JP2021075681A - 顔料捺染用水性樹脂分散体及び顔料捺染用水性樹脂分散体を含有する顔料捺染用糊 - Google Patents

顔料捺染用水性樹脂分散体及び顔料捺染用水性樹脂分散体を含有する顔料捺染用糊 Download PDF

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康馬 松井
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Abstract

【課題】塩素を含まず、摩擦堅牢性に優れる顔料捺染用糊を提供することを目的とする。【解決手段】水とポリウレタン樹脂(U)とを含有してなる顔料捺染用水性樹脂分散体であって、前記ポリウレタン樹脂(U)が、活性水素基含有化合物(W)とイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂であり、前記活性水素基含有化合物(W)が高分子ポリオール(A)を含み、前記高分子ポリオール(A)が水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含み、前記水酸基含有ポリオレフィン(A1)の構成単量体であるエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]が5/95〜65/35であり、水酸基含有ポリオレフィン(A1)のα−オレイン部分のアイソタクティシティーが1〜50%であり、インクジェット捺染用水性樹脂分散体を除く顔料捺染用水性樹脂分散体。【選択図】なし

Description

本発明は、顔料捺染用水性樹脂分散体及び顔料捺染用水性樹脂分散体を含有する顔料捺染用糊に関する。
水性ポリウレタン樹脂は従来、塗料、接着剤、繊維加工処理剤、紙処理剤及びインキ等に使用されてきた。塗装基材は鉄、木材、繊維、PETフィルム、オレフィン系樹脂基材等多岐に及ぶが、昨今はコスト面及び再利用性の観点から特にPP(ポリプロピレン)等オレフィン系樹脂基材の採用が増えてきている。
またオレフィン系樹脂基材はその分子内に極性基を有さず化学的に不活性であるため、塗装されにくく、接着が困難であるといった課題がある。
オレフィン系基材に対する密着性向上のため、塩素化ポリオールを使用した水性ポリウレタン樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平06−172637号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物は塩素を含有しており、環境問題の観点から非塩素系の材料が求められていた。本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体は、塩素を含まず、密着性及び摩擦堅牢性に優れる顔料捺染用糊を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、水とポリウレタン樹脂(U)とを含有してなる顔料捺染用水性樹脂分散体であって、前記ポリウレタン樹脂(U)が、活性水素基含有化合物(W)とイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂であり、前記活性水素基含有化合物(W)が高分子ポリオール(A)を含み、前記高分子ポリオール(A)が水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含み、前記水酸基含有ポリオレフィン(A1)の構成単量体であるエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]が5/95〜65/35であり、水酸基含有ポリオレフィン(A1)のα−オレイン部分のアイソタクティシティーが1〜50%であり、インクジェット捺染用水性樹脂分散体を除く顔料捺染用水性樹脂分散体である。
本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体を含有する顔料捺染用糊は、複数種の基材(特にオレフィン系基材)に対して塗膜の基材密着性及び摩擦堅牢性に優れる。
<ポリウレタン樹脂(U)>
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、前記活性水素基含有化合物(W)とイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂である。なお、(U)には、ウレア基を有していてもよく、その場合、(U)は、ポリウレタンウレア樹脂である。
前記活性水素基含有化合物(W)は高分子ポリオール(A)を含む。
前記高分子ポリオール(A)は水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含むポリオールである。
<水酸基含有ポリオレフィン(A1)>
本発明における水酸基含有ポリオレフィン(A1)は、例えば、後述の炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A01)が不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)で変性された酸変性ポリオレフィン(X)と、アミノアルコール(G)とを反応させて得ることができ、また、酸変性ポリオレフィン(X)とアルキレンオキサイド(以下AOと略記)とを反応させて得ることができる。
前記ポリオレフィン(A01)は、エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)とを構成単量体として含む。
前記α−オレフィン(炭素数3〜8)は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、前記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンが挙げられる。
なお、α−オレフィンは2種又はそれ以上を併用してもよいが、1種が好ましい。
上記α−オレフィンのうち、ポリオレフィン系基材との密着性の観点から、好ましくは直鎖のα−オレフィン(炭素数3〜8)であり、更に好ましくは直鎖のα−オレフィン(炭素数3〜6)であり、特に好ましいのはプロピレンである。
ポリオレフィン(A01)の構成単量体であるエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]は、5/95〜65/35であり、好ましくは10/90〜60/40、更に好ましくは15/85〜40/60である。
ポリオレフィン(A01)のエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの重量比はそのまま水酸基含有ポリオレフィン(A1)のエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの重量比に反映されるので、重量比[エチレン/α−オレフィン]が、5/95未満の場合、貯蔵安定性に劣り、65/35を超えると基材密着性に劣る。
上記重量比[エチレン/α−オレフィン]は、例えば、H−MNRにより算出できる。また、ポリオレフィン(A01)のエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの重量比は、後述する原料となる高分子量ポリオレフィン(A00)のエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの重量比により調整することができる。
前記(A01)には、エチレン、α−オレフィン(炭素数3〜8)以外にその他の単量体を構成単量体としてもよい。その場合、(A01)を構成する全単量体の重量に基づいて、その他の単量体の重量は、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
上記その他の単量体としては、例えば、2−ブテン、イソブテン、炭素数[Cと略記することがある]9〜30のα−オレフィン(1−デセン、1−ドデセン等)、C4〜30の不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル)が挙げられる。
ポリオレフィン(A01)の数平均分子量(Mn)は、基材密着性及び貯蔵安定性の観点から、好ましくは800〜5,800であり、更に好ましくは900〜4,800、特に好ましくは1,000〜3,800である。
本発明におけるGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)による水酸基含有ポリオレフィン(A1)、ポリオレフィン(A01)、後記する高分子量ポリオレフィン(A00)及びポリウレタン樹脂のMn、重量平均分子量(Mw)の測定条件は以下のとおりである。
装置 :高温ゲルパーミエイションクロマトグラフ
[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製]
検出装置 :屈折率検出器
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列
[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
カラム温度 :135℃
ポリオレフィン(A01)の炭素数1000個当たりの二重結合数[(A01)の分子末端及び/又は分子鎖中の炭素−炭素の二重結合数]は、後述の(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)との反応性及び生産性の観点から、好ましくは1〜30個であり、更に好ましくは1.5〜20個、特に好ましくは2〜15個である。
ここにおいて、該二重結合数は、(A01)のH−NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから求めることができる。すなわち、該スペクトル中のピークを帰属し、(A01)の4.5〜6ppmにおける二重結合由来の積分値及び(A01)由来の積分値から、(A01)の二重結合数と(A01)の炭素数の相対値を求め、(A01)の炭素1,000個当たりの該分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数を算出する。後述の実施例における二重結合数は該方法に従った。
ポリオレフィン(A01)のα−オレフィン単位連鎖部分のアイソタクティシティーは、密着性及び貯蔵安定性の観点から、好ましくは1〜50%であり、更に好ましくは5〜45%である。
なお、ポリオレフィン(A01)のα−オレフィン単位連鎖部分のアイソタクティシティーは、後述の酸変性ポリオレフィン(X)及び水酸基変性ポリオレフィン(A1)のα−オレフィン単位連鎖部分のアイソタクティシティーに、そのまま反映される傾向がある。また、ポリオレフィン(A01)のα−オレフィン単位連鎖部分のアイソタクティシティーは、後述の原料となるポリオレフィン(A00)のα−オレフィン単位連鎖部分のアイソタクティシティーが反映される傾向にあるので、用いる原料のポリオレフィン(A00)により調整することができる。
上記アイソタクティシティーは、例えば、13C−NMR(核磁気共鳴分光法)を用いて算出することができる。一般的に、側鎖メチル基は両隣(三連子、トリアッド)、その三連子の両隣隣(五連子、ペンタッド)、更にその五連子の両隣(七連子、ヘプタッド)程度までのメチル基との立体配置(メソ又はラセモ)の影響を受け、異なる化学シフトにピークが観測されることが知られており、立体規則性の評価はペンタッドについて行うことが一般的であり、本発明におけるアイソタクティシティーも、ペンタッドの評価に基づいて算出することができる。
即ち、α−オレフィンがプロピレンの場合、13C−NMRで得られるプロピレン中の側鎖メチル基由来の炭素ピークについて、ペンタッド各ピーク(H)、ペンタッドがメソ構造のみで形成されるアイソタクティックのプロピレン中のメチル基由来のピーク(Ha)とした場合、アイソタクティシティ−は、以下の式で算出される。
アイソタクティシティー(%)=[(Ha)/Σ(H)]×100 (1)
但し、式中、Haはアイソタクチック(ペンタッドがメソ構造のみで形成される)の信号のピーク高さ、Hはペンタッドの各ピーク高さである。
なお、(A01)、(X)のα−オレフィン単位連鎖部分のアイソタクティシティーについても上記同様に測定できる。
ポリオレフィン(A01)の製造方法は、例えば、高分子量(好ましくはMnが60,000〜400,000、更に好ましくはMnが80,000〜250,000)ポリオレフィン(A00)を熱減成する方法が挙げられる。
熱減成法には、前記高分子量ポリオレフィン(A00)を(1)有機過酸化物不存在下、例えば300〜450℃で0.5〜10時間、熱減成する方法、及び(2)有機過酸化物[例えば2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン]存在下、例えば180〜300℃で0.5〜10時間、熱減成する方法等が含まれる。
これらのうち工業的な観点及び改質特性の観点から、好ましいのは分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数のより多いものが得やすい(1)の方法である。
上記(A01)を構成する単量体であるエチレンとα−オレフィンとの重量比[エチレン/α−オレフィン]は、高分子量ポリオレフィン(A00)の重量比[エチレン/α−オレフィン]が、そのまま維持される傾向がある。
また、熱減成温度が高い、熱減成時間が長いほど、炭素数1000個当たりの二重結合数は、大となる傾向がある。
更に、(A00)のMnが小さい、熱減成温度が高い、熱減成時間が長いほど、(A)のMnは小となる傾向がある。
また、(A00)のアイソタクティシティーが大であるほど、(A01)のアイソタクティシティーが大である傾向がある。
前記不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)としては、重合性不飽和基を1個有する炭素数[以下、Cと略記することがある]3〜30の(ポリ)カルボン酸(無水物)が含まれる。
なお、本発明において不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ポリカルボン酸及び/又は不飽和ポリカルボン酸無水物を意味する。
該(E)のうち、不飽和モノカルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸(C3〜24、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸)、脂環含有モノカルボン酸(C6〜24、例えばシクロヘキセンカルボン酸);不飽和ポリ(2〜3又はそれ以上)カルボン酸(無水物)としては、不飽和ジカルボン酸(無水物)[脂肪族ジカルボン酸(無水物)(C4〜24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びこれらの無水物)、脂環含有ジカルボン酸(無水物)(C8〜24、例えばシクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、及びこれらの無水物)等]等が挙げられる。(E)は1種単独でも、2種以上併用してもいずれでもよい。
上記(E)のうち、ポリオレフィン(A01)との反応性、貯蔵安定性、機械的強度の点から好ましいのは、不飽和ジカルボン酸無水物、更に好ましいのは無水マレイン酸である。
<酸変性ポリオレフィン(X)>
本発明における酸変性ポリオレフィン(X)は、前記炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A01)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)とを構成単位として含む。好ましくは、前記ポリオレフィン(A01)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)とを、ラジカル開始剤の不存在下又は存在下で反応させてなる。
(A01)と(E)との重量比[(A01)/(E)]は、基材密着性及び貯蔵安定性のバランスの観点から、好ましくは80/20〜99.5/0.5、更に好ましくは90/10〜99/1で反応させてなる。
酸変性ポリオレフィン(X)は、好ましくは、ラジカル開始剤(F)の存在下で、前記ポリオレフィン(A01)及び不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)に、必要により適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(ジ−、トリ−、及びテトラクロロエタン、ジクロロブタン等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジ−t−ブチルケトン等)、エーテル(エチル−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジオキサン等)]を加え反応させて製造することができる。
なお、上記ラジカル開始剤(F)は、公知のもの、例えば、アゾ開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物開始剤(ジクミルパーオキサイド等)が挙げられる。
上記(F)のうち、過酸化物開始剤が好ましい。
反応温度は(A01)、(E)の反応性及び生産性の観点から好ましくは100〜270℃、更に好ましくは120〜250℃、特に好ましくは130〜240℃である。
酸変性ポリオレフィン(X)の酸価は、基材密着性の観点から、1〜130mgKOH/gが好ましく、更に好ましくは3〜75mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜50mgKOH/gである。ここにおける酸価はJIS K0070:1992に準じて以下の(i)〜(iii)の手順で測定される値である。
(i)100℃に温度調整したキシレン100gに(X)1gを溶解させる。
(ii)同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬(株)製]で滴定を行う。
(iii)滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(単位:mgKOH/g)を算出する。
なお、上記測定では1個の酸無水物基は1個のカルボキシル基と等価になる結果が得られる。
また、上記酸価は、(A01)の有する二重結合数、(A01)の重量、(E)の種類、(E)の重量で適宜、調整可能である。
酸変性ポリオレフィン(X)のMnは、溶剤溶解性及び基材密着性の観点から、好ましくは900〜5,900であり、更に好ましくは900〜5,000、特に好ましくは900〜4,000である。
酸変性ポリオレフィン(X)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、溶剤溶解性、基材密着性の観点から、1〜50%が好ましく、更に好ましくは5〜45%、特に好ましくは10〜40%である。
本発明における水酸基変性ポリオレフィン(A1)としては、酸変性ポリオレフィン(X)とアミノアルコール(G)との反応生成物及び酸変性ポリオレフィン(X)とAOとの反応生成物等が挙げられる。
アミノアルコール(G)としては、炭素数が2〜12の直鎖アルカノールアミン、シクロアルカノールアミン及びアルキルアルカノールアミン(例えば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、ジエタノールアミン、ジ−n−又はイソプロパノールアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、メチルエタノールアミン及びエチルエタノールアミン)等が挙げられ、基材密着性の観点から、好ましいのは2−アミノエタノールである。
AOとしては、炭素数が2〜12のAO(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、スチレンオキサイド及びα−オレフィンオキサイド等)等が挙げられ、基材密着性の観点から、好ましくは炭素数が2〜4のものであり、更に好ましいのはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドである。AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
AOの付加モル数は(X)のカルボキシ基1個当たり、基材密着性の観点から、好ましくは1〜10モル又はそれ以上、更に好ましくは1〜5モル、特に好ましくは1モルである。
アミノアルコール(G)による(X)の変性は公知の方法、例えば、(X)のカルボキシル基(無水物の場合は、カルボニル基)に対して過剰(例えば1.1〜2倍モル又はそれ以上)のアミノアルコールを加えて反応させた後、未反応のアミノアルコールを蒸留法等の方法で除去する方法が挙げられる。反応は有機溶剤の存在下又は不存在下に行うことができる。反応温度は反応速度及び反応の安定性の観点から、好ましくは100〜220℃、更に好ましくは120〜200℃である。
AOによる(X)の変性は、公知の方法で行われる。例えば、AOを開環付加重合させる際の反応温度は、反応速度及び反応の安定性の観点から、好ましくは40〜200℃であり、更に好ましくは70〜160℃である。反応圧力は好ましくは−0.1〜0.5MPaである。反応は、必要により触媒の存在下に行われる。
水酸基変性ポリオレフィン(A1)の構成単量体であるエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]は、5/95〜65/35であり、好ましくは10/90〜60/40、更に好ましくは15/85〜40/60である。
重量比[エチレン/α−オレフィン]が、5/95未満の場合、貯蔵安定性に劣り、65/35を超えると基材密着性に劣る。
水酸基変性ポリオレフィン(A1)の構成単量体であるエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの重量比は、(A00)に用いるエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの比率により、適宜、調整可能である。
水酸基含有ポリオレフィン(A1)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、1〜50%であり、好ましくは5〜45%である。(A1)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーが1%未満であると基材密着性が劣り、50%を超えると溶剤溶解性が劣る。
上記水酸基含有ポリオレフィン(A1)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、(A01)のアイソタクティシティーにより、適宜、調整可能である。
水酸基含有ポリオレフィン(A1)のMnは、500以上であることが好ましく、基材密着性及び貯蔵安定性の観点から、好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは1,100〜7,500、特に好ましくは1,400〜5,500である。
(A1)のMnは、(A01)のMn、(E)の種類及び使用量並びに(A01)と(E)との反応の制御により、適宜、調整可能である。
水酸基含有ポリオレフィン(A1)の水酸基価(mgKOH/g)は、基材密着性の観点から、好ましくは12〜120、更に好ましくは15〜110、特に好ましくは20〜80である。
(A1)の水酸基価は、(A01)が有する二重結合数、(A01)の使用量、(E)の種類及び使用量並びに(G)又はAOの種類及び使用量で適宜、調整可能である。
(A1)の酸価(mgKOH/g)は、耐膨潤性の観点から好ましくは0〜50、更に好ましくは0〜30である。 なお、(A1)の水酸基価及び酸価は、JIS K0070−1992に準拠して測定される値である。
本発明において、水酸基変性ポリオレフィン(A1)1分子当りの水酸基の数は、基材密着性の観点から、1.5〜2.0個が好ましく、さらに好ましくは1.6〜2.0個である。なお、水酸基変性ポリオレフィン(A1)1分子当りの水酸基の数は、下記数式(1)により算出することができる。
1分子当りの水酸基の数=MnA1×OHV/56100 (1)
MnA1:(A1)のMn
OHV:(A1)の水酸基価(mgKOH/g)
ポリウレタン樹脂(U)が水酸基変性ポリオレフィン(A1)を複数種類用いたものである場合、ポリウレタン樹脂(U)を構成する全ての水酸基変性ポリオレフィン(A1)の水酸基数の重量平均値は、ポリウレタン樹脂(U)の基材密着性の観点から、1.5〜2.0個が好ましく、さらに好ましくは1.6〜2.0個である。
水酸基含有ポリオレフィン(A1)以外の高分子ポリオール(A)として、縮合型ポリエステルポリオール(A2)、ポリラクトンポリオール(A3)、ポリカーボネートポリオール(A4)、ポリエーテルポリオール(A5)及びポリアクリルポリオール(A6)の内の1種以上を併用することができる。(A)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記(A2)〜(A6)を高分子ポリオール(A2)〜高分子ポリオール(A6)とも記載する。
水酸基含有ポリオレフィン(A1)以外の高分子ポリオール(A)のMnは、基材密着性の観点から好ましくは500以上であり、更に好ましくは500〜5000であり、特に好ましくは1000〜4000である。
縮合型ポリエステルポリオール(A2)としては、Mnが500未満のジオールとテレフタル酸以外のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級(炭素数1〜4)アルキルエステル及び酸ハライド等]との縮合により得られるもの等が挙げられる。
Mnが500未満のジオールとしては、炭素数2〜8の脂肪族2価アルコール[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等)及び分岐アルキル鎖を有するジオール(1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール等)等];炭素数6〜10の脂環基含有2価アルコール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜20の芳香環含有2価アルコール[m−又はp−キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン];ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)のAO付加物、ジヒドロキシナフタレンのAO付加物及びビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート等]等が挙げられる。Mnが500未満のジオールは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2〜15の脂肪族ジカルボン酸[シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸及びフマル酸等]、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸、フタル酸及びイソフタル酸等]及びこれらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル及びジエチルエステル等)、酸ハライド(酸クロライド等)等]等が挙げられる。ジカルボン酸は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
縮合型ポリエステルポリオール(A2)の具体例としては、例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール及びポリブチレンセバケートジオール等が挙げられる。(A2)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリラクトンポリオール(A3)としては、前記Mnが500未満のジオールを開始剤としてラクトンモノマー(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の混合物等)を開環重合したもの等が挙げられる。ポリラクトンポリオール(A3)の具体例としては、ポリブチロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。(A3)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオール(A4)としては、前記Mnが500未満のジオールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオール等が挙げられる。(A4)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオール(A4)の具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(A5)としては、前記Mnが500未満のジオールへの前記炭素数2〜12のAO付加物等が挙げられ、AOは1種を単独で用いても2種以上をブロック共重合又はランダム共重合してもよい。
ポリエーテルポリオール(A5)の内で、再溶解性の観点から好ましいのは分岐アルキル鎖を有するもの、即ち原料としてMnが500未満のジオールの内の分岐アルキル鎖を有するジオールを用いたものやAO付加物におけるAOとして1,2−プロピレンオキサイド、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及び3−メチルテトラヒドロフラン等を用いたもの等であり、更に好ましいのは分岐アルキルを有する2価アルコールの脂肪族ポリエーテルジオール、特に好ましいのはポリオキシプロピレングリコールである。(A5)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリ(メタ)アクリルポリオール(A6)としては、特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合物や共重合物が挙げられる。
前記(メタ)アクリルポリオールは、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの他に、重合性不飽和結合を有する化合物を共重合させて得ることもできる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は「メタクリル及び/又はアクリル」を意味する。
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリロイル基を1つ有するものが含まれ、例えば、炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を有するもの{例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル}、3価のアルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル化物{例えば、グリセリンの(メタ)アクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸モノエステル等}等が挙げられる。
前記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を1つ有する化合物が含まれ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の炭素数4〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の炭素数3〜50の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の炭素数3〜50の不飽和アミド;スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルや前記重合性不飽和結合を有する化合物の重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合などが挙げられる。前記乳化重合は段階的に重合を行うこともできる。
市販されている前記ポリアクリルポリオールの具体的例としては、例えば、東亞合成社製「ARUFON UH−2000、UH−2041、UH−2190、UHE−2012」、綜研化学社製「アクトフロー UT−1001、UMM−1001」等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルポリオール(A6)の内で、水酸基含有ポリオレフィン(A1)との相溶性の観点から好ましくは前記重合性不飽和結合を有する化合物として(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル及び(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種を使用したポリアクリルポリオールであり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸−n−ブチル及び/又は(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルを使用したポリアクリルジオールである。(A6)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
水酸基含有ポリオレフィン(A1)に、縮合型ポリエステルポリオール(A2)、ポリラクトンポリオール(A3)、ポリカーボネートポリオール(A4)、ポリエーテルポリオール(A5)及び/又はポリ(メタ)アクリルポリオール(A6)を併用する場合、水酸基含有ポリオレフィン(A1)の重量と、縮合型ポリエステルポリオール(A2)、ポリラクトンポリオール(A3)、ポリカーボネートポリオール(A4)、ポリエーテルポリオール(A5)及びポリ(メタ)アクリルポリオール(A6)の合計重量の比が、基材密着性の観点から、好ましくは100:0〜30:70であり、更に好ましくは100:0〜50:50である。
本発明における前記水酸基含有ポリオレフィン(A1)以外の高分子ポリオール(A)の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel
SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
<イソシアネート成分(B)>
本発明におけるイソシアネート成分(B)としては、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数6〜20(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様)の芳香族ポリイソシアネート(B1)、炭素数2〜18の脂肪族イソシアネート成分(B2)、炭素数4〜15の脂環式イソシアネート成分(B3)、炭素数8〜15の芳香脂肪族イソシアネート成分(B4)及び(B1)〜(B4)の変性物(B5)等が挙げられる。イソシアネート成分(B)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数6〜20の芳香族イソシアネート成分(B1)としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート及びクルードMDI等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族イソシアネート成分(B2)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
炭素数4〜15の脂環式イソシアネート成分(B3)としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8〜15の芳香脂肪族イソシアネート成分(B4)としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
(B1)〜(B4)の変性物(B5)としては、ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基を有する(B1)〜(B4)の変性物等が挙げられる。
イソシアネート成分(B)のうち、機械的強度及び耐候性の観点から好ましいのは炭素数2〜18の脂肪族イソシアネート成分(B2)及び炭素数4〜15の脂環式イソシアネート成分(B3)、更に好ましいのは(B3)、特に好ましいのはIPDI及び水添MDIである。
前記活性水素基含有化合物(W)は高分子ポリオール(A)以外に、必要により鎖伸長剤(C)を含んでもよい。
<Mn又は化学式量が500未満の鎖伸長剤(C)>
ポリウレタン樹脂(U)は、活性水素基含有化合物(W)として高分子ポリオール(A)とイソシアネート成分(B)とを反応させるだけでなく、更に鎖伸長剤(C)と反応させてもよい。つまり、活性水素基含有化合物(W)としては高分子ポリオール(A)以外に鎖伸長剤(C)を含んでもよい。
鎖伸長剤(C)としては、イオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)、Mn又は化学式量が500未満の多価アルコール(c2)、ポリアルキレンポリアミン(c3)、ヒドラジン又はその誘導体(c4)、炭素数2〜10のアミノアルコール(c5)、炭素数2〜30のポリエポキシ化合物(c6)及び水等が挙げられる。
イオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)はポリウレタン樹脂(U)にイオン性極性基を導入するためにも使用される。
鎖伸長剤(C)としては、(c1)〜(c6)のうち1種を単独で用いてもよく、任意の組み合わせで使用してもよい。
<イオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)>
前記イオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)としては、アニオン性基と活性水素原子とを含有する化合物(c11)及びカチオン性基と活性水素原子とを含有する化合物(c12)が挙げられる。(c1)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(c11)におけるアニオン性基とは、酸基及び中和された酸アニオン基を意味する。(c11)としては、例えばアニオン性基としてカルボキシル基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸)、酒石酸及びアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン)等]、アニオン性基としてスルホン酸基を含有し、炭素数が2〜16の化合物[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸及びスルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル等]、アニオン性基としてスルファミン酸基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(c11)の塩に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1〜20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
炭素数1〜20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミン等が挙げられる。
(c11)の塩に用いられる中和剤の添加量としては、生成する水性樹脂分散体の乾燥性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、25℃における蒸気圧が高い化合物が好適である。このような観点から、(c11)の塩に用いられる中和剤としては、アンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンが好ましい。
(c11)の添加量としては、耐水性と水性樹脂分散体の分散安定性の観点から、ポリウレタン樹脂(U)が有する酸性基量に対し、中和率が50〜200%であることが好ましく、更に好ましくは60〜150%である。
(c11)の内、得られる塗膜の樹脂物性及び水性樹脂分散体の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸並びにこれらの塩類であり、更に好ましいのは2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミン化合物による中和塩である。
カチオン性基と活性水素原子とを含有する化合物(c12)におけるカチオン性基とは、3級アミノ基にプロトンが付加した基、未中和の3級アミノ基及び4級アンモニウム基を意味する。
(c12)としては、例えばカチオン性基として3級アミノ基を有し、活性水素原子として水酸基を有する化合物、炭素数3〜20の3級アミノ基含有ジオール[N−アルキルジアルカノールアミン(例えばN−メチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミン)及びN,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N−ジメチルエタノールアミン)等]等の化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(c12)に用いられる中和剤としては、例えば炭素数1〜10のモノカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロパン酸等)、炭酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
(c11)及び(c12)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加してもよいが、ウレタン樹脂の安定性及び水性樹脂分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。また、脱溶剤時に揮発した中和剤を脱溶剤後に追添加してもよく、追添加する中和剤種は上記のものから自由に選択することができる。
前記Mn又は化学式量が500未満の多価アルコール(c2)としては、炭素数2〜20の2価アルコール[脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−又は1,10−デカンジオール及び1,2−又は1,12−ドデカンジオール等)、脂環式ジオール(1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)、芳香脂肪族ジオール{1−フェニルエタン−1,2−ジオール及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等}、エーテル基含有ジオール{3−ブトキシ−1,2−プロパンジオール、3−(2−エチルヘキソキシ)−1,2−プロパンジオール、3−フェノキシ−1,2−プロパンジオール及び3−(p−tert―ブチルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール等}及びハロゲン基含有ジオール(3−クロロ−1,2−プロパンジオール等)等]、炭素数3〜20の3価アルコール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等]及び炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等)及び糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)]等が挙げられる。
前記ポリアルキレンポリアミン(c3)としては、炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミン等)、炭素数6〜20の脂環式ポリアミン(ジアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数2〜20の芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等)、炭素数2〜20の複素環式ポリアミン(ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等)等が挙げられる。
前記ヒドラジン又はその誘導体(c4)としては、ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジド及びアジピン酸ジヒドラジド等)等が挙げられる。
前記炭素数2〜10のアミノアルコール(c5)としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
前記炭素数2〜30のポリエポキシ化合物(c6)としては、前記炭素数2〜4のAO、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−tert―ブチルフェニルグリシジルエーテル、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記炭素数2〜30のポリエポキシ化合物(c6)は、イオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)がカルボキシル基を有する場合に鎖伸長剤として用いられ、エポキシ基がカルボキシル基と反応することにより、伸長反応が進行する。
鎖伸長剤(C)のうち、基材密着性の観点から好ましくはイオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)、多価アルコール(c2)、水、ポリアルキレンポリアミン(c3)、アミノアルコール(c5)であり、更に好ましくはイオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)、2価アルコール、3価アルコール、水、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン及びアミノアルコール(c5)である。
(c1)の使用量は、(U)中のイオン性極性基の含有量が、(U)の重量を基準として、好ましくは0.5〜5.0重量%、更に好ましくは0.5〜4.8重量%、特に好ましくは0.5〜4.5重量%となるよう調節する。
本発明におけるイオン性極性基の含有量とは、未中和のカチオン性基又はアニオン性基の重量%を意味し、対イオンの重量は含まない。例えば、(c11)におけるイオン性極性基の含有量は、2,2−ジメチロールプロピオン酸のトリエチルアミン塩の場合は、カルボキシ基(−COOH)の重量%を、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸のトリエチルアミン塩の場合はスルホ基(−SOH)の重量%を意味する。また、(c12)におけるイオン性極性基の含有量は、3級アミノ基中の窒素原子のみの重量%を意味する。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)には、必要により活性水素基含有化合物(W)として反応停止剤を使用することができる。
反応停止剤としては、炭素数1〜8のモノアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ及びカルビトール等)及び炭素数1〜10のモノアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。反応停止剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の使用量は(U)の重量を基準として基材密着性の観点から、添加剤の効果発現できる範囲で、できるだけ少ない量とすることが好ましく、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)中のウレタン基含量は得られる塗膜の基材密着性の観点から0.5〜3.0mmol/gが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5mmol/g、特に好ましくは0.9〜2.0mmol/gである。
水酸基含有ポリオレフィン(A1)及び必要により使用する前記(A2)〜(A6)を含む高分子ポリオール(A)、イソシアネート成分(B)、必要により鎖伸長剤(C)を適宜調整することにより、ポリウレタン樹脂(U)のウレタン基含量を所望の範囲とすることができる。
ウレタン基含量は、窒素分析計によって定量されるN原子含量とH−NMRによって
定量されるウレタン基とウレア基の比率及びアロハネート基及びビューレット基含量から算出される。
ポリウレタン樹脂(U)中のウレア基含量は、基材密着性の観点から、(U)の重量を基準として1.5mmol/g以下であることが好ましく、更に好ましくは1.2mmol/g以下、特に好ましくは1.0mmol/g以下、最も好ましくは0.8mmol/g以下である。
ポリウレタン樹脂(U)中のウレア基含量を所望の範囲とするには、(U)の原料中のアミノ基含量、水分含量及びイソシアネート基含量を適宜調整すればよい。
ウレア基含量は窒素分析計によって定量されるN原子含量とH−NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及びアロハネート基及びビューレット基含量から算出される。
<顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)>
本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)は、水と、前記ポリウレタン樹脂(U)とを含有してなる。
前記顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)は、例えば、以下の方法により製造できる。
(1)水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含む高分子ポリオール(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含む末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー(P)の溶液(例えば、後述の溶剤溶液)を作成する。
次に、水、必要により、溶剤、鎖伸長剤(C)、中和剤を仕込み、転相乳化し、更に必要により、溶剤を留去して、顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)を得る。
(2)水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含む高分子ポリオール(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含む末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー(P)の溶液(例えば、後述の有機溶剤溶液)を作成する。
次に、水、必要により、溶剤、中和剤、鎖伸長剤(C)との混合物を仕込み、公知の分散機により分散し、更に必要により、溶剤を留去して、顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)を得る。
(3)水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含む高分子ポリオール(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含む末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー(P)の溶液(例えば、後述の溶剤溶液)を作成する。
次に、上記(P)の溶液と水とを含む混合物を、公知の分散機により分散した後、必要により、中和剤、反応停止剤を加えて、更に必要により、溶剤を留去して、顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)を得る。
(4)水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含む高分子ポリオール(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含むポリウレタン樹脂(U)の溶剤溶液を作成する。
次に、水を加えて、例えば、分散機により分散し、必要により、溶剤を留去して、顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)を得る。
また、上記顔料捺染用水性樹脂分散体を得る工程において、ポリウレタンプレポリマー(P)、溶剤、中和剤、鎖伸長剤(C)、水、反応停止剤以外に、必要により、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を用いてもよい。
上記溶剤としては、ケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤[例えば酢酸エチル及びニ塩基酸エステル(DBE)]、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等の有機溶剤が挙げられる。
また、(Q)中に、上記溶剤を含有していてもよい。
顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の含有量)は、水性樹脂分散体の取り扱い易さの観点から、好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。固形分濃度は、水性樹脂分散体(Q)約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
また、顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)の25℃における粘度は、ハンドリング性の観点から、好ましくは10〜100,000mPa・s、更に好ましくは10〜5,000mPa・sである。粘度はBL型粘度計を用いて、25℃の定温下で測定することができる。
顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)のpHは、配合安定性の観点から、好ましくは2〜12、更に好ましくは4〜10である。pHは、pH Meter M−12[(株)堀場製作所製]で25℃で測定することができる。
本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)における(U)の粒子の体積平均粒子径(Dv)は、分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜1μm、更に好ましくは0.02〜0.7μm、特に好ましくは0.03〜0.4μmである。(Dv)が0.01μm以上であると粘度が適正でありハンドリング性が良好であり、1μm以下であると分散安定性が良好である。
上記体積平均粒子径(Dv)は、(U)中のイオン性極性基量及び分散工程で使用する分散機の種類及び運転条件によって制御できる。
本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)は、とりわけ顔料捺染用糊として好適である。
なお、塗膜は、例えば、基材(プラスチックフィルム等)に塗工して、必要により加熱及び/又は養生して得られる。
<顔料捺染用糊>
本発明の顔料捺染糊は、前記本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)並びに顔料及び/または染料を含有してなる。本発明の顔料捺染用糊において、ポリウレタン樹脂(U)は、バインダーや顔料分散性樹脂等として機能を発揮する。
顔料としては、無機顔料および有機顔料を用いた水性顔料などがあげられる。無機顔料としては、白色顔料、体質顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料などが挙げられ、具体的には「顔料および絵具」[昭和47年6月10日、共立出版(株)発行]第76〜147項記載の顔料などがあげられる。有機顔料としては、体質顔料(アルミナ白、クレー等)、沈殿剤(占領を水に不溶の金属塩類に変えたもの)、天然有機顔料(コチニール・レーキ、マダー・レーキ等)、合成有機顔料(ニトロソ顔料、ニトロ顔料、アゾ顔料等)などが挙げられる。具体的には同出版物第150〜186項記載の顔料などがあげられる。顔料の含有量は、顔料捺染用糊の重量に基づいて好ましくは10〜20重量%、更に好ましくは12〜18重量%以下である。
本発明の顔料捺染糊は、さらに、他の合成樹脂分散体、粘弾性調整剤、レベリング剤、湿潤剤、消泡剤、充填剤、難燃剤、防腐剤、劣化防止剤および安定剤、架橋剤、柔軟撥水剤、無機塩および可塑剤からなる群から選ばれる1種以上の添加材を含有していてもよい。
他の合成樹脂としては、アクリル樹脂、NBR、SBR、EVA、ポリオレフィン樹脂、PVA等が挙げられるが、特に限定されるものではない。粘弾性調整剤としては、増粘剤、たとえば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイトなど)、セルロース系粘度調整剤(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど、Mnは通常20,000以上)、タンパク質系(カゼイン、カゼインソーダ、カゼインアンモニウムなど)、アクリル系(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウムなど、Mnは通常20,000以上)、およびビニル系(ポリビニルアルコールなど、Mnは通常20,000以上)が含まれる。アクリル系、ビニル系が好ましい。
湿潤剤としては、多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリンなど)などが挙げられる。
消泡剤には、長鎖アルコール(オクチルアルコールなど)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレートなど)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、弗素変性シリコーンなど)などが挙げられる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、タルク、セラミックス、樹脂等の微粒子、中空ビーズ等が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、アンチモン系、メラミン系、グアニジン系、グアニル尿素系のものが挙げられる。
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系、有機硫黄ハロゲン化合物系防腐剤などが挙げられる。
劣化防止剤および安定化剤( 紫外線吸収剤、酸化防止剤など)には、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などが挙げられる。
架橋剤としては、前述の架橋剤(C)以外の、エポキシ系、ブロックイソシアネート系、メラミン系、エチレンイミン系、アジリジン系、アルコキシシラン系のもの等が挙げられる。
繊維撥水剤としては、ポリシロキサン、変性シリコーンオイル等のシリコーン化合物、アクリル酸のフロロアルキルエステル系重合体などのフッ素化合物などが挙げられる。
無機塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。可塑剤としてはエチレングリコール、N−メチルピロリドン、ジオクチルフタレートなどの低分子化合物、脂肪族直鎖状ポリエステルなどのエステル基含有高分子、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステルなどのエーテル基含有高分子などが挙げられる。
顔料捺染用糊中の、他の合成樹脂の含有量は、顔料捺染用糊中の水および有機溶剤以外の成分の重量にもとづいて、好ましくは0〜40%、さらに好ましくは0〜20%である。
本発明の顔料捺染用糊が使用される繊維基材としては特に限定されるものではないが、例えば、木綿、ウールなどに代表される天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等の素材に代表されるような合成繊維が挙げられる。
本発明の顔料捺染用糊を繊維基材に付与する方法としては、インクジェットを除くものであり、それ以外は特に限定されるものではないが,例えば浸せき塗工、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、ハイドロバーコーター、トランスファロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレコーター、ロールコーター、スクリーンコーターなどが挙げられ、基体の一部、もしくは全面に塗工することができる。
塗工された後の乾燥条件は、室温、もしくは25〜160℃の温度で5分〜1日間である。
本発明の顔料捺染用糊は特にポリプロピレン系合成繊維への密着性に優れ、且つその他基材への密着性にも優れるという特徴を有し、その結果各種繊維基体への摩擦堅牢性に優れるといった特徴を有する。
本発明の顔料捺染用糊を使用して捺染された繊維製品は、衣料用、靴用、鞄用、家具用、自動車内装用、産業用資材用などとして有用である。
本発明における水性樹脂分散体(Q)は、各種繊維基材への密着性に優れるので、顔料捺染用糊以外の、ウールの防縮剤、ピリング防止剤、面ファスナー用バインダー、不織布バインダー、その他繊維用補強剤、風合い調整剤などとしても使用可能である。
以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<製造例1>
反応容器に、プロピレン91重量%、エチレン9重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A00−1)[Mn:113,000、アイソタクティシティー:50%、商品名「Vistamaxx3980」、Exxonmobil社製]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら370℃で85分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A01−1)を得た。
反応容器に、得られたポリオレフィン(A01−1)100重量部、無水マレイン酸(E−1)6.5重量部(後記する留去分をあらかじめ差し引いた重量部で記載。以下の製造例でも同様。)を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](F−1)0.5重量部をキシレン5重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−1)を得た。
次に、反応容器に、(X−1)100重量部及び2−アミノエタノール(G−1)6.4重量部(後記する留去分をあらかじめ差し引いた重量部で記載。以下の製造例でも同様。)を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。
次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有ポリオレフィン(A1−1)を得た。
なお、(A1−1)の水酸基価は29、酸価は0.2、Mnは3,500、アイソタクティシティーは43%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(A01−1)の炭素1,000個当たりの二重結合数は7.5個であった。
<製造例2>
反応容器に、プロピレン91重量%、エチレン9重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A00−1)[Mn:113,000、アイソタクティシティー:50%、商品名「Vistamaxx3980」、Exxonmobil社製]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら380℃で65分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A01−2)を得た。
反応容器に、得られたポリオレフィン(A01−2)100重量部、無水マレイン酸(E−1)8重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−2)を得た。
次に、反応容器に、(X−2)100重量部及び2−アミノエタノール(G−1)6.4重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。
次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有ポリオレフィン(A1−2)を得た。
なお、(A1−2)の水酸基価は29、酸価は0.1、Mnは3,300、アイソタクティシティーは43%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(A01−2)の炭素1,000個当たりの二重結合数は8.8個であった。
<製造例3>
反応容器に、プロピレン85重量%、エチレン15重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A00−2)[Mn:76,000、アイソタクティシティー:20%、商品名「Vistamaxx6202」、Exxonmobil社製]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら400℃で50分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A01−3)を得た。
反応容器に、得られたポリオレフィン(A01−3)100重量部、無水マレイン酸(E−1)11重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](F−1)3重量部をキシレン10重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−3)を得た。
次に、反応容器に、(X−3)100重量部、2−アミノエタノール(G−1)10重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。
次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有ポリオレフィン(A1−3)を得た。
なお、(A1−3)の水酸基価は46、酸価は0.1、Mnは2,300、アイソタクティシティーは18%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(A01−3)の炭素1,000個当たりの二重結合数は9.5個であった。
<製造例4>
反応容器に、プロピレン85重量%、エチレン15重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A00−2)[Mn:76,000、アイソタクティシティー:20%、商品名「Vistamaxx6202」、Exxonmobil社製]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら400℃で100分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A01−4)を得た。
反応容器に、得られたポリオレフィン(A01−4)100重量部、無水マレイン酸(E−1)23.5重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](F−1)3重量部をキシレン10重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−4)を得た。
次に、反応容器に、(X−4)100重量部、2−アミノエタノール(G−1)27重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。
次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有ポリオレフィン(A1−4)を得た。
なお、(A1−4)の水酸基価は108、酸価は0.2、Mnは1,050、アイソタクティシティーは17%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(A01−4)の炭素1,000個当たりの二重結合数は22.4個であった。
<製造例5>
反応容器に、プロピレン73重量%、エチレン27重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A00−3)[Mn:200,000、アイソタクティシティー:33%、商品名「タフマーS4030」、三井化学社製]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら380℃で80分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A01−5)を得た。
反応容器に、得られたポリオレフィン(A01−5)100重量部、無水マレイン酸(E−1)4.5重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](F−1)0.5重量部をキシレン5重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−5)を得た。
次に、反応容器に、(X−5)100重量部、2−アミノエタノール(G−1)4.6重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。
次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有ポリオレフィン(A1−5)を得た。
なお、(A1−5)の水酸基価は21、酸価は0.2、Mnは4,500、アイソタクティシティーは31%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(A01−5)の炭素1,000個当たりの二重結合数は5.4個であった。
<比較製造例1>
反応容器に、プロピレン98重量%、エチレン2重量%を構成単量体とするポリオレフィン(比A00−1)[Mn:100,000、アイソタクティシティー:90%、商品名「サンアロマーPZA20A」、サンアロマー(株)製]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら400℃で1200分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(比A01−1)を得た。
反応容器に、得られたポリオレフィン(比A01−1)100重量部、無水マレイン酸(E−1)28重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](F−1)3重量部をキシレン10重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(比X−1)を得た。
次に、反応容器に、(比X−1)100重量部、2−アミノエタノール(G−1)22重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。
次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有ポリオレフィン(比A1−1)を得た。
なお、(比A1−1)の水酸基価は122、酸価は0.2、Mnは940、アイソタクティシティーは84%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(比A01−1)の炭素1,000個当たりの二重結合数は22.5個であった。
<比較製造例2>
反応容器に、プロピレン27重量%、エチレン73重量%を構成単量体とするポリオレフィン(比A00−2)[Mn:40,000、アイソアクティシティー:3%、商品名「タフマーP0280」、三井化学(株)製]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら385℃で210分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(比A01−2)を得た。
反応容器に、得られたポリオレフィン(比A01−2)100重量部、無水マレイン酸(E−1)9重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](F−1)0.5重量部をキシレン5重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(比X−2)を得た。
次に、反応容器に、(比X−2)100重量部、2−アミノエタノール(G−1)10重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。
次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有ポリオレフィン(比A1−2)を得た。
なお、(比A1−2)の水酸基価は35、酸価は0.1、Mnは3,000、アイソタクティシティーは1%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(比A01−2)の炭素1,000個当たりの二重結合数は10.5個であった。
<実施例1>
(ウレタンプレポリマーの製造)
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に、水酸基含有ポリオレフィン(A1−1)179.26重量部、高分子ポリオール(A2−1)92.19重量部、イソシアネート成分(B−1)[IPDI、イソホロンジイシシアネート]82.65重量部、鎖伸長剤(C)として[1,4−ブタンジオール]4.18重量部、[2,2−ジメチロールプロピオン酸]17.03重量部、有機溶剤[THF、テトラヒドロフラン]124.69重量部を仕込み、85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマーのTHF溶液(P−1)を製造した。
(顔料捺染用水性樹脂分散体の製造)
攪拌機及び加熱反応装置を備えた簡易加圧反応装置に、得られたウレタンプレポリマーのTHF溶液(P−1)500.00重量部を仕込み、50℃で撹拌しながらTHF359.28重量部、トリエチルアミン(中和剤)12.81重量部を加え、60rpmで30分間均一化した後、温度を50℃に保ち、500rpmで攪拌下、イオン交換水676.04重量部を徐々に添加することで乳化した後、鎖伸長剤(C−3)[5重量%ジエチレントリアミン水溶液]86.82重量部を加え、減圧下に65℃で12時間かけてTHFを留去し、顔料捺染用水性樹脂分散体(Q−1)を得た。
<顔料捺染用糊の作製>
予めイオン交換水により固形分濃度を24重量%に調整した上記水性樹脂分散体(Q−1)100重量部に粘弾性調整剤(「SNシックナー618」サンノプコ(株)製)8.9重量部、酸化チタン44.6重量部、および顔料(「NLレッド FR3R−D」山宋実業(株)製)18.9重量部を混合して、顔料捺染糊を得た。
<実施例2〜25、比較例1〜3>
実施例1において、使用原料を表1〜表4に記載の原料を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、各例の顔料捺染用水性樹脂分散体(Q−2)〜(Q−25)、(比Q−1)〜(比Q−3)と各例の顔料捺染用水性樹脂分散体(Q−2)〜(Q−25)、(比Q−1)〜(比Q−3)を含有する顔料捺染用糊を(I−2)〜(I−25)、(比I−1)〜(比I−3)とを得た。
得られた各例の顔料捺染用水性樹脂分散体(Q−2)〜(Q−25)、(比Q−1)〜(比Q−3)及び顔料捺染用糊(I−2)〜(I−25)、(比I−1)〜(比I−3)を、後述の手順で評価を行った。結果を表1〜表4に示す。
なお、体積平均粒子径(Dv)は、レーザー回折式粒度分布測定器「LA−750」[(株)堀場製作所製]を用いて、測定を行った。
Figure 2021075681
Figure 2021075681
Figure 2021075681
Figure 2021075681
表1〜表4の実施例、比較例で使用した各原料は以下のとおりである。各原料の量は重量部である。
高分子ポリオール(A2−1):
・クラレポリオールP−2010:Mn=2,000のポリ(3−メチル−1,5ペンタンジオール、アジピン酸重縮合物)、クラレ(株)製]
高分子ポリオール(A2−2):
・クラレポリオールP−2011:Mn=2,000のポリ(3−メチル−1,5ペンタンジオール、アジピン酸、テレフタル酸重縮合物)、クラレ(株)製]
高分子ポリオール(A2−3):
・クラレポリオールP−2012:Mn=2,000のポリ(3−メチル−1,5ペンタンジオール、アジピン酸、イソフタル酸重縮合物)、クラレ(株)製]
高分子ポリオール(A2−4):
・クラレポリオールP−2020:Mn=2,000のポリ(3−メチル−1,5ペンタンジオール、テレフタル酸重縮合物)、クラレ(株)製]
高分子ポリオール(A4−1):
・エタナコールUH−200:Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール[宇部興産(株)製]
高分子ポリオール(A5−1):
・PTMG2000:Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製]
高分子ポリオール(A5−2):
・PTMG3000:Mn=3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製]
高分子ポリオール(A6−1):
・アクトフローUT−1001:Mn=2000のポリアクリルジオール[綜研化学(株)製]
高分子ポリオール(A6−2):
・ARUFON UH−2032:Mn=2000のポリアクリルジオール[東亜合成(株)製]
触媒:
・ネオスタンU−600:ビスマストリス(2−エチルへキサノエート)[日東化成(株)製]
活性剤:
・エマルミン50:高級アルコールのエチレンオキサイド(EO)付加物[三洋化成工業(株)製]
<1>密着性
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡績株式会社製「パイレンP−2161」(厚さ30μm)]、表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡績株式会社製「エスペットE−5102」(厚さ12μm)]及び表面処理ナイロンフィルム[東洋紡績株式会社製「ハーデンN−1130」(厚さ15μm)]に顔料捺染用水性樹脂分散体(Q)をグラビア印刷機(RKPrint Coat Instruments社製)で20μmベタ版に速度50m/minで塗工しドライヤーで乾燥させた後、碁盤目セロハンテープ(登録商標)剥離試験を行い、基材に対する密着性を評価した。
温度、湿度以外の条件はJIS K5600−5−6に準拠し、セロハンテープ(登録商標)(ニチバン(株)製)を使用し、以下の<評価基準>で評価した。
<評価基準>
◎:剥がれなかったマス目が100個
○:剥がれなかったマス目が90〜99個
×:剥がれなかったマス目が90個未満
<2>摩擦堅牢性
上記で作成した顔料捺染糊を綿金巾の型の上に2cm×10cmで膜厚が0.2mmとなるようにバーコーターを用いて各種繊維布に塗布した。これを140℃テンターで5分乾燥することにより顔料捺染された繊維布を得た。得られた繊維布を用いてJIS L0849(II型)に規定された方法に準拠して乾燥試験及び湿潤試験を実施し、汚染グレースケールを基準として摩擦用繊維布への汚染を評価した。
表1〜表4の結果から、本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体及びこれを含有する顔料捺染用糊は、異なる種類の基材(特にポリプロピレン基材)に対する密着性及び摩擦堅牢性に優れることがわかる。一方で、比較例のものは、ポリプロピレン基材に対する密着性及び摩擦堅牢性に劣るものがあることがわかる。
本発明の顔料捺染用水性樹脂分散体は特に顔料捺染用バインダーとして有用である。
また、ウールの防縮剤、ピリング防止剤、面ファスナー用バインダー、不織布バインダー、その他繊維用補強剤、風合い調整剤などとしても使用可能である。
また、本発明のバインダーで樹脂加工された繊維基材は、衣料用、靴用、鞄用、家具用、自動車内装用、産業用資材用などとして有用である。

Claims (3)

  1. 水とポリウレタン樹脂(U)とを含有してなる顔料捺染用水性樹脂分散体であって、前記ポリウレタン樹脂(U)が、活性水素基含有化合物(W)とイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂であり、前記活性水素基含有化合物(W)が高分子ポリオール(A)を含み、前記高分子ポリオール(A)が水酸基含有ポリオレフィン(A1)を含み、前記水酸基含有ポリオレフィン(A1)の構成単量体であるエチレンとα−オレフィン(炭素数3〜8)との重量比[エチレン/α−オレフィン]が5/95〜65/35であり、水酸基含有ポリオレフィン(A1)のα−オレイン部分のアイソタクティシティーが1〜50%であり、インクジェット捺染用水性樹脂分散体を除く顔料捺染用水性樹脂分散体。
  2. 水酸基含有ポリオレフィン(A1)の水酸基価(mgKOH/g)が12〜120である請求項1記載の顔料捺染用水性樹脂分散体。
  3. 請求項1又は2に記載の顔料捺染用水性樹脂分散体を含有する顔料捺染用糊。
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