JP2021096984A - 高分子膜及び非水電解質電池 - Google Patents

高分子膜及び非水電解質電池 Download PDF

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真緒 ▲高▼山
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能久 乾
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Abstract

【課題】高いイオン伝導性を有すると共に、電池の高寿命化に寄与することが可能な、非水電解質電池用の高分子膜を提供する。【解決手段】水酸基量が62〜90モル%であるポリビニルアセタール系樹脂を含有する、非水電解質電池用の高分子膜。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子膜及び非水電解質電池に関する。
近年、携帯電話、ノート型パソコン、パッド型情報端末機器などの携帯端末や電気自動車及びハイブリット自動車等の普及に伴い、種々の非水電解質電池が開発されており、特に現在は電池の高出力化、高容量化を重視した開発が行われている。
例えば、負極活物質として、従来の炭素系負極活物質よりも質量当たりの理論容量が大きいシリコン系負極活物質を用い、エネルギー密度を高めることが検討されている(特許文献1)。また、負極活物質として、理論容量が3861.7mAh/gとなる金属リチウムを用いる検討もなされている(特許文献2)。
さらに、正極活物質としては理論容量が1672mAh/gとなる硫黄を用いたリチウム硫黄二次電池の開発が行われている(特許文献3)。
電池の高出力化及び高容量化に伴い、より高い安全性もまた求められている。
安全性の向上に関し、固体電解質を用いた全固体電池が検討されている。例えば特許文献4には、有機固体電解質として、ポリビニルアセタール及びイオン解離性塩を主成分とする、実質的に固形分だけから構成される高分子電解質が開示されている(特許文献4)。
特開2018−206602号公報 特開2017−16904号公報 国際公開第2016/068043号 特許第3623050号公報
高出力化及び高容量化を目指しシリコン系負極活物質を用いる場合、シリコン系負極活物質は充放電時の膨張収縮が大きいため、充放電に伴い電極の割れや欠陥が生じやすく、電池の寿命及び安定性が低下する場合がある。また、金属リチウムを用いる場合、リチウム負極薄膜上に充電時デンドライト(樹枝状Li)が形成され、それによって内部短絡し発火が生じる場合がある。さらに、正極活物質として硫黄を用いる場合、反応中間生成物が溶出し、電池の寿命が短くなる場合がある。
全固体電池は、電解質に難燃性及び熱的・化学的安定性を付与することができるため、安全性及び耐久性を確保し易いものの、高出力化及び高容量化と電池の高寿命化とを両立させることは難しく、全固体電池は液系電池と比較して、イオン伝導性が十分高いとはいえない。
従って、本発明は、高いイオン伝導性を有すると共に、電池の高寿命化に寄与することが可能な、非水電解質電池用の高分子膜を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため詳細に検討を重ね、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕水酸基量が62〜90モル%であるポリビニルアセタール系樹脂を含有する、非水電解質電池用の高分子膜。
〔2〕60℃で1時間、ジエチルカーボネートに浸漬させたとき、次の式:
Figure 2021096984
[式中、Aは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Bは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
により算出される溶出率が7%以下である、前記〔1〕に記載の高分子膜。
〔3〕25℃で24時間、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドが1mol/Lの濃度で1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド中に溶解した溶液に浸漬させたとき、次の式:
Figure 2021096984
[式中、Cは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Dは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
により算出される膨潤率が40%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の高分子膜。
〔4〕ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルブチラール、ポリビニルノナナール及びポリビニルオクタナールからなる群から選択される少なくとも1種である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の高分子膜。
〔5〕ポリビニルアセタール系樹脂の重合度は250〜5,000である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の高分子膜。
〔6〕ポリビニルアセタール系樹脂のけん化度は90モル%以上である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の高分子膜。
〔7〕前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の高分子膜を含む、非水電解質電池。
本発明によれば、高いイオン伝導性を有すると共に、電池の高寿命化に寄与することが可能な、非水電解質電池用の高分子膜を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明の高分子膜は、非水電解質電池用の高分子膜であり、水酸基量が62〜90モル%であるポリビニルアセタール系樹脂を含有する。
(ポリビニルアセタール系樹脂)
本発明の高分子膜に含まれるポリビニルアセタール系樹脂は、62〜90モル%の水酸基量を有する。ポリビニルアセタール系樹脂の水酸基量が62モル%未満である場合、電解液に対するポリビニルアセタール系樹脂の溶解度が高くなり、ポリビニルアセタール系樹脂が電解液中へ溶解しやすくなる。その結果、高分子膜が電解液による影響を受けやすくなり、高分子膜の力学強度が低下し、該高分子膜を含む電池の寿命が低下しやすくなる。さらに、高分子膜が電解液中へ溶解しやすいことにより、電池の安全性の低下を引き起こす場合がある。また、ポリビニルアセタール系樹脂の水酸基量が90モル%を超える場合、工業的に合成が困難となることに加えて、高分子膜の膨潤性も低下し、イオン伝導性を十分に高めることができない。
上記の範囲内の水酸基量を有するポリビニルアセタール系樹脂を含む高分子膜が、高い耐電解液性、膨潤性、及び力学強度を有する理由は明らかではなく、本発明は後述するメカニズムに何ら限定されるものではないが、次の理由が考えられる。高分子膜に含まれるポリビニルアセタール系樹脂が多くの水酸基を有する場合、水酸基同士の水素結合により、一部結晶性を持つ膜となり、電解液で膨潤したゲル状態の高分子膜の強度を高めることができるため、力学的安定性を向上させることができると考えられる。また、水酸基が多いことにより、有機溶媒に対する溶解性を低減させ、耐電解液性を高めることができる。さらに、水酸基が多いことにより、非水電解質電池においてリチウム塩の解離を促進しやすく、イオン伝導性を高めることができると考えられる。さらに、樹脂がアセタール化された構造を有することにより、水酸基が多い場合であっても、アセタール基による立体障害により、アセタール基が高分子鎖間でスペーサーとして働き、電解液による高分子膜の膨潤を促進することができる。その結果、高いイオン伝導性を達成することができる。
ポリビニルアセタール系樹脂の水酸基量は、高分子膜の化学的安定性を向上させやすい観点から、好ましくは63モル%以上、より好ましくは67モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらにより好ましくは73モル%以上である。また、該水酸基量は、高分子膜の膨潤率を高めやすく、イオン伝導性を向上させやすい観点、及び、高分子膜の製造効率を向上させやすい観点からは、好ましくは89モル%以下、より好ましくは88モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下、さらにより好ましくは80モル%以下である。なお、ポリビニルアセタール系樹脂の水酸基量は実施例に記載の方法により算出できる。
ここで、ポリビニルアセタール系樹脂の水酸基量は、ポリビニルアセタール系樹脂を合成する際の原料ポリビニルアルコール樹脂のアルデヒドに対する量を調整する方法、原料ポリビニルアルコールのけん化度を調整する方法等により、上記所望の範囲に調整することができる。
ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、単独アルデヒド、混合アルデヒドのいずれのアセタール化を用いる場合でも、全アセタール化度で、好ましくは10〜38モル%、より好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは10〜34モル%、さらにより好ましくは11〜32モル%、とりわけ好ましくは11〜30モル%、最も好ましくは12〜30モル%である。アセタール化度が上記の下限以上であると、高分子膜の電解液に対する低い溶解性(耐電解液性)と、電気化学安定性(耐酸化還元性)を向上させやすい。アセタール化度が上記の上限以下であると、ポリビニルアセタール系樹脂を含む高分子膜の電解液による膨潤を適度に高め、高分子膜を含む非水電解質電池のイオン伝導性を向上させやすい。なお、アセタール化度は、例えば実施例に記載の方法により算出できる。ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、ポリビニルアセタール系樹脂を合成する際の原料ポリビニルアルコール樹脂に対するアルデヒドの量を調整する方法、原料ポリビニルアルコールのけん化度を調整する方法等により上記所望の範囲に調整することができる。
ポリビニルアセタール系樹脂のアセチル基量は、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。また、該アセチル基量は、好ましくは0.1モル%以上である。アセチル基量が上記の上限以下であると、ポリビニルアセタール系樹脂の電解液への溶解を防止しやすく、電気化学安定性(耐酸化還元性)及び力学強度を向上させやすい。また、上記の下限以上であれば、樹脂の製造工程に由来する残留エステル基による有機溶媒への親和性を低下させやすく、有機溶媒への溶解度及び膨潤度を低下させやすいため、樹脂製造過程のスラリーを安定化させやすい。なお、アセチル基量は、例えば実施例に記載の方法により算出できる。ポリビニルアセタール系樹脂のアセチル基量は、原料ポリビニルアルコールのけん化度を調整する方法により上記所望の範囲に調整することができる。
ポリビニルアセタール系樹脂の重合度は、好ましくは250以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは1,000以上、特に好ましくは1,500以上である。また、該重合度は、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下、さらにより好ましくは2,000以下である。重合度が上記の上限以下であると、樹脂の溶媒への溶解性が良く、均質な膜を得やすい。また、上記の下限以上であれば、成膜性が良く、耐電解液性を得やすい。なお、重合度は、JIS−K6726に従って測定することができる。ポリビニルアセタール系樹脂の重合度は、原料ポリビニルアルコール樹脂(あるいはその原料のポリ酢酸ビニル樹脂)の重合度を調整する方法により上記所望の範囲に調整することができる。
ポリビニルアセタール系樹脂のけん化度は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上である。けん化度が上記の下限以上であると、樹脂製造工程に由来する残留エステル基による有機溶媒への親和性を低下させやすく、有機溶媒への溶解度及び膨潤度を低下させやすいため、樹脂製造過程のスラリーを安定化させやすい。けん化度の上限は好ましくは99.9モル%以下である。なお、本明細書において、ポリビニルアセタール系樹脂のけん化度は、アセタール化する前のポリビニルアルコール系樹脂のけん化度を意味し、JIS−K6726に従って測定することができる。
ポリビニルアセタール系樹脂としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化した樹脂が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、主にビニルアルコール由来の構成単位とビニルエステル由来の構成単位を有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、これらの構成単位以外の他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フタル酸、無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などの不飽和酸類及びその塩又はその炭素数1〜18のアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその酸塩又はその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその酸塩又はその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリルアセテート;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;ポリオキシアルキレンアリルエーテルなどのオキシアルキレン基を有する化合物;酢酸イソプロペニル;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基含有のα−オレフィン類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸などに由来するカルボキシル基を有する化合物;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などに由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロリド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミンなどに由来するカチオン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、入手のしやすさや共重合性の観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリルアセテート;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテルなどのアリルエーテル類;ポリオキシアルキレンアリルエーテルなどのオキシアルキレン基を有する単量体;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのヒドロキシ基含有のα−オレフィン類などが好ましい。これらの単量体は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニルアルコール由来の構成単位及びビニルエステル由来の構成単位以外の、他の単量体に由来する構成単位の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂を構成する構成単位の総モル数に対して、通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルアルコールと必要に応じて前記単量体とを重合した樹脂を、公知の方法、例えばアルコール等の溶媒に溶解した状態でけん化する方法により製造できる。この方法で使用される溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられ、メタノールを好適に使用できる。けん化反応に使用される溶媒は、好ましくは上記の低級アルコールに加えて、使用する溶媒の全量に基づいて例えば40質量%以下の量で、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼンなどの溶媒を含有していてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ触媒、又は鉱酸などの酸触媒が使用される。けん化反応の温度について特に制限はないが、20〜60℃の範囲が好ましい。けん化反応によって得られるビニルアルコール系樹脂は、洗浄後、乾燥に付される。
ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上である。けん化度が上記の下限以上であると、樹脂製造工程に由来する残留エステル基による有機溶媒への親和性を低下させやすく、有機溶媒への溶解度及び膨潤度を低下させやすく、樹脂製造時のスラリーを安定化させやすい。けん化度の上限は好ましくは99.9モル%以下である。上記に述べた通り、本明細書におけるポリビニルアセタール系樹脂のけん化度は、アセタール化する前のポリビニルアルコール系樹脂のけん化度である。
ポリビニルアセタール系樹脂は、例えば、前記ポリビニルアルコール系樹脂をアルデヒドにより、アセタール化することにより製造できる。アセタール化の方法としては、特に限定されず、例えば沈殿法や固液反応法等が挙げられる。沈殿法は、溶媒として例えば水やアセトンを用い、原料であるポリビニルアルコール系樹脂を水やアセトンに溶解しておいて、酸などの触媒を加えてアセタール化反応を行い、生成したポリビニルアセタール系樹脂を沈澱させ、触媒として用いた酸を中和し、固体粉末として得る方法である。固液反応法は、原料であるポリビニルアルコール系樹脂が溶解しない溶媒を使用する点が異なるだけで、その他は、沈殿法と同様に反応を行い得る方法である。いずれの方法による場合でも、得られるポリビニルアセタール系樹脂の粉末の中には、未反応のアルデヒド及び中和によって生じた塩等の不純物が含まれるため、この不純物を除くために、不純物が可溶な溶媒を用いて抽出又は蒸発除去することで純度の高いポリビニルアセタール系樹脂を得ることができる。
アセタール化に使用するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド(1−ブタノール)、sec−ブチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ノニルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド;シクロヘキサンカルボアルデヒド、シクロオクタンカルボアルデヒド、トリメチルシクロヘキサンカルボアルデヒド、シクロペンチルアルデヒド、ジメチルシクロヘキサンカルボアルデヒド、メチルシクロヘキサンカルボアルデヒド、メチルシクロペンチルアルデヒドなどの脂肪脂環式アルデヒド;α−カンフォレンアルデヒド、フェランドラール、シクロシトラール、トリメチルテトラハイドロベンズアルデヒド、α−ピロネンアルデヒド、ミルテナール、ジヒドロミルテナール、カンフェニランアルデヒドなどのテルペン系アルデヒド;ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、アントラアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、トルアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;シクロヘキセンアルデヒド、ジメチルシクロヘキセンアルデヒド、アクロレインなどの不飽和アルデヒド;フルフラール、5−メチルフルフラールなどの複素環を有するアルデヒド;グルコース、グルコサミンなどのヘミアセタール;4−アミノブチルアルデヒドなどのアミノ基を有するアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは単独又は二種以上組み合わせて使用できる。また、アルデヒドの代わり又はアルデヒドと併用して、2−プロパノン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン、2−ヘキサノンなどの脂肪族ケトン;シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの脂肪脂環式ケトン;及び、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどの芳香族ケトンなどを用いることもできる。アセタール化に使用するアルデヒドは、アセタール基の立体障害により高分子鎖間における自由体積を高めやすく、その結果、電解液による膨潤性を向上させ、イオン伝導性を向上させやすい観点から、好ましくは脂肪族アルデヒド、より好ましくは炭素数4〜12の脂肪族アルデヒド、さらに好ましくは炭素数4〜9の脂肪族アルデヒド、さらにより好ましくはブチルアルデヒド(ブチラール)、ノニルアルデヒド(ノナナール)、及びオクチルアルデヒド(オクタナール)である。したがって、ポリビニルアセタール系樹脂も同様に、好ましくは脂肪族アルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタール系樹脂であり、より好ましくは炭素数4〜12の脂肪族アルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタール系樹脂であり、さらに好ましくは炭素数4〜9の脂肪族アルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタール系樹脂である。ポリビニルアセタール系樹脂はさらにより好ましくはポリビニルブチラール、ポリビニルノナナール及びポリビニルオクタナールからなる群から選択される少なくとも1種である。
酸触媒としては、公知の酸を用いることができ、その例としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、及びパラトルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。酸触媒は、アセタール化反応の最終系における酸濃度が0.5〜5.0質量%となる量で通常用いられるが、この濃度に限定されるものではない。これらの酸触媒は、所定量を1度に添加してもよいが、沈殿法の場合、比較的細かい粒子のポリビニルアセタール系樹脂を析出沈澱させるために、適当な回数に分割して添加するのが好ましい。一方、固液反応法の場合は、所定量を反応のはじめに一括して添加するのが反応効率の点から好ましい。
(高分子膜)
本発明の高分子膜は、上記のポリビニルアセタール系樹脂を含む膜である。本発明の高分子膜は、1種類のポリビニルアセタール系樹脂を含んでいてもよいし、2種以上のポリビニルアセタール系樹脂を含んでいてもよい。高分子膜が2種以上のポリビニルアセタール系樹脂を含む場合、アセタール化度、アセチル基量、水酸基量、重合度及び/又は単量体成分等において互いに異なるポリビニルアセタール系樹脂を含んでよい。高分子膜の厚さは、高分子膜を使用する目的に応じて適宜設定してよいが、力学強度の観点から、電解液により膨潤する前の状態で、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.08μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。また、イオン伝導性の観点から、好ましくは60μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。高分子膜の厚さは、エリプソメトリー、透過率測定、反射率測定、レーザー顕微鏡などの光学的膜厚測定法、蛍光X線、X−CT等のX線を用いた膜厚測定法、定圧膜厚測定、SPM等の触針式表面形状測定法などを用いて測定することができる。
62〜90モル%の水酸基量を有するポリビニルアセタール系樹脂を含む本発明の高分子膜は、低い電解液溶解性を有する。本明細書において、低い電解液溶解性を有するとは、電解液に含まれる有機溶媒に対する溶解性が低く、該有機溶媒との接触により高分子膜に含まれるポリビニルアセタール系樹脂が溶出しにくいことを表す。電解液溶解性の評価は、例えば有機溶媒としてジエチルカーボネートを用い、該溶媒に対する溶出率を測定することにより行うことができる。具体的には、本発明の高分子膜は、60℃で1時間、ジエチルカーボネートに浸漬させたとき、次の式:
Figure 2021096984
[式中、Aは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Bは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
により算出される溶出率が、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下、さらにより好ましくは4.5%以下である。ジエチルカーボネートに浸漬させたときの溶出率が上記の上限以下である場合、高分子膜の電解液溶解性を低下させやすい。上記の溶出率の下限は、ジエチルカーボネートに実質的に溶出しないことが好ましいため、0%以上であってよい。ここで、Bの高分子膜の浸漬後の質量は、浸漬後の高分子膜の乾燥質量である。そのため、例えば高分子膜が上記の条件下でジエチルカーボネートに膨潤する場合、乾燥によりジエチルカーボネートを除去後、高分子膜の浸漬後の乾燥質量を測定し、溶出率を算出する。
62〜90モル%の水酸基量を有するポリビニルアセタール系樹脂を含む本発明の高分子膜は、電解液に対して適度な膨潤性を有する。高分子膜が電解液に膨潤し、電解液を保持することにより、電解液の漏液を抑制しやすく、また、イオン伝導性も向上させやすくなる。具体的には、本発明の高分子膜を、25℃で24時間、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドが1mol/Lの濃度で1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド中に溶解した溶液に浸漬させたとき、次の式:
Figure 2021096984
[式中、Cは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Dは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
により算出される膨潤率が、好ましくは40%以上、より好ましくは43%以上、さらに好ましくは45%以上、さらにより好ましくは50%以上、とりわけ好ましくは53%以上である。ここで、Dの高分子膜の浸漬後の質量は、浸漬後の膨潤した高分子膜の質量であり、高分子膜中に取り込まれた上記の溶液を含む膨潤した状態の高分子膜の質量である。膨潤率が上記の下限以上である場合、高分子膜のリチウムイオン伝導性をより向上させやすい。該膨潤率の上限は特に限定されないが、電池を設計する観点からは、好ましくは125%以下、より好ましくは100%以下、さらに好ましくは75%以下である。
本発明の高分子膜に含まれる上記の特定のポリビニルアセタール系樹脂の量は、電解液への膨潤性の観点から、高分子膜の全質量に基づいて、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上である。本発明の高分子膜に含まれる上記の特定のポリビニルアセタール系樹脂の量の上限は特に限定されず、100質量%以下であればよい。
本発明の高分子膜は、上記のポリビニルアセタール系樹脂以外に、他の成分を含有していてもよいし、他の成分を含有しなくてもよい。本発明の高分子膜が含有し得る他の成分としては、例えば、架橋剤、界面活性剤、脱泡剤、離形剤、ブロッキング防止剤、接着剤、金属捕捉剤等が挙げられる。他の成分の含有量は、該成分の配合目的に応じて適宜選択してよいが、イオン伝導性の観点からは、高分子膜の全質量に基づいて、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。本発明の高分子膜がさらに架橋剤を含有する場合、該架橋剤は上記のポリビニルアセタール系樹脂を架橋する構造として本発明の高分子膜に含まれていてもよい。
ポリビニルアセタール系樹脂を含む本発明の高分子膜の製造方法は特に限定されないが、例えばポリビニルアセタール系樹脂と少なくとも1種の溶媒とを含むポリビニルアセタール系樹脂溶液を、必要に応じて離形処理を施した基材上に塗工し、塗膜を乾燥させ、基材を剥離除去することにより、本発明の高分子膜を製造することができる。また、電池に用いる正極、負極、セパレータ、集電体などの各部材に本発明のポリビニルアセタール系樹脂溶液を直接コートし、乾燥させて膜を作製してもよい。
ポリビニルアセタール系樹脂を溶解する溶媒は、前記ポリビニルアセタール系樹脂を溶解可能な溶媒であれば特に限定されない。溶媒の例としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチル−α−メチルピロリドン、N−エチル−α−メチルピロリドン等のN−アルキルピロリドンなどの環状アミド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、モルホリン、N−メチルモルホリン等の環状エーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;スルホラン等のスルホン系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独又は二種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、環状アミド系溶媒が好ましい。環状アミド系溶媒を使用すると、ポリビニルアセタール系樹脂を十分に溶解させることができ、得られるポリビニルアセタール系樹脂溶液の粘度を低減させることができるため、ポリビニルアセタール系樹脂溶液の塗工性を向上させやすく、得られる高分子膜の均一性を高めやすい。
ポリビニルアセタール系樹脂溶液に含まれるポリビニルアセタール系樹脂の含有量は、ポリビニルアセタール系樹脂溶液の総量に基づいて、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜10質量%である。ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が上記の下限以上であると、塗工性が良く成膜しやすい。また、上記の上限以下であると、ポリビニルアセタール系樹脂溶液を調製しやすい。
(非水電解質電池)
本発明の高分子膜は、非水電解質電池用の高分子膜である。また、本発明は、本発明の高分子膜を含む非水電解質電池も提供する。本発明の高分子膜は、非水電解質電池において、電解液と接触する部分において使用されることにより、高いイオン伝導性を有し、電池の安全性及び高寿命化に寄与することができる。そのため、本発明の高分子膜は、正極、負極、セパレータの少なくとも1つの部材に接触する部品として使用することができる。なお、本発明の高分子膜は、上記の特定のポリビニルアセタール系樹脂を含む膜である限り、その状態は限定されず、非水電解質電池において使用される際には、電解液等によって膨潤している状態でもよいし、ゲル状態の膜であってもよい。
本発明の非水電解質電池(単に「電池」という場合がある)は、本発明の高分子膜と電極(負極及び正極)と電解液とを少なくとも備える。本発明の非水電解質電池は、さらにセパレータを含んでいてもよい。本発明の非水電解質電池は、例えば、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池、マグネシウム電池、リチウム硫黄電池、全固体型リチウム電池、金属空気電池、リチウムイオンキャパシタなどが挙げられる。
非水電解質電池に含まれる正極及び負極は、それぞれ、正極又は負極活物質の硬化体と集電体とを含む。該硬化体は、必要に応じてバインダー(例えばバインダー樹脂)を含有してもよい。
負極活物質は、従来から非水電解質電池の負極活物質として用いられている材料を使用することができ、その例としては、アモルファスカーボン、人工グラファイト、天然グラファイト(黒鉛)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、ポリアセン等の導電性高分子などの炭素質材料、SiO、SnO、LiTiOで表される複合金属酸化物やその他の金属酸化物やリチウム金属、リチウム合金などのリチウム系金属、TiS、LiTiSなどの金属化合物及び、金属酸化物と炭素質材料との複合材料、マグネシウム、鉄、亜鉛、アルミニウムなどの金属などが挙げられる。
正極活物質としては、例えば、従来から非水電解質電池の正極活物質として用いられている材料を使用することができ、その例としては、TiS、TiS、非晶質MoS、Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13などの遷移金属酸化物やLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMnなどのリチウム含有複合金属酸化物、P−Na2/3Ni1/3Mn2/3、NaCrO、Na2/3[Fe1/2Mn1/2]O、NaMnO、NaCoOなどのナトリウム含有複合金属酸化物、KMn[Fe(CN)]、KMnO、KFe0.5Mn0.5、KFeSOFなどカリウム含有複合金属酸化物、MoS、MgTi、V、NVO、MgFeSiO、カーボンペーパー、炭素材料、硫黄系などが挙げられる。これらの正極活物質は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
非水電解質電池に含まれる正極及び負極は、さらに導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤は、非水電解質電池を高出力化するために用いられるものであり、正極又は負極に使用する場合に応じて適宜選択でき、その例としては、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が挙げられる。得られる非水電解質電池が高出力化しやすい観点から、これらの中でも、アセチレンブラックが好ましい。
正極及び/又は負極が導電助剤を含有する場合、導電助剤の含有量は、活物質100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。導電助剤の含有量が上記範囲であると、電池容量を低下させることなく十分な導電補助効果がある。
バインダーとしては、従来から非水電解質電池の負極活物質として用いられている材料を使用することができ、その例としてはSBR、NBR、アクリルゴム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、アクリル系、ポリアミド−イミド系、ポリビニルコール系などが挙げられる。
負極や正極に用いるバインダーは、特に、本発明の高分子膜と同種の材料である、ビニルアルコール系や、ビニルアセタール及び/又はビニルエステルを含む共重合体を有する高分子化合物を用いることで、本発明の高分子膜との電極位置ずれや、活物質脱落防止による生産性向上が期待される。このため、バインダーとして本発明の高分子膜と同種の材料を用いることがより好ましい。一方、入手容易性と生産性向上のバランスから、SBR系エマルションを用いることも好適な態様の1つである。
正極及び/又は負極は、前記バインダー、前記活物質及び前記導電助剤以外にも、必要に応じて、難燃助剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の添加剤を含むことができる。
セパレータは、従来から非水電解質電池のセパレータとして用いられている材料を使用することができ、その例としてはポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン類、フッ素樹脂、セルロース、ポリアミド類等からなる多孔質フィルム、不織布などが挙げられ、それらを積層したものを用いることもできる。
電極は、正極又は負極活物質とバインダー樹脂と、さらに1種以上の溶媒とを含む組成物(以下において、スラリー組成物とも称する)を集電体に塗布し、溶媒を乾燥等により除去して得ることができる。また、乾燥後に電極を圧延処理してもよい。
集電体としては、導電性材料からなるものであれば、特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料などが挙げられる。これらの集電体は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。集電体の中でも、活物質の接着性及び放電容量の観点から、正極集電体としてはアルミニウムが好ましく、負極集電体としては銅が好ましい。
スラリー組成物を集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、押出しコーター、リバースローラー、ドクターブレード、アプリケーター等が挙げられる。スラリー組成物の塗布量は、スラリー組成物由来の硬化体の所望とする厚みに応じて、適宜選択される。
電極の圧延方法としては、金型プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。プレス圧としては、電池容量を高めやすい観点から、1〜40MPaが好ましい。
集電体の厚さは、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜15μmである。また、硬化体の厚さは好ましくは10〜400μmであり、より好ましくは20〜300μmである。電極の厚さは好ましくは20〜200μmである。
本発明の非水電解質電池に含まれる電解液は、電解質塩、有機溶媒及び/又は添加剤を含むものであってもよいし、固体電解質やイオン液体及び電解質塩含有イオン液体でもよい。該電解質塩は、通常の非水電解質電池に用いられるものであれば、固体状、液状、ゲル状のいずれでもよく、負極活物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するものを適宜選択すればよい。具体的な電解質塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiTFSA、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C、CFSOLi、CHSOLi、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSON、低級脂肪族カルボン酸リチウム、NaPF、NaTFSA、NaFSI、KFSI、KPF、Mg(TFSA)、Mg(TFSA)、Mg[N(CFSO]などが挙げられる。
電解液に含まれる溶媒は、特に限定されず、その具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ビニレンカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチルラクトンなどのラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4―メチル−1,3―ジオキソランなどのオキソラン類;アセトニトリルやニトロメタンなどの含窒素化合物類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの有機酸エステル類;リン酸トリエチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの無機酸エステル類;ジグライム類;トリグライム類;スルホラン類;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、ナフタスルトンなどのスルトン類などが挙げられ、これらは単独又は二種以上組み合わせて使用できる。ゲル状の電解液を用いるときは、ゲル化剤としてニトリル系重合体、アクリル系重合体、フッ素系重合体、アルキレンオキサイド系重合体などを加えることができる。
電解液に含まれる添加剤は、特に限定されず、VC、VEC、FEC、LiFSIなどが挙げられる。
固体電解質は特に限定されず、LiS−P、LGPS、LSiPSCl、LSiSnPSなどの硫化物系、LLTO、LATP、LLZO、LAGP、LIPONなどの酸化物系、PEO−LiTFSIなどの高分子系、LiBH、LiBH−LiI、LiBH−LiNH、LiBH−Pなどの錯体系、クロソボラン、カーボランなどの水素化物系などが挙げられる。
電解液として使用されるイオン液体は、特に限定されず、例えばアンモニウム系、ピロリジニウム系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系、ピペリジニウム系、ピラゾリウム系、オキサゾリウム系、ピリダジニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、トリアゾリウム系及びその混合物のうちから選択された1以上の陽イオンとBF 、PF 、AsF 、SbF 、AlCl 、HSO 、ClO 、CHSO 、(FO2)、(CSO、(CSO)(CFSO)N及び(CFSOの内から選択された少なくとも一つから選択された1種類以上の陰イオンを含む化合物などが挙げられる。
非水電解質電池を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、次の製造方法が例示される。例えば、本発明の高分子膜を単独で作製し、負極及び/又は正極と接するように重ね合わせた積層体を、電池形状に応じて巻く、折るなどして、電池容器に入れ、電解液を注入して封口する。また、電池に用いる正極、負極、セパレータなどの各部材に本発明のポリビニルアセタール系樹脂溶液を直接コートし、乾燥させて膜にした部材を用いて上述したような方法にて電池を作製してもよい。電池の形状は、公知のコイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角型、扁平型などいずれであってもよい。
本発明の非水電解質電池は、様々な用途に有用である。例えば、小型化、薄型化、軽量化、高性能化の要求される携帯端末に使用される電池としても非常に有用である。また、柔軟性が求められる機器の電池、例えば巻回型乾電池、ラミネート型電池にも好適に用いることができる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は特に断らない限り質量に関するものである。まず、測定方法及び評価方法を以下に示す。
<ポリビニルアセタール系樹脂の分析>
実施例及び比較例で使用したポリビニルアセタール系樹脂の重合度、けん化度、アセタール化度、アセチル基量、及び水酸基量を以下に示す方法に従って測定した。なお、実施例及び比較例で使用したポリビニルアセタール系樹脂に関し、重合度、けん化度、アセタール化度、アセチル基量及び水酸基量は、高分子膜の製造工程により変化しない値であるため、原料として使用したポリビニルアセタール系樹脂について測定した値を、高分子膜に含まれるポリビニルアセタール系樹脂についての値としてよい。
(a)重合度及びけん化度
JIS−K6726に従って、ポリビニルアルコール(ポリビニルアセタール系樹脂をアセタール化する前の樹脂)の重合度及びけん化度を測定し、ポリビニルアセタール系樹脂の重合度及びけん化度とした。
(b)アセタール化度
ポリビニルアセタール系樹脂を、標準試料であるテトラメチルシランを0.03体積%含有したジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6)に溶解し、測定機器として、核磁気共鳴分光装置(「AVance 600」、Bruker製)を用いて、共鳴周波数1H 600MHz及び温度25℃の条件下で測定した。ビニルアセタール単位のメチル基(0.87ppm)に由来するピーク強度と、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位、及びビニルアセタール単位の主鎖中のメチレン基(1.14〜1.94ppm)に由来するピーク強度からアセタール化度を求めた。
(c)アセチル基量
ポリビニルアセタール系樹脂を、標準試料であるテトラメチルシランを0.03体積%含有したジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6)に溶解し、測定機器として、核磁気共鳴分光装置(「AVance 600」、Bruker製)を用いて、共鳴周波数1H 600MHz及び温度25℃の条件下で測定した。ビニルエステル単位のメチル基(1.94ppm)に由来するピーク強度と、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位、及びビニルアセタール単位の主鎖中のメチレン基(0.87〜1.70ppm)に由来するピーク強度からアセチル基量を求めた。
(d)水酸基量
上記で算出したアセタール化度とアセチル基量から、次の式に従い、水酸基量を算出した。
Figure 2021096984
<高分子膜の分析>
(e)溶出率
実施例及び比較例で得た高分子膜を、打ちぬき機を用いφ14mmの円形状に打ち抜き、5gのジエチルカーボネートに浸漬、60℃で1時間静置後、取り出したフィルムを80℃3時間の条件で乾燥処理を行った。得られた浸漬乾燥後のフィルム質量を測定し、浸漬乾燥後の質量変化率を次の式より算出し、溶出率とした。
Figure 2021096984
[式中、Aは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Bは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
(f)膨潤率
実施例及び比較例で得た高分子膜を、打ちぬき機を用いφ14mmの円形状に打ち抜き、電解液に25℃で24時間浸漬後、高分子膜を取り出し、高分子膜表面に付着した溶液をウエスで拭きとり除去した後、浸漬後の高分子膜の質量を測定し、浸漬後の質量変化率を次の式により算出し、膨潤度(%)とした。電解液にはリチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI−FSI)に溶解させたもの(1M−LiFSI、EMI−FSI、キシダ化学株式会社製)を用いた。
Figure 2021096984
[式中、Cは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Dは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
(g)イオン伝導度測定
実施例及び比較例で得た高分子膜に電解液(mol/L LiFSI EMI−FSI、キシダ化学株式会社製)を350μL含浸させて得たゲル電解質を用い、作用極に白金を、参照極及び対極にLi金属を用いた三極セルを作製した。インピーダンス測定装置(ポテンショ/ガルバノスタット(SI1287、ソーラトロン社製)及び周波数応答アナライザ(FRA、ソーラトロン社製))を用い、振幅10mV、測定周波数0.01〜1MHzの範囲にて交流インピーダンス測定を実施し、得られた抵抗と厚みからイオン伝導度(Scm−1)を算出した。
(h)突き刺し強度測定
実施例及び比較例で得た高分子膜を、2cm角にカットし、テクスチャーアナライザー(XT Plus、 EKO Instruments製)にて温度25℃、突き刺し速度2mm/s、φ1mmのシリンダー型プローブを用いることによって測定を行った。
また、2cm角にカットし、上記の膨潤率の測定と同条件にて膨潤させた膜についても同様に突き刺し強度の測定を実施した。
(i)サイクル試験
(セルの作製)
実施例及び比較例で得た高分子膜を作製するための調製液(ポリビニルアセタール系樹脂溶液)をセパレータに膜厚1〜2μmとなるように塗工した。セパレータ付き高分子膜を40℃12時間減圧乾燥した後、5.1×5.0cmのサイズに切り出した。次いで、Cu集電箔付き負極(天然黒鉛+SiOフープ10.3mg/cm、1.45g・cm、八山製)を4.8×4.5cm、Al集電箔付き正極(LCO正極板25.3mg/cm片面仕様、八山製)を4.9×4.7cmのサイズに切出してリードタブを付けた後、これら2枚の電極で、上記サイズに切り出したセパレータ付き高分子膜を挟み込んだ。挟み込んだものをアルミラミネートパックの中に、及びリードタブがアルミラミネートパックの外に出るようにして設置した後、電解液(エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)=1/1/1、1.0M LiPF6)350μlを減圧封入することによりラミネートセルを作製した。
(サイクル特性の算出方法)
作製したセルを25℃の恒温槽中に入れ、インピーダンス測定装置(ポテンショ/ガルバノスタット(SI1287、ソーラトロン社製)及び周波数応答アナライザ(FRA、ソーラトロン社製))にて交流インピーダンス測定を実施し、初期5サイクル実施後、セルを再封止し、その後の1サイクル目の放電容量をE、100サイクル目の放電容量をFとしたとき、放電容量維持率を下記式によって算出し、サイクル特性とした。
サイクル特性(%)=F/E×100
(j)厚さ
高分子膜の厚さは、厚み測定器(定圧厚さ測定器PG−02J、テフロック社製)を用いて測定した。
<実施例1>
(ポリビニルアセタール系樹脂溶液(1))
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、アセトン150g、水100g、1−ブタナール12.3gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(けん化度99モル%、平均重合度1700)50gを1分間かけて添加した。水50gと47質量%硫酸21.2gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。アセトンと水の質量比1:1の混合溶媒で前記固形物の洗浄を5回行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させることで、ポリビニルアセタール系樹脂(1)を得た。
得られたポリビニルアセタール系樹脂(1)5質量部に、N−メチルピロリドン(NMP)95質量部を加えて、ポリビニルアセタール系樹脂(1)の質量が、ポリビニルアセタール系樹脂溶液の質量に対して5質量%である、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(1)を得た。
(高分子膜(1))
上記で得られたポリビニルアセタール系樹脂溶液(1)を、離形処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上にベーカー式アプリケーター(SA−201、テスター産業株式会社製)を用いて塗布した後、80℃で3時間乾燥することにより高分子膜(1)を得た。得られた高分子膜(1)の厚さは23μmであった。
上記で得られた高分子膜を用いて溶出率、膨潤率、突き刺し強度を測定した。結果を表に示す。
上記高分子膜(1)をアルゴンガス雰囲気下のグローブボックス(美和製作所製)に移送した。作製した高分子膜(1)を用いて、三極セルを作製し、イオン伝導度測定を実施した。結果を表に示す。
上記高分子膜(1)を用いて、ラミネートセルを作製し、0.2Cのレートにて充放電試験を100サイクル実施した。結果を表に示す。
<実施例2>
実施例1のポリビニルアセタール系樹脂の調製において、1−ブタナール12.3gに代えて、1−ブタナール10gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂(2)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(2)を用いて、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(2)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(2)(厚さ16μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(2)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<実施例3>
実施例1のポリビニルアセタール系樹脂の調製において、1−ブタナール12.3gに代えて、1−ブタナール4.4gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂(3)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(3)を用いて、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(3)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(3)(厚さ19μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(3)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<実施例4>
実施例1のポリビニルアセタール系樹脂の調製において、1−ブタナール12.3gに代えて、1−ノナナール18.8gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂(4)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(4)を用いて、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(4)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(4)(厚さ20μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(4)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<実施例5>
還流冷却管、温度計を備え付けた三つ口フラスコに、アセトン150g、水100g、1−ノナナール18.8gを加え、マグネティックスターラーで撹拌しながらポリビニルアルコール(けん化度99モル%、平均重合度2400)50gを1分間かけて添加した。水50gと47質量%硫酸21.2gの混合溶液を滴下漏斗から5分間かけて滴下し、30℃に昇温して5時間反応を行った。1モル/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8になるまで加えた後、ろ過により固形物を取り出した。アセトンと水の質量比1:1の混合溶媒で前記固形物の洗浄を5回行った後、120℃、圧力0.005MPaで6時間乾燥させることで、ポリビニルアセタール系樹脂(5)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(5)5質量部に、NMP95質量部を加えて、ポリビニルアセタール系樹脂(5)の質量が、ポリビニルアセタール系樹脂溶液の質量に対して5質量%である、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(5)を得た。該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(5)(厚さ19μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(5)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<実施例6>
実施例1のポリビニルアセタール系樹脂の調製において、1−ブタナール12.3gに代えて、1−オクタナール25.3gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂(6)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(6)を用いて、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(6)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(6)(厚さ18μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(6)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<実施例7>
実施例1のポリビニルアセタール系樹脂の調製において、1−ブタナール12.3gに代えて、1−オクタナール13.3gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂(7)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(7)を用いて、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(7)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(7)(厚さ17μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(7)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<比較例1>
実施例1のポリビニルアセタール系樹脂の調製において、1−ブタナール12.3gに代えて、1−ブチラール29.2gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂(8)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(8)を用いて、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(8)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(8)(厚さ20μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(8)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<比較例2>
実施例1のポリビニルアセタール系樹脂の調製において、1−ブタナール12.3gに代えて、1−ブタナール19.2gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂(9)を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂(9)を用いて、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂溶液(9)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(9)(厚さ17μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(9)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<比較例3>
ポリビニルホルマール(東京化成工業社製)5質量部を、NMP95質量部に溶解してポリビニルアセタール系樹脂溶液(10)を調製し、該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(10)(厚さ18μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(10)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度及びイオン伝導度測定を実施した。突き刺し試験においては、膜が膨潤前の形状を保持することができず、突き刺し試験を実施できなかった。そのため、サイクル特性は実施できなかった。結果を表に示す。
<比較例4>
ポリビニルアルコール(けん化度99%、PVA−117、クラレ製)の10質量%水溶液を調製し、実施例1と同様にして高分子膜(11)(厚さ10μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(11)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度を実施した。イオン伝導度測定を実施したものの、高分子膜(11)は電解液に膨潤せず、イオン伝導度は0Scm−1となり、イオン伝導性を示さなかった。そのため、サイクル試験は実施しなかった。
<比較例5>
ポリビニルアルコール(けん化度80%、PVA−417、クラレ製)の10質量%水溶液を調製し、実施例1と同様にして高分子膜(12)(厚さ10μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(12)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<比較例6>
ポリフッ化ビニリデン(PVDF;HSV900 Kynar社製)5質量部に、NMP95質量部を加えて、フッ素系樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を用いて、実施例1と同様にして高分子膜(13)(厚さ23μm)を得た。
上記で得られた高分子膜(13)を用いて実施例1と同様に、溶出率、膨潤率、突き刺し強度、イオン伝導度測定及びサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
<比較例7>
実施例1において、高分子膜(1)をコートせず、離形処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて、同様にサイクル試験を実施した。結果を表に示す。
Figure 2021096984


水酸基量が62〜90モル%であるポリビニルアセタール系樹脂を含有する実施例1〜7の高分子膜は、溶出率が低く耐電解液性を有し、膜の突き刺し強度も高かった。実施例1〜7の高分子膜はさらに、イオン伝導度も高いことから、該高分子膜を電池に挿入することで、サイクル特性の向上に寄与できることが確認された。これに対し、水酸基量が62モル%未満である比較例1〜3の高分子膜は、溶出率が高く、電解液中で安定的に形状を保持できないことが確認された。また、比較例4の高分子膜は、アセタール化されていないためポリビニルアセタール系樹脂に該当せず、イオン伝導性がなく電池に組み込める膜でないことが分かった。また比較例5の高分子膜は、アセタール化されていないが電解液に膨潤するポリビニルアルコールの膜であるが、膨潤性が低い為、イオン伝導性が低いことが確認された。また、膜の突き刺し強度も低く、該膜を含む電池のサイクル特性も低かった。ポリビニルアセタール系樹脂の膜ではない比較例6及び7の高分子膜を含む電池も、本発明の高分子膜を含む電池と比較して、サイクル特性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. 水酸基量が62〜90モル%であるポリビニルアセタール系樹脂を含有する、非水電解質電池用の高分子膜。
  2. 60℃で1時間、ジエチルカーボネートに浸漬させたとき、次の式:
    Figure 2021096984
    [式中、Aは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Bは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
    により算出される溶出率が7%以下である、請求項1に記載の高分子膜。
  3. 25℃で24時間、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドが1mol/Lの濃度で1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド中に溶解した溶液に浸漬させたとき、次の式:
    Figure 2021096984
    [式中、Cは高分子膜の浸漬前の質量(g)を表し、Dは高分子膜の浸漬後の質量(g)を表す]
    により算出される膨潤率が40%以上である、請求項1又は2に記載の高分子膜。
  4. ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルブチラール、ポリビニルノナナール及びポリビニルオクタナールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子膜。
  5. ポリビニルアセタール系樹脂の重合度は250〜5,000である、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子膜。
  6. ポリビニルアセタール系樹脂のけん化度は90モル%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子膜。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子膜を含む、非水電解質電池。
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