JP2021075519A - 選択的bace1阻害活性を有するテトラヒドロピラノオキサジン誘導体を含有する医薬組成物 - Google Patents

選択的bace1阻害活性を有するテトラヒドロピラノオキサジン誘導体を含有する医薬組成物 Download PDF

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元太 只野
愼司 鈴木
Shinji Suzuki
愼司 鈴木
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Kenichi Kusakabe
兼一 日下部
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Abstract

【課題】アミロイドβ産生抑制活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療または予防剤として有用な化合物を含有する医薬組成物を提供する。【解決手段】式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。(R3:ハロゲン、シアノ、アルキルオキシハロアルキルオキシ、非芳香族炭素環式基で置換されていてもよいアルキルなど。t:0〜3の整数。R5:H、ハロゲン。R6:H、ハロゲン、置換/非置換のアルキル。環B:置換/非置換ピラジンなど。)【選択図】なし

Description

本発明は、アミロイドβ産生抑制活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療または予防剤として有用な化合物を含有する医薬組成物に関する。
アルツハイマー病患者の脳内には、アミロイドβタンパク質と呼ばれる約40個のアミ
ノ酸からなるペプチドが神経細胞外に蓄積した不溶性の斑点(老人斑)が広範に認められ
る。この老人斑が神経細胞を死滅させることによりアルツハイマー病が発症すると考えられており、アルツハイマー病治療剤としてアミロイドβタンパク質の分解促進剤、およびアミロイドワクチン等が研究されている。
セクレターゼは、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)と呼ばれるタンパク質を細胞内で切断しアミロイドβタンパク質を生成させる酵素である。アミロイドβタンパク質のN末端の生成を制御する酵素はβセクレターゼ(beta−site APP−cleaving enzyme 1、BACE1)と呼ばれている。この酵素を阻害することによりアミロイドβタンパク質生成が低減し、アルツハイマー病の治療剤または予防剤になり得ると考えられる。
特許文献1〜10には本発明化合物と構造が類似した化合物が記載されている。これらの文献には、各化合物がアルツハイマー病、アルツハイマー関連症状、または糖尿病等の治療剤として有用である旨が開示されているが、実質的に開示された化合物は、いずれも本発明化合物とは異なる構造を有するものである。
日本特許公開2017/071603号 国際公開第2015/156421号 日本特許公開2014/101354号 国際公開第2014/065434号 国際公開第2014/001228号 国際公開第2013/041499号 米国特許公開第2013/0072478号 日本特許公開2012/250933号 国際公開第2012/107371号 国際公開第2011/071135号
本発明は、アミロイドβタンパク質の産生低減効果、特に選択的BACE1阻害活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療剤として有用な化合物を含有する医薬組成物を提供する。
本発明化合物は、選択的BACE1阻害活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される、アルツハイマー型認知症等の疾患の治療剤および/または予防剤として有用である。
本発明は、例えば、以下の項目に記載の発明を提供する。
(1)式(I):
Figure 2021075519

(式中、
は各々独立して、(ハロゲン、シアノ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシおよび非芳香族炭素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいアルキル;またはアルキルで置換されていてもよい複素環式基であり;
同一の炭素原子と結合している2個のRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、(ハロゲン、アルキルおよびハロアルキル)から選択される1以上の基で置換されていてもよい3〜5員環式の非芳香族炭素環を形成してもよく;
tは0〜3の整数であり;
は水素原子またはハロゲンであり;
は水素原子、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルであり;
Figure 2021075519

であり;
式中、R7aはハロゲン;シアノ;シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、非芳香族炭素環式基および芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよいアルキルオキシ;1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキル;シアノおよびハロゲンから選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基;シアノおよび芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族複素環式基;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいアルケニルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいアルキニルオキシ;または1以上のアルキルで置換されていてもよい芳香族複素環式基であり;および、
7bは水素原子、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、またはアミノである)で示される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(1)’式(I):
Figure 2021075519

(式中、
は各々独立して、(ハロゲン、シアノ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシまたは非芳香族炭素環式基)で置換されていてもよいアルキル;およびアルキルで置換されていてもよい芳香族複素環式基からなる群から選択され、
tは0〜3の整数であり;
は水素原子またはハロゲンであり;
は水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;
Figure 2021075519

であり;
式中、R7aはハロゲン;シアノ;シアノ、ハロゲン、ヒドロキシまたは芳香族複素環式基で置換されていてもよいアルキルオキシ;ハロゲンで置換されていてもよいアルキル;シアノまたはハロゲンで置換されていてもよい非芳香族炭素環式基;シアノまたは芳香族複素環式基で置換されていてもよい非芳香族複素環式基;芳香族複素環式基であり;および、
7bは水素原子、ハロゲン、アルキル、ハロアルキルまたはアミノである)で示される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
(2)
Figure 2021075519

である、項目(1)または(1)’記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(2)’
Figure 2021075519

である、項目(1)または(1)’記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(3)Rがフルオロまたはクロロである、項目(1)、(2)、(2)’および(1)’のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(3−2)Rがフルオロである、項目(1)、(2)、(2)’および(1)’のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(4)Rが水素原子またはフルオロである、項目(1)〜(3)、(1)’、(2)’および(3−2)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(4−2)Rが水素原子である、項目(4)記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(5)Rが各々独立して、1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルである、項目(1)〜(4)、(1)’、(2)’、(3−2)および(4−2)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(5−2)Rがメチルである、項目(5)記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(5−3)Rがハロメチルである、項目(5)記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(6)
Figure 2021075519

である、項目(1)〜(5)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)および(5−3)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(7)R7aが1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルオキシまたはシアノであり、R7bが水素原子、ハロゲン、またはアミノである、項目(1)〜(6)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)および(5−3)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(7−2)R7aが1以上のハロゲンで置換されていてもよいメチルオキシである、項目(7)記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(7−3)R7aがC1〜C2アルキルオキシである、項目(7)記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(7−4)R7aが1以上のハロゲンで置換されたC1〜C2アルキルオキシである、項目(7)記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(8)
Figure 2021075519

である、項目(1)〜(5)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)および(5−3)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(8−2)R7aが1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルであり、R7bが水素原子またはアルキルである、項目(1)〜(5)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)および(8)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(9)
Figure 2021075519

(式中、Rは1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキル)であり、
が水素原子であり、
がハロゲンであり、
Figure 2021075519

であり、および、
7aが1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルオキシである、項目(1)〜(8)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)および(8−2)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(9−2)化合物が式(IA):
Figure 2021075519

(式中、各記号は上記項目(1)と同義である)
で示される、項目(1)〜(9)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)および(8−2)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(9−2)’式(IB):
Figure 2021075519

(式中、各記号は上記項目(1)〜(9)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)および(8−2)のいずれかと同義である)で示される医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(9−3)化合物が式(IA):
Figure 2021075519

(式中、R7aは1以上のハロゲンで置換されていてもよいC1〜C3アルキルオキシであり;Rは1以上のハロゲンで置換されていてもよいC1〜C3アルキルであり;tは0または1である)で示される、項目(1)〜(9)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(9−2)’および(8−2)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(9−4)R7aがC1〜C2アルキルオキシである、項目(9)、(9−2)、(9−2)’および(9−3)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(9−5)R7aが1以上のハロゲンで置換されたC1〜C2アルキルオキシである、項目(9)、(9−2)、(9−2)’および(9−3)のいずれかに記載の医薬組成物、またはその製薬上許容される塩。
(10)
Figure 2021075519

からなる群から選択される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、項目(1)〜(9)、(9−2)’、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の医薬組成物。
(10)’
Figure 2021075519

からなる群から選択される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、上記(9−2)’記載の医薬組成物。
(10)’’ I−007、I−008、I−009、I−010、I−047、I−059、I−067およびI−076からなる群から選択される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、項目(1)〜(9)、(1)’、(2)’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の医薬組成物。
(10)’’’ 上記「化15」に記載のいずれかの化合物の光学異性体から選択される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、上記項目(10)’記載の医薬組成物。
(11)BACE1活性を阻害するための、項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の医薬組成物。
(12)項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
(13)アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病(prodromal Alzheimer’s disease)の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者(a patient asymptomatic at risk for Alzheimer dementia)における進行予防のための、項目(11)または(12)記載の医薬組成物。

(18)項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有するBACE1阻害剤。
(20)アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される疾患の治療または予防のための項目(11)または(12)記載の医薬組成物。
(24)アルツハイマー型認知症の治療または予防のための項目(11)または(12)記載の医薬組成物。
(28)項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の、経口投与のための医薬組成物。
(29)錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤またはチンキ剤である、(28)記載の医薬組成物。
(30)糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、ドライシロップ、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤である、(29)記載の医薬組成物。
(31)項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の、非経口投与のための医薬組成物。
(32)経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳または膣内投与のための、(31)記載の医薬組成物。
(33)注射剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤または坐剤である、(31)または(32)記載の医薬組成物。
(34)項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の、小児用または高齢者用の医薬組成物。
(35)項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩と、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA拮抗剤、またはその他のアルツハイマー型認知症のための医薬との組み合わせからなる医薬組成物。
(36)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA拮抗剤、またはその他のアルツハイマー型認知症のための医薬との併用療法のための、項目(1)〜(10)、(1)’、(2)’、(10)’、(10)’’、(10)’’’、(3−2)、(4−2)、(5−2)、(5−3)、(7−2)、(7−3)、(7−4)、(8−2)、(9−2)、(9−2)’、(9−3)、(9−4)および(9−5)のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する医薬組成物。
以下に、実施形態を参照して本発明を説明する。本明細書を通して、特に指定のない限り、単数形の表現はその複数形の概念を包含するものと理解すべきである。これに応じて、単数形の冠詞(例えば、英語における「a」、「an」、「the」等)は、特に指定のない限り、その複数形の概念を包含するものと理解すべきである。さらに、本明細書において用いられる用語は、特に指定のない限り、当該分野で普通に用いられている意味で用いられることを理解すべきである。したがって、特に断りのない限り、本明細書において用いられるすべての専門用語および科学用語は、本発明が関係する分野の当業者が一般的に理解するものと同一の意味を有する。矛盾がある場合、本明細書(定義を含む)が優先される。
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
本明細書中、「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
本明細書中、「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
本明細書中、「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を包含する。特にフッ素および塩素が好ましい。フッ素がより好ましい。
本明細書中、「アルキル」とは、炭素数1〜15、例えば炭素数1〜10、例えば炭素数1〜6、例えば炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1または2の直鎖または分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、およびn−デシル等を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、およびn−ペンチル等が挙げられる。
1つの態様として、「アルキル」とはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、またはtert−ブチルである。メチルが好ましい。
「ハロアルキル」という用語は、上記「アルキル」の1以上の炭素原子に結合している1以上の水素原子が1以上の上記「ハロゲン」と置換している基を包含する。例えば、
モノフルオロメチル、モノフルオロエチル、モノフルオロプロピル、
ジフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、
トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、
モノクロロメチル、モノクロロエチル、モノクロロプロピル、
ジクロロメチル、ジクロロエチル、ジクロロプロピル、
トリクロロメチル、トリクロロエチル、トリクロロプロピル、ペンタクロロプロピル、
1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、
1−クロロエチル、2−クロロエチル、1,1−ジクロロエチル、2,2−ジクロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、
1,2−ジブロモエチル、1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル、および2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル等が挙げられる。
例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、および2,2−ジフルオロエチル等が挙げられる。例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、および2,2−ジフルオロエチル等が挙げられる。ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよび2,2−ジフルオロエチルが好ましい。
「アルケニル」という用語は、可能な任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2〜15、例えば炭素数2〜10、例えば炭素数2〜6、例えば炭素数2〜4の直鎖または分枝状のアルケニルを包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、およびペンタデセニル等を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、およびブテニルが挙げられる。
「アルキニル」という用語は、任意選択の位置に1以上の三重結合を有する、炭素数2〜15、例えば炭素数2〜10、例えば炭素数2〜8、例えば炭素数2〜6、例えば炭素数2〜4の直鎖または分枝状のアルキニルを包含する。具体的には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、およびデシニル等が挙げられる。これらはさらに、可能な任意の位置に二重結合を有していてもよい。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、およびペンチニルが挙げられる。
「アルキレン」という用語は、炭素数1〜15、例えば炭素数1〜10、例えば炭素数1〜6、例えば炭素数1〜3の直鎖または分枝状の2価の炭素鎖を包含する。例えば、メチレン、ジメチレン、およびトリメチレン等が挙げられる。
式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物のアルキレンの1以上の水素原子は、水素原子の同位体H(重水素)と置換され得る。
「アルキルオキシ」という用語は、酸素原子が上記「アルキル」で置換されている基を包含する。例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、およびへキシルオキシ等が挙げられる。
1つの態様として、「アルキルオキシ」はメチルオキシ、エチルオキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシまたはtert−ブチルオキシである。
「アルケニルオキシ」という用語は、酸素原子が上記「アルケニル」で置換されている基を包含する。例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ、1−プロペニルオキシ、2−ブテニルオキシ、2−ペンテニルオキシ、2−ヘキセニルオキシ、2−ヘプテニルオキシ、および2−オクテニルオキシ等が挙げられる。
「アルキニルオキシ」という用語は、酸素原子が上記「アルキニル」で置換されている基を包含する。例えば、エチニルオキシ、1−プロピニルオキシ、2−プロピニルオキシ、2−ブチニルオキシ、2−ペンチニルオキシ、2−ヘキシニルオキシ、2−ヘプチニルオキシ、および2−オクチニルオキシ等が挙げられる。
1つの態様として、「アルキニルオキシ」はエチニルオキシ、1−プロピニルオキシおよび2−プロピニルオキシである。
「炭素環」という用語は、非芳香族炭素環および芳香族炭素環を包含する。
「非芳香族炭素環」という用語は、単環のまたは2環以上からなる、飽和炭素環または非芳香族不飽和炭素環を包含する。2環以上の「非芳香族炭素環」は、単環非芳香族炭素環または2環以上の非芳香族炭素環が、上記「芳香族炭素環」における環に縮合した縮合環式基を包含する。
さらに、「非芳香族炭素環」は、以下のように架橋している環式基、またはスピロ環を形成する環式基も包含する。
Figure 2021075519

「単環非芳香族炭素環」という用語は、炭素数3〜16、例えば炭素数3〜12、例えば炭素数3〜8、例えば炭素数3〜5の基を包含する。例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、およびシクロヘキサジエン等が挙げられる。
2環以上からなる非芳香族炭素環は炭素数6〜14の基を包含し、例えば、インダン、インデナン、アセナフタレン、テトラヒドロナフタレン、およびフルオレナン等が挙げられる。
「芳香族炭素環」という用語は、単環のまたは2環以上からなる、芳香族炭化水素環基を包含する。例えば、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、およびフェナントレン等が挙げられる。
1つの態様として、「芳香族炭素環」はベンゼンである。
1つの態様として、「炭素環」はシクロプロパン、シクロブタンおよびシクロペンタンである。
「複素環」という用語は、非芳香族複素環および芳香族複素環を包含する。
「非芳香族複素環」という用語は、O、SおよびNの原子から独立して選択される1以上のヘテロ原子を有する、単環のまたは2環以上からなる、非芳香族の基を包含する。
2環以上の「非芳香族複素環」は、単環の非芳香族複素環または2環以上の非芳香族複素環が、上記「芳香族炭素環」、「非芳香族炭素環」および/または「芳香族複素環」の環に縮合した縮合環式基を包含する。
さらに、「非芳香族複素環」は、以下のように架橋している環式基、またはスピロ環を形成する環式基も包含する。
Figure 2021075519

「単環の非芳香族複素環」という用語は、3〜8員環を包含し、例えば、4員、5員または6員環である。例えば、ジオキサン、チイラン、オキシラン、オキセタン、オキサチオラン、アゼチジン、チアン、チアゾリジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリニル、モルホリン、チオモルホリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロチアゾリン、テトラヒドロチアゾリン、テトラヒドロイソチアゾリン、ジヒドロオキサジン、ヘキサヒドロアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、テトラヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジオキソラン、ジオキサジン、アジリジン、ジオキソリン、オキセパン、チオラン、チイン、およびチアジン等が挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環としては、9〜14員環式基を包含し、例えば、インドリン、イソインドリン、クロマン、およびイソクロマン等が挙げられる。
「芳香族複素環」という用語は、O、SおよびNの原子から独立して選択される1以上のヘテロ原子を有する、単環のまたは2環以上からなる、芳香環を包含する。
2環以上の「芳香族複素環」は、単環の芳香族複素環式基または2環以上からなる非芳香族複素環式基が、上記「芳香族炭素環」に縮合した縮合環式基を包含する。
「単環の芳香族複素環」としては、5〜8員環式基を包含し、例えば5員または6員環である。例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール、トリアジン、テトラゾール、フラン、チオフェン、イソオキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イソチアゾール、チアゾール、およびチアジアゾール等が挙げられる。
2環の芳香族複素環としては、9〜10員環を包含し、例えばインドリン、イソインドリン、インダゾリン、インドリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、プリン、プテリジン、ベンズイミダゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンズオキサジアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、トリアゾロピリジン、イミダゾチアゾール、ピラジノピリダジン、オキサゾロピリジン、およびチアゾロピリジン等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環としては、13〜14員環式基を包含し、例えばカルバゾール、アクリジン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサチイン、フェノキサジン、およびジベンゾフラン等が挙げられる。
1つの態様として、「複素環」は1,4−オキサチアンである。
「置換もしくは非置換のアルキル」の置換基は、例えば以下の置換基群αから選択される1以上の基である。
置換基群αとは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、およびアルキルオキシからなる群である。
「置換もしくは非置換のアルキル」の置換基は、例えばハロゲン等である。
中の「置換もしくは非置換のアルキル」の置換基は、例えばハロゲン等である。
中の「置換もしくは非置換のアルキル」の置換基は、例えばハロゲン、アルキルオキシ等である。
「置換もしくは非置換のアルキルオキシ」の置換基は、例えば以下の置換基群βから選択される1以上の基である。
置換基群βとは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換されていてもよいアルキル(置換基:ヒドロキシ、非芳香族炭素環式基、シアノ非芳香族炭素環式基、ハロ非芳香族炭素環式基、非芳香族複素環式基、アルキル非芳香族複素環式基、ハロ非芳香族複素環式基、芳香族複素環式基)からなる群である。
中の「置換もしくは非置換のアルキルオキシ」の置換基は、例えばハロゲン等である。
中の「置換もしくは非置換のアルキルオキシ」の置換基は、例えばハロゲン、アルキルオキシ等である。
7a中の「置換もしくは非置換のアルキルオキシ」の置換基は、例えば置換されていてもよいアルキル(置換基:ヒドロキシ、非芳香族炭素環式基、シアノ非芳香族炭素環式基、ハロ非芳香族炭素環式基、非芳香族複素環式基、アルキル非芳香族複素環式基、ハロ非芳香族複素環式基、芳香族複素環式基)等である。
「置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基」および「置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基」は「オキソ」で置換されていてもよい。以下のように同一の炭素原子に結合する2個の水素原子がオキソと置換されている基を包含する。
Figure 2021075519
「置換もしくは非置換の炭素環」または「置換もしくは非置換の複素環」の置換基としては、置換基群αから選択される基が挙げられる。
式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物は、特定の異性体に限定するものではなく、すべての可能な異性体(例えば、ケト−エノール異性体、イミン−エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体、および回転異性体等)、ラセミ体およびそれらの混合物を含む。例えば式(I)で示される化合物は、以下のような互変異性体を包含する。
Figure 2021075519
本明細書において、以下の式で示される基:
Figure 2021075519

は、以下の式で示される基:
Figure 2021075519

を意味する。
式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物の1以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体と置換し得る。同位体の例としては、それぞれH(D)、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体が包含される。式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物は、そのような同位体と置換した化合物も包含する。そのような同位体と置換した化合物は、医薬品としても有用であり、式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物のすべての放射標識化合物を包含する。また該「放射標識化合物」を製造するための「放射標識方法」も本発明に包含され、代謝薬物動態研究、結合アッセイにおける研究および/または診断のツールとして有用である。
式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物の放射標識化合物は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、式(I)、(IA)または(IB)で示されるトリチウム標識化合物は、例えば、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)、(IA)または(IB)で示される特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含する。他のトリチウム標識化合物を調製するための適切な方法としては、Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)を参照できる。14C−標識化合物は、14C炭素を有する出発物質を用いることによって調製できる。
式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、およびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、およびバリウム)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、および鉄)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン)およびアミノ酸との塩、ならびに無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、およびヨウ化水素酸)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、およびエタンスルホン酸)との塩が挙げられる。特に塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、コハク酸、またはメタンスルホン酸との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
本発明の式(I)、(IA)もしくは(IB)で示される化合物またはそれらの製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)および/または結晶多形を形成する場合がある。本発明はそのような各種の溶媒和物および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物に任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)が配位したものでもよい。式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、大気中に放置することにより、化合物が水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、再結晶することでそれらの結晶多形を生成する場合がある。
本発明の式(I)、(IA)もしくは(IB)でと示される化合物またはそれらの製薬上許容される塩は、プロドラッグを形成する場合がある。本発明はそのような各種のプロドラッグも包含する。プロドラッグとは、化学的または代謝的に分解できる基を有する本発明化合物の誘導体であり、加溶媒分解によりまたは生体内の生理条件下で薬学的に活性な本発明化合物に変換される化合物である。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素的に酸化、還元、加水分解などを受けて式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物に変換される化合物、胃酸などにより加水分解されて式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物に変換される化合物等を包含する。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および調製する方法は、例えばDesign of Prodrugs, Elsevier, Amsterdam 1985に記載されている。プロドラッグは、それ自身が活性化合物である場合がある。
式(I)、(IA)もしくは(IB)で示される化合物またはそれらの製薬上許容される塩がヒドロキシ基を有する場合は、例えば、ヒドロキシ基を有する化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物、適当なスルホニルクロライド、適当なスルホニルアンハイドライドおよびミックスドアンハイドライドとを反応させることにより、または縮合剤を用いて反応させることにより調製し得るアシルオキシ誘導体やスルホニルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、CHCOO、CCOO、t−BuCOO、C1531COO、PhCOO、(m−NaOOCPh)COO、NaOOCCHCHCOO、CHCH(NH)COO、CHN(CHCOO、CHSO 、CHCHSO 、CFSO 、CHFSO 、CFCHSO 、p−CHO−PhSO 、PhSO 、およびp−CHPhSO 等が挙げられる。
式(I)、(IA)または(IB)で示される化合物は、当業者にとって既知の合成方法とともに、下記に記載の方法を用いて調製すればよい。
出発物質は市販品であるか、または既知の方法に従って調製すればよい。
下記の合成のいずれの間でも、いずれの分子でも、感応性または反応性の置換基を保護することが必要な、または好ましい場合がある。この場合、Greene’s Protective Group in Organic Synthesis, John Wily & Sons,2007に記載のもの等の従来の保護基を用いることにより、これらの保護を実施できる。
下記の化合物は、ジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの混合物として生成するが、そうした混合物は、続く手順の適切な段階で、従来の技術、例えば結晶化、シリカゲルクロマトグラフィー、キラルまたはアキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびキラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いて分離して、本発明の単一エナンチオマーを与え得ることは、当業者であれば理解されよう。
下記すべての工程について、実施する工程の順序を適宜変更することができる。各工程において、各中間体を単離し、次いで、次工程に用いてもよい。反応時間、反応温度、溶媒、試薬、および保護基等はすべて単なる例示であり、反応に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。
一般手順A
Figure 2021075519

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、その他の記号は上記(1)と同義である。)
一般合成法Aは、化合物A−1から工程1〜工程8の複数工程を経て化合物A−9で示される化合物を調製する方法である。後の工程で用いられる反応条件に応じて保護基Pが選択できることは、当業者であれば理解できる。
工程1
1,3−双極子付加環化(1,3−dipolar cycloaddition)により化合物A−2を調製することができる。このような反応はJ.Am.Chem.Soc.,1960,82,5339−5342またはJ.Org.Chem.1998,63、5272−5274記載の条件と類似の条件を用いることで実施できる。この1,3−双極子付加環化は、環状化合物A−1と、例えばフェニルイソシアネート、フェニルジイソシアネートまたは(Boc)Oなどの適切な脱水剤、および例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンなどの適切な塩基を使用して、対応するニトロアルカンから反応系内で生成された対応するニトリルオキシドによって実施することができる。別法として、ニトリルオキシドは、対応する塩化ヒドロキシモイルから、例えば、トリエチルアミン、ジプロピルエチルアミン、またはN−メチルモルホリン等の適当な塩基を用いて反応系内で生成できる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温〜120℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程2
適当なアリールリチウム試薬またはGrignard試薬を化合物A−2に求核付加することにより、化合物A−3を調製することができる。このような反応はJ.Am.Chem.Soc.,2005,127,5376−5384記載の条件と類似の条件を用いることで実施できる。好ましくは、アリールリチウム試薬またはGrignard試薬は、例えば、n−、sec−もしくはtert−ブチルリチウム、臭化イソプロピルマグネシウムまたは金属マグネシウム等の適当な塩基を用いて対応する芳香族ハライドから調製でき、次いでこれを例えばBF−OEtなどのルイス酸とともに化合物A−2と反応させて化合物A−3を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−78℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程3
化合物A−3のN−O結合を還元開裂反応することにより、化合物A−4を調製することができる。この還元開裂は、酢酸、ギ酸、または塩酸等の適当な酸とともに亜鉛を用いて実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−20℃〜溶媒還流温度である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
別法として、この反応は、水素下で酸化白金などの金属触媒を用いて実施することもできる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、水およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温〜50℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
さらに、このような反応は水素化アルミニウムリチウムを用いて実施することもできる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテルおよびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−20℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程4
化合物A−4から反応系内で対応するチオ尿素を形成し、続く環化反応により、、化合物A−5を調製することができる。このような反応は当業者にとって既知であり、国際公開第2014/065434号に記載の条件下で実施できる。チオ尿素は、例えばベンゾイルイソチオシアネート、またはベンジルイソチオシアネート等の適当なイソチオシアネートを用いて化合物A−4から反応系内で得ることができ、次いで、例えばm−CPBA、過酸化水素、またはカルボジイミド試薬(例えばDCC、DICまたはEDC)などの試薬を加えて環化させることができる。別法として、ヨウ化メチルなどのアルキル化剤、および水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどの適当な塩基を用いてもこの環化反応を実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常0℃〜60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程5
化合物A−5の脱保護により、化合物A-6を調製することができる。このような脱保護反応は当業者にとって既知であり、Green’s Protective Groups in Organic Synthesis,第4版に記載の条件下で実施できる。保護基がベンゾイルの場合、硫酸、もしくは塩酸などの酸性条件下で、またはヒドラジン、DBU、もしくは水酸化ナトリウムなどの塩基条件下で脱保護反応を実施できる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、トルエン、ベンゼンおよびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温〜100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程6
化合物A−6のニトロ化により、化合物A−7を調製することができる。典型的な手順は、、硫酸およびトリフルオロ酢酸に溶解した化合物A6を、例えば硝酸カリウムまたは硝酸などのニトロニウムイオン源で処理することである。反応温度は、好ましくは−20℃〜0℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。
工程7
化合物A−7の還元により、化合物A−8を調製することができる。還元は、水素雰囲気下で、例えばパラジウム炭素などの適切な触媒によって、または、例えば鉄、亜鉛もしくは塩化スズ(II)などの還元剤を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常、室温〜80℃であり、好ましくは室温〜60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程8
化合物A−8の適当な酸性塩を対応するカルボン酸とアミドカップリング反応させることにより、化合物A−9を調製することができる。化合物Aの酸性塩は、縮合反応を行う前に、HCl等の適切な酸1当量で調製することができる。この反応は、当業者に既知の方法で実施することができ、適切なカップリング条件はChem.Rev.2011、111、6557−6602に記載されており、a)縮合剤を用いる反応;b)酸クロリドまたは酸フルオリドを用いる反応、を包含する。このような反応は、アニリン位置で化学選択的アミドカップリングさせるために、塩基を加えることなしに実施しなければならない。
反応a)は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC塩酸塩)、O−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、および1H−(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリ(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)などの縮合剤を用いて実施できる。HATUおよびPyBOPなどのウロニウム塩またはホスホニウム塩を用いる場合、反応はトリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミンなどの塩基存在下で行うことができる。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)および1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール(HOAt)などの触媒の使用により、本反応を促進できる場合がある。反応に用いる溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、およびテトラヒドロフランを包含する。反応温度は通常0℃〜50℃であり、好ましくは室温である。
反応b)は、市販の酸クロライドまたは当業者に既知の方法を用いて合成したものを用い、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、および酢酸エチルなどの溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどの塩基存在下で行うことができる。反応温度は通常0℃〜60℃であり、好ましくは0℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは20分〜6時間である。
一般合成法B
Figure 2021075519

(式中、R’およびR’’は各々独立して、(ハロゲン、シアノ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシまたは非芳香族炭素環式基)で置換されていてもよいアルキル、および、アルキルで置換されていてもよい複素環式基からなる群から選択され、その他の記号は前記と同義である)
一般合成法Bは、化合物B−1から複数工程を経て、化合物B−5を調製する方法である。化合物B−4を用い、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物B−5を調製することができる。
工程1
1,3−双極子付加環化により、化合物B−2を調製することができる。このような反応はJ.Am.Chem.Soc.,1960,82,5339−5342またはJ.Org.Chem.1998,63、5272−5274記載の条件と類似の条件を用いることで実施できる。この1,3−双極子付加環化は、環状化合物B−1と、例えばフェニルイソシアネート、フェニルジイソシアネートまたは(Boc)Oなどの適切な脱水剤、および例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN−メチルモルホリンなどの適切な塩基を使用して対応するニトロアルカンから反応系内で生成された対応するニトリルオキシドによって実施することができる。また、別法として、ニトリルオキシドは、対応する塩化ヒドロキシモイルと、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはN−メチルモルホリン等の適当な塩基から反応系内で生成できる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは室温〜120℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程2
’が水素原子である場合、化合物B−2のカルボニル還元によって化合物B−3を調製することができる。このような反応は、例えばDIBAL−H、水素化リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウム、または水素化ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムなどの適切な金属水素化物を使用して、化合物B−2に求核水素化物付加させることによって実施することができる。本工程に用いる反応溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−78℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
’が水素原子以外である場合、化合物B−2への求核付加反応によって化合物B−3を調製することができる。このような反応は、例えば有機リチウム、マグネシウム、亜鉛、またはシリル試薬などの適切な求核試薬を使用して、例えばBF−OEt、AlCl、またはTiClなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−78℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程3
’’が水素原子である場合、化合物B−3の還元によって化合物B−4を調製することができる。このような反応は、トリエチルシラン、水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤を使用して、BF−OEtなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−20℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
’’が水素原子以外である場合、化合物B−2への求核付加反応によって化合物B−4を調製することができる。このような反応は、例えば有機リチウム、マグネシウム、亜鉛、またはシリル試薬などの適切な求核試薬を使用して、例えばBF−OEt、AlCl、またはTiClなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−78℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
一般合成法C
Figure 2021075519

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、R’’’はエチルまたはシクロプロピルであり、その他の記号は上記(1)と同義である。)
一般合成法Cは、化合物B−1から複数工程を経て、化合物C−5を調製する方法である。化合物C−2およびC−5から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物C−3および化合物C−5を調製することができる。
工程1
アリル部位を化合物B−2のカルボニル基に求核付加することにより、化合物C−1を調製することができる。このような反応は、例えばアリルシラン、リチウム、マグネシウム、亜鉛試薬などの適切な市販の、または反応系内で生成したアリル試薬を使用して、例えばBF−OEt、AlCl、またはTiClなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−78℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程2
化合物C−1の還元により、化合物C−2を調製することができる。このような反応は、トリエチルシラン、または水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤を使用して、BF−OEtなどのルイス酸の存在下または非存在下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−20℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程3
’’’がエチルである場合、化合物C−4の水素化によって化合物C−5を得ることができる。水素化は、例えばパラジウム炭素などの適切な触媒を水素雰囲気下で使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常、室温〜80℃であり、好ましくは室温〜60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
’’’がシクロプロピルである場合、化合物C−4のシクロプロパン化によって化合物C−5を得ることができる。このような反応は、ジアゾメタンなどの適切な試薬を使用して、適切な触媒の存在下もしくは非存在下で、または、例えばジヨードメタンとジエチル亜鉛などのシモンズ−スミス反応条件下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、またはそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は通常−30℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
一般合成法D
Figure 2021075519

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、R’’’’は、(フッ素またはアルキルオキシ)で置換されたアルキルであり、その他の記号は上記(1)と同義である。)
一般合成法Dは、化合物C−3から複数工程を経て、化合物D−3を調製する方法である。化合物D−2から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物D−3を調製することができる。
工程1
化合物C−3をオゾン分解させ、得られたアルデヒドの還元反応を行うことにより、化合物D−1を調製することができる。このような反応は、当業者にとって既知の方法によって実施することができる。オゾン分解は、オゾン雰囲気下、ジクロロメタン、メタノール、およびそれらの混合溶媒などの適切な溶媒中において実施でき、また、窒素雰囲気下トリフェニルホスフィン、ピリジン、ジメチルスルフィド、およびトリメチルアミンなどの適切な試薬を用いて還元的後処理を実施することができる。オゾニドを生成させるための温度は好ましくは−78℃であり、次いで還元的後処理のために室温に昇温させてもよい。反応時間は特に限定されないが、通常30分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。得られたアルデヒドの還元反応は、水素化ホウ素ナトリウム、または水素化アルミニウムリチウムなどの適切な還元剤を使用してワンポットで実施することができる。反応温度は、好ましくは0℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常30分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。
工程2
’’’’がCF、CHFまたはCHFである場合、一連の2工程:化合物D−1を酸化してアルデヒドもしくはカルボン酸を生成し、後続してフッ素化を行うか、または化合物D−1を直接フッ素化することにより、化合物D−2を得ることができる。このような反応は、当業者にとって既知の方法によって実施することができる。例えば、TEMPO、Dess−Martin、またはSwern酸化などの適切な酸化条件下で化合物D−1を酸化させて対応するアルデヒドを得ることができる。対応するカルボン酸は、得られたアルデヒドの酸化反応により、または例えばPinnick、TEMPO、またはJones酸化などの適切な条件を用いて化合物D−1を直接酸化させることにより得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。反応温度は通常−78℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。フッ素化反応は、例えばDAST、Deoxofluor、または四フッ化硫黄などの適切な試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−78℃〜50℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
’’’がアルキルオキシである場合、化合物D−1の末端アルコールのアルキル化によって化合物D−2を得ることができる。このような反応は、水素化ナトリウムなどの適切な塩基と、アルキルハライド、メシレート、またはトリフレートなどの対応する求電子試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、DMF、DMA、DMSO、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
一般合成法E
Figure 2021075519

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、R’’’’’はエチルまたはシクロプロピルであり、Xはハロゲン、メシレート、またはトリフレートなどの脱離基であり、その他の記号は上記(1)と同義である。)
一般合成法Eは、化合物D−1から複数工程を経て、化合物E−4を調製する方法である。化合物E−2から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物E−4を調製することができる。
工程1
化合物D−1の末端アルコールを脱離基に変換することにより、化合物E−1を調製することができる。このような反応は、当業者にとって既知の方法によって実施することができる。例えばSOX、POX(X=ClもしくはBr)を使用するような適切なハロゲン化条件、またはトリフェニルホスフィンとCX(X=ClもしくはBr)もしくはヨウ素などのAppel反応条件下で化合物E−1を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程2
化合物D−1の末端アルコールを脱離基に変換することにより、化合物E−2を調製することができる。このような反応は、当業者にとって既知の方法によって実施することができる。例えばSOX、POX(X=ClもしくはBr)を使用するような適切なハロゲン化条件、またはトリフェニルホスフィンとCX(X=ClもしくはBr)もしくはヨウ素などのAppel反応条件下で化合物E−1を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程3
化合物E−1の脱離反応により、化合物E−2を合成することができる。このような反応は、当業者にとって既知の方法によって実施することができる。例えばナトリウムもしくはカリウムtert−ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、またはピリジンなどの適切な塩基を使用して化合物E−2を得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃〜60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
工程4
’’’’’がエチルである場合、化合物E−2の水素化によって化合物E−3を得ることができる。水素化は、例えばパラジウム炭素などの適切な触媒を水素雰囲気下で使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、水、それらの混合溶媒を包含する。反応温度は、通常、室温〜80℃であり、好ましくは室温〜60℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
’’’’’がシクロプロピルである場合、化合物C−4のシクロプロパン化によって化合物E−3を得ることができる。このような反応は、ジアゾメタンなどの適切な試薬を使用して、適切な触媒の存在下もしくは非存在下で、または、例えばジヨードメタンとジエチル亜鉛などのシモンズ−スミス反応条件下で実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、またはそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は通常−30℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
一般合成法F
Figure 2021075519

(式中、Pはベンゾイル、またはベンジルなどの保護基であり、R’’’’’’はフッ素またはアルキルオキシで置換されたアルキルであり、その他の記号は前記と同義である)
一般合成法Fは、化合物E2から複数工程を経て、化合物F−3を調製する方法である。化合物F−2から、一般合成法Aに記載の方法に従って化合物F−3を調製することができる。
工程1
化合物F−3をオゾン分解させ、得られたアルデヒドの還元反応を行うことにより、化合物F−1を調製することができる。このような反応は、当業者にとって既知の方法によって実施することができる。オゾン分解は、オゾン雰囲気下、ジクロロメタン、メタノール、およびそれらの混合溶媒などの適切な溶媒中において実施でき、また、窒素雰囲気下トリフェニルホスフィン、ピリジン、ジメチルスルフィド、およびトリメチルアミンなどの適切な試薬を用いて還元的後処理を実施することができる。オゾニドを生成させるための温度は好ましくは−78℃であり、次いで還元的後処理のために室温に昇温させてもよい。反応時間は特に限定されないが、通常30分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。得られたアルデヒドの還元反応は、水素化ホウ素ナトリウム、または水素化アルミニウムリチウムなどの適切な還元剤を使用してワンポットで実施することができる。反応温度は、好ましくは0℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常30分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。
工程2
’’’’’’がCF、CHFまたはCHFである場合、一連の2工程:化合物F−1を酸化してアルデヒドもしくはカルボン酸を生成し、フッ素化を行うか、または化合物F−1を直接フッ素化することにより、化合物F−2を得ることができる。このような反応は、当業者にとって既知の方法によって実施することができる。例えば、TEMPO、Dess−Martin、またはSwern酸化などの適切な酸化条件下で化合物F−1を酸化させて対応するアルデヒドを得ることができる。対応するカルボン酸は、得られたアルデヒドの酸化反応により、または例えばPinnick、TEMPO、Jones酸化などの適切な条件を用いて化合物F−1を直接酸化させることにより得ることができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。反応温度は通常−78℃〜室温である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。フッ素化反応は、例えばDAST、Deoxofluor、または四フッ化硫黄などの適切な試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは−78℃〜50℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
’’’’’’がアルキルオキシである場合、化合物F−1の末端アルコールのアルキル化によって化合物F−2を得ることができる。このような反応は、水素化ナトリウムなどの適切な塩基と、アルキルハライド、メシレート、またはトリフレートなどの対応する求電子試薬を使用して実施することができる。本工程に用いる溶媒は、反応を阻害しなければ特に限定されない。溶媒の例としては、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、DMF、DMA、DMSO、トルエン、およびそれらの混合溶媒を包含する。反応温度は、好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は特に限定されないが、通常5分〜24時間であり、好ましくは30分〜24時間である。
本発明化合物は、BACE1阻害活性を有し、アミロイドβタンパク質の産生、分泌または沈着により誘発される疾患の治療および/または予防、症状改善ならびに進行予防に有効である。このような疾患の例としては、アルツハイマー病、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー型老年認知症、軽度認知障害(MCI)、前駆期アルツハイマー病(例えばアルツハイマー病によるMCI等)、ダウン症、記憶障害、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病)、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血、脳アミロイド血管障害、他の変性認知症、アルツハイマー病と血管性認知症の併発などの混合型認知症、パーキンソン病に随伴する認知症、進行性核上麻痺に随伴する認知症、皮質基底核変性症に随伴する認知症、びまん性レビー小体型アルツハイマー病、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、アミロイドアンジオパシー等である。
さらに、本発明化合物は、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の(前臨床期アルツハイマー病の)患者における進行予防にも有効である。
「アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者」は、認識的および機能的には正常であるが、アルツハイマー病の潜在的な超初期兆候もしくは加齢による典型的な変化がみられる(例えばMRIにおいて軽度の白質病変がみられる等)、ならびに/または、脳脊髄液Aβ1−42レベルが低いことによって示されるような、アミロイドの沈着のエビデンスがみられる投与対象を包含する。例えば、「アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者」は、臨床認知症評価法(CDR)もしくは臨床認知症評価法−日本版(CDR−J)のスコアが0である、および/または機能評価ステージ(Functional Assessment Staging, FAST)がステージ1もしくは2である投与対象を包含する。
本発明化合物は、BACE1阻害活性のみならず、医薬としての有用性を備えている。該化合物は、好ましくは下記のいずれか1以上の優れた特徴を有している。
a)CYP酵素、例えば、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4に対する阻害活性が弱い。
b)高いバイオアベイラビリティー、または低いクリアランス等良好な薬物動態を示す。
c)代謝安定性が高い。
d)CYP酵素、例えば、CYP3A4に対し、本明細書に記載する測定条件の濃度範囲内で不可逆的阻害を示さない。
e)変異原性を有さない。
f)心血管系のリスクが低い。
g)高い溶解性を示す。
h)脳移行性が高い。
i)経口吸収性が高い。
j)半減期が長い。
k)非タンパク結合率が高い。
l)Ames試験が陰性である。
m)BACE2に比してBACE1への選択性が高い。
n)CYP酵素に対するメカニズムベース阻害(mechanism based inhibition)が弱い。例えば、本化合物の反応性代謝物のCYP酵素に対する阻害が弱い。
o)反応性代謝物の生成量が少ない。
p)P−gp基質性が弱い。
本発明化合物は、BACE1に対する阻害活性が高い、および/または、他の酵素、例えばBACE2に対する選択性が高いため、副作用が軽減された医薬品となりうる。さらに細胞系でのアミロイドβ産生抑制効果が高い、特に脳内でのアミロイドβ産生抑制効果が高いため、優れた医薬品となりうる。さらに、本化合物を適切な立体化学を有する光学活性化合物とすることで、本化合物は副作用に対するより安全域の広い医薬品となりうる。
本発明の医薬組成物を投与する場合、経口または非経口で投与することができる。経口投与用組成物は、経口固形製剤(例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤等)、経口液体製剤(例えば懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤、チンキ剤等)などの通常用いられる剤形で投与することができ、また、通常用いられる方法に従って調製し、投与してもよい。錠剤は糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠、または口腔内崩壊錠でもよい。散剤および顆粒剤はドライシロップでもよい。カプセル剤はソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤でもよい。
非経口投与用組成物は、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳または膣内投与等の通常用いられる非経口剤形で好適に投与することができる。非経口投与の場合、注射剤、点滴剤、外用剤(例えば点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤、坐剤等)など、通常用いられるいずれの形態でも好ましく投与することができる。注射剤は、O/W、W/O、O/W/O、W/O/W型等のエマルジョンでもよい。
本発明化合物は経口吸収性が高いため、経口剤形として好ましく投与できる。
必要に応じ、製剤に適した賦形剤、結合剤、崩壊剤、および滑沢剤等の各種医薬用添加剤と、有効量の本発明化合物とを混合し、医薬組成物を製剤化することができる。さらに、本発明化合物の有効量、製剤および/または各種医薬添加剤を適宜変えることで、小児患者、高齢患者、重症例または手術用の医薬組成物としてもよい。小児用の医薬組成物は、12または15歳以下の患者に好ましく投与される。さらに、小児用の医薬組成物は、生後27日以内、生後28日〜23か月、2〜11歳、12〜16歳または18歳の患者に投与することができる。高齢者用の医薬組成物は、65歳以上の患者に好ましく投与できる。
本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢および体重、疾病の種類および程度、投与経路等を考慮した上で決定することが望ましい。成人への経口投与量は、通常0.05〜100mg/kg/日の範囲内であり、好ましくは0.1〜10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合、投与量は投与経路により大きく異なるが、通常0.005〜10mg/kg/日の範囲内であり、好ましくは0.01〜1mg/kg/日の範囲内である。該投与量を1日1回〜数回に分けて投与してもよい。
本発明化合物は、該化合物の活性の増強または該化合物の投与量の低減等を目的として、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤等の他のアルツハイマー病、アルツハイマー型認知症などの治療剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、一定時間をおいて投与してもよい。さらに、本発明化合物と併用薬剤とは、それぞれ活性成分を含む2種類の異なる組成物として投与してもよいし、両方の活性成分を含む単一の組成物として投与してもよい。
併用薬剤の用量は、臨床上用いられている用量を基準として適切に選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与の対象、投与経路、対象疾患、症状、組み合わせ等を考慮して適切に選択することができる。例えば、投与の対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部の範囲内で用いることができる。
併用薬剤としては、例えば、塩酸ドネペジル、タクリン、ガランタミン、リバスチグミン、ザナペジル、メマンチン、およびビンポセチン等が挙げられる。
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例より限定されるものではない。
実施例中で用いる略語は以下の意味を表す。
Ac: アセチル
Et: エチル
Bz: ベンゾイル
DCC: ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIC: ジイソプロピルカルボジイミド
iPr: イソプロピル
Me: メチル
Ph: フェニル
t−Bu: tert−ブチル
TBS: tert−ブチルジメチルシリル
AIBN: アゾビスイソブチロニトリル
ADDP: 1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン
AIBN: 2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
(Boc)O: ニ炭酸ジ−tert−ブチル
BOMCI: 塩化ベンジルクロロメチルエーテルオキシメチル
DAST: 三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄
DBU: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
DCM: ジクロロメタン
DEAD: アゾジカルボン酸ジエチル
DIAD: アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIBAL: 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA: N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMA: N,N−ジメチルアセトアミド
DMAP: 4−ジメチルアミノピリジン
DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
EDC: 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HATU: O−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOAt: 1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール
HOBt: 1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール
LDA: リチウムジイソプロピルアミド
LHMDS: リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
mCPBA: m−クロロ過安息香酸
NCS: N−クロロスクシンイミド
NMP: N−メチルピロリドン
PPTS: ピリジニウムp−トルエンスルホネート
PyBOP: 1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリ(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
TEMPO: 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル
TFA: トリフルオロ酢酸
THF: テトラヒドロフラン
THP: 2−テトラヒドロピラニル
H NMRスペクトルは、Bruker Advance 400MHz分光計により記録し、ケミカルシフトは、テトラメチルシランまたは残留溶媒ピーク(CDCl=7.26ppm、DMSO−d=2.50ppm)に対して示した。
分析LC/MS(ESI ポジティブまたはネガティブ、保持時間(RT))データは、Shimadzu UFLCまたはWaters UPLCシステムを用い、以下の条件で記録した。
メソッドA
カラム:XBridge(登録商標)C18(5μm、i.d.4.6×50mm)(Waters)
流速:3mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は0.1%ギ酸溶液であり、[B]はアセトニトリル溶媒中の0.1%ギ酸である。
グラジェント:溶媒[B]10%−100%のリニアグラジエントを3分間で行い、溶媒[B]100%を1分間維持した。
メソッドB
カラム:Shim−pack XR−ODS(2.2μm、i.d.50×3.0mm)(Shimadzu)
流速:1.6mL/分
カラムオーブン:50℃
UV検出波長:254nm
移動相:[A]0.1%ギ酸含有水溶液;[B]0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジェント:溶媒[B]10%−100%のリニアグラジエントを3分間で行い、溶媒[B]100%を1分間維持した。
メソッドC
カラム:BEH C18(1.7μm、2.1×50mm)(Waters)
流速:0.8mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は95%HO+5%CHCN中で10mMのCHCOONHであり、[B]はアセトニトリルである。
グラジェント:溶媒[B]5%−95%のリニアグラジエントを1.3分間で行い、溶媒[B]95%を0.7分間維持した。
メソッドD
カラム:HSS T3(1.8μm、2.1×100mm)(Waters)
流速:0.7mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は95%HO+5%CHCN中で10mMのCHCOONHであり、[B]はアセトニトリルである。
グラジェント:溶媒[B]0%−95%のリニアグラジエントを2.1分間で行い、溶媒[B]95%を0.5分間維持した。
化合物I−007の合成
Figure 2021075519

工程1:化合物7−2の合成
3,6−ジヒドロ−2H−ピラン 7−1(6.20g、73.7mmol)およびEtN(10.2ml、73.7mmol)のトルエン(60ml)溶液に、エチル(Z)−2−クロロ2−(ヒドロキシイミノ)アセテート(22.3g、147mmol)のトルエン(120ml)溶液を100℃で加えた。還流温度で4時間攪拌した後、反応混合液にEtN(10.2ml、73.7mmol)を加えた。還流温度で6時間攪拌した後、反応混合液に、エチル(Z)−2−クロロ2−(ヒドロキシイミノ)アセテート(11.2g、73.7mmol)およびEtN(10.2ml、73.7mmol)を加えた。還流温度で5時間攪拌した後、反応混合液に、エチル(Z)−2−クロロ2−(ヒドロキシイミノ)アセテート(5.58g、36.9mmol)およびEtN(5.1ml、36.9mmol)を加えた。還流温度で1時間攪拌した後、反応混合液を室温に冷却した。混合液にHOを加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを0%から40%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物7−2(5.10g、25.6mmol、35%)を橙色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.38 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.07-2.12 (2H, m), 3.43 (1H, dd, J = 14.6, 7.9 Hz), 3.55 (1H, dd, J = 11.8, 7.9 Hz), 3.66 (1H, dt, J = 15.7, 5.3 Hz), 3.77-3.82 (1H, m), 4.04 (1H, dd, J = 11.9, 6.3 Hz), 4.32-4.38 (2H, m), 4.78-4.83 (1H, m).
工程2:化合物7−3の合成
NaBH(3.26g、86.0mmol)のEtOH(140ml)溶液に、化合物7−2(14.3g、71.9mmol)のEtOH(140ml)溶液を0℃で加えた。反応混合液を40℃で3時間攪拌し、0℃でAcOHで処理した。反応混合液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを50%から70%で溶出した。集めた画分を蒸発させて、化合物7−3(7.24g、46.1mmol、64%)を無色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.88-2.08 (2H, m), 3.25 (1H, q, J = 6.9 Hz), 3.64-3.76 (3H, m), 3.94 (1H, dd, J = 12.0, 6.0 Hz), 4.44-4.49 (2H, m), 4.67-4.70 (1H, m).
工程3:化合物7−4の合成
化合物7−3(7.24g、46.1mmol)のCHCl(109ml)溶液に、90%DAST(13.5ml、92.0mmol)を−78℃で加えた。反応混合液を室温で2.5時間攪拌し、0℃で炭酸カリウム水溶液で処理した。混合液をCHClで抽出し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを20%から40%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、、化合物7−4(4.39g、27.6mmol、60%)を黄色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.91-2.02 (1H, m), 2.02-2.12 (1H, m), 3.29-3.31 (1H, m), 3.62 (1H, dd, J = 12.2, 7.0 Hz), 3.71 (2H, dd, J = 7.0, 4.5 Hz), 3.95 (1H, dd, J = 12.2, 6.0 Hz), 4.70-4.74 (1H, m), 5.12-5.23 (2H, m).
工程4:化合物7−5の合成
1−ブロモ−2−フルオロベンゼン(4.39g、27.6mmol)のトルエン(176mL)およびTHF(44mL)溶液に、n−BuLi(1.64Mのn−ヘキサン溶液、50.5mL、83.0mmol)を−78℃で加え、反応混合液を同温度で5分間攪拌した。反応混合液に、BF−OEt(4.2ml、33.1mmol)、および、化合物7−4(4.39g、27.6mmol)のトルエン(97mL)溶液を−78℃で加え、反応混合液を同温度で10分間攪拌した。反応混合液に、NHCl水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から20%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、、化合物7−5(4.91g、19.2mmol、70%)を黄色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.91-1.85 (2H, m), 2.89-2.95 (1H, m), 3.60-3.66 (1H, m), 3.69-3.74 (1H, m), 3.76-3.82 (1H, m), 4.01-4.04 (1H, m), 4.08-4.13 (2H, m), 4.54 (1H, dd, J = 47.9, 10.2 Hz), 5.04 (1H, dd, J = 47.2, 10.2 Hz), 6.46 (1H, br s), 7.03-7.09 (1H, m), 7.19-7.22 (1H, m), 7.28-7.34 (1H, m), 7.92-7.96 (1H, m).
工程5:化合物7−6の合成
化合物7−5(4.91g、19.2mmol)のAcOH(49ml)溶液に、Zn(12.6g、192mmol)を室温で加えた。60℃で1時間攪拌した後、反応混合液を室温に冷却し、セライト(登録商標)パッドでろ過した。ろ液に炭酸カリウム水溶液を加えた。混合液をセライト(登録商標)パッドでろ過し、ろ液をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAc50%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物7−6(3.80g、14.8mmol、77%)を無色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.51-1.55 (1H, m), 1.61-1.69 (1H, m), 2.38-2.43 (1H, m), 3.57 (1H, br s), 3.67 (1H, dd, J = 11.0, 5.1 Hz), 3.81-3.87 (1H, m), 3.94 (1H, t, J = 11.2 Hz), 4.02-4.07 (1H, m), 4.45 (1H, dd, J = 47.7, 9.3 Hz), 4.97 (1H, ddd, J = 48.1, 9.3, 3.7 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 12.4, 8.2 Hz), 7.22-7.24 (1H, m), 7.33-7.37 (1H, m), 7.62-7.63 (1H, m).
工程6:化合物7−7の合成
化合物7−6(3.80g、14.8mmol)のCHCl(38ml)溶液に、ベンゾイルイソチオシアナート(2.18ml、16.2mmol)を0℃で加えた。室温で19時間攪拌した後、反応混合液にEDC−HCl(5.66g、29.5mmol)を同温度で加えた。40℃で3時間攪拌した後、反応混合液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAc10%から40%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物7−7(4.22g、10.9mmol、74%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.85-1.93 (1H, m), 2.04-2.08 (1H, m), 2.87-2.92 (1H, m), 3.74 (1H, t, J = 11.7 Hz), 3.80-3.84 (2H, m), 4.04-4.09 (1H, m), 4.37 (1H, br s), 4.70-4.98 (2H, m), 7.13-7.25 (2H, m), 7.38-7.46 (4H, m), 7.51-7.54 (1H, m), 8.28 (2H, d, J = 7.5 Hz), 12.14 (1H, s).
工程7:化合物7−8の合成
化合物7−7(4.22g、10.9mmol)のMeOH(42ml)溶液に、DBU(1.81ml、12.0mmol)を室温で加えた。60℃で7時間攪拌した後、反応混合液に2mol/L HClおよびEtOを加えた。有機層をHOで逆抽出した。水層をKCOでアルカリ化(pH=8)し、AcOEtで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をCHClで粉末化して、化合物7−8(2.39g、8.47mmol、78%)を黄色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.71-1.85 (2H, m), 2.69-2.74 (1H, m), 3.58-3.65 (2H, m), 3.75 (1H, dd, J = 11.5, 5.0 Hz), 4.00-4.04 (2H, m), 4.25 (2H, s), 4.54-4.74 (2H, m), 7.04 (1H, dd, J = 12.3, 8.2 Hz), 7.14-7.17 (1H, m), 7.27-7.31 (1H, m), 7.43-7.47 (1H, m).
工程8:化合物7−9の合成
化合物7−8(3.00g、10.6mmol)のTFA(17.2ml)溶液に、硫酸(4.25ml、80mmol)を−15℃で加えた。同温度で10分間攪拌した後、反応混合液にHNO(0.712ml、15.9mmol)を加えた。同温で15分間攪拌した後、反混合応液をKCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、化合物7−9を淡黄色固体として得、精製することなしに次工程に使用した。
工程9:化合物7−10の合成
化合物7−9および10%Pd−C(674mg、3.00mmol)のMeOH(101ml)溶液を、H雰囲気下、室温で攪拌した。同温で2時間攪拌した後、混合液をセライト(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(キラルパック(登録商標)IC;0.1%のジエチルアミン入り40%エタノール)により精製して、化合物7−10(1.35g、4.56mmol、44%)を黄色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.71-1.85 (2H, m), 2.68-2.73 (1H, m), 3.55-3.64 (4H, m), 3.75 (1H, dd, J = 11.5, 5.1 Hz), 3.98-4.03 (1H, m), 4.07 (1H, br s), 4.25 (2H, br s), 4.49-4.72 (2H, m), 6.53-6.56 (1H, m), 6.74 (1H, dd, J = 6.7, 3.0 Hz), 6.83 (1H, dd, J = 11.7, 8.6 Hz).
工程10:化合物I−007の合成
化合物7−10(31.6mg、0.106mmol)のMeOH(2ml)溶液に、5−(フルオロメトキシ)ピラジン−2−カルボン酸(18.3mg、0.106mmol)および2mol/L HCl(0.053mL、0.106mmol)を0℃で加えた。反応混合液に、EDC−HCl(9.86mg、0.0370mmol)を同温度で加えた。室温で30分間攪拌した後、反応混合液をNaHCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出した。有機層をHOおよび食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をAcOEt/ヘキサンで粉末化して、化合物I−007(32.1mg、0.071mmol、67%)を黄色固体として得た。
MS (方法B) : m/z = 452 [M+H]+
1H NMR (CDCl3) δ: 1.73-1.84 (2H, m), 2.74-2.78 (1H, m), 3.58-3.66 (2H, m), 3.75-3.79 (1H, m), 4.00-4.05 (1H, m), 4.09 (1H, br s), 4.32 (2H, br s), 4.63 (2H, d, J = 46.9 Hz), 6.15 (2H, dd, J = 51.1, 7.5 Hz), 7.10 (1H, dd, J = 11.4, 9.0 Hz), 7.49 (1H, dd, J = 6.9, 2.6 Hz), 7.98-8.03 (1H, m), 8.29 (1H, s), 9.08 (1H, s), 9.50 (1H, s).
化合物I−008の合成
Figure 2021075519

工程1:化合物8−2の合成
既知の手順に従って調製した化合物8−1(4.10g、36.6mmol)およびフェニルイソシアネート(12.0ml、110mmol)のトルエン(80ml)溶液に、2−(2−ニトロエトキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(9.62g、54.9mmol)およびDIPEA(0.320ml、1.83mmol)のトルエン(30ml)溶液を110℃で加えた。還流温度で2時間攪拌した後、反応混合液に、DIPEA(0.639ml、3.66mmol)およびフェニルイソシアネート(12.0ml、110mmol)を加えた。還流温度で4時間攪拌した後、反応混合液を室温に冷却した。混合液をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から30%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物8−2(8.05g、29.9mmol、82%)を橙色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.41 (3H, dd, J = 6.3, 1.5 Hz), 1.60-1.74 (5H, m), 1.78-1.86 (2H, m), 2.17-2.21 (1H, m), 3.53-3.57 (1H, m), 3.82-3.94 (1H, m), 4.25 (1H, dd, J = 12.5, 6.9 Hz), 4.37-4.41 (1H, m), 4.50-4.59 (2H, m), 4.70-4.76 (1H, m), 5.07-5.11 (1H, m).
工程2:化合物8−3の合成
化合物8−2(8.05g、29.9mmol)のEtOH(81ml)溶液に、PPTS(1.50g、5.98mmol)を室温で加えた。60℃で2時間攪拌した後、反応混合液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から80%で溶出した。集めた画分を蒸発させて、化合物8−3(4.46g、29.9mmol、81%)を茶色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.44 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.83-1.91 (1H, m), 2.21-2.25 (1H, m), 2.47-2.50 (1H, m), 4.41 (1H, d, J = 10.9 Hz), 4.51 (2H, dd, J = 13.9, 6.7 Hz), 4.55-4.63 (1H, m), 5.06-5.10 (1H, m).
工程3:化合物8−4の合成
化合物8−3(4.93g、26.6mmol)のCHCl(49ml)溶液に、90%DAST(5.86ml、39.9mmol)を−78℃で加えた。反応混合液を室温で2時間攪拌し、炭酸カリウム水溶液で処理した。混合液をCHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを10%から30%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物8−4(4.50g、24.1mmol、90%)を黄色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.43 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.85-1.92 (1H, m), 2.25 (1H, d, J = 15.3 Hz), 4.39 (1H, dd, J = 11.0, 3.0 Hz), 4.54-4.58 (1H, m), 5.16-5.27 (3H, m).
工程4:化合物8−5の合成
化合物8−4(4.50g、24.1mmol)のCHCl(45ml)溶液に、DIBAL(1.03mol/Lのヘキサン溶液、24.5ml、10.9mmol)を−78℃で加えた。同温度で20分間攪拌した後、反応混合液にロッシェル塩を加えた。室温で3時間攪拌した後、混合液に2mol/L HCl(pH=4)を加えた。混合液にNaClを加え、次いでCHClおよびAcOEtで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%から50%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物8−5(2.65g、14.0mmol、58%)を白色固体のジアステレオマー混合物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.30 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.76-1.84 (1H, m), 2.11-2.15 (1H, m), 3.06 (1H, t, J = 7.7 Hz), 3.14 (1H, d, J = 4.5 Hz), 3.83-3.91 (1H, m), 4.71-4.74 (1H, m), 4.77 (1H, dd, J = 7.1, 4.7 Hz), 5.16-5.26 (2H, m).
工程5:化合物8−6の合成
化合物8−5(2.55g、13.5mmol)およびトリエチルシラン(10.8ml、67.5mmol)のDCM(41ml)およびMeCN(41ml)溶液に、BF−OEt(8.56ml、67.5mmol)を0℃で加えた。同温度で40分間攪拌した後、反応混合液を炭酸ナトリウム水溶液で処理した。水層をCHClで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、化合物8−6を黄色オイルとして得、精製することなしに次工程に使用した。
工程6:化合物8−7の合成
1−ブロモ−2−フルオロベンゼン(6.11g、34.9mmol)のトルエン(128mL)およびTHF(16mL)溶液に、n−BuLi(1.64Mのn−ヘキサン溶液、21.3mL、34.9mmol)を−78℃で加え、反応混合液を同温度で5分間攪拌した。反応混合液にBF−OEt(1.77ml、14.0mmol)を加えた。同温で10分間攪拌した後、混合液に、粗化合物8−6のTHF(16ml)およびトルエン(32ml)溶液を−78℃で加え、反応混合液を同温度で15分間攪拌した。反応混合液に、NHCl水溶液を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを0%から20%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物8−7(3.19g、11.8mmol、85%)を黄色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.18 (3H, d, J = 6.1 Hz), 1.45-1.54 (1H, m), 1.91-1.94 (1H, m), 2.89-2.95 (1H, m), 3.58-3.66 (1H, m), 3.68-3.76 (1H, m), 3.92-3.93 (1H, m), 4.15-4.21 (1H, m), 4.49 (1H, dd, J = 48.2, 10.4 Hz), 5.03 (1H, dd, J = 46.9, 10.4 Hz), 6.50 (1H, br s), 7.04-7.10 (1H, m), 7.19-7.23 (1H, m), 7.29-7.34 (1H, m), 7.90-7.94 (1H, m).
工程7:化合物8−8の合成
化合物8−7(3.19g、11.9mmol)のAcOH(31.9ml)溶液に、Zn(7.74g、118mmol)を室温で加えた。60℃で2時間攪拌した後、反応混合液を室温に冷却し、セライト(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を炭酸カリウム水溶液で処理し、混合液をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮して、化合物8−8(3.07g)を得、それ以上精製することなしに次反応に使用した。
工程8:化合物8−9の合成
粗化合物8−8(11.3g)のCHCl(30.7ml)溶液に、ベンゾイルイソチオシアネート(1.67ml、12.5mmol)を0℃で加えた。室温で14時間攪拌した後、反応混合液にEDC−HCl(4.34g、22.7mmol)を加えた。40℃で5時間攪拌した後、反応混合液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、CHCl/AcOEtを20%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物8−9(3.73g、9.32mmol、82%)を黄色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.20 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.50 (1H, td, J = 10.0, 4.8 Hz), 2.10-2.14 (1H, m), 2.83-2.86 (1H, m), 3.80 (1H, t, J = 11.7 Hz), 3.86-3.94 (1H, m), 4.07 (1H, dd, J = 12.7, 6.1 Hz), 4.36 (1H, br s), 4.70-4.82 (1H, m), 4.92 (1H, dd, J = 46.2, 9.5 Hz), 7.16 (1H, dd, J = 12.3, 8.3 Hz), 7.20-7.24 (1H, m), 7.38-7.46 (4H, m), 7.50-7.54 (1H, m), 8.27-8.29 (2H, m), 12.13 (1H, br s).
工程9:化合物8−10の合成
化合物8−9(3.73g、9.32mmol)のMeOH(37ml)およびTHF(37ml)溶液に、ヒドラジン水和物(4.53ml、93.0mmol)を室温で加えた。同温で14時間攪拌した後、反応混合液を濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを40%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物8−10(2.30g、7.77mmol、83%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.16 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.37-1.44 (1H, m), 1.82-1.77 (1H, m), 2.64-2.68 (1H, m), 3.65-3.73 (2H, m), 4.00-4.04 (2H, m), 4.25 (2H, br s), 4.59-4.71 (2H, m), 7.04 (1H, dd, J = 12.3, 8.0 Hz), 7.14-7.17 (1H, m), 7.29-7.31 (1H, m), 7.43-7.47 (1H, m).
工程10:化合物8−11の合成
化合物8−10(2.30g、7.76mmol)のTFA(12.6ml)溶液に、硫酸(3.10ml、58.2mmol)を−17℃で加えた。同温度で10分間攪拌した後、反応混合液にHNO(0.520ml、11.6mmol)を加えた。同温度で20分間攪拌した後、反応混合液をKCO水溶液で処理し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下で濃縮して、化合物8−11(2.83g)を得、それ以上精製することなしに次反応に使用した。
工程11:化合物8−12の合成
粗化合物8−11(2.83g、7.76mmol)および10%Pd−C(566mg)のMeOH(85ml)溶液を、H雰囲気下、室温で攪拌した。同温で2時間攪拌した後、混合液をセライト(登録商標)パッドでろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をAcOEtで粉末化し、次いで得られた固体を集め、AcOEtで洗浄し、減圧下で乾燥して、化合物8−12(1.50g、4.83mmol、62%)を白色固体として得た。ろ液を濃縮し、次いで残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルAcOEt/MeOH=10/1)により精製して、化合物8−12(374mg、1.20mmol、16%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.16 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.38-1.45 (1H, m), 1.78-1.83 (1H, m), 2.62-2.67 (1H, m), 3.58 (2H, br s), 3.62-3.73 (2H, m), 3.99-4.03 (1H, m), 4.07 (1H, br s), 4.23 (2H, br s), 4.51-4.71 (2H, m), 6.52-6.56 (1H, m), 6.74 (1H, dd, J = 6.7, 2.9 Hz), 6.83 (1H, dd, J = 11.8, 8.5 Hz).
工程12:化合物I−008の合成
化合物8−12(50.1mg、0.161mmol)のMeOH(3.0ml)溶液に、5−(フルオロメトキシ)ピラジン−2−カルボン酸(27.7mg、0.161mmol)および2mol/L HCl(0.080mL、0.177mmol)を0℃で加えた。反応混合液に、EDC−HCl(33.9mg、0.177mmol)を同温度で加えた。室温で30分間攪拌した後、反応混合液をNaHCO水溶液で処理した。水層をAcOEtで抽出した。有機層をHOおよび食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを50%から100%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮した。残渣をAcOEt/ヘキサンで粉砕して、化合物8−13(45.5mg、0.098mmol、61%)を白色固体として得た。
MS (メソッドB) : m/z = 466 [M+H]+
1H NMR (CDCl3) δ: 1.17 (3H, d, J = 6.0 Hz), 1.40-1.47 (1H, m), 1.80-1.84 (1H, m), 2.68-2.73 (1H, m), 3.65-3.74 (2H, m), 4.01-4.08 (2H, m), 4.32 (2H, br s), 4.64 (2H, d, J = 47.2 Hz), 6.07-6.23 (2H, m), 7.10 (1H, dd, J = 11.4, 8.7 Hz), 7.48 (1H, dd, J = 6.8, 2.8 Hz), 7.98-8.02 (1H, m), 8.29 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.08 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.51 (1H, br s).
化合物I−009の合成
Figure 2021075519

工程1:化合物9−5の合成
化合物9−5は、上記プロトコル(実施例7の工程1から工程4)と類似の方法で化合物9−1から合成した。
工程2:化合物9−6の合成
化合物9−5(8.85g、50.50mmol)およびアリルトリメチルシラン(28.90g、253.0mmol)のCHCl(177ml)およびMeOH(177ml)混合溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(32.0ml、253.0mmol)を0℃で加えた。混合液を室温で1時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で処理した。混合液をEtOAcで抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを30%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物9−6(6.43g、32.28mmol、64%)を無色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 2.04-2.07 (2H, m), 2.25-2.32 (1H, m), 2.50 (1H, d, J = 16.2 Hz), 2.98 (1H, dd, J = 9.6, 7.7 Hz), 3.29-3.34 (1H, m), 3.59 (1H, td, J = 11.1, 4.6 Hz), 3.91-3.95 (1H, m), 4.57-4.60 (1H, m), 5.05-5.26 (4H, m), 5.82-5.92 (1H, m).
工程3:化合物9−7の合成
化合物9−7は、上記プロトコル(実施例1の工程7)と同様の方法で調製した(収率:63%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.78-1.89 (2H, m), 2.33-2.41 (1H, m), 2.58-2.67 (2H, m), 3.53 (1H, td, J = 11.0, 5.1 Hz), 3.77 (2H, ddd, J = 11.0, 7.4, 5.1 Hz), 3.95 (1H, dd, J = 7.4, 3.4 Hz), 4.48 (1H, dd, J = 48.9, 11.0 Hz), 5.08-5.22 (3H, m), 5.93-6.03 (1H, m), 6.50 (1H, d, J = 3.1 Hz), 7.04-7.07 (1H, m), 7.21 (1H, td, J = 7.9, 1.8 Hz), 7.29-7.35 (1H, m), 7.94 (1H, td, J = 7.9, 1.8 Hz).
工程4:化合物9−8の合成
化合物9−8は、上記プロトコル(実施例1の工程8)と同様の方法で調製した(収率:未精製)。
MS (メソッドB) : m/z = 298 [M+H]+.
工程5:化合物9−9の合成
化合物9−9は、上記プロトコル(実施例1の工程9)と同様の方法で調製した(収率:70%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.76-1.84 (1H, m), 2.01-2.06 (1H, m), 2.38-2.45 (1H, m), 2.59 (2H, dt, J = 13.6, 5.5 Hz), 3.84 (3H, tt, J = 13.6, 5.5 Hz), 4.41 (1H, d, J = 2.8 Hz), 4.90-5.00 (2H, m), 5.17-5.20 (2H, m), 5.92-6.03 (1H, m), 7.12-7.24 (2H, m), 7.38-7.46 (4H, m), 7.53-7.58 (1H, m), 8.28 (2H, t, J = 4.1 Hz), 12.10 (1H, s).
工程6:化合物9−10の合成
化合物9−9(6.40g、15.01mmol)のCHCl(224ml)溶液中に−78℃でOをバブリングさせた。1.5時間後、反応温度を徐々に室温まで上げながら、1.5時間、この溶液中にNをバブリングさせた。PPh(9.05g、34.50mmol)を加え、得られた混合液を室温で攪拌した。1時間後、MeOH(64ml)およびNaBH(1.70g、45.0mmol)を0℃で加えた。室温で1時間攪拌した後、反応混合液を飽和NHCl水溶液でクエンチした。混合液をEtOAcで抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、ヘキサン/EtOAcを70%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物9−10(4.84g、11.24mmol、75%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.78-1.97 (2H, m), 2.08 (1H, t, J = 1.8 Hz), 2.41-2.44 (1H, m), 2.59 (1H, dd, J = 10.3, 2.4 Hz), 3.84-3.89 (5H, m), 4.04 (1H, t, J = 10.3 Hz), 4.41 (1H, d, J = 2.4 Hz), 4.91 (2H, d, J = 46.7 Hz), 7.17 (1H, dd, J = 12.4, 8.0 Hz), 7.21-7.25 (1H, m), 7.38-7.54 (5H, m), 8.28 (2H, t, J = 4.3 Hz), 12.09 (1H, s).
工程7:化合物9−11の合成
化合物9−10(4.41g、10.25mmol)のTHF(88ml)溶液に、PPh(5.37g、20.49mmol)、イミダゾール(1.40g、20.49mmol)およびヨウ素(5.20g、20.49mmol)を0℃で加えた。混合液を同温度で1時間攪拌し、2%NaHSO水溶液で処理した。混合液をEtOAcで抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに付し、CHCl/EtOAcを20%で溶出した。集めた画分を減圧下で濃縮し、化合物9−11(5.22g、9.66mmol、94%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.75-1.87 (1H, m), 2.07-2.16 (2H, m), 2.23-2.31 (1H, m), 2.52 (1H, d, J = 8.0 Hz), 3.35-3.39 (2H, m), 3.78-3.84 (3H, m), 4.40 (1H, d, J = 2.8 Hz), 4.90 (2H, d, J = 46.7 Hz), 7.16 (1H, dd, J = 12.5, 8.0 Hz), 7.23 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.42-7.51 (5H, m), 8.29 (2H, d, J = 7.3 Hz), 12.13 (1H, s).
工程8:化合物9−12の合成
化合物9−12は、上記プロトコル(実施例1の工程11)と同様の方法で調製した(収率:98%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.84-1.88 (1H, m), 2.05-2.07 (1H, m), 2.70 (1H, dd, J = 10.3, 1.8 Hz), 3.85-3.97 (2H, m), 4.13-4.18 (1H, m), 4.43 (1H, d, J = 2.8 Hz), 4.70-4.97 (2H, m), 5.54 (2H, dd, J = 38.6, 13.7 Hz), 6.00-6.09 (1H, m), 7.16-7.21 (2H, m), 7.38-7.47 (4H, m), 7.53 (1H, tt, J = 7.3, 1.7 Hz), 8.29-8.30 (2H, m), 12.13 (1H, s).
工程9:化合物9−13の合成
化合物9−13は、上記プロトコル(実施例2の工程1)と同様の方法で調製した。生成物は精製することなしに次工程に使用したため、収率は決定されなかった。
MS (メソッドB) : m/z = 415 [M+H]+.
工程10:化合物9−14の合成
化合物9−14は、上記プロトコル(実施例1の工程15)と同様の方法で調製した。生成物は精製することなしに次工程に使用したため、収率は決定されなかった。
MS (メソッドB) : m/z = 311 [M+H]+.
工程11:化合物9−15の合成
化合物9−15は、上記プロトコル(実施例1の工程16)と同様の方法で調製した。生成物は精製することなしに次工程に使用したため、収率は決定されなかった。
MS (メソッドB) : m/z = 356 [M+H]+.
工程12:化合物9−16の合成
化合物16は、上記プロトコル(実施例1の工程17)と同様の方法で調製した。粗生成物を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(キラルパック(登録商標)IC;40%エタノール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物9−16(収率:36%、4工程)を得た。
MS (メソッドB) : m/z = 326 [M+H]+.
工程13:化合物I−009の合成
化合物I−009は、上記プロトコル(実施例1の工程18)と類似の方法で調製した(収率:77%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.06 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.56-1.89 (4H, m), 2.41 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.61-3.71 (3H, m), 4.12 (1H, s), 4.39 (2H, br s), 4.66-4.78 (2H, m), 6.15 (2H, dd, J = 51.1, 9.3 Hz), 7.09 (1H, dd, J = 10.9, 9.3 Hz), 7.46 (1H, dd, J = 6.8, 2.3 Hz), 7.99-8.00 (1H, m), 8.27 (1H, s), 9.06 (1H, s), 9.50 (1H, s).
化合物I−010の合成
Figure 2021075519

工程1:化合物10−2の合成
化合物10−2は、上記プロトコル(実施例7の工程5)と同様の方法で調製した(収率:77%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.79-1.84 (1H, m), 2.05-2.08 (1H, m), 2.23-2.25 (1H, m), 2.87 (1H, dd, J = 10.3, 2.5 Hz), 3.75-3.99 (5H, m), 4.45 (1H, d, J = 2.5 Hz), 4.93 (2H, dd, J = 46.7, 2.5 Hz), 7.16 (1H, dd, J = 12.3, 8.0 Hz), 7.23 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.38-7.55 (4H, m), 7.67 (1H, dt, J = 12.3, 4.3 Hz), 8.27 (2H, t, J = 4.3 Hz), 12.10 (1H, s).
工程2:化合物10−3の合成
化合物10−3は、上記プロトコル(実施例3の工程1)と同様の方法で調製した(収率:32%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.85-1.88 (1H, m), 2.04-2.06 (1H, m), 2.97 (1H, dd, J = 10.4, 1.9 Hz), 3.90-3.97 (3H, m), 4.48 (1H, s), 4.78-4.98 (4H, m), 7.17 (1H, dd, J = 11.9, 8.2 Hz), 7.22-7.24 (1H, m), 7.41-7.45 (4H, m), 7.53 (1H, t, J = 7.3 Hz), 8.27 (2H, d, J = 7.3 Hz), 12.10 (1H, s).
工程3:化合物10−4の合成
化合物10−4は、上記プロトコル(実施例1の工程15)と同様の方法で調製した。生成物は精製することなしに次工程に使用したため、収率は決定されなかった。
MS (メソッドB) : m/z = 315 [M+H]+.
工程4:化合物10−5の合成
化合物10−5は、上記プロトコル(実施例1の工程16)と同様の方法で調製した。生成物は精製することなしに次工程に使用したため、収率は決定されなかった。
MS (メソッドB) : m/z = 360 [M+H]+.
工程5:化合物10−6の合成
化合物10−6は、上記プロトコル(実施例1の工程17)と同様の方法で調製した。粗生成物を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(キラルパック(登録商標)IC;40%イソプロパノール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物10−6(収率:50%)を得た。
MS (メソッドB) : m/z = 330 [M+H]+.
工程6:化合物I−010の合成
化合物10−7は、上記プロトコル(実施例1の工程18)と同様の方法で調製した(収率:71%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.73-1.84 (2H, m), 2.75-2.77 (1H, m), 3.75-3.87 (3H, m), 4.19 (1H, d, J = 2.5 Hz), 4.41 (2H, s), 4.54-4.92 (4H, m), 6.15 (2H, dd, J = 51.1, 8.3 Hz), 7.10 (1H, dd, J = 11.3, 8.8 Hz), 7.54 (1H, dd, J = 6.8, 2.8 Hz), 7.95 (1H, dt, J = 8.8, 2.8 Hz), 8.28 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.07 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.50 (1H, s).
化合物I−011の合成
Figure 2021075519

工程1:化合物11−2の合成
化合物11−2は、上記プロトコル(実施例1の工程13)と同様の方法で調製した(収率:88%)。
MS (方法B) : m/z = 527 [M+H]+.
工程2:化合物11−3の合成
化合物11−3は、上記プロトコル(実施例1の工程14)と同様の方法で調製した(収率:75%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.47 (3H, d, J = 5.8 Hz), 1.77-1.85 (1H, m), 2.02-2.06 (1H, m), 2.46 (1H, d, J = 9.9 Hz), 3.78-3.91 (3H, m), 4.39 (1H, d, J = 2.5 Hz), 4.84-4.99 (2H, m), 7.16 (1H, dd, J = 12.3, 8.2 Hz), 7.23 (1H, td, J = 7.6, 1.0 Hz), 7.38-7.46 (4H, m), 7.50-7.54 (1H, m), 8.28 (2H, t, J = 4.3 Hz), 12.10 (1H, s).
工程3:化合物11−4の合成
化合物11−4は、上記プロトコル(実施例1の工程15)と同様の方法で調製した。生成物は精製することなしに次工程に使用したため、収率は決定されなかった。
MS (メソッドB) : m/z = 297 [M+H]+.
工程4:化合物11−5の合成
化合物11−5は、上記プロトコル(実施例1の工程16)と同様の方法で調製した。生成物は精製することなしに次工程に使用したため、収率は決定されなかった。
MS (メソッドB) : m/z = 342 [M+H]+
工程5:化合物11−6の合成
化合物11−6は、上記プロトコル(実施例1の工程17)と同様の方法で調製した。粗生成物を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(キラルパック(登録商標)IC;40%エタノール(0.1%のジエチルアミンを含む))により精製して、化合物11−6(収率:32%、3工程)を得た。
MS (メソッドB) : m/z = 312 [M+H]+
工程6:化合物I−011の合成
化合物11−8は、上記プロトコル(実施例1の工程18)と同様の方法で調製した(収率:71%)。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.45 (3H, d, J = 5.8 Hz), 1.73 (2H, s), 2.32 (1H, d, J = 9.9 Hz), 3.64-3.79 (3H, m), 4.11 (1H, s), 4.59-4.76 (4H, m), 6.15 (2H, dd, J = 51.1, 9.2 Hz), 7.09 (1H, dd, J = 10.9, 9.4 Hz), 7.50 (1H, t, J = 3.3 Hz), 7.98-7.99 (1H, m), 8.25 (1H, s), 9.05 (1H, s), 9.51 (1H, s).
上記と同様にして以下の化合物を合成する。表中、tRはLC/MS保持時間(分)を表す。
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
Figure 2021075519
以下に、本発明化合物の試験例を記載する。
薬理例
本発明で提供される化合物は、beta−site APP−cleaving enzyme 1(BACE1)の阻害剤である。アスパラギン酸プロテアーゼであるBACE1の阻害は、アルツハイマー病(AD)の治療に適切であると考えられている。βアミロイド前駆体タンパク質(APP)からのβアミロイドペプチド(Aβ)の産生および蓄積は、ADの発症および進行に重要な役割を果たすと考えられている。BACE1およびγセクレターゼそれぞれによるAβドメインのN−およびC−末端での一連の切断により、アミロイド前駆体タンパク質(APP)からAβが産生される。
本発明化合物は、BACE2に比較してBACE1へ選択的に結合し、BACE2に比較してBACE1の酵素活性を阻害することが可能であり、BACE2に比較してBACE1に対して選択的に効果を有することが予想される。下記の競合的放射性リガンド結合生化学アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づく生化学アッセイ、および細胞αLisaアッセイは該化合物の同定に適切であり、これらを利用して該阻害剤の挙動を試験する。
(試験例1:BACE1およびBACE2競合的放射性リガンド結合生化学アッセイ)
BACE2に対するBACE1酵素選択性を探索するために、各精製酵素への結合親和性(Ki)を競合的放射性リガンド結合アッセイ、すなわちトリチウム標識非選択的BACE1/BACE2阻害剤を用いた競合において決定した。
簡潔には、試験管中で、対象の化合物を放射性リガンドおよびBACE1またはBACE2含有するHEK293由来膜と合わせた。競合的結合反応をpH6.2で行い、平衡状態に達するまで室温でインキュベートした。その後、Brandell 96ハーベスターによるろ過で遊離放射性リガンドを結合放射性リガンドから分離した。フィルターを洗浄用バッファーで4回洗浄し、フィルターシートをシンチレーションバイアル中に打ち抜いた。Ultima Goldシンチレーションカクテルを加え、サンプルを振盪させた。翌日に、Tricarbシンチレーションカウンターでバイアルを計数して、結合放射性リガンドの壊変毎分(dpm)を得た。
%CTL=(サンプル/HC)*100を算出し、式中、HCはHigh control、すなわち、放射性リガンドの総結合であり、試験化合物の種々の用量のデータ点を通る曲線に適合させた。pIC50またはIC50を算出し、式K=IC50/(1+([RL]/K))によってKに変換した。、式中、[RL]は放射性リガンドの使用濃度であり、Kは放射性リガンド−膜複合体で決められた解離定数である。
(試験例2)
(1)BACE1FRET生化学アッセイ
このアッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ(FRET)に基づくアッセイである。このアッセイ用の基質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)βセクレターゼ切断部位の「スウェーデン」Lys−Met/Asn−Leu変異を含有するAPP由来の13個のアミノ酸ペプチドである。この基質は2つの蛍光団も含有する。(7−メトキシクマリン−4−)酢酸(Mca)は、励起波長320nmおよび発光405nmの蛍光性ドナーであり、2,4−ジニトロフェノール(Dnp)は独自の消光アクセプターである。この2つの団の間の距離は、光励起の際、共鳴エネルギー移動でアクセプターによりドナー蛍光エネルギーが有意に消光されるように選択された。BACE1によって切断されると、蛍光団Mcaが消光団Dnpから分離され、ドナーの全蛍光収率が回復する。蛍光収率の増加は、タンパク質分解率に線形に相関する。
簡潔にいえば、384−ウェル形式で最終濃度0.04μg/mLの組み換えBACE1タンパク質を、化合物の非存在下または存在下、インキュベーション緩衝液(最終濃度:33.3mMクエン酸緩衝液 pH5.0、0.033%PEG、3%DMSO)中で20μM基質とともに室温で450分間インキュベートした。次に、T=0’〜120’およびT=450’(励起320nm、および発光405nm)で蛍光測定して、タンパク質分解量を直接測定した。結果を、T450およびTx間の差としてRFU(相対蛍光単位)で表した(Txは、0〜120分の反応速度に応じて選択する)。
最適曲線を、二乗法の最小和によって、%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させた。これにより、IC50値(50%の阻害活性を生じさせる阻害濃度)を得ることができる。
LC=Low control中央値
=Low Control:酵素が非存在下での反応
HC=High control中央値
=High Control:酵素が存在下での反応
%Effect=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)*100]
%Control=(サンプル/HC)*100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)*100
本発明化合物は、BACE1阻害活性を有することが予想され、化合物がBACE1受容体を阻害できるのに十分である。
具体的には、上記プロトコルにより、IC50は、好ましくは5000nM以下、より好ましくは1000nM以下、さらに好ましくは100nM以下である。
(2)BACE2FRET生化学アッセイ
このアッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ(FRET)に基づくアッセイである。このアッセイ用の基質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)βセクレターゼ切断部位の「スウェーデン」Lys−Met/Asn−Leu変異を含有する。この基質は2つの蛍光団も含有する。(7−メトキシクマリン−4−イル)酢酸(Mca)は、励起波長320nmおよび発光405nmの蛍光性ドナーであり、2,4−ジニトロフェノール(Dnp)は独自の消光アクセプターである。この2つの団の間の距離は、光励起の際、共鳴エネルギー移動でアクセプターによりドナー蛍光エネルギーが有意に消光されるように選択される。βセクレターゼによって切断されると、蛍光団Mcaが消光団Dnpから分離され、ドナーの全蛍光収率が回復する。蛍光収率の増加は、タンパク質分解率に線形に相関する。
簡潔にいえば、384−ウェル形式で最終濃度0.4μg/mLの組み換えBACE2タンパク質を、化合物の非存在下または存在下、インキュベーション緩衝液(最終濃度:33.3mMクエン酸緩衝液 pH5.0、0.033%PEG、3%DMSO)中で10μM基質とともに室温で450分間インキュベートした。次に、T=0およびT=450(励起320nm、および発光405nm)で蛍光測定して、タンパク質分解量を直接測定した。結果を、T450およびT0間の差としてRFU(相対蛍光単位)で表した。
最適曲線を、二乗法の最小和によって、%Controlmin対化合物濃度のグラフに適合させた。これにより、IC50値(50%の阻害活性を生じさせる阻害濃度)を得ることができる。
LC=Low control中央値
=Low Control:酵素が非存在下での反応
HC=High control中央値
=High Control:酵素が存在下での反応
%Effect=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)*100]
%Control=(サンプル/HC)*100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)*100
以下の例示化合物を本質的に上記のとおりに試験し、以下の活性を示した:
Figure 2021075519
Figure 2021075519
(試験例3−1:ラット脳内βアミロイド減少作用)
本発明化合物を0.5%メチルセルロースに懸濁させ、最終濃度2mg/mLとなるように調整し、雄性Crl:SDラット(7〜9週齢)に対し、10mg/kgとなるように経口投与する。媒体対照群は0.5%メチルセルロースのみを投与し、各群3〜8匹の動物で投与試験を実施する。投与3時間後に脳を摘出し、大脳半球を摘出し、その重量を測定し、速やかに液体窒素中にて凍結させ、抽出日まで−80℃にて保存する。凍結した大脳半球を氷冷下テフロン(登録商標)製ホモゲナイザーに移し、重量の4倍容量の抽出バッファー(1%CHAPS({3−[(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート})、20mmol/L Tris−HCl(pH8.0)、150mmol/L NaCl、Complete(Roche社製)プロテアーゼ阻害剤含有)を加え、上下動を繰り返し2分間ホモゲナイズして可溶化する。懸濁液を遠心用のチューブに移し、3時間以上氷上にて放置し、その後、100,000xg、4℃、20分間遠心する。遠心後、上清をβアミロイド40測定用のELISAプレート(和光純薬工業製:製品番号294−62501)に移す。ELISA測定は添付の説明書に従い行う。減少作用は各試験の基剤対照群の脳内βアミロイド40レベルに対する比として算出する。
(試験例3−2:マウス脳内βアミロイド減少作用)
本発明化合物を20%ヒドロキシルベータシクロデキストリンに溶解し、最終濃度2mg/mLとなるように調整し、Crl:CD1(ICR)雄マウス(6〜8週齢)に対し、1〜10mg/kgとなるように経口投与した。媒体対照群は20%ヒドロキシルベータシクロデキストリンのみを投与し、各群3〜6匹で投与試験を実施した。投与1〜6時間後に脳を摘出し、大脳半球を摘出し、その重量を測定し、速やかに液体窒素中にて凍結させ、抽出日まで-80℃にて保存した。
凍結した大脳半球を、8倍容量の抽出バッファー(0.4%DEA(ジエチルアミン)、50mmol/L NaCl、Completeプロテアーゼ阻害剤(Roche社製)含有)とセラミックビーズが入ったホモジナイズチューブに移し、20分間氷上でインキュベートした。その後、MP BIO FastPrep(登録商標)−24を用い、Lysing matrix D(1.4mmセラミックビーズ)でホモジナイズした(6m/秒、20秒間)。次いで、チューブを1分間遠心沈殿させ、上清を遠心用のチューブに移し、221,000xg、4℃、50分間遠心した。遠心後、総βアミロイド測定のため、上清をβアミロイドのN末端に対する抗体でコートしたNuncマキシソープ(登録商標)プレート(Thermo Fisher Scientific社製)に移し、4℃で一晩インキュベートした。プレートをTBS−T(0.05% Triton X−100含有トリス緩衝食塩水)で洗浄し、0.1%カゼインを含むPBS(pH7.4)に溶解したHRP標識4G8をプレートに添加し4℃で1時間インキュベートした。TBS−Tで洗浄後、SuperSignal ELISAルミノメーター用化学発光基質(Pico Chemiluminescent Substrate)(Thermo Scientific社製)をプレートに添加した。次いで、化学発光をARVO(登録商標)MX1420マルチラベルカウンター(Perkin Elmer社製)で速やかに測定した。減少作用は各試験の基剤対照群の脳内総βアミロイドに対する比として算出した。
(試験例4−1:CYP3A4蛍光MBI試験)
CYP3A4蛍光MBI試験は、代謝反応による化合物のCYP3A4阻害の増強を調べる試験である。CYP3A4酵素(大腸菌発現酵素)により7−ベンジルオキシトリフルオロメチルクマリン(7−BFC)が脱ベンジル化され、蛍光を発する代謝物7−ハイドロキシトリフルオロメチルクマリン(7−HFC)が生じる。7−HFC生成反応を標識反応として試験を実施する。
反応条件は以下のとおりである:基質、5.6μmol/L 7−BFC;プレ反応時間、0または30分;基質反応時間、15分;反応温度、25℃(室温);CYP3A4含量(大腸菌発現酵素)、プレ反応時62.5pmol/mL、反応時6.25pmol/mL(10倍希釈);本発明化合物濃度、0.625、1.25、2.5、5、10、20μmol/L(6点)。
96ウェルプレートにプレ反応液として、酵素を含むK−Pi緩衝液(pH7.4)および本発明化合物溶液をプレ反応の組成で加える。別の96ウェルプレートにプレ反応液の一部を移し、基質を含むK−Pi緩衝液で10倍希釈する。補酵素であるNADPHを添加して標識反応を開始する(プレインキュベーション無)。所定時間の標識反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止した。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加してプレ反応を開始する(プレインキュベーション有)。所定時間のプレ反応後、別の96ウェルプレートに一部を移し、基質を含むK−Pi緩衝液で10倍希釈して標識反応を開始する。所定時間の標識反応後、アセトニトリル/0.5mol/L Tris(トリスヒドロキシアミノメタン)=4/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止した。それぞれの標識反応を行ったプレートにおいて、代謝物である7−HFCの蛍光値を蛍光プレートリーダーで測定する(Ex=420nm、Em=535nm)。
DMSOが本発明化合物を溶解する溶媒として用いられるため、本発明化合物溶液の代わりにDMSOを反応系に添加したサンプルをコントロール(100%)とした。溶液として加えられた本発明化合物のそれぞれの濃度における残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50値を算出する。プレインキュベーション無のIC50値からプレインキュベーション有のIC50値を引いて求めた差が5μM以上の場合を陽性(+)とした。差が3μM以下の場合を陰性(−)とした。
(試験例4−2:CYP3A4(MDZ)MBI試験)
CYP3A4(MDZ)MBI試験は、化合物のCYP3A4阻害に関して機序に基づく阻害(MBI)能を評価する試験である。CYP3A4阻害は、プールされたヒト肝ミクロソームによるミダゾラム(MDZ)の1−水酸化反応を標識反応として用いて評価する。
反応条件は以下のとおりであった:基質、10μmol/L MDZ;プレ反応時間、0または30分;基質反応時間、2分;反応温度、37℃;プールされたヒト肝ミクロソームのタンパク質含量、プレ反応時0.5mg/mL、反応時0.05pmg/mL(10倍希釈時);本発明化合物濃度、1、5、10、20μmol/L(4点)。
96ウェルプレートにプレ反応液として、K−Pi緩衝液(pH7.4)中にプールしたヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液をプレ反応の組成で加えた。別の96ウェルプレートにプレ反応液の一部を移し、基質を含むK−Pi緩衝液で10倍希釈した。補酵素であるNADPHを添加して標識反応を開始した(プレインキュベーション無)。所定時間の標識反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止した。また残りのプレ反応液にもNADPHを添加してプレ反応を開始した(プレインキュベーション有)。所定時間のプレ反応後、別の96ウェルプレートに一部を移し、基質を含むK−Pi緩衝液で10倍希釈して標識反応を開始した。所定時間の標識反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液を加えることによって標識反応を停止した。3000rpmで15分間遠心した後、上清中の1−ヒドロキシミダゾラムをLC/MS/MSにより定量する。
DMSOが本発明化合物を溶解した溶媒として用いられるため、本発明化合物溶液の代わりに、DMSOを反応系に添加したサンプルをコントロール(100%)とした。溶液として加えられた本発明化合物のそれぞれの濃度における残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50値を算出した。「プレインキュベーション無のIC値(0分)/プレインキュベーション有のIC値(30分)」を、Shifted IC値として算出した。Shifted IC値が1.5以上の場合を陽性とし、Shifted IC値が1.1以下の場合を陰性とした。
Figure 2021075519
(試験例5:CYP阻害試験)
CYP阻害試験は、ヒト肝ミクロソームのCYP酵素の典型的基質代謝反応に対する本発明化合物の阻害効果を評価する試験である。ヒト主要CYP5酵素(CYP1A2、2C9、2C19、2D6、および3A4)の標識反応として以下を用いた;7−エトキシレゾルフィンのO−脱エチル化(CYP1A2)、トルブタミドのメチル−水酸化(CYP2C9)、メフェニトインの4’−水酸化(CYP2C19)、デキストロメトルファンのO脱メチル化(CYP2D6)、およびテルフェナジンの水酸化(CYP3A4)。市販のプールされたヒト肝ミクロソームを酵素源として用いた。
反応条件は以下のとおりであった:基質、0.5μmol/L エトキシレゾルフィン(CYP1A2)、100μmol/L トルブタミド(CYP2C9)、50μmol/L S−メフェニトイン(CYP2C19)、5μmol/L デキストロメトルファン(CYP2D6)、1μmol/L テルフェナジン(CYP3A4);反応時間、15分;反応温度、37℃;酵素、プールされたヒト肝ミクロソーム 0.2mg タンパク質/mL;本発明化合物濃度、1、5、10、20μmol/L(4点)。
96ウェルプレートに反応溶液として、50mmol/L Hepes緩衝液中に5種の基質、ヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液を上記組成で加えた。補酵素であるNADPHをこの96ウェルプレートに添加して標識反応を開始した。37℃、15分間反応させた後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液を添加することで標識反応を停止した。3000rpm、15分間の遠心操作後、上清中のレゾルフィン(CYP1A2代謝物)を蛍光プレートリーダーまたはLC/MS/MSで定量し、ヒドロキシトルブタミド(CYP2C9代謝物)、4’−ヒドロキシメフェニトイン(CYP2C19代謝物)、デキストロルファン(CYP2D6代謝物)、およびテルフェナジンアルコール代謝物(CYP3A4代謝物)をLC/MS/MSで定量した。
DMSOが本発明化合物を溶解した溶媒として用いられるため、本発明化合物溶液の代わりに、DMSOを反応系に添加したサンプルをコントロール(100%)とした。本発明化合物のそれぞれの濃度での残存活性(%)を算出し、濃度と阻害率を用いて、ロジスティックモデルによる逆推定によりIC50値を算出した。
(試験例6:Fluctuation Ames test)
凍結保存しているネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA98株、およびTA100株)それぞれ20μLを、10mLの液体栄養培地(2.5% Oxoid nutrient broth No.2)に接種し、培養液を37℃にて10時間、振盪培養する。7.70〜8.00mLのTA98株培養液を遠心(2000×g、10分間)して培地を除去し、7.70mLのMicro F緩衝液(KHPO:3.5g/L、KHPO:1g/L、(NHSO:1g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物:0.25g/L、MgSO・7H0:0.1g/L)に菌を懸濁し、懸濁液を120mLのExposure培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mLを含むMicro F緩衝液)に添加する。3.10〜3.42mLのTA100培養液をExposure培地130mLに添加して、試験菌液を調製する。本発明化合物DMSO溶液(最高用量50mg/mLから2〜3倍比で数段階希釈)、陰性対照としてDMSO、TA98の非代謝活性化条件の陽性対照として50μg/mLの4−ニトロキノリン−1−オキシドDMSO溶液、TA100の非代謝活性化条件の陽性対照として0.25μg/mLの2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミドDMSO溶液、TA98の代謝活性化条件の陽性対照として40μg/mLの2−アミノアントラセンDMSO溶液、またはTA100の代謝活性化条件の陽性対照として20μg/mLの2−アミノアントラセンDMSO溶液それぞれ12μLと試験菌液588μL(代謝活性化条件では試験菌液498μLとS9mix 90μLの混合液)を混和する。混合液を37℃にて90分間、振盪培養する。本発明化合物に曝露した菌液460μLを、Indicator培地(ビオチン:8μg/mL、ヒスチジン:0.2μg/mL、グルコース:8mg/mL、ブロモクレゾールパープル:37.5μg/mLを含むMicro F緩衝液)2300μLに混和し、50μLずつマイクロプレート48ウェル/用量に分注し、37℃にて3日間、静置培養する。アミノ酸(ヒスチジン)合成酵素をコードする遺伝子の突然変異によって増殖能を獲得した菌を含むウェルは、pH変化により紫色から黄色に変色する。1用量あたり全48ウェル中の黄色に変色したウェルを計数し、陰性対照群と比較して変異原性を評価する。変異原性が陰性のものを(−)、陽性のものを(+)として示す。
(試験例7:溶解性試験)
各本発明化合物の溶解度は、1%DMSO添加条件下で測定した。DMSOにて10mmol/L化合物溶液を調製し、JP−1液(塩化ナトリウム2.0g、および塩酸7.0mLに水を加えて1000mLとした)、およびJP−2液(リン酸二水素カリウム3.40gおよび無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かし1000mLとしたもの1容量に水1容量を加えた)198μLに本発明化合物溶液2μLをそれぞれ添加した。混合液を25℃で16時間静置または室温で1時間振盪させた後、混合液を吸引ろ過した。ろ液をメタノール/水=1/1(v/v)またはMeCN/MeOH/HO(=1/1/2)により10または100倍希釈し、LC/MSまたは固相抽出(SPE)/MSを用いて絶対検量線法によりろ液中の化合物濃度を測定した。
(試験例8:代謝安定性試験)
市販のプールヒト肝ミクロソームと本発明化合物を一定時間反応させ、反応サンプルと未反応サンプルの比較により残存率を算出し、それによって肝臓で代謝される程度を評価した。
ヒト肝ミクロソーム0.5mgタンパク質/mLを含む0.2mLの緩衝液(50mmol/L Tris−HCl pH7.4、150mmol/L 塩化カリウム、10mmol/L 塩化マグネシウム)中で、1mmol/L NADPH存在下で37℃、0分または30分間反応させた(酸化的反応)。反応後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液100μLに反応液50μLを添加、混合し、3000rpmで15分間遠心した。上清中の本発明化合物をLC/MS/MSまたは固相抽出(SPE)/MSにて定量し、反応後の本発明化合物の残存量を、0分反応時の化合物量を100%として算出した。
Figure 2021075519
(試験例9:hERG試験)
心電図QT間隔延長リスク評価を目的として、ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(human ether−a−go−go related gene)(hERG)チャネルを発現させたCHO細胞を用いて、心室再分極過程に重要な役割を果たす遅延整流K+電流(IKr)に対する本発明化合物の効果を検討した。
全自動パッチクランプシステム(QPatch;Sophion Bioscience A/S)を用い、ホールセルパッチクランプ法により、細胞を−80mVの膜電位に保持した。−50mVのリーク電位を与えた後、+20mVの脱分極刺激を2秒間、さらに−50mVの再分極刺激を2秒間与えた際に誘発されるIKrを記録した。
発生する電流が安定した後、本発明化合物を目的の濃度で溶解させた細胞外液(NaCl:145mmol/L、KCl:4mmol/L、CaCl:2mmol/L、MgCl:1mmol/L、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸):10mmol/L、グルコース:10mmol/L,pH=7.4)を室温条件下で、10分間細胞に適用させた。記録されたIKrから、解析ソフト(QPatch assay software;Sophion Bioscience A/S)を使用して、保持膜電位における電流値を基準に最大テール電流の絶対値を測定した。さらに、本発明化合物適用前の最大テール電流に対する阻害率を算出し、媒体適用群(0.1%ジメチルスルホキシド溶液)と比較して、本発明化合物のIKrへの影響を評価した。
以下のデータは、本発明化合物の3μMにおける阻害を示す。
Figure 2021075519
(試験例10:粉末溶解度試験)
適当な容器に本発明化合物を適量入れた。各容器にJP−1液(塩化ナトリウム2.0g、塩酸7.0mLに水を加えて1000mLとする)200μL、JP−2液(リン酸二水素カリウム3.40gおよび無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かし1000mLとしたもの1容量に水1容量を加える)200μL、空腹時人工腸液(fasted state simulated intestinal fluid:FaSSIF)200μL、および摂食時人工腸液(fed state simulated intestinal fluid:FeSSIF)200μLを添加した。試験液添加後に本発明化合物の全量が溶解した場合には、適宜、本発明化合物を追加した。容器を密閉し、37℃で1時間および/または24時間振盪した。混合液をろ過し、各ろ液(100μL)にメタノール100μLを添加して、ろ液の2倍希釈
を行った。希釈倍率は、必要に応じて変更してもよい。希釈液に気泡および析出物がないかを確認後、容器を密閉し、振盪した。絶対検量線法によりHPLCを用いて本発明化合物を定量した。
(試験例11:薬物動態試験)
経口吸収性の検討実験材料と方法
(1)使用動物:マウスまたはラット
(2)飼育条件:マウスまたはラットは、水道水および固形飼料を自由摂取させた。
(3)用量およびグループ分けの設定:経口投与、または静脈内投与を所定の用量により投与した。グループ分けは以下の通りであった(用量は化合物に依存する)。
経口投与:約1〜30mg/kg(n=2〜3)
静脈内投与:約0.5〜10mg/kg(n=2〜3)
(4)投与製剤:経口投与には溶液または懸濁液の状態で。静脈内投与には可溶化状態で。
(5)投与方法:経口投与では、フレキシブル経口ゾンデを付けたシリンジにより強制的に投与した。静脈内投与では、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与した。
(6)評価項目:予定時刻に採血し、本発明化合物の血漿中濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
(7)統計解析:血漿中本発明化合物濃度推移について、台形法を用いて血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を算出し、経口投与群と静脈内投与群のAUCから本発明化合物のバイオアベイラビリティ(BA)を算出した。
(試験例12:脳移行性試験)
ラットに約0.5mg/mL/kgの投与量で本発明化合物を静脈内投与した。30分後にイソフルラン麻酔下で腹大動脈より全採血により放血死させた。
脳を摘出し、蒸留水で20〜25%のそのホモジネートを調製した。
得られた血液は遠心処理後、血漿とした。脳サンプルにはコントロール血漿を1:1で添加した。血漿サンプルにはコントロール脳ホモジネートを1:1で添加した。それぞれのサンプルをLC/MS/MSを用いて測定した。得られた測定時の面積比(脳/血漿)を脳Kp値とした。
(試験例13:Ames試験)
サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)TA98、TA100、TA1535、TA1537および大腸菌(Escherichia coli)WP2uvrAを試験菌株として用い、プレインキュベーション法による非代謝活性化条件下または代謝活性化条件下においてAmes試験を実施して、本発明化合物の遺伝子突然変異誘発性の有無を調べる。
(試験例14:P−gp基質試験)
1.細胞株:
a.MDR1/LLC−PK1(ベクトン・ディッキンソン)
b.LLC−PK1(ベクトン・ディッキンソン)
2.基準基質:
a.ジゴキシン(2μM)
方法および手順
1.MDR1発現LLC−PK1細胞およびその親細胞をA培地(199培地(インビトロジェン)に10%FBS(インビトロジェン)、ゲンタマイシン(0.05mg/mL、インビトロジェン)およびハイグロマイシンB(100μg/mL、インビトロジェン)を補充)で37℃、5%CO/95%Oガス下で通常培養した。輸送実験のため、これらの細胞はトランスウェル(商標)インサート(96ウェル、孔径:0.4μm、コースター)に1.4×10細胞/インサートの密度で播種し、B培地(199培地に10%FBSおよびゲンタマイシン0.05mg/mLを補充)をフィーダートレイに添加した。これらの細胞はCOインキュベーター(5%CO/95%Oガス、37℃)でインキュベートし、播種後48〜72時間ごとに頂端側および側底側の培地を交換した。これらの細胞を播種後4〜6日で使用した。
2.MDR1発現細胞または親細胞を播種した培養インサートの培地を吸引により除き、HBSSでリンスした。頂端側(140μL)または側底側(175μL)を、基準基質および本発明化合物を含む輸送バッファーで置換し、その後、基準基質および本発明化合物の初期濃度を求めるために,ドナー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを採取した。37℃で一定時間インキュベーションした後、ドナー側およびレシーバー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを採取した。アッセイは2回または3回繰り返し実施した。
3.一定分量中の基準基質および本発明化合物を、LC/MS/MSを用いて定量した。
計算
単層のMDR1発現細胞と親細胞を通過した膜透過量を決定し、膜透過係数(Pe)をExcel 2003を用い、以下の式により算出した:
Pe(cm/秒)=膜透過量(pmol)/細胞膜面積(cm)/初期濃度(nM)/インキュベーション時間(秒)
ここで、膜透過量は所定時間(秒)のインキュベーション後の基質の透過濃度(nM、レシーバー側の濃度)に量(mL)を乗じて算出し、細胞膜面積は0.1433(cm)とした。
外向きフラックス比(Efflux Ratio)は以下の式により算出した:
Efflux Ratio=側底側から頂端側方向のPe/頂端側から側底側方向のPe
正味フラックス(Net flux)は以下の式により算出した:
Net flux=MDR1発現細胞のEfflux Ratio/親細胞のEfflux Ratio
Figure 2021075519
(試験例15:P−gp輸送の阻害効果)
材料
1.細胞株:
a.MDR1/LLC−PK1(ベクトン・ディッキンソン)
b.LLC−PK1(ベクトン・ディッキンソン)
2.基準基質:
a.[H]ジゴキシン(1μM)
b.[14C]マンニトール(1μM)
3.基準阻害物質:
ベラパミル(1μM)
方法および手順
1.MDR1発現LLC−PK1細胞およびその親細胞をA培地(199培地(インビトロジェン)に10%FBS(インビトロジェン)、ゲンタマイシン(0.05mg/mL、インビトロジェン)およびハイグロマイシンB(100μg/mL、インビトロジェン)を補充)で37℃、5%CO/95%Oガス下で通常培養した。輸送実験のため、これらの細胞はトランスウェル(商標)インサート(96ウェル、孔径:0.4μm、コースター)に1.4×10細胞/インサートの密度で播種し、B培地(199培地に10%FBSおよびゲンタマイシン0.05mg/mLを補充)をフィーダートレイに添加した。これらの細胞はCOインキュベーター(5%CO/95%Oガス、37℃)でインキュベートし、播種後48〜72時間ごとに頂端側および側底側の培地を交換した。これらの細胞を播種後6〜9日で使用した。
2.MDR1発現細胞または親細胞を播種した培養インサートの培地を吸引により除き,HBSSでリンスした。頂端側(150μL)または側底側(200μL)を、基準基質を含み、本発明化合物の存在下または非存在下の輸送バッファーで置換し、その後、基準基質の初期濃度を求めるために、ドナー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを採取した。37℃で一定時間インキュベーションした後、ドナー側およびレシーバー側の一定分量(50μL)の輸送バッファーを採取した。アッセイは3回繰り返し実施した。
3.一定分量(50μL)の輸送バッファーを5mLのシンチレーションカクテルと混合し、液体シンチレーションカウンターにより放射能を測定した。
計算
単層のMDR1発現細胞と親細胞を通過した膜透過量を決定し、膜透過係数(Pe)をExcel 2003を用い、以下の式により算出した:
Pe(cm/秒)=膜透過量(pmol)/細胞膜面積(cm)/初期濃度(nM)/インキュベーション時間(秒)
ここで、膜透過量は所定時間(秒)のインキュベーション後の基質の透過濃度(nM、レシーバー側の濃度)に量(mL)を乗じて算出し、細胞膜面積は0.33(cm)とした。
外向きフラックス比は以下の式により算出する:
Efflux Ratio=側底側から頂端側方向のPe/頂端側から側底側方向のPe
正味フラックスは以下の式により算出する:
Net flux=MDR1発現細胞のEfflux Ratio/親細胞のEfflux Ratio
コントロールに対する%は、本発明化合物存在下の基準化合物対非存在下の基準化合物の正味フラックス比として求めた。
IC50値は曲線適合プログラムXLfitを用いて算出した。
(試験例16:mdr1a/1b(−/−)B6マウスを用いたP−gp基質試験)
材料
動物:mdr1a/1b(−/−)B6マウス(KOマウス)またはC57BL/6Jマウス(野生型マウス)
方法および手順
1.動物は本発明化合物の投与前に食餌を摂取させてもよい。
2.本発明化合物は3匹の動物に各時点で投与し、血液および脳サンプルは投与後の所定時点(例:15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間または24時間)で採取する。血液(0.3〜0.7mL)は血液凝固防止剤(EDTAおよびヘパリン)を含むシリンジを用い、体幹採血で採取する。血液および組織(脳など)サンプルは直ちに氷冷する。
3.血液サンプルは遠心(1780xg、10分間)し細胞を除去して、血漿を得る。その後、血漿サンプルを清潔なチューブに移し、分析するまで−70℃の冷凍庫で保存する。
4.組織(脳など)サンプルは組織重量:蒸留水(ml)比=1:3でホモジナイズし、清潔なチューブに移し、分析するまで−70℃の冷凍庫で保存する。
5.血漿および組織(脳など)サンプルをタンパク質沈殿を用いて調製し、LC/MS/MSで分析する。解析方法は、ブランクの血漿または脳サンプルと既知量の分析物で構築した標準曲線を含めることにより較正する。測定法の真度および精度の確認を行うためにクオリティーコントロール用サンプルを用いる。
6.血漿および脳の濃度値(ng/mLおよびng/g)を、薬物動態パラメーターを算出するための適切な数学的ツールに導入する。一般的なプラットフォームは、WinNonlin(登録商標)薬物動態解析ソフトウェアモデル化プログラムである。
計算
Kp;組織/血漿中濃度比
Kp比=KOマウスのKp値/野生型マウスのKp値
組織AUC/血漿AUCのKO/野生型比
={組織AUC/血漿AUC(KOマウス)}/{組織AUC/血漿AUC(野生型マウス)}
(試験例17:麻酔モルモット心血管系試験)
動物種:モルモット(Slc:Hartley、4〜5週齢、雄性)、N=4
試験デザイン:
投与量:3、10および30mg/kg(原則)
(本発明化合物は累積的に投与する)
製剤:
媒体組成:ジメチルアセトアミド(DMA):ポリエチレングリコール400(PEG400):蒸留水(D.W.)=1:7:2(原則)
本発明化合物をDMAに溶解し、次いで、PEG400および蒸留水(D.W.)を添加する。最終的に、1.5、5および15mg/mL溶液を調製する。
投与経路および投与スケジュール:
10分間の静脈内注射(2mL/kg)
0〜10分:3mg/kg、30〜40分:10mg/kg、60〜70分:30mg/kg
媒体も上記と同様のスケジュールで投与する。
群の構成:
媒体群および本発明化合物群(各群4匹のモルモット)
評価方法:
評価項目:
平均血圧(mmHg)、心拍数(血圧波形より計測(拍/分))、QTc(ms)およびトキシコキネティクス
試験手順:
モルモットをウレタン(1.4g/kg,i.p.)による麻酔下におき、ポリエチレンチューブを頸動脈(血圧測定および血液サンプリングのため)および頸静脈(試験化合物の注入のため)に挿入する。電極を皮下に装着する(第II誘導)。血圧、心拍数および心電図(ECG)をPowerLab(登録商標)システム(ADInstruments)を用いて測定する。
トキシコキネティクス:
各評価時点で、約0.3mLの血液(血漿として約120μL)を頸動脈からヘパリンナトリウムを含むシリンジを用いて採取し、直ちに氷冷する。遠心(4℃、10000rpm、9300×g、2分)して血漿サンプルを得る。血漿の分離手順は氷冷下または4℃で行う。得られた血漿(TKサンプル)は超低温庫(設定温度:−80℃)で保管する。
分析方法:平均血圧および心拍数は各評価時点で30秒間の平均値をとる。ECGパラメーター(QT間隔(ms)およびQTc)は評価時点における10秒間の連続拍動の平均波形より計測する。QTc(Fridericiaの補正式;QTc=QT/(RR)1/3))はPowerLab(登録商標)システムを用いて算出する。不整脈の発生率は4匹の全動物において、(投与0.5時間前から試験終了までの)すべてのECG記録から目視で評価する。
評価時点:
前(投与前)ならびに最初の投与から10、25、40、55、70および85分後
QTcデータ解析:
投与前値からのQTcの変化率(%)を算出する(投与前値を100%とみなす)。同一の評価時点において、相対するQTcを媒体値と比較する。
(試験例18:ビーグル犬における薬理試験)
単回投与後のイヌの脳脊髄液(CSF)のβアミロイドプロファイルに対する影響を評価するために、薬物動態(PK)フォローアップおよび一部の安全性の評価と併せて、試験化合物を試験した。
以下に示す化合物において、2匹または4匹のビーグル犬(雄性1もしくは2匹、雌性1もしくは2匹)に対し、媒体(20%シクロデキストリン水溶液1mL/kg)を投与し、用量群あたり4匹のビーグル犬(雄性2匹、雌性2匹)に対し、表20に示す投与量(mg/kgで表す用量と同一のmg/mLで表される20%シクロデキストリン水溶液媒体)の試験化合物を空腹状態で投与した。
投与前ならびに投与から4、8、25および49時間後、頭蓋骨に挿入され、皮下組織及び皮膚で覆われたカニューレを通じ、無麻酔の動物の側脳室からCSFを直接採取した。投与から8時間後、動物は30分間の通常食餌が与えられた。PKフォローアップ用に(0.5、1、2、4、8、25および49時間に)血液を採取し、生化学試験用に血清サンプルを投与前ならびに投与から8、および25時間後に採取した。CSFサンプルは、Aβ1−37、Aβ1−38、Aβ1−40およびAβ1−42の測定に使用した。結果を以下の表にまとめる。
Figure 2021075519


減少率は、8時間後および影響のある減少(20%超の減少率)が観察された最終時点を示す。
(試験例19:ダンシルGSHトラッピング試験)
ダンシルグルタチオン(グルタチオン)トラッピング試験は、反応性代謝物を調べる試験である。
反応条件は以下のとおりであった:基質、50μmol/L 本発明化合物;トラッピング剤、0.1mmol/L ダンシルGSH;プールヒト肝ミクロソームのタンパク質含量、1mg/mL;プレ反応時間、5分;反応時間、60分;反応温度、37℃。
96ウェルプレートにプレ反応液としてK−Pi緩衝液(pH7.4)中にプールヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液を加えた。補酵素であるNADPHを添加して反応を開始した。所定時間の反応後、別の96ウェルプレートに一部を移行し、5mmol/Lジチオスレイトールを含むアセトニトリル溶液を加えることによって反応を停止した。3000rpmで15分間遠心した後、ダンシルGSHと結合した代謝物の蛍光ピーク面積を、HPLCを用いて蛍光検出により定量した。
(試験例20:[14C]−KCNトラッピング試験)
14C]−シアン化カリウム(KCN)トラッピング試験は、反応性代謝物を調べる試験である。
反応条件は以下のとおりであった:基質、10または50μmol/L 本発明化合物;トラッピング剤、1mmol/L [14C]−KCN(11.7μCi/チューブ);プールヒト肝ミクロソームのタンパク質含量、1mg/mL;プレ反応時間、5分;反応時間、60分;反応温度、37℃。
96ウェルプレートにプレ反応液としてK−Pi緩衝液(pH7.4)中にプールヒト肝ミクロソーム、および本発明化合物溶液を加えた。補酵素であるNADPHを添加して反応を開始した。所定時間後、代謝反応を停止し、スピンカラムによって[14C]−KCNと結合した代謝物をメタノール溶液100μLに抽出した。[14C]−KCN捕捉代謝物の放射ピーク面積をRadio−HPLCシステムにより定量する。
製剤例
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
製剤例1: 錠剤
本発明化合物 15mg
乳糖 15mg
ステアリン酸カルシウム 3mg
ステアリン酸カルシウム以外のすべての上記成分を均一に混合する。次いで、混合物を破砕造粒し、乾燥して、適当な大きさの顆粒を得る。次にステアリン酸カルシウムを顆粒に添加する。最後に、圧縮成形して錠剤とする。
製剤例2: カプセル剤
本発明化合物 10mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
乳糖 80mg
上記成分を均一に混合して粉末または細粒状とし、次いで、得られた混合物をカプセルに充填する。
製剤例3: 顆粒剤
本発明化合物 30g
乳糖 265mg
ステアリン酸マグネシウム 5g
上記成分を均一に混合した後、混合物を圧縮成形する。圧縮成形物を破砕造粒し、篩別して適当な大きさの顆粒剤を得る。
製剤例4: 口腔内崩壊錠
本発明化合物および結晶セルロースを混合し、造粒後打錠して口腔内崩壊錠とする。
製剤例5: ドライシロップ
本発明化合物および乳糖を混合し、粉砕、整粒、篩別して適当な大きさのドライシロップとする。
製剤例6: 注射剤
本発明化合物およびリン酸緩衝液を混合して、注射剤とする。
製剤例7: 点滴剤
本発明化合物およびリン酸緩衝液を混合して、注射剤とする。
製剤例8: 吸入剤
本発明化合物および乳糖を混合し細かく粉砕することにより、吸入剤とする。
製剤例9: 軟膏剤
本発明化合物およびワセリンを混合して、軟膏剤とする。
製剤例10: 貼付剤
本発明化合物および粘着プラスターなどの基剤を混合して、貼付剤とする。
本発明化合物は、アミロイドβタンパク質の産生、分泌および/または沈着により誘発される疾患の治療または予防剤として有用な医薬となり得る。

Claims (13)

  1. 式(I):
    Figure 2021075519

    (式中、
    は各々独立して、(ハロゲン、シアノ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシおよび非芳香族炭素環式基)から選択される1以上の基で置換されていてもよいアルキル;またはアルキルで置換されていてもよい複素環式基であり;
    同一の炭素原子と結合している2個のRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、(ハロゲン、アルキルおよびハロアルキル)から選択される1以上の基で置換されていてもよい3〜5員環式の非芳香族炭素環を形成してもよく;
    tは0〜3の整数であり;
    は水素原子またはハロゲンであり;
    は水素原子、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルであり;
    Figure 2021075519

    であり;
    式中、R7aはハロゲン;シアノ;シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、非芳香族炭素環式基および芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよいアルキルオキシ;1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキル;シアノおよびハロゲンから選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基;シアノおよび芳香族複素環式基から選択される1以上の基で置換されていてもよい非芳香族複素環式基;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいアルケニルオキシ;シアノ、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換されていてもよいアルキニルオキシ;または1以上のアルキルで置換されていてもよい芳香族複素環式基であり;および、
    7bは水素原子、ハロゲン、アルキル、ハロアルキルまたはアミノである)で示される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する医薬組成物。
  2. Figure 2021075519

    である、請求項1記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  3. がフルオロまたはクロロである、請求項1または2に記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  4. が水素原子もしくはフルオロである、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  5. が各々独立して、1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルである、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  6. Figure 2021075519

    である、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  7. 7aが1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルオキシまたはシアノであり、R7bが水素原子またはハロゲンである、請求項6記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  8. Figure 2021075519

    である、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  9. 7aが1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルであり、R7bが水素原子またはアルキルである、請求項8記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  10. Figure 2021075519

    (式中、Rは1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキル)であり、
    が水素原子であり、
    がハロゲンであり、
    Figure 2021075519

    であり、および、
    7aが1以上のハロゲンで置換されていてもよいアルキルオキシ
    である、請求項1記載の医薬組成物またはその製薬上許容される塩。
  11. Figure 2021075519

    からなる群から選択される化合物またはその製薬上許容される塩、を含有する、請求項1記載の医薬組成物。
  12. BACE1を阻害するための、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬組成物。
  13. アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病の治療もしくは予防、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害もしくは前駆期アルツハイマー病害の進行予防、または、アルツハイマー型認知症のリスクを有する無症候性の患者における進行予防のための、請求項1〜12のいずれかに記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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