JP2021070813A - 水系塗料組成物 - Google Patents

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【課題】幅広い表面寿命における動的表面張力低下能に優れ、難塗装基材への高速塗工が可能な水系塗料組成物を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド付加物(A)及び樹脂(B)を含有する水系塗料組成物であって、アルキレンオキサイド付加物(A)と樹脂(B)との重量比((A)/(B))が1/500〜1/1である水系塗料組成物。R1O(PO)b−(EO)cH (1)[式中、R1はメチル基を2.1〜5個有する炭素数8〜11のアルキル基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、bは1分子あたりのプロピレンオキサイドの平均付加モル数を表す1〜4の数であり、cは1分子あたりのエチレンオキサイドの付加モル数を表す0〜5の数であり、かつb+cは2〜6を満たす。]【選択図】なし

Description

本発明は、水系塗料組成物に関する。
近年の環境規制の観点から塗料業界において溶剤系塗料から水系塗料へと移行している。しかし、水系塗料は表面張力が高く、臨界表面張力が低いポリプロピレンなどの基材に対して濡れ性が乏しいため、ハジキ等の塗装欠陥が発生しやすいという問題があった。また、塗装物の生産性向上を目的に塗装欠陥なく素早く濡れ広がる高速塗工のニーズも高まっている。このような背景から、幅広い表面寿命における動的表面張力低下能に優れる水系塗料組成物が求められており、特定のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させた非イオン性界面活性剤が提案されている(特許文献1)。
特許第5567496号公報
しかしながら、特許文献1の組成物では、表面寿命における動的表面張力の低下能が不十分であり、難塗装基材に対する濡れ性が不十分であった。
本発明は、幅広い表面寿命における動的表面張力低下能に優れ、ポリプロピレンなどの難塗装基材への高速塗工が可能な水系塗料組成物を提供することを目的とする。
上記事情に鑑み鋭意検討した結果、アルキレンオキサイド付加物(A)として、下記一般式(1)で表される化合物を用い、かつ、当該アルキレンオキサイド付加物(A)と樹脂(B)との重量比を所定範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド付加物(A)及び樹脂(B)を含有する水系塗料組成物であって、アルキレンオキサイド付加物(A)と樹脂(B)との重量比((A)/(B))が1/500〜1/1である水系塗料組成物である。
O(PO)−(EO)H (1)
[式中、Rはメチル基を2.1〜5個有する炭素数8〜11のアルキル基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、bは1分子あたりのプロピレンオキサイドの平均付加モル数を表す1〜4の数であり、cは1分子あたりのエチレンオキサイドの付加モル数を表す0〜5の数であり、かつb+cは2〜6を満たす。]
本発明の水系塗料組成物は、幅広い表面寿命における動的表面張力が低く、難塗装基材への濡れ性にも優れる。
本発明の水系塗料組成物は、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド付加物(A)及び樹脂(B)を含有する水系塗料組成物であって、アルキレンオキサイド付加物(A)と樹脂(B)との重量比((A)/(B))が1/500〜1/1であることを特徴とする。
O(PO)−(EO)H (1)
一般式(1)におけるRは、メチル基を2.1〜5個有する炭素数8〜11のアルキル基を表す。Rが有するメチル基の個数が2.1個以上5個以下であることにより、表面寿命が短い条件での動的表面張力および表面寿命が長い条件での動的表面張力の双方を低くすることができ、その結果、幅広い表面寿命における動的表面張力低下能を実現できる。
メチル基を2.1〜5個有する炭素数8〜11のアルキル基としては、メチル基を3個有する炭素数8〜11のアルキル基(r3)、メチル基を4個有する炭素数8〜11のアルキル基(r4)及びメチル基を5個有する炭素数8〜11のアルキル基(r5)が挙げられる。
前記のメチル基を3個有する炭素数8〜11のアルキル基(r3)としては、3−メチルヘプタン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−1−イル基、2−メチルノナン−3−イル基及び2−メチルデカン−2−イル基等が挙げられる。
前記のメチル基を4個有する炭素数8〜11のアルキル基(r4)としては、3,5,5−トリメチルヘキサン−1−イル基、2,6−ジメチルヘプタン−4−イル基、2,3,5−トリメチルヘキサン−1−イル基、3,5,5−トリメチルヘプタン−1−イル基及び3,5,5−トリメチルオクタン−1−イル基等が挙げられる。
前記のメチル基を5個有する炭素数8〜11のアルキル基(r5)としては、2,2−ジメチル−5−メチルヘキサン−4−イル基等が挙げられる。
の内、幅広い表面寿命における動的表面張力低下能の観点から好ましくは、前記のメチル基を3個有する炭素数8〜11のアルキル基(r3)、メチル基を4個有する炭素数8〜11のアルキル基(r4)及びメチル基を5個有する炭素数8〜11のアルキル基(r5)であり、更に好ましいのは、メチル基を4個有する炭素数8〜11のアルキル基(r4)及びメチル基を5個有する炭素数8〜11のアルキル基(r5)であり、特に好ましいのは3,5,5−トリメチルヘキサン−1−イル基である。
が有するメチル基は、幅広い表面寿命における動的表面張力低下能の観点から好ましいのは、3〜5個であり、更に好ましくは4〜5個である。
が有するメチル基の個数は整数でなくてもよい。例えば、Rがメチル基を2.1個有する炭素数8〜11のアルキル基であるアルキレンオキサイド付加物は、一般式(1)におけるRがメチル基を2個有する炭素数8〜11のアルキル基であるアルキレンオキサイド付加物と、一般式(1)におけるRがメチル基を3個有する炭素数8〜11のアルキル基であるアルキレンオキサイド付加物とを混合することにより得ることができる。
一般式(1)におけるRがメチル基を2個有する炭素数8〜11のアルキル基であるアルキレンオキサイド付加物(A)における、メチル基を2個有する炭素数8〜11のアルキル基(r2)としては、オクタン−2−イル基、2−エチルヘキサン−1−イル基、6−メチルヘプタン−1−イル基、ノナン−2−イル基、7−メチルオクタン−1−イル基、8−メチルノナン−1−イル基及び9−メチルデカン−1−イル基等が挙げられる。
原料の由来によって、Rが有するメチル基の個数に範囲がある場合、例えば、アルキレンオキサイド付加物(A)を合成する際(合成方法については後に詳述)に用いた原料のRに水酸基が結合したアルコールについて、H−NMR測定及びガスクロマトグラフィー測定することにより、メチル基の個数の平均を算出することができる。
一般式(1)におけるbはプロピレンオキサイド(以下において、POとも記載する)の平均付加モル数を表し、1〜4の数である。bは幅広い表面寿命における動的表面張力低下能の観点から好ましくは1.2〜3.5の数であり、更に好ましくは1.5〜2.9の数である。
一般式(1)におけるcはエチレンオキサイド(以下において、EOとも記載する)の1分子あたりの平均付加モル数を表し、0〜5の数である。cは幅広い表面寿命における動的表面張力低下能の観点から好ましくは0.1〜4.5の数であり、更に好ましくは0.5〜4.0の数である。
一般式(1)においてb+cはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの付加モル数の合計を表し、2〜6の数である。b+cは幅広い表面寿命における動的表面張力低下能の観点から好ましくは2.5〜5.8であり、更に好ましくは3.0〜5.5である。
本発明におけるアルキレンオキサイド付加物(A)は、例えば、前記のRに水酸基が結合したアルコールに、アルカリ触媒(水酸化カリウム等)又は酸触媒(三フッ化ホウ素等)を加え窒素雰囲気下にてプロピレンオキサイドを付加反応させ、更にエチレンオキサイドを付加反応させて製造することができる。
なお、前記のRに水酸基が結合したアルコールとしては、エクソンモービル社製「エクサール9S」、「エクサール10」及び「エクサール11」、並びに、KHネオケム(株)製「オキソコール900」、「ノナノール」及び「デカノール」等として市場から入手することができる。アルキレンオキサイド付加物(A)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂(B)としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂(アルキド樹脂を含む)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル系樹脂、ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。
樹脂(B)は単独で使用しても2種類以上を併用しても良い。
本発明における水系塗料組成物中のアルキレンオキサイド付加物(A)と樹脂(B)との重量比((A)/(B))が1/500〜1/1であり、幅広い表面寿命における動的表面張力低下能及び塗膜物性への悪影響の観点から好ましくは1/80〜1/3である。
本発明における水系塗料組成物にはアルキレンオキサイド付加物(A)及び樹脂(B)以外に体質顔料、着色剤、光輝剤、増粘剤、消泡剤、分散剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合しても良い。
体質顔料としては、タルクや炭酸カルシウム等が挙げられる。着色剤としては無機顔料(酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、紺青等)及び有機顔料(アゾ系顔料、アントラセン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料等)等が挙げられる。
本発明における水系塗料組成物は溶媒を含んでいてもよく、溶媒としては水以外に有機溶剤を使用しても良い。有機溶剤は特に限定されないが、ヘキサンのような炭化水素溶剤、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール溶剤、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル溶剤、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用されてもよく、混合して使用されてもよい。
本発明における水系塗料組成物の溶媒の含有量は、水系塗料組成物の重量に基づいて、塗工時のハンドリングのし易さと乾燥性の両立の観点から好ましくは20〜80重量%であり、更に好ましくは30〜70重量%である。
液体の動的表面張力は、一般に振動ジェット法、メニスカス法、最大泡圧法などによって測定されることは知られているが、本発明で規定する動的表面張力の値は、最大泡圧法(バブルプレッシャー法)によるものであり、例えば、KRUSS社製バブルプレッシャー型動的表面張力計BP−2を用いて測定することができる。
最大泡圧法による動的表面張力測定では、気体供給源から気体をプローブに送り、水系塗料組成物に浸したプローブ先端から気泡を発生させる。この際の気体流量を変化させることで、気体発生速度を変え、それに伴い変化する水系塗料組成物からその気泡にかかる圧力により表面張力を測定する。気泡の半径がプローブ先端部分の半径に等しくなるとき、最大圧力(最大泡圧)を示す。本明細書でいう表面寿命とは、最大泡圧後に気泡がプローブから離れて、新しい表面が形成されてから次の最大泡圧に達するまでの時間をいう。本明細書において、「幅広い表面寿命」とは、表面寿命の差が50ms以上のことをいう。
本発明の水系塗料組成物は、特に制限なく基材に対して塗装することが可能である。基材としては、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びアクリル樹脂等が挙げられる。これらの基材のうち、幅広い表面寿命における動的表面張力低下能に優れ、難塗装基材への濡れ性にも優れるという効果を発揮しやすい観点から、好ましくは臨界表面張力が38mN/m以下の基材である。臨界表面張力が38mN/m以下である基材としては、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン等が挙げられる。
臨界表面張力はZismanプロット(「J.Phys.Chem.」、第58巻、第236頁(1954年))によって測定することが可能である。詳しくは、基材に対して表面張力が異なる液体の接触角θを測定し、cosθと液体の表面張力との比例関係の外挿からcosθ=0となるときの表面張力を、基材の臨界表面張力とする。
本発明の水系塗料組成物は、着色剤を分散させた分散液と樹脂(B)を乳化した樹脂エマルションを攪拌混合後、アルキレンオキサイド付加物(A)を投入し、必要に応じてその他添加剤を投入し、更に混合することで製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>[3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO1.5モル、EO4モル付加物(A−1)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール144重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.8部を投入し、窒素置換後密閉し、70℃に昇温し、1時間減圧下で脱水を行った。130℃に昇温し、PO87重量部(1.5モル部)を圧力が0.2MPaG以下になるように調整しながら10時間かけて滴下した後、5時間熟成した。次いでEO176重量部(4モル部)を圧力が0.2MPaG以下になるように調整しながら5時間かけて滴下した後、2時間熟成した。70℃に冷却後、吸着処理剤(キョーワード600:協和化学工業(株)製)10部を投入し、70℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過し、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO1.5モル、EO4モル付加物(A−1)を得た。
<製造例2>[3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO2モル、EO2モル付加物(A−2)の合成]
PO87重量部を116重量部(2モル部)に、EO176重量部を88重量部(2モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO2モル、EO2モル付加物(A−2)を得た。
<製造例3>[3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO2.9モル、EO0.1モル付加物(A−3)の合成]
PO87重量部を168.2重量部(2.9モル部)に、EO176重量部を4.4重量部(0.1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO2.9モル、EO0.1モル付加物(A−3)を得た。
<製造例4>[3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO1モル、EO1モル付加物(A−4)の合成]
PO87重量部を58重量部(1モル部)に、EO176重量部を44重量部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO1モル、EO1モル付加物(A−4)を得た。
<製造例5>[3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO3.5モル、EO2.5モル付加物(A−5)の合成]
PO87重量部を203重量部(3.5モル部)に、EO176重量部を110重量部(2.5モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO3.5モル、EO2.5モル付加物(A−5)を得た。
<製造例6>[エクサール8のPO1.5モル、EO4モル付加物(A−6)の合成]
3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール144重量部をエクサール8(エクソンモービル製)130重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、エクサール8のPO1.5モル、EO4モル付加物(A−6)を得た。
<製造例7>[エクサール9SのPO1.5モル、EO4モル付加物(A−7)の合成]
3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール144重量部をエクサール9S(エクソンモービル製)144重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、エクサール9SのPO1.5モル、EO4モル付加物(A−7)を得た。
<製造例8>[エクサール10のPO1.5モル、EO4モル付加物(A−8)の合成]
3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール144重量部をエクサール10(エクソンモービル製)158重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、エクサール10のPO1.5モル、EO4モル付加物(A−8)を得た。
<製造例9>[エクサール11のPO1.5モル、EO4モル付加物(A−8)の合成]
3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール144重量部をエクサール11(エクソンモービル製)172重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、エクサール11のPO1.5モル、EO4モル付加物(A−9)を得た。
<比較製造例1>[2−エチル−1−ヘキサノールのPO1.5モル、EO4モル付加物(A’−1)の合成]
3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール144重量部を2−エチル−1−ヘキサノール130重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、2−エチル−1−ヘキサノールのPO1.5モル、EO4モル付加物(A’−1)を得た。
<比較製造例2>[エクサール13のPO1.5モル、EO4モル付加物(A’−2)の合成]
3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール144重量部をエクサール13(エクソンモービル製)200重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、エクサール13のPO1.5モル、EO4モル付加物(A’−2)を得た。
<比較製造例3>[3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO5モル、EO5モル付加物(A’−3)の合成]
PO87重量部を290重量部(5モル部)に、EO176重量部を220重量部(5モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールのPO5モル、EO5モル付加物(A’−3)を得た。
製造例1〜9若しくは比較製造例1〜3で得られたアルキレンオキサイド付加物(A−1)〜(A−9)若しくは比較用のアルキレンオキサイド付加物(A’−1)〜(A’−3)の構造を表1に示す。なお、製造例6〜9及び比較製造例2については、R中のメチル基の個数の平均をR中のメチル基の個数として記載した。
Figure 2021070813
<実施例1〜9及び比較例1〜3>
<水系塗料組成物の作成>
水系塗料組成物は、製造例1〜9若しくは比較製造例1〜3で得られたアルキレンオキサイド付加物(A−1)〜(A−9)若しくは比較用のアルキレンオキサイド付加物(A’−1)〜(A’−3)1重量部、ウレタンエマルション(パーマリンUA−150:三洋化成工業(株)製、ポリウレタン樹脂(B−1)を樹脂分として30重量%含有)70重量部、プロピレングリコール10重量部、水19重量部をそれぞれ配合し、混合することで水系塗料組成物(P−1)〜(P−9)、(P’−1)〜(P’−3)を作製した。
<動的表面張力測定>
各水系塗料組成物について、KRUSS社製バブルプレッシャー型動的表面張力計BP−2を用いて、25℃における表面寿命が50ms、500msの場合の動的表面張力を測定した。
<接触角測定方法>
各水系塗料組成物について、協和界面科学製接触角計DMo−701を用いて、ポリプロピレン(PP)板(臨界表面張力30mN/m)、ポリスチレン(PS)板(臨界表面張力36mN/m)、アクリル板(臨界表面張力39mN/m)それぞれに対する着滴後100ms後の接触角を測定した。
Figure 2021070813
表2から明らかなように、実施例と比較例を対比すると、実施例1〜9の水系塗料組成物は、表面寿命が短い50msおよび表面寿命が長い500msにおいて、非常に低い動的表面張力を示し、かつ100msにおけるPP板、PS板及びアクリル板に対する接触角も低く濡れ性に優れていた。
本発明のアルキレンオキサイド付加物を含有することを特徴とする水系塗料組成物は、幅広い表面寿命における動的表面張力が低いため、難塗装基材に対する塗装や印字等の分野に使用することができる。インクや水系塗料として電着塗料、金属塗料、建築塗料、木工塗料、プラスチック塗料など幅広い用途に有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド付加物(A)及び樹脂(B)を含有する水系塗料組成物であって、アルキレンオキサイド付加物(A)と樹脂(B)との重量比((A)/(B))が1/500〜1/1である水系塗料組成物。
    O(PO)−(EO)H (1)
    [式中、Rはメチル基を2.1〜5個有する炭素数8〜11のアルキル基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、bは1分子あたりのプロピレンオキサイドの平均付加モル数を表す1〜4の数であり、cは1分子あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数を表す0〜5の数であり、かつb+cは2〜6を満たす。]
  2. が3,5,5−トリメチルヘキサン−1−イル基である請求項1に記載の水系塗料組成物。
  3. 臨界表面張力が38mN/m以下の基材用である、請求項1又は2に記載の水系塗料組成物。
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