JP2021070771A - 摩擦材及び摩擦材組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の摩擦材製造システムを利用可能で、高温時や高負荷時の制動においても安定した効きを得ることができ、優れた耐摩耗性を有する摩擦材及び摩擦材組成物を提供する。【解決手段】実施形態の摩擦材は、繊維基材と、無機充填材と、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、摩擦材及び摩擦材組成物に関する。
近年、自動車、鉄道、航空機、産業機械等に用いられるブレーキ用摩擦素材は、高性能化が望まれている。
特に高温及び高負荷に耐え得る耐熱性に優れたブレーキパッド(摩擦材)の開発が望まれている。
特に高温及び高負荷に耐え得る耐熱性に優れたブレーキパッド(摩擦材)の開発が望まれている。
このため、従来においては、摩擦材の結合材として、ストレートフェノール樹脂のような有機材料から、ケイ素含有ポリマーに変更することにより酸素との架橋による母材強化機構を形成して耐熱性を挙げることが提案されている。
しかしながら、ケイ素含有ポリマーのような結合材は、高価であり、さらには、800〜1000℃の高温焼成工程が必要となり、従来の摩擦材製造システムを単純には適用できないこととなっていた。またこのような高温焼成工程においては、例えば、潤滑材として、高温焼成工程の温度よりも融点が低い低融点材料を用いることはできず、材料選択の幅が狭くなる虞があった。
そこで、本発明の目的は、従来の摩擦材製造システムを利用可能で、高温時や高負荷時の制動においても安定した効きを得ることができ、優れた耐摩耗性を有する摩擦材及び摩擦材組成物を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、実施形態の摩擦材は、繊維基材と、無機充填材と、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、を備える。
上記構成によれば、高温時や高負荷時の制動においても安定した効きを得ることができるとともに、優れた耐摩耗性を有する摩擦材を得ることができる。
また、実施形態の摩擦材用組成物は、繊維基材と、無機充填材と、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、を備える。
上記構成によれば、高温時や高負荷時の制動においても安定した効きを得ることができるとともに、優れた耐摩耗性を有する摩擦材を容易な加工で得ることが可能な摩擦材用組成物を得ることができる。
次に図面を参照して本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。
以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
まず、実施形態について説明する。
実施形態の摩擦材は、繊維基材と、無機充填材と、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、を備えている。
実施形態の摩擦材は、繊維基材と、無機充填材と、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、を備えている。
上記構成とした理由は、従来のストレートフェノール樹脂を結合材として用いる場合と比べて、アラルキル変性フェノール樹脂は、高温時(例えば、600℃以上)の変質あるいは分解による重量減少が小さく、結合材としての強度を高温まで保持することができるからである。この結果、摩擦材をブレーキパッドとして用いる場合に、安定した効きを得ることができる。さらに摩耗あるいは熱膨張を抑制することができる。
さらに無機充填材として、スズ(融点232℃)、亜鉛(融点420℃)、あるいは、ビスマス(271℃)のうち、少なくともいずれか一つ低融点金属を含むようにしてもよい。
これらの低融点金属を含むようにする理由は、低融点金属が摩擦熱により溶けて、パッド/ロータ表面に皮膜を形成し、この皮膜によりパッドの鉄成分と鋳鉄ロータとの間の凝着を抑制し、効きの安定化と、摩耗耐性向上に寄与することが出来るからである。
また、以上の説明では、銅の含有量については述べなかったが、銅の含有量が0.5wt%未満である摩擦材においては、さらに環境負荷も低減可能となる。
次により具体的な摩擦材(ライニング)を含むブレーキパッドの製造方法について説明する。
まず、所定の原料を混合して混合粉(摩擦材組成物)を得る。
まず、所定の原料を混合して混合粉(摩擦材組成物)を得る。
ここでいう所定の原料とは、結合材、潤滑材、無機充填材及び繊維基材である。
本実施形態においては、結合材として、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含むようにしている。
本実施形態においては、結合材として、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含むようにしている。
また潤滑材としては、黒鉛等が挙げられる。
また、無機充填材としては、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、低融点金属であるスズ、亜鉛、ビスマス等が挙げられる。
また、無機充填材としては、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、低融点金属であるスズ、亜鉛、ビスマス等が挙げられる。
これらの低融点金属は、特に摩擦材の温度が600℃〜800℃において、潤滑材としての黒鉛(C)が分解して潤滑材としての機能を果たせなくなった場合であっても、溶融状態で潤滑材としての機能を補完でき、摩耗量の増大を抑制することができる。なお、黒鉛の配合量としては、30〜50vol%が好ましく、35〜45vol%がより好ましい。
また、上述の低融点金属の配合量としては、2〜6vol%が好ましく、3〜5vol%がより好ましい。
繊維基材としては、スチールファイバ等の金属製繊維基材が挙げられる。金属製繊維基材の配合量としては、20〜30vol%が好ましく、23〜27vol%がより好ましい。
繊維基材としては、スチールファイバ等の金属製繊維基材が挙げられる。金属製繊維基材の配合量としては、20〜30vol%が好ましく、23〜27vol%がより好ましい。
まず、所定の原料が十分に混合された後、予備成形工程により予備成形を行う。この予備成形においては、摩擦材の混合体を所定の裏板に載置することが可能な程度の成形を行う。
続いて、予備成形されたライニングを裏板の所定位置に配置した状態で熱成形装置の加圧及び加熱用の型にセットし、第1の温度帯(例えば、230℃未満)において熱成形を行う。
この熱成形は、原料として加えてある結合材(バインダ)を十分に溶かした後に硬化させ、後段に行われる熱処理においてライニング(あるいはブレーキパッド)の形状を維持するために行われるものであり、所定の型内に裏板を配置した状態で所定の原料を型内に投入し、加圧(熱成形圧力=50〜500、より好ましくは、100〜500MPa、さらに好ましくは、250MPa程度)及び加熱を行う。
この状態において、裏板及びライニングを備えたブレーキパッドは、変形を抑制するため加圧した状態で、第1の温度帯より高い第2の温度帯(例えば、200〜240℃)において所定時間(例えば、1時間〜2時間)加熱して、ライニングを硬化させる熱処理がなされる。
続いて、熱処理後のブレーキパッドは、所定の仕上げ加工が施され、製品となる。
本実施形態によれば、繊維基材と、無機充填材と、アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、を備えたライニング(摩擦材)が得られる。
本実施形態の摩擦材によれば、高温時や高負荷時の制動及び熱履歴後制動においても安定した効き及び優れた耐摩耗性を確保することができる。
次に実施例について詳細に説明する。
[1]実施例
図1は、実施例及び比較例の性能評価の説明図である。
ここで、図1(A)は、組成及び性能評価の説明図であり、図1(B)は、判定基準の説明図である。
[1]実施例
図1は、実施例及び比較例の性能評価の説明図である。
ここで、図1(A)は、組成及び性能評価の説明図であり、図1(B)は、判定基準の説明図である。
[1.1]第1実施例
まず第1実施例(図1中、実施例1と表す。以下同様)の配合組成について説明する。
実施例の配合組成物としては、大別すると、結合材(樹脂)、無機充填基材、潤滑材及び繊維基材が挙げられる。
まず第1実施例(図1中、実施例1と表す。以下同様)の配合組成について説明する。
実施例の配合組成物としては、大別すると、結合材(樹脂)、無機充填基材、潤滑材及び繊維基材が挙げられる。
以下、第1実施例の配合組成について詳細に説明する。
第1実施例においては、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を10vol%配合した。
第1実施例においては、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を10vol%配合した。
第1実施例においては、無機充填材である低融点金属として、スズ(Sn)を4vol%配合した。また無機充填材として、硫酸バリウム(BaSO4)を19vol%配合し、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を2vol%配合した。
また潤滑材として、黒鉛を40vol%配合した。
さらに繊維基材として、スチールファイバを25vol%配合した。
また、第1実施例の摩擦材の成形時の成形面圧を100MPaとした。
さらに繊維基材として、スチールファイバを25vol%配合した。
また、第1実施例の摩擦材の成形時の成形面圧を100MPaとした。
[1.2]第2実施例
第2実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、無機充填材である低融点金属として、スズに代えて、亜鉛(Zn)4vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
第2実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、無機充填材である低融点金属として、スズに代えて、亜鉛(Zn)4vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
[1.3]第3実施例
第3実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第3実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を250MPaとした点である。
第3実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第3実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を250MPaとした点である。
[1.4]第4実施例
第4実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第4実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を500MPaとした点である。
第4実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第4実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を500MPaとした点である。
[1.5]第5実施例
第5実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を20vol%配合した点と、無機充填材としての硫酸バリウムを9vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
第5実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を20vol%配合した点と、無機充填材としての硫酸バリウムを9vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
[1.6]第6実施例
第6実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、無機充填材として低融点金属を配合していない点と、無機充填材としての硫酸バリウムを23vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
第6実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、無機充填材として低融点金属を配合していない点と、無機充填材としての硫酸バリウムを23vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
[1.7]第7実施例
第7実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第7実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を50MPaとした点である。
第7実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第7実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を50MPaとした点である。
[1.8]第8実施例
第8実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第8実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を600MPaとした点である。
第8実施例の配合組成は、第1実施例の配合組成と同一であり、第8実施例が第1実施例と異なる点は、成形時の成形面圧を600MPaとした点である。
[1.9]第9実施例
第9実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を25vol%配合した点と、無機充填材としての硫酸バリウムを4vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
第9実施例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を25vol%配合した点と、無機充填材としての硫酸バリウムを4vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
[2]比較例
次に比較例について説明する。
次に比較例について説明する。
比較例の配合組成物としては、実施例の配合組成物と同様に、大別すると、結合材(樹脂)、無機充填基材、潤滑材及び繊維基材が挙げられる。
[2.1]第1比較例
第1比較例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を5vol%配合した点と、無機充填材としての硫酸バリウムを24vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
[2.2]第2比較例
第2比較例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂に代えて、ストレートフェノール樹脂を10vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
第1比較例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂を5vol%配合した点と、無機充填材としての硫酸バリウムを24vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
[2.2]第2比較例
第2比較例の配合組成が第1実施例の配合組成と異なる点は、結合材(樹脂)として、アラルキル変性フェノール樹脂に代えて、ストレートフェノール樹脂を10vol%配合した点である。
他の配合組成及び成形面圧は第1実施例と同一である。
[3]性能評価
次に上記各実施例及び各比較例の性能評価結果について再び図1を参照して説明する。
性能評価としては、成形性、一般効力及び熱膨張量について評価した。
次に上記各実施例及び各比較例の性能評価結果について再び図1を参照して説明する。
性能評価としては、成形性、一般効力及び熱膨張量について評価した。
[3.1]成形性
成形性に関しては、成形性に優れている(○)、成形性良好(△)、成形性にやや難あり(×)の3段階評価とした。
成形性に関しては、成形性に優れている(○)、成形性良好(△)、成形性にやや難あり(×)の3段階評価とした。
[3.2]一般効力
一般効力に関しては、乗用車向けブレーキアセンブリ(キャリパ、パッド、ロータ)を使用し、JASO C406の規格に則って試験を行い、効力及び摩耗量を評価した。
[3.2.1]効力
効力については、第2効力V=50km/h及び100km/h、G=6.0/S2における摩擦係数を計測し、摩擦係数の値が0.35以上0.45以下で良好(○)と評価した。また、摩擦係数の値が0.3以上0.35未満あるいは摩擦係数の値が0.45超0.5以下で可(△)と評価した。さらに摩擦係数の値が0.3未満あるいは0.5超である場合に、やや劣る(×)と評価した。
[3.2.2]摩耗量
摩耗量については、試験前後のパッドの厚みの差を摩耗量とし、1mm以下を良好(○)、1mm超1.5mm以下を可(△)、1.5mm超をやや劣る(×)と評価した。
一般効力に関しては、乗用車向けブレーキアセンブリ(キャリパ、パッド、ロータ)を使用し、JASO C406の規格に則って試験を行い、効力及び摩耗量を評価した。
[3.2.1]効力
効力については、第2効力V=50km/h及び100km/h、G=6.0/S2における摩擦係数を計測し、摩擦係数の値が0.35以上0.45以下で良好(○)と評価した。また、摩擦係数の値が0.3以上0.35未満あるいは摩擦係数の値が0.45超0.5以下で可(△)と評価した。さらに摩擦係数の値が0.3未満あるいは0.5超である場合に、やや劣る(×)と評価した。
[3.2.2]摩耗量
摩耗量については、試験前後のパッドの厚みの差を摩耗量とし、1mm以下を良好(○)、1mm超1.5mm以下を可(△)、1.5mm超をやや劣る(×)と評価した。
[3.3]熱膨張
熱膨張に関しては、10mm×10mm×10mmの直方体状の摩擦材サンプルを600℃まで昇温した時の厚さの増加量を熱膨張量として、0.5mm未満を優秀(◎)、0.5mm以上0.7mm未満を良好(○)、0.7mm以上1.0mm未満を可(△)、1.0mm以上を不可(×)と評価した。
熱膨張に関しては、10mm×10mm×10mmの直方体状の摩擦材サンプルを600℃まで昇温した時の厚さの増加量を熱膨張量として、0.5mm未満を優秀(◎)、0.5mm以上0.7mm未満を良好(○)、0.7mm以上1.0mm未満を可(△)、1.0mm以上を不可(×)と評価した。
[3.4]評価結果
[3.4.1]成形性
図1に示すように、第1実施例〜第7実施例及び第2比較例については、成形性に優れていた。また、第9実施例及び第1比較例については、成形性が良好であった。
また、第8実施例については、アラルキル変性フェノール樹脂の配合量が多いため、成形性にやや難があったが、成形自体は可能であった。
[3.4.2]一般効力
[3.4.2.1]効力
図1に示すように、第1実施例〜第5実施例、第7実施例、第8実施例及び第2比較例の効力については、高負荷時であっても良好な摩擦係数を示していた。
また、第6実施例及び第1比較例の効力については、高負荷時の摩擦係数であっても可であった。
また、第9実施例の効力については、高負荷時の摩擦係数は、所望の値が得られなかった。
[3.4.2.2]摩耗量
図1に示すように、第1実施例〜第5実施例、第8実施例及び第9実施例において、良好な摩耗量となっていた。
これらに対し、第6実施例、第7実施例、第1比較例及び第2比較例においては、摩耗量がやや多く、耐久性にやや劣っていた。
[3.4.3]熱膨張
図1に示すように、第3実施例においては、熱膨張量が非常に少なく、非常に優秀であった。
第1実施例、第2実施例、第4実施例〜第6実施例及び第8実施例においては、熱膨張量が少なく、良好であった。
また、第7実施例及び第9実施例は、熱膨張量がやや多いが、レース車両等の高負荷の用途以外の一般的な用途であれば問題が無い程度であった。
これに対し、第1比較例及び第2比較例においては、熱膨張量が多かった。
[3.4.1]成形性
図1に示すように、第1実施例〜第7実施例及び第2比較例については、成形性に優れていた。また、第9実施例及び第1比較例については、成形性が良好であった。
また、第8実施例については、アラルキル変性フェノール樹脂の配合量が多いため、成形性にやや難があったが、成形自体は可能であった。
[3.4.2]一般効力
[3.4.2.1]効力
図1に示すように、第1実施例〜第5実施例、第7実施例、第8実施例及び第2比較例の効力については、高負荷時であっても良好な摩擦係数を示していた。
また、第6実施例及び第1比較例の効力については、高負荷時の摩擦係数であっても可であった。
また、第9実施例の効力については、高負荷時の摩擦係数は、所望の値が得られなかった。
[3.4.2.2]摩耗量
図1に示すように、第1実施例〜第5実施例、第8実施例及び第9実施例において、良好な摩耗量となっていた。
これらに対し、第6実施例、第7実施例、第1比較例及び第2比較例においては、摩耗量がやや多く、耐久性にやや劣っていた。
[3.4.3]熱膨張
図1に示すように、第3実施例においては、熱膨張量が非常に少なく、非常に優秀であった。
第1実施例、第2実施例、第4実施例〜第6実施例及び第8実施例においては、熱膨張量が少なく、良好であった。
また、第7実施例及び第9実施例は、熱膨張量がやや多いが、レース車両等の高負荷の用途以外の一般的な用途であれば問題が無い程度であった。
これに対し、第1比較例及び第2比較例においては、熱膨張量が多かった。
[3.5]総合評価
以上説明したように、いずれの実施例においても、高温時や高負荷時においても安定した効きを得ることができるとともに、優れた耐摩耗性を有する摩擦材となっていることがわかった。
低融点金属として、スズあるいは亜鉛を含有し、かつ、成形面圧が100MPa以上であれば、成形性、一般抗力、熱膨張に優れ、高温時や高負荷時の安定な効き及び耐摩耗性を得られることが分かった。
以上説明したように、いずれの実施例においても、高温時や高負荷時においても安定した効きを得ることができるとともに、優れた耐摩耗性を有する摩擦材となっていることがわかった。
低融点金属として、スズあるいは亜鉛を含有し、かつ、成形面圧が100MPa以上であれば、成形性、一般抗力、熱膨張に優れ、高温時や高負荷時の安定な効き及び耐摩耗性を得られることが分かった。
[4]実施形態の変形例
以上の説明においては、ブレーキパッドの用途を限定してはいなかったが、ディスクブレーキとしてフローティング型の他、押圧部材としてのピストンが対向配置され、対向配置されたピストンが一対のブレーキパッド用パッド組立体をディスクロータ(被摩擦材)に押し付ける構成の所謂オポースド型(対向ピストン型)であっても同様に適用が可能である。
以上の説明においては、ブレーキパッドの用途を限定してはいなかったが、ディスクブレーキとしてフローティング型の他、押圧部材としてのピストンが対向配置され、対向配置されたピストンが一対のブレーキパッド用パッド組立体をディスクロータ(被摩擦材)に押し付ける構成の所謂オポースド型(対向ピストン型)であっても同様に適用が可能である。
さらには、ブレーキドラム(被摩擦材)に接触されるドラムブレーキのブレーキシューであっても同様に適用が可能である。
Claims (6)
- 繊維基材と、
無機充填材と、
アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、
を備えた摩擦材。 - 前記アラルキル変性フェノール樹脂の含有量は、20vol%以下とされている、
請求項1記載の摩擦材。 - 前記無機充填材として、低融点金属を含む、
請求項1又は請求項2記載の摩擦材。 - 前記低融点金属として、スズ、亜鉛、あるいは、ビスマスのうち、少なくともいずれか一つを含む、
請求項3記載の摩擦材。 - 銅の含有量が0.5wt%未満である、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の摩擦材。 - 繊維基材と、
潤滑材と、
低融点金属を含有する無機充填材と、
アラルキル変性フェノール樹脂を10〜25vol%を含む結合材と、
を備えた摩擦材用組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019199396A JP2021070771A (ja) | 2019-10-31 | 2019-10-31 | 摩擦材及び摩擦材組成物 |
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003171652A (ja) * | 2001-12-06 | 2003-06-20 | Advics:Kk | 摩擦材 |
JP2011241381A (ja) * | 2010-04-23 | 2011-12-01 | Nisshinbo Brake Inc | ディスクブレーキパッド |
JP2014125504A (ja) * | 2012-12-25 | 2014-07-07 | Advics Co Ltd | 摩擦材及びその製造方法 |
JP2015004037A (ja) * | 2013-06-24 | 2015-01-08 | 日清紡ブレーキ株式会社 | 摩擦材 |
JP2015093935A (ja) * | 2013-11-12 | 2015-05-18 | 曙ブレーキ工業株式会社 | 摩擦材 |
-
2019
- 2019-10-31 JP JP2019199396A patent/JP2021070771A/ja active Pending
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