JP2021099380A - 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】一態様において、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスク除去性に優れる樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物を提供する。【解決手段】本開示は、一態様において、アルカリ剤(成分A)、非イオン性界面活性剤(成分B)、キレート剤(成分C)及び水(成分D)を含有し、第一級アルコールアルコキシレートであり、成分Cが、カルボキシ基及びホスホン酸基から選ばれる少なくとも1種の酸基を2以上有する化合物であり、使用時における成分Dの含有量が、65質量%以上98質量%以下である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物に関する。【選択図】なし

Description

本開示は、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物、これを用いる電子部品の製造方法及び洗浄方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータや各種電子デバイスにおいては、低消費電力化、処理速度の高速化、小型化が進み、これらに搭載されるパッケージ基板などの配線は年々微細化が進んでいる。このような微細配線並びにピラーやバンプといった接続端子形成にはこれまでメタルマスク法が主に用いられてきたが、汎用性が低いことや配線等の微細化への対応が困難になってきたことから、他の新たな方法へと変わりつつある。
新たな方法の一つとして、ドライフィルムレジストをメタルマスクに代えて厚膜樹脂マスクとして使用する方法が知られている。この樹脂マスクは最終的に剥離・除去されるが、剥離・除去等の洗浄に使用する洗浄剤として、アルカリ剤と水とを含む樹脂マスク剥離用洗浄剤が知られている。
例えば、特許文献1には、液晶ディスプレイ用のカラーフィルター基板上のカラーレジスト、ブラックマトリクス樹脂、ポリイミド系配向膜およびホトスペーサーなどの硬化後フォトレジストを短時間に剥離・洗浄できるアルカリ洗浄剤として、特定の4級アンモニウム塩と特定の多価カルボン酸塩からなる群から得ばれる1種以上、親水性有機溶剤及びアルカリ成分を含有する洗浄剤組成物が記載されている。そして、実施例には、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム 2.5部、ジエチレングリコールジエチルエーテル 5部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル 40部、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド 10部及び水が残部で合計100部である洗浄剤が記載されている。
特許文献2には、環境に対する負荷が低く、低温で短時間の洗浄条件下においても、アッシング後に発生するレジスト残渣および金属配線由来の金属酸化生成物の剥離性に優れ、かつ、金属配線に対する防食性に優れる剥離剤組成物として、有機アミンの含有量が0.2〜30重量%、有機ホスホン酸の含有量が0.05〜10重量%、水の含有量が60〜99.7重量%であり、20℃における該組成物のpHが9〜13である剥離剤組成物が記載されている。そして、実施例には、1,2−プロパンジアミン 7.3重量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0重量%及び水 90.7重量%である剥離剤組成物が記載されている。
特許文献3には、半導体製造プロセスにおける残渣を除去する洗浄方法として、第4級アンモニウムヒドロキシドを有する水系配合物を用いることが記載されている。そして、実施例には、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドをpH調整に使用した、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)2.5%、SAS(第二級アルカンスルホナート)1%、Tergitol 15−S−7(第二級アルコールエトキシレート)0.5%、AA−AMPSポリマー(アクリル酸−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸コポリマー)1.4%及び水が残部である水系配合物を、銅のウエハを研磨した後の洗浄に用いたことが記載されている。
特開2007−254555号公報 特開2006−173566号公報 特開2011−40722号公報
プリント基板等に微細配線を形成する上で、樹脂マスクの残存はもちろんのこと、微細配線やバンプ形成に用いられるはんだやめっき液等に含まれる助剤等の残存を低減するため、洗浄剤組成物には高い洗浄性が要求される。特に、細線部の深くに残存する樹脂マスクを除去するには、CODの増加要因となる有機溶剤を用い、有機溶剤量を多く配合する必要になる傾向がある。
ここで、樹脂マスクとは、光や電子線等によって現像液に対する溶解性等の物性が変化するレジストを用いて形成されるものである。レジストは、光や電子線との反応方法から、ネガ型とポジ型に大きく分けられている。ネガ型レジストは、露光されると現像液に対する溶解性が低下する特性を有し、ネガ型レジストを含む層(以下、「ネガ型レジスト層」ともいう)は、露光及び現像処理後に露光部が樹脂マスクとして使用される。ポジ型レジストは、露光されると現像液に対する溶解性が増大する特性を有し、ポジ型レジストを含む層(以下、「ポジ型レジスト層」ともいう)は、露光及び現像処理後に露光部が除去され、未露光部が樹脂マスクとして使用される。このような特性を有する樹脂マスクを使用することで、金属配線、金属ピラーやハンダバンプといった回路基板の微細な接続部を形成することができる。
上述のとおり、配線が微細化するにつれ、微細な隙間の深くにある樹脂マスクを除去することが困難になってきており、洗浄剤組成物には、特に細線部における高い樹脂マスク除去性が課題となっている。
また、洗浄剤組成物には、排水処理負荷の低減、特にCOD(化学的酸素要求量)の低減も要求される。CODを低減するために洗浄剤組成物に配合される有機溶媒や界面活性剤等の配合量を減らすと、微細でない隙間の樹脂マスクの除去さえも困難となる傾向があり、まして、微細な隙間の深くにある樹脂マスクの除去は更に困難になる。
そこで、本開示は、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスク除去性に優れる樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物を提供する。
本開示は、一態様において、アルカリ剤(成分A)、非イオン性界面活性剤(成分B)、キレート剤(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Bが、第一級アルコールアルコキシレートであり、成分Cが、カルボキシ基及びホスホン酸基から選ばれる少なくとも1種の酸基を2以上有する化合物であり、使用時における成分Dの含有量が、65質量%以上98質量%以下である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物に関する。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物を用いて、細線部に樹脂マスクが付着した被洗浄物から樹脂マスクを剥離する工程を含む、電子部品の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物を用いて、細線部に樹脂マスクが付着した被洗浄物から樹脂マスクを剥離する工程を含む、洗浄方法に関する。
本開示によれば、一態様において、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスク除去性に優れる洗浄剤組成物を提供できる。
本開示は、一態様において、アルカリ剤(成分A)、非イオン性界面活性剤(成分B)、キレート剤(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Bが、第一級アルコールアルコキシレートであり、成分Cが、カルボキシ基及びホスホン酸基から選ばれる少なくとも1種の酸基を2以上有する化合物であり、使用時における成分Dの含有量が、65質量%以上98質量%以下である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物(以下、「本開示の洗浄剤組成物」ともいう)に関する。
本開示によれば、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスク除去性に優れる洗浄剤組成物を提供できる。そして、本開示の洗浄剤組成物を用いることによって、高い収率で高品質の電子部品が得られうる。さらに、本開示の洗浄剤組成物を用いることによって、微細な配線パターンを有する電子部品を効率よく製造できる。
本開示の洗浄剤組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。
銅めっきなどで形成された回路パターンの微細な隙間に樹脂マスクの微小残渣が発生することがある。
本開示では、アルカリ剤(成分A)及び水(成分D)が樹脂マスクに浸透することにより、樹脂マスクに配合されているアルカリ可溶性樹脂の解離と電荷反発を起こすことによって樹脂マスクを剥離すると考えられる。一方、アルカリ剤(成分A)の存在下で第一級アルコールアルコキシレート(成分B)及びカルボキシ基及びホスホン酸基から選ばれる少なくとも1種の酸基を2以上有する化合物(成分C)が、樹脂マスクや銅めっきなどで形成された回路パターン表面へと吸着することで、樹脂マスクの回路パターン表面への吸着力が緩和され、回路パターンの微細な隙間に残留する樹脂マスクが脱離しやすくなることが考えられる。ここで、第一級アルコールアルコキシレート(成分B)は微細な隙間に素早く浸透し樹脂マスクと回路パターン表面との界面に吸着することができ、酸基を2以上の有する化合物(成分C)は2以上の酸基で吸着して樹脂マスクと同等以上の吸着力で回路パターンに吸着できると考えられる。
但し、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において剥離・除去される樹脂マスクとは、エッチング、めっき、加熱等の処理から物質表面を保護するためのマスク、すなわち、保護膜として機能するマスクである。樹脂マスクとしては、一又は複数の実施形態において、露光及び現像工程後のレジスト層、露光及び現像の少なくとも一方の処理が施された(以下、「露光及び/又は現像処理された」ともいう)レジスト層、あるいは、硬化したレジスト層が挙げられる。樹脂マスクを形成する樹脂材料としては、一又は複数の実施形態において、フィルム状の感光性樹脂、レジストフィルム、又はフォトレジストが挙げられる。レジストフィルムは汎用のものを使用できる。
[成分A:アルカリ剤]
本開示の洗浄剤組成物に含まれるアルカリ剤(以下、単に「成分A」ともいう)としては、一又は複数の実施形態において、無機アルカリ及び有機アルカリから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、排水処理負荷低減、及びCOD低減の観点から、無機アルカリが好ましい。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
無機アルカリとしては、一又は複数の実施形態において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩又は珪酸塩等が挙げられ、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム及び珪酸カリウムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、樹脂マスク除去性の向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上の組合せが好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくとも一方がより好ましく、水酸化カリウムが更に好ましい。本開示において、無機アルカリには、アンモニアは含まれない。
有機アルカリとしては、一又は複数の実施形態において、下記式(I)で表される第4級アンモニウム水酸化物、下記式(II)で表されるアミン等が挙げられる。成分Aとしては、一又は複数の実施形態において、樹脂マスク除去性の向上の観点から、式(I)で表される第4級アンモニウム水酸化物と式(II)で表されるアミンとの組合せを用いることが好ましい。
Figure 2021099380
上記式(I)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種である。
Figure 2021099380
上記式(II)において、R5は、水素原子、メチル基、エチル基又はアミノエチル基を示し、R6は、水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基又はエチル基から選ばれる少なくとも1種であって、R7は、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基又はヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種か、あるいは、式(II)において、R5は、メチル基、エチル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基又はヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種であって、R6とR7は互いに結合して式(II)中のN原子と共にピロリジン環又はピペラジン環を形成する。
式(I)で表される第4級アンモニウム水酸化物としては、例えば、第4級アンモニウムカチオンとヒドロキシドとからなる塩等が挙げられる。第4級アンモニウム水酸化物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、2−ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ジエチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ジプロピルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキシエチル)エチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2−ヒドロキシエチル)プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、及びテトラキス(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、樹脂マスク除去性の向上の観点から、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシドの少なくとも一方が好ましく、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドがより好ましい。
式(II)で表されるアミンとしては、例えば、アルカノールアミン、1〜3級アミン及び複素環化合物等が挙げられる。アミンの具体例としては、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−ジメチルモノエタノールアミン、N−ジメチルモノイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−ジエチルモノエタノールアミン、N−ジエチルモノイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−(β−アミノエチル)ジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)ジイソプロパノールアミン、1−メチルピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、エチレンジアミン及びジエチレントリアミンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、樹脂マスク除去性の向上の観点から、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンの少なくとも一方が好ましく、モノエタノールアミンがより好ましい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Aの含有量は、樹脂マスク除去性の向上の観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、7.5質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Aの含有量は、0.5質量%以上7.5質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましく、2質量%以上4質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の組合せである場合、成分Aの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示において「洗浄剤組成物の使用時における各成分の含有量」とは、洗浄時、すなわち、洗浄剤組成物の洗浄への使用を開始する時点での各成分の含有量をいう。
[成分B:非イオン性界面活性剤]
本開示の洗浄剤組成物に含まれる非イオン性界面活性剤(以下、「成分B」ともいう)としては、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、第一級アルコールアルコキシレートであり、第一級アルコールエトキシレート及び/又は第一級アルコールエトキシレートプロポキシレートが好ましく、第一級アルコールエトキシレートがより好ましい。成分Bとして、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル等が挙げられる。成分Bは、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、一又は複数の実施形態において、式(III)で表される界面活性剤であることが好ましい。成分Bは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
R−CH2−O−(EO)n(PO)m−H (III)
式(III)において、R−CH2−基は、第一級アルコール由来の炭化水素基、すなわち第一級アルコール残基である。式(III)において、R−CH2−基は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、炭素数8以上14以下の炭化水素基であることが好ましく、炭素数8以上14以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基及び炭素数8以上14以下の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、炭素数8以上14以下の直鎖アルキル基及び炭素数8以上14以下の直鎖アルケニル基から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。R−CH2−基の炭素数は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは13以下、更に好ましくは12以下である。すなわち、R−CH2−基の炭素数は、好ましくは8以上14以下、より好ましくは9以上13以下、更に好ましくは10以上12以下である。R−CH2−基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、2−プロピルヘプチル基、ドデシル基、トリデシル基、及びテトラデシル基から選ばれる少なくも1種が挙げられる。
式(III)中、EOはエチレンオキシ基を示し、nはEOの平均付加モル数であり、POはプロピレンオキシ基を示し、mはPOの平均付加モル数である。
式(III)中、(EO)n(PO)mは、エチレンオキシ基単独で構成されていてもよいし、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とから構成されていてもよい。(EO)n(PO)mがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とから構成される場合、POとEOの付加形態は、ランダム配列、ブロック配列のいずれでもよく、EOとPOの付加順序は問わない。
式(III)中、nは、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは12以下、より好ましくは11以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは9以下である。すなわち、nは、好ましくは5以上12以下の数、より好ましくは5以上11以下、更に好ましくは6以上10以下、更に好ましくは7以上9以下である。
式(III)中、mは、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、好ましくは0以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。すなわち、mは、好ましくは0以上4以下の数、より好ましくは0以上3以下、更に好ましくは0以上2以下である。
式(III)中、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、R−CH2−基は炭素数8以上14以下の炭化水素基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、nはEOの平均付加モル数であって5以上12以下の数であり、POはプロピレンオキシ基を示し、mはPOの平均付加モル数であって0以上4以下の数であることが好ましい。
成分Bの具体例としては、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリエオキシエチレン(8)2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン(6)2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン(7)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(8.5)イソデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン(9)デシルエーテル、ペンタオキシエチレンモノオクチルエーテル、ポリオキシエチレン(12)アルキル(2級ドデシル及び2級テトラデシル混合)エーテル等が挙げられる。( )内の数値は平均付加モル数を表わす。
成分Bは、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、デイビス法によるHLBは4.9以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、6以上が更に好ましく、そして、7.9以下が好ましく、6.9以下がより好ましく、6.7以下が更に好ましい。より具体的には、HLBは、4.9以上7.9以下が好ましく、5.5以上6.9以下がより好ましく、6以上6.7以下が更に好ましい。本開示において、デイビス法によるHLBとは、Davis, J. T.; Proc. Intern. Congr. Surface Activity, 2 nd, London, 1, 426 (1957)に記載の官能基によって決まる基数を用い、HLB値を「7+親水基の基数の総和−親油基の基数の総和」で定義する値である。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Bの含有量は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。より具体的には、使用時における成分Bの含有量は、0.1質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下が更に好ましい。成分Bが2種以上の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の洗浄剤組成物において、成分Bに対する成分Aの質量比(A/B)は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、1以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。より具体的には、質量比(A/B)は、1以上30以下が好ましく、5以上20以下がより好ましく、10以上15以下が更に好ましい。
[成分C:キレート剤]
本開示の洗浄剤組成物に含まれるキレート剤(以下、「成分C」ともいう)は、カルボキシ基及びホスホン酸基から選ばれる少なくとも1種の酸基を2以上有する化合物である。成分Cは、樹脂マスク除去性の向上の観点から、前記酸基を好ましくは4以下有する化合物であることが好ましい。成分Cとしては、一又は複数の実施形態において、アミノトリメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、エチドロン酸、グルコン酸等が挙げられる。これらの中でも、成分Cとしては、一又は複数の実施形態において、環境負荷低減、COD低減の観点から、窒素原子を含まない化合物である2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、エチドロン酸、及びグルコン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。成分Cとしては、その他の一又は複数の実施形態において、樹脂マスク除去性の向上の観点から、アミノトリメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、及びエチドロン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチドロン酸がより好ましい。成分Cは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Cの分子量は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、1000以下が好ましく、500以下がより好ましい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Cの含有量は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。より具体的には、使用時における成分Cの含有量は、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下が更に好ましい。成分Cが2種以上の組合せである場合、成分Cの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の洗浄剤組成物において、成分Bに対する成分Cの質量比(C/B)は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、そして、同様の観点から、5以下が好ましい。より具体的には、質量比(C/B)は、1以上5以下が好ましく、2以上5以下がより好ましい。
本開示の洗浄剤組成物において、成分Cに対する成分Aの質量比(A/C)は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。より具体的には、質量比(A/C)は、1以上10以下が好ましく、1.5以上8以下がより好ましく、2以上6以下が更に好ましい。
[成分D:水]
本開示の洗浄剤組成物に含まれる水(以下、「成分D」ともいう)としては、一又は複数の実施形態において、イオン交換水、RO水、蒸留水、純水、超純水等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物中の成分Dの含有量は、成分A、成分B、成分C及び後述する任意成分を除いた残余とすることができる。具体的には、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量は、樹脂マスク除去性の維持又は向上、及びCOD低減の観点から、65質量%以上であって、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、そして、樹脂マスク除去性向上の観点から、98質量%以下であって、97質量%以下が好ましく、96.5質量%以下がより好ましい。より具体的には、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量は、65質量%以上98質量%以下であって、80質量%以上97質量%以下が好ましく、90質量%以上96.5質量%以下がより好ましい。
本開示の洗浄剤組成物において、成分Bに対する成分Dの質量比(D/B)は、樹脂マスク除去性の維持又は向上、及びCOD低減の観点から、30以上が好ましく、100以上がより好ましく、300以上が更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性向上の観点から、950以下が好ましく、600以下がより好ましく、500以下が更に好ましい。より具体的には、質量比(D/B)は、30以上950以下が好ましく、100以上600以下がより好ましく、300以上500以下が更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物において、成分Cに対する成分Dの質量比(D/C)は、樹脂マスク除去性の維持又は向上、及びCOD低減の観点から、30以上が好ましく、100以上がより好ましく、150以上が更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性向上の観点から、950以下が好ましく、600以下がより好ましく、300以下が更に好ましい。より具体的には、質量比(D/C)は、30以上950以下が好ましく、100以上600以下がより好ましく、100以上300以下が更に好ましい。
[その他の成分]
本開示の洗浄剤組成物は、前記成分A〜D以外に、必要に応じてその他の成分を更に含有することができる。その他の成分としては、通常の洗浄剤に用いられうる成分を挙げることができ、例えば、有機溶剤、成分B以外の界面活性剤、成分C以外のキレート剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、高分子化合物、可溶化剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物の使用時におけるその他の含有量は、COD低減の観点から、0質量%以上2質量%以下が好ましく、0質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0質量%以上1.3質量%以下が更に好ましく、0質量%以上1質量%以下がより更に好ましい。また、有機溶剤の含有量は、COD低減の観点から、0質量%以上1質量%以下が好ましく、0質量%以上0.7質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、実質的に含まないことがより更に好ましい。また、成分B以外の界面活性剤の含有量は、COD低減の観点から、0質量%以上1質量%以下が好ましく、0質量%以上0.7質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、実質的に含まないことがより更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、ヒドロキシルアミン及び/又はその塩を含有しないものとすることができる。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、COD低減の観点から、直鎖糖アルコールを実質的に含まないものとすることができる。例えば、本開示の洗浄剤組成物の使用時における直鎖糖アルコールの含有量は、一複数の実施形態において、0.1重量%未満である。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、COD低減の観点から、親水性有機溶剤を実質的に含まないものとすることができる。例えば、本開示の洗浄剤組成物の使用時における親水性有機溶剤の含有量は、一複数の実施形態において、10重量%未満である。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、COD低減の観点から、アクリルアミド−メチルプロパンスルホナートポリマー、アクリル酸−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸コポリマー及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含まないものとすることができる。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分A、成分B、成分C及び任意成分由来の有機物の総含有量は、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、16質量%以下がより更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、0.8質量%以上がより更に好ましい。より具体的には、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分A、成分B、成分C及び任意成分由来の有機物の総含有量は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.3質量%以上25質量%以下がより好ましく、0.6質量%以上20質量%以下が更に好ましく、0.8質量%以上16質量%以下がより更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時のpHは、樹脂マスク除去性の向上、及びCOD低減の観点から、10以上が好ましく、11以上がより好ましく、12以上が更に好ましく、13以上がより更に好ましい。本開示において、「使用時のpH」とは、25℃におけるpHであり、pHメータを用いて測定できる。具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。
[洗浄剤組成物の製造方法]
本開示の洗浄剤組成物は、前記成分A〜D及び必要に応じて上述の任意成分を公知の方法で配合することにより製造できる。例えば、本開示の洗浄剤組成物は、少なくとも前記成分A〜Dを配合してなるものとすることができる。したがって、本開示は、少なくとも前記成分A〜Dを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A〜D及び必要に応じて上述した任意成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。本開示の洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の洗浄剤組成物の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示の洗浄剤組成物は、分離や析出等を起こして保管安定性を損なわない範囲で水(成分D)の量を減らした濃縮物として調製してもよい。洗浄剤組成物の濃縮物は、輸送及び貯蔵の観点から、希釈倍率3倍以上の濃縮物とすることが好ましく、保管安定性の観点から、希釈倍率30倍以下の濃縮物とすることが好ましい。洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に成分A〜D及び任意成分が上述した含有量(すなわち、洗浄時の含有量)になるよう水(成分D)で希釈して使用することができる。更に洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分を別々に添加して使用することもできる。本開示において濃縮液の洗浄剤組成物の「使用時」又は「洗浄時」とは、洗浄剤組成物の濃縮物が希釈された状態をいう。
[被洗浄物]
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物の洗浄に使用されうる。被洗浄物としては、一又は複数の実施形態において、表面に金属部位を有する被洗浄物が挙げられ、例えば、電子部品及びその製造中間物が挙げられる。電子部品としては、例えば、プリント基板、ウエハ、銅板及びアルミニウム板等の金属板から選ばれる少なくとも1つの部品が挙げられる。前記製造中間物は、電子部品の製造工程における中間製造物であって、樹脂マスク処理後の中間製造物を含む。樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物の具体例としては、例えば、樹脂マスクを使用した半田付けやめっき処理(銅めっき、アルミニウムめっき、ニッケルめっき等)等の処理を行う工程を経ることにより、配線や接続端子等が基板表面に形成された電子部品等が挙げられる。したがって、本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物の、電子部品の製造における洗浄剤としての使用に関する。樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物の洗浄対象としては、細線部における樹脂マスクの洗浄性に優れる点から、基板における銅等の配線間に付着している樹脂マスクであることが好ましい。
本開示の洗浄剤組成物が対象とする細線部は、樹脂マスクの線幅で、洗浄性の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上であり、そして、洗浄効果を発揮する観点から、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下である。細線部の厚さとしては、例えば、好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下である。洗浄対象として、例えば、樹脂マスクの線幅で5μm以上40μm以下の細線部に付着する樹脂マスクが挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、洗浄効果の点から、樹脂マスク、あるいは、更にめっき処理及び/又は加熱処理された樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物の洗浄に好適に用いられうる。樹脂マスクとしては、例えば、ネガ型樹脂マスクでもよいし、ポジ型樹脂マスクでもよい。本開示においてネガ型樹脂マスクとは、ネガ型レジストを用いて形成されるものであり、例えば、露光及び/又は現像処理されたネガ型レジスト層が挙げられる。本開示においてポジ型樹脂マスクとは、ポジ型レジストを用いて形成されるものであり、例えば、露光及び/又は現像処理されたポジ型レジスト層が挙げられる。
[洗浄方法]
本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物を用いて、樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物から樹脂マスクを剥離する工程を含む、洗浄方法(以下、「本開示の洗浄方法」ともいう)に関する。本開示の洗浄方法において、被洗浄物から樹脂マスクを剥離する工程は、一又は複数の実施形態において、樹脂マスクが付着した被洗浄物を本開示の洗浄剤組成物に接触させることを含む。本開示の洗浄方法であれば、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスクを効率よく除去できる。
本開示の洗浄剤組成物を用いて被洗浄物から樹脂マスクを剥離する方法、又は、被洗浄物に本開示の洗浄剤組成物を接触させる方法としては、例えば、洗浄剤組成物を入れた洗浄浴槽内へ浸漬することで接触させる方法、洗浄剤組成物をスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)、浸漬中に超音波照射する超音波洗浄方法等が挙げられる。本開示の洗浄剤組成物は、希釈することなくそのまま洗浄に使用できる。被洗浄物としては、上述した被洗浄物を挙げることができる。
本開示の洗浄方法は、一又は複数の実施形態において、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことができる。本開示の洗浄方法は、一又は複数の実施形態において、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水ですすぐ工程を含むことができる。
本開示の洗浄方法は、本開示の洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、本開示の洗浄剤組成物と被洗浄物との接触時に超音波を照射することが好ましく、その超音波は比較的高周波数であることがより好ましい。前記超音波の照射条件は、同様の観点から、例えば、26〜72kHz、80〜1500Wが好ましく、36〜72kHz、80〜1500Wがより好ましい。
本開示の洗浄方法において、本開示の洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、洗浄剤組成物の温度は40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、そして、基板に対する影響低減の観点から、70℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。
[電子部品の製造方法]
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法を用いて、樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物から樹脂マスクを剥離する工程を含む、電子部品の製造方法(以下、「本開示の電子部品の製造方法」ともいう)に関する。被洗浄物としては、上述した被洗浄物を挙げることができる。本開示の電子部品の製造方法は、本開示の洗浄方法を用いて洗浄を行うことにより、電子部品の細線部に付着した樹脂マスクを効果的に除去できるため、信頼性の高い電子部品の製造が可能になる。更に、本開示の洗浄方法を行うことにより、電子部品の細線部に付着した樹脂マスクの除去が容易になることから、洗浄時間が短縮化でき、電子部品の製造効率を向上できる。
[キット]
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法及び本開示の電子部品の製造方法のいずれかに使用するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。本開示のキットは、一又は複数の実施形態において、本開示の洗浄剤組成物を製造するためのキットである。本開示のキットによれば、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスク除去性に優れた洗浄剤組成物を得ることができる。
本開示のキットの一実施形態としては、成分Aを含有する溶液(第1液)と、成分Bを含有する溶液(第2液)と、成分Cを含有する溶液(第3液)とを、相互に混合されない状態で含み、第1液、第2液及び第3液から選ばれる少なくとも1つは、成分Dの一部又は全部を更に含有し、第1液と第2液と第3液は使用時に混合されるキット(3液型洗浄剤組成物)が挙げられる。第1液と第2液と第3液が混合された後、必要に応じて水(成分D)で希釈されてもよい。第1液、第2液及び第3液の各々には、必要に応じて上述した任意成分が含まれていてもよい。
本開示のキットのその他の実施形態としては、成分Aを含有する溶液(第1液)と、成分B及び成分Cを含有する溶液(第2液)とを、相互に混合されない状態で含み、第1液及び第2液の少なくとも一方は、水(成分D)の一部又は全部を更に含有し、第1液と第2液とは使用時に混合される、キット(2液型洗浄剤組成物)が挙げられる。第1液と第2液とが混合された後、必要に応じて水(成分D)で希釈されてもよい。第1液及び第2液の各々には、必要に応じて上述した任意成分が含まれていてもよい。
以下に、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.実施例1〜7及び比較例1〜5の洗浄剤組成物の調製
有効分換算で成分A、成分B又は非成分B、成分C又は非成分C、成分D、及びその他成分を表1に記載の組成比で配合し、それを攪拌して混合することにより、実施例1〜7及び比較例1〜5の洗浄剤組成物を調製した。表1の組成は固形分量である。表1に示す各洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定した値であり、pHメータの電極を洗浄剤組成物に浸漬して3分後の数値である。pHは実施例1〜7の洗浄剤組成物に対して測定した。
実施例1〜7及び比較例1〜5の洗浄剤組成物の成分には、下記のものを使用した。
(成分A)
水酸化ナトリウム[関東化学株式会社製、特級、固形分48質量%]
水酸化カリウム[関東化学株式会社製、特級、固形分48質量%]
(成分B)
ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル[花王株式会社製、エマルゲン109P]
ポリオキシエチレン(7)デシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ファインサーフD-1307]
ポリオキシエチレン(6)2−エチルヘキシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ブラウノンEH-6]
ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ファインサーフTD-100]
なお、化合物名中の()内の数値は平均付加モル数を示す。
(非成分B)
ジノニルフェノールポリオキシエチレン[平均付加モル数:100〜150]
(成分C)
エチドロン酸[イタルマッチジャパン株式会社製、Dequest2010、含有量60質量%]
2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸[イタルマッチジャパン株式会社製、Dequest7000(CN)、含有量50質量%]
アミノトリメチレンホスホン酸[イタルマッチジャパン株式会社製、Dequest2000、含有量50質量%]
グルコン酸ナトリウム[富士フィルム和光純薬株式会社、特級試薬]
(非成分C)
4−メチル−2−フェニル−イミダゾール[東京化成工業株式会社]
(成分D)
水[オルガノ株式会社製純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純粋]
(その他の成分)
ベンジルグリコール[日本乳化剤株式会社製、エチレングリコールモノベンジルエーテル](有機溶剤)
2−エチルヘキサン酸ナトリウム[東京化成工業株式会社](可溶化剤)
2.洗浄剤組成物の評価
調製した実施例1〜7及び比較例1〜5の洗浄剤組成物について下記評価を行った。
[樹脂マスク除去性(細線部における剥離率)の評価]
トール型の200mLガラスビーカーのそれぞれに、実施例1〜7、比較例1〜5の各洗浄剤組成物を100g添加して50℃に加温し、回転子(フッ素樹脂(PTFE)、φ8mm×25mm)を用いて回転数600rpmで撹拌した状態で、テストピースを4分間浸漬する。そして、100mLガラスビーカーに水を100g添加したすすぎ槽へ浸漬してすすいだ後、窒素ブローにて乾燥する。
光学顕微鏡「デジタルマイクロスコープVHX−2000」(株式会社キーエンス製)を用いて、洗浄試験を行った後のテストピースの特定パターン領域の細線部とベタ部の境界となる部位に残存する樹脂マスクの有無を300倍に拡大して目視確認し、面積を基準として剥離率を算出する。結果を表1に示した。
なお、テストピースは、30mm×50mmのサイズで、細線部とベタ部とを有する銅の回路パターンを有しており、パターンの厚さ50μm、細線部の幅20μm、ベタ部の幅300〜1500μmである。そして、回路パターンの銅配線間に樹脂マスクが存在し、細線部における樹脂マスクの線幅は20μmである。
[CODの評価]
実施例1〜7、比較例1〜3、5の洗浄剤についてそれぞれCODを測定した。比較例4は、測定しなかった。COD分解試薬(HACH製)のバイアルにピペットを用いて0.20mLのサンプルとして洗浄剤を添加して十分に混合した後、DRB200リアクター(HACH製)を用いて150℃で2時間加熱する。冷え切らないうちにバイアル内の液を十分に混合する。DR3900(HACH製)を用いた比色測定によってCODを算出する。
Figure 2021099380
表1に示すとおり、成分A〜Dを含む実施例1〜7の洗浄剤組成物は、成分Cを含まない比較例1、成分Bを含まない比較例2、成分Aを含まない比較例3、成分B及びCを含まない比較例4に比べて、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスク除去性が向上していた。また、成分A〜Dを含む実施例1〜7の洗浄剤組成物は、有機溶剤及び可溶化剤を用いた比較例5に比べて、CODが低減されているにもかかわらず、細線部における樹脂マスク除去性を有していた。
本開示によれば、CODを大きく増加させることなく、細線部における樹脂マスク除去性に優れる洗浄剤組成物を提供できる。よって、本開示の洗浄剤組成物は、電子部品の製造工程で用いられる洗浄剤組成物として有用であり、樹脂マスクが付着した電子部品の洗浄工程の短縮化及び製造される電子部品の性能・信頼性の向上が可能となり、半導体装置の生産性を向上できる。

Claims (9)

  1. アルカリ剤(成分A)、非イオン性界面活性剤(成分B)、キレート剤(成分C)及び水(成分D)を含有し、
    成分Bが、第一級アルコールアルコキシレートであり、
    成分Cが、カルボキシ基及びホスホン酸基から選ばれる少なくとも1種の酸基を2以上有する化合物であり、
    使用時における成分Dの含有量が、65質量%以上98質量%以下である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物。
  2. 成分Bが下記一般式(III)で表される界面活性剤である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
    R−CH2−O−(EO)n(PO)m−H (III)
    式(III)中、R−CH2−基は炭素数8以上14以下の炭化水素基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、nはEOの平均付加モル数であって5以上11以下の数であり、POはプロピレンオキシ基を示し、mはPOの平均付加モル数であって0以上4以下の数である。
  3. 使用時における成分Cの含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
  4. 成分Bに対する成分Cの質量比(C/B)が、1以上5以下である、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  5. 成分Bに対する成分Dの質量比(D/B)が、30以上950以下である、請求項1から4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  6. 25℃におけるpHが10以上である、請求項1から5のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて、樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物から樹脂マスクを剥離する工程を含む、電子部品の製造方法。
  8. 電子部品は、プリント基板、ウエハ及び金属板から選ばれる少なくとも1つの部品である請求項7に記載の電子部品の製造方法。
  9. 請求項1から6のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて、樹脂マスクが細線部に付着した被洗浄物から樹脂マスクを剥離する工程を含む、洗浄方法。
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