JP2021074064A - 排水弁駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排水弁駆動装置の組立性を向上させる。【解決手段】外部の排水弁に接続されるワイヤと、ワイヤの巻き取りおよび繰り出しを行うプーリ部材と、プーリ部材に連結される一又は複数の動力伝達部材と、プーリ部材および動力伝達部材の駆動源であるモータと、プーリ部材を収容するケースと、を備え、プーリ部材には、ケース内におけるプーリ部材の装着位置に対して、プーリ部材を動力伝達部材が連結可能な角度範囲とは異なる向きで組み付けようとしたときに、ケースの一部または該ケースに収容される他部材に接触してその組み付けを妨げる干渉部が形成されている排水弁駆動装置により解決する。【選択図】図14
Description
本発明は、排水弁を開閉する排水弁駆動装置に関する。
下記特許文献1には、洗濯機の排水弁を開閉する排水弁駆動装置(100a)が開示されている。特許文献1の排水弁駆動装置は、排水弁に接続されるワイヤ(2)と、ワイヤの巻き取りおよび繰り出しを行うプーリ(トラクションホイール)と、を備えている。排水弁は常時閉塞方向に付勢されており、排水弁駆動装置は、その付勢力に抗して排水弁をワイヤで引き上げることにより洗濯機の排水路を連通させる。
歯車等の動力伝達部品をケースに組み付けるにあたり、これらの部品が本来の可動範囲とは異なる向きでも組み付けられる場合、作業者は、先に組み付けた部品を正しい向きに調節しながら後続の部品を組み付けていく必要がある。また、例えば特許文献1のような排水弁駆動装置では、プーリを組み付ける際には、プーリにワイヤの一端が接続された状態でこれを組み付ける必要がある。プーリに使用されるワイヤに復元力がある場合、組み付けたプーリがワイヤの復元力によって回転し、プーリを所望の向きに維持することが難しい場合がある。
上記問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、排水弁駆動装置の組立性を向上させることにある。
上記課題を解決するため、本発明の排水弁駆動装置は、外部の排水弁に接続されるワイヤと、前記ワイヤの巻き取りおよび繰り出しを行うプーリ部材と、前記プーリ部材に連結される一又は複数の動力伝達部材と、前記プーリ部材および前記動力伝達部材の駆動源であるモータと、前記プーリ部材を収容するケースと、を備え、前記プーリ部材には、前記ケース内における前記プーリ部材の装着位置に対して、前記プーリ部材を前記動力伝達部材が連結可能な角度範囲とは異なる向きで組み付けようとしたときに、前記ケースの一部または該ケースに収容される他部材に接触してその組み付けを妨げる干渉部が形成されていることを特徴とする。
ワイヤが巻き付けられるプーリ部材に、その組み付け時の向きをガイドする干渉部を設けることにより、排水弁駆動装置の組立性を向上させることができる。
このとき、前記干渉部は、前記プーリ部材を組み付けようとする向きが、前記動力伝達部材が連結可能な配置角度とは異なる全ての角度範囲にあるときに、その組み付けを妨げることが好ましい。プーリ部材を、他の動力伝達部材との連結が可能な向き以外では組み付けられないようにすることで、排水弁駆動装置の組立性をより向上させることができる。
また、本発明の排水弁駆動装置は、前記プーリ部材は、前記ワイヤが巻き付けられるドラム部と、外周面に歯部が形成されたギヤ部と、を有し、前記ギヤ部の前記歯部は、前記プーリ部材の回転方向における一部の角度範囲にのみ形成されており、前記動力伝達部材は前記ギヤ部と噛合する歯車部材を含み、前記干渉部は、前記プーリ部材を、前記歯車部材が前記ギヤ部に噛合可能な角度範囲とは異なる向きに組み付けようとしたときに、その組み付けを妨げる構成としてもよい。プーリ部材のギヤ部がプーリ部材の全周に及んでいない構成であっても、本発明の干渉部により、ギヤ部と他の動力伝達部材との噛み合いが組立中に外れてしまうことが防止される。特にワイヤに復元力がある場合は、他の動力伝達部材との噛み合いが外れたはずみでプーリ部材が跳ねるおそれがあるが、上記構成によればこれも防止される。
また、本発明において前記プーリ部材の回転中心線に沿う方向を上下としたときに、前記干渉部は、前記プーリ部材の下面または外周面に形成されていることが好ましい。排水弁駆動装置を組み立てる際には、作業者は通常、下側に配置される部品から順に部品を組み立てていく。干渉部がプーリ部材の下面または外周面に形成されていることにより、プーリ部材よりも後続の部品を組み付ける前にその配置の誤りを顕在化させることが可能となり、作業効率が高められる。
また本発明においては、前記干渉部は、前記プーリ部材の下面に該プーリ部材の回転方向に沿って延びるように形成された凸部であり、前記ケースまたは該ケースに収容される他部材には、前記プーリ部材が前記ワイヤを繰り出す方向に回転して所定の配置角度に至ったときに、前記干渉部のその周回方向における一端に接触して前記プーリ部材の同方向へのさらなる回転を阻止するストッパ部が設けられ、前記干渉部は、前記プーリ部材を前記動力伝達部材が連結可能な角度範囲とは異なる向きに組み付けようとしたときに、前記ストッパ部に干渉することでその組み付けを妨げることが好ましい。組立後のプーリ部材の回動限界を定めるストッパ部とこれに当接するプーリ部材の部位(干渉部の一端に相当する部位)の機能を拡張してプーリ部材の組み付け時の向きをガイドする干渉部を設けることにより、つまり干渉部に、プーリ部材の回動限界の設定機能と組み付け時のガイド機能という2つの機能を持たせることにより、排水弁駆動装置全体としての構造効率が高められる。
このとき、前記ストッパ部は前記ケースの一部であることが好ましい。ケースの一部をストッパ部とすることにより、ストッパ部の位置精度および強度を最大化することができる。
またこのとき、前記干渉部の前記一端は、該干渉部の他端よりも高強度な形状に形成されていることが好ましい。上でも述べたように、本構成の干渉部はプーリ部材の回動限界の設定機能と組み付け時のガイド機能という2つの機能を有している。ストッパ部は、ワイヤが仕様上の限界まで繰り出されたときにプーリ部材の回転を強制的に停止し、内部機構を保護するものである。またワイヤを巻き取る力は調節可能であるが、外部からワイヤが引っ張られる力は制御することはできない。そのため、干渉部の各部のうち、ストッパ部に当接する部分には十分な強度が必要であるが、組み付け時に干渉する部分にはそれほどの強度は要求されない。そこで、干渉部の一端と他端の形状を異ならせ、ストッパ部に当接する一端側の強度を他端側よりも高くすることにより(他端側の強度を一端側よりも下げることにより)、プーリ部材の構造効率を高めることができる。
このように、本発明によれば排水弁駆動装置の組立性を向上させることができる。
[構成概要]
以下、図面を参照しながら本発明にかかる排水弁駆動装置の実施形態について説明する。以下の説明における「上下」とは、各図に描かれた座標軸のZ軸に平行な方向を意味しており、Z1側を「上」、Z2側を「下」とする。「前後」とは、同座標軸のX軸に平行な方向を意味しており、X1側を「前」、X2側を「後ろ」とする。同様に、「左右」とは、同座標軸のY軸に平行な方向を意味しており、Y1側を「右」、Y2側を「左」とする。また、「水平」とは、同座標軸に示されるXY平面方向を意味している。
以下、図面を参照しながら本発明にかかる排水弁駆動装置の実施形態について説明する。以下の説明における「上下」とは、各図に描かれた座標軸のZ軸に平行な方向を意味しており、Z1側を「上」、Z2側を「下」とする。「前後」とは、同座標軸のX軸に平行な方向を意味しており、X1側を「前」、X2側を「後ろ」とする。同様に、「左右」とは、同座標軸のY軸に平行な方向を意味しており、Y1側を「右」、Y2側を「左」とする。また、「水平」とは、同座標軸に示されるXY平面方向を意味している。
図1は本発明の一実施形態である排水弁駆動装置900の内部機構を示す分解斜視図である。図2は排水弁駆動装置900の内部機構を示す平面図である。本形態の排水弁駆動装置900は図示しない洗濯機に搭載され、モータ100の駆動力により排水弁を開閉する装置である。排水弁は図示しない付勢手段により常時閉塞方向に付勢されており、排水弁駆動装置900は、排水弁をその付勢力に抗してワイヤ450で引き上げることにより排水口を開放させ、また、その開放状態を維持する。
排水弁駆動装置900は、排水弁に接続されるワイヤ450と、ワイヤ450の巻き取りおよび繰り出しを行うプーリ部材420と、プーリ部材420の駆動源であるモータ100と、を備えている。モータ100の回転は減速歯車により減速されてプーリ部材420に伝達される。ワイヤ450の先端には排水弁に接続されるコネクタ部材459が装着される。
また、排水弁駆動装置900は、これらの内部機構を収容する上ケース910および下ケース920(以下、これらを総称して「ケース910,920」ともいう。)を有している。ワイヤ450はケース910,920に設けられた開口部940から装置外に露出している。開口部940は、ワイヤ450の直径と略同径の貫通孔が形成された薄板部材である防水フィルム941で塞がれている。これにより、ケース910,920内部からのワイヤ450の出し入れと装置の防水性とが両立されている。
図2に示されるように、本形態の排水弁駆動装置900は、モータ100の駆動力を被駆動体である排水弁に伝達する動力伝達経路である第1経路P1、第1経路P1による駆動力の伝達を「継」状態または「断」状態に切り替えるクラッチ機構C、モータ100の正転時の駆動力のみを第1経路P1に伝達させるフィルタ機構F、および、フィルタ機構Fにモータ100の駆動力を伝達する動力伝達経路である第2経路P2と、を有している。
[プーリ部材]
(構成概要)
図3は、本形態のプーリ部材420の平面図および下面図である。図4は、プーリ部材420へのワイヤ450の巻き付け構造を示す斜視図および背面図である。以下、図3および図4を参照してプーリ部材420の基本的な構造について説明する。
(構成概要)
図3は、本形態のプーリ部材420の平面図および下面図である。図4は、プーリ部材420へのワイヤ450の巻き付け構造を示す斜視図および背面図である。以下、図3および図4を参照してプーリ部材420の基本的な構造について説明する。
本形態のプーリ部材420は樹脂製の複合歯車部材である。プーリ部材420は、ワイヤ450が巻き付けられるドラム部Dと、外周面に歯部421が形成されたギヤ部Gと、を有している。これらドラム部Dおよびギヤ部Gは上下に並べられており、一部品として一体成形されている。本形態ではギヤ部Gが上側に配置され、ドラム部Dはその下に配置されている。
ワイヤ450の一方の端末には、ワイヤ450の直径よりも大きな外寸の固定金具である留め具451が装着されている。プーリ部材420は、上下方向におけるギヤ部側Gの端面(上面)に、留め具451が固定される凹部である固定部422と、固定部422からプーリ部材420の外周面に貫通する溝部である第1溝部423と、が形成されている。ドラム部Dの外周面には、ドラム部Dに巻き付けられたワイヤ450を保持する溝部である第2溝部426が形成されている。
本形態のギヤ部Gは、その周方向における略180°の角度範囲にわたって歯部421が形成されている。ギヤ部Gは、歯部421が形成されている角度範囲の厚みが他の範囲よりも肉厚に形成されている。また、その肉厚に形成された部分には、複数の円形の凹部である肉抜き440と、略円弧形状のカム溝424とが形成されている。カム溝424の底部には、その溝幅方向に沿って複数本のリブが設けられている。
第1溝部423は、ギヤ部Gの歯部421が形成されていない範囲の外周面に貫通している。本形態の排水弁駆動装置900では、プーリ部材420の回動範囲が略180°となるように、ワイヤ450の必要ストロークに基づいてドラム部Dの直径が調節されている。そして本形態では、歯部421が形成されていない範囲に第1溝部423が配置されていることにより、第1溝部423から延出するワイヤ450がギヤ部Gの噛合を阻害することが防止されている。
図3(b)および図4(b)に示されるように、ドラム部Dの外周面に形成された第2溝部426は、ドラム部Dの周方向に連続する一筋の溝部である。
なお、本形態ではギヤ部Gおよびドラム部Dを図4(b)に示すように区別しているが、ギヤ部Gとドラム部Dとの境界は、常にその全体が外観から明らかである必要はない。ギヤ部Gおよびドラム部Dは、プーリ部材420の周方向における少なくとも一部の角度範囲において上下に並べて配置されていればよい。
このように、本形態ではドラム部Dおよびギヤ部Gがプーリ部材420として一部品化されていることにより、排水弁駆動装置900の部品点数が抑えられ、排水弁駆動装置900の組立作業の効率が改善されている。
(ワイヤの脱落防止構造)
上でも述べたように、ドラム部Dの外周面にはワイヤ450が巻き付けられる第2溝部426が形成されている。ワイヤ450は、第2溝部426に嵌め込まれることによりその位置が安定し、ドラム部Dから脱落しにくくなる。
上でも述べたように、ドラム部Dの外周面にはワイヤ450が巻き付けられる第2溝部426が形成されている。ワイヤ450は、第2溝部426に嵌め込まれることによりその位置が安定し、ドラム部Dから脱落しにくくなる。
また、図3(b)に示されるように、本形態のプーリ部材420は、ギヤ部Gの歯先円半径r1が、同位置におけるドラム部Dの半径r2よりも大きい。本形態のプーリ部材420では、ワイヤ450の留め具451がプーリ部材420の上面に嵌合され、そこからギヤ部Gの裏側にワイヤ450が引き回されてギヤ部Gよりも小径のドラム部Dに巻き付けられることにより、ワイヤ450がギヤ部G側に脱落することが防止されている。また、本形態のプーリ部材420は、第1溝部423から延出したワイヤ450を押え、ドラム部Dに案内するガイド部427を有している。
図5は、下ケース920の壁部921とプーリ部材420との位置関係を示す部分平面図である。本形態のワイヤ450は、より線のスチールワイヤである。そのため、ドラム部Dに巻き付けられたワイヤ450には直線状に戻ろうとする弾性力(復元力)が作用している。本形態の下ケース920の内面には、ワイヤ450がドラム部Dから離れる方向に広がることを制限する壁部921が形成されている。壁部921の形成位置は、左右方向におけるギヤ部Gの配置範囲wと重なっている。本形態のワイヤ450はドラム部Dに対して平面視時計回りに巻き付けられる。そのため、ドラム部Dから前方(開口部940側)に延びるワイヤ450は、その弾性により左側に広がろうとする。その広がりを壁部921で制限し、ギヤ部Gに覆われる範囲にワイヤ450を留めることにより、ワイヤ450がギヤ部G側に脱落することが防止されている。
(耐熱構造)
図6は、上ケース910および下ケース920の内面構造を示す斜視図である。以下、図5および図6を参照して排水弁駆動装置900の耐熱構造について説明する。
図6は、上ケース910および下ケース920の内面構造を示す斜視図である。以下、図5および図6を参照して排水弁駆動装置900の耐熱構造について説明する。
排水弁駆動装置900の出力部であるプーリ部材420には、ワイヤ450を介して排水弁の付勢力が直接的に作用する。すなわちプーリ部材420には、排水弁駆動装置900の歯車機構の中で最も大きな負荷が加えられる。
本形態のプーリ部材420は、軸穴を有する円筒形状のボス部429を有している。プーリ部材420は、ケース910,920の内部に設けられた金属製の固定軸137がボス部429に挿通されることで、固定軸137に回転可能に支持される。本形態の固定軸137は、モータ100の上面を構成する金属製のプレート(後述するステータ110の一部)にその基端部が接合されており、その先端は、上ケース910の軸受部911(図6(a)参照)に支持されている。本形態の排水弁駆動装置900は、プーリ部材420が金属製の固定軸137に支持されることにより、排水弁駆動装置900が高温雰囲気下で使用される場合でも、プーリ部材420の支持部の変形による動作不良が抑制されている。
さらに、本形態の上ケース910の内面には、軸受部911を中心として放射状に延びる複数本のリブ912が形成されており、これらリブ912のうちの一つである前側リブ912aは、軸受部911から前方にまっすぐに延びている。固定軸137の軸受部911がリブ912で補強され、かつ、リブ912のうちの一つが、ワイヤ450が引っ張られる方向、つまりプーリ部材420が引っ張られる方向である前方に延びていることにより、高温雰囲気下で軸受部911に負荷が加えられときの軸受部911の変形が抑えられている。
また、本形態のプーリ部材420は、ギヤ部Gの歯部421のモジュールが0.65mmに設定されている。ギヤ部Gのモジュールが0.65mmであることにより、排水弁駆動装置900を構成する樹脂部材が高温雰囲気下において変形した場合でも、ギヤ部Gの必要な噛み合い量を確保することが可能とされている。なお、ギヤ部Gのモジュールは常に0.65mmである必要はなく、0.63mm以上であれば同様の効果を得ることができる。
このように、本形態の排水弁駆動装置900は、プーリ部材420が金属製の固定軸137に支持され、固定軸137の軸受部911がリブ912で補強され、さらにプーリ部材420のギヤ部Gのモジュールが0.65mmに設定されていることにより、高温雰囲気下においても長期間安定して稼働することが可能とされている。なお、これら3点の構成は常にすべてが具備されている必要はなく、いずれか一点でも具備することで相応の効果を得ることができる。
[動力伝達機構]
図7は、排水弁駆動装置900の動力伝達機構の構造を示す透視平面図である。上でも述べたように、本形態の排水弁駆動装置900は、モータ100の駆動力を被駆動体である排水弁に伝達する動力伝達経路である第1経路P1、第1経路P1による駆動力の伝達を「継」状態または「断」状態に切り替えるクラッチ機構C、モータ100の正転時の駆動力のみを第1経路P1に伝達させるフィルタ機構F、および、フィルタ機構Fにモータ100の駆動力を伝達する動力伝達経路である第2経路P2と、を有している。
図7は、排水弁駆動装置900の動力伝達機構の構造を示す透視平面図である。上でも述べたように、本形態の排水弁駆動装置900は、モータ100の駆動力を被駆動体である排水弁に伝達する動力伝達経路である第1経路P1、第1経路P1による駆動力の伝達を「継」状態または「断」状態に切り替えるクラッチ機構C、モータ100の正転時の駆動力のみを第1経路P1に伝達させるフィルタ機構F、および、フィルタ機構Fにモータ100の駆動力を伝達する動力伝達経路である第2経路P2と、を有している。
(モータ)
図8はモータ100の構造を示す側面視断面図である。モータ100は、後述するフィルタ機構Fによりその回転方向が一方向に制御される単相のAC同期モータである。なお、本形態におけるモータ100の「正転」とは、ロータ120が平面視時計回りに回転することをいい、モータ100の「逆転」とは、ロータ120が平面視反時計回りに回転することをいう。
図8はモータ100の構造を示す側面視断面図である。モータ100は、後述するフィルタ機構Fによりその回転方向が一方向に制御される単相のAC同期モータである。なお、本形態におけるモータ100の「正転」とは、ロータ120が平面視時計回りに回転することをいい、モータ100の「逆転」とは、ロータ120が平面視反時計回りに回転することをいう。
モータ100は、上方に開口した略カップ形状のモータケース190、モータケース190内に配置された円環形状のステータ110、ステータ110の環内に配置されたロータ120、および、ロータ120に組み込まれ、ロータ120と回転中心を同じくする回転部材である誘導回転体150により構成されている。ステータ110は円環形状のボビンを有しており、ボビンにはステータコイルが所定数巻回されている。
モータケース190は、ロータ120を回転可能に支持するロータ支軸131を有している。ロータ支軸131は、ステンレス等の金属で形成された固定軸であり、モータケース190の底部中央にその基端部が固定されている。また、ステータ110の上面には、排水弁駆動装置900の動力伝達機構を構成する他の歯車部材等を支持する複数の支軸が固定されている。
ロータ120は、ロータマグネット121、ロータボス122、および磁気誘導マグネット123により構成されている。
ロータマグネット121は略円筒形状の永久磁石である。ロータマグネット121は、その外周面をステータ110の内周面に対向させて配置されており、ステータ110が発生させる磁界により回転する。ロータマグネット121の上端には、その外周面側の縁部に、モータ100の逆転防止機構の一部を構成する切り欠き状の凹部である係合部121aが形成されている。係合部121aは、ロータマグネット121の周方向に沿って等間隔に4つ設けられている。
ロータボス122は、ロータマグネット121とともにインサート成形された樹脂製の軸体であり、モータ100の出力軸である。ロータボス122は、その径方向中心に軸線方向に貫通された軸穴122bを有しており、軸穴122bにはロータ支軸131が挿通されている。ロータボス122およびロータマグネット121は、これらの下端部から互いに他方の部材側に向かって径方向に延びた部分が結合されており、かかる結合部はロータ120の底部120aを構成している。これにより、ロータ120の内部には、上方に開口した略円筒形状の空間が形成されている。また、ロータボス122の上面には、ロータボス122の上方に配置された歯車部材であるクラッチ歯車200にモータ100の駆動力を伝達する複数の爪部である駆動側爪部122aが形成されている。
磁気誘導マグネット123は、ロータマグネット121の内周面に貼着された環状の永久磁石である。
磁気誘導マグネット123の環内には誘導回転体150が配置されている。誘導回転体150は、誘導リング部R、および誘導リング部Rとともにインサート成形された樹脂製の軸体であるボス部153により構成されている。誘導回転体150は、磁気誘導マグネット123が回転することにより生じる渦電流の電磁誘導作用により、ロータ120に連れ回って回転する。
誘導リング部Rは、略円筒形状の銅管151、および、銅管151の筒内に配置される略円筒形状の鉄管152により構成されている。銅管151は、非磁性導体である銅からなる誘導体である。鉄管152は、強磁性体である鉄製の部材であり、磁気誘導マグネット123の磁気吸引力が作用するバックヨーク部である。
ボス部153は、その径方向中心に沿って貫通された軸穴153bを有しており、軸穴153bにはロータボス122が挿通されている。ボス部153は、ロータボス122によりスラスト方向およびラジアル方向に支持されている。なお、ボス部153はロータボス122には固定されていない。そのため、誘導回転体150は、誘導回転体150に対する電磁誘導作用が、誘導回転体150に加えられた回転抵抗を上回るときにロータ120に連れ回って回転する。また、ボス部153の上端には、モータ100の逆転防止機構の一部を構成する平歯車である歯車部153aが設けられている。
(第1経路)
以下、図7および図8を参照して第1経路P1の概要について説明する。第1経路P1は、モータ100の正転時の駆動力で排水弁を引き上げる出力経路である。
以下、図7および図8を参照して第1経路P1の概要について説明する。第1経路P1は、モータ100の正転時の駆動力で排水弁を引き上げる出力経路である。
第1経路P1は、モータ100側から排水弁側に向かって、ロータ120、クラッチ歯車200、遊星歯車機構300、第1経路第4歯車410(以下、単に「歯車410」という。)、プーリ部材420、およびワイヤ450により構成されている。
ロータ120のロータボス122上面に設けられた駆動側爪部122aが、クラッチ歯車200の下面から下方に突出した複数の凸部である従動側爪部210と係合することにより、モータ100の駆動力がクラッチ歯車200に伝達される(図13参照)。
クラッチ歯車200の外周面に形成された平歯車である歯車部220は、遊星歯車機構300の入力部である入力歯車311と噛合している。入力歯車311はクラッチ歯車200よりも大径の歯車であり、これによりモータ100の回転は減速されて遊星歯車機構300に入力される。そして、遊星歯車機構300内でモータ100の回転はさらに減速され、歯車410に出力される。
遊星歯車機構300の出力部である出力歯車333は、歯車410の大径歯車部411が噛合している。歯車410の小径歯車部412はプーリ部材420のギヤ部Gに噛合している。プーリ部材420が回転してワイヤ450がドラム部Dに巻き取られることにより排水弁が引き上げられる。
(遊星歯車機構)
図9は、遊星歯車機構300の構造を示す側面視断面図である。遊星歯車機構300は、第1経路P1の一部を構成するとともに、その差動歯車構造を利用して、後述するフィルタ機構Fの一部も構成している。遊星歯車機構300は、太陽歯車部材310、内歯車部材320、3つの遊星歯車331、および遊星キャリア部材330により構成されている。
図9は、遊星歯車機構300の構造を示す側面視断面図である。遊星歯車機構300は、第1経路P1の一部を構成するとともに、その差動歯車構造を利用して、後述するフィルタ機構Fの一部も構成している。遊星歯車機構300は、太陽歯車部材310、内歯車部材320、3つの遊星歯車331、および遊星キャリア部材330により構成されている。
太陽歯車部材310は、太陽歯車312が形成された内筒310aと、遊星歯車機構300の入力部である入力歯車311が外周面に形成された外筒310bとが、これらの上端部で一体化された二重筒構造の歯車部材である。外筒310bの入力歯車311は、クラッチ歯車200の歯車部220と噛合しており、内筒310aの太陽歯車312は、太陽歯車部材310の内部で3つの遊星歯車331と噛合している。これにより、クラッチ歯車200の回転は、入力歯車311から太陽歯車312を経て、これら遊星歯車331に伝達される。
内歯車部材320は、その内周面に内歯車322が形成された略キャップ形状の歯車部材である。内歯車部材320は、その上部が太陽歯車部材310の外筒310b内に嵌合されており、太陽歯車部材310から露出した下端部にはフィルタ歯車321が形成されている。フィルタ歯車321は、内歯車部材320の下端部から円環形状に広がったフランジ状の平歯車である。内歯車部材320の内歯車322は遊星歯車331と噛合しており、フィルタ歯車321は後述する第2経路P2を構成する第2経路第4歯車720(以下、単に「歯車720」という。)の小径歯車部722と噛合している。
遊星キャリア部材330は、遊星歯車331を回転可能に支持する枠体である遊星支持部332と、遊星支持部332から下方に延出した、遊星歯車機構300の出力部である出力歯車333と、が一体化された部材である。遊星キャリア部材320の出力歯車333は、第1経路P1を構成する歯車410の大径歯車部411と噛合している。
遊星歯車機構300において、入力歯車311の回転、つまり太陽歯車312の回転が出力歯車333に伝達されるかどうかは、フィルタ歯車321の角度位置が固定されているかどうかによって決定される。フィルタ歯車321の回転が歯車720の小径歯車部722に係止されると、フィルタ歯車321とともに、内歯車部材320の内歯車322の角度位置も固定される。フィルタ歯車321が固定されているときに太陽歯車312が回転すると、その回転は遊星歯車331に伝えられ、遊星歯車331は、固定された内歯車322に沿って公転し、遊星支持部332とともに出力歯車333を回転させる。一方、フィルタ歯車321が固定されていないときには、太陽歯車312の回転は遊星歯車331の自転を経て内歯車322の空転により消費され、出力歯車333には伝達されない。
つまり、モータ100の正転時にフィルタ歯車321を固定することで、モータ100正転時の駆動力を第1経路P1に伝達させることができ、モータ100の逆回転時の駆動力を内歯車322の空転により消失させることができる。
(第2経路およびフィルタ機構)
以下、図10および図11を参照して第2経路P2およびフィルタ機構Fの具体的な構成について説明する。図10は、モータ100が逆転したときのフィルタ機構Fの動作を示す平面図である。図11は、モータ100が正転したときのフィルタ機構Fの動作を示す平面図である。フィルタ機構Fはモータ100の正転時の駆動力のみを第1経路P1に伝達させる機構である。第2経路P2は、かかるフィルタ機構Fを作動させる出力経路である。
以下、図10および図11を参照して第2経路P2およびフィルタ機構Fの具体的な構成について説明する。図10は、モータ100が逆転したときのフィルタ機構Fの動作を示す平面図である。図11は、モータ100が正転したときのフィルタ機構Fの動作を示す平面図である。フィルタ機構Fはモータ100の正転時の駆動力のみを第1経路P1に伝達させる機構である。第2経路P2は、かかるフィルタ機構Fを作動させる出力経路である。
フィルタ機構Fおよび第2経路P2は、モータ100側から遊星歯車機構300側に向かって、ロータ120、誘導回転体150、扇形ギヤ600、扇形ギヤ600に隣接する歯車部材である第2経路第3歯車710(以下、単に「歯車710」という。)、歯車720(第2経路第4歯車720)、および遊星歯車機構300の内歯車部材320により構成されている。
扇形ギヤ600はモータ100の逆転防止機構の一部を構成する歯車部材である。扇形ギヤ600は、モータ100の始動時にロータ120が逆転したときに係合部121aの周回軌道に進入して係合部121aと衝突し、モータ100の回転を正転に修正する。
扇形ギヤ600は、平面視略扇形の本体部610と、本体部610の円弧に相当する部分に設けられた歯車部611と、本体部610の円弧の一方の端部に設けられた肉厚部である衝突部620とを有している。扇形ギヤ600の歯車部611は、誘導回転体150の歯車部153aと噛合している。扇形ギヤ600は、モータ100の始動時にロータ120が逆転したときには、衝突部620を係合部121aの周回軌道に侵入させ、係合部121aを衝突部620に衝突させる。
その他、扇形ギヤ600の回動中心部からは円筒形状の軸部630が上方に延出している。軸部630の上部には、軸部630の径方向外側に突出した凸部である係止部635が形成されている。また、扇形ギヤ600の回動中心部からはさらに、棒状のレバー部640が径方向外側に延出している。図10に示されるように、レバー部640の先端にはコイルばね690の一端が取り付けられている。コイルばね690の他端は、下ケース920に設けられたピン135に取り付けられている。
図10に示されるように、モータ100が逆転すると、これに連れ回って誘導回転体150が反時計回りに回転する。そして、誘導回転体150の歯車部153aに噛合する扇形ギヤ600は時計回りに回動する。扇形ギヤ600が歯車710の軸部に当接する位置まで回動すると、扇形ギヤ600はそれ以上の回動が阻止される。そして、扇形ギヤ600と噛合する誘導回転体150も扇形ギヤ600により回転が係止される。
図8を用いて述べたように、誘導回転体150のボス部153はロータボス122には固定されておらず、誘導回転体150は、誘導回転体150に対する電磁誘導作用が、誘導回転体150に加えられた回転抵抗を上回るときにロータ120に連れ回って回転する。そのため、誘導回転体150の回転が扇形ギヤ600に係止された後も、ロータ120は逆転を継続する。
扇形ギヤ600が歯車710の軸部に当接する位置まで回動した状態でロータ120が逆転すると、ロータ120の係合部121aが扇形ギヤ600の衝突部620に衝突する。この衝突の反動により、ロータ120の回転方向は正転に修正される。
歯車710の上部には、その外周面に、扇形ギヤ600の係止部635と係合する複数の凸部である係合部711が形成されている。また、歯車710の下部には平歯車である歯車部712が設けられている。
歯車720は、大径歯車721および小径歯車722が上下に重ねられ一体成形された複合歯車である。歯車720の大径歯車721は歯車710の歯車部712と噛合しており、歯車720の小径歯車722は内歯車部材320のフィルタ歯車321と噛合している。
図11に示されるように、モータ100が正転すると、これに連れ回って誘導回転体150が時計回りに回転する。そして、誘導回転体150の歯車部153aに噛合する扇形ギヤ600は反時計回りに回動する。なお、このとき、コイルばね690は、扇形ギヤ600のレバー部640に引っ張られ、扇形ギヤ600を原位置(図10の位置)に戻すように扇形ギヤ600を付勢する。
扇形ギヤ600の係止部635が歯車710の外周面に当接する位置まで扇形ギヤ600が回動すると、扇形ギヤ600はそれ以上回動することができなくなる。そして、扇形ギヤ600と噛合する誘導回転体150も、それ以降の回転が扇形ギヤ600により係止される。なお、この場合でもロータ120は正転を継続する。
扇形ギヤ600の係止部635が歯車710の外周面に当接すると、歯車710の係合部711が係止部635に係合することで、歯車710の回転が係止される。なお、モータ100が正転したときには、歯車710は、フィルタ歯車321から逆流してきた駆動力により時計回りに回転しようとする。
歯車710の時計回りの回転が係止されると、これに連動して、歯車720とフィルタ歯車321(内歯車部材320)の回転も係止される。これにより、第1経路P1にモータ100の駆動力が伝達されるようになる。
(クラッチ機構)
以下、図12および図13を参照して排水弁駆動装置900のクラッチ機構Cについて説明する。図12はクラッチ機構Cの継断動作を示す平面図である。図12(a)は、排水弁駆動装置900の始動時のクラッチ機構Cの状態を示す平面図である。図12(b)は排水弁を引き上げている最中のクラッチ機構Cの状態を示す平面図である。図12(c)は排水弁の開放状態を維持しているときのクラッチ機構Cの状態を示す平面図である。図13はクラッチ機構Cの継断動作を示す側面図である。図13(a)は、図12(a)(b)のクラッチ機構Cを矢印A方向から見たときの側面図である。図13(b)は、図12(c)のクラッチ機構Cを矢印A方向から見たときの側面図である。
以下、図12および図13を参照して排水弁駆動装置900のクラッチ機構Cについて説明する。図12はクラッチ機構Cの継断動作を示す平面図である。図12(a)は、排水弁駆動装置900の始動時のクラッチ機構Cの状態を示す平面図である。図12(b)は排水弁を引き上げている最中のクラッチ機構Cの状態を示す平面図である。図12(c)は排水弁の開放状態を維持しているときのクラッチ機構Cの状態を示す平面図である。図13はクラッチ機構Cの継断動作を示す側面図である。図13(a)は、図12(a)(b)のクラッチ機構Cを矢印A方向から見たときの側面図である。図13(b)は、図12(c)のクラッチ機構Cを矢印A方向から見たときの側面図である。
クラッチ機構Cは、第1経路P1によるモータ100の駆動力の伝達を「継」状態または「断」状態に切り替える機構である。クラッチ機構Cは、主に、モータ100のロータボス122、第1経路P1においてロータボス122の上方に配置された歯車部材であるクラッチ歯車200、略扇形の板状部材であるクラッチレバー500により構成されている。クラッチレバー500は、排水弁の開閉状態に合わせて、その基端部の支軸136を回動中心として所定の角度範囲内を水平方向へ往復移動する部材である。
ロータボス122およびクラッチ歯車200は、どちらもロータ支軸131に回転可能に支持されている。クラッチ歯車200の軸方向位置は固定されておらず、クラッチ歯車200はロータ支軸131を上下にスライド可能である。ロータボス122のクラッチ歯車200側の端面である上面122sと、クラッチ歯車200のロータボス122側の端面である下面200sとの間には、これらを離間させる方向へ付勢するコイルばね250が配置されている。
ロータボス122の上面122sには、クラッチ歯車200側に突出した複数の爪部である駆動側爪部122aが形成されている。そして、クラッチ歯車200の下面200sには、ロータボス122側に突出した複数の爪部である従動側爪部210が形成されている。従動側爪部210が駆動側爪部122aに係合することにより、モータ100の駆動力がクラッチ歯車200に伝達される。すなわち、第1経路P1が「継」状態となる。また、これら従動側爪部210および駆動側爪部122aの係合が解除されることにより、第1経路P1は「断」状態となる。
クラッチ歯車200は、上方に突出した軸部である従動軸240を有している。そしてクラッチレバー500は、その下面に、ロータボス122とクラッチ歯車200との距離を制御するカムであるスロープ部510を有している。スロープ部510はクラッチ歯車200の従動軸240の頂部に接触し、クラッチ歯車200の軸方向位置を変化させる。より具体的には、排水弁を開放する際には、クラッチ歯車200を押圧してその軸方向位置を下げ、従動側爪部210と駆動側爪部122aとを係合させる。そして排水弁の開放が完了し、その開放状態を維持するときには、クラッチ歯車200の押圧を解除して従動側爪部210を駆動側爪部122aから離間させる。
図12に示されるように、プーリ部材420の上面には略円弧形状のカム溝424が設けられている。そしてクラッチレバー500の下面には下方に突出した凸部であるボス部530が形成されている。クラッチレバー500のボス部530は、プーリ部材420のカム溝424に嵌合されている。すなわち、プーリ部材420およびクラッチレバー500は表面カムを構成している。クラッチレバー500はプーリ部材420のカムフォロアーであり、プーリ部材420の回動に追従して水平方向における所定の角度範囲内を往復移動する。
また、クラッチレバー500の下面には、下方に突出した凸部である係止部520が形成されている。そして、クラッチ歯車200には、その従動軸240から径方向外側に延出した凸部である係合部230が設けられている。クラッチ歯車200の係合部230が、その回転方向においてクラッチレバー500の係止部520に接触することにより、クラッチ歯車200は同方向への回転が係止される。なお、クラッチ歯車200の係合部230は、平面視点対称に二つ形成されている。クラッチ歯車200の逆転がクラッチレバー500に阻止されることにより、排水弁の開放後に、排水弁自体の付勢力に抗して排水弁の開放状態を維持することが可能とされている。
図12(a)(b)および図13(a)に示すように、排水弁の始動時には、クラッチレバー500のスロープ部510でクラッチ歯車200が下方に押圧されており、従動側爪部210が駆動側爪部122aに係合している。これにより第1経路P1が「継」状態となり、モータ100の駆動力で排水弁が開放される。
ここで、本形態の下ケース920の内面には、プーリ部材420の回転範囲を制限する凸部であるストッパ部922が形成されている。そして図3(b)に示されるように、プーリ部材420の下面420bにはプーリ部材420の回転方向に沿って延びるように形成された凸部である干渉部430が形成されている。ストッパ部922は干渉部430の周回軌道上にある。ワイヤ450が仕様上の最大長まで繰り出されると、干渉部430の一端に設けられた堅牢な角筒部431がストッパ部922に接触し、プーリ部材420のそれ以上の回転が阻止される。本形態の排水弁駆動装置900では、ワイヤ450の繰り出し量を干渉部430およびストッパ部922で構造的に制限することにより、ワイヤ450が外部から強く引っ張られた場合でも装置内の歯車機構が保護される。なお、干渉部430やストッパ部922の位置や形状は本形態のものには限定されない。ストッパ部922は、ワイヤ450が繰り出される方向にプーリ部材420が回転して所定の配置角度に至ったときに、プーリ部材420の一部と接触してプーリ部材420のそれ以上の回転を阻止するものであればどのような構造であってもよい。
図12(c)および図13(b)に示すように、排水弁の開放後、その開放状態を維持するときには、クラッチレバー500によるクラッチ歯車200の押圧が解除され、従動側爪部210が駆動側爪部122aから離間する。これにより第1経路P1は「断」状態となり、ロータボス122は空転することとなる。そして、クラッチ歯車200の係合部230がクラッチレバー500の係止部520に係合し、クラッチ歯車200の逆転が阻止される。これにより、排水弁自体の付勢力に抗して排水弁の開放状態が維持される。なお、本形態のクラッチレバー500は、プーリ部材420の上面に形成された凸部である押動突起425に押されることでクラッチ歯車200の押圧を解除する方向に旋回し、カム溝424に従動することでクラッチ歯車200を押圧する方向に旋回する。
(プーリ部材の組み付け構造)
図14は、下ケース920のストッパ部922と干渉部430との位置関係を示す平面透視図である。図14(a)はプーリ部材420がその回転方向における一方の限界角度に配置された状態(ワイヤ450が仕様上の限界まで繰り出された状態)を示す図、図14(b)はプーリ部材420がその回転方向における他方の限界角度に配置された状態(ワイヤ450が仕様上の限界まで巻き取られた状態)を示す図である。以下、図14および図3(b)を参照してプーリ部材420の組み付け構造について説明する。
図14は、下ケース920のストッパ部922と干渉部430との位置関係を示す平面透視図である。図14(a)はプーリ部材420がその回転方向における一方の限界角度に配置された状態(ワイヤ450が仕様上の限界まで繰り出された状態)を示す図、図14(b)はプーリ部材420がその回転方向における他方の限界角度に配置された状態(ワイヤ450が仕様上の限界まで巻き取られた状態)を示す図である。以下、図14および図3(b)を参照してプーリ部材420の組み付け構造について説明する。
プーリ部材420の干渉部430は、下ケース920にプーリ部材420を組み付ける際にその向きをガイドする凸部である。プーリ部材420を、これに隣接する動力伝達部材である歯車410やクラッチレバー500が連結できない向きに組み付けようとすると、干渉部430がストッパ部922に接触し、その組み付けを妨げる。これにより排水弁駆動装置900の組立性が高められている。
図3(b)に示すように、本形態の干渉部430は、プーリ部材420の下面420bに形成され、プーリ部材420の回転方向に沿って延びている。同回転方向における干渉部430の一端には、略角筒形状のリブである角筒部431が設けられている。角筒部431はその筒穴の開口を下方に向けるように形成されている。角筒部431の形状はストッパ部922の形状と略同一である。干渉部430の他端側は、角筒部431から連続する2枚の板状のリブである第1板部432および第2板部433により構成されている。第1板部432および第2板部433はその板面をプーリ部材420の内外径方向に向け、プーリ部材420の回転方向に沿って湾曲しながら延びている。第1板部432は、同内外径方向における角筒部431の端部のうち径方向外側の端部から連続して延びており、第2板部433は径方向内側の端部から連続して延びている。また、第1板部432は第2板部433よりも広い角度範囲にわたって形成されている。
図14からも分かるように、本形態の干渉部430は、プーリ部材420を組み付けようとする向きが歯車410やクラッチレバー500が連結可能な向きである場合にのみその組み付けを許容する(妨げない)。これによりプーリ部材420を組み付ける際の配置角度の誤りが必然的に防止される。なお、干渉部430を形成する角度範囲を本形態より小さくした場合でも、その網羅度に応じてプーリ部材420の組み付けの誤りを生じにくくする効果は得られる。
また、排水弁駆動装置900を組み立てる際には、作業者は通常、下側に配置される部品から順に部品を組み立てていく。干渉部430がプーリ部材420の下面420bに設けられていることにより、作業者は、プーリ部材420よりも後続の部品を組み付ける前にその配置の誤りを認知することができる。
上でも述べたように、プーリ部材420の歯部421は、ギヤ部Gの周方向における略180°の角度範囲にのみ形成されており、ギヤ部Gの全周には及んでいない。このような構成であっても、干渉部430によれば、ギヤ部Gの歯部421と歯車410(小径歯車部412)との噛み合いが組立作業中に外れてしまうことが防止される。特に、より線のスチールワイヤからなるワイヤ450には直線状に戻ろうとする力が常に作用しており、仮に組立作業中に歯車410との噛み合いが外れた場合、そのはずみでプーリ部材420やこれに隣接する部品が外れてしまうおそれがある。
また上でも述べたように、ストッパ部922は干渉部430の周回軌道上に設けられている。ワイヤ450が仕様上の最大長まで繰り出されると、角筒部431がストッパ部922に当接し、プーリ部材420のそれ以上の回転が阻止される。本形態の排水弁駆動装置900では、ワイヤ450の繰り出し量を角筒部431およびストッパ部922で構造的に制限することにより、ワイヤ450が外部から強く引っ張られた場合でも装置内の歯車機構が保護される。本形態のプーリ部材420は、ストッパ部922に当接する部位(干渉部430の一端に相当する部位)の機能を拡張して干渉部430を形成することにより、つまり干渉部430に、プーリ部材420の回動限界の設定機能と組み付け時のガイド機能という2つの機能を持たせることにより、プーリ部材420の構造効率、ひいては排水弁駆動装置900の構造効率を高めている。
また本形態では、ストッパ部922に当接する角筒部431を第1板部432や第2板部433よりも高強度な形状に成形している。排水弁駆動装置900がワイヤ450を巻き取る力は設計により調節可能であるが、外部からワイヤ450が引っ張られる力はコントロールすることができない。すなわち、干渉部430の各部のうち、ストッパ部922に当接する部分には十分な強度が必要であるが、組み付け時に単にストッパ部922に干渉するだけの部分にはそれほどの強度は要求されない。そこで本形態では、干渉部430の一端の形状と他端の形状とを異ならせ、ストッパ部922に当接する一端側の強度を他端側よりも高くすることにより(他端側の強度を一端側よりも下げることにより)、プーリ部材420の構造効率を高めている。
(プーリ部材の変形例)
図15はプーリ部材420の変形例を示す下面図である。本変形例にかかるプーリ部材420dでは、上記実施形態の干渉部430に相当する構成である干渉部430dが、ドラム部Dの外周面から径方向外側に張り出すように形成されている。また、上記実施形態では下ケース920の一部をストッパ部922とすることにより、ストッパ部922の位置精度および強度を最大化しているが、本変形例の干渉部430dは、ケース910,920内において位置が固定された他部材990に当接・干渉することでプーリ部材420dの回動限界を定め、また、プーリ部材420dの組み付け時の向きをガイドする。このような干渉部430dによっても上記実施形態の干渉部430と同様の効果を得ることができる。
図15はプーリ部材420の変形例を示す下面図である。本変形例にかかるプーリ部材420dでは、上記実施形態の干渉部430に相当する構成である干渉部430dが、ドラム部Dの外周面から径方向外側に張り出すように形成されている。また、上記実施形態では下ケース920の一部をストッパ部922とすることにより、ストッパ部922の位置精度および強度を最大化しているが、本変形例の干渉部430dは、ケース910,920内において位置が固定された他部材990に当接・干渉することでプーリ部材420dの回動限界を定め、また、プーリ部材420dの組み付け時の向きをガイドする。このような干渉部430dによっても上記実施形態の干渉部430と同様の効果を得ることができる。
(クラッチレバーの組み付け構造)
図16は、プーリ部材420の肉抜き440とクラッチレバー500のボス部530との位置関係を示す平面図である。以下、図16を参照してクラッチレバー500の組み付け構造について説明する。なお、以下の説明では、クラッチレバー500の往復動作によりボス部530が移動する平面視円弧形状の範囲を「凸部軌道530a」という。
図16は、プーリ部材420の肉抜き440とクラッチレバー500のボス部530との位置関係を示す平面図である。以下、図16を参照してクラッチレバー500の組み付け構造について説明する。なお、以下の説明では、クラッチレバー500の往復動作によりボス部530が移動する平面視円弧形状の範囲を「凸部軌道530a」という。
プーリ部材420の上面420aには、略円弧形状のカム溝424と、開口形状が円形の複数の肉抜き440と、が形成されている。そして、プーリ部材420の従動部材であるクラッチレバー500の下面には、カム溝424に嵌合される円柱形状の凸部であるボス部530が形成されている。
肉抜き440は、カム溝424の近くに、プーリ部材420の回転方向に沿って並べて配置されている。また肉抜き440には、ボス部530が嵌合可能な穴径を有する大径凹部441が含まれている。大径凹部441は、プーリ部材420の上面420aのうち、プーリ部材420が回転したときに凸部軌道530aに重なり得る範囲である要注意範囲420cにも形成されている。そのため、組立作業者の不注意や、後続の部品を組み付ける際の手ぶれなどにより、ボス部530が意図せず大径凹部441に嵌まってしまうおそれがある。なお、ここでいう「ボス部530が嵌合可能な穴径」とは、必ずしもボス部530の直径よりも大きな穴径とは限らず、例えば組立作業者が上ケース910を強引に閉めた場合など、肉抜き440の開口にボス部530が押しつけられたときにこれが刺さる程度まで開口が広がり得るものも含まれる。
そして本形態のプーリ部材420は、要注意範囲420cの肉抜き440の中に、ボス部530が嵌合不能な穴径の肉抜き440である小径凹部442も含まれている。これにより、小径凹部442を凸部軌道530a上に配置した状態でクラッチレバー500を組み付けることが可能とされており、クラッチレバー500のボス部530が大径凹部441に不意に嵌まってしまう頻度が抑えられている。
なお、肉抜き440の開口形状は円形には限られない。要注意範囲420cに小径凹部442を含めることによる効果を得るにあたり、小径凹部442は、ボス部530が嵌合不能な開口寸法の肉抜き440であればその開口形状は問わず、大径凹部441も、ボス部530が嵌合可能な開口寸法の肉抜き440であればその開口形状は問わない。また本形態では、要注意範囲420cに形成されている凹部が肉抜きを目的とした凹部であり、部品の接続等を目的とした凹部よりも形状に対する要求が低いことから比較的容易の小径凹部442の実装が実現されているが、かかる凹部が肉抜きを目的としたものではなかったとしても、要注意範囲420cに嵌合不能な開口寸法の凹部を含めることにより、凹部にボス部530が不意に嵌まってしまう頻度を抑えることができる。
そして小径凹部442は、プーリ部材420がその回転方向における一方の限界角度まで回転した位置において凸部軌道530aと重なる部分に、より具体的には、ワイヤ450が仕様上の限界まで繰り出され、プーリ部材420の干渉部430がストッパ部922に当接した位置において凸部軌道530aと重なる部分に形成されている。プーリ部材420を一方の限界角度まで回転させたときの配置角度をクラッチレバー500組み付け時の基準位置とすることにより、クラッチレバー500を組み付ける際のプーリ部材420の配置角度のバラツキが軽減され、組み付け作業の品質が安定する。
特に、より線のスチールワイヤからなるワイヤ450には直線状に戻ろうとする力が常に作用しており、プーリ部材420に巻き付けられたワイヤ450の復元力により組み付け後のプーリ部材420が意図せず回転するおそがある。本形態では、ワイヤ450が限界まで繰り出された配置角度を基準位置とすることにより、ワイヤ450の復元力によるプーリ部材420の向きの乱れが抑えられている。なお、ワイヤ450の復元力等を考慮する必要がなければ、プーリ部材420の他方の限界角度(ワイヤ450が限界まで巻き取られる配置角度)をプーリ部材420の基準位置とすることもできる。
さらに本形態では、上記基準位置において凸部軌道530aと重なる部分に形成された小径凹部442だけでなく、これに隣接する肉抜き440のうち、プーリ部材420が図16視反時計回り(ワイヤ450を巻き取る方向)に回ったときに凸部軌道530aに重なる肉抜き440も小径凹部442とされている。上記基準位置において凸部軌道530aと重なる部分とその近傍部に小径凹部442を設けることにより、例えば作業者の手ぶれやワイヤ450の復元力により組み付け後のプーリ部材420の向きが多少ずれた場合でも、ボス部530が大径凹部441に不意に嵌まってしまうことが防止される。なお、上記基準位置ではプーリ部材420はその干渉部430がストッパ部922に当接しているため、プーリ部材420は図16視時計回り(ワイヤ450を繰り出す方向)には回らない。
(肉抜き構造の変形例)
図17(a)(b)(c)はプーリ部材420の肉抜き構造の変形例を示す平面図である。以下、図17を参照してプーリ部材420の肉抜き構造の各変形例について説明する。
図17(a)(b)(c)はプーリ部材420の肉抜き構造の変形例を示す平面図である。以下、図17を参照してプーリ部材420の肉抜き構造の各変形例について説明する。
図17(a)の例では、プーリ部材420の要注意範囲420cに形成される肉抜き440がいずれも小径凹部442で構成されている。これにより、クラッチレバー500の組み付け時にプーリ部材420がどのような向きで配置されていてもボス部530が肉抜き440に嵌まることが防止される。
図17(b)の例では、プーリ部材420の上面420aのうち、プーリ部材420をクラッチレバー500組み付け時の基準位置に配置したときに凸部軌道530aと重なる部分には、肉抜き440自体が形成されていない。このように、クラッチレバー500組み付け時の凸部軌道530a上から肉抜き440をなくすことによっても、ボス部530が不意に肉抜き440に嵌まってしまう頻度を抑えることができる。
図17(c)の例では、プーリ部材420の上面420aのうち、プーリ部材420をクラッチレバー500組み付け時の基準位置に配置したときに凸部軌道530aと重なる部分には、開口形状が矩形であって、その開口の最小差し渡し寸法d2がボス部530の直径d1よりも小さな肉抜き440である矩形凹部443が形成されている。クラッチレバー500のボス部530の形状(円柱形状)と、クラッチレバー500の組み付け時における凸部軌道530a上の肉抜き440の形状とを異ならせることにより、作業者は、ボス部530と矩形凹部443の外観の違いからこれらの嵌合が不適当であることを自然と認識することができ、不注意による組み付けの誤りが生じにくくなる。また、矩形凹部443の最小差し渡し寸法d2をボス部530の直径d1よりも小さくすることにより、ボス部530が矩形凹部443に嵌合されることがより確実に防止される。なお、例えば図17(a)の小径凹部442を全て矩形凹部443に置き換えることも可能である。
(排水弁駆動装置の動作)
以下、排水弁駆動装置900の動作について説明する。以下の説明では、排水弁駆動装置900の動作を、初期状態(閉塞位置)にある排水弁を開放するときの動作、および、開放状態にある排水弁を閉塞するときの動作に分けて説明する。
以下、排水弁駆動装置900の動作について説明する。以下の説明では、排水弁駆動装置900の動作を、初期状態(閉塞位置)にある排水弁を開放するときの動作、および、開放状態にある排水弁を閉塞するときの動作に分けて説明する。
(1)排水弁開放動作
排水弁は初期状態(ワイヤ450がプーリ部材420に巻き上げられていない状態)において閉塞位置にある。このとき、クラッチレバー500はそのスロープ部510でクラッチ歯車200を押し下げており、クラッチ歯車200の従動側爪部210は、ロータボス122の駆動側爪部122aに係合した状態にある。すなわち、クラッチ機構Cは図12(a)および図13(a)に示される状態にあり、第1経路P1は「継」状態にある。このとき、干渉部430はストッパ部922に接触しており、ワイヤ450はそれ以上繰り出されない。
排水弁は初期状態(ワイヤ450がプーリ部材420に巻き上げられていない状態)において閉塞位置にある。このとき、クラッチレバー500はそのスロープ部510でクラッチ歯車200を押し下げており、クラッチ歯車200の従動側爪部210は、ロータボス122の駆動側爪部122aに係合した状態にある。すなわち、クラッチ機構Cは図12(a)および図13(a)に示される状態にあり、第1経路P1は「継」状態にある。このとき、干渉部430はストッパ部922に接触しており、ワイヤ450はそれ以上繰り出されない。
この状態からモータ100が逆転すると、そのロータ120内に配置された誘導回転体150もロータ120に連れ回って逆転方向へ回転する。誘導回転体150が逆転すると、その歯車部153aに噛合する扇形ギヤ600は、衝突部620をロータ120の係合部121aの周回軌道に進入させる向きに回動する。係合部121aが衝突部620に衝突することによりモータ100の逆転は正転に修正される。
モータ100が正転方向へ駆動されると、ロータボス122とともにクラッチ歯車200が回転する。そして、ロータ120内に配置された誘導回転体150もロータ120に連れ回って回転する。誘導回転体150が回転すると、その歯車部153aに噛合する扇形ギヤ600も回動する。このとき、扇形ギヤ600は、コイルばね690の付勢力に抗して、係止部635が歯車710(係合部711)に接近する方向に回動する。
係止部635が係合部711に係合すると、歯車710の回転が係止される。歯車710の回転が係止されると、歯車710に噛合する歯車720の回転も係止される。歯車720の回転が係止されると、歯車720に噛合するフィルタ歯車321、つまり内歯車部材320の回転も係止される。すなわち、フィルタ機構Fにより、内歯車部材320の角度位置が固定され、第1経路P1がモータ100の正転駆動力を伝達可能な状態となる。なお、扇形ギヤ600および歯車710が係合することで誘導回転体150が回転不能となった後も、ロータ120は誘導回転体150とは非同期に正転を継続する。
クラッチ歯車200の歯車部220は、遊星歯車機構300の入力歯車部311と噛合している。クラッチ歯車200の回転は入力歯車部311を経て太陽歯車312に伝達され、太陽歯車部材312が回転する。
太陽歯車312は、遊星歯車機構300の内部において3つの遊星歯車331と噛合している。また、これら遊星歯車331は、内歯車部材320の内歯車322とも噛合している。上で述べたように、内歯車部材320は、フィルタ機構Fによりその角度位置が固定された状態にある。そのため、太陽歯車312が回転すると、遊星歯車331は内歯車部材320の内歯車322に沿って太陽歯車312の周りを公転する。遊星歯車331が公転すると、遊星歯車331を支持する遊星キャリア330とともに、遊星歯車機構300の出力歯車333が回転する。
なお、モータ100が逆転した時には、フィルタ機構Fが内歯車部材320の回転を係止しないから、仮に太陽歯車312が回転したとしても、その太陽歯車312の回転は、遊星歯車331の自転を経て内歯車部材320の空転により消費される。遊星歯車機構300の出力歯車333には、第1経路P1を介して排水弁自体の付勢力が作用しており、入力歯車部311に伝えられた駆動力が、回転抵抗の少ない内歯車部材320側に流れてしまうからである。
出力歯車333には歯車410が噛合しており、歯車410にはプーリ部材420のギヤ部Gが噛合している。プーリ部材420が回動すると、ワイヤ450がドラム部Dに巻き取られる。ワイヤ450のコネクタ部459の先には排水弁が接続されており、これにより排水弁が引き上げられる。
プーリ部材420が所定位置まで回動すると(ワイヤ450が所定量巻き取られると)、クラッチレバー500がプーリ部材420の押動突起425に押されてプーリ部材420から離れる方向に移動する。すなわち、クラッチ機構Cが図12(c)および図13(b)に示される状態となる。
クラッチレバー500の移動により、クラッチ歯車200の押圧は解除され、クラッチ歯車200はコイルばね250の付勢力により上方へと移動する。これにより、クラッチ歯車200の従動側爪部210と、ロータボス122の駆動側爪部122aとの係合が解除され、モータ100の駆動力がクラッチ歯車200に伝達されない状態となる。つまり、第1経路P1は「断」状態となる。
また、クラッチレバー500の上記移動により、クラッチ歯車200の係合部230が、クラッチレバー500に設けられた係止部520に周方向に当接する。すなわち、クラッチ歯車200の回転がクラッチレバー500により係止された状態となる。クラッチ歯車200の回転が係止されると、第1経路P1を構成するクラッチ歯車200以降の部材の角度位置も固定される。なお、このときも、フィルタ機構Fは内歯車部材320の回転を係止しており、第1経路P1には排水弁自体の付勢力が作用している。しかし、クラッチ歯車200の回転はクラッチレバー500により係止されているため、クラッチ歯車200が逆転することはない。これにより、排水弁自体の付勢力に抗して排水弁の開放状態が維持される。
(2)排水弁閉塞動作
排水の完了後、排水弁を閉塞させるときには、モータ100への給電を停止する。モータ100への給電を停止することにより、モータ100による誘導回転体150の電磁誘導力が消失する。これにより、扇形ギヤ600がコイルばね690の付勢力に屈して原位置(図10の位置)へと戻り、扇形ギヤ600から歯車710、歯車720、そしてフィルタ歯車321へと続く係止関係が解除される。つまりフィルタ機構Fが無効化され、内歯車部材320が空転可能な状態となる。
排水の完了後、排水弁を閉塞させるときには、モータ100への給電を停止する。モータ100への給電を停止することにより、モータ100による誘導回転体150の電磁誘導力が消失する。これにより、扇形ギヤ600がコイルばね690の付勢力に屈して原位置(図10の位置)へと戻り、扇形ギヤ600から歯車710、歯車720、そしてフィルタ歯車321へと続く係止関係が解除される。つまりフィルタ機構Fが無効化され、内歯車部材320が空転可能な状態となる。
排水弁には常に排水弁を閉塞させる方向に付勢力が作用している。そのため、フィルタ機構Fが無効化され、内歯車部材320が空転可能になると、排水弁の開放状態を維持していた牽引力は内歯車部材320の空転により消失する。これにより排水弁は排水弁自体の付勢力により閉塞する。
さらに、排水弁の閉塞方向にプーリ部材420が回動すると、クラッチレバー500はプーリ部材420に近づく方向へ移動する。すなわち、クラッチ機構Cが図12(a)および図13(a)に示される状態に戻る。これにより、クラッチ歯車200の従動側爪部210が、ロータボス122の駆動側爪部122aに係合し、モータ100の駆動力がクラッチ歯車200に伝達される状態となる。つまり、第1経路P1が「継」状態となる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
100:モータ,410:第1経路第4歯車(動力伝達部材,歯車部材),412:小径歯車部,420:プーリ部材,420a:プーリ部材の上面,420b:プーリ部材の下面,420c:要注意範囲,420d:プーリ部材,G:ギヤ部,D:ドラム部,421:歯部,424:カム溝,425:押動突起,440:肉抜き(凹部),441:大径凹部,442:小径凹部,443:矩形凹部,d2:矩形凹部の最小差し渡し寸法,429:軸部,430:干渉部,430d:干渉部,431:角筒部,432:第1板部,433:第2板部,450:ワイヤ,451:留め金,459:コネクタ,500:クラッチレバー(従動部材,動力伝達部材),530:ボス部(凸部),d1:ボス部の直径,530a:凸部軌道,900:排水弁駆動装置,910:上ケース,920:下ケース,922:ストッパ部,990:他部材
Claims (7)
- 外部の排水弁に接続されるワイヤと、
前記ワイヤの巻き取りおよび繰り出しを行うプーリ部材と、
前記プーリ部材に連結される一又は複数の動力伝達部材と、
前記プーリ部材および前記動力伝達部材の駆動源であるモータと、
前記プーリ部材を収容するケースと、を備え、
前記プーリ部材には、前記ケース内における前記プーリ部材の装着位置に対して、前記プーリ部材を前記動力伝達部材が連結可能な角度範囲とは異なる向きで組み付けようとしたときに、前記ケースの一部または該ケースに収容される他部材に接触してその組み付けを妨げる干渉部が形成されていることを特徴とする排水弁駆動装置。 - 前記干渉部は、前記プーリ部材を組み付けようとする向きが、前記動力伝達部材が連結可能な配置角度とは異なる全ての角度範囲にあるときに、その組み付けを妨げることを特徴とする請求項1に記載の排水弁駆動装置。
- 前記プーリ部材は、
前記ワイヤが巻き付けられるドラム部と、
外周面に歯部が形成されたギヤ部と、を有し、
前記ギヤ部の前記歯部は、前記プーリ部材の回転方向における一部の角度範囲にのみ形成されており、
前記動力伝達部材は前記ギヤ部と噛合する歯車部材を含み、
前記干渉部は、前記プーリ部材を、前記歯車部材が前記ギヤ部に噛合可能な角度範囲とは異なる向きに組み付けようとしたときに、その組み付けを妨げることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水弁駆動装置。 - 前記プーリ部材の回転中心線に沿う方向を上下としたときに、
前記干渉部は、前記プーリ部材の下面または外周面に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の排水弁駆動装置。 - 前記干渉部は、前記プーリ部材の下面に、該プーリ部材の回転方向に沿って延びるように形成された凸部であり、
前記ケースまたは該ケースに収容される他部材には、前記プーリ部材が前記ワイヤを繰り出す方向に回転して所定の配置角度に至ったときに、前記干渉部のその周回方向における一端に接触して前記プーリ部材の同方向へのさらなる回転を阻止するストッパ部が設けられ、
前記干渉部は、前記プーリ部材を前記動力伝達部材が連結可能な角度範囲とは異なる向きに組み付けようとしたときに、前記ストッパ部に干渉することでその組み付けを妨げることを特徴とする請求項4に記載の排水弁駆動装置。 - 前記ストッパ部は前記ケースの一部であることを特徴とする請求項5に記載の排水弁駆動装置。
- 前記干渉部の前記一端は、該干渉部の他端よりも高強度な形状に形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の排水弁駆動装置。
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