JP2021098405A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】要求性能に応じたベルトを容易に製造可能な空気入りタイヤを提供する。【解決手段】空気入りタイヤ10は、カーカス16と、カーカス16のタイヤ径方向外側に配置され、タイヤ周方向に螺旋状に巻回されたベルトコード30が樹脂材料32で被覆されて構成されたスパイラルベルト26と、スパイラルベルト26の径方向外側に配置されるトレッド36と、を備え、スパイラルベルト26は、タイヤ幅方向両側に配置され、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときにタイヤ幅方向外側に向けて径が減少するように湾曲したショルダー領域ベルト部26Sと、一方のショルダー領域ベルト部26Sと他方のショルダー領域ベルト部26Sとの間に配置され、ショルダー領域ベルト部26Sよりも曲率半径が大きく形成されたセンター領域ベルト部26Cとが接合されて形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂層を備えたベルトを有する空気入りタイヤに関する。
自動車に装着する空気入りタイヤとして、カーカスのタイヤ径方向外側に樹脂層を含んで構成されたベルトを備えた空気入りタイヤがある(例えば、特許文献1参照)。
ベルトコードをゴムで被覆したベルトを有する一般的な空気入りタイヤでは、タイヤ成型ドラムの外周に、カーカスコードを生ゴム被覆して構成されたカーカスプライを円筒状に巻き付け、その外周にベルトプライを生ゴムで被覆して構成されたベルトプライを貼り付けた後、カーカスプライの内部に気体を充填してカーカスプライをベルトプライに圧着すると共に、カーカスプライ、及びベルトの拡径を行って生タイヤを形成している。
一方、ベルトコードを熱可塑性樹脂で被覆して形成したベルト(以後、適宜樹脂ベルトと呼ぶ)は、例えば、ベルトを成型するための専用のベルト成型ドラムの外周に、熱可塑性樹脂で被覆されたコード、言い換えれば、樹脂被覆コードを、隣り合う樹脂被覆コードの樹脂同士が融着するように熱可塑性樹脂を溶融しながらドラム外周面に螺旋状に巻回し、その後、冷却して樹脂を硬化さることで形成することができる。
このようにして成型した樹脂ベルトは、樹脂が硬化しており、生ゴム対比で硬いため、生ゴムでコードを被覆したベルトプライのように拡張することは困難である。このため、ベルト成型ドラムから外した樹脂ベルトを、タイヤ成型ドラムに巻き付けたカーカスプライの外周側に配置し、その後、カーカスプライを拡張してカーカスプライと樹脂ベルトとを圧着して、生タイヤを形成する必要がある。
空気入りタイヤは、要求する性能に応じて、ベルトのタイヤ幅方向中央側とショルダー側とで特性等を異ならせることが好ましいが、樹脂ベルトを採用すると、タイヤの種類毎に複数種類の樹脂ベルトを成型しなければならず、改善の余地があった。
本発明は上記事実を考慮し、要求性能に応じたベルトを容易に製造可能な空気入りタイヤの提供を目的とする。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され、ベルトコードが樹脂材料で被覆されて構成されたベルトと、前記ベルトの径方向外側に配置されるトレッドと、を備え、前記ベルトは、タイヤ幅方向両側に配置され、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときにタイヤ幅方向外側に向けて径が減少するように湾曲したショルダー領域ベルト部と、一方の前記ショルダー領域ベルト部と他方の前記ショルダー領域ベルト部との間に配置され、前記ショルダー領域ベルト部よりも曲率半径が大きく形成されたセンター領域ベルト部とが接合されて形成されている。
請求項1に記載の空気入りタイヤのスパイラルベルトは、センター領域ベルト部とショルダー領域ベルト部とを接合して形成しているので、センター領域ベルト部とショルダー領域ベルト部とを個別に形成しておくことができる。
したがって、一例として、センター領域ベルト部の性能とショルダー領域ベルト部の性能とを異ならせることができ、各々の領域に最適な性能を持たせることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ベルトは、ベルトコードが螺旋状に巻回されたスパイラルベルトである。
通常のスパイラルベルトは、ベルトの一端側から他端側まで、樹脂材料で被覆した単一のコードを螺旋状に巻回しているため、ベルトの剛性等の性能はベルト幅方向に一様であるが、請求項2に記載の空気入りタイヤのスパイラルベルトは、センター領域ベルト部の性能とショルダー領域ベルト部とを個別に形成できるので、スパイラル構造であっても、領域毎に性能を異ならせることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ショルダー領域ベルト部とセンター領域ベルト部との接合面は、タイヤ周方向と平行に形成されている。
請求項3に記載の空気入りタイヤでは、ショルダー領域ベルト部とセンター領域ベルト部との接合面が、タイヤ周方向と平行に形成されている。
即ち、ショルダー領域ベルト部のセンター領域ベルト部側の端面はタイヤ周方向と平行に形成され、センター領域ベルト部のショルダー領域ベルト部側の端面は、各々タイヤ周方向と平行に形成されていることになり、ショルダー領域ベルト部の端面とセンター領域ベルト部の端面とを全体的に密着させて両者の接合を確実に行うことが可能となる。
即ち、ショルダー領域ベルト部のセンター領域ベルト部側の端面はタイヤ周方向と平行に形成され、センター領域ベルト部のショルダー領域ベルト部側の端面は、各々タイヤ周方向と平行に形成されていることになり、ショルダー領域ベルト部の端面とセンター領域ベルト部の端面とを全体的に密着させて両者の接合を確実に行うことが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記接合面では、前記ショルダー領域ベルト部の前記樹脂材料と前記センター領域ベルト部の前記樹脂材料とが融着されている。
請求項4に記載の空気入りタイヤでは、ショルダー領域ベルト部の樹脂材料とセンター領域ベルト部の樹脂材料とが融着により接合されているので、接着剤等を用いて接合する場合に比較して高い接合強度を得ることができる。
以上説明したように、本発明の空気入りタイヤによれば、要求性能に応じたベルトを容易に製造できる、という優れた効果を有する。
図1乃至図4を用いて、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10について説明する。
図1では、標準リム19に取り付けた空気入りタイヤ10の空気充填前(内圧=大気圧)の自然状態の形状を示している。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、例えば、乗用車に用いられる所謂ラジアル空気入りタイヤであり、ビードコア12が埋設された一対のビード部20を備え、一方のビード部20と他方のビード部20との間に、1枚のカーカスプライ14からなるカーカス16が跨っている。
図1では、標準リム19に取り付けた空気入りタイヤ10の空気充填前(内圧=大気圧)の自然状態の形状を示している。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、例えば、乗用車に用いられる所謂ラジアル空気入りタイヤであり、ビードコア12が埋設された一対のビード部20を備え、一方のビード部20と他方のビード部20との間に、1枚のカーカスプライ14からなるカーカス16が跨っている。
カーカスプライ14は、空気入りタイヤ10のラジアル方向に延びる複数本のコード(図示せず)をコーティングゴム(図示せず)で被覆して形成されている。即ち、本実施形態の空気入りタイヤ10は、所謂ラジアル空気入りタイヤである。カーカスプライ14のコードの材料は、例えば、PETであるが、従来公知の他の材料であっても良い。
カーカスプライ14は、タイヤ幅方向の端部分がビードコア12をタイヤ径方向外側に折り返されている。カーカスプライ14は、一方のビードコア12から他方のビードコア12に跨る部分が本体部14Aと呼ばれ、ビードコア12から折り返されている部分が折り返し部14Bと呼ばれる。
本実施形態の空気入りタイヤ10におけるカーカスプライ14の本体部14Aの断面形状は、従来一般の空気入りタイヤと略同様の断面形状であるが、タイヤ赤道面CL付近は半径がタイヤ幅方向に一定で平坦(言い換えれば曲率半径が無限大)な形状であり、ショルダー付近においてはタイヤ幅方向外側に向けて半径が漸減している。
カーカスプライ14の本体部14Aと折返し部14Bとの間には、ビードコア12からタイヤ径方向外側に向けて厚さが漸減するビードフィラー18が配置されている。
カーカス16の空気入りタイヤ内側には、ゴムからなるインナーライナー22が配置されている。一方、カーカス16のタイヤ幅方向外側には、ビード部20、及びサイド部24の外面を形成するサイドゴム層24Aが配置されている。
本実施形態では、ビードコア12、カーカス16、ビードフィラー18、インナーライナー22、及びサイドゴム層24Aによってタイヤケース25が構成されている。タイヤケース25は、言い換えれば、空気入りタイヤ10の骨格を成す空気入りタイヤ骨格部材のことである。
(スパイラルベルト)
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、カーカス16の外周部を拘束してタガ効果を得るためのスパイラルベルト26が配置されている。本実施形態のスパイラルベルト26は、回転軸に沿った断面で見たときに、タイヤ幅方向中央部分がタイヤ回転軸に平行な直線状に形成されているが、タイヤ幅方向両端部分は、タイヤ幅方向外側に向けて径が漸減しており、タイヤ径方向内側へ湾曲している。言い換えれば、スパイラルベルト26は、回転軸に沿った断面で見たときに、タイヤ幅方向中央部分の曲率半径Rcが無限大である。
カーカス16のクラウン部の外側、言い換えればカーカス16のタイヤ径方向外側には、カーカス16の外周部を拘束してタガ効果を得るためのスパイラルベルト26が配置されている。本実施形態のスパイラルベルト26は、回転軸に沿った断面で見たときに、タイヤ幅方向中央部分がタイヤ回転軸に平行な直線状に形成されているが、タイヤ幅方向両端部分は、タイヤ幅方向外側に向けて径が漸減しており、タイヤ径方向内側へ湾曲している。言い換えれば、スパイラルベルト26は、回転軸に沿った断面で見たときに、タイヤ幅方向中央部分の曲率半径Rcが無限大である。
本実施形態のスパイラルベルト26は、複数本(本実施形態では2本)のベルトコード30を樹脂材料32で被覆した樹脂被覆コード34を螺旋状に巻回することで形成されている。したがって、ベルトコード30は、タイヤ周方向に対して略平行(厳密には、タイヤ周方向に数度程度傾斜)とされている。また、スパイラルベルト26を平面視すると、ベルトコード30は互いに平行に配置されている。
ベルトコード30は、カーカスプライ14のコードよりも太く、かつ、強力(引張強度)が大きいものを用いることが好ましい。スパイラルベルト26のベルトコード30は、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)で構成することができる。本実施形態のベルトコード30は、スチールコードである。ベルトコード30としては、例えば、直径が0.225mmの“1×5”のスチールコードを用いることができるが、従来公知の他の構造のスチールコードを用いることもできる。
ベルトコード30を被覆する樹脂材料32には、サイドゴム層24Aを構成するゴム材料、及び後述するトレッド36を構成するトレッドゴム層36Aを構成するゴム材料よりも引張弾性率の高い樹脂材料を用いることができる。ベルトコード30を被覆する樹脂材料32としては、弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。走行時の弾性と製造時の成型性を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78°C以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸びが50%以上、JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。
ベルトコード30を被覆する樹脂材料32の引張弾性率(JIS K7113:1995に規定される)は、100MPa以上が好ましい。また、ベルトコード30を被覆する樹脂材料32の引張弾性率の上限は、1000MPa以下とすることが好ましい。なお、ベルトコード30を被覆する樹脂材料32の引張弾性率は、200〜700MPaの範囲内が特に好ましい。
本実施形態のスパイラルベルト26の厚さは、ベルトコード30の直径寸法よりも大きくすることが好ましい、言い換えれば、ベルトコード30が完全に樹脂材料32に埋設されていることが好ましい。スパイラルベルト26の厚さは、空気入りタイヤ10が乗用車用の場合、具体的には、0.70mm以上とすることが好ましい。
(トレッド)
スパイラルベルト26のタイヤ径方向外側には、トレッド36を構成するゴム等の弾性材料からなるトレッドゴム層36Aが配置されている。なお、トレッドゴム層36Aは、トレッド36の接地端36Eを超えてサイド部24に向けて延びており、ショルダー部(バットレス部とも呼ぶ)38の外面も形成している。
スパイラルベルト26のタイヤ径方向外側には、トレッド36を構成するゴム等の弾性材料からなるトレッドゴム層36Aが配置されている。なお、トレッドゴム層36Aは、トレッド36の接地端36Eを超えてサイド部24に向けて延びており、ショルダー部(バットレス部とも呼ぶ)38の外面も形成している。
なお、接地端36Eとは、以下に説明する接地幅TWの端部をいう。トレッド36の接地幅TWとは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2019年度版、日本自動車空気入りタイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、静止した状態で水平な平板に対して回転軸が平行となるように配置し、最大の負荷能力に対応する質量を加えたときのものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
なお、本実施形態のショルダー部38は、一例として、接地端36Eと空気入りタイヤ10の断面高さSHの77%位置との間の領域をいう。
トレッドゴム層36Aに用いるゴム材料は、従来一般公知のものが用いられる。トレッド36には、タイヤ周方向に沿って延びる周方向主溝40A、40Bが形成されている。なお、トレッド36のパターンには、従来一般公知のものを用いることができ、横溝(図示せず)等が形成されていてもよい。
タイヤ軸方向に沿って計測するスパイラルベルト26の幅BWは、タイヤ軸方向に沿って計測するトレッド36の接地幅TWに対して75%以上とすることが好ましい。なお、スパイラルベルト26の幅BWの上限は、接地幅TWに対して110%とすることが好ましい。
トレッド36には、接地端36Eのタイヤ幅方向内側に、周方向に延びる周方向主溝40A、40Bが形成されている。
なお、スパイラルベルト26のベルト端26Eは、必要に応じて有機繊維コード等を含むレイヤーで覆ってもよい。
(スパイラルベルトの構造、及び製造方法)
スパイラルベルト26は、センター領域ベルト部26Cとショルダー領域ベルト部26Sとが接合されて形成されている。なお、図中、符号CFで示す部分が、センター領域ベルト部26Cとショルダー領域ベルト部26Sとの接合面である。
スパイラルベルト26は、センター領域ベルト部26Cとショルダー領域ベルト部26Sとが接合されて形成されている。なお、図中、符号CFで示す部分が、センター領域ベルト部26Cとショルダー領域ベルト部26Sとの接合面である。
本実施形態の接合面CFは、タイヤ周方向に沿って形成され、かつスパイラルベルト26の表面に対して直角とされている。
接合面CFの位置は、最外の周方向主溝40Bよりもタイヤ赤道面CL側に設けることができる。
本実施形態のスパイラルベルト26は、以下の様にして形成されている。
(1) 図2(A)、(B)に模式的に示すように、ショルダー領域ベルト部26Sは、タイヤ幅方向端部に向けて半径が漸減して湾曲した外周面(軸線に沿った断面でみたときの曲率半径はRs)を有する第1のベルト成型ドラム60を用いて形成する。また、センター領域ベルト部26Cは、軸方向に一定径(軸線に沿った断面でみたときの曲率半径Rc=∞)に形成された第2のベルト成型ドラム62を用いて形成する。なお、軸線に沿った断面で見たときに、第2のベルト成型ドラム62の外周面は、第1のベルト成型ドラム60の外周面よりも大きな曲率半径を有した湾曲形状であってもよい。
(1) 図2(A)、(B)に模式的に示すように、ショルダー領域ベルト部26Sは、タイヤ幅方向端部に向けて半径が漸減して湾曲した外周面(軸線に沿った断面でみたときの曲率半径はRs)を有する第1のベルト成型ドラム60を用いて形成する。また、センター領域ベルト部26Cは、軸方向に一定径(軸線に沿った断面でみたときの曲率半径Rc=∞)に形成された第2のベルト成型ドラム62を用いて形成する。なお、軸線に沿った断面で見たときに、第2のベルト成型ドラム62の外周面は、第1のベルト成型ドラム60の外周面よりも大きな曲率半径を有した湾曲形状であってもよい。
ショルダー領域ベルト部26S、及びセンター領域ベルト部26Cは、ドラム外周面に、外面の樹脂材料を溶融させた樹脂被覆コード34を螺旋状に隙間なく巻回し、互いに隣接する一方の樹脂被覆コード34の樹脂材料32と他方の樹脂被覆コード34の樹脂材料32とを融着させて円筒状に形成し、樹脂材料32を冷却して固化させる。
(2) 次に、第1のベルト成型ドラム60を縮径させてショルダー領域ベルト部26Sを取り外し、第2のベルト成型ドラム62を縮径させてセンター領域ベルト部26Cを取り外す。
(3) 図3に示すように、センター領域ベルト部26Cのタイヤ幅方向両端部が、タイヤ周方向に一直線状となるように、言い換えれば段差が消滅するようにカッター(図示せず)等を用いてタイヤ周方向に沿って切断する。なお、図3において、符号Lcは、切断ラインを示す。
また、ショルダー領域ベルト部26Sは、センター領域ベルト部26Cと接合する側のタイヤ幅方向端部を、センター領域ベルト部26Cの両端部と同様に、タイヤ周方向に一直線状となるように、言い換えれば段差が消滅するようにタイヤ周方向に切断する。
また、ショルダー領域ベルト部26Sは、センター領域ベルト部26Cと接合する側のタイヤ幅方向端部を、センター領域ベルト部26Cの両端部と同様に、タイヤ周方向に一直線状となるように、言い換えれば段差が消滅するようにタイヤ周方向に切断する。
(4) 次に、図4に示すように、接合用のドラム64の外周面に、センター領域ベルト部26C、及び2つのショルダー領域ベルト部26Sを配置し、各々の端面の樹脂材料を熱風、熱鏝等を用いて溶融させてから密着させ、センター領域ベルト部26Cの樹脂材料32とショルダー領域ベルト部26Sの樹脂材料32とを融着させる。図4において、符号CFで示す線は、樹脂材料32が溶融して融着された融着部を示している。なお、センター領域ベルト部26Cとショルダー領域ベルト部26Sとの接合は、融着に限らず、接着剤を用いた接着でもよい。
(5) 以上のようにして、センター領域ベルト部26Cと2つのショルダー領域ベルト部26Sを融着して溶融部分が固化させることでスパイラルベルト26が完成する。スパイラルベルト26は、完成後に、接合用のドラム64を縮径して取り外し、通常の空気入りタイヤの製造方法の様にカーカスプライ14との接合に供することができる。
(作用、効果)
次に、本実施形態の作用、効果を説明する。
本実施形態のスパイラルベルト26は、センター領域ベルト部26Cと、その両側のショルダー領域ベルト部26Sと、個別に成型するので、空気入りタイヤ10に要求される様々な性能に応じて、センター領域ベルト部26Cの性能と、その両側のショルダー領域ベルト部26Sの性能とを容易に異ならせることができる。
次に、本実施形態の作用、効果を説明する。
本実施形態のスパイラルベルト26は、センター領域ベルト部26Cと、その両側のショルダー領域ベルト部26Sと、個別に成型するので、空気入りタイヤ10に要求される様々な性能に応じて、センター領域ベルト部26Cの性能と、その両側のショルダー領域ベルト部26Sの性能とを容易に異ならせることができる。
ここで、上記性能とは、スパイラルベルト26の構造により生じる性能のことであり、センター領域ベルト部26Cの性能と、その両側のショルダー領域ベルト部26Sの性能を異ならせる具体例としては、一例として以下のように構成を異ならせることで実現できる。
(1) センター領域ベルト部26Cと、ショルダー領域ベルト部26Sとで、ベルトコード30のピッチ(ベルト幅方向の間隔)を変える。一例として、樹脂被覆コード34を巻回する際のピッチを変える。なお、ベルトコード30のピッチを広げて巻回しても、樹脂被覆コード34の樹脂材料32を溶融させて樹脂材料32の幅を広げることで、隣り合う一方の樹脂被覆コード34の樹脂材料32と、他方の樹脂被覆コード34の樹脂材料32とを互いに融着することができる。
なお、樹脂被覆コード内の一対のベルトコード30の間隔が異なる2種類の樹脂被覆コード34を用いることでベルトコード30のピッチを変えることもできる。
なお、樹脂被覆コード内の一対のベルトコード30の間隔が異なる2種類の樹脂被覆コード34を用いることでベルトコード30のピッチを変えることもできる。
(2) センター領域ベルト部26Cと、ショルダー領域ベルト部26Sとで、ベルトコード30の構造(ロープの構造)を変える。
(3) センター領域ベルト部26Cと、ショルダー領域ベルト部26Sとで、ベルトコード30の径(太さ)を変える。
(4) センター領域ベルト部26Cと、ショルダー領域ベルト部26Sとで、ベルトコード30の材質を変える。一例として、センター領域ベルト部26Cのベルトコード30をスチールコードとし、ショルダー領域ベルト部26Sのベルトコード30を有機繊維コードとする(又はその逆)。
(5) センター領域ベルト部26Cの樹脂材料と、ショルダー領域ベルト部26Sの樹脂材料とで硬さを変える。
(6) センター領域ベルト部26Cの樹脂材料と、ショルダー領域ベルト部26Sの樹脂材料とに、種類の異なる樹脂材料を用いる。
(7) センター領域ベルト部26Cの樹脂材料と、ショルダー領域ベルト部26Sの樹脂材料とで厚さを変える。
(8) 以上(1)〜(7)を適宜組み合わせる。
なお、車両装着時、車両幅方向内側に位置させるショルダー領域ベルト部26Sと、車両幅方向外側に位置させるショルダー領域ベルト部26Sとで、構成を異ならせることもできる。これにより、空気入りタイヤ10の車両装着時の内側と外側とで性能を変えることができ、一例として、コーナリング性能等を向上させることも可能となる。
また、複数種類のショルダー領域ベルト部26Sと、複数種類のセンター領域ベルト部26Cとを予め形成しておき、必要に応じて、これらを組み合わせることで、性能や寸法の異なる複数のスパイラルベルトを容易に製造することもできる。
なお、センター領域ベルト部26Cの樹脂材料32と、ショルダー領域ベルト部26Sの樹脂材料とを溶融させて融着させているので、高い接合強度が得られているが、融着部CFは、歪みや応力の少ない部分、一例として、タイヤ最外側の周方向主溝40Bよりもタイヤ赤道面CL側に配置することが好ましい。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記実施形態では、ショルダー領域ベルト部26Sの端部、及びセンター領域ベルト部26Cの端部をタイヤ周方向に沿って切断して、互いの端部同士を融着にて接合したが、図5に示すように、端部をタイヤ周方向に切断していないショルダー領域ベルト部26Sと、センター領域ベルト部26Cとを、樹脂被覆コード34の端部(先端)34A同士が繋がるように配置して融着することもできる。これにより、ショルダー領域ベルト部26Sの端部、及びセンター領域ベルト部26Cの端部の切断作業が不要になる。
上記実施形態では、ショルダー領域ベルト部26Sの端部の樹脂材料と、センター領域ベルト部26Cの樹脂材料を溶融して密着させて融着による接合を行ったが、融着する際に、ショルダー領域ベルト部26Sの端部とセンター領域ベルト部26Cの端部との間に、別に用意した溶融した樹脂材料を供給して融着することもできる。別に用意する溶融した樹脂材料は、樹脂被覆コード34の樹脂材料32と同種の樹脂材料を用いることができるが、他の種類の樹脂材料を用いることもできる。これにより、ショルダー領域ベルト部26Sの端部とセンター領域ベルト部26Cの端部との間に隙間が生じないように融着させることができる。
上記実施形態では、ベルトがスパイラル構造とされたスパイラルベルト26であったが、ベルトは互いに平行に配置された複数本のコード層が複数層設けられて樹脂材料で被覆された、所謂交錯ベルトであってもよい。交錯ベルトであっても、ショルダー領域ベルト部と、センター領域ベルト部とを個別に形成して接合することで、コード層を部分的に追加するなどして層数を部分的に変更したり、ベルト補強層を別途設けたりせずに、ベルトにおけるセンター領域とショルダー領域の性能を容易に異ならせることができる。
上記実施形態では、本発明を乗用車用のタイヤに適用した例を説明したが、本発明は、例えば、バス、トラック用タイヤ、重荷重用タイヤ等、乗用車以外の他の種類のタイヤにも適用できる。
10…空気入りタイヤ、16…カーカス、26…スパイラルベルト(ベルト)、30…ベルトコード、32…樹脂材料、36…トレッド、26S…ショルダー領域ベルト部26、26C…センター領域ベルト部
Claims (4)
- 一方のビード部から他方のビード部に跨るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置され、ベルトコードが樹脂材料で被覆されて構成されたベルトと、
前記ベルトの径方向外側に配置されるトレッドと、
を備え、
前記ベルトは、タイヤ幅方向両側に配置され、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときにタイヤ幅方向外側に向けて径が減少するように湾曲したショルダー領域ベルト部と、一方の前記ショルダー領域ベルト部と他方の前記ショルダー領域ベルト部との間に配置され、前記ショルダー領域ベルト部よりも曲率半径が大きく形成されたセンター領域ベルト部とが接合されて形成されている、
空気入りタイヤ。 - 前記ベルトは、ベルトコードが螺旋状に巻回されたスパイラルベルトである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ショルダー領域ベルト部とセンター領域ベルト部との接合面は、タイヤ周方向と平行に形成されている、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ショルダー領域ベルト部の前記樹脂材料と前記センター領域ベルト部の前記樹脂材料とが融着にて接合されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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2019
- 2019-12-20 JP JP2019230179A patent/JP2021098405A/ja active Pending
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