JP2021088592A - 末梢神経障害又は脊髄損傷の治療剤及び/又は予防剤 - Google Patents

末梢神経障害又は脊髄損傷の治療剤及び/又は予防剤 Download PDF

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Abstract

【課題】ゾニサミドの新規用途を提供する。【解決手段】ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩を有効成分とする、末梢神経障害の治療剤及び/又は予防剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ゾニサミドを有効成分とする、末梢神経障害又は脊髄損傷の治療剤及び/又は予防剤に関するものである。
末梢神経障害とは、末梢神経の正常な伝導が障害される病態であり、ニューロパチーとも称される。末梢神経障害にて障害される神経の種類は運動神経、感覚神経、自律神経に及ぶ。末梢神経障害は、臨床学的に、単神経障害(モノニューロパシー;単一の神経の障害)、多発単神経障害(多発性モノニューロパシー;別々の領域にある2つ以上の神経の障害)、又は多発神経障害(多発ニューロパシー;左右対称に生じた広範な神経障害)に分類され、病理学的には、軸索が中心に侵された軸索障害、又は髄鞘が変性脱落した髄鞘障害に分類される。末梢神経障害は、運動神経、感覚神経、及び自律神経に対して障害をもたらす。その結果、疼痛、知覚異常、麻痺、しびれ、筋力低下、発汗異常、又は排尿障害などの症状をもたらし、時間とともに悪化することを特徴とする。末梢神経障害の主な原因としては、変形等の身体的要因による損傷、圧迫、血行障害、遺伝的要因、代謝異常、中毒、免疫応答、感染症、癌、腎不全、又は肝疾患が挙げられる。また、原因が明らかになっていない末梢神経障害として、顔面神経麻痺等が挙げられる。
末梢神経障害に対する治療薬としてメチルビタミンB12(メチルコバラミン)が臨床にて用いられるが(非特許文献1)、臨床的に有効である症例は極めて稀である。また、糖尿病性の末梢神経障害に対しては、アルドース還元酵素阻害薬であるエパルレスタットが使用されている(非特許文献2)。
神経障害に伴う運動麻痺は、日常生活に深刻な影響をもたらすものの、有効な治療方法が未だ確立されていない。NGF及びBDNFといったニューロトロフィン、ラミニン、並びにカドヘリン―11は、動物モデルにおいて運動神経軸索の伸長をもたらし、運動障害を改善するものの(非特許文献3〜5)、生体内での半減期が極めて短いことから、ヒトを対象とする臨床で使用することができない(非特許文献6)。近年、細胞移植が、神経障害の治療方法として注目されているものの、未だ安全性の懸念が存在する(非特許文献7、8)。この他、非ステロイド性抗炎症薬等が、運動神経の損傷を改善することが報告されているが、未だ運動神経障害治療に対して臨床で用いられている薬剤は存在しない(非特許文献9)。
脊髄損傷とは、主に脊柱に強い外力が加えられることにより、脊椎が損壊し、脊髄が損傷を受ける病態である。脊髄損傷は、運動機能、感覚機能及び自律神経機能に対して障害をもたらす。その結果、麻痺、疼痛、知覚異常、幻肢痛(ファントムペイン)、痙攣、痙性、痙縮、発汗異常、体温調節異常、排泄不全、又は勃起不全などの症状をもたらす。また、褥瘡、尿路感染症及び/又は肺炎などの合併症がもたらされる。脊髄損傷の主な原因としては、外傷、変形等の身体的要因による損傷、圧迫、血行障害、又は感染症が挙げられる。
脊髄は一度損傷すると修復再生することはなく、未だこれを回復させる決定的な治療法は確立されていない。受傷後、48時間〜72時間以内であれば、ステロイドを大量に投与することにより、後遺症を抑制するとの報告があるものの、確実性に疑問があり、未だ一般化されていない。また、P2X7受容体のアンタゴニスト又はHGF(肝細胞増殖因子)を脊髄損傷したラットに投与すると回復が認められたとする報告があるものの、未だ脊髄損傷治療に対して用いられている薬剤は存在しない(非特許文献10、11)。
ドラッグリポジショニングとは、既に広く使用されている既存医薬品、あるいは薬効不足等で開発を中止した化合物の新しい薬理作用を発見し、新たな疾患治療薬として開発するする戦略である。ドラッグリポジショニングによる薬剤開発は、従来の新薬開発に比べ、薬剤開発に必要なコスト及び時間を大幅に削減することができる(非特許文献12)。
ゾニサミド(化学名:3−スルファモイルメチル−1,2−ベンズイソオキサゾール又は1,2−ベンズイソオキサゾール−3−メタンスルホンアミド)は、1989年に日本において販売が開始された後、20年以上使用され続けてきた安全性の高い薬剤である。現在、ゾニサミドは小児又は成人の癲癇発作(部分発作、全般発作、混合発作)治療薬又はパーキンソン病治療薬として用いられている。ゾニサミドは、抗てんかん薬、及び神経変性疾患治療薬(原発性或いは続発性パーキンソン病、ハンチントン病、舞踏病症候群、ジストニア症候群等の哺乳動物(ヒトを含む)の各種神経変性疾患)の予防及び治療に使用することができる(特許文献1、2)。さらに、ゾニサミドの新たな薬理作用として、遅発性ジスキネジアの軽減、抗肥満作用、及び双極性障害に対する気分安定化作用等が報告されている(非特許文献13〜15)。この他、ゾニサミドは、ドパミン神経保護効果、脳虚血に対する神経保護効果を有することが報告されている(非特許文献16、17)。
しかしながら、これらの特許文献及び非特許文献には、ゾニサミドが、末梢神経障害又は脊髄損傷に有効である記述や示唆は一切ない。
特公昭60−03314号 特許第3364481号
Yamazaki et al. Neurosci Lett, 170: 195-197. (1994) Ramirez et al. Pharmacotherapy 28: 646-55. (2008) Coumans et al. J Neurosci 21: 9334-9344. (2001) Powell et al. J Biochem Cell Biol 29: 401-414. (1997) Marthiens et al. Mol Cell Neurosci 28: 715-726. (2005) Poduslo et al. Brain Res Mol Brain Res 36: 280-286. (1996) Nakamura et al. Cell Res 23: 70-80. (2013) Guo et al. Histopathology 59: 763-775. (2011) Fu et al. J Neurosci 27: 4154-4164. (2007) Peng et al. Proc Natl Acad Sci 106: 12489-12493 (2009) Peng et al. J Neurosci Res. 85: 2332-2342 (2007) Ashburn et. al. Nat Rev Drug Discov 3: 673-683. (2004) Iwata et. al. J Neurol Sci. 315: 137-40. (2012) Gadde et. al. JAMA. 289(14): 1820-1825. (2003) Hasegawa et. al. Curr Med Res Opin. 20(5): 577-80. (2004) Asanuma et al. Ann Neurol 67: 239-249. (2010) Minato et. al. Epilepsia 38: 975-980. (1997)
本発明の課題は、ゾニサミドの新規用途を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ゾニサミドが神経突起の伸長を促進させるとともに、神経突起の再生を促進させることを見出した。また、ゾニサミドは、活性酸素によって誘発される酸化ストレスに対して、神経細胞保護効果を示すとともに、神経成長因子に関するmRNAの発現を向上させることが明らかとなった。さらに、坐骨神経切断モデル動物に対してゾニサミドを投与することにより、神経再生がもたらされることを見出した。加えて、重度脊髄圧挫モデル動物に対してゾニサミドを投与することにより、運動機能が回復することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[項1]ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩を有効成分とする、末梢神経障害の治療剤及び/又は予防剤。
[項2]末梢神経障害が、運動神経障害、感覚神経障害、及び自律神経障害から選択される少なくとも一つの神経障害を含む、項1に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項3]末梢神経障害が、少なくとも運動神経障害を含む、項2に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項4]運動神経障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、筋萎縮、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、又は血管運動神経症状である、項2又は3に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項5]運動神経障害が、麻痺、又はしびれである、項2〜4のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項6]感覚神経障害が、疼痛、知覚異常、又は振動覚異常である、項2〜5のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項7]自律神経障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、又は心拍変動異常である、項2〜6のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項8]末梢神経障害の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩の使用。
[項9]末梢神経障害が、運動神経障害、感覚神経障害、及び自律神経障害から選択される少なくとも一つの神経障害を含む、項8に記載の使用。
[項10]末梢神経障害が、少なくとも運動神経障害を含む、項9に記載の使用。
[項11]運動神経障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、筋萎縮、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、又は血管運動神経症状である、項8又は9に記載の使用。
[項12]運動神経障害が、麻痺、又はしびれである、項9〜11のいずれか一項に記載の使用。
[項13]感覚神経障害が、疼痛、知覚異常、又は振動覚異常である、項9〜12のいずれか一項に記載の使用。
[項14]自律神経障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、又は心拍変動異常である、項9〜13のいずれか一項に記載の使用。
[項15]末梢神経障害の治療及び/又は予防剤に使用するための、ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項16]末梢神経障害が、運動神経障害、感覚神経障害、及び自律神経障害から選択される少なくとも一つの神経障害を含む、項15に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項17]末梢神経障害が、少なくとも運動神経障害を含む、項16に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項18]運動神経障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、筋萎縮、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、又は血管運動神経症状である、項16又は17に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項19]運動神経障害が、麻痺、又はしびれである、項16〜18のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項20]感覚神経障害が、疼痛、知覚異常、又は振動覚異常である、項16〜19のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項21]自律神経障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、又は心拍変動異常である、項16〜20のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項22]治療及び/又は予防が必要な患者に、ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩を投与することを特徴とする、末梢神経障害の治療及び/又は予防方法。
[項23]末梢神経障害が、運動神経障害、感覚神経障害、及び自律神経障害から選択される少なくとも一つの神経障害を含む、項22に記載の治療及び/又は予防方法。
[項24]末梢神経障害が、少なくとも運動神経障害を含む、項23に記載の治療及び/又は予防方法。
[項25]運動神経障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、筋萎縮、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、又は血管運動神経症状である、項23又は24に記載の治療及び/又は予防方法。
[項26]運動神経障害が、麻痺、又はしびれである、項23〜25のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
[項27]感覚神経障害が、疼痛、知覚異常、又は振動覚異常である、項23〜26のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
[項28]自律神経障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、又は心拍変動異常である、項23〜27のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
[項29]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、遺伝性圧脆弱性神経障害、遺伝性神経痛性筋萎縮症、異染性白質ジストロフィー(MLD)、Krabbe病、Fabry病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、Refsum病、タンジール病、急性ポルフィリン症、家族性アミロイド多発神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ALアミロイドーシスに伴う神経障害、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症、膠原病(自己免疫疾患及び全身性エリテマトーデス等)に伴う神経障害、尿毒症性神経障害、慢性肝疾患に伴う神経障害、クロウ・フカセ症候、フィッシャー症候群、重篤疾患多発神経障害、ヒト免疫不全ウイルスに伴う神経障害、水痘帯状疱疹ウイルスに伴う神経障害、顔面神経麻痺、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、ボツリヌス中毒、イートン・ランバート症候群、薬剤性神経筋接合部障害、手根管症候群、肘部管症候群、Guyon管症候群、撓骨神経麻痺、異常感覚性大腿神経痛、総腓骨神経麻痺、胸郭出口症候群及び足根管症候群からなる群から選択される、項1〜7のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項30]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)及び手根管症候群からなる群から選択される、項29に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項31]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、遺伝性圧脆弱性神経障害、遺伝性神経痛性筋萎縮症、異染性白質ジストロフィー(MLD)、Krabbe病、Fabry病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、Refsum病、タンジール病、急性ポルフィリン症、家族性アミロイド多発神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ALアミロイドーシスに伴う神経障害、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症、膠原病(自己免疫疾患及び全身性エリテマトーデス等)に伴う神経障害、尿毒症性神経障害、慢性肝疾患に伴う神経障害、クロウ・フカセ症候、フィッシャー症候群、重篤疾患多発神経障害、ヒト免疫不全ウイルスに伴う神経障害、水痘帯状疱疹ウイルスに伴う神経障害、顔面神経麻痺、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、ボツリヌス中毒、イートン・ランバート症候群、薬剤性神経筋接合部障害、手根管症候群、肘部管症候群、Guyon管症候群、撓骨神経麻痺、異常感覚性大腿神経痛、総腓骨神経麻痺、胸郭出口症候群及び足根管症候群からなる群から選択される、項8〜14のいずれか一項に記載の使用。
[項32]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)及び手根管症候群からなる群から選択される、項31に記載の使用。
[項33]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、遺伝性圧脆弱性神経障害、遺伝性神経痛性筋萎縮症、異染性白質ジストロフィー(MLD)、Krabbe病、Fabry病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、Refsum病、タンジール病、急性ポルフィリン症、家族性アミロイド多発神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ALアミロイドーシスに伴う神経障害、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症、膠原病(自己免疫疾患及び全身性エリテマトーデス等)に伴う神経障害、尿毒症性神経障害、慢性肝疾患に伴う神経障害、クロウ・フカセ症候、フィッシャー症候群、重篤疾患多発神経障害、ヒト免疫不全ウイルスに伴う神経障害、水痘帯状疱疹ウイルスに伴う神経障害、顔面神経麻痺、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、ボツリヌス中毒、イートン・ランバート症候群、薬剤性神経筋接合部障害、手根管症候群、肘部管症候群、Guyon管症候群、撓骨神経麻痺、異常感覚性大腿神経痛、総腓骨神経麻痺、胸郭出口症候群及び足根管症候群からなる群から選択される、項15〜21のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項34]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)及び手根管症候群からなる群から選択される、項33に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項35]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、遺伝性圧脆弱性神経障害、遺伝性神経痛性筋萎縮症、異染性白質ジストロフィー(MLD)、Krabbe病、Fabry病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、Refsum病、タンジール病、急性ポルフィリン症、家族性アミロイド多発神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ALアミロイドーシスに伴う神経障害、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症、膠原病(自己免疫疾患及び全身性エリテマトーデス等)に伴う神経障害、尿毒症性神経障害、慢性肝疾患に伴う神経障害、クロウ・フカセ症候、フィッシャー症候群、重篤疾患多発神経障害、ヒト免疫不全ウイルスに伴う神経障害、水痘帯状疱疹ウイルスに伴う神経障害、顔面神経麻痺、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、ボツリヌス中毒、イートン・ランバート症候群、薬剤性神経筋接合部障害、手根管症候群、肘部管症候群、Guyon管症候群、撓骨神経麻痺、異常感覚性大腿神経痛、総腓骨神経麻痺、胸郭出口症候群及び足根管症候群からなる群から選択される、項22〜28のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
[項36]末梢神経障害が、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)及び手根管症候群からなる群から選択される、項35に記載の治療及び/又は予防方法。
[項37]ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩を有効成分とする、脊髄損傷の治療剤及び/又は予防剤。
[項38]脊髄損傷が、運動機能障害、感覚機能障害、及び自律神経機能障害から選択される少なくとも一つの機能障害を伴う、項37に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項39]脊髄損傷が、少なくとも運動機能障害を伴う、項38に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項40]脊髄損傷に伴う運動機能障害、感覚機能障害、又は自律神経機能障害を治療及び/又は予防するための、項37に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項41]脊髄損傷に伴う運動機能障害を治療及び/又は予防するための、項40に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項42]運動機能障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、血管運動神経症状、痙攣、痙性、又は痙縮である、項38〜41のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項43]運動機能障害が、麻痺、又はしびれである、項38〜42のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項44]感覚機能障害が、疼痛、知覚異常、又は幻肢痛である、項38〜43のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項45]自律神経機能障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、心拍変動異常、又は排泄不全である、項38〜44のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
[項46]脊髄損傷の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩の使用。
[項47]脊髄損傷が、運動機能障害、感覚機能障害、及び自律神経機能障害から選択される少なくとも一つの機能障害を伴う、項46に記載の使用。
[項48]脊髄損傷が、少なくとも運動機能障害を伴う、項45に記載の使用。
[項49]脊髄損傷に伴う運動機能障害、感覚機能障害、又は自律神経機能障害の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項46に記載の使用。
[項50]脊髄損傷に伴う運動機能障害の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項46に記載の使用。
[項51]運動機能障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、血管運動神経症状、痙攣、痙性、又は痙縮である、項47〜50のいずれか一項に記載の使用。
[項52]運動機能障害が、麻痺、又はしびれである、項47〜51のいずれか一項に記載の使用。
[項53]感覚機能障害が、疼痛、知覚異常、又は幻肢痛である、項47〜52のいずれか一項に記載の使用。
[項54]自律神経機能障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、心拍変動異常、又は排泄不全である、項47〜53のいずれか一項に記載の使用。
[項55]脊髄損傷の治療及び/又は予防剤に使用するための、ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項56]脊髄損傷が、運動機能障害、感覚機能障害、及び自律神経機能障害から選択される少なくとも一つの機能障害を伴う、項55に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項57]脊髄損傷が、少なくとも運動機能障害を伴う、項56に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項58]脊髄損傷に伴う運動機能障害、感覚機能障害、又は自律神経機能障害の治療剤及び/又は予防剤に使用するための、項55に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項59]脊髄損傷に伴う運動機能障害の治療剤及び/又は予防剤に使用するための、項58に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項60]運動機能障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、血管運動神経症状、痙攣、痙性、又は痙縮である、項56〜59のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項61]運動機能障害が、麻痺、又はしびれである、項56〜60のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項62]感覚機能障害が、疼痛、知覚異常、又は幻肢痛である、項556〜61のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項63]自律神経機能障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、心拍変動異常、又は排泄不全である、項56〜62のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項64]治療及び/又は予防が必要な患者に、ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩を投与することを特徴とする、脊髄損傷の治療及び/又は予防方法。
[項65]脊髄損傷が、運動機能障害、感覚機能障害、及び自律神経機能障害から選択される少なくとも一つの神経障害を伴う、項64に記載の治療及び/又は予防方法。
[項66]脊髄損傷が、少なくとも運動機能障害を伴う、項65に記載の治療及び/又は予防方法。
[項67]脊髄損傷に伴う運動機能障害、感覚機能障害、又は自律神経機能障害を治療及び/又は予防するための、項64に記載の治療及び/又は予防方法。
[項68]脊髄損傷に伴う運動機能障害を治療及び/又は予防するための、項67に記載の治療及び/又は予防方法。
[項69]運動機能障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、血管運動神経症状、痙攣、痙性、又は痙縮である、項65〜68のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
[項70]運動機能障害が、麻痺、又はしびれである、項65〜69のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
[項71]感覚機能障害が、疼痛、知覚異常、又は幻肢痛である、項65〜70のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
[項72]自律神経障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、心拍変動異常、又は排泄不全である、項65〜71のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
本発明のゾニサミド又はその製薬学的に許容される塩は、高い安全性を有するとともに、末梢神経障害又は脊髄損傷の治療及び/又は予防に有効であり、外傷を原因とする末梢神経障害又は脊髄損傷の治療及び/又は予防に特に有効である。
図1は、NSC34細胞の神経突起の平均長、初代培養運動ニューロンの神経突起の平均長、初代培養運動ニューロンにおける1ニューロン当たりの分岐点数、及び初代培養運動ニューロンにおける神経突起を有する細胞の割合に対する、ゾニサミドの用量依存的効果を示す図である。 図2Aは、スクラッチアッセイにおける、ゾニサミド投与時及び非投与時の神経突起の比較を示す写真である。 図2Bは、スクラッチアッセイにおける、神経突起の長さの合計に対する、ゾニサミドの用量依存的効果を示す図である。 図3は、タイムラプスイメージングを用いた、マウス初代培養運動ニューロンの神経突起伸長効果に対する、ゾニサミドの用量及び時間依存的効果を示す図である。 図4は、酸化ストレスによってもたらされる初代培養運動ニューロンの細胞死に対する、ゾニサミドの神経保護効果を示す図である。 図5は、ゾニサミドを投与した初代培養運動ニューロンにおける、Bdnf、Ngf、Ntf4、Ntrk1、Ntrk2、Map2、Mapt及びGap43のmRNA発現量を示す図である。 図6は、ゾニサミドを投与した初代培養運動ニューロンにおける、Erk1/2及びJNK1/2/3のリン酸化を測定した結果を示す図である。 図7は、マウス坐骨神経自家移植モデルにおいて、手術後1週間後、末梢側切断部位を起点に0.7mm末梢側の部分を輪切り方向に切断した断面を、トルイジンブルーを用いて染色した写真である。 図8は、マウス坐骨神経自家移植モデルにおいて、手術後1週間後、末梢側切断部位を起点に0.7mm末梢側の部分を輪切り方向に切断した断面における、1神経線維あたりの軸索の総数及び神経線維あたりの軸索の面積を示した図である。 図9は、マウス坐骨神経自家移植モデルにおける、ゾニサミドの運動機能改善効果を示す図である。 図10は、マウス坐骨神経自家移植モデルにおいて、手術後8週間後の前脛骨筋の断面をヘマトキシリン及びエオシン染色した写真である。 図11は、マウス坐骨神経自家移植モデルにおいて、手術後8週間後の前脛骨筋線維の断面積(CSA)に対する、ゾニサミドの神経再生効果を示す図である。 図12は、マウス坐骨神経自家移植モデルにおいて、手術後8週間後、腓腹筋におけるChrne、Colq及びRapsnのmRNA発現量を示す図である。mRNA発現に対する、ゾニサミド投与及び神経切断の有無が与える影響を示した図である。 図13は、マウス坐骨神経自家移植モデルにおいて、手術後8週間後、坐骨神経におけるBdnf、Ngf、Ntf4、Ntrk1、Ntrk2、Map2、Mapt及びGap43のmRNA発現量を示す図である。mRNA発現に対する、ゾニサミド投与及び神経切断の有無が与える影響を示した図である。 図14は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、BMSスコアによる運動機能評価に基づく、ゾニサミドの運動機能改善効果を示す図である。 図15は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、ロータロッド試験による運動機能評価に基づく、ゾニサミドの運動機能改善効果を示す図である。 図16は、重度脊髄圧挫モデルマウスの損傷部及び損傷部周辺の神経突起伸長に関連する遺伝子発現を評価するための、脊髄の単離方法を示した図である。 図17は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、BdnfのmRNA発現量を示す図である。 図18は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、NgfのmRNA発現量を示す図である。 図19は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、Ntf4のmRNA発現量を示す図である。 図20は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、Ntrk1のmRNA発現量を示す図である。 図21は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、Ntrk2のmRNA発現量を示す図である。 図22は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、Map2のmRNA発現量を示す図である。 図23は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、MaptのmRNA発現量を示す図である。 図23は、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、手術後28日後、脊髄の損傷部及び損傷尾側における、Gap43のmRNA発現量を示す図である。
本発明におけるゾニサミド(化学名:3−スルファモイルメチル−1,2−ベンズイソオキサゾール又は1,2−ベンズイソオキサゾール−3−メタンスルホンアミド)は、適宜そのアルカリ金属塩で用いられ得る。ゾニサミドのアルカリ金属塩として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が挙げられる。好ましくは、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。より好ましくは、ナトリウム塩が挙げられる。
結晶として得られるゾニサミド又はそのアルカリ金属塩は、結晶多型が存在する場合があり、本発明におけるゾニサミドには、あらゆる結晶形のものが含まれる。
本発明のゾニサミドは、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩の水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明化合物に包含される
本発明で用いるゾニサミド又はそのアルカリ金属塩は、プロドラッグの形態であってもよい。かかるプロドラッグは、必要な化合物(ゾニサミド)に生体内で容易に変換され得る本発明の化合物(ゾニサミド)の機能性誘導体である。
本発明で用いる「治療」とは、疾患のあらゆる治療(例えば、症状の改善、症状の軽減、症状の進行の抑制など)が含まれる。本発明で用いる「予防」とは、疾患に関するあらゆる予防(例えば、症状の発現阻止など)が含まれる。
本発明で用いる、Bdnf、Ngf、Ntf4、Ntrk1、Ntrk2、Map2、Mapt、Gap43、Chrne、Colq及びRapsnは、各々BDNF、NGF、NT−4/5、TrkA、TrkB、MAP2、Tau、GAP43、AChRε、ColQ、Rapsynをコードする遺伝子名を意味する。
本発明で用いる「末梢神経」とは、「体性神経」及び「自律神経」からなる。本発明で用いる「体性神経」とは、「感覚神経」及び「運動神経」からなる。本発明で用いる「自律神経」とは、「交感神経」及び「副交感神経」からなる。
本発明で用いる「末梢神経障害」とは、末梢神経の正常な伝導が障害される病態である。「末梢神経障害」としては、運動神経障害、感覚神経障害、及び自律神経障害が挙げられる。
本発明におけるゾニサミド又はそのアルカリ金属塩は、神経細胞を再生させることにより「末梢神経障害」そのものを治療及び/又は予防することから、「感覚神経障害」、「運動神経障害」、及び「自律神経障害」を治療及び/又は予防することができる。
「感覚神経障害」として、例えば、疼痛、知覚異常、灼熱感、又は振動覚異常が挙げられる。
「運動神経障害」として、例えば、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、筋萎縮、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、又は血管運動神経症状が挙げられる。
「自律神経障害」として、発汗異常、排尿障害、勃起不全、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、耳鳴り、吐き気、頭痛、微熱、過呼吸、倦怠感、不眠症、生理不順、味覚障害、又は心拍変動異常が挙げられる。
「末梢神経障害」として好ましくは、運動神経障害、及び感覚神経障害が挙げられる。「末梢神経障害」としてさらに好ましくは、運動神経障害が挙げられる。
本発明で用いる「末梢神経障害」には、種々の原因による末梢神経障害が含まれる。末梢神経障害の原因としては、外傷、変形等の身体的要因による損傷、圧迫、血行障害、遺伝的要因、代謝異常、中毒、免疫応答、感染症、癌、腎不全、又は肝疾患が挙げられる。「末梢神経障害」の原因として好ましくは、外傷、身体的要因による損傷、又は圧迫が挙げられる。「末梢神経障害」の原因としてさらに好ましくは、外傷、又は身体的要因による損傷が挙げられる。
「末梢神経障害」は、脊椎が損壊し、末梢神経根が損傷を受けることによっても発症するため、本発明で用いる「末梢神経障害」には、「脊椎症に伴う末梢神経障害」が含まれる。「脊椎症に伴う末梢神経障害」は、脊椎の損傷部位により、「頸椎症に伴う末梢神経障害」、「胸椎症に伴う末梢神経障害」、「腰椎症に伴う末梢神経障害」、「仙椎症に伴う末梢神経障害」及び「尾椎症に伴う末梢神経障害」に分類される。本発明における「末梢神経障害」には、いずれの部位の損傷による障害も含まれる。
本発明で用いる「末梢神経障害」は、臨床学的に、「単神経障害」、「多発単神経障害」又は「多発神経障害」に分類される。
「単神経障害」は、主に、外傷、圧迫又は血行障害によって、単一の末梢神経が障害されることによりもたらされる。「単神経障害」としては、骨髄腫関連神経障害、膠原病(例えば、自己免疫疾患又は全身性エリテマトーデス等)に伴う単神経障害、ALアミロイドーシスに伴う単神経障害、糖尿病性の単神経障害、又は外傷に伴う単神経障害が挙げられる。「単神経障害」として好ましくは、膠原病に伴う単神経障害、糖尿病性の単神経障害、又は外傷に伴う単神経障害が挙げられる。「単神経障害」としてさらに好ましくは、糖尿病性の単神経障害、又は外傷に伴う単神経障害が挙げられる。「単神経障害」としてさらに好ましくは、外傷に伴う単神経障害が挙げられる。
「多発単神経障害」は、主に、外傷、圧迫、又は血行障害によって単神経障害が複数生じることによりもたらされる。通常、多発単神経障害は左右不対称で、不規則に分布する。「多発単神経障害」としては、全身性血管炎に伴う多発単神経障害、全身の肉芽腫性病変(サルコイドーシス等)に伴う多発単神経障害、又は糖尿病性の多発単神経障害が挙げられる。「多発単神経障害」として好ましくは、糖尿病性の多発単神経障害が挙げられる。
「多発神経障害」は、主に、遺伝的要因、代謝異常、中毒又は免疫応答によって単神経障害が広範に左右対称性に生じることによりもたらされる。原則として四肢遠位部に症状が強く表れる。「多発神経障害」としては、糖尿病性の多発神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、シャルコー・マリー・トゥース病、及びジフテリア性神経炎が挙げられる。「多発神経障害」として好ましくは、シャルコー・マリー・トゥース病、又は糖尿病性の多発神経障害が挙げられる。「多発神経障害」としてより好ましくは、シャルコー・マリー・トゥース病が挙げられる。
本発明で用いる「末梢神経障害」は、病理学的に、「軸索障害」又は「髄鞘障害」に分類される。
「軸索障害」は、軸索が中心に侵された末梢神経障害であり、例えば、ワーラー変性による末梢神経障害、又は後退変性による末梢神経障害が挙げられる。
「髄鞘障害」は、髄鞘が変性・脱落した末梢神経障害であり、例えば、原発性節性脱髄による末梢神経障害、又は続発性節性脱髄による末梢神経障害が挙げられる。
「末梢神経障害」の具体例としては、例えば、「遺伝性神経障害」、「後天性神経障害」、「悪性腫瘍関連神経障害」、「中毒性神経障害」、「栄養障害神経障害」、「原因不明の神経障害」、「神経筋接合部障害」又は「圧迫性神経障害」が挙げられる。
「末梢神経障害」として、好ましくは、「後天性神経障害」、「悪性腫瘍関連神経障害」、「中毒性神経障害」、「栄養障害神経障害」、「原因不明の神経障害」、「神経筋接合部障害」又は「圧迫性神経障害」が挙げられる。「末梢神経障害」として、より好ましくは、「後天性神経障害」、「悪性腫瘍関連神経障害」、「原因不明の神経障害」、「神経筋接合部障害」又は「圧迫性神経障害」が挙げられる。「末梢神経障害」として、さらに好ましくは、「後天性神経障害」、「原因不明の神経障害」、「神経筋接合部障害」又は「圧迫性神経障害」が挙げられる。「末梢神経障害」として、最も好ましくは、「圧迫性神経障害」が挙げられる。
「遺伝性神経障害」としては、例えば、シャルコー・マリー・トゥース病、遺伝性圧脆弱性神経障害、遺伝性神経痛性筋萎縮症、異染性白質ジストロフィー(MLD)、Krabbe病、Fabry病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、Refsum病、タンジール病、急性ポルフィリン症、又は家族性アミロイド多発神経障害が挙げられる。「遺伝性神経障害」として好ましくは、シャルコー・マリー・トゥース病が挙げられる。
「後天性神経障害」としては、炎症性神経障害、ALアミロイドーシスに伴う神経障害、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症、膠原病(自己免疫疾患及び全身性エリテマトーデス等)に伴う神経障害、尿毒症性神経障害、慢性肝疾患に伴う神経障害、クロウ・フカセ症候、フィッシャー症候群、重篤疾患多発神経障害、ヒト免疫不全ウイルスに伴う神経障害、又は水痘帯状疱疹ウイルスに伴う神経障害が挙げられる。
炎症性神経障害としては、ギラン・バレー症候群、又は慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)が挙げられる。
「後天性神経障害」として好ましくは、炎症性神経障害、又は糖尿病性神経障害が挙げられる。「後天性神経障害」としてより好ましくは、炎症性神経障害が挙げられる。「後天性神経障害」として最も好ましくは、ギラン・バレー症候群、又は慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)が挙げられる。
「悪性腫瘍関連神経障害」としては、傍腫瘍性神経症候群が挙げられる。
「中毒性神経障害」としては、薬剤性中毒性神経障害、有機物による神経障害、又は金属による神経障害が挙げられる。
薬剤性中毒性神経障害の原因薬剤として、イソニアジド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、ボルテゾミブ、クロラムフェニコール、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、アミオダロン、サリドマイド、ピリドキシン、フェニトイン、ジスルフィラム、クロロキン、又はピリドキシン(ビタミンB6)が挙げられる。
有機物による神経障害として、n−ヘキサン、アルコール又はスチレン中毒による神経障害が挙げられる。
金属による神経障害として、ヒ素、水銀、又はタリウムによる神経障害が挙げられる。
「原因不明の神経障害」として、原因不明の感覚神経障害、又は原因不明の感覚運動性多発神経障害が挙げられる。具体的には、顔面神経麻痺が挙げられる。
「神経筋接合部障害」としては、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、ボツリヌス中毒、イートン・ランバート症候群、又は薬剤性神経筋接合部障害が挙げられる。
薬剤性神経筋接合部障害の原因薬剤として、抗生物質、殺虫剤、クラーレ、又は神経ガスが挙げられる。
「圧迫性神経障害」として、手根管症候群、肘部管症候群、Guyon管症候群、撓骨神経麻痺、異常感覚性大腿神経痛、総腓骨神経麻痺、胸郭出口症候群又は足根管症候群が挙げられる。「圧迫性神経障害」として好ましくは、手根管症候群、胸郭出口症候群又は足根管症候群が挙げられる。
「圧迫性神経障害」としてより好ましくは、手根管症候群又は足根管症候群が挙げられる。「圧迫性神経障害」として最も好ましくは手根管症候群が挙げられる。
圧迫性神経障害の原因としては、外傷、圧迫(微小外傷を伴うこともある)及び/又は反復性のストレスが挙げられる。
「末梢神経障害」の別の好ましい具体例として、シャルコー・マリー・トゥース病、遺伝性圧脆弱性神経障害、遺伝性神経痛性筋萎縮症、異染性白質ジストロフィー(MLD)、Krabbe病、Fabry病、副腎白質ジストロフィー(ALD)、Refsum病、タンジール病、急性ポルフィリン症、家族性アミロイド多発神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ALアミロイドーシスに伴う神経障害、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症、膠原病(自己免疫疾患及び全身性エリテマトーデス等)に伴う神経障害、尿毒症性神経障害、慢性肝疾患に伴う神経障害、クロウ・フカセ症候、フィッシャー症候群、重篤疾患多発神経障害、ヒト免疫不全ウイルスに伴う神経障害、水痘帯状疱疹ウイルスに伴う神経障害、顔面神経麻痺、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、ボツリヌス中毒、イートン・ランバート症候群、薬剤性神経筋接合部障害、手根管症候群、肘部管症候群、Guyon管症候群、撓骨神経麻痺、異常感覚性大腿神経痛、総腓骨神経麻痺、胸郭出口症候群又は足根管症候群が挙げられる。
「末梢神経障害」として好ましくは、シャルコー・マリー・トゥース病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、糖尿病性神経障害、顔面神経麻痺、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、イートン・ランバート症候群、薬剤性神経筋接合部障害、手根管症候群、肘部管症候群、撓骨神経麻痺、異常感覚性大腿神経痛、総腓骨神経麻痺、胸郭出口症候群又は足根管症候群が挙げられる。
「末梢神経障害」としてより好ましくは、シャルコー・マリー・トゥース病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、糖尿病性神経障害、顔面神経麻痺、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、サルコペニア、イートン・ランバート症候群、手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群又は足根管症候群が挙げられる。
「末梢神経障害」としてさらに好ましくは、シャルコー・マリー・トゥース病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、糖尿病性神経障害、顔面神経麻痺、重症筋無力症又は手根管症候群が挙げられる。
「末梢神経障害」として最も好ましくは、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)又は手根管症候群が挙げられる。
本発明で用いる「脊椎」とは、「頸椎」、「胸椎」、「腰椎」、「仙椎」及び「尾椎」からなる。
本発明で用いる「脊髄」とは、「頸髄」、「胸髄」、「腰髄」、「仙髄」及び「尾髄」からなる。
本発明で用いる「脊髄損傷」とは、主に脊柱に強い外力が加えられることにより、脊椎が損壊し、脊髄に損傷を受ける病態である。「脊髄損傷」として、「運動機能障害」を伴う脊髄損傷、「感覚機能障害」を伴う脊髄損傷及び「自律神経機能障害」を伴う脊髄損傷が挙げられる。
本発明におけるゾニサミド又はそのアルカリ金属塩は、「脊髄損傷」そのものを治療及び/又は予防することから、脊髄損傷に伴う「運動機能障害」、「感覚機能障害」及び「自律神経機能障害」を治療及び/又は予防することができる。
「運動機能障害」として、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、血管運動神経症状、痙攣、痙性、又は痙縮が挙げられる。
「運動機能障害」として、好ましくは、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、反射低下、痙攣、痙性、又は痙縮が挙げられる。「運動機能障害」として、より好ましくは、麻痺、しびれ、筋力低下、反射低下、又は痙攣が挙げられる。「運動機能障害」として、さらに好ましくは、麻痺、しびれ、筋力低下、又は反射低下が挙げられる。
「運動機能障害」として、最も好ましくは、麻痺、又はしびれが挙げられる。
「感覚神経障害」として、疼痛、知覚異常、又は幻肢痛が挙げられる。
「自律神経機能障害」として、発汗異常、排泄不全、勃起不全、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、耳鳴り、吐き気、頭痛、微熱、過呼吸、倦怠感、不眠症、生理不順、味覚障害、又は心拍変動異常が挙げられる。
「脊髄損傷」として好ましくは、「運動機能障害」を伴う脊髄損傷及び「感覚機能障害」を伴う脊髄損傷が挙げられる。「脊髄損傷」としてより好ましくは、「運動機能障害」を伴う脊髄損傷が挙げられる。「脊髄損傷」に伴う機能障害として好ましくは、「運動機能障害」及び「感覚機能障害」が挙げられる。「脊髄損傷」に伴う機能障害としてより好ましくは、「運動機能障害」が挙げられる。
本発明で用いる「脊髄損傷」は、損傷部位により、「頸髄損傷」、「胸髄損傷」、「腰髄損傷」、「仙髄損傷」及び「尾髄損傷」に分類される。本発明における「脊髄損傷」には、いずれの部位における損傷も含まれる。
本発明で用いる「脊髄損傷」は、脊髄の損傷の度合いにより、「完全型」と「不完全型」に分類される。「完全型」は脊髄が横断的に断絶し、神経伝達機能が完全に断たれた状態であり、「不完全型」は脊髄の一部が損傷、圧迫などを受け、一部機能が残存するものを示す。本発明における「脊髄損傷」には、「完全型」と「不完全型」のいずれの損傷も含まれる。
本発明で用いる「脊髄損傷」には、種々の原因による「脊髄損傷」が含まれる。「脊髄損傷」の原因としては、外傷、変形等の身体的要因による損傷、圧迫、血行障害、又は感染症、が挙げられる。「脊髄損傷」の原因として好ましくは、外傷、身体的要因による損傷、又は圧迫が挙げられる。「脊髄損傷」の原因としてさらに好ましくは、外傷、又は身体的要因による損傷が挙げられる。
本発明で用いる「脊髄損傷」には、「脊椎症に伴う脊髄損傷」が含まれる。「脊椎症に伴う脊髄損傷」は、脊椎の損傷部位により、「頸椎症に伴う脊髄損傷」、「胸椎症に伴う脊髄損傷」、「腰椎症に伴う脊髄損傷」、「仙椎症に伴う脊髄損傷」及び「尾椎症に伴う脊椎損傷」に分類される。本発明における「脊髄損傷」には、いずれの部位の損傷に伴うものも含まれる。
本発明の活性成分(ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩)は、経口投与又は非経口投与により、適当な剤形を用いて製剤にし、投与できる。剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、ハップ剤等が挙げられるがこれに限らない。製剤は、薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。
添加剤は、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アスパルテーム、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合には、成人に対して、1日当たり、0.1mg〜3000mg、1mg〜2000mg、10mg〜1000mg、又は20mg〜600mgを1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することにより効果が期待される。
例えば、静脈内注射の場合には、成人に対して、1日当たり、0.01mg〜1000mg、0.1mg〜500mg、1mg〜200mg、又は1mg〜50mgを1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することにより効果が期待される。
本発明の活性化合物であるゾニサミド又はそのアルカリ金属塩の製剤(医薬製剤又は医薬組成物)、又は他の薬剤と組み合わせて単一の製剤で調製される場合、これに限らないが、例えばその活性成分の和がその製剤の組成物全体に対して0.1〜70重量%含まれている。好ましくは、その活性成分の和がその製剤の組成物全体に対して5〜60重量%含まれている。より好ましくは、その活性成分の和がその製剤の組成物全体に対して10〜55重量%含まれている。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
実施例1
NSC34細胞及び初代脊髄運動ニューロンを用いたスクリーニング
NSC34細胞を用いたスクリーニング方法
NSC34細胞(mouse neuroblastoma−spinal cord hybrid cells displaying a multipolar motor neuron−like phenotype;ドキシサイクリンによって安定的にGFPが誘導される細胞株(NSC34−pTetR12−TO/GFP)、Dev Dyn 1992, 194, 209-221.)を、10%のウシ胎仔血清(FBS、Thermo Scientific)を含む Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM、Invitrogen)において、湿度95%、二酸化炭素5%雰囲気下、37℃にて培養した。96穴プレートにおいて、1%のFBS及び2mg/mLのドキシサイクリンを含むDMEM/F12分化培地(Invitrogen)に、細胞を1.6×10cells/cmになるように播種し、GFPを発現させた。1日目に分化培地を、1%NEAA(Non−Essential Amino Acid、MP Biomedicals)及び2mg/mLのドキシサイクリンを含むDMEM/F12培地に変更し、被検化合物(FDA承認済みの1186個の薬剤)10μmol/L存在下、48時間インキュベートした。その後、細胞の核をHoechst 33342(1:100,000、Sigma Aldrich)を用いて染色した。ArrayScan VTI HCS Reader(Thermo Scientific Cellomics)にて1ウェルあたり16項目の画像を取得した。各々のウェルにおける神経突起の長さの平均をNeuronal Profiling v4.0 BioApplication (Thermo Scientific Cellomics)を用いて自動的に測定した。
初代脊髄運動ニューロンを用いたスクリーニング方法
マウス胚脊髄運動ニューロンの初代培養物は、C57BL/6Jマウスの胎生13.5日目(E13.5)の脊髄胚から単離した。200μmol/Lから2mmol/LまでのゾニサミドのDMSO溶液を作成した後、培養培地にゾニサミドの最終濃度が1μmol/Lから20μmol/Lになるように添加した。なお、ゾニサミドを含むか否かに関わらず、培養培地は0.5%のDMSOを含む。細胞を、ポリ−L−リシン及びラミニンでコートされた96穴プレート(Asahi Techno Glass)に4.0×10cells/cmにて播種し、Sumilon neuron culture medium(Sumitomo Bakelite)にて維持した。細胞を2日間インキュベートした後、常温にて、4%ホルムアミドを含むPBSを用いて15分間固定化した。細胞を、一度PBSを用いて洗浄し、2%ヤギ血清及び0.1%のTriton−Xを含むPBSによりブロッキングし、その後、マウス抗タウ−1モノクローナル抗体(1:500、MAB3420、Millipore)及びAlexa Fluor 555 ヤギ抗マウス二次抗体(1:1000、Life Technologies社)を用いて、免疫染色した。神経突起は、ArrayScan VTI HCS Readerを用いて自動分析した。神経突起の長さ及び神経分岐点数の定量は、長い方から200本の神経突起を評価することで求めた。神経突起を有する細胞の割合は、各ウェルにおいて、神経突起の長さが25ミクロン以上の細胞数を計測することで求めた。
NSC34細胞を用いたスクリーニング結果
1186個の被検化合物のうち、約100個の化合物が、NSC34細胞の神経突起の平均長を増加させる作用があった。100化合物のうち20化合物については、全身投与できないこと又は毒性を理由に排除した。残りの80化合物について同様のアッセイを16回繰り返し、16個の薬剤を選び出した。
初代脊髄運動ニューロンを用いたスクリーニング結果
上記16個の薬剤を、E13.5におけるC57/BL6Jマウスの脊髄から単離した初代培養運動ニューロンに添加した。48時間培養後、軸索をタウで蛍光免疫染色した後、ArrayScan VTI HCS Readerを用いて、神経突起の長さを自動的に測定した。その結果、ゾニサミドを、初代培養運動ニューロンの神経突起を伸長させる薬剤として同定した。
用量依存性評価結果
ゾニサミドの脊髄運動ニューロンの神経突起伸長作用に対する用量依存性評価を行った(図1)。ゾニサミドは用量依存的にNSC34細胞及び初代培養運動ニューロンの軸索伸長をもたらした。さらに、ゾニサミドは用量依存的に初代培養運動ニューロンの軸索における分岐点数を増加させた。しかしながら、初代培養運動ニューロンにおける、神経突起を有する細胞の割合については、ゾニサミド投与によって増強されなかった。
実施例2
スクラッチアッセイを用いた神経突起再生効果の評価
スクラッチアッセイの方法
初代培養運動ニューロンを、ポリ−L−リジンでコーティングされたNun Lab−Tek Chamber Slide(Thermo Scientific)に8.0×10cells/cm×0.7cm/wellにて播種した後、48時間、Sumilon neuron culture mediumにて培養した。初代培養運動ニューロンの神経突起を、200μLの滅菌ピペットチップを用いて線状に傷つけた。細胞を直ちにPBSでリンスし、0、1、10、及び20μmol/Lのゾニサミドを含むSumilon neuron culture mediumにて48時間培養した。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、神経特異的β−IIIチュブリンモノクローナル抗体(1:1000、MAB1195、R&D systems)及びAlexa Fluor 488 ヤギ抗マウス二次抗体(Life Technologies)を用いて免疫染色した。傷をつけた領域の画像を、顕微鏡(オリンパスLX71)を用いて取得した。傷をつけた領域における、初代培養運動ニューロンの神経突起の長さは、MetaMorphソフトウェア(Universal Imaging)によって自動計測した。
スクラッチアッセイの結果
スクラッチアッセイにおいて、ゾニサミドは神経突起の長さを用量依存的に伸長させた(図2A及び2B)。ゾニサミドは、初代培養運動ニューロンの神経突起再生を促すことが示された。
実施例3
初代培養運動ニューロン軸索伸長のタイムラプスイメージング
イメージングの方法
初代培養運動ニューロンを、神経突起伸長を誘導するために、Sumilon neuron culture medium中で96ウェルプレートに、6.0×10 cells/wellにて播種した。位相差顕微鏡画像をIncuCyte ZOOM Live Cell Imaging System(Essen Bioscience)を用いて、8時間ごとに3日間に渡って撮影した。神経突起の長さを自動的にNeuroTrackソフトウェア(IncuCyte)にて解析した。
結果
ゾニサミド投与後40時間後に、マウス初代培養運動ニューロンの神経突起伸長効果が認められた(図3)。観察期間を通じて、10μmol/Lのゾニサミド投与群が、1μmol/Lのゾニサミド投与群に比べ、高い伸長効果を示した。ゾニサミドは、神経突起伸長の開始をもたらすというよりむしろ、ゾニサミドが神経突起の伸長の増強効果をもたらすことが示された。
実施例4
MTSアッセイを用いた酸化ストレスに関する評価
MTSアッセイ方法
細胞生存率を、ミトコンドリアレダクターゼ活性を表すMTSアッセイ(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay, Promega)を用いて評価した。初代培養運動ニューロンをSumilon neuron culture mediumにて24時間培養した後、0.5%FBSを含むDMEM/F12に培地を交換し24時間培養した。種々の濃度のゾニサミドを1時間添加した後、100μmol/Lの過酸化水素を24時間添加した。細胞をMTS試薬と共に2時間インキュベートした。MTSシグナルは、マイクロプレートリーダー(PowerScan HT、DSファーマバイオマテリアル)を用いて定量した。MTSシグナルは過酸化水素処理をしていない細胞群をコントロールとして評価した。
MTSアッセイ結果
ゾニサミドは用量依存的に、初代培養運動ニューロンの生細胞数を有意に増加させた(図4)。ゾニサミドは、初代培養運動ニューロンの酸化ストレスによってもたらされる細胞死に対し神経保護効果を示した。
実施例5
神経突起伸長関連する遺伝子発現の評価
全RNA抽出及びリアルタイムRT−PCR分析方法
全RNAを、Trizol(Thermo Fisher Scientific)を用いて、0、1及び10μmol/Lのゾニサミドと共に培養した初代培養運動ニューロンから単離した。同様に、全RNAを、坐骨神経の3mmセグメント及び前脛骨筋から単離した。一本鎖cDNAは、ReverTra Ace(Toyobo)を用いて合成した。LightCycler 480 Real−Time PCR(Roche)及びSYBR Green(Takara)を用いて、Bdnf、Ngf、Ntf4、Ntrk1、Ntrk2、Map2、Mapt、及びGap43のmRNA発現量を定量した。mRNAレベルは、Gapdhの発現量で標準化した。
結果
ゾニサミド添加後2日目と3日目に、BDNF、NGF、及びNTF4(ニューロトロフィン)のmRNAレベルが増加することが示された(図5)。また、それらの受容体であるNTRK1(NGFの受容体)及びNTRK2(BDNFとNT4−4/5の受容体)のmRNAレベルが、ゾニサミド投与によって増加した。構造タンパク質であるMAP2(樹状突起に豊富に存在)、MAPT(軸索に豊富に存在)、及びGAP43(成長円錐に豊富に存在)のmRNAレベルは、3日目までには増加しなかった。ゾニサミドは、ニィーロトロフィンとその受容体の発現量を上昇させた。
実施例6
ERK1/2及びJNK1/2/3リン酸化度の測定
ウエスタンブロッドの方法
ゾニサミド(0、10、20μmol/L)を、培養開始後4時間後の初代培養運動ニューロンに添加した。細胞は、2日目及び3日目に、緩衝液(50mmol/L HEPES pH7.0、150mmol/L NaCl、1% グリセロール、1% TritonX−100、1.5mmol/L MgCl、1mmol/L EGTA、100mmol/L NaF、10mmol/L ピロリン酸ナトリウム、1mg/mL アプロチニン、1mg/mL ロイペプチン、1mg/mL ペプスタチンA, 1mmol/L PMSF、及び1mmol/L オルトバナジン(V)酸ナトリウム)にてリンスした。全タンパク質を1×レムリ緩衝液に溶解させ、10%SDSポリアクリルアミドゲル上で分離し、ポリフッ化ビニリデン膜(Immobilon−P、Millipore)に移した。メンブレンを0.05%のTween 20(TBS−T)を含むトリス緩衝生理食塩水で洗浄し、3%スキムミルクを含むTBS−T中で、室温下、1時間ブロッキングした。anti−Erk1/2(#4696、Cell Signaling)、anti−phosphorylated Erk1/2 (#4370, Cell Signaling)、又はanti−phosphorylated JNK1/2/3 (#4668, Cell Signaling)の抗体(希釈 1:1000)の何れかを用いて、メンブレンを4℃で一晩インキュベートした。メンブレンをTBS−Tを用いて10分間3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP、GE Healthcare、1:6000)とコンジュゲートしたマウス抗マウスIgG二次抗体とともに、室温で1時間インキュベーとした。ブロットは、Amersham ECLウェスタンブロッティング検出試薬(GE Healthcare社)を用いて検出し、ImageJプログラムで定量した(http://imagej.nih.gov/ij/index.html)。
結果
初代培養運動ニューロンのErk1/2及びJNK1/2/3のリン酸化を測定することにより、ゾニサミドがErk1/2のリン酸化を抑制することが見出された(図6)。対照的に、ゾニサミドはNSC34細胞で、JNK1/2/3のリン酸化を僅かに増強したものの、初代培養運動ニューロンのJNK1/2/3のリン酸化には影響は認められなかった。
実施例7
マウス坐骨神経自家移植モデルを用いた評価
評価方法
成体雄のC57BL/6Jマウス(8週齢;19.5〜22.0g)をCharles Riverから購入した。マウスはイソフルランで麻酔し、無菌下で、左足の坐骨神経を殿筋切開にて露出させた。坐骨神経を以下の(1)及び(2)の2つの部位で切断した。
(1)大腿二頭筋の最初の分岐から末端方向に3mm進んだ部位(近位切断部位)
(2)近位切断部分からさらに末端方向に3mm進んだ部位(末梢側切断部位)
切除した長さ3mmの神経セグメントは2か所の部分において完全に切断されたことを確認した。神経周膜を顕微鏡下で、近位切断部位及び末梢側切断部位にて、ナイロン糸(10−0黒)を用いて縫合した。残りの糸を、マウスを屠殺した時に神経切断部位を見つけるためのマーカーとして使用した。DMSOの毒性を軽減するために、60mg/mLのゾニサミドの100%DMSO溶液を調整し、オリーブオイルで希釈することで3mg/mLのゾニサミドの5%DMSO溶液を調整した。コントロール溶液(5%DMSO)又は30mg/kg/dayのゾニサミド(3mg/mL x 〜0.2mL)を使い捨てプローブ針(flexible type、Fuchigami)を用いて、手術後から屠殺するまでの1〜8週間、1日一回、胃に投与した。各グループのマウス6匹における坐骨神経の髄鞘形成を分析した。坐骨神経自家移植の1週間後、「近位切断部位」及び「末梢側切断部位から3mm末梢側に進んだ部位」で切断することにより、6mmの神経セグメントを切り出した。その後、神経線維を、0.2mol/Lのカコジル酸ナトリウム緩衝液中、pH7.3にて一晩2%パラホルムアルデヒド/2.5%グルタルアルデヒドにて固定化した後、2%四酸化オスミウムを3時間作用させ、エタノールにて脱水した。エポン包埋後、半薄断面(1μm)を末梢側切断部位から末梢側0.7mmにて取得し、alkaline Toluidine blue(Sigma)で染色し、顕微鏡(FSX100、オリンパス)下で検査した。坐骨神経における有髄軸索の数と面積は、盲検法にてImageJソフトウェアを使用して手動で計数した。
運動機能は、各群の3匹のマウスにて、ウォーキングトラック分析法を用い、毎週評価した。ここにおいて、マウスがランウェイを自由に歩くことを許可した場合のマウスの両側の後肢の足跡を記録した。坐骨神経機能指数(SFI;Bain et. al. Plast Reconstr Surg 83: 129-138. (1989))は、盲検法にて両足の足跡の幅及び長さを測定することにより計測した。坐骨神経を切断した後肢及び切断していない後肢との間に違いが存在しない場合は、SFIを0とした。一方、坐骨神経を切断した後肢が完全に麻痺した場合、SFIを−100とした。足跡の記録を取得する前に、マウスにランウェイを歩く練習を数回させた。なお、足跡は、6〜8枚の薄板に記録した。
坐骨神経自家移植後8週目に、全腓腹筋、及び末梢側切断部位から末梢側3mmの坐骨神経セグメントを、全RNAの抽出のために単離した。同様の坐骨神経セグメントを切断していない後肢からも単離した。Bdnf、Ngf、Ntf4、Ntrk1、Ntrk2、Map2、Mapt、Gap43、Chrne、Colq及びRapsnのmRNA発現量を実施例5と同様に定量した。
坐骨神経自家移植後8週目に前脛骨筋を単離し、ヘマトキシリン及びエオシン染色のために冷却した100%メタノールで固定化した。
結果
In vivoにおけるゾニサミドの神経再生効果を、坐骨神経自家移植モデルを用いて評価した。30mg/kg/dayのゾニサミドを外科手術後、毎日、胃を介して投与した。術後1週間の時点で、末梢側切断部位を起点に0.7mm末梢側の切断図を観察したところ、軸索の数に変化は認められなかったが、軸索の面積がゾニサミド非投与群に比べ、3.9倍増加することが明らかとなった(図7)。
ゾニサミドの長期投与による運動機能及び筋肉(前脛骨筋及び腓腹筋)への影響を調査した。坐骨神経自家移植後の後肢の運動機能のマーカーであるSFIが、手術後6週間から8週間後、ゾニサミドが投与されたマウス群において劇的に改善されることが明らかとなった(図9)。
組織学的及び形態学的解析に前脛骨筋の断面を解析したところ、ゾニサミドが脱神経萎縮からの回復を促進させることが明らかとなった(図10、図11)。
ゾニサミド投与群において、Chrne(Jones et. al. Proc Natl Acad Sci U S A 93: 5985-5990.(1996))、Colq(Trinkaus et. al. J Neurochem 105: 2535-2544.(2008))及びRapsn(Brockhausen et. al. Dev Neurobiol 68: 1153-1169.(2008))といった、神経筋接合部に特異的に発現する遺伝子の発現量が上昇していることが明らかとなった(図12)。
末梢側切断部位から末梢側の坐骨神経セグメントにおける遺伝子発現を解析したところ、ゾニサミドを投与したマウスにおいて、手術後8週の時点において、Bdnfの発現量に変化は認められなかったものの、Ngf及びNtf4の遺伝子発現が向上していることが明らかとなった(図13)。さらに、受容体であるNtrk1及びNtrk2のmRNAレベルについても、ゾニサミドによって上昇することが明らかとなった。また、構造タンパク質であるMap2、Mapt及びGap43のmRNAレベルについても、ゾニサミド投与群において上昇が認められた。
以上より、ゾニサミドは、軸索の伸長及び坐骨神経の機能回復をもたらすことが明らかとなった。
実施例8
重度脊髄圧挫モデルマウスを用いた運動機能評価
重度脊髄圧挫モデルマウスの作成方法
C57BL/6J雌マウス(8週齢;19.5〜22.0g)をCharles Riverから購入した。C57BL/6J雌マウスを、ペントバルビタール ナトリウムを腹腔内投与することで麻酔し、無菌下で背部切開後、第10胸椎の椎弓切除を行った。IH Spinal Cord Impactorを使用して、φ1.35mmのチップを用いて100kdynで脊髄を圧挫した。顕微鏡下に脊髄の血腫を確認後閉創し、後頸部の皮下に脱水予防のため1mlの生理食塩水を注射した。脊髄損傷を起こしたマウスを盲検的に2群に分類した。術当日より、一方の群のマウスに、オリーブオイル(溶媒)にて3mg/mLに希釈したゾニサミドを30mg/kg/dayにて、使い捨てプローブ針(flexible type、Fuchigami)を用いて胃内に連日投与した。他方の群のマウスには溶媒のみを同様の手法で連日投与した。術後1日目に、両群のマウスの運動機能をBMSスコア(Basso mouse scale;Li et.al. J Neurosurg Spine 4: 165-173. (2006))を用い盲検法にて評価し、BMSスコアが1以下のマウスを選別し、重度脊髄圧挫モデルマウスとした。術後3日間は感染予防のため、トリメトプリム(16mg)/スルファメトキサゾール(80mg)を含有した200mLの水を給水瓶に入れ投与した。
以上より、「重度脊髄圧挫モデルマウスへゾニサミドを投与した群(ゾニサミド投与群)」及び「重度脊髄圧挫モデルマウスへ溶媒のみを投与したコントロール群(コントロール群)」を作成した。
BMSスコアについて
BMSスコアとは足関節の動き、体重支持、ステップ、前後肢の協同運動(協調性)、歩行時の後肢の肢位、体幹の安定性、尾の位置を点数化したものであり、0から9点の採点で、後肢の完全麻痺が0点、正常運動が9点となり、具体的には以下の通りである。
0点:足関節が動かない。
1点:わずかに足関節が動く(可動域の50%未満)。
2点:広く足関節が動く(可動域の50%以上)。
3点:足底が接地する 又は足背でステップを踏むことがある。
4点:しばしば足底でステップを踏み、体を持ち上げる(前進時の50%以下)。
5点:ほぼ足底でステップを踏み(前進時の50%以上)、四肢の協同運動がない
又はほぼ足底でステップを踏み、四肢の協同運動はたまにあり、後肢は接地時、爪先離地時ともに外旋。
6点:四肢の協同運動はたまにあり、後肢は接地時に体と平行となるが爪先離地時には外旋、又は四肢の協同運動は多くみられるが、後肢は接地時、爪先離地時ともに外旋。
7点:四肢の協同運動は多くみられ、後肢は接地時に体と平行となる又は四肢の協同運動は多くみられ、後肢は接地時、爪先離地時ともに体と平行となるが、体幹は非常に不安定。
8点:後肢は接地時、爪先離地時ともに体と平行で、体幹はやや不安定又は後肢は接地時、爪先離地時ともに体と平行で、体幹は安定するが、尾が接地することがある
9点:体幹は安定し、尾は常時浮いている。
結果
BMSスコアによる運動機能評価試験
「ゾニサミド投与群10匹」、「コントロール群10匹」及び「脊髄圧挫はせずに椎弓切除のみ施行し溶媒のみ投与したSham群(Sham群)3匹」を用いて運動機能を評価した。損傷日当日より、「重度脊髄圧挫モデルマウスの作成方法」に記載の手法にて、「ゾニサミド投与群」へは溶媒にて希釈したゾニサミドを、「コントロール群」及び「Sham群」へは溶媒を連日投与した。術後1日目、術後3日目、術後7日目、術後14日目、術後21日目、及び術後28日目のBMSスコアを盲検法にて確認した(図14)。
椎弓切除のみ施行したSham群でのBMSスコアは、術後3日目より9点満点であった。ゾニサミド投与群とコントロール群では、術後14日目以降から有意にゾニサミド群でBMSスコアが高かった。術後14日目においては、ゾニサミド投与群が3.2±0.3点であったのに対し、コントロール群は1.4±0.5点であった(p=0.014)。術後21日目においては、ゾニサミド投与群が3.2±0.4点であったのに対し、コントロール群は1.2±0.5点であった(p=0.008)。術後28日目においては、ゾニサミド投与群が3.7±0.4点であったのに対し、コントロール群は1.5±0.5点であった(p=0.005)。
ロータロッド試験による運動機能評価試験
「ゾニサミド投与群4匹」、「コントロール群4匹」、及び「Sham群3匹」にて、「BMSスコアによる運動機能評価試験」と同様に、損傷日当日より連日薬剤投与を行い、術当日、術後1日目、術後7日目、術後14日目、術後21日目、術後28日目のロータロッド(UGO BASILE社製)を用いてマウスの運動機能を評価した。初速2rpm、加速5rpm/min、最高速度40rpmの加速回転モードにて、マウスがロータリングロッドから落ちるまでの時間(保持時間、秒;最大300秒)を計測した。インターバル10分で3回計測し、3回の平均値にて評価した(図15)。
Sham群の保持時間は、術翌日から250秒以上であった。ゾニサミド投与群の保持時間は、術後21日目及び28日目において、コントロール群に対して長い傾向が認められた。術後28日目においては、ゾニサミド投与群が135.3±16.4秒であったのに対し、コントロール群は76.6±18.9秒であった(p=0.088)。
BMSスコア及びロータロッド試験による運動機能評価試験の結果から、重度脊髄圧挫モデルマウスにおいて、ゾニサミドを投与することにて運動機能が改善することが明らかになった。
実施例9
重度脊髄圧挫モデルマウスの損傷部及び損傷部周辺の神経突起伸長に関連する遺伝子発現の評価
方法
実施例8の「重度脊髄圧挫モデルマウスの作成方法」に従って重度脊髄圧挫モデルマウスを作成した。ゾニサミド投与群4匹、コントロール群4匹の脊髄を術後28日目に摘出し、損傷部5mm、損傷部尾側5mmをそれぞれ採取した(図16)。それぞれの脊髄5mmセグメントから、全RNAを、Trizol(Thermo Fisher Scientific)を用いて単離した。一本鎖cDNAは、ReverTra Ace(Toyobo)を用いて合成した。LightCycler 480 Real−Time PCR(Roche)及びSYBR Green(Takara)を用いて、神経栄養因子であるBdnf、Ngf、Ntf4、Ntrk1、Ntrk2、Map2、Mapt、及びGap43のmRNA発現量を定量した(図17、18、19、20、21、22、23及び24)。mRNAレベルは、GAPDHの発現量で標準化した。
結果
ゾニサミド投与群の損傷尾側にて、MAP2及びTau遺伝子の発現がコントロール群に対し有意に増加していた(図22、p=0.029;図23、p=0.008)。MAP2は神経細胞では樹状突起に、Tauは軸索に多く存在しているため、ゾニサミド投与により、損傷脊髄尾側にて軸索の延長作用のみではなく、樹状突起も増加していることが示唆された。NGFの発現も、MAP2、Tauと同じく損傷尾側にて発現が増加している傾向が認められた(図18、p=0.053)。
以上により、神経突起伸長に関連する遺伝子発現が損傷尾側にて増加していることが明らかとなった。
本発明に係るゾニサミド又はそのアルカリ金属塩は、末梢神経障害及び脊髄損傷に対して極めて有用である。神経細胞を再生させることにより「末梢神経障害」そのものを治療し、「末梢神経障害」に伴う運動機能障害、感覚機能障害、及び/又は自律神経機能障害の治療に有用である。さらに、本発明に係るゾニサミド又はそのアルカリ金属塩は「脊髄損傷」を治療することにより、「脊髄損傷」に伴う運動機能障害、感覚機能障害及び/又は自律神経機能障害の治療に有用である。
[項48]脊髄損傷が、少なくとも運動機能障害を伴う、項47に記載の使用。
[項62]感覚機能障害が、疼痛、知覚異常、又は幻肢痛である、項56〜61のいずれか一項に記載のゾニサミド又はそのアルカリ金属塩。
[項65]脊髄損傷が、運動機能障害、感覚機能障害、及び自律神経機能障害から選択される少なくとも一つの機能障害を伴う、項64に記載の治療及び/又は予防方法。
[項72]自律神経機能障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、心拍変動異常、又は排泄不全である、項65〜71のいずれか一項に記載の治療及び/又は予防方法。
本発明で用いる「脊髄損傷」には、「脊椎症に伴う脊髄損傷」が含まれる。「脊椎症に伴う脊髄損傷」は、脊椎の損傷部位により、「頸椎症に伴う脊髄損傷」、「胸椎症に伴う脊髄損傷」、「腰椎症に伴う脊髄損傷」、「仙椎症に伴う脊髄損傷」及び「尾椎症に伴う脊髄損傷」に分類される。本発明における「脊髄損傷」には、いずれの部位の損傷に伴うものも含まれる。

Claims (7)

  1. ゾニサミド又はそのアルカリ金属塩を有効成分とする、末梢神経障害の治療剤及び/又は予防剤。
  2. 末梢神経障害が、運動神経障害、感覚神経障害、及び自律神経障害から選択される少なくとも一つの神経障害を含む、請求項1に記載の治療剤及び/又は予防剤。
  3. 末梢神経障害が、少なくとも運動神経障害を含む、請求項2に記載の治療剤及び/又は予防剤。
  4. 運動神経障害が、麻痺、しびれ、筋力低下、脱力、筋萎縮、巧緻運動障害、手関節背屈障害、足関節背屈障害、垂れ足、反射低下、又は血管運動神経症状である、請求項2又は3に記載の治療剤及び/又は予防剤。
  5. 運動神経障害が、麻痺、又はしびれである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
  6. 感覚神経障害が、疼痛、知覚異常、又は振動覚異常である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
  7. 自律神経障害が、発汗異常、下痢、便秘、立ちくらみ、震え、動悸、又は心拍変動異常である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の治療剤及び/又は予防剤。
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