以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、その場合は明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、実際の寸法とは異なる場合がある。
まず、図1〜図10を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るスポーツ用衣料について説明する。図1〜図10は、胴部120と袖部130とを備えているスポーツ用衣料、すなわちスポーツ用上衣100を示す図である。図1、図4、及び図7はぞれぞれ異なる実施の形態に係るスポーツ用上衣100の正面図、すなわちスポーツ用上衣100の前身頃101の平面図を表し、図2、図5、及び図8はそれぞれ図1、図4、及び図7に示したスポーツ用上衣100の背面図、すなわち、スポーツ用上衣100の後身頃102の平面図を表している。図3、図6、及び図9はそれぞれ図1、図4、及び図7に示したスポーツ用上衣100の袖口140の矢印A、矢印B、及び矢印C側から見た断面図を表し、図10は本発明の一実施形態に係るスポーツ用上衣100の袖口140の断面図を表している。
図1〜図10に示すように、本発明の一実施形態に係るスポーツ用衣料は胴部120と袖部130とを備えているスポーツ用上衣100であって、袖部130が、袖口140を内側に折り曲げている内折縫代部40iと、袖口140を外側に折り曲げている外折縫代部40eとを有している。袖部130が袖口140を外側に折り曲げている外折縫代部40eを有している部分では、着用者の肌面に接する袖口140の内側に縫代が折り曲げられないため、肌面と縫代とが接することない。その結果、肌面が縫代と擦れることによる違和感を感じにくく、着用者のストレスを低減できるスポーツ用上衣100とすることができる。袖部130が袖口140を内側に折り曲げている内折縫代部40iを有している部分は、布端をロックミシンやジグザグミシン等による端ミシン等一般的な方法で始末した後、内側に折り曲げて縫合する等通常の方法で作製することができ、この部分にストレッチ性や通気性等の機能性を付与することが可能である。このように、肌面と接しやすい袖口140の部位には外折縫代部40eを配置し、それ以外の部分には内折縫代部40iを配置することにより、肌面と縫代とが擦れることによる違和感を感じにくく、かつ、機能性を有するスポーツ用上衣100とすることができる。
図1〜3に示すように、袖口140は袖口上端140u及び袖口下端140bを境界として前身頃101側の袖口前部141と後身頃102側の袖口後部142とを有しており、外折縫代部40eは袖口上端140uから連続して袖口前部141及び袖口後部142に形成されており、袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の40%以上及び袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の40%以上に外折縫代部40eが配置されていることが好ましい。袖口上端140uを中心とした袖口140の上部に外折縫代部40eを有していることで、バレーボールやバドミントン、バスケットボール等の腕を振り上げるスポーツをする際に、腕の上側面の肌面と袖口140とが繰り返し擦れ合っても肌面と縫代とが擦れ合うことがないため違和感を感じにくく、衣料による着用者のストレスを低減することができる。さらに、袖口140が内折縫代部40iを有している部分にはストレッチ性や通気性等の機能性を付与することができるため、着用者の競技能力を発揮させることが容易となる。
袖口140に外折縫代部40eと内折縫代部40iを形成するには、外折縫代部40eと内折縫代部40iとの境目で縫代を外折と内折に切り替える必要があるが、これは外折縫代部40eと内折縫代部40iとの境目に切替部を設けることにより可能となる。図1及び図2には、上記切替部の例として切替部91を示している。図1及び図2に示すように、前身頃101のパターンと後身頃102のパターンに加えて袖部130の下部と胴部120の脇部を形成するパターンを用いることで、袖口140に外折縫代部40eと内折縫代部40iを形成することが容易となる。切替部91は袖部130の下部と胴部120の脇部が連続しているパターンの一例であり、袖部130の下部と胴部120の脇部の途中までが一つのパターンを形成していたり、袖部130の下部と胴部120全体が一つのパターンを形成したり、その他任意の形状を有していてもよい。また、左右の袖部130が異なる切替部を有していてもよい。
ここで、袖口上端140u及び袖口下端140bとは、図1等に示すようにスポーツ用上衣100を後身頃102を下にして平らに置いたときの袖部130の肩側と脇側の両端を意味している。上記のように袖口140に外折縫代部40eと内折縫代部40iを形成するには切替部を設ける場合があることや、さらにデザインによっては様々なパターンを用いる場合があるため、パターンの前身頃と後身頃とが均等ではなくパターンの袖口上端及び袖口下端が場合によって異なることもあるが、本明細書における袖口上端140u及び袖口下端140bは上記定義に従うものとする。
図1〜図3を参照してさらに説明する。図3は図1に示したスポーツ用上衣100を矢印Aの方向から見た断面図であり、図3の上側が袖口上端140u、すなわち肩側であり、図3の下側が袖口下端140b、すなわち脇側である。外折縫代部40eは袖口上端140uから連続して袖口前部141及び袖口後部142に形成されており、外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の40%以上及び袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の40%以上であればよく、図3(a)に示すように袖口上端140uから袖口前部141及び袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1及びL2の50%以上であってもよく、図3(b)に示すように袖口前部141と袖口後部142とで外折縫代部40eの配置される領域の割合が異なっていてもよい。外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1及び袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2においてそれぞれ独立に40%以上が好ましく、より好ましくは45%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは55%以上である。また、外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1及び袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2においてそれぞれ独立に75%以下が好ましく、より好ましくは70%以下であり、さらに好ましくは65%以下である。外折縫代部40eの形成される範囲が上記値であれば、袖口140と擦れ合うことによる違和感を感じにくく着用者のストレスを低減でき、かつ、機能性を有するスポーツ用上衣100とすることができる。
図4〜6に示すように、袖口140は袖口上端140u及び袖口下端140bを境界として前身頃101側の袖口前部141と後身頃102側の袖口後部142とを有しており、袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の80%以上に外折縫代部40eが配置されていることが好ましい。袖口前部141の80%以上に外折縫代部40eを有していることで、テニスや卓球等の腕を前に振り出すスポーツをする際に、腕の前側の肌面と袖口140とが繰り返し擦れ合っても肌面と縫代とが擦れ合うことがないため違和感を感じにくく、衣料による着用者のストレスを低減することができる。さらに、袖口140が内折縫代部40iを有している部分にはストレッチ性や通気性等の機能性を付与することができるため、着用者の競技能力を発揮させることが容易となる。
図4〜図6を参照してさらに説明する。図6は図4に示したスポーツ用上衣100を矢印Bの方向から見た断面図であり、図6の上側が袖口上端140u、すなわち肩側であり、図6の下側が袖口下端140b、すなわち脇側である。外折縫代部40eは袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の80%以上に配置されていればよく、図6(a)に示すように袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の全てに配置され、さらに袖口上端140u及び袖口下端140bを超えて袖口後部142まで連続して配置されていてもよいし、図6(b)に示すように袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の80%以上に配置され、さらに袖口下端140bを超えて袖口後部142まで連続して配置されていてもよいし、図6(c)に示すように袖口前部141だけに配置されていてもよい。外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。また、外折縫代部40eが袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2にも配置される場合は、外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。外折縫代部40eの形成される範囲が上記値であれば、袖口140と擦れ合うことによる違和感を感じにくく着用者のストレスを低減でき、かつ、機能性を有するスポーツ用上衣100とすることができる。
外折縫代部40eが袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の全てに配置されている図4〜図6(a)及び図6(c)に示すような態様では、前身頃101に切替部を設ける必要がないため、例えば図4に示したようにデザイン性の観点から切替部92を設けてラグラン袖とすること等が可能となる。また、図4〜図6(a)に示すような態様では、領域L1から袖口上端140uを超えて連続して領域L2まで外折縫代部40eが形成されているため、図5に示すように袖部130の上部の外折縫代部40eと内折縫代部40iとの境目でパターンが切り替えられるように後身頃102に切替部93を設けることが好ましい。但し、切替部93の形状は図5に示したものに限定されない。
図7〜図9に示すように、袖口140は袖口上端140u及び袖口下端140bを境界として前身頃101側の袖口前部141と後身頃102側の袖口後部142とを有しており、袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の80%以上に外折縫代部40eが配置されていることが好ましい。袖口後部142の80%以上に外折縫代部40eを有していることで、ランニング等の腕を後に引く動作を繰り返すスポーツをする際に、腕の後側と袖口140とが繰り返し擦れ合っても肌面と縫代とが擦れ合うことがないため違和感を感じにくく、衣料による着用者のストレスを低減することができる。さらに、袖口140が内折縫代部40iを有している部分にはストレッチ性や通気性等の機能性を付与することができるため、着用者の競技能力を発揮させることが容易となる。
図7〜図9を参照してさらに説明する。図9は図7に示したスポーツ用上衣100を矢印Cの方向から見た断面図であり、図9の上側が袖口上端140u、すなわち肩側であり、図9の下側が袖口下端140b、すなわち脇側である。外折縫代部40eは袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の80%以上に配置されていればよく、図9(a)に示すように袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の全てに配置され、さらに袖口上端140u及び袖口下端140bを超えて袖口前部141まで連続して配置されていてもよいし、図9(b)に示すように袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の全てに配置され、さらに袖口上端140uを超えて袖口前部141まで連続して配置されていてもよいし、図9(c)に示すように袖口後部142だけに配置されていてもよい。外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口上端140uから袖口後部142を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L2の80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。また、外折縫代部40eが袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1にも配置される場合は、外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口上端140uから袖口前部141を経由して袖口下端140bに至るまでの領域L1の30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。外折縫代部40eの形成される範囲が上記値であれば、袖口140と擦れ合うことによる違和感を感じにくく着用者のストレスを低減でき、かつ、機能性を有するスポーツ用上衣100とすることができる。
図7〜図9(a)、及び図9(b)に示すような態様では、領域L2から袖口上端140uを超えて連続して領域L1まで外折縫代部40eが形成されているため、図7に示すように袖部130の上部の外折縫代部40eと内折縫代部40iとの境目でパターンが切り替えられるように前身頃101に切替部93を設けることが好ましい。但し、切替部93の形状は図7に示したものに限定されない。また、図7〜図9(a)に示すような態様では、領域L2から袖口下端140bを超えて連続して領域L1で外折縫代部40eが形成されているため、図7に示すように袖部30の下部の外折縫代部40eと内折縫代部40iとの境目でパターンが切り替えられるように前身頃101に切替部94を設けることが好ましい。このとき、図7に示した切替部94のように切替部を袖部130に設けてラグラン袖のデザインとすることもできるし、図1に示した切替部91のように切替部を胴部120に繋がるように設けてもよいし、その他どのようなデザインで設けてもよい。
さらに本発明の一実施形態においては、図10に示すように、外折縫代部40eが袖部140の下部に設けられ、内折縫代部40iが袖部140の上部に設けられていてもよい。このとき、外折縫代部40eは、袖口下端140bから連続して領域L1及び領域L2に設けられていることが好ましい。外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口下端140bから袖口前部141を経由して袖口上端140uに至るまでの領域L1の50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%である。また、外折縫代部40eの形成される範囲は、袖口下端140bから袖口後部142を経由して袖口上端140uに至るまでの領域L2の60%以下が好ましく、より好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは40%以下である。さらに、外折縫代部40eの形成される範囲は、領域L1及びL2においてそれぞれ独立に20%以上が好ましく、25%以上がより好ましい。外折縫代部40eの形成される範囲が上記値であれば、袖口140と擦れ合うことによる違和感を感じにくく着用者のストレスを低減でき、かつ、機能性を有するスポーツ用上衣100とすることができる。
次に、図11〜図18を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るスポーツ用衣料について説明する。図11〜図18は、腰部220と裾部230とを備えているスポーツ用衣料、すなわちスポーツ用下衣200を示す図である。図11及び図15はぞれぞれ異なる実施の形態に係るスポーツ用下衣200の正面図、すなわちスポーツ用下衣200の前身頃201の平面図を表し、図12及び図16はそれぞれ図11及び図15に示したスポーツ用下衣200の背面図、すなわち、スポーツ用下衣200の後身頃202の平面図を表し、図13及び図17は図11及び図15に示したスポーツ用下衣200のそれぞれ矢印D及び矢印F方向から見た側面図を表し、図14及び図18はそれぞれ図11及び図15に示したスポーツ用下衣200の裾口240の矢印E及び矢印G側から見た断面図を表している。
図11〜図18に示すように、本発明の一実施形態に係るスポーツ用衣料は腰部220と裾部230とを備えているスポーツ用下衣200であって、裾部230が、裾口240を内側に折り曲げている内折縫代部40iと、裾口240を外側に折り曲げている外折縫代部40eとを有している。裾部230が裾口240を外側に折り曲げている外折縫代部40eを有している部分では、着用者の肌面に接する裾口240の内側に縫代が折り曲げられないため、肌面と縫代とが接することない。その結果、肌面が縫代と擦れることによる違和感を感じにくく、着用者のストレスを低減できるスポーツ用下衣200とすることができる。裾部230が裾口240を内側に折り曲げている内折縫代部40iを有している部分は、布端をロックミシンやジグザグミシン等による端ミシン等一般的な方法で始末した後、内側に折り曲げて縫合する等通常の方法で作製することができ、この部分にストレッチ性や通気性等の機能性を付与することが可能である。このように、肌面と接しやすい裾口240の部位には外折縫代部40eを配置し、それ以外の部分には内折縫代部40iを配置することにより、肌面と縫代とが擦れることによる違和感を感じにくく、かつ、機能性を有するスポーツ用下衣200とすることができる。
裾部230の裾丈は、膝と同じか又は膝より短いことが好ましい。このような裾丈を有するスポーツ用下衣200は、脚の活発な動きを伴う様々なスポーツを行う際に着用することができる。
図11〜14に示すように、裾口240は裾口外端240e及び裾口内端240iを境界として前身頃201側の裾口前部241と後身頃202側の裾口後部242とを有しており、裾口外端240eから裾口前部241を経由して裾口内端240iに至るまでの領域L3の80%以上に外折縫代部40eが配置されていることが好ましい。裾口前部241の80%以上に外折縫代部40eを有していることで、バレーボール、バスケットボール、サッカー、マラソン等の脚を前に振り出したり振り上げたりするスポーツやテニス、卓球等の脚の俊敏な動きが求められるラケット競技スポーツをする際に、脚の前側と裾口240とが繰り返し擦れ合っても肌面と縫代とが擦れ合うことがないため違和感を感じにくく、衣料による着用者のストレスを低減することができる。さらに、裾口240が内折縫代部40iを有している部分にはストレッチ性や通気性等の機能性を付与することができるため、着用者の競技能力を発揮させることが容易となる。
図11〜図14を参照してさらに説明する。図13は図11に示したスポーツ用下衣200を矢印Dの方向から見た側面図、すなわち左脚部を外股側から見た側面図である。図14は図11に示したスポーツ用下衣200を矢印Eの方向から見た断面図であり、図14の上側が裾口外端240e、すなわち外股側であり、図14の下側が裾口内端240i、すなわち内股側である。外折縫代部40eは裾口外端240eから裾口前部241を経由して裾口内端240iに至るまでの領域L3の80%以上に配置されていればよく、図11〜図14(a)に示すように裾口外端240eから裾口前部241を経由して裾口内端240iに至るまでの領域L3の全て、すなわち100%に配置されており、さらに裾口内端240i及び裾口外端240eを超えて連続して、裾口外端240eから裾口後部242を経由して裾口内端240iに至るまでの領域L4に配置されていてもよい。外折縫代部40eの形成される範囲は、裾口外端240eから裾口前部241を経由して裾口内端240iに至るまでの領域L3の80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。外折縫代部40eが裾口外端240eから裾口後部242を経由して裾口内端240iに至るまでの領域L4にも配置されている場合の外折縫代部40eの形成される範囲は、裾口外端240eから裾口後部242を経由して裾口内端240iに至るまでの領域L4の30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。外折縫代部40eの形成される範囲が上記値であれば、裾口240と擦れ合うことによる違和感を感じにくく着用者のストレスを低減でき、かつ、機能性を有するスポーツ用上衣100とすることができる。
裾口240に外折縫代部40eと内折縫代部40iを形成するには、外折縫代部40eと内折縫代部40iとの境目で縫代を外折と内折に切り替える必要があるが、これは外折縫代部40eと内折縫代部40iとの境目に切替部を設けることにより可能となる。図12には、上記切替部の例として切替部95及び96を示している。切替部95及び96は一例であり、その他任意の形状を有していてもよい。図12及び図13に示すように、前身頃201のパターンと後身頃202のパターンに加えて裾部230の内股部及び外股部を形成するパターンを用いることで、裾口240に外折縫代部40eと内折縫代部40iを形成することが容易となる。
ここで、裾口外端240e及び裾口内端240iとは、図11等に示すようにスポーツ用下衣200を後身頃202を下にして平らに置いたときの裾部230の外股側と内股側の両端を意味している。上記のように裾口240に外折縫代部40eと内折縫代部40iを形成するには切替部を設ける場合があることや、さらにデザインによっては様々なパターンを用いる場合があるため、パターンの前身頃と後身頃とが均等ではなく、パターンの裾口外端と裾口内端が場合によって異なることもあるが、本明細書における裾口外端240e及び裾口内端240iは上記定義に従うものとする。
さらに本発明の他の実施の形態に係るスポーツ用下衣200を、図15〜図18を参照してさらに説明する。図17は図15に示したスポーツ用下衣200を矢印Fの方向から見た側面図、すなわち左脚部の内股側から見た側面図である。図18は図15に示したスポーツ用下衣200を矢印Gの方向から見た断面図であり、図18の上側が裾口外端240e、すなわち外股側であり、図14の下側が裾口内端240i、すなわち内股側である。図15〜図18に示すように、外折縫代部40eは裾口前部241から裾口内端240iを超えて連続して裾口後部242の一部に配置されており、内折縫代部40iは裾口後部242から裾口外端240eを超えて連続して裾口前部241の一部に配置されていることが好ましい。このように、外折縫代部40eが内股側に配置されていることで、バレーボールやバスケットボール、サッカー等の球技や競歩等、及びテニス、卓球等ラケット競技スポーツのように脚をクロスさせたり内股側に動作させるスポーツを行う際に、脚の内側と裾口240とが繰り返し擦れ合っても肌面と縫代とが擦れ合うことがないため違和感を感じにくく、衣料による着用者のストレスを低減することができる。
この場合も、上記と同様に、切替部98や切替部99等を設けることで、裾口240に外折縫代部40eと内折縫代部40iを形成することが容易となる。
内折縫代部40iは縫合により固定されており、外折縫代部40eは接着テープ50等による接着により固定されていることが好ましい。図19及び図20を参照しつつ説明する。図19は袖口140又は裾口240における内折縫代部40iと外折縫代部40eとの境界部分を表面側から見た拡大図を表し、図20は図19に示した部分を裏面側から見た拡大図を表す。ここで、表面側とは衣料を着用した際の着用者とは反対側を意味し、裏面側とは衣料を着用した際の着用者の肌に向く側を意味する。内折縫代部40iが縫合により固定されていれば、ストレッチ性や通気性を有する素材の機能性を損なうことなく固定することができる。また、外折縫代部40eが接着テープ50等による接着により固定されていれば、図20に示すように、外折縫代部40eが形成されている部分の裏面側にはに縫い目60が存在しないため、縫い目60が肌面を刺激することを防止できる。
接着の方法としては、転写、ポリマーク等によるホットメルトによる接着、プリントによる接着、及び接着テープ50による接着等の接着方法を採用することができるが、接着部分が硬くならないこと、布端の処理が必要なく布端処理部80を設けなくてよいこと等の観点から接着テープ50による接着が好ましい。接着テープ50を構成する基布の材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、アクリル等の合成繊維や、上記合成繊維と綿等の天然繊維との混合繊維に加えて、フィルムやホットメルトよりも融点の高い樹脂等が挙げられる。接着テープ50の接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、オレフィン系接着剤等が挙げられ、中でもポリウレタン系接着剤が伸びやすいため好ましい。
図19及び図20に示すように、内折縫代部40iと外折縫代部40eとの境界には、内折縫代部40iを形成する部材と外折縫代部40eを形成する部材とが縫合された縫合部70が形成されていることが好ましい。これにより、内折縫代部40iと外折縫代部40eを容易に形成することができる。縫合部70には布端処理部80が形成されていてもよい。このとき、縫合部70の縫代は内折縫代部40iが形成されている側に倒されていることが好ましい。縫合部70の縫代が内折縫代部40iが形成されている側に倒されていれば、図20に示すように、外折縫代部40eが形成されている部分の裏面側には縫合部70や布端処理部80が存在しないため、肌面が刺激されにくく着用者のストレスを低減することができる。
本発明の実施の形態に係るスポーツ用衣料(スポーツ用上衣100及びスポーツ用下衣200)を構成する材料は、衣料に一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、布地(織布、編布、不織布等)、樹脂フィルム、これらを組み合わせた材料等を用いることができる。例えば、織布を用いる場合、織布の織組織は特に限定されず、公知の織組織を採用すればよい。織布の織組織としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。編布を用いる場合、編布の編組織も特に限定されず、公知の編組織を採用すればよい。編布の編組織としては、平編、ゴム編、両面編、ハーフ編等が挙げられる。布地を構成する繊維としては、例えば、綿、絹等の天然繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン等の合成繊維、及びこれらを混合した混合繊維が挙げられる。