JP2021102665A - 水性ボールペン用インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】染料や顔料を内包等した樹脂粒子を用いた水性ボールペン用インク組成物において、高い筆記角度或いは高荷重条件下での筆記、特に高温下においても描線がスキップする現象の発生がなく、筆記不良が発生しにくい水性ボールペン用インク組成物を提供する【解決手段】本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、下記A群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする水性ボールペン用インク組成物。A群:アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(リン酸エステル除く)【選択図】なし

Description

本発明は、着色樹脂粒子などの粒径が大きい樹脂粒子を含有する水性ボールペン用インク組成物に関する。
従来より、筆記具用インクなどの色剤として、染料や顔料を内包等した樹脂粒子を用いることはこれまで数多くの試みがなされてきている。
特許文献1には、染料または顔料をマイクロカプセル壁膜に内包したマイクロカプセル顔料からなる着色樹脂粒子を用いた水性インク組成物が開示されている。
上記特許文献1などに用いられている顔料などを内包した着色樹脂粒子などの粒径が大きい樹脂粒子を含むインク組成物を搭載した水性ボールペンは、特に高い筆記角度或いは高荷重条件下での筆記において描線がスキップする現象(点コロ)が発生しやすいなどの課題があった。特に、筆記する環境の温度が高い場合に上記現象は顕著であった。これは高温でインクの粘度が低下することにより、ボールの表面に形成されるインクの膜が、その形態を保持しにくくするためと推測される。
特開2010−150337号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、染料や顔料を内包等した粒径が大きい樹脂粒子などを用いた水性ボールペン用インク組成物において、高い筆記角度或いは高荷重条件下での筆記、特に高温下においても描線がスキップする現象の発生がなく、筆記不良が発生しにくい水性ボールペン用インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、少なくとも、平均粒子径が所定の範囲となる特定の樹脂粒子と、二種の特定の成分とを含有することにより、上記目的の水性ボールペン用インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、下記A群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする。
A群:アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(リン酸エステル除く)
前記樹脂粒子は着色樹脂粒子であることが好ましい。
前記着色樹脂粒子はウレタン系であることが好ましい。
前記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の含有量はインク組成物全量に対して、0.05〜5質量%であることが好ましい。
前記A群から選ばれる少なくとも1種の含有量がインク組成物全量に対して、0.05〜5質量%であることが好ましい。
本発明によれば、平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子を用いた水性ボールペン用インク組成物であっても、高い筆記角度或いは高荷重条件下での筆記、特に高温下においても筆記描線がスキップする現象の発生がなく、筆記不良が発生しにくい水性ボールペン用インク組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、下記A群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とするものである。
A群:ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(リン酸エステル除く)
〈樹脂粒子〉
本発明に用いる樹脂粒子としては、水性ボールペン用インク組成物に用いられるものであれば特に制限されず、着色樹脂粒子から構成されるものや、無着色樹脂粒子などが挙げられる。
用いることができる着色樹脂粒子としては、例えば、1)樹脂粒子中にカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料などの顔料等からなる着色剤が分散された着色樹脂粒子、2)樹脂粒子の表面が上記顔料からなる着色剤で被覆された着色樹脂粒子、3)樹脂粒子に直接染料、酸性染料、塩基性染料、食料染料、蛍光染料などの染料からなる着色剤が染着された着色樹脂粒子、4)ロイコ色素等を用いて熱変色性とした着色樹脂粒子、5)光変色性色素となるフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素等を用いて光変色性とした着色樹脂粒子などが挙げられる。
上記1)〜3)の着色樹脂粒子の樹脂成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン等の重合体もしくはこれらの共重合体、ベンゾグアナミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等から選択される少なくとも1種が挙げられ、必要に応じて架橋などの処理を行ったものであってもよい。これらの樹脂への着色方法としては、従来公知の懸濁重合、分散重合などの手法が用いられる。
上記4)の熱変色性の着色樹脂粒子としては、電子供与性染料であって、発色剤としての機能するロイコ色素と、該ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となる顕色剤及び上記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールすることができる変色温度調整剤を少なくとも含む熱変色性組成物を、所定の平均粒子径となるように、マイクロカプセル化することにより製造された熱変色性の着色樹脂粒子などを挙げることができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱撹拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、壁膜がウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂等となる樹脂原料を使用、例えば、アミノ樹脂溶液、具体的には、メチロールメラミン水溶液、尿素溶液、ベンゾグアナミン溶液などの各液を徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより熱変色性のマイクロカプセル顔料からなる熱変色性の着色樹脂粒子を製造することができる。この熱変色性の着色樹脂粒子では、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度、消色温度を好適な温度に設定することができる。
なお、前記熱変色性の着色樹脂粒子は、可逆熱変色性となるものが好ましい。可逆熱変色性となるものは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独又は併用して構成することができる。
上記5)の光変色性の着色樹脂粒子としては、例えば、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、テルペンフェノール樹脂などの樹脂とにより構成される光変色性の着色樹脂粒子や、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、有機溶媒と、酸化防止剤、光安定剤、増感剤などの添加剤とを含む光変色性組成物を、所定の平均粒子径となるように、マイクロカプセル化することにより製造された光変色性の着色樹脂粒子などを挙げることができる。マイクロカプセル化法としては、上述の熱変色性の樹脂粒子の製造と同様に調製することができる。
この光変色性の着色樹脂粒子は、フォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などを好適に用いることにより、例えば、室内照明環境(室内での白熱灯、蛍光灯、ランプ、白色LEDなどから選ばれる照明器具)において無色であり、紫外線照射環境(200〜400nm波長の照射、紫外線を含む太陽光での照射環境)で発色する性質を有するものとすることができる。
上記1)〜5)の各着色樹脂粒子は、蛍光顔料、熱変色性顔料や光変色性顔料のマイクロカプセル顔料など(色材)として使用することができる。また、上記1)〜5)の各樹脂粒子は、公知の各製造法により製造した各樹脂粒子を使用することができ、市販品があれば、それらを使用してもよいものである。
好ましい着色樹脂粒子としては、発色性、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、上記1)〜5)の各着色樹脂粒子において、着色樹脂粒子の樹脂成分がウレタン系であるウレタン系着色樹脂粒子の使用が望ましい。
用いることができるウレタン系着色樹脂粒子としては、着色されたウレタン系樹脂粒子から構成されるものであればよく、例えば、a)染料または顔料などで着色されたウレタン系着色樹脂粒子、b)ロイコ色素等を用いて熱変色性としたウレタン系着色樹脂粒子、c)光変色性色素となるフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素等を用いて光変色性としたウレタン系着色樹脂粒子などが挙げられる。
上記a)のウレタン系着色樹脂粒子は、少なくともウレタン結合を有する重合体、共重合体から構成されるものであり、イソシアネート成分(ジイソシアネート成分を含む)とポリオール成分(ジオール成分含む)などとを反応させることにより得られるものであり、例えば、ウレタン粒子(ポリエステル型ウレタン粒子、ポリカーボネート型ウレタン粒子、ポリエーテル型ウレタン粒子など)、ウレタン・ウレア粒子などの少なくとも1種が挙げられる。
ウレタン系着色樹脂粒子は、例えば、下記製法により得られたものを用いることができる。
上記a)のウレタン系着色樹脂粒子の製法は、a−1)有機溶剤、及びイソシアネートモノマー又はイソシアネートプレポリマー、染料或いは顔料などの着色剤を含有する油相の作製、a−2)水及び分散剤を混合させることによる水相の作製、a−3)上記油相と水相とを混合させて油相の成分を乳化した後に重合させる工程により行うことができる。なお、着色剤を用いない場合は、白色のウレタン系着色樹脂粒子として用いることができる。
油相は、有機溶剤、及びイソシアネートモノマー又はイソシアネートプレポリマー、着色する場合は、着色剤を含有している。この有機溶剤は、複数種含有されていてもよい。
この油相は、有機溶剤を所定の温度に加温しながら、着色剤を加えて撹拌し、次いで、上記モノマー又はプレポリマーを加え、更に必要に応じて他の有機溶剤を加えることにより、作製することができる。
有機溶剤としては、例えば、フェニルグリコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノベンジルエーテル、酢酸エチル等を用いることができる。また、アルキルスルホン酸フェニルエステル、フタル酸エチルヘキシル、フタル酸トリデシル、トリメリット酸エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、液状のキシレン樹脂等も用いることができる。
イソシアネートモノマー又はプレポリマーとしては、例えば,ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、イソシアネートプレポリマー等を用いることができる。
イソシアネートプレポリマーとしては、上記のイソシアネートのトリオール付加物、イソシアヌレート変性体等の三量体を用いることが、重合により良好に硬化させる観点から好ましい。また、上記の三量体とともに、補助プレポリマーとして、上記のイソシアネートのアロファネート変性体等の二量体を用いることができる。
平均粒子径の調整は、重合の際、撹拌条件をコントロールすることにより調整することができる。
染料としては、常温において水に不溶の染料であり、例えば、造塩染料、分散染料、油溶性染料等を用いることができるが、発色性の観点から、アゾ系、金属錯塩アゾ系、アンスラキノン系及び金属フタロシアニン系の化学構造を有する造塩染料を用いることが好ましい。
顔料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の無機顔科、タルク、シリカ、アルミナ、マイカ、アルミナシリケート等の体質顔科、アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、各種レーキ顔料等の有機顔料等を用いることができる。
水相は、水及び分散剤を混合させることにより作製することができる。分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコールを用いることができるが、これに限定されない。
乳化及び重合工程は、上記油相の成分を乳化し、さらに重合させる工程は、水相に油相を投入し、ホモジナイザー等を用いて所定の温度に加温しながら乳化混合することによりウレタン系着色樹脂粒子を得ることができる。
また、上記乳化重合の他、相分離法によるウレタン系着色樹脂粒子を作製してもよい。この製造法は、着色剤含有溶液を作製すること、保護コロイド剤含有溶液を作製すること、イソシアネートモノマー又はイソシアネートを重合させることからなる。
着色剤含有溶液は、水不溶性染料を有機溶剤に加熱溶解、或いは顔料を有機溶剤に分散することにより作製することができる。着色剤及び有機溶剤としては、上記乳化重合により用いる有機溶剤を用いることができる。
保護コロイド剤含有溶液は、保護コロイド剤を水に溶解させることにより、作製することができる。保護コロイド剤としては、例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等を用いることができる。
イソシアネートモノマー又はイソシアネートプレポリマーの重合は、着色する場合は着色剤含有溶液を、所定の温度に加温した保護コロイド剤含有溶液に添加して油滴状に分散させ、ここに上述のイソシアネートモノマー又はイソシアネートプレポリマーを添加し、温度を維持して撹拌することにより、製造することができる。
上記b)の熱変色性のウレタン系着色樹脂粒子としては、電子供与性染料であって、発色剤としての機能するロイコ色素と、該ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となる顕色剤及び上記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールすることができる変色温度調整剤を少なくとも含む熱変色性組成物を、所定の平均粒子径となるように、上記ウレタン系の樹脂成分、上述と同様のマイクロカプセル化をすることにより製造された熱変色性のウレタン系着色樹脂粒子などを挙げることができる。この製造例としては、例えば、水溶液からの相分離法では、上記1)相分離法と同様に、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱撹拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、壁膜が上記1)で例示したウレタン系樹脂原料などを徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより熱変色性のマイクロカプセル顔料からなる熱変色性のウレタン系着色樹脂粒子を製造することができる。この熱変色性のウレタン系着色樹脂粒子では、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度、消色温度を好適な温度に設定することができる。
上記c)の光変色性のウレタン系着色樹脂粒子としては、例えば、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、テルペンフェノール樹脂などの樹脂とにより構成される光変色性のウレタン系着色樹脂粒子や、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、有機溶媒と、酸化防止剤、光安定剤、増感剤などの添加剤とを含む光変色性組成物を、所定の平均粒子径となるように、上記ウレタン系の樹脂成分、上述と同様のマイクロカプセル化をすることにより製造された光変色性のウレタン系着色樹脂粒子などを挙げることができる。
上記a)〜c)の各ウレタン系着色樹脂粒子を含む上記1)〜5)の着色樹脂粒子は、筆記具(ボールペン)の通常の色材として、蛍光顔料、熱変色性顔料や光変色性顔料のマイクロカプセル顔料など(色材)として使用することができる。また、上記a)〜c)の各ウレタン系着色樹脂粒子においても、公知の各製造法により製造した各ウレタン系着色樹脂粒子を使用することができ、市販品があれば、それらを使用してもよいものである。
本発明に用いることができる無着色樹脂粒子は、顔料、染料などの着色剤を含まない無着色樹脂粒子であり、例えば、少なくとも、上述の着色樹脂粒子の製造の際に、顔料や、染料などの各着色成分を除いて同様に、所定の粒子径となるように、例えば、上記1)〜5)の製造法に準拠することなどにより、無着色樹脂粒子を製造することができる。
この無着色樹脂粒子は、例えば、上述の着色樹脂粒子の製造において、顔料や染料などの着色剤成分等を除いて製造するものであり、これらの成分等を用いない以外は上述の着色樹脂粒子と同様に、所定の粒子径となるようにして、無着色樹脂粒子を製造することができる。
用いる樹脂成分などは、上述した着色樹脂粒子で用いた各材料などを使用できるので、各材料の説明、製造法などの説明は省略する。
これらのウレタン系などの着色樹脂粒子を含む樹脂粒子は、着色力、分散安定性などの点から、その平均粒子径が0.5〜6μmとなるものが使用され、好ましくは、0.5〜4.0μmの使用が望ましい。
本発明(後述する実施例等を含む)において、「平均粒子径」とは、レーザー回折法で測定される体積基準により算出された粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)の値である。ここで、レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、日機装株式会社の粒子径分布解析装置HRA9320−X100を用いて行うことができる。
これらの樹脂粒子の(合計)含有量は、インク組成物全量に対して、3〜30質量%とすることが好ましく、更に好ましくは、10〜30質量%とすることが望ましい。この着色樹脂粒子の含有量が3質量%未満であると、好ましい描線濃度が得られなくなり、また、30質量%を越えると、筆記感が重くなったり、描線にカスレが生じやすくなり、好ましくない。
本発明に用いるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物は、本発明の効果を発揮せしめるために含有するものである。用いることができるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物としては、市販品である、デモールN、デモールRN、デモールRN−L、デモールT、デモールT−45〔以上、花王(株)製:β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩〕、セルフロー110P〔第一工業製薬(株)製:ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポールファイン510−AN〔竹本油脂(株)製:アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、フローリックPS〔(株)フローリック製:アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、タモールNN9401〔BASF社製:ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩〕等の少なくとも1種が挙げられる。
前記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物は酸タイプとアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン等の塩タイプがあり、どちらも使用することができる。
これらのナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の含有量は、インク組成物全量に対して、0.05〜5%とすることが好ましく、更に好ましくは、0.3〜3%とすることが望ましい。
このナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の含有量が0.05%未満であると、本発明の効果が十分ではない場合があり、一方、5%を越えると、インクの経時安定性が低下する場合があるため、好ましくない。
本発明に用いるA群の成分は、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(リン酸エステル除く)から選ばれる少なくとも1種であり、これらを含有することにより、高い筆記角度或いは高荷重条件下での筆記において、高温でインクの粘度が低下した状態にあっても、ボール表面に形成されるインク膜がその形態を保持することが可能となる。
上記アルキルベンゼンスルホン酸は、炭素数10〜14の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、また、上記アルキルナフタレンスルホン酸は、炭素数8〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、更にアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸は、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましい。
用いることができる具体的な上記A群としては、市販品である、ネオぺレックスGS(有効成分100%、花王社製:アルキルベンゼンスルホン酸)、ぺレックスNBL(有効成分35%、花王社製:アルキルナフタレンスルホン酸)、ぺレックスSS-L(有効成分50%、花王社製:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸)、エマルゲンB-66(有効成分100%、花王社製:ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル)、エマルゲンA-60(有効成分100%、花王社製:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル)等の少なくとも1種が挙げられる。
これらのA群の成分の含有量は、インク組成物全量に対して、0.05〜5%とすることが好ましく、更に好ましくは、0.3〜2%とすることが望ましい。
このA群の成分の含有量が0.05%未満であると、本発明の効果が不十分となる場合があり、一方、5.0%を越えると、インクの経時安定性が低下する場合があるため、好ましくない。
〈水性ボールペン用インク組成物〉
本発明の水性ボールペン用インク組成物には、少なくとも、上述の平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、上記A群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とするものであり、その他に、水溶性溶剤を含有することができ、また、上記ウレタン系着色樹脂粒子以外に汎用の着色剤を必要に応じて含有することができる。
用いることができる水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。この水溶性溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して、5〜40%とすることが望ましい。
用いることができる着色剤としては、水溶性染料や、顔料、例えば、無機顔料、有機顔料等も適宜量必要に応じて使用できる。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも本発明の効果を損なわない範囲で適宜量用いることができる。
本発明の水性ボールペン用インク組成物には、少なくとも、上記平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、上記A群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とするものであり、上記着色樹脂粒子以外の着色剤、水溶性溶剤の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、潤滑剤、増粘剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などを適宜含有することができる。
用いることができる分散剤としては、ノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
用いることができる潤滑剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、リン酸エステル、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
用いることができる増粘剤としては、例えば、合成高分子、セルロースおよび多糖類からなる群から選ばれた少なくとも一種が望ましい。具体的には、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸及びその塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレシオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体及びその塩などが挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア、尿素、モノエタノーアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンや、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなとの炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水和物などが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、チアゾリン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
上記分散剤、潤滑剤、増粘剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などの各成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの市販品があればそれを使用することができる
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、上記平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、上記A群から選ばれる少なくとも1種と、水溶性溶剤、その他の各成分をボールペン用インクの用途に応じて適宜組み合わせて、ホモミキサー、ホモジナイザーもしくはディスパー等の攪拌機により撹拌混合することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によって水性ボールペン用インク組成物を調製することができる。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、他の水性インク組成物の製造方法と比べて特に変わるところはなく製造することができる。
すなわち、本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、上記平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、上記A群から選ばれる少なくとも1種と、水溶性溶剤、その他の各成分をミキサー等、更に、例えば、強力な剪断を加えることができるビーズミル、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて撹拌条件を好適な条件に設定等して混合撹拌することによって、水性ボールペン用インク組成物を製造することができる。
また、本発明の水性ボールペン用インク組成物のpH(25℃)は、使用性、安全性、インク自身の安定性、インク収容体とのマッチング性の点からpH調整剤などにより5〜10に調整されることが好ましく、更に好ましくは、6〜9.5とすることが望ましい。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、ボールペンチップなどのペン先部を備えたボールペンに搭載される。
本発明における水性ボールペンとしては、例えば、上記組成の水性ボールペン用インク組成物を直径が0.18〜2.0mmのボールを備えたボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。直径が上記範囲のボールを備えたものであれば、用いる水性ボールペンの構造などは、特に限定されず、特に、上記水性インク組成物をポリプロピレン製チューブのインク収容管に充填し、先端のステンレスチップ(ボールは超鋼合金)を有するリフィールの水性ボールペンに仕上げたものが望ましい。
更に、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の水性ボールペン用インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペンであってもよいものである。
このように構成される本発明の水性ボールペン用インク組成物にあっては、少なくとも、上記平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、上記A群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とするものであり、高い筆記角度或いは高荷重条件下での筆記において、ボールとボール受座間に介在する樹脂粒子の分散状態が向上し、さらに高温でインクの粘度が低下した状態にあっても、ボール表面に形成されるインク膜がその形態を保持することが可能となるので、着色樹脂粒子を用いた水性ボールペン用インク組成物において、高い筆記角度或いは高荷重条件下で、特に高温(40℃)下の筆記においても描線がスキップする現象の発生がなく、筆記不良が発生しにくく、描線品位に優れる水性ボールペン用インク組成物が得られることとなる。
次に、用いる着色樹脂粒子の製造例A〜B、水性ボールペン用インク組成物の実施例1〜6及び比較例1〜2により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。また、製造例1〜2で得た着色樹脂粒子などの平均粒子径(D50:μm)は、日機装株式会社の粒子径分布解析装置HRA9320−X100を用いて測定した。なお、下記製造例1〜3中の「部」は「質量部」を示す。
〔製造例1:ウレタン系着色樹脂粒子Aの製造〕
油相溶液として、エチレングリコールモノベンジルエーテル11.6部と分散剤(DISPERBYK−111、ビックケミー・ジャパン社製)1.8部とを60℃に加温しながら、顔料(カーボンブラック、Cabot Mogul L、キャボット社製)2.0部と、シナジスト(フタロシアニン顔料誘導体、ソルスパース5000、ルーブリゾール社製)0.2部とを加えて十分分散させた。次いで、ここにプレポリマーとしてのキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(タケネート D110N、三井化学社製)9.0質量部を加えて、油相溶液を作製した。水相溶液としては、蒸留水600質量部を60℃に加温しながら、ここに分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社製)15質量部を溶解して、水相溶液を作製した。
60℃の水相溶液に油相溶液を投入し、ホモジナイザーで6時間撹拌することにより乳化混合して重合を完了した。得られた分散体を遠心処理することで着色樹脂粒子Aを得た。この着色樹脂粒子Aの平均粒子径(D50)は、1.3μmであった。
〔製造例2:ウレタン系着色樹脂粒子Bの製造〕
有機溶剤としてのエチレングリコールモノベンジルエーテル11.5部を60℃に加温しながら、ここに水不溶性染料(Valifast Red 1355、オリヱント化学工業社製)2.8部、プレポリマーとしてのジフェニルメタンジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D−109、三井化学社製)7.2部を加えて、油相溶液を作製した。一方、蒸留水200質量部を60℃に加温しながら、ここに分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社製)15部を溶解して、水相溶液を作製した。60℃の水相溶液に油相溶液を投入し、ホモジナイザーで6時間撹拌することにより乳化混合して重合を完了した。得られた分散体を遠心処理することでウレタン系着色粒子(赤色粒子)を得た。
この着色樹脂粒子Bの平均粒子径(D50)は、3.2μmであった。
〔製造例3:熱変色性ウレタン系着色樹脂粒子Cの製造〕
ロイコ色素として、メチル−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン1部、顕色剤として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン2部、及び変色性温度調整剤として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート24部を100℃に加熱溶融して、均質な組成物27部を得た。
上記で得た組成物27部の均一な熱溶液にカプセル膜剤として、イソシアネート10部及びポリオール10部を加えて撹拌混合した。次いで、保護コロイドとして12%ポリビニルアルコール水溶液60部を用いて、25℃で乳化して分散液を調製した。次いで、5%の多価アミン5部を用いて、80℃で60分間処理してマイクロカプセルを得た。
以上の手順により得たマイクロカプセル化した水分散体をスプレードライすることでパウダー状にして熱変色性マイクロカプセル顔料からなる熱変色性ウレタン系着色樹脂粒子Cを製造した。
この着色樹脂粒子Cの平均粒子径(D50)は、2.0μmであった。
〔実施例1〜7及び比較例1〜4〕
上記製造例1〜3による着色性樹脂粒子A〜C、並びに、市販品である着色性樹脂粒子Dを用いると共に、下記表1に示す配合組成などにより、常法により、各水性ボールペン用インク組成物を調整した。
上記実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた水性ボールペン用インク組成物について、下記評価方法にて描線品位について評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
(描線品位の評価方法)
上記実施例及び比較例で得た各インク組成物を充填したボールペン(三菱鉛筆製 UM−100 ボール径0.5mm)を用いて下記筆記条件下での機械筆記試験にて筆記させ、下記評価基準にて評価した。
筆記条件:150gf、筆記角度80度、筆記速度4.5mm/min 40℃
評価基準:
A:描線のスキップは認められなかった。
B:描線のスキップが1か所以上、3か所未満であった。
C:描線のスキップが3か所以上、5か所未満であった。
D:描線のスキップが5か所以上であった。
Figure 2021102665
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜7の水性ボールペン用インク組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べ、顔料を内包する着色樹脂粒子を用いた水性ボールペン用インク組成物において、高い筆記角度或いは高荷重条件下で、高温(40℃)下であっても、筆記描線がスキップする現象の発生がなく、筆記不良が発生しにくい水性ボールペン用インク組成物が得られることが確認された。
水性ボールペンに好適なインク組成物が得られる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、平均粒子径が0.3〜6μmの樹脂粒子と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、下記A群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする水性ボールペン用インク組成物。
    A群:アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(リン酸エステル除く)
  2. 樹脂粒子が着色樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン用インク組成物。
  3. 着色樹脂粒子がウレタン系であることを特徴とする請求項2に記載の水性ボールペン用インク組成物。
  4. ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の含有量がインク組成物全量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の水性ボールペン用インク組成物。
  5. 上記A群から選ばれる少なくとも1種の含有量がインク組成物全量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の水性ボールペン用インク組成物。
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