JP2021085737A - ガスセンサ及びガスセンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被測定ガスの流れに対するガスセンサの向きによらず、応答性の低下を抑制できるガスセンサ及びガスセンサの製造方法を提供する。【解決手段】素子側ガス導入部10s1、10s2を有する検出素子10と、筒状のプロテクタ32と、を備えたガスセンサ1において、プロテクタは、ガス導入部32aを周壁32rに1つ有すると共に、ガス排出部32bをガス導入部よりも先端側に有し、検出素子の先端はガス導入部よりも後端側に位置し、プロテクタの中心軸AXに垂直な投影面Pに、ガス導入部の両周縁32mの円周角φが最大となる断面C1、検出素子の先端面10f、素子側ガス導入部を投影し、投影面において中心軸とガス導入部の両周縁とを結ぶ領域Rを見たとき、領域Rと素子側ガス導入部とは重複せず、領域Rと、中心軸を対称の中心として領域Rと点対称の領域である領域R2との少なくとも一方の領域と、検出素子の先端面とは重複する。【選択図】図6

Description

本発明は、被測定ガス中の特定ガス成分を検出する検出素子を備えるガスセンサ及びガスセンサの製造方法に関するものである。
従来から、内燃機関の排気ガス中の特定成分(NOx等)の濃度を検出するため、自身の内部に検出素子を有するガスセンサが用いられている。検出素子の先端側には特定ガス成分を検出する検出部が設けられており、ヒータ等によって加熱されることで、検出部が特定ガス成分を検出している。又、この検出部を被水や煤から保護するため、ケーシング(主体金具)の先端側には、検出部を覆う有底円筒状のプロテクタが取付けられている。そして、検出素子の検出部に被測定ガスを晒すために、プロテクタにガス導入孔が設けられている。
ところで、センサを小型化したり、検出素子の加熱を速やかに行えるようにするため、検出素子を短くしたいという要望がある。しかしながら、この場合、検出素子の先端がプロテクタのガス導入孔よりも後端側に位置するようになり、被測定ガスが検知部まで到達し辛くなってガスセンサの応答性が低下するという問題がある。
そこで、プロテクタの径方向に2つのガス導入孔を対向させるとともに、両ガス導入孔の開口面積を異ならせることで、開口面積の大きいガス導入孔からプロテクタ後端の検知部側へ十分な流量のガスを供給させる技術が開発されている(特許文献1参照)。
特開2019−78712号公報
しかしながら、プロテクタに2つのガス導入孔を設けた場合、ガスセンサの取付け対象(例えば排気管)のガスの流れに対するガス導入孔の向きによって、検知部側へのガスの供給量が変化するおそれがある。そのため、ガスセンサの取付け時に向きを考慮する必要が生じ、取付け作業の効率が低下する。
そこで、プロテクタのガス導入孔を1つとすることで、ガスの流れに対するガス導入孔の向きによらず、プロテクタ内部へ十分なガスを供給できることが判明した。ところが、ガス導入孔が1つであると、今度は、ガス導入孔と、プロテクタ内の検出素子との位置関係によって、理由は明確でないが、ガスセンサの応答性が低下する問題が生じる。
これは、検出素子は検知部に臨む内部空間を有しているが、詳しくは図8で後述するように、この内部空間、ひいては検知部に被測定ガスG0を導入するために素子に設けた一対の素子側ガス導入部10s1、10s2へのガスG0の導入量に差が生じ、アンバランスになるためと考えられる。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、被測定ガスの流れに対するガスセンサの向きによらず、応答性の低下を抑制できるガスセンサ及びガスセンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のガスセンサは、軸線方向に延びる板状をなし、自身の先端側の一対の対向面に、それぞれ被測定ガスを自身の内部に導入するための一対の素子側ガス導入部を有する検出素子と、前記検出素子の径方向周囲を取り囲む筒状の主体金具と、周壁、及び自身の先端に先端壁を有し、自身の基端部が前記主体金具の先端側に固定される筒状のプロテクタと、を備えたガスセンサにおいて、前記プロテクタは、前記被測定ガスを前記プロテクタ内に導入可能なガス導入部を前記周壁に1つ有すると共に、前記被測定ガスを排出可能なガス排出部を前記ガス導入部よりも先端側に有し、前記検出素子の先端は、前記ガス導入部よりも後端側に位置し、前記プロテクタの中心軸に垂直な投影面に、前記ガス導入部を通る前記プロテクタの径方向断面であって前記中心軸を中心とする前記ガス導入部の両周縁の円周角φが最大となる断面、前記検出素子の先端面、前記素子側ガス導入部、及び前記中心軸を投影し、前記投影面において前記中心軸と前記ガス導入部の前記両周縁とを結ぶ領域Rを見たとき、前記領域Rと前記素子側ガス導入部とは重複せず、前記領域Rと、前記中心軸を対称の中心として前記領域Rと点対称の領域である領域R2との少なくとも一方の領域と、前記検出素子の先端面とは重複することを特徴とする。
このガスセンサによれば、投影面において領域Rと一対の素子側ガス導入部とは重複しない、つまり、ガス導入部と一対の素子側ガス導入部とは対向していない。
このため、外部からガス導入部を通ってプロテクタに導入された被測定ガスは、ガス導入部に近い方の素子側ガス導入部に当たらず、まず、プロテクタの内側で周壁に当たってから反射して他の素子側ガス導入部に到達する。そして、到達したガスの一部がさらにガス導入部に近い方の素子側ガス導入部に到達する。
これにより、両素子側ガス導入部の一方に過度に被測定ガスが当たることが抑制され、両素子側ガス導入部へ導入される被測定ガスの量のバランスを保ち、ガスセンサの応答性の低下を抑制できる。
又、ガス導入部を通ってプロテクタに導入された被測定ガスは、投影面において概ね領域R、R2を通過した後、プロテクタの内側で周壁に当たってから反射して領域R2(又はさらにR)内に戻り、検出素子の表面に当たる。
そこで、投影面において、検出素子の先端面が領域R、R2の少なくとも一方の領域と重複することで、周壁で反射して領域R2内に戻ったガスの主な進行先(領域R、R2)に検出素子が介在するので、素子側ガス導入部へ被測定ガスを確実に導入することができる。
本発明のガスセンサにおいて、前記円周角φが100度以下であるとよい。
このガスセンサによれば、プロテクタのガス導入孔が1つであることに起因する、被測定ガスの流れに対するガス導入孔の向きによらずにプロテクタ内部へガスを供給する効果を確実に発揮できる。
本発明のガスセンサは、前記投影面において、前記一対の素子側ガス導入部の中心同士を結ぶ第1線分と、前記ガス導入部の両周縁の中点と前記中心軸とを結ぶ第2線分とのなす角θが15度以上であってもよい。
θ=0度の場合、ガス導入部に素子側ガス導入部の一方が丁度正対するので、両素子側ガス導入部へ導入される被測定ガスの量の差が最大となる。そこで、θ≧15度とすることで、素子側ガス導入部をガス導入部から確実に遠ざけることができ、両素子側ガス導入部へ導入される被測定ガスの量の差をより小さくすることができる。
本発明のガスセンサにおいて、前記プロテクタは内側プロテクタであり、さらに前記内側プロテクタの径方向外側に配置される筒状の外側プロテクタを有してもよい。
このガスセンサによれば、内側プロテクタのガス導入部を外側プロテクタが覆うので、ガス導入部を通って検出素子が被水することを抑制できる。
本発明のガスセンサの製造方法は、軸線方向に延びる板状をなし、自身の先端側の一対の対向面に、それぞれ被測定ガスを自身の内部に導入するための一対の素子側ガス導入部を有する検出素子と、前記検出素子の径方向周囲を取り囲む筒状の主体金具と、周壁、及び自身の先端に先端壁を有し、自身の基端部が前記主体金具の先端側に固定される筒状のプロテクタと、を備えたガスセンサの製造方法において、前記プロテクタは、前記被測定ガスを前記プロテクタ内に導入可能なガス導入部を前記周壁に1つ有すると共に、前記被測定ガスを排出可能なガス排出部を前記ガス導入部よりも先端側に有し、前記検出素子を前記主体金具に組付けた素子アセンブリに対し、前記検出素子の先端が前記ガス導入部よりも後端側に位置し、かつ前記プロテクタの中心軸に垂直な投影面に、前記ガス導入部を通る前記プロテクタの径方向断面であって前記中心軸を中心とする前記ガス導入部の両周縁の円周角φが最大となる断面、前記検出素子の先端面、前記素子側ガス導入部、及び前記中心軸を投影し、前記投影面において前記中心軸と前記素子側ガス導入部の前記両周縁とを結ぶ領域Rを見たとき、前記領域Rと前記素子側ガス導入部とは重複せず、前記領域Rと、前記中心軸を対称の中心として前記領域Rと点対称の領域である領域をR2との少なくとも一方の領域と、前記検出素子の先端面とは重複するよう、前記プロテクタを組み付けることを特徴とする。
この発明によれば、被測定ガスの流れに対するガスセンサの向きによらず、ガスセンサの応答性の低下を抑制できる。
本発明の実施形態のガスセンサの軸線方向に沿う断面図である。 検出素子の斜視図である。 外側プロテクタの外観図である。 ガス導入部を通る内側プロテクタの複数の径方向断面を示す図である。 図4の複数の断面における円周角φを示す図である。 中心軸に垂直な投影面に、内側プロテクタの径方向断面、検出素子の先端面、一対の素子側ガス導入部1、及び中心軸を投影した図である。 本実施形態における検出素子とガス導入部との位置関係を示す部分斜視図である。 図7における投影面と被測定ガスの流れを示す模式図である。 本実施形態に含まれない検出素子とガス導入部との位置関係を示す部分斜視図である。 図9における投影面と被測定ガスの流れを示す模式図である。 投影面において、検出素子の先端面が領域R、R2のいずれとも重複しない場合の被測定ガスの流れを示す図である。 本発明の実施形態に係るガスセンサの製造方法を示す工程図である。 外側プロテクタの別の外観図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガスセンサ(NOxセンサ)1の縦断面図(軸線Oに沿った長手方向に切断した断面図)、図2は検出素子10の斜視図である。
なお、検出素子の軸線Oに沿う方向(軸線方向)を適宜「長手方向」と称する。検出素子の「幅方向」は、「長手方向(軸線方向)」と垂直な方向である。
ガスセンサ1は、測定対象ガスである排ガス中の特定ガス(NOx)の濃度を検出可能な検出素子10を備え、内燃機関の排気管(図示なし)に装着されて使用されるNOxセンサである。このガスセンサ1は、排気管に固定するためのネジ部21が外表面の所定位置に形成された筒状の主体金具20を備える。検出素子10は、セラミック(固体電解質等)を主体として軸線O方向に延びる細長板状をなし、主体金具20の内側に保持されている。
検出素子10の後端側には保持部材60が配置され、保持部材60の内側に6個の先端側端子部材75(図1では、2個のみを図示)が保持されている。さらに、保持部材60の後端側に接して絶縁部材90が配置され、絶縁部材90の内側に6個の後端側端子部材76(図1では、2個のみを図示)が保持されている。
そして、各先端側端子部材75の後端側に各後端側端子部材76の先端側が嵌合されて電気的に接続されている。
一方、検出素子10の後端部には電極端子部(図示せず)が合計6個形成され、各電極端子部が各先端側端子部材75にそれぞれ電気的に接続されている。又、各後端側端子部材76の後端側には、それぞれリード線71が電気的に接続されている。これにより、検出素子10の電極端子部からの検出信号を、リード線71を介して外部に取り出したり、外部からリード線71を介して電極端子部へ電力を供給している。
又、検出素子10の先端側には、後述する素子側ガス導入部10s1,10s2が設けられるとともに、素子側ガス導入部10s1,10s2を含む検出素子10の先端側がガス透過性の多孔質保護層10gで覆われている。
主体金具20は、軸線O方向に貫通する貫通孔23を有する筒状部材である。この主体金具20は、径方向内側に突出する形態で貫通孔23の一部を構成する棚部25を有している。主体金具20は、検出素子10の後端部を自身の後端側外部(図1において上方)に突出させた状態で、検出素子10を貫通孔23内に保持している。なお、図1では、検出素子10の先端が主体金具20より先端に突出しているが、検出素子10の先端が主体金具20の内部(貫通孔23内)に位置してもよい。
また、主体金具20の貫通孔23の内部には、環状のセラミックホルダ42、滑石粉末を環状に充填してなる滑石リング43、及びセラミックスリーブ45が配置されている。詳細には、検出素子10の径方向周囲を取り囲む状態で、セラミックホルダ42、滑石リング43、及びセラミックスリーブ45が、この順に、主体金具20の軸線方向先端側(図1において下端側)から軸線方向後端側(図1において上端側)にわたって重ねて配置されている。
セラミックホルダ42の先端向き面42sは先細りのテーパ面となっていて、先端向き面42sが主体金具20の棚部25に接している。又、セラミックホルダ42の先端向き面42sから後端側へ向かって凹孔42iが凹み、凹孔42iはセラミックホルダ42の挿通孔42cより径大でかつ挿通孔42cの先端に連通している。そして、検出素子10の先端はセラミックホルダ42の先端面向き面42sよりも先端に突出しつつ、多孔質保護層10gの後端側が凹孔42iに収容されている。
一方、セラミックスリーブ45と主体金具20のカシメ部22との間には、加締リング46が配置されている。そして、主体金具20のカシメ部22が、加締リング46を介してセラミックスリーブ45を先端側に押し付けるように、加締められている。
主体金具20の先端部20bには、検出素子10の先端側を覆うように、複数の孔を有する金属製(具体的にはステンレス)の外側プロテクタ31及び内側プロテクタ32が、溶接によって取り付けられている。一方、主体金具20の後端部には、外筒51が溶接によって取り付けられている。外筒51は、軸線O方向に延びる筒状をなし、検出素子10を包囲している。
保持部材60は絶縁性材料(具体的にはアルミナ)からなり、その後端部には、径方向外側に突出する鍔部65が形成されている。保持部材60は、鍔部65が内部支持部材53に当接する態様で、内部支持部材53に保持されている。なお、内部支持部材53は、外筒51のうち径方向内側に向けて加締められた加締部51gにより、外筒51に保持されている。
絶縁部材90は、絶縁性材料(具体的にはアルミナ)からなり、円筒状をなすとともに、保持部材60の後端側に接している。
また、外筒51のうち軸線方向後端部(図1において上端部)に位置する後端開口部51cの径方向内側には、フッ素ゴムからなる弾性シール部材73が配置されている。この弾性シール部材73には、軸線O方向に延びる円筒状の挿通孔73cが合計6個形成され、各々の挿通孔73cにリード線71が1本ずつ挿通されている。各々のリード線71は、弾性シール部材73の挿通孔73cを通じて、ガスセンサ1の外部に延出している。
弾性シール部材73は、外筒51の後端開口部51cを径方向内側に加締めることで径方向に弾性圧縮変形し、これにより挿通孔面73bとリード線71との間を水密に封止している。
又、弾性シール部材73が弾性圧縮変形することで、弾性シール部材73の先端向き面が絶縁部材90を先端側に押圧し、弾性シール部材73と保持部材60との間で絶縁部材90が保持されている。
一方、図2に示すように、検出素子10自体は、従来公知のものと同じものであり、固体電解質(部材)の先端寄り部位に検知部をなす一対の検知用電極106が配置されている。そして、検出素子10内部の検知用電極106に被測定ガスGを導入するため、検知用電極106より先端側の検出素子10の一対の対向面(側面)10c、10dに、それぞれ素子側ガス導入部10s1,10s2が設けられている。
素子側ガス導入部10s1,10s2はガス透過性の多孔質体からなり、検出素子10内部の空間(測定室)への被測定ガスGの単位時間あたりの流通量(拡散速度)を制限する。
なお、詳細は省略するが、素子側ガス導入部10s1,10s2から検知用電極106へ向かう被測定ガスGの流れに沿って、上流側から順にIp1セル(酸素ポンプセル)102、Vs電極104、検知用電極106が並ぶ。
そして、Ip1セル102、Vs電極104にて検出素子10内部の空間(測定室)の酸素濃度を調整し、検知用電極106にて酸素濃度が調整されたガスG中のNOx濃度を検知する。
なお、素子側ガス導入部10s1,10s2は、検出素子10の側面10c、10dでなく、一対の対向する主面10a、10bに配置されていてもよい。
次に、図1、図3〜図9を参照し、本発明の特徴部分である、検出素子10とプロテクタとの位置関係について説明する。
なお、本発明における「プロテクタ」とは、図1のような2層以上の構造からなる場合は最も内側のプロテクタであり、本実施形態では内側プロテクタ32が特許請求の範囲の「プロテクタ」に相当する。
まず、図3に示すように、外側プロテクタ31は有底円筒状をなし、検出素子10の先端よりも先端側に、周方向に離間しつつ径方向に延びる長円状の複数の外部ガス導入部31aを有している。又、外側プロテクタ31の底面(先端向き面)の中央には1個の外部ガス排出部31bを有している。
一方、図1に示すように、内側プロテクタ32は有底円筒状をなして周壁32r、及び先端に先端壁32sを有し、基端部32eが主体金具20の先端部20bに溶接で固定されている。そして、検出素子10の先端よりも後端側の周壁32rに、1つの円形のガス導入部32aを有している。又、内側プロテクタ31の周壁32rのうち、ガス導入部32aより先端側には複数(4つ)の円形のガス排出部32bを周方向に離間して有している。
さらに、検出素子の10の先端は、ガス導入部32a(の最後端)よりも後端側に位置している。
なお、ガス排出部32bは、外部ガス導入部31aよりも先端側に位置しており、先端側の方が被測定ガスの流速が速いことから、被測定ガスが外部ガス導入部31a、ガス導入部32aから内側プロテクタ32の内部に導入され、ガス排出部32b、外部ガス排出部31bから排出されるようになっている。
ここで、図4、図5を参照し、ガス導入部32aを通る内側プロテクタ32の径方向断面であって、内側プロテクタ32の中心軸(軸心)AXを中心とするガス導入部32aの両周縁32mの円周角φが最大となる断面について説明する。
図4に示すように、ガス導入部32aを通る内側プロテクタ32の径方向断面としては、円形のガス導入部32aの中心を通る断面C1や、ガス導入部32aの中心を外れた断面C2がある。
このうち、図5に示すように、ガス導入部32aの中心を通る断面C1は、両周縁32mの間隔が最も広い(ガス導入部32aが周方向に最も大径)ので、中心軸AXを中心とする両周縁32mの円周角φ1が最大となる。これに対し、断面C2における両周縁32m2の円周角φ2はφ1より小さい。
そこで、断面としてC1を採用し、図6の投影面Pについて説明する。
図6に示すように、中心軸AXに垂直な投影面Pに、上記断面C1、検出素子10の先端面10f、一対の素子側ガス導入部10s1、10s2、及び中心軸AXを投影する。
そして、投影面Pにおいて中心軸AXと、ガス導入部32aの両周縁32mとを結ぶ三角形の領域Rを見たとき、領域Rと素子側ガス導入部10s1、10s2とは重複しない。又、投影面Pにおいて、中心軸AXを対称の中心として領域Rと点対称の領域を領域R2とすると、領域Rと領域R2との少なくとも一方の領域と、先端面10fとは重複している。
図7〜図11を参照し、これらの規定の理由について説明する。
図7は本実施形態における検出素子10とガス導入部32aとの位置関係を示す部分斜視図であり、図8は図7における投影面Pと被測定ガスの流れを示す。
図9は本実施形態に含まれない検出素子10とガス導入部32aとの位置関係を示す部分斜視図であり、図10は図9における投影面Pと被測定ガスの流れを示す。
図11は、投影面Pにおいて、検出素子10の先端面10fが領域R、R2のいずれとも重複しない場合の被測定ガスの流れを示す。
図7、図8に示すように、本実施形態では、投影面Pにおいて領域Rと一対の素子側ガス導入部10s1、10s2とは重複しない、つまり、ガス導入部32aと一対の素子側ガス導入部10s1、10s2とは対向していないことになる。なお、図8では、先端面10fは領域R、R2の両方と重複している。
ここで、ガス導入部32aに近い方の素子側ガス導入部を符号10s1で表すと、図7に示すように、外部からガス導入部32aを通って内側プロテクタ32に導入された被測定ガスG0は、検出素子10に当たらず、投影面Pにおいて概ね領域R、R2を通過した後、まず、内側プロテクタ32の内側で周壁32rに当たってから反射して主に領域R2(又はさらにR)内に戻り、検出素子10の表面にガスG1として接触する。そして、検出素子10の表面に接触したガスG1は、検出素子10の表面を沿ってそれぞれガスG2、G3として分かれて素子側ガス導入部10s2、10s1に到達すると考えられる。
これにより、両素子側ガス導入部10s1、10s2の一方に過度に被測定ガスが当たることが抑制され、両素子側ガス導入部10s1、10s2へ導入される被測定ガスの量のバランスを保ち、ガスセンサの応答性の低下を抑制できる。
一方、図9、図10に示すように、投影面Pにおいて、領域Rと一対の素子側ガス導入部10s1、10s2の少なくとも一方とが重複すると、ガス導入部32aに近い側の素子側ガス導入部10s1がガス導入部32aに対向することになる。なお、ここでいう「対向」とは、投影面Pにおいて対向するという意味であり、図9に示すように実際の検出素子10とガス導入部32aとは中心軸AX方向にずれていて互いに対向しない。又、図10では、先端面10fは領域R、R2の両方とも重複している。
この場合、図9に示すように、外部からガス導入部32aを通って内側プロテクタ32に導入された被測定ガスG0の大部分は、内側プロテクタ32の内側で周壁32rに当たってから反射し、ガスG1として、ガス導入部32aから遠い素子側ガス導入部10s2に直接当たるため、検出素子10の表面を沿って他の素子側ガス導入部10s1に到達するガスG3の量が極端に少なくなる。
換言すれば、投影面Pにおいて素子側ガス導入部10s1がガス導入部32aに対向するため、周壁32rに当たって反射したガスG1が、却ってガス導入部32aに遠い素子側ガス導入部10s2に対向して素子側ガス導入部10s2に当たり易くなり、ひいては素子側ガス導入部10s1へ到達するガスG3の量が減少してしまうと考えられる。
その結果、両素子側ガス導入部10s1、10s2へ導入される被測定ガスの量に差が生じてアンバランスになり、ガスセンサの応答性が低下する。
次に、図11を参照し、検出素子10の先端面10fが領域R、R2の少なくとも一方の領域と重複する必要がある理由について説明する。
上記した図8に示すように、ガス導入部32aを通って内側プロテクタ32に導入された被測定ガスG0は、投影面Pにおいて概ね領域R、R2を通過した後、内側プロテクタ32の内側で周壁32rに当たってから反射して主に領域R2(又はさらにR)内に戻り、検出素子10の表面にガスG1として接触する。
ところが、図11に示すように、先端面10fが領域R、R2のいずれとも重複しない場合、周壁32rで反射して領域R2内に戻ったガスG1の主な進行先(領域R、R2)に検出素子10が存在しない。このため、この反射ガスG1が検出素子10にほとんど当たらず、素子側ガス導入部10s1、10s2へ被測定ガスが十分に導入されなくなる。
そこで、先端面10fが領域R、R2の少なくとも一方の領域と重複することで、素子側ガス導入部10s1、10s2へ被測定ガスを確実に導入することができる。
上記した円周角φが100度以下であると、内側プロテクタ32のガス導入孔32aが1つであることに起因する、被測定ガスの流れに対するガス導入孔の向きによらずにプロテクタ内部へガスを供給する効果を確実に発揮できる。
円周角φが100度を超えると、ガス導入孔32aが周方向に大きくなりすぎ、ガス導入孔32aが2つ以上の場合と同様、ガスの流れに対するガス導入孔の向きによってプロテクタ内部へガスを十分に供給することが困難な場合がある。
円周角φの下限は特に限定されないが、例えば10度とすることができる。なお、本実施形態(図7頭)では、φ=22度である。
又、図6の投影面Pにおいて、一対の素子側ガス導入部10s1、10s2の中心同士を結ぶ第1線分L1と、ガス導入部32aの両周縁32mの中点と中心軸AXとを結ぶ第2線分L2とのなす角θが15度以上であるとよい。
θ=0度の場合、ガス導入部32aに素子側ガス導入部10s1、10s2の一方が丁度正対するので、両素子側ガス導入部10s1、10s2へ導入される被測定ガスの量の差が最大となる。そこで、θ≧15度とすることで、素子側ガス導入部10s1、10s2をガス導入部32aから確実に遠ざけることができ、両素子側ガス導入部10s1、10s2へ導入される被測定ガスの量の差をより小さくすることができる。
なお、θの上限は90度である。
次に、図12を参照し、本発明の実施形態に係るガスセンサの製造方法について説明する。
図12に示すように、本発明の実施形態に係るガスセンサの製造方法は、上述の(図1等に示した)ガスセンサの製造方法において、検出素子10を主体金具20に組付けた素子アセンブリ200に対し、以下の規定になるように、内側プロテクタ32のガス導入部32aの周方向の向きを調整して内側プロテクタ32を組付ける。
具体的には、図1に示すように検出素子10の先端がガス導入部32aよりも後端側に位置するように組み付け、かつ図6に示すように内側プロテクタ32の中心軸AXに垂直な投影面Pに、ガス導入部32aを通る内側プロテクタ32の径方向断面であって中心軸AXを中心とするガス導入部32aの両周縁32mの円周角φが最大となる断面C1、検出素子10の先端面10f、素子側ガス導入部10s1、10s2、及び中心軸AXを投影し、投影面Pにおいて中心軸AXと素子側ガス導入部10s1、10s2の両周縁32mとを結ぶ領域Rを見たとき、領域Rと素子側ガス導入部10s1、10s2とは重複せず、かつ領域R、R2の少なくとも一方の領域と、検出素子の先端面10fとは重複するように組み付ける。
その後、内側プロテクタ32の外側に外側プロテクタ31を組付け、主体金具20の先端部20bに、外側プロテクタ31及び内側プロテクタ32を全周溶接等によって取り付ける。外側プロテクタ31の周方向の向きは特に規定する必要はない。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、ガス導入部及びガス排出部の形状は限定されないし、ガス排出部の個数も限定されない。外側プロテクタの形状も限定されず、例えば図13のように、外側プロテクタ131の外部ガス導入部131aを中心軸AX方向に延びる複数の長円状とし、周方向に離間して配置してもよい。又、外側プロテクタが無く、一重のプロテクタでもよい。
又、ガスセンサとしては、NOxセンサのほか、酸素センサ、全領域ガスセンサが挙げられる。
1 ガスセンサ
10 検出素子
10s1、10s2 素子側ガス導入部
10f 検出素子の先端面
20 主体金具
31 外側プロテクタ
32 プロテクタ(内側プロテクタ)
32r 周壁
32s 先端壁
32a ガス導入部
32b ガス排出部
32m ガス導入部の両周縁
200 素子アセンブリ
O 軸線
AX プロテクタの中心軸
P 投影面
C1 円周角φが最大となる断面
G,G0〜G3 被測定ガス

Claims (5)

  1. 軸線方向に延びる板状をなし、自身の先端側の一対の対向面に、それぞれ被測定ガスを自身の内部に導入するための一対の素子側ガス導入部を有する検出素子と、
    前記検出素子の径方向周囲を取り囲む筒状の主体金具と、
    周壁、及び自身の先端に先端壁を有し、自身の基端部が前記主体金具の先端側に固定される筒状のプロテクタと、
    を備えたガスセンサにおいて、
    前記プロテクタは、前記被測定ガスを前記プロテクタ内に導入可能なガス導入部を前記周壁に1つ有すると共に、前記被測定ガスを排出可能なガス排出部を前記ガス導入部よりも先端側に有し、
    前記検出素子の先端は、前記ガス導入部よりも後端側に位置し、
    前記プロテクタの中心軸に垂直な投影面に、前記ガス導入部を通る前記プロテクタの径方向断面であって前記中心軸を中心とする前記ガス導入部の両周縁の円周角φが最大となる断面、前記検出素子の先端面、前記素子側ガス導入部、及び前記中心軸を投影し、前記投影面において前記中心軸と前記ガス導入部の前記両周縁とを結ぶ領域Rを見たとき、
    前記領域Rと前記素子側ガス導入部とは重複せず、前記領域Rと、前記中心軸を対称の中心として前記領域Rと点対称の領域である領域R2との少なくとも一方の領域と、前記検出素子の先端面とは重複することを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記円周角φが100度以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記投影面において、前記一対の素子側ガス導入部の中心同士を結ぶ第1線分と、前記ガス導入部の両周縁の中点と前記中心軸とを結ぶ第2線分とのなす角θが15度以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記プロテクタは内側プロテクタであり、さらに前記内側プロテクタの径方向外側に配置される筒状の外側プロテクタを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
  5. 軸線方向に延びる板状をなし、自身の先端側の一対の対向面に、それぞれ被測定ガスを自身の内部に導入するための一対の素子側ガス導入部を有する検出素子と、
    前記検出素子の径方向周囲を取り囲む筒状の主体金具と、
    周壁、及び自身の先端に先端壁を有し、自身の基端部が前記主体金具の先端側に固定される筒状のプロテクタと、
    を備えたガスセンサの製造方法において、
    前記プロテクタは、前記被測定ガスを前記プロテクタ内に導入可能なガス導入部を前記周壁に1つ有すると共に、前記被測定ガスを排出可能なガス排出部を前記ガス導入部よりも先端側に有し、
    前記検出素子を前記主体金具に組付けた素子アセンブリに対し、前記検出素子の先端が前記ガス導入部よりも後端側に位置し、かつ前記プロテクタの中心軸に垂直な投影面に、前記ガス導入部を通る前記プロテクタの径方向断面であって前記中心軸を中心とする前記ガス導入部の両周縁の円周角φが最大となる断面、前記検出素子の先端面、前記素子側ガス導入部、及び前記中心軸を投影し、前記投影面において前記中心軸と前記素子側ガス導入部の前記両周縁とを結ぶ領域Rを見たとき、
    前記領域Rと前記素子側ガス導入部とは重複せず、前記領域Rと、前記中心軸を対称の中心として前記領域Rと点対称の領域である領域をR2との少なくとも一方の領域と、前記検出素子の先端面とは重複するよう、前記プロテクタを組み付けることを特徴とするガスセンサの製造方法。
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