<実施例>
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しつつ説明する。
本発明の実施例に係る運搬システム1は、不図示の1棟のマンション及び当該マンションの敷地内に設置されており、当該マンションに居住している居住者によって利用される。このため、運搬システム1の利用者は、マンションの居住者である。
運搬システム1は、マンションのコンシェルジュ・デスクに設置されている、図1に示すような制御装置100と、コンシェルジュに操作された制御装置100の制御に従って、マンション及びマンションの敷地内で荷物を運搬する運搬機500と、を備える。また、運搬システム1は、マンション又はマンションの敷地内に設置された撮像装置900をさらに備え、制御装置100は、撮像装置900で生成された画像に基づいて運搬機500の制御を行う。
制御装置100は、サーバ装置であり、図2に示すようなCPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103a、ハードディスク103b、データ通信回路104a、ビデオカード105a、表示装置105b、及び、入力装置105cを備える。
CPU101は、ROM103a又はハードディスク103bに保存されたプログラムを実行することで、制御装置100の全体制御を行う。RAM102は、CPU101によるプログラムの実行時において、処理対象とするデータを一時的に記憶する。ROM103a及びハードディスク103bは、各種のプログラムを記憶している。ハードディスク103bは、各種のデータやデータを保存したテーブルをさらに記憶する。制御装置100は、ハードディスク103bの代わりに、半導体メモリであるフラッシュメモリを備えても良い。
データ通信回路104aは、例えば、5G(5th Generation)といった通信規格に従って、インターネットINに接続された不図示の基地局と電波を用いたデータ通信を行う。これにより、データ通信回路104aは、インターネットINを介して接続される運搬機500とデータ通信する。
ビデオカード105aは、CPU101から出力されたデジタル信号に基づいて画像をレンダリングすると共に、レンダリングされた画像を表す画像信号を出力する。表示装置105bは、LCD(Liquid Crystal Display)であり、ビデオカード105aから出力された画像信号に従って画像を表示する。制御装置100は、LCDの代わりに、PDP(Plasma Display Panel)又はEL(Electroluminescence)ディスプレイを備えても良い。入力装置105cは、キーボード、マウス、タッチパッド、及び、ボタンのいずれか1つ以上であり、コンシェルジュの操作に応じた信号を入力する。
マンションに居住する利用者が受取人として指定された荷物(以下、第1荷物という)が、例えば、宅配業者の従業員によってコンシェルジュ・デスクへ運び込まれると、コンシェルジュは、第1荷物に貼られた伝票を読み、宛先である受取人の部屋を識別する部屋番号を確認する。その後、従業員は、確認した部屋番号を、制御装置100の入力装置105cに入力させる操作を行う。
制御装置100の入力装置105cがコンシェルジュの操作に応じた信号を入力すると、制御装置100のCPU101は、入力された信号に基づいて、第1荷物を宛先まで運搬機500に配達させる、図3に示すような配達制御処理を実行する。これにより、CPU101は、宛先の部屋番号を取得する、図1に示すような取得部110、及び、取得された部屋番号の部屋まで、第1荷物を運搬機500に運搬させる第1運搬制御処理を行う制御部120として機能する。
また、ハードディスク103bは、配達制御処理の実行に用いられる情報を記憶する情報記憶部190として機能する。情報記憶部190は、部屋に関する部屋情報が予め保存されている、図4に示すような部屋テーブルを予め記憶している。部屋テーブルには、1又は複数のレコードが予め保存されており、各レコードには、部屋の部屋番号と、例えば、玄関といった部屋の代表地点を表す世界座標系の座標値と、が対応付けられて予め保存されている。
本実施例において、世界座標系は三次元座標系であり、部屋の代表地点を表す世界座標系のX座標値、Y座標値、及び、Z座標値は、代表地点の緯度、経度、及び、高度を表すとして説明する。部屋の代表地点の座標値がこれらを表すのは、運搬機500の緯度、経度、及び、高度と、代表地点の緯度、経度、及び、高度と、に基づいて、運搬機500が部屋まで第1荷物を運搬するからである。
図3の配達制御処理の実行が開始されると、制御装置100の取得部110は、入力装置105cから入力された信号に基づいて部屋番号を取得する(ステップS01)。次に、取得部110は、図4の部屋テーブルにおいて、取得された部屋番号と対応付けられた座標値を取得することで(ステップS02)、第1荷物の宛先の座標値を取得する。
その後、制御装置100の制御部120は、情報記憶部190に予め保存されているコンシェルジュ・デスクの世界座標系の座標値を読み出す。次に、制御部120は、コンシェルジュ・デスクの座標値と、宛先の座標値と、を、例えば、ダイクストラ法を用いる公知の経路探索処理に用いることで、コンシェルジュ・デスクから宛先までの配達経路を決定する(ステップS03)。
次に、制御装置100の制御部120は、第1荷物の積載を促す表示を、図2の表示装置105bにさせる制御を行う(ステップS04)。コンシェルジュは、当該表示を視認すると、第1荷物を運搬機500に積載させる。
その後、制御装置100のデータ通信回路104aが、荷物が積載されたことを知らせる積載報告を運搬機500から受信すると、取得部110は、積載報告をデータ通信回路104aから取得する(ステップS05)。
次に、制御装置100の制御部120は、配達経路に含まれる通過地点の座標値と、終点である宛先の座標値と、を含んだ配達経路を表す情報を生成する。その後、制御部120は、配達経路を表す情報を含み、当該配達経路を通って宛先まで第1荷物を運搬することを命じる第1運搬命令を、運搬機500を宛先としてデータ通信回路104aへ出力し、データ通信回路104aは、第1運搬命令を運搬機500へ送信する。このようにして、制御部120は、第1荷物を宛先まで運搬機500に運搬させる第1運搬制御処理を実行する(ステップS06)。
次に、制御装置100の制御部120は、情報記憶部190が予め記憶している運搬機500の状態情報を、運搬機500が第1荷物を宛先まで運搬している状態(以下、運搬中状態という)であることを表す情報に更新する(ステップS07)。
その後、運搬機500が宛先に到着してから予め定められた時間が経過するタイミング、及び、第1荷物が受取人に受け渡されたタイミングの内で、いずれか早い方のタイミングで、運搬機500は、コンシェルジュ・デスクへの帰還を開始する。運搬機500は、帰還を開始すると、帰還が開始されたことを知らせる帰還開始報告を送信する。
図2に示した制御装置100のデータ通信回路104aが、帰還開始報告を受信すると、取得部110は、データ通信回路104aから帰還開始報告を取得する(ステップS08)。次に、制御部120は、情報記憶部190が記憶する状態情報を、運搬中状態でない非運搬中状態を表す情報に更新した後に(ステップS09)、配達制御処理の実行を終了する。
運搬機500は、例えば、無人地上車両であり、図5に示すような車輪511及び512を含む複数の車輪を備える車台520と、車台520の前面に設置され、かつ、撮像範囲に運搬機500の前方が含まれるように光軸及び画角を調整された撮像装置530と、を備える。
撮像装置530は、デジタル式のステレオカメラであり、互いに視差を有する2枚の画像を表す信号を出力する。このような信号が出力されるのは、視差に基づいて、運搬機500の前方にある障害物又は運搬機500の前方にいる利用者の三次元座標値及びサイズ等を特定できるようにするためである。
さらに、運搬機500は、車台520の上に設置され、荷物を収納する収納装置540を備える。収納装置540は、荷物を収納する複数の収納ボックス550と、荷物が平積みされる荷台560と、を備える。また、収納装置540は、収納ボックス550又は荷台560に搭載された荷物を運搬するために、撮像装置530から出力される画像を表す信号に基づいて、障害物を避けながら走行するように複数の車輪を回転させる制御装置590を備える。
収納ボックス550は、不図示の背板、底板及び天板、並びに、背板に向かって右側の側板及び左側の側板によって、前方が開放された空間を形成する不図示の箱体を備える。
箱体の開口部には、扉551と、扉551を受止める扉枠552と、が設置されている。扉551の裏面には、カンヌキであるデッドボルト553が設置されており、扉枠552には、デッドボルト553の受座であるストライク554が形成されている。
収納ボックス550は、制御装置590から出力される信号に従って、デッドボルト553をストライク554へ挿入させることで扉551を施錠し、デッドボルト553をストライク554から抜出させることで扉551を解錠する、不図示のモータをさらに備えている。このため、収納ボックス550は、収納ボックス550に積載された荷物が盗難されることを防止する盗難防止機能を有している。
また、収納ボックス550が備える右側の側板には、例えば、レーザーダイオードであり、レーザーを空間に照射する不図示の発光部と、発光部を発光させる不図示の発光回路と、が設置されている。左側の側板には、例えば、フォトダイオードであり、発光部から照射されたレーザーを受光して電気信号を出力する不図示の受光部と、受光部が電気信号の出力を停止すると、収納ボックス550内で物体を検出したことを表す検出信号を制御装置590へ出力する不図示の検出回路と、が設置されている。
荷台560は、収納装置540の上面を荷物の積載面としている。荷台560は、当該積載面から垂直方向に起立しており、かつ、運搬機500の前方に向かって前側及び後側、並びに、右側及び左側にそれぞれ設置された4枚の側板を備えている。荷台560の4枚の側板と、収納ボックス550の上面と、は、上方が開放された空間を形成しているため、荷台560は、収納ボックス550と異なり、盗難防止機能を有していない。
荷台560が備える右側の側板には、収納ボックス550が備える発光部と発光回路と同様の構成及び機能を有する不図示の発光部と発光回路とが設置されている。また、荷台560が備える左側の側板には、収納ボックス550が備える受光部と検出回路と同様の構成及び機能を有する不図示の受光部と検出回路とが設置されている。
収納装置540が備える制御装置590は、図6に示すようなCPU591、RAM592、ROM593a、フラッシュメモリ593b、データ通信回路594a、タッチパネル595、GPS(Global Positioning System)回路596、入出力ポート598、及び、駆動回路599を備える。
制御装置590が備えるCPU591、RAM592、ROM593a、及び、データ通信回路594aの構成及び機能は、図2に示した制御装置100が備えるCPU101、RAM102、ROM103a、及び、データ通信回路104aの構成及び機能と同様である。
フラッシュメモリ593bは、半導体メモリであり、各種のデータやデータを保存したテーブルを記憶している。タッチパネル595は、ビデオカード595a、表示装置595b、及び、入力装置595cを備えている。ビデオカード595a及び表示装置595bの構成及び機能は、制御装置100が備えるビデオカード105a及び表示装置105bの構成及び機能と同様である。入力装置595cは、タッチパッドであり、コンシェルジュ又は利用者の操作に応じた信号を入力する。表示装置595bと入力装置595cとは、表示装置595bの表示方向から見て、表示面と入力面とが互いに重なり合うように配置されている。
GPS回路596は、GPS衛星から発せられたGPS信号を受信し、受信されたGPS信号に基づいて運搬機500の緯度、経度、及び、高度を計測し、計測された緯度、経度、及び、高度を表す信号を出力する。
入出力ポート598は、不図示の通信ケーブルを介して、撮像装置530に接続されており、CPU591が出力する信号を撮像装置530に出力し、撮像装置530が出力する信号をCPU591へ入力する。
また、入出力ポート598は、不図示の通信ケーブルを介して、複数の収納ボックス550がそれぞれ備える検出回路、及び、荷台560が備える検出回路に接続されている。入出力ポート598は、収納ボックス550又は荷台560が備える検出回路から出力された検出信号をCPU591へ入力する。
駆動回路599は、不図示の複数のケーブルを介して、複数の扉551がそれぞれ備える不図示のモータと、複数の車輪をそれぞれ回転させる不図示の複数のモータと、に接続されており、CPU591が出力する信号に従ってそれぞれのモータを駆動させる。
運搬機500に第1荷物を積載させることを促す制御装置100の表示を確認したコンシェルジュが、第1荷物を収納ボックス550又は荷台560に積載させると、収納ボックス550又は荷台560に設置された検出回路が、収納ボックス550又は荷台560で物体を検出したことを表す検出信号を出力する。
本実施例では、荷物を運搬機500に積載させるとは、荷物を運搬機500の上に荷物を載せることを意味するだけでなく、荷物を運搬機500の内部に収納することも意味する。すなわち、荷物を運搬機500に積載させるとは、例えば、荷物を運搬機500の荷台560に載せることも、荷物を運搬機500の収納ボックス550に収納させることも含む。
収納ボックス550又は荷台560から出力された検出信号を、運搬機500の入出力ポート598がCPU591へ入力すると、CPU591は、運搬機500に荷物が積載されたことを検知し、制御装置100を宛先として積載報告をデータ通信回路594aへ出力する。
運搬機500のデータ通信回路594aは、積載報告を制御装置100へ送信した後に、第1荷物の宛先まで第1荷物を運搬することを命じる第1運搬命令を制御装置100から受信する。次に、運搬機500のCPU591は、データ通信回路594aから第1運搬命令を取得し、第1運搬命令に含まれる配達経路を順行するための制御信号を駆動回路599へ出力する。その後、制御信号を入力された駆動回路599が、複数の車輪をそれぞれ回転させる不図示の複数のモータを駆動させることで、第1荷物の運搬が開始される。
運搬機500のCPU591は、GPS回路596から出力される信号で表される運搬機500の緯度、経度、及び、高度と、配達経路の終点の座標値で表される緯度、経度、及び、高度と、に基づいて、終点である第1荷物の宛先と運搬機500との距離を算出する。CPU591は、算出された距離が予め定められた距離よりも長いと、未だ宛先に到着していないと判別し、配達経路を順行するための制御信号を出力する処理から上記処理を繰り返す。
これに対して、運搬機500のCPU591は、算出された距離が予め定められた距離以下であると、第1荷物の宛先に到着したと判別する。到着の判別に用いられる予め定められた距離は、フラッシュメモリ593bによって予め記憶されており、好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
その後、収納ボックス550又は荷台560に積載された第1荷物が受取人によって受け取られると、収納ボックス550又は荷台560の検出回路は、検出信号の出力を停止する。運搬機500のCPU591は、宛先に到着したと判別してから予め定められた時間が経過する前に、検出信号の入力が停止すると、第1荷物の受け渡しが行われたと判別する。受け渡しの判別に用いられる予め定められた時間は、フラッシュメモリ593bによって予め記憶されており、好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
これに対して、運搬機500のCPU591は、宛先に到着したと判別してから、検出信号の入力が停止することなく予め定められた時間が経過すると、第1荷物の受け渡しが行われなかったと判別する。
運搬機500のCPU591は、第1荷物の受け渡しが行われたと判別した後、又は、第1荷物の受け渡しが行われなかったと判別した後に、コンシェルジュ・デスクへの帰還を開始するために、配達経路を逆行するための制御信号の出力を開始する。その後、CPU591は、帰還開始報告を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路594aへ出力する。
図1の撮像装置900は、例えば、ネットワーク・カメラであり、マンションの外壁に設置されている。撮像装置900の光軸及び画角は、撮像範囲にマンションの敷地が含まれるように調整されている。
撮像装置900は、図2に示した制御装置100が備えるCPU101、RAM102、ROM103a、及び、データ通信回路104aの構成及び機能と同様の構成及び機能を有する不図示のCPU、RAM、ROM、及び、データ通信回路を備える。また、撮像装置900は、不図示のレンズと、レンズで集光された光に基づいて電気信号を生成する不図示の撮像素子群と、撮像素子群から出力される電気信号に基づいて画像を生成する不図示の画像生成回路と、を備える。
撮像装置900のCPUは、画像生成回路で生成された画像を表す信号を予め定められた周期で取得し、取得された信号で表される画像を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路へ出力する。予め定められた周期は、不図示のROMによって予め記憶されており、好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
制御装置100のデータ通信回路104aが、撮像装置900から画像(以下、第1画像という)を受信すると、制御装置100のCPU101は、撮像された利用者が運ぶ荷物(以下、第2荷物という)を、利用者の移動先まで運搬機500に運搬させる、図7に示すような運搬支援処理を実行する。これにより、CPU101は、撮像された利用者を認証する、図1に示すような認証部130、認証された利用者が荷物を運んでいるか否かを、第1画像に基づいて判定する判定部140、及び、荷物を運んでいる利用者の移動先を特定する特定部150としてさらに機能する。
制御装置100の情報記憶部190は、利用者の認証に用いられる認証情報が予め保存された、図8に示すような認証テーブルを予め記憶している。認証テーブルには、1又は複数のレコードが予め保存されており、各レコードには、利用者を識別する利用者ID(IDentification)に、利用者の顔の特徴を表す生体情報が認証情報として対応付けられて予め保存されている。
また、制御装置100の情報記憶部190は、マンションの敷地に設置された施設に関する情報が予め保存された、図9に示すような施設テーブルを予め記憶している。施設テーブルには、1又は複数のレコードが予め保存されており、各レコードには、施設を識別する施設IDと、施設の名称を表す情報と、施設の代表地点を表す世界座標系の座標値と、が対応付けられて予め保存されている。
本実施例では、マンションの敷地には、マンションのエントランス及び敷地のゲートといった出入り口、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、書店、及び、花屋といった商店、レストラン、病院、スポーツジム、プール、公園、ゴミ捨て場、駐車場、並びに、駐輪場といった施設が設置されているとして説明を行うが、これらに限定される訳では無い。
さらに、制御装置100の情報記憶部190は、利用者の移動先に関する情報が予め保存された、図10に示すような移動先テーブルを予め記憶している。移動先テーブルには、1又は複数のレコードが予め保存されており、各レコードには、利用者の利用者IDに、利用者が居住する部屋の部屋番号が、利用者が帰宅する場合の移動先を識別する移動先IDとして対応付けられて予め保存されている。
図7に示す運搬支援処理の実行が開始されると、制御装置100の取得部110は、撮像装置900から受信された第1画像をデータ通信回路104aから取得する(ステップS11)。
次に、制御装置100の認証部130は、公知の画像処理を実行することで、取得された第1画像から、撮像装置900に撮像された人の顔に対応する画像領域(以下、顔領域という)を抽出し、抽出された顔領域に基づいて顔の特徴を特定する。その後、認証部130は、図8の認証テーブルにおいて、特定された特徴を表す生体情報が認証情報として保存されているか否かに基づいて、撮像装置900に撮像された人の認証が成功したか否かを判別する(ステップS12)。
顔領域を抽出する公知の画像処理は、例えば、人の肌の色を表す画素値の範囲として予め設定された範囲に含まれる画素値を有し、互いに連続しており、かつ、人の顔の面積の範囲として予め設定された範囲に含まれる面積を有する画素群を、顔領域として抽出する処理を含む。また、顔領域に基づいて顔の特徴を特定する公知の画像処理は、例えば、顔形の特徴を特定する処理を含み、顔形の特徴を特定する処理は、水平方向の顔の長さに対応する主走査方向の顔領域の長さと、鉛直方向の顔の長さに対応する副走査方向の顔領域の長さと、の比を特定する処理を含む。肌の色を表す画素値の範囲として予め設定された範囲、及び、人の顔の面積の範囲として予め設定された範囲は、ハードディスク103bによって予め記憶されており、好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
制御装置100の認証部130は、特定された特徴を表す情報が認証テーブルに保存されていないと判別すると、認証が成功しなかったと判別する(ステップS12;No)。次に、認証部130は、撮像された人が運搬システム1を利用する権限を有さないと判別し、運搬支援処理の実行を終了する。
これに対して、制御装置100の認証部130は、特定された特徴を表す情報が認証テーブルに保存されていると判別すると、認証が成功したと判別し(ステップS12;Yes)、撮像装置900に撮像された人が運搬システム1の利用権限を有する利用者であることを特定する。
次に、制御装置100の判定部140は、公知の画像処理を実行することで、取得された第1画像に基づいて利用者が荷物を運んでいるか否かを判定する(ステップS13)。
利用者が荷物を運んでいるか否かを判定する公知の画像処理は、例えば、情報記憶部190が予め記憶している荷物のテンプレート画像を用いたテンプレートマッチングを、第1画像に実行する処理を含む。この処理の場合、判定部140は、荷物のテンプレート画像とマッチする画像領域が抽出されると、利用者が荷物を運んでいると判定し、そのような画像領域が抽出されないと、荷物を運んでいないと判定する。荷物のテンプレート画像は、リュックサック、ランドセル、ハンドバッグ、鞄、買い物袋、小包、ゴルフバッグ、スキー板、スノーボード、又は、ゴミ袋のテンプレート画像を含む。
ステップS13において、利用者が荷物を運んでいないと判定されると(ステップS13;No)、制御装置100の制御部120は、運搬支援処理の実行を終了する。
これに対して、利用者が荷物を運んでいると判定されると(ステップS13;Yes)、制御装置100の取得部110は、情報記憶部190が記憶する運搬機500の状態情報を取得する(ステップS14)。次に、制御部120は、取得された状態情報が、第1荷物を運搬機500が運搬している運搬中状態を表すか否かを判別する(ステップS15)。
このとき、制御装置100の制御部120は、運搬機500が運搬中状態であると判別すると(ステップS15;Yes)、運搬機500による第1荷物の運搬を阻害しないようにするため、運搬支援処理の実行を終了する。
これに対して、制御装置100の制御部120は、運搬機500が運搬中状態でないと判別すると(ステップS15;No)、荷物を運んでいる利用者の移動先を特定する、図11に示すような移動先特定処理を実行する(ステップS16)。
移動先特定処理の実行が開始されると、制御装置100の特定部150は、図7のステップS12で取得された顔領域の中心点の座標値を取得する。特定部150が取得する顔領域の座標値は、第1画像の中心点を原点とし、主走査方向をXc軸の正方向とし、かつ、副走査方向をYc軸の正方向とするカメラ座標系の座標値である。
その後、制御装置100の特定部150は、カメラ座標系を世界座標系に変換するために用いられる撮像装置900のパラメータを、情報記憶部190から読み出す。読み出されるパラメータには、撮像装置900の設置位置を表す世界座標系の座標値、撮像装置900の撮像方向を表す世界座標系のベクトル、地表面を表す世界座標系の方程式、及び、撮像装置900が備える画像素子群の主走査方向と水平方向とがなす角度が含まれている。
次に、制御装置100の特定部150は、読み出されたパラメータを公知の変換処理に用いることで、第1画像における顔領域のカメラ座標系の座標値を世界座標系の座標値に変換する。その後、特定部150は、変換された座標値で表される利用者の第1位置を特定する(ステップS31)。
次に、制御装置100の取得部110は、データ通信回路104aが新たな画像(以下、第2画像という)を受信するまでスリープする。その後、データ通信回路104aが第2画像を受信すると、取得部110は、データ通信回路104aから第2画像を取得する(ステップS32)。
次に、制御装置100の認証部130は、ステップS12と同様の画像処理を実行することで顔領域を第2画像から抽出する。その後、特定部150は、ステップS31と同様に、第2画像から抽出された顔領域のカメラ座標系の座標値を、世界座標系の座標値に変換し、変換された座標値で表される利用者の第2位置を特定する(ステップS33)。
その後、制御装置100の取得部110は、図9の施設テーブルから、マンションの出入り口であるエントランスの施設ID「E」に対応付けられた座標値を取得する。次に、特定部150は、エントランスの座標値と、第1位置の座標値と、に基づいて、第1位置からエントランスまでの第1距離を算出する。同様に、特定部150は、第2位置からエントランスまでの第2距離を算出し、第2距離が第1距離よりも短いか否かに基づいて、利用者が帰宅しようとしているか否かを判別する(ステップS34)。
このとき、制御装置100の特定部150は、第2距離が第1距離よりも短いと判別すると、マンションの敷地で利用者がエントランスに近づいたため、マンションの部屋に利用者が帰宅しようとしていることを特定する(ステップS34;Yes)。次に、取得部110は、図8の認証テーブルにおいて、図7のステップS12で認証に用いられた認証情報に対応付けられた利用者IDを取得する(ステップS35)。その後、特定部150は、図10の移動先テーブルにおいて、移動先IDとして利用者IDに対応付けられた部屋番号を特定する(ステップS36)。次に、特定部150は、特定された部屋番号の部屋を、帰宅しようとする利用者の移動先と特定した後に(ステップS37)、移動先特定処理の実行を終了する。
ステップS34において、第2距離が第1距離と同じ長さであると判別されると、ステップS32の処理が再度実行される。その後、ステップS32で再度取得された画像を第2画像として、ステップS33から上記処理が実行される。
ステップS34において、制御装置100の特定部150は、第2距離が第1距離より長いと判別すると、マンションの敷地で利用者がエントランスから遠ざかったと判別する。このため、特定部150は、マンションの外部に利用者が外出しようとしていることを特定する(ステップS34;No)。
次に、制御装置100の特定部150は、特定された第1位置から第2位置へ向かうベクトルを算出することで、利用者の移動方向を特定する(ステップS38)。次に、特定部150は、利用者がいる第2位置から見て移動方向にある施設を、利用者の移動先の施設と特定した後に(ステップS39)、移動先特定処理の実行を終了する。
移動方向にある施設を特定するために、制御装置100の特定部150は、利用者の第2位置と、利用者の移動方向を表すベクトルと、で定まる直線を表す方程式を算出する。次に、特定部150は、図9の施設テーブルから、マンションの敷地に設置された1又は複数の施設の座標値を取得し、取得された1又は複数の施設の座標値に基づいて、方程式で表される直線と、1又は複数の施設と、の距離を算出する。その後、特定部150は、算出された距離が最も短い施設を、利用者の移動先の施設と特定する。
図7のステップS16で、移動先特定処理が実行された後、制御装置100の特定部150は、公知の経路探索処理を実行することで、利用者がいる第2位置から移動先までの移動経路を推定する(ステップS17)。
次に、制御装置100の特定部150は、運搬機500の位置を表す情報の返信を求める返信リクエストを、運搬機500を宛先としてデータ通信回路104aへ出力する。その後、データ通信回路104aが、返信リクエストを運搬機500に送信した後に、運搬機500の位置を表す情報を運搬機500から受信すると、制御装置100の取得部110は、位置を表す情報をデータ通信回路104aから取得する。
その後、制御装置100の特定部150は、公知の経路探索処理を用いて、利用者の移動経路に含まれる複数の通過地点のそれぞれについて、運搬機500の位置から通過地点までの経路を特定する。また、特定部150は、運搬機500に設定された標準の移動速度を表す情報を情報記憶部190から読み出し、読み出された情報で表される速度に基づいて、通過地点までの経路を運搬機500が移動するのに要する移動時間を算出する。
次に、制御装置100の特定部150は、第1位置の座標値と、第2位置の座標値と、に基づいて、第1位置から第2位置までの距離を算出する。その後、特定部150は、撮像装置900に設定された画像の生成周期を表す情報を、情報記憶部190から読み出す。次に、特定部150は、算出された距離を、読み出された情報で表される生成周期で除算することで、利用者の移動速度を算出する。その後、特定部150は、利用者の移動経路に含まれる複数の通過地点のそれぞれについて、利用者がいる第2位置から通過地点まで利用者が移動するのに要する移動時間を、算出された利用者の移動速度に基づいて算出する。
次に、制御装置100の特定部150は、複数の通過地点について算出された運搬機500の移動時間と、利用者の移動時間と、に基づいて、運搬機500の方が利用者よりも先に到着する通過地点を1又は複数特定する。その後、特定部150は、特定された1又は複数の通過地点の内で、利用者がいる第2位置に最も近い通過地点を、運搬機500が利用者と出会う出会地点に決定する(ステップS18)。
その後、制御装置100の制御部120は、運搬機500の位置から出会地点までの経路(以下、出会経路という)に含まれる通過地点及び終点の座標値を含んだ出会経路を表す情報を生成する。その後、制御部120は、出会経路を表す情報を含み、当該出会経路を通って出会地点まで移動することを命じる近接命令を、運搬機500を宛先としてデータ通信回路104aへ出力する。このようにして、制御部120は、運搬機500を利用者に近づける近接制御処理を実行する(ステップS19)。
その後、運搬機500は、制御装置100のデータ通信回路104aから送信された近接命令を受信し、近接命令に従って利用者に近づく。利用者は、出会地点又は出会地点の近傍で運搬機500と出会い、利用者が運んでいた第2荷物を、解錠されている運搬機500の収納ボックス550、又は、上方が開放されている荷台560に積載させる。
第2荷物が積載されると、運搬機500は、第2荷物の積載態様が盗難防止機能を有する収納ボックス550に積載されている盗難防止態様か、盗難防止機能を有さない荷台560に積載されている非盗難防止態様か、を特定する。次に、運搬機500は、特定された積載態様を表す積載態様情報を生成し、生成された積載態様情報を含んだ積載報告を制御装置100に送信する。
制御装置100のデータ通信回路104aが積載報告を受信すると、取得部110は、データ通信回路104aから積載報告を取得し(ステップS20)、取得された積載報告に含まれる第2荷物の積載態様情報を取得する(ステップS21)。その後、制御部120は、積載態様情報で表される第2荷物の積載態様が、盗難防止態様であるか否かを判別する(ステップS22)。
このとき、制御装置100の制御部120は、取得された積載態様情報で表される第2荷物の積載態様が盗難防止態様であると判別すると(ステップS22;Yes)、運搬機500の運搬速度を、運搬機500が利用者に先行できる先行速度に決定する(ステップS23)。このような決定が行われるのは、第2荷物の積載態様が、施錠により荷物の盗難を防止できる収納ボックス550に積載されている態様であれば、運搬機500を利用者に先行させても、第2荷物が盗難されるリスクを低減できるためである。また、運搬機500を利用者に先行させれば、例えば、マンションのエレベータや廊下といった空間を、利用者と運搬機500とが同時に占有することを防止できるため、利用者の利便性が低下することを防止できるからである。
これに対して、制御装置100の制御部120は、取得された積載態様情報で表される積載態様が盗難防止態様でないと判別すると(ステップS22;No)、非盗難防止態様であると判別する。その後、制御部120は、運搬機500の運搬速度を、運搬機500が利用者に同行できる同行速度に決定する(ステップS24)。このような決定が行われるのは、第2荷物の積載態様が、盗難防止機能を有さない荷台560に積載されている非盗難防止態様であっても、運搬機500を利用者に同行させれば、上方が開放された荷台560に積載された荷物の盗難を防止できるからである。
ステップS24の同行速度は、例えば、ステップS18で算出された利用者の移動速度であっても良い。また、ステップS23の先行速度は、例えば、利用者の移動速度より速く、かつ、マンション及びマンションの敷地にいる人の安全を確保できる速度であればどのような速度であっても良い。
その後、制御装置100の制御部120は、運搬機500と利用者との出会地点から、ステップS17で推定された利用者の移動経路の終点までの通過地点の座標値と、終点の座標値と、を含み、かつ、第2荷物の運搬経路を表す情報を生成する。次に、制御部120は、運搬経路を表す情報と、ステップS23又はS24で決定された運搬速度を表す情報と、を含み、当該運搬速度で当該運搬経路を通って移動先まで第2荷物を運搬することを命じる第2運搬命令を生成する。その後、制御部120は、生成された第2運搬命令を、運搬機500を宛先としてデータ通信回路104aへ出力し、データ通信回路104aは、第2運搬命令を運搬機500へ送信する。このようにして、制御部120は、第2荷物を利用者の移動先まで運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理を実行した後に(ステップS25)、運搬支援処理の実行を終了する。
図7のステップS19で出力された近接命令を、運搬機500のデータ通信回路594aが受信すると、運搬機500のCPU591は、近接命令に従って利用者に近づかせ、出会地点又はその近傍で利用者に運搬機500を出会わせる、図12に示すような出会制御処理を実行する。
出会制御処理の実行が開始されると、運搬機500のCPU591は、データ通信回路594aから近接命令を取得し(ステップS41)、取得された近接命令に含まれる出会経路を表す情報を取得する(ステップS42)。次に、CPU591は、取得された情報で表される出会経路を順行するための制御信号を出力する(ステップS43)。
運搬機500のCPU591は、GPS回路596から出力される信号で表される運搬機500の緯度、経度、及び、高度と、出会経路の終点の座標値で表される緯度、経度、及び、高度と、に基づいて、終点である出会地点に到着したか否かを判別する(ステップS44)。このとき、CPU591は、出会地点に到着していないと判別すると(ステップS44;No)、ステップS43から上記処理を繰り返す。
これに対して、運搬機500のCPU591は、出会地点に到着したと判別すると(ステップS44;Yes)、予め定められた時間に亘って、出会地点で運搬機500を待機させるための制御信号を出力する(ステップS45)。
運搬機500を出会地点で待機させるための制御信号は、例えば、運搬機500を出会地点又は出会地点の近傍に停車させるための制御信号、若しくは、出会地点の近傍で旋回走行又は往復走行させるための制御信号を含む。出会地点の近傍とは、出会地点から予め定められた距離以内の領域を含む。出会地点の近傍を定める予め定められた距離は、運搬機500のフラッシュメモリ593bによって予め記憶されており、好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
運搬機500のCPU591は、予め定められた時間に亘って待機させるための制御信号を出力した後、図5に示した収納ボックス550又は荷台560の検出回路から物体を検出したことを表す検出信号が入力されたか否かを判別する(ステップS46)。このとき、CPU591は、検出信号が入力されなかったと判別すると(ステップS46;No)、ステップS45から上記処理を繰り返す。
これに対して、運搬機500のCPU591は、検出信号が入力されたと判別すると(ステップS46;Yes)、検出信号の出力元に基づいて第2荷物の積載態様を特定する。次に、CPU591は、特定された積載態様を表す積載態様情報を生成し(ステップS47)、生成された積載態様情報をフラッシュメモリ593bに保存する。
このとき、運搬機500のCPU591は、検出信号の出力元が盗難防止機能を有する収納ボックス550の検出回路であると判別すると、第2荷物の積載態様が盗難防止態様であることを特定し、盗難防止態様を表す積載態様情報を生成する。これに対して、検出信号の出力元が盗難防止機能を有さない荷台560の検出回路であると判別すると、CPU591は、第2荷物の積載態様が非盗難防止態様であることを特定し、非盗難防止態様を表す積載態様情報を生成する。
その後、運搬機500のCPU591は、検出信号の出力元が収納ボックス550の検出回路であるため、第2荷物が収納ボックス550に積載されていると判別すると(ステップS48;Yes)、当該収納ボックス550を施錠させるための制御信号を出力する(ステップS49)。その後、収納ボックス550が備える不図示のモータが、デッドボルト553をストライク554へ挿入させることで扉551が施錠される。
ステップS48において、検出信号の出力元が荷台560の検出回路であるため、第2荷物が荷台560に積載されていると判別された場合(ステップS48;No)、又は、ステップS49が実行された後に、運搬機500のCPU591は、ステップS47で生成された積載態様情報を含む積載報告を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路594aへ出力する(ステップS50)。次に、運搬機500のデータ通信回路594aが制御装置100へ積載報告を送信した後に、運搬機500のCPU591は、出会制御処理の実行を終了する。
積載報告を受信した制御装置100から、図7のステップS25で出力された第2運搬命令を、運搬機500のデータ通信回路594aが受信すると、運搬機500のCPU591は、利用者に代わって第2荷物を運搬させる、図13に示すような代理運搬制御処理を実行する。
代理運搬制御処理の実行が開始されると、運搬機500のCPU591は、データ通信回路594aから第2運搬命令を取得し(ステップS61)、取得された第2運搬命令に含まれる運搬経路を表す情報と、運搬速度を表す情報と、を取得する(ステップS62)。次に、CPU591は、取得された情報で表される運搬速度で、運搬経路を順行するための制御信号を出力する(ステップS63)。
その後、運搬機500のCPU591は、図12のステップS44と同様の処理を実行することで、利用者の移動先に到着したか否かを判別する(ステップS64)。このとき、CPU591は、移動先に到着していないと判別すると(ステップS64;No)、ステップS63から上記処理を繰り返す。
これに対して、運搬機500のCPU591は、移動先に到着したと判別すると(ステップS64;Yes)、フラッシュメモリ593bに保存された積載態様情報を読み出す。その後、CPU591は、読み出された積載態様情報に基づいて、第2荷物が収納ボックス550に積載されているか否かを判別する(ステップS65)。
このとき、運搬機500のCPU591は、第2荷物が収納ボックス550に積載されていると判別すると(ステップS65;Yes)、第2荷物が積載されている収納ボックス550を解錠させるための制御信号を出力する(ステップS66)。その後、収納ボックス550が備える不図示のモータが、デッドボルト553をストライク554から抜出させることで扉551が解錠される。
ステップS65において、収納ボックス550ではなく、荷台560に第2荷物が積載されていると判別された場合(ステップS65;No)、又は、ステップS66が実行された後に、収納ボックス550又は荷台560の検出回路が検出信号の出力を停止すると、運搬機500のCPU591は、第2荷物が利用者によって受け取られたと判別する。
その後、運搬機500のCPU591は、利用者の移動先からコンシェルジュ・デスクへまでの帰還経路を、公知の経路探索技術を用いて決定し(ステップS67)、帰還経路を順行するための制御信号を出力する(ステップS68)。
その後、運搬機500のCPU591は、図12のステップS44と同様の処理を実行することで、コンシェルジュ・デスクに到着したか否かを判別し(ステップS69)、到着していないと判別すると(ステップS69;No)、ステップS68から上記処理を繰り返す。これに対して、CPU591は、コンシェルジュ・デスクに到着したと判別すると(ステップS69;Yes)、代理運搬処理の実行を終了する。
これらの構成によれば、運搬システム1は、利用者を撮像する撮像装置900と、撮像装置900で生成された第1画像に基づいて、利用者が荷物を運んでいるか否かを判定する判定部140と、を備える。また、運搬システム1は、荷物を運んでいる利用者の移動先を特定する特定部150と、利用者が荷物を運んでいると判定され、かつ、利用者が運んでいる荷物である第2荷物が運搬機500に積載されると、特定された利用者の移動先へ、第2荷物を運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理を行う制御部120と、を備える。このため、運搬システム1は、利用者が運んでいる第2荷物を利用者に代わって運搬機500に運搬させることができるので、利用者の身体的負担を軽減できる。
また、これらの構成によれば、運搬システム1は、利用者を識別する利用者IDを取得する取得部110をさらに備える。また、運搬システム1の特定部150は、図10に示した情報記憶部190の移動先テーブルにおいて、取得された利用者の利用者IDに対応付けられた移動先IDを特定することで、利用者の移動先を特定する。これらのため、運搬システム1は、例えば、利用者の移動先がマンションの部屋であるため、利用者がマンションのエントランスへ向かって地上を歩いている場合のように、利用者の移動方向に基づいて移動先を特定できない場合であっても、利用者の移動先を特定できる。
さらに、これらの構成によれば、運搬システム1の特定部150は、撮像装置900で生成された画像に基づいて利用者の移動先を特定する。このため、例えば、利用者の利用者IDと、利用者の移動先を識別する移動先IDと、を予め対応付けていなくとも、運搬システム1は、利用者の移動先を特定できる。
また、これらの構成によれば、運搬システム1の制御部120は、荷物を運んでいると判定された利用者に、運搬機500を近づける近接制御処理を行う。このため、利用者が運搬機500を探し出して運搬機500に近づかなくとも、利用者は、運搬機500に荷物を積載させることができる。
さらに、これらの構成によれば、運搬システム1の特定部150は、撮像装置900で生成された画像に基づいて、利用者が荷物を運んでいる位置を特定し、特定された位置から移動先までの利用者の移動経路を推定する。また、制御部120が行う近接制御処理は、推定された移動経路又は移動経路の近傍で、運搬機500が利用者と出会うようにさせる制御である。これらのため、運搬システム1は、撮像装置900によって撮像された位置を利用者が移動したとしても、利用者が推定された移動経路を移動すれば、運搬機500を利用者に出会わせることができる。
また、これらの構成によれば、運搬システム1の特定部150は、運搬機500における第2荷物の積載態様を特定する。また、制御部120が行う第2運搬制御処理は、特定された積載態様に応じた運搬速度で第2荷物を運搬機500に運搬させる制御である。さらに、第2荷物の積載態様が、盗難を防止する機能を有する収納ボックス550に積載された盗難防止態様であると、運搬システム1の制御部120は、利用者よりも先行できる運搬速度で第2荷物を運搬機500に運搬させる。このため、運搬システム1は、第2荷物の盗難を防止しながら、利用者が移動する空間を利用者と運搬機500とが同時に占有することを防止できるため、セキュリティと利用者の利便性との双方の低下を防止できる。
さらに、第2荷物の積載態様が、盗難防止機能を有さない荷台560に積載された非盗難防止態様であると、運搬システム1の制御部120は、利用者に同行できる運搬速度で第2荷物を運搬機500に運搬させる。これらのため、第2荷物が盗難防止機能を有さない荷台560に積載された場合でも、利用者が第2荷物を見張ることができる。
さらに、これらの構成によれば、運搬システム1の制御部120は、第1荷物を、予め定められた場所であるコンシェルジュ・デスクから第1荷物の宛先の部屋まで運搬機500に運搬させる第1運搬制御処理を実行する。また、制御部120は、運搬機500が第1荷物を運搬していないと、第2荷物を利用者の移動先へ運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理を実行する。このため、運搬機500が第1荷物を運搬していないために、運搬機500が有効に活用されていない場合であっても、運搬システム1は、利用者が運ぶ第2荷物を運搬機500に運搬させることで、運搬機500を有効活用できる。また、制御装置100の制御部120は、運搬機500が第1荷物を運搬していると、第2運搬制御処理の実行を抑制する。このため、運搬システム1は、運搬機500による第1荷物の運搬を阻害することを防止しながら、運搬機500を有効活用できる。
<実施例の変形例1>
本実施例では、図7のステップS13において、利用者が荷物を運んでいるか否かを、制御装置100の判定部140が判定し、利用者が荷物を運んでいると判定されると(ステップS13;Yes)、特定部150が、荷物を運んでいる利用者の移動先を特定する(ステップS16)と説明した。また、制御部120は、利用者が荷物を運んでいると判定され(ステップS13;Yes)、かつ、荷物が運搬機500に積載されると(ステップS20)、特定された移動先へ、荷物を運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理を行う(ステップS25)と説明した。
しかし、これらに限定される訳では無く、制御装置100の特定部150が利用者の移動先を特定した後に、利用者が荷物を運んでいるか否かを判定部140が判定しても良い。また、制御部120は、本実施例と同様に、利用者が荷物を運んでいると判定され、かつ、荷物が運搬機500に積載されると、特定された移動先へ、荷物を運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理を行っても良い。
また、これらに限定される訳では無く、移動先を特定するステップS16、移動先までの移動経路を推定するステップS17、及び、移動経路に含まれる地点であり、かつ、運搬機500が利用者と出会う地点である出会地点を決定するステップS18が実行された後に、利用者が荷物を運んでいるか否かを判定するステップS15が実行されても良い。
<実施例の変形例2>
本実施例では、収納ボックス550は、盗難防止機能を有するが、荷台560は、盗難防止機能を有さないと説明した。また、第2荷物の積載態様が、収納ボックス550に第2荷物が積載されている盗難防止態様であると判別すると、制御装置100の制御部120は、運搬機500による第2荷物の運搬速度を、運搬機500が利用者に先行できる先行速度に決定すると説明した。これに対して、第2荷物の積載態様が、荷台560に第2荷物が積載されている非盗難防止態様であると判別すると、運搬機500の運搬速度を、運搬機500が利用者に同行できる同行速度に決定すると説明した。
しかし、これらに限定される訳では無く、第2荷物の積載態様は、収納ボックス550に第2荷物が積載されている高落下防止態様と、荷台560に第2荷物が積載されている低落下防止態様と、を含んでも良い。第2荷物の積載態様がこれらの態様を含むのは、扉551が閉じられた収納ボックス550は、第2荷物を収納するための閉塞された空間を形成するが、荷台560は、上方が開放された空間を形成しているため、収納ボックス550の方が荷台560よりも、荷物の落下を防止できるからである。
この場合、制御装置100の制御部120は、第2荷物の積載態様が高落下防止態様であると判別すると、運搬機500による第2荷物の運搬速度を、運搬機500に設定された標準の移動速度よりも速く、かつ、マンション及びマンションの敷地にいる人の安全を確保できる高速度に決定しても良い。また、制御部120は、第2荷物の積載態様が低落下防止態様であると判別すると、標準の移動速度よりも遅い低速度に運搬速度を決定しても良い。これらの構成によれば、運搬システム1は、第2荷物の落下を防止しながら、利用者に代わって第2荷物を運搬できる。
<実施例の変形例3>
本実施例では、制御装置100の制御部120は、第2荷物の積載態様が盗難防止態様であると判別すると、運搬機500による第2荷物の運搬速度を、運搬機500が利用者に先行できる先行速度に決定すると説明した。これに対して、制御部120は、取得された積載態様情報が盗難防止態様でないと判別すると、運搬機500の運搬速度を、運搬機500が利用者に同行できる同行速度に決定すると説明した。また、制御部120は、決定された運搬速度を表す情報を含み、当該運搬速度で第2荷物を運搬することを命じる第2運搬命令を、運搬機500を宛先として出力し、運搬機500は、第2運搬命令を受信すると、当該運搬速度で第2荷物を運搬すると説明した。
しかし、これらに限定される訳では無く、制御装置100の制御部120は、第2荷物の積載態様が盗難防止態様であると判別すると、運搬機500の制御内容を、運搬機500を利用者に先行させる先行制御に決定しても良い。これに対して、制御部120は、取得された積載態様情報が盗難防止態様でないと判別すると、運搬機500の制御内容を、運搬機500を利用者に同行させる同行制御又は利用者を追跡させる追跡制御に決定しても良い。また、制御部120は、決定された制御内容を表す情報を含み、当該制御内容に従って第2荷物を運搬することを命じる第2運搬命令を出力しても良い。
図6に示した運搬機500のCPU591は、第2運搬命令に含まれる制御内容で、運搬機500の全体制御を行っても良い。この制御のために、CPU591は、制御内容が先行制御であると判別すると、運搬機500に設定された標準の移動速度で移動経路を順行するための制御信号を出力する。次に、CPU591は、運搬機500の前方が撮像範囲に含まれる撮像装置530へ撮像を命じる信号を出力し、撮像装置530から出力された信号を取得する。
その後、運搬機500のCPU591は、図7のステップS12で説明した画像処理と同様の処理を実行することで、取得された信号で表される画像から利用者の頭に対応する画像領域(以下、頭領域という)を抽出する。その後、CPU591は、頭領域が抽出されなかったと判別すると、運搬機500が利用者に先行していると判別する。その後、CPU591は、移動速度を変更せずに、移動経路を順行するための制御信号を出力してから、撮像装置530へ撮像を命じる信号を出力する処理に戻り、上記処理を繰り返す。
これに対して、運搬機500のCPU591は、頭領域が抽出されたと判別すると、運搬機500が利用者に先行していないと判別し、変更前よりも速い速度に移動速度を変更してから、変更後の移動速度で移動経路を順行するための制御信号を出力する。その後、CPU591は、撮像装置530へ撮像を命じる信号を出力する処理に戻り、上記処理を繰り返す。
また、運搬機500のCPU591は、制御内容が同行制御であると判別すると、標準の移動速度で移動経路を順行するための制御信号を出力した後に、撮像装置530へ撮像を命じる信号を出力し、撮像装置530から出力された信号を取得する。次に、CPU591は、取得された信号で表される画像から利用者の頭領域が抽出されなかったと判別すると、変更前よりも遅い速度に移動速度を変更し、頭領域が抽出されたと判別すると、変更前よりも速い速度に移動速度を変更する。その後、CPU591は、変更後の移動速度で移動経路を順行するための制御信号を出力してから、撮像を命じる信号を出力する処理に戻り、上記処理を繰り返す。
さらに、運搬機500のCPU591は、制御内容が追跡制御であると判別すると、撮像装置530へ撮像を命じる信号を出力し、撮像装置530から出力された信号を取得し、取得された信号で表される画像から利用者の頭領域を抽出する。CPU591は、利用者の頭領域が抽出されないと判別すると、運搬機500が利用者を先行しており、追跡していないと判別して、変更前よりも遅い速度に移動速度を変更する。
これに対して、CPU591は、頭領域が抽出されたと判別すると、撮像装置530から出力された信号で表される2枚の画像の視差に基づいて、運搬機500を基準とした利用者の位置を特定する。その後、CPU591は、特定された利用者の位置に基づいて、利用者の位置が撮像装置530の撮像範囲の中央となるように、運搬機500の進行方向を変更させるための制御信号を出力する。また、CPU591は、視差に基づいて運搬機500から利用者までの距離を算出し、算出された距離が予め定められた距離よりも長いと判別すると、変更前よりも速い速度に移動速度を変更し、算出された距離が予め定められた距離以下であると判別すると、移動速度を変更せずに維持する。その後、CPU591は、変更後の移動速度又は維持された移動速度で移動するための制御信号を出力した後に、撮像を命じる信号を出力する処理に戻り、上記処理を繰り返す。追跡に用いられる予め定められた距離は、フラッシュメモリ593bによって予め記憶されており、好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
<実施例の変形例4>
本実施例では、制御装置100の制御部120は、第2荷物の積載態様が盗難防止態様であると判別すると、運搬機500による第2荷物の運搬速度を、運搬機500が利用者に先行できる先行速度に決定すると説明した。これに対して、制御部120は、取得された積載態様情報が盗難防止態様でないと判別すると、運搬機500の運搬速度を、運搬機500が利用者に同行できる同行速度に決定すると説明した。
しかし、これらに限定される訳では無く、本変形例に係る制御装置100の制御部120は、運搬機500が第2荷物を移動先まで運搬するのに要する最短の時間である最短運搬時間と、利用者が移動先まで移動するのに要する最短の時間である最短移動時間と、の相違に応じた速度に、運搬機500による第2荷物の運搬速度を決定する。
このために、本変形例に係る制御装置100のCPU101は、図14に示すような運搬支援処理を実行する。図14の運搬支援処理の実行が開始されると、図7に示したステップS11からS20と同様の処理が実行される(ステップS71からS80)。これによって、運搬機500を利用者に近づかせる近接制御が実行された後に、利用者の第2荷物が運搬機500に積載されたことを知らせる積載報告が取得される。
その後、制御装置100の制御部120は、運搬機500が出会地点から移動先まで第2荷物を運搬するのに要する最短の時間である最短運搬時間を算出する(ステップS81)。
このために、制御装置100の制御部120は、マンション及びマンションの敷地にいる人の安全を確保できる速度であり、かつ、運搬機500が達成可能な最も速い移動速度(以下、最高速度という)を表す情報を、情報記憶部190から読み出す。
次に、制御装置100の制御部120は、マンションのエレベータを利用する経路(以下、エレベータ利用経路という)が運搬経路に含まれているか否かを判別するために、運搬経路に含まれる複数の通過地点に、座標値で表される緯度及び経度が同じで、かつ、高度が異なる複数の通過地点が含まれているか否か判別する。このとき、緯度及び経度が同じで、かつ、高度が異なる複数の通過地点が含まれていると判別すると、制御部120は、エレベータ利用経路が運搬経路に含まれていると判別する。
次に、制御装置100の制御部120は、運搬機500と利用者との出会地点から、エレベータ利用経路の始点までの運搬距離を算出する。その後、制御部120は、算出された運搬距離を、読み出された情報で表される最高速度で除算することで、運搬機500が出会地点からエレベータ利用経路の始点まで第2荷物を運搬するのに要する最も短い時間である第1最短運搬時間を算出する。
次に、取得部110は、例えば、OS(Operating System)からシステム日時を取得し、制御部120は、取得されたシステム日時に、算出された第1最短運搬時間を加算することで、エレベータ利用経路の始点に運搬機500が到着する到着日時を算出する。その後、制御装置100の制御部120は、算出された到着日時を表す情報と、エレベータ利用経路の始点及び終点の高度を表す情報と、を含み、到着日時より遅く、かつ、最も早い日時に始点の階に到着したエレベータの乗りかごが終点の階に到着すると予測される日時(以下、予測到着日時という)の返信を求めるリクエストを生成する。その後、制御部120は、生成されたリクエストを、エレベータの運行を制御する不図示の運行制御装置を宛先として、データ通信回路104aに出力する。
不図示の運行制御装置は、図2に示した制御装置100と同様の構成を備えている。運行制御装置は、エレベータの乗りかごが停止する階を表す情報と、当該階の高度を表す情報と、が対応付けられて予め保存されている不図示の停止階テーブルを記憶している。
運行制御装置は、制御装置100からリクエストを受信すると、リクエストに含まれるエレベータ利用経路の始点及び終点の高度を表す情報を取得する。次に、運行制御装置は、取得された情報で表される始点の高度と最も近い高度を表す情報に対応付けられた階を表す情報を、不図示の停止階テーブルから取得することで、エレベータ利用経路の始点となる階を特定する。同様に、運行制御装置は、エレベータ利用経路の終点となる階を特定する。
次に、運行制御装置は、リクエストに含まれる運搬機500の到着日時を表す情報を取得してから、エレベータの到着日時を予測する公知の予測処理を実行する。その後、運行制御装置は、運搬機500の到着日時よりも遅く、かつ、最も早い日時に始点の階に到着すると予測されたエレベータの乗りかごが、終点の階に到着する到着日時を予測する。その後、運行制御装置は、予測された到着日時である予測到着日時を表す情報を制御装置100へ返信する。
制御装置100のデータ通信回路104aが、終点の予測到着日時を表す情報を受信すると、取得部110は、予測到着日時を表す情報をデータ通信回路104aから取得する。その後、制御部120は、エレベータ利用経路の終点の予測到着日時から始点の到着日時を減算することで、始点から終点まで運搬機500が第2荷物を運搬するのに要する最も短い時間である第2最短運搬時間を算出する。
次に、制御装置100の制御部120は、エレベータ利用経路の終点から、利用者の移動先までの運搬距離を算出し、算出された運搬距離を運搬機500の最高速度で除算する。これにより、制御部120は、エレベータ利用経路の終点からから移動先まで運搬機500が第2荷物を運搬するのに要する最も短い時間である第3最短運搬時間を算出する。
その後、制御装置100の制御部120は、出会地点からエレベータ利用経路の始点までの第1最短運搬時間と、エレベータ利用経路の始点から終点までの第2最短運搬時間と、エレベータ利用経路の終点から移動先までの第3最短運搬時間と、の総和を算出する。これによって、制御部120は、運搬機500が第2荷物を出会地点から移動先まで運搬するのに要する最短の時間である最短運搬時間を算出する。
これに対して、制御装置100の制御部120は、緯度及び経度が同じで、かつ、高度が異なる複数の通過地点が運搬経路に含まれていないと判別すると、エレベータ利用経路が運搬経路に含まれていないと判別する。その後、制御部120は、出会地点から移動先までの運搬距離を算出し、算出された運搬距離を運搬機500の最高速度で除算することで、最短運搬時間を算出する。
次に、制御装置100の制御部120は、図7のステップS18で算出された利用者の移動速度を、運搬機500の最短運搬時間を算出する算出方法と同様の算出方法に用いることで、利用者が出会地点から移動先まで移動するのに要する最短の時間である最短移動時間を算出する(ステップS82)。
その後、制御装置100の制御部120は、運搬機500の最短運搬時間と、利用者の最短移動時間と、の相違を算出し(ステップS83)、算出された相違が予め定められた相違より大きいか否かを判別する(ステップS84)。このとき、制御部120は、算出された相違が予め定められた相違より大きいと判別すると(ステップS84;Yes)、運搬機500による第2荷物の運搬速度を、運搬機500が利用者に先行できる先行速度に決定する(ステップS85)。先行速度は、例えば、利用者の移動速度より速く、かつ、マンション及びマンションの敷地にいる人の安全を確保できる速度であれば、どのような速度であっても良く、運搬機500の最高速度であっても良いし、最高速度よりも遅い速度であっても良い。
これに対して、制御装置100の制御部120は、算出された相違が予め定められた相違以下であると判別すると(ステップS84;No)、運搬機500の運搬速度を、運搬機500が利用者に同行できる同行速度に決定する(ステップS86)。予め定められた相違は、制御装置100の情報記憶部190によって予め記憶されており、好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
ステップS85又はS86が実行された後に、図7のステップS25と同様の処理が実行された後に(ステップS87)、運搬支援処理の実行が終了される。これにより、ステップS85又はS86で決定された運搬速度で第2荷物を利用者の移動先まで運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理が実行される。
図6に示した運搬機500のCPU591は、図12のステップS44と同様の処理を実行することで、エレベータ利用経路の始点に到着したと判別すると、始点及び終点の高度を含み、かつ、始点及び終点にエレベータの乗りかごを停止させることを求めるリクエストを生成する。その後、CPU591は、生成されたリクエストを、エレベータの運行を制御する不図示の運行制御装置を宛先として出力する。運行制御装置は、当該リクエストを受信すると、始点及び終点の階にエレベータの乗りかごを順次停止させる制御を行う。
その後、運搬機500のCPU591は、図5に示した撮像装置530に予め定められた周期で撮像を命じる信号を出力し、撮像装置530から出力された信号で表される画像に基づいて、エレベータの乗りかごが到着したか否かを判別する。CPU591は、乗りかごが到着したと判別すると、運搬機500を乗りかごに乗り込ませるための制御信号を出力した後に、運搬機500を停車させるための制御信号を出力する。その後、CPU591は、撮像装置530から出力された信号で表される画像に基づいて、乗りかごがエレベータ利用経路の終点に到着したと判別すると、運搬機500を乗りかごから降ろさせるための制御信号を出力した後に、終点から移動先まで走行させるための制御信号を出力する。
これらの構成によれば、運搬システム1の制御部120によって行われる第2運搬制御処理は、運搬機500が第2荷物を移動先まで運搬するのに要する最短の時間である最短運搬時間と、利用者が移動先まで移動するのに要する最短の時間である最短移動時間と、の相違に応じた運搬速度で運搬機500に第2荷物を運搬させる制御である。また、制御部120は、運搬機500の最短運搬時間と、利用者の最短移動時間と、の相違が予め定められた相違よりも大きい場合に、運搬機500の運搬速度を先行速度に決定する。このため、例えば、第2荷物の運搬経路にエレベータ利用経路が含まれているために、利用者よりも先行して走行した運搬機500が乗りかごの到着を待っている間に利用者に追いかれる可能性がある場合であっても、運搬システム1は、利用者よりも確実に早く運搬機500を移動先に到着させることができる。
またこれらの構成によれば、運搬システム1が備える制御部120は、運搬機500の最短運搬時間と、利用者の最短移動時間と、の相違が予め定められた相違以下の場合に、運搬機500の運搬速度を同行速度に決定する。このため、移動先への運搬機500の到着日時と利用者の到着日時との相違が予め定められた相違以下となってしまうにもかかわらず、運搬機500が利用者に先行して走行することで生じる無駄なエネルギー消費の増加を抑制できる。
<実施例の変形例5>
本実施例では、運搬システム1は、制御装置100、運搬機500、及び、撮像装置900を備え、制御装置100の判定部140は、撮像装置900で生成された画像に基づいて、利用者が荷物を運んでいるか否かを判定すると説明した。また、制御装置100の制御部120は、荷物を運んでいると判定された利用者に、運搬機500を近づける近接制御処理を行い、利用者が荷物を運んでいると判定され、かつ、利用者によって運ばれる荷物である第2荷物が運搬機500に積載されると、利用者の移動先へ荷物を運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理を行うと説明した。
しかし、これに限定される訳ではなく、図6に示した運搬機500のCPU591は、予め定められた周期で、図5に示した撮像装置530から出力される信号を取得し、取得された信号で表される画像を、制御装置100を宛先としてデータ通信回路594aに出力しても良い。
さらに、制御装置100の取得部110は、予め定められた周期でデータ通信回路594aが運搬機500から受信する画像を取得し、判定部140は、運搬機500で生成された画像に基づいて、利用者が荷物を運んでいるか否かを判定しても良い。また、制御部120は、運搬機500で生成された画像に基づいて荷物を運んでいると判定された利用者に、運搬機500を近づける近接制御処理と、当該利用者の移動先へ利用者が運んでいる荷物を運搬機500に運搬させる第2運搬制御処理と、を行っても良い。
これらの構成によれば、撮像装置900の撮像範囲に利用者が入らなくとも、運搬機500が備える撮像装置530の撮像範囲に荷物を運ぶ利用者が入れば、運搬システム1は、利用者が運んでいる荷物を利用者に代わって運搬機500に運搬させることができるので、利用者の利便性を向上できる。
また、運搬機500のCPU591は、第1荷物の運搬を終えてからコンシェルジュ・デスクに帰還するまでの間、予め定められた周期で画像を、制御装置100を宛先として出力しても良い。これらの構成によれば、第1荷物の運搬を終えてからコンシェルジュ・デスクに帰還するまでの運搬機500が有効利用されていない期間に、荷物を運ぶ利用者が運搬機500によって撮像されれば、運搬システム1は、利用者が運ぶ荷物を運搬機500に運搬させることができるので、運搬機500を有効利用できる。
さらに、運搬機500のCPU591は、第1荷物の運搬を終えてから、別の第1荷物の運搬を開始するまでの間、予め定められた経路、又は、ランダムに決定された経路を通って、マンション内及びマンションの敷地内を巡回するための制御信号を出力しても良い。また、CPU591は、撮像装置530で生成された画像を、予め定められた周期で、制御装置100を宛先として出力しても良い。また、予め定められた経路は、撮像装置900の撮像範囲に含まれないマンションの廊下及び敷地を含んでも良い。これらの構成によれば、運搬システム1は、荷物を運ぶ利用者が撮像される可能性を高くすることができるので、利用者の利便性を向上できる。
またさらに、運搬システム1は、撮像装置900を備えず、制御装置100の判定部140は、運搬機500で生成された画像のみに基づいて、利用者が荷物を運んでいるか否かを判定しても良い。また、制御部120は、運搬機500で生成された画像に基づいて荷物を運んでいると判定された利用者のみに、運搬機500を近づける近接制御処理と第2運搬制御処理とを行っても良い。これらの構成によれば、運搬システム1が備える撮像装置の数を減らすことができるので、運搬システム1の製造コストを低減できる。
<実施例の変形例6>
本実施例では、撮像装置900は、マンションの外壁に設置されており、撮像装置900の光軸及び画角は、撮像範囲にマンションの敷地が含まれるように調整されていると説明した。また、制御装置100の取得部110は、撮像装置900で生成された第1画像を取得した後に第2画像を取得すると説明した。
さらに、特定部150は、第1画像に基づいて特定された利用者の第1位置から、マンションの出入り口であるエントランスまでの第1距離と、第2画像に基づいて特定された第2位置からエントランスまでの第2距離と、を算出すると説明した。また、特定部150は、第2距離が第1距離よりも短いと判別すると、マンションの敷地で利用者がエントランスに近づいたため、マンションの部屋に利用者が帰宅しようとしていることを特定すると説明した。これに対して、特定部150は、第2距離が第1距離よりも長いと判別すると、利用者がマンションの外部へ外出しようとしていることを特定すると説明した。
しかし、これに限定される訳では無く、特定部150は、第1位置からマンションの敷地の出入り口であるゲートまでの第1距離と、第2位置からゲートまでの第2距離と、を算出しても良い。この場合、特定部150は、第2距離が第1距離よりも短いと判別すると、利用者が外出しようとしていることを特定し、第2距離が第1距離よりも長いと判別すると、利用者が帰宅しようとしていることを特定しても良い。
また、撮像装置900は、例えば、マンションの内壁に設置されており、撮像装置900の光軸及び画角は、撮像範囲にマンションの廊下が含まれるように調整されていても良い。この場合、特定部150は、第2位置からマンションの出入り口であるエントランスまでの第2距離が、第1位置からエントランスまでの第1距離よりも短いと判別すると、利用者が部屋から外出しようとしていることを特定し、利用者の移動先をエントランスと特定しても良い。これに対して、第2距離が第1距離よりも長いと判別すると、利用者が帰宅しようとしていることを特定し、利用者の移動先を利用者の部屋と特定しても良い。マンション内又はマンションの敷地内における2点間の距離は、直線距離に限定される訳では無く、移動経路に沿った移動距離であっても良い。
<実施例の変形例7>
本実施例では、認証情報として用いられる生体情報は、利用者の顔の特徴を表す情報であるとして説明したが、これに限定される訳ではない。生体情報は、画像に基づいて特定される利用者の指、若しくは、手の静脈の特徴を表す情報、虹彩の特徴を表す情報、又は、目、鼻、口、耳、若しくは、皺の特徴を表す情報であっても良い。
<実施例の変形例8>
本実施例では、運搬システム1は、図1に示した制御装置100の認証部130と、マンションの敷地を撮像範囲に含む撮像装置900と、を備え、認証部130は、撮像装置900で生成された画像に基づいて利用者を認証すると説明したが、これに限定される訳では無い。
本変形例に係る運搬システム1の制御装置100は、認証部130を備えない。また、本変形例に係る運搬システム1は、例えば、マンションのエントランスの外側に設置されており、エントランスの扉の開閉を制御する不図示の開閉制御装置であって、利用者が携帯する携帯電話のNFC(Near Field Communication)タグから受信した認証情報に基づいて利用者を認証する不図示の認証部を備える開閉制御装置をさらに備えている。さらに、本変形例に係る撮像装置900の光軸及び画角は、開閉制御装置を操作する利用者が撮像範囲に含まれるように調整されている。
開閉制御装置は、図6に示した運搬機500のCPU591、RAM592、ROM593a、フラッシュメモリ593b、データ通信回路594a、及び、駆動回路599の構成及び機能と同様の構成及び機能を有する不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ、データ通信回路、及び、駆動回路と、不図示のNFCリーダと、を備えている。
開閉制御装置のフラッシュメモリは、利用者の利用者IDと、利用者の認証情報と、が対応付けられて予め保存されている不図示の認証テーブルを記憶している。
開閉制御装置のNFCリーダは、利用者の携帯電話のNFCタグと近距離無線通信を行うことで、例えば、NFCタグを識別するタグID、又は、利用者によって設定されたPIN(Personal Identification Number)若しくはパスワードを利用者の認証情報として受信する。
開閉制御装置の駆動回路は、エントランスの扉を開閉する不図示のモータに接続されており、開閉制御装置のCPUから出力される制御信号に従ってモータを駆動させる。
NFCリーダが利用者の認証情報を受信すると、不図示の認証部として機能する開閉制御装置のCPUは、受信された認証情報をNFCリーダから取得し、取得された認証情報に対応付けられた利用者IDを、不図示の認証テーブルから取得する。
このとき、利用者IDが認証テーブルから取得されると、開閉制御装置の認証部は、利用者の認証が成功したと判別する。その後、開閉制御装置の認証部は、認証が成功した利用者の利用者IDを、制御装置100を宛先として、不図示のデータ通信回路に出力する。
本変形例に係る制御装置100のCPU101は、制御装置100のデータ通信回路104aが利用者IDを受信すると、図7に示した運搬支援処理、及び、図11の移動先特定処理を実行する。本変形例に係る運搬支援処理では、開閉制御装置が利用者の認証を既に成功させているため、図7のステップS11が実行された後、利用者の認証を行うステップS12が実行されずに、ステップS13からS25の処理が実行される点で本実施例と異なる。また、本変形例に係る移動先特定処理では、エントランスの外側に設置された開閉制御装置が利用者によって操作されたため、利用者が帰宅しようとしていると常に判別される(図11のステップS34;Yes)点で本実施例と異なる。
また、開閉制御装置の認証部は、認証が成功したと判別すると、エントランスの扉を開放させるための制御信号を不図示の駆動回路に出力し、駆動回路は、制御信号に従って不図示のモータを駆動させることで、エントランスの扉を開放させる。開閉制御装置のCPUは、扉を開放させるための制御信号を出力してから、利用者がエントランスを通過するために要する時間として予め定められた時間が経過すると、エントランスの扉を閉鎖させるための制御信号を出力し、駆動回路は、制御信号に従ってモータを駆動させることで、扉を閉鎖させる。
これに対して、開閉制御装置の認証部は、取得された認証情報が認証テーブルに保存されていないと判別すると、利用者の認証が失敗したと判別し、制御装置100への利用者IDの送信、及び、駆動回路への制御信号の出力を行わない。このため、制御装置100は、図7の運搬支援処理、及び、図11の移動先特定処理を実行せず、駆動回路は、エントランスの扉を閉鎖したまま開放しない。
これらの構成によれば、開閉制御装置は、利用者の携帯電話のNFCタグから受信された認証情報に基づいて利用者を認証するので、例えば、画像に基づいて利用者を認証する場合と比べて、精度良く認証できる。また、開閉制御装置で認証を成功させた利用者の利用者IDを受信する制御装置100は、受信された利用者IDで識別される利用者が帰宅しようとしていることを、例えば、画像に基づいて判別する場合と比べて、精度良く判別できる。
<実施例の変形例9>
本実施例の変形例8では、エントランスの扉の開閉を制御する不図示の開閉制御装置は、利用者の携帯電話のNFCタグからタグID、PIN、又は、パスワードを利用者の認証情報として受信するNFCリーダを備え、開閉制御装置の認証部として機能するCPUは、NFCリーダで受信された認証情報を用いて利用者を認証すると説明した。
しかし、これに限定される訳では無く、開閉制御装置は、不図示の非接触型のIC(Integrated Circuit)カード・リーダーを備え、ICカード・リーダーは、例えば、フェリカ(登録商標)等のNFCと異なる通信規格に従って利用者が携帯するICカードと無線通信することで、ICカードを識別するカードID、又は、PIN若しくはパスワードを利用者の認証情報として受信しても良い。また、開閉制御装置のCPUは、ICカード・リーダーで受信された認証情報を用いて利用者を認証しても良い。
また、開閉制御装置は、図6に示した運搬機500のタッチパネル595と同様の構成及び機能を有する不図示のタッチパネルを備えても良い。この場合、開閉制御装置のCPUは、利用者の操作に応じてタッチパネルから出力された信号に基づいて、利用者のPIN又はパスワードを認証情報として取得し、取得された認証情報を用いて利用者を認証しても良い。
また、これに限定される訳では無く、開閉制御装置は、不図示の指紋センサを備え、開閉制御装置のCPUは、指紋センサで検出された利用者の指紋の特徴を特定し、特定された特徴を表す情報を認証情報として利用者を認証しても良い。
さらに、これに限定される訳では無く、開閉制御装置は、不図示のマイクロフォンを備え、開閉制御装置のCPUは、マイクロフォンから出力された信号で表される利用者の音声の特徴を特定し、特定された特徴を表す情報を認証情報として利用者を認証しても良い。
また、開閉制御装置は、不図示の撮像装置を備え、開閉制御装置のCPUは、撮像装置から出力された信号で表される画像に基づいて利用者の顔の特徴、指、若しくは、手の静脈の特徴、虹彩の特徴、又は、目、鼻、口、耳、若しくは、皺の特徴を特定し、特定された特徴表す生体情報を認証情報として利用者を認証しても良い。
<実施例の変形例10>
本実施例の変形例8では、不図示の開閉制御装置は、マンションの出入り口であるエントランスの外側に設置されており、エントランスの扉の開閉を制御すると説明したが、これに限定される訳では無い。開閉制御装置は、マンションの敷地の出入り口であるゲートの外側に設置されており、ゲートの扉の開閉を制御しても良い。
<実施例の変形例11>
本実施例において、荷物が収納されていない運搬機500の収納ボックス550は施錠されておらず、利用者は、施錠されていない運搬機500の収納ボックス550に第2荷物を積載させると説明したが、これに限定される訳では無い。
本変形例に係る収納ボックス550は、荷物が収納されていないと施錠されている。運搬機500は、利用者の携帯電話のNFCタグといったICチップから利用者の認証情報を受信する不図示のリーダを備え、運搬機500のCPU591は、リーダで受信された認証情報が、フラッシュメモリ593bに予め保存されている1又は複数の認証情報の内の1つと一致するか否かに基づいて利用者を認証する。また、CPU591は、認証が成功すると、収納ボックス550の扉551を解錠させるための制御信号を出力し、認証が失敗すると、解錠させるための制御信号を出力しない。
運搬機500のCPU591は、解錠させるための制御信号を出力した後に、扉551を解錠させた収納ボックス550の検出回路から、物体を検出したことを表す検出信号が入力されると、扉551を施錠させるための制御信号を出力する。
その後、運搬機500のCPU591は、移動先に到着したと判別した後に、不図示のリーダが認証情報を受信すると、利用者の認証を再度行う。このとき、CPU591は、認証が成功すると、解錠させるための制御信号を出力し、認証が失敗すると、解錠させるための制御信号を出力しない。その後、解錠させた収納ボックス550の検出回路からの検出信号の入力が停止すると、利用者が荷物を受け取ったと判別して、扉551を施錠させるための制御信号を出力する。
これらの構成によれば、運搬機500は、利用者の認証が成功すると収納ボックス550の扉551を解錠させるので、運搬システム1を利用する権限が無い人が運搬機500に荷物を積み込むことを防止できる。また、これらの構成によれば、運搬機500は、利用者の移動先に到着した後に、利用者の認証が成功すると、収納ボックス550の扉551を解錠させるので、収納ボックス550に積載された利用者の荷物が盗難されることを防止できる。
<実施例の変形例12>
本実施例の変形例11では、運搬機500は、認証情報を受信するリーダを備え、運搬機500のCPU591は、リーダで受信された認証情報を用いて利用者を認証すると説明したが、これに限定される訳では無い。
運搬機500は、認証情報を受信するリーダを備えず、運搬機500のCPU591は、利用者の操作に応じてタッチパネル595から出力された信号に基づいて、利用者のPIN又はパスワードといった認証情報を取得し、取得された認証情報を用いて利用者を認証しても良い。
また、運搬機500は、不図示の指紋センサ又はマイクロフォンのいずれか1つ以上を備え、運搬機500のCPU591は、利用者の指紋又は音声のいずれか1つ以上の特徴を表す生体情報を認証情報として用いて利用者を認証しても良い。利用者の生体情報は、図5に示した撮像装置530で生成された画像に基づいて特定された利用者の指、若しくは、手の静脈の特徴、虹彩の特徴、又は、目、鼻、口、耳、若しくは、皺の特徴を表す情報であっても良い。
<実施例の変形例13>
本実施例において、運搬システム1は、1棟のマンション及び当該マンションの敷地内に設置されており、運搬システム1の利用者は、当該1棟のマンションの居住者であると説明したが、これに限定される訳では無い。例えば、運搬システム1は、複数棟のマンション及び当該数棟のマンションが建つ敷地内に設置されており、運搬システム1の利用者は、当該複数棟のマンションのいずれかに居住する居住者であっても良い。
また、本実施例において、運搬システム1の利用者は、運搬システム1が設置されたマンションの居住者であると説明したが、これに限定される訳では無い。運搬システム1の利用者は、マンションの居住者と同居していない居住者の家族、親族、婚族、血族、及び、友人を含んでも良い。この場合、制御装置100の特定部150は、居住者と非同居の家族等の移動先を居住者の部屋と特定し、制御部120は、非居住者の家族等が運ぶ第2荷物を居住者の部屋まで運搬機500に運搬させても良い。また、運搬システム1の利用者は、マンションを職場とする管理人を含んでも良く、特定部150は、管理人の移動先を管理人室と特定しても良い。
さらに、本実施例において、運搬システム1は、宅配業者の従業員によってコンシェルジュ・デスクに運び込まれた第1荷物を、第1荷物の宛先まで運搬すると説明したが、これに限定される訳では無い。運搬システム1は、管理人室、倉庫、又は、エントランス・ロビーに運び込まれた第1荷物を、第1荷物の宛先まで運搬しても良い。
また、本実施例において、運搬システム1は、マンション及び当該マンションの敷地内に設置されており、運搬システム1の利用者は、マンションの居住者であると説明したが、これに限定される訳では無い。例えば、運搬システム1は、ホテル及び当該ホテルの敷地内に設置されており、運搬システム1の利用者はホテルの宿泊客であり、制御装置100は、宿泊客が運ぶ第2荷物を宿泊客の部屋まで運搬機500に運搬させても良い。また、運搬システム1は、ホテルのフロント、コンシェルジュ・デスク、倉庫、エントランス・ロビー、又は、搬入口に運び込まれた第1荷物を、第1荷物の宛先まで運搬機500に運搬させても良い。また、運搬システム1は、ホテルのレストランから客室まで、料理又は飲料を第1荷物として運搬機500に運搬させても良い。
さらに、運搬システム1は、オフィスビル及びオフィスビルの敷地内に設置されており、運搬システム1の利用者はオフィスビルの利用者であり、利用者が利用するデスクまで利用者の第2荷物を運搬機500に運搬させても良い。また、運搬システム1は、オフィスビルの搬入口、又は、レセプション・デスクに運び込まれた第1荷物を、第1荷物の宛先まで運搬しても良い。
<実施例の変形例14>
本実施例では、制御装置100は、図10の移動先テーブルを予め記憶している情報記憶部190を備え、特定部150は、移動先テーブルにおいて、利用者IDに対応付けられた部屋番号を特定すると説明した。しかし、これに限定される訳では無く、制御装置100は、情報記憶部190を備えず、不図示のネットワーク・ストレージが予め記憶している移動先テーブルを参照し、参照された移動先テーブルにおいて、利用者IDに対応付けられた部屋番号を特定しても良い。不図示のネットワーク・ストレージは、運搬システム1を構成していても良いし、運搬システム1とは異なるシステムを構成していても良い。
<実施例の変形例15>
本実施例では、収納ボックス550の右側の側板に発光部と発光回路とが設置されており、左側の側板に受光部と検出回路とが設置されていると説明したが、これに限定される訳では無い。収納ボックス550の左側の側板に発光部と発光回路とが設置されており、右側の側板に受光部と検出回路とが設置されていても良い。また、収納ボックス550の天板に発光部と発光回路とが設置されており、底板に受光部と検出回路とが設置されていても良い。さらに、収納ボックス550の底板に発光部と発光回路とが設置されており、天板に受光部と検出回路とが設置されていても良い。
また、本実施例では、荷台560の右側の側板に発光部と発光回路とが設置されており、左側の側板に受光部と検出回路とが設置されていると説明したが、これに限定される訳では無い。荷台560の左側の側板に発光部と発光回路とが設置されており、右側の側板に受光部と検出回路とが設置されていても良い。また、荷台560の前側の側板に発光部と発光回路とが設置されており、後側の側板に受光部と検出回路とが設置されていても良い。さらに、荷台560の後側の側板に発光部と発光回路とが設置されており、前側の側板に受光部と検出回路とが設置されていても良い。
<実施例の変形例16>
本実施例では、運搬機500は、図5に示すような車輪511及び512を含む複数の車輪を備えると説明したが、これに限定される訳では無く、運搬機500は、複数の関節を有する二本の脚を備え、二足歩行しても良い。また、運搬機500は、例えば、当該複数の車輪を囲むキャタピラー(登録商標)等の無限軌道をさらに備えても良い。これらの構成によれば、運搬機500は、マンションの床にある段差及び階段を登ったり降りたりできる。
<実施例の変形例17>
本実施例では、運搬機500は、無人走行車両であると説明したが、これに限定される訳では無く、無人航空機、無人飛翔体、無人船、及び、無人潜水艦であっても良い。
また、運搬機500は、必ずしも無人である必要はなく、制御装置100による制御を除き、自律して走行する物体であれば、人が乗っていても良い。
<実施例の変形例18>
本実施例では、制御装置100のCPU101は、第1荷物を宛先まで運搬機500に配達させる、図3の配達制御処理と、利用者が運んでいる第2荷物を利用者の移動先まで運搬機500に運搬させる、図7の運搬支援制御処理と、を実行すると説明した。しかし、これに限定される訳では無く、制御装置100のCPU101は、図3の配達制御処理を実行せずに、図7の運搬支援制御処理を実行しても良い。
<実施例の変形例19>
本実施例に係る運搬システム1は、図1に示すような制御装置100と運搬機500とを備えると説明したが、これに限定される訳では無い。運搬システム1は、制御装置100を備えず、図6に示した運搬機500が備える制御装置590が、本実施例に係る制御装置100の機能を発揮しても良い。
つまり、運搬機500の制御装置590が備えるCPU591が、図3に示した配達制御処理、図7に示した運搬支援処理、及び、図11に示した移動先特定処理を実行しても良い。これにより、運搬機500のCPU591が、図1に示した制御装置100の取得部110、制御部120、認証部130、判定部140、及び、特定部150とそれぞれ同様の機能を有する不図示の取得部、制御部、認証部、判定部、及び、特定部として機能しても良い。また、運搬機500の制御装置590が備えるフラッシュメモリ593bが、図1に示した制御装置100の情報記憶部190と同様の機能を有する不図示の情報記憶部として機能しても良い。
本実施例及び本実施例の変形例1から19は、互いにそれぞれ組み合わせることができる。本実施例及び本実施例の変形例1から18のいずれかに係る機能を実現するための構成を備えた制御装置100、及び、本実施例の変形例19に係る機能を実現するための構成を備えた運搬機500の制御装置590として提供できることはもとより、複数の装置で構成されるシステムであって、本実施例及び本実施例の変形例1から19のいずれかに係る機能を実現するための構成をシステム全体として備えたシステムとして提供することもできる。
また、プログラムの適用により、既存の制御装置を本実施例及び本実施例の変形例1から18のいずれかに係る制御装置100としてそれぞれ機能させることもできる。すなわち、本実施例及び本実施例の変形例1から18のいずれかで例示した制御装置100による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の制御装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行できるように適用することで、本実施例及び本実施例の変形例1から18のいずれかに係る制御装置100としてそれぞれ機能させることができる。
また、プログラムの適用により、既存の制御装置を本実施例の変形例19に係る制御装置590として機能させることもできる。すなわち、本実施例の変形例19で例示した制御装置590による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の制御装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行できるように適用することで、本実施例の変形例19に係る制御装置590として機能させることができる。
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、又はDVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)などの記録媒体に搭載して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。また、本発明に係る方法は、本実施例及び本実施例の変形例1から19のいずれかに係る運搬システム1、本実施例及び本実施例の変形例1から18のいずれかに係る制御装置100、及び、本実施例の変形例19に係る制御装置590を用いて実施できる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
(付記)
(付記1)
利用者を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で生成された画像に基づいて、前記利用者が荷物を運んでいるか否かを判定する判定手段と、
前記荷物を運んでいる前記利用者の移動先を特定する特定手段と、
前記利用者が前記荷物を運んでいると判定され、かつ、前記荷物が運搬機に積載されると、特定された前記移動先へ、前記荷物を前記運搬機に運搬させる運搬制御を行う制御手段と、を備える、
ことを特徴とする運搬システム。
(付記2)
前記運搬システムは、前記利用者を識別する識別情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記特定手段は、記憶部において、取得された前記利用者の前記識別情報に対応付けられた前記移動先を識別する識別情報を特定することで、前記利用者の前記移動先を特定する、
ことを特徴とする付記1に記載の運搬システム。
(付記3)
前記特定手段は、生成された前記画像に基づいて、前記利用者の前記移動先を特定する、
ことを特徴とする付記1に記載の運搬システム。
(付記4)
前記制御手段は、前記荷物を運んでいると判定された前記利用者に、前記運搬機を近づける近接制御を行う、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか一つに記載の運搬システム。
(付記5)
前記特定手段は、
生成された前記画像に基づいて、前記利用者が前記荷物を運んでいる位置を特定し、かつ、
特定された前記位置から前記移動先までの前記利用者の移動経路を推定し、
前記制御手段が行う前記近接制御は、推定された前記移動経路又は前記移動経路の近傍で、前記運搬機が前記利用者と出会うようにさせる制御である、
ことを特徴とする付記4に記載の運搬システム。
(付記6)
前記特定手段は、前記運搬機における前記荷物の積載態様を特定し、
前記制御手段が行う前記運搬制御は、特定された前記積載態様に応じた速度で前記運搬機に前記荷物を運搬させる制御である、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか一つに記載の運搬システム。
(付記7)
前記制御手段が行う前記運搬制御は、前記運搬機が前記荷物を前記移動先まで運搬するのに要する最短の時間である最短運搬時間と、前記利用者が前記移動先まで移動するのに要する最短の時間である最短移動時間と、の相違に応じた速度で前記運搬機に前記荷物を運搬させる制御である、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか一つに記載の運搬システム。
(付記8)
前記制御手段は、
前記荷物と異なる第1荷物を、予め定められた場所から前記第1荷物の宛先まで、前記運搬機に運搬させる第1運搬制御を実行し、
前記運搬機が前記第1荷物を運搬していると、前記荷物である第2荷物を、前記利用者の前記移動先へ、前記運搬機に運搬させる前記運搬制御である第2運搬制御の実行を抑制し、
前記運搬機が前記第1荷物を運搬していないと、前記第2運搬制御を実行する、
ことを特徴とする付記1から7のいずれか一つに記載の運搬システム。
(付記9)
利用者を撮像する撮像装置で生成された画像を取得する取得手段と、
取得された前記画像に基づいて、前記利用者が荷物を運んでいるか否かを判定する判定手段と、
前記荷物を運んでいる前記利用者の移動先を特定する特定手段と、
前記利用者が前記荷物を運んでいると判定され、かつ、前記荷物が運搬機に積載されると、特定された前記移動先へ、前記荷物を前記運搬機に運搬させる運搬制御を行う制御手段と、を備える、
ことを特徴とする制御装置。
(付記10)
運搬システムが、利用者の撮像を行う撮像ステップと、
前記運搬システムが、前記撮像により生成された画像に基づいて、前記利用者が荷物を運んでいるか否かを判定する判定ステップと、
前記運搬システムが、前記荷物を運んでいる前記利用者の移動先を特定する特定ステップと、
前記利用者が前記荷物を運んでいると判定され、かつ、前記荷物が運搬機に積載されると、前記運搬システムが、特定された前記移動先へ、前記荷物を前記運搬機に運搬させる運搬制御を行う制御ステップと、を有する、
ことを特徴とする方法。
(付記11)
制御装置が、利用者を撮像する撮像装置で生成された画像を取得する取得ステップと、
前記制御装置が、取得された前記画像に基づいて、前記利用者が荷物を運んでいるか否かを判定する判定ステップと、
前記制御装置が、前記荷物を運んでいる前記利用者の移動先を特定する特定ステップと、
前記利用者が前記荷物を運んでいると判定され、かつ、前記荷物が運搬機に積載されると、前記制御装置が、特定された前記移動先へ、前記荷物を前記運搬機に運搬させる運搬制御を行う制御ステップと、を有する、
ことを特徴とする方法。