JP2021087389A - 農作物収穫用エンドエフェクタ、及び農作物収穫システム - Google Patents
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Abstract
【課題】収穫の際に主茎や枝を傷つけることを抑制して安全に収穫する。【解決手段】エンドエフェクタ1は、主茎92や枝に結実した収穫対象物91に対し果柄93を切断して収穫する農作物収穫用エンドエフェクタである。エンドエフェクタ1は、果柄を切断するための切断刃2が設けられるベース部材10と、自重で折れ曲がらずかつ湾曲可能な柔軟で長尺な部材で構成され、ベース部材から伸びて前記切断刃の周囲を囲う環状の通過部3を形成する柔軟部材20と、柔軟部材をベース部材から押し出す及びベース部材側に引き込むことで通過部を拡大及び縮小する拡縮機構30と、を備えている。拡縮機構は、通過部の内側に果柄を通した状態で柔軟部材をベース部材側へ引き込んで通過部を縮小させることで柔軟部材と切断刃とで果柄を挟み込んで切断する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、主茎や枝に結実した農作物を収穫するための農作物収穫用エンドエフェクタ、及び農作物収穫システムに関する。
近年、農作業の自動化を実現するため、農作物を自動で収穫するためのエンドエフェクタや農作物収穫用システムが提案されている。例えばロボットアームの先端にハサミ形状の刃を有するエンドエフェクタを設け、そのエンドエフェクタで果柄を切断することで、主茎や枝から果実を分離し収穫する構成が考えられている。しかしながら、刃物を用いて果柄を切断する構成の場合、エンドエフェクタを果柄に近づける際に刃部分が主茎や枝に接触して主茎や枝を傷つけてしまったり、さらには切断してしまったりするおそれがある。そして、主茎や枝の損傷や切断は、植物の様々な病気を引き起こす原因となり、ひどい場合には枯れてしまい、その結果、その後の収穫量の減少に繋がる。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、収穫の際に主茎や枝を傷つけることを抑制して安全に収穫することができる農作物収穫用エンドエフェクタ、及び農作物収穫システムを提供することにある。
請求項1に記載のエンドエフェクタ(1)は、主茎(92)又は枝に結実した収穫対象物(91)に対し果柄(93)を切断して前記収穫対象物を収穫する農作物収穫用エンドエフェクタである。エンドエフェクタ(1)は、前記果柄を切断するための切断刃(2)が設けられるベース部材(10)と、自重で折れ曲がらずかつ湾曲可能な柔軟で長尺な部材で構成され、前記ベース部材から伸びて前記切断刃の周囲を囲う環状の通過部(3)を形成する柔軟部材(20)と、前記柔軟部材を前記ベース部材から押し出す及び前記ベース部材に引き込むことで前記通過部を拡大及び縮小する拡縮機構(30)と、を備える。前記拡縮機構は、前記通過部の内側に前記果柄を通した状態で前記柔軟部材を前記ベース部材側へ引き込んで前記通過部を縮小させることで前記柔軟部材と前記切断刃とで前記果柄を挟み込んで切断する。
ここで、例えばハサミ形状のエンドエフェクタによって果柄を切断しようとした場合、ハサミ形状のエンドエフェクタを主茎や枝を切断できる位置まで移動する際に、果柄や枝の伸びる方向に対してハサミ形状のエンドエフェクタを直角方向に接近させる必要がある。すると、ハサミ形状のエンドエフェクタを移動させる際に刃先部分が主茎や枝に接触して、主茎や枝を傷つけてしまうおそれがある。
一方、本構成によれば、エンドエフェクタは、主茎等に結実した収穫対象物に対し収穫対象物の先端から収穫対象物全体を通過部に通すことで、すなわち、例えばミニトマトのような主茎から垂れ下がった収穫対象物に対し、房全体を下方からすくうようにして通過部に通すことで、エンドエフェクタを主茎や枝を切断できる位置まで移動させることができる。その際、柔軟部材は、切断刃の周囲を囲っているため、主茎が切断刃に接触することを抑制できる。その結果、切断刃によって主茎や枝を傷つけてしまうことを抑制できて安全に収穫対象物を収穫することができるという優れた効果が得られる。
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
<農作物収穫用エンドエフェクタの構成>
まず、農作物収穫用エンドエフェクタ1の構成について、主に図1〜図11を参照して説明する。本実施形態の農作物収穫用エンドエフェクタ1(以下、エンドエフェクタ1と称する)は、例えばトマト、ミニトマトやナスのように主茎から垂れ下がった状態で成長する果菜類や、リンゴやナシ、ブドウのように樹木の枝から垂れ下がった状態で成長する果樹類を収穫対象物として収穫することに用いることができる。
<農作物収穫用エンドエフェクタの構成>
まず、農作物収穫用エンドエフェクタ1の構成について、主に図1〜図11を参照して説明する。本実施形態の農作物収穫用エンドエフェクタ1(以下、エンドエフェクタ1と称する)は、例えばトマト、ミニトマトやナスのように主茎から垂れ下がった状態で成長する果菜類や、リンゴやナシ、ブドウのように樹木の枝から垂れ下がった状態で成長する果樹類を収穫対象物として収穫することに用いることができる。
エンドエフェクタ1は、図1〜図4等に示すように、全体として一方向にやや長い形状に構成されており、切断刃2、ベース部材10、柔軟部材20、拡縮機構30、及び把持機構40を備えている。以下の説明では、エンドエフェクタ1の長手方向すなわち柔軟部材20の伸縮方向のうち、ベース部材10に対して柔軟部材20が押し出される方向を、エンドエフェクタ1の前側とし、逆方向つまり柔軟部材20がベース部材10に引き込まれる方向をエンドエフェクタ1の後側とする。また、図1におけるエンドエフェクタ1の長手方向に対する直角方向を、エンドエフェクタ1の幅方向とする。そして、図3におけるエンドエフェクタ1の長手方向及び幅方向に対する直角方向を、エンドエフェクタ1の厚み方向とする。
ベース部材10は、柔軟部材20、拡縮機構30、及び把持機構40の土台となる構成であり、ケース部材11、取付部材12、下側ガイド部材13、カバー部材14、押え部材15、上側ガイド部材16、及び保護部材17を含んで構成されている。ケース部材11は、例えばエンドエフェクタ1の幅方向に長い矩形状であって、上面が開口した容器状に構成されている。ケース部材11は、連通部111を有している。連通部111は、ケース部材11にカバー部材14が取り付けられた状態でケース部材11の内部と外部とを連通するものであり、ケース部材11の後面側に設けられている。本実施形態の場合、連通部111は、切り欠き形状に形成されている。
取付部材12は、切断刃2及び把持機構40を取り付けるためのものである。取付部材12は、ケース部材11の前側にあって、環状に配置された柔軟部材20の内側に設けられている。ケース部材11と取付部材12とは一体に構成しても良いし、別体に構成しても良い。取付部材12は、図6等に示すように、少なくとも1つこの場合2つの摺動溝部121を有している。摺動溝部121は、取付部材12に対して把持機構40を前後方向へ摺動可能に取り付けるための構成である。摺動溝部121は、例えば取付部材12の下側面つまり裏面側から上側へ向かって溝形状に窪ませて形成されており、エンドエフェクタ1の前後方向つまり柔軟部材20の伸縮方向へ向かって伸びる溝形状に形成されている。
下側ガイド部材13は、取付部材12及び切断刃2の前側にあって、取付部材12の下側つまり切断刃2の下側に設けられている。下側ガイド部材13は、エンドエフェクタ1の後側から前側へ向かうにつれて、2つの先端がエンドエフェクタ1の幅方向の外側へ向かってV字状に開いた形状に形成されている。また、下側ガイド部材13は、エンドエフェクタ1の後方から前側へ向かってやや下降するように曲げて形成されている。すなわち、下側ガイド部材13の先端部は基端部に比べてやや下降している。これにより、柔軟部材20が柔軟部材20をベース部材10側へ引き込む際に、柔軟部材20がその自重により若干下方へ撓んだ場合であっても、柔軟部材20がベース部材10側へ引き込まれ易くなる。なお、下側ガイド部材13は、ケース部材11又は取付部材12と一体に構成しても良いし、別体に構成しても良い。
カバー部材14は、例えば板状に形成されており、ケース部材11に取り付けられてケース部材11の上側の開口を覆っている。押え部材15は、取付部材12の上面を覆っている。切断刃2は、取付部材12に着脱可能に固定されている。この場合、切断刃2は、例えば市販品を用いることができ、取付部材12と押え部材15との間に挟まれて固定される。取付部材12に対する押え部材15の固定は、ボルトなどを用いることができる。ユーザは、押え部材15を取付部材12から取り外すことで、切断刃2を交換することができる。
押え部材15は、切り欠き部151を有している。切り欠き部151は、エンドエフェクタ1の前側へ向かってU字状に開放した切り欠き形状に形成されている。切り欠き部151は、押え部材15が取付部材12の上面を覆った状態において切断刃2の上面の前側の一部を露出させる。
上側ガイド部材16は、押え部材15の前側にあって、取付部材12及び切断刃2の上側に設けられている。上側ガイド部材16は、下側ガイド部材13と同様に、エンドエフェクタ1の後側から前側へ向かうにつれて、2つの先端部161がエンドエフェクタ1の幅方向の外側へ向かってV字状に開いた形状に形成されている。本実施形態の場合、カバー部材14、押え部材15、及び上側ガイド部材16は、板状の部材によって一体に構成されている。なお、カバー部材14、押え部材15、及び上側ガイド部材16は、それぞれ別体に構成しても良い。
保護部材17は、ケース部材11に設けられている。保護部材17は、剛性を有する部材で構成されており、ケース部材11側から前側へ向かってエンドエフェクタ1の幅方向に広がって開放された形状いわゆる半環状に形成されている。保護部材17は、柔軟部材20の根元部分つまりケース部材11側の部分の外方を囲むようにして配置されている。保護部材17は、柔軟部材20が拡大した際の幅方向の寸法、つまり通過部3の最大幅寸法を規定する。この場合、上側ガイド部材16の両先端部161は、少なくとも保護部材17と重なっているか、又は保護部材17よりもエンドエフェクタ1の幅方向の外側に位置している。なお、保護部材17は、閉じた環状に形成することも出来る。
柔軟部材20は、自重で折れ曲がらずかつ湾曲可能な柔軟で長尺な部材で構成されている。なお、本実施形態において、柔軟部材20が自重で折れ曲がらないとは、例えば通過部3が最大サイズとなっている状態において、通過部3に収穫対象物を通過させることができる状態を維持できる程度に折れ曲がらなければ良く、柔軟部材20がその自重により若干たわむことまで否定するものではない。また、この場合、柔軟部材20は、当該柔軟部材20の長手方向に伸縮しないか、又は弾性的に若干伸縮するように構成されている。
柔軟部材20は、例えば金属製または樹脂製のワイヤや、動力を伝達するためのベルトで構成することができる。本実施形態の場合、柔軟部材20は、例えば歯付きベルト(コグドベルトとも称する)で構成されている。また、柔軟部材20は、Vベルトや平ベルトなどで構成することもできる。柔軟部材20をベルトやワイヤで構成する場合、柔軟部材20は市販品を用いることができる。
柔軟部材20は、ベース部材10この場合、ケース部材11から伸びて切断刃2の周囲を囲う環状の通過部3を形成する。すなわち、柔軟部材20は、柔軟部材20の全長の中央部分がケース部材11の外部に位置しているとともに、中央部分に対して両端側部分201、201がケース部材11内に引き込まれるようにして設けられている。これにより、柔軟部材20は、ケース部材11から伸びるように設けられて環状の通過部3を形成している。通過部3の最大径は、その内側に収穫対象物91を通過させることが可能なサイズに設定されている。
エンドエフェクタ1は、ベース部材10この場合ケース部材11に対して柔軟部材20を押し出し及び引き込むことで、つまりケース部材11に対して柔軟部材20を伸縮させることで、通過部3のサイズを拡大及び縮小可能に構成されている。以下の説明では、柔軟部材20の押し出し及び引き込み方向を、柔軟部材20の移動方向又は拡縮方向と称することがある。本実施形態の場合、柔軟部材20の移動方向又は拡縮方向は、エンドエフェクタ1の前後方向となる。
本実施形態の場合、エンドエフェクタ1は、受け部材21を備えていている。受け部材21は、例えば柔軟部材20とは別体であって、柔軟部材20よりも剛性の高い樹脂や金属などで構成されており、例えば柔軟部材20に挟み込まれるようにして取り付けられている。受け部材21は、柔軟部材20に沿って、かつ柔軟部材20の移動方向つまり拡縮方向に対して直角方向に伸びる板状に構成されている。受け部材21は、柔軟部材20の環状の先端部分、つまり、柔軟部材20の全長における中央部分に設けられている。換言すれば、受け部材21は、柔軟部材20において、ベース部材10側に引き込まれない部分に設けられている。なお、エンドエフェクタ1は、必ずしも受け部材21を備えている必要はない。また、受け部材21は、つまり柔軟部材20と同一の材質で一体に構成しても良い。
拡縮機構30は、柔軟部材20を、ベース部材10この場合ケース部材11から押し出す及びケース部材11に引き込むことで通過部3の径を拡大及び縮小する機能を有する。すなわち、拡縮機構30は、図5に示す駆動源31からの動力を柔軟部材20に伝達し、これにより柔軟部材20を伸縮させて通過部3のサイズを拡大及び縮小するためのものである。拡縮機構30は、通過部3の内側に果柄を通した状態で柔軟部材20をベース部材10のケース部材11側へ引き込んで通過部3を縮小させることで、柔軟部材20と切断刃2とで果柄を挟み込んで切断する機能を有する。
本実施形態において、拡縮機構30は、柔軟部材20の両端側部分201、201を押し出し及び引き込む構成である。拡縮機構30は、図2、図4、及び図5に示すように、駆動源31、駆動ギヤ32、第1軸受け33、第2軸受け34、第1従動部材35、第2従動部材36、及び補助部材37を有している。駆動源31は、例えば電気モータであり、ケース部材11の外部にあってケース部材11の下面側に設けられている。この場合、駆動源31は、回転力を発生する。
駆動ギヤ32、第1軸受け33、第2軸受け34、第1従動部材35、第2従動部材36、及び補助部材37は、ケース部材11の内部に収容されている。駆動ギヤ32、第1軸受け33、第2軸受け34、第1従動部材35、第2従動部材36、及び補助部材37は、駆動源31の駆動力を柔軟部材20に伝達する伝達機構を構成する。
駆動ギヤ32は、駆動源31の回転軸311に接続されて回転軸311と一体的に回転する。軸受け33、34は、例えばボールベアリングを含んで構成されており、それぞれケース部材11に固定されて、従動部材35、36を回転可能に支持する。従動部材35、36は、駆動源31の回転力を直接的又は間接的に受けて回転するとともにその回転を柔軟部材20に伝達する機能を有する。本実施形態の場合、第1従動部材35は、駆動ギヤ32を介して駆動源31の回転力を間接的に受ける。第2従動部材36は、駆動ギヤ32及び第1従動部材35を介して駆動源31の回転力を間接的に受ける。なお、第1従動部材35及び第2従動部材36は、駆動源31の回転軸311に直結されて駆動源31の駆動力を直接的に受ける構成としても良い。
第1従動部材35及び第2従動部材36は、同一構成であり、それぞれ従動ギヤ部351、361、及び伝達部352、362、を有している。従動ギヤ部351、361、及び伝達部352、362は、それぞれ軸受け33、34を中心に一体的に回転可能に構成されている。
本実施形態では、第1従動部材35の従動ギヤ部351を第1従動ギヤ部351と称し、第2従動部材36の従動ギヤ部361を第2従動ギヤ部361と称する場合がある。また、第1従動部材35の伝達部352を第1伝達部352と称し、第2従動部材36の伝達部362を第2伝達部362と称する場合がある。
駆動ギヤ32、第1従動ギヤ部351、及び第2従動ギヤ部361は、同一モジュールのギヤで構成されている。この場合、第1従動ギヤ部351と第2従動ギヤ部361のギヤ比は同一に設定されている。駆動ギヤ32と、第1従動ギヤ部351とは噛み合っている。また、第1従動ギヤ部351と第2従動ギヤ部361とは噛み合っている。
伝達部352、362は、それぞれ従動ギヤ部351、361と共通の回転軸を中心に、従動ギヤ部351、361と一体的に回転可能に構成されている。すなわち、第1伝達部352は、第1従動ギヤ部351と共通の回転軸である第1軸受け33を中心に、第1従動ギヤ部351と一体的に回転可能に構成されている。同様に、第2伝達部362は、第2従動ギヤ部361と共通の回転軸である第2軸受け34を中心に、第2従動ギヤ部361と一体的に回転可能に構成されている。
本実施形態の場合、柔軟部材20が歯付きベルトで構成されていることから、伝達部352、362は、歯付きベルトの歯と噛み合うことにより動力を伝達することができる歯付きプーリーで構成されている。なお、柔軟部材20が平ベルトやVベルトで構成されている場合、伝達部352、362は、それぞれ平ベルトやVベルトに対応した、例えば摩擦によって動力を伝達することができるプーリーで構成される。本実施形態の場合、柔軟部材20の両端側部分201、201には、それぞれ各伝達部352、362に接触して噛み合っている。これにより、従動ギヤ部351、361の回転は、柔軟部材20の両端側部分201、201に伝達される。
柔軟部材20をベルトやワイヤで構成する場合、柔軟部材20として市販品を用いることができる。また、柔軟部材20が使用により消耗した場合、ユーザは、カバー部材14をケース部材11から取り外した状態で、柔軟部材20を交換することができる。
補助部材37は、各伝達部352、362の周囲にあって、ケース部材11に回転可能に設けられている。柔軟部材20は、補助部材37と伝達部352、362との間に通されている。補助部材37は、柔軟部材20に接触して柔軟部材20の位置を規定しており、柔軟部材20と伝達部352、362との噛み合いが外れてしまうことを防いでいる。
この構成において、駆動源31の駆動により駆動ギヤ32が回転すると、その回転力は、駆動ギヤ32を介して第1従動ギヤ部351に伝達されるとともに、第1従動ギヤ部351を介して第2従動ギヤ部361に伝達される。これにより、第1従動部材35と第2従動部材36とが、相反する方向に回転する。そして、第1従動部材35及び第2従動部材36の回転は、各伝達部352、362を介して柔軟部材20の両端部側201、201に伝達される。すると、柔軟部材20の両端部側201、201が同じ速度で押し出し及び引き込まれて、これにより、柔軟部材20は、各従動部材35、36の回転方向に対応した方向へ伸縮、つまり押し出し又は引き込まれる。このように、エンドエフェクタ1は、駆動源31の回転方向を制御して駆動させることにより、柔軟部材20によって形成される通過部3のサイズを拡大又は縮小することができる。
なお、本実施形態において、柔軟部材20の両端部は、ケース部材11の連通部111からケース部材11の外部に引き出されている。そして、柔軟部材20の両端部をケース部材11側へ引き込んだ場合、つまり通過部3のサイズを縮小した場合、柔軟部材20の両端部は、ケース部材11の連通部111からケース部材11の外部へ押し出される。
これによれば、柔軟部材20の両端部をケース部材11側へ引き込んだ際に、その引き込んだ柔軟部材20をケース部材11内に収容する必要がないため、ケース部材11自体のサイズが大型化してしまうことを抑制でき、エンドエフェクタ1を小型なものにすることができる。また、この場合、ユーザは、カバー部材14をケース部材11から取り外すことなくケース部材11の外部から柔軟部材20を触ることができるため、調整等の作業性の向上を図ることができる。
なお、エンドエフェクタ1は、柔軟部材20の両端部をケース部材11側へ引き込んだ場合に、柔軟部材20の両端部を巻き取る機構を備えていても良い。この場合、柔軟部材20の両端部を巻き取る機構は、ケース部材11の内部に設けても良いし、外部に設けても良い。また、柔軟部材20の両端部をケース部材11側へ引き込んだ際の両端部分をケース部材11の内部に収容する構成において、その両端部分が他の構成と干渉等しなければ、上述したような柔軟部材20の両端部を巻き取る機構を設ける必要はない。
柔軟部材20の両端部を巻き取る機構は、例えば柔軟部材20の両端部を従動部材35、36の伝達部352、362にそれぞれ固定し、従動部材35、36の回転に伴って柔軟部材20の両端部側201、201を巻き取る構成とすることができる。この構成によれば、柔軟部材20の拡大又は縮小のための動力伝達に、柔軟部材20と伝達部352、262に必要となる歯や摩擦力が不要になるため、柔軟部材20を、歯付きベルトや平ベルト、Vベルトの他に、例えば細いリング状のワイヤや板ばねなどで構成することができる。
また、本実施形態において、拡縮機構30は、2つの伝達部352、362の間に、柔軟部材20の両端部側201、201を配置する構成としているが、伝達部252、362の両外側に柔軟部材20の両端部側201、201を配置する構成とすることも出来る。すなわち、拡縮機構30は、柔軟部材20の両端部側201、201の内側に伝達部352、352を配置する構成であっても良い。これによれば、柔軟部材20の両端部側201、201は、大きな曲率を描いて配置される、つまり、本実施形態の場合に比べて柔軟部材20の変形量が少なくなる。そのため、柔軟部材20が硬質のものであっても折れ曲がり等の破損が生じ難くなる。なお、この場合、柔軟部材20を押し出し及び引き込む際の駆動源31、第1従動部材35、及び第2従動部材36の回転方向は、本実施形態のものとは逆になる。
把持機構40は、ベース部材10に設けられている。本実施形態の場合、把持機構40は、ベース部材10の取付部材12に設けられている。把持機構40は、拡縮機構30が柔軟部材20をベース部材10に引き込み、柔軟部材20と切断刃2とで果柄を挟み込んで切断した場合に、柔軟部材20との間に切断した果柄を挟み込んで把持する機能を有する。これにより、果柄が切断された収穫対象物が落下しないようにすることができる。
本実施形態の場合、把持機構40は、図6に示すように、把持部材41、及び弾性部材42を有している。把持部材41は、取付部材12に摺動可能に設けられている。また、図7に示すように、把持部材41は、エンドエフェクタ1の厚み方向に見た場合に、押え部材15及び切断刃2と、下側ガイド部材13との間に設けられている。そして、エンドエフェクタ1の厚み方向に見た場合に、把持部材41は、柔軟部材20の少なくとも一部又は全部と、その厚み方向において重なっている。
把持部材41は、図7に示すように、接触部411、摺動部412、ばね受け部413、及び突出部414を有している。接触部411は、柔軟部材20の環状の先端部分、つまり柔軟部材20に設けられた受け部材21に対向する位置に設けられている。この場合、接触部411は、果柄に接触する部分であり、切断刃2及び受け部材21に平行に伸びる、すなわちエンドエフェクタ1の幅方向に長い板状に構成されている。また、この場合、受け部材21を含む柔軟部材20と、把持機構40の把持部材41とは、切断刃2を含んで環状に形成されており、その内側に収穫対象物を通すことが可能な通過部3を形成している。
摺動部412は、接触部411の背面側から取付部材12側へ向かって直線状に伸びる板状に構成されている。摺動部412は、図6及び図7に示すように取付部材12に形成された摺動溝部121内に摺動可能に配置されている。これにより、把持部材41は、受け部材21に対して接触部411との平行姿勢を保ったまま、エンドエフェクタ1の長手方向に沿って、つまり柔軟部材20の移動方向に沿って摺動することができる。ばね受け部413は、例えば摺動部412よりも大きく形成されており、弾性部材42の両端部のうち接触部411側を受ける機能を有する。
突出部414は、図7に示すように、把持部材41の接触部411に設けられている。この場合、突出部414は、接触部411の長手方向の全体、つまり接触部411におけるエンドエフェクタ1の幅方向の略全体に亘って設けられている。突出部414は、例えば断面が鋭角に形成することができるが、果柄を切断するものではない。すなわち、突出部414は、果柄に押し付けられた際にその果柄を切断しないが果柄に食い込む程度に鋭角に形成されている。突出部414は、例えば多数の角錐形状や円柱形状、若しくは半球状で構成することもできる。なお、把持部材41の突出部414に換えて、又は把持部材41の突出部414と共に、受け部材21に突出部414と同様の構成を設けても良い。
弾性部材42は、たとえばコイルばねで構成されており、取付部材12の摺動溝部121内に収容されている。弾性部材42は、把持部材41に対して、エンドエフェクタ1の前方、つまり柔軟部材20の前端部、換言すれば受け部材21側へ向かう方向へ弾性力を作用させている。これにより、接触部411を含む把持部材41は、取付部材12に対して弾性的に移動可能に構成されている。
接触部411を含む把持部材41は、取付部材12に対して受け部材21とは反対側への力が作用していない状態、つまり取付部材12側へ押し込まれる方向への外力を受けていない状態では、図6及び図7に示すように、切断刃2よりも通過部3の中心側に突出して切断刃2の一方の面、この場合、押え部材15とは反対側の面つまり下面を覆っている。
また、図8から図9にかけて示すように、柔軟部材20がベース部材10側へ引き込まれると、接触部411を含む把持部材41は、柔軟部材20によって通過部3の中心とは反対方向への力、つまり取付部材12側へ押し込まれる方向への外力を受ける。すると、接触部411を含む把持部材41は、図10及び図11に示すように、切断刃2の刃先よりも通過部3の中心とは反対方向へ移動する。これにより、切断刃2によって果柄を切断可能な程度に切断刃2が露出する。
この構成において、エンドエフェクタ1は、図8及び図9に示すように、拡縮機構30を駆動させて柔軟部材20の両端側部分201、201をベース部材10側つまりエンドエフェクタ1の後方へ引き込む。そして、柔軟部材20に設けられた受け部材21と切断刃2の刃先との距離が無くなると、つまり柔軟部材20に設けられた受け部材21が切断刃2の下側まで移動すると、通過部3が実質的に消失する。このとき、例えば図23及び図25に示すように、把持部材41の接触部411と柔軟部材20に設けられた受け部材21との間に果柄93が存在していれば、エンドエフェクタ1は、露出した切断刃2によってその果柄93を切断するとともに、突出部414を果柄93に食い込ませた状態で接触部411と受け部材21との間に果柄93を挟み込んで把持することができる。
この場合、拡縮機構30の駆動を制御することにより、または柔軟部材20のベース部材10側への移動を規制する構成を設けることにより、把持部材41の接触部411と受け部材21との間に隙間を形成するようにしても良い。すなわち、柔軟部材20がベース部材10側の移動端まで引き込まれた状態において、把持部材41の接触部411と受け部材21とが所定距離で離間した状態に維持する構成としても良い。
これにより、エンドエフェクタ1は、果柄93を把持する際に、把持部材41の接触部411と受け部材21が完全には接触しないため、果柄93を潰したり切断したりして、収穫対象物91を落としてしまうことを抑制できる。
なお、所定距離つまり果柄93を把持する際の把持部材41の接触部411と受け部材21との離間距離は、0より大きい値であって、かつ例えば果柄の外径の平均値よりもやや小さい値に設定することが望ましい。これにより、エンドエフェクタ1は、把持部材41に設けられた突出部414を果柄93に食い込ませて収穫対象物91の果柄93をより確実に把持することができる。
また、エンドエフェクタ1は、拡縮機構30を駆動させて柔軟部材20をベース部材10とは反対側つまりエンドエフェクタ1の前方へ押し出すように移動させることで、通過部3を拡大させることができる。これにより、把持部材41の接触部411及び突出部414と柔軟部材20に設けられた受け部材21とで挟み込んで保持していた果柄93を解放することができる。
<農作物収穫システム>
次に、エンドエフェクタ1を用いた農作物収穫システムの一例について、図12〜図27も参照して説明する。図12に示す農作物収穫システム50は、収穫対象物91の農作物にミニトマトを設定した例である。本実施形態では、複数の実で構成された房全体を収穫対象物91とする。本実施形態の農作物収穫システム50は、複数のミニトマトを房ごと収穫することができる。
次に、エンドエフェクタ1を用いた農作物収穫システムの一例について、図12〜図27も参照して説明する。図12に示す農作物収穫システム50は、収穫対象物91の農作物にミニトマトを設定した例である。本実施形態では、複数の実で構成された房全体を収穫対象物91とする。本実施形態の農作物収穫システム50は、複数のミニトマトを房ごと収穫することができる。
ミニトマトのような収穫対象物91は、主茎92から果柄93を介して垂れ下がった状態で結実している。市場での販売を目的とした商品用のミニトマトは、ビニールハウスで育てられることが多い。この場合、主茎92の先端部は、ビニールハウスの天井付近に配置されたレールに吊り下げられている。これにより、主茎92は、地面から天井付近へ向かって斜め上方に傾斜するように伸びている。
なお、本実施形態の農作物収穫システム50の収穫対象物は、その実が主茎又は結実母枝から垂れ下がった状態で結実するものであれば、ミニトマトに限定されない。また、収穫対象物は、必ずしも主茎又は結実母枝から垂直下方へ垂れ下がっている必要はない。更には、収穫対象物は、主茎又は結実母枝から上方へ向かって実っているものでも良い。なお、本実施形態では、主茎及び枝とは、いずれも収穫作業によって生じる損傷等から保護する対象であり、技術的には同義のものとして扱う。
本実施形態の農作物収穫システム50は、エンドエフェクタ1に加えて、視覚装置51、ロボットアーム52、運搬装置53、及び回収箱54を更に備えている。視覚装置51は、収穫対象物91の位置情報を含む視覚情報を取得可能な装置である。視覚装置51は、例えばステレオカメラ、ToF(Time of Flight)カメラ、ストラクチャードライトスキャナ等の3次元の空間及び物体を計測することができる装置である。
本実施形態の場合、視覚装置51が取得する視覚情報には、収穫対象物91の位置情報及び外形形状情報の他、色情報も含まれる。また、視覚装置51が取得する視覚情報には、主茎92の位置情報、外形形状情報、及び色情報も含まれるが、果柄93の位置情報、外形形状情報、及び色情報は含んでいても含んでいなくても良い。すなわち、本実施形態の場合、視覚装置51は、収穫対象物91及び主茎92の位置情報、外形形状情報、及び色情報については取得するが、果柄93の位置情報、外形形状情報、及び色情報については必ずしも取得する必要はない。
本実施形態の場合、視覚装置51は、図示しない取り付け用のステーを介してエンドエフェクタ1のベース部材10、この場合、カバー部材14に取り付けられている。すなわち、本実施形態の場合、エンドエフェクタ1は、視覚装置51を含んで構成されている。この場合、エンドエフェクタ1の移動に伴って視覚装置51も移動する。なお、視覚装置51は、必ずしもエンドエフェクタ1に取り付けられている必要はない。視覚装置51は、例えばロボットアーム52に取り付けても良いし、運搬装置53に取り付けても良い。また、視覚装置51は、例えば図示しないビニールハウスの構造物に取り付けて、常に定位置を維持する構成としても良い。
ロボットアーム52は、例えば複数の駆動軸、この場合6つの駆動軸を有する6軸垂直多関節ロボットである。エンドエフェクタ1は、ロボットアーム52の手先に取り付けられている。ロボットアーム52は、エンドエフェクタ1を任意の位置に移動させるとともに任意の姿勢に回転させることができる。
運搬装置53は、エンドエフェクタ1を取り付けたロボットアーム52と、回収箱54とを、収穫対象物91まで運搬するための構成である。運搬装置53は、例えばタイヤ532を駆動するための図示しないモータを有しており、外部からの制御等によって任意の位置に移動することができる。回収箱54は、エンドエフェクタ1で果柄93を切断して収穫した収穫対象物91を収容し回収するための箱である。回収箱54は、例えば上側か開口した容器状に形成されており、運搬装置53に設置されている。なお、例えばビニールハウス等の設備が、ベルトコンベヤー等のような収穫対象物91を搬送する装置を備えている場合は、回収箱54を削減することができる。
また、農作物収穫システム50は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531を備えている。エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531は、それぞれエンドエフェクタ1の主に拡縮機構30、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53に付随する例えば専用の装置であり、例えば運搬装置53に設けられている。
エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531は、それぞれ例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域を有するマイクロコンピュータと、エンドエフェクタ1の主に拡縮機構30、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53に駆動力となる電力を供給するための電力回路等を主体に構成されている。エンドエフェクタ1の拡縮機構30、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53は、それぞれエンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531からの指令に基づいて駆動制御される。
制御装置60は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531を介して、それぞれエンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53を制御するためのものである。制御装置60は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531のそれぞれに有線又は無線によって通信可能に接続されている。この場合、制御装置60は、例えばLANやWAN、若しくはインターネットや携帯電話回線等の電気通信回線80を介してエンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531に接続されていても良い。
制御装置60は、図12に示すように、例えばCPU601や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域602を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。制御装置60は、エンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53に対して駆動指令を出すとともに、エンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53からフィードバックを受ける。制御装置60は、エンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53のいずれにも付随しない汎用の制御装置である。すなわち、制御装置60は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531に対して指令を出す上位の装置である。制御装置60は、例えばパーソナルコンピュータやサーバ等で構成することができる。
記憶領域602は、農作物収穫システム用のプログラムを記憶している。制御装置60は、CPU601において農作物収穫システム用のプログラムを実行することにより、収穫対象物検出処理部61、位置情報特定処理部62、移動経路生成処理部63、移動処理部64、切断処理部65、負荷検出処理部66、過負荷時復帰処理部67、及び回収処理部68等を、ソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、これら位置情報特定処理部62、移動経路生成処理部63、移動処理部64、切断処理部65、負荷検出処理部66、過負荷時復帰処理部67、及び処理部68は、例えば制御装置60と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
収穫対象物検出処理部61は、収穫対象物検出処理を実行可能である。収穫対象物検出処理は、視覚装置51で取得した視覚情報から、視覚装置51の視野内に収穫対象物91が存在しているか否かを検出する処理を含む。この場合、視覚装置51で取得する視覚情報は、図13に示すように、ポイントクラウドと称される点群データで構成されている。この視覚情報は、例えばX−Y−Z直交座標系上に配置された点群で構成されており、各点についてのRGB(R:Red、G:Green、B:Blue)の色情報と、視覚装置51を基準とした深度情報(D:Depth)つまりX−Y−Z直交座標系における位置情報と、を含んでいる。図13の例の場合、収穫対象物であるミニトマト91については赤色が検出され、主茎92については緑色が検出されている。なお、視覚装置51は、視覚情報として例えば赤外線カメラによりモノクロ値を取得しても良い。
収穫対象物検出処理部61は、点群の外形を認識することで、収穫対象物91や主茎92の外形形状を認識することができる。この場合、果柄93は、収穫対象物91や主茎92に比べて細い。そのため、視覚装置51によって果柄93の視覚情報を取得しようとすると、視覚装置51の性能や分解能を上げる必要があり、ハードウェアコストが増大する。また、視覚装置51の処理負荷及び、取得した視覚情報を用いた制御装置60による処理負荷も増大する。そこで、本実施形態においては、視覚装置51は、果柄93の視覚情報を積極的には取得しないように構成している。これにより、視覚装置51や制御装置60の処理負荷を低減することができる。
収穫対象物検出処理部61は、まず、視覚装置51で取得した視覚情報から、収穫対象物91の色値が高い点群データを抽出する。本実施形態の場合、収穫対象物検出処理部61は、ミニトマト91の色である赤色値が高い点群データを抽出する。そして、収穫対象物検出処理部61は、例えば取得した視覚情報の中に赤色値の高い点群が所定範囲以上存在している場合には、取得した視覚情報に収穫対象物91が含まれている、つまり視覚装置51の視野内に収穫対象物であるミニトマト91が存在していると判断する。
一方、収穫対象物検出処理部61は、取得した視覚情報の中に存在する赤色値の高い点群が所定範囲未満である場合には、取得した視覚情報に収穫対象物91が含まれていない、つまり視覚装置51の視野内に収穫対象物であるミニトマト91が存在していないと判断する。このように、収穫対象物検出処理部61は、取得した視覚情報のうち赤色値の高い点群を収穫対象物であるミニトマト91であると認識する。なお、収穫対象物検出処理部61は、視覚情報に含まれるX−Y−Z直交座標系上に配置された点群の情報すなわち3次元点群情報や、赤外線カメラによりモノクロ値から、収穫対象物91や主茎92を認識する構成としても良い。
位置情報特定処理部62は、位置特定処理を実行可能である。位置特定処理は、図14に示すように、視覚装置51で取得した視覚情報から収穫対象物91の先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とを含む収穫対象物91の位置を特定する処理を含む。本実施形態において、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)は、主茎92を基準にして収穫対象物91全体の先端側の位置を意味し、収穫対象物91全体において主茎92から最も離れた端部である。また、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)は、主茎92を基準にして収穫対象物91全体の基端側の位置を意味し、収穫対象物91全体において主茎92に最も近い端部である。
この場合、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の外方とは、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)に対して収穫対象物91全体の外方つまり先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)に対して主茎92から離れる方向を意味する。また、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の外方とは、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)に対して収穫対象物91全体の外方つまり基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)に対して主茎92に近づく方向を意味する。
ミニトマトのような収穫対象物91は主茎92から垂れ下がっている。そのため、この場合、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)は収穫対象物91の下端位置となり、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)は、収穫対象物91の上端位置となる。以下では、収穫対象物91の先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)とし、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)として説明する。この場合、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の外方は、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の下方となり、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の外方は、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の上方となる。
位置情報特定処理部62は、収穫対象物検出処理部61で検出した収穫対象物91の点群データつまり赤色値の高い点群データの中から、Z値が最小となる点を抽出して収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を特定するとともに、Z値が最大となる点を抽出して収穫対象物91の上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を特定する。
ここで、実際にZ値が最小となっている最下点及びZ値が最大となる最上点のデータのみを用いて下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を特定すると、視覚装置51で取得した視覚情報にノイズ等が混ざっていた場合に、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の座標にブレが生じ易くなる。そこで、本実施形態の場合、位置情報特定処理部62は、収穫対象物検出処理部61で検出した収穫対象物91の点群データつまり赤色値の高い点群データの中のうち、Z値が最小となる最下点、及びその最下点からZ値がプラス方向に所定範囲内例えば上方に20mmの範囲内の点群データの平均値を算出し、その平均値を下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)とする。
同様に、位置情報特定処理部62は、収穫対象物検出処理部61で検出した収穫対象物91の点群データつまり赤色値の高い点群データのうち、Z値が最大となる最大点、及びその最大点からZ値がマイナス方向に所定範囲内例えば下方に20mmの範囲内の点群データの平均値を算出し、その平均値を上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とする。
また、位置情報特定処理部62は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)までの途中の位置である中間位置Ph(X、Y、Z)を特定する処理を更に実行可能である。位置情報特定処理部62は、例えば下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とのZ方向の中間位置の座標を、中間位置Ph(X、Y、Z)として取得する。
この場合、中間位置Ph(X、Y、Z)のZ値は、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)のZ値と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)のZ値と平均値、すなわち、Ph(Z)=(下端位置Pb(Z)+上端位置Pt(Z))/2となる。また、中間位置Ph(X、Y、Z)のX値及びY値は、Ph(Z)における平均値となる。なお、中間位置Ph(X、Y、Z)を複数設定することもできる。この場合、中間位置Phの数をN個とすると、Ph(Z)=(下端位置Pb(Z)+上端位置Pt(Z))/(N+1)となる。
また、位置情報特定処理部62は、上述した位置特定処理において、収穫対象物91と繋がっている果柄93の位置情報を用いることなく収穫対象物91の位置情報、この場合、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、及び中間位置Ph(X、Y、Z)を特定することができる。
また、図14等に示すように、収穫対象物検出処理部61は、視覚装置51で取得した視覚情報から、主茎92についての視覚情報、この場合、主茎92の位置情報を含む形状、及び色情報を取得することができる。収穫対象物検出処理部61は、収穫対象物91の場合と同様に、視覚装置51で取得した視覚情報から、主茎92の色である緑色値が高い点群データを抽出する。そして、収穫対象物検出処理部61は、例えば取得した視覚情報の中に緑色値の高い点群が所定範囲以上存在している場合には、その緑色値の高い点群を主茎92であると認識する。
移動経路生成処理部63は、移動経路生成処理を実行可能である。移動経路生成処理は、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)から、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を通り終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)に至るまでのエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する処理を含む。この場合、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から所定距離直下の位置、例えば数十mm下方の位置に設定することができる。また、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)は、収穫対象物91の上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)から所定距離直上の位置、例えば数十mm上方の位置に設定することができる。
また、移動経路生成処理部63は、図14に示すように、中間位置Ph(X、Y、Z)を通過するようにエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する。この場合、エンドエフェクタ1の移動経路Rは、Z方向に隣接する各位置、すなわち、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)と、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と、中間位置Ph(X、Y、Z)と、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)と、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)と、を順に直線で繋いだ経路となる。
移動処理部64は、移動処理を実行可能である。移動処理は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動制御し、図16〜図20に示すように、移動経路Rに沿ってエンドエフェクタ1を移動させ、これにより通過部3に収穫対象物91を通す処理を含む。この場合、エンドエフェクタ1側の基準は、例えば図3及び図4に示す基準点Pcに設定されている。基準点Pcは、通過部3内における任意の位置、例えば中心位置に設定されている。移動処理部64は、基準点Pcが移動経路R上に沿うように、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動制御する。
切断処理部65は、切断処理を実行可能である。切断処理は、移動処理によって通過部3に対する収穫対象物91の通過が完了した後に実行される。切断処理は、図21〜図25に示すように、エンドエフェクタ1を動作させて、つまりエンドエフェクタ制御部4を介して拡縮機構30を駆動し、柔軟部材20をベース部材10側へ引き込んで通過部3を縮小させることで、通過部3の内側に通された果柄93を切断する処理を含む。
負荷検出処理部66は、柔軟部材20の移動の際に柔軟部材20に作用する負荷の検出を行う。これにより、負荷検出処理部66は、柔軟部材20が正常にベース部材10側に引き込まれているか否かを検出する。すなわち、負荷検出処理部66は、柔軟部材20を引き込む際の過負荷を検出することで、主茎92や果柄93などを巻き込んで柔軟部材20の引き込みが規制されていないか等を検出することができる。モータで構成された駆動源31がエンコーダを備える場合、負荷検出処理部66は、そのエンコーダが出力する信号に基づいて、柔軟部材20に作用する負荷を検出しても良い。また、負荷検出処理部66は、駆動源31の電流値つまりトルクを計測することで、柔軟部材20に作用する負荷を検出することもできる。
また、エンコーダや電流値を計測する代わりに、例えば柔軟部材20の移動位置を検出するためのセンサ等を用いても良い。この場合、センサは、例えば取付部材12に設けられており、柔軟部材20の特定位置または受け部材21に設けられた被検出部を検出する。そして、負荷検出処理部66は、エンドエフェクタ制御部4が柔軟部材20を引き込む方向へ移動させる制御を行っているにもかかわらず、センサの検出が無ければ、柔軟部材20の移動が規制されて過負荷が生じていると判断する。
また、センサは、把持部材41の移動つまり位置を検出するものでも良い。すなわち、負荷検出処理部66は、エンドエフェクタ制御部4が柔軟部材20を引き込む方向へ移動させる制御を行っているにもかかわらず、把持部材41のベース部材10側への移動が検出されなければ、柔軟部材20の移動が規制されて過負荷が生じていると判断しても良い。
過負荷時復帰処理部67は、過負荷時復帰処理を実行可能である。過負荷時復帰処理は、切断処理を実行している際に過負荷が検出された場合に、柔軟部材20による果柄93の切断及び把持を解放する処理を含む。過負荷時復帰処理部67は、過負荷時復帰処理を実行すると、エンドエフェクタ制御部4を介して拡縮機構30を駆動制御し、柔軟部材20をエンドエフェクタ1の前方つまり開く方向へ移動させて通過部3を拡大する。これにより、柔軟部材20と把持部材41とによる果柄93の把持が解放される。
そして、過負荷時復帰処理部67は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動制御し、移動処理とは逆の順、すなわち、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)から、収穫対象物91の上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、中間位置Ph(X、Y、Z)、及び下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を通り、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)に至るように、移動経路Rに沿ってロボットアーム52を移動させる。
回収処理部68は、回収処理を実行可能である。回収処理は、切断処理によって果柄93を切断及び把持している収穫対象物91を、回収箱54に投入して収穫対象物91を回収する処理である。回収処理部68は、切断処理後、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させて、収穫対象物91の果柄93を把持した状態で回収箱54の上方近傍までエンドエフェクタ1を移動させる。そして、回収処理部68は、回収箱54の上方近傍でエンドエフェクタ1による果柄93の把持を解放し、収穫対象物91を回収箱54内に落下又は配置させる。このようにして、主茎92から切り離された収穫対象物91が回収箱54内に回収される。
次に、図15のフローチャートに沿って、農作物収穫システム50において実行される、収穫対象物91を収穫するための収穫動作の一連の制御内容について説明する。なお、以下の説明において、各処理部61〜68で実行される処理の主体は制御装置60とする。本実施形態では、主茎92に沿って収穫区間が設定されている。運搬装置53は、主茎92に沿って移動し、主茎92に実っている収穫対象物91を主茎92に沿って順次収穫していく。
図15のフローチャートにおいて、ステップS13、S14における処理は、収穫対象物検出処理の一例である。ステップS15における処理は、位置特定処理の一例である。ステップS16、S17における処理は、移動経路生成処理の一例である。ステップS18、S19における処理は、移動処理の一例である。ステップS20における処理は、一例である。ステップS22、23における処理は、回収処理の一例である。ステップS21における処理は、過負荷検出処理の一例である。そして、ステップS24、S25における処理は、過負荷時復帰処理の一例である。
制御装置60は、まずステップS11において、運搬装置制御部531から受信した情報等に基づき、運搬装置53の現在の位置を特定し、運搬装置53の現在位置が収穫区間の終点であるか否かを判断する。制御装置60は、運搬装置53の現在位置が収穫区間の終点である場合(ステップS11でYES)、次の収穫対象物91は存在しないと判断し、一連の制御を終了する。一方、制御装置60は、運搬装置53の現在位置が収穫区間の終点でない場合(ステップS11でNO)、収穫対象物91が未だ存在すると判断する。そして、制御装置60は、ステップS12に処理を移行し、運搬装置制御部531を介して運搬装置53を駆動させ、次の収穫地点へ運搬装置53を移動させる。
次に、制御装置60は、ステップS13、S14において、収穫対象物検出処理を実行する。制御装置60は、ステップS13において、制御装置60は、視覚装置制御部511を介して視覚装置51を駆動させ、収穫対象物91側を撮像する。そして、制御装置60は、ステップS14において、視覚装置51で撮像した視覚情報、この場合、画像情報に収穫対象物91が含まれているか否かを判断する。
ステップS14において収穫対象物91が検出されなかった場合(ステップS14でNO)、制御装置60は、運搬装置53を駆動させて、運搬装置53を次の収穫地点へ移動させる。一方、ステップS14において収穫対象物91が検出された場合(ステップS14でYES)、制御装置60は、ステップS15へ処理を移行させる。制御装置60は、ステップS15において位置特定処理を実行し、視覚装置51で取得した視覚情報に基づき、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、及び中間位置Ph(X、Y、Z)を特定する。
次に、制御装置60は、ステップS16、S17において移動経路生成処理を実行する。まず制御装置60は、ステップS16において、ステップS15で特定した下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)に基づき、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)を算出する。次に、制御装置60は、ステップS17へ処理を移行し、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)から収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を通り終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)に至るまでのエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する。
次に、制御装置60は、ステップS18、S19において移動処理を実行し、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させる。この場合、制御装置60は、まずステップS18において、図18に示すように、エンドエフェクタ1の基準点Pcが始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)と一致するようにエンドエフェクタ1を移動させる。そして、制御装置60は、ステップS19において、図16から図20にかけて示すように、移動経路Rにエンドエフェクタ1の基準点Pcを沿わせながらエンドエフェクタ1を終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)まで移動させる。
これにより、エンドエフェクタ1は、通過部3に収穫対象物91を通して収穫対象物91を下方からすくい上げるように移動した後、収穫対象物91を上側に超えた位置に移動する。このとき、通過部3の内側には、収穫対象物91と主茎92とを繋ぐ果柄93が存在している。そして、収穫対象物91と主茎92とは、それぞれ通過部3に対して下方外側及び上方外側に位置している。
次に、制御装置60は、図15のステップS20において切断処理を実行し、エンドエフェクタ制御部4を介してエンドエフェクタ1を駆動させる。制御装置60は、拡縮機構30の駆動源31を駆動させて柔軟部材20をベース部材10側へ引き込む。すると、図21から図25にかけて示すように、まず柔軟部材20に設けられた受け部材21が果柄93に接触し、これにより柔軟部材20の移動に伴って果柄93がベース部材10側に引き込まれる。
そして、柔軟部材20が更にベース部材10側へ移動し、柔軟部材20の受け部材21が把持部材41の両端部に接触すると、柔軟部材20に設けられた受け部材21と把持部材41の接触部411との間の距離が一定に維持され、これにより、果柄93は、把持部材41に設けられた突出部414が果柄93に食い込んだ状態で、柔軟部材20に設けられた受け部材21と把持部材41の接触部411との間に挟まれて把持される。そして、図26に示すように、柔軟部材20が更にベース部材10側へ移動すると、図27に示すように、切断刃2によって果柄93が切断される。これにより、収穫対象物91は、主茎92から分離される。
図15のステップS20において切断処理を実行している間、制御装置60は、ステップS21において過負荷検出処理を実行する。過負荷の検出が無かった場合(ステップS21でNO)、制御装置60は、主茎92や果柄93が絡まることなく果柄93が切断されたと判断し、ステップS22、S23へ処理を移行させる。
制御装置60は、ステップS22、S23において、回収処理を実行する。この場合、制御装置60は、まずステップS22において、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させ、エンドエフェクタ1を回収箱54の上方近傍まで移動させる。そして、エンドエフェクタ1を回収箱54の上方近傍まで移動すると、制御装置60は、ステップS23において、エンドエフェクタ制御部4を介して拡縮機構30を駆動制御し、柔軟部材20をエンドエフェクタ1の前方つまり通過部3を拡大する方向へ押し出して、果柄93の把持を解放し、収穫対象物91を回収箱54内に落下又は配置させる。このようにして、主茎92から切り離された収穫対象物91が回収箱54内に回収される。そして、制御装置60は、ステップS11へ処理を戻し、次の収穫対象物91の収穫を行う。
一方、ステップS21において過負荷の検出が検出された場合(ステップS21でYES)、つまり、切断処理を行ったにもかかわらず柔軟部材20がベース部材10側に適正量引き込まれなかった場合、制御装置60は、主茎92や果柄93が絡まって果柄93の切断が適切に行われていないと判断し、ステップS24、S25へ処理を移行させる。この場合、柔軟部材20の移動量つまり引き込み及び引出し量は、回転軸311及び従動部材35、36に相関する。そのため、制御装置60は、エンコーダー等によって回転軸311や従動部材35、36の回転数を検出することで、柔軟部材20の適正な引き込み量を判断することができる。
制御装置60は、ステップS24、S25において、過負荷時復帰処理を実行する。この場合、制御装置60は、まずステップS24において、エンドエフェクタ制御部4を介して拡縮機構30を駆動制御し、柔軟部材20をエンドエフェクタ1の前方つまり通過部3を拡大する方向へ押し出して果柄93の把持を解放する。次に、制御装置60は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させ、エンドエフェクタ1の基準点Pcが、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)から、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、中間位置Ph(X、Y、Z)、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を通り、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)に至るように、移動経路Rを逆方向に移動させる。そして、制御装置60は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させ、エンドエフェクタ1を初期位置つまり運搬装置53が駆動する際の位置に戻し、ステップS11へ処理を戻し、次の収穫対象物91の収穫を行う。
以上説明した実施形態によれば、エンドエフェクタ1は、主茎92等から垂れ下がった収穫対象物91に対し果柄93を切断して収穫対象物91を収穫するためのものである。エンドエフェクタ1は、ベース部材10と、柔軟部材20と、拡縮機構30と、を備える。ベース部材10は、果柄93を切断するための切断刃2が設けられる。柔軟部材20は、自重で折れ曲がらずかつ湾曲可能な柔軟で長尺な部材で構成されている。柔軟部材20は、ベース部材10この場合ケース部材11から伸びて切断刃2の周囲を囲う環状の通過部3を形成する。拡縮機構30は、柔軟部材20をベース部材10から押し出す及びベース部材10側、この場合、ケース部材11に引き込むことで通過部3を拡大及び縮小する。そして、拡縮機構30は、通過部3の内側に果柄93を通した状態で柔軟部材20をベース部材10側、この場合、ケース部材11へ引き込んで通過部3を縮小させることで柔軟部材20と切断刃2とで果柄93を挟み込んで切断する。
ここで、例えばハサミ形状のエンドエフェクタによって果柄93を切断しようとした場合、ハサミ形状のエンドエフェクタを主茎92や枝を切断できる位置まで移動する際に、果柄93や枝の伸びる方向に対してハサミ形状のエンドエフェクタを直角方向に接近させる必要がある。すると、ハサミ形状のエンドエフェクタを移動させる際に刃先部分が主茎92や枝に接触して、主茎92や枝を傷つけてしまうおそれがある。
一方、本実施形態によれば、エンドエフェクタ1は、主茎92等から垂れ下がった収穫対象物91に対し、収穫対象物91の下方から収穫対象物91全体をすくうようにして通過部3に通すことで、エンドエフェクタ1を主茎92や枝を切断できる位置まで移動させることができる。その際、柔軟部材20は、切断刃2の周囲を囲っているため、主茎92が切断刃2に接触することを抑制でき、その結果、切断刃2によって主茎92や枝を傷つけてしまうことを抑制できて安全に収穫対象物91を収穫することができるという優れた効果が得られる。
また、柔軟部材20は、自重で折れ曲がらずかつ湾曲可能な柔軟で長尺な部材で構成されている。これによれば、柔軟部材20が自重で折れ曲がって通過部3が変形したり消失してしまったりすることを防ぐことができる。そのため、より確実に収穫対象物91を通過部3の内側に通すことができ、その結果、エンドエフェクタ1による収穫対象物91の収穫をより確実に行うことができる。
更に、柔軟部材20は、柔軟な部材で構成されている。このため、柔軟部材20の押し出し量を変更することで通過部3のサイズを変更することができ、また、保護部材17の形状を変えることで、柔軟部材20を押し出した際の通過部3の形状を縦長や横長の楕円といった形状に変更することができる。このため、本実施形態によれば、収穫対象物91のサイズや形状に合わせて通過部3のサイズや形状を容易に変更することができるため、多種の収穫対象物に柔軟に対応することができる。
また、柔軟部材20は、柔軟な部材で構成されていることから、柔軟部材20が収穫対象物91や主茎92に接触した際に、収穫対象物91や主茎92に与えるダメージを極力抑制することができる。その結果、柔軟部材20によって主茎92や枝、収穫対象物91を傷つけてしまうことを抑制できて安全に収穫対象物91を収穫することができるという優れた効果が得られる。
この場合、柔軟部材20は、柔軟な部材で構成されていることから、収穫対象物91に倣いながら縮小する。このため、本実施形態によれば、エンドエフェクタ1は、拡縮機構30によって柔軟部材20を引き込むだけで最終的に果柄93を切断することができる。このため、本実施形態によれば、果柄93を切断するための高度な制御が不要となるため、簡単な制御構成とすることができ、その結果、制御の負荷を低減することができる。
また、エンドエフェクタ1は、把持機構40を更に備えている。把持機構40は、ベース部材10に設けられている。把持機構40は、拡縮機構30が柔軟部材20をベース部材10側に引き込んで、柔軟部材20と切断刃2とで果柄93を挟み込んで切断した場合に、柔軟部材20との間に切断した果柄93を挟み込んで把持する機能を有する。
これによれば、エンドエフェクタ1は、切断した果柄93を把持することで、収穫対象物91がエンドエフェクタ1から落下してしまうことを抑制できる。これにより、エンドエフェクタ1による収穫対象物91の収穫の成功率を向上させることができる。また、落下によって収穫対象物91が傷ついてしまい、商品価値が低下してしまうことを抑制できる。
把持機構40は、当該把持機構40に力が作用していない状態では切断刃2よりも通過部3の中心側に突出して切断刃2が通過部3側に突出しないように切断刃2を覆っており、通過部3の中心側とは反対側への力を受けた場合に切断刃2を露出させる機能を有する。すなわち、本実施形態の場合、把持機構40は、把持部材41と弾性部材42とを有する。把持部材41は、弾性部材42の作用により、ベース部材10この場合、取付部材12に対して弾性的に移動可能に構成されている。そして、把持部材41は、接触部411に力が作用していない状態では、図7に示すように、切断刃2よりも通過部3の中心側に突出しており、切断刃2の一方の面、この場合、下面を覆っている。これにより、例えば作業者の手指が切断刃2に触れてしまい怪我等をしてしまうことを抑制でき、その結果、作業時の作業者に対する安全性を向上させることができる。
また、把持機構40の把持部材41は、通過部3の中心とは反対方向への力を受けた場合には切断刃2の刃先よりも通過部3の中心とは反対方向へ移動する。本実施形態の場合、把持部材41は、図11に示すように、エンドエフェクタ1の後方側への力を受けた場合には切断刃2の刃先よりも後方側へ引っ込み、これにより切断刃2が露出する。これにより、エンドエフェクタ1は、切断刃2によって果柄93を確実に切断することができる。
ここで、本願発明者は、把持機構40と柔軟部材20に設けられた受け部材21とによって果柄93を把持する際に、把持機構40と受け部材21とが接触する程度まで接近させてしまうと、果柄93を押し潰してしまい、その結果、果柄93から水分が滲み出てその水分によって果柄93が滑り易くなることを見出した。そして、果柄93が滑り易くなると、把持機構40と受け部材21との間から果柄93が滑り落ちて収穫対象物91が落下する可能性が高まる。
そこで、本実施形態において、把持機構40と受け部材21とは、柔軟部材20がベース部材10側へ移動して通過部3の内径が最小まで縮小した場合において相互に離間する構成としても良い。すなわち、把持機構40における把持部材41の接触部411と、柔軟部材20に設けられた受け部材21とは、柔軟部材20がベース部材10側へ引き込まれて受け部材21がベース部材10側の移動端まで移動した状態において隙間が形成されていても良い。
これによれば、エンドエフェクタ1は、把持機構40と柔軟部材20に設けられた受け部材21とによって果柄93を把持する際に、果柄93を潰してしまうことを抑制できる。これにより、果柄93を把持する際に果柄93から水分が滲み出てくることを抑制でき、その結果、把持機構40と受け部材21との間から果柄93が滑り落ちて収穫対象物91が落下することを極力防ぐことができる。
更に、把持部材41又は柔軟部材20に設けられた受け部材21のうちいずれか一方又は両方は、通過部3の中心側へ突出した突出部を有している。本実施形態の場合、把持機構40を構成する把持部材41は、突出部414を有している。これによれば、エンドエフェクタ1は、果柄93を把持する際に突出部414を果柄93に食い込ませることができるため、果柄93をより確実に把持することができる。このように、本実施形態によれば、エンドエフェクタ1は、突出部414を有していない構成に比べて果柄93に対する把持力を向上させることができる。
拡縮機構30は、柔軟部材20の両端側部分201、201を押し出し及び引き込む構成である。これによれば、柔軟部材20を押し出し及び引き込んで通過部3のサイズを拡大及び縮小する際の柔軟部材20の移動量を、柔軟部材20の一方の端側部分201のみを押し出し及び引き込む構成に比べて2倍にすることができる。すなわち、これによれば、拡縮機構30の駆動によって果柄93を切断したり果柄93の把持を解放したりする際の動作時間を、柔軟部材20の一方の端側部分201のみを押し出し及び引き込む構成に比べて半分に短縮することができる。その結果、エンドエフェクタ1による収穫作業の時間を低減することができ、収穫の効率を向上させることができる。
拡縮機構30は、回転力を発生する駆動源31と、従動部材35、36と、を有している。従動部材35、36は、駆動源31の回転力を直接的又は間接的に受けて回転するとともにその回転を柔軟部材20に伝達する機能を有する。そして、柔軟部材20は、伝達部に接触して駆動源31の回転力が伝達されるベルトまたはワイヤで構成されている。
これによれば、ユーザは、柔軟部材20として市販品を用いることができ、高価で入手し難い専用品を準備する必要がない。そのため、経済的であるととともに、柔軟部材20が消耗した際に容易に柔軟部材20を入手することができるため、便利である。また、柔軟部材20が使用により消耗した場合、ユーザは、カバー部材14をケース部材11から取り外した状態で柔軟部材20を交換することができる。このため、メンテナンスが容易になる。
本実施形態の収穫システム50は、視覚装置51と、ロボットアーム52と、を備える。視覚装置51は、収穫対象物91の位置情報を含む視覚情報を取得可能に構成されている。ロボットアーム52は、エンドエフェクタ1が取り付けられている。また、収穫システム50は、収穫対象物検出処理部61と、位置情報特定処理部62と、移動経路生成処理部63と、移動処理部64と、切断処理部65と、を備えている。
収穫対象物検出処理部61は、収穫対象物検出処理を実行可能である。収穫物検出処理は、視覚装置51で取得した視覚情報に含まれている収穫対象物を検出する処理を含む。位置情報特定処理部62は、位置特定処理を実行可能である。位置特定処理は、収穫対象物検出処理で検出した収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)位置とを含む収穫対象物91の位置を特定する処理を含む。移動経路生成処理部63は、移動経路生成処理を実行可能である。移動経路生成処理は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の下方に位置する始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)から、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の上方に位置する終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)に至るまでのエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する処理を含む。
移動処理部64は、移動処理を実行可能である。移動処理は、ロボットアーム52を駆動制御して、移動経路生成処理で生成した移動経路Rに沿ってエンドエフェクタ1を移動させて通過部3に収穫対象物91を通す処理を含む。そして、切断処理部65は、切断処理を実行可能である。切断処理は、移動処理によって通過部3に対する収穫対象物91の通過が完了した後に実行され、エンドエフェクタ1を動作させて通過部3を縮小させることで通過部3の内側に通された果柄93を切断する処理を含む。
これによれば、エンドエフェクタ1を用いて、主茎92や枝から果柄93を介して垂れ下がった収穫対象物91を、さらには主茎92や収穫対象物91を傷つけることを極力防ぎつつ自動で収穫することができるため、収穫作業の効率を大幅に向上させることができる。
また、位置情報特定処理部62は、位置特定処理において、収穫対象物91と繋がっている果柄93の位置情報を用いることなく収穫対象物91の位置を特定する。すなわち、制御装置60は、視覚装置51からの視覚情報に基づいてロボットアーム52を動作させる際に、果柄93を認識する処理は行わない。すなわち、エンドエフェクタ1を用いることで、果柄93を視覚的に認識する処理を行うことなく、果柄93を正確に切断することができる。
ここで、例えば収穫対象物91が全体として湾曲形状となっている場合には、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)まで直線的にエンドエフェクタ1を移動させると、その途中部分においてエンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触して収穫対象物91を傷つけてしまうおそれがある。
そこで、位置情報特定処理部62において実行される位置特定処理は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)までの途中の位置である中間位置Ph(X、Y、Z)を特定する処理を更に含んでいる。そして、移動経路生成処理部63において実行される移動経路生成処理は、中間位置Ph(X、Y、Z)を通過するようにエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する処理を更に含んでいる。
これによれば、移動経路Rは、収穫対象物91が全体的に湾曲している場合であっても、収穫対象物91の形状に極力沿ったものとすることができる。すなわち、この農作物収穫システム50によれば、例えば収穫対象物91が全体として曲がっている場合において、エンドエフェクタ1を移動経路Rに沿って果柄93の切断位置まで移動させる際に、エンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触して傷つけてしまうことをさらに効果的に抑制することができる。
また、例えばエンドエフェクタ1を移動させる際にエンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触する可能性が高い場合、接触した際の衝撃を少なくして収穫対象物91に与える損傷を低減する必要がある。この場合、エンドエフェクタ1の移動速度を遅くする必要があり、その結果、収穫効率が低下してしまうおそれがある。一方、本実施形態によれば、上述した構成により、エンドエフェクタ1を移動させる際にエンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触する可能性が低い。そのため、エンドエフェクタ1の移動速度を速くすることができ、その結果、収穫作業の効率をさらに向上させることができる。
この場合、移動経路生成処理部63において実行される移動経路生成処理は、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と中間位置Ph(X、Y、Z)と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とを順に直線で繋いで移動経路Rを生成する処理を含む。すなわち、本実施形態において、移動経路Rは、各位置Pb(Xb、Yb、Zb)、Ph(X、Y、Z)、Pt(Xt、Yt、Zt)を順に繋いだ複数の直線で構成されている。
これによれば、例えば移動経路Rを収穫対象物91の湾曲に沿って滑らかな曲線状で生成した場合つまり全軌道を生成した場合に比べて、認識する座標点数を低減することができるため、移動経路Rを生成する際の移動経路生成処理部63の処理負荷を大幅に低減することができる。これにより、移動経路Rを生成する際の処理速度を向上することができる。すなわち、農作物収穫システム50は、収穫対象物91を認識してから移動経路Rを生成しその後、実際にロボットアーム52を動作させるまでの時間を低減することができる。
さらにはこの場合、移動経路Rを滑らかな曲線で生成した場合に比べて、移動経路Rを各位置Pb(Xb、Yb、Zb)、Ph(X、Y、Z)、Pt(Xt、Yt、Zt)を順に繋いだ複数の直線で生成した方が、エンドエフェクタ1の移動距離を短くすることができる。そのため、本実施形態によれば、エンドエフェクタ1を果柄93の切断可能な位置に移動させるまでの時間つまりロボットアーム52の動作時間も短縮することができる。これらの結果、収穫システム50の動作速度を向上や動作期間の短縮を図ることができ、ひいては収穫作業の速度を向上させることができる。
なお、上記実施形態において、移動経路R上を移動する際、エンドエフェクタ1の姿勢は、図16〜図20に示すように、通過部3の面方向が水平となるように維持されている。しかし、これに限られず、収穫システム50は、移動経路R上を移動する際のエンドエフェクタ1の姿勢を次のようにしても良い。すなわち、移動処理部64で実行される移動処理は、移動経路Rに対して通過部3の面方向が垂直方向に向く姿勢でエンドエフェクタ1を移動させる処理を含んでいても良い。これによれば、収穫対象物91に対した通過部3の面積を大きく確保できるため、例えば収穫対象物91が垂直に対して湾曲して実っている場合等においても、収穫対象物91を通過部3に通し易い。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
1…農作物収穫用エンドエフェクタ、2…切断刃、3…通過部、10…ベース部材、20…柔軟部材、201…端側部分、30…拡縮機構、31…駆動源、35…第1従動部材(従動部材)、36…第2従動部材(従動部材)、40…把持機構、50…収穫システム、51…視覚装置、52…ロボットアーム、61…収穫対象物検出処理部、62…位置情報特定処理部、63…移動経路生成処理部、64…移動処理部、65…切断処理部、Pb…下端位置(先端位置)、Pt…上端位置(基端位置)、R…移動経路
Claims (7)
- 主茎(92)又は枝に結実した収穫対象物(91)に対し果柄(93)を切断して前記収穫対象物を収穫する農作物収穫用エンドエフェクタ(1)であって、
前記果柄を切断するための切断刃(2)が設けられるベース部材(10)と、
自重で折れ曲がらずかつ湾曲可能な柔軟で長尺な部材で構成され、前記ベース部材から伸びて前記切断刃の周囲を囲う環状の通過部(3)を形成する柔軟部材(20)と、
前記柔軟部材を前記ベース部材から押し出す及び前記ベース部材側に引き込むことで前記通過部を拡大及び縮小する拡縮機構(30)と、を備え、
前記拡縮機構は、前記通過部の内側に前記果柄を通した状態で前記柔軟部材を前記ベース部材側へ引き込んで前記通過部を縮小させることで前記柔軟部材と前記切断刃とで前記果柄を挟み込んで切断する、
農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記ベース部材に設けられ、前記拡縮機構が前記柔軟部材を前記ベース部材側に引き込み前記柔軟部材と前記切断刃とで前記果柄を挟み込んで切断した場合に、前記柔軟部材との間に切断した前記果柄を挟み込んで把持する把持機構(40)、を更に備えている、
請求項1に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記把持機構は、当該把持機構に力が作用していない状態では前記切断刃よりも前記通過部の中心側に突出して前記切断刃が前記通過部側に突出しないように前記切断刃を覆っており、前記通過部の中心側とは反対側への力を受けた場合に前記切断刃を露出させる、
請求項2に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記拡縮機構は、前記柔軟部材の両端側部分を押し出し及び引き込む構成である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記拡縮機構は、
回転力を発生する駆動源(31)と、
前記駆動源の回転力を直接的又は間接的に受けて回転するとともにその回転を前記柔軟部材に伝達する従動部材と、を有し、
前記柔軟部材は、前記従動部材に接触しながら前記駆動源の回転力が伝達されるベルトまたはワイヤで構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載した農作物収穫用エンドエフェクタが取り付けられたロボットアーム(52)と、
前記収穫対象物の位置情報を含む視覚情報を取得可能な視覚装置(51)と、
前記視覚装置で取得した前記視覚情報に含まれている収穫対象物を検出する収穫対象物検出処理を実行可能な収穫対象物検出処理部(61)と、
前記収穫対象物検出処理で検出した前記収穫対象物の先端位置(Pb)と基端位置(Pt)とを含む位置を特定する位置特定処理を実行可能な位置情報特定処理部(62)と、
前記収穫対象物の前記先端位置の外方から前記基端位置の外方に至るまでの前記農作物収穫用エンドエフェクタの移動経路(R)を生成する移動経路生成処理を実行可能な移動経路生成処理部(63)と、
前記ロボットアームを駆動制御して前記移動経路生成処理で生成した前記移動経路に沿って前記農作物収穫用エンドエフェクタを移動させて前記通過部に前記収穫対象物を通す移動処理を実行可能な移動処理部(64)と、
前記移動処理によって前記通過部に対する前記収穫対象物の通過が完了した後に実行され、前記農作物収穫用エンドエフェクタを動作させて前記通過部を縮小させることで前記通過部の内側に通された前記果柄を切断する切断処理を実行可能な切断処理部(65)と、を備えている、
農作物収穫システム。 - 前記位置情報特定処理部は、前記位置特定処理において、前記収穫対象物と繋がっている果柄の位置情報を用いることなく前記収穫対象物の位置を特定する、
請求項6に記載の農作物収穫システム。
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