JP2021098395A - 操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図りつつ、足回りフレーム部品に設けられるユニット支持部材の剛性を確保することができる操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両を提供する。【解決手段】操舵機能付ハブユニットは、ハブユニット本体2と、ハブユニット本体2を回転自在に支持するユニット支持部材3と、操舵用アクチュエータ5とを備える。上下の転舵軸部は、ユニット支持部材3に設けられた上下の内周円筒面形状の軸受嵌合凹部13にそれぞれ嵌合する一対の軸受を介してユニット支持部材3に支持される。ユニット支持部材3は、軸受嵌合凹部13の外周壁部34の全周のうち転舵軸部が径方向に挿入可能な側面開口34aaを有するC形の範囲を構成する壁部34aが設けられたユニット支持部材本体3Aと、外周壁部34の残り部分を構成しユニット支持部材本体3Aに取付けられる軸受ホルダ3Bとを有する。【選択図】図3
Description
この発明は、操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両に関し、走行状況に合わせ左右の車輪を適切な操舵角に制御することで、燃費の改善および走行安定性と安全性の向上を図る技術に関する。
一般的な自動車等の車両は、ハンドルとステアリング装置が機械的に接続され、また、ステアリング装置の両端はタイロッドによってそれぞれの左右輪につながっている。そのため、ハンドルの動きによる左右輪の切れ角度は初期の設定によって決まる。
車両のジオメトリには、(1) 左右輪の切れ角度が同じである「パラレルジオメトリ」、(2) 旋回中心を1か所にするために旋回内輪車輪角度を旋回外輪車輪角度よりも大きく切る「アッカーマンジオメトリ」が知られている。
車両のジオメトリには、(1) 左右輪の切れ角度が同じである「パラレルジオメトリ」、(2) 旋回中心を1か所にするために旋回内輪車輪角度を旋回外輪車輪角度よりも大きく切る「アッカーマンジオメトリ」が知られている。
アッカーマンジオメトリは、車両に作用する遠心力を無視できるような低速域での旋回において、車両をスムーズに旋回させるために、各輪が共通の一点を中心として旋回するように左右輪の舵角差を設定している。しかし、遠心力を無視できない高速域の旋回においては、車輪は遠心力とつり合う方向にコーナリングフォースを発生させることが望ましいため、アッカーマンジオメトリよりもパラレルジオメトリとすることが好ましい。
前述したように一般的な車両の操舵装置は機械的に車輪と接続されているため、一般的には固定された単一のステアリングジオメトリしか取ることができず、アッカーマンジオメトリとパラレルジオメトリとの中間的なジオメトリに設定されることが多い。しかし、この場合、低速域では左右輪の舵角差が不足して外輪の舵角が過大となり、高速域では内輪の舵角が過大となる。このように内外輪の車輪横力配分に不要な偏りがあると、走行抵抗の悪化による燃費悪化及びタイヤの早期摩耗の原因となり、また内外輪を効率的に利用できないので、コーナリングのスムーズさが損なわれるといった課題がある。
走行状況に応じてステアリングジオメトリを可変とした機構に関しては、例えば特許文献1が提案されている。この特許文献1では、モータ2個を使い、トー角とキャンバー角の両方を任意の角度に傾けることを可能にしている。また、4輪独立操舵の機構につき、特許文献2で提案されている。
また本件出願人は、ハブユニット全体をコンパクト化した操舵機能付ハブユニットを提案している(特許文献3)。この特許文献3の操舵機能付ハブユニットは、図16に示すように、ユニット支持部材53にハブユニット本体54が転舵軸心回りに回転自在に支持される。ハブユニット本体54は、ハブベアリング52およびこのハブベアリング52の外輪の外周から上下にトラニオン状に突出する転舵軸部55を有する。
図17に示すように、ユニット支持部材53は、ユニット支持部材本体50と、ユニット支持部材結合体51とを有する。ユニット支持部材本体50のアウトボード側端のうち上下の部分に、部分的な半凹球面状の嵌合孔形成部50aがそれぞれ形成されている。略リング状のユニット支持部材結合体51のインボード側側面のうち上下の部分には、部分的な半凹球面状の嵌合孔形成部51aがそれぞれ形成されている。図16および図17に示すように、ユニット支持部材本体50のアウトボード側端に、ユニット支持部材結合体51が複数のボルトにより結合され、各上下の部分につき、半凹球面状の嵌合孔形成部50a,51aが互いに組み合わされることにより、全周に連なる嵌合孔が形成される。この嵌合孔に転舵軸部55を支持する軸受が嵌合されている。
特許文献1では、モータを2個使っているため、モータ個数の増大によるコスト増が生じるだけでなく、制御が複雑になる。
特許文献2は、転舵軸に対しハブベアリングを片持ち支持しているため、剛性が低下し、過大な走行Gの発生によってステアリングジオメトリが変化してしまう可能性がある。
また、転舵軸上に減速機を設けた場合、モータを含めてサイズが大きくなる。サイズが大きくなると車輪の内周部に全体を配置することが困難となる。また、減速比の大きい減速機を設けた場合、応答性が悪化する。
また、転舵軸上に減速機を設けた場合、モータを含めてサイズが大きくなる。サイズが大きくなると車輪の内周部に全体を配置することが困難となる。また、減速比の大きい減速機を設けた場合、応答性が悪化する。
特許文献3では、車両走行時に、横力を受けるキャンバー方向の荷重、または段差を乗り越える時の車両前後荷重、車両上下荷重および前述の複合した荷重を転舵軸支持部(転舵軸部および軸受)が受ける。特許文献3では、半凹球面状の嵌合孔形成部50a,51aが互いに組み合わされボルトにより結合されているため、前記転舵軸支持部をユニット支持部材結合体51のボルトの締結力のみで保持している。このため、ユニット支持部材結合体51がユニット支持部材本体50から離脱しないように、ユニット支持部材の剛性および強度に留意することが肝要である。
上記のように従来の補助的な操舵機能を備えた機構は、車両において車輪のトー角またはキャンバー角を任意に変更することを目的としているため、モータおよび減速機構が複数必要になり複雑な構成となっている。また、剛性および強度を確保するためには大形化する必要があり重くなる。
また、キングピン軸と補助的な操舵機能を備えた機構の転舵軸が一致する場合は、構成要素部品がハブユニットの後方(車体側)に配置されるために全体のサイズが大きくなり重くなる。
また、キングピン軸と補助的な操舵機能を備えた機構の転舵軸が一致する場合は、構成要素部品がハブユニットの後方(車体側)に配置されるために全体のサイズが大きくなり重くなる。
転舵軸および転舵軸支持軸受は、車輪からの様々な方向からの荷重を支えるため、剛性、強度を高くする必要があるが、剛性確保のために単純に転舵軸および転舵軸支持軸受のサイズを大きくすると重量が増加し、車両の運動性能が低下する。また、転舵軸をタイヤホイール外に配置すると、転舵軸の中心から車輪の接地面中心までの距離が長くなり、車輪を操舵させる力が大きく必要になる。そのため操舵用アクチュエータが大きくなり、ひいてはハブユニット全体の重量が増加する。
ハブユニットを小形化するためには、転舵軸をタイヤホイール内に収める必要があるが、単純に小形化すると、転舵軸部の剛性・強度は低下してしまう。
ハブユニットを小形化するためには、転舵軸をタイヤホイール内に収める必要があるが、単純に小形化すると、転舵軸部の剛性・強度は低下してしまう。
この発明の目的は、ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図りつつ、足回りフレーム部品に設けられるユニット支持部材の剛性を確保することができる操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両を提供することである。
この発明の操舵機能付ハブユニットは、車輪を回転支持するハブベアリング、およびこのハブベアリングの固定輪またはこの固定輪に設けられた円環部の外周から上下にそれぞれ突出する転舵軸部を有するハブユニット本体と、
懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ、前記ハブユニット本体を上下の前記転舵軸部の転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材と、
前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータと、を備えた操舵機能付ハブユニットであって、
上下の前記転舵軸部は、前記ユニット支持部材に設けられた上下の内周円筒面形状の軸受嵌合凹部にそれぞれ嵌合する一対の軸受を介して前記ユニット支持部材に支持され、
前記ユニット支持部材は、前記軸受嵌合凹部の外周壁部の全周のうち、前記転舵軸部が径方向に挿入可能な側面開口を有するC形の範囲を構成する壁部が設けられたユニット支持部材本体と、前記外周壁部の残り部分を構成し前記ユニット支持部材本体に取り付けられる軸受ホルダとを有する。
懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ、前記ハブユニット本体を上下の前記転舵軸部の転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材と、
前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータと、を備えた操舵機能付ハブユニットであって、
上下の前記転舵軸部は、前記ユニット支持部材に設けられた上下の内周円筒面形状の軸受嵌合凹部にそれぞれ嵌合する一対の軸受を介して前記ユニット支持部材に支持され、
前記ユニット支持部材は、前記軸受嵌合凹部の外周壁部の全周のうち、前記転舵軸部が径方向に挿入可能な側面開口を有するC形の範囲を構成する壁部が設けられたユニット支持部材本体と、前記外周壁部の残り部分を構成し前記ユニット支持部材本体に取り付けられる軸受ホルダとを有する。
この構成によると、軸受嵌合凹部の外周壁部の全周のうち、C形の範囲を構成する壁部がユニット支持部材本体に設けられ、軸受および転舵軸部は、前記C形の範囲の壁部に支持されると共に、外周壁部の残り部分を構成する軸受ホルダで支持される。したがって、車両走行時に、キャンバー方向の荷重、車両前後方向の荷重、車両上下方向の荷重およびこれら複合した荷重を、剛性、強度の高いC形の範囲を構成する壁部のユニット支持部材本体を主体として支持することができる。転舵軸支持部をユニット支持部材結合体のボルト締結力のみで保持する従来構造では、複合荷重が転舵軸支持部に作用するのに起因してボルトに引張力およびせん断力が作用するのに対し、この発明の構成ではC形の範囲を構成する壁部のユニット支持部材本体を主体として複合荷重を受けることができる。このため、軸受ホルダをユニット支持部材本体に取り付ける部分に作用する荷重が低減し、例えば、軸受ホルダを固定するボルト等の取付用の部材に大きなせん断力が作用しないようにすることが可能となる。軸受ホルダをユニット支持部材本体に取り付ける部分に作用する荷重としては、前記壁部の側面開口が広がる方向の荷重が挙げられる。よって、ユニット支持部材全体の剛性、強度を高めることができる。車両が受ける様々な方向の荷重を、ユニット支持部材本体で受けることが可能となるため、ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図ることができる。
前記軸受ホルダは、前記転舵軸心および前記車輪の回転軸にそれぞれ直交する方向から前記ユニット支持部材本体に取り付けられていてもよい。この場合、軸受ホルダとブレーキディスク等とが干渉し難くなるため、ユニット支持部材本体の径方向および上下方向の肉厚を大きく確保することが可能となる。これによりユニット支持部材の剛性、強度を高めることができる。また、軸受ホルダが前記のようにユニット支持部材本体に取り付けられている場合、作業スペースを確保できてハブユニット本体の組立性が良くなる。
前記軸受ホルダは、車両の左右方向から前記ユニット支持部材本体に取り付けられていてもよい。この場合、転舵軸支持部をユニット支持部材結合体のボルト締結力のみで保持する構造よりも、ユニット支持部材全体の剛性、強度を高めることができる。
前記各軸受が前記車輪のホイール内に位置してもよい。この場合、転舵軸部がタイヤホイール外に配置される従来構造よりも、転舵軸部の中心から車輪の接地面中心までの距離を確実に短縮でき、車輪を操舵させる力を低減することができる。したがって、操舵用アクチュエータの小形化を図りハブユニット全体のコンパクト化および重量低減を図ることができる。これにより車両の運動性能を高めることができる。
この発明の操舵システムは、この発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットと、この操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを制御する制御装置とを備えた操舵システムであって、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部とを有する。
この構成によると、操舵制御部は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する。アクチュエータ駆動制御部は、操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して操舵用アクチュエータを駆動制御する。したがって、運転者のハンドル操作による操舵に付加して車輪角度を任意に変更することができる。
第1の発明の車両は、この発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットを用いて前輪が支持される。そのため、この発明の操舵機能付ハブユニットにつき前述した各効果が得られる。前輪は一般的に操舵輪とされるが、操舵輪に、この発明の操舵機能付ハブユニットを適用した場合は、走行中におけるトー角調整に効果的である。
第2の発明の車両は、この発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットを用いて後輪が支持される。そのため、この発明の操舵機能付ハブユニットにつき前述した各効果が得られる。後輪は一般的に非操舵輪とされるが、非操舵輪に適用した場合は、非操舵輪の若干の操舵によって低速走行時における最小回転半径の低減を図ることができる。
この発明の操舵機能付ハブユニットは、車輪を回転支持するハブベアリング、およびこのハブベアリングの固定輪またはこの固定輪に設けられた円環部の外周から上下にそれぞれ突出する転舵軸部を有するハブユニット本体と、懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ、前記ハブユニット本体を上下の前記転舵軸部の転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材と、前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータと、を備えた操舵機能付ハブユニットであって、上下の前記転舵軸部は、前記ユニット支持部材に設けられた上下の内周円筒面形状の軸受嵌合凹部にそれぞれ嵌合する一対の軸受を介して前記ユニット支持部材に支持され、前記ユニット支持部材は、前記軸受嵌合凹部の外周壁部の全周のうち、前記転舵軸部が径方向に挿入可能な側面開口を有するC形の範囲を構成する壁部が設けられたユニット支持部材本体と、前記外周壁部の残り部分を構成し前記ユニット支持部材本体に取り付けられる軸受ホルダとを有する。このため、ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図りつつ、足回りフレーム部品に設けられるユニット支持部材の剛性を確保することができる。
この発明の操舵システムは、この発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットと、この操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを制御する制御装置とを備えた操舵システムであって、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部とを有する。このため、ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図りつつ、足回りフレーム部品に設けられるユニット支持部材の剛性を確保することができる。
第1の発明の車両は、この発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットを用いて前輪が支持されたため、ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図りつつ、足回りフレーム部品に設けられるユニット支持部材の剛性を確保することができる。
第2の発明の車両は、この発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットを用いて後輪が支持されたため、ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図りつつ、足回りフレーム部品に設けられるユニット支持部材の剛性を確保することができる。
[第1の実施形態]
この発明の実施形態に係る操舵機能付ハブユニットを図1ないし図10と共に説明する。
<操舵機能付ハブユニットの概略構造>
図1に示すように、この操舵機能付ハブユニット1は、ハブユニット本体2と、ユニット支持部材3と、回転許容支持部品である軸受4と、操舵用アクチュエータ5とを備える。足回りフレーム部品であるナックル6に一体にユニット支持部材3が設けられている。このユニット支持部材3のインボード側に、操舵用アクチュエータ5のアクチュエータ本体7が設けられ、ユニット支持部材3のアウトボード側に、ハブユニット本体2が設けられる。操舵機能付ハブユニット1を車両に搭載した状態で、車両の車幅方向外側をアウトボード側といい、車両の車幅方向中央側をインボード側という。なお、操舵機能付ハブユニット1を単に、ハブユニット1と言う場合がある。
この発明の実施形態に係る操舵機能付ハブユニットを図1ないし図10と共に説明する。
<操舵機能付ハブユニットの概略構造>
図1に示すように、この操舵機能付ハブユニット1は、ハブユニット本体2と、ユニット支持部材3と、回転許容支持部品である軸受4と、操舵用アクチュエータ5とを備える。足回りフレーム部品であるナックル6に一体にユニット支持部材3が設けられている。このユニット支持部材3のインボード側に、操舵用アクチュエータ5のアクチュエータ本体7が設けられ、ユニット支持部材3のアウトボード側に、ハブユニット本体2が設けられる。操舵機能付ハブユニット1を車両に搭載した状態で、車両の車幅方向外側をアウトボード側といい、車両の車幅方向中央側をインボード側という。なお、操舵機能付ハブユニット1を単に、ハブユニット1と言う場合がある。
図2および図3に示すように、ハブユニット本体2とアクチュエータ本体7とはジョイント部8により連結されている。通常、このジョイント部8は、防水、防塵のために図示外のブーツが取り付けられている。
図1に示すように、ハブユニット本体2は、上下方向に延びる転舵軸心A回りに回転自在なように、上下二箇所で軸受4,4を介してユニット支持部材3に支持されている。転舵軸心Aは、車輪9の回転軸心Oとは異なる軸心であり、主な操舵を行うキングピン軸とも異なっている。通常の車両は、車両走行の直進安定性の向上を目的としてキングピン角度が10〜20度で設定されているが、この実施形態の操舵機能付ハブユニット1は、前記キングピン角度とは別の角度(軸)の転舵軸を有する。車輪9は、ホイール9aとタイヤ9bとを備える。
<操舵機能付ハブユニット1の設置箇所>
この操舵機能付ハブユニット1は、この実施形態では操舵輪である左右の前輪に装備されている。図13に示すように、操舵機能付ハブユニット1は、車両10の前輪9Fのステアリング装置11による操舵に付加して左右輪個別に微小な角度(約±5deg)を操舵させる機構として、懸架装置12のナックル6に一体に設けられる。但し、操舵輪の操舵機能付ハブユニット1において、車両制御の要求によっては、前記微小な角度に限らず例えば10°〜20°等の比較的大きな角度を左右輪個別に採ることもある。後述する図14、図15に示す操舵機能付ハブユニット1についても同様である。
この操舵機能付ハブユニット1は、この実施形態では操舵輪である左右の前輪に装備されている。図13に示すように、操舵機能付ハブユニット1は、車両10の前輪9Fのステアリング装置11による操舵に付加して左右輪個別に微小な角度(約±5deg)を操舵させる機構として、懸架装置12のナックル6に一体に設けられる。但し、操舵輪の操舵機能付ハブユニット1において、車両制御の要求によっては、前記微小な角度に限らず例えば10°〜20°等の比較的大きな角度を左右輪個別に採ることもある。後述する図14、図15に示す操舵機能付ハブユニット1についても同様である。
図2および図13に示すように、ステアリング装置11は、車体に取り付けられ、運転者のハンドル11aの操作、または図示外の自動運転装置、運転支援装置の指令等によって動作し、その進退するタイロッド14が、ユニット支持部材3のステアリング結合部6dに連結されている。ステアリング装置11は、ラック・ピニオン式等とされるが、どのタイプのステアリング装置でも構わない。懸架装置12は、例えば、ショックアブソーバをナックル6に直接固定するストラット式サスペンション機構を適用しているが、ダブルウィッシュボーン式サスペンション、マルチリンク式サスペンション機構、その他のサスペンション機構を適用してもよい。
<ハブユニット本体2について>
図1に示すように、ハブユニット本体2は、車輪9の支持用のハブベアリング15と、アウターリング16と、後述の操舵力受け部であるアーム部17(図3)とを備える。
図6に示すように、ハブベアリング15は、内輪18と、外輪19と、これら内外輪18,19間に介在したボール等の転動体20とを有し、車体側の部材と車輪9(図1)とを繋ぐ役目をしている。
図1に示すように、ハブユニット本体2は、車輪9の支持用のハブベアリング15と、アウターリング16と、後述の操舵力受け部であるアーム部17(図3)とを備える。
図6に示すように、ハブベアリング15は、内輪18と、外輪19と、これら内外輪18,19間に介在したボール等の転動体20とを有し、車体側の部材と車輪9(図1)とを繋ぐ役目をしている。
このハブベアリング15は、図示の例では、外輪19が固定輪、内輪18が回転輪となり、転動体20が複列とされたアンギュラ玉軸受とされている。内輪18は、ハブフランジ18aaを有しアウトボード側の軌道面を構成するハブ輪部18aと、インボード側の軌道面を構成する内輪部18bとを有する。図1に示すように、ハブフランジ18aaに、車輪9のホイール9aがブレーキロータ21aと重なり状態でボルト固定されている。内輪18は、回転軸心O回りに回転する。
図6に示すように、アウターリング16は、外輪19の外周面に嵌合された円環部16aと、この円環部16aの外周から上下に突出して設けられたトラニオン軸状の転舵軸部16b,16bとを有する。上下の取付軸部である各転舵軸部16bは、転舵軸心Aに同軸に設けられる。ここで、アウターリング16は外輪19と一体に形成されてもよい。この場合、上下の転舵軸部16b,16bは、外輪19の外周から上下に突出して設けられる。前記「一体に形成され」とは、アウターリング16と外輪19とが、複数の要素を結合したものではなく単一の材料から例えば鍛造、機械加工等により単独の物の一部として成形されたことを意味する。
図2に示すように、ブレーキ21は、ブレーキロータ21aと、ブレーキキャリパ21bとを有する。ブレーキキャリパ21bは、外輪19に一体にアーム状に突出して形成された上下二箇所のブレーキキャリパ取付部22(図4)に取付けられる。
<軸受およびユニット支持部材について>
図5および図6に示すように、各軸受4は転がり軸受から成る。この例では、転がり軸受として、円すいころ軸受が適用されている。転がり軸受は、転舵軸部16bの外周に嵌合された内輪4aと、ユニット支持部材3に嵌合された外輪4bと、内外輪4a,4b間に介在する複数の転動体4cとを有する。
図5および図6に示すように、各軸受4は転がり軸受から成る。この例では、転がり軸受として、円すいころ軸受が適用されている。転がり軸受は、転舵軸部16bの外周に嵌合された内輪4aと、ユニット支持部材3に嵌合された外輪4bと、内外輪4a,4b間に介在する複数の転動体4cとを有する。
図1に示すように、上下の転舵軸部16b,16bは、それぞれユニット支持部材3に設けられた上下の内周円筒面形状の軸受嵌合凹部13,13にそれぞれ嵌合する一対の前記軸受4,4を介して、ユニット支持部材3に支持されている。各軸受4は車輪9のホイール9a内に位置する。この例では、各軸受4が、ホイール9a内でこのホイール9a内の幅方向中間付近に配置される。
<ユニット支持部材3の分割構造等について>
図7および図8に示すように、ユニット支持部材3は、ユニット支持部材本体3Aと、軸受ホルダ3Bとを有する。なお図7〜図10では、操舵用アクチュエータが省略されている。ユニット支持部材本体3Aは、軸受嵌合凹部13の外周壁部34の全周のうち、転舵軸部16bが径方向に挿入および離脱可能な側面開口34aaを有するC形の範囲を構成する壁部34aが設けられている。このユニット支持部材本体3Aが、ナックル6に一体に設けられている。
図7および図8に示すように、ユニット支持部材3は、ユニット支持部材本体3Aと、軸受ホルダ3Bとを有する。なお図7〜図10では、操舵用アクチュエータが省略されている。ユニット支持部材本体3Aは、軸受嵌合凹部13の外周壁部34の全周のうち、転舵軸部16bが径方向に挿入および離脱可能な側面開口34aaを有するC形の範囲を構成する壁部34aが設けられている。このユニット支持部材本体3Aが、ナックル6に一体に設けられている。
図8、9および図10に示すように、軸受ホルダ3Bは、前記外周壁部34の残り部分を構成しユニット支持部材本体3Aに取り付けられる。軸受ホルダ3Bは、転舵軸心A(この例では車両上下方向A1)および車輪の回転軸つまり回転軸心Oにそれぞれ直交する方向(この例では車両前後方向A2)からユニット支持部材本体3Aに取り付けられて前記側面開口34aaを閉塞する。この例では、ユニット支持部材本体3Aの車両前後方向A2における一端に、上下の軸受ホルダ3B,3Bがそれぞれ複数のボルト33により着脱自在に結合される。ここでは、ユニット支持部材本体3Aと各軸受ホルダ3Bは、分解性を考慮してボルト締結としているが、例えば、加締め、溶接等他の固定方法でもよい。上下の軸受ホルダ3B,3Bは、同一形状であり部品の兼用性を高め得るが、他の構成部品との干渉等を考慮して互いの形状を変更してもよい。
ユニット支持部材本体3Aの側面開口34aaは、転舵軸部16bの直径D1より幅広で且つ軸受嵌合凹部13の外周壁部34の全周のうち、円周方向で1/2未満の範囲に形成されている。この実施形態の側面開口34aaは、ユニット支持部材本体3Aの剛性、強度、転舵軸部16bの組立性等を考慮して、転舵軸部16bの直径D1における寸法公差の上限値よりも例えば数mm程度大きい開口幅に形成されている。但し、側面開口34aaは、このような開口幅に限定されるものではなく、転舵軸部16bが径方向に挿入可能な側面開口34aaを有するC形の範囲を構成する壁部34aが設けられていれば足りる。
ユニット支持部材本体3Aの車両前後方向における一端に、上下の軸受ホルダ3B,3Bがそれぞれ結合され、各上下の部分につき、前記C形の範囲を構成する壁部34aと外周壁部34の残り部分とが互いに組み合わされることにより、上下の内周円筒面形状の軸受嵌合凹部13,13が形成される。各軸受嵌合凹部13に軸受4の外輪4bが嵌合されている。
図6および図8に示すように、各転舵軸部16bには、転舵軸心Aに沿って延びる雌ねじ部がそれぞれ形成され、この雌ねじ部に螺合するボルト23が設けられている。内輪4aの端面に円板状の押圧部材24を介在させ、前記雌ねじ部に螺合するボルト23により、内輪4aの端面に押圧力を付与することで、各軸受4にそれぞれ予圧を与えている。これにより各軸受4の剛性を高め得る。車両の重量がこのハブユニット1に作用した場合でも初期予圧が抜けないように設定される。なお、軸受4は、円すいころ軸受に限るものではなく、最大負荷等の使用条件によってはアンギュラ玉軸受を用いることも可能である。その場合も、上記と同様に予圧を与えることができる。
<組立>
ユニット支持部材3およびハブユニット本体2を組立てる際、先ず、上下の転舵軸部16b,16bを、ユニット支持部材本体3Aの各側面開口34aaから各軸受嵌合凹部内に挿入し、各軸受ホルダ3Bをそれぞれユニット支持部材本体3Aに締結する。その後、各軸受嵌合凹部13に軸受4の外輪外周面を嵌合し、押圧部材24およびボルト23を組付ける。
ユニット支持部材3およびハブユニット本体2を組立てる際、先ず、上下の転舵軸部16b,16bを、ユニット支持部材本体3Aの各側面開口34aaから各軸受嵌合凹部内に挿入し、各軸受ホルダ3Bをそれぞれユニット支持部材本体3Aに締結する。その後、各軸受嵌合凹部13に軸受4の外輪外周面を嵌合し、押圧部材24およびボルト23を組付ける。
<操舵用アクチュエータ5>
図3に示すように、操舵用アクチュエータ5は、ハブユニット本体2を転舵軸心A回りに回転駆動させるアクチュエータ本体7を有する。
図2に示すように、アクチュエータ本体7は、モータ26と、モータ26の回転を減速する減速機27と、この減速機27の正逆の回転出力を出力ロッド25aの往復直線動作に変換する直動機構25とを備える。モータ26は、例えば永久磁石型同期モータとされるが、直流モータであっても、誘導モータであってもよい。
図3に示すように、操舵用アクチュエータ5は、ハブユニット本体2を転舵軸心A回りに回転駆動させるアクチュエータ本体7を有する。
図2に示すように、アクチュエータ本体7は、モータ26と、モータ26の回転を減速する減速機27と、この減速機27の正逆の回転出力を出力ロッド25aの往復直線動作に変換する直動機構25とを備える。モータ26は、例えば永久磁石型同期モータとされるが、直流モータであっても、誘導モータであってもよい。
減速機27は、ベルト伝達機構等の巻き掛け式伝達機構またはギヤ列等を用いることができ、図2の例ではベルト伝達機構が用いられている。減速機27は、ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bと、ベルト27cとを有する。モータ26のモータ軸にドライブプーリ27aが結合され、直動機構25にドリブンプーリ27bが設けられている。このドリブンプーリ27bは、前記モータ軸に平行に配置されている。モータ26の駆動力は、ドライブプーリ27aからベルト27cを介してドリブンプーリ27bに伝達される。前記各ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bとベルト27cとで、巻き掛け式の減速機27が構成される。
直動機構25は、滑りねじまたはボールねじ等の送りねじ機構、またはラック・ピニオン機構等を用いることができ、この例では台形ねじの滑りねじを用いた送りねじ機構が用いられている。直動機構25は、前記台形ねじの滑りねじを用いた送りねじ機構を備えるため、タイヤ9bからの逆入力の防止効果を高め得る。モータ26、減速機27および直動機構25を備えたアクチュエータ本体7は、準組立品として組み立てられてケース6bにボルト等により着脱自在に取り付けられる。なおモータ26の駆動力を、減速機を介さず直接直動機構25へ伝達する機構も可能である。
<その他の機構的構成>
ケース6bは、ユニット支持部材3の一部として、ユニット支持部材本体3Aに一体に形成されている。ケース6bは有底筒状に形成され、モータ26を支持するモータ収容部と、直動機構25を支持する直動機構収容部が設けられている。前記モータ収容部には、モータ26をケース内所定位置に支持する嵌合孔が形成されている。前記直動機構収容部には、直動機構25をケース内所定位置に支持する嵌合孔、および、出力ロッド25aの進退を許す貫通孔等が形成されている。
ケース6bは、ユニット支持部材3の一部として、ユニット支持部材本体3Aに一体に形成されている。ケース6bは有底筒状に形成され、モータ26を支持するモータ収容部と、直動機構25を支持する直動機構収容部が設けられている。前記モータ収容部には、モータ26をケース内所定位置に支持する嵌合孔が形成されている。前記直動機構収容部には、直動機構25をケース内所定位置に支持する嵌合孔、および、出力ロッド25aの進退を許す貫通孔等が形成されている。
図3に示すように、ユニット支持部材本体3Aは、前記ケース6b、ショックアブソーバの取り付け部となるショックアブソーバ取り付け部6c、およびステアリング装置11(図2)の結合部となるステアリング装置結合部6dを有する。これらショックアブソーバ取り付け部6cおよびステアリング装置結合部6dも、ユニット支持部材本体3Aに一体に形成されている。ユニット支持部材本体3Aの外表面部における上部に、ショックアブソーバ取り付け部6cが突出するように形成されている。ユニット支持部材本体3Aの外表面部における側面部には、ステアリング装置結合部6dが突出するように形成されている。
<作用効果>
以上説明した操舵機能付ハブユニット1によれば、車輪9を支持するハブベアリング15を含むハブユニット本体2を、アクチュエータ本体7の駆動により、転舵軸心A回りに自由に回転させることができる。つまり、ハブユニット本体2は、操舵用アクチュエータ5の出力ロッド25aをモータ26の駆動により進退させることで、出力ロッド25aに連結されたアーム部17を介して回転させられる。
以上説明した操舵機能付ハブユニット1によれば、車輪9を支持するハブベアリング15を含むハブユニット本体2を、アクチュエータ本体7の駆動により、転舵軸心A回りに自由に回転させることができる。つまり、ハブユニット本体2は、操舵用アクチュエータ5の出力ロッド25aをモータ26の駆動により進退させることで、出力ロッド25aに連結されたアーム部17を介して回転させられる。
この回転は、運転者のハンドル操作による操舵に付加して、すなわちステアリング装置11によるキングピン軸回りのナックル6の回転に付加して、補助的な操舵として行われ、また1輪の独立操舵が行える。左右の車輪9,9の補助操舵の角度を異ならせることで、左右の車輪9,9間のトー角を任意に変更することができる。
そのため、操舵機能付ハブユニット1を前輪等の操舵輪および後輪等の非操舵輪のいずれに用いてもよい。操舵輪に用いる場合は、ステアリング装置11により方向が変化させられる部材に設置されることにより、運転者のハンドル操作による操舵に付加して、左右の車輪個別の、または左右輪に連動した車輪9の微小な角度変化を行わせる機構となる。補助操舵の角度については、車両の運動性能の向上、走行の安定・安全性向上を図るにつき、僅かな角度で足り、補助操舵可能角度が±5度以下であっても十分に足りる。補助操舵の角度は操舵用アクチュエータ5の制御により行う。
また、旋回走行時に、走行速度に応じて左右輪の舵角差を変えることができる。例えば高速域の旋回走行においてはパラレルジオメトリとし、低速域の旋回走行においてはアッカーマンジオメトリとする等、走行中にステアリングジオメトリを変化させることができる。このように走行中に車輪角度を任意に変更することができるため、車両の運動性能を向上させ、安定・安全に走行することが可能となる。旋回走行時における左右の操舵輪の操舵角度を適切に変えることで、車両の旋回半径を小さくし、小回り性能を向上させることもできる。
さらに直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角度の量を調整することで、走行抵抗を下げ燃費を悪化させることなく、走行安定性を確保する等調整が可能である。
さらに直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角度の量を調整することで、走行抵抗を下げ燃費を悪化させることなく、走行安定性を確保する等調整が可能である。
軸受4および転舵軸部16bは、軸受嵌合凹部13の外周壁部34の全周のうち、C形の範囲を構成する壁部34aに支持されると共に、外周壁部34の残り部分を構成する軸受ホルダ3Bで支持される。したがって、車両走行時に、キャンバー方向A3の荷重、車両前後方向A2の荷重、車両上下方向A1の荷重およびこれら複合した荷重の大部分を、剛性、強度の高いC形の範囲を構成する壁部34aのユニット支持部材本体3Aを主体として支持することができる。転舵軸支持部をユニット支持部材結合体のボルト締結力のみで保持する従来構造では、複合荷重が転舵軸支持部に作用するのに起因してボルトに引張力およびせん断力が作用するのに対し、この発明の構成ではC形の範囲を構成する壁部34aのユニット支持部材本体3Aを主体として複合荷重を受けることができる。このため、軸受ホルダ3Bをユニット支持部材本体3Aに取り付ける部分に作用する荷重が低減し、軸受ホルダ3Bを固定する締結ボルト33に大きなせん断力が作用しないようにすることが可能となる。軸受ホルダ3Bをユニット支持部材本体3Aに取り付ける部分に作用する荷重としては、いわゆる切欠き部である側面開口34aaが広がる方向の荷重が挙げられる。よって、ユニット支持部材全体の剛性、強度を高めることができる。車両上下方向A1、車両前後方向A2、およびキャンバー方向A3の荷重は、ユニット支持部材本体3Aが受け、いわゆる切欠き部である側面開口34aaが広がる方向の荷重を、軸受ホルダ3Bの締結ボルト33が受け止めることが可能となるため、ハブユニット全体のコンパクト化および軽量化を図ることができる。
軸受ホルダ3Bは、転舵軸心Aおよび車輪9の回転軸にそれぞれ直交する方向からユニット支持部材本体3Aに取り付けられている。この場合、軸受ホルダ3Bおよびその締結ボルト33とブレーキロータ21a等とが干渉し難くなるため、ユニット支持部材本体3Aの径方向および上下方向の肉厚を大きく確保することが可能となる。これによりユニット支持部材3の剛性、強度を高めることができる。また、軸受ホルダ3Bが前記のようにユニット支持部材本体3Aに取り付けられている場合、作業スペースを確保できてハブユニット本体2の組立性が良くなる。
上下の転舵軸部16b,16bを支持する各軸受4が車輪9のホイール9a内に位置するため、転舵軸部がタイヤホイール外に配置される従来構造よりも、転舵軸部16bの中心から車輪9の接地面中心までの距離を確実に短縮でき、車輪9を操舵させる力を低減することができる。したがって、操舵用アクチュエータ5の小形化を図りハブユニット全体のコンパクト化および重量低減を図ることができる。これにより車両の運動性能を高めることができる。
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る操舵機能付ハブユニット1を図11および図12と共に説明する。この操舵機能付ハブユニット1は、軸受ホルダ3Bが、車両左右方向A4からユニット支持部材本体3Aに取り付けられて側面開口34aaを閉塞する。この例では、ユニット支持部材本体3Aのアウトボード側端に、上下の軸受ホルダ3B,3Bがそれぞれ複数のボルト33により着脱自在に結合されている。その他前述の実施形態と同様の構成となっている。この場合にも、転舵軸支持部をユニット支持部材結合体のボルト締結力のみで保持する従来構造よりも、ユニット支持部材全体の剛性、強度を高めることができる。その他前述の実施形態に対し組立性はやや劣るものの同様の作用効果を奏する。
第2の実施形態に係る操舵機能付ハブユニット1を図11および図12と共に説明する。この操舵機能付ハブユニット1は、軸受ホルダ3Bが、車両左右方向A4からユニット支持部材本体3Aに取り付けられて側面開口34aaを閉塞する。この例では、ユニット支持部材本体3Aのアウトボード側端に、上下の軸受ホルダ3B,3Bがそれぞれ複数のボルト33により着脱自在に結合されている。その他前述の実施形態と同様の構成となっている。この場合にも、転舵軸支持部をユニット支持部材結合体のボルト締結力のみで保持する従来構造よりも、ユニット支持部材全体の剛性、強度を高めることができる。その他前述の実施形態に対し組立性はやや劣るものの同様の作用効果を奏する。
<非操舵輪への適用について>
操舵機能付ハブユニット1は、非総舵輪に対して用いてもよい。例えば、図14に示すように、前輪操舵の車両において、操舵機能付ハブユニット1は、非操舵輪である左右の後輪に装備されている。前記車両において、後輪9Rを支持する懸架装置12Rの車輪用軸受設置部となる足回りフレーム部品6Rに、操舵機能付ハブユニット1のユニット支持部材が設置され、後輪操舵に用いられる。
その他図15に示すように、操舵機能付ハブユニット1を、操舵輪である左右の前輪9F,9Fおよび非操舵輪である左右の後輪9R,9Rにそれぞれ用いてもよい。
操舵機能付ハブユニット1は、非総舵輪に対して用いてもよい。例えば、図14に示すように、前輪操舵の車両において、操舵機能付ハブユニット1は、非操舵輪である左右の後輪に装備されている。前記車両において、後輪9Rを支持する懸架装置12Rの車輪用軸受設置部となる足回りフレーム部品6Rに、操舵機能付ハブユニット1のユニット支持部材が設置され、後輪操舵に用いられる。
その他図15に示すように、操舵機能付ハブユニット1を、操舵輪である左右の前輪9F,9Fおよび非操舵輪である左右の後輪9R,9Rにそれぞれ用いてもよい。
<操舵システムについて>
図3に示すように、この操舵システムは、いずれかの実施形態に係る操舵機能付ハブユニット1と、この操舵機能付ハブユニット1の操舵用アクチュエータ5を制御する制御装置29とを備える。制御装置29は、操舵制御部30と、アクチュエータ駆動制御部31とを有する。操舵制御部30は、上位制御部32から与えられた補助操舵角指令信号(操舵角指令信号)に応じた電流指令信号を出力する。
図3に示すように、この操舵システムは、いずれかの実施形態に係る操舵機能付ハブユニット1と、この操舵機能付ハブユニット1の操舵用アクチュエータ5を制御する制御装置29とを備える。制御装置29は、操舵制御部30と、アクチュエータ駆動制御部31とを有する。操舵制御部30は、上位制御部32から与えられた補助操舵角指令信号(操舵角指令信号)に応じた電流指令信号を出力する。
上位制御部32は操舵制御部30の上位の制御手段であり、この上位制御部32として、例えば、車両全般を制御する電気制御ユニット(Vehicle Control Unit,略称VCU)が適用される。アクチュエータ駆動制御部31は、操舵制御部30から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して操舵用アクチュエータ5を駆動制御する。アクチュエータ駆動制御部31は、モータ26のコイルに供給する電力を制御する。このアクチュエータ駆動制御部31は、例えば、図示外のスイッチ素子を用いたハーフブリッジ回路を構成し、前記スイッチ素子のON−OFFデューティ比によりモータ印加電圧を決定するPWM制御を行う。これにより、運転者のハンドル操作による操舵に付加して、車輪を微小に角度変化することができる。直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角の量を調整し得る。
操舵システムは、運転者のハンドル操作に代えて、図示外の自動運転装置、運転支援装置の指令等によって操舵用アクチュエータ5,5を動作させてもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…ハブユニット本体、3…ユニット支持部材、3A…ユニット支持部材本体、3B…軸受ホルダ、4…軸受、5…操舵用アクチュエータ、6…ナックル(足回りフレーム部品)、6R…足回りフレーム部品、9…車輪、9a…ホイール、9F…前輪、9R…後輪、12,12R…懸架装置、13…軸受嵌合凹部、15…ハブベアリング、16a…円環部、16b…転舵軸部、19…外輪(固定輪)、29…制御装置、30…操舵制御部、31…アクチュエータ駆動制御部、34…外周壁部、34a…壁部、34aa…側面開口
Claims (7)
- 車輪を回転支持するハブベアリング、およびこのハブベアリングの固定輪またはこの固定輪に設けられた円環部の外周から上下にそれぞれ突出する転舵軸部を有するハブユニット本体と、
懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ、前記ハブユニット本体を上下の前記転舵軸部の転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材と、
前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータと、を備えた操舵機能付ハブユニットであって、
上下の前記転舵軸部は、前記ユニット支持部材に設けられた上下の内周円筒面形状の軸受嵌合凹部にそれぞれ嵌合する一対の軸受を介して前記ユニット支持部材に支持され、
前記ユニット支持部材は、前記軸受嵌合凹部の外周壁部の全周のうち、前記転舵軸部が径方向に挿入可能な側面開口を有するC形の範囲を構成する壁部が設けられたユニット支持部材本体と、前記外周壁部の残り部分を構成し前記ユニット支持部材本体に取り付けられる軸受ホルダとを有する、
操舵機能付ハブユニット。 - 請求項1に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記軸受ホルダは、前記転舵軸心および前記車輪の回転軸にそれぞれ直交する方向から前記ユニット支持部材本体に取り付けられている操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記軸受ホルダは、車両の左右方向から前記ユニット支持部材本体に取り付けられている操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記各軸受が前記車輪のホイール内に位置する操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットと、この操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを制御する制御装置とを備えた操舵システムであって、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部とを有する操舵システム。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットを用いて前輪が支持された車両。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットを用いて後輪が支持された車両。
Priority Applications (1)
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JP2019229954A JP2021098395A (ja) | 2019-12-20 | 2019-12-20 | 操舵機能付ハブユニットおよびこれを備えた車両 |
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