JP2021071096A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過渡運転時のトルク不足を抑制する。【解決手段】内燃機関の燃料噴射装置は、第1燃料を噴射する第1インジェクタ7と、炭素原子同士が結合しない分子構造を持つ第2燃料を噴射する第2インジェクタ8と、第1インジェクタおよび第2インジェクタを制御するように構成された制御ユニット100とを備える。制御ユニットは、内燃機関の運転状態に基づいて第1燃料の第1噴射量を算出し、吸気流量または吸気圧に基づいて第1燃料の上限噴射量を算出し、算出された第1噴射量が上限噴射量より大きいとき、上限噴射量に等しい量の第1燃料を第1インジェクタから噴射させ、所定の第2噴射量の第2燃料を第2インジェクタから噴射させる。【選択図】図1

Description

本開示は内燃機関の燃料噴射装置に関する。
一般にディーゼルエンジンでは、軽油である燃料をインジェクタからシリンダ内に直接噴射する。一方、軽油に加え、軽油以外の燃料を別のインジェクタから噴射する所謂デュアルフューエル型のディーゼルエンジンも知られている(例えば特許文献1参照)。
特表2012−516973号公報
ところで、エンジン負荷が急増する加速時等の過渡運転時に、ターボチャージャの回転上昇が遅れるターボラグが発生し、これにより煤の排出量が増大する問題がある。そのため、これを回避するため燃料噴射量を制限することが行われる。
しかし、燃料噴射量が制限されるためにエンジン本来が発生し得るトルクを発生できず、トルク不足を引き起こすことがある。
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、過渡運転時のトルク不足を抑制できる内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
本開示の一の態様によれば、
第1燃料を噴射する第1インジェクタと、
炭素原子同士が結合しない分子構造を持つ第2燃料を噴射する第2インジェクタと、
前記第1インジェクタおよび前記第2インジェクタを制御するように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、
内燃機関の運転状態に基づいて前記第1燃料の第1噴射量を算出し、
吸気流量または吸気圧に基づいて前記第1燃料の上限噴射量を算出し、
算出された前記第1噴射量が前記上限噴射量より大きいとき、前記上限噴射量に等しい量の前記第1燃料を前記第1インジェクタから噴射させ、所定の第2噴射量の前記第2燃料を前記第2インジェクタから噴射させる
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置が提供される。
好ましくは、前記第2燃料がオキシメチレンエーテルである。
好ましくは、前記第2燃料がOME3、OME4およびOME5の少なくとも一つを含む。
好ましくは、前記制御ユニットは、前記第1インジェクタの燃料噴射開始後に前記第2インジェクタの燃料噴射を開始させる。
好ましくは、前記所定の第2噴射量は、前記第1噴射量から前記上限噴射量を減じてなる差分と発熱量が等しい量である。
好ましくは、前記第1燃料が軽油であり、前記内燃機関がディーゼルエンジンであると共にターボチャージャを備える。
本開示によれば、過渡運転時のトルク不足を抑制できるという、優れた効果が発揮される。
内燃機関の概略図である。 第1インジェクタと第2インジェクタの配置方法の一例を模式的に示す平面図である。 第1インジェクタと第2インジェクタの配置方法の変形例を模式的に示す平面図である。 第1噴射量を算出するためのマップを示す。 各状況下での燃料噴射量を示すグラフである。 上限噴射量を算出するためのマップを示す。 制御ルーチンのフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の概略図である。内燃機関(エンジンともいう)1は、車両に搭載された多気筒圧縮着火式内燃機関であり、具体的には直列4気筒ディーゼルエンジンである。車両はトラック等の大型車両である。但し車両および内燃機関の種類、形式、用途等に特に限定はなく、例えば車両は乗用車等の小型車両であってもよいし、エンジンは火花点火式内燃機関(例えばガソリンエンジン)であってもよい。
なおエンジンは、車両以外の移動体、例えば船舶、建設機械、または産業機械に搭載されたものであってもよい。またエンジンは、移動体に搭載されたものでなくてもよく、定置式のものであってもよい。
エンジン1は、エンジン本体2と、エンジン本体2に接続された吸気通路3および排気通路4とを備える。エンジン本体2は、シリンダヘッド、シリンダブロック、クランクケース等の構造部品と、その内部に収容されたピストン、クランクシャフト、バルブ等の可動部品とを含む。吸気と排気の流れをそれぞれ白抜き矢印と黒塗り矢印で示す。
吸気通路3は、エンジン本体2(特にシリンダヘッド)に接続された吸気マニホールド10と、吸気マニホールド10の上流端に接続された吸気管11とにより主に画成される。吸気管11には、上流側から順に、エアクリーナ12、ターボチャージャ14のコンプレッサ14C、インタークーラ15、および電子制御式の吸気スロットルバルブ16が設けられる。
排気通路4は、エンジン本体2(特にシリンダヘッド)に接続された排気マニホールド20と、排気マニホールド20の下流側に配置された排気管21とにより主に画成される。排気管21、もしくは排気マニホールド20と排気管21の間には、ターボチャージャ14のタービン14Tが設けられる。タービン14Tより下流側の排気管21には、上流側から順に、それぞれ排気後処理部材である酸化触媒22、パティキュレートフィルタ23、選択還元型NOx触媒24およびアンモニア酸化触媒26が設けられる。パティキュレートフィルタ23とNOx触媒24の間には尿素水添加弁25が設けられる。
エンジン1はEGR装置30も備える。EGR装置30は、排気通路4内(特に排気マニホールド20内)の排気の一部(EGRガスという)を吸気通路3内(特に吸気マニホールド10内)に還流させるためのEGR通路31と、EGR通路31を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラ32と、EGRガスの流量を調節するためのEGR弁33とを備える。
本実施形態のエンジンは、軽油である第1燃料と、軽油以外の代替燃料である第2燃料とを噴射可能なデュアルフューエル型エンジンとして構成されている。そのためエンジンは、第1燃料を噴射する第1インジェクタ7と、第2燃料を噴射する第2インジェクタ8とを気筒毎に備える。これら第1インジェクタ7および第2インジェクタ8は対応する燃料をシリンダ9内に直接噴射する。
特に第2燃料は、炭素原子(C)同士が結合しない分子構造を持つ燃料であり、具体的にはオキシメチレンエーテル(Oxymethylene Ether、以下OMEという)である。OMEは、一般式Cn2n+2n-1(n≧3)で表される。
例えば、n=3のもの(C382)をOME1という。OME1はより具体的には、H3C−O−CH2−O−CH3といった分子構造を持つ。O−CH2−Oの部分の数が一つであるのでOME1という。同様に、n=4のもの(C4103)をOME2という。OME2はH3C−O−CH2−O−CH2−O−CH3といった分子構造を持つ。O−CH2−Oの部分の数が二つであるのでOME2という。
以下同様に、n=5のものをOME3、n=6のものをOME4、n=7のものをOME5、n=8のものをOME6という。nの数が増えるにつれ融点が高くなるが、温度OME1〜5は常温(20℃)で液体であるので燃料として好ましい。これらのうち、OME3〜5が燃料として特に好ましい。よって好ましくは、第2燃料がOME3、OME4およびOME5の少なくとも一つを含む。
OMEでは、炭素原子(C)同士が直接結合せず、必ず酸素原子(O)を間に挟んで結合している。そのため燃焼時に煤が極めて発生し難く、第2燃料としてOMEを用いることにより、煤発生量を増やすことなく燃料噴射量を増量できる。
図2には第1インジェクタ7と第2インジェクタ8の配置方法の一例を模式的に示す。9はシリンダ、VIは吸気弁、VEは排気弁、17はピストン頂面に凹設されたキャビティである。吸気弁VIおよび排気弁VEは1気筒当たりに二つずつ設けられている。第1インジェクタ7はシリンダ9の中心部に配置され、特にシリンダ中心Cと同軸に配置されている。第1インジェクタ7は複数(本実施形態では8つ)の噴孔(図示せず)から第1燃料F1を周方向等間隔で放射状に、かつキャビティ17内に向かって噴射する。
第2インジェクタ8は、第1インジェクタ7に対しオフセットして配置されている。第2インジェクタ8は複数(本実施形態では3つ)の噴孔(図示せず)から第2燃料F2を周方向等間隔で放射状に噴射する。図示例ではシリンダ中心Cの位置より図中左側が吸気側、図中右側が排気側であるが、第2インジェクタ8は、その吸気側と排気側の間の位置で第1インジェクタ7からオフセットされている。
なお、第1インジェクタ7と第2インジェクタ8の配置方法と各々の噴孔の数、向き等は任意に変更可能である。例えば図3に示す変形例では、吸気弁VIおよび排気弁VEが1気筒当たりに一つずつ設けられ、シリンダ中心Cの位置より図中上側が吸気側、図中下側が排気側とされる。その吸気側と排気側の間の位置上で、図中左側に第1インジェクタ7が、図中右側に第2インジェクタ8が配置されている。なおキャビティ17は省略されているが、前記同様に設けられてもよい。
図1に戻って、車両には、制御ユニット、回路要素(circuitry)もしくはコントローラをなす電子制御ユニット(ECU(Electronic Control Unit)という)100が設けられる。またエンジンには、吸気流量を検出するための吸気流量センサ13と、エンジン回転速度(具体的には単位時間当たりのエンジン回転数(rpm))を検出するための回転速度センサ40と、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ41とが設けられる。これらセンサの出力は図示しない配線等を通じてECU100に送られる。ECU100は、これらセンサと他のセンサの出力に基づき、吸気スロットルバルブ16、尿素水添加弁25、第1インジェクタ7および第2インジェクタ8等を制御するように構成されている。
ECU100は、エンジンの運転状態に基づいて、第1インジェクタ7から1エンジンサイクル(720°CA)中に噴射される第1燃料の量、すなわち第1噴射量Qを算出する。具体的にはECU100は、回転速度センサ40およびアクセル開度センサ41によりそれぞれ検出されたエンジン回転数Neおよびアクセル開度Acに基づき、図4に示すようなマップ(関数でもよい。以下同様)に従って、第1噴射量Qを算出する。マップは予め試験等を通じて設定され、ECU100に記憶されている。
ECU100は基本的に、この算出された第1噴射量Qの第1燃料のみを第1インジェクタ7から噴射させる。しかしこれだと次のような問題がある。
すなわち、例えばアクセルペダルが運転手により大きく踏み込まれ、アクセル開度Acが急増し、エンジン負荷が急増する加速時等の過渡運転時に、ターボチャージャ14の回転上昇が遅れ、過給圧が不足するターボラグが発生することがある。これは、エンジンの低回転低負荷状態からエンジン負荷が急増されたときに顕著に起こり得る。こうなると、算出される第1噴射量Qに比べ吸気流量が不足するため、シリンダ9からの煤の排出量が増大する。煤排出量が増大すると、パティキュレートフィルタ23の煤堆積速度が過剰に上昇したり、EGR装置30が煤で作動不良を起こしたりする等の不具合を招く虞がある。
これを回避するため、第1噴射量Qを、煤排出量が許容値以内となるような噴射量、すなわち上限噴射量Qlimに制限することが行われる。しかしこうすると、第1噴射量Qが制限されるためにエンジン本来が発生し得るトルクを発生できず、トルク不足を引き起こすことがある。
以下、この内容を図示して説明する。図4に示すように過渡運転時に、エンジン運転状態(Ne,Ac)が低回転低負荷側の(Nea,Aca)からより高負荷の(Neb,Acb)に急激に変化し、これに対応して、算出される第1噴射量QがQaからQbに急増したとする。図4のマップが定常運転時を前提としているため、かかる変化が緩やかなら問題ないが、本事例のように急激であると、前述したようなターボラグにより吸気流量不足が発生し、煤排出量が増大する。
このため、煤の排出量が許容値以内となるような上限噴射量Qlimに第1噴射量Qが制限される。図5(A)、(B)はこのときの様子を示す。図5(A)は負荷増加前の第1噴射量Qa、図5(B)は負荷増加後の第1噴射量Qbを示す。負荷増加後、第1噴射量Qbをそのまま噴射してしまうと煤排出量が許容値を超えてしまうため、第1噴射量はQbより少ない上限噴射量Qlimに制限される。
しかし、QbとQlimの差分だけ第1噴射量Qが少なくなるため、その分エンジントルクが減少し、トルク不足を招いてしまう。
そこで本実施形態では、図5(C)に示すように、減少分の第1噴射量Qを補填すべく、所定の第2噴射量Qoの第2燃料を第2インジェクタ8から併せて噴射させる。これにより、過渡運転時のトルク不足を抑制することができる。
前述したように、第2燃料としてのOMEは、燃焼しても煤が極めて発生し難い。従ってこのように第2燃料を加えて噴射しても、煤排出量が許容値を超えることを抑制できる。
ここで、図5(C)には、第2噴射量Qoが、QbおよびQlimの差分(Qb−Qlim)と等しい量として描かれている。しかしこれは、第2噴射量Qoの発熱量が、差分(Qb−Qlim)の発熱量と等しいことを意味するのであり、第2噴射量Qoの燃料量自体が差分(Qb−Qlim)の燃料量と等しいことを意味するのではない点に留意されたい。理解容易のため、発熱量が等しいことを燃料量が等しいものとして表しているに過ぎない。以下、差分(Qb−Qlim)と発熱量が等しくなる第2噴射量Qoの燃料量を等価量という。
第2燃料の単位体積当たりの発熱量は第1燃料のそれより少なく、例えば第1燃料の約60%である。よって第2噴射量Qoの等価量は、差分(Qb−Qlim)の燃料量より多く、例えば差分(Qb−Qlim)の燃料量の約1.7倍である。
第2噴射量Qoは等価量とするのが好ましい。こうすると、第1燃料のみでQbを噴射したときと同等のエンジントルクを得られ、運転手に違和感のない加速感を与えることができるからである。
もっとも、第2噴射量Qoは等価量より少なくしてもよいし、多くしてもよい。少なくすると、トルク減少分を完全に補うことはできないが、それでも第2燃料を噴射しない場合(図5(B))に比べればトルク不足を抑制できる。多くすると逆に、負荷増大後に運転手がトルク過剰感を感じる可能性があるが、それでも、レスポンス向上等の他の要請があれば、多くすることは差し支えない。
ECU100は、吸気流量に基づいて第1燃料の上限噴射量Qlimを算出する。煤排出量を許容値以内に抑えられる第1噴射量Qは、吸気流量に応じて変化し、吸気流量が多くなるほど多くなる。従って吸気流量に基づいて上限噴射量Qlimを算出することにより、吸気流量に見合った最適な上限噴射量Qlimを算出することができる。
本実施形態では、吸気流量とエンジン回転数に基づいて第1燃料の上限噴射量Qlimを算出する。シリンダ内における空気と燃料の混合状態はエンジン回転数に応じて異なる可能性があるが、本実施形態のようにエンジン回転数も考慮して上限噴射量Qlimを算出することで、かかる混合状態の違いも考慮して最適な上限噴射量Qlimを算出することが可能となる。
具体的にはECU100は、回転速度センサ40および吸気流量センサ13によりそれぞれ検出されたエンジン回転数Neおよび吸気流量Gaに基づき、図6に示すようなマップに従って、上限噴射量Qlimを算出する。マップは予め試験等を通じて設定され、ECU100に記憶されている。
本実施形態において、ECU100は、第1インジェクタ7の燃料噴射開始後に第2インジェクタ8の燃料噴射を開始させる。より詳細には、ECU100は、第1インジェクタ7からの第1燃料の噴射開始後でかつ第1燃料が着火するタイミングと同時かその直後に、第2インジェクタ8からの第2燃料の噴射を開始させる。こうすると、シリンダ内の空気を第1燃料の燃焼に十分使用した後に、第2燃料の燃焼に使用でき、第1燃料の燃焼時の空気不足、ひいてはこれに起因する煤発生を抑制することができる。また第1燃料の燃焼により高温となったシリンダ内に第2燃料を噴射するので、第2燃料を効率よく着火、燃焼させられる。一方、第2燃料は第1燃料に比べ、低い空気過剰率でも煤が発生し難い。よって、第1燃料の燃焼後で空気が少なくなった状態で第2燃料を燃焼させても煤発生を抑制することができる。
なお、第2インジェクタ8の燃料噴射開始時期をより遅らせてもよく、例えば第1燃料の噴射終了と同時に第2燃料の噴射を開始してもよい。また、第1燃料の燃焼による火炎がまだ残っている時に第2燃料の噴射を開始させるのが好ましい。その火炎により第2燃料を着火し、第2燃料を第1燃料に連続して燃焼させられるからである。
ところで本実施形態の車両は、第2燃料のみを使用するエンジンを搭載した車両に比べ、燃料タンクの容量を少なくできる点で有利である。すなわち前述したように、第1燃料と同じ発熱量を得ようとした場合、第2燃料の燃料量は第1燃料の燃料量よりも約1.7倍必要である。従って1タンク当たりに一定の車両航続距離を得ようとした場合、第2燃料のみを使用するエンジンの場合だと、第1燃料のみを使用するエンジンの場合に比べ、燃料タンクの容量が大きくなってしまう。本実施形態によれば、第1燃料と第2燃料の両方を使用するので、燃料タンク容量を減少しつつ、一定の車両航続距離を確保することが可能である。
次に、本実施形態における制御ルーチンを図7を参照して説明する。図示するルーチンはECU100により所定の演算周期τ(例えば1エンジンサイクル)毎に繰り返し実行される。
まずステップS101において、ECU100は、回転速度センサ40、アクセル開度センサ41および吸気流量センサ13によりそれぞれ検出されたエンジン回転数Ne、アクセル開度Acおよび吸気流量Gaを取得する。
次にステップS102において、ECU100は、取得したエンジン回転数Neおよびアクセル開度Acに基づき、図4に示したマップから第1噴射量Qを算出する。
ステップS103において、ECU100は、取得したエンジン回転数Neおよび吸気流量Gaに基づき、図6に示したマップから第1燃料の上限噴射量Qlimを算出する。
ステップS104において、ECU100は、算出した第1噴射量Qを上限噴射量Qlimと比較する。
第1噴射量Qが上限噴射量Qlim以下のとき、ECU100は、ステップS105に進んで、第1噴射量Qの第1燃料を第1インジェクタ7に噴射させる。このときには、第1噴射量Qの第1燃料を噴射しても煤発生量を許容値以内に抑制できるので、原則通り、第1噴射量Qの第1燃料のみを噴射させる。
他方、第1噴射量Qが上限噴射量Qlimより大きいとき、ECU100は、ステップS106〜S107で、第2燃料も併せて噴射させる。このときには、加速時等の過渡運転時で過給圧が不足していると考えられるため、第1燃料の量を上限噴射量Qlimに制限する一方で、不足分を第2燃料で補う。
すなわちECU100は、ステップS106で、第1噴射量Qおよび上限噴射量Qlimの差分(Q−Qlim)と、この差分と等価量の第2噴射量Qoとを算出する。このとき第2噴射量Qoは、差分と第2噴射量Qoの関係を規定した所定のマップを用いて算出されてもよい。
次にECU100は、ステップS107で、上限噴射量Qlimの第1燃料を第1インジェクタ7に噴射させると共に、第2噴射量Qoの第2燃料を第2インジェクタ8に噴射させる。これにより、煤発生を抑えつつ十分なエンジントルクを得ることができる。
このように本実施形態によれば、第1噴射量Qが上限噴射量Qlimより大きいとき、上限噴射量Qlimに等しい量の第1燃料を第1インジェクタ7から噴射させ、所定の第2噴射量Qoの第2燃料を第2インジェクタ8から噴射させるので、過渡運転時のトルク不足を抑制できる。
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示の実施形態および変形例は他にも様々考えられる。
(1)例えば第2燃料は、ジメチルエーテル(Dimethyl Ether、以下DMEという)であってもよい。DMEは、先の一般式Cn2n+2n-1におけるn=2の場合に該当する。DMEもOMEと同様の特性を有するため、第2燃料として好ましい。
(2)第1燃料はガソリンであってもよく、エンジンはガソリンエンジンもしくは火花点火式内燃機関であってもよい。この場合、第1インジェクタおよび第2インジェクタの少なくとも一方をポート噴射用インジェクタとしてもよい。
(3)第1燃料の上限噴射量Qlimを、吸気流量Gaの代わりに吸気圧に基づいて算出してもよい。吸気流量Gaと吸気圧が相関関係にあり、吸気流量Gaが多い程、吸気圧が高い関係にあるからである。この場合、吸気スロットルバルブ16の下流側に吸気圧センサを設置し、この吸気圧センサにより検出された吸気圧に基づいて上限噴射量Qlimを算出するのがよい。吸気流量Gaを吸気圧に変更した図6のマップを使用してもよい。
本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関(エンジン)
7 第1インジェクタ
8 第2インジェクタ
14 ターボチャージャ
100 電子制御ユニット(ECU)
F1 第1燃料
F2 第2燃料

Claims (6)

  1. 第1燃料を噴射する第1インジェクタと、
    炭素原子同士が結合しない分子構造を持つ第2燃料を噴射する第2インジェクタと、
    前記第1インジェクタおよび前記第2インジェクタを制御するように構成された制御ユニットと、
    を備え、
    前記制御ユニットは、
    内燃機関の運転状態に基づいて前記第1燃料の第1噴射量を算出し、
    吸気流量または吸気圧に基づいて前記第1燃料の上限噴射量を算出し、
    算出された前記第1噴射量が前記上限噴射量より大きいとき、前記上限噴射量に等しい量の前記第1燃料を前記第1インジェクタから噴射させ、所定の第2噴射量の前記第2燃料を前記第2インジェクタから噴射させる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
  2. 前記第2燃料がオキシメチレンエーテルである
    請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  3. 前記第2燃料がOME3、OME4およびOME5の少なくとも一つを含む
    請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  4. 前記制御ユニットは、前記第1インジェクタの燃料噴射開始後に前記第2インジェクタの燃料噴射を開始させる
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  5. 前記所定の第2噴射量は、前記第1噴射量から前記上限噴射量を減じてなる差分と発熱量が等しい量である
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  6. 前記第1燃料が軽油であり、前記内燃機関がディーゼルエンジンであると共にターボチャージャを備える
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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