JP2021091867A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及び製造物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記フィラーを添加して得られる機能としては、例えば、抗菌性、導電性、熱伝導性、圧電性、制振性、遮音性、摺動性、断熱性、電磁波吸収、光反射、光散乱、熱線輻射、難燃剤、難燃化、放射線防護、紫外線防護、脱湿材、脱水材、脱臭、ガス吸収、アンチブロッキング(フィルムの圧着防止)、吸油性(印刷インク吸収、速乾性等)、吸水性などが挙げられる。
前記ナノコンポジットの例として、樹脂にタルク、シリカ、及びクレイ等のフィラーを添加した組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記提案により、樹脂に熱安定性を付与することが可能になる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度において混練する。
これまでにも、可塑化した樹脂とフィラーとを混練することは行われてきた。樹脂を可塑化する方法の1つとして、圧縮性流体を用いる方法がある。一般的に、圧縮性流体によって樹脂は可塑化され、樹脂の溶融粘度が下がることが知られている(「超臨界流体の最新応用技術」NTS社参照)。一見、溶融粘度が下がることと、混練性の向上については矛盾しているように見える。実際、一般的なフィラーの混練において、圧縮性流体を用いないで圧力をかける場合があるが、これは樹脂の自由体積を減少させ、樹脂同士の相互作用の増加(粘度増加)を狙ったものである。前記圧縮性流体を用いないで圧力をかけて前記樹脂と前記フィラーとを混練する方法は、樹脂の可塑化の面では逆効果である(「k.Yang.R.Ozisik R.Polymer,47.2849(2006)」参照)。
そこで、本発明者らは、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとの混練に圧縮性流体が活用できないか鋭意検討した。前記脂肪族ポリエステル樹脂は、前記脂肪族ポリエステルが有する構造のため、融点以上で急激に粘度が低下する特徴を有する。本発明者らは、圧縮性流体存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度であれば、脂肪族ポリエステル樹脂の粘度が混練に適した粘度となることを見出した。本発明者らは、その結果、前記脂肪族ポリエステルとフィラーとを混練できることを見出した。特に、融点以上で急激に溶融粘度が低下する脂肪族ポリエステル樹脂は、これまで低い溶融粘度の状態でしか混練ができなかったのに対し、本発明では高粘度状態でフィラーを混練することができ、より好適である。
前記温度が、脂肪族ポリエステル樹脂の融点以上において行われると、脂肪族ポリエステル樹脂が液状になり、フィラーが凝集することがある。
例えば、脂肪族ポリエステルとして乳酸(ポリ乳酸)を用いる場合、ポリ乳酸の融点は180℃程度であるため、前記混練は、180℃より低い温度で行われ、160℃以下において行われることが好ましい。また、前記混練は、100℃以上において行われることが好ましい。
圧縮性流体の状態において用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。圧縮性流体としては、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明において、混練する際の圧力は用いる圧縮性流体の気体の臨界点の圧力半分以上が好ましい。例えば、二酸化炭素であれば、臨界点の圧力が8MPaであるため、本発明において混練する際の圧力は、4MPa以上が好ましい。
なお、混練する際の圧力の上限としては、装置の耐圧使用内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、50MPa以下が好ましい。
前記脂肪族ポリエステル樹脂は微生物により生分解されるので,環境に優しい低環境負荷高分子材料として注目されている(「脂肪族ポリエステルの構造、物性、生分解性 高分子 2001年50巻6号 p374−377」参照)。
脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記脂肪族ポリエステル樹脂としては、カーボンニュートラルな材料であり、かつ比較的安価であるポリ乳酸が好ましい。
前記脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合は、生分解性の点から、脂肪族ポリエステル樹脂組成物中の有機物の全量に対して80質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
ここで、前記有機物とは、炭素原子を含む化合物であり、炭素の酸化物、炭酸塩は除く。
前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物を示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)で分析し、減量分を有機物、残った残差を無機物とする。
−TG−DTAによる測定−
装置:TG/DTA320型(セイコー電子工業社製)
昇温速度:10℃/min
温度:室温〜550℃
気流:N2雰囲気下(200mL/min)
試料採取量:10mg
試料容器:Pt製標準容器
脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合は、仕込む材料の割合から算出できる。もし、材料比率が不明な場合は、例えば、以下の測定条件のGCMS分析を行い、既知の脂肪族ポリエステル樹脂を標準試料とした比較により成分を特定することができる。必要に応じて、NMR測定によるスペクトルの面積比、又はその他分析方法も組み合わせて算出することが可能である。
−GCMS分析による測定−
・GCMS:株式会社島津製作所製 QP2010 補器 フロンティア・ラボPy3030D
・分離カラム:フロンティア・ラボUltra ALLOY UA5−30M−0.25F
・試料加熱温度:300℃
・カラムオーブン温度:50℃(1分保持)〜昇温度15℃/分〜320℃(6分)
・イオン化法:Electron Ionization(E.I)法
・検出質量範囲:25〜700(m/z)
前記フィラーを脂肪族ポリエステル樹脂に分散させることにより、樹脂の強度、及び耐熱性を向上させることができる。また、フィラーの種類によっては、結晶核剤としての役割ももたせることができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機物のフィラー、無機物のフィラーが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記有機物のフィラーとしては、例えば、アラミド繊維、各種ファイバー系、ナノセルロースファイバー、ポリオキシベンゾイルウイスカーなどが挙げられる。
前記無機物のフィラーとしては、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、ウオラスナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、カーボンファイバー(炭素繊維)、グラスファイバー(ガラス繊維)、タルク、マイカ、ガラスフレークなどが挙げられる。
これらの中でも、前記フィラーとしては、酸化チタン、シリカが好ましい。
前記個数平均粒子径が0.01μm以上0.20μm以下であると、脂肪族ポリエステル中に導入した場合でも、凝集せず強度などの機械物性が良好である。
なお、一般的に個数平均粒子径が小さいフィラー(微細なフィラー)は、凝集力が高いという性質がある。本発明においては、混練にかかるエネルギー(温度、撹拌)を要する条件でより効果を要するため、フィラーの凝集力が強い小粒径のフィラーであっても、大粒径のフィラーと同様に、高分散な組成物が得られる。
粒子径10μm以上であるフィラーの粗大粒子数の割合は、混練後の脂肪族ポリエステル樹脂組成物1mm2あたり10個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。粒子径10μm以上であるフィラーの粗大粒子数の割合が混練後の脂肪族ポリエステル樹脂組成物1mm2あたり10個以下であると、外観、強度等の物性が良好である。
脂肪族ポリエステル樹脂組成物中のフィラーの個数平均粒子径、個数平均粒子径の標準偏差、及び粒子径10μm以上であるフィラーの粗大粒子数は、脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートをイオンミリング装置にて断面加工を行い、断面のSEM観察を行うことで測定できる。
得られた断面SEM写真(倍率10、000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、フィラーに該当する白色成分と樹脂成分を二値化する。その後、前記写真の35μm×20μmの範囲において平均粒子径(フェレ径)を求め、フィレ径0.05μm以上の白色成分(フィラー)について、個数平均粒子径、及び標準偏差(σ)を算出する。
また、フィラーの粗大粒子数の測定は、断面SEM写真を用いて観察を行うことにより行うことができる。
なお、フィラーの仕込み量と、脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)のことをフィード比とも称する。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる混練装置としては、連続プロセスを採用することもできるし、回分式プロセスを採用することもできるが、装置効率及び製品の特性,品質等を勘案し適宜、反応プロセスを選択することが好ましい。
混練装置としては、混練に好適な粘度に対応できる点から、一軸の押し出し機、二軸の押し出し機、ニーダー、無軸籠型撹拌槽、住友重機株式会社製バイボラック、三菱重工業株式会社製N−SCR、株式会社日立製作所製めがね翼、格子翼又はケニックス式、ズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合槽などを使用できる。色調の点から、セルフクリーニング式の重合装置であるフィニッシャー、N−SCR、二軸軸押し出しルーダーなどが挙げられる。これらの中でも、混練装置としては、生産効率、樹脂の色調、安定性、及び耐熱性の点から、フィニッシャー、N−SCRが好ましい。
原材料混合、及び溶融エリアにおいては、樹脂ペレット、及びフィラーの混合と昇温を行う。加熱温度は樹脂の溶融温度以上に設定を行い、続く圧縮性流体を供給するエリアにおいて、圧縮性流体と均一に混合できる状態にする。
前記圧縮性流体供給エリアでは、樹脂ペレットが加温により溶融状態となり、フィラーを濡らした状態にて、圧縮性流体を供給し、溶融樹脂を可塑化させる。
フィラーの混練に好適な粘度となるように、混練エリアの温度設定を行う。設定温度は、反応装置の仕様及び樹脂種、樹脂の構造、分子量などにより変わるため、特に限定するものではないが、重量平均分子量(Mw)200,000程度の市販されているポリ乳酸の場合、通常の混練はポリ乳酸の融点+10℃〜20℃において行われる。これに対して、本発明は、ポリ乳酸の融点より低い温度で混練することを特徴とし、融点より低い温度での比較的高い粘度で混練することが可能である。具体的には、−20℃〜−80℃、より好ましくは−30℃〜-60℃である。簡便的には装置の撹拌動力の電流値などを目安に温度設定すればよいが、これらの設定値は本発明でなければ、通常到達しえない領域であると言える。
混練後、圧を開放させることにより、圧縮性流体を除去する。圧縮性流体を除去する際の温度設定は、樹脂の融点以上に加温することが好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に対して用いられる従来公知の製造方法を適用して製造される。例えば、シートに加工する場合にはTダイが用いられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法により、好適に製造される。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂、及びフィラーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、混練後において、以下の性質を有していることが好ましい。
・フィラーを0.1質量%以上10質量%以下含有する。
・フィラーの個数平均粒子径が、0.01μm以上0.20μm未満である。
・前記フィラーの個数平均径の標準偏差が、0.3以下である。
・個数平均粒子径が10μm以上の粗大粒子が、脂肪族ポリエステル樹脂組成物1mm2あたり10個以下である。
反応初期のモノマーが多数ある状態(反応系)では、溶融粘度が非常に低くフィラーの分散効果はほとんどない。そして、重合後期からモノマーを消費した重合反応終了後にフィラーの分散が進む。フィラーの混練に好ましい粘度と、重合反応中の粘度が異なるため、フィラー存在下で、ラクチドの重合反応によって得られたポリ乳酸組成物も混練後の組成物に該当する。よって、本発明の混練後のポリ乳酸組成物とは、フィラーが導入されたポリ乳酸と同義である。
本発明の製造物の製造方法は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法を含む。
即ち、本発明の製造物は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記製造物としては、例えば、成型品、シート、フィルム、粒子、繊維、発泡体などが挙げられる。
成型品とは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を、型を用いて加工した製品である。この成型品の概念には、単体としての成型品のみでなく、トレイの取っ手のような成型品からなる部品、及び取っ手が取り付けられたトレイのような成型品を備えた製品なども含まれる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を溶融させて、射出成型し、成型品を得ることができる。また、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートを成型金型によりプレス成型して賦型すること(形状を与えること)により、成型品を得ることもできる。
賦型する際の加工条件は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の種類、及び装置等に基づいて、適宜決定される。例えば、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートを成型金型によりプレス成型して賦型する場合、金型温度は、100℃以上150℃以下とすることができる。射出成形により賦型する場合、150℃以上、250℃以下に加熱した本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を金型に射出して、金型温度を20℃以上、80℃以下程度に設定して、射出成形での加工が可能である。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いて成型された成型品は、機械強度などのシート物性に優れているため、例えば、工業用資材、日用品、農業用品、食品用、医薬品用、化粧品等のシート、包装材、トレイ等の用途として幅広く適用することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の生分解性を生かせる用途、特に食品に使用する包装材料、化粧品、及び医薬品などの医療用シートとして有用であり、フィラーの分散性が向上することによる薄膜化などにより、より性能向上が期待できる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を粒子に形成する方法としては、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を従来公知の方法により粉砕する手法などが挙げられる。
粒子の粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上50μm以下が好ましい。
前記粒子が電子写真用トナーである場合、着色剤及び疎水性微粒子が脂肪族ポリエステル樹脂組成物中に混合された混合物を調製する。混合物は、結着樹脂、着色剤及び疎水性微粒子の他に、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、離型剤、帯電制御剤などが挙げられる。添加物を混合する工程は、重合反応と同時でもよいし、重合反応後の後工程、又は重合生成物を取り出した後に溶融混練しながら添加してもよい。
フィルムとは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を薄い膜状に成形したものであって、厚みが250μm未満のものである。フィルムは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を延伸成形することにより製造される。
シートとは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を薄い膜状に成形したものであって、厚みが250μm以上のものである。
前記シートは、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物に、熱可塑性樹脂に対して用いられる従来公知のシートの製造方法を適用して製造することができる。シートの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法などが挙げられる。
シートに加工する際の加工条件としては、特に制限はなく、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の種類、及び装置等に基づいて、適宜決定される。例えば、ポリ乳酸をTダイ法により加工する場合、Tダイを出口に取り付けた押出成型機によって、加熱した脂肪族ポリエステル樹脂組成物をTダイから押し出すことにより、シート加工することができる。前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物の加熱温度としては、150℃以上250℃以下が好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物はモノフィラメント、マルチフィラメント等の繊維にも応用可能である。なお、繊維の概念には、モノフィラメントのような単体の繊維のみでなく、織布及び不織布のような繊維によって構成される中間製品、及びマスクのような織布及び不織布を有する製品が含まれる。
前記発泡体は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を発泡させてなるものである。この発泡体の概念には、発泡樹脂のような単体としての発泡体のみでなく、断熱材及び防音材のような発泡体を有する部品、並びに建材のような発泡体を有する製品が含まれる。
得られた発泡体は、例えば、緩衝材、断熱材、防音材、制震材等の用途に幅広く適用される。
図3に示す連続式混練装置100を用い、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとの流量が合計で10kg/hrとなるように供給した。脂肪族ポリエステル樹脂としてポリ乳酸(REVODE190、HISUN社製、融点178℃)を9.9kg/hr、フィラーとして酸化チタン(TTO−55、石原産業株式会社製)を0.1kg/hrとして、圧縮性流体として二酸化炭素を0.99kg/hr(ポリ乳酸に対して10質量%相当)を供給し、混練を行い、樹脂組成物及びシートを得た。
各ゾーンの温度は原材料混合、及び溶融エリアa及び圧縮性流体供給エリアb:190℃、混練エリアc:150℃、圧縮性流体除去エリアd:190℃、成型加工エリアe:190℃とした。各ゾーンの圧力は圧縮性流体供給エリアbから混練エリアcまでを7.0MPa、圧縮性流体除去エリアdを0.5MPa、Tダイ4を5MPaとし、シートの厚みは300μmとした。
実施例1において、ポリ乳酸/酸化チタンのフィード比、及び混練温度を表1〜2、及び4に記載の値に代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
実施例1において、圧縮流体量を表2、及び4に記載の値に代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
実施例1において、フィラーを以下のものに代えた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びシートを得た。
実施例8:シリカ(QSG−30(個数平均粒子径:0.03μm)、信越シリコーン株式会社製)
実施例9:シリカ(QSG−10(個数平均粒子径:0.015μm)、信越シリコーン株式会社製)
実施例10:シリカ(QSG−100(個数平均粒子径:0.11μm)、信越シリコーン株式会社製)
実施例11:トリメチルステアリルアンモニウムベントナイト(クニビス110、クニミネ工業株式会社製)
比較例3:重質炭酸カルシウム(ソフトン2200(個数平均粒子径:1.0μm)、白石カルシウム株式会社製)
実施例1において、ポリ乳酸をポリブチレンサクシネート(融点115℃、PTT MCC Biochem社製)に代え、混練温度を100℃にした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
実施例1において、ポリ乳酸をポリグリコール酸(PGA)(kuredux100E35、融点220℃、株式会社クレハ製)に変更した。
また、実施例1において、混練操作における圧縮性流体の供給方法、並びに各ゾーンの温度、及び圧力を下記のように代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びシートを得た。
第一の圧縮性流体として二酸化炭素を0.25kg/hr、第二の圧縮性流体としてジメチルエーテルを0.25kg/hrで供給し、混練操作を行う。
各ゾーンの温度は原材料混合/溶融エリア及び圧縮性流体供給エリア:230℃、混練エリア:150℃、圧縮性流体除去エリア:230℃、成型エリア:230℃とした。圧力は圧縮性流体供給エリアから混練エリアまでを7.0MPa、圧縮性流体除去エリアを0.5MPa、Tダイを5MPaとした。
以下のGCMS分析を行い、既知の脂肪族ポリエステル樹脂を標準試料とした比較により、脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合を測定した。測定結果は、表1〜表4に示した。
−GCMS分析−
・GCMS:株式会社島津製作所製 QP2010 補器 フロンティア・ラボPy3030D
・分離カラム:フロンティア・ラボUltra ALLOY UA5−30M−0.25F
・試料加熱温度:300℃
・カラムオーブン温度:50℃(1分保持)〜昇温度15℃/分〜320℃(6分)
・イオン化法:Electron Ionization(E.I)法
・検出質量範囲:25〜700(m/z)
脂肪族ポリエステル樹脂組成物からなるシートをイオンミリング装置(IM4000PLUS、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて断面加工を行い、断面のSEM観察を行った。
得られた断面SEM写真(倍率10,000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、フィラーに該当する白色成分と樹脂成分を二値化した。前記写真において、35μm×20μmの範囲において個数平均粒子径(フェレ径)を求め、フェレ径0.05μm以上の白色成分(フィラー)について、個数平均粒子径、及び標準偏差(σ)を算出した。3視野の平均値として測定結果を表1〜表4に示した。なお、1視野あたり数100個以上の粒子があるため、1視野はその数100個以上の粒子の測定結果として得られる。
粒子径10μm以上のフィラー粗大粒子数(個/g)は、断面SEM写真において1mm2視野における個数を、N=10の平均値として数えた。測定結果を表1〜表4に示した。
<1> 圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練することを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<2> 前記混練が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より20℃以上低い温度で行われる前記<1>に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<3> 前記フィラーの仕込み量と、前記脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)が、99/1〜90/10である前記<1>から<2>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<4> 前記圧縮性流体の量が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の量に対して、3質量%〜10質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<5> 前記フィラーの個数平均粒子径が、0.01μm〜0.20μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<6> 前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸である前記<1>から<5>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<7> 前記フィラーの形状が、球形である前記<1>から<6>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<8> 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である前記<1>から<7>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<9> 前記フィラーが、シリカである前記<1>から<8>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法により製造された脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とする製造物の製造方法である。
<11> 成形品、シート、フィルム、粒子、繊維、及び発泡体から選択される少なくとも1種である製造物を製造する前記<10>に記載の製造物の製造方法である。
2 炭酸カルシウム供給タンク
3 圧縮性流体供給タンク
4 Tダイ
100 連続式混練装置
Claims (11)
- 圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練することを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記混練が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より20℃以上低い温度で行われる請求項1に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記フィラーの仕込み量と、前記脂肪族ポリエステル樹脂の仕込み量と、の比(脂肪族ポリエステル樹脂/フィラー)が、99/1〜90/10である請求項1から2のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記圧縮性流体の量が、前記脂肪族ポリエステル樹脂の量に対して、3質量%〜10質量%である請求項1から3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記フィラーの個数平均粒子径が、0.01μm〜0.20μmである請求項1から4のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記脂肪族ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸である請求項1から5のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記フィラーの形状が、球形である請求項1から6のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である請求項1から7のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 前記フィラーが、シリカである請求項1から8のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1から9のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法により製造された脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とする製造物の製造方法。
- 成形品、シート、フィルム、粒子、繊維、及び発泡体から選択される少なくとも1種である製造物を製造する請求項10に記載の製造物の製造方法。
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US20110288651A1 (en) * | 2010-01-22 | 2011-11-24 | Kannan Rangaramanujam M | Supercritical Carbon-Dioxide Processed Biodegradable Polymer Nanocomposites |
US20160177041A1 (en) * | 2014-12-19 | 2016-06-23 | National Chung Shan Institute Of Science And Technology | Method of manufacturing polymer composite |
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- 2020-09-30 JP JP2020166209A patent/JP7136166B2/ja active Active
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US20110288651A1 (en) * | 2010-01-22 | 2011-11-24 | Kannan Rangaramanujam M | Supercritical Carbon-Dioxide Processed Biodegradable Polymer Nanocomposites |
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