JP2021098153A - 濃縮装置、濃縮方法、及び二酸化炭素固定化システム - Google Patents

濃縮装置、濃縮方法、及び二酸化炭素固定化システム Download PDF

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Abstract

【課題】低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二価イオンを濃縮する濃縮装置及び濃縮方法の提供、並びに、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二酸化炭素を固定化する二酸化炭素固定化システムの提供。【解決手段】イオン交換膜22aと一価イオン選択膜22bとを備え、二価イオンを濃縮する濃縮部2を有する濃縮装置1A及び濃縮方法と、二価イオンを濃縮する濃縮装置と、炭酸イオン生成部と、炭酸塩を生成する反応部とを備える二酸化炭素固定化システム。【選択図】図2

Description

本発明は、濃縮装置及び濃縮方法に関するものである。特に、本発明は、二価イオンの濃縮を行う濃縮装置及び濃縮方法に関するものである。
また、本発明は、二酸化炭素固定化システムに関するものである。特に、本発明は、二価イオンの濃縮を行う濃縮装置を備える二酸化炭素固定化システムに関するものである。
近年、地球温暖化などの環境問題に対して大きな影響を与えるとされる二酸化炭素について、環境への排出を抑制することが早急に対応すべき課題となっている。この課題に対し、二酸化炭素の排出量自体を削減する技術や、排出された二酸化炭素を回収し、固定化する技術に係る研究が進められている。
特に、二酸化炭素の回収・固定化に係る技術として、様々な方法が検討されている。例えば、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収する方法として、モノエタノールアミンなどの吸収液に二酸化炭素を溶解させる化学吸収法や、ガス吸着能を有する吸着剤に二酸化炭素を吸着させる物理吸着法のほか、膜を用いた膜分離法などが知られている。これらの方法では、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を選択的に回収することができるが、二酸化炭素を環境中に排出させないためには、さらにエネルギーを使って二酸化炭素のみを回収し、固定化に係る処理を行う必要がある。そのため、二酸化炭素の回収・固定化におけるエネルギー消費が大きくなるという問題がある。
また、二酸化炭素の回収・固定化に係る他の技術としては、二酸化炭素を化学反応により炭酸塩とする炭酸塩固定法が知られている。ここで、二酸化炭素と反応して炭酸塩を形成する成分としては、二価の金属イオンが知られている。そして、炭酸塩固定法においては、二酸化炭素と反応して炭酸塩を形成する成分として、鉱物・鉱石や鉄鋼スラグを利用するものに関する研究、検討が行われている。
例えば、特許文献1には、特定の高炉スラグ及びアルカリを混合した水溶液に二酸化炭素を供給し、高炉スラグから溶出したカルシウムと二酸化炭素を反応させて炭酸塩を生成する二酸化炭素の固定化方法が記載されている。
特開2017−214262号公報
炭酸塩固定法によって二酸化炭素を固定化するためには、二価の金属イオンと二酸化炭素とを接触させる必要がある。このとき、二酸化炭素と反応する二価の金属イオンの濃度を高くすることで、二酸化炭素の固定化を高効率化することが可能となる。
一方、特許文献1に記載された炭酸塩固定法では、高炉スラグ自体の化学的処理及び物理的処理が必要であるとともに、高炉スラグからカルシウムを取り出すため、アルカリを使用する必要があり、薬品の使用に伴うコストがかかる。さらに、特許文献1には、高炉スラグとアルカリの混合水溶液におけるカルシウムの溶解度を高めるために、混合水溶液を加熱することが記載されている。したがって、特許文献1に記載された炭酸塩固定法では、二酸化炭素と反応する二価イオンを得るために多くのエネルギーが必要であるという課題がある。
二酸化炭素の排出抑制に係る技術においては、二酸化炭素の固定化を高効率化する技術だけではなく、環境負荷低減の観点から、二酸化炭素の固定化に使用するエネルギーや薬品使用に伴うコストを低減することも大きな課題となる。つまり、二酸化炭素と反応して炭酸塩を形成する二価の金属イオンのように、特定のイオン種を低コスト・低エネルギーで得るための技術が求められている。
本発明の課題は、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二価イオンを濃縮することができる濃縮装置及び濃縮方法を提供することである。また、本発明の課題は、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二酸化炭素を固定化することができる二酸化炭素固定化システムを提供することである。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、2種類のイオン交換膜を用いることで、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二価イオンを濃縮することができることを見出して、本発明を完成した。また、本発明者は、濃縮した二価イオンと、炭酸イオン化した二酸化炭素とを接触させることで、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二酸化炭素を炭酸塩として固定化することが可能となることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の濃縮装置、濃縮方法、及び二酸化炭素固定化システムである。
上記課題を解決するための本発明の濃縮装置は、二価イオンを濃縮する濃縮部を備えた濃縮装置であって、濃縮部は、イオン交換膜と、一価イオン選択膜と、を備えるという特徴を有する。
本発明の濃縮装置は、複数のイオン交換膜を備えるという簡便な構造により、二価イオン以外のイオンを含むものから効率的に二価イオンを選択して濃縮することが可能となる。また、二価イオンの濃縮を、常温・常圧下で行うこともできるため、運転に係るエネルギー及びコストを低減することが可能となる。
また、本発明の濃縮装置の一実施態様としては、イオン交換膜と一価イオン選択膜は、陽イオン交換膜であるという特徴を有する。
この特徴によれば、二価の陽イオンを低コスト・低エネルギー、かつ高効率で濃縮することができる。なお、濃縮した二価の陽イオンは、二酸化炭素固定化における炭酸塩固定法などに好適に用いることができる。
また、本発明の濃縮装置の一実施態様としては、濃縮部は、海水中の二価イオンを濃縮するという特徴を有する。
従来、炭酸塩固定法で用いられる二価イオンを得るためには、鉱物・鉱石や鉄鋼スラグに対し、様々な化学的・物理的処理を経る必要があった。一方、海水は、二価イオンが溶液内で既にイオンの状態で存在しているものであるとともに、一定量の二価イオンが含まれることから、安定した量の二価イオンを供給することができる二価イオン源として用いることができる。
したがって、この特徴によれば、二価イオンの原料調達にかかるコスト及びエネルギーを大幅に低減させることが可能になる。
また、本発明の濃縮装置の一実施態様としては、濃縮部は、イオン交換膜を介して選択的にイオンを透過させるイオン移動手段と、一価イオン選択膜を介し、イオン移動手段により透過させたイオンのうち、一価イオンのみを透過させる一価イオン移動手段と、を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、イオン交換膜と一価イオン選択膜において、それぞれ透過するイオン種を特定することにより、効率的に二価イオンを濃縮することが可能となる。また、イオン交換膜と一価イオン選択膜の間に濃縮した二価イオンが貯留されるため、二価イオンの活用・回収が容易となる。
また、本発明の濃縮装置の一実施態様としては、イオン交換膜及び/又は一価イオン選択膜において、イオンの濃度勾配によってイオンが透過するという特徴を有する。
この特徴によれば、濃縮部におけるイオンの移動に関し、外部からエネルギーを供給する必要がなく、二価イオンの濃縮における低コスト化・低エネルギー化が可能となる。さらに、イオンの濃度勾配によるイオン移動に伴って発生する電流を、電気エネルギーとして回収することが可能となるため、二価イオンの濃縮装置としての機能に併せて発電装置としての機能を備えるものとすることができる。
また、上記課題を解決するための本発明の濃縮方法は、二価イオンを濃縮する濃縮工程を備える濃縮方法であって、濃縮工程は、イオン交換膜と、一価イオン選択膜と、を用いて行うという特徴を有する。
本発明の濃縮方法は、複数のイオン交換膜を用いるという簡便な方法により、二価イオン以外のイオンを含むものから効率的に二価イオンを選択して濃縮することが可能となる。また、二価イオンの濃縮を、常温・常圧下で行うこともできるため、運転に係るエネルギー及びコストを低減することが可能となる。
また、上記課題を解決するための本発明の二酸化炭素固定化システムは、二価イオンを濃縮する濃縮部を備えた濃縮装置と、二酸化炭素から炭酸イオンを生成する炭酸イオン生成部と、濃縮装置で濃縮された二価イオンと炭酸イオン生成部で生成された炭酸イオンとを接触させ、炭酸塩を生成する反応部と、を備える二酸化炭素固定化システムであって、濃縮装置の濃縮部は、イオン交換膜と一価イオン選択膜とを備えるという特徴を有する。
本発明の二酸化炭素固定化システムは、濃縮装置を備えることにより二価イオンをあらかじめ濃縮し、かつ二酸化炭素をあらかじめ炭酸イオンとした上で、濃縮した二価イオンと炭酸イオンを接触させるため、高効率で炭酸塩の生成反応を進行させることが可能となる。また、このとき進行する炭酸塩の生成反応は、イオン同士を反応させる発熱反応であるため、反応進行に際して外部からエネルギーを供給する必要がなく、二酸化炭素の固定化における低コスト化・低エネルギー化が可能となる。さらに、濃縮装置として、複数のイオン交換膜を備えるものを設けることにより、簡便な構造で、二価イオン以外のイオンを含むものから効率的に二価イオンを濃縮することができるとともに、二価イオンの濃縮を常温・常圧下で行うこともできるため、二価イオンの濃縮に係るエネルギー及びコストを低減することが可能となる。これにより、二酸化炭素固定化システム全体として、低コスト化・低エネルギー化が可能となる。
本発明によれば、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二価イオンを濃縮することができる濃縮装置及び濃縮方法を提供することができる。また、本発明によれば、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で二酸化炭素を固定化することができる二酸化炭素固定化システムを提供することができる。
本発明の第1の実施態様における濃縮装置の概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の濃縮装置における濃縮部での濃縮工程を示す概略説明図である。 本発明の第2の実施態様における濃縮装置の概略説明図である。 本発明の第2の実施態様の濃縮装置における濃縮部での濃縮工程を示す概略説明図である。 本発明の第3の実施態様における二酸化炭素固定化システムの概略説明図である。 本発明の第4の実施態様における二酸化炭素固定化システムの概略説明図である。 本発明の第4の実施態様における二酸化炭素固定化システムの別態様を示す概略説明図である。 本発明の第5の実施態様における二酸化炭素固定化システムの概略説明図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る濃縮装置、濃縮方法、及び二酸化炭素固定化システムの実施態様を詳細に説明する。本発明における濃縮方法は、本発明における濃縮装置の作動の説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する濃縮装置、濃縮方法、及び二酸化炭素固定化システムについては、本発明に係る濃縮装置、濃縮方法、及び二酸化炭素固定化システムを説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
(濃縮装置)
本発明の濃縮装置は、二価イオンMを濃縮する濃縮工程を行うためのものであり、より具体的には二価イオン源Mから二価イオンMの濃縮を行うためのものである。
本発明における濃縮対象である二価イオンMとしては、特に限定されず、例えば、MgやCaなどの第2族元素の二価の陽イオンや、Fe、Co、Niのような遷移金属の二価の陽イオンが挙げられる。また、二価の陽イオン以外に、硫酸イオンや炭酸イオンなどの二価の陰イオンも挙げられる。
また、濃縮した二価イオンMの活用分野を鑑み、本発明における濃縮対象である二価イオンMを選択するものとしてもよい。例えば、濃縮した二価イオンMの活用分野の一つとして、二酸化炭素(炭酸イオン)と二価の陽イオンを反応させ、炭酸塩を生成することで二酸化炭素の固定化を行う炭酸塩固定法が挙げられる。このとき、二価イオンMとしては、第2族元素の二価の陽イオンを用いることが好ましい。第2族元素の炭酸塩は水への溶解度が低いため、生成した炭酸塩の回収が容易となるという効果を奏する。また、第2族元素の炭酸塩は無害であって、回収した炭酸塩を資源として様々な用途に利用することが可能であるという利点を有する。
なお、本発明における濃縮対象である二価イオンMは、二価の陽イオン、特に第2族元素の二価の陽イオンを用いたものとして、以下説明する。
本発明における二価イオン源Mとしては、上述した二価イオンMを含むものであれば特に限定されない。例えば、河川、湖沼水、地下水、海水のような天然資源のほか、工場からの排水・廃水、埋立地の浸出水、二価イオンMを含む鉱物・鉱石の処理工程(採石、加工処理、保管など)から排出される排水・廃水などが挙げられる。特に、二価イオン源Mとしては海水を用いることが好ましい。海水中には一定量のMgやCaがイオンの状態で含まれているため、安定した量の二価イオンMを供給することができる二価イオン源Mとして優れている。また、海水を二価イオン源Mとして用いる場合、鉱物・鉱石や鉄鋼スラグと異なり、化学的・物理的処理が不要である。したがって、この場合、二価イオンの原料調達にかかるコストは、主として海水の搬送に係るコストのみとなる。特に、本発明における濃縮装置や二酸化炭素固定化システムを海に近い陸地あるいは海上に設置することにより、最小限の搬送コストで利用することが可能である。このため、二価イオンMの原料調達にかかるコスト及びエネルギーを大幅に低減させることが可能になる。
〔第1の実施態様〕
図1は、本発明の第1の実施態様における濃縮装置の構造を示す概略説明図である。
本実施態様における濃縮装置1Aは、図1に示すように、二価イオンMを濃縮する濃縮部2を備えている。また、濃縮部2は、図1に示すように、処理槽20を有し、処理槽20内には、イオン交換膜22aと、一価イオン選択膜22bを備えている。そして、イオン交換膜22aには、一対の電極(電極21a、21b)が設けられており、一価イオン選択膜22bには、一対の電極(電極21c、21d)が設けられている。なお、図1では、処理槽20側壁とイオン交換膜22aの間の空間を第1室23a、イオン交換膜22aと一価イオン選択膜22bの間の空間を第2室23b、一価イオン選択膜22bと処理槽20側壁の間の空間を第3室23cとしている。
また、処理槽20には、二価イオン源M(海水)を導入するラインL1と、濃縮した二価イオンMを排出するラインL2が接続されている。なお、図1では、ラインL1は、第1室23a、第2室23b、第3室23cのそれぞれと接続するように配置され、ラインL2は、第2室23bと接続するように配置されている。
処理槽20は、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bを備え、二価イオン源Mを貯留可能となるように形成されているものであればよく、特に素材や形状は問わない。例えば、電解槽や電気透析槽として知られている構造に用いられる素材や形状を使用すること等が挙げられる。
電極21a〜21dは、イオン交換膜22a又は一価イオン選択膜22bの近傍に設けられ、電極21aと電極21b、電極21cと電極21dが一対となるように導線を用いて接続されている。本実施態様における電極21a〜21dは、それぞれの膜を介してイオンを透過させる手段(イオン移動手段及び一価イオン移動手段)の一つとして用いられるものである。
電極21a〜21dとしては、陽極または陰極として機能するものであればよく、材質及び形状については特に限定されない。電極21a〜21dの材質の例としては、例えば、電気化学分野で電極材料として広く用いられている炭素や金属(ステンレス、白金、銅等)が挙げられる。また、電極21a〜21dの形状の例としては、例えば、平板状、棒状、メッシュ状などが挙げられる。なお、電極21a〜21dをイオン交換膜22a及び/又は一価イオン選択膜22b近傍に設ける場合、イオン交換膜22a及び/又は一価イオン選択膜22bに対する物質移動の阻害を抑制できる形状とすることが好ましい。したがって、このときの電極21a〜21dの形状としては、例えば、メッシュ状や針金等の細い棒状などが挙げられる。
一対の電極(電極21a及び21b、あるいは電極21c及び21d)を導線により接続する際、電極間に電気エネルギーを供給するための直流電源を設けるものとしてもよく、電極間で発生する電気エネルギーを回収するための外部回路を設けるものとしてもよい。なお、電極21a〜21dにおける電気エネルギーの供給・回収に係る説明については、イオン移動手段及び一価イオン移動手段の説明と併せて後述する。
このとき、一対の電極に接続される直流電源については特に限定されないが、太陽電池、風力、波力などの再生可能エネルギーや他の施設における余剰電力を利用するものとすることが好ましい。これにより、二価イオンMの濃縮において使用するエネルギーを低減させることが可能となる。特に、発電に際して二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーを用いた場合、二酸化炭素の排出抑制を推進することができるという効果も奏する。
イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bは、イオンを選択的に透過することができる膜である。ここで、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bによって透過するイオンの極性は、濃縮対象とする二価イオンMの極性に応じて選択する。例えば、濃縮対象とする二価イオンMが陽イオンである場合、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bはそれぞれ陽イオン交換膜からなり、陽イオンの透過が可能であるものを選択する。一方、濃縮対象とする二価イオンMが陰イオンである場合、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bは、陰イオン交換膜からなり、陰イオンの透過が可能であるものを選択する。なお、本実施態様においては、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bとして、陽イオンを透過する陽イオン交換膜を用いたものについて説明する。
本実施態様においては、例えば、イオン交換膜22aとしては、陽イオンのみを透過させる機能を有するものであればよく、透過する陽イオンの種類を限定しないもの(無処理膜)を用いることが挙げられる。一方、一価イオン選択膜22bとしては、一価の陽イオンを選択的に透過できるように処理したものを用いることが挙げられる。これにより、後述する濃縮工程において、二価イオンMを選択的に濃縮することが可能となる。
なお、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bは、上述した機能を有するものであればよく、それぞれのイオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bを構成する具体的な成分や構造については特に限定されず、公知のものを用いることができる。
濃縮部2は、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bを介して、イオンを選択的に透過させていくことで、二価イオンMの濃縮を行うものである。より具体的には、濃縮部2は、二価イオン源Mが供給された処理槽20内において、イオン交換膜22aを介して、処理槽20内の第1室23aから第2室23bへイオンを選択的に透過させ、その後、一価イオン選択膜22bを介して、第2室23bから第3室23cへ一価イオンを選択的に透過させていくことで、二価イオンMの濃縮を行うものである。
濃縮部2は、イオン交換膜22aを介して二価イオン源Mに含まれるイオンを選択的に透過させるイオン移動手段と、一価イオン選択膜22bを介し、イオン移動手段によって透過したイオンのうち、一価イオンのみを透過させる一価イオン移動手段を備えている。なお、本実施態様においては、イオン移動手段により透過するイオンは、二価イオン源Mに含まれている全ての陽イオンであり、イオン価数は特に限定されない。例えば、二価イオン源Mとして海水を用いた場合、イオン移動手段により透過するイオンは、主に二価の陽イオン及び一価の陽イオンであり、一価イオン移動手段により透過するイオンは、一価の陽イオンである。
このとき、イオン移動手段及び一価イオン移動手段について、それぞれの膜を介して特定のイオンを透過させるための具体的な手段は特に限定されない。例えば、いわゆる電気透析の原理に基づくことによるイオン移動や、イオンの濃度勾配によるイオン移動等が挙げられる。
ここで、電気透析の原理に基づくイオン移動は、電圧印加によりイオン移動を強制的に進行させることができるため、二価イオンMの濃縮に係る時間短縮が可能となるという利点を有する。また、処理槽20内に配置した電極間が導通可能であるという条件を満たせば、イオン移動を進行させることができるため、二価イオンMの濃縮に係る条件の調整が容易であるという利点を有する。
なお、電極間が導通可能であるという条件を満たす方法としては、処理槽20内において電圧印加を行う必要がある箇所に、電解質溶液を導入することが挙げられる。ここで、二価イオン源Mは二価イオンMを含む溶液であり、電解質溶液として機能する。したがって、電気透析の原理に基づくイオン移動を行う際には、処理槽20の第1室23a〜第3室23c内に二価イオン源Mを導入するものとすることが好ましい。これにより、二価イオンMの濃縮に係る条件を容易に満たすことが可能となる。
電気透析の原理に基づくイオン移動の一例としては、処理槽20の両端部に設けた電極に電圧を印加し、結果として処理槽20全体に電気エネルギーを供給することで、イオン選択膜22a及び一価イオン選択膜22bを介したイオン移動を行うものが挙げられる。この場合、濃縮装置1Aの規模によっては電力消費に係るコストが増大する可能性がある。
このため、本実施態様における濃縮装置1Aとしては、電気透析の原理に基づくイオン移動を行う場合、図1に示すように、膜近傍に電極を設ける構造とすることが好ましい。これにより、処理槽20の両端部に設けた電極に電圧を印加する場合と比べ、二価イオンMを濃縮させるために印加する電圧(外部から供給するエネルギー)を低減させることが可能となる。
また、イオンの濃度勾配によるイオン移動は、膜を介してイオン濃度勾配を生じさせるための条件を整え、かつイオンの濃度勾配を維持することができれば、外部から供給するエネルギーをほとんど必要とすることなく、イオン移動を進行させることができるという利点を有する。
イオンの濃度勾配によるイオン移動を行う場合、膜近傍に電極を設けることは必須ではない。しかし、イオンの濃度勾配によるイオン移動を行う場合、膜を介して一対の電極を設け、外部回路と接続させることが好ましい。これにより、イオン移動に伴って電極間に流れる電流を電気エネルギーとして回収することが可能となる。
イオン移動手段及び一価イオン移動手段としては、二価イオンMの濃縮に係る時間効率や実施条件などを考慮して、電気透析の原理に基づくイオン移動やイオンの濃度勾配によるイオン移動を選択することが好ましい。
本実施態様におけるイオン移動手段及び一価イオン移動手段の一例としては、電気透析の原理に基づくイオン移動と、イオンの濃度勾配によるイオン移動とを組み合わせることが挙げられる。例えば、処理槽20内の第1室23a〜第3室23c全てに二価イオン源Mを導入した場合、イオン移動手段を電気透析の原理に基づくイオン移動とし、一価イオン移動手段をイオンの濃度勾配によるイオン移動とすることがより好ましい。これにより、イオン移動の速度を高めるとともに、二価イオンMを濃縮させるために外部から供給するエネルギーを低減させることが可能となる。
本実施態様における濃縮装置1Aは、イオン移動手段として、電気透析の原理に基づくイオン移動を行うものとしている。ここで、処理槽20内の第1室23a〜第3室23c全てに二価イオン源Mを導入した場合、イオン移動手段の具体的な例としては、電極21a及び電極21bに直流電源を接続し、電極21a、イオン交換膜22a、電極21b間に電流を流すものとすることが挙げられる。このとき、電極21aは陽極として機能し、電極21bは陰極として機能する。処理槽20内に二価イオン源Mを導入した時点では、第1室23a〜第3室23c間には、イオンの濃度勾配が生じていない。したがって、第1室23a内の二価イオン源Mに含まれる濃縮対象となる二価イオンMのほか、二価イオン源Mと同じ極性のイオンを含む陽イオン群(価数は問わない)を電気透析の原理に基づくイオン移動によって強制的に第2室23bに移動させる。これにより、速やかに第2室23b内の陽イオン濃度を高めた状態とすることができる。
また、本実施態様における濃縮装置1Aは、一価イオン移動手段として、イオンの濃度勾配によるイオン移動を行うものとしている。ここで、処理槽20内の第1室23a〜第3室23c全てに二価イオン源Mを導入している場合、イオン移動手段による操作を行う前には、第2室23bと第3室23cの間にはイオンの濃度勾配は存在しない。しかし、イオン移動手段により、第1室23a内の陽イオン群が第2室23b内に移動することにより、第2室23b内の陽イオン濃度は、第3室23c内の陽イオン濃度よりも高くなる。これにより、第2室23bと第3室23cの間にはイオンの濃度勾配が生じ、第2室23b内の一価の陽イオンは、一価イオン選択膜22bを介して第3室23cに移動する。したがって、一価イオン移動手段を実施するために外部からエネルギーを供給する構成を特に設ける必要はなく、一価イオン選択膜22bを設けることだけで、特定のイオン(一価の陽イオン)を移動させることが可能である。ここで、電極21c及び電極21dは、一価イオン選択膜22bを陽イオンが透過することで発生する電子の流れ(電流)を、導線や外部回路を介して電気エネルギーとして回収するためのものである。このとき、電極21cは陰極として機能し、電極21dは陽極として機能する。なお、イオンの濃度勾配のみでは一価イオン選択膜22bを介したイオン移動が十分進行しない場合に対応するための一例として、電極21cと電極21dに電気エネルギーを供給し、イオン移動を進行させる機能を持たせるものとしてもよい。これにより、二価イオンMの濃縮を確実に実施することが可能となる。
上述したように、イオン移動手段及び/又は一価イオン移動手段として、電気透析の原理に基づくイオン移動を行う場合、処理槽20の第1室23a〜第3室23c内全てに、電解質溶液を導入することが好ましい。このとき、第1室23a〜第3室23c内に導入する電解質溶液としては、全て同じものを用いるものとしてもよく、異なるものを用いるものとしてもよい。
また、二価イオン源Mは、電解質溶液としての機能を兼ねるものであり、少なくとも第1室23aに導入されるものであればよく、第1室23a〜第3室23c全てに導入するものとしてもよい。これにより、イオン交換膜22aや一価イオン選択膜22bを介して、処理槽20内における二価イオン源M由来の二価イオンMの移動方向が制御され、二価イオン源Mから二価イオンMを濃縮することができる。
なお、後述するように、第1室23a〜第3室23c内全てに電解質溶液を導入することは必須の要件ではなく、純水のような非電解質溶液を第2室23b及び/又は第3室23cに導入するものとしてもよい。
第1室23a〜第3室23c内に電解質溶液を導入する手段としては、例えば、図1に示すように、ラインL1を、第1室23a、第2室23b、第3室23cのそれぞれと接続するように配置し、第1室23a〜第3室23c内に二価イオン源Mを導入することが挙げられる。これにより、二価イオン源Mのみを用いて、二価イオンMの濃縮を行うことができるため、装置構造及び運転操作が簡易化されるとともに、二価イオンMの濃縮に係る原料コストを大幅に低減させることが可能となる。
特に、二価イオンMの濃縮を高効率化するために、第1室23aに二価イオン源Mを連続的あるいは間欠的に供給・排出する手段を設けることが好ましい。これにより、第1室23a内の二価イオン源M中に含まれる二価イオンMがイオン移動手段により減少しても、新たな二価イオンMが速やかに供給される。このため、イオン移動手段による二価イオンMを含むイオンの移動が連続的に進行し、併せて一価イオン移動手段による一価の陽イオンの移動も連続的に進行することになる。すなわち、濃縮部2におけるイオン移動が連続的に進行する結果として、二価イオンMの濃縮を高効率化することが可能となる。
なお、第1室23a〜第3室23c内全てに二価イオン源Mを導入する場合、ラインL1の配置は図1に示すものに限定されない。他の例としては、例えば、処理槽20のいずれか1カ所に設けたラインL1を介し、あらかじめ二価イオン源Mを処理槽20内に導入した後、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bを配置して、第1室23a〜第3室23cを形成するもの等が挙げられる。
また、第1室23a〜第3室23c内に電解質溶液を導入する手段の他の例としては、ラインL1を第1室23a及び第3室23cと接続するように配置して二価イオン源Mを導入する一方、第2室23bには、二価イオン源M以外の電解質溶液を導入するものとすることが挙げられる。このとき、二価イオン源M以外の電解質溶液としては、特に、塩酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンを含まないものを用いることが好ましい。
後述するように、第2室23bには濃縮された二価イオンMが貯留されるが、このとき、二価イオン源Mとして塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンのような陰イオンが含まれるもの(例えば海水など)を用い、第2室23bに導入すると、第2室23b中にはこれらの陰イオンが残留する。これらの陰イオンが二価イオンM(陽イオン)と反応して、第2室23b内に濃縮された二価イオンMが消費される可能性がある。したがって、これらの陰イオンを含まないものを第2室23bにおける電解質溶液として用いることで、二価イオンMの濃縮効率が低下することを抑制することが可能となる。
本実施態様の濃縮部2における濃縮工程について、図2に基づき説明する。
図2は、本実施態様の濃縮装置1Aにおける濃縮部2での濃縮工程を示す概略説明図である。図2における濃縮部2の構成は、図1に示した構成と同じであり、第1室23a〜第3室23c内には全て二価イオン源M(海水)を導入している。なお、図2には、陽イオンの移動についてのみ示しており、陰イオンについては省略している。
図2に示すように、処理槽20内にイオン移動手段として設けられた電極21a、21bに直流電源により電圧を印加すると、第1室23a内の陽イオン(Na、K、Ca2+、Mg2+)はイオン交換膜22aを透過し、第2室23b内に移動する。なお、図2におけるCa2+、Mg2+が本実施態様の二価イオンMに相当する。さらに、第2室23bに陽イオンが移動することで、第2室23bと第3室23c間にイオンの濃度勾配が生じる。これにより、第2室23bに移動した陽イオンのうち、一価の陽イオン(Na、K)のみが一価イオン選択膜22bを透過して第3室23c内に移動する(一価イオン移動手段によるイオン移動)。この結果、第2室23b内には、二価イオンM(Ca2+、Mg2+)が濃縮することになる。したがって、本実施態様において、第2室23bは、濃縮した二価イオンMの濃縮室(貯留槽)としても機能するものである。
本実施態様においては、イオン移動手段としては、電極21a、21b間に電圧を印加させ、電気透析の原理に基づくイオン移動を行うものである。したがって、第1室23aの陽イオンはイオン交換膜22aを介し、速やかに第2室23bに移動する。さらに、第1室23aに二価イオン源Mを連続的あるいは間欠的に供給し続けることで、第2室23bには高効率で陽イオンが移動することになる。このため、第2室23b内のイオン濃度を、第3室23cのイオン濃度よりも常に高く維持することが可能となる。これにより、第2室23bと第3室23c間におけるイオンの濃度勾配の形成及び維持を容易に行うことが可能となる。したがって、一価イオン移動手段として、イオンの濃度勾配によるイオン移動が進行する条件を満たし続けることが可能となり、外部から供給するエネルギーをほとんど必要とすることなくイオン移動を行うことができる。また、電極21c、21dを設けることにより、イオンの濃度勾配によって一価イオン選択膜22bを陽イオンが透過することで発生する電子の流れ(電流)を、導線や外部回路を介して電気エネルギーとして回収することが可能となる。なお、回収した電気エネルギーの利用については特に限定されない。例えば、電極21a、21bに電圧を印加するための電力源として用いるものとしてもよく、外部回路を介して系外で利用するものとしてもよい。
また、上記濃縮工程後、第3室23c内には一価の陽イオン濃度が増加した電解質溶液が貯留されるが、この電解質溶液の処理については特に限定されない。例えば、第3室23cに排出配管を設け、濃縮工程後の電解質溶液を系外に排出するものとすることや、濃縮工程後の電解質溶液を第1室23aに導入して一価の陽イオンを処理槽20内で循環させるものとすることなどが挙げられる。
なお、濃縮装置1Aは、図1及び図2で示した構造に限定するものではなく、二価イオンMの濃縮を効率的に行うための各種手段を追加するものとしてもよい。このような手段の一例としては、例えば、電極21a〜21dの表面で析出物が生成することを抑制するための手段や、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bのイオン透過効率が低減することを抑制するための手段などが挙げられる。
以上のように、本実施態様の濃縮装置1A及び濃縮装置1Aを用いた濃縮方法により、簡便な構造及び方法で、二価イオン以外のイオンを含むものから効率的に二価イオンを選択して濃縮することが可能となる。また、二価イオンの濃縮を、常温・常圧下で行うこともできるため、運転に係るエネルギー及びコストを低減することが可能となる。
〔第2の実施態様〕
第2の実施態様に係る濃縮装置1Bは、第1の実施態様の濃縮部2において、イオン移動手段及び一価イオン移動手段として、イオンの濃度勾配によるイオン移動を行うものである。なお、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
図3は、本発明の第2の実施態様における濃縮装置を示す概略説明図である。
図3に示すように、本実施態様の濃縮装置1Bは、ラインL1を介して第1室23aのみに二価イオン源Mを導入し、第2室23bと第3室23cには、ラインL3を介して非電解質溶液Sを導入するものである。
非電解質溶液Sとしては、純水など、濃縮対象となる二価イオンMや二価イオンMと同じ極性のイオン種を含まないものを用いることが好ましい。これにより、濃縮部2内でイオンの濃度勾配によるイオン移動を行うことが容易となる。
本実施態様の濃縮部2における濃縮工程について、図4に基づき説明する。
図4は、本実施態様の濃縮装置1Bにおける濃縮部2での濃縮工程を示す概略説明図である。図4における濃縮部2の構成は、図3に示した構成と同じであり、第1室23a内に二価イオン源M(海水)を導入し、第2室23bと第3室23cには非電解質溶液S(純水)を導入している。なお、図4には、陽イオンの移動についてのみ示しており、陰イオンについては省略している。
図4に示すように、処理槽20の第1室23a内に二価イオン源Mを導入し、第2室23bと第3室23cには純水を導入すると、第1室23aと第2室23b間にイオンの濃度勾配が生じるため、第1室23a内の陽イオン(Na、K、Ca2+、Mg2+)はイオン交換膜22aを透過し、第2室23b内に移動する(イオン移動手段によるイオン移動)。さらに、第2室23bに陽イオンが移動することで、第2室23bと第3室23c間にイオンの濃度勾配が生じる。これにより、第2室23bに移動した陽イオンのうち、一価の陽イオン(Na、K)のみが一価イオン選択膜22bを透過して第3室23c内に移動する(一価イオン移動手段によるイオン移動)。この結果、第2室23b内には、二価イオンM(Ca2+、Mg2+)が濃縮し、第2室23bは、濃縮した二価イオンMの濃縮室(貯留槽)としても機能する。
本実施態様においては、イオン移動手段及び一価イオン移動手段として、イオンの濃度勾配によるイオン移動を行うものである。このとき、第1室23aのみに二価イオン源M(電解質溶液)を導入することにより、第1室23aと第2室23b間のイオンの濃度差を大きくすることが可能となる。これにより、第1室23a内の陽イオンは、外部から供給するエネルギーをほとんど必要とすることなく、イオン交換膜22aを介して第2室23bに容易に移動する。また、非電解質溶液Sが導入されていた第2室23b内にイオンが移動することにより、第2室23bのイオン濃度は、非電解質溶液Sが導入されている第3室23cのイオン濃度よりも高く維持される。これにより、第2室23bと第3室23c間におけるイオンの濃度勾配の形成及び維持を容易に行うことが可能となる。したがって、一価イオン移動手段として、イオンの濃度勾配によるイオン移動が進行する条件を満たし続けることが可能となり、外部から供給するエネルギーをほとんど必要とすることなくイオン移動を行うことができる。
また、本実施態様において、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bの近傍に、それぞれ一対の電極(電極21a及び21b、あるいは電極21c及び21d)を設け、導線を介して外部回路と接続させることが好ましい。これにより、イオン移動手段及び一価イオン移動手段において、イオンの濃度勾配によるイオン移動に伴って発生する電流を、電気エネルギーとして回収することが可能となる。
以上のように、本実施態様の濃縮装置1B及び濃縮装置1Bを用いた濃縮方法により、簡便な構造及び方法で、二価イオン以外のイオンを含むものから効率的に二価イオンを選択して濃縮することが可能となる。特に、イオンの濃度勾配によるイオン移動を行うことで、外部から供給するエネルギーをほとんど必要とすることなく、二価イオンMを濃縮させることができるため、二価イオンの濃縮に係るエネルギー及びコストを大幅に低減することが可能となる。さらに、イオンの濃度勾配によるイオン移動に伴って発生する電流を、電気エネルギーとして回収することが可能となるため、二価イオンの濃縮装置と併せて発電装置としての機能を備えるものとすることができる。
(二酸化炭素固定化システム)
本発明の二酸化炭素固定化システムは、二酸化炭素(炭酸イオン)と二価イオンとを反応させて炭酸塩化することで二酸化炭素の固定化を行うものである。特に、本発明の二酸化炭素固定化システムは、二価イオンの濃縮を行う濃縮装置を備えるものである。
本発明の二酸化炭素固定化システムにおいて、固定化を行う対象である二酸化炭素の供給源(あるいは発生源)については、特に限定されない。具体的な二酸化炭素の供給源の例としては、例えば、生活・産業活動に伴い、各種施設(発電施設・工場・一般家庭等)や運輸手段から排出される二酸化炭素を含むガスのほか、大気や火山ガス等、天然に存在する二酸化炭素を含むガスなどが挙げられる。
〔第3の実施態様〕
図5は、本発明の第3の実施態様における二酸化炭素固定化システムの構造を示す概略説明図である。
本実施態様における二酸化炭素固定化システム10Aは、図5に示すように、濃縮部2を備える濃縮装置1と、炭酸イオン生成部3と、反応部4を備えるものである。また、図5に示すように、二酸化炭素固定化システム10Aは、濃縮装置1と炭酸イオン生成部3がそれぞれ反応部4と接続するように配置されている。さらに、図5に示すように、濃縮装置1は二価イオン源Mを供給するラインL1と、濃縮された二価イオンMを排出するラインL2を備え、炭酸イオン生成部3は二酸化炭素(二酸化炭素含有ガス)を供給するラインL4と、生成した炭酸イオンを排出するラインL5とを備え、反応部4はラインL2及びラインL5を介して濃縮装置1及び炭酸イオン生成部3と接続されるとともに、生成した炭酸塩を回収するラインL6とを備えている。
本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Aでは、濃縮装置1において二価イオン源M中の二価イオンMを濃縮し、ラインL2を介して濃縮した二価イオンMを反応部4に導入する。一方、炭酸イオン生成部3では、二酸化炭素(二酸化炭素含有ガス)から炭酸イオンを生成し、ラインL5を介して炭酸イオンを反応部4に導入する。そして、反応部4において二価イオンMと炭酸イオンが接触、反応し、炭酸塩が生成される。このように、反応部4での炭酸塩生成反応が進行することで、二酸化炭素が炭酸塩として固定され、二酸化炭素の固定化が行われることになる。
本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Aにおける濃縮装置1は、二価イオン源Mから二価イオンMを濃縮する濃縮工程を行うためのものである。
本実施態様における濃縮装置1としては、濃縮部2がイオン交換膜と一価イオン選択膜を備えることが好ましい。これにより、上述した二価イオン源Mのうち、複数のイオン価数のイオンを含むものから効率的に特定のイオン価数のイオン(二価イオン)を選択して濃縮することが可能となる。また、二価イオンMの濃縮を、常温・常圧下で行うこともできるため、運転に係るエネルギー及びコストを低減することが可能となる。このような濃縮装置1としては、上述した第1の実施態様における濃縮装置1A、あるいは第2の実施態様における濃縮装置1Bなどが挙げられる。なお、図5における濃縮装置1としては、上述した濃縮装置1Aと同様の構造を用いるものとし、各構造に係る説明を省略するとともに、電極21a〜21dに係る図示を省略している。
濃縮装置1により濃縮された二価イオンMは、ラインL2を介して、反応部4へ導入される。なお、本実施態様においては、濃縮された二価イオンMは、濃縮部2内の第2室23bからラインL2を介して、反応部4へ導入される。
炭酸イオン生成部3は、二酸化炭素から炭酸イオンを生成する炭酸イオン生成工程を行うためのものである。
本実施態様における炭酸イオン生成部3としては、二酸化炭素から炭酸イオンを生成できるものであればよく、具体的な生成手段は特に限定されない。このような生成手段としては、例えば、二酸化炭素を液体に溶解させる溶解手段が挙げられる。これにより、気体である二酸化炭素を容易に炭酸イオンの形とすることが可能となる。また、液体中に炭酸イオンを存在させた状態とし、後述する反応部4に導入することで、二価イオンMと炭酸イオンの接触効率を高めることができ、炭酸塩の生成に係る化学反応の効率を向上させることが可能となる。
本実施態様における炭酸イオン生成部3は、図5に示すように、溶解槽30を備え、溶解槽30には二酸化炭素を溶解するための液体31が貯留されている。この液体31は、二酸化炭素が溶解するものであれば特に限定されず、常温・常圧下で二酸化炭素が溶解するものであることが好ましい。液体31としては、例えば、純水・処理水のほか、二価イオン源Mとして用いられる溶液(海水、排水・廃水等)やアルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等)などが挙げられる。
炭酸イオン生成部3は、溶解槽30における二酸化炭素の溶解効率を向上させるための手段を設けるものとしてもよい。このような手段としては、例えば、加圧手段や、二酸化炭素の溶解度を高めるための薬品を液体31に添加する薬品添加手段などが挙げられる。これにより、反応部4に導入する炭酸イオン濃度を高め、二酸化炭素の固定化に係る効率を向上させることが可能となる。
炭酸イオン生成部3に二酸化炭素を導入する手段については、特に限定されない。例えば、二酸化炭素の供給源からラインL4を介して直接導入することや、二酸化炭素の供給源に含まれる二酸化炭素を一旦高濃度化(濃縮)したものをラインL4を介して導入することなどが挙げられる。
一般に、二酸化炭素の固定化においては、反応効率を上げるために、気体中の二酸化炭素を高濃度化する必要があった。一方、本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Aでは、炭酸イオン生成部3において二酸化炭素を液体に溶解させている。そのため、炭酸イオン生成部3では、液体への二酸化炭素の溶解度に相当する分、二酸化炭素が高濃度化されることになる。したがって、本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Aにおいては、二酸化炭素の供給源として、大気等のように低濃度の二酸化炭素を含有するガスを用い、炭酸イオン生成部3に直接導入して、二酸化炭素の固定化を行うことが可能である。これにより、気体中の二酸化炭素の高濃度化に係る設備コストや運転コストを大幅に削減することが可能となる。なお、所望する二酸化炭素の処理効率やランニングコストを考慮し、二酸化炭素の供給源に含まれる二酸化炭素の高濃度化を行った後、炭酸イオン生成部3に導入するものとしてもよい。
炭酸イオン生成部3により生成した炭酸イオンは、ラインL5を介して反応部4に導入される。
反応部4は、二価イオンと炭酸イオンを接触させ、炭酸塩を生成する反応工程を行うものである。また、反応部4での反応工程が進行することにより、二酸化炭素の固定化が行われる。
本実施態様における反応部4は、図5に示すように、反応槽40を備えている。また、反応槽40には、濃縮装置1からラインL2を介して濃縮された二価イオンMが導入されるとともに、炭酸イオン生成部3からラインL5を介して炭酸イオンが導入される。
反応槽40内では、導入された二価イオンMと炭酸イオンが液体(主に、水(HO))中で反応し、炭酸塩を生成する。このとき、二価イオンMと炭酸イオンはイオンの状態を維持したまま、水中で反応するため、イオン同士の接触効率が高まり、反応槽40内における反応を速やかに進行させることができる。これにより、二酸化炭素の固定化を高効率で行うことが可能となる。また、炭酸塩の生成反応は、基本的に発熱反応であることが知られており、反応槽40における反応工程を進行させるために、外部からエネルギーを供給する必要がない。したがって、低コスト・低エネルギーで二酸化炭素の固定化を行うことが可能となる。
反応槽40において生成する炭酸塩の一例としては、例えば、導入された二価イオンMがCa2+である場合、反応槽40内ではCaCOが生成する。また、他の炭酸塩の例としては、導入された二価イオンMがMg2+である場合、反応槽40内ではMgCOが生成する。これらの炭酸塩(CaCO、MgCO)は、水への溶解度が低く、かつ密度が水よりも大きいため、反応槽40内に沈降する。沈降した炭酸塩は、ラインL6を介して容易に回収することができる。また、回収した炭酸塩は資源として様々な用途に用いることが可能となる。
なお、反応部4には、二価イオンMと炭酸イオンによる炭酸塩の生成反応に係る条件を最適化し、二価イオンMと炭酸イオンの反応効率を高めるための手段を設けるものとしてもよい。このような手段としては、例えば、撹拌等のように、二価イオンMと炭酸イオンの接触効率を向上させる機械的手段のほか、アルカリ剤などの薬品添加等のように、反応槽40内のpH調整を行う化学的手段などが挙げられる。
以上のように、本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Aにより、低コスト・低エネルギー、かつ高効率で炭酸塩固定法による二酸化炭素の固定化を行うことが可能となる。
特に、本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Aとして、二価イオンの濃縮を行う濃縮装置を備えることにより、二酸化炭素の炭酸塩化における反応効率を高めることが可能になる。また、濃縮装置として、イオン交換膜及び一価イオン選択膜を備える濃縮装置を用いることにより、簡便な構造及び方法で、二価イオン以外のイオンを含むものから効率的に二価イオンを選択して濃縮することが可能となる。これにより、二酸化炭素を炭酸塩化するための原料の調達にかかるコスト及びエネルギーを大幅に低減させることが可能になる。
〔第4の実施態様〕
第4の実施態様に係る二酸化炭素固定化システム10Bは、濃縮装置1における濃縮部2に対し、炭酸イオン生成部3及び反応部4の一部又は全部の機能を一体化したものである。なお、第3の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
図6は、本発明の第4の実施態様における二酸化炭素固定化システムを示す概略説明図である。なお、図6は、第3の実施態様における濃縮装置1内の濃縮部2に対し、反応部4の機能を一体化したものを示している。
図6に示すように、本実施態様における二酸化炭素固定化システム10Bは、濃縮部2における第2室23bに対し、炭酸イオン生成部3からのラインL5を接続することにより、第2室23b内で二価イオンMと炭酸イオンの反応を行うものである。つまり、図6に示した本実施態様における二酸化炭素固定化システム10Bは、濃縮部2の第2室23bが、反応部4としても機能するものとなっている。また、本実施態様における濃縮部2の第2室23bは、ラインL2に代えて生成した炭酸塩を回収するためのラインL6を設けるものとしている。これにより、二酸化炭素固定化システム1Bの装置構造を簡略化することができるとともに、システム全体を小型化することができ、低コスト化・低エネルギー化が可能となる。
また、図6に示した二酸化炭素固定化システム10Bでは、濃縮部2の第2室23bが反応部4の機能を有することにより、第2室23b内に貯留されている濃縮された二価イオンMは、炭酸イオンと反応し、速やかに消費されていく。一方、濃縮装置1のイオン移動手段によって、第2室23b内にはイオン交換膜22aを介して陽イオンが連続的に供給されるため、炭酸塩を生成する反応工程も連続的に進行する。また、第2室23b内の陽イオン濃度が低下することで、イオン移動手段として、電気透析の原理に基づくイオン移動と併せてイオンの濃度勾配によるイオン移動が進行する。これにより、第1室23aから陽イオン交換膜22aを介して第2室23b内に移動する陽イオンの移動速度を速くすることができるという効果も奏する。したがって、二酸化炭素の固定化効率を格段に向上させることが可能となる。
一方、図7は、本発明の第4の実施態様における二酸化炭素固定化システムの別態様を示す概略説明図である。なお、図7は、第3の実施態様における濃縮部2に対し、炭酸イオン生成部3と反応部4の機能を全て一体化したものを示している。
図7に示すように、本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Bは、濃縮部2における第2室23bに対し、ラインL4を接続し、二酸化炭素(二酸化炭素含有ガス)を直接導入することにより、第2室23b内で炭酸イオンを生成させるものである。つまり、図7に示した本実施態様における二酸化炭素固定化システム10Bは、濃縮部2の第2室23bが、反応部4に加えて炭酸イオン生成部3としても機能するものとなっている。これにより、二酸化炭素固定化システム10Bの装置構造を更に簡略化することができるとともに、システム全体を小型化することができ、低コスト化・低エネルギー化が可能となる。
また、図7に示した二酸化炭素固定化システム10Bでは、濃縮部2の第2室23bが反応部4として機能するため、炭酸塩の生成反応により炭酸イオンが消費される。このため、ラインL4を介して第2室23b内に導入された気体の二酸化炭素(CO)に対し、炭酸イオン(CO 2−)を生成する反応(溶解反応)が速やかに進行し、連続して炭酸イオンを供給することが可能となる。したがって、濃縮部2の第2室23bは、反応部4の機能とともに炭酸イオン生成部3の機能を備えることで、二酸化炭素の溶解効率及び溶解速度をより一層向上させることが可能となる。これにより、ラインL4を介して導入する二酸化炭素(二酸化炭素含有ガス)が低濃度のものであっても、二酸化炭素の固定化を高効率で行うことが可能となる。
以上のように、本実施態様における二酸化炭素固定化システム10Bは、濃縮部2に対し、炭酸イオン生成部3及び反応部4の一部又は全部の機能を一体化することで、システム全体を小型化して、低コスト化・低エネルギー化を行うことが可能となる。また、炭酸塩を生成する反応工程を連続的に進行させることができ、二酸化炭素の固定化の効率を格段に向上させることが可能である。
〔第5の実施態様〕
第5の実施態様に係る二酸化炭素固定化システム10Cは、濃縮部2(濃縮室)と反応部4が一体化したものにおいて、濃縮工程と反応工程を分離するものである。具体的には、第4の実施態様における第2室23b内に、隔壁24a、24bを設けるものである。また、隔壁24a、24bは可動式であり、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bの近傍に設けるものである。さらに、二酸化炭素の供給量を制御する供給量制御部25を設けるものである。
図8は、本発明の第5の実施態様における二酸化炭素固定化システムを示す概略説明図である。図8に示すように、本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Cは、第4の実施態様の二酸化炭素固定化システム10Bにおける第2室23b内に、可動式の隔壁24a、24bが設けられており、イオン交換膜22aの近傍に隔壁24aを設け、一価イオン選択膜22bの近傍に隔壁24bを設けるものである。また、第2室23bに対し、二酸化炭素(二酸化炭素含有ガス)を導入するラインL4上に、二酸化炭素の供給量を制御する供給量制御部25が設けられている。
なお、図8では、第4の実施態様において図7に示した二酸化炭素固定化システム10Bに基づく構成を変更したものを示しているが、これに限定されるものではなく、第4の実施態様において図6に示した二酸化炭素固定化システム10Bに基づく構成を変更するものとしてもよい。また、図8中において、第4の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Cは、二価イオンMの濃縮時には、隔壁24a、24bを処理槽20外へ引き上げ、二酸化炭素の供給量制御部25により二酸化炭素の供給を停止した状態で、イオン移動手段及び一価イオン移動手段によって二価イオンMの濃縮を行うものである。一方、二価イオンMと炭酸イオンの反応時には、隔壁24a、24bを処理槽20内へ挿入した後に、二酸化炭素の供給量制御部25により二酸化炭素の供給を開始することで、炭酸塩の生成反応を進行させるものである。
このように、濃縮部2と反応部4の構造を一体化した中で、二価イオンMの濃縮工程と炭酸塩を生成する反応工程を分離して行うことにより、反応工程により生成した反応生成物がイオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bに付着することを抑制することが可能となる。これにより、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bの劣化を抑制し、濃縮効率及び反応効率の低下を抑制することが可能となる。また、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bのメンテナンス作業も容易となる。
隔壁24a、24bは、第2室23b内の溶液中の成分(特に反応生成物)がイオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bに移動することを制限することができ、かつ処理槽20に対して出し入れが可能な方向に可動するものであれば特に限定されない。
隔壁24a、24bとしては、例えば、金属やプラスチック等からなる平板やシートのほか、第2室23b側からの物質移動を抑制することができる膜などが挙げられる。
また、隔壁24a、24bの可動手段は特に限定されない。例えば、隔壁24a、24bを処理槽20に対して上下(垂直)方向または左右(水平)方向に移動させる機構を設けることのほか、隔壁24a、24bを巻き取り可能な機構を設けることなどが挙げられる。
供給量制御部25は、第2室23bに対し、二酸化炭素(二酸化炭素含有ガス)を導入するラインL4上に設けられ、二酸化炭素の供給量を制御することができるものであればよく、特に限定されない。供給量制御部25としては、例えば、自動あるいは手動による制御装置を備えた流量調節弁やバルブなどが挙げられる。
供給量制御部25により、処理槽20(第2室23b)内に導入する二酸化炭素の供給量を調節することにより、二価イオンMの濃縮工程と炭酸塩を生成する反応工程を効率的に分離することが可能となる。
供給量制御部25は、隔壁24a、24bの可動手段と制御可能に接続されていることが好ましい。また、イオン移動手段及び/又は一価イオン移動手段として電極21a〜21dを用いる場合、電極21a〜21dに対して電圧を印加する直流電源と供給量制御部25とが制御可能に接続されていることが好ましい。これにより、二価イオンMの濃縮工程と炭酸塩を生成する反応工程の分離を自動化することが容易となり、二酸化炭素の固定化をより効率的に行うことが可能となる。
また、本実施態様の二酸化炭素固定化システム10Cにおいて、炭酸塩を生成する反応工程後、ラインL6により第2室23b内の溶液を全て排出し、ラインL1等により新たな溶液を導入してから次の濃縮工程に進むものとしてもよい。これにより、反応工程で生成する反応生成物がイオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bに付着することを大幅に抑制することが可能となる。
以上のように、本実施態様における二酸化炭素固定化システム10Cは、濃縮部2と反応部4の機能を一体化させたものにおいて、二価イオンMの濃縮工程と炭酸塩を生成する反応工程を分離し、イオン交換膜22a及び一価イオン選択膜22bへの反応生成物の付着を抑制することができる。これにより、濃縮効率や反応効率の低下を抑制するとともに、システムのメンテナンス作業を容易とすることができるため、二酸化炭素の固定化における低コスト化・低エネルギー化を行うことが可能となる。
なお、上述した実施態様は、濃縮装置及び濃縮方法、並びに二酸化炭素固定化システムの一例を示すものである。本発明に係濃縮装置及び濃縮方法、並びに二酸化炭素固定化システムは、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る濃縮装置及び濃縮方法、並びに二酸化炭素固定化システムを変形してもよい。
例えば、本実施態様における濃縮装置において、イオン交換膜及び一価イオン選択膜を設ける個数はそれぞれ1つに限定されるものではない。例えば、それぞれの膜の個数を増やし、二価イオンの濃縮室(貯留槽)に相当する区画を増やすことで、二価イオンの濃縮効率向上や濃縮処理の大規模化を図るものとしてもよい。
また、本実施態様における濃縮装置において、イオン交換膜に代えて、イオン交換樹脂を充填した層を用いるものとしてもよい。これにより、二価イオン源Mに含まれる成分等に応じ、イオンが透過する層の厚さを制御することが容易となる。
また、本実施態様における濃縮装置において、イオン交換膜により形成される空間(第1室〜第3室)のいずれか一つあるいは二つ以上にイオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂、あるいは両方)を充填するものとしてもよい。イオン交換膜とイオン交換樹脂を組み合わせることで、イオンの移動速度を高め、濃縮効率を向上させることが可能となる。また、電気式脱イオン(EDI:Electrodeionization)として知られる技術と同様に、イオン交換膜及びイオン交換樹脂の再生処理を容易(あるいは不要)とすることが可能となる。
本発明の濃縮装置及び濃縮方法は、二価イオン以外のイオンを含むものから効率的に二価イオンを選択して濃縮する二価イオンの濃縮に好適に用いることができる。なお、濃縮した二価イオンは、例えば、二酸化炭素を炭酸塩化する炭酸塩固定法における原料の一つとして好適に用いることができる。
また、本発明の二酸化炭素固定化システムは、二酸化炭素を炭酸塩化する炭酸塩固定法を実施するシステムとして好適に用いることができる。特に、高濃度の二酸化炭素の固定化だけではなく、大気のような比較的低濃度の二酸化炭素の固定化においても好適に利用されるものである。
1,1A,1B 濃縮装置、10A,10B,10C 二酸化炭素固定化システム、2 濃縮部、20 処理槽、21a〜21d 電極、22a イオン交換膜、22b 一価イオン選択膜、23a 第1室、23b 第2室(濃縮室)、23c 第3室、24a,24b 隔壁、25 供給量制御部、3 炭酸イオン生成部、30 溶解槽、31 液体、4 反応部、40 反応槽、L1〜L6 ライン、M 二価イオン源、M 二価イオン、S 非電解質溶液

Claims (7)

  1. 二価イオンを濃縮する濃縮部を備えた濃縮装置であって、
    前記濃縮部は、イオン交換膜と、一価イオン選択膜と、を備えることを特徴とする、濃縮装置。
  2. 前記イオン交換膜と前記一価イオン選択膜は、陽イオン交換膜であることを特徴とする、請求項1に記載の濃縮装置。
  3. 前記濃縮部は、海水中の二価イオンを濃縮することを特徴とする、請求項1又は2に記載の濃縮装置。
  4. 前記濃縮部は、
    前記イオン交換膜を介して選択的にイオンを透過させるイオン移動手段と、
    前記一価イオン選択膜を介し、前記イオン移動手段により透過させたイオンのうち、一価イオンのみを透過させる一価イオン移動手段と、を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の濃縮装置。
  5. 前記イオン交換膜及び/又は前記一価イオン選択膜において、イオンの濃度勾配によってイオンが透過することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃縮装置。
  6. 二価イオンを濃縮する濃縮工程を備える濃縮方法であって、
    前記濃縮工程は、イオン交換膜と、一価イオン選択膜と、を用いて行うことを特徴とする、濃縮方法。
  7. 二価イオンを濃縮する濃縮部を備えた濃縮装置と、
    二酸化炭素から炭酸イオンを生成する炭酸イオン生成部と、
    前記濃縮装置で濃縮された二価イオンと前記炭酸イオン生成部で生成された炭酸イオンとを接触させ、炭酸塩を生成する反応部と、を備える二酸化炭素固定化システムであって、
    前記濃縮装置の濃縮部は、イオン交換膜と、一価イオン選択膜と、を備えることを特徴とする、二酸化炭素固定化システム。

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