が低下すると、薬液容器2内の空気が収縮して薬液容器2内は負圧になる。この場合には、空気流通孔(切欠き35及び切欠き47)の作用により大気圧又は室内圧となっている緩衝室6内の薬液が、通液孔46を介して薬液容器2内へ吸い込まれる。したがって、案内部材5上の水又は薄められた薬液が排出部材45及び接続部材44を通って薬液容器2側に戻されるのが抑制される。また、薬液容器2内の負圧によって薬液の吐出が制限されるのが防止される。
案内部材5は、図1〜図3及び図5〜図8に示すように、板状を呈しており、底面部30から貫通孔36を横断するようにして下方に突き出ている。案内部材5は、薬液容器2から接続部材44及び排出部材45を介して支持体3に吐出された薬液を、支持体3の外部を流れる水などの液体と接触する位置へ案内するためのものである。案内部材5の上端には、貫通孔36を通って底面部30の上方に突き出る嵌合突起50が設けられている。嵌合突起50は、カバー部材4の排出部材45内に嵌合可能である。嵌合突起50の外周面には、上端から下端まで延びる縦溝51が形成されており、この縦溝51は、毛管作用により排出部材45内を通過する薬液を案内部材5に導出する。
案内部材5の表面及び裏面には、上下方向に延びる多数の細溝52が形成されている。案内部材5は、2本の長脚32の間に位置しており、長脚32とともに手洗い部の排水口に挿入される。案内部材5は長脚32よりもやや短く形成されており、その下端部のみが排水口に挿入される。案内部材5に、手洗い部に供給された流水が接することで、案内部材5の表裏面の薬液が流水にさらわれて、流水とともに排水口から貯水タンクに流れ込む。案内部材5と長脚32との間には、略矩形枠状の遮水壁39設けられている。遮水壁39は、案内部材5よりもさらに短く形成されており、手洗い部に供給された流水が案内部材5から支持体3内に逆流することを規制している。
次に、装飾物7は、図1及び図2に示すように、薬液とともに薬液容器2に収容されることで、薬液容器2を装飾して薬液供給装置1の意匠性を向上させる。これにより、トイレ内の美観を向上させる。装飾物7は、例えば天然繊維や合成樹脂繊維などからなる不織布や織物、又は樹脂成形品などからなるシート状のものであり、複数枚の装飾物7が薬液容器2に収容される。
装飾物7は、薬液容器2内において、薬液中にとどまって薬液中をゆらゆらと浮遊していてもよいし、薬液中を浮かび上がって薬液の液面に浮いていてもよく、又は、薬液中に没して薬液の下部に沈んでいてもよい。
装飾物7が薬液容器2内で薬液中を浮遊していると、装飾物7による装飾効果が増すうえ、本実施形態の薬液供給装置1のように目線の高さに設置される薬液供給装置1に対して、薬液供給装置1を真っ直ぐ見た際に薬液容器2内の装飾物7がよく見えるので、薬液供給装置1の意匠性を良好に向上することができる。
装飾物7が薬液容器2内で薬液の液面に浮いていると、装飾物7は薬液の液面とともに薬液容器2内を上下動するので、薬液容器2内の装飾物7の位置を確認することで、薬液容器2内の薬液の残量を容易に把握することができる。また、床に設置される薬液供給装置1に対して、薬液供給装置1を上方から見下ろして見た際に薬液容器2内の装飾物7が薬液容器2の上部に浮かんでいることでよく見えるので、薬液供給装置1の意匠性を良好に向上することができる。
装飾物7が薬液容器2内で薬液の下部に沈んでいると、薬液容器2内で例えば水中に沈んだ花や海底などを表現する際に、装飾物7が薬液容器2の底に維持されるため、上述した世界観を良好に表現でき、薬液供給装置1の意匠性を良好に向上することができる。
装飾物7を薬液容器2内で薬液中に浮遊させる方法としては、例えば装飾物7の乾燥時の比重を薬液の比重と同等にすることが挙げられる。ここで、比重が同等とは、装飾物7及び薬液の比重が同じ、又は、比重に差があるとしても装飾物7が浮かび上がったり沈んだりするほどその差が大きくはないことを指し、装飾物7の比重としては例えば薬液の比重の0.9倍以上1.1倍以下の範囲内にすることができる。
装飾物7を薬液容器2内で薬液の液面に浮かせる方法としては、例えば装飾物7の乾燥時の比重を薬液の比重よりも小さくすることが挙げられる。ここで、比重が小さいとは、装飾物7が浮かび上がるほど装飾物7の比重が薬液の比重よりも小さいことを指し、装飾物7の比重としては例えば薬液の比重の0.9倍よりも小さくすることができる。
装飾物7を薬液容器2内で薬液の下部に沈ませる方法としては、例えば装飾物7の乾燥時の比重を薬液の比重よりも大きくすることが挙げられる。ここで、比重が大きいとは、装飾物7が沈降するほど装飾物7の比重が薬液の比重よりも大きいことを指し、装飾物7の比重としては例えば薬液の比重の1.1倍よりも大きくすることができる。
上述した薬液の比重は、標準比重計(1−5659(小型)、日本計量器工業株式会社製)を用いて室温(25℃)で測定することができる。例えば薬液の比重が0.94〜1.00のときはNo.5を、比重が1.00〜1.06のときはNo.6を、1.06〜1.12のときはNo.7を、1.12〜1.18のときはNo.8を、1.18〜1.24のときはNo.9を、1.24〜1.28のときはNo.10の比重計をそれぞれ用いる。具体的には、容量が100mlのメスシリンダーに100mlの薬液を入れ、その薬液に比重計を浮かべ、比重計が安定して浮かんだ状態で、液面と比重計の黒線との交点の数値を読み取ることで比重を測定する。
また、上述した装飾物7の比重は、目盛りの細かい(例えば0.2ml)メスシリンダーに蒸留水を一定量入れた後、その蒸留水に装飾物7を浸るまで入れて目盛りの増加分(装飾物7の体積)を読み取り、予め測定した乾燥状態の装飾物7の重量と読み取った目盛りの増加分(装飾物7の体積)とにより算出することができる。
装飾物7は、薬液を実質的に吸収しない性質を有していることが好ましい。装飾物7が薬液を実質的に吸収しないことで、装飾物7は薬液とともに薬液容器2内に収容されてもその比重がほとんど変化せず、薬液中における装飾物7の状態(上述した浮上、浮遊又は沈降状態)を薬液供給装置1の使用終期まで維持することができる。なお、装飾物7の薬液を実質的に吸収しない性質とは、薬液を全く吸収しないことに加え、薬液を多少は吸収するが、吸収しても薬液中における装飾物7の状態(上述した浮上、浮遊又は沈降状態)を薬液供給装置1の使用終期まで維持できる程度までを許容するものである。
なお、装飾物7は、必ずしも薬液を実質的に吸収しない性質を有している必要はなく、薬液を吸収する性質を有していてもよい。この場合には、乾燥状態では装飾物7はその比重が薬液の比重よりも小さくて薬液の液面に浮くが、薬液を吸収することで装飾物7が薬液中を浮遊するもしくは薬液の下部に沈むようになってもよい。また、乾燥状態では装飾物7はその比重が薬液の比重と同等で薬液中を浮遊するが、薬液を吸収することで装飾物7が薬液の下部に沈むようになってもよい。
装飾物7の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、花、葉、茎、草などの植物に似せたもの;樹木に似せたもの;動物に似せたもの;昆虫に似せたもの;果物に似せたもの;ヒトデやサンゴなどの水生生物(海洋生物も含む)に似せたもの;星、月、惑星などに似せたものなどを例示することができる。
本実施形態では、装飾物7は花を模しており、図13に示すように、中央に位置する基部70と、基部70の周りに位置する複数(図示例では4つ)の延出部71とを備える。複数の延出部71は、本実施形態では花びらを模しており、平面視で基部70を中心にして放射状に基部70に連なり、基部70の周りに等間隔をあけて配置されている。図13に示す例では、延出部71の数が4つであり、4つの延出部71が基部70の周りに90°間隔で位置している。
なお、延出部71の数は特に限定されるものではなく、図14に示すように、例えば、延出部71が2つの場合は2つの延出部71が基部70の周りに180°間隔で位置し、延出部71が3つの場合は3つの延出部71が基部70の周りに120°間隔で位置し、延出部71が5つの場合は5つの延出部71が基部70の周りに72°間隔で位置する。なお、複数の延出部71は必ずしも等しい間隔をあけて配置されている必要はなく、間隔が異なっていてもよいし、間隔(隣り合う2つの延出部71の間の隙間)がなくてもよい。
各延出部71は、図13に示す例のように、両側の端縁が基部70と反対側の先端縁に向かうに連れて次第に広がる曲線状ないしは直線状を呈していてもよいが、先端縁に向かうに連れて次第に狭まる曲線状ないしは直線状を呈していてもよく、さらには、両側の端縁が互いに並行な曲線状ないしは直線状を呈していてもよい。各延出部71の先端縁は、図13に示す例のように、長さを有する曲線状ないしは直線状を呈していてもよいが、尖っていてもよい。
装飾物7は、シートの少なくとも一部が折れ曲がることで平面の広がりだけでなく高さも付与された立体的なものである。具体的には、装飾物7は、少なくとも一部に、高さに差のある複数の山部と谷部とが交互に横並びするにより表裏面が凸凹状に形成された襞状部8を含むことで、立体状を呈している。
装飾物7において襞状部8とする部分は特に限定されるものではなく、装飾物7の全域に襞を形成することで全部を襞状部8としてもよいし、装飾物7に部分的に襞を形成することで一部を襞状部8としてもよい。
また、装飾物7の一部を襞状部8とする場合、装飾物7のどの位置に襞状部8を設けるかは特に限定されるものではないが、装飾物7の中央位置に襞状部8を設ける、又は、外周縁に襞状部8を設けることが好ましい。また、装飾物7の外周縁に襞状部8を設ける場合、装飾物7の外周縁の少なくとも一対の対向する位置に襞状部8を設けることが好ましく、装飾物7の外周縁の全域に襞状部8を設けることがより好ましい。これにより、装飾物7は薬液容器2の底の上に位置した際に、襞状部8が接地することにより襞状部8を除いた部分が安定して薬液容器2の底との間に隙間を形成することができる。
本実施形態では、装飾物7の外周縁となる各延出部71の先端縁を含むようにして先端側の一部に襞状部8が設けられている。なお、図17(A)に示すように、装飾物7の中央に位置する基部70、さらに必要に応じて各延出部71の基部70側の一部に襞状部8を設け、各延出部71の先端側の一部には襞状部8を設けないようにしてもよい。また、図示は省略するが、装飾物7の基部70や各延出部71の全部について襞状部8を設けてもよい。
薬液容器2に複数枚のシート状の装飾物7を収容させた場合、薬液供給装置1の使用に伴って薬液容器2内の薬液が減量する過程で薬液の流動により複数枚の装飾物7が移動し、その中のある装飾物7が他の装飾物7に被さる場合がある。この際に、装飾物7が平らなシート状であると、被さった2枚の装飾物7が重なって一つに見えて複数あることが視認できなくなるおそれがあることから、薬液供給装置1の意匠性が低下するおそれがある。
これに対して、図15に示すように、本実施形態では、装飾物7は少なくとも一部に表裏面が凸凹状に形成された襞状部8を含むため、被さった2枚の装飾物7は襞状部8の谷部と山部とが接触したり、襞状部8と襞状部8ではない平らな部分とが接触したりすることで、装飾物7同士の間に隙間ができる。このように、装飾物7が立体状に形成されることで、装飾物7同士が被さったとしても、完全に重なることが抑制される。そのため、被さった2枚の装飾物7が一つに見えて複数あることが視認できないということを防止できるので、薬液供給装置1の意匠性の低下を抑制することができる。
また、薬液容器2に収容した装飾物7を薬液の下部に沈ませた場合や、使用に伴う薬液容器2内の薬液の減量により装飾物7が沈降した場合に、薬液容器2の吐出口22に装飾物7が被さると、装飾物7が平らなシート状の場合、装飾物7により吐出口22が覆われることで塞がれ、吐出口22からの薬液の吐出が阻害されるおそれがある。
これに対して、図16に示すように、本実施形態では、装飾物7は少なくとも一部に表裏面が凸凹状に形成された襞状部8を含むため、装飾物7は薬液容器2の底の上に位置した際に、襞状部8が接地することにより、襞状部8は山部において薬液容器2の底との間に隙間Sを有し、かつ、襞状部8が設けられていない部分は薬液容器2の底との間に隙間を有する状態で維持される。このように、装飾物7が立体状に形成されることで、装飾物7が吐出口22に被さったとしても、吐出口2を完全に塞ぐことが抑制される。また、図示は省略するが、装飾物7上に他の装飾物7が被さった場合でも、装飾物7同士の間に隙間ができる。そのため、薬液容器2内の薬液について、装飾物7同士の間の隙間や装飾物7と吐出口22との間の隙間を通して吐出口22から薬液容器2外に良好に吐出させることができる。
装飾物7は、図17に示すように、平面視で装飾物7の襞状部8を除いた部分(図17(A)では装飾物7の各延出部71の先端側の一部、図17(B)では、装飾物7の基部70や各延出部71の基部70側の一部)を薬液容器2の吐出口22に被せても、吐出口22の周縁がすっぽりと収まる部分が内側に含まれないように形成することが好ましい。これにより、装飾物7の襞状部8が設けられていない部分が吐出口22に被さったとしても、吐出口22の周縁と装飾物7の襞状部8が設けられていない部分の外縁輪郭との間に間隙Gを生じさせることができるため、吐出口22を塞ぐことなく間隙Gを介して吐出口22への薬液の誘導をスムーズに行うことができ、薬液の供給をスムーズに行うことができる。
装飾物7のサイズは、薬液容器2内で薬液の下部に沈ませた場合や、薬液供給装置1の使用に伴う薬液の減量により薬液容器2内で沈降した場合に、薬液容器2の吐出口22を通過しないサイズであることが好ましい。具体的には、図17(B)に示すように、装飾物7を包含する仮想円(装飾物7の外接円)Cの径R1を吐出口22の径R2よりも大きくすることにより、薬液容器2内の装飾物7が吐出口22を通過して薬液容器2の外部に抜け出ることを防止することができる。
薬液容器2に収容される複数枚の装飾物7は、少なくとも2色で色分けされていることが好ましい。これにより、被さった複数枚の装飾物7が色で複数あることがより明確に視認できる。また、異なる色であることで、装飾物の色が薬液に映りこんだときに、色が混ざりあうので、さらに美観を向上することができる。
色分けの方法としては、特に限定されないが、延出部71の数が異なる複数種類の装飾物7の間で色分けすることができる。例えば、複数枚の装飾物7が、延出部71の数が異なる2種の装飾物7で構成される場合には、2色の色を用いて装飾物7の種類ごとに異なる色を付す。複数枚の装飾物7が、延出部71の数が異なる3種の装飾物7で構成される場合には、3色の色を用いて装飾物7の種類ごとに異なる色を付してもよいし、2色の色を用いて、延出部71の数が近い種類同士の装飾物7は異なる色を付し、延出部71の数が遠い種類同士の装飾物7は異なる色又は同じ色を付してもよい。具体的に、例えば延出部71の数が3〜5の3種の装飾物7について例示すると、延出部71が3つの装飾物7と延出部71が4つの装飾物7とは異なる色を付し、延出部71が4つの装飾物7と延出部71が5つの装飾物7とは異なる色を付し、延出部71が3つの装飾物7と延出部71が5つの装飾物7とは異なる同じ色を付してもよいし同じ色を付してもよい。なお、延出部71の数が等しい同種類の装飾物7の間であっても色分けすることは可能である。
装飾物7同士を異なる色で色付する方法は、装飾物7の全体を異なる色としてもよいし、少なくとも各延出部71の全体を異なる色としてもよいし、さらに少なくとも各延出部71の先端側の一部を異なる色としてもよい。また、同系統の色の濃淡で異なる色としてもよい。
上述したシートを折り曲げて立体状の装飾物7とする方法としては、不織布などのシートを金型で所定の形状(本実施形態では花の形状)に打ち抜き、その後、打ち抜いたシートを金型で両面から挟んで熱をかけながらプレスすることで、シートに屈曲を付けて所望の立体状とする方法を例示することができる。ただし、上記方法に限定されるものではなく、シートに直接、折り罫線を形成し、折り罫線に沿って折り曲げることで所望の立体状としてもよい。
上述した本実施形態の薬液供給装置1によれば、内部を視認可能な薬液容器2に薬液とともに装飾物7が収容されているので、装飾物7の装飾効果により薬液供給装置1自体の意匠性が向上する。そのため、例えば水洗トイレの貯水タンク上部の手洗い部に薬液供給装置1を設置した場合、手洗い部の装飾のための他の装飾物がなくても、トイレ内の美観を向上することができる。よって、従来の薬液供給装置と同じ広さのスペースを手洗い部に確保できれば足り、装飾のために手洗い部に広いスペースを必要としない。そのうえ、薬液供給装置1に形成された種々の開口37A,37Bや手洗い部の排水口が塞がれないので、薬液供給装置1による所望の効果を得ることができる。
また、薬液容器2に収容されている複数枚の装飾物7は、少なくとも一部に表裏面が凸凹状に形成された襞状部8を含む立体状を呈するため、薬液容器2内で例えば複数枚の装飾物7が被さったとしても、被さった複数枚の装飾物7は完全に重なることが抑制され、一方の装飾物7の上に他方の装飾物7が乗っていることが一目で分かる。そのため、被さった複数枚の装飾物7が一つに見えて複数あることが視認できないということを防止できるので、薬液供給装置1の意匠性の低下を抑制することができる。
加えて、薬液容器2内で装飾物7が吐出口22に被さったとしても、吐出口22と装飾物7との間に隙間ができる。また、吐出口22上で複数枚の装飾物7が被さったとしても、装飾物7同士の間に隙間ができる。よって、薬液容器2内の薬液は装飾物7同士の間の隙間や装飾物7と吐出口22との間の隙間を通って吐出口22から薬液容器2外に吐出される。よって、薬液容器2内の装飾物7により薬液の吐出口22からの吐出が阻害されることが抑制され、薬液の供給をスムーズに行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態では、装飾物7は、基部70と各延出部71との間は平たく連なるものであるが、各延出部71を基部70に対して上下のいずれかの方向に折り曲げるようにしてもよい。各延出部71は基部70に対して全て同じ方向に折れ曲がっていてもよいし、異なる方向に折れ曲がっていてもよい。
上記実施形態では、装飾物7は、中央に位置する基部70と基部の周りに配置される複数の延出部71とで構成されているが、装飾物7の形状は上記実施形態の形状に限定されるものではなく、単に矩形状や円形状、多角形状など、種々の形状であってもよい。
上記実施形態では、水洗トイレの貯水タンク上部の手洗い部に設置されるオンタンクタイプの薬液供給装置の中でも、案内部材5を手洗い部の排水口に挿入して薬液を供給するタイプのものを例にして説明しているが、薬液を手洗い部に直接供給するタイプのものなど、種々のタイプの薬液供給装置についても、本発明を好適に適用することができる。
また、上記実施形態では、水洗トイレの貯水タンク上部の手洗い部に設置されるオンタンクタイプの薬液供給装置を例に説明しているが、便器のリムに吊り掛けられて使用されるタイプの薬液供給装置についても、本発明を好適に適用することができる。
また、上記実施形態では、水洗トイレ用の薬液供給装置を例に説明しているが、リビングなどの部屋や玄関の床、棚に置いて室内空間を芳香、消臭するための薬液を揮散又は蒸散させるなどして供給するタイプの薬液供給装置についても、本発明を好適に適用することができる。