JP2021040490A - 農作物収穫用エンドエフェクタ、及び農作物収穫システム - Google Patents
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Abstract
【課題】収穫の際に主茎や枝を傷つけることを抑制して安全に収穫する。【解決手段】エンドエフェクタ1は、主茎92や枝に結実した収穫対象物91に対し果柄93を切断して収穫対象物91を収穫する農作物収穫用エンドエフェクタである。エンドエフェクタ1は、果柄93を切断するための切断刃2が設けられた第1部材10、20A、41Bと、第1部材に対して相対的に移動可能に構成された第2部材20、10A、41A、20Bと、第1部材に対して第2部材を相対的に移動させる移動機構30と、を備える。第1部材及び第2部材のいずれか一方又は両方は、切断刃を含んで環状に構成されてその環状の内側に収穫対象物を通すことが可能な通過部3を形成する。移動機構は、通過部の内側に果柄を通した状態で第1部材と第2部材とを相対的に移動させて通過部を縮小させることで第2部材と切断刃とで果柄を挟み込んで切断する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、主茎や枝に結実した農作物を収穫するための農作物収穫用エンドエフェクタ、及び農作物収穫システムに関する。
近年、農作業の自動化を実現するため、農作物を自動で収穫するためのエンドエフェクタや農作物収穫用システムが提案されている。例えばロボットアームの先端にハサミ形状の刃を有するエンドエフェクタを設け、そのエンドエフェクタで果柄を切断することで、主茎や枝から果実を分離し収穫する構成が考えられている。しかしながら、刃物を用いて果柄を切断する構成の場合、エンドエフェクタを果柄に近づける際に刃部分が主茎や枝に接触して主茎や枝を傷つけてしまったり、さらには切断してしまったりするおそれがある。そして、主茎や枝の損傷や切断は、植物の様々な病気を引き起こす原因となり、ひどい場合には枯れてしまい、その結果、その後の収穫量の減少に繋がる。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、収穫の際に主茎や枝を傷つけることを抑制して安全に収穫することができる農作物収穫用エンドエフェクタ、及び農作物収穫システムを提供することにある。
請求項1に記載のエンドエフェクタ(1)は、主茎(92)や枝に結実した収穫対象物(91)に対し果柄(93)を切断して収穫対象物(91)を収穫する農作物収穫用エンドエフェクタである。エンドエフェクタ(1)は、果柄(93)を切断するための切断刃(2)が設けられた第1部材(10、20A、41B)と、前記第1部材に対して相対的に移動可能に構成された第2部材(20、10A、41A、20B)と、前記第1部材に対して前記第2部材を相対的に移動させる移動機構(30)と、を備える。前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方又は両方は、前記切断刃を含んで環状に構成されてその環状の内側に前記収穫対象物を通すことが可能な通過部(3)を形成する。前記移動機構は、前記通過部の内側に前記果柄を通した状態で前記第1部材と前記第2部材とを相対的に移動させて前記通過部を縮小させることで前記第2部材と前記切断刃とで前記果柄を挟み込んで切断する。
ここで、例えばハサミ形状のエンドエフェクタによって果柄を切断しようとした場合、ハサミ形状のエンドエフェクタを主茎や枝を切断できる位置まで移動する際に、果柄や枝の延びる方向に対してハサミ形状のエンドエフェクタを直角方向に接近させる必要がある。すると、ハサミ形状のエンドエフェクタを移動させる際に刃先部分が主茎や枝に接触して、主茎や枝を傷つけてしまうおそれがある。
一方、本構成によれば、エンドエフェクタは、主茎等に結実した収穫対象物に対し収穫対象物の先端から収穫対象物全体を通過部に通すことで、すなわち、例えばミニトマトのような主茎から垂れ下がった収穫対象物に対し、房全体を下方からすくうようにして通過部に通すことで、エンドエフェクタを主茎や枝を切断できる位置まで移動させることができる。その際、移動部材は、切断刃の周囲を囲っているため、主茎が切断刃に接触することを抑制できる。その結果、切断刃によって主茎や枝を傷つけてしまうことを抑制できて安全に収穫対象物を収穫することができるという優れた効果が得られる。
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1〜図29を参照して説明する。
<農作物収穫用エンドエフェクタの構成>
以下、第1実施形態について図1〜図29を参照して説明する。
<農作物収穫用エンドエフェクタの構成>
まず、農作物収穫用エンドエフェクタ1の構成について、主に図1〜図13を参照して説明する。本実施形態の農作物収穫用エンドエフェクタ1(以下、エンドエフェクタ1と称する)は、例えばトマト、ミニトマトやナスのように主茎から垂れ下がった状態で成長する果菜類や、リンゴやナシ、ブドウのように樹木の枝から垂れ下がった状態で成長する果樹類を収穫対象物として収穫することに用いることができる。
エンドエフェクタ1は、図1〜図3等に示すように、全体として一方向に長い形状に構成されており、切断刃2、ベース部材10、移動部材20、移動機構30、及び把持機構40を備えている。本実施形態の場合、切断刃2は、ベース部材10に設けられている。このため、本実施形態において、ベース部材10は、果柄を切断するための切断刃2が設けられた第1部材として機能する。また、移動部材20は、ベース部材10に対して、エンドエフェクタ1の長手方向に沿って移動可能に構成されている。このため、本実施形態において、移動部材20は、第1部材つまりベース部材10に対して相対的に移動可能に構成された第2部材として機能する。
以下の説明では、エンドエフェクタ1の長手方向すなわち移動部材20の移動方向のうち、移動部材20がベース部材10から離間する方向を、エンドエフェクタ1の前側又は移動部材20の前進方向とし、逆方向つまり移動部材20がベース部材10に接近する方向をエンドエフェクタ1の後側又は移動部材20の後退方向とする。また、図1におけるエンドエフェクタ1の長手方向に対する直角方向を、エンドエフェクタ1の幅方向とする。そして、図3におけるエンドエフェクタ1の長手方向及び幅方向に対する直角方向を、エンドエフェクタ1の厚み方向とする。
ベース部材10は、移動部材20、移動機構30、及び把持機構40の土台となる構成であり、保持部材11、12、カバー部材13、連結部材14、及び取付部材15を含んで構成されている。保持部材11、12は、エンドエフェクタ1の長手方向に離間して配置されている。本実施形態の場合、前側に設けられた保持部材11は、図5に示すように、断面がいわゆるT字形状に形成されている。そして、前側の保持部材11は、摺動溝111及びばね支持部112を有している。摺動溝111は、複数例えば3つ設けられており、カバー部材13側から掘り込まれて前後方向に延びる溝形状に形成されている。ばね支持部112は、後述する弾性部材42の一端部を支持する機能を有している。本実施形態の場合、ばね支持部112は、例えば前側の保持部材11の前面から前方へ突出した円筒形状に形成されている。また、後側に設けられた保持部材12は、図4にも示すように、矩形のブロック状に形成されている。
カバー部材13は、図1及び図3等に示すように、全体として板状に形成されており、保持部材11、12に対してエンドエフェクタ1の厚み方向の一方側に設けられて、エンドエフェクタ1の厚み方向の一方側の少なくとも一部又は全体を覆っている。カバー部材13は、例えば図示しないボルト等の締結部材によって、保持部材11、12に固定されている。これにより、カバー部材13は、前側の保持部材11と後側の保持部材12とを接続している。カバー部材13の後側は、エンドエフェクタ1の前後方向に長い矩形の板状に形成されており、カバー部材13の前側は、前方へ向かって幅が広がる台形状に形成されている。
カバー部材13は、図1に示すように、窪み部131及びガイド部132を有している。窪み部131は、カバー部材13の前側の縁部を、後方へ向かって矩形状に窪ませて形成されている。本実施形態の場合、窪み部131は、カバー部材13の中心部つまりエンドエフェクタ1の幅方向の中心部を跨って幅方向に延びており、カバー部材13の前端部における幅方向の半分以上、この場合、略全体に亘って設けられている。ガイド部132は、図1等に示すように、カバー部材13の前端部において幅方向の両側、つまり窪み部131の両端側に設けられている。ガイド部132は、エンドエフェクタ1の後側から前側へ向かうにつれてカバー部材13の幅方向に広がるように傾斜している。
連結部材14は、図2及び図3に示すように、例えば全体として前後方向に長い矩形の板状に形成されており、保持部材11、12に対してエンドエフェクタ1の厚み方向の他方側すなわちカバー部材13とは反対側に設けられて、エンドエフェクタ1の厚み方向の他方側の少なくとも一部又は全体を覆っている。連結部材14は、図示しない例えばボルト等の締結部材によって、保持部材11、12に固定されている。すなわち、連結部材14は、前側の保持部材11と後側の保持部材12とを接続している。
取付部材15は、エンドエフェクタ1を後述するロボットアーム52に取り付けるためのものである。取付部材15は、図3及び図4等に示すように、例えば板状の部材を折り曲げた形状に形成されており、図示しない例えばボルト等の締結部材によって連結部材14に固定されている。取付部材15は、連結部材14からエンドエフェクタ1の幅方向の一方側に延び出ている。そして、取付部材15は、ボルト等の締結部材を通すための複数の通し穴151を有している。エンドエフェクタ1は、取付部材15の通し穴151にボルト等の締結部材を通してロボットアーム52のボルト穴にボルト込むことで、ロボットアーム52に取り付けられる。
ベース部材10は、果柄を切断するための切断刃2を着脱可能に固定する。すなわち、切断刃2は、ベース部材10に着脱可能に固定される。本実施形態の場合、切断刃2は、例えば、板状に形成されており、刃先を前側へ向けた姿勢でベース部材10に取り付けられる。切断刃2は、図5等に示すように、前側の保持部材11とカバー部材13との間に挟み込まれている。そして、ボルト16をカバー部材13に通して保持部材11にねじ込むことで、切断刃2は、前側の保持部材11とカバー部材13との間に挟み込まれた状態で固定される。
図1等に示すように、切断刃2の刃先は、窪み部131内に収められている。すなわち、切断刃2の刃先は、窪み部131の前端部より前方へは出ていない。換言すれば、切断刃2とガイド部132とは、エンドエフェクタ1の長手方向及び幅方向のいずれにおいても重なっていない。
移動部材20は、カバー部材13と連結部材14との間で、かつ、切断刃2に対してカバー部材13とは反対側つまり連結部材14側に設けられている。移動部材20は、環状部材21、及び回転部材22を有している。環状部材21は、移動部材20の主要構成であって、例えば剛性を有する金属や樹脂などによって全体として閉じた環状に形成されている。この場合、切断刃2は、環状部材21の内側に配置されている。すなわち、切断刃2の周囲は、環状部材21によって囲まれている。また、環状部材21は、全体としてエンドエフェクタ1の前後方向に長い多角形、例えば六角形状に形成されている。この場合、環状部材21は、枠部211、取付部212、受け部213、係止部214、及び移動部材側突出部215を一体に有している。
枠部211は、環状部材21の前側に設けられた幅方向に延びる辺と、その前側の辺の幅方向の両側に設けられた前後方向に延びる2辺とによって、いわゆるコ字状若しくはU字状に構成された部分である。環状部材21において、枠部211部分は、他の部分に比べて細く形成されている。この場合、枠部211の厚み寸法は、数mm程度、例えば3〜5mm程度に設定されている。取付部212は、環状部材21の後側の辺部分であり、枠部211よりも太くつまり幅広に構成されている。取付部212は、例えば図示しないボルト等の締結部材によって移動機構30に取り付けられる。
受け部213は、枠部211において切断刃2と対向する部分、この場合、環状部材21の前側に設けられた幅方向に延びる辺部分を、前方へ向かって矩形状に窪ませて形成されている。エンドエフェクタ1の幅方向における受け部213の長さは、切断刃2と同程度に設定されている。係止部214は、受け部213の長手方向の両端側すなわちエンドエフェクタ1の幅方向における両端側に設けられている。この場合、受け部213は、係止部214に対してエンドエフェクタ1の前側へ向かって窪んでいる。
移動部材側突出部215は、受け部213に設けられている。移動部材側突出部215は、図8に示すように、受け部213から後方側へ向かって突出するように形成された突出部である。この場合、移動部材側突出部215は、受け部213の長手方向の全体つまりエンドエフェクタ1の幅方向の略全体に亘って設けられている。この移動部材側突出部215は、例えば図8に示すように断面が鋭角に形成することができるが、果柄を切断するものではない。すなわち、移動部材側突出部215は、当該移動部材側突出部215が果柄に押し付けられた際にその果柄を切断しないが果柄に食い込む程度に鋭角に形成されている。なお、移動部材側突出部215は、例えば多数の角錐形状や円柱形状、若しくは半球状で構成することもできる。
回転部材22は、例えば長細い円筒形状に形成されたローラーであり、図1及び図7に示すように、環状部材21のうち枠部211部分に設けられている。本実施形態の場合、回転部材22は、枠部211のうち前後方向に延びる部分に設けられている。すなわち、枠部211部分のうち受け部213、係止部214、及び移動部材側突出部215が設けられていない部分に、回転部材22は設けられている。換言すれば、回転部材22は、枠部211のうち切断刃2と対向する部分を除いた部分に設けられている。
回転部材22は、枠部211が通されており、外力を受けて回転可能に構成されている。回転部材22は、金属製や樹脂製であって剛性を有するものであっても良いし、表面が柔軟性を有するものであっても良い。また、回転部材22は、両側各1本の長尺状の部材で構成しても良いし、多数の短い部材で構成しても良い。また、回転部材22は、丸みを帯びており摩擦が少ない部材で構成されていれば、必ずしも枠部211に対して回転可能に構成する必要はない。この場合、回転部材22を省略し、枠部211自体を、丸みを帯びており摩擦が少ない部材で構成しても良い。
移動機構30は、第1部材としてのベース部材10に対して、第2部材としての移動部材20を相対的に移動させる機能を有する。本実施形態の場合、移動機構30は、例えばボールねじ機構で構成されている。この場合、移動機構30は、図1〜図6に示すように、モータ31、軸受け32、ねじ軸33、ナット部材34、伝達部材35、ガイドシャフト36、リニアブシュ37を有して構成されている。
モータ31は、移動機構30の駆動力、すなわち、移動部材20を移動させるための駆動源となるものであり、例えばサーボモータで構成されている。軸受け32、ねじ軸33、ナット部材34、伝達部材35、ガイドシャフト36、及びリニアブシュ37は、駆動源であるモータ31の回転力を、エンドエフェクタ1の長手方向に沿った直線方向への移動に変換して移動部材20に伝達するための構成である。
モータ31は、例えば後側の保持部材12の外側に取り付けられており、ねじ軸33の一方の端部に接続されてねじ軸33を回転させる。軸受け32は、ねじ軸33を回転可能に支持するためのものであり、前後の保持部材11、12に設けられている。すなわち、ねじ軸33は、その軸方向がエンドエフェクタ1の長手方向に沿った状態で配置されている。
ねじ軸33は、全長に亘ってねじが形成された軸であり、前後の保持部材11、12に設けられた軸受け32に回転可能に支持されて、前後の保持部材11、12を繋ぐように設けられている。ナット部材34は、モータ31からねじ軸33を介して伝達された回転を、ねじ軸33の軸方向に沿った直線移動に変換する機能を有する。
ナット部材34は、例えば内部に回転可能な多数のボールを有するボールナットで構成されており、伝達部材35に取り付けられている。伝達部材35は、例えばブロック状に構成されており、移動部材20が取り付けられる。本実施形態の場合、移動部材20のうち、環状部材21の取付部212が、例えば図示しないボルト等の締結部材によって伝達部材35に固定されている。すなわち、ナット部材34は、伝達部材35を介して移動部材20に連結されている。これにより、移動部材20は、伝達部材35と一体的に移動することができる。
ガイドシャフト36及びリニアブシュ37は、ねじ軸33の回転によりナット部材34が回転することを規制し、これによりナット部材34をねじ軸33の軸方向に沿って直線的に移動させる機能を有する。ガイドシャフト36は、前後の保持部材11、12を繋ぐように設けられている。この場合、2本のガイドシャフト36が、ねじ軸33に対してエンドエフェクタ1の幅方向の両側に設けられている。また、リニアブシュ37は、伝達部材35においてナット部材34の両側に2つ設けられており、それぞれガイドシャフト36が通されている。
このような構成により、モータ31が回転すると、その回転力は、ねじ軸33、ナット部材34、及び伝達部材35を介して、ねじ軸33の軸方向に沿った直線的な移動に変換されて移動部材20に伝達される。これにより、モータ31の回転により、移動部材20は、ねじ軸33の軸方向すなわちエンドエフェクタ1の長手方向に沿って直線的に移動する。なお、移動機構30は、ねじ軸33及びナット部材34を含むいわゆるボールナット機構に換えて、ラックアンドピニオン機構で構成することもできる。更に例えば移動機構30は、エア駆動や電動の直動型シリンダで構成することもできる。
また、移動機構30は、図3等に示すように、ストッパ381、382を有していても良い。ストッパ381、382は、例えばいわゆるストッパボルト等であり、前後の保持部材11、12に設けられている。ストッパ381、382は、伝達部材35に当てて伝達部材35の移動を停止させる機能を有する。すなわち、前端ストッパ381は、伝達部材35の前後方向の移動端を規定する。この場合、伝達部材35の前後方向の移動端を規定する2つのストッパ381、382のうち、少なくとも後端位置を規定する後端ストッパ382は、保持部材12からの突出量を任意に調整できるものであることが望ましい。これにより、伝達部材35の後方側の移動端を任意に調整するこができる。
把持機構40は、移動部材20が移動して収穫対象物の果柄を切断した際に、移動部材20との間に果柄を把持する機能を有する。これにより、果柄が切断された収穫対象物が落下しないようにすることができる。本実施形態の場合、把持機構40は、図2及び図3等に示すように、把持部材41と、弾性部材42と、を有している。
把持部材41は、前側の保持部材11に摺動可能に取り付けられており、前側の保持部材11と環状部材21の受け部213との間に設けられている。また、把持部材41は、エンドエフェクタ1の厚み方向に見た場合に、カバー部材13及び切断刃2と、前側の保持部材11との間に設けられている。そして、エンドエフェクタ1の厚み方向に見た場合に、把持部材41は、移動部材20の少なくとも一部又は全部と、その厚み方向において重なっている。
把持部材41は、把持部411、摺動部412、ばね支持部413、及び把持部材側突出部414を有している。把持部411は、移動部材20のうち環状部材21の受け部213に対向する位置に設けられている。この場合、把持部411は、切断刃2及び受け部213に平行に延びる、すなわちエンドエフェクタ1の幅方向に長い板状に構成されている。また、この場合、図1に示すように、移動部材20における環状部材21の枠部211と、把持部材41の把持部411とは、切断刃2を含んで環状に形成されており、その内側に収穫対象物を通すことが可能な通過部3を形成している。本実施形態の場合、通過部3は、エンドエフェクタ1の前後方向に長い矩形状に形成されている。この場合、エンドエフェクタ1の長手方向を通過部3の長手方向又は前後方向とする。また、エンドエフェクタ1の幅方向を通過部3の幅方向とする。
摺動部412は、把持部411に対して直角方向でかつ前側の保持部材11側へ向かって延びる板状に構成されている。摺動部412は、図5に示すように前側の保持部材11の摺動溝111内に摺動可能に配置されている。これにより、把持部材41は、受け部213に対して把持部411を平行の姿勢に保ったまま、エンドエフェクタ1の長手方向に沿って、つまり移動部材20の移動方向に沿って摺動することができる。
ばね支持部413は、弾性部材42の両端部のうち前側の保持部材11とは逆側の端部を支持する機能を有している。ばね支持部413は、前側の保持部材11のばね支持部112と対向する位置に設けられている。この場合、ばね支持部413は、例えば前側の保持部材11側へ突出した円筒形状に形成されている。
把持部材側突出部414は、図9に示すように、把持部材41の把持部411に設けられている。移動部材側突出部215は、図9に示すように、把持部411から前方側へ向かって突出するように形成された突出部である。この場合、把持部材側突出部414は、把持部411の長手方向の全体つまりエンドエフェクタ1の幅方向の略全体に亘って設けられている。この把持部材側突出部414は、移動部材側突出部215と同様に、断面が鋭角に形成することができるが、果柄を切断するものではない。すなわち、把持部材側突出部414も、移動部材側突出部215と同様に、果柄に押し付けられた際にその果柄を切断しないが果柄に食い込む程度に鋭角に形成されている。なお、把持部材側突出部414も、移動部材側突出部215と同様に、例えば多数の角錐形状や円柱形状、若しくは半球状で構成することもできる。
弾性部材42は、たとえばコイルばねで構成されている。弾性部材42の両端部は、それぞれ前側の保持部材11のばね支持部112と、把持部材41のばね支持部413とに支持されている。弾性部材42は、把持部材41に対して、前側の保持部材11から前方つまり移動部材20の受け部213側へ向かう弾性力を作用させている。これにより、把持部411を含む把持部材41は、把持部材41に対して弾性的に移動可能に構成されている。
把持部411を含む把持部材41は、把持部411に対して受け部213とは反対側への力が作用していない状態では、つまり外力を受けていない状態では、図9に示すように、切断刃2よりも通過部3の中心側に突出して切断刃2の一方の面、この場合、カバー部材13とは反対側の面を覆っている。また、把持部411を含む把持部材41は、通過部3の中心とは反対方向への力を受けた場合、つまり把持部材41を前側の保持部材11側に押し込む力を受けた場合には、図13に示すように、切断刃2の刃先よりも通過部3の中心とは反対方向へ移動する。これにより、切断刃2によって果柄を切断可能な程度に切断刃2を露出させる。
また、本実施形態の場合、移動部材20における環状部材21の係止部214は、図11に示すように、移動部材20がベース部材10側へ移動した際に把持部411の長手方向の両端部に係止可能に構成されている。これにより、把持部材41に対する移動部材20の更なる接近が規制されて、受け部213及び移動部材側突出部215と、把持部411及び把持部材側突出部414とが所定距離L1で離間した状態に維持される。
すなわち、受け部213及び移動部材側突出部215と、把持部411及び把持部材側突出部414とは、移動部材20がベース部材10に対して相対的に移動して通過部3の内径が最小まで縮小した場合において、所定距離L1を維持した状態で相互に離間している。これにより、エンドエフェクタ1は、果柄を把持する際に、受け部213及び移動部材側突出部215と、把持部411及び把持部材側突出部414とが接触しないため、果柄を潰したり切断したりして、収穫対象物を落としてしまうことを抑制できる。
なお、所定距離L1は、0より大きい値であって、かつ例えば果柄の外径の平均値よりもやや干小さい値に設定することが望ましい。これにより、エンドエフェクタ1は、移動部材側突出部215及び把持部材側突出部414を果柄に食い込ませて収穫対象物の果柄をより確実に把持することができる。
また、移動部材20がベース部材10側へ移動した移動端に位置している状態では、切断刃2と環状部材21の受け部213との間には、所定距離L2の隙間が形成されている。この所定距離L2は、0mm以上の値であって、かつ、人の指が切断刃2と受け部213との間に入り込まない程度又は入り込み難いように小さく設定されている。これにより、移動部材20がベース部材10側へ移動して把持部材41が切断刃2を覆っている状態が解除された場合であっても、切断刃2によって作業者等の指を切ってしまうことを抑制でき、その結果、安全性の向上が図られる。
この構成にいて、エンドエフェクタ1は、図1及び図10に示すように、移動機構30を駆動させて移動部材20をベース部材10側つまりエンドエフェクタ1の後方へ引き込むように移動させることで、通過部3を縮小させて最終的には消失させることができる。このとき、通過部3の内側に収穫対象物の果柄93が存在していれば、移動部材20の受け部213と切断刃2とでその果柄93を挟み込んで切断するとともに、切断した果柄93を、把持部材41の把持部411及び把持部材側突出部414と環状部材21の受け部213及び移動部材側突出部215との間に挟み込んで把持することができる。
また、エンドエフェクタ1は、移動機構30を駆動させて移動部材20をベース部材10とは反対側つまりエンドエフェクタ1の前方へ押し出すように前進させることで、通過部3を拡大させることができる。これにより、把持部材41の把持部411及び把持部材側突出部414と環状部材21の受け部213及び移動部材側突出部215とで挟み込んで保持していた果柄93を解放することができる。
<農作物収穫システム>
次に、エンドエフェクタ1を用いた農作物収穫システムの一例について、図14〜図29も参照して説明する。図14に示す農作物収穫システム50は、収穫対象物91の農作物にミニトマトを設定した例である。本実施形態では、複数の実で構成された房全体を収穫対象物91とする。本実施形態の農作物収穫システム50は、複数のミニトマトを房ごと収穫することができる。
次に、エンドエフェクタ1を用いた農作物収穫システムの一例について、図14〜図29も参照して説明する。図14に示す農作物収穫システム50は、収穫対象物91の農作物にミニトマトを設定した例である。本実施形態では、複数の実で構成された房全体を収穫対象物91とする。本実施形態の農作物収穫システム50は、複数のミニトマトを房ごと収穫することができる。
ミニトマトのような収穫対象物91は、主茎92から果柄93を介して垂れ下がった状態で結実している。市場での販売を目的とした商品用のミニトマトは、ビニールハウスで育てられることが多い。この場合、主茎92の先端部は、ビニールハウスの天井付近に配置されたレールに吊り下げられている。これにより、主茎92は、地面から天井付近へ向かって斜め上方に傾斜するように伸びている。
なお、本実施形態の農作物収穫システム50の収穫対象物は、その実が主茎又は結実母枝から垂れ下がった状態で結実するものであれば、ミニトマトに限定されない。また、収穫対象物は、必ずしも主茎又は結実母枝から垂直下方へ垂れ下がっている必要はない。更には、収穫対象物は、主茎又は結実母枝から上方へ向かって実っているものでも良い。
本実施形態の農作物収穫システム50は、エンドエフェクタ1に加えて、視覚装置51、ロボットアーム52、運搬装置53、及び回収箱54を更に備えている。視覚装置51は、収穫対象物91の位置情報を含む視覚情報を取得可能な装置である。視覚装置51は、例えばステレオカメラ、ToF(Time of Flight)カメラ、ストラクチャードライトスキャナ等の3次元の空間及び物体を計測することができる装置である。
本実施形態の場合、視覚装置51が取得する視覚情報には、収穫対象物91の位置情報及び外形形状情報の他、色情報も含まれる。また、視覚装置51が取得する視覚情報には、主茎92の位置情報、外形形状情報、及び色情報も含まれるが、果柄93の位置情報、外形形状情報、及び色情報は含んでいても含んでいなくても良い。すなわち、本実施形態の場合、視覚装置51は、収穫対象物91及び主茎92の位置情報、外形形状情報、及び色情報については取得するが、果柄93の位置情報、外形形状情報、及び色情報については必ずしも取得する必要はない。
本実施形態の場合、視覚装置51は、図3等に示すように取り付け用のステー17を介してエンドエフェクタ1のベース部材10、この場合、カバー部材13に取り付けられている。すなわち、本実施形態の場合、エンドエフェクタ1は、視覚装置51を含んで構成されている。この場合、エンドエフェクタ1の移動に伴って視覚装置51も移動する。なお、視覚装置51は、必ずしもエンドエフェクタ1に取り付けられている必要はない。視覚装置51は、例えばロボットアーム52に取り付けても良いし、運搬装置53に取り付けても良い。また、視覚装置51は、例えば図示しないビニールハウスの構造物に取り付けて、常に定位置を維持する構成としても良い。
ロボットアーム52は、例えば複数の駆動軸、この場合6つの駆動軸を有する6軸垂直多関節ロボットである。エンドエフェクタ1は、取付部材15を介してロボットアーム52の手先に取り付けられている。ロボットアーム52は、エンドエフェクタ1を任意に位置に移動させる。
運搬装置53は、エンドエフェクタ1を取り付けたロボットアーム52と、回収箱54とを、収穫対象物91まで運搬するための構成である。運搬装置53は、例えばタイヤ532を駆動するための図示しないモータを有しており、外部からの制御等によって任意の位置に移動することができる。回収箱54は、エンドエフェクタ1で果柄93を切断して収穫した収穫対象物91を収容し回収するための箱である。回収箱54は、例えば上側か開口した容器状に形成されており、運搬装置53に設置されている。なお、例えばビニールハウス等の設備が、ベルトコンベヤー等のような収穫対象物91を搬送する装置を備えている場合は、回収箱54を削減することができる。
また、農作物収穫システム50は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531を備えている。エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531は、それぞれエンドエフェクタ1の主に移動機構30、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53に付随する例えば専用の装置であり、例えば運搬装置53に設けられている。
エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531は、それぞれ例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域を有するマイクロコンピュータと、エンドエフェクタ1の主に移動機構30、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53に駆動力となる電力を供給するための電力回路等を主体に構成されている。エンドエフェクタ1の移動機構30、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53は、それぞれエンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531からの指令に基づいて駆動制御される。
制御装置60は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531を介して、それぞれエンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53を制御するためのものである。制御装置60は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531のそれぞれに有線又は無線によって通信可能に接続されている。この場合、制御装置60は、例えばLANやWAN、若しくはインターネットや携帯電話回線等の電気通信回線80を介してエンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531に接続されていても良い。
制御装置60は、例えばCPU601や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域602を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。制御装置60は、エンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53に対して駆動指令を出すとともに、エンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53からフィードバックを受ける。制御装置60は、エンドエフェクタ1、視覚装置51、ロボットアーム52、及び運搬装置53のいずれにも付随しない汎用の制御装置である。すなわち、制御装置60は、エンドエフェクタ制御部4、視覚装置制御部511、ロボットアーム制御部521、及び運搬装置制御部531に対して指令を出す上位の装置である。制御装置60は、例えばパーソナルコンピュータやサーバ等で構成することができる。
記憶領域602は、農作物収穫システム用のプログラムを記憶している。制御装置60は、CPU601において農作物収穫システム用のプログラムを実行することにより、収穫対象物検出処理部61、位置情報特定処理部62、移動経路生成処理部63、移動処理部64、切断処理部65、負荷検出処理部66、過負荷時復帰処理部67、及び回収処理部68等を、ソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、これら位置情報特定処理部62、移動経路生成処理部63、移動処理部64、切断処理部65、負荷検出処理部66、過負荷時復帰処理部67、及び回収処理部68は、例えば制御装置60と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
収穫対象物検出処理部61は、収穫対象物検出処理を実行可能である。収穫対象物検出処理は、視覚装置51で取得した視覚情報から、視覚装置51の視野内に収穫対象物91が存在しているか否かを検出する処理を含む。この場合、視覚装置51で取得する視覚情報は、図15に示すように、ポイントクラウドと称される点群データで構成されている。この視覚情報は、例えばX−Y−Z直交座標系上に配置された点群で構成されており、各点についてのRGB(R:Red、G:Green、B:Blue)の色情報と、視覚装置51を基準とした深度情報(D:Depth)つまりX−Y−Z直交座標系における位置情報と、を含んでいる。図15の例の場合、収穫対象物であるミニトマト91については赤色が検出され、主茎92については緑色が検出されている。なお、視覚装置51は、視覚情報として例えば赤外線カメラによりモノクロ値を取得しても良い。
収穫対象物検出処理部61は、点群の外形を認識することで、収穫対象物91や主茎92の外形形状を認識することができる。この場合、果柄93は、収穫対象物91や主茎92に比べて細い。そのため、視覚装置51によって果柄93の視覚情報を取得しようとすると、視覚装置51の性能や分解能を上げる必要があり、ハードウェアコストが増大する。また、視覚装置51の処理負荷及び、取得した視覚情報を用いた制御装置60による処理負荷も増大する。そこで、本実施形態においては、視覚装置51は、果柄93の視覚情報を積極的には取得しないように構成している。これにより、視覚装置51や制御装置60の処理負荷を低減することができる。
収穫対象物検出処理部61は、まず、視覚装置51で取得した視覚情報から、収穫対象物91の色値が高い点群データを抽出する。本実施形態の場合、収穫対象物検出処理部61は、ミニトマト91の色である赤色値が高い点群データを抽出する。そして、収穫対象物検出処理部61は、例えば取得した視覚情報の中に赤色値の高い点群が所定範囲以上存在している場合には、取得した視覚情報に収穫対象物91が含まれている、つまり視覚装置51の視野内に収穫対象物であるミニトマト91が存在していると判断する。
一方、収穫対象物検出処理部61は、取得した視覚情報の中に存在する赤色値の高い点群が所定範囲未満である場合には、取得した視覚情報に収穫対象物91が含まれていない、つまり視覚装置51の視野内に収穫対象物であるミニトマト91が存在していないと判断する。このように、収穫対象物検出処理部61は、取得した視覚情報のうち赤色値の高い点群を収穫対象物であるミニトマト91であると認識する。なお、収穫対象物検出処理部61は、視覚情報に含まれるX−Y−Z直交座標系上に配置された点群の情報すなわち3次元点群情報や、赤外線カメラによりモノクロ値から、収穫対象物91や主茎92を認識する構成としても良い。
位置情報特定処理部62は、位置特定処理を実行可能である。位置特定処理は、図16に示すように、視覚装置51で取得した視覚情報から収穫対象物91の先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とを含む収穫対象物91の位置を特定する処理を含む。本実施形態において、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)は、主茎92を基準にして収穫対象物91全体の先端側の位置を意味し、収穫対象物91全体において主茎92から最も離れた端部である。また、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)は、主茎92を基準にして収穫対象物91全体の基端側の位置を意味し、収穫対象物91全体において主茎92に最も近い端部である。
この場合、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の外方とは、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)に対して収穫対象物91全体の外方つまり先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)に対して主茎92から離れる方向を意味する。また、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の外方とは、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)に対して収穫対象物91全体の外方つまり基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)に対して主茎92に近づく方向を意味する。
ミニトマトのような収穫対象物91は主茎92から垂れ下がっている。そのため、この場合、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)は収穫対象物91の下端位置となり、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)は、収穫対象物91の上端位置となる。以下では、収穫対象物91の先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)とし、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)として説明する。この場合、先端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の外方は、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の下方となり、基端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の外方は、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の上方となる。
位置情報特定処理部62は、収穫対象物検出処理部61で検出した収穫対象物91の点群データつまり赤色値の高い点群データの中から、Z値が最小となる点を抽出して収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を特定するとともに、Z値が最大となる点を抽出して収穫対象物91の上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を特定する。
ここで、実際にZ値が最小となっている最下点及びZ値が最大となる最上点のデータのみを用いて下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を特定すると、視覚装置51で取得した視覚情報にノイズ等が混ざっていた場合に、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の座標にブレが生じ易くなる。そこで、本実施形態の場合、位置情報特定処理部62は、収穫対象物検出処理部61で検出した収穫対象物91の点群データつまり赤色値の高い点群データの中のうち、Z値が最小となる最下点、及びその最下点からZ値がプラス方向に所定範囲内例えば上方に20mmの範囲内の点群データの平均値を算出し、その平均値を下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)とする。
同様に、位置情報特定処理部62は、収穫対象物検出処理部61で検出した収穫対象物91の点群データつまり赤色値の高い点群データの中のうち、Z値が最大となる最大点、及びその最大点からZ値がマイナス方向に所定範囲内例えば下方に20mmの範囲内の点群データの平均値を算出し、その平均値を上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とする。
また、位置情報特定処理部62は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)までの途中の位置である中間位置Ph(X、Y、Z)を特定する処理を更に実行可能である。位置情報特定処理部62は、例えば下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とのZ方向の中間位置の座標を、中間位置Ph(X、Y、Z)として取得する。
この場合、中間位置Ph(X、Y、Z)のZ値は、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)のZ値と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)のZ値と平均値、すなわち、Ph(Z)=(下端位置Pb(Z)+上端位置Pt(Z))/2となる。また、中間位置Ph(X、Y、Z)のX値及びY値は、Ph(Z)における平均値となる。なお、中間位置Ph(X、Y、Z)を複数設定することもできる。この場合、中間位置Phの数をN個とすると、Ph(Z)=(下端位置Pb(Z)+上端位置Pt(Z))/(N+1)となる。
また、位置情報特定処理部62は、上述した位置特定処理において、収穫対象物91と繋がっている果柄93の位置情報を用いることなく収穫対象物91の位置情報、この場合、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、及び中間位置Ph(X、Y、Z)を特定することができる。
また、図15等に示すように、収穫対象物検出処理部61は、視覚装置51で取得した視覚情報から、主茎92についての視覚情報、この場合、主茎92の位置情報を含む形状、及び色情報を取得することができる。収穫対象物検出処理部61は、収穫対象物検出処理部61は、収穫対象物91の場合と同様に、視覚装置51で取得した視覚情報から、主茎92の色である緑色値が高い点群データを抽出する。そして、収穫対象物検出処理部61は、例えば取得した視覚情報の中に緑色値の高い点群が所定範囲以上存在している場合には、その緑色値の高い点群を主茎92であると認識する。
移動経路生成処理部63は、移動経路生成処理を実行可能である。移動経路生成処理は、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)から、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を通り終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)に至るまでのエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する処理を含む。この場合、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から所定距離直下の位置、例えば数十mm下方の位置に設定することができる。また、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)は、収穫対象物91の上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)から所定距離直上の位置、例えば数十mm上方の位置に設定することができる。
また、移動経路生成処理部63は、図16に示すように、中間位置Ph(X、Y、Z)を通過するようにエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する。この場合、エンドエフェクタ1の移動経路Rは、Z方向に隣接する各位置、すなわち、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)と、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と、中間位置Ph(X、Y、Z)と、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)と、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)と、を順に直線で繋いだ経路となる。
移動処理部64は、移動処理を実行可能である。移動処理は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動制御し、図18〜図22に示すように、移動経路Rに沿ってエンドエフェクタ1を移動させ、これにより通過部3に収穫対象物91を通す処理を含む。この場合、エンドエフェクタ1側の基準は、例えば図1に示す基準点Pcに設定されている。基準点Pcは、通過部3内における任意の位置、例えば中心位置に設定されている。移動処理部64は、基準点Pcが移動経路R上に沿うように、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動制御する。
切断処理部65は、切断処理を実行可能である。切断処理は、移動処理によって通過部3に対する収穫対象物91の通過が完了した後に実行される。切断処理は、図23〜図27に示すように、エンドエフェクタ1を動作させて、つまりエンドエフェクタ制御部4を介して移動機構30を駆動し、移動部材20をベース部材10側へ引き込んで通過部3を縮小させることで、通過部3の内側に通された果柄93を切断する処理を含む。
負荷検出処理部66は、移動部材20の移動の際に移動部材20に作用する負荷の検出を行う。これにより、負荷検出処理部66は、移動部材20が正常に移動しているか否かを検出する。すなわち、負荷検出処理部66は、移動部材20の移動の際の過負荷を検出することで、主茎92や果柄93などを巻き込んで移動部材20の移動が規制されていないか等を検出することができる。モータ31がエンコーダを備える場合、負荷検出処理部66は、そのエンコーダが出力する信号に基づいて、移動部材20に作用する負荷を検出しても良い。また、負荷検出処理部66は、モータ31の電流値つまりトルクを計測することで、移動部材20に作用する負荷を検出することもできる。
また、エンコーダや電流値を計測する代わりに、例えば移動部材20の移動位置を検出するためのセンサ等を用いても良い。この場合、センサは、例えば移動部材20の移動端に設けられている。そして、負荷検出処理部66は、エンドエフェクタ制御部4が移動部材20を移動させる制御を行っているにもかかわらず、センサの検出が無ければ、移動部材20の移動が規制されて過負荷が生じていると判断する。
過負荷時復帰処理部67は、過負荷時復帰処理を実行可能である。過負荷時復帰処理は、切断処理を実行している際に過負荷が検出された場合に、移動部材20による果柄93の切断及び把持を解放する処理を含む。過負荷時復帰処理部67は、過負荷時復帰処理を実行すると、エンドエフェクタ制御部4を介して移動機構30を駆動制御し、移動部材20をエンドエフェクタ1の前方つまり開く方向へ移動させて通過部3を拡大する。これにより、移動部材20と把持部材41とによる果柄93の把持が解放される。
そして、過負荷時復帰処理部67は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動制御し、移動処理とは逆の順、すなわち、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)から、収穫対象物91の上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、中間位置Ph(X、Y、Z)、及び下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を通り、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)に至るように、移動経路Rに沿ってロボットアーム52を移動させる。
回収処理部68は、回収処理を実行可能である。回収処理は、切断処理によって果柄93を切断及び把持している収穫対象物91を、回収箱54に投入して収穫対象物91を回収する処理である。回収処理部68は、切断処理後、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させて、収穫対象物91の果柄93を把持した状態で回収箱54の上方近傍までエンドエフェクタ1を移動させる。そして、回収処理部68は、回収箱54の上方近傍でエンドエフェクタ1による果柄93の把持を解放し、収穫対象物91を回収箱54内に落下又は配置させる。このようにして、主茎92から切り離された収穫対象物91が回収箱54内に回収される。
次に、図17のフローチャートに沿って、農作物収穫システム50において実行される、収穫対象物91を収穫するための収穫動作の一連の制御内容について説明する。なお、以下の説明において、各処理部61〜68で実行される処理の主体は制御装置60とする。本実施形態では、主茎92に沿って収穫区間が設定されている。運搬装置53は、主茎92に沿って移動し、主茎92に実っている収穫対象物91を主茎92に沿って順次収穫していく。
図17のフローチャートにおいて、ステップS13、S14における処理は、収穫対象物検出処理の一例である。ステップS15における処理は、位置特定処理の一例である。ステップS16、S17における処理は、移動経路生成処理の一例である。ステップS18、S19における処理は、移動処理の一例である。ステップS20における処理は、一例である。ステップS22、23における処理は、回収処理の一例である。ステップS21における処理は、過負荷検出処理の一例である。そして、ステップS24、S25における処理は、過負荷時復帰処理の一例である。
制御装置60は、まずステップS11において、運搬装置制御部531から受信した情報等に基づき、運搬装置53の現在の位置を特定し、運搬装置53の現在位置が収穫区間の終点であるか否かを判断する。制御装置60は、運搬装置53の現在位置が収穫区間の終点である場合(ステップS11でYES)、次の収穫対象物91は存在しないと判断し、一連の制御を終了する。一方、制御装置60は、運搬装置53の現在位置が収穫区間の終点でない場合(ステップS11でNO)、収穫対象物91が未だ存在すると判断する。そして、制御装置60は、ステップS12に処理を移行し、運搬装置制御部531を介して運搬装置53を駆動させ、次の収穫地点へ運搬装置53を移動させる。
次に、制御装置60は、ステップS13、S14において、収穫対象物検出処理を実行する。制御装置60は、ステップS13において、制御装置60は、視覚装置制御部511を介して視覚装置51を駆動させ、収穫対象物91側を撮像する。そして、制御装置60は、ステップS14において、視覚装置51で撮像した視覚情報、この場合、画像情報に収穫対象物91が含まれているか否かを判断する。
ステップS14において収穫対象物91が検出されなかった場合(ステップS14でNO)、制御装置60は、運搬装置53を駆動させて、運搬装置53を次の収穫地点へ移動させる。一方、ステップS14において収穫対象物91が検出された場合(ステップS14でYES)、制御装置60は、ステップS15へ処理を移行させる。制御装置60は、ステップS15において位置特定処理を実行し、視覚装置51で取得した視覚情報に基づき、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、及び中間位置Ph(X、Y、Z)を特定する。
次に、制御装置60は、ステップS16、S17において移動経路生成処理を実行する。まず制御装置60は、ステップS16において、ステップS15で特定した下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)に基づき、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)を算出する。次に、制御装置60は、ステップS17へ処理を移行し、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)から収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)及び上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)を通り終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)に至るまでのエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する。
次に、制御装置60は、ステップS18、S19において移動処理を実行し、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させる。この場合、制御装置60は、まずステップS18において、図18に示すように、エンドエフェクタ1の基準点Pcが始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)と一致するようにエンドエフェクタ1を移動させる。そして、制御装置60は、ステップS19において、図18から図22にかけて示すように、移動経路Rにエンドエフェクタ1の基準点Pcを沿わせながらエンドエフェクタ1を終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)まで移動させる。
これにより、エンドエフェクタ1は、通過部3に収穫対象物91を通して収穫対象物91を下方からすくい上げるように移動した後、収穫対象物91を上側に超えた位置に移動する。このとき、通過部3の内側には、収穫対象物91と主茎92とを繋ぐ果柄93が存在している。そして、収穫対象物91と主茎92とは、それぞれ通過部3に対して下方外側及び上方外側に位置している。
ここで、エンドエフェクタ1を移動させる際に、移動部材20が収穫対象物91に接触することも想定される。この場合、何らの対応もしないと、移動部材20に接触した収穫対象物91は、移動部材20に引っ掛かって、エンドエフェクタ1に引っ張られて傷つくおそれがある。これに対し、本実施形態の移動部材20は、外力を受けて回転可能な回転部材22を有している。そのため、収穫対象物91が移動部材20に接触したとしても、回転部材22が回転することにより、エンドエフェクタ1が移動する際に収穫対象物91が移動部材20に引っ掛かることを抑制できる。これにより収穫対象物91が傷ついてしまい商品価値が低下してしまうことを更に効果的に抑制することができる。
次に、制御装置60は、図17のステップS20において切断処理を実行し、エンドエフェクタ制御部4を介してエンドエフェクタ1を駆動させる。制御装置60は、移動機構30のモータ31を駆動させて移動部材20をベース部材10側へ引き込む。すると、図22から図24にかけて示すように、まず移動部材20の受け部213が果柄93に接触し、これにより移動部材20の移動に伴って果柄93がベース部材10側に引き込まれる。
そして、移動部材20が更にベース部材10側へ移動し、移動部材20の係止部214が把持部材41の両端部に接触すると、移動部材20の受け部213と把持部材41の把持部411との間の距離が一定に維持され、これにより、果柄93は、移動部材側突出部215と把持部材側突出部414とが果柄93に食い込んだ状態で、移動部材20の受け部213と把持部材41の把持部411との間に挟まれて把持される。そして、図26に示すように、移動部材20が更にベース部材10側へ移動すると、図27に示すように、切断刃2によって果柄93が切断される。これにより、収穫対象物91は、主茎92から分離される。
図17のステップS20において切断処理を実行している間、制御装置60は、ステップS21において過負荷検出処理を実行する。過負荷の検出が無かった場合(ステップS21でNO)、制御装置60は、主茎92や果柄93が絡まることなく果柄93が切断されたと判断し、ステップS22、S23へ処理を移行させる。
制御装置60は、ステップS22、S23において、回収処理を実行する。この場合、制御装置60は、まずステップS22において、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させ、エンドエフェクタ1を回収箱54の上方近傍まで移動させる。そして、エンドエフェクタ1を回収箱54の上方近傍まで移動すると、制御装置60は、ステップS23において、エンドエフェクタ制御部4を介して移動機構30を駆動制御し、移動部材20をエンドエフェクタ1の前方つまり開方向へ移動させて、果柄93の把持を解放し、収穫対象物91を回収箱54内に落下又は配置させる。このようにして、主茎92から切り離された収穫対象物91が回収箱54内に回収される。そして、制御装置60は、ステップS11へ処理を戻し、次の収穫対象物91の収穫を行う。
一方、ステップS21において過負荷の検出が検出された場合(ステップS21でYES)、つまり、切断処理を行ったにもかかわらず移動部材20がベース部材10側の移動端まで移動できなかった場合、制御装置60は、主茎92や果柄93が絡まって果柄93の切断が適切に行われていないと判断し、ステップS24、S25へ処理を移行させる。
制御装置60は、ステップS24、S25において、過負荷時復帰処理を実行する。この場合、制御装置60は、まずステップS24において、エンドエフェクタ制御部4を介して移動機構30を駆動制御し、移動部材20をエンドエフェクタ1の前方つまり開方向へ移動させて果柄93の把持を解放する。次に、制御装置60は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させ、エンドエフェクタ1の基準点Pcが、終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)から、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)、中間位置Ph(X、Y、Z)、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)を通り、始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)に至るように、移動経路Rを逆方向に移動させる。そして、制御装置60は、ロボットアーム制御部521を介してロボットアーム52を駆動させ、エンドエフェクタ1を初期位置つまり運搬装置53が駆動する際の位置に戻し、ステップS11へ処理を戻し、次の収穫対象物91の収穫を行う。
以上説明した実施形態によれば、エンドエフェクタ1は、主茎92等から垂れ下がった収穫対象物91に対し果柄93を切断して収穫対象物91を収穫するためのものである。エンドエフェクタ1は、第1部材としてのベース部材10と、第2部材としての移動部材20と、移動機構30と、を備える。ベース部材10は、果柄93を切断するための切断刃2が設けられている。移動部材20は、ベース部材10に対して相対的に移動可能に構成されている。移動機構30は、ベース部材10に対して移動部材20を相対的に移動させる機能を有する。
ベース部材10及び移動部材20のいずれか一方又は両方は、切断刃2を含んで環状に構成されてその環状の内側に収穫対象物91を通すことが可能な通過部3を形成する。本実施形態の場合、ベース部材10と移動部材20とは、切断刃2を含んで環状に構成されており、その環状の内側に収穫対象物91を通すことが可能な通過部3を形成している。そして、移動機構30は、通過部3の内側に果柄93を通した状態でベース部材10と移動部材20とを相対的に移動させて通過部3を縮小させる。これにより、エンドエフェクタ1は、第2部材である移動部材20と切断刃2とで果柄93を挟み込んで切断する。
ここで、例えばハサミ形状のエンドエフェクタによって果柄93を切断しようとした場合、ハサミ形状のエンドエフェクタを主茎92や枝を切断できる位置まで移動する際に、果柄93や枝の延びる方向に対してハサミ形状のエンドエフェクタを直角方向に接近させる必要がある。すると、ハサミ形状のエンドエフェクタを移動させる際に刃先部分が主茎92や枝に接触して、主茎92や枝を傷つけてしまうおそれがある。
一方、本実施形態によれば、エンドエフェクタ1は、主茎92等から垂れ下がった収穫対象物91に対し、収穫対象物91の下方から収穫対象物91全体をすくうようにして通過部3に通すことで、エンドエフェクタを主茎92や枝を切断できる位置まで移動させることができる。その際、移動部材20は、切断刃2の周囲を囲っているため、主茎92が切断刃2に接触することを抑制でき、その結果、切断刃2によって主茎92や枝を傷つけてしまうことを抑制できて安全に収穫対象物91を収穫することができるという優れた効果が得られる。
第2部材としての移動部材20は、剛性を有する部材によって環状に形成されている。すなわち、本実施形態において移動部材20は、環状部材21を有している。そして、環状部材21は、例えば剛性を有する金属や樹脂などによって全体として閉じた環状に形成されている。これによれば、環状部材21の自重やエンドエフェクタ1を移動させる際の振動等によって環状部材21の形状やサイズすなわち通過部3の形状やサイズが変化してしまうことを抑制できる。これにより、エンドエフェクタ1を移動させて通過部3内に収穫対象物91を通し易くなり、その結果、エンドエフェクタ1による収穫対象物91の収穫の成功率を向上させることができる。
切断刃2は、通過部3の幅方向の半分以上に亘って設けられている。これによれば、エンドエフェクタ1は、移動部材20を移動させて通過部3を縮小させた際、つまり移動部材20の移動によって果柄93を切断刃2側に引き寄せる際に、果柄93を切断刃2に精密に案内しなくても、幅の広い切断刃2によって果柄93を容易に切断することができる。これにより、比較的粗い位置制御でも、幅の広い切断刃2によって果柄93を容易に切断することができる。その結果、ロボットアーム52の制御負荷が低減されるとともに、エンドエフェクタ1による収穫対象物91の収穫の成功率を更に向上させることができる。
また、エンドエフェクタ1は、把持機構40を更に備えている。把持機構40は、第1部材としてのベース部材10に設けられている。把持機構40は、ベース部材10と移動部材20とが相対的に移動して通過部3の内径を縮小させることで切断刃2によって果柄93を切断した場合に、移動部材20に受け部213との間に、切断した果柄93を挟み込んで把持する機能を有する。
これによれば、エンドエフェクタ1は、切断した果柄93を把持することで、収穫対象物91がエンドエフェクタ1から落下してしまうことを抑制できる。これにより、エンドエフェクタ1による収穫対象物91の収穫の成功率を向上させることができる。また、落下によって収穫対象物91が傷ついてしまい、商品価値が低下してしまうことを抑制できる。
把持機構40は、第1部材であるベース部材10に対して弾性的に移動可能に構成されている。把持機構40は、把持部材41を有している。把持部材41は、果柄93を把持する際に、果柄93に接触する把持部411を有している。把持部材41は、把持部411に力が作用していない状態では切断刃2よりも通過部3の中心側に突出しており、切断刃2の一方の面を覆っている。本実施形態の場合、把持部材41は、把持部411に力が作用していない状態では切断刃2より前方側に突出しており、切断刃2におけるカバー部材13側の面を覆っている。これにより、例えば作業者の手指が切断刃2に触れてしまい怪我等をしてしまうことを抑制でき、その結果、作業時の作業者に対する安全性を向上させることができる
また、把持機構40の把持部材41は、通過部3の中心とは反対方向への力を受けた場合には切断刃2の刃先よりも通過部3の中心とは反対方向へ移動する。本実施形態の場合、把持部材41は、エンドエフェクタ1の後方側への力を受けた場合には切断刃2の刃先よりも後方側へ引っ込み、これにより切断刃2が露出する。これにより、エンドエフェクタ1は、切断刃2によって果柄93を確実に切断することができる。
ここで、本願発明者は、把持機構40と移動部材20の受け部213とによって果柄93を把持する際に、把持機構40と移動部材20の受け部213とが接触する程度まで接近させてしまうと、果柄93を押し潰してしまい、その結果、果柄93から水分が滲み出てその水分によって果柄93が滑り易くなることを見出した。そして、果柄93が滑り易くなると、把持機構40と移動部材20の受け部213との間から果柄93が滑り落ちて収穫対象物91が落下する可能性が高まる。
そこで、本実施形態において、把持機構40と受け部213とは、ベース部材10と移動部材20とが相対的に移動して通過部3の内径が最小まで縮小した場合において相互に離間している。すなわち、把持機構40における把持部材41の把持部411と、移動部材20における環状部材21の受け部213とは、移動部材20がベース部材10に接近する方向に移動して後方側の移動端まで移動した状態において、図13に示すように、距離L1の隙間が形成されている。
これによれば、エンドエフェクタ1は、把持機構40と移動部材20の受け部213とによって果柄93を把持する際に、果柄93を潰してしまうことを抑制できる。これにより、果柄93を把持する際に果柄93から水分が滲み出てくることを抑制でき、その結果、把持機構40と移動部材20の受け部213との間から果柄93が滑り落ちて収穫対象物91が落下することを極力防ぐことができる。
ここで、収穫対象物91、主茎92、及び果柄93の形状等は農作物であることから一定ではない。例えば果柄93が短いもの、すなわち、収穫対象物91の上端と主茎92との距離が短いものもよく見られる。この場合、受け部213の厚み寸法が大きいと、移動部材20をベース部材10側に引き込む際に収穫対象物91を巻き込んで傷つけてしまうおそれがある。一方、受け部213の厚み寸法が小さいと、果柄93に接触する受け部213の面積が小さくなり、その結果、果柄93に対する把持力が小さくなって落下する可能性が高まる。
そこで、把持機構40又は移動部材20に設けられた受け部213のうちいずれか一方又は両方は、通過部3の中心側へ突出した突出部414、215を更に有している。本実施形態の場合、把持機構40を構成する把持部材41は、把持部材側突出部414を有している。また、移動部材20を構成する環状部材21は、受け部213に設けられた移動部材側突出部215を有している。これによれば、エンドエフェクタ1は、果柄93を把持する際に移動部材側突出部215及び把持部材側突出部414を果柄93に食い込ませることができるため、果柄93をより確実に把持することができる。
このように、本実施形態によれば、エンドエフェクタ1は、突出部414、215を有していない構成に比べて果柄93に対する把持力を向上させることができる。したがって、受け部213の厚み寸法を小さくつまり薄くしても、収穫対象物91を落下させずに果柄93を把持するために必要な把持力を確保することができる。これにより、果柄93が短い場合であっても、収穫対象物91を極力傷つけずに収穫することができる。
移動機構30は、例えばモータ31の回転力をねじ軸33に沿った直線方向への移動に変換して、移動部材20を直線的に移動させる機能を有する。この場合、移動機構30は、例えばラックギアとピニオンギアを有して構成されたいわゆるラックアンドピニオン構造で構成することも考えられる。すなわち、例えばモータ31にピニオンギアを接続するとともに、移動部材20にラックギアを接続し、モータ31の回転力をピニオンギア及びラックギアを介して移動部材20に伝達する。しかし、この構成においては、ピニオンギアを基準としてラックギア全体が直線的に移動する。
このため、例えば図1においてベース部材10の内部にラックギア全体を収納しようとすると、ベース部材10の長さ寸法が大きくなってしまう。一方、ベース部材10の長さ寸法を小さくしようとすると、ラックギアの移動によりベース部材10からラックギアが飛び出てしまう。すると、例えばエンドエフェクタ1をロボットアーム52に取り付ける際に干渉してしまい、その取り付け態様が制限されてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態において、移動機構30は、例えばねじ軸33とナット部材34とを有して構成された直動ねじ機構で構成されている。すなわち、本実施形態において、移動機構30は、ねじ軸33と、ナット部材34と、モータ31と、を有して構成されている。ねじ軸33は、ベース部材10に回転可能に設けられている。ナット部材34は、移動部材20に連結されるとともに、ねじ軸33を通されてねじ軸33の回転に伴ってねじ軸33に沿って移動する。モータ31は、ねじ軸33を回転させる。これによれば、ねじ軸33自体はエンドエフェクタ1の長手方向には移動しないため、エンドエフェクタ1の長さ寸法を極力小さくすることができる。
更に、移動機構30の駆動によってねじ軸33等がベース部材10から突出したりすることがないため、エンドエフェクタ1をロボットアーム52に取り付ける際に、エンドエフェクタ1をロボットアーム52との干渉を考慮する必要がない。その結果、ロボットアーム52に対してエンドエフェクタ1を比較的自由な態様で取り付けることができる。なお、ロボットアーム52に対するエンドエフェクタ1の取り付け態様は、取付部材15の位置や形状等を変えることで調整することができる。
また、本実施形態において、通過部3は、矩形に形成されている。これによれば、通過部3を、例えば図1のエンドエフェクタ1の幅方向を直径とした円に形成した場合に比べて、矩形に形成した場合の方が面積を大きく確保することができる。すなわち、移動部材20の移動距離が同じであれば、通過部3が矩形のものの方が、円形のものよりも面積を大きく確保することができる。これにより、通過部3に収穫対象物91をより確実に通過させることができ、その結果、収穫の成功率を更に向上させることができる。
本実施形態の収穫システム50は、視覚装置51と、ロボットアーム52と、を備える。視覚装置51は、収穫対象物91の位置情報を含む視覚情報を取得可能に構成されている。ロボットアーム52は、エンドエフェクタ1が取り付けられている。また、収穫システム50は、収穫対象物検出処理部61と、位置情報特定処理部62と、移動経路生成処理部63と、移動処理部64と、切断処理部65と、を備えている。
収穫対象物検出処理部61は、収穫対象物検出処理を実行可能である。収穫物検出処理は、視覚装置51で取得した視覚情報に含まれている収穫対象物を検出する処理を含む。位置情報特定処理部62は、位置特定処理を実行可能である。位置特定処理は、収穫対象物検出処理で検出した収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)位置とを含む収穫対象物91の位置を特定する処理を含む。移動経路生成処理部63は、移動経路生成処理を実行可能である。移動経路生成処理は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)の下方に位置する始点位置Ps(Xs、Ys、Zs)から、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)の上方に位置する終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)に至るまでのエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する処理を含む。
移動処理部64は、移動処理を実行可能である。移動処理は、ロボットアーム52を駆動制御して、移動経路生成処理で生成した移動経路Rに沿ってエンドエフェクタ1を移動させて通過部3に収穫対象物91を通す処理を含む。そして、切断処理部65は、切断処理を実行可能である。切断処理は、移動処理によって通過部3に対する収穫対象物91の通過が完了した後に実行され、エンドエフェクタ1を動作させて通過部3を縮小させることで通過部3の内側に通された果柄93を切断する処理を含む。
これによれば、エンドエフェクタ1を用いて、主茎92や枝から果柄93を介して垂れ下がった収穫対象物91を、さらには主茎92や収穫対象物91を傷つけることを極力防ぎつつ自動で収穫することができるため、収穫作業の効率を大幅に向上させることができる。
また、位置情報特定処理部62は、位置特定処理において、収穫対象物91と繋がっている果柄93の位置情報を用いることなく収穫対象物91の位置を特定する。すなわち、制御装置60は、視覚装置51からの視覚情報に基づいてロボットアーム52を動作させる際に、果柄93を認識する処理は行わない。すなわち、エンドエフェクタ1を用いることで、果柄93を視覚的に認識する処理を行うことなく、果柄93を正確に切断することができる。
ここで、例えば収穫対象物91が全体として湾曲形状となっている場合には、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)まで直線的にエンドエフェクタ1を移動させると、その途中部分においてエンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触して収穫対象物91を傷つけてしまうおそれがある。
そこで、位置情報特定処理部62において実行される位置特定処理は、収穫対象物91の下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)から上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)までの途中の位置である中間位置Ph(X、Y、Z)を特定する処理を更に含んでいる。そして、移動経路生成処理部63において実行される移動経路生成処理は、中間位置Ph(X、Y、Z)を通過するようにエンドエフェクタ1の移動経路Rを生成する処理を更に含んでいる。
これによれば、移動経路Rは、収穫対象物91が全体的に湾曲している場合であっても、収穫対象物91の形状に極力沿ったものとすることができる。すなわち、この農作物収穫システム50によれば、例えば収穫対象物91が全体として曲がっている場合において、エンドエフェクタ1を移動経路Rに沿って果柄93の切断位置まで移動させる際に、エンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触して傷つけてしまうことをさらに効果的に抑制することができる。
また、例えばエンドエフェクタ1を移動させる際にエンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触する可能性が高い場合、接触した際の衝撃を少なくして収穫対象物91に与える損傷を低減する必要がある。この場合、エンドエフェクタ1の移動速度を遅くする必要があり、その結果、収穫効率が低下してしまうおそれがある。一方、本実施形態によれば、上述した構成により、エンドエフェクタ1を移動させる際にエンドエフェクタ1が収穫対象物91に接触する可能性が低い。そのため、エンドエフェクタ1の移動速度を速くすることができ、その結果、収穫作業の効率をさらに向上させることができる。
この場合、移動経路生成処理部63において実行される移動経路生成処理は、下端位置Pb(Xb、Yb、Zb)と中間位置Ph(X、Y、Z)と上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)とを順に直線で繋いで移動経路Rを生成する処理を含む。すなわち、本実施形態において、移動経路Rは、各位置Pb(Xb、Yb、Zb)、Ph(X、Y、Z)、Pt(Xt、Yt、Zt)を順に繋いだ複数の直線で構成されている。
これによれば、例えば移動経路Rを収穫対象物91の湾曲に沿って滑らかな曲線状で生成した場合つまり全軌道を生成した場合に比べて、認識する座標点数を低減することができるため、移動経路Rを生成する際の移動経路生成処理部63の処理負荷を大幅に低減することができる。これにより、移動経路Rを生成する際の処理速度を向上することができる。すなわち、農作物収穫システム50は、収穫対象物91を認識してから移動経路Rを生成しその後、実際にロボットアーム52を動作させるまでの時間を低減することができる。
さらにはこの場合、移動経路Rを滑らかな曲線で生成した場合に比べて、移動経路Rを各位置Pb(Xb、Yb、Zb)、Ph(X、Y、Z)、Pt(Xt、Yt、Zt)を順に繋いだ複数の直線で生成した方が、エンドエフェクタ1の移動距離を短くすることができる。そのため、本実施形態によれば、エンドエフェクタ1を果柄93の切断可能な位置に移動させるまでの時間つまりロボットアーム52の動作時間も短縮することができる。これらの結果、収穫システム50の動作速度を向上や動作期間の短縮を図ることができ、ひいては収穫作業の速度を向上させることができる。
なお、上記実施形態において、移動経路R上を移動する際、エンドエフェクタ1の姿勢は、図18〜図22に示すように、通過部3の面方向が水平となるように維持されている。しかし、これに限られず、収穫システム50は、移動経路R上を移動する際のエンドエフェクタ1の姿勢を次のようにしても良い。すなわち、移動処理部64で事項される移動処理は、移動経路Rに対して通過部3の面方向が垂直方向に向く姿勢でエンドエフェクタ1を移動させる処理を含んでいても良い。これによれば、収穫対象物91に対した通過部3の面積を大きく確保できるため、例えば収穫対象物91が垂直に対して湾曲して実っている場合等においても、収穫対象物91を通過部3に通し易い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図30、31を参照しながら説明する。
次に、第2実施形態について図30、31を参照しながら説明する。
本実施形態において、制御装置60における移動経路生成処理部63は、主茎92若しくは枝の傾きに沿って移動経路Rを補正する処理を更に含む。この場合、制御装置60は、図30のステップS17の実行前にステップS30の補正処理を実行し、例えば上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)の補正を行う。
補正処理では、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)が、主茎92から予め定められた所定距離D以上の水平距離を維持するように上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)を補正する。この場合、例えば図31に示すように、主茎92がY座標の正方向へ行くにつれて上昇するように傾いている場合、制御装置60は、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)のY座標に距離Dを加算した値を補正値とする。その後、制御装置60は、上記第1実施形態と同様に、補正した上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)の値を用いて移動経路Rを生成し(ステップS17)し、更にステップS18以降の処理を実行する。
この実施形態によれば、補正した上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)の値を用いて生成された移動経路Rは、上端位置Pt(Xt、Yt、Zt)及び終点位置Pe(Xe、Ye、Ze)付近において主茎92から水平方向に所定距離D離れたものとなる。そのため、これによれば、エンドエフェクタ1が主茎92に接触して主茎92が傷ついてしまうことを更に確実に抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図32を参照しながら説明する。
次に、第3実施形態について図32を参照しながら説明する。
第3実施形態は、エンドエフェクタ1の構成が上記第1実施形態と異なる。この場合、切断刃2は、通過部3の幅方向の半分以下の範囲に設けられている。本実施形態の場合、通過部3の幅方向における切断刃2の長さ寸法は、通過部3の幅方向全体の1/4程度である。また、切断刃2は、通過部3の幅方向における中心部に設けられている。これに対し、ガイド部132は、通過部3の幅方向の半分以上の範囲に設けられている。
この場合も、上記第1実施形態と同様に、ベース部材10が第1部材となり、移動部材20が第2部材となる。そして、ベース部材10と移動部材20とは、切断刃2を含んで環状に構成されてその環状の内側に収穫対象物91を通すことが可能な通過部3を形成する。
この構成によっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
この構成によっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、この場合、窪み部131の幅方向の寸法は、果柄93の外径よりも大きくかつ人の指よりも小さい寸法、例えば10mm以下に設定することができる。これによれば、作業者の指が窪み部131に入り込んで切断刃2に接触することを抑制できるため、安全性を更に向上させることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図33を参照しながら説明する。
次に、第4実施形態について図33を参照しながら説明する。
本実施形態において、エンドエフェクタ1は、上記各実施形態のベース部材10に換えてベース部材10Aを備え、移動部材20に換えて移動部材20Aを備えている。ベース部材10Aは、上記各実施形態におけるベース部材10Aと同様の構成である。また、移動部材20Aは、上記各実施形態における移動部材20とほぼ同様の構成であるが、環状部材21に切断刃2が設けられている点で異なっている。
切断刃2は、環状部材21において把持機構40と対向する位置に設けられている。この場合、ベース部材10Aには、切断刃2は設けられていない。切断刃2は、移動部材20Aの移動に伴って、ベース部材10に対して接近及び離間する方向へ移動する。本実施形態では、移動部材20Aは第1部材として機能し、ベース部材10A及び把持部材41Aは、第2部材として機能する。そして、移動部材20A、ベース部材10A、及び把持部材41Aは、切断刃2を含んで環状に構成されてその環状の内側に収穫対象物91を通すことが可能な通過部3を形成している。
この構成によっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
この構成によっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図34及び図35を参照しながら説明する。
次に、第5実施形態について図34及び図35を参照しながら説明する。
本実施形態のエンドエフェクタ1は、上記第1〜3実施形態のベース部材10、移動部材20、把持機構40、及び把持部材41に換えて、ベース部材10B、非移動部材20B、把持機構40B、及び把持部材41Bを備えている。ベース部材10Bは、上記第1〜3実施形態におけるベース部材10と同様の構成である。また、非移動部材20Bは、上記第1〜3実施形態における移動部材20とほぼ同様の構成であるが、ベース部材10Bに固定されている点で異なっている。また、把持機構40B及び把持部材41Bは、上記第1〜3実施形態における把持機構40及び把持部材41とほぼ同様の構成であるが、ベース部材10に対して相対的に移動可能に構成されている点で異なっている。
すなわち、本実施形態において、環状部材21は、ベース部材10Aの例えば保持部材11に固定されている。このため、環状部材21は、ベース部材10Aに対して相対的に移動不可に構成されている。一方、把持機構40Bは、ベース部材10に対して相対的に移動可能に構成されている。
また、本実施形態の場合、移動機構30は、モータ31、軸受け32、ねじ軸33、ナット部材34に換えて、直動アクチュエータ39を有している。直動アクチュエータ39は、直線方向へ駆動するアクチュエータであり、例えばエア式又は電動式のシリンダ、若しくはリニアスライダ等である。直動アクチュエータ39は、前側の保持部材11と後側の保持部材12との間に設けられている。
直動アクチュエータ39は、駆動軸391及び端部材392を有している。端部材392は、駆動軸391の先端部に設けられており、駆動軸391の伸縮に伴って前後方向に移動する。把持機構40Bは、端部材392を介して駆動軸391に接続されている。そして、把持機構40Bは、図34及び図35に示すように、駆動軸391の伸縮に伴ってエンドエフェクタ1の前後方向つまり通過部3の前後方向へ移動する。この場合、端部材392は、保持部材11の摺動溝111に相当する構成として摺動溝393を有している把持部材41の摺動部412は、摺動溝393を摺動可能に構成されている。
切断刃2は、把持機構40Bに設けられている。そのため、本実施形態の場合、把持機構40Bの把持部材41Bは、果柄93を切断するための切断刃2が設けられた第1部材として機能する。また、この場合、ベース部材10及び非移動部材20Bは、把持機構40Bの把持部材41Bに対して相対的に移動可能に構成された第2部材として機能する。なお、本実施形態の場合、第1部材であるの把持部材41Bが、第2部材であるベース部材10B及び環状部材21Bに対して移動する。そして、把持部材41Bと非移動部材20Bとは、切断刃2を含んで環状に構成されてその環状の内側に収穫対象物91を通すことが可能な通過部3を形成する。
これによっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
これによっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
1…農作物収穫用エンドエフェクタ、2…切断刃、3…通過部、10…ベース部材(第1部材)、20…移動部材(第2部材)、20A…非移動部材(第1部材)、213…受け部、215…移動部材側突出部(突出部)、30…移動機構、31…モータ、33…ねじ軸、34…ナット部材、41…把持部材(第1部材)、41A…把持部材(第2部材)、414…把持部材側突出部(突出部)、51…視覚装置、61…収穫対象物検出処理部、62…位置情報特定処理部、63…移動経路生成処理部、64…移動処理部、65…切断処理部、Pb…下端位置(先端位置)、Pt…上端位置(基端位置)、Ph…中間位置、R…移動経路
Claims (14)
- 主茎(92)又は枝に結実した収穫対象物(91)に対し果柄(93)を切断して前記収穫対象物を収穫する農作物収穫用エンドエフェクタ(1)であって、
前記果柄を切断するための切断刃(2)が設けられた第1部材(10、20A、41)と、
前記第1部材に対して相対的に移動可能に構成された第2部材(20、41A)と、
前記第1部材に対して前記第2部材を相対的に移動させる移動機構(30)と、を備え、
前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方又は両方は、前記切断刃を含んで環状に構成されてその環状の内側に前記収穫対象物を通すことが可能な通過部(3)を形成し、
前記移動機構は、前記通過部の内側に前記果柄を通した状態で前記第1部材と前記第2部材とを相対的に移動させて前記通過部を縮小させることで前記第2部材と前記切断刃とで前記果柄を挟み込んで切断する、
農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記第2部材は、剛性を有する部材によって環状に形成されている、
請求項1に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記切断刃は、前記通過部の幅方向の半分以上に亘って設けられている、
請求項1又は2に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記第1部材に設けられ、前記第1部材と前記第2部材とが相対的に移動して前記通過部の内径を縮小させることで前記切断刃によって前記果柄を切断した場合に、前記第2部材に設けられた受け部との間に切断した前記果柄を挟み込んで把持する把持機構(40)を更に備えている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記把持機構は、前記第1部材に対して弾性的に移動可能に構成され、前記果柄に接触して把持する把持部に力が作用していない状態では前記切断刃よりも前記通過部の中心側に突出して前記切断刃の一方の面を覆い、前記通過部の中心とは反対方向への力を受けた場合には前記切断刃の刃先よりも前記通過部の中心とは反対方向へ移動する、
請求項4に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記把持機構と前記受け部とは、前記第1部材と前記第2部材とが相対的に移動して前記通過部の内径が最小まで縮小した場合において相互に離間している、
請求項5に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記把持機構又は前記受け部のうちいずれか一方又は両方は、前記通過部の中心側へ突出した突出部(215、414)を更に有している、
請求項5又は6に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記移動機構は、
前記第1部材に回転可能に設けられたねじ軸(33)と、
前記第2部材に連結されるとともに、前記ねじ軸を通されて前記ねじ軸の回転に伴って前記ねじ軸に沿って移動するナット部材(34)と、
前記ねじ軸を回転させるモータ(31)と、を有している、
請求項1から7のいずれか一項に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 前記通過部は、矩形に形成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の農作物収穫用エンドエフェクタ。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載した農作物収穫用エンドエフェクタが取り付けられたロボットアーム(52)と、
前記収穫対象物の位置情報を含む視覚情報を取得可能な視覚装置(51)と、
前記視覚装置で取得した前記視覚情報に含まれている収穫対象物を検出する収穫対象物検出処理を実行可能な収穫対象物検出処理部(61)と、
前記収穫対象物検出処理で検出した前記収穫対象物の先端位置(Pb)と基端位置(Pt)とを含む位置を特定する位置特定処理を実行可能な位置情報特定処理部(62)と、
前記収穫対象物の前記先端位置の外方から前記基端位置の外方に至るまでの前記農作物収穫用エンドエフェクタの移動経路(R)を生成する移動経路生成処理を実行可能な移動経路生成処理部(63)と、
前記ロボットアームを駆動制御して前記移動経路生成処理で生成した前記移動経路に沿って前記農作物収穫用エンドエフェクタを移動させて前記通過部に前記収穫対象物を通す移動処理を実行可能な移動処理部(64)と、
前記移動処理によって前記通過部に対する前記収穫対象物の通過が完了した後に実行され、前記農作物収穫用エンドエフェクタを動作させて前記通過部を縮小させることで前記通過部の内側に通された前記果柄を切断する切断処理を実行可能な切断処理部(65)と、を備えている、
収穫システム。 - 前記位置情報特定処理部は、前記位置特定処理において、前記収穫対象物と繋がっている果柄の位置情報を用いることなく前記収穫対象物の位置を特定する、
請求項10に記載の収穫システム。 - 前記位置特定処理は、前記先端位置から前記基端位置までの途中の位置である中間位置(Ph)を特定する処理を更に含み、
前記移動経路生成処理は、前記中間位置を通過するように前記移動経路を生成する処理を更に含む、
請求項10又は11に記載の収穫システム。 - 前記移動経路生成処理は、前記先端位置と前記中間位置と前記基端位置とを直線で繋いで前記移動経路を生成する処理を含む、
請求項12に記載の収穫システム。 - 前記移動経路生成処理部は、前記主茎又は枝の傾きに沿って前記移動経路を補正する処理を更に実行可能である、
請求項10から13のいずれか一項に記載の収穫システム。
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