JP2021092295A - 無段変速機の制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一方のプーリのみに油圧センサを有する無段変速機において、油圧センサを有しないプーリにおける指示圧と実圧とのずれを修正可能にする。【解決手段】コントローラ10は、PRIプーリ21と、SECプーリ22と、ベルト23と、を有するバリエータ20と、SECプーリ22のSEC実圧を検出する油圧センサ44と、を備え車両100に搭載される自動変速機3を制御する。コントローラ10は、自動変速機3の変速比が一定であるときにPRI指示圧を段階的に変化させていき、実変速比が変化したら、実変速比が変化した直前のPRI指示圧及び油圧センサ44によって検出されたSEC実圧に基づいてPRI指示圧とPRI実圧とのずれ値A(またはB)を推定する推定制御と、ずれ値A(またはB)に基づいてPRI指示圧を補正する補正制御とを実行する。【選択図】図3
Description
本発明は、無段変速機の制御装置及び制御方法に関する。
特許文献1には、入力側可変プーリと出力側可変プーリと伝動ベルトとを有する無段変速機と、入力側可変プーリに供給される油圧を検出する第1の油圧センサと、出力側可変プーリに供給される油圧を検出する第2の油圧センサと、第1及び第2の油圧センサから入力される信号等に基づいて油圧制御回路を制御して入力側及び出力側可変プーリに供給する油圧を制御する電子制御装置が開示されている。
このような無段変速機の電子制御装置では、それぞれのプーリに供給される油圧を検出できる。そのため、プーリに作用する油圧の指示圧と指示圧によって実際にプーリに供給される油圧との間にずれが生じた場合、どちらのプーリでずれが生じてもずれを検出することができる。
ところで、一方のプーリのみに検知センサを備える無段変速機の制御装置では、油圧センサを有しないプーリに作用する油圧の指示圧と、指示圧によって実際にプーリに供給される油圧との間にずれが生じても、ずれを検出することができず、ずれを修正することが難しかった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、一方のプーリのみに油圧センサを有する無段変速機において、油圧センサを有しないプーリにおけるプーリに作用する油圧の指示圧と実際にプーリに供給される油圧との間のずれを修正可能にすることを目的とする。
本発明のある態様によれば、第1プーリと、第2プーリと、前記第1プーリ及び前記第2プーリに巻き掛けられる動力伝達部材と、を有する無段変速機構と、前記第2プーリに供給される実圧である第2実圧を検出する油圧センサと、を備え車両に搭載される無段変速機を制御する、無段変速機の制御装置であって、前記無段変速機の制御装置は、前記無段変速機の変速比が一定であるときに前記第1プーリの指示圧である第1指示圧を段階的に変化させていき前記変速比が変化したら、前記変速比が変化した直前の前記第1指示圧及び前記油圧センサによって検出された前記第2実圧に基づいて前記第1指示圧と前記第1プーリに供給される実圧である第1実圧との差を推定する推定制御を実行し、前記差に基づいて前記第1指示圧を補正する補正制御を実行する、ことを特徴とする無段変速機の制御装置が提供される。
上記態様によれば、第1指示圧と第2実圧とに基づいて、第1指示圧と第1実圧との差を推定し、当該差に基づいて第1指示圧と第1実圧とのずれを修正することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両100の要部を示す図である。車両100は、エンジン1と、トルクコンバータ2と、無段変速機としての自動変速機3と、車軸部4と、駆動輪5と、オイルポンプ6と、制御装置としてのコントローラ10と、油圧制御回路11と、を備える。
エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、コントローラ10からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
トルクコンバータ2は、動力伝達経路におけるエンジン1の下流に配置され、流体を介して動力を伝達する。トルクコンバータ2では、ロックアップクラッチ2aを締結することで、動力伝達効率を高めることができる。
自動変速機3は、無段変速機構としてのバリエータ20と、副変速機構30と、を備える。自動変速機3は、動力伝達経路におけるトルクコンバータ2の下流に配置される。自動変速機3は、入力された回転速度を変速比に応じた回転速度で出力する。
車軸部4は、減速ギヤ、差動装置及び駆動車軸を有して構成される。エンジン1の動力は、トルクコンバータ2、バリエータ20、副変速機構30及び車軸部4によって構成される動力伝達経路を介して駆動輪5に伝達される。
バリエータ20は、第1プーリとしてのプライマリプーリ21と、第2プーリとしてのセカンダリプーリ22と、動力伝達部材としてのベルト23と、を備える。バリエータ20は、プライマリプーリ21とセカンダリプーリ22の溝幅をそれぞれ変更することで、ベルト23の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式の無段変速機構を構成している。以下では、プライマリをPRIと称し、セカンダリをSECと称す。
PRIプーリ21は、固定プーリ21aと、可動プーリ21bと、PRI室21cと、を有する。PRI室21cには、油圧制御回路11の第1ソレノイドバルブ12によって制御されたPRI圧が供給される。PRI圧が供給されることにより、可動プーリ21bが作動し、PRIプーリ21の溝幅がPRI圧に応じて変更される。
SECプーリ22は、固定プーリ22aと、可動プーリ22bと、SEC室22cと、を有する。SEC室22cには、油圧制御回路11の第2ソレノイドバルブ13によって制御されたSEC圧が供給される。SEC圧が供給されることにより、可動プーリ22bが作動し、SECプーリ22の溝幅がSEC圧に応じて変更される。
ベルト23は、PRIプーリ21とSECプーリ22との間に巻き掛けられる。具体的には、ベルト23は、PRIプーリ21の固定プーリ21aと可動プーリ21bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ22の固定プーリ22aと可動プーリ22bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。
ベルト23の支持は、PRI室21c及びSEC室22cに供給されるPRI圧及びSEC圧によって発生する油圧支持力であるベルト挟持力により確保される。
副変速機構30は有段変速機構であり、前進2段、後進1段の変速段を有する。副変速機構30は、前進用変速段として、1速と、1速よりも変速比が小さい2速を有する。副変速機構30は、バリエータ20の出力側(動力伝達経路における下流側)に直列に設けられる。
バリエータ20と副変速機構30とは構造上、個別の変速機構として構成されてもよい。また、副変速機構30は、バリエータ20に直接接続されてもよく、ギヤ列など他の構成を介してバリエータ20に間接的に接続されてもよい。
副変速機構30は、クラッチとして、Lowブレーキ31と、Highクラッチ32と、後進ブレーキ33と、を備える。Lowブレーキ31と、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33は、供給される油圧によって各伝達トルク容量が制御され、締結、解放可能な油圧式クラッチである。Lowブレーキ31が締結され、Highクラッチ32及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30の変速段は1速段となる。Highクラッチ32が締結され、Lowブレーキ31及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30の変速段は1速段よりも変速比が小さい2速段となる。また、後進ブレーキ33が締結され、Lowブレーキ31及びHighクラッチ32が解放されると、副変速機構30の変速段は後進段となる。さらに、Lowブレーキ31、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30は動力遮断状態になり、自動変速機3はニュートラル状態となる。
オイルポンプ6は、エンジン1により駆動されて、タンクから吸い込んだ作動油を吐出する。オイルポンプ6から吐出された作動油は、油圧制御回路11を通じてバリエータ20や副変速機構30等に供給される。
油圧制御回路11は、オイルポンプ6が吐出した作動油の圧力を調整してバリエータ20や副変速機構30の各部位に伝達する。油圧制御回路11では、ライン圧、PRI圧、SEC圧、Lowブレーキ31、Highクラッチ32及び後進ブレーキ33の締結圧の調整等が行われる。
油圧制御回路11は、第1ソレノイドバルブ12と、第2ソレノイドバルブ13とを備える。第1ソレノイドバルブ12は、後述するコントローラ10によって制御され、PRIプーリ21のPRI室21cへ供給する油圧を調整する。第2ソレノイドバルブ13は、後述するコントローラ10によって制御され、SECプーリ22のSEC室22cへ供給する油圧を調整する。
コントローラ10は、車両100の各種動作を制御する。コントローラ10は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ10は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。具体的には、コントローラ10は、自動変速機3を制御するATCU、シフトレンジを制御するSCU、エンジン1の制御を行うECU等によって構成することもできる。
コントローラ10には、バリエータ20の入力側回転速度Ninを検出するための入力側回転速度センサ41、バリエータ20の出力側回転速度Noutを検出するための出力側回転速度センサ42、副変速機構30の出力側の回転速度を検出する回転速度センサ43、SEC室22cに供給される油圧を検出する油圧センサ44からの信号が入力される。コントローラ10には、この他、アクセル開度センサ45、ブレーキセンサ46、イグニッションスイッチ47、インヒビタスイッチ48、エンジン回転速度センサ49、車速センサ50等からの信号も入力される。
アクセル開度センサ45は、アクセルペダルの操作量を表すアクセル開度APOを検出する。アクセル開度APOは、運転者による加速要求を指標する。ブレーキセンサ46は、ブレーキペダルの踏み込みの有無を検知する。ブレーキペダルの踏み込みは、運転者による減速要求を指標する。ブレーキセンサ46は、ブレーキペダルの踏力を表すブレーキ踏力を検出するものであってもよい。インヒビタスイッチ48は、セレクトレバーの位置を検出する。エンジン回転速度センサ49は、エンジン1の回転速度Neを検出する。車速センサ50は、車両100の車速を検出する。
コントローラ10は、これらの信号に基づき変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を油圧制御回路11に出力する。油圧制御回路11は、コントローラ10からの変速制御信号に基づき、ライン圧、PRI圧、SEC圧、副変速機構30の各締結要素の締結圧を制御するとともに、油圧経路の切り換えを行う。これにより、油圧制御回路11からバリエータ20及び副変速機構30の各部位に変速制御信号に応じた油圧が供給され、バリエータ20及び副変速機構30の変速比が、変速制御信号に応じた変速比すなわち目標変速比に変更される。
また、コントローラ10は、入力側回転速度センサ41及び出力側回転速度センサ42から入力される信号(PRIプーリ21及びSECプーリ22の回転速度)に基づき、実変速比を求め、実変速比と目標変速比とのずれを修正するためにPID制御を行う。実変速比が目標変速比に対してずれている場合には、実変速比が目標変速比となるようにPRI指示圧を補正して実変速比と目標変速比とを一致させる。
ところで、自動変速機3では、個体差や経年劣化などによってPRI指示圧とPRI実圧との間にずれが生じることがある。しかしながら、本実施形態における車両100にはPRI実圧を検知するための油圧センサが設けられていないため、このずれを検知することができない。そのため、PRI指示圧とPRI実圧との間にずれが生じると、PRI指示圧とPRI実圧とがずれたまま制御が行なわれてしまうことになる。この結果、以下のような事象が発生するおそれがある。
PRI指示圧とPRI実圧とがずれたまま制御が行われることにより発生するおそれがある事象について、図2を参照しながら説明する。図2は、車両100の急減速−停車−再発進の過程における、バリエータ20の変速比、PRIプーリ21及びSECプーリ22の油圧、車速の変化を示すタイムチャートである。以下では、PRIプーリ21に供給する目標とする油圧をPRI指示圧と称し、PRIプーリ21に供給される実際の油圧をPRI実圧と称する。また、SECプーリ22に供給する目標とする油圧をSEC指示圧と称し、SECプーリ22に供給される実際の油圧をSEC実圧と称する。図2では、PRI実圧がPRI指示圧よりも高くずれた場合となっている。
時刻t11において、ブレーキが踏まれるなどして車両100が急減速すると、コントローラ10はブレーキセンサ46や車速センサ50などからの信号に基づき車両100の急減速が発生したと判断し、その後に予見される車両100の停車(時刻t13)及び再発進(時刻t14)に備えて、車両100が停車するまでにバリエータ20の実変速比が最Lowとなるように、SEC指示圧を上昇させるとともにPRI指示圧を低下させる。
時刻t11以降、PRI指示圧の低下に追従してPRI実圧も低下するが、時刻t12において、PRI指示圧は、第1ソレノイドバルブ12の下限圧力値LLに達する。
ここで、下限圧力値LLとは、第1ソレノイドバルブ12に対するPRI指示圧の下限値である。第1ソレノイドバルブ12は、PRI実圧をPRI指示圧とするためにコントローラ10により制御された電流に応じて、開度が調整される。しかしながら、第1ソレノイドバルブ12には、その特性上、ある電流値だと駆動しない、または適切に駆動しない不感帯が存在する。不感帯は、上限側(バルブの全開側)と下限側(バルブの全閉側)に存在する。そのため、第1ソレノイドバルブ12は、下限側の不感帯、または上限側の不感帯にあたる電流が供給されると適切に駆動しない。そこで、コントローラ10には、電流値が第1ソレノイドバルブ12の不感帯に入らないように、第1ソレノイドバルブ12に供給する電流値の上限値と下限値が設定されている。換言すると、コントローラ10には、PRI指示圧の上限値と下限値が設定されている。この下限値のことを下限圧力値LLと言う。なお、PRI指示圧の上限値を上限圧力値ULという。
コントローラ10がPRI指示圧を低下させることができるのは、下限圧力値LLまでである。PRI指示圧が下限圧力値LLに達すると、PRI指示圧を低下させることができない。そのため、PRI実圧も時刻t12における油圧で下げ止まることになる。つまり、PRI実圧を下限圧力値LLまで低下させることができない。
そのため、バリエータ20の実変速比が目標変速比に到達せず、時刻t13で、車両100は実変速比が高いまま停止する。結果、車両100は、時刻t14において実変速比が高いまま(最Lowに戻らない状態で)再発進することになり、再発進時の加速が鈍化するおそれがある。
そこで、本実施形態では、コントローラ10によって、PRI指示圧とPRI実圧とのずれを推定し、当該ずれを修正する推定制御及び補正制御を実行する。なお、推定制御及び補正制御は、コントローラ10に予め記憶させたプログラムに基づいて実行される。
図3、図4を参照して、コントローラ10による推定制御及び補正制御の詳細を説明する。図3は、コントローラ10による制御内容を示すフローチャートである。図3のうち、ステップS10−S18が推定制御に相当し、ステップS19−S20が補正制御に相当する。図4は、図3の推定制御におけるステップS15−S17を説明するためのタイムチャートである。
図3によると、ステップS10では、コントローラ10は、NレンジまたはPレンジが選択されたか否かを判断する。この判断は、例えば、インヒビタスイッチ48から入力される信号に基づくシフトレバーの位置により行う。なお、出力側回転速度センサ42、回転速度センサ43から入力される信号に基づく動力伝達経路の締結回転状態により行うようにしてもよい。もしくは、シフトレバーの位置と動力伝達経路の締結回転状態とにより行うようにしてもよい。NレンジまたはPレンジが選択されると、副変速機構30のLowブレーキ31、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33が解放され、副変速機構30は解放状態(動力遮断状態)となる。コントローラ10は、NレンジまたはPレンジが選択されたと判断すると、処理をステップS11に進める。一方、NレンジまたはPレンジが選択されていないと判断すると、処理をENDに進める。
ステップS11では、コントローラ10は、バリエータ20の入力側回転速度Ninが、所定範囲N1〜N2内にあるか、換言するとバリエータ20の入力側回転速度Ninが一定の範囲内で安定しているか否かを判断する。この判断は、入力側回転速度センサ41から入力される信号に基づいて行う。当該判断を行う理由は以下の通りである。入力側回転速度Ninが変動している場合は、エンジン1からの入力トルクが変動していることを意味する。エンジン1からの入力トルクが変動した状態で、後述するPRI指示圧とPRI実圧とのずれを推定すると、入力トルクの変動が影響し、ずれの推定結果が誤った値となるおそれがある。そのため、ステップS11において、入力側回転速度Ninが所定範囲N1〜N2内にある(入力側回転速度Ninが一定の範囲内で安定している)か否かを判断し、入力側回転速度Ninが所定範囲N1〜N2内にある(入力側回転速度Ninが一定の範囲内で安定している)と判断すると、処理をS12に進める。一方、入力側回転速度Ninが所定範囲N1〜N2内でない(入力側回転速度Ninが安定していない)と判断すると、処理をENDに進める。
ステップS12では、コントローラ10は、実変速比と目標変速比とのずれを修正するためのPID制御を停止する。これは、後述するPRI指示圧とPRI実圧とのずれを推定するに際し、積分項(I項)の影響を抑制するためである。また、ステップS12では、PID制御における積分値をリセットし、処理をステップS13に進める。
ステップS13では、コントローラ10は、バリエータ20の実変速比が最Lowであるか否かを判断する。具体的には、バリエータ20の入力側回転速度Nin及び出力側回転速度Noutに基づいて、実変速比が最Lowであるか否かを判断する。実変速比が最Lowであると判断すると、処理をステップS15に進める。また、実変速比が最Lowでないと判断すると、処理をステップS14に進めてPRI指示圧を下げて、再びステップS13の判断を行う。バリエータ20の実変速比が最Lowでない場合は、実変速比が最LowになるまでステップS13とステップS14を繰り返す。
ステップS15では、コントローラ10は、SEC指示圧を維持した状態でPRI指示圧を所定値P1分上昇させて、処理をステップS16に進める。
ステップS16では、コントローラ10は、PRI指示圧の上昇によってバリエータ20の実変速比が最LowからHigh側に変化したか否かを判断する。
ここで、所定の入力トルクのときにバリエータ20の実変速比が所定の変速比になるよう設定されたPRI実圧とSEC実圧との比には所定の範囲がある。つまり、バリエータ20の実変速比が最Lowになるように設定されたPRI実圧とSEC実圧との比(以降、最Low設定比と称する)にも所定の範囲があるため、バリエータ20の実変速比が最LowからHigh側に変化するのは、PRI実圧とSEC実圧との比が最Low設定比の範囲の上限を超えたときである。よって、所定値P1分上昇したPRI指示圧によって供給されるPRI実圧とSEC実圧との比が、最Low設定比の範囲内であれば、実変速比は最Lowのままで維持される。
バリエータ20の実変速比が最Lowのままであれば、処理をステップS15に進め、再度PRI指示圧をさらに所定値P1分上昇させる。ステップS15とステップS16を繰り返し、PRI指示圧を所定値P1ずつ段階的に上昇させていくと、ある段階でPRI実圧とSEC実圧との比が最Low設定比の範囲の上限を超えて、バリエータ20の実変速比がHigh側に変化する。実変速比のHigh側への変化を検出すると、処理をステップS17に進める。
ステップS17では、コントローラ10は、PRI指示圧をバリエータ20の実変速比が変化する直前の段階の値にする。また、このときのPRI指示圧とSEC実圧との比をバランス上限比(バリエータ20の実変速比が最Lowで維持される範囲の上限の比)として学習する。また、このときの入力側回転速度Nin及びアクセル開度APOに基づいて、入力トルクも学習する。入力トルクは、バランス上限比を学習するときに、エンジン1から入力トルクの実測値を取得して学習してもよい。
ここで、上記ステップS15からステップS17の制御について、図4を参照にして、時系列に沿って詳細に説明する。
図4は、ステップS15−S17の制御に係る、バリエータ20の変速比、PRIプーリ21のPRI指示圧及びPRI実圧、SECプーリ22のSEC指示圧の変化を示すタイムチャートである。なお。図4では、PRI実圧がPRI指示圧よりも高くずれた場合となっている。
時刻t1において、コントローラ10は、SEC指示圧を一定に維持したままPRI指示圧を所定値P1分上昇させて(ステップS15)、バリエータ20の実変速比が最LowからHigh側に変化するかを確認する(ステップS16)。PRI指示圧の所定値P1分の上昇に追従してPRI実圧も上昇する(時刻t1−時刻t2間)。しかしながら、この時点でのPRI実圧とSEC実圧の比は最Low設定比の範囲を超えていないため、バリエータ20の実変速比は最Low状態で維持される。
コントローラ10は、時刻t1にPRI指示圧を所定値P1分上昇させてから所定時間t2までにバリエータ20の実変速比の変化を検出できないと(ステップS16 NO判定)、時刻t2において、PRI指示圧を再度所定値P1分さらに上昇させて(ステップS15)、バリエータ20の実変速比の変化を確認する(ステップS16)。
コントローラ10は、バリエータ20の実変速比の変化を検出するまで、PRI指示圧を所定値P1分ずつ上昇させていく(時刻t3、t4)。PRI指示圧の上昇に追従してPRI実圧も段階的に上昇する。
時刻t4以降では、時刻t4で設定されたPRI指示圧P3によるPRI実圧と時刻t1から一定に維持されたSEC指示圧によるSEC実圧との比が、最Low設定比の範囲の上限を超え、バリエータ20の実変速比は最LowからHigh側に変化していく。
時刻t5において、コントローラ10は、バリエータ20の実変速比の変化を検出すると(ステップS16 YES判定)、時刻t4で上昇させる直前のPRI指示圧P2とSEC実圧との比を、バランス上限比として学習する。また、このときの入力側回転速度Nin及びアクセル開度APOに基づいて、バランス上限比の学習時の入力トルクも学習する。
時刻t6において、コントローラ10は、PRI指示圧を時刻t4で上昇させる直前のPRI指示圧P2に設定する(ステップS17)。これにより、時刻t6から時刻t8にかけて、PRI実圧が低下するとともにバリエータ20の実変速比が最Lowになる。
このように、コントローラ10は、ステップS15−S17では、バリエータ20の実変速比が最Lowで一定であるときにPRI指示圧を所定値P1ずつ段階的に上昇させていく。そして、実変速比が最LowからHigh側に変化したら、実変速比が変化した直前におけるPRI指示圧P2及び油圧センサ44によって検出されたSEC実圧から、バリエータ20の実変速比が最Lowで維持されるバランス上限比を学習する。また、このときの入力側回転速度Nin及びアクセル開度APOに基づいて、バランス上限比を学習したときの入力トルクも学習する。
図3に戻って、推定制御の続きを説明する。コントローラ10は、ステップS17を実施後に処理をステップS18に進める。
ステップS18では、コントローラ10は、バランス上限比と、バランス上限比を学習したときの入力トルクでの最Low設定比に基づき、PRI指示圧とPRI実圧とのずれ値Aを推定する。
以下、ずれ値Aの推定の詳細について説明する。
前提として、コントローラ10は、油圧センサ44によってSEC実圧を検出し、SEC実圧がSEC指示圧に対してずれている場合には第2ソレノイドバルブ13を制御して適宜ずれを修正している。そのため、SEC実圧はSEC指示圧と同じ値となる。
また、コントローラ10には、所定の入力トルクのときにバリエータ20の実変速比が所定の実変速比になるように設定されたPRI実圧及びSEC実圧の比(以下、設定比と称する)が記憶されている。この設定比には、上記した最Low設定比も含まれる。なお、コントローラ10に記憶される設定比の範囲は、バリエータ20の設計に基づく理論値や、予め実験等により求めた実測値に基づいて定められる。
そのため、コントローラ10は、入力トルクが分かれば、当該入力トルクのときの最Low設定比が分かる。そのため、ステップS17のバランス上限比を学習したときの入力トルクから、当該入力トルクでの最Low設定比の範囲が分かる。したがって、当該入力トルクでの最Low設定比の範囲の上限も分かる。
上記の通り算出したバランス上限比を学習したときの入力トルクでの最Low設定比の範囲の上限(実変速比が最Lowになる設定上の比の範囲の上限)と、ステップS17で学習したバランス上限比(実変速比が最Lowになる実際の比の範囲の上限)とから、実変速比が最Lowになる設定上の比の範囲の上限と実変速比が最Lowになる実際の比の範囲の上限とのずれが分かる。
前提として上記した通り、本実施形態では、SEC実圧はSEC指示圧と同じ値になる。換言すると、実変速比が最Lowになる設定上の比の範囲の上限におけるSEC実圧(SEC指示圧)と、実変速比が最Lowになる実際の比の範囲の上限におけるSEC実圧(SEC実圧)とは、同じ値となる。結果、上記のずれは、PRI指示圧とPRI実圧とのずれであると推定できる。このように、本実施形態によれば、油圧センサを有しないPRIプーリ21におけるPRI指示圧とPRI実圧とのずれを推定することができる。
そこで、ステップS18では、コントローラ10は、まず、バランス上限比を学習したときの入力トルクでの最Low設定比の範囲の上限を算出する。そして、最Low設定比の範囲の上限とバランス上限比とから、ずれ値Aを推定する。ずれ値Aを推定すると、処理をステップS19に進める。
コントローラ10は、ステップS19では、PRI指示圧をずれ値Aによって補正する。このように、本実施形態によれば、油圧センサを有しないPRIプーリ21におけるPRI指示圧とPRI実圧とのずれを修正することができる。
本制御によってPRI指示圧とPRI実圧との最Low側のずれが修正されることで、最Low側におけるコントローラ10の変速制御性能が向上し、自動変速機3の最Low側での変速追従性を向上することができる。これにより、車両100の停車時までに自動変速機3の実変速比を最Lowにすることができる(Low戻り性が向上する)。つまり、実変速比が高いままでの再発進することを防ぐことができ、再発進時における加速鈍化のおそれを防ぐことができる。
また、PRI指示圧とPRI実圧との最Low側のずれを修正することで、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の個体差による指示圧と実圧との最Low側のずれを吸収することができる。さらに、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の経年劣化による指示圧と実圧との最Low側のずれを修正することができる。
図3によると、コントローラ10は、ステップS19の後に、処理をステップS20に進める。ステップS20では、コントローラ10は、第1ソレノイドバルブ12の下限圧力値LLをずれ値Aで補正し、新たな下限圧力値NLLとする。ステップS20を行う理由と効果は以下の通りである。
まず、下限圧力値LLは、第1ソレノイドバルブ12の個体差ばらつきを考慮して、不感帯に到達しない限界の値に余裕値を持たせて高めに設定している。
そのため、PRI指示圧とPRI実圧とのずれを無くすことができれば、当該ずれの分だけ余裕値を減らすことが可能となる。余裕値を減らすことができれば、余裕値を減らした分だけPRI指示圧やPRI実圧を下げることができる。換言すると、第1ソレノイドバルブ12の油圧供給の下限能力を、個体差ばらつきを考慮して下限圧力値LLを設定した場合よりも発揮させることができる。
そこで、ステップS20では、第1ソレノイドバルブ12の下限圧力値LLをずれ値Aで補正し、新たな下限圧力値NLLとする。これにより、第1ソレノイドバルブ12の油圧供給の下限能力を、個体差ばらつきを考慮して下限圧力値LLを設定した場合よりも発揮させることができ、自動変速機3のLow戻り性を向上することができる。
続いて、図5A、5Bを参照して、本発明の別の実施形態に係る推定制御及び補正制御の詳細を説明する。本実施形態は、車両100のコースト走行時に推定制御及び補正制御を行う点で、これまで説明した実施形態の制御とは異なる。
図5A、5Bは、コントローラ10による制御内容を示すフローチャートである。これらの図のうち、ステップS30−S42が推定制御に相当し、ステップS43−S44が補正制御に相当する。
図5Aによると、ステップS30では、コントローラ10は、Dレンジが選択されているか否かを判断する。この判断は、インヒビタスイッチ48から入力される信号に基づくシフトレバーの位置により行う。なお、入力側回転速度センサ41、回転速度センサ43から入力される信号に基づく動力伝達経路の締結回転状態により行うようにしてもよい。もしくは、シフトレバーの位置と動力伝達経路の締結回転状態とにより行うようにしてもよい。Dレンジが選択されていると判断すると、処理をステップS31に進める。一方、Dレンジが選択されていないと判断すると、処理をENDに進める。
ステップS31では、コントローラ10は、アクセル開度APOが0であるか否かを判断する。この判断は、アクセル開度センサ45から入力される信号に基づいて行う。アクセル開度APOが0であると判断すると処理をステップS32に進める。一方、アクセル開度APOが0でないと判断すると、処理をENDに進める。
ステップS32では、コントローラ10は、バリエータ20の目標変速比を最Highに指示しているか否かを判断する。最High指示をしていると判断すると処理をステップS33に進める。一方、最High指示をしていないと判断すると、処理をENDに進める。
ステップS33では、コントローラ10は、ブレーキが踏まれているか否かを判断する。換言すると、ブレーキスイッチがオフであるか否かを判断する。この判断は、ブレーキセンサ46から入力される信号に基づいて行う。ブレーキスイッチがオフであると判断すると、処理をステップS34に進める。一方、ブレーキスイッチがオンであると判断すると、処理をENDに進める。
ステップS34では、コントローラ10は、車速がダウンシフトを開始しない程度の車速であるか否かを判断する。この判断は、車速センサ50等から入力される信号に基づいて行う。ダウンシフトを開始しない程度の車速であると判断すると、処理を図5BのステップS35に進める。一方、ダウンシフトが開始される車速であると判断すると、処理をENDに進める。
図5Bによると、ステップS35では、コントローラ10は、バリエータ20の入力側回転速度Ninが、所定範囲N1〜N2の範囲内にあるかを判断する。換言すると入力側回転速度Ninが一定の範囲内で安定しているか否かを判断する。この判断は、入力側回転速度センサ41から入力される信号に基づいて行う。入力側回転速度Ninが所定範囲N1〜N2内にある(入力側回転速度Ninが一定の範囲内で安定している)と判断すると、処理をS36に進める。一方、入力側回転速度Ninが所定範囲N1〜N2内にない(入力側回転速度Ninが安定していない)と判断すると、処理をENDに進める。
ステップS36では、コントローラ10は、実変速比と目標変速比とのずれを修正するためのPID制御を停止する。またステップS36では、PID制御における積分値をリセットし、処理をステップS37に進める。
ステップS37では、コントローラ10は、バリエータ20の実変速比が最Highであるか否かを判断する。具体的には、バリエータ209の入力側回転速度Nin及び出力側回転速度Noutに基づいて、実変速比が最Highであるか否かを判断する。実変速比が最Highであると判断すると、処理をステップS39に進める。一方、実変速比が最Highでないと判断すると、処理をステップS38に進めてPRI指示圧を上げて、再びステップS37の判断を行う。バリエータ20の実変速比が最Highでない場合は、実変速比が最HighになるまでステップS37とステップS38を繰り返す。
ステップS39では、コントローラ10は、SEC指示圧を維持した状態でPRI指示圧を所定値P4分低下させて、処理をステップS40に進める。
ステップS40では、コントローラ10は、PRI指示圧の低下によってバリエータ20の実変速比が最HighからLow側に変化したか否かを判断する。
バリエータ20の実変速比が最Highとなるように設定されたPRI実圧とSEC実圧との比(以降、最High設定比と称する)には、上記の最Low設定比と同様に、所定の範囲がある。バリエータ20の実変速比が最HighからLow側に変化するのは、PRI実圧とSEC実圧との比が最High設定比の範囲の下限を超えたときである。よって、所定値P4分低下したPRI指示圧によって供給されるPRI実圧とSEC実圧との比が、最High設定比の範囲内であれば、実変速比は最Highのままで維持される。
バリエータ20の実変速比が最Highのままであれば、処理をステップS39に進め、再度PRI指示圧をさらに所定値P4分低下させる。ステップS39とステップS40を繰り返し、PRI指示圧を所定値P4ずつ段階的に低下させていくと、ある段階でPRI実圧とSEC実圧との比が、最High設定比の範囲の下限を超えて、バリエータ20の実変速比がLow側に変化する。実変速比のLow側への変化を検出すると、処理をステップS41に進める。
ステップS41では、コントローラ10は、PRI指示圧をバリエータ20の実変速比が変化する直前の段階の値にする。また、このときのPRI指示圧とSEC実圧との比をバランス下限比(バリエータ20の実変速比が最Highで維持される範囲の下限の比)として学習する。また、このときの入力側回転速度Nin及びアクセル開度APOに基づいて、入力トルクも学習する。入力トルクは、バランス下限比を学習するときに、エンジン1から入力トルクの実測値を取得して学習してもよい。そして、処理をステップS42に進める。
ステップS42では、コントローラ10は、バランス下限比と、バランス下限比を学習したときの入力トルクでの最High設定比に基づき、PRI指示圧とPRI実圧とのずれ値Bを推定する。ずれ値Bの推定の詳細は、上記したずれ値Aの推定の詳細と同様であるため説明を割愛する。
ステップS42では、コントローラ10は、バランス下限比を学習したときの入力トルクでの最High設定比の範囲の下限を算出する。そして、最High設定比の範囲の下限とバランス下限比とから、ずれ値Bを推定する。ずれ値Bを推定すると、処理をステップS43に進める。
ステップS43では、コントローラ10は、PRI指示圧をずれ値Bによって補正する。このように、本実施形態によれば、油圧センサを有しないPRIプーリ21におけるPRI指示圧とPRI実圧とのずれを修正することができる。
本制御によってPRI指示圧とPRI実圧との最High側のずれが修正されることで、最High側におけるコントローラ10の変速制御性能が向上し、自動変速機3の変速追従性を向上することができる。
また、PRI指示圧とPRI実圧との最High側のずれを修正することで、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の個体差による指示圧と実圧との最High側のずれを吸収することができる。また、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の経年劣化による指示圧と実圧との最High側のずれを修正することができる。
コントローラ10は、ステップS43を実行後に、処理をステップS44に進める。ステップS44では、コントローラ10は、第1ソレノイドバルブ12の上限圧力値ULをずれ値Bで補正し、新たな上限圧力値NULとする。下限圧力値LLと同様に、上限圧力値ULは第1ソレノイドバルブ12の個体差ばらつきを考慮して、上限側の不感帯に到達しない限界の値に余裕値を持たせて低めに設定している。
そのため、PRI指示圧とPRI実圧とのずれを無くすことができれば、当該ずれの分だけ余裕値を減らすことが可能となる。余裕値を減らすことができれば、余裕値を減らした分だけPRI指示圧とPRI実圧を上げることができる。換言すると、第1ソレノイドバルブ12の油圧供給の上限能力を、個体差ばらつきを考慮して上限圧力値ULを設定した場合よりも発揮させることができる。
そこで、ステップS44では、第1ソレノイドバルブ12の上限圧力値ULをずれ値Bで補正し、新たな上限圧力値NULとする。これにより、第1ソレノイドバルブ12の油圧供給の上限能力を、個体差ばらつきを考慮して上限圧力値ULを設定した場合よりも発揮させることができる。
続いて、上記制御を行うことによる本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、コントローラ10は、PRIプーリ21と、SECプーリ22と、ベルト23と、を有するバリエータ20と、SECプーリ22のSEC実圧を検出する油圧センサ44と、を備え車両100に搭載される自動変速機3を制御する。コントローラ10は、自動変速機3の実変速比が一定であるとき(ステップS13 YES判定、ステップS37 YES判定)にPRI指示圧を段階的に変化させていき(ステップS15、S39)実変速比が変化したら(ステップS16 YES判定、ステップS40 YES判定)、実変速比が変化した直前のPRI指示圧及び油圧センサ44によって検出されたSEC実圧に基づいてPRI指示圧とPRI実圧とのずれ値A(またはB)を推定する推定制御を実行し(ステップS18、S42)、ずれ値A(またはB)に基づいてPRI指示圧を補正する補正制御を実行する(ステップS19、S43)。
この構成によれば、SECプーリ22のみに油圧センサ44を有する自動変速機3において、油圧センサを有しないPRIプーリ21における指示圧と実圧とのずれを修正することができる(請求項1、9に対応する効果)。
また本実施形態では、自動変速機3は、バリエータ20と駆動輪5との動力伝達を断接可能なLowブレーキ31と、Highクラッチ32と、後進ブレーキ33とをさらに有する。そして、コントローラ10は、NまたはPレンジが選択されるとLowブレーキ31と、Highクラッチ32と、後進ブレーキ33とを解放して(ステップS10)、実変速比が最Lowで一定であるとき(ステップS13 YES判定)に、PRI指示圧を段階的に上昇させていき実変速比がLow側に変化した場合(ステップS15−S16)に、推定制御を実行する(ステップS18)ようにした。
この構成によれば、SECプーリ22のみに油圧センサ44を有する自動変速機3において、油圧センサを有しないPRIプーリ21における指示圧と実圧との最Low側のずれを修正することができる(請求項2に対応する効果)。
また、PRI指示圧とPRI実圧との最Low側のずれを修正することで、コントローラ10の変速制御性能が向上し、自動変速機3の変速追従性を向上することができる(請求項2に対応する効果)。
また、PRI指示圧とPRI実圧との最Low側のずれが修正されることで、最Low側におけるコントローラ10の変速制御性能が向上し、自動変速機3の最Low側での変速追従性を向上することができる。これにより、車両100の停車時までに自動変速機3の実変速比を最Lowにすることができる(Low戻り性が向上する)。つまり、実変速比が高いままでの再発進することを防ぐことができ、再発進時における加速鈍化のおそれを抑制することができる(請求項2に対応する効果)。
また、PRI指示圧とPRI実圧との最Low側のずれを修正することで、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の個体差による指示圧と実圧との最Low側のずれを吸収することができる。また、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の経年劣化による指示圧と実圧との最Low側のずれを修正することができる(請求項2に対応する効果)。
また、コントローラ10は、車両100がコースト走行中に(ステップS30−S34)実変速比が最Highであるとき(ステップS37 YES判定)にPRI指示圧を段階的に低下させていき(ステップS39)実変速比が変化した場合に(ステップS40)、推定制御を実行する(ステップS42)ようにした。
この構成によれば、油圧センサを有しないPRIプーリ21におけるPRI指示圧とPRI実圧との最High側のずれを修正することができる(請求項3に対応する効果)。また、PRI指示圧とPRI実圧との最High側のずれが修正されることで、最High側におけるコントローラ10の変速制御性能が向上し、自動変速機3の最High側での変速追従性を向上することができる(請求項3に対応する効果)。
また、PRI指示圧とPRI実圧との最High側のずれを修正することで、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の個体差による指示圧と実圧との最High側のずれを吸収することができる。また、自動変速機3(PRIプーリ21や第1ソレノイドバルブ12)の経年劣化による指示圧と実圧との最High側のずれを修正することができる(請求項3に対応する効果)。
また、自動変速機3は、PRI実圧を制御する第1ソレノイドバルブ12を有し、コントローラ10は、第1ソレノイドバルブ12を制御し、補正制御では、第1ソレノイドバルブ12の下限圧力値LLをずれ値Aに基づいて補正する(ステップS20)ようにした。
この構成によれば、下限圧力値LLの余裕値を減らすことで、第1ソレノイドバルブ12の油圧供給の下限能力を、個体差ばらつきを考慮して下限圧力値LLを設定した場合よりも発揮させることができ、自動変速機3のLow戻り性を向上することができる(請求項4に対応する効果)。
また、コントローラ10は、補正制御では、第1ソレノイドバルブ12の上限圧力値ULをずれ値Bに基づいて補正する(ステップS44)ようにした。
この構成によれば、上限圧力値ULの余裕値を減らすことで、第1ソレノイドバルブ12の油圧供給の上限能力を、個体差ばらつきを考慮して上限圧力値ULを設定した場合よりも発揮させることができる(請求項5に対応する効果)。
また、コントローラ10は積分制御を含むPID制御を実行して自動変速機3の目標変速比に対する実変速比のずれを修正し、推定制御を実行するときは、PID制御を停止するとともに積分値をリセットする(ステップS12、S36)ようにした。
この構成によれば、ずれ値A、Bの推定に積分項が影響することを抑制することができ、ずれ値A、Bの推定精度が向上する(請求項6に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態に限らず、推定制御及び補正制御は、車両100の走行距離が所定距離に達するごとに実施されるようにしてもよい。例えば、車両100の走行距離が5000km〜10,000kmに達するごとに実際されるようにしてもよい。
この構成によれば、経年劣化によって、PRI指示圧とPRI実圧とのずれが生じることが予期されるタイミングにて推定制御及び補正制御が行われる。そのため、自動変速機3のPRI指示圧とPRI実圧とのずれの修正を行うのに適切なタイミングで、PRI指示圧とPRI実圧とのずれの修正を行うことができる(請求項7に対応する効果)。
また、上記実施形態に限らず、推定制御及び補正制御は、PID制御などのフィードバック制御において目標変速比と実変速比とのフィードバック操作量(I成分の操作量)が所定値以上になった場合に行うようにしてもよい。
本実施形態では、SEC実圧のみが検知可能なため、目標変速比と実変速比とのフィードバック操作量(I成分の操作量)が所定値以上になった場合とは、PRI指示圧とPRI実圧とのずれが大きくなったことを意味する。そのため、自動変速機3のPRI指示圧とPRI実圧とのずれの修正を行うのに適切なタイミングで、PRI指示圧とPRI実圧とのずれの修正を行うことができる(請求項8に対応する効果)。
3 自動変速機(無段変速機)
10 コントローラ(制御装置)
20 バリエータ(無段変速機構)
21 PRIプーリ(第1プーリ)
22 SECプーリ(第2プーリ)
23 ベルト(動力伝達部材)
44 油圧センサ
100 車両
10 コントローラ(制御装置)
20 バリエータ(無段変速機構)
21 PRIプーリ(第1プーリ)
22 SECプーリ(第2プーリ)
23 ベルト(動力伝達部材)
44 油圧センサ
100 車両
Claims (9)
- 第1プーリと、第2プーリと、前記第1プーリ及び前記第2プーリに巻き掛けられる動力伝達部材と、を有する無段変速機構と、
前記第2プーリに供給される実圧である第2実圧を検出する油圧センサと、
を備え車両に搭載される無段変速機を制御する、無段変速機の制御装置であって、
前記無段変速機の制御装置は、
前記無段変速機の変速比が一定であるときに前記第1プーリの指示圧である第1指示圧を段階的に変化させていき前記変速比が変化したら、前記変速比が変化した直前の前記第1指示圧及び前記油圧センサによって検出された前記第2実圧に基づいて前記第1指示圧と前記第1プーリに供給される実圧である第1実圧との差を推定する推定制御を実行し、
前記差に基づいて前記第1指示圧を補正する補正制御を実行する、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 請求項1に記載の無段変速機の制御装置であって、
前記無段変速機は、前記無段変速機構と前記車両の駆動輪との動力伝達を断接可能なクラッチをさらに有し、
前記制御装置は、前記無段変速機においてNまたはPレンジが選択されると前記クラッチを解放し、前記変速比が最Low変速比で一定であるときに、前記第1指示圧を段階的に上昇させていき前記変速比が変化した場合に、前記推定制御を実行する、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 請求項1または2に記載の無段変速機の制御装置であって、
前記制御装置は、前記車両がコースト走行中に前記変速比が最Highであるときに前記第1指示圧を段階的に低下させていき前記変速比が変化した場合に、前記推定制御を実行する、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 請求項3に記載の無段変速機の制御装置であって、
前記無段変速機は、前記第1実圧を制御する第1ソレノイドバルブを有し、
前記制御装置は、前記第1ソレノイドバルブを制御し、
前記補正制御では、前記第1ソレノイドバルブから出力する圧力の下限値を前記差に基づいて補正する、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 請求項4に記載の無段変速機の制御装置であって、
前記補正制御では、前記第1ソレノイドバルブから出力する圧力の上限値を、前記差に基づいて補正する、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 請求項1から5のいずれか1つに記載の無段変速機の制御装置であって、
前記制御装置は、積分制御を含むフィードバック制御を実行して前記無段変速機の目標変速比に対する実変速比のずれを修正し、
前記推定制御を実行するときは、
前記フィードバック制御を停止するとともに積分値をリセットする、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 請求項1から6のいずれか1つに記載の無段変速機の制御装置であって、
前記推定制御及び前記補正制御は、前記車両の走行距離が所定距離に達するごとに実施される、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 請求項1から6のいずれか1つに記載の無段変速機の制御装置であって、
前記推定制御及び前記補正制御は、前記無段変速機における目標変速比と実変速比との偏差が所定値以上になった場合に行う、
ことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 第1プーリと、第2プーリと、前記第1プーリ及び前記第2プーリに巻き掛けられる動力伝達部材と、を有する無段変速機構と、
前記第2プーリに供給される実圧である第2実圧を検出する油圧センサと、
を備え車両に搭載される無段変速機を制御する、無段変速機の制御方法であって、
前記無段変速機の変速比が一定であるときに前記第1プーリの指示圧である第1指示圧を段階的に変化させていき前記変速比が変化したら、前記変速比が変化した直前の前記第1指示圧及び前記油圧センサによって検出された前記第2実圧に基づいて前記第1指示圧と前記第1プーリに供給される実圧である第1実圧との差を推定する推定制御を実行し、
前記差に基づいて前記第1指示圧を補正する補正制御を実行する、
ことを特徴とする無段変速機の制御方法。
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