JP2021088957A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オクタン価の異なる燃料を給油しても、安定した運転を確保できるようにする。【解決手段】SPCCI燃焼を行うエンジン1の制御装置である。燃料のオクタン価を判定するオクタン価判定手段SW5、10を備える。燃料が給油された場合に、SPCCI燃焼を制限した状態で燃料のオクタン価を判定する。その判定が完了した後に、SPCCI燃焼の制限を解除する。【選択図】図4

Description

開示する技術は、部分圧縮着火燃焼、具体的にはSPCCI(SPark Controlled Compression Ignition)燃焼を行うエンジンの制御装置に関する。ここで、SPCCI燃焼は本出願人が提案した燃焼技術である。
特許文献1には、燃料通路に設置したセンサで燃料の性状を検出して制御する制御装置が開示されている。その制御装置では、給油された場合に、燃料通路内に残存する燃料が消費されるまでは、給油前の燃料の検出値で制御が行われ、その後に、新たな検出値で制御が行われる。
特許文献2には、レギュラーガソリンを使用できるようにした、ハイオク仕様のエンジンが開示されている。このエンジンでは、ハイオクガソリンとレギュラーガソリンとで、適切な点火時期が異なることを利用して、ノックセンサを用いて、使用された燃料がハイオクガソリンかレギュラーガソリンかを判定している。
特開2007−303446号公報 特開2004−52624号公報
市販されている燃料には、レギュラーガソリン及びハイオクガソリンのように、オクタン価(ノッキングの起き難さの指標)の異なる燃料がある。レギュラーガソリンは、オクタン価が低いので(例えば約91ron)、ノッキングが起き易い。そのため、レギュラーガソリンは、ハイオクガソリンよりも性能を出し難いが、安価で燃費に優れる利点がある。一方、ハイオクガソリンは、高価であるが、オクタン価が高いので(例えば約100ron)、ノッキングが起き難い。そのため、エンジンの性能を十分に引き出すことができ、良好な走行を実現できる利点がある。
通常、給油する燃料は、エンジンに合わせて予め指定されている。しかし、オクタン価の異なる燃料を給油して問題無く運転できれば、走りの良さと燃費の良さとを、好みに合わせて選択することも可能になる。従って、オクタン価の異なる燃料を給油できるようにするのが好ましい。
ところが、高オクタン価の燃料を指定するエンジンでは、エンジンの性能を十分に引き出すために、それに合わせてエンジンの制御量(燃料の噴射時期、点火時期等)が設定されている。従って、そのようなエンジンで、そのまま、低オクタン価の燃料を使用すると、ノッキング、プリイグニッション等の異常燃焼が発生してしまう。
そのため、オクタン価の異なる燃料を給油して問題無く運転できるようにするには、使用する燃料のオクタン価を判定し、燃焼制御の制御量をそれに対応した値に変更する必要がある。
しかしながら、燃料のオクタン価を判定しても、直ちにその判定結果を燃焼制御に反映させるのは難しい。例えば、ノックセンサを用いてオクタン価を判定する場合では、点火時期の変化量を計測するために所定期間継続して燃焼させる必要がある。その期間中は、オクタン価の判定ができないので、タイムラグが発生する。従って、常に、燃焼制御が適切に行えるとはかぎらない。
燃料通路に設置したセンサを用いてオクタン価を検出する場合も同様である。燃料通路内に残存する燃料が消費されるまで、給油前の燃料のオクタン価に応じた制御量で燃焼制御を行い、その後に、センサで検出されたオクタン価に応じた制御量で燃焼制御を行っても、燃焼制御を適切に行えない場合があり得る。
すなわち、給油時には、新たな燃焼のオクタン価は不明な場合があるし、新たな燃料の給油量や給油前の燃料の残量も不定なので、オクタン価の異なる燃料を給油した場合、給油直後の燃料のオクタン価は定まらない。更に、オクタン価が異なる燃料が給油されると、燃料タンク内で混ざり合うが、必ずしも均一になるとは限らない。従って、給油後、燃料の品質が安定化するまでの過渡期は、燃料のオクタン価がばらつき易い。
そのため、燃料通路内に残存する燃料が消費される間に、燃料通路に流入する燃料の性状は、その後にセンサで検出されるオクタン価と一致するとは限らない。従って、燃焼制御を適切に行えない場合があり得る。
それに対し、SPCCI燃焼では、自己着火による急峻な燃焼が行われるので、燃料のオクタン価が変化すると、その影響を大きく受ける。そのため、燃料のオクタン価が多少ばらつくだけでも、過度な異常燃焼が発生するおそれがある。従って、給油後の一時期は、騒音や振動等、エンジンの運転に異常が生じ易い。
そこで、開示する技術の主たる目的は、オクタン価の異なる燃料を給油しても、安定した運転を確保できるエンジンの制御装置を提供することにある。
開示する技術は、燃焼室の中に燃料を噴射するインジェクタと、前記燃焼室の中に形成される混合気に点火する点火プラグとを具備し、前記点火プラグの点火により、火炎伝播を伴う燃焼によって混合気の一部を燃焼させた後、残りの未燃混合気を自己着火によって燃焼させる、特定の部分圧縮着火燃焼を行うエンジンの制御装置に関する。
前記エンジンの制御装置は、燃料のオクタン価を判定するオクタン価判定手段と、判定されたオクタン価に基づいて前記部分圧縮着火燃焼を行う燃焼制御手段と、を備える。そして、燃料が給油された場合に、前記部分圧縮着火燃焼を制限した状態で燃料のオクタン価を判定する給油時オクタン価判定を行い、その判定が完了した後に、前記部分圧縮着火燃焼の制限を解除する。
すなわち、このエンジンでは、燃費を向上するために、いわゆるSPCCI燃焼が行われる。そして、オクタン価の異なる燃料が使用できるように、そのエンジンの制御装置には、オクタン価判定手段が備えられていて、判定されたオクタン価に基づいてSPCCI燃焼が行われるように構成されている。
燃料が給油された場合、上述したように、判定したオクタン価に基づいてSPCCI燃焼を行っていても、燃焼制御を適切に行えない場合があり得る。それに対し、このエンジンの制御装置では、SPCCI燃焼を制限した状態で燃料のオクタン価を判定し、その判定が完了した後に、SPCCI燃焼の制限を解除する。
SPCCI燃焼であれば、燃料のオクタン価が多少ばらつくだけでも、過度な異常燃焼が発生するおそれがあるが、給油された場合に、給油後の燃料のオクタン価が確定するまでは、SPCCI燃焼を制限するので、給油後に発生し得る異常燃焼を抑制できる。そして、その判定が完了した後には、SPCCI燃焼の制限を解除して、SPCCI燃焼が再開できるようになるので、燃費の低下も抑制できる。
前記エンジンは、燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンクの燃料を前記インジェクタに供給する燃料供給路と、を更に具備し、燃料が給油された場合に、前記オクタン価判定手段が、前記燃料タンクの給油前の燃料の量と給油後の燃料の量とに基づいて、暫定的なオクタン価として粗オクタン価を算出し、前記粗オクタン価と、所定のオクタン価判定値とを比較して、前記粗オクタン価が前記オクタン価判定値未満と判定された時に、前記給油時オクタン価判定を行う、としてもよい。
新たに給油される燃料のオクタン価は、通常、事前に特定できない。また、その給油量も不確定であるし、給油時に燃料タンクに残存している燃料量も一定でない。従って、給油後に燃料タンク内の燃料のオクタン価は、オクタン価の判定を行わなければ特定できない。オクタン価が判定されるまで、高オクタン価の燃料に応じた制御量で燃焼制御を行えば、異常燃焼が発生する可能性があるし、低オクタン価の燃料に応じた制御量で燃焼制御を行えば、燃費が悪化する可能性がある。
それに対し、このエンジンの制御装置では、新たな燃料のオクタン価は不明なので、仮の値を使用することにより、新旧の燃料量に基づいて、暫定的にオクタン価(粗オクタン価)を設定する。それにより、暫定的に、適切な燃焼制御が行えるので、異常燃焼の発生、および燃費の悪化の双方を抑制できる。
前記エンジンの制御装置はまた、前記粗オクタン価が前記オクタン価判定値未満と判定された時に、給油前に前記燃料供給路に残存する燃料が消費される直前の所定のタイミングまで、前記部分圧縮着火燃焼を行い、前記所定のタイミングの後に、前記給油時オクタン価判定を行う、としてもよい。
給油されても、その前に燃料供給路に残存している燃料のオクタン価は、既存の値であり、給油後も変わらない。従って、その燃料については、SPCCI燃焼を行うことで、燃費の悪化を抑制できる。燃料が消費されるタイミングでなく、その直前のタイミングとすることで、異常燃焼を確実に抑制できる。また、この燃料を消費する間、しばらく時間を要するので、燃料タンクでは、新旧の燃料が混ざり合って均質化が進む。その後のオクタン価の判定精度を向上できる。
前記エンジンの制御装置はまた、前記部分圧縮着火燃焼の制限により、当該部分圧縮着火燃焼を禁止して、混合気の全部を前記点火プラグの強制着火によって燃焼させる、火花点火燃焼を行う、としてもよい。
すなわち、SPCCI燃焼の代わりにSI燃焼を行う。SI燃焼であれば、燃焼が緩慢なので、燃料のオクタン価が低下しても異常燃焼を抑制できる。理論空燃比に設定すれば、三元触媒で浄化できるので、良好なエミッションも確保できる。
前記エンジンの制御装置はまた、前記部分圧縮着火燃焼の制限により、当該部分圧縮着火燃焼が行われる運転領域を縮小する、としてもよい。
例えば、異常燃焼は、低負荷側よりも高負荷側において発生し易い。SPCCI燃焼が行われる領域のうち、その周縁の領域には、特に異常燃焼が発生し易い領域が存在している。従って、エンジンの全運転領域のうち、SPCCI燃焼が行われる領域を縮小することによっても、異常燃焼を抑制することができる。
前記エンジンの制御装置はまた、前記オクタン価判定手段が、ノッキングの発生に基づいて燃料のオクタン価を判定する、としてもよい。
そうすれば、既存の技術が利用できるので、燃料のオクタン価の判定が容易にできる。
開示する技術を適用したエンジンの制御装置によれば、オクタン価の異なる燃料を給油しても、安定した運転を確保できる。
エンジンの構成を例示する図である。 エンジンの制御装置を例示するブロック図である。 エンジンの運転領域マップを例示する図である。 給油時の燃焼制御の一例を示すフローチャートである。 燃焼制限の異なる一例を説明するための図である。
以下、開示する技術を適用したエンジン1、及びその制御装置について、図面を参照しながら説明する。ここで説明するエンジン1、制御装置は例示である。
図1は、エンジン1の構成を例示する図である。図2は、エンジン1の制御装置を例示するブロック図である。尚、図1における吸気側は紙面左側であり、排気側は紙面右側である。
エンジン1は、燃料及び空気を含む混合気の燃焼が行われる燃焼室17を有している。燃焼室17は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程を繰り返す。エンジン1は、4ストロークエンジンである。エンジン1は、四輪の自動車に搭載されている。エンジン1が運転することによって自動車は走行する。
エンジン1の制御装置は、ECU(Engine Control Unit)10を備える。ECU10は、エンジン1に設置された各種センサSW1−SW11から入力される信号に基づいて、エンジン1の各種機器の作動を制御する。
<燃料>
エンジン1の燃料の主体は、ガソリンである。エンジン1の燃料は、ガソリンのみであってもよいし、例えばバイオエタノール等の付加的な燃料及び/又は添加剤等を含むものであってもよい。
また、ガソリンには、オクタン価(例えば、リサーチ法オクタン価、いわゆるron)の異なる様々なタイプがあるが、エンジン1の燃料は、オクタン価の異なるガソリンであってもよい。エンジン1の燃料はまた、オクタン価の異なるガソリンが混合した状態であってもよい。
すなわち、このエンジン1では、従来のように、予め指定された燃料のみを給油する必要はない。レギュラーガソリン又はハイオクガソリンのように、オクタン価が異なるガソリンであっても、ノッキング等の異常燃焼を抑制しながら、エンジン1を安定して運転することができる。
従って、好みに応じて燃料を給油できる。例えば、高オクタン価の燃料をエンジン1に給油すれば、ノッキングが発生し難いので、エンジン1の性能を十分に引き出した状態で運転できる。それにより、自動車を、スポーツ走行等、走りを優先した仕様に調整できる。
また、低オクタン価の燃料をエンジン1に給油すれば、安価で燃費に優れた走行が行える。ただし、低オクタン価の燃料はノッキングし易いので、高オクタン価の燃料と同じ条件で制御を行うと、異常燃焼が発生して適切に運転できない場合がある。
しかも、このエンジン1は、後述するように、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼を行う。SPCCI燃焼では、高度な燃焼制御が要求される。そのため、オクタン価の異なる燃料が用いられると、燃焼が不安定になり易い。
例えば、エンジン1が高オクタン価の燃料で運転している時は、高オクタン価の燃料の燃焼に適した制御量が設定されているので、給油によって高オクタン価の燃料から低オクタン価の燃料に切り替わる時には、特に、過度な異常燃焼が発生し易い。オクタン価の判定を行うことによって、制御量は、そのオクタン価に適した値に変更されるが、タイムラグ等の発生により、燃焼制御が適切に行えない場合があり得る。
そこで、このエンジン1の制御装置では、そのような、給油後の一時的な異常燃焼を抑制し、エンジンの信頼性が確保できるように、燃焼制御が工夫されている(詳細は後述)。尚、説明では、便宜上、オクタン価の低い燃料の例としてレギュラーガソリンを、オクタン価の高い燃料の例としてハイオクガソリンを、それぞれ用いる場合がある。
<エンジン>
エンジン1は、インジェクタ6、点火プラグ25、吸気通路40、排気通路50などで構成されている。
エンジン1は、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13とを備えている。シリンダヘッド13は、シリンダブロック12の上に載置される。シリンダブロック12に、複数のシリンダ11が形成されている。エンジン1は、多気筒エンジンである。図1では、一つのシリンダ11のみを示す。
(燃焼室)
各シリンダ11には、ピストン3が内挿されている。ピストン3は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されている。ピストン3は、シリンダ11の内部を往復動する。ピストン3、シリンダ11、及びシリンダヘッド13は、燃焼室17を形成する。尚、「燃焼室」は、ピストン3の位置に関わらず、ピストン3、シリンダ11及びシリンダヘッド13によって形成される空間を意味する。
シリンダヘッド13の下面は、燃焼室17の上部を構成する。燃焼室17の上部は、二つの傾斜面によって構成されている。燃焼室17の天井面は、いわゆるペントルーフ型である。ピストン3の上面は、燃焼室17の下部を構成する。ピストン3の上面には凹み(キャビティ)が形成されている。
エンジン1は、圧縮着火式エンジンである。エンジン1は、一部の所定の運転領域において、特定の部分圧縮着火燃焼を行う。具体的には、SI(Spark Ignition)燃焼とCI(Compression Ignition)燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼(SPark Controlled Compression Ignition)を行う。
SPCCI燃焼は、次のような燃焼形態である。つまり、点火プラグ25が、燃焼室17の中の混合気に強制的に点火をすることによって、混合気が火炎伝播によりSI燃焼を開始する。SI燃焼の開始後、(1)SI燃焼の発熱により燃焼室17の中の温度が高くなりかつ、(2)火炎伝播により燃焼室17の中の圧力が上昇することによって、未燃混合気が自己着火によるCI燃焼をする。
SI燃焼の燃焼量を調節することによって、圧縮開始前の燃焼室17の中の温度のばらつきを吸収できる。点火タイミングの調節によって、SI燃焼の燃焼量が調節される。点火タイミングを調節すれば、混合気は目標のタイミングで自己着火する。SPCCI燃焼では、SI燃焼の燃焼量がCI燃焼の開始タイミングをコントロールしている。
このようにSPCCI燃焼は、SI燃焼による発熱及び/又は圧力上昇によって、CI燃焼をコントロールする。エンジン1の幾何学的圧縮比は、オクタン価の異なる主な燃料に対応できるように、14以上18以下(好ましくは15±1)に設定されている。
(動弁機構等)
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、吸気ポート18が2つ形成されている。これら吸気ポート18は、燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、詳細な図示は省略するが、いわゆるタンブルポートである。つまり、吸気ポート18は、燃焼室17の中にタンブル流が発生するような形状を有している。
各吸気ポート18には、吸気弁21が配設されている。吸気弁21は、動弁機構により、所定のタイミングで吸気ポート18を開閉する。その動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構としてもよい。
図2に示すように、動弁機構は、吸気電動S−VT(Sequential-Valve Timing)23を有している。吸気電動S−VT23は、吸気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。吸気弁21の開弁角は変化しない。吸気弁21の開弁角は、例えば240°CAである。尚、動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有してもよい。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、排気ポート19が2つ形成されている。これら排気ポート19も、燃焼室17に連通している。各排気ポート19には、排気弁22が配設されている。排気弁22は、動弁機構により、所定のタイミングで排気ポート19を開閉する。その動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構としてもよい。
図2に示すように、動弁機構は、排気電動S−VT24を有している。排気電動S−VT24は、排気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。排気弁22の開弁角は変化しない。排気弁22の開弁角は、例えば240°CAである。尚、動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有してもよい。
吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、吸気弁21と排気弁22との両方が開弁するオーバーラップ期間の長さを調節する。オーバーラップ期間の長さを調節することによって、内部EGR(Exhaust Gas Recirculation)ガス、つまり温度の高い排気ガスを燃焼室17の中に導入できる。吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、内部EGRシステムを構成する。
(インジェクタ)
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、インジェクタ6が取り付けられている。インジェクタ6は、燃焼室17の中に燃料を直接噴射する。インジェクタ6は、燃焼室17の上部の中心部に配設されている。
インジェクタ6は、複数の噴孔を有する多噴孔型である。インジェクタ6は、燃焼室17の天井面の中央部から放射状にかつ、斜め下向きに、燃料を噴射する。インジェクタ6は、周方向に等角度間隔に配置された10個の噴孔を有している。
インジェクタ6には、燃料供給システム61が接続されている。燃料供給システム61は、燃料を貯留する燃料タンク63と、燃料供給路62とを備えている。燃料供給路62は、燃料タンク63とインジェクタ6とを互いにつないでいる。燃料供給路62には、燃料ポンプ65とコモンレール64とが介設している。
燃料ポンプ65は、コモンレール64に燃料を送る。燃料ポンプ65は、この構成例においては、クランクシャフト15によって駆動されるプランジャー式のポンプである。コモンレール64は、燃料ポンプ65から送られた燃料を蓄える。コモンレール64の中は高圧である。インジェクタ6は、コモンレール64につながっている。
インジェクタ6が開弁すると、コモンレール64の中の高圧の燃料が、インジェクタ6の噴孔から燃焼室17の中に噴射される。この構成例の燃料供給システム61は、30MPa以上の高い圧力の燃料を、インジェクタ6に供給できる。燃料供給システム61の最高圧力は、例えば200MPaとしてもよい。燃料供給システム61は、燃料の圧力を、エンジン1の運転状態に応じて変えてもよい。尚、燃料供給システム61の構成は、前記の構成に限定されない。
(点火プラグ)
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、燃焼室17の中の混合気に強制的に点火をする。点火プラグ25は、シリンダ11の吸気側に配設されている。点火プラグ25は、2つの吸気ポート18の間に位置している。点火プラグ25の電極は、燃焼室17の中に臨んでいる。尚、点火プラグ25は、シリンダ11の排気側に配置してもよいし、シリンダ11の中心に配置してもよい。
(吸気通路)
エンジン1の一側面には吸気通路40が接続されている。吸気通路40は、各シリンダ11の吸気ポート18に連通している。燃焼室17に導入する吸気のガスは、吸気通路40の中を流れる。吸気通路40の上流端部には、エアクリーナー41が配設されている。吸気通路40の下流端の近くには、サージタンク42が配設されている。サージタンク42よりも下流の吸気通路40は、シリンダ11毎に分岐している。
吸気通路40におけるエアクリーナー41とサージタンク42との間には、スロットル弁43が配設されている。スロットル弁43は、弁の開度が変わることによって、燃焼室17の中への新気の導入量を調節する。
吸気通路40にはまた、スロットル弁43の下流に、過給機44が配設されている。過給機44は、燃焼室17に導入する吸気のガスの圧力を高める。この構成例において、過給機44は、エンジン1によって駆動される。過給機44は、ルーツ式、リショルム式、ベーン式、又は遠心式である。
過給機44とエンジン1との間には、電磁クラッチ45が介設している。電磁クラッチ45は、エンジン1から過給機44へ駆動力を伝達する状態と、駆動力の伝達を遮断する状態とを切り替える。後述するECU10が電磁クラッチ45に制御信号を出力することによって、過給機44はオン又はオフになる。
吸気通路40における過給機44の下流には、インタークーラー46が配設されている。インタークーラー46は、過給機44が圧縮した吸気のガスを冷却する。インタークーラー46は、水冷式又は油冷式である。
吸気通路40には、バイパス通路47が接続されている。バイパス通路47は、吸気通路40における過給機44の上流部とインタークーラー46の下流部とを互いに接続する。バイパス通路47は、過給機44及びインタークーラー46をバイパスする。バイパス通路47には、エアバイパス弁48が配設されている。エアバイパス弁48は、バイパス通路47を流れるガスの流量を調節する。
ECU10は、過給機44がオフの場合に、エアバイパス弁48を全開にする。吸気通路40を流れる吸気のガスは、過給機44及びインタークーラー46をバイパスして、エンジン1の燃焼室17に至る。エンジン1は、非過給、つまり自然吸気の状態で運転する。
過給機44がオンの場合、エンジン1は過給状態で運転する。ECU10は、過給機44がオンの場合に、エアバイパス弁48の開度を調節する。過給機44及びインタークーラー46を通過した吸気のガスの一部は、バイパス通路47を通って過給機44の上流に戻る。ECU10がエアバイパス弁48の開度を調節すると、燃焼室17に導入する吸気のガスの圧力が変わる。尚、「過給」とは、サージタンク42内の圧力が、動的に大気圧を超える状態をいい、「非過給」とは、サージタンク42内の圧力が、動的に大気圧以下になる状態をいう、と定義してもよい。
吸気通路40は、各吸気ポート181につながる2つの分岐通路を有している。その一方の分岐通路に、スワールコントロール弁56が配設されている。スワールコントロール弁56は、分岐通路の開度が調節できる開度調節弁である。その開度が小さいと、燃焼室17内のスワール流が強くなり、その開度が大きいと、燃焼室17内のスワール流が弱くなる。
前述したように、エンジン1の吸気ポート18はタンブルポートであるため、スワールコントロール弁56を閉じると、燃焼室17の中には、タンブル成分とスワール成分とを含んだ斜めスワール流(シリンダ11の中心軸に対して傾いたスワール流)が発生する。
(排気通路)
エンジン1の他側面には、排気通路50が接続されている。排気通路50は、各シリンダ11の排気ポート19に連通している。燃焼室17から排出された排気ガスは、排気通路50の中を流れる。排気通路50の上流部分は、詳細な図示は省略するが、シリンダ11毎に分岐している。
排気通路50には、複数の触媒コンバーターを有する排気ガス浄化システムが配設されている。これらの触媒コンバーターは、図示は省略するが、エンジンルーム内に配設されている。上流の触媒コンバーターは、三元触媒511と、GPF(Gasoline Particulate Filter)512とを有している。下流の触媒コンバーターは、三元触媒513を有している。尚、排気ガス浄化システムは、図例の構成に限定されない。例えば、GPFは省略してもよい。また、触媒コンバーターは、三元触媒を有するものに限定されない。さらに、三元触媒及びGPFの並び順は、適宜変更してもよい。
吸気通路40と排気通路50との間には、EGR通路52が接続されている。EGR通路52は、排気ガスの一部を吸気通路40に還流させる通路である。EGR通路52の上流端は、排気通路50における二つの触媒コンバーターの間に接続されている。EGR通路52の下流端は、吸気通路40における過給機44の上流部に接続されている。
EGR通路52には、水冷式のEGRクーラー53が配設されている。EGRクーラー53は、排気ガスを冷却する。EGR通路52にはまた、EGR弁54が配設されている。EGR弁54は、EGR通路52を流れる排気ガスの流量を調節する。EGR弁54は、外部EGRガス、つまり温度の低い排気ガスの還流量を調節する。EGRクーラー53及びEGR弁54は、外部EGRシステムを構成する。
<エンジンの制御装置>
図2に、ECU10およびその主な関連機器を示す。
ECU10は、マイクロコンピュータ101と、メモリ102と、I/F回路103と、を備えている。マイクロコンピュータ101は、プログラムを実行する。メモリ102は、プログラム及びデータを格納する。メモリ102は、例えばRAMやROMである。I/F回路103は、電気信号の入出力を行う。
ECU10には、図1及び図2に示すように、各種のセンサSW1−SW11が接続されている。これらセンサSW1−SW11は、ECU10に信号を出力する。
エアフローセンサSW1は、吸気通路40におけるエアクリーナー41の下流に配置されていて、吸気通路40を流れる新気の流量を計測する。第1吸気温度センサSW2は、吸気通路40におけるエアクリーナー41の下流に配置されていて、吸気通路40を流れる新気の温度を計測する。
第2吸気温度センサSW3は、サージタンク42に取り付けられていて、燃焼室17に導入される吸気のガスの温度を計測する。吸気圧センサSW4は、サージタンク42に取り付けられていて、燃焼室17に導入される吸気のガスの圧力を計測する。筒内圧センサSW5は、シリンダ11毎に、シリンダヘッド13に取り付けられていて、各燃焼室17内の圧力を計測する。
水温センサSW6は、エンジン1に取り付けられていて、冷却水の温度を計測する。クランク角センサSW7は、エンジン1に取り付けられていて、クランクシャフト15の回転角を計測する。アクセル開度センサSW8は、アクセルペダル機構に取り付けられていて、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を計測する。吸気カム角センサSW9は、エンジン1に取り付けられていて、吸気カムシャフトの回転角を計測する。排気カム角センサSW10は、エンジン1に取り付けられていて、排気カムシャフトの回転角を計測する。レベルセンサSW11は、燃料タンク63に取り付けられていて、貯留されている燃料の量を計測する。
<オクタン価判定手段>
エンジン1の制御装置は、オクタン価判定手段を備える。オクタン価判定手段は、燃料のオクタン価を判定する。オクタン価判定手段は、燃料のオクタン価が判定できればよく、その構成は仕様に応じて選択できる。例えば、燃料のオクタン価が検出できる所定のセンサを、燃料供給システム61に設置して、検出したオクタン価で判定してもよい。
エンジン1の場合、SPCCI燃焼を行うため、各燃焼室17の内圧を高精度に計測できる筒内圧センサSW5が設置されている。従って、エンジン1では、これを用いてオクタン価を判定するように構成されている。
具体的には、ECU10は、筒内圧センサSW5から入力される信号に基づいて、燃焼室17の圧力変化からノッキングの発生を検出する。ノッキングの発生が検出できれば、従来技術を用いて、燃料のオクタン価が判定できる。言わば、このエンジン1の制御装置では、筒内圧センサSW5がノックセンサに代用されている。
筒内圧センサSW5であれば、ノッキングの発生を精度高く検出できるので、オクタン価を精度高く判定できる。しかも、既存の装置を利用するので、新たにノックセンサを設置する必要も無い。すなわち、このエンジン1では、筒内圧センサSW5及びECU10によって「オクタン価判定手段」が構成されている。なお、別途ノックセンサを設置して、オクタン価を判定してもよい。
<燃焼制御手段>
ECU10は、各種センサSW1−SW11の信号に基づいて、エンジン1の運転状態及び燃料のオクタン価を判定する。ECU10はまた、予め定められている制御ロジックに従って、各デバイスの制御量を演算する。制御ロジックは、メモリ102に記憶されている。
ECU10は、制御量に係る電気信号を、インジェクタ6、点火プラグ25、吸気電動S−VT23、排気電動S−VT24、燃料供給システム61、スロットル弁43、EGR弁54、過給機44の電磁クラッチ45、エアバイパス弁48、及び、スワールコントロール弁56に出力する。
それにより、燃焼室17では、エンジン1の運転状態に応じてSPCCI燃焼又はSI燃焼のいずれかが選択され、対応するデバイスを制御することにより、燃料のオクタン価に適した燃焼が行われる。すなわち、このエンジン1では、これら各種センサSW1−SW11及びECU10によって「燃焼制御手段」が構成されている。
<エンジン1の運転領域>
図3に、エンジン1の運転領域マップを例示する。この運転領域マップは、ECU10のメモリ102に格納されている。図示した運転領域マップは、通常の運転状態、いわゆる温間時のマップである。冷間時など、特定の条件下では他のマップが使用される。エンジン1は、この運転領域マップに基づいて運転する。すなわち、これら運転領域マップは、エンジン1の運転領域に相当する。
運転領域マップは、エンジン1の負荷及びエンジン1の回転数によって規定されている。運転領域マップは、領域A1、領域A2、領域A3、及び、領域A4の4つの領域に区画されている。領域A1は、Naよりも回転数が高い領域である。領域A2は、回転数がNa以下の領域のうち、負荷がLaよりも低い領域である。領域A3は、回転数がNa以下の領域のうち、負荷がLa以上の領域である。尚、Laは、エンジン1の最高負荷の1/2負荷としてもよい。
領域A4は、領域A2の中に区画された特定の領域である。領域A4は、エンジン1の全運転領域において、低負荷側かつ低回転側の特定領域に相当する。尚、ここでいう「低回転側」は、エンジン1の全運転領域を低回転側と高回転側とに二等分した場合の、低回転側に対応する。「低負荷側」は、エンジン1の全運転領域を低負荷側と高負荷側とに二等分した場合の、低負荷側に対応する。
エンジン1が領域A1において運転する場合、ECU10は、SPCCI燃焼ではなく、SI燃焼を行うようにエンジン1を制御する。エンジン1は、従来のように、点火プラグ25の強制着火による火炎伝播を伴った燃焼(火花点火燃焼)によって運転する。意図的には、自己着火によるCI燃焼は生じない。すなわち、ECU10は、混合気の全部がSI燃焼するように制御する。
領域A1において設定されている混合気の空燃比(A/F)は、理論空燃比(空気過剰率:λ=1)である。設定値は理論空燃比であるが、理論空燃比は、実用的に多少ばらついてもよい。要するに、空燃比が三元触媒511、513の浄化ウインドウに含まれればよい。尚、空燃比は、燃焼室17の全体における平均の空燃比である(以下も同様)。
エンジン1が、領域A2及び領域A3、更には領域A4において運転する場合、ECU10は、SPCCI燃焼を行うようにエンジン1を制御する。すなわち、領域A2、領域A3が、及び領域A4が、特定の部分圧縮着火燃焼(SPCCI燃焼)を行う運転領域に相当する。
領域A2及び領域A3において設定されている混合気の空燃比は、理論空燃比である。従って、エンジン1は、適度な燃料量でSPCCI燃焼を安定して行える。NOx等も適切に浄化できる。
領域A3では、過給機44はオンである。つまり、過給した状態でSPCCI燃焼が行われる(過給SPCCI)。対して、領域A2では、過給機44はオフである。つまり、自然吸気によってSPCCI燃焼が行われる(非過給SPCCI)。領域A2の中に区画されている領域A4もまた、過給機44はオフである。領域A4において設定されている混合気の空燃比は、理論空燃比よりもリーンである。
具体的には、領域A4の空燃比は、理論空燃比の略2倍、つまり略30に設定されている。エンジン1は、領域A4では、領域A2よりも少ない燃料でSPCCI燃焼を行う(リーンSPCCI)。従って、領域A4での運転は、領域A2での運転よりも燃費に優れる。
エンジン1が領域A4で運転する場合、ECU10は、吸気弁21及び排気弁22が共に開弁するオーバーラップ期間を設ける制御を行う。それにより、燃焼時に、内部EGRガスが燃焼室17の中に導入されて、燃焼室17の中の温度が高くなる。ECU10は、領域A4において、内部EGRガスの導入量を調整することにより、SPCCI燃焼を安定化させる。
<オクタン価が異なる燃料への対応>
上述したように、このエンジン1では、主に優れた燃費を得るために、高度な燃焼制御が要求されるSPCCI燃焼を行う。そのため、燃料のオクタン価が変化すると、SPCCI燃焼は不安定になり易い。
そこで、このエンジン1の制御装置では、オクタン価が異なる燃料を用いても、異常燃焼を抑制しながら、エンジン1を安定して運転できるように燃焼制御が工夫されている。具体的には、ECU10は、燃料のオクタン価を判定し、判定された燃料のオクタン価に応じて、エンジン1の制御の基本的条件(ベースセット)を変更する。
しかしながら、燃料が入れ替わる給油時には、燃料のオクタン価を適切に判定できない場合がある。そのため、そのような場合にSPCCI燃焼が行われていると、不安定になる。そこで、このエンジン1の制御装置では、給油時にも、異常燃焼を抑制しながら、エンジン1を安定して運転できるように燃焼制御が工夫されている。具体的には、ECU10は、燃料が給油された場合に、SPCCI燃焼を制限した状態で燃料のオクタン価の判定(給油時オクタン価判定)を行い、その判定が完了した後に、SPCCI燃焼の制限を解除する。
(ベースセットの変更)
エンジン1の制御装置は、燃料のオクタン価が所定値未満であるときのベースセット(低RON用ベースセット)と、燃料のオクタン価が所定値以上であるときのベースセット(高RON用ベースセット)とを、それぞれ有している。
所定値(燃料のオクタン価の高低を判断する基準となるオクタン価、RON判定値)は、エンジン1に給油可能な、オクタン価の異なる燃料の各々が区別可能なオクタン価(ron)である。RON判定値は、メモリ102に格納されている。RON判定値は、レギュラーガソリンとハイオクガソリンとが区別できるような値が好ましい。RON判定値は、例えば「96」に設定できる。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンとでは、燃焼に適した条件は一致しない。すなわち、同じ燃焼条件でも、レギュラーガソリンとハイオクガソリンの双方を適切に燃焼できる場合がある。その一方で、レギュラーガソリンに適した燃焼条件ではハイオクガソリンを適切に燃焼できない場合や、ハイオクガソリンに適した燃焼条件ではレギュラーガソリンを適切に燃焼できない場合がある。
特に、このエンジン1では、上述したように、SPCCI燃焼を行う。SPCCI燃焼では、高度な燃焼制御が要求されるため、オクタン価の異なる燃料が用いられると、燃焼が不安定になり易い。そこで、このエンジン1では、適切にSPCCI燃焼が行えるように、燃料のオクタン価の判定結果に基づいて、ベースセットを、低RON用及び高RON用のいずれか一方に切り換える。
低RON用ベースセットには、主に、オクタン価が低い燃料(ここでは主にレギュラーガソリン)に適した条件が設定されている。高RON用ベースセットには、主に、オクタン価が高い燃料(ここでは主にハイオクガソリン)に適した条件が設定されている。
これらベースセットの各々には、燃焼に関連する主な制御条件について、エンジン1の全運転領域における回転速度の高低、及びエンジン1の全運転領域における負荷の高低に対応した値が設定されている。これらベースセットはメモリ102に格納されている。
例えば、燃料の噴射時期、スワールコントロール弁56の開度、吸気量、外部EGRガス量、内部EGRガス量などの制御量に関する条件が、ベースセットに設定されている。
ECU10は、例えば、燃料のオクタン価が所定オクタン価未満から所定オクタン価以上になったときには、低RON用ベースセットを、高RON用ベースセットに切り換える。切り換えが必要な複数の条件を一括して切り換えるので、制御の簡素化が図れ、効率的である。
(給油時のSPCCI燃焼の制限)
ECU10は、燃料のオクタン価を判定し、その判定結果に基づいてベースセットを切り換える。それによって、燃料のオクタン価が変化しても、SPCCI燃焼を適切かつ安定して行えるようにしている。
しかしながら、燃料が給油されてオクタン価が大きく変化した時に、燃料のオクタン価を判定していても、タイムラグ等により、ベースセットの切り換えが間に合わない場合がある。そうした場合にSPCCI燃焼を行っていると、燃焼が不安定になる。エンジン1の良好な運転が確保できなくなり、エンジン1の信頼性が損なわれる。
具体的には、エンジン1が高オクタン価の燃料で運転している時は、高RON用ベースセットを用いてSPCCI燃焼が行われている。その時に、給油により、燃料のオクタン価が、低RON用ベースセットを用いる必要があるオクタン価に低下したとする。そうした場合に、オクタン価の判定が適切でなく、高RON用ベースセットのままでSPCCI燃焼が行われると、異常燃焼が発生してしまう。
そこで、このエンジン1の制御装置では、燃料が給油された場合に、燃料のオクタン価が確定するまでは、SPCCI燃焼を禁止(制限の一例)する。すなわち、ECU10は、燃料が給油された場合に、SPCCI燃焼の代わりに、SI燃焼を行う。そうすることで、異常燃焼の発生を抑制する。
SI燃焼であれば、燃焼が緩慢なので、燃料のオクタン価が低下しても異常燃焼を抑制できる。理論空燃比に設定することで、三元触媒511、513で浄化できる。従って、良好なエミッションも確保できる。
そして、その状態で燃料のオクタン価の判定(給油時オクタン価判定)を行う。そして、その判定が完了した後に、SPCCI燃焼の制限を解除(SPCCI燃焼を再開)する。従って、給油後に燃料のオクタン価がばらついても、異常燃焼を効果的に抑制できるので、オクタン価の異なる燃料を給油しても、エンジン1を安定して運転できる。
(給油時の燃焼制御の具体例)
図4に、給油時の燃焼制御の具体例を示す。ECU10は、エンジン1の運転が開始されると、各種センサSW1−SW11からの信号を入力し、これら信号を読み込む(ステップS1)。そして、ECU10は、給油されたか否を判定する(ステップS2)。
具体的には、燃料タンク63に取り付けられたレベルセンサSW11から入力される信号に基づいて、ECU10は、燃料タンク63に収容されている燃料の量を取得し、給油されたか否かを判定する。給油の判定基準は、使用可能性がある燃料のオクタン価の範囲、タンク容量、レベルセンサSW11の判定精度等に応じて設定される。例えば、レベルセンサSW11の計測値で燃料が所定量(5L等)以上変化した時に、給油されたと判定してもよい。
給油されたと判定した場合、ECU10は、給油比率を算出する(ステップS3)。すなわち、ECU10は、燃料タンク63の給油前の燃料の量Foと、給油後の燃料の量Fmとに基づいて、給油後の燃料の量Fmに対する給油前の燃料の量Foの第1比率(Fo/Fm)と、給油後の燃料の量Fmに対する新たに給油された燃料の量(Fm−Fo:Fn)の第2比率(Fn/Fm)を算出する。
そうして、ECU10は、燃料の暫定的なオクタン価(粗オクタン価)を算出する。新たに給油された燃料のオクタン価は不明なため、そのオクタン価として仮のオクタン価を設定する。例えば、使用可能性がある燃料のオクタン価の最低値(オクタン価下限値)は、仮のオクタン価に好適である。そうすれば、実際に給油される燃料のオクタン価はそれより大きい値になるので、異常燃焼を効果的に抑制できる。仮のオクタン価はメモリ102に格納されている。
ECU10は、第1比率、第2比率を、給油前の燃料のオクタン価、仮のオクタン価のそれぞれに乗じて加算することにより、粗オクタン価を算出する。そして、ECU10は、算出した粗オクタン価を、給油後の燃料(燃料タンク63の中に有る燃料)のオクタン価と推定する(ステップS4)。
続いて、ECU10は、粗オクタン価と、所定のオクタン価判定値とを比較する(ステップS5)。オクタン価判定値は、SPCCI燃焼の制限の実行を判断するための判定値であり、予め実験等に基づいて設定されている。例えば、上述したRON判定値と同じ値としてもよい。オクタン価判定値は、メモリ102に格納されている。
比較の結果、粗オクタン価がオクタン価判定値未満と判定された時に、ECU10は、SPCCI燃焼を制限した状態で燃料のオクタン価の判定(給油時オクタン価判定)を行う。すなわち、ECU10は、エンジン1でSPCCI燃焼が行われている場合には、SI燃焼に切り換え、その状態の下でオクタン価の判定を行う。
このとき、燃料供給路62には、オクタン価が既知である給油前の燃料が残存している。そのため、ECU10は、これら燃料を消費した後に、SPCCI燃焼の制限を行う。そうすることで、燃費の悪化を抑制する。
詳細には、ECU10は、これら燃料が消費される直前の所定のタイミングまで、SPCCI燃焼を行う。燃料の残量は、燃料供給路62の容量等から予め予測できる。ECU10は、燃料の使用量から、これら燃料が消費されるタイミングを精度高く推定できる。
ECU10は、燃料が消費されるタイミングでなく、その直前のタイミングまでSPCCI燃焼を行う(ステップS6)。そうすることにより、異常燃焼を確実に抑制できる。また、この間、しばらく時間を要するので、燃料タンク63では、新旧の燃料が混ざり合って均質化が進む。
そうした後に、ECU10は、SPCCI燃焼を禁止して、理論空燃比(λ=1)によるSI燃焼に切り換え、オクタン価の判定を行う(ステップS7,S8)。従って、良好なエミッションを確保しながら、異常燃焼を確実に抑制できる。
オクタン価の判定は、このエンジン1の制御装置では、ノッキングの発生に基づいて行われる。すなわち、燃焼室17でSI燃焼が行われている時の点火時期の変化等からオクタン価が判定される。
そして、ECU10は、オクタン価の判定が完了したか否かを判定する(ステップS9)。そして、オクタン価の判定が完了した場合、ECU10は、SPCCI燃焼の制限を解除し、そのオクタン価を用いて、SPCCI燃焼を再開する(ステップS10)。
燃料のオクタン価が適切に判定され、それに基づいた燃焼制御が行われるので、燃焼室では、SPCCI燃焼が適切かつ安定して行われる。従って、オクタン価の異なる燃料を給油しても、安定した運転を確保できる。
尚、給油されていない場合(ステップS2でNo)、粗オクタン価がオクタン価判定値以上と判定された時(ステップS5でNo)は、過度な異常燃焼が発生するおそれがない。従って、SPCCI燃焼を制限しないで、オクタン価の判定を実施する。それにより、燃費の低下を抑制できる。
なお、開示する技術にかかるエンジンの制御装置は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、上述した実施形態では、SPCCI燃焼の制限として、SPCCI燃焼それ自体を禁止したが、それには限られない。SPCCI燃焼が行われる運転領域を縮小してもよい。その一例を、図5に示す。
異常燃焼は、低負荷側よりも高負荷側において発生し易い。また、低回転側よりも高回転側において発生し易い。すなわち、各々の運転領域のうち、その周縁の領域には、特に異常燃焼が発生し易い領域が存在している。従って、SPCCI燃焼が行われる領域を縮小(相対的にSI燃焼が行われる領域は拡大)しても、異常燃焼を抑制することができる。
1 エンジン
10 ECU
17 燃焼室
25 点火プラグ
6 インジェクタ
SW5 筒内圧センサ

Claims (6)

  1. 燃焼室の中に燃料を噴射するインジェクタと、前記燃焼室の中に形成される混合気に点火する点火プラグとを具備し、前記点火プラグの点火により、火炎伝播を伴う燃焼によって混合気の一部を燃焼させた後、残りの未燃混合気を自己着火によって燃焼させる、特定の部分圧縮着火燃焼を行うエンジンの制御装置であって、
    燃料のオクタン価を判定するオクタン価判定手段と、
    判定されたオクタン価に基づいて前記部分圧縮着火燃焼を行う燃焼制御手段と、
    を備え、
    燃料が給油された場合に、前記部分圧縮着火燃焼を制限した状態で燃料のオクタン価を判定する給油時オクタン価判定を行い、その判定が完了した後に、前記部分圧縮着火燃焼の制限を解除する、エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの制御装置において、
    前記エンジンは、
    燃料を貯留する燃料タンクと、
    前記燃料タンクの燃料を前記インジェクタに供給する燃料供給路と、
    を更に具備し、
    燃料が給油された場合に、前記オクタン価判定手段が、前記燃料タンクの給油前の燃料の量と給油後の燃料の量とに基づいて、暫定的なオクタン価として粗オクタン価を算出し、
    前記粗オクタン価と、所定のオクタン価判定値とを比較して、前記粗オクタン価が前記オクタン価判定値未満と判定された時に、前記給油時オクタン価判定を行う、エンジンの制御装置。
  3. 請求項2に記載のエンジンの制御装置において、
    前記粗オクタン価が前記オクタン価判定値未満と判定された時に、給油前に前記燃料供給路に残存する燃料が消費される直前の所定のタイミングまで、前記部分圧縮着火燃焼を行い、前記所定のタイミングの後に、前記給油時オクタン価判定を行う、エンジンの制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置において、
    前記部分圧縮着火燃焼の制限により、当該部分圧縮着火燃焼を禁止して、混合気の全部を前記点火プラグの強制着火によって燃焼させる、火花点火燃焼を行う、エンジンの制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置において、
    前記部分圧縮着火燃焼の制限により、当該部分圧縮着火燃焼が行われる運転領域を縮小する、エンジンの制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置において、
    前記オクタン価判定手段が、ノッキングの発生に基づいて燃料のオクタン価を判定する、エンジンの制御装置。
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