JP2021087083A - 画像処理装置、画像処理方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】カラー信号を用いたWDR合成処理を行う画像処理装置で、色ずれ等の発生を低減する。【解決手段】画像処理装置1は、長露光画像データ及び短露光画像データにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間する色補間部10と、長露光画像データと短露光画像データの合成画像を生成するWDR合成処理部20とを備える。WDR合成処理部20は、各画素について、補間後の最大のRGB各成分値に基づいて、長露光画像と短露光画像の合成比率を決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
デジタルカメラのダイナミックレンジは、肉眼と比較するとかなり狭いため、被写体の明暗差が大きい場合には、撮影された画像においては、明度の高い部位および低い部位の階調が失われ、それぞれ、「白飛び」、「黒潰れ」と呼ばれる現象が発生する。こうした「白飛び」、「黒潰れ」を防止するため、近年、「WDR(Wide Dynamic Range)」ないし「HDR(High Dynamic Range)」と呼ばれる機能が導入されるようになってきている。
WDR及びHDRは、露光時間の異なる2枚の画像を合成して、ダイナミックレンジを拡大した画像を生成した後、トーンマッピングにより、ダイナミックレンジを縮小した上で、1枚の画像として出力するが、合成の際の2枚の画像の合成比率の決め方については、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、露光量の異なる2つの画像データから、被写体の動きを検出し、被写体の動きの有無に応じて、WDR出力のオン・オフを切り替える技術が開示されている。また、特許文献2には、イメージセンサにおける信号増幅度に基づき、信号増幅度が高い場合、すなわち、被写体の明度が低い場合には、長露光画像の選択比率が大きくなるように、長露光画像と短露光画像の合成比率を算出する技術が開示されている。
特開2000−50151号公報 特開2016−058889号公報
しかしながら、特許文献1には、WDR出力がオンとなった場合における合成比率をどのように決めるかについては開示されていない。一方、特許文献2に記載された技術では、合成比率の算出方法の例が開示されているが、これは、WDR合成画像におけるノイズを緩やかに低減させることを目的とするものであって、1フレーム内の明暗差または色差のある領域の動きが考慮されていないため、かかる場合に発生し得る色ずれを抑止することは困難である。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、WDR合成処理において、色ずれ等の発生を抑止または低減、緩和することができる、画像処理装置等を提供することを目的とする。
本発明の画像処理装置は、第1の画像データと、前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成を行う画像処理装置であって、前記第1の画像データにおける各画素のRGB成分値及び前記第2の画像データにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間する色補間部と、前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するWDR合成処理部と、を備え、前記色補間部は、前記第1の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値を出力し、前記WDR合成処理部は、前記色補間部から出力された、各画素の最大のRGB成分値に基づいて、第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率を画素ごとに決定する構成を有している。
この構成によれば、より露光時間の長い第1のフレーム画像について、色補間部によって補間された各RGB値の最大値に基づいて、WDR合成処理部における各画素のWDR合成比率が決定される。色補間部においては、各画素のRGB成分値が、その周辺画素のRGB成分値に基づいて補間されるので、合成対象となる画素のRGB最大値は、その周辺画素のRGB最大値と近似した値となり、したがって、補間後のRGB最大値に基づいて決定された合成比率も、周辺画素において一致、または、近似することになる。被写体に動きがある場合、周辺に位置するRGBで合成比率の差が大きいと、元のカラーバランスが崩れて、合成後に色ずれ(偽色)が発生しやすくなるところ、かかる構成により、色ずれしにくい合成比率を決定することができる。
本発明の画像処理装置は、前記色補間部から出力された補間後の第1の画像データ及び第2の画像データを合成して生成された画像データに基づいて、合成輝度値を算出する輝度算出部と、前記輝度算出部にて算出された合成輝度値に基づき算出された圧縮パラメータにより、前記WDR合成処理部にて生成された画像データの圧縮を行う圧縮部と、をさらに備え、前記輝度算出部は、補間後の第1の画像データ及び第2の画像データの合成比率を、補間後の第1の画像データの画素値に基づいて決定してよい。
合成輝度値は圧縮パラメータの算出に用いられるものであるため、合成画像データに色ずれが生じたとしても、WDR合成画像への影響は小さいと考えられる一方で、補間処理後のRGB最大値に基づいて合成比率を決定すると、短露光画像の合成比率が高くなって、S/N比が悪化するおそれがある。WDR合成処理部においては、色ずれの抑止、低減を優先して、補間後のRGB最大値に基づき、合成比率を決定する一方で、輝度算出部においては、S/N比の維持を優先し、色補間後の長露光画像データの画素値に基づき、合成比率を決定することにより、WDR画像合成処理全体における画質の向上を図ることができる。
本発明の画像処理装置は、前記第1の画像データ及び第2の画像データにおける同一位置の各画素について、動きの有無を判定する動き判定部をさらに備え、前記WDR合成処理部は、前記動き判定部において、画素における動きがあると判定された場合に、前記第2の画像データのみが使用されるように、当該画素についての合成比率を決定してよい。
この構成によれば、画素に動きがあると判断された場合、WDR合成処理部において、より露光時間の短い画像データのみが使用されるので、被写体の位置ずれを防止するとともに、動きブレを抑制ないし低減させることができる。
本発明の他の画像処理装置は、第1の画像データと前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成、及び、前記第2の画像データと前記第2の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第3の画像データの合成を行う画像処理装置であって、前記第1の画像データ、前記第2の画像データ、前記第3の画像データのそれぞれにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間する色補間部と、前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成し、前記第2の画像データと前記第3の画像データを合成して、前記第2の画像データ及び第3の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するWDR合成処理部と、を備え、前記色補間部は、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値を出力し、前記WDR合成処理部は、前記色補間部から出力された、各画素の最大のRGB成分値に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率及び前記第2の画像データと前記第3の画像データの合成比率を画素ごとに決定し、前記第1の画像データの画素値に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データの合成データまたは前記第2の画像データと前記第3の画像データの合成データのいずれかを画素ごとに選択する構成を有している。
この構成によれば、露光時間が異なる3つの画像データを入力データとして用いて、2つの合成画像データを生成する際、より露光時間の長い画像データの補間処理後のRGB最大値に基づき合成比率が決定されるとともに、最も露光時間の長い画像データの画素値に基づいて2つの合成画像のうちの1つが選択されるので、各々において、色ずれが抑制、低減された2つの合成画像データから、最適な合成画像を出力することができる。
上記の画像処理装置は、前記第1の画像データ及び第2の画像データにおける同一位置の各画素について、動きの有無を判定する動き判定部をさらに備え、前記WDR合成処理部は、前記動き判定部において、画素における動きがあると判定された場合に、前記第2の画像データと前記第3の画像データの合成データを選択してよい。
この構成によれば、画素に動きがあると判断された場合、WDR合成処理部において、より露光時間の短い2つの画像データから生成された合成データが選択されるので、動きブレを抑制ないし低減させた合成画像を出力することができる。
本発明の画像処理方法は、第1の画像データと、前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成を行う画像処理方法であって、前記第1の画像データにおける各画素のRGB成分値及び前記第2の画像データにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間するステップと、前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するステップと、を備え、前記補間を行うステップにおいては、前記第1の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値が出力され、前記画像データを生成するステップにおいては、前記最大のRGB成分値に基づいて、第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率を画素ごとに決定される。
本発明のプログラムは、第1の画像データと、前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成を行うためのプログラムであって、コンピュータに、前記第1の画像データにおける各画素のRGB成分値及び前記第2の画像データにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間するステップと、前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するステップと、を実行させ、前記補間を行うステップにおいては、前記第1の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値が出力され、前記画像データを生成するステップにおいては、前記最大のRGB成分値に基づいて、第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率を画素ごとに決定される。
本発明によれば、色補間部によって補間された各RGB値の最大値に基づいてWDR合成における合成比率が設定されるので、周辺画素において、相互に合成比率を一致、または、近似させることができ、これにより、例えば、被写体に動きがある場合において、色ずれの発生を抑止または低減、緩和することができる
本発明の第1の実施の形態における画像処理装置の構成を示すブロック図 本発明の第1の実施の形態における色補間部による色補間処理の概念を説明するための図 本実施の第1の実施の形態における、RGBMaxとratioとの関係を示す図 合成輝度値の変換テーブルの一例を示す図 本発明の第2の実施の形態における画像処理装置の構成を示すブロック図 (a)〜(c)本発明の第1、第2の実施の形態における画像処理装置の出力例を説明するための図 本発明の第3の実施の形態における画像処理装置の構成を示すブロック図 本発明の第3の実施の形態における画像処理装置のWDR合成処理部における合成処理のフロー図
以下、本発明の実施の形態の画像処理装置について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の画像処理装置の構成を示す図である。図1において、画像処理装置1は、色補間部10と、WDR合成処理部20と、輝度算出部30と、圧縮部40を備える。また、T1、T2は、図示しない撮像素子からの出力Rawデータ(生データ)である。T1、T2は、露光時間を変えて2フレーム連続して撮像されたデータであり、その連続する2フレーム画像のうち、T1は、より長い露光時間にて撮像された画像データ(長露光画像データ)であり、T2は、より短い露光時間にて撮像された画像データ(短露光画像データ)である。
色補間部10は、長露光画像データT1と、短露光画像データT2のそれぞれについて、各画素のRGB成分値のうち、不足している成分値を、その画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて補間生成する。
図2は、本発明の第1の実施の形態における色補間部10による色補間処理の概念を説明するための図である。長露光画像データT1は、ベイヤーフィルタが適用されることで、図2に示すようなパターンにて、画素位置とRGB成分及びRGB成分値が対応付けられている。色補間処理は、本実施の形態においては、対応する画素位置に応じて、R(ID:0(R))、Gr(ID:1(Gr))、Gb(ID:2(Gb))、B(ID:3(B))のそれぞれについて、以下のように、不足する成分値が補間生成されることにより行われる。
ID:0(R)
R=pix(x,y)
G=Avr(pix(x,y−1), pix(x,y+1),pix(x−1,y),pix(x+1,y))
B=Avr(pix(x−1,y−1), pix(x+1,y−1),pix(x−1,y+1),pix(x+1,y+1))

ID:1(Gr)
R=Avr(pix(x−1,y),pix(x+1,y))
G=pix(x,y)
B=Avr(pix(x,y−1),pix(x,y+1))

ID:2(Gb)
R=Avr(pix(x,y−1),pix(x,y+1))
G=pix(x,y)
B=Avr(pix(x−1,y),pix(x+1,y))

ID:3(B)
R=Avr(pix(x−1,y−1), pix(x+1,y−1),pix(x−1,y+1),pix(x+1,y+1))
G=Avr(pix(x,y−1), pix(x,y+1),pix(x,y−1),pix(x,y+1))
B=pix(x,y)

ここで、pix(x,y)は、補間処理を行う座標(x,y)に位置する画素の画素値(RGB成分値)であり、Avr()は平均関数、すなわち、括弧内の画素値の平均値を求める計算式である。
したがって、例えば、図2において、画素P1(1,2)が、R成分に対応しているとき、RGB成分値のうち、G成分値及びB成分値は、以下のように、P1の周囲8個の周辺画素のRGB成分値(画素値)の平均値により補間生成される。
R= pix(1, 2)=380
G=(688+700+692+688)/4=692
B=(152+152+156+148)/4=152

また、画素P2(5,3)がG成分に対応しているとき、RGB成分値のうち、R成分値及びG成分値は、以下のように、P2の周囲8個の周辺画素のRGB成分値(画素値)の平均値により補間生成される。
R=( 408 + 396 ) / 2 = 402
G=pix(5,3)=672
B=( 152 + 152 + 156 + 148 ) / 4 = 152
色補間部10は、このようにして補間されたRGB成分値を、長露光画像T1を構成する各画素及び短露光画像T2を構成する各画素それぞれについて算出し、輝度算出部30に出力する。色補間部10はまた、長露光画像T1を構成する各画素について、補間生成された各RGB成分値のうち、最大のRGB成分値(RGBMax)をWDR合成処理部20に出力する。上記の例では、画素P1(1,2)について、692が、画素P2(5,3)について、672が、それぞれ最大値として出力されることになる。
WDR合成処理部20は、長露光画像データT1と短露光画像データT2を合成して、それらの画像データよりもダイナミックレンジが拡大された、WDR画像データを生成する。WDR画像データの合成は、同一位置に存在する画素の長露光画素値と短露光画素値を次式
Mix=[T1×(1.0−ratio)+(T2×expRatio)×ratio]×2(6−expRbit)
に従い合成することにより行う。ここで、T1は長露光画像データの画素値、T2は短露光画像データの画素値、expRatioは露出倍率(2のべき乗で最大64)、expRbitはlog2(expRatio)、ratioは合成比率(0≦ratio≦1)である。上式において、ratio、すなわち、WDR合成処理部20が長露光画像データT1と短露光画像データT2の合成を行う際の両画像データの合成比率は、色補間部10から出力された、補間処理後の長露光画像データの各画素の最大のRGB成分値RGBMaxに基づいて、画素ごとに決定される。なお、長露光画像及び短露光画像がともに12ビットの場合、合成された画像データは18ビットとなる。
図3は、本実施の形態における、RGBMaxとratioとの関係を示す図である。図3に示すように、本実施の形態では、RGBMaxが0〜α0のとき、ratioは0となり、長露光画像データT1のみが使用されることになり、RGBMaxがβ0以上のときは、ratioは1となり、短露光画像デーT2タのみが使用されることになる。RGBMaxがα0〜β0のとき、ratioは0〜1の間でRGBMaxに比例して増加し、長露光画像データT1と短露光画像データT2が合成されることになる。本発明において、このようにRGBMaxの大きさに応じてratioを変化させるのは、RGBMaxが小さいほど、つまり、被写体が暗いほど短露光画像データT2の精度が悪くなり、また、RGBMaxが大きいほど、つまり、被写体が明るいほど、長露光画像データT1では、いわゆる白飛びの状態となって、階調の再現性が悪化する可能性が高くなるためである。
ところで、被写体の明度は、色補間前の生の長露光画像データT1にも反映されている。したがって、単に、被写体の明度と、長露光画像/短露光画像の相対的な優位性との関係にのみ着目する場合には、RGBMaxの代わりに、例えば、色補間前の長露光画像データの生の画素値をそのまま利用することで、図3と同様の手法で合成比率ratioを決めることも考えられる。しかしながら、色補間前の生の画素値は、その位置に応じて、R、G、Bのいずれかの成分値しか有さず、また、その周辺で大きな差がある場合もあるため、もし、色補間前の生の長露光画像データの画素値を用いると、周辺に位置するRGBで合成比率の差が大きくなり得る。このような場合であっても、長時間露光画像データT1と短時間露光画像データT2が同じ色に対応したデータであれば、RGBで合成比率が異なっていても合成された画像データは元の色と同じまたは近似した色となる。これに対して、色の境界領域や明暗差のある領域が動いている場合においては、長時間露光画像データT1と短時間露光画像データT2が、かかる動きにより異なる色に対応する場合がある。このような場合においては、異なる色のデータを合成することになるため、周辺に位置するRGBで合成比率の差が大きくなると、元のカラーバランスが崩れて、合成後に色ずれ(偽色)が発生しやすくなるという問題が生じる。これに対して、本発明では、色補間部10から出力されるRGBMaxは、周辺画素の画素値を利用して算出されるものであるため、周辺画素のRGBMaxは、相互に近似した値となり、これにより、周辺画素の合成比率を一致、または、近づけることができる。
輝度算出部30は、色補間部10から出力された補間後の長露光画像データ(T1(R),T1(G),T1(B))及び補間後の短露光画像データ(T2(R),T2(G),T2(B))をWDR合成して、R、G、Bそれぞれの合成信号(Mix(R),Mix(G),Mix(B))を生成した上で、次式のように、各合成信号を所定割合で加算して、圧縮部40にて使用される圧縮パラメータの算出に必要な合成輝度値Ymixを算出する。
Ymix=[4×Mix(R)+11×Mix(G)+Mix(B)]/16
輝度算出部30における、補間後の長露光画像データ(T1(R),T1(G),T1(B))及び補間後の短露光画像データ(T2(R),T2(G),T2(B))の合成は、WDR合成処理部20における合成処理と同様に行われる。ただし、WDR合成処理部20においては、合成比率は、色補間部10から出力された、補間処理後の長露光画像データの各画素の最大のRGB成分値(RGBMax)に基づいて決定されたのに対し、輝度算出部30は、色補間後の長露光画像データT1の画素値に基づき、R、G、Bごとに、合成比率を決定する。合成比率は、図3において、横軸のRGBMaxをT1(T1(R)またはT1(G)またはT1(B))に読み替えることにより割り出すことができる。
WDR合成処理部20の合成処理においては、周辺画素の合成比率を一致、または、近づけて、色ずれを抑止または低減させるために、合成比率の決定にRGBMaxを用いたことは上述のとおりである。これに対して、輝度算出部30における合成処理は、輝度算出を目的とするものであり、色ずれが生じたとしても、影響は小さいと考えられる一方で、RGBMaxに基づいて合成比率を決定すると、短露光画像データT2の比率が高くなって、S/N比が悪化するおそれがある。そこで、本発明においては、WDR合成処理部20においては、色ずれの抑止、低減を優先して、RGBMaxに基づき、合成比率を決定する一方で、輝度算出部30においては、S/N比の維持を優先し、色補間後の長露光画像データT1の画素値に基づき、合成比率を決定することにより、WDR画像合成処理全体における画質の向上の観点からのバランスを図っている。
圧縮部40は、WDR合成処理部20にて生成された18ビットのWDR合成画像を、輝度算出部30から出力された合成輝度値Ymixに基づき、12ビットの画像データに圧縮する。具体的には、まず、合成輝度値Ymixを、図4に示す変換テーブルに基づき、12ビットの値(Yout)に変換した後、その入出力比(Yout/Ymix)から算出した変換倍率をWDR合成画像データに乗じることにより、WDR合成処理部40にて、一旦拡大されたダイナミックレンジを圧縮する。このように、合成輝度値Ymixに基づき、変換倍率を決めるため、もともとのカラーバランスを維持した状態で圧縮を行うことができる。
以上、説明したように、本発明の第1の実施の形態の画像処理装置によれば、長露光画像の色補間後の最大のRGB成分値に基づき、長露光画像データと短露光画像データの合成比率が決定されるので、周辺画素の合成比率を一致、または、近づけることができる。これにより、合成画像において、色ずれの発生を抑止または低減させることができる。
なお、第1の実施の形態においては、ベイヤーフィルタが適用され、色補間部30が、線形補間法により色補間を行う場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限らず、他の種類のカラーフィルタが適用されても良く、また、色補間も他の手法により行われても良い。
また、第1の実施の形態においては、RGBMaxとratioの関係の一例として、図3を用いて説明したが、本発明の範囲はこれに限らず、0<ratio<1の間において、RGBMaxとratioの関係は線形でなくても良い。
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態の画像処理装置の構成を示す図である。図5に示すように、本発明の第2の実施の形態の画像処理装置2は、図1に示す第1の実施の形態の画像処理装置1の構成に加えて、動き判定部50を備える。
動き判定部50は、色補間部10から取得した、色補間後の長露光画像データ及び短露光画像データにおける、同一位置の各画素について、動きの有無を判定し、その結果をWDR合成処理部20及び輝度算出部30に出力する。
動き判定部50は、まず、各画素において、R、G、Bそれぞれについて、動きの有無を判定する。R、G、Bそれぞれについての動きの判定は、色補間後の長露光画像データT1と短露光画像データT2を露出倍率expRatioでレベル調整し、shtRef(=T1/expRatio)を得た後、色補間後の短露光画像データT2と比較し、min≦T2≦max(ただし、min=shtRef−err、max=shtRef+errであり、errは小さな動きを無視するためのパラメータである。)となる場合に、その色成分について、動きなしと判定し、それ以外の場合、すなわち、T2<min、または、T2>maxのとき、動きありと判定する。動き判定部50は、このようにして各画素において、R、G、Bそれぞれについて、動きの有無を判定した上で、R、G、Bの少なくともいずれかに動きがあると判定した場合には、当該画素については、動きがあると判定する。
WDR合成処理部20及び輝度算出部30の機能及び動作は、第1の実施の形態における画像処理装置1のそれらと概ね同様である。ただし、第2の実施の形態における画像処理装置2においては、WDR合成処理部20及び輝度算出部30は、さらに、動き判定部50から出力された判定結果に基づいて、合成比率ratioを決定する。具体的には、WDR合成処理部20は、動き判定部50から出力された判定結果が、その画素について、「動きあり」であった場合、RGBMaxの値によらず、ratio=1と設定し、「動きなし」であった場合、RGBMaxの値に基づき、図3で示す関係性に従い、ratioを決定する。
輝度算出部30も、動き判定部50から出力された判定結果が、その画素について、「動きあり」であった場合、色補間後の長露光画像データの画素値によらず、ratio=1と設定し、「動きなし」であった場合、色補間後の長露光画像データの画素値に基づき、図3で示す関係性に従い、ratioを決定する。なお、輝度算出部30においては、R、G、Bそれぞれについて、合計3つのWDR合成処理が行われるが、本実施の形態では、動き判定部50から取得される、画素ごとに1つの判定結果を、この3つの合成処理に共通して用いる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態の画像処理装置2では、被写体に動きがあると判断された場合、WDR合成処理部及び輝度算出部において、合成比率は1となり、短露光画像データT2画像データのみが使用される。これは、一方の画像データのみ使用することで被写体の位置ずれを防止するとともに、露光時間が短いT2画像データを用いることで、ブレを抑制ないし低減させるためである。また、本実施の形態において、被写体の動きの有無が、WDR合成処理部における色ずれ抑制のための合成比率の決定に優先される。本実施の形態では、動きを検出した場合に、合成比率を1とすることから、これにより、同時にRGBで合成比率を一致させることができるので、色ずれも同時に抑制することができる。本実施の形態では、動きの検出によるブレ、色ずれ抑制と、RGBMaxに基づく合成比率の決定による色ずれ抑制とを組み合わせることにより、ブレの発生、色ずれの発生の双方を、1フレーム全体できめ細かく抑制、低減させることができる。
なお、第2の実施の形態においては、WDR合成処理部20が、RGBMaxを取得する場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限らず、色補間部10とWDR合成処理部20との間にセレクタを設け、例えば、「色ずれ抑制」機能をユーザが手動で選択した場合に、WDR合成処理部20がRGBMaxを取得してもよい。
(本発明の第1、第2の実施の形態の画像処理結果)
図6(a)〜(c)は、本発明の第1、第2の実施の形態における画像処理結果を説明するための図である。図6(a)〜(c)は、いずれも、右側に位置する指が動いている状態を撮影したものである。図6(a)は、本発明の第1の実施の形態における画像処理結果であり、従来技術による画像処理結果(図6(c))と比べて、偽色の発生が低減されていることが分かる。また、図6(b)は、本発明の第2の実施の形態における画像処理結果であり、従来技術による画像処理結果(図6(c))と比べて、色ずれ、ぶれが抑制されたことが分かる。
(本発明の第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態の画像処理装置3の構成を示す図である。第3の実施の形態の画像処理装置3において、色補間部10は、露光時間が異なる3つの画像データT1、T2、T3(露光時間は、T1>T2>T3)について、色補間を行う。WDR合成処理部20は、T1、T2、T3を入力データとして用いて、T1及びT2の合成データとT2及びT3の合成データの2つの合成データのうちのいずれかを選択して出力する。輝度算出部30は、補間後のT1データ(T1(R),T1(G),T1(B))、補間後のT2データ(T2(R),T2(G),T2(B))、補間後のT3データ(T3(R),T3(G),T3(B))を入力データとして用いて、T1及びT2、T2及びT3の2つのデータについて、R、G、BごとにWDR合成して2つの合成信号(Mix(R),Mix(G),Mix(B))を生成し、そのうちのいずれかを選択した上で、合成輝度値Ymixを算出する。圧縮部40の機能及び動作は、第1の実施形態にて説明したとおりである。動き判定部50は、画像データT1とT2について、第2の実施の形態と同様に、画素ごとに動きの有無を判定する。
図8は、画像処理装置3のWDR合成処理部20における合成処理のフロー図である。まず、合成処理部20は、T1及びT2のデータ合成における合成比率ratio0とT2及びT3のデータ合成におけるratio1を決定する(ステップS1)。ratio0とratio1の決定は、第1の実施の形態と同様に行う。すなわち、T1及びT2のデータ合成においては、補間処理後のT1の各画素の最大のRGB成分値RGBMaxに基づき、画素ごとにratio0を決定し、T2及びT3のデータ合成においては、補間処理後のT2の各画素の最大のRGB成分値RGBMaxに基づき、画素ごとにratio1を決定する。
WDR合成処理部20は、こうして決定されたratio0、ratio1を用いて、T1及びT2のデータ合成と、T2及びT3のデータ合成を行い(ステップS2)、動き判定部50から取得した判定結果に基づいて、当該画素に動きがある場合には(ステップS3にてYes)、T2/T3合成データを選択する(ステップS4)。一方、当該画素に動きがない場合には(ステップS3にてNo)、さらに、T1画素値と閾値β0を比較し、T1画素値の方がβ0以上であれば(ステップS5にてNo)、同様にT2/T3合成データを選択する(ステップS4)が、T1画素値の方がβ0よりも小さければ(ステップS5にてYes)、T1/T2合成データを選択する(ステップS6)。なお、ステップS4で、T2/T3合成が選択された場合には、T1/T2合成データとレベルをあわせるため、T1/T2の最大倍率(64)を乗じた(ステップS7)上で、T2/T3データを出力する。WDR合成処理部20は、以上の合成処理を画素ごとに行う。
ステップS3〜4にて、画素に動きがある場合に、T2/T3合成データを選択するのは、動きブレや色ずれを抑制、低減させる観点からは、露光時間がより短い合成データを選択した方が好ましいからであり、また、ステップS5〜S6にて、T1画素値の方がβ0よりも小さい場合に、T1/T2合成データを選択するのは、T1画素値≧β0の場合、T1画素値が飽和レベルに達している可能性があるので、そうでない場合に限り、T1/T2合成データを選択した方が好ましいからである。
輝度算出部30における合成処理は、第1の実施の形態で説明したように、R、G、Bごとに行われ、また、合成比率は、補間処理後のR、G、B成分値に基づき決定されるが、処理の流れは、WDR合成処理部20と同様である。
以上、説明したように、本発明の第3の実施の形態の画像処理装置3は、露光時間が異なる3つの画像データT1、T2、T3を入力データとして用いて、T1及びT2の合成データとT2及びT3の合成データの2つの合成データのうちのいずれかを選択して出力する。とりわけ、画素ごとの動きの有無及び長露光画像の画素値に基づき、合成画像を選択するため、動きブレ、色ずれが抑制、低減され、より色再現性に優れた画像を出力することができる。
なお、第3の実施の形態においては、WDR合成処理部20における合成比率の決定の際に、RGBMaxを用いる場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限らず、合成比率は、T1/T2合成ではT1画素値に基づき、T2/T3合成ではT2画素値に基づき、決定されてよい。また、合成比率の決定の際には、第2の実施の形態の画像処理装置と同様に、動き判定の結果を利用してもよく、この場合において、T1/T2合成処理においてのみ、動き判定結果を利用してもよいし、T1/T2合成とT2/T3合成の双方に動き判定結果を利用してもよい。また、T1/T2合成における、0と0を上回る合成比率の閾値となる閾値α0及び1と1未満の合成比率の閾値となるβ0は、T2/T3合成における対応する閾値α1、β1の値と、同一でも異なっていてもよい。さらに、第3の実施の形態においては、画像選択の際に、閾値α0とT1画素値の大小を比較したが、T1画素値の代わりに、T1のRGBMaxを比較に用いてもよい。
以上,本発明について実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1〜3 画像処理装置
10 色補間部
20 WDR合成処理部
30 輝度算出部
40 圧縮部
50 動き判定部

Claims (7)

  1. 第1の画像データと、前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成を行う画像処理装置であって、
    前記第1の画像データにおける各画素のRGB成分値及び前記第2の画像データにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間する色補間部と、
    前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するWDR合成処理部と、
    を備え、
    前記色補間部は、前記第1の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値を出力し、
    前記WDR合成処理部は、前記色補間部から出力された、各画素の最大のRGB成分値に基づいて、第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率を画素ごとに決定する
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記色補間部から出力された補間後の第1の画像データ及び第2の画像データを合成して生成された画像データに基づいて、合成輝度値を算出する輝度算出部と、
    前記輝度算出部にて算出された合成輝度値に基づき算出された圧縮パラメータにより、前記WDR合成処理部にて生成された画像データの圧縮を行う圧縮部と、
    をさらに備え、
    前記輝度算出部は、補間後の第1の画像データ及び第2の画像データの合成比率を、補間後の第1の画像データの画素値に基づいて決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記第1の画像データ及び第2の画像データにおける同一位置の各画素について、動きの有無を判定する動き判定部をさらに備え、
    前記WDR合成処理部は、前記動き判定部において、画素における動きがあると判定された場合に、前記第2の画像データのみが使用されるように、当該画素についての合成比率を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 第1の画像データと前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成、及び、前記第2の画像データと前記第2の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第3の画像データの合成を行う画像処理装置であって、
    前記第1の画像データ、前記第2の画像データ、前記第3の画像データのそれぞれにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間する色補間部と、
    前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成し、前記第2の画像データと前記第3の画像データを合成して、前記第2の画像データ及び第3の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するWDR合成処理部と、
    を備え、
    前記色補間部は、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値を出力し、
    前記WDR合成処理部は、前記色補間部から出力された、各画素の最大のRGB成分値に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率及び前記第2の画像データと前記第3の画像データの合成比率を画素ごとに決定し、前記第1の画像データの画素値に基づいて、前記第1の画像データと前記第2の画像データの合成データまたは前記第2の画像データと前記第3の画像データの合成データのいずれかを画素ごとに選択する
    ことを特徴とする画像処理装置。
  5. 前記第1の画像データ及び第2の画像データにおける同一位置の各画素について、動きの有無を判定する動き判定部をさらに備え、
    前記WDR合成処理部は、前記動き判定部において、画素における動きがあると判定された場合に、前記第2の画像データと前記第3の画像データの合成データを選択する
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 第1の画像データと、前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成を行う画像処理方法であって、
    前記第1の画像データにおける各画素のRGB成分値及び前記第2の画像データにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間するステップと、
    前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するステップと、
    を備え、
    前記補間を行うステップにおいては、前記第1の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値が出力され、
    前記画像データを生成するステップにおいては、前記最大のRGB成分値に基づいて、第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率を画素ごとに決定されることを特徴とする画像処理方法。
  7. 第1の画像データと、前記第1の画像データよりも短い露光時間にて撮像された第2の画像データの合成を行うためのプログラムであって、コンピュータに、
    前記第1の画像データにおける各画素のRGB成分値及び前記第2の画像データにおける各画素のRGB成分値を、当該画素の周辺画素のRGB成分値に基づいて、それぞれ補間するステップと、
    前記第1の画像データと前記第2の画像データを合成して、前記第1の画像データ及び第2の画像データよりもダイナミックレンジが拡大された画像データを生成するステップと、
    を実行させ、
    前記補間を行うステップにおいては、前記第1の画像データにおける各画素について、補間後のRGB各成分値のうち、最大のRGB成分値が出力され、
    前記画像データを生成するステップにおいては、前記最大のRGB成分値に基づいて、第1の画像データと前記第2の画像データの合成比率を画素ごとに決定される
    ことを特徴とするプログラム。
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