JP2021092477A - 超音波検査システム - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波センサの大きさを抑えながら、超音波センサの取付時間を短縮すると共に超音波センサの時間軸の校正を行うことができる超音波検査システムを提供する。【解決手段】超音波検査システムは、超音波センサ1と、制御装置2とを備える。超音波センサ1は、超音波を送受信する振動子4と、振動子4の上面に接着された磁石部材5とを備え、磁石部材5の磁力によって配管20に対し保持されつつ、接着剤22によって配管20に対し固定される。制御装置2は、磁石部材5内を伝播した超音波の伝播時間に基づいて時間軸を校正し、配管20内を伝播した超音波の伝播時間と配管20の音速に基づいて配管20の厚さを演算する。【選択図】図3
Description
本発明は、被検体の厚さを計測する超音波検査システムに関する。
非破壊検査技術のひとつである超音波検査は、低コスト、適用の容易さなどの特徴から幅広い分野で採用されている。原子力プラント、火力プラントや化学プラントなどでは、配管や容器などの健全性を担保するため、その肉厚を計測する超音波検査が定期的に実施されている。具体的には、配管や容器などから保温材を取り外した後、予め既定された検査点に超音波センサを押し当てて超音波検査を実施する。そのため、検査前後で保温材の着脱が必要であり、検査箇所が高所であれば検査前後での足場の組み立て・撤去も必要となる。また、配管や容器などに超音波センサを手動で押し当てるため、超音波の伝播方向が適切となるように、超音波センサを注意して操作する必要がある。原子力プラントなどでは、多数の配管や容器などを検査することが規定されており、多大な労力や時間を要している。
そこで、例えば保温材下の配管の表面に、超音波センサを予め固定しておく手法が提案されている。これにより、保温材の着脱なしに超音波検査を実施することができる。また、プラントの運転中に超音波検査を実施することで、定期検査における超音波検査の負荷を低減することが可能となる。
特許文献1は、超音波センサの構造を開示する。特許文献1の超音波センサは、超音波を送受信する振動子と、振動子を覆う上部カバーと、上部カバーに接合された下部カバーと、上部カバーの外側に設けられた磁石部材とを備える。磁石部材によって上部カバーを押さえ付けることにより、被検体に対して振動子を密着させるようになっている。
保温材下の配管の表面に超音波センサを固定するため、例えば熱硬化性の接着剤が用いられる。詳しく説明すると、配管から保温材を取り外し、配管の表面に接着剤を塗布し、配管の表面に超音波センサを押し付けた状態で接着剤を加熱し、接着剤の接着機能が発現するまで超音波センサを保持する。そして、超音波センサを保持するために治具を用いるのであれば、接着剤の接着機能が発現するまで治具を取り外せないし、保温材を復旧することができない。そこで、磁石部材を超音波センサに組み込み、磁石部材の磁力によって超音波センサを保持することが考えられる。この場合、接着剤の加熱や接着剤の接着機能の発現を待つことなく、保温材を復旧することができる。したがって、超音波センサの取付時間を短縮することができる。
ところで、超音波検査による原子力プラントの配管肉厚検査は、日本機械学会の定める検査規格に準拠することが定められており、その中で、計測前後での超音波センサの時間軸の校正が要求されている。保温材下の配管の表面に超音波センサを予め固定しておく手法では、従来のように校正用試験片を別途用意して、超音波センサの時間軸を校正することが困難である。そこで、厚さ及び材質が既知である校正板を、超音波センサに組み込むことが考えられる。しかしながら、上述した磁石部材と共に校正板を超音波センサに組み込めば、超音波センサの大きさが増大する。
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波センサの大きさを抑えながら、超音波センサの取付時間を短縮すると共に超音波センサの時間軸の校正を行うことができる超音波検査システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の超音波検査システムは、超音波を送受信する振動子、及び被検体とは反対側における前記振動子の表面に接着された磁石部材を備え、前記磁石部材の磁力によって前記被検体に対し保持されつつ、接着剤によって前記被検体に対し固定される超音波センサと、前記磁石部材内を伝播した超音波の伝播時間に基づいて時間軸を校正し、前記被検体内を伝播した超音波の伝播時間と前記被検体の音速に基づいて前記被検体の厚さを演算する制御装置とを備える。
本発明によれば、超音波センサの大きさを抑えながら、超音波センサの取付時間を短縮すると共に超音波センサの時間軸の校正を行うことができる。
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態における超音波検査システムの構成を、被検体である配管と共に表す概略図である。図2は、本実施形態における超音波センサの構造を表す上面図であり、図3は、図2の断面III−IIIによる断面図である。なお、図2においては、便宜上、カバー材を図示していない。
本実施形態の被検体である配管20は、例えば炭素鋼製であり、プラント運転中に液体もしくは気体が流れて高温となる。そのため、例えばケイ酸カルシウム製、ロックウール製、グラスウール製、無定形水練製、もしくは硬質ウレタンフォーム製の保温材21で覆われている。
本実施形態の超音波検査システムは、超音波センサ1、制御装置2、及び表示装置3(ディスプレイ)を備える。超音波センサ1は、耐熱性の接着剤22(詳細には、例えば熱硬化性の接着剤)によって、保温材21下の配管20の表面に固定されている。
超音波センサ1は、振動子4(圧電素子)と、振動子4の上面(言い換えれば、被検体とは反対側の面)に接着剤(接触媒質)で接着された磁石部材5と、振動子4及び磁石部材5を覆うカバー材6とを備える。振動子4は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などの圧電セラミックス製である。磁石部材5は、例えばネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、又はアルニコ磁石である。カバー材6は、例えばステンレス鋼製であって、耐腐食性及び柔軟性を有する。
制御装置2は、パルサ11、レシーバ12、信号処理部13、及び記憶部14を備える。なお、信号処理部13は、プログラムに従って処理を実行するプロセッサ等で構成され、記憶部14は、ハードディスクやメモリ等で構成されている。
超音波センサ1の振動子4は、制御装置2のパルサ11からの駆動信号(電気信号)によって厚さ方向に振動して、磁石部材5及び配管20に超音波を送信する。また、振動子4は、図3の矢印A1,A2で示すように、配管20の内面(言い換えれば、振動子4とは反対側の面)で1回反射された反射波Aと、図3の矢印B1,B2で示すように、磁石部材5の上面で1回反射された反射波Bを受信する。そして、反射波A,Bを波形信号(電気信号)に変換して制御装置2のレシーバ12へ出力する。
制御装置2の信号処理部13は、レシーバ12を介して得られた波形信号に対し、所定の処理(詳細には、アナログ信号からデジタル信号への変換処理等)を実行する。これにより、図4で示すように、反射波A,Bの波形データを取得する。そして、波形データを記憶部14へ出力して記憶させると共に、表示装置3へ出力して表示させる。なお、図4においては、配管20の肉厚t=12.5mm、磁石部材5の厚さh=7mm、磁石部材5はネオジム磁石である場合を例にとって示している。配管20の内面で1回反射された反射波Aの受信タイミングに対し、磁石部材5の上面で1回又は複数回反射された反射波の受信タイミングが異なるように、磁石部材5の厚さhが設定されている。
本実施形態の制御装置2の処理内容について説明する。図5は、本実施形態における制御装置2の処理手順を表すフローチャートである。
ステップS1にて、制御装置2のパルサ11は、超音波センサ1の振動子4に駆動信号を出力して、振動子4から超音波を送信させる。その後、振動子4は、上述した超音波A,Bを受信し、波形信号に変換して制御装置2のレシーバ12へ出力する。制御装置2の信号処理部13は、レシーバ12を介して得られた波形信号に対し所定の処理を実行して、超音波A,Bの波形データを取得する。そして、例えば駆動信号の出力タイミングを起点とし、各超音波の振幅(補間値)が最大となるタイミングを終点として、超音波Aの伝播時間ta及び超音波Bの伝播時間tbを計測する。
その後、ステップS2に進み、信号処理部13は、超音波Bの伝播時間tbに基づいて、超音波センサ1の時間軸(詳細には、伝播時間の起点)を校正する。具体的には、例えば、予め記憶された磁石部材5内の超音波の伝播距離(h×2)及び磁石部材5の音速から、超音波Bの伝播時間の演算値tb’を演算する。そして、超音波Bの伝播時間の計測値tbと演算値tb’との差分が許容範囲内にあるかどうかを判定する。差分が許容範囲内にない場合は、差分が小さくなるように、時間軸を校正する。これにより、上述のステップS1で計測された超音波Aの伝播時間taを補正する。
その後、ステップS3に進み、信号処理部13は、上述のようにして得られた超音波Aの伝播時間taと予め記憶された配管20の縦波音速vから、配管20の肉厚tを演算する。信号処理部13は、配管20の肉厚tを記憶部14へ出力して記憶させると共に、表示装置3へ出力して表示させる。
本実施形態の超音波センサ1の設置方法を説明する。まず、配管20から保温材21を取り外し、配管20の表面に接着剤22を塗布する。そして、配管20の表面に超音波センサ1を配置し、磁石部材5の磁力によって超音波センサ1を保持する。そして、例えば配管20を介し接着剤22を加熱して、接着剤22の接着機能を発現させる。このとき、前述したように磁石部材5の磁力によって配管20に対し超音波センサ1を保持しているので、接着剤22の加熱や接着剤22の接着機能の発現を待つことなく、保温材21を復旧することができる。したがって、超音波センサ1の取付時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、制御装置2は、磁石部材5内を伝播した超音波の伝播時間に基づいて超音波センサ1の時間軸を校正する。これにより、例えば磁石部材5と共に校正板を超音波センサに組み込み、校正板内を伝播した超音波の伝播時間に基づいて超音波センサ1の時間軸を校正する場合と比べ、超音波センサ1の大きさを抑えながら、超音波センサ1の時間軸を校正することができる。
本発明の第2の実施形態を、図6〜図8を用いて説明する。
図6は、本実施形態における超音波センサの構造を表す上面図であり、図7は、図6の断面VII−VIIによる断面図である。なお、図6及び図7においては、便宜上、カバー材6を図示していない。また、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
本実施形態では、超音波センサ1の磁石部材5は、振動子4の上面に沿う一方向に延在する四角柱形状の伝播部7と、伝播部7の延在方向の一方側(図6及び図7の左側)に形成され、振動子4の上面に接着剤(接触媒質)で接着された三角柱形状の伝播方向転換部8とを有する。なお、図7において、磁石部材5の伝播部7は、振動子4の上面から離間されているものの、これに限られない。すなわち、磁石部材5の伝播部7と振動子4の上面が隣接していても、それらの間に極わずかでも空気層が存在すれば超音波が伝播しないので、それらの間に接触媒質がなければよい。
伝播方向転換部8は、振動子4の上面に垂直な方向にて傾けられた傾斜面9を有する。そして、図6及び図7の矢印C1で示すように、振動子4から伝播方向転換部8に入射された超音波を、傾斜面9で反射して伝播部7へ出射し、図6及び図7の矢印C2で示すように、伝播部7の延在方向の他方側(図6及び図7の右側)の端面10で反射されて伝播部7から伝播方向転換部8に入射された超音波を、傾斜面9で反射して振動子4へ出射するようになっている。
振動子4は、図6及び図7の矢印C1,C2で示すように磁石部材5の端面10で1回反射された超音波Cを受信する。そして、超音波Cを波形信号に変換して制御装置2のレシーバ12へ出力する。
制御装置2の信号処理部13は、レシーバ12を介して得られた波形信号に対し所定の処理を実行して、超音波Cの波形データを取得する。そして、例えば駆動信号の出力タイミングを起点とし、超音波の振幅が最大となるタイミングを終点として、超音波Cの伝播時間tcを計測する。そして、超音波Cの伝播時間tcに基づいて、超音波センサ1の時間軸を校正する。具体的には、例えば、予め記憶された磁石部材5内の超音波の伝播距離((L1+L2)×2)及び磁石部材5の音速から、超音波Cの伝播時間の演算値tc’を演算する。そして、超音波Cの伝播時間の計測値tcと演算値tc’との差分が許容範囲内にあるかどうかを判定する。差分が許容範囲内にない場合は、差分が小さくなるように、時間軸を校正する。これにより、超音波Aの伝播時間taを補正する。
以上のように構成された本実施形態においても、第1の実施形態と同様、超音波センサ1の大きさを抑えながら、超音波センサ1の取付時間を短縮すると共に超音波センサ1の時間軸の校正を行うことができる。
また、本実施形態では、磁石部材5は、超音波の伝播方向を振動子4の上面に沿う方向に転換する伝播方向転換部8を有する。これにより、振動子4の上面に垂直な方向における磁石部材5の高さでなく、振動子4の上面に平行な方向における磁石部材5の長さを大きくして、磁石部材5内の超音波の伝播距離を大きくすることができる。これにより、磁石部材5の高さを小さくすることができ、且つ、配管20の内面で1回反射された反射波Aの受信タイミングに対し、磁石部材5の端面10で1回又は複数回反射された反射波の受信タイミングを異ならせることができる。したがって、超音波センサ1の薄型化と配管20の厚さの計測精度を両立することができる。
本実施形態の磁石部材5の設計方法を補足説明する。
図8で示すように、磁石部材5の伝播方向転換部8の傾斜面9の傾斜角α(詳細には、振動子4の上面と傾斜面9との間の角度)は、振動子4からの超音波が傾斜面9に入射する入射角と同じである。伝播方向転換部8の傾斜面9で反射された超音波は、伝播部7の延在方向(すなわち、振動子4の上面に平行な方向)に伝播させることが好ましい。そのため、振動子4からの超音波が傾斜面9で反射された反射角をβとすれば、α+β=90°となることが好ましい。
例えば、振動子4から傾斜面9に入射する超音波として縦波を用い、傾斜面9で反射された超音波として縦波を用いる場合は、α=βであるため、α=45°となる。
一方、例えば、振動子4から傾斜面9に入射する超音波として縦波を用い、傾斜面9で反射されて変換された超音波として横波を用いる場合は、下記の式(1)を用いて傾斜角αを演算する。式中のvlは磁石部材5の縦波音速、vsは磁石部材5の横波音速である。
sinα/sin(90°−α)=vl/vs ・・・(1)
sinα/sin(90°−α)=vl/vs ・・・(1)
磁石部材5の種類に応じて、縦波音速vl及び横波音速vsが異なるため、傾斜角αが変化する。磁石部材5がネオジム磁石である場合は傾斜角α=60°、フェライト磁石である場合は傾斜角α=59°〜62°、サマリウムコバルト磁石又はアルニコ磁石である場合は傾斜角α=60°となる。
予備検討によると、伝播方向転換部8の傾斜面9の傾斜角αが、上記の式(1)を用いて算出された最適値に対し±5°程度ずれても、傾斜面9で反射された超音波が十分なSN比で伝播部7に伝播することが分かっている。そのため、例えば、振動子4から傾斜面9に入射する超音波として縦波を用い、傾斜面9で反射された超音波として縦波を用いる場合は、傾斜角α=40°としてもよい。また、例えば、振動子4から傾斜面9に入射する超音波として縦波を用い、傾斜面9で反射された超音波として横波を用いる場合であって、かつ、磁石部材5がフェライト磁石である場合は、傾斜角α=67°としてもよい。したがって、傾斜角αは、40°〜67°の範囲内となる。
本発明の第3の実施形態を、図9及び図10を用いて説明する。
図9は、本実施形態における超音波センサの構造を表す上面図であり、図10は、図9の断面X−Xによる断面図である。なお、図9及び図10においては、便宜上、カバー材6を図示していない。また、本実施形態において、第1及び第2の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
本実施形態では、超音波センサ1は、振動子4と、振動子4の上面に接着剤で接着された一対の磁石部材5A,5Bと、振動子4及び磁石部材5A,5Bを覆うカバー材6とを備える。磁石部材5A,5Bは、直列に配置されて、互いに線対称な構造を有する。
磁石部材5Aは、振動子4の上面に沿う一方向(詳細には、磁石部材5A,5Bの直列方向)に延在する四角柱形状の伝播部7Aと、伝播部7Aの延在方向の一方側(図9及び図10の右側)に形成され、振動子4の上面に接着剤(接触媒質)で接着された三角柱形状の伝播方向転換部8Aとを有する。伝播方向転換部8Aは、振動子4の上面に垂直な方向にて傾けられた傾斜面9Aを有する。そして、図9及び図10の矢印D1で示すように、振動子4から伝播方向転換部8Aに入射された超音波を、傾斜面9Aで反射して伝播部7Aへ出射し、図9及び図10の矢印D2で示すように、伝播部7Aの延在方向の他方側(図9及び図10の左側)の端面10Aで反射されて伝播部7Aから伝播方向転換部8Aに入射された超音波を、傾斜面9Aで反射して振動子4へ出射するようになっている。
磁石部材5Bは、振動子4の上面に沿う一方向(詳細には、磁石部材5A,5Bの直列方向)に延在する四角柱形状の伝播部7Bと、伝播部7Bの延在方向の一方側(図9及び図10の左側)に形成され、振動子4の上面に接着剤(接触媒質)で接着された三角柱形状の伝播方向転換部8Bとを有する。伝播方向転換部8Bは、振動子4の上面に垂直な方向にて傾けられた傾斜面9Bを有する。そして、図9及び図10の矢印D3で示すように、振動子4から伝播方向転換部8Bに入射された超音波を、傾斜面9Bで反射して伝播部7Bへ出射し、図9及び図10の矢印D4で示すように、伝播部7Bの延在方向の他方側(図9及び図10の右側)の端面10Bで反射されて伝播部7Bから伝播方向転換部8Bに入射された超音波を、傾斜面9Bで反射して振動子4へ出射するようになっている。
振動子4は、図9及び図10の矢印D1,D2で示すように磁石部材5Aの端面10Aで1回反射された超音波と、図9及び図10の矢印D3,D4で示すように磁石部材5Bの端面10Bで1回反射された超音波を、同じタイミングで受信する。すなわち、前述した2つの超音波を合わせた超音波Dを受信するので、その強度を高めることができる。そして、超音波Dを波形信号に変換して制御装置2のレシーバ12へ出力する。
制御装置2の信号処理部13は、レシーバ12を介して得られた波形信号に対し所定の処理を実行して、超音波Dの波形データを取得する。そして、例えば駆動信号の出力タイミングを起点とし、超音波の振幅が最大となるタイミングを終点として、超音波Dの伝播時間tdを計測する。そして、超音波Dの伝播時間tdに基づいて、超音波センサ1の時間軸を校正する。具体的には、例えば、予め記憶された磁石部材5内の超音波の伝播距離((L3+L4)×2)及び磁石部材5の音速から、超音波Dの伝播時間の演算値td’を演算する。そして、超音波Dの伝播時間の計測値tdと演算値td’との差分が許容範囲内にあるかどうかを判定する。差分が許容範囲内にない場合は、差分が小さくなるように、時間軸を校正する。これにより、超音波Aの伝播時間taを補正する。
以上のように構成された本実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様、超音波センサ1の大きさを抑えながら、超音波センサ1の取付時間を短縮すると共に超音波センサ1の時間軸の校正を行うことができる。また、第2の実施形態と同様、超音波センサ1の薄型化と配管20の厚さの計測精度を両立することができる。
また、本実施形態では、磁石部材5A,5Bは、互いに線対称な構造を有する。これにより、磁石部材5A,5Bの磁力分布が線対象となるので、超音波センサ1を安定して保持することができる。
なお、第3の実施形態において、超音波センサ1は、線対称な構造を有する磁石部材5A,5Bを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば図11及び図12で示す変形例のように、超音波センサ1は、点対称な構造を有する磁石部材5Cを備えてもよい。
磁石部材5Cは、振動子4の上面に沿って延在する円環形状の伝播部7Cと、伝播部7Cの径方向内側に形成され、振動子4の上面に接着剤(接触媒質)で接着された円筒形状かつ中空円錐形の伝播方向転換部8Cとを有する。伝播方向転換部8Cは、振動子4の上面に垂直な方向にて傾けられた傾斜面9Cを有する。そして、振動子4から伝播方向転換部8Cに入射された超音波を、傾斜面9Cで反射して伝播部7Cへ出射し、伝播部7Cの径方向外側の端面10Cで反射されて伝播部7Cから伝播方向転換部8Cに入射された超音波を、傾斜面9Cで反射して振動子4へ出射するようになっている。このような変形例においても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、以上においては、被検体として、液体もしくは気体が流れる配管20を例にとって説明したが、これに限られず、例えば、液体もしくは気体が流れる容器であってもよい。
1 超音波センサ
2 制御装置
4 振動子
5,5A,5B,5C 磁石部材
7,7A,7B,7C 伝播部
8,8A,8B,8C 伝播方向転換部
9,9A,9B,9C 傾斜面
10,10A,10B,10C 端面
20 配管
22 接着剤
2 制御装置
4 振動子
5,5A,5B,5C 磁石部材
7,7A,7B,7C 伝播部
8,8A,8B,8C 伝播方向転換部
9,9A,9B,9C 傾斜面
10,10A,10B,10C 端面
20 配管
22 接着剤
Claims (4)
- 超音波を送受信する振動子、及び被検体とは反対側における前記振動子の表面に接着された磁石部材を備え、前記磁石部材の磁力によって前記被検体に対し保持されつつ、接着剤によって前記被検体に対し固定される超音波センサと、
前記磁石部材内を伝播した超音波の伝播時間に基づいて時間軸を校正し、前記被検体内を伝播した超音波の伝播時間と前記被検体の音速に基づいて前記被検体の厚さを演算する制御装置とを備えたことを特徴とする超音波検査システム。 - 請求項1に記載の超音波検査システムにおいて、
前記磁石部材は、
前記振動子の表面に沿って延在する伝播部と、
前記伝播部の延在方向の一方側に形成され、前記振動子の表面に接着された伝播方向転換部とを有しており、
前記伝播方向転換部は、前記振動子の表面に垂直な方向にて傾けられた傾斜面を有し、前記振動子から前記伝播方向転換部に入射された超音波を、前記傾斜面で反射して前記伝播部へ出射すると共に、前記伝播部の延在方向の他方側の端面で反射されて前記伝播部から前記伝播方向転換部に入射された超音波を、前記傾斜面で反射して前記振動子へ出射するように構成されたことを特徴とする超音波検査システム。 - 請求項2に記載の超音波検査システムにおいて、
前記超音波センサは、前記磁石部材を一対有し、
前記一対の磁石部材は、直列に配置されて互いに線対称な構造を有することを特徴とする超音波検査システム。 - 請求項2に記載の超音波検査システムにおいて、
前記磁石部材は、点対称な構造を有することを特徴とする超音波検査システム。
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