JP2021091867A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及び製造物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィラーを良好に分散させることができる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法の提供。【解決手段】圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練する脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、前記混練が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より20℃以上低い温度で行われることが好ましく、前記フィラーの仕込み量と、前記脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)が、99/1〜90/10であることがより好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及び製造物の製造方法に関する。
ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂は、生分解性を有する。昨今のごみが増加する問題に関連して材料開発が盛んに行われており、非生分解性ポリマーを前記脂肪族ポリエステル樹脂へ置き換える検討が広くなされている。
一方、例えば、樹脂に特定の機能を付与すること、樹脂の体積を増量させることなどを目的として、前記樹脂にフィラーを添加することが行われている。
前記フィラーを添加して得られる機能としては、例えば、抗菌性、導電性、熱伝導性、圧電性、制振性、遮音性、摺動性、断熱性、電磁波吸収、光反射、光散乱、熱線輻射、難燃剤、難燃化、放射線防護、紫外線防護、脱湿材、脱水材、脱臭、ガス吸収、アンチブロッキング(フィルムの圧着防止)、吸油性(印刷インク吸収、速乾性等)、吸水性などが挙げられる。
樹脂とナノ粒子、樹脂とナノファイバーなどがナノスケールにおいて複合した材料をナノコンポジットと称する。前記ナノコンポジットの代表的なものとしては、例えば、複合化したクレイ系ポリマーコンポジットが挙げられる。前記クレイ系ポリマーコンポジットとは、層状化合物のクレイをフィラーとして添加し、層間剥離により一枚一枚を樹脂中に分散させ、前記樹脂と前記クレイとが複合化したものである。前記ナノコンポジットは、前記樹脂と前記フィラーとの界面が増大することで、ミクロンオーダーのフィラーを混練した物と比較して、ガスバリア性、及び機械的強度に優れた特性を有している。
前記ナノコンポジットの例として、樹脂にタルク、シリカ、及びクレイ等のフィラーを添加した組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記提案により、樹脂に熱安定性を付与することが可能になる。
またフィラーとして用いるナノ粒子の種類を変えることにより、前述の機械特性及びガスバリア性以外にも、樹脂の光学特性及び電気的特性、難燃性などをコントロールすることができる。例えば、前記樹脂にポリエステルに炭酸カルシウム粒子を含有させて、ポリエステルフィルムの反射率を向上させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、フィラーを良好に分散させることができる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練する。
本発明によると、本発明は、フィラーを良好に分散させることができる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。 図2は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 図3は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いる連続式混練装置の一例を示す概略図である。
(脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法)
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度において混練する。
<混練>
これまでにも、可塑化した樹脂とフィラーとを混練することは行われてきた。樹脂を可塑化する方法の1つとして、圧縮性流体を用いる方法がある。一般的に、圧縮性流体によって樹脂は可塑化され、樹脂の溶融粘度が下がることが知られている(「超臨界流体の最新応用技術」NTS社参照)。一見、溶融粘度が下がることと、混練性の向上については矛盾しているように見える。実際、一般的なフィラーの混練において、圧縮性流体を用いないで圧力をかける場合があるが、これは樹脂の自由体積を減少させ、樹脂同士の相互作用の増加(粘度増加)を狙ったものである。前記圧縮性流体を用いないで圧力をかけて前記樹脂と前記フィラーとを混練する方法は、樹脂の可塑化の面では逆効果である(「k.Yang.R.Ozisik R.Polymer,47.2849(2006)」参照)。
これまでに、前記圧縮性液体は、樹脂を可塑化(柔らかく)する性質である可塑化効果があり、前記可塑化効果によって粘度が下がるため、樹脂が液体のようになることが知られている。このような状態で樹脂にフィラーを分散させると、液体に前記フィラーを分散させることになり、前記フィラーが凝集し、前記フィラーが前記樹脂に高度に分散された樹脂組成物は得られなかった。即ち、圧縮性流体の存在下では樹脂が混練することに適した粘度にはならないため、樹脂とフィラーとの混練に圧縮性液体を用いることは難しいと考えられてきた。
そこで、本発明者らは、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとの混練に圧縮性流体が活用できないか鋭意検討した。前記脂肪族ポリエステル樹脂は、前記脂肪族ポリエステルが有する構造のため、融点以上で急激に粘度が低下する特徴を有する。本発明者らは、圧縮性流体存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度であれば、脂肪族ポリエステル樹脂の粘度が混練に適した粘度となることを見出した。本発明者らは、その結果、前記脂肪族ポリエステルとフィラーとを混練できることを見出した。特に、融点以上で急激に溶融粘度が低下する脂肪族ポリエステル樹脂は、これまで低い溶融粘度の状態でしか混練ができなかったのに対し、本発明では高粘度状態でフィラーを混練することができ、より好適である。
前記混練は、脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で行われ、脂肪族ポリエステル樹脂の融点より20℃以上低い温度で行われることが好ましい。
前記温度が、脂肪族ポリエステル樹脂の融点以上において行われると、脂肪族ポリエステル樹脂が液状になり、フィラーが凝集することがある。
例えば、脂肪族ポリエステルとして乳酸(ポリ乳酸)を用いる場合、ポリ乳酸の融点は180℃程度であるため、前記混練は、180℃より低い温度で行われ、160℃以下において行われることが好ましい。また、前記混練は、100℃以上において行われることが好ましい。
<<圧縮性流体>>
圧縮性流体の状態において用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。圧縮性流体としては、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ここで、図1及び図2を用いて、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。前記超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
本発明において、混練する際の圧力は用いる圧縮性流体の気体の臨界点の圧力半分以上が好ましい。例えば、二酸化炭素であれば、臨界点の圧力が8MPaであるため、本発明において混練する際の圧力は、4MPa以上が好ましい。
なお、混練する際の圧力の上限としては、装置の耐圧使用内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、50MPa以下が好ましい。
前記圧縮性流体の供給量は、樹脂の種類と圧縮性流体の種類との組み合わせにて圧縮性流体の溶解度が変わるため、溶解度以下において使用することが好ましい。例えば、ポリ乳酸と二酸化炭素の組み合わせであれば、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。二酸化炭素の供給量が3質量%以上であれば、可塑化の効果は限定的になるという不具合を防止できる。二酸化炭素の供給量が20質量%以下であると、二酸化炭素とポリ乳酸とが相分離し、均一な混練ができないことがあるという不具合を防止できる。
<<脂肪族ポリエステル樹脂>>
前記脂肪族ポリエステル樹脂は微生物により生分解されるので,環境に優しい低環境負荷高分子材料として注目されている(「脂肪族ポリエステルの構造、物性、生分解性 高分子 2001年50巻6号 p374−377」参照)。
脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記脂肪族ポリエステル樹脂としては、カーボンニュートラルな材料であり、かつ比較的安価であるポリ乳酸が好ましい。
前記脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合は、生分解性の点から、脂肪族ポリエステル樹脂組成物中の有機物の全量に対して80質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
ここで、前記有機物とは、炭素原子を含む化合物であり、炭素の酸化物、炭酸塩は除く。
前記有機物の定量は、下記の方法により行うことができる。
前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物を示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)で分析し、減量分を有機物、残った残差を無機物とする。
−TG−DTAによる測定−
装置:TG/DTA320型(セイコー電子工業社製)
昇温速度:10℃/min
温度:室温〜550℃
気流:N雰囲気下(200mL/min)
試料採取量:10mg
試料容器:Pt製標準容器
−脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合の測定方法−
脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合は、仕込む材料の割合から算出できる。もし、材料比率が不明な場合は、例えば、以下の測定条件のGCMS分析を行い、既知の脂肪族ポリエステル樹脂を標準試料とした比較により成分を特定することができる。必要に応じて、NMR測定によるスペクトルの面積比、又はその他分析方法も組み合わせて算出することが可能である。
−GCMS分析による測定−
・GCMS:株式会社島津製作所製 QP2010 補器 フロンティア・ラボPy3030D
・分離カラム:フロンティア・ラボUltra ALLOY UA5−30M−0.25F
・試料加熱温度:300℃
・カラムオーブン温度:50℃(1分保持)〜昇温度15℃/分〜320℃(6分)
・イオン化法:Electron Ionization(E.I)法
・検出質量範囲:25〜700(m/z)
<<フィラー>>
前記フィラーを脂肪族ポリエステル樹脂に分散させることにより、樹脂の強度、及び耐熱性を向上させることができる。また、フィラーの種類によっては、結晶核剤としての役割ももたせることができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機物のフィラー、無機物のフィラーが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記有機物のフィラーとしては、例えば、アラミド繊維、各種ファイバー系、ナノセルロースファイバー、ポリオキシベンゾイルウイスカーなどが挙げられる。
前記無機物のフィラーとしては、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、ウオラスナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、カーボンファイバー(炭素繊維)、グラスファイバー(ガラス繊維)、タルク、マイカ、ガラスフレークなどが挙げられる。
これらの中でも、前記フィラーとしては、酸化チタン、シリカが好ましい。
フィラーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、球形のものが好ましい。
フィラーの個数平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、混練後の脂肪族ポリエステル樹脂組成物中において、0.01μm以上0.20μm以下が好ましく、0.02μm以上0.10μm以下がより好ましい。
前記個数平均粒子径が0.01μm以上0.20μm以下であると、脂肪族ポリエステル中に導入した場合でも、凝集せず強度などの機械物性が良好である。
なお、一般的に個数平均粒子径が小さいフィラー(微細なフィラー)は、凝集力が高いという性質がある。本発明においては、混練にかかるエネルギー(温度、撹拌)を要する条件でより効果を要するため、フィラーの凝集力が強い小粒径のフィラーであっても、大粒径のフィラーと同様に、高分散な組成物が得られる。
脂肪族ポリエステル樹脂組成物中のフィラーの個数平均粒子径の標準偏差は、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。前記個数平均粒子径の標準偏差が0.3以下であると、前記フィラーは凝集していないため、前記フィラーの充填量を増やしても、強度などの機械物性が良好である。
本発明においては、粗大粒子は個数平均粒子径が10μm以上の粒子のことを指す。
粒子径10μm以上であるフィラーの粗大粒子数の割合は、混練後の脂肪族ポリエステル樹脂組成物1mmあたり10個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。粒子径10μm以上であるフィラーの粗大粒子数の割合が混練後の脂肪族ポリエステル樹脂組成物1mmあたり10個以下であると、外観、強度等の物性が良好である。
<フィラーの個数平均粒子径、及び標準偏差の測定>
脂肪族ポリエステル樹脂組成物中のフィラーの個数平均粒子径、個数平均粒子径の標準偏差、及び粒子径10μm以上であるフィラーの粗大粒子数は、脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートをイオンミリング装置にて断面加工を行い、断面のSEM観察を行うことで測定できる。
得られた断面SEM写真(倍率10、000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、フィラーに該当する白色成分と樹脂成分を二値化する。その後、前記写真の35μm×20μmの範囲において平均粒子径(フェレ径)を求め、フィレ径0.05μm以上の白色成分(フィラー)について、個数平均粒子径、及び標準偏差(σ)を算出する。
また、フィラーの粗大粒子数の測定は、断面SEM写真を用いて観察を行うことにより行うことができる。
前記フィラーの仕込み量と、前記脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)としては、99.9/0.1以上90/10以下が好ましく、99.7/0.03以上95/5以下がより好ましい。前記仕込み量の比が、99/1以上であると、フィラーによる脂肪族ポリエステルの改質ができないという不具合を防止できる。また、前記仕込み量の比が、90/10以下であると、脂肪族ポリエステルの生分解性といった特徴を生かすことができないという不具合を防止できる。
なお、フィラーの仕込み量と、脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)のことをフィード比とも称する。
<混練装置>
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる混練装置としては、連続プロセスを採用することもできるし、回分式プロセスを採用することもできるが、装置効率及び製品の特性,品質等を勘案し適宜、反応プロセスを選択することが好ましい。
混練装置としては、混練に好適な粘度に対応できる点から、一軸の押し出し機、二軸の押し出し機、ニーダー、無軸籠型撹拌槽、住友重機株式会社製バイボラック、三菱重工業株式会社製N−SCR、株式会社日立製作所製めがね翼、格子翼又はケニックス式、ズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合槽などを使用できる。色調の点から、セルフクリーニング式の重合装置であるフィニッシャー、N−SCR、二軸軸押し出しルーダーなどが挙げられる。これらの中でも、混練装置としては、生産効率、樹脂の色調、安定性、及び耐熱性の点から、フィニッシャー、N−SCRが好ましい。
ここで、図3に示すように、連続式混練装置100は、2軸押出機(JSW社製)を用い(スクリュー口径42mm、L/D=48、装置は1)、(原材料混合、及び溶融エリアa、装置2)、(圧縮性流体供給エリアb、装置3)、混練エリアc、成型エリアd、Tダイ4から構成される。圧縮性流体(液体材料)は計量ポンプを用いてで供給する。樹脂ペレット及び炭酸カルシウムなどの固体の原材料は定量フィーダーを用いて供給する。
<原材料混合、及び溶融エリア>
原材料混合、及び溶融エリアにおいては、樹脂ペレット、及びフィラーの混合と昇温を行う。加熱温度は樹脂の溶融温度以上に設定を行い、続く圧縮性流体を供給するエリアにおいて、圧縮性流体と均一に混合できる状態にする。
<圧縮性流体供給エリア>
前記圧縮性流体供給エリアでは、樹脂ペレットが加温により溶融状態となり、フィラーを濡らした状態にて、圧縮性流体を供給し、溶融樹脂を可塑化させる。
<混練エリア>
フィラーの混練に好適な粘度となるように、混練エリアの温度設定を行う。設定温度は、反応装置の仕様及び樹脂種、樹脂の構造、分子量などにより変わるため、特に限定するものではないが、重量平均分子量(Mw)200,000程度の市販されているポリ乳酸の場合、通常の混練はポリ乳酸の融点+10℃〜20℃において行われる。これに対して、本発明は、ポリ乳酸の融点より低い温度で混練することを特徴とし、融点より低い温度での比較的高い粘度で混練することが可能である。具体的には、−20℃〜−80℃、より好ましくは−30℃〜-60℃である。簡便的には装置の撹拌動力の電流値などを目安に温度設定すればよいが、これらの設定値は本発明でなければ、通常到達しえない領域であると言える。
<圧縮性流体除去エリア>
混練後、圧を開放させることにより、圧縮性流体を除去する。圧縮性流体を除去する際の温度設定は、樹脂の融点以上に加温することが好ましい。
<成型加工エリア>
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に対して用いられる従来公知の製造方法を適用して製造される。例えば、シートに加工する場合にはTダイが用いられる。
<脂肪族ポリエステル樹脂組成物>
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法により、好適に製造される。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂、及びフィラーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、混練後において、以下の性質を有していることが好ましい。
・フィラーを0.1質量%以上10質量%以下含有する。
・フィラーの個数平均粒子径が、0.01μm以上0.20μm未満である。
・前記フィラーの個数平均径の標準偏差が、0.3以下である。
・個数平均粒子径が10μm以上の粗大粒子が、脂肪族ポリエステル樹脂組成物1mmあたり10個以下である。
前記混練後とは、操作としてのポリ乳酸とフィラーの混練を行った後のポリ乳酸組成物という意味だけではない。例えば、フィラー存在下において、モノマーであるラクチドの重合反応によって得られたポリ乳酸組成物についても該当する。
反応初期のモノマーが多数ある状態(反応系)では、溶融粘度が非常に低くフィラーの分散効果はほとんどない。そして、重合後期からモノマーを消費した重合反応終了後にフィラーの分散が進む。フィラーの混練に好ましい粘度と、重合反応中の粘度が異なるため、フィラー存在下で、ラクチドの重合反応によって得られたポリ乳酸組成物も混練後の組成物に該当する。よって、本発明の混練後のポリ乳酸組成物とは、フィラーが導入されたポリ乳酸と同義である。
(製造物の製造方法)
本発明の製造物の製造方法は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法を含む。
即ち、本発明の製造物は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記製造物としては、例えば、成型品、シート、フィルム、粒子、繊維、発泡体などが挙げられる。
<成型品>
成型品とは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を、型を用いて加工した製品である。この成型品の概念には、単体としての成型品のみでなく、トレイの取っ手のような成型品からなる部品、及び取っ手が取り付けられたトレイのような成型品を備えた製品なども含まれる。
型を用いた加工方法としては、特に制限はなく、従来公知の熱可塑性樹脂の方法を用いることができ、例えば、射出成型、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型などが挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を溶融させて、射出成型し、成型品を得ることができる。また、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートを成型金型によりプレス成型して賦型すること(形状を与えること)により、成型品を得ることもできる。
賦型する際の加工条件は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の種類、及び装置等に基づいて、適宜決定される。例えば、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートを成型金型によりプレス成型して賦型する場合、金型温度は、100℃以上150℃以下とすることができる。射出成形により賦型する場合、150℃以上、250℃以下に加熱した本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を金型に射出して、金型温度を20℃以上、80℃以下程度に設定して、射出成形での加工が可能である。
従来のフィラーを含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、フィラーの分散が不十分であったために、フィラー導入の効果が低く、シートにした時の強度などの機械物性に課題があった。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いて成型された成型品は、機械強度などのシート物性に優れているため、例えば、工業用資材、日用品、農業用品、食品用、医薬品用、化粧品等のシート、包装材、トレイ等の用途として幅広く適用することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の生分解性を生かせる用途、特に食品に使用する包装材料、化粧品、及び医薬品などの医療用シートとして有用であり、フィラーの分散性が向上することによる薄膜化などにより、より性能向上が期待できる。
<粒子>
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を粒子に形成する方法としては、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を従来公知の方法により粉砕する手法などが挙げられる。
粒子の粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上50μm以下が好ましい。
前記粒子が電子写真用トナーである場合、着色剤及び疎水性微粒子が脂肪族ポリエステル樹脂組成物中に混合された混合物を調製する。混合物は、結着樹脂、着色剤及び疎水性微粒子の他に、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、離型剤、帯電制御剤などが挙げられる。添加物を混合する工程は、重合反応と同時でもよいし、重合反応後の後工程、又は重合生成物を取り出した後に溶融混練しながら添加してもよい。
<フィルム>
フィルムとは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を薄い膜状に成形したものであって、厚みが250μm未満のものである。フィルムは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を延伸成形することにより製造される。
前記延伸成形の方法としては、特に限定されないが、汎用プラスチックの延伸成形に適用される一軸延伸成形法、同時又は逐次二軸延伸成形法(チューブラー法、テンター法等)などを採用することができる。
前記延伸成形は、通常150℃〜280℃の温度範囲において行われる。成形されたフィルムには、ロール法、テンター法、チューブラー法等により一軸又は二軸延伸が施される。延伸温度は、30℃〜110℃が好ましく、50℃〜100℃がより好ましい。延伸倍率は、通常、縦、横方向、それぞれ、0.6倍〜10倍が好ましい。また、延伸後、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、ヒートロール上に接触させる等の熱処理を施してもよい。
このような延伸成形法により、延伸シート、フラットヤーン、延伸テープ、延伸バンド、筋付きテープ、スプリットヤーンなどの各種延伸フィルムが得られる。延伸フィルムの厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上250μm未満が好ましい。
なお、成形された延伸フィルムには、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦機能、磨耗機能、潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。二次加工としては、例えば、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング等)などが挙げられる。
延伸フィルムは、例えば、日用品、包装材料、医薬品、電気機器材料、家電筐体、自動車材料等の用途として幅広く適用される。
<シート>
シートとは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を薄い膜状に成形したものであって、厚みが250μm以上のものである。
前記シートは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物に、熱可塑性樹脂に対して用いられる従来公知のシートの製造方法を適用して製造することができる。シートの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法などが挙げられる。
シートに加工する際の加工条件としては、特に制限はなく、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の種類、及び装置等に基づいて、適宜決定される。例えば、ポリ乳酸をTダイ法により加工する場合、Tダイを出口に取り付けた押出成型機によって、加熱した脂肪族ポリエステル樹脂組成物をTダイから押し出すことにより、シート加工することができる。前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物の加熱温度としては、150℃以上250℃以下が好ましい。
<繊維>
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物はモノフィラメント、マルチフィラメント等の繊維にも応用可能である。なお、繊維の概念には、モノフィラメントのような単体の繊維のみでなく、織布及び不織布のような繊維によって構成される中間製品、及びマスクのような織布及び不織布を有する製品が含まれる。
繊維は、モノフィラメントの場合、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を従来公知の方法により溶融紡糸、冷却、延伸することによって繊維化することにより製造される。用途によっては、モノフィラメントに従来公知の方法により被覆層を形成してもよい。前記被覆層は、抗菌剤、着色剤等を含んでいてもよい。また不織布とする場合は、従来公知の方法により溶融紡糸、冷却、延伸、開繊、堆積、熱処理する手法を用いることができる。
<発泡体>
前記発泡体は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を発泡させてなるものである。この発泡体の概念には、発泡樹脂のような単体としての発泡体のみでなく、断熱材及び防音材のような発泡体を有する部品、並びに建材のような発泡体を有する製品が含まれる。
発泡体の製造方法としては、圧縮性流体に溶解又は可塑化された状態の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を減温、減圧する際に脂肪族ポリエステル樹脂組成物中の圧縮性流体の気化を利用し発泡体を得る方法が挙げられる。本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物中の圧性縮流体は、大気開放されると10−5/sec〜10−6/secの速度において拡散すると考えられている。前記圧縮性流体は、圧力開放されると、エンタルピーが一定であるため温度低下も発生し、冷却速度の制御が困難になる場合がある。この場合でも、大気開放時のポリマーの弾性が大きい場合には、気泡が維持されて発泡体が形成される。
発泡体を得る場合には成型用金型内に直接圧縮性流体に溶解又は可塑化された状態の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を所定量注入し減圧した後、加熱成型することにより発泡体成型品を成型する。加熱手段としては、例えば、スチーム、伝導熱、輻射熱、マイクロ波などが挙げられる。この場合、これらの加熱手段により、100℃〜140℃程度に加熱し、好ましくはスチームにより110℃〜125℃に加熱して発泡成形をする。
また、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物に、一般的な発泡性プラスチックの製造方法を適用して、発泡体を製造することもできる。この場合、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物に改質剤、核剤などの所望の添加剤を配合した樹脂組成物を一般的な溶融押出機を用いて押し出したストランドを得る。次に、ペレタイザーを用いて、得られたストランドからペレット、又は粒子を得る(粒子化工程)。この粒子又はペレットを、オートクレーブ内に投入して、気相、又は水、純水のような液相に投入して、任意の慣用の添加剤を用いて、樹脂粒子分散液を調製する。前記添加剤としては、例えば、分散剤、融着防止剤、粘着防止剤などが挙げられる。更に、揮発性発泡剤を用いて樹脂粒子分散液を発泡させることにより発泡粒子を得る(発泡工程)。この粒子を大気にさらし空気を粒子気泡内に浸透させ、かつ必要に応じ粒子に付着した水分を除去する(熟成工程)。次いで、この発泡粒子を小さな孔又はスリットが設けられている閉鎖型金型の型内に充填し、加熱発泡することによって個々の粒子を融着一体化した製造物とすることができる。
得られた発泡体は、例えば、緩衝材、断熱材、防音材、制震材等の用途に幅広く適用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示す連続式混練装置100を用い、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとの流量が合計で10kg/hrとなるように供給した。脂肪族ポリエステル樹脂としてポリ乳酸(REVODE190、HISUN社製、融点178℃)を9.9kg/hr、フィラーとして酸化チタン(TTO−55、石原産業株式会社製)を0.1kg/hrとして、圧縮性流体として二酸化炭素を0.99kg/hr(ポリ乳酸に対して10質量%相当)を供給し、混練を行い、樹脂組成物及びシートを得た。
各ゾーンの温度は原材料混合、及び溶融エリアa及び圧縮性流体供給エリアb:190℃、混練エリアc:150℃、圧縮性流体除去エリアd:190℃、成型加工エリアe:190℃とした。各ゾーンの圧力は圧縮性流体供給エリアbから混練エリアcまでを7.0MPa、圧縮性流体除去エリアdを0.5MPa、Tダイ4を5MPaとし、シートの厚みは300μmとした。
(実施例2〜5、及び比較例1)
実施例1において、ポリ乳酸/酸化チタンのフィード比、及び混練温度を表1〜2、及び4に記載の値に代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
(実施例6〜7、及び比較例2)
実施例1において、圧縮流体量を表2、及び4に記載の値に代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
(実施例8〜11、及び比較例3)
実施例1において、フィラーを以下のものに代えた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びシートを得た。
実施例8:シリカ(QSG−30(個数平均粒子径:0.03μm)、信越シリコーン株式会社製)
実施例9:シリカ(QSG−10(個数平均粒子径:0.015μm)、信越シリコーン株式会社製)
実施例10:シリカ(QSG−100(個数平均粒子径:0.11μm)、信越シリコーン株式会社製)
実施例11:トリメチルステアリルアンモニウムベントナイト(クニビス110、クニミネ工業株式会社製)
比較例3:重質炭酸カルシウム(ソフトン2200(個数平均粒子径:1.0μm)、白石カルシウム株式会社製)
(実施例12)
実施例1において、ポリ乳酸をポリブチレンサクシネート(融点115℃、PTT MCC Biochem社製)に代え、混練温度を100℃にした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
(実施例13)
実施例1において、ポリ乳酸をポリグリコール酸(PGA)(kuredux100E35、融点220℃、株式会社クレハ製)に変更した。
また、実施例1において、混練操作における圧縮性流体の供給方法、並びに各ゾーンの温度、及び圧力を下記のように代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
第一の圧縮性流体として二酸化炭素を0.25kg/hr、第二の圧縮性流体としてジメチルエーテルを0.25kg/hrで供給し、混練操作を行う。
各ゾーンの温度は原材料混合/溶融エリア及び圧縮性流体供給エリア:230℃、混練エリア:150℃、圧縮性流体除去エリア:230℃、成型エリア:230℃とした。圧力は圧縮性流体供給エリアから混練エリアまでを7.0MPa、圧縮性流体除去エリアを0.5MPa、Tダイを5MPaとした。
<脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合の測定方法>
以下のGCMS分析を行い、既知の脂肪族ポリエステル樹脂を標準試料とした比較により、脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合を測定した。測定結果は、表1〜表4に示した。
−GCMS分析−
・GCMS:株式会社島津製作所製 QP2010 補器 フロンティア・ラボPy3030D
・分離カラム:フロンティア・ラボUltra ALLOY UA5−30M−0.25F
・試料加熱温度:300℃
・カラムオーブン温度:50℃(1分保持)〜昇温度15℃/分〜320℃(6分)
・イオン化法:Electron Ionization(E.I)法
・検出質量範囲:25〜700(m/z)
<フィラーの個数平均粒子径、標準偏差(σ)>
脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートをイオンミリング装置(IM4000PLUS、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて断面加工を行い、断面のSEM観察を行った。
得られた断面SEM写真(倍率10,000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、フィラーに該当する白色成分と樹脂成分を二値化した。前記写真において、35μm×20μmの範囲において個数平均粒子径(フェレ径)を求め、フェレ径0.05μm以上の白色成分(フィラー)について、個数平均粒子径、及び標準偏差(σ)を算出した。3視野の平均値として測定結果を表1〜表4に示した。なお、1視野あたり数100個以上の粒子があるため、1視野はその数100個以上の粒子の測定結果として得られる。
<フィラーの粗大粒子数の測定>
粒子径10μm以上のフィラー粗大粒子数(個/g)は、断面SEM写真において1mm視野における個数を、N=10の平均値として数えた。測定結果を表1〜表4に示した。
Figure 2021091867
Figure 2021091867
Figure 2021091867
Figure 2021091867
上記の結果から、圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練した実施例1〜13は、混練後の脂肪族ポリエステル樹脂組成物のフィラーの個数平均粒子径、標準偏差、及び粗大粒子数の値が小さい。したがって、フィラーが良好に分散された脂肪族ポリエステル樹脂組成物が得られた。これに対して、脂肪族ポリエステル樹脂の融点より高い温度で混練した比較例1では、混練後の脂肪族ポリエステル樹脂組成物のフィラーの個数平均粒子径、標準偏差、及び粗大粒子数の値が大きい。即ち、比較例1の脂肪族ポリエステル樹脂組成物では、フィラーが良好に分散されていないことを示している。これは、圧縮性流体が臨界状態になっていないこと、及び混練する際の温度が高いことで、ポリ乳酸の粘度が低くなり、フィラーを混練する力が弱く、フィラーが凝集したためであると考えられる。また、圧縮性流体を用いていない比較例2、3は、混練時にフィラーが凝集してしまったため、フィラーが良好に分散した脂肪族ポリエステル樹脂組成物は得られなかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練することを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<2> 前記混練が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より20℃以上低い温度で行われる前記<1>に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<3> 前記フィラーの仕込み量と、前記脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)が、99/1〜90/10である前記<1>から<2>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<4> 前記圧縮性流体の量が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の量に対して、3質量%〜10質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<5> 前記フィラーの個数平均粒子径が、0.01μm〜0.20μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<6> 前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸である前記<1>から<5>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<7> 前記フィラーの形状が、球形である前記<1>から<6>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<8> 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である前記<1>から<7>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<9> 前記フィラーが、シリカである前記<1>から<8>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法により製造された脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とする製造物の製造方法である。
<11> 成形品、シート、フィルム、粒子、繊維、及び発泡体から選択される少なくとも1種である製造物を製造する前記<10>に記載の製造物の製造方法である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及び前記<10>から<11>のいずれかに記載の製造物の製造方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 樹脂ペレット供給タンク
2 炭酸カルシウム供給タンク
3 圧縮性流体供給タンク
4 Tダイ
100 連続式混練装置
特許第6401303号公報 特許第6174453号公報

Claims (11)

  1. 圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練することを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記混練が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より20℃以上低い温度で行われる請求項1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記フィラーの仕込み量と、前記脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)が、99/1〜90/10である請求項1から2のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記圧縮性流体の量が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の量に対して、3質量%〜10質量%である請求項1から3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記フィラーの個数平均粒子径が、0.01μm〜0.20μmである請求項1から4のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸である請求項1から5のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記フィラーの形状が、球形である請求項1から6のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である請求項1から7のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記フィラーが、シリカである請求項1から8のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法により製造された脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とする製造物の製造方法。
  11. 成形品、シート、フィルム、粒子、繊維、及び発泡体から選択される少なくとも1種である製造物を製造する請求項10に記載の製造物の製造方法。

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