JP2021085001A - 金色顔料、分散液、インク、並びに塗膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、フレーク状基材及び該基材上に位置する少なくとも1つの層を含む金色干渉顔料であって、前記フレーク状基材が、緑色固有干渉色をそれ自体が有する合成的に製造された透明基材であり、Fe2O3及びTiO2の混合物又は混合酸化物を含む少なくとも1つの層が、前記基材上に位置する干渉顔料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
<1> 酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含み、
累積50%体積粒径(D50)が20μm以下、平均厚さが100nm以上200nm以下であり、
Siが30原子%以上80原子%以下、Oが20原子%以上70原子%以下の組成比率であることを特徴とする金色顔料である。
<2> 単層構造である前記<1>に記載の金色顔料である。
<3> 鱗片状粒子である前記<1>から<2>のいずれかに記載の金色顔料である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の金色顔料を含有することを特徴とする分散液である。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の金色顔料を含有することを特徴とするインクである。
<6> 酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含む金色顔料を含有してなり、
CIE Lab表色系において、a*値が−5以上5以下、b*値が5以上であることを特徴とする塗膜である。
<7> 入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの和(Gs20°+Gs60°)が33以下、及び差(Gs20°−Gs60°)が−10以上の少なくともいずれか一方を満たす、前記<6>に記載の塗膜である。
<8> 酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含む金色顔料を含有する分散液又はインクを基材上に付与し、
前記分散液又はインクの塗膜についてCIE Lab表色系におけるa*値が−5以上5以下、b*値が5以上となるように、前記分散液又はインクの付与を行うことを特徴とする塗膜の製造方法である。
<9> 入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの和(Gs20°+Gs60°)が33以下、及び差(Gs20°−Gs60°)が−10以上の少なくともいずれか一方を満たすように前記分散液又はインクの付与を行う前記<8>に記載の塗膜の製造方法である。
本発明の金色顔料は、酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含み、累積50%体積粒径(D50)が20μm以下、平均厚さが100nm以上200nm以下であり、Siが30原子%以上80原子%以下、Oが20原子%以上70原子%以下の組成比率である。
光学吸収端の波長とバンドギャップとの関係は、下記式(1)で示すことができる。
光学吸収端(nm)=1239.8/バンドギャップ(eV)・・・式(1)
この場合、硫化カドニウム(バンドギャップ:2.6eV)は、476.8nm(青色)の波長まで吸収するため、硫化カドニウムの塊は黄色になっている。
そこで、Siの場合には、バンドギャップは1.1eV(結晶化Si)であるため、可視光領域以上の長波長側となる1127.0nmの波長まで吸収するので、黒色となる。更に、Siは屈折率が高いため、下記の計算式(1)から、Siは可視光領域の波長に対して約35%程度の高い反射率をもち、金属光沢があるような振る舞いをする。
[計算式(1)]
R(%)={(n−1)2+k2}/{(n+1)2+k2}×100
ただし、上記計算式(1)中、Rは垂直入射の反射率、nは屈折率、kは消光係数(光の吸収を表す光学定数)である。
しかし、Si蒸着膜のような疎な薄膜では、入射光をすべて吸収することは難しく、厚みが薄いと透過成分も多くなる。そのため、反射と吸収、透過のバランスがSi量(膜厚)に応じて異なり、20nm〜200nm程度の厚みの範囲であっても、様々な色に着色してしまう。
本発明において、鱗片状粒子とは、略平坦な面を有し、かつ該略平坦な面に対して垂直方向の厚さが略均一である粒子を意味する。また、前記鱗片状粒子とは、前記厚さが非常に薄く、略平坦な面の長さが非常に長い形状の粒子を意味する。なお、略平坦な面の長さは、前記鱗片状粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円の直径である。
略平坦な面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略長方形、略正方形、略円形、略楕円形、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形、略七角形、略八角形等の多角形、ランダムな不定形などが挙げられる。これらの中でも、略円形や略楕円形であることが好ましい。
上記組成比率の範囲を満たすことにより、粒子感がないシームレスな意匠性を有し、優れた金色調の色彩を実現できる金色顔料が得られる。
前記金色顔料における酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))のSiとOの組成比率は、以下のようにして測定することができる。
SEM試料台へ直接、金色顔料としての鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子の10質量%酢酸ブチル分散液をスポイトで3〜5滴を滴下後、乾燥し、試料台上で乾燥させて鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子のSEM観察を行い、鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子の長辺面にピントを合わせた後、以下の条件のEDX分析にて組成比率を求めることができる。
[条件]
・エネルギー分散型X線分析装置(EDX:Energy dispersive X−ray spectrometry、株式会社堀場製作所製)
・観察サンプル前処理:Ptスパッタ/10sec
・分析条件:加速電圧20kV、倍率×200k、傾斜角度0°、ライブタイム300sec、スペクトル収集範囲0keV〜10keV
累積50%体積粒径D50が20μm以下であると、粒子感がないシームレスな意匠性を有し、優れた金色調の色彩を実現できる金色顔料が得られる。
前記累積50%体積粒径(D50)は、レーザー回折法により得られる粒径分布曲線の体積分布累積量の50%に相当する粒径であり、非球形の金色顔料粒子を完全な球体と仮定して測定した場合の、金色顔料粒子の長径及び短径を平均化した長さである。しかし、実際の金色顔料粒子は、球形ではなく、長辺及び短辺を有する鱗片状である。したがって、前記D50は、金色顔料粒子の実際の長辺方向の長さ(長径)及び短辺方向の長さ(短径)とは異なる値である。
前記累積50%体積粒径(D50)は、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(装置名:レーザーマイクロンサイザーLMS−2000e、株式会社セイシン企業製、湿式分散ユニット)を用いて、レーザー回折法により、フラウンホーファーの近似法を用いて測定することができる。
前記金色顔料の平均厚さとは、鱗片状の金色顔料粒子の三次元方向において、最も短い部分の長さと定義する。
前記平均厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、蛍光X線分析法(XRF)、紫外可視分光法などから求めることができ、金色顔料の平均厚さはSiOx(0<x≦2)蒸着膜の平均蒸着厚さと同じである。
走査型電子顕微鏡(SEM)観察を用いる場合、SiOx(0<x≦2)蒸着膜の平均蒸着厚さは、粉体加工後に走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、断面観察を行い5〜10箇所のSiOx(0<x≦2)粒子の厚さを計測し、平均した値である。
蛍光X線分析法(XRF)を用いる場合、定量分析により平均厚さを測定することができる。
紫外可視分光法を用いる場合、紫外可視分光光度計により反射率を測定し、得られたスペクトルから平均厚さを算出することができる。
金色顔料の製造方法は、剥離層形成工程と、蒸着工程と、剥離工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記剥離層形成工程は、基材上に剥離層を設ける工程であり、剥離層形成手段により実施される。
基材としては、平滑な表面を有するものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。これらの中でも、可撓性、耐熱性、耐溶剤性、及び寸法安定性を有する樹脂フィルム、金属、金属と樹脂フィルムの複合フィルムを適宜使用できる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。また金属としては、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、鉄箔、合金箔などが挙げられる。また金属と樹脂フィルムの複合フィルムとしては、上記樹脂フィルムと金属をラミネートしたものが挙げられる。
剥離層としては、後の剥離工程で溶解可能な各種の有機物を用いることができる。また、剥離層を構成する有機物材料を適切に選択すれば、SiOx(0<x≦2)蒸着膜に付着・残留した有機物を、鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子の保護層として機能させることができるので、好適である。
保護層とは、鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子の凝集、酸化、溶媒への溶出等を抑制する機能を有する。特に、剥離層に用いた有機物を保護層として利用することにより、表面処理工程を別途設ける必要がなくなるので好ましい。
保護層として利用可能な剥離層を構成する有機物としては、例えば、セルロースアセテートブチレート(CAB)、その他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル酸共重合体、変性ナイロン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保護層としての機能の高さから、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましい。
前記蒸着工程は、前記剥離層上に金色顔料を含有する層を蒸着する工程であり、蒸着手段により実施される。本発明においては、Siを酸化させるため、酸素ガスを導入して酸素雰囲気下で蒸着を行うことが好ましい。なお、Siが30原子%以上80原子%以下、Oが20原子%以上70原子%以下である組成比率の範囲を満たすことができれば、酸素ガスを導入しないで蒸着を行う方法を採用してもよい。
酸素ガスの導入量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100sccm以上1000sccm以下であることが好ましい。
金色顔料を含有する層の平均蒸着厚さが100nm以上200nm以下であると、粒子感がないシームレスな意匠性を有し、優れた金色調の色彩を実現できるという利点がある。
前記平均蒸着厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、金色顔料を含有する層の断面観察を行い、5〜10箇所の金色顔料を含有する層の厚さを計測し、平均した平均値である。
蒸着法における蒸着レートは、100nm/sec以上で大きければ大きい方が好ましい。
前記剥離工程は、前記剥離層を溶解することにより金色顔料を含有する層を剥離する工程であり、剥離手段により実施される。
前記剥離層を溶解可能な溶剤としては、剥離層を溶解可能な溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金色顔料分散液の溶媒としてそのまま用いることができるものが好ましい。水性塗料や水性インクの場合には、水との相溶性を有することが好ましい。
更に必要に応じて、金色顔料粒子の回収や物性の調整のために種々の処理を行ってもよい。例えば、分級によって金色顔料粒子の粒度を調整してもよいし、遠心分離、吸引ろ過などの方法で金色顔料粒子を回収することや、金色顔料分散液の固形分濃度を調整してもよい。また、溶媒置換を行ってもよいし、添加剤を用いて粘度調整等を行ってもよい。なお、分散剤を添加してもよいが、本発明では、剥離層として適切な有機物を選択しておけば分散性のよい金色顔料粒子からなる金色顔料分散液が得られるので、新たに分散剤を添加しなくてもよい。
前記その他の工程としては、例えば、剥離した金色顔料粒子を分散液として取り出す工程、分散液から金色顔料粒子として回収する工程などが挙げられる。
本発明の分散液は、本発明の金色顔料を含有し、有機溶剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
有機溶剤としては、特に制限はなく、剥離時に使用する有機溶剤を用いることができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、架橋剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエンのような芳香族化合物や、ゼラチンのようなアミノ酸のポリマーを用いることができる。
本発明のインクは、本発明の金色顔料を含有し、有機溶剤及びバインダーを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明のインクは、水性及び溶剤性のいずれであってもよいが、環境性の点から水性が好ましい。なお、酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含む金色顔料は、長辺面がマイクロサイズのため、多くの球状Siナノ粒子よりも常温で純水に対しては反応性が弱いため、水性インクに好適に用いられる。
前記金色顔料の含有量は、インクの全量に対して、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。
なお、前記インクには、必要に応じて前記金色顔料以外の光輝性顔料を含んでいてもよい。他の光輝性顔料としては、金属製の顔料(例えば、アルミニウム顔料、インジウム顔料)や、天然マイカから得られる顔料(例えば、パール顔料)や、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。
前記インクにおける有機溶剤としては、前記分散剤における有機溶剤と同様である。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記インクが前記バインダーを含むと、定着性や分散性に優れたインクが得られる。
前記バインダーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インク全量に対して、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。
前記インクにおけるその他の成分としては、前記分散剤におけるその他の成分と同様である。
本発明の塗膜は、酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含む金色顔料を含有してなり、
CIE Lab表色系において、a*値が−5以上5以下、b*値が5以上であることが好ましい。
CIE Lab表色系のa*値、b*値は、紫外可視近赤分光光度計を用い、波長領域300nm〜800nmの範囲、入射角5°の反射スペクトルより算出することができる。
前記塗膜のグロス値は、例えば、光沢計を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角を20°及び60°として測定することができる。
ここで、入射角20°のグロス値(Gs20°)は、正反射成分に近い反射強度を示す。入射角60°のグロス値(Gs60°)は、拡散成分に近い反射強度を示す。
和(Gs20°+Gs60°)は、スパークリング又は粒子感によるギラツキを示し、金色顔料の一粒子が独自で高い反射特性を持つ場合、それが配向していないと、60°から入射した光も十分に反射することとなる。そのため、入射角を変えても、金色顔料の一粒子が独自で光を反射しているように見え(粒子感)、ギラギラしているように見える。
したがって、金色顔料の一粒子の反射を下げ、配向性を上げる(膜厚を薄く、粒径を小さくする)ことで、シームレス(粒子感のなさ)感を演出するためには、正反射成分(Gs20°)と拡散成分(Gs60°)の和が高すぎない方が好ましい。
ここで、前記塗膜のグロス値は、例えば、光沢計を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角を20°及び60°として測定することができる。
CIE Lab表色系のa*値及びb*値が、上記の数値範囲であると、粒子感がないシームレスな意匠性を有し、優れた金色調の色彩を実現できる塗膜が得られる。
CIE Lab表色系のa*値及びb*値は、紫外可視近赤分光光度計を用い、波長領域300nm〜800nmの範囲、入射角5°の反射スペクトルより算出することができる。
本発明の塗膜の製造方法は、酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含む金色顔料を含有する分散液又はインクを基材上に付与し、前記分散液又はインクの塗膜についてCIE Lab表色系において、a*値が−5以上5以下、b*値が5以上となるように、前記分散液又はインクの付与を行う。
この場合、入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの和(Gs20°+Gs60°)が33以下、及び差(Gs20°−Gs60°)が−10以上の少なくともいずれか一方を満たすように前記分散液又はインクの付与を行うことが好ましい。
前記基材上に金色顔料を含む分散液又はインクの付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、インクジェット法、スプレー法、スクリーンコート法、オフセットコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、ドリップコート法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、粒子感がないシームレスな意匠性を有し、優れた金色調の色彩を実現できる点から、スピンコート法、インクジェット法、バーコート法、及びドリップコート法が特に好ましい。
本発明の金色顔料は、粒子感がないシームレスな意匠性を有し、優れた金色調の色彩を実現できるので、各種分野に幅広く用いられ、例えば、インクジェット用又はその他の印刷用光輝性インク、自動車内外装部材、家電、建材等の用途における塗装用光輝性塗料、導電性ペーストの導電性顔料、加飾フィルムに金属調意匠性を付与する光輝性顔料、3Dプリンタ用金属調フィラメントに使用される光輝性顔料、溶融押し出し、及びキャスティング工法における金属調意匠性シートやフィルムの練り込み光輝性顔料などに適用される。
平均厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。セルロースアセテートブチレート(CAB)の塗工量は0.06g/m2±0.01g/m2であった。剥離層上に、EB加熱・真空蒸着法によって、圧力が高い状態での成膜により、Siを蒸着レート277Å/secで蒸着し、平均蒸着厚さが120nmのSiOx(0<x≦2)蒸着膜を形成した。
次に、剥離層及びSiOx(0<x≦2)蒸着膜を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして剥離層を溶解し、SiOx(0<x≦2)蒸着膜をドクターブレードで掻き落とした。得られたSiOx(0<x≦2)粒子は鱗片状であった。
次に、得られたSiOx(0<x≦2)粒子と酢酸ブチルの混合物に対して、微粉砕機を用いて粉砕した。以上により、金色顔料としての単層構造である鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子を得た。
実施例1において、表1に示す蒸着条件に変更した以外に、低い圧力下で、実施例1と同様にして、実施例2〜10及び比較例3〜4の金色顔料としての鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子を得た。
実施例2〜10及び比較例3〜4においては、Siが基材へ到達するまでの空間に酸素ガスを表1に示す量導入し、酸素雰囲気下でSiの蒸着を行った。
比較例1及び2においては、Siが基材へ到達するまでの空間に酸素ガスを導入しない真空雰囲気下でSiの蒸着を行った。
なお、実施例2〜10及び比較例1〜4の鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子はいずれも単層構造であった。
ここで、図1に実施例9の鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子の長辺面におけるSEM写真を示した。図2に実施例9の鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子の断面SEM写真を示した。図2から実施例9の鱗片状SiOx(0<x≦2)粒子が単層構造を有していることがわかる。
金色顔料としてSchlenk社製のZenexo(登録商標)Goldenshine21YYを比較例5として用いた。この比較例5の鱗片状粒子の模式図を図3に示した。この図3の比較例5の鱗片状粒子は中央部にAlを有し、Fe2O3とSiO2との積層構造である。また、図4に比較例5の鱗片状粒子の長辺面におけるSEM写真を示した。図5に比較例5の鱗片状粒子の断面SEM写真を示した。図5から比較例5の鱗片状粒子は積層構造であることがわかる。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(装置名:レーザーマイクロンサイザーLMS−2000e、株式会社セイシン企業製、湿式分散ユニット)を用いて、レーザー回折法により、フラウンホーファーの近似法を用いて、鱗片状粒子の累積50%体積粒径(D50)を測定した。
鱗片状粒子の平均厚さは、SEM試料台へ直接10質量%酢酸ブチル分散液をスポイトで3〜5滴を滴下後、乾燥したものをサンプルとし、以下の条件で、SEM試料台を60°に傾け、鱗片状粒子のエッジ部分(厚み)を合計10点観察し、その平均値を算出した。
[条件]
・走査型電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)HITACHI S−4700(株式会社日立製作所製)
・観察サンプル前処理:Ptスパッタ/10sec〜20sec
・観察条件:加速電圧5kV〜10kV、各種倍率及び角度
SEM試料台へ直接10質量%酢酸ブチル分散液をスポイトで3〜5滴滴下後、乾燥し、試料台上で乾燥させて鱗片状粒子のSEM観察を行い、鱗片状粒子の長辺面にピントを合わせた後、以下の条件のEDX分析により、SiとOの組成比率を測定した。
[条件]
・エネルギー分散型X線分析装置(EDX:Energy dispersive X−ray spectrometry、株式会社堀場製作所製)
・観察サンプル前処理:Ptスパッタ/10sec
・分析条件:加速電圧20kV、倍率×200k、傾斜角度0°、ライブタイム300sec、スペクトル収集範囲0keV〜10keV
−塩化ビニル印刷メディアへのバーコート塗膜の形成−
各鱗片状粒子を10質量%酢酸ブチル分散液に調製し、ローランドD.G.社製の塩化ビニル印刷メディア(光沢塩化ビニル、MV−G−18G)上に、バーコーター(#4、株式会社丸協技研製)を用い、各分散液を常温(25℃)にて塗布し、常温(25℃)にて乾燥することでバーコート塗膜を形成した。
各鱗片状粒子を10質量%酢酸ブチル分散液に調製し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ75μm、東洋紡株式会社製)上に、バーコーター(#4、株式会社丸協技研製)を用い、各分散液を常温(25℃)にて塗布し、常温(25℃)にて乾燥することでバーコート塗膜を形成した。なお、全光線透過率が10%以下になるように隠蔽性を出すため、比較例5については、15質量%酢酸ブチル分散液に調製し、上記同様にしてPETフィルムへ塗布した。
−塩化ビニル印刷メディア上のバーコート塗膜−
塩化ビニル印刷メディア上に形成した各バーコート塗膜について、バーコート面を測定面とし、グロス値を測定した。グロス値の測定は、光沢計(日本電色工業株式会社製、VG−7000)を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)を測定し、これらのグロス値から、和(Gs20°+Gs60°)(スパークリング)を算出した。結果を表2に示した。
PETフィルム上に形成した各バーコート塗膜について、黒ビニールテープをバーコート面に貼り付け、裏打ち状態でPET面から、グロス値を測定した。グロス値の測定は、光沢計(日本電色工業株式会社製、VG−7000)を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)を測定し、これらのグロス値から、差(Gs20°−Gs60°)(鏡面光沢感)を算出した。結果を表3に示した。
−塩化ビニル印刷メディア上のバーコート塗膜−
塩化ビニル印刷メディア上に形成した各バーコート塗膜について、バーコート面を測定面とし、紫外可視近赤分光光度計(株式会社島津製作所製、SolidSpec−3700)を用い、波長領域300nm〜800nmの範囲、入射角5°の反射スペクトルを測定し、L*値、a*値、b*値を求めた。結果を表2に示した。
図6から図9の結果から、実施例1、2、9及び比較例5の反射スペクトルから、吸収域が400〜450nmにみられ、いずれも優れた金色調の色彩を有していることがわかった。
図10から図12の結果から、実施例1〜10、比較例5はa*値が−5以上5以下、b*値が5以上を満たしており、いずれも優れた金色調の色彩を実現できていることがわかった。これに対して、比較例1〜4は金色調の色彩を実現できなかった。
PETフィルム上に形成した各バーコート塗膜について、黒ビニールテープをバーコート面に貼り付け、裏打ち状態でPET面から、紫外可視近赤分光光度計(株式会社島津製作所製、SolidSpec−3700)を用い、波長領域300nm〜800nmの範囲、入射角5°の反射スペクトルを測定し、L*値、a*値、及びb*値を求めた。結果を表3に示した。
図13Aから図13Cの実施例9のバーコート塗膜と図14Aから図14Cの比較例5のバーコート塗膜を比べると、比較例5は実施例9に比べて粒子感(シームレス)が強く生じていることが認められる。
各塗膜について、5名の評価者により、色目を評価した。また、各塗膜について、5名の評価者により、下記基準によりシームレス(粒子感のなさ)感を評価した。結果を表2に示した。
[シームレス感の評価基準]
〇:目視にて、粒子の存在が認められない
△:塗工方法によっては、目視にて、若干粒子の存在が認められる
×:塗工方法に限らず、目視にて、明らかに独立した粒子の存在が認められる
Claims (9)
- 酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含み、
累積50%体積粒径(D50)が20μm以下、平均厚さが100nm以上200nm以下であり、
Siが30原子%以上80原子%以下、Oが20原子%以上70原子%以下の組成比率であることを特徴とする金色顔料。 - 単層構造である請求項1に記載の金色顔料。
- 鱗片状粒子である請求項1から2のいずれかに記載の金色顔料。
- 請求項1から3のいずれかに記載の金色顔料を含有することを特徴とする分散液。
- 請求項1から3のいずれかに記載の金色顔料を含有することを特徴とするインク。
- 酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含む金色顔料を含有してなり、
CIE Lab表色系において、a*値が−5以上5以下、b*値が5以上であることを特徴とする塗膜。 - 入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの和(Gs20°+Gs60°)が33以下、及び差(Gs20°−Gs60°)が−10以上の少なくともいずれか一方を満たす、請求項6に記載の塗膜。
- 酸化ケイ素(SiOx(0<x≦2))を含む金色顔料を含有する分散液又はインクを基材上に付与し、
前記分散液又はインクの塗膜についてCIE Lab表色系におけるa*値が−5以上5以下、b*値が5以上となるように、前記分散液又はインクの付与を行うことを特徴とする塗膜の製造方法。 - 入射角20°のグロス値(Gs20°)及び入射角60°のグロス値(Gs60°)において、これらの和(Gs20°+Gs60°)が33以下、及び差(Gs20°−Gs60°)が−10以上の少なくともいずれか一方を満たすように前記分散液又はインクの付与を行う請求項8に記載の塗膜の製造方法。
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