JP2021098912A - 合成皮革 - Google Patents

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清水 祐子
Yuko Shimizu
祐子 清水
竹村 潔
Kiyoshi Takemura
潔 竹村
宏之 千々和
Hiroyuki CHIJIWA
宏之 千々和
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、耐光性、耐摩耗性に優れる合成皮革を提供することである。【解決手段】本発明は、少なくとも、表面処理層(i)、及び、表皮層(ii)を有する合成皮革であって、前記表面処理層(i)が、ウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が15万以上33万未満であるシリコーン化合物(C)を含有する表面処理層形成用樹脂組成物により形成されたものであり、前記表皮層(ii)が、前記表面処理層形成用樹脂組成物以外により形成されたものであり、15〜500μmの厚さであることを特徴とする合成皮革を提供するものである。前記シリコーン化合物(C)の含有量としては、表面処理層形成用樹脂組成物中0.01〜10質量%の範囲が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、合成皮革に関する。
自動車内装レザー用シートの製造工程においては、その表面に耐薬品性および意匠性付与の観点から、表面処理剤により仕上げがなされている。従来の表面処理剤に用いられる材料は、有機溶剤を含んだ溶剤系樹脂組成物が主流であったが、近年の環境規制の高まりを受け、有機溶剤を実質的に含まない水性表面処理剤の開発が進められている。
前記水性表面処理剤としては、例えば、特定の機械物性を有するポリウレタン、カルボジイミド架橋剤、及び、フィラーを含有する水性表面処理剤が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、従来の溶剤系樹脂組成物を水系化すると耐摩耗性が低下する問題があり、前記水性表面処理剤についても表面の摩擦係数が高く、更なる耐摩耗性の改善が求められていた。
国際公開第2015/107933号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐摩耗性に優れる合成皮革を提供することである。
本発明は、少なくとも、表面処理層(i)、及び、表皮層(ii)を有する合成皮革であって、前記表面処理層(i)が、ウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が15万以上33万未満であるシリコーン化合物(C)を含有する表面処理層形成用樹脂組成物により形成されたものであり、前記表皮層(ii)が、前記表面処理層形成用樹脂組成物以外により形成されたものであり、15〜500μmの厚さであることを特徴とする合成皮革を提供するものである。
本発明の合成皮革は、耐摩耗性に優れるものである。
本発明の合成皮革は、少なくとも、特定の表面処理層(i)、及び、表皮層(ii)を有するものである。
前記表面処理層(i)は、優れた耐摩耗性を得る上で、ウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が15万以上33万未満であるシリコーン化合物(C)を含有する表面処理層形成用樹脂組成物により形成されていることが必須である。
前記ウレタン樹脂(A)は、水(B)に分散し得るものであり、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有するウレタン樹脂;乳化剤で強制的に水(B)中に分散したウレタン樹脂などを用いることができる。これらのウレタン樹脂(A)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記アニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、カルボキシル基を有する化合物及びスルホニル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を原料として用いる方法が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−吉草酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記スルホニル基を有する化合物としては、例えば、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,6−ジアミノベンゼンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記カルボキシル基及びスルホニル基は、樹脂組成物中で、一部又は全部が塩基性化合物に中和されていてもよい。前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物などを用いることができる。
前記カチオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、アミノ基を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
前記アミノ基を有する化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン等の1級及び2級アミノ基を有する化合物;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等のN−アルキルジアミノアルキルアミンなどの3級アミノ基を有する化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ノニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、オキシエチレン構造を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
前記オキシエチレン構造を有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール等のオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオールを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
以上の親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料の使用量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、耐候性、及び、耐加水分解性が得られる点から、ウレタン樹脂(A)の原料中0.1〜15質量%の範囲であることが好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましく、1.5〜7質量%の範囲が更に好ましい。
前記強制的に水(B)中に分散するウレタン樹脂を得る際に用いることができる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン性乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン性乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性乳化剤などを用いることができる。これらの乳化剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン樹脂(A)としては、具体的には、例えば、前記した親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、及び、鎖伸長剤(a3)の反応物を用いることができる。これらの反応は公知のウレタン化反応を用いることができる。
前記ポリイソシアネート(a1)としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(a1)としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、少なくともイソシアネート基の窒素原子がシクロヘキサン環と直接連結した構造を1つ以上有するポリイソシアネートを用いることがより好ましく、イソホロンジイソシアネート及び/又はジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いることが更に好ましい。また、脂環式ポリイソシアネートの使用量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、ポリイソシアネート(a1)中30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
また、本発明のウレタン樹脂組成物が表面処理剤として使用される際に、より一層の耐光性が求められる場合には、前記ポリイソシアネート(a1)として、前記脂環式ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとを併用することが好ましく、前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが好ましい。この際のポリイソシアネート(a1)中の前記脂環式ポリイソシアネートの含有量としては、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
前記ポリイソシアネート(a1)の使用量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、ウレタン樹脂(A)の原料中5〜50質量%の範囲であることが好ましく、15〜40質量%の範囲がより好ましく、20〜37質量%の範囲が更に好ましい。
前記ポリオール(a2)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、水酸基を2個以上有する化合物との反応物を用いることができる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチルペンタンジオール、及び、1,10−デカンジオールからなる群から選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましく、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールの使用量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、ポリオール(a2)中85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量としては、より一層優れた耐薬品性、機械的強度、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、100〜100,000の範囲であることが好ましく、150〜10,000の範囲より好ましく、200〜2,500の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記ポリカーボネートポリオール以外の前記ポリオール(a2)の数平均分子量としては、より一層優れた耐候性が得られる点から、500〜100,000の範囲であることが好ましく、700〜50,000の範囲より好ましく、800〜10,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリオール(a2)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記ポリオール(a2)の使用量としては、ウレタン樹脂(A)の原料中30〜80質量%の範囲であることが好ましく、40〜75質量%の範囲がより好ましく、50〜70質量%の範囲が更に好ましい。
前記鎖伸長剤(a3)としては、例えば、数平均分子量が50〜450の範囲のもの(前記ポリカーボネートポリオールを除く。)であり、具体的には、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ヒドラジン等のアミノ基を有する鎖伸長剤;エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリメチロールプロパン等の水酸基を有する鎖伸長剤などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記鎖伸長剤(a3)としては、前記した中でも、より一層優れた耐薬品性、機械的強度、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、アミノ基を有する鎖伸長剤を用いることが好ましく、ピペラジン及び/又はヒドラジンがより好ましく、ピペラジン及びヒドラジンの合計量としては、前記鎖伸長剤(a3)中30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましい。また、前記鎖伸長剤(a3)としては、平均官能基数が3未満であること好ましく、2.5未満がより好ましい。また、
前記鎖伸長剤(a3)の使用量としては、より一層優れた耐薬品性、機械的強度、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、ウレタン樹脂(A)の原料中0.5〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.7〜5質量%の範囲がより好ましく、0.9〜2.3の範囲が更に好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリイソシアネート(a1)と前記ポリオール(a2)と前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料を反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、前記ウレタンプレポリマーと、前記鎖伸長剤(a3)とを反応させることによって製造する方法;前記ポリイソシアネート(a1)、前記ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、及び、前記鎖伸長剤(a3)を一括に仕込み反応させる方法等が挙げられる。これらの反応は、例えば50〜100℃で3〜10時間行うことが挙げられる。
前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料が有する水酸基、前記ポリオール(a2)が有する水酸基、及び、前記鎖伸長剤(a3)が有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記ポリイソシアネート(a1)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.8〜1.2の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、前記ウレタン樹脂(A)に残存するイソシアネート基を失活させることが好ましい。前記イソシアネート基を失活させる場合には、メタノール等の水酸基を1個有するアルコールを用いることが好ましい。前記アルコールの使用量としては、ウレタン樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲であることが好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、有機溶剤を用いてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物などを用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記有機溶剤は、蒸留法等によって最終的には除去されることが好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)のウレタン結合の含有量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、980〜4,000mmol/kgの範囲が好ましく、1,000〜3,500mmol/kgの範囲がより好ましく、1,100〜3,000mmol/kgの範囲が更に好ましく、1,150〜2,500mmol/kgの範囲が。なお、前記ウレタン樹脂(A)のウレタン結合の含有量は、前記ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、および、鎖伸長剤(a3)の仕込み量から算出される値を示す。
前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合の含有量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、315〜850mmol/kgの範囲であることが好ましく、350〜830mmol/kgの範囲がより好ましく、400〜800mmol/kgの範囲が更に好ましく、410〜770mmol/kgの範囲が更に好ましい。なお、なお、前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合の含有量は、前記ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、および、鎖伸長剤(a3)の仕込み量から算出される値を示す。
前記ウレタン樹脂(A)の脂環構造の含有量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、500〜3,000mmol/kgの範囲であることが好ましく、600〜2,900mmol/kgの範囲がより好ましく、700〜2,700mmol/kgの範囲が更に好ましい。なお、なお、前記ウレタン樹脂(A)の脂環構造の含有量は、前記ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、および、鎖伸長剤(a3)の仕込み量から算出される値を示す。
前記ウレタン樹脂(A)の含有量としては、塗工性、作業性および保存安定性の点から、表面処理層形成用樹脂組成物中3〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲がより好ましい。
前記水(B)としては、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。前記水(B)の含有量としては、ウレタン樹脂組成物の塗工性、作業性および保存安定性の点から、表面処理層形成用樹脂組成物中30〜95質量%の範囲であることが好ましく、50〜90質量%の範囲がより好ましい。
前記シリコーン化合物(C)としては、優れた耐摩耗性を得るうえで、数平均分子量が15万以上33万未満であるものを用いることが必須である。このように比較的高分子量のシリコーン化合物を用いることで、表面強度が高く、摩擦係数の小さな塗膜が形成され、優れた耐摩耗性を得ることができる。前記シリコーン化合物(C)の数平均分子量としては、より一層優れた耐摩耗性が得られる点から、20万〜30万の範囲であることが好ましく、22万〜27万の範囲がより好ましい。なお、前記シリコーン化合物(C)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示し、具体的には実施例にてその測定方法を示す。
前記シリコーン化合物(C)としては、具体的には、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリメチルフェニルハイドロジェンシロキサン;これらの変性物;これらのシリコーン化合物とアクリルとの共重合体などを用いることができる。これらのシリコーン化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐摩耗性が得られる点から、ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
前記シリコーン化合物(C)は、水(B)との親和性の点から、水(B)に分散したエマルジョンの形態をとっていることが好ましい。またかかる際には、公知の界面活性剤が含有されていてもよい。
前記シリコーン化合物(C)の含有量(=シリコーン化合物(C)固形分)としては、より一層優れた耐摩耗性が得られる点から0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜7質量%の範囲がより好ましく、0.5〜5質量%の範囲が更に好ましい。
本発明で用いる表面処理層形成用樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、シリコーン化合物(C)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を用いてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、フィラー(D)、架橋剤(E)、乳化剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、粘弾性調整剤、消泡剤、湿潤剤、分散剤、防腐剤、可塑剤、浸透剤、香料、殺菌剤、殺ダニ剤、防かび剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、染料、顔料(例えば、チタン白、ベンガラ、フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエロー等)等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用しても良い。
前記その他の添加剤としては、より一層優れたマット感を付与するためにフィラー(D)、及び、表面処理層の機械的強度をより一層向上するために架橋剤(E)を含有することが好ましい。
前記フィラー(D)としては、例えば、シリカ粒子、有機ビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、アルミナシリケイト等を用いることができる。これらのフィラーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記シリカ粒子としては、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ等を用いることができる。これらの中でも、散乱効果が高く光沢値の調整範囲が広くなることから、乾式シリカが好ましい。これらシリカ粒子の平均粒子径としては、2〜14μmの範囲であることが好ましく、3〜12μmの範囲がより好ましい。なお、前記シリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布測定結果の積算粒子量曲線において、その積算量が50%を占めるときの粒子径(粒度分布におけるD50での粒子径)を示す。
前記有機ビーズとしては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、シリコンビーズ、オレフィンビーズ等を用いることができる。
前記フィラー(D)の使用量は、付与するマット感に応じて適宜決定することができるが、例えば、ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、1〜30質量部の範囲であることが好ましく、3〜10質量部の範囲がより好ましい。
前記架橋剤(E)としては、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリジン架橋剤、オキサゾリン架橋剤、メラミン架橋剤等を用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記架橋剤(E)の使用量としては、例えば、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、5〜40質量部の範囲であることが好ましく、10〜30質量部の範囲がより好ましい。
前記表皮層(ii)としては、優れた耐摩耗性が得られる点から、前記表面処理層形成用樹脂組成物以外により形成されたものであり、15〜500μmの厚さであることが必須である。前記表皮層(ii)の厚さとしては、より一層優れた耐摩耗性に加えて合成皮革としての充分な風合いが得られる点から、15〜300μmの範囲が好ましく、20〜250μmの範囲がより好ましい。
前記表皮層(ii)を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ウレタン樹脂(TPU)、熱可塑性オレフィン樹脂(TPO)、溶剤系ウレタン樹脂、水系ウレタン樹脂等を用いることができる。これらの材料は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記表面処理層形成用樹脂組成物との親和性が高く、より一層優れた耐摩耗性が得られる点から、ポリ塩化ビニル(PVC)、及び/又は、熱可塑性ウレタン樹脂(TPU)が好ましい。
前記ポリ塩化ビニル(PVC)としては、公知のものを用いることができ、例えば、太洋塩ビ株式会社製の商品名「TH−1300」等を市販品として入手することができる。
前記ポリ塩化ビニルにより表皮層を形成する方法としては、例えば、カレンダー加工等を使用することができる。また、前記ポリ塩化ビニルとしては、発泡したものと非発泡のものを併用する場合には、同時押し出し加工する方法や、塩化ビニル発泡層形成用組成物層表面にペースト加工機や押し出し機で塩化ビニル樹脂層を形成して、塩化ビニル発泡層形成用組成物層と塩化ビニル樹脂層の積層体を形成してもよい。
前記熱可塑性ウレタン樹脂(TPU)としては、例えば、ジイソシアネート化合物と水酸基を2個以上有する化合物との反応物を用いいることができる。
前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソイアネート等を用いることができる。これらのジイソシアネート化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、アジピン酸、フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコールとの縮合反応物であるポリエステルポリオール;エチレンカーボネート等のカーボネートとグリコールとの反応物であるポリカーボネートポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールなどが用いられる。これらの中でも、より一層優れた耐老化性、及び、カレンダー加工性が得られる点から、ポリエーテルポリオールを原料とする熱可塑性ウレタン樹脂が好ましい。
前記熱可塑性ウレタン樹脂には、必要に応じて、アクリル系軟質樹脂を配合してもよい。
前記熱可塑性ウレタン樹脂により表皮層を形成する方法としては、例えば、カレンダー成型、押出成型等が挙げられる。
前記表皮層(ii)を形成する材料には、必要に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、発泡剤、架橋剤、ビヒクル、ウレタン化触媒、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
以上、本発明の合成皮革は、少なくとも、前記特定の表面処理層(i)、及び、表皮層(ii)を有するものであるが、具体的には、例えば、以下の構成が挙げられる。
・基材、表皮層(ii)、表面処理層(i)
・基材、接着層、表皮層(ii)、表面処理層(i)
・基材、中間層、表皮層(ii)、表面処理層(i)
・基材、接着層、中間層、表皮層(ii)、表面処理層(i)
・基材、多孔層、接着層、表皮層(ii)、表面処理層(i)
・基材、多孔層、中間層、表皮層(ii)、表面処理層(i)
・基材、多孔層、接着層、中間層、表皮層(ii)、表面処理層(i)
前記表面処理層(i)の厚さとしては、例えば、5〜30μmの範囲が挙げられる。
前記基材、多孔層、接着層、及び、中間層を形成する材料は、いずれも公知のものを用いることができる。
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
[合成例1]ウレタン樹脂(A−1)水分散体の調製
攪拌機、温度計、および窒素還流管を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトン250質量部、及びオクチル酸第一錫0.001質量部を入れ、次いで、ポリカーボネートポリオール−3(1,6−ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:2,000)を220質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸12質量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート70質量部を入れ、70℃で1時間反応させ、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、このウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液に、トリエチルアミン9質量部を混合させた後に、イオン交換水880質量部を加えた後、ピペラジン4.5質量部を加えてウレタン樹脂(A−1)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去し、更にイオン交換水を加えることで、不揮発分32質量%のウレタン樹脂(A−1)水分散体を得た。
得られたウレタン樹脂(A−1)のウレタン結合の含有量は1,278mmol/kg、ウレア結合の含有量は435mmol/kg、脂環構造の含有量は1,713mmol/kgであった。
[合成例2]ウレタン樹脂(A−2)水分散体の調製
攪拌機、温度計、および窒素還流管を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトン250質量部、及びオクチル酸第一錫0.001質量部を入れ、次いで、ポリカーボネートポリオール−4(1,6−ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:2,000)を138質量部、ポリカーボネートポリオール−5(1,6−ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:500)を55質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸13質量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部を入れ、70℃で1時間反応させ、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、このウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液に、トリエチルアミン10質量部を混合させた後に、イオン交換水880質量部を加えた後、ピペラジン5.6質量部を加えてウレタン樹脂(A−2)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去し、更にイオン交換水を加えることで、不揮発分30質量%のウレタン樹脂(A−2)水分散体を得た。
得られたウレタン樹脂(A−2)のウレタン結合の含有量は1,747mmol/kg、ウレア結合の含有量は576mmol/kg、脂環構造の含有量は2,341mmol/kgであった。
[実施例1]
(表面処理層形成用樹脂組成物の調製)
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−1)水分散体35質量部、カルボジイミド架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)3質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、ポリジメチルシロキサンの水分散体(ポリジメチルシロキサンの含有率;65質量%、数平均分子量;25.5万)3質量部、水57質量部を混合することで、表面処理層形成用樹脂組成物(T−1)を得た。
(表皮層)
ポリ塩化ビニル(カネカ株式会社製「S1001N」)を用いた。表においては、「PVC」と略記する。
(合成皮革の作製)
上記ポリ塩化ビニル100kgに、顔料(カーボンブラック)2kgを投入し、200℃に加熱しながらカレンダー法により、乾燥後の膜厚が200μmとなるようにシート状に成型して表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−1)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[実施例2]
(表面処理層形成用樹脂組成物の調製)
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−1)水分散体35質量部、カルボジイミド架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)3質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、ポリジメチルシロキサンの水分散体(ポリジメチルシロキサンの含有率;65質量%、数平均分子量;25.5万)6質量部、水54質量部を混合することで、表面処理層形成用樹脂組成物(T−2)を得た。(表皮層)
ポリ塩化ビニル(カネカ株式会社製「S1001N」)を用いた。
(合成皮革の作製)
上記ポリ塩化ビニル100kgに、顔料(カーボンブラック)2kgを投入し、200℃に加熱しながらカレンダー法により、乾燥後の膜厚が150μmとなるようにシート状に成型して表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−2)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[実施例3]
(表面処理層形成用樹脂組成物の調製)
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−1)水分散体35質量部、カルボジイミド架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)3質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、ポリジメチルシロキサンの水分散体(ポリジメチルシロキサンの含有率;65質量%、数平均分子量;25.5万)0.5質量部、水59.5質量部を混合することで、表面処理層形成用樹脂組成物(T−3)を得た。
(表皮層)
ポリ塩化ビニル(カネカ株式会社製「S1001N」)を用いた。
(合成皮革の作製)
上記ポリ塩化ビニル100kgに、顔料(カーボンブラック)2kgを投入し、200℃に加熱しながらカレンダー法により、乾燥後の膜厚が240μmとなるようにシート状に成型して表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−3)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[実施例4]
(表面処理層形成用樹脂組成物の調製)
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−2)水分散体35質量部、カルボジイミド架橋剤日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)3質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、ポリジメチルシロキサンの水分散体(ポリジメチルシロキサンの含有率;65質量%、数平均分子量;20万)3質量部、水57質量部を混合することで、表面処理層形成用樹脂組成物(T−4)を得た。
(表皮層)
ポリ塩化ビニル(カネカ株式会社製「S1001N」)を用いた。
(合成皮革の作製)
上記ポリ塩化ビニル100kgに、顔料(カーボンブラック)2kgを投入し、200℃に加熱しながらカレンダー法により、乾燥後の膜厚が120μmとなるようにシート状に成型して表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−4)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[実施例5]
(表皮層)
熱可塑性ウレタン樹脂80質量部、アクリル系軟質樹脂20質量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体5質量部、炭酸カルシウム10質量部、抗酸化剤0.3質量部、滑剤0.5質量部、紫外線吸収剤0.7質量部、光安定剤0.3質量部を配合したものを用いた。表では、「TPU」と略記する。。
(合成皮革の作製)
上記表皮層用配合物をカレンダー成型によって180μmの表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−1)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[実施例6]
(表皮層)
熱可塑性ウレタン樹脂80質量部、アクリル系軟質樹脂20質量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体5質量部、炭酸カルシウム10質量部、抗酸化剤0.3質量部、滑剤0.5質量部、紫外線吸収剤0.7質量部、光安定剤0.3質量部を配合したものを用いた。
(合成皮革の作製)
上記表皮層用配合物をカレンダー成型によって220μmの表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−2)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[実施例7]
(表皮層)
熱可塑性ウレタン樹脂80質量部、アクリル系軟質樹脂20質量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体5質量部、炭酸カルシウム10質量部、抗酸化剤0.3質量部、滑剤0.5質量部、紫外線吸収剤0.7質量部、光安定剤0.3質量部を配合したものを用いた。
(合成皮革の作製)
上記表皮層用配合物をカレンダー成型によって200μmの表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−3)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[実施例8]
(表皮層)
熱可塑性ウレタン樹脂80質量部、アクリル系軟質樹脂20質量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキル共重合体5質量部、炭酸カルシウム10質量部、抗酸化剤0.3質量部、滑剤0.5質量部、紫外線吸収剤0.7質量部、光安定剤0.3質量部を配合したものを用いた。
(合成皮革の作製)
上記表皮層用配合物をカレンダー成型によって150μmの表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−4)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[比較例1]
(表面処理層形成用樹脂組成物の調製)
前記表面処理層形成用樹脂組成物(T−1)から、ポリジメチルシロキサンの水分散体を除いたものを表面処理層形成用樹脂組成物(TR−1)とした。
(表皮層)
ポリ塩化ビニル(カネカ株式会社製「S1001N」)を用いた。
(合成皮革の作製)
上記ポリ塩化ビニル100kgに、顔料(カーボンブラック)2kgを投入し、200℃に加熱しながらカレンダー法により、乾燥後の膜厚が200μmとなるようにシート状に成型して表皮層を得た。
得られた表皮層の一方面に、接着剤(DIC株式会社製「クリスボン TA−205FT」)を乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗布し、不織布と貼り合わせた。
次いで、表皮層のもう一方の1面に、50μmバーコーターを用いて前記表面処理層形成用樹脂組成物(TR−1)を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させることで合成皮革を得た。
[比較例2]
実施例1において、表皮層の厚さを5μmとした以外は、実施例1と同様にして、合成皮革を得た。
[数平均分子量の測定方法(1)]
合成例等で用いたポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
[数平均分子量の測定方法(2)]
シリコーン化合物(C)の数平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel GMHXL」(7.8mmI.D.×30cm)×4本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL
濃度:分析試料:4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液
標準物質:1mg/mLのテトラヒドロフラン溶液
標準物質:下記のポリエチレンオキシド/ポリエチレングリコールを用いて検量線を作成した。
標準物質
〈ポリエチレンオキシド〉
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリエチレンオキシド SE−70」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリエチレンオキシド SE−30」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリエチレンオキシド SE−15」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリエチレンオキシド SE−8」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリエチレンオキシド SE−5」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリエチレンオキシド SE−2」
〈ポリエチレングリコール〉
ポリエチレングリコール6,000
ポリエチレングリコール3,000
ポリエチレングリコール1,000
ポリエチレングリコール600
[耐摩耗性の評価方法]
実施例、及び、比較例で得られた合成皮革を、平面摩耗試験機(インテック株式会社製「AR−4S」)を使用して、2kg荷重、6号帆布を使用して評価した。具体的には、平面摩耗試験機の上に、4.5mmφのステンレスワイヤー、クッション材(厚さ;10mm、圧縮応力;1N/cm)、試験片の順に置き、5%引っ張って固定した。このサンプルの摩耗状態を1千回毎に観察し、塗膜が破れて生地が露出するまでの回数を測定した。6千回以上であったものは「〇」、それ以外は「×」と評価した。
Figure 2021098912
Figure 2021098912
本発明の合成皮革は、優れた耐摩耗性を有することがわかった。
一方、比較例1は、表面処理層(i)に、シリコーン化合物(C)を含まない材料を用いた態様であるが、耐摩耗性が不良であった。
比較例2は、表皮層(ii)の厚さが本発明で規定する範囲を下回るものを用いた態様であるが、耐摩耗性が不良であった。

Claims (4)

  1. 少なくとも、表面処理層(i)、及び、表皮層(ii)を有する合成皮革であって、
    前記表面処理層(i)が、ウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が15万以上33万未満であるシリコーン化合物(C)を含有する表面処理層形成用樹脂組成物により形成されたものであり、
    前記表皮層(ii)が、前記表面処理層形成用樹脂組成物以外により形成されたものであり、15〜500μmの厚さであることを特徴とする合成皮革。
  2. 前記シリコーン化合物(C)の含有量が、表面処理層形成用樹脂組成物中0.01〜10質量%の範囲である請求項1記載の合成皮革。
  3. 前記シリコーン化合物(C)が、ポリジメチルシロキサンである請求項1又は2記載の合成皮革。
  4. 前記表皮層(ii)が、ポリ塩化ビニル、及び/又は、熱可塑性ウレタン樹脂から形成されたものである請求項1〜3のいずれか1項記載の合成皮革。
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