JP2022141594A - ウレタン樹脂水性分散体及び塗膜 - Google Patents

ウレタン樹脂水性分散体及び塗膜 Download PDF

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陽介 中田
Yosuke Nakata
増美 山根
Masumi Yamane
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Abstract

【課題】本発明の課題は、分散性及び得られる塗膜の耐水性が優れるウレタン樹脂水性分散体を提供することにある。【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物(S)を含有する活性水素原子含有成分(A)及びイソシアネート成分(B)を構成単量体として含むウレタン樹脂(U)と水とを含有するウレタン樹脂水性分散体。TIFF2022141594000007.tif41146[一般式(1)中、X1及びX2は水酸基を2個有する化合物から1個の水酸基を除いた残基を表し、X1とX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Rは炭素数2~10の三価の鎖式飽和炭化水素基を表し;SO3Zはスルホン酸塩基を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、ウレタン樹脂水性分散体及び塗膜に関する。
ポリウレタン樹脂は、柔軟性、密着性、耐薬品性、機械的強度及び耐衝撃性を有することから、従来、塗料、接着剤、繊維加工処理剤、紙処理剤及びインキ等に使用されてきた。塗装基材は鉄、繊維、PETフィルム、オレフィン系樹脂基材等多岐に及び、近年、使用環境の改善や大気汚染防止の観点から揮発性有機化合物の放出の少ない水性塗料の需要が高まっている。ポリウレタン樹脂は通常、水への分散性が乏しいことから、イオン形成性基(カルボキシル基、スルホ基、アミノ基及びこれらの塩等)をポリウレタン樹脂に導入して水性媒体中に分散させる方法が知られている。例えば、特許文献1には、イソシアネート成分、ポリエステルジオール及びイオン形成性基を有するポリオール(ジメチロールプロピオン酸等)を必須成分とするポリウレタン樹脂水性分散体が開示されている。
特開2013-227520号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のポリウレタン樹脂水性分散体は、分散性は優れるものの、得られる塗膜の耐水性が十分に満足できるものではなく、改良が求められてきた。
本発明の課題は、分散性及び得られる塗膜の耐水性が優れるウレタン樹脂水性分散体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(S)を含有する活性水素原子含有成分(A)及びイソシアネート成分(B)を構成単量体として含むウレタン樹脂(U)と水とを含有するウレタン樹脂水性分散体;前記ウレタン樹脂水性分散体を含む組成物から得られる塗膜である。
Figure 2022141594000001

[一般式(1)中、X及びXは水酸基を2個有する化合物から1個の水酸基を除いた残基を表し、XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Rは炭素数2~10の三価の鎖式飽和炭化水素基を表し;SOZはスルホン酸塩基を表す。]
本発明のウレタン樹脂水性分散体は、分散性及び得られる塗膜の耐水性が優れる。
なお、本発明において、「分散性が優れる」とは、経変試験(10~40℃で14日間)前と後とで体積平均粒子径の変化が小さいことを意味する。
本発明のウレタン樹脂水性分散体は、下記一般式(1)で表される化合物(S)を含有する活性水素原子含有成分(A)及びイソシアネート成分(B)を構成単量体として含むウレタン樹脂(U)と水とを含有するウレタン樹脂水性分散体である。
Figure 2022141594000002

[一般式(1)中、X及びXは水酸基を2個有する化合物から1個の水酸基を除いた残基を表し、XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Rは炭素数2~10の三価の鎖式飽和炭化水素基を表し;SOZはスルホン酸塩基を表す。]
本発明において、活性水素原子含有成分(A)とは、イソシアネート成分(B)の有するイソシアネート基に対する反応活性を有する水素原子を有する化合物を意味し、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物が含まれる。
本発明においては、活性水素原子含有成分(A)は化合物(S)を含有する。
<化合物(S)>
本発明において、化合物(S)は前記一般式(1)で表される化合物である。本発明においては、ウレタン樹脂(U)が化合物(S)を構成単量体として含むことにより、化合物(S)中のスルホン酸塩基(-SOZ)により分散性が良好となり、特に、化合物(S)中の水酸基がイソシアネート基と反応して生成する極性の高いウレタン基と、化合物(S)中のスルホン酸塩基とが離れて存在することができるため、公知のイオン形成性基を有するポリオール(ジメチロールプロピオン酸等)を用いた場合と比較して、化合物(S)の量が少量で分散性が優れる水性分散体とすることができると推察される。また、少量の化合物(S)で分散できるので、ウレタン樹脂(U)中の親水性の高いスルホン酸塩基の量を少なくすることができ、塗膜の耐水性が優れるものとすることができると推察される。
一般式(1)におけるX及びXは水酸基を2個有する化合物から1個の水酸基を除いた残基を表す。XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)におけるRは、炭素数2~10の三価の鎖式飽和炭化水素基を表し、直鎖式又は分岐鎖式のものが含まれる。
Rとしては、基材接着性及び硬化性ウレタン組成物中での無機フィラーの分散性の観点から、好ましくは炭素数2の三価の炭化水素基である。
化合物(S)は、スルホン酸基を有する脂肪族ジカルボン酸(無水物)の有する2つのカルボキシル基に水酸基を2個有する化合物がそれぞれエステル化し、スルホン酸基をスルホン酸塩とした構造を有するものであり、例えば、不飽和脂肪族ジカルボン酸(無水物){例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2-ペンテン2酸、メサコン酸、イタコン酸等}1モルに、水酸基を2個有する化合物を2モルエステル化した化合物(S0)(例えば、フマル酸ジエステル、マレイン酸ジエステル等)の有する炭素-炭素二重結合に、スルホン化剤(例えば、亜硫酸水素塩、二ピロ亜硫酸塩等)に由来するスルホン酸塩基(-SOZ)を付加反応させることにより得ることができる。
不飽和脂肪族ジカルボン酸(無水物)としては、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸が好ましい。
水酸基を2個有する化合物としては、炭素数2~20の2価アルコール、2価フェノール化合物及びこれらのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物並びにポリエステルジオール等が挙げられる。水酸基を2個有する化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数2~20の2価アルコールとしては、炭素数2~20の2価アルコール[脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,10-デカンジオール等)、脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)及び芳香脂肪族ジオール[1,4-ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等]等が挙げられる。
2価フェノール化合物としては、2個の水酸基が芳香族環に結合したものであればどのようなものでもよく、例えば、カテコール、ヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類、ジヒドロキシナフタレン等の多環芳香族ジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
炭素数2~20の2価アルコール及び2価フェノール化合物に付加させるAOとしては、炭素数2~4のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,3-プロピレンオキサイド、1,2-、1,3-又は2,3-ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)等が挙げられる。
これらの内、ウレタン樹脂水性分散体の分散性の観点から、好ましいのはEO、PO及びTHFであり、更に好ましいのはPO及びTHFであり、特に好ましいのはTHFである。
AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、AOを2種以上併用する場合の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
ポリエステルジオールとしては、例えば縮合ポリエステルジオール、ポリラクトンジオール及びポリカーボネートジオールが挙げられる。
縮合ポリエステルジオールとしては、前記炭素数2~20の2価アルコール及びこのAO付加物並びに/又は2価フェノール化合物のAO付加物と、ジカルボン酸(酸無水物及び炭素数1~4のアルキルエステル等)との重縮合物等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、具体的には、炭素数2~40又はそれ以上(好ましくは炭素数2~12)の飽和又は不飽和の脂肪族ジカルボン酸[シュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びダイマー酸等];炭素数8~15の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等のジカルボン酸等);及びスルホ基含有ジカルボン酸[上記ジカルボン酸にスルホ基を導入してなるもの、例えばスルホコハク酸、スルホマロン酸、スルホグルタル酸、スルホアジピン酸及びスルホイソフタル酸及びそれらの塩(例えば金属塩、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩);並びに末端にカルボキシル基を有するポリマー等が挙げられる。
末端にカルボキシル基を有するポリマーとしては、ポリエーテルジカルボン酸[例えば後述のMnが300未満の低分子ポリオール(a1)又は後述のポリエーテルポリオール(a21)等のポリオールのカルボキシメチルエーテル(アルカリの存在下にモノクロル酢酸を反応させて得られるもの等)];ポリアミド及び/又はポリエステルジカルボン酸[例えば上記ジカルボン酸を開始剤として炭素数4~15のラクタム(カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタム等)又は炭素数4~15のラクトン(γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン等)を開環重合させてなるポリラクタムジカルボン酸及びポリラクトンジカルボン酸]等が挙げられる。
ポリラクトンジオールとしては、水、前記炭素数2~20の2価アルコール又はそのAO付加物を開始剤とする炭素数4~15のラクトン(γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン等)の開環付加物等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、前記炭素数2~20の2価アルコール又はそのAO付加物を開始剤とするアルキレンカーボネートの開環付加/重縮合物並びに前記炭素数2~20の2価アルコール又はそのAO付加物とジフェニル又はジアルキルカーボネートの重縮合(エステル交換)物等が挙げられる。
化合物(S)において、水酸基を2個有する化合物としては、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、好ましいのは炭素数2~20の2価アルコールのAO付加物、2価のフェノール化合物のAO付加物及びポリエステルジオールであり、更に好ましいのはポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ビスフェノールAのAO付加物及び炭素数2~6の2価アルコールと炭素数2~12のポリカルボン酸とからなるポリエステルジオールであり、特に好ましいのはポリ(オキシテトラメチレン)グリコール及びビスフェノールAのAO付加物である。
化合物(S)において、X及びXとしては、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、それぞれ独立に、好ましいのは炭素数2~20の2価アルコールのAO付加物から水酸基を1つ除いた残基、2価のフェノール化合物のAO付加物から水酸基を1つ除いた残基及びポリエステルジオールから水酸基を1つ除いた残基であり、更に好ましいのはポリ(オキシプロピレン)グリコールから水酸基を1つ除いた残基、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールから水酸基を1つ除いた残基、ビスフェノールAのAO付加物から水酸基を1つ除いた残基及び炭素数2~6の2価アルコールと炭素数2~12のポリカルボン酸とからなるポリエステルジオールから水酸基を1つ除いた残基であり、特に好ましいのはポリ(オキシテトラメチレン)グリコールから水酸基を1つ除いた残基及びビスフェノールAのAO付加物から水酸基を1つ除いた残基である。
一般式(1)において、-SOZはスルホン酸塩基を表し、Zは対イオンを表し、Zとしては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)イオン、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等、例えばZ=[Ca2+1/2等)イオン、オニウム[例えば、アンモニウム、アミン{第1級アミン(炭素数1~50のものが含まれ、例えば、メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等のアルキルアミン並びにモノエタノールアミン等のモノアルカノールアミン等)、第2級アミン(炭素数2~50のものが含まれ、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等のジアルキルアミン並びにジエタノールアミン等のジアルカノールアミン等)、第3級アミン(炭素数3~50のものが含まれ、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン等のトリアルキルアミン並びにN-メチルジエタノールアミン等のアルキルジアルカノールアミン等)等}のプロトン化によるオニウム、第4級アンモニウム{炭素数4~50のものが含まれ、例えば、テトラメチルアンモニウム等}、ホスホニウム(例えば、テトラブチルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム等)等]のイオン等が挙げられる。
これらのうち、ウレタン樹脂水性分散体の分散性の観点から、アルカリ金属イオン及びオニウムイオンが好ましく、更に好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオンであり、特に好ましくはナトリウムイオンである。
化合物(S)において一般式(1)におけるZは、例えば、前記スルホン化剤として用いる亜硫酸水素塩やピロ亜硫酸塩等の塩として、上記アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、オニウム塩等を用いることで調整することができる。
化合物(S)において、水酸基を2個有する化合物の水酸基価は、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、好ましくは50~450mgKOH/g、更に好ましくは80~300mgKOH/gである。水酸基を2個有する化合物の水酸基価が上記範囲であると、化合物(S)中のスルホン酸塩基の濃度が適度となり、ウレタン樹脂(U)の分散性が良好となり、化合物(S)中の水酸基がイソシアネート基と反応して生成する極性の高いウレタン基と、化合物(S)中のスルホン酸塩基とが離れて存在することができるため、化合物(S)の使用量が少量で水性分散体の分散性を良好にすることができる傾向があると推察される。
尚、本発明において、水酸基価はJIS K1557-1に準拠して測定される。
化合物(S)中のスルホン酸塩基の濃度は、0.22~1.8mmol/gが好ましく、更に好ましくは0.3~1.6mmol/g、特に好ましくは0.4~1.5mmol/gである。
スルホン酸塩基の濃度は、アニオン界面活性剤の分相滴定法(エプトン法)に準じて求めることができる。具体的には、化合物(S)をクロロホルムと水との系に分相させ、そこに指示薬としてメチレンブルー塩酸塩水溶液を加え、この状態で1mmоl/lの塩化ベンザルコニウム液(カチオン界面活性剤標準溶液)を滴下して分相滴定し、この際に該指示薬の移行を肉眼観察することにより終点を決め、かかる終点の滴定量に基づいて下記の式よりスルホン酸濃度を測定する。

スルホン酸塩基の濃度(mmоl/g)=(カチオン界面活性剤標準液の滴定量(ml))×(カチオン界面活性剤標準液の濃度(mmol/l)/(化合物(S)の量(g)×1000)

化合物(S)のスルホン酸塩基の濃度が0.22mmol/g以上であるとウレタン樹脂(U)の分散性が良好である傾向があり、1.8mmol/g以下であると塗膜の耐水性が良好である傾向がある。
化合物(S)の水酸基価は、25~190mgKOH/gが好ましく、更に好ましくは30~180mgKOH/g、特に好ましくは40~170mgKOH/gである。
化合物(S)の水酸基価が25mgKOH/g以上であると、化合物(S)中のスルホン酸塩基の濃度が適度となり、ウレタン樹脂(U)の分散性が更に良好となり、化合物(S)中の水酸基がイソシアネート基と反応して生成する極性の高いウレタン基と、化合物(S)中のスルホン酸塩基とが離れて存在することができるため、化合物(S)の使用量が少量で水性分散体の分散性を良好にすることができる傾向があり、190mgKOH/g以下であると塗膜の耐水性が更に良好となる傾向があると推察される。
化合物(S)の有する水酸基の1級水酸基比率は、得られる塗膜の耐水性の観点から、30~100%であることが好ましく、更に好ましくは40~100%である。
1級水酸基比率の測定方法を以下に具体的に説明する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
一般的な条件でH-NMR測定を行う。
<1級水酸基比率の計算方法>
上に述べた前処理の方法により、化合物(S)の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。1級水酸基比率は次の関係式(2)により算出する。
1級水酸基比率(%)=[a/(a+2×b)]×100 (2)
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。
化合物(S)の分子式量又は数平均分子量(Mn)は、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、好ましくは590~4500であり、更に好ましくは620~3700である。
<活性水素原子含有成分(A)>
活性水素原子含有成分(A)には、上記化合物(S)に加えて、化合物(S)以外の高分子ポリオール(a){例えば、縮合型ポリエステルポリオール(a2)、ポリラクトンポリオール(a3)、ポリカーボネートポリオール(a4)、ポリエーテルポリオール(a5)及びポリアクリルポリオール(a6)からなる群より選ばれる少なくとも1種}、Mn又は化学式量が500未満の鎖伸長剤(c)、反応停止剤(d)等を含んでもよい。
高分子ポリオール(a)のMnは、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から好ましくは500以上であり、更に好ましくは500~5000であり、特に好ましくは1000~4000である。
縮合型ポリエステルポリオール(a2)としては、Mnが500未満のジオールとジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級(炭素数1~4)アルキルエステル及び酸ハライド等]との縮合により得られるもの等が挙げられる。
Mnが500未満のジオールとしては、炭素数2~8の脂肪族2価アルコール[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオール等)及び分岐アルキル鎖を有するジオール(1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,2-、1,3-又は2,3-ブタンジオール等)等];炭素数6~10の脂環基含有2価アルコール[1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8~20の芳香環含有2価アルコール[m-又はp-キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン];ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)のAO付加物、ジヒドロキシナフタレンのAO付加物及びビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート等]等が挙げられる。Mnが500未満のジオールは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2~15の脂肪族ジカルボン酸[シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸及びフマル酸等]、炭素数8~12の芳香族ジカルボン酸[フタル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸等]及びこれらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル及びジエチルエステル等)、酸ハライド(酸クロライド等)等]等が挙げられる。ジカルボン酸は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
縮合型ポリエステルポリオール(a2)の具体例としては、例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペートジオール、ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール及びポリブチレンセバケートジオール等が挙げられる。(a2)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリラクトンポリオール(a3)としては、前記Mnが500未満のジオールを開始剤としてラクトンモノマー(γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン及びこれらの2種以上の混合物等)を開環重合したもの等が挙げられる。ポリラクトンポリオール(a3)の具体例としては、ポリブチロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。(a3)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオール(a4)としては、前記Mnが500未満のジオールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1~6のジアルキルカーボネート、炭素数2~6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6~9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオール等が挙げられる。(a4)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオール(a4)の具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(a5)としては、前記Mnが500未満のジオールへの前記炭素数2~12のAO付加物等が挙げられ、AOは1種を単独で用いても2種以上をブロック共重合又はランダム共重合してもよい。
ポリエーテルポリオール(a5)の内で、ウレタン樹脂水性分散体の分散性、貯蔵安定性及び得られる塗膜の耐水性の観点から好ましいのは分岐アルキル鎖を有するもの、即ち原料としてMnが500未満のジオールの内の分岐アルキル鎖を有するジオールを用いたものやAO付加物におけるAOとして1,2-プロピレンオキサイド、1,2-,2,3-又は1,3-ブチレンオキサイド及び3-メチルテトラヒドロフラン等を用いたもの等であり、更に好ましいのは分岐アルキルを有する2価アルコールの脂肪族ポリエーテルジオール、特に好ましいのはポリオキシプロピレングリコールである。(a5)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリ(メタ)アクリルポリオール(a6)としては、特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合物や共重合物が挙げられる。
前記(メタ)アクリルポリオールは、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの他に、重合性不飽和結合を有する化合物を共重合させて得ることもできる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は「メタクリル及び/又はアクリル」を意味する。
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリロイル基を1つ有するものが含まれ、例えば、炭素数2~20のヒドロキシアルキル基を有するもの{例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル}、3価のアルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル化物{例えば、グリセリンの(メタ)アクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸モノエステル等}等が挙げられる。
前記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を1つ有する化合物が含まれ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル等の炭素数4~50の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の炭素数3~50の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の炭素数3~50の不飽和アミド;スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルや前記重合性不飽和結合を有する化合物の重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合などが挙げられる。前記乳化重合は段階的に重合を行うこともできる。
市販されている前記ポリアクリルポリオールの具体的例としては、例えば、東亞合成社製「ARUFON UH-2000、UH-2041、UH-2190、UHE-2012」、綜研化学社製「アクトフロー UT-1001、UMM-1001」等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルポリオール(a6)の内で、得られる塗膜の耐水性の観点から好ましくは前記重合性不飽和結合を有する化合物として(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル及び(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種を使用したポリアクリルポリオールであり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸-n-ブチル及び/又は(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルを使用したポリアクリルジオールである。(a6)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
高分子ポリオール(a)としては、水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールが好ましく、更に好ましくはポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールである。
高分子ポリオール(a)の水酸基価は、水性分散体の分散性及び塗膜の耐水性の観点から、好ましくは25~75mgKOH/gであり、更に好ましくは30~70mgKOH/gである。
本発明における化合物(S)及び高分子ポリオール(a)の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H-L」(1本)、「TSKgel
SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
Mn又は化学式量が500未満の鎖伸長剤(c)としては、化合物(S)以外のイオン性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)、Mn又は化学式量が500未満の多価アルコール(c2)、ポリアルキレンポリアミン(c3)、ヒドラジン又はその誘導体(c4)、炭素数2~10のアミノアルコール(c5)及び炭素数2~30のポリエポキシ化合物(c6)、水等が挙げられる。
鎖伸長剤(c)としては、(c1)~(c6)のうち1種を単独で用いてもよく、任意の組み合わせで使用してもよい。
前記イオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)としては、アニオン性基と活性水素原子とを含有する化合物(c11)及びカチオン性基と活性水素原子とを含有する化合物(c12)が挙げられる。(c1)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(c11)におけるアニオン性基とは、酸基及び中和された酸アニオン基を意味する。(c11)としては、例えばアニオン性基としてカルボキシル基を含有し、炭素数が2~10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロールヘプタン酸及び2,2-ジメチロールオクタン酸)、酒石酸及びアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン)等]、アニオン性基としてスルホン酸基を含有し、炭素数が2~16の化合物[3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)-1-プロパンスルホン酸及びスルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル等]、アニオン性基としてスルファミン酸基を含有し、炭素数が2~10の化合物[N,N-ビス(2-ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(c11)の塩に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1~20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
炭素数1~20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミン等が挙げられる。
(c11)の塩に用いられる中和剤としては、生成するウレタン樹脂水性分散体の乾燥性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、25℃における蒸気圧が高い化合物が好適である。このような観点から、(c11)の塩に用いられる中和剤としては、アンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンが好ましい。
(c11)の塩に用いられる中和剤の添加量としては、耐水性と樹脂の分散安定性の観点から、ウレタン樹脂(U)が有する酸基に対し、中和率が50~200モル%であることが好ましく、更に好ましくは60~150モル%である。
カチオン性基と活性水素原子とを含有する化合物(c12)におけるカチオン性基とは、3級アミノ基にプロトンが付加した基、未中和の3級アミノ基及び4級アンモニウム基を意味する。
(c12)としては、例えばカチオン性基として3級アミノ基を有し、活性水素原子として水酸基を有する化合物、炭素数3~20の3級アミノ基含有ジオール[N-アルキルジアルカノールアミン(例えばN-メチルジエタノールアミン、N-プロピルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン及びN-メチルジプロパノールアミン)及びN,N-ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N-ジメチルエタノールアミン)等]等の化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(c12)に用いられる中和剤としては、例えば炭素数1~10のモノカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロパン酸等)、炭酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
(c11)及び(c12)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加してもよいが、ウレタン樹脂の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。また、脱溶剤時に揮発した中和剤を脱溶剤後に追添加してもよく、追添加する中和剤種は上記記載のものから自由に選択することができる。
前記Mn又は化学式量が500未満の多価アルコール(c2)としては、炭素数2~20の2価アルコール[脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-又は1,10-デカンジオール及び1,2-又は1,12-ドデカンジオール等)、脂環式ジオール(1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)、芳香脂肪族ジオール{1-フェニルエタン-1,2-ジオール及び1,4-ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等}、エーテル基含有ジオール{3-ブトキシ-1,2-プロパンジオール、3-(2-エチルヘキソキシ)-1,2-プロパンジオール、3-フェノキシ-1,2-プロパンジオール及び3-(p-tert―ブチルフェノキシ)-1,2-プロパンジオール等}及びハロゲン基含有ジオール(3-クロロ-1,2-プロパンジオール等)等]、炭素数3~20の3価アルコール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等]及び炭素数5~20の4~8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等)及び糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)]等が挙げられる。
前記ポリアルキレンポリアミン(c3)としては、炭素数2~20の脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミン等)、炭素数6~20の脂環式ポリアミン(ジアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数2~20の芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等)、炭素数2~20の複素環式ポリアミン(ピペラジン及びN-アミノエチルピペラジン等)等が挙げられる。
前記ヒドラジン又はその誘導体(c4)としては、ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジド及びアジピン酸ジヒドラジド等)等が挙げられる。
前記炭素数2~10のアミノアルコール(c5)としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
前記炭素数2~30のポリエポキシ化合物(c6)としては、前記炭素数2~4のAO、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p-tert―ブチルフェニルグリシジルエーテル、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記炭素数2~30のポリエポキシ化合物(c6)は、イオン性極性基と2個の活性水素原子とを含有する化合物(c1)がカルボキシル基を有する場合に鎖伸長剤として用いられ、エポキシ基がカルボキシル基と反応することにより、伸長反応が進行する。
鎖伸長剤(c)のうち、ウレタン樹脂水性分散体から得られる塗膜の耐水性の観点から、好ましくは、多価アルコール(c2)、ポリアルキレンポリアミン(c3)、アミノアルコール(c5)、水であり、更に好ましくは、2価アルコール、3価アルコール、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、アミノアルコール(c5)及び水である。
活性水素原子含有成分(A)中の(c1)の含有量は、水性分散体の分散性の観点から、活性水素原子含有成分(A)の重量を基準として0.1重量%以下が好ましく、更に好ましくは0.01重量%以下である。
活性水素原子含有成分(A)中の化合物(S)の重量割合は、活性水素原子含有成分(A)の重量を基準として、水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、5~95重量%が好ましく、さらに好ましくは8~90重量%である。
活性水素原子含有成分(A)として、ポリオール(a)を用いる場合、活性水素原子含有成分(A)中の高分子ポリオール(a)の重量割合は、水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、活性水素原子含有成分(A)の重量を基準として、3~95重量%が好ましく、さらに好ましくは5~92重量%である。
活性水素原子含有成分(A)中の鎖伸長剤(c)の合計重量割合は、水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、活性水素原子含有成分(A)の重量を基準として、20重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.2~20重量%であり、特に好ましくは0.3~15重量%である。
ウレタン樹脂(U)における活性水素原子含有成分(A)中の化合物(S)及び高分子ポリオール(a)の合計重量100重量部に対する鎖伸長剤(c)の重量は、水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、0.2~20重量部が好ましく、更に好ましくは0.3~15重量部である。
反応停止剤(d)としては、炭素数1~8のモノアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ及びカルビトール等)及び炭素数1~10のモノアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。反応停止剤(d)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<イソシアネート成分(B)>
本発明におけるイソシアネート成分(B)としては、2~3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数6~20(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様)の芳香族ポリイソシアネート(B1)、炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート(B2)、炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート(B3)、炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)及び(B1)~(B4)の変性物(B5)等が挙げられる。イソシアネート成分(B)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数6~20の芳香族ポリイソシアネート(B1)としては、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、m-又はp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート及びクルードMDI等が挙げられる。
炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート(B2)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及び2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート(B3)としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート及び2,5-又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)としては、m-又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
(B1)~(B4)の変性物(B5)としては、ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基を有する(B1)~(B4)の変性物等が挙げられる。
イソシアネート成分(B)のうち、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、好ましいのは炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート(B2)及び炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート(B3)、更に好ましいのは(B3)、特に好ましいのはIPDI及び水添MDIである。
<ウレタン樹脂(U)>
本発明におけるウレタン樹脂(U)は、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の使用量はウレタン樹脂(U)の重量を基準として、塗膜の耐水性の観点から、添加剤の効果発現できる範囲で、できるだけ少ない量とすることが好ましく、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
なお、前記ウレタン樹脂(U)の重量には、後述の溶剤の重量及び水の重量を含まない。
本発明におけるウレタン樹脂(U)中のウレタン基含量は、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、ウレタン樹脂(U)の重量を基準として0.5~3.0mmol/gが好ましく、更に好ましくは0.7~2.5mmol/g、特に好ましくは0.9~2.0mmol/gである。
ウレタン基含量は、窒素分析計によって定量されるN原子含量とH-NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及びアロハネート基及びビューレット基含量から算出される。
ウレタン樹脂(U)中のウレア基含量は、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、(U)の重量を基準として0.8mmol/g以下であることが好ましく、更に好ましくは0.7mmol/g以下、特に好ましくは0.6mmol/g以下、最も好ましくは0.5mmol/g以下である。
ウレタン樹脂(U)中のウレア基含量を所望の範囲とするには、(U)の原料中のアミノ基含量、水分含量及びイソシアネート基含量を適宜調整すればよい。
ウレア基含量は窒素分析計によって定量されるN原子含量とH-NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及びアロハネート基及びビューレット基含量から算出される。
ウレタン樹脂(U)中のウレタン基及びウレア基の合計含量は、ウレタン樹脂水性分散体の分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、(U)の重量を基準として0.5~3.8mmol/gであることが好ましく、更に好ましくは0.7~3.5mmol/g、特に好ましくは0.9~3.0mmol/gである。
本発明におけるウレタン樹脂(U)中のスルホン酸塩基の濃度は、ウレタン樹脂水性分散体の基材密着性、分散性及び得られる塗膜の耐水性の観点から、(U)の重量を基準として、0.01~0.9mmol/gが好ましく、更に好ましくは0.03~0.85mmol/g、特に好ましくは0.05~0.8mmol/gである。
<ウレタン樹脂水性分散体>
本発明のウレタン樹脂水性分散体は、前記ウレタン樹脂(U)と水とを含有してなる。本発明のウレタン樹脂水性分散体は、例えば、以下の方法により製造できる。
(1)化合物(S)を含む活性水素原子含有成分(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含む末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)の溶液(例えば、後述の溶剤溶液)を作成する。
次に、水、必要により、溶剤、鎖伸長剤(c)、中和剤を仕込み、転相乳化し、更に必要により、溶剤を留去して、ウレタン樹脂水性分散体を得る。
(2)化合物(S)を含む活性水素原子含有成分(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含む末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)の溶液(例えば、後述の有機溶剤溶液)を作成する。
次に、水、必要により、溶剤、中和剤、鎖伸長剤(c)との混合物を仕込み、公知の分散機により分散し、更に必要により、溶剤を留去して、ウレタン樹脂水性分散体を得る。
(3)化合物(S)を含む活性水素原子含有成分(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含む末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)の溶液(例えば、後述の溶剤溶液)を作成する。
次に、上記(P)の溶液と水とを含む混合物を、公知の分散機により分散した後、必要により、中和剤、反応停止剤(d)を加えて、更に必要により、溶剤を留去して、ウレタン樹脂水性分散体を得る。
(4)化合物(S)を含む活性水素原子含有成分(A)とイソシアネート成分(B)とを構成単量体として含むウレタン樹脂(U)の溶剤溶液を作成する。
次に、水を加えて、例えば、分散機により分散し、必要により、溶剤を留去して、ウレタン樹脂水性分散体を得る。
また、上記ウレタン樹脂水性分散体を得る工程において、(P)、溶剤、中和剤、鎖伸長剤(c)、水、反応停止剤(d)以外に、必要により、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を用いてもよい。
上記溶剤としては、ケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤[例えば酢酸エチル及びニ塩基酸エステル(DBE)]、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドン)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等の有機溶剤が挙げられる。
また、ウレタン樹脂水性分散体中に、上記溶剤を含有していてもよい。
ウレタン樹脂水性分散体の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の含有量)は、ウレタン樹脂水性分散体の取り扱い易さの観点から、好ましくは20~65重量%、更に好ましくは25~55重量%である。固形分濃度は、ウレタン樹脂水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
また、ウレタン樹脂水性分散体の25℃における粘度は、ハンドリング性の観点から、好ましくは10~100,000mPa・s、更に好ましくは10~5,000mPa・sである。粘度はBL型粘度計を用いて、25℃の定温下で測定することができる。
ウレタン樹脂水性分散体のpHは、配合安定性の観点から、好ましくは2~12、更に好ましくは4~10である。pHは、pH Meter M-12[(株)堀場製作所製]で25℃で測定することができる。
本発明のウレタン樹脂水性分散体における(U)の粒子の体積平均粒子径(Dv)は、分散安定性の観点から、好ましくは0.01~1μm、更に好ましくは0.02~0.7μm、特に好ましくは0.03~0.4μmである。(Dv)が0.01μm以上であると粘度が適正でありハンドリング性が良好であり、1μm以下であると分散安定性が良好である傾向がある。
上記体積平均粒子径(Dv)は、(U)中のイオン性極性基量及び分散工程で使用する分散機の種類及び運転条件によって制御できる。
本発明のウレタン樹脂水性分散体は、分散性及び塗膜の耐水性に優れることから、印刷インク組成物、水性塗料組成物、水性接着剤組成物、水性繊維加工処理剤組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物、抗菌剤用バインダー組成物及び人工皮革・合成皮革用原料組成物等)、水性コーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物及び防汚コーティング組成物等)、電池用バインダー、水性紙処理剤組成物、水性インキ組成物等に使用することができる。
<塗膜>
塗膜は、前記本発明のウレタン樹脂水性分散体を含む組成物において、例えば、水等の媒体を除去することにより得られ、より具体的には、例えば、基材(プラスチックフィルム等)に塗工して、必要により加熱及び/又は養生して得られる。
前記の用途に用いる場合には、前記ウレタン樹脂水性分散体を含む組成物中に、必要によりその他の樹脂、架橋剤、触媒、顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤等を1種又は2種以上含有することができる。
塗膜は、前記本発明のウレタン樹脂水性分散体を含む組成物を被塗物に、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、リシンガン、万能ガン等により塗布することができる。
塗布膜厚は、乾燥膜厚で、好ましくは1~100μm、更に好ましくは5~50μmである。
乾燥条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは乾燥温度20~220℃、乾燥時間1~120分の範囲である。
本発明のウレタン樹脂水性分散体を含む組成物が適用できる被塗面としては、特に制限されるものではなく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛ならびにこれらの金属を含む合金、及びこれらの金属によるめっき鋼板;コンクリート、モルタル、スレート板、木材、石材等の無機基材;プラスチック等の有機基材などの基材面及びこれらの表面処理面などが挙げられ、特に金属面及びその表面処理面が好適である。また、下塗り塗料として塗布してもよく、必要に応じて、さらに既知の上塗り塗料を塗布してもよい。
本発明のウレタン樹脂水性分散体を含む組成物は、予め加工を施した上記被塗物に塗装をする塗膜形成方法、及び塗装した後上記被塗物に加工を施す塗膜形成方法のいずれにも適用できる。
以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
製造例1 [化合物(S0-1)の製造]
反応容器中にポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製「PTMG250」:Mn=250]250重量部及び無水マレイン酸49重量部を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌、混合して常圧下、120±10℃で1時間反応させ酸無水物基部分のハーフエステル化を行った後、さらに減圧下、120±10℃で3時間反応させ残ったカルボキシル基のエステル化を行い、無水マレイン酸1モルにポリ(オキシテトラメチレン)グリコールが2モルエステル化反応した化合物(S0-1)を得た。
製造例2 [化合物(S0-2)の製造]
ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール250重量部をポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製「PTMG2000」:Mn=2000]2000重量部に変更する以外は製造例1と同様にして化合物(S0-2)を得た。
製造例3 [化合物(S0-3)の製造]
ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール250重量部をビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物[三洋化成工業(株)製「ニューポールBPE-40」:Mn=410]410重量部に変更する以外は製造例1と同様にして化合物(S0-3)を得た。
製造例4 [化合物(S-1)の製造]
反応容器中に化合物(S0-1)580重量部、ピロ亜硫酸ナトリウム95重量部、水300重量部、イソプロパノール100重量部を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌、混合して、70℃±10℃、10時間反応させ、化合物(S0-1)の不飽和ジカルボン酸ジエステル化物の不飽和炭素-炭素二重結合部分にスルホン酸塩の付加を行い、未反応の水及びイソプロパノールを減圧下、100℃±10℃、3時間留去して、化合物(S-1)を得た。
製造例5 [化合物(S-2)の製造]
化合物(S0-1)580重量部を化合物(S0-2)4080重量部に変更する以外は製造例4と同様にして化合物(S-2)を得た。
製造例6 [化合物(S-3)の製造]
化合物(S0-1)580重量部を化合物(S0-3)900重量部に変更する以外は製造例4と同様にして化合物(S-3)を得た。
製造例7 [化合物(S-4)の製造]
ピロ亜硫酸ナトリウム95重量部をピロ亜硫酸カリウム111重量部に変更する以外は製造例4と同様にして化合物(S-4)を得た。
製造例8 [化合物(S-5)の製造]
反応容器中に化合物(S0-1)580重量部、亜硫酸水素アンモニウム水溶液[大東化学(株)製「重亜硫酸アンモン液」:65重量%水溶液]304重量部、亜硫酸アンモニウム・一水和物[ナカライテスク(株)製「亜硫酸アンモニウム・一水和物」]214重量部、水660重量部を仕込み、空気雰囲気下、撹拌、混合して、60℃±10℃、6時間反応させ、化合物(S0-1)の不飽和ジカルボン酸ジエステル化物の不飽和炭素-炭素二重結合部分にスルホン酸塩の付加を行い、メタノール470重量部を仕込んで反応付加物を析出、濾過を行い化合物(S-5)を得た。
製造例4~8で得られた化合物(S-1)~(S-5)の物性値を表1に示す。
Figure 2022141594000003
<実施例1>
(ウレタンプレポリマーの作製)
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に、化合物(S-1)70重量部、高分子ポリオール(a-1)300重量部、イソシアネート成分(B-1)[IPDI、イソホロンジイシシアネート]82重量部、鎖伸長剤(c)として1,4-ブタンジオール2重量部、有機溶剤としてアセトン125重量部を仕込み、85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマーのアセトン溶液(P-1)を製造した。
(ウレタン樹脂水性分散体の製造)
攪拌機及び加熱反応装置を備えた簡易加圧反応装置に、得られたウレタンプレポリマーのアセトン溶液(P-1)579重量部を仕込み、50℃で撹拌しながらアセトン360重量部を加え、60rpmで30分間均一化した後、温度を50℃に保ち、500rpmで攪拌下、イオン交換水1000重量部を徐々に添加することで乳化した後、鎖伸長剤(c)として5重量%ジエチレントリアミン水溶液87重量部を加え、減圧下に65℃で12時間かけてアセトンを留去し、ウレタン樹脂水性分散体(Q-1)を得た。
<実施例2~20、比較例1~2>
実施例1において、使用原料を表2~3にしたがった以外は、実施例1と同様にして、各ウレタン樹脂水性分散体(Q-2)~(Q-20)及び(比Q-1)~(比Q-2)を得た。
得られた各ウレタン樹脂水性分散体(Q-1)~(Q-20)及び(比Q-1)~(比Q-2)を、後述の手順で評価を行った。結果を表2~3に示す。
なお、体積平均粒子径(Dv)は、レーザー回折式粒度分布測定器「LA-750」[(株)堀場製作所製]を用いて、測定を行った。
固形分濃度(重量%)は、上述の方法で測定した。
粘度(mPa・s)は、BL型粘度計「TVB-10」[東機産業(株)製]を用いて、ロータNo.2、回転速度60rpm、測定温度25℃の条件で測定した。
Figure 2022141594000004
Figure 2022141594000005
表2及び3中、各原料は以下のとおりである。
(比S-1):ジメチロールプロピオン酸
高分子ポリオール(a-1):
・クラレポリオールP-2010:Mn=2,000のポリ(3-メチル-1,5ペンタンジオール、アジピン酸重縮合物)、クラレ(株)製]
高分子ポリオール(a-2):
・エタナコールUH-200:Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール[宇部興産(株)製]
高分子ポリオール(a-3):
・PTMG2000:Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製]
高分子ポリオール(a-4):
・PTMG3000:Mn=3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製]
触媒:
・ネオスタンU-600:ビスマストリス(2-エチルへキサノエート)[日東化成(株)製]
活性剤:
・エマルミン50:高級アルコールのエチレンオキサイド(EO)付加物[三洋化成工業(株)製]
[1]密着性
表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡株式会社製「エスペットE-5102」(厚さ12μm)]にポリウレタン樹脂水分散体を乾燥後のフィルム膜厚が50μmの厚さになるように塗布(コーティング)し、25℃、50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた後、温度5℃(±2℃)、相対湿度10%(±10%)の条件下で養生し、温度5℃(±2℃)、相対湿度10%(±10%)の条件にて碁盤目セロハンテープ(登録商標)剥離試験を行い、基材に対する密着性を評価した。
温度、湿度以外の条件はJIS K5600-5-6に準拠し、セロハンテープ(登録商標)(ニチバン(株)製)を使用してカット間隔2mmにて試験を行い、以下の評価基準で評価した。
<評価基準>
◎:剥がれなかったマス目が100個
○:剥がれなかったマス目が90~99個
×:剥がれなかったマス目が90個未満
[2]水性分散体の貯蔵安定性(40℃、高温)
ウレタン樹脂水性分散体(Q)30gを、スクリュー菅瓶[50mL(胴径35mm×高さ78mm)]に入れて、40℃×14日間貯蔵した。貯蔵前後の体積平均粒子径(Dv)(単位:μm)の測定結果から、下記の算出式により(40℃での貯蔵安定性)を求め、以下の評価基準で評価した。
(40℃での貯蔵安定性)(%)=
(40℃×14日間貯蔵後の体積平均粒子径)×100/(貯蔵前の体積平均粒子径)
<評価基準>
◎:150%未満
○:150%以上、160%未満
△:160%以上、170%未満
×:170%以上
[3]水性分散体の貯蔵安定性(10℃、低温)
ウレタン樹脂水性分散体(Q)30gを、スクリュー菅瓶[50mL(胴径35mm×高さ78mm)]に入れて、10℃×14日間貯蔵した。貯蔵前後の体積平均粒子径(Dv)(単位:μm)の測定結果から、下記の算出式により(10℃での貯蔵安定性)を求め、以下の評価基準で評価した。
(10℃での貯蔵安定性)(%)=
(10℃×14日間貯蔵後の体積平均粒径)×100/(貯蔵前の体積平均粒径)
<評価基準>
◎:150%未満
○:150%以上、160%未満
△:160%以上、170%未満
×:170%以上
[4]塗膜耐水性
評価[1]で得られた塗膜を50℃のイオン交換水に240hr浸せき後、25℃、50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた後、温度5℃(±2℃)、相対湿度10%(±10%)の条件下で養生し、温度5℃(±2℃)、相対湿度10%(±10%)の条件にて碁盤目セロハンテープ(登録商標)剥離試験を行い、基材に対する密着性を評価した。
温度、湿度以外の条件はJIS K5600-5-6に準拠し、セロハンテープ(登録商標)(ニチバン(株)製)を使用してカット間隔2mmにて試験を行い、以下の評価基準で評価した。
<評価基準>
◎:剥がれなかったマス目が100個
○:剥がれなかったマス目が90~99個
×:剥がれなかったマス目が90個未満
表2~3の結果から、本発明のウレタン樹脂水性分散体(Q)は、比較のものと比べて、基材密着性、貯蔵安定性(高温、低温)、塗膜の耐水性がともに優れることがわかる。
本発明のウレタン樹脂水性分散体は、分散性及び塗膜の耐水性に優れることから、印刷インク組成物、水性塗料組成物、水性接着剤組成物、水性繊維加工処理剤組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物、抗菌剤用バインダー組成物及び人工皮革・合成皮革用原料組成物等)、水性コーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物及び防汚コーティング組成物等)、電池用バインダー、水性紙処理剤組成物、水性インキ組成物等に使用することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物(S)を含有する活性水素原子含有成分(A)及びイソシアネート成分(B)を構成単量体として含むウレタン樹脂(U)と水とを含有するウレタン樹脂水性分散体。
    Figure 2022141594000006

    [一般式(1)中、X及びXは水酸基を2個有する化合物から1個の水酸基を除いた残基を表し、XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Rは炭素数2~10の三価の鎖式飽和炭化水素基を表し;SOZはスルホン酸塩基を表す。]
  2. 前記化合物(S)の水酸基価が25~190mgKOH/gである請求項1に記載のウレタン樹脂水性分散体。
  3. 前記ウレタン樹脂(U)中のスルホン酸塩基の濃度が、ウレタン樹脂(U)の重量を基準として、0.01~0.9mmоl/gである請求項1又は2に記載のウレタン樹脂水性分散体。
  4. 前記ウレタン樹脂(U)のウレタン基濃度が、ウレタン樹脂(U)の重量を基準として、0.5~3.0mmоl/gである請求項1~3のいずれか1項に記載のウレタン樹脂水性分散体。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のウレタン樹脂水性分散体を含有する組成物から得られる塗膜。
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