JP2021079458A - 超砥粒単層ビトリファイド工具 - Google Patents

超砥粒単層ビトリファイド工具 Download PDF

Info

Publication number
JP2021079458A
JP2021079458A JP2019206541A JP2019206541A JP2021079458A JP 2021079458 A JP2021079458 A JP 2021079458A JP 2019206541 A JP2019206541 A JP 2019206541A JP 2019206541 A JP2019206541 A JP 2019206541A JP 2021079458 A JP2021079458 A JP 2021079458A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vitrified
tool
layer
superabrasive
vitrified bond
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019206541A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7335786B2 (ja
Inventor
櫻井 暁
Akira Sakurai
暁 櫻井
広幸 岩井
Hiroyuki Iwai
広幸 岩井
寛弥 花井
hiroya Hanai
寛弥 花井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd filed Critical Noritake Co Ltd
Priority to JP2019206541A priority Critical patent/JP7335786B2/ja
Publication of JP2021079458A publication Critical patent/JP2021079458A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7335786B2 publication Critical patent/JP7335786B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】砥粒保持力が高く且つ高い研削加工性能を有する超砥粒単層ビトリファイド工具を提供することにある。【解決手段】支持体12と、支持体12の上に固着されたビトリファイドボンド層14と、支持体12の上に互いに離間した状態で前記ビトリファイドボンド層14によって単層状態で保持されている複数の超砥粒16とを有する超砥粒単層ビトリファイド工具10において、ビトリファイドボンド層14は、スラリー局所噴射摩耗法を用いた測定値で、0.9μm/g以下の耐摩耗性値を有することから、超砥粒単層ビトリファイド工具10の研削性能および工具寿命が充分に得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、金属、セラミックス、半導体基板、ガラス基板等の研削加工に用いる超砥粒単層ビトリファイド工具に関する。
一般に、砥粒単層工具としては、研磨布紙や電着工具が挙げられる。電着工具の場合は、電着により固着される砥粒数が多いため、加工材料によっては切り屑による目詰まりが発生し易いという課題があった。研磨布紙の場合も、可撓性基材の上に樹脂で砥粒を固着しているため、砥粒径が小さくなるにつれて、加工性能が低下するという課題があった。
これに対して、切り屑を逃がすために、電着工具の固着砥粒数を低減させて砥粒間隔を広げることが考えられる。たとえば、特許文献1および特許文献2に記載の超砥粒単層ビトリファイド工具がそれである。このビトリファイド工具は、支持体と、前記支持体の上に固着されたビトリファイドボンド層と、前記支持体の上に互いに離間した状態で前記ビトリファイドボンド層によって単層状態で保持されている複数の超砥粒とを有している。
特開平10−193266号公報 特開2001−025973号公報
しかしながら、固着砥粒数を低減させて砥粒間隔を広げようとすると、砥粒の固着にムラが発生して研削性能が安定しなかったり、工具寿命が安定しないという課題があった。また、上記のように、引用文献1および引用文献2に記載された超砥粒単層ビトリファイド工具は、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)研磨に用いられる研磨パッドのドレッサとして用いられているが、研削用工具として用いられている前例はない。これは、ビトリファイドボンドが一般的にもろいため、研削用工具として適していないと考えられているからである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、ビトリファイドボンドの特性を最適化することで研削性能や耐久性が充分に得られるようにし、研削用工具として使用可能な超砥粒単層ビトリファイド工具を提供することにある。
本発明者等は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、スラリー局所噴射摩耗法を用いて、微細な無機粒子を含むスラリーをビトリファイドボンド層に局所的に噴射し、噴射を受けた局所のビトリファイドボンド層の投射粒子量に対する摩耗の度合い(深さ)の割合を摩耗率(=最大摩耗深さμm/投射粒子量g)を用いて数値化すると、その摩耗率とビトリファイドボンド層の強度との相関関係が好適に対応づけられること、および、ビトリファイドボンド層の強度に対応する摩耗率の数値範囲を用いて、超砥粒単層ビトリファイド工具の加工性能を客観的に特定できることを、見いだした。本発明は、このような知見に基づいて為されたものである。
すなわち、本発明の要旨とするところは、支持体と、前記支持体の上に固着されたビトリファイドボンド層と、前記支持体の上に互いに離間した状態で前記ビトリファイドボンド層によって単層状態で保持されている複数の超砥粒とを有する超砥粒単層ビトリファイド工具であって、前記ビトリファイドボンド層は、スラリー局所噴射摩耗法を用いた測定値で、0.9μm/g以下の耐摩耗性値を有することにある。
本発明の超砥粒単層ビトリファイド工具によれば、支持体と、前記支持体の上に固着されたビトリファイドボンド層と、前記支持体の上に互いに離間した状態で前記ビトリファイドボンド層によって単層状態で保持されている複数の超砥粒とを有する超砥粒単層ビトリファイド工具であって、前記ビトリファイドボンド層は、スラリー局所噴射摩耗法を用いた測定値で、0.9μm/g以下の耐摩耗性値を有することから、超砥粒単層ビトリファイド工具の研削性能および工具寿命が充分に得られる。
ここで、好適には、前記ビトリファイドボンド層は、ナノインデンテーション法を用いた測定値で、500以上のボンド硬さを有している。このため、超砥粒単層ビトリファイド工具の工具寿命が充分に得られる。
また、好適には、前記超砥粒は、前記ビトリファイドボンド層の表面から、前記超砥粒の粒径の20〜80%の長さ分突き出している。このため、超砥粒単層ビトリファイド工具の研削性能が充分に得られる。
また、好適には、前記超砥粒は、0.2〜50%の砥粒面積率で前記支持体上に保持されている。このため、超砥粒の目詰まりが抑制されるので、超砥粒単層ビトリファイド工具の研削性能が長期にわたって維持される。
本発明の一実施例の超砥粒単層ビトリファイド工具の断面を拡大して説明する図である。 図1の超砥粒単層ビトリファイド工具の製造工程を説明する工程図である。 図2の製造工程で製造された超砥粒単層ビトリファイド工具のビトリファイドボンド層の評価に用いるスラリー局所噴射摩耗法(MSE法)を可能とするスラリー局所噴射摩耗装置の構成を説明する説明図である。 図4のスラリー局所噴射摩耗装置により超砥粒単層ビトリファイド工具のビトリファイドボンド層の表面に形成された局所摩耗の摩耗率を算出するために、触針式計測器を用いて上記局所摩耗の摩耗深さを測定したときのプロファイルの一例を示す図である。 研削性能および工具寿命を評価するための研削試験を行なう研削試験装置の構成を説明する図である。 ビトリファイドボンド層を構成するガラスが異なる超砥粒単層ビトリファイド工具について、図5の装置を用いてSi基板のドライ研削試験を行なった結果、得られた摩耗率、耐摩耗性、工具寿命をそれぞれ示す図表である。 砥粒固着量が相違する超砥粒単層ビトリファイド工具について、図5の装置を用いてSi基板のドライ研削試験を行なった結果、得られた研削性能、工具寿命をそれぞれ示す図表である。 超砥粒のビトリファイドボンドからの突出し高さが相違する超砥粒単層ビトリファイド工具の研削試験を説明する、図5と同様の研削試験装置を示す図である。 超砥粒のビトリファイドボンドからの突出し高さが相違する超砥粒単層ビトリファイド工具について、図8の装置を用いてSi基板のドライ研削試験を行なった結果、得られた研削性能、工具寿命をそれぞれ示す図表である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の超砥粒単層ビトリファイド工具10の要部断面である。超砥粒単層ビトリファイド工具10は、たとえば、金属、セラミックス、半導体基板、ガラス基板等の研削加工に用いられる。また、半導体ウエハの一面を平坦に研磨するCMP(ケミカルメカニカルポリッシング)工程において、研磨パッドの研磨面の目立てを行なうためにも用いられる。
超砥粒単層ビトリファイド工具10は、支持体12と、支持体12の上に溶融により固着されたビトリファイドボンド層14と、支持体12の上に互いに離間した状態でビトリファイドボンド層14によって単層状態で保持されている複数の超砥粒16とを有している。
支持体12は、アルミナ、ムライト、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア等のセラミックス板であって、工具として使用に耐えうる強度、靱性を有する厚みを備え、円形、矩形、扇形などの板状体や、円柱状体である。
超砥粒16は、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒等の超砥粒であって、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素等の一般砥粒がその一部に含まれてもよい。超砥粒16は、基本的には同じ粒度であって、砥粒同士が離間した単層状態でビトリファイドボンド層14により固定されている。これにより、目詰まりが抑制され、切れ味が向上している。超砥粒16は、その砥粒径の20%〜80%、好適には30%〜70%の割合の突出し長さで、ビトリファイドボンド層14から突き出している。また、好適には、超砥粒16は、その砥粒径の30%以上の割合で、ビトリファイドボンド層14内に埋め込まれている。これらの形態は、支持体12上に塗布されるビトリファイドボンド含有ペースト層、その下地層、および/又は超砥粒16の固着面の残部を覆う被覆層の厚みを調節することで、達成される。超砥粒16のビトリファイドボンド層14からの突出し長さが大きすぎると、研削加工中に超砥粒16の脱落が発生し易くなり、超砥粒16のビトリファイドボンド層14からの突出し長さが小さすぎると、研削加工性能が低下する。
ビトリファイドボンド層14は、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラス、石英ガラスなどのガラス質のビトリファイドボンドが好適に用いられる。ガラス質のビトリファイドボンドとしては、一例として、軟化点が850℃以下のものが、焼成中に超砥粒16をビトリファイドボンド層14内に沈み込ませることができる。
ビトリファイドボンド層14として好ましいホウ珪酸ガラスの組成は、たとえば、SiO:40〜70重量%、Al:10〜20重量%、B:10〜20重量%、RO:2〜10重量%(但し、Rはアルカリ土類金属から選択される一種以上の金属)、RO:2〜10重量%(但し、Rはアルカリ金属から選択される一種以上の金属)を含む。このビトリファイドボンド層14の組成は、支持体12および超砥粒16とビトリファイドボンド層14との熱膨張係数差が±5×10−6以下となるように、また、このビトリファイドボンド層14の組成は、ナノインデンテーション法を用いた測定でビトリファイドボンド層14のボンド硬さが500以上となるように、且つ、スラリー局所噴射摩耗法(MSE)法を用いた測定でビトリファイドボンド層14の耐摩耗性値が0.9μm/g以下となるように、融点等が調整される。
図2は、超砥粒単層ビトリファイド工具10の製造工程の要部を説明する図である。図2において、先ず、支持体12とガラスペーストとが用意される。ガラスペーストは、ビトリファイドボンド層14を構成するガラスフリットと樹脂とが混練された比較的粘性の高い流動体であり、有機溶媒などによって塗布作業を容易とするための所定の粘度に調整される。
図2のガラスペースト塗布工程P1では、たとえば、スクリーン印刷法、メタルマスク法などを用いて、静電塗布法、ガラスペーストが所定厚みで支持体12の一面に塗布される。ガラスペーストの塗布厚みは、超砥粒16の粒度と関連して設定されており、超砥粒16のガラスペースト表面からの露出高さが、超砥粒16の粒径の20〜80%、好適には30〜70%となるように定められる。
次いで、砥粒散布工程P2では、支持体12の一面に塗布された濡れた状態のガラスペーストの上に、基本的には砥粒同士が離隔した砥粒の単層が形成されるように、たとえば、振動メッシュから落下させる方法、静電塗布法などを用いて、支持体12の一面の単位面積当たりの砥粒面積率0.2%から50%となるように、超砥粒16が散布される。超砥粒16の一部は露出させられた状態で、他の一部はガラスペースト内に沈み込む。このとき、超砥粒16のガラスペーストからの露出高さを整えるために、支持体12に平行な平坦な板で超砥粒16の上から荷重を加えてもよい。
続いて、乾燥工程P3において、ガラスペーストが乾燥させられた後、焼成工程P4において、700℃〜1250℃にてガラスペーストが焼成され、ガラスペースト中の樹脂が焼失させられるとともにガラスフリットが溶融させられてビトリファイドボンド層14が形成される。これにより、ビトリファイドボンド層14により超砥粒16が支持体12に互いに離間した単層状態で固定された、図1に示す超砥粒単層ビトリファイド工具10が得られる。
(ビトリファイドボンドの評価試験)
本発明者等は、先ず、ビトリファイドボンド層14を構成するガラス性能(耐摩耗性および硬さ)が異なる他は、超砥粒単層ビトリファイド工具10と同様の材料、寸法、および膜厚を有する複数種類(4種類)の試料W、すなわち実施例品1、実施例品2、実施例品3、比較例品1を、図2に示される製造工程と同様の製造工程を用いて作製した。そして、本発明者等は、上記試料のビトリファイドボンド層14を構成するガラス(ビトリファイドボンド)の耐摩耗性および硬さを、以下に示す耐摩耗性測定および硬さ測定を行なって評価した。
(耐摩耗性測定)
以下の噴射装置を用いて、スラリー局所噴射摩耗法(MSE法)により、微細な球形無機粒子を含むスラリーを衝撃モードでビトリファイドボンドに局所的に噴射し、噴射により形成された局所のエロージョンを以下の形状測定機で測定し、噴射を受けた局所のビトリファイドボンド層の投射粒子量に対する摩耗の度合い(深さ)の割合から、エロージョン率すなわち摩耗率(=最大摩耗深さμm/投射粒子量g)を算出して耐摩耗性を数値化した。
噴射装置: スラリー局所噴射摩耗装置((株)パルメソ製のMSE−A)
ノズル径 1mm×1mm
投射距離 4mm
形状測定機: 株式会社小坂研究所製の触針式計測器(PU−EU1)
触針子先端R 2μm
荷 重 200μN
計測倍率 10000倍
測 長 4mm
計測速度 0.2mm/sec
図3において、本発明者等が用いたスラリー局所噴射摩耗装置(株式会社パルメソ製のMSR−A型)を説明する。スラリー局所噴射摩耗装置30は、平均粒子径が3μmの球形アルミナを水に3容積%混入させた球形アルミナスラリーを用いる。上記平均粒子径は、レーザ回折式粒径測定装置により測定されたものである。スラリータンク32内には、上記のスラリー34が貯留され、攪拌機36によって攪拌されている。圧縮空気源38からは、スラリー圧調圧弁40を介してスラリータンク32内にスラリー圧Psが加えられることで、投射ガン42にはスラリータンク32からのスラリー34がスラリー流量計44を通して供給されるようになっている。また、圧縮空気源38からは、エアー圧調圧弁46およびエアー流量計48を介して投射ガン42にエアー圧が供給されるようになっている。投射ガン42の下部に設けられた投射ノズル50は、投射断面積1.0mm(縦1mm×横1mm)のノズルを有し、投射ブース54により覆われている。投射ガン42は、供給されたスラリー34とエアーとを混合して投射ノズル50から、4mmの投射距離で、治具52に固定された試料Wに向かって局所的に噴射し、試料Wの表面を局所的に摩耗させた凹所を形成する。試料Wが固定された治具52は、テーブル駆動装置56によって投射ブース54内に出し入れされる。投射ブース54内に貯留されたスラリー34は、回収ポンプ58によってスラリータンク32内に戻されるようになっている。
球形アルミナ粒子を含む球形アルミナスラリーを用いたスラリー局所噴射摩耗法を用いる場合は、投射ノズル50に供給されるエアー圧がたとえば0.216MPa、スラリー圧が0.210MPa、投射ノズル50に供給されるエアー流量がたとえば6.1L/min、スラリー流量が125L/minに設定された衝撃モードが選択される。この衝撃モードの投射力は、金属製(HRC45)の標準片に形成されるエロージョン率(摩耗率)が0.18±5%(μm/g)であることで確認される。
(摩耗により形成された摩耗深さの測定およびエロージョン率の算出)
本発明者等は、スラリーの噴射によって、球形アルミナ粒子を含む球形アルミナスラリーを用いたスラリー局所噴射摩耗法を用いて、試料Wのビトリファイドボンド膜に局所的に形成された摩耗深さ(エロージョン深さ)を、以下の測定条件により複数位置でそれぞれ測定した。次いで、得られたプロファイルから摩耗深さの最大値D(μm)をそれぞれ計測する。図4は、そのプロファイルの一例である。次いで、球形アルミナ粒子を含む球形アルミナスラリーについての予め設定された関係から、投射ノズル50に供給されスラリー流量に基づいて、試料Wに投射される投射粒子量x(g)を算出する。そして、試料Wについて、最大値D(μm)の平均値を投射粒子量x(g)で除することにより、球形アルミナ粒子を含む球形アルミナスラリーを用いたスラリー局所噴射摩耗法を用いたときの、球形粒子摩耗率(球形粒子エロージョン率)(μm/g)を算出した。この球形粒子摩耗率(球形粒子エロージョン率)(μm/g)は、スラリー局所噴射摩耗法(MSE法)によるビトリファイドボンドの耐摩耗性値を示している。
(硬さ測定)
以下の硬さ試験機を用い、ISO 14577−1に準拠してナノインデンテーション法によりビトリファイドボンドの押し込み硬さ(HIT)を測定し、その値からビッカース硬さ(HVc)を換算した。
使用機種 :超微小押込み硬さ試験機((株)エリオニクス製のENT−NEXUS)
圧子 :バーコビッチ型
測定条件 :最大押込み荷重 10mN
負荷時間 5秒
膜断面を測定 N=25
(研削試験)
硬さ測定の後、実施例品1、実施例品2、実施例品3、比較例品1についての研削性能、工具寿命を、図5の研削試験装置を用いて行ない、それぞれ評価した。図5において、一方向たとえば水平方向に案内されて、エアシリンダ、電動シリンダ等のアクチュエータ60により往復駆動される被削材テーブル62の上には、真空チャックによって被削材たとえば単結晶のシリコン板64が固着されている。被削材テーブル62の上方には、真空チャックによってシリコン板64に対応するように試料Wが固定された工具チャック66が、水平方向の移動不能且つ上下方向の移動可能に配設されており、研削試験中には所定の研削荷重が工具チャック66に付与されるようになっている。アクチュエータ60と被削材テーブル62との間には、ロードセル68が配置されており、研削負荷(kgf)が検出されるようになっている。この研削試験は、研削液を用いないでシリコン板64を1回当たりの切込み量を2μmとしたドライ研削であり、5往復目の研削負荷の値が予め設定された研削性能判定負荷値1.8kgfを下回る場合は研削性能が合格(○印)であると判定し、研削性能判定負荷値以上となる場合は研削性能が不合格(×印)であると判定した。また、ロードセル68により検出された研削負荷が、予め設定された負荷値たとえば2.27kgfに到達した往復数が、予め設定された耐久性判定値たとえば10往復以上であると、耐久性(工具寿命)が合格(○印)であると判定し、予め設定された耐久性判定値を下まわると、耐久性(工具寿命)が不合格(×印)であると判定した。
図6は、ダイヤモンド砥粒を超砥粒として用いた、実施例品1、実施例品2、実施例品3、比較例品1についての、ビトリファイドボンドの特性(硬さおよび耐摩耗性値)、研削性能、工具寿命を示す図表である。図6において、ビトリファイドボンドのスラリー局所噴射摩耗法(MSE法)による耐摩耗性値が0.16μm/g且つナノインデンテーション法により硬さが650であるホウ珪酸ガラスA(非晶質ガラス)である実施例品1は、研削性能および工具寿命が共に合格であった。ビトリファイドボンドのスラリー局所噴射摩耗法による耐摩耗性値が0.13μm/g且つナノインデンテーション法により硬さが620であるホウ珪酸ガラスB(非晶質ガラス)である実施例品2は、研削性能および工具寿命が共に合格であった。ビトリファイドボンドのスラリー局所噴射摩耗法による耐摩耗性値が0.85μm/g且つナノインデンテーション法により硬さが720であるホウ珪酸ガラス(結晶化ガラス)である実施例品3は、研削性能が合格であり、工具寿命が実用に耐え得る程度のやや合格であった。ビトリファイドボンドのスラリー局所噴射摩耗法による耐摩耗性値が1.90μm/g且つナノインデンテーション法により硬さが430である亜鉛−ビスマス系ガラス(非晶質ガラス)である比較例品1は、研削性能および工具寿命が共に不合格であった。研削性能はやや合格であったが工具寿命は不合格であった。すなわち、ビトリファイドボンド層14が、スラリー局所噴射摩耗法を用いた測定値で、0.9μm/g以下、好適には0.16〜0.85μm/gの耐摩耗性値を有し、ナノインデンテーション法を用いた測定値で、500以上、好適には650〜720の硬さを有する場合に、満足すべき研削性能および工具寿命が得られた。
(超砥粒の面積率が異なる超砥粒単層ビトリファイド工具の評価試験)
本発明者等は、次に、支持体12上の単位面積当たりの超砥粒16が占める砥粒面積率(砥粒固着量)を異ならせ、ビトリファイドとしてホウ珪酸ガラスBを用い、超砥粒16として粒度が#325/400のダイヤモンド砥粒を用いた他は、超砥粒単層ビトリファイド工具10と同様の材料、寸法、および膜厚を有する複数種類(7種類)の試料W、すなわち比較例品2、実施例品4、実施例品5、実施例品6、実施例品7、実施例品8、比較例品3を、図2に示される製造工程と同様の製造工程を用いて作製した。そして、本発明者等は、図5の研削試験装置を用いて、上記6種類の試料Wについて研削試験を行い、それぞれの研削性能、工具寿命を評価した。上記砥粒面積率は、SEMによる50倍の写真の画像解析から2値化処理により得られた砥粒の黒色を算出ソフトを用いて導出される。
図7は、比較例品2、実施例品4、実施例品5、実施例品6、実施例品7、実施例品8、比較例品3についての研削性能、工具寿命を示す図表である。図7において、砥粒面積率(砥粒固着量)が0.1%である比較例品2は、研削性能および工具寿命が共に不合格であった。砥粒面積率(砥粒固着量)が0.2%である実施例品4は、研削性能および工具寿命が共に合格であった。砥粒面積率(砥粒固着量)が2%である実施例品5は、研削性能および工具寿命が共に合格であった。砥粒面積率(砥粒固着量)が10%である実施例品6は、研削性能および工具寿命が共に合格であった。砥粒面積率(砥粒固着量)が30%である実施例品7は、研削性能および工具寿命が共に合格であった。砥粒面積率(砥粒固着量)が50%である実施例品8は、研削性能および工具寿命が共に合格であった。砥粒面積率(砥粒固着量)が70%である比較例品3は研削性能はやや合格であったが工具寿命は不合格であった。すなわち、超砥粒16が0.2%〜50%の砥粒面積率(砥粒固着量)を有する場合に、満足すべき研削性能および工具寿命が得られた。
(超砥粒の突出し高さが異なる超砥粒単層ビトリファイド工具の評価試験)
本発明者等は、さらに、#80/100のダイヤモンド砥粒を支持体12上にホウ珪酸ガラスBを用いて1個だけ固着させるとともに、そのダイヤモンド砥粒の突出し量を異ならせた他は、超砥粒単層ビトリファイド工具10と同様の材料、寸法、および膜厚を有する複数種類(5種類)の試料W、すなわち比較例品4、実施例品9、実施例品10、実施例品11、実施例品12を、図2に示される製造工程と同様の製造工程を用いて作製した。そして、本発明者等は、図5に示された研削試験装置と同様に構成された図8の研削試験装置を用いて、上記5種類の試料Wについて研削試験を行い、それぞれの工具寿命を評価した。この研削試験は研削液を用いないでシリコン板64を1回当たりの切り込み量を20μmとした研削であり、工具寿命は、10回以上を合格とした。
図9は、比較例品4、実施例品9、実施例品10、実施例品11、実施例品12についての工具寿命を示す図表である。図9において、ダイヤモンド砥粒の突出し高さが砥粒径の90%である比較例品4は、研削回数が2回で砥粒が脱落したので工具寿命が不合格であった。ダイヤモンド砥粒の突出し高さが砥粒径の80%である実施例品9は、研削回数が17回であるため工具寿命が合格であった。ダイヤモンド砥粒の突出し高さが砥粒径の70%である実施例品10は、研削回数が21回であるため工具寿命が合格であった。ダイヤモンド砥粒の突出し高さが砥粒径の50%である実施例品11は、研削回数が28回であるため工具寿命が合格であった。ダイヤモンド砥粒の突出し高さが砥粒径の20%である実施例品12は、研削回数が24回であるため工具寿命が合格であった。すなわち、ダイヤモンド砥粒のビトリファイドボンドからの突出し高さが砥粒径の20%〜80%を有する場合に、満足すべき工具寿命が得られた。
上述のように、本実施例の超砥粒単層ビトリファイド工具10によれば、支持体12と、支持体12の上に固着されたビトリファイドボンド層14と、支持体12の上に互いに離間した状態で前記ビトリファイドボンド層14によって単層状態で保持されている複数の超砥粒16とを有し、ビトリファイドボンド層14は、スラリー局所噴射摩耗法を用いた測定値で、0.9μm/g以下の耐摩耗性値を有することから、超砥粒単層ビトリファイド工具10の研削性能および工具寿命が充分に得られる。
本実施例の超砥粒単層ビトリファイド工具10によれば、ビトリファイドボンド層14は、ナノインデンテーション法を用いた測定値で、500以上のボンド硬さ(HVc)を有していることから、超砥粒単層ビトリファイド工具10の工具寿命が充分に得られる。
本実施例の超砥粒単層ビトリファイド工具10によれば、超砥粒16は、ビトリファイドボンド層14の表面から、超砥粒16の粒径の20%以上80%以下の長さ分突き出していることから、超砥粒単層ビトリファイド工具10の研削性能が充分に得られる。
本実施例の超砥粒単層ビトリファイド工具10によれば、超砥粒16は、0.2%以上50%以下の砥粒面積率で支持体12上に保持されていることから、超砥粒16の目詰まりが抑制されるので、超砥粒単層ビトリファイド工具10の研削性能が長期にわたって維持される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の図6および図7における各実施例品および比較例品は、超砥粒としてダイヤモンド砥粒が用いられたものであったが、超砥粒としてCBN砥粒が用いられた場合でも、同様の結果が得られる。
また、図7における各実施例品および比較例品には、#325/400の粒度のダイヤモンド砥粒が用いられていたが、#325よりも粗い粒子、#400よりも細かい粒度であっても、同様の結果が得られる。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
10:超砥粒単層ビトリファイド工具
12:支持体
14:ビトリファイドボンド層
16:超砥粒

Claims (4)

  1. 支持体と、前記支持体の上に固着されたビトリファイドボンド層と、前記支持体の上に互いに離間した状態で前記ビトリファイドボンド層によって単層状態で保持されている複数の超砥粒とを有する超砥粒単層ビトリファイド工具であって、
    前記ビトリファイドボンド層は、スラリー局所噴射摩耗法を用いた測定値で、0.9μm/g以下の耐摩耗性値を有する
    ことを特徴とする超砥粒単層ビトリファイド工具。
  2. 前記ビトリファイドボンド層は、ナノインデンテーション法を用いた測定値で、500以上のボンド硬さを有する
    ことを特徴とする請求項1の超砥粒単層ビトリファイド工具。
  3. 前記超砥粒は、前記ビトリファイドボンド層の表面から、前記超砥粒の粒径の20〜80%の長さ分突き出している
    ことを特徴とする請求項1または2の超砥粒単層ビトリファイド工具。
  4. 前記超砥粒は、0.2〜50%の砥粒面積率で前記支持体上に保持されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1の超砥粒単層ビトリファイド工具。
JP2019206541A 2019-11-14 2019-11-14 超砥粒単層ビトリファイド工具 Active JP7335786B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019206541A JP7335786B2 (ja) 2019-11-14 2019-11-14 超砥粒単層ビトリファイド工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019206541A JP7335786B2 (ja) 2019-11-14 2019-11-14 超砥粒単層ビトリファイド工具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021079458A true JP2021079458A (ja) 2021-05-27
JP7335786B2 JP7335786B2 (ja) 2023-08-30

Family

ID=75963227

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019206541A Active JP7335786B2 (ja) 2019-11-14 2019-11-14 超砥粒単層ビトリファイド工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7335786B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001025973A (ja) * 1999-07-15 2001-01-30 Noritake Co Ltd ビトリファイドボンド工具及びその製造方法
JP2001239461A (ja) * 2000-02-29 2001-09-04 Noritake Co Ltd ドレッシング工具およびその製造方法
JP2010274341A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Shin Etsu Handotai Co Ltd 砥石選別方法
JP2015006730A (ja) * 2009-10-08 2015-01-15 サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド ボンド研磨物品および形成方法
US20150290771A1 (en) * 2012-03-27 2015-10-15 Yundong Li Abrasive article and method for making the same
JP2016223920A (ja) * 2015-05-29 2016-12-28 株式会社パルメソ 強度確知評価方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001025973A (ja) * 1999-07-15 2001-01-30 Noritake Co Ltd ビトリファイドボンド工具及びその製造方法
JP2001239461A (ja) * 2000-02-29 2001-09-04 Noritake Co Ltd ドレッシング工具およびその製造方法
JP2010274341A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Shin Etsu Handotai Co Ltd 砥石選別方法
JP2015006730A (ja) * 2009-10-08 2015-01-15 サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド ボンド研磨物品および形成方法
US20150290771A1 (en) * 2012-03-27 2015-10-15 Yundong Li Abrasive article and method for making the same
JP2016223920A (ja) * 2015-05-29 2016-12-28 株式会社パルメソ 強度確知評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7335786B2 (ja) 2023-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6715006B2 (ja) 精密に成形された構造部を有する研磨物品及びその作製方法
JP6155384B2 (ja) 特定の形状を有する研磨粒子およびこのような粒子の形成方法
US20080271384A1 (en) Conditioning tools and techniques for chemical mechanical planarization
TWI660816B (zh) 具有精確成型特徵之硏磨元件,由彼等製得之硏磨物件,及彼等之製造方法
KR101291528B1 (ko) 내식성 cmp 컨디셔닝 공구, 그리고 그 제조 및 사용 방법
KR102089382B1 (ko) 정밀하게 형상화된 특징부를 갖는 연마 요소 전구체 및 그의 제조 방법
KR20190049783A (ko) 개방형 코트 연마 물품 및 연마 방법
KR101268287B1 (ko) Cmp 패드를 컨디셔닝하기 위한 편평하고 일관된 표면 형태를 가지는 연마 공구 및 그 제조 방법
US11389929B2 (en) Method for surface treatment of workpiece made from hard-brittle material
KR101783406B1 (ko) 연마 패드 및 이의 제조방법
KR20090078647A (ko) Cmp 패드용 컨디셔너
KR20130010432A (ko) Cmp 패드 컨디셔너
JP2004001152A (ja) ドレッサ、ドレッシング方法、研磨装置、及び研磨方法
JP2021079458A (ja) 超砥粒単層ビトリファイド工具
KR100668161B1 (ko) 연마용 워크피스 홀더 및 그 제조방법, 워크피스의 연마방법 및 연마장치
WO2000047368A1 (fr) Disque de maintien de piece pour polissage, appareil de maintien de piece et procede de polissage de piece
JP2001239461A (ja) ドレッシング工具およびその製造方法
JPH10138120A (ja) ドレッシング用治具
Babu et al. Experimental study on abrasive jet drilling on glass
JP2022519889A (ja) 精密に成形された特徴部を有する研磨要素、同研磨要素から製造された研磨物品、及び同研磨物品の製造方法
JP4231262B2 (ja) 研磨シートの製造方法
CN106903622A (zh) 一种湿式皮革轮及其制备方法
Ho et al. Novel method to remove tall diamond grits and improve diamond disk performance
JP2003159653A (ja) アモルファス表面層を有する研削材及びその製造方法
KR20120101777A (ko) 경면가공용 절삭팁, 상기 절삭팁 제조방법, 및 상기 절삭팁을 포함하는 경면가공용 연마공구

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221012

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230731

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7335786

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150