JP2021091413A - 空気圧ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】冗長性を高めることのできる空気圧ブレーキシステムを提供する。【解決手段】車両のブレーキチャンバー50に対して空気を供給してブレーキを作動させ、当該ブレーキチャンバー50から空気を排出してブレーキを解除する空気圧ブレーキシステム10であって、非常時に第2EBSECU15Bによって作動し、ブレーキチャンバー50に空気を供給する保安用空気供給部33と、保安用空気供給部33と、ブレーキ空気供給回路の間に設けられ、保安用空気供給部33及びブレーキ空気供給回路のうち高圧側からブレーキチャンバー50へ向かう方向のみの空気の流れを許容するシャトル弁34と、を備え、保安用空気供給部33及びシャトル弁34は車両の車輪毎に設けられる。【選択図】図3

Description

本発明は、空気を用いてブレーキを作動させる空気圧ブレーキシステムに関する。
近年、高度運転技術の一つとして、複数の車両が互いに通信をしながら隊列を形成して走行する隊列走行を実現するシステムの開発が行われている。特に、トラックやバス等の貨物車両においては、運転者が運転する先頭車両と、無人又は監視者が乗車する後続車両とによって隊列を形成する隊列走行のためのシステムが提案されている。後続車両では、先頭車両の挙動に追従して各種制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。例えばブレーキ制御では、先頭車両がブレーキを作動させたときに、後続車両が追従してブレーキを作動させる。
貨物車両の多くには、空気を用いてブレーキを作動させる空気圧ブレーキシステムが搭載されている。そのため、空気圧ブレーキシステムが搭載された後続車両では、先頭車両のブレーキ制御に追従して、空気圧ブレーキシステムを構成する各アクチュエータが制御される。
ところで、後続車両は無人運転又は監視者により車両挙動が監視される自動運転であるがゆえに、その空気圧ブレーキシステムに異常が生じた場合に運転者による操作を見込むことができないため、空気圧ブレーキシステムには冗長性が要請されている。例えば、特許文献1ではブレーキシステムを多重化した隊列走行制御システムが提案されている。
特開2007−233965号公報
上記の隊列走行制御システムでは、制御装置が、位置検出装置等、電気系統の異常を検知した際に、非常ブレーキを作動させる制御を行っている。しかし、空気圧ブレーキシステムに生じうる異常は、電気系統の異常だけに限らない。例えば、ブレーキモジュールの一方に配管や弁装置などの構造の一部に異常が生じた場合に、そのブレーキモジュールから他方のブレーキモジュールに速やかに切り替えることについては考慮されていない。したがって、配管や弁装置などの構造の一部に異常が生じた場合にも対応できるように空気圧ブレーキシステムの冗長性をさらに高めることが要請されている。
尚、こうした課題は、隊列走行を行う車両に限らず、空気圧ブレーキシステムを搭載した車両であって、隊列を形成せずに独立して走行する自動運転車両等においては概ね共通したものである。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、冗長性を高めることのできる空気圧ブレーキシステムを提供することにある。
上記課題を解決する空気圧ブレーキシステムは、車両のブレーキ機構に対して空気を供給してブレーキを作動させ、当該ブレーキ機構から空気を排出してブレーキを解除する空気圧ブレーキシステムであって、非常時に保安用ブレーキ制御装置によって作動し、前記
ブレーキ機構に空気を供給する保安用空気供給部と、前記保安用空気供給部と、当該保安用空気供給部とは別の経路で前記ブレーキ機構に空気を供給するブレーキ空気供給回路とに接続され、前記保安用空気供給部及び前記ブレーキ空気供給回路のうち高圧側から前記ブレーキ機構へ向かう方向のみの空気の流れを許容するシャトル弁と、を備え、前記保安用空気供給部及び前記シャトル弁は前記車両の車輪毎に設けられる。
上記構成によれば、シャトル弁により、保安用空気供給部及び他の空気供給回路のうち高圧側からブレーキ機構へ空気が供給される。そのため、保安用空気供給部及び他の空気供給回路の一方、又はその両方に異常が生じたり、保安用ブレーキ制御装置に異常が生じたりした場合でも、ブレーキ機構へ空気を供給してブレーキを作動させることができる。したがって、空気圧ブレーキシステムの冗長性を高めることができる。また、保安用空気供給回路及びシャトル弁は車輪毎に設けられるので、非常時のブレーキ制御の応答性を向上することができる。
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記保安用空気供給部を制御する保安用ブレーキ制御装置に制動要求を出力する主制御装置によって制御される強制ブレーキ用電磁弁を備え、前記強制ブレーキ用電磁弁は、前記主制御装置により通電された通電状態で圧縮された空気を貯留する空気供給源から前記ブレーキ機構側への空気の供給を遮断し、非通電状態で前記空気供給源からの空気を前記ブレーキ機構側に供給し、前記シャトル弁は、前記強制ブレーキ用電磁弁から空気が供給された場合に、前記強制ブレーキ用電磁弁側から前記ブレーキ機構側への空気の供給を許容することが好ましい。
上記構成によれば、主制御装置によって制御される強制ブレーキ用電磁弁は、非通電状態で空気供給源からの空気をブレーキ機構に供給する。またシャトル弁は、保安電磁弁側からブレーキ機構側への空気の供給を許容する。このため、主制御装置に異常が発生しても、強制的にブレーキを作動させることができる。
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記強制ブレーキ用電磁弁と前記保安用空気供給部との間に、空気駆動式のサスペンションシステムに連通し前記車両の積載荷重の増大に応じて前記ブレーキ機構への空気の供給量が大きくなるように変更する弁装置が設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、車両の積載荷重に応じてブレーキ機構への空気の供給量が大きくなるので、積載荷重が大きい場合にはブレーキ力を大きくすることができる。また弁装置は空気駆動式のサスペンションシステムに連通し、サスペンションシステムの空気圧に応じて空気の供給量を変更する。このため、制御装置等の電気系統の異常が発生した場合にも、積載荷重に応じたブレーキ力を機械的に変更することができるので、空気圧ブレーキシステムの冗長性をさらに高めることができる。
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記保安用ブレーキ制御装置は、前記保安用空気供給部とは異なる空気供給回路を制御するブレーキ制御装置の異常を検知して、前記主制御装置の制動要求に基づき前記ブレーキ機構に空気を供給して前記車両を所定の速度で走行又は停止させることが好ましい。
上記構成によれば、保安用ブレーキ制御装置は、主制御装置の制動要求に基づき制御されるので、ブレーキ制御装置に異常が発生しても、車両を走行させることができる。そのため、空気圧ブレーキシステムの冗長性をさらに高めることができる。
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記保安用空気供給部とは異なる空気供給回路を制御するブレーキ制御装置及び前記主制御装置の異常が発生した場合に、前記強制ブレ
ーキ用電磁弁が非通電状態とされブレーキが強制的に作動することが好ましい。
上記構成によれば、保安用ブレーキ制御装置に異常が発生していなくても、ブレーキ制御装置及び主制御装置の異常が発生した場合にブレーキが強制的に作動する。このため、空気圧ブレーキシステムの冗長性をさらに高めることができる。
本発明によれば、空気圧ブレーキシステムの冗長性を高めることができる。
空気圧ブレーキシステムの一実施形態について、当該空気圧ブレーキシステムが搭載された車両であって隊列を形成する各車両の模式図。 同実施形態の空気圧ブレーキシステムのECUの接続状態を示す模式図。 同実施形態の空気圧ブレーキシステムの構成を示す概略図。 同実施形態における第2EBSECUの動作を示すフローチャート。 同実施形態の非常時における状態の遷移を示し、(a)は最初に第1EBSECUの異常が発生した場合の状態遷移を示す概念図、(b)は最初に第2EBSECUの異常が発生した場合の状態遷移を示す概念図。 同実施形態における最初に牽引ECUの異常が発生した場合の状態遷移を示す概念図。
以下、空気圧ブレーキシステムを備えた車両の一実施形態を説明する。
図1を参照して、隊列走行について説明する。ここでは隊列を形成する車両100は、貨物車両であって、荷台が一体に設けられたトラック(カーゴ車両ともいう)である。隊列は、運転者により運転される先頭車両100aと、無人又は監視者が乗車する後続車両100bとから形成される。監視者は、車両挙動を監視し、基本的に運転は行なわない。先頭車両100aと後続車両100bとは予め設定された車間距離を保ちながら走行する。
図2に示すように、車両100は、主制御装置としての第1牽引ECU(電子制御装置:Electronic Control Unit)11Aと、主制御装置としての第2牽引ECU11Bとを
備える。第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bのいずれかの指令によって、車両100の各種システムが制御され隊列走行が行われる。例えば、第1牽引ECU11Aに異常が発生しても、第2牽引ECU11Bが、車両100の制御を行う。なお、第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bを区別しないで説明する場合には、単に牽引ECU11として説明する。
先頭車両100aの牽引ECU11と、後続車両100bの牽引ECU11とは、無線通信によって各種情報を送受信する。先頭車両100aは、運転者のブレーキ操作によってブレーキを作動し、後続車両100bは直前の車両100が減速したときに当該車両100に追従してブレーキを作動させる。すなわち、後続車両100bは、直前の車両100に追従してブレーキを作動させることが可能な空気圧ブレーキシステムを備えている。なお、先頭車両100aは、運転者により運転操作される車両であるため、後続車両100bのような空気圧ブレーキシステムを備えている必要は無いが、同一の構成の空気圧ブレーキシステムを備えていてもよい。本実施形態では、先頭車両100aの空気圧ブレーキシステム及び後続車両100bの空気圧ブレーキシステムは同一の構成とする。また、図1では、3台の車両100によって隊列を形成したが、3台以外の複数であってもよい。
図2及び図3を参照して、車両100の空気圧ブレーキシステムの概略構成について説明する。空気圧ブレーキシステムは、空気圧によってブレーキ力を可変とするサービスブレーキと、スプリングの付勢力によって車輪に所定のブレーキ力を付与するパーキングブレーキ(駐車ブレーキ)とを作動させる。
図2に示すように、空気圧ブレーキシステム10は、牽引ECU11の他に、ブレーキ制御装置としての第1EBSECU15A及び保安用ブレーキ制御装置としての第2EBSECU15Bを備えている。第1EBSECU15Aは、第2EBSECU15Bよりも優先順位が高いECUであって、自身に異常のない通常時において空気圧ブレーキシステム10を構成するアクチュエータを制御する。第2EBSECU15Bは、第1EBSECU15Aに異常が発生した非常時に空気圧ブレーキシステム10を制御する。なお、非常時とは、第1EBSECU15Aに異常が発生したとき以外に、第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bの両方に異常が発生したとき、第1EBSECU15A、第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bの全てに異常が発生したときを含む。
第1牽引ECU11A、第2牽引ECU11B、第1EBSECU15A及び第2EBSECU15Bは、車載ネットワーク19に接続されている。また、車載ネットワーク19には、車速センサ53が接続されている。なお、第1牽引ECU11A、第2牽引ECU11B、第1EBSECU15A及び第2EBSECU15Bを区別せず、それらを単に車載ネットワーク19に接続するノードとして説明する場合には、単にECU20として説明する。例えば、車載ネットワークは、CAN(Controller Area Network)である
が、FlexRay(登録商標)、Ethernet(登録商標)等の他の車載ネットワークであってもよい。車載ネットワーク19には、通信エラー等を検出する通信制御部(図示略)が接続されている。各ECU20は、自身のIDを付して所定の通信メッセージを車載ネットワーク19に送り、取得すべき通信メッセージを車載ネットワーク19から取得する。
次に図3に示すように、空気圧ブレーキシステム10は、空気貯留タンク21やその他のタンクに貯留された空気を、ブレーキ機構としてのブレーキチャンバー50に供給するものである。図3では、1対の前輪51と、駆動輪である1対の後輪52だけを図示しているが、前輪51の数及び後輪52の数は特に限定されない。例えば、車両100には、1対の前輪51が設けられるとともに、2対の後輪52が設けられていてもよい。ブレーキチャンバー50は車輪毎に設けられている。ブレーキチャンバー50は、サービスブレーキ用の空気貯留室と、パーキングブレーキ用の空気貯留室とをそれぞれ有する。また、ブレーキチャンバー50には、車輪に付勢力を付与して車輪の回転を止めるスプリングが設けられている。サービスブレーキ用の空気貯留室に空気が供給されるとサービスブレーキが作動し、空気の供給量の増大に応じてブレーキ力が増大する。サービスブレーキ用の空気貯留室から空気が排出されるとサービスブレーキが解除される。一方、パーキングブレーキ用の空気貯留室に所定定量以上空気が供給されると、スプリングの付勢力が解除され、パーキングブレーキ用の空気貯留室から空気が排出されると、スプリングの付勢力が車輪に付与される。
また、前輪51及び後輪52には、車輪の回転速度を検出する車速センサ53が設けられている。車速センサ53は、車載ネットワーク19に車速パルス信号を出力する(図2参照)。さらにブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室に接続する供給路には、当該供給路の圧力を検知する圧力センサ54が設けられている。
空気貯留タンク21には、コンプレッサ22によって圧縮され、乾燥剤を有するエアドライヤ23によって乾燥された空気が貯留されている。空気貯留タンク21は、配管を介してプロテクションバルブ(保護弁)24に接続されている。プロテクションバルブ24
は、空気貯留タンク21から供給された空気を、パーキングブレーキ用タンク25、後輪ブレーキ用タンク26、及び前輪ブレーキ用タンク27に分配する。
前輪ブレーキ用タンク27は、ブレーキバルブ31を介してアクスルモジュレータ30に接続されている。アクスルモジュレータ30は、前輪51に設けられたブレーキチャンバー50への空気の供給及び排出を制御する。ブレーキバルブ31は、前輪用制御部31Aと、後輪用制御部31Bとを備え、第1EBSECU15Aによって制御される。アクスルモジュレータ30は、第1EBSECU15Aによって制御される。
前輪ブレーキ用タンク27は、ブレーキバルブ31を介してアクスルモジュレータ30に接続されている。車両100が運転者によって運転される有人運転の際、第1EBSECU15Aは、運転者によって操作されるブレーキペダル(図示略)の位置を検出するセンサから位置検出信号を入力し、ブレーキバルブ31を制御して、アクスルモジュレータ30に空気を供給する。車両100が無人運転の際、第1EBSECU15Aは、先頭車両等から送信される減速情報等の情報に基づき、ブレーキバルブ31を制御する。
アクスルモジュレータ30は、ブレーキバルブ31の前輪用制御部31Aに連通する供給路60に接続する第1入力ポートと、前輪ブレーキ用タンク27に連通する供給路61に接続する第2入力ポートとを備えている。また、アクスルモジュレータ30は、左側の前輪51に対応させて設けられた保安モジュレータ32Lに接続する出力ポートと、右側の前輪51に対応させて設けられた保安モジュレータ32Rに接続する出力ポートとを備えている。第1入力ポートにブレーキバルブ31の前輪用制御部31Aから送られた空気圧信号を入力すると、アクスルモジュレータ30は、前輪ブレーキ用タンク27から第2入力ポートに供給された空気を、保安モジュレータ32L,32Rにそれぞれ分配する。
左側の前輪の保安モジュレータ32Lと、右側の前輪の保安モジュレータ32Rは同一の構成であるため、左側の前輪の保安モジュレータ32Lについてのみ説明する。保安モジュレータ32Lは、保安用空気供給部33と、シャトル弁34とを備えている。保安用空気供給部33は、第2EBSECU15Bによって制御される電磁弁(図示略)を備える。保安用空気供給部33は、車両100のエアサスペンションシステム(空気圧駆動式懸架システム)に備えられるサスペンション用タンク28に接続されている。また、保安用空気供給部33は、シャトル弁34を介して、ブレーキチャンバー50に接続されている。サスペンション用タンク28には、コンプレッサ22からエアドライヤ23を介して供給された空気が貯留されている。第1EBSECU15A等に異常が発生した非常時には、第2EBSECU15Bが保安用空気供給部33を制御して、ブレーキチャンバー50側へ空気を供給する。
シャトル弁34は、保安用空気供給部33及びアクスルモジュレータ30に接続され、保安用空気供給部33側、及びアクスルモジュレータ30側のうち、圧力が高い方からブレーキチャンバー50側への空気の流れを許容する。したがって、空気貯留タンク21からアクスルモジュレータ30の間に空気漏れや機械的な異常がある状態、アクスルモジュレータ30側の配管に漏れが生じている状態等、電気系統の異常以外の失陥が生じた場合であっても、保安用空気供給部33側、及びアクスルモジュレータ30側のいずれかが圧力が高いため、その圧力が高い側からブレーキチャンバー50に空気が供給されることとなる。また、シャトル弁34は、ABS(Antilock Brake System)バルブ36に接続さ
れている。ABSバルブ36は、前軸2輪のアンチロックブレーキシステムを構成する。ABSバルブ36は、第1EBSECU15Aによって制御される。なお、ABS機能は、アクスルモジュレータ30及び保安用空気供給部33の少なくとも一方が有していてもよい。
一方、後輪ブレーキ用タンク26は、アクスルモジュレータ40に接続されている。アクスルモジュレータ40は、後輪52に設けられたブレーキチャンバー50への空気の供給及び排出を制御する。アクスルモジュレータ40は、第1EBSECU15Aによって制御される。アクスルモジュレータ40は、ブレーキバルブ31の後輪用制御部31Bに連通する供給路62に接続する第1入力ポートと、後輪ブレーキ用タンク26に連通する供給路63に接続する第2入力ポートとを備えている。また、アクスルモジュレータ40は、左側の後輪52に設けられた保安モジュレータ42Lに接続する出力ポートと、右側の後輪52に設けられた保安モジュレータ42Rに接続する出力ポートとを備えている。アクスルモジュレータ40は、供給路62に接続する第1入力ポートにブレーキバルブ31の後輪用制御部31Bから送られた空気圧信号を入力すると、後輪ブレーキ用タンク26から第2入力ポートに供給された空気を保安モジュレータ42L,42Rにそれぞれ分配する。
後輪ブレーキ用タンク26は、ブレーキバルブ31を介してアクスルモジュレータ40に接続されている。車両100が運転者によって運転される有人運転の際、第1EBSECU15Aは、運転者によって操作されるブレーキペダル(図示略)の位置を検出するセンサから位置検出信号を入力し、ブレーキバルブ31を制御する。車両100が無人運転の際、第1EBSECU15Aは、先頭車両等から送信される減速情報等の情報に基づき、ブレーキバルブ31を制御して、アクスルモジュレータ40に空気を供給する。
左側の後輪の保安モジュレータ42Lと、右側の後輪の保安モジュレータ42Rは同一の構成であるため、左側の保安モジュレータ42Lについてのみ説明する。なお、後輪の保安モジュレータ42L,42Rは、前輪の保安モジュレータ32L,32Rとタンク等への接続状態が異なるだけで、同様の構成である。保安モジュレータ42Lは、第2EBSECU15Bからの減速指令により制御される保安用空気供給部33と、シャトル弁34とを備えている。保安用空気供給部33は、前輪51に対して設けられた保安用空気供給部33と同様の構成であって、第2EBSECU15Bによって制御される電磁弁を備える。後輪52の保安用空気供給部33も、サスペンション用タンク28に接続されている。
また、パーキングブレーキ用タンク25は、パーキングブレーキ制御バルブ55及びパーキングブレーキリレーバルブ56に接続されている。パーキングブレーキ制御バルブ55は、第1EBSECU15A等により制御されて、パーキングブレーキリレーバルブ56に空気圧信号を出力する。パーキングブレーキリレーバルブ56は、パーキングブレーキ制御バルブ55から空気圧信号を入力すると、開弁して、パーキングブレーキ用タンク25と、ブレーキチャンバー50のパーキングブレーキ用の空気貯留室とを連通する。その結果、パーキングブレーキ用の空気貯留室に空気が供給されて、パーキングブレーキが解除される。なお、パーキングブレーキリレーバルブ56は電磁弁とし、第1EBSECU15A等により制御されるようにしてもよい。
パーキングブレーキ制御バルブ55とパーキングブレーキリレーバルブ56との間には、強制ブレーキ用電磁弁としての保安ブレーキバルブ71の信号供給路65が接続されている。保安ブレーキバルブ71は、弁装置としてのロードセンシングバルブ72(調整弁)とともに強制ブレーキモジュレータ70を構成している。強制ブレーキモジュレータ70は、1台の車両100に対して少なくとも1つ設けられている。本実施例では、強制ブレーキモジュレータ70は、1つ設けられている。また、強制ブレーキモジュレータ70は、電子牽引ECU11によって制御される。保安ブレーキバルブ71は、第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bのいずれかによって制御される電磁弁である。換言すると、保安ブレーキバルブ71は、第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bのいずれによっても制御可能である。
ロードセンシングバルブ72は、保安ブレーキバルブ71と保安モジュレータ42L,42Rとを接続する供給路に、それらに対して直列に設けられている。ロードセンシングバルブ72は、ブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室に供給される空気量を調整することができる。ロードセンシングバルブ72は、エアサスペンションシステムに接続している。ロードセンシングバルブ72のエアサスペンションシステムとの接続ポートにおける圧力は、エアサスペンションシステムと同じ圧力となる。車両100の積荷の荷重が大きい場合には接続ポートの圧力は大きくなる。ロードセンシングバルブ72の接続ポート側の圧力が所定値よりも大きくなると、ロードセンシングバルブ72は、駆動輪である後輪52の保安モジュレータ42L,42Rへの空気の供給量を増大させる。なお、例えばロードセンシングバルブ72以外の構成を用いることにより積荷の荷重等に応じて接続ポートの圧力を調整可能な場合には、ロードセンシングバルブ72は省略してもよい。
保安ブレーキバルブ71は、信号供給路65に接続する信号入力ポートと、前輪51の保安モジュレータ32L,32R及び後輪52の保安モジュレータ42L,42Rに接続する2つの接続ポートと、空気供給源としてのサスペンション用タンク28から空気が供給されるタンク側供給路66に接続する入力ポートとを備えている。保安ブレーキバルブ71は、異常の無い状態、すなわち通常時においては第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bのいずれかによって通電され、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rへの空気の供給を遮断する。また、保安ブレーキバルブ71は、異常が発生した所定の状態において非通電状態とされ、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rへ空気を供給する。
パーキングブレーキ用の空気貯留室から空気が排出されると、スプリングの付勢力が車輪に付与されてパーキングブレーキは作動した状態となる。この際、保安ブレーキバルブ71の信号入力ポートには空気圧信号が入力されない。パーキングブレーキ用の空気貯留室に所定量の空気が導入されると、パーキングブレーキが解除された状態となる。この際、保安ブレーキバルブ71の信号入力ポートには信号供給路65を介して空気圧信号が入力される。保安ブレーキバルブ71は、信号入力ポートに空気圧信号を入力すると、サスペンション用タンク28に貯留された空気を、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rに供給することが可能となる。このとき、アクスルモジュレータ30,40側よりも保安ブレーキバルブ71側が圧力が高くなるため、シャトル弁34は、保安ブレーキバルブ71側からブレーキチャンバー50側への空気の流れを許容する。
また、第2EBSECU15Bは、圧力センサ54の圧力検出信号を取得する。第2EBSECU15Bは、圧力検出信号に基づき、圧力と減速度との関係を学習する。減速度は、車速センサ53から車載ネットワーク19を介して取得した車速信号に基づき第2EBSECU15Bによって算出される。又は、第2EBSECU15Bは、牽引ECU11が演算した減速度を車載ネットワーク19から取得する。第2EBSECU15Bは、車両100が所定の速度まで減速するように、牽引ECU11の減速要求と学習結果とに基づき保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rを制御する。なお、第2EBSECU15Bは、減速度と圧力との関係以外に、速度と圧力との関係を学習してもよい。
次に図4を参照して、第2EBSECU15Bの動作について、その手順とともに説明する。第2EBSECU15Bは、第1EBSECU15Aに異常が発生した所定の状態においてブレーキを制御し、それ以外の場合は、第1EBSECU15Aのブレーキ制御を妨げない。また、第2EBSECU15Bには異常は発生していないものとする。なお、以下の手順は一例であって、以下の手順以外の手順で制御を行なってもよい。
例えば、イグニッションスイッチがオン状態とされると、第2EBSECU15Bは、車載ネットワーク19に接続する全てのECU20、又はそれらのうち所定のECU20に異常が発生したか否かを判断する(ステップS1)。各ECU20は、車載ネットワーク19を介して所定の通信メッセージを受信したこと、又は所定の通信メッセージを受信しないことに基づいて、その通信メッセージの送信元であるECU20の異常の有無を判断することが可能である。又は、第2EBSECU15Bは、車載ネットワーク19の通信を制御する通信制御部がエラーを検出した際に送信するメッセージ等に基づいて、ECU20の異常の有無を判断する。又は、第2EBSECU15Bは、その他の方法でECU20の異常の有無を判断してもよい。
第2EBSECU15Bは、判断対象とするECU20のいずれかに異常が発生していないと判断した場合には(ステップS1:NO)、異常の有無の判断を繰り返す(ステップS1)。一方、第2EBSECU15Bは、判断対象とするECU20のいずれかに異常が発生したと判断すると(ステップS1:YES)、その異常が発生したECU20が、第1EBSECU15Aであるか否かを判断する(ステップS2)。
第2EBSECU15Bは、第1EBSECU15Aに異常が発生したと判断すると(ステップS2:YES)、牽引ECU11の両方に異常が発生しているか否かを判断する(ステップS3)。牽引ECU11の両方に異常が発生している場合(ステップS3:YES)、牽引ECU11による通電が行なわれず保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが作動する(ステップS4)。すなわち、サスペンション用タンク28に貯留された空気が、保安ブレーキバルブ71を介して、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rに供給される。これにより、アクスルモジュレータ30,40側よりも保安ブレーキバルブ71側が高圧となるため、シャトル弁34は、保安ブレーキバルブ71側からブレーキチャンバー50側への空気の流れを許容する。
ステップS3において、第2EBSECU15Bが、牽引ECU11の両方に異常が発生していないか、又は牽引ECU11の一方に異常が発生していると判断すると(ステップS3:NO)、第2EBSECU15Bは、牽引ECU11の減速要求に基づいて減速走行のためのブレーキ制御を行う(ステップS5)。具体的には、第2EBSECU15Bは、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rの電磁弁を制御する。そして、サスペンション用タンク28から保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rを介してブレーキチャンバー50に空気を供給する。この際、第2EBSECU15Bは、圧力センサ54が検出した圧力値を取得する。また、第2EBSECU15Bは、牽引ECU11から指示された減速度等を目標として、取得した圧力値と学習結果とに基づいて車両100が所定速度となるように空気の供給量を調整する。これにより、車両100は、例えば時速20km以上時速40km以下の範囲内の所定速度まで減速し、その速度を維持して走行する。
一方、ステップS2において、第2EBSECU15Bが、第1EBSECU15Aに異常が発生していないと判断すると(ステップS2:NO)、第2EBSECU15Bは、牽引ECU11の両方に異常が発生しているか否かを判断する(ステップS6)。第2EBSECU15Bは、牽引ECU11の両方に異常が発生していると判断した場合(ステップS6:YES)、保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが機械的に作動する(ステップS7)。
ステップS6において、第2EBSECU15Bが、第1牽引ECU11A又は第2牽引ECU11Bに異常が発生していると判断した場合(ステップS6:NO)には、既にステップS1でECU20のいずれかに異常が発生していると判断され且つステップS2で第1EBSECU15Aに異常が発生していないと判断されているので、第1EBSE
CU15Aと、牽引ECU11の一方とが正常に動作している。この場合には、第1EBSECU15Aが、通常のブレーキ制御を行う(ステップS8)。
強制ブレーキ(ステップS4、ステップS7)、減速走行(ステップS5)、第1EBSECU15Aによるブレーキ制御(ステップS8)のいずれが行なわれた後も、第2EBSECU15Bは、イグニッションスイッチがオン状態である間は異常判定を繰り返す(ステップS1〜ステップS8)。このように異常判定が繰り返される間、例えば最初に第1牽引ECU11Aのみが異常となり、次いで第1EBSECU15Aに異常が生じた場合には、第1EBSECU15Aによるブレーキ制御から、減速走行へと移行することとなる。すなわち、空気圧ブレーキシステムの異常のレベル(度合)に応じて、段階的にブレーキ制御が変化する。
次に図5及び図6を参照して、異常のレベルに応じたブレーキ制御の状態遷移について説明する。
図5(a)は、最初に第1EBSECU15Aに異常が発生した場合の状態遷移を示している。いずれのECU20にも異常がない場合には、第1EBSECU15Aによるブレーキ制御が行われている(状態200)。この状態において、まず最初に第1EBSECU15Aに異常が発生すると、第2EBSECU15Bが第1EBSECU15Aの異常を検知して、第2EBSECU15Bによる減速走行を行う(状態201)。
減速走行が維持された状態で、第2EBSECU15Bに異常が発生すると、第1牽引ECU11A又は第2牽引ECU11Bが、第1EBSECU15A及び第2EBSECU15Bの異常を検知して、保安ブレーキバルブ71を非通電状態とし、強制ブレーキを作動させる(状態203)。
減速走行が維持された状態(状態201)において、牽引ECU11のいずれか一方に異常が発生すると、第2EBSECU15Bが、第1EBSECU15A及び牽引ECU11の一方の異常を検知して、第2EBSECU15Bによる減速走行を行う(状態204)。さらに正常に動作していた他方の牽引ECU11に異常が発生すると、保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが作動する(状態205)。
減速走行が維持された状態(状態201)において、両方の牽引ECU11に同時に異常が発生すると、保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが作動する(状態206)。
なお、牽引ECU11の両方が失陥した場合の強制ブレーキの作動(例えば状態206等)は、ブレーキの作動が牽引ECU11の両方が失陥した車両100に応じたタイミングとなる。一方、牽引ECU11の片方が失陥した場合の強制ブレーキの作動(例えば状態203等)は、正常な牽引ECU11が隊列走行を構成する車両のブレーキタイミングを調整できるので、後続車両との衝突回避が容易である。
図5(b)は、最初に第2EBSECU15Bに異常が発生した場合の状態遷移を示している。いずれのECU20にも異常がない場合、第1EBSECU15Aによるブレーキ制御が行われる(状態200)。この状態において、まず最初に第2EBSECU15Bに異常が発生した場合、第2EBSECU15Bは第1EBSECU15Aのブレーキ制御を妨げないので、第1EBSECU15Aは通常のブレーキ制御を行う(状態210)。
通常のブレーキ制御が維持された状態(状態210)で、第1EBSECU15Aに異常が発生すると、第1牽引ECU11A、第2牽引ECU11B又はその両方が、第1E
BSECU15A及び第2EBSECU15Bの異常を検知して、保安ブレーキバルブ71を非通電状態とし、強制ブレーキを作動させる(状態211)。
通常のブレーキ制御が維持された状態(状態210)で、牽引ECU11のいずれか一方に異常が発生した場合、第1EBSECU15Aはブレーキ制御が可能なので、通常のブレーキ制御を行う(状態212)。次いで第1EBSECU15Aの異常が発生すると、正常に動作する牽引ECU11が、保安ブレーキバルブ71を非通電状態とし、強制ブレーキを作動させる(状態213)。
通常のブレーキ制御が維持された状態(状態210)で、両方の牽引ECU11に同時に異常が発生した場合、保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが機械的に作動する(状態214)。
図6は、最初に第1牽引ECU11A及び第2牽引ECU11Bのいずれか一方に異常が発生した場合の状態遷移を示している。いずれのECU20にも異常がない場合、第1EBSECU15Aによるブレーキ制御が行われている(状態200)。この状態において、最初に片方の牽引ECU11に異常が発生した場合、第1EBSECU15Aによるブレーキ制御が可能であるため、通常のブレーキ制御が行われる(状態220)。
通常のブレーキ制御が維持された状態(状態220)で、第1EBSECU15Aに異常が発生すると、第2EBSECU15Bが第1EBSECU15Aの異常を検知して、第2EBSECU15Bによる減速走行を行う(状態221)。減速走行が維持された状態(状態221)において、他方の牽引ECU11に異常が発生して、両方の牽引ECU11が異常状態となると、保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが機械的に作動する(状態222)。また、減速走行が維持された状態(状態221)において、第2EBSECU15Bに異常が発生すると、正常な牽引ECU11が、第1EBSECU15A及び第2EBSECU15Bの異常を検知して、保安ブレーキバルブ71を非通電状態とし、強制ブレーキを作動させる(状態223)。
通常のブレーキ制御が維持された状態(状態220)で、第2EBSECU15Bに異常が発生した場合、第1EBSECU15Aはブレーキ制御が可能なので、通常のブレーキ制御を行う(状態224)。次いで正常に動作していた牽引ECU11にも異常が発生すると、保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが機械的に作動する(状態225)。又は、片方の牽引ECU11、第2EBSECU15Bに続き、第1EBSECU15Aに異常が発生した場合にも、正常に動作していた牽引ECU11が、保安ブレーキバルブ71を非通電状態とし、強制ブレーキを作動させる(状態226)。
通常のブレーキ制御が維持された状態(状態220)で、正常に動作していた牽引ECU11に異常が同時に発生した場合、保安ブレーキバルブ71は非通電状態となるため、強制ブレーキが機械的に作動する(状態227)。
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)シャトル弁34により、保安用空気供給部33、及びアクスルモジュレータ30,40等の他の空気供給回路のうち高圧側からブレーキチャンバー50へ空気が供給される。そのため、保安用空気供給部33及び他の空気供給回路の一方、又はその両方に異常が生じたり、第2EBSECU15Bに異常が生じたりした場合でも、ブレーキチャンバー50へ空気を供給してブレーキを作動させることができる。したがって、空気圧ブレーキシステムの冗長性を高めることができる。また、保安用空気供給部33及びシャトル弁
34は車輪毎に設けられるので、非常時のブレーキ制御の応答性を向上することができる。
(2)牽引ECU11によって制御される保安ブレーキバルブ71は、非通電状態でサスペンション用タンク28からの空気をブレーキチャンバー50に供給する。またシャトル弁34は、保安ブレーキバルブ71側からブレーキチャンバー50側への空気の供給を許容する。このため、牽引ECU11に異常が発生しても、強制的にブレーキを作動させることができる。
(3)第2EBSECU15Bは、牽引ECU11の制動要求に基づき制御されるので、第1EBSECU15Aに異常が発生しても、車両100を走行させることができる。そのため、空気圧ブレーキシステム10の冗長性を高めることができる。
(4)第2EBSECU15Bに異常が発生していなくても、第1EBSECU15A及び牽引ECU11の異常が発生した場合にブレーキが強制的に作動する。このため、空気圧ブレーキシステム10の冗長性を高めることができる。
(5)ロードセンシングバルブ72により車両100の積載荷重に応じてブレーキチャンバー50への空気の供給量が変更されるので、積載荷重が大きい場合にはブレーキ力を大きくすることができる。また、ロードセンシングバルブ72はエアサスペンションシステムに連通し、エアサスペンションシステムの空気圧に応じて空気の供給量を変更するので、ECU20等の電気系統の異常が発生した場合にも、積載荷重に応じたブレーキ力を機械的に変更することができる。また、前方の車両と衝突しないようにブレーキ力を調整できる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・保安用空気供給部33及び保安ブレーキバルブ71は、サスペンション用タンク28を空気供給源としたが、空気貯留タンク21や他のタンクであってもよい。
・上記実施形態では、サスペンションシステムに連通するロードセンシングバルブ72を備えたが、車速センサ53から取得した車速に基づきブレーキ力のフィードバック制御が実行できれば、これを省略してもよい。又は、牽引ECU11が積載荷重を検知する荷重センサから積載荷重値を取得し、積載荷重値に基づき第2EBSECU15Bに減速要求を出力するようにしてもよい。又は、第2EBSECU15Bが荷重センサから直接的に積載荷重値を取得してもよい。
・上記実施形態では、第1EBSECU15A及び牽引ECU11の一方に異常が発生した場合に、正常に動作する牽引ECU11により強制ブレーキを作動させるようにした。これ以外に、正常に動作する牽引ECU11による減速要求に基づき、第2EBSECU15Bがブレーキ制御を行うようにしてもよい。又は第2EBSECU15Bが所定の速度(例えば時速20km)で車両100を走行させるようにブレーキを作動させてもよい。
・上記実施形態では、第2EBSECU15Bは、第1EBSECU15Aに異常が発生した場合に、例えば時速20kmまで減速するようにしたが、車両100を停止させるべくブレーキを作動させるようにしてもよい。また、第2EBSECU15Bは、第1EBSECU15Aに異常が発生した場合に、第1EBSECU15Aと同様な制御、即ち牽引ECU11の減速要求に応じてブレーキを制御し、車両100を走行させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、第2EBSECU15Bに異常が発生した場合にも通常のブレーキ制御を行うようにした(状態210)。これに代えて、第2EBSECU15Bに異常が発生した場合に、第1EBSECU15Aが減速走行を行うようにしてもよい。このようにすると、さらに第1EBSECU15A等に異常が発生した場合、緩やかに車両を停止させることができる。
・上記実施形態では、空気圧ブレーキシステム10は、強制ブレーキを作動させるための保安ブレーキバルブ71を備えたが、例えば全てのECU20に異常が発生したとき等にブレーキを作動させる機構があれば、これを省略してもよい。
・空気圧ブレーキシステム10は、少なくとも第2EBSECU15B、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rを備えていればよく、その他の構成は適宜変更することができる。
・上記実施形態では、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rは、各車輪に対応させて設けられるようにした。これに代えて、保安モジュレータは少なくとも一つの車輪に対応させて設けられていてもよい。又は、保安モジュレータは、一つの車軸の両車輪に対応させて設けられていてもよい。又は保安モジュレータは、少なくとも1つの駆動車輪に対応させて設けられていてもよい。
・上記実施形態では、保安モジュレータ32L,32R,42L,42Rの構成を同じとした。これに代えて、前輪の保安モジュレータ32L,32Rの構成と、後輪の保安モジュレータ42L,42Rの構成とが異なっていてもよい。また、保安モジュールの構成は、左側の車輪と、右側の車輪とで異なる構成であってもよい。
・上記実施形態では、空気圧ブレーキシステム10を、隊列走行を行う車両100のブレーキシステムとして説明したが、隊列走行を行わず単独で走行する車両のブレーキシステムに搭載してもよい。
・上記実施形態では、車両100は、後輪52を駆動輪とするものとしたが、前輪51を駆動輪とするものであってもよい。また、上記実施形態では、空気圧ブレーキシステム10は、荷台を備えるカーゴ車両に搭載されるものとして説明した。これ以外の態様として、空気供給システムは、乗用車、トラクタにトレーラを連結した連結車両、鉄道車両等、他の車両に搭載されてもよい。
10…空気圧ブレーキシステム、11…牽引ECU、11A…主制御装置としての第1牽引ECU、11B…主制御装置としての第2牽引ECU、15A…ブレーキ制御装置としての第1EBSECU、15B…保安用ブレーキ制御装置としての第2EBSECU、19…車載ネットワーク、20…ECU、21…空気貯留タンク、22…コンプレッサ、23…エアドライヤ、24…プロテクションバルブ、25…パーキングブレーキ用タンク、26…後輪ブレーキ用タンク、27…前輪ブレーキ用タンク、28…空気供給源としてのサスペンション用タンク、30,40…アクスルモジュレータ、31…ブレーキバルブ、31A…前輪用制御部、31B…後輪用制御部、32L,32R,42L,42R…保安モジュレータ、33…保安用空気供給部、34…シャトル弁、36…ABSバルブ、50…ブレーキ機構としてのブレーキチャンバー、53…車速センサ、54…圧力センサ、55…パーキングブレーキ制御バルブ、56…パーキングブレーキリレーバルブ、60〜63…供給路、65…信号供給路、66…タンク側供給路、70…強制ブレーキモジュレータ、71…強制ブレーキ用電磁弁としての保安ブレーキバルブ、72…弁装置としてのロードセンシングバルブ、100…車両、100a…先頭車両、100b…後続車両。

Claims (5)

  1. 車両のブレーキ機構に対して空気を供給してブレーキを作動させ、当該ブレーキ機構から空気を排出してブレーキを解除する空気圧ブレーキシステムであって、
    非常時に保安用ブレーキ制御装置によって作動し、前記ブレーキ機構に空気を供給する保安用空気供給部と、
    前記保安用空気供給部と、当該保安用空気供給部とは別の経路で前記ブレーキ機構に空気を供給するブレーキ空気供給回路とに接続され、前記保安用空気供給部及び前記ブレーキ空気供給回路のうち高圧側から前記ブレーキ機構へ向かう方向のみの空気の流れを許容するシャトル弁と、を備え、
    前記保安用空気供給部及び前記シャトル弁は前記車両の車輪毎に設けられる
    空気圧ブレーキシステム。
  2. 前記保安用空気供給部を制御する保安用ブレーキ制御装置に制動要求を出力する主制御装置によって制御される強制ブレーキ用電磁弁を備え、
    前記強制ブレーキ用電磁弁は、前記主制御装置により通電された通電状態で、圧縮された空気を貯留する空気供給源から前記ブレーキ機構側への空気の供給を遮断し、非通電状態で前記空気供給源からの空気を前記ブレーキ機構側に供給し、
    前記シャトル弁は、前記強制ブレーキ用電磁弁から空気が供給された場合に、前記強制ブレーキ用電磁弁側から前記ブレーキ機構側への空気の供給を許容する
    請求項1に記載の空気圧ブレーキシステム。
  3. 前記強制ブレーキ用電磁弁と前記保安用空気供給部との間に、空気駆動式のサスペンションシステムに連通し前記車両の積載荷重の増大に応じて前記ブレーキ機構への空気の供給量が大きくなるように変更する弁装置が設けられている
    請求項2に記載の空気圧ブレーキシステム。
  4. 前記保安用ブレーキ制御装置は、前記保安用空気供給部とは異なる空気供給回路を制御するブレーキ制御装置の異常を検知して、前記主制御装置の制動要求に基づき前記ブレーキ機構に空気を供給して前記車両を所定の速度で走行又は停止させる
    請求項2又は3に記載の空気圧ブレーキシステム。
  5. 前記保安用空気供給部とは異なる空気供給回路を制御するブレーキ制御装置及び前記主制御装置の異常が発生した場合に、前記強制ブレーキ用電磁弁が非通電状態とされブレーキが強制的に作動する
    請求項2又は3に記載の空気圧ブレーキシステム。
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