JP2021070022A - 長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法、及び長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化反応による分岐パラフィンの製造方法 - Google Patents

長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法、及び長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化反応による分岐パラフィンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長鎖直鎖パラフィンを水素化異性化反応することにより目的とする炭素数の分岐パラフィンを収率よく得ることが可能な水素化異性化触媒、前記水素化異性化触媒の製造方法、及び前記水素化異性化触媒を用いた分岐パラフィンの製造方法の提供。【解決手段】MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方が触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%担持されている、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法、及び長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化反応による分岐パラフィンの製造方法に関する。
近年、地球温暖化の防止対策として、バイオマスエネルギーの有効活用が注目されており、輸送用燃料の分野においても種々検討がなされている。
このような観点から、バイオマスである動植物由来の油脂を原料にしてディーゼル燃料やジェット燃料を製造する試みが注目を集めている。動植物性由来の油脂を水素化脱酸素反応させると、炭素数が16〜18程度の長鎖直鎖パラフィンが得られる。一方、この長鎖直鎖パラフィンは、高いセタン価を有する一方、低温流動性が低く、そのままでは燃料としての利用は困難である。
このような長鎖直鎖パラフィンを、水素化分解反応、異性化反応(以下、水素化分解反応、異性化反応を総称して「水素化異性化反応」ともいう。)させることにより、ディーゼル燃料やジェット燃料の規格を満たす炭素数の分岐パラフィンを製造する検討が行われている。非特許文献1は、長鎖直鎖パラフィンのモデル原料としてn−デカンを用い、種々のゼオライトに白金を担持した触媒を用いて、ゼオライトの構造が炭素数6、7の分岐パラフィンの収率に及ぼす影響について開示している。
非特許文献1は、n−デカンの水素化異性化反応においては、MTW型ゼオライト、FER型ゼオライトに比べ、MFI型ゼオライトを使用した場合の方が、炭素数6、7の分岐パラフィンの収率が高くなることを開示している。
八木田雄介等、第83回化学工学会予稿集、講演番号:PE352、2018年
しかしながら、非特許文献1に記載のMFI型ゼオライトに白金を担持した触媒は、MTW型ゼオライト、FER型ゼオライトを使用したときに比べ、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率を高められるものの、その収率は充分ではない。特に、過剰な水素化分解反応により、炭素数3〜5程度の低級パラフィンが多量に生成し、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率を低下させる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、長鎖直鎖パラフィンを水素化異性化反応することにより目的とする炭素数の分岐パラフィンを収率よく得ることが可能な水素化異性化触媒、前記水素化異性化触媒の製造方法、及び前記水素化異性化触媒を用いた分岐パラフィンの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を有する。
[1] MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方が触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%担持されている、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
[2] 前記MFI型ゼオライトの平均粒子径が2000nm以下である、[1]に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
[3] 前記MFI型ゼオライトの比表面積に対する外表面積の割合が0.3〜5%である、[1]又は[2]に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
[4] 前記アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.3〜3質量%担持されている、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
[5] MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
[6] MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%含有するように担持させ触媒前駆体を得、前記触媒前駆体に白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、[5]に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
[7] MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.3〜3質量%、白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、[4]に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
[8] MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.3〜3質量%含有するように担持させ触媒前駆体を得、前記触媒前駆体に白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、[7]に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
[9] 水素の存在下、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒に、長鎖直鎖パラフィンを接触させて、前記長鎖直鎖パラフィンよりも炭素数が少ない分岐パラフィンを得る、分岐パラフィンの製造方法。
本発明によれば、長鎖直鎖パラフィンを水素化異性化反応することにより目的とする炭素数の分岐パラフィンを収率よく得ることが可能な水素化異性化触媒、前記水素化異性化触媒の製造方法、及び前記水素化異性化触媒を用いた分岐パラフィンの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されず、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
本明細書において、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒、MFI型ゼオライトの「比表面積」、「外表面積」、「細孔容積」は、窒素吸着装置を用いて測定された窒素の吸着等温線から得ることができる。具体的には、「比表面積」は、BET吸着等温式から得ることができる。「外表面積」及び「細孔容積」は、t−plot法により得ることができる。本明細書における「細孔容積」はt−plot法により得られたミクロ細孔容積である。
本明細書において、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒、MFI型ゼオライトの「粒子径」は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう。)観察により得ることができる。例えば、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒又はMFI型ゼオライトの長径と短径を観察し、それらの平均値を粒子径とすることができる。また、100個の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒又はMFI型ゼオライトの粒子径を測定し、その平均値を「平均粒子径」とすることができる。
本明細書において、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒中の白金又はパラジウムの「平均粒子径」、「表面積」、「分散度」は、COパルス吸着法により測定することができる。
本明細書において、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒中のアルカリ土類金属の触媒基準、酸化物換算の担持量、白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方の触媒基準、金属換算の担持量は、蛍光X線分析(XRF)により測定することができる。
<水素化異性化触媒>
本実施形態の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒(以下、単に「水素化異性化触媒」ということがある。)は、MFI型ゼオライト、アルカリ土類金属、及び白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方と、を含み、前記MFI型ゼオライトに、前記アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、前記白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方が触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、それぞれ担持されている。
(MFI型ゼオライト)
本実施形態の水素化異性化触媒は、MFI型ゼオライトを含む。MFIとは、国際ゼオライト学会が定めたゼオライトを構造により分類したコードである。本実施形態において、MFI型ゼオライトとしては、アルミノシリケートゼオライトであるZSM−5、鉄シリケートゼオライトであるFe−ZSM−5、ガリウムシリケートゼオライトであるGa−ZSM−5、亜鉛シリケートゼオライトであるZn−ZSM−5が例として挙げられ、アルミノシリケートであるZSM−5が好ましい。
MFI型ゼオライト中のアルミニウム元素に対するカウンターカチオンは、プロトンであることが好ましく、MFI型ゼオライトに含まれる全アルミニウム元素に対するプロトンの割合(プロトンの総モル数/アルミニウムの総モル数×100)は、50〜100%であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることがさらに好ましい。MFI型ゼオライトに含まれる全アルミニウム元素に対するプロトンの割合が前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化触媒に充分な酸点が存在し、水素化分解反応が好適に進行する。
MFI型ゼオライトのアルミニウム元素に対するケイ素元素のモル比(以下「Si/Al」と表現することがある。)は、100〜300であることが好ましく、150〜250であることがより好ましく、190〜210であることがさらに好ましい。Si/Alが前記範囲の下限値以上であると、酸点密度を小さくし、過度な分解を抑制できる。Si/Alが前記範囲の上限値以下であると、水素化異性化触媒に充分な酸点が存在し、水素化分解反応が好適に進行する。
MFI型ゼオライトの平均粒子径は、2000nm以下であることが好ましく、1800nm以下であることがより好ましく、900nm以下であることがさらに好ましく、800nm以下が特に好ましい。一方、下限値は100nm以上であることが好ましい。平均粒子径が前記上限値以下であると、水素化異性化反応の転化率が高まる。前記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
MFI型ゼオライトの比表面積は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、280〜550m/gであることが好ましく、400〜500m/gであることがより好ましく、420〜440m/gであることがさらに好ましい。比表面積が前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化触媒上の酸点、アルカリ土類金属、白金、パラジウム等が高分散となり、水素化異性化反応の転化率が高まる。比表面積が前記範囲の上限値以下であると、水素化異性化反応の反応場所を主にゼオライト細孔内に制限でき、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
MFI型ゼオライトの外表面積は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、2〜18m/gであることが好ましく、3〜15m/gであることがより好ましく、7〜13m/gであることがさらに好ましい。外表面積が前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化反応の転化率が高まる。外表面積が前記範囲の上限値以下であると、水素化異性化反応の反応場所を主にゼオライト細孔内に制限でき、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
MFI型ゼオライトの比表面積に対する外表面積の割合(外表面積/比表面積×100)は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、0.3〜5%であることが好ましく、0.5〜4%であることがより好ましく、0.5〜3%であることがさらに好ましいく、2〜3%であることが特に好ましい。比表面積に対する外表面積の割合が前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化反応の転化率が高まる。比表面積に対する外表面積の割合が前記範囲の上限値以下であると、水素化異性化反応の反応場所を主にゼオライト細孔内に制限でき、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
MFI型ゼオライトの細孔容積は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、0.15〜0.25mL/gであることが好ましく、0.15〜0.23mL/gであることがより好ましく、0.15〜0.20mL/gであることがさらに好ましい。細孔容積が前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化反応の転化率が高まる。細孔容積が前記範囲の上限値以下であると、水素化異性化反応の反応場所を主にゼオライト細孔内に制限でき、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
(アルカリ土類金属)
本実施形態の水素化異性化触媒は、アルカリ土類金属を含む。アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及びラジウムが例として挙げられ、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムが好ましく、カルシウム、マグネシウムがより好ましく、マグネシウムが特に好ましい。アルカリ土類金属の形態としては、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、水酸化物、酸化物であることが好ましく、酸化物であることが特に好ましい。本実施形態の水素化異性化触媒において、アルカリ土類金属が酸化物の形態である場合、前記酸化物中に含まれる酸素の一部がMFI型ゼオライトのプロトンと結合していることが好ましい。前記結合により、MFI型ゼオライトの酸量及び酸強度が低下し、過剰な水素化分解反応が抑制されると考えられる。
MFI型ゼオライトは、アンモニア昇温脱離法(以下、「NH−TPD法」ともいう。)によって得られるプロファイルにおいて、低温域(100℃以上300℃未満)と高温域(300〜450℃)に2つのピークを有することが知られている。低温域のピークは比較的弱い酸点に由来し、高温域のピークは比較的強い酸点に由来する。本実施形態の水素化異性化触媒は、貴金属(白金、パラジウム)とアルカリ土類金属を含むことによって、高温域のピークが減少し、低温域にシフトする。(すなわち、酸量の低下)。本明細書において「酸量」とは、NH−TPD法によって測定された150〜250℃で脱離したNH量から算出した値を意味する。
NH−TPD法によって測定されるMFI型ゼオライトの酸量(H)に対する、MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方が触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%担持されている本発明の水素化異性化触媒の酸量(H2)の割合(H2/H×100)は、12〜85%であることが好ましく、24〜72%であることがより好ましく、35〜72%であることがさらに好ましい。
NH−TPD法によって測定されるMFI型ゼオライトに、白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方が触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%担持されている水素化異性化触媒の酸量(H1)に対する、MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方が触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%担持されている本発明の水素化異性化触媒の酸量(H2)の割合(H2/H1×100)は、30〜90%であることが好ましく、45〜80%であることがより好ましく、40〜75%であることがさらに好ましい。
NH−TPD法によって測定される本実施形態の水素化異性化触媒の酸量は、0.01〜0.07mmol/gであることが好ましく、0.02〜0.065mmol/gであることがより好ましく、0.03〜0.065mmol/gであることがさらに好ましい。
水素化異性化触媒における、アルカリ土類金属の含有割合は、触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%であり、0.3〜3質量%であることが好ましく、0.3〜2質量%であることがより好ましく、0.3〜1.2質量%であることがさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、水素化異性化触媒における、アルカリ土類金属の含有割合は、触媒基準、酸化物換算で0.15〜0.8質量%であることが好ましく、0.15〜0.6質量%であることがより好ましく、0.2〜0.5質量%であることが更に好ましい。
アルカリ土類金属の含有割合が前記範囲の下限値以上であると、過剰な水素化分解反応が抑制され、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。アルカリ土類金属の含有割合が前記範囲の上限値以下であると、水素化異性化反応の転化率が向上する。
MFI型ゼオライトに含まれる全アルミニウム元素に対するアルカリ土類金属の割合(アルカリ土類金属の総モル数/アルミニウムの総モル数)は、2.0〜7.0であることが好ましく、2.5〜6.5であることがより好ましく、3.0〜6.2であることがさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、MFI型ゼオライトに含まれる全アルミニウム元素に対するアルカリ土類金属の割合(アルカリ土類金属の総モル数/アルミニウムの総モル数)は、0.45〜3.0であることが好ましく、0.6〜3.0であることがより好ましく、0.9〜3.0であることがさらに好ましい。
水素化異性化触媒に含まれる全酸量に対するアルカリ土類金属の割合(アルカリ土類金属の総モル数/酸量の総モル数)は、3〜15であることが好ましく、3.5〜12であることがより好ましく、4〜11であることがさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、水素化異性化触媒に含まれる全酸量に対するアルカリ土類金属の割合(アルカリ土類金属の総モル数/酸量の総モル数)は、2〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましく、2〜5であることがさらに好ましい。
(白金、パラジウム)
本実施形態の水素化異性化触媒は、白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方(以下、「白金等」ともいう。)を含む。白金又はパラジウムは金属であることが好ましい。すなわち、本実施形態の水素化異性化触媒は、白金のみを含んでいてもよく、パラジウムのみを含んでいてもよく、白金とパラジウムの両方を含んでいてもよい。
水素化異性化触媒における、白金等の含有割合は、触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%であり、0.1〜0.8質量%であることが好ましく、0.1〜0.6質量%であることがさらに好ましい。白金等の含有割合が前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化触媒上の活性点が増加し、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。白金等の含有割合が前記範囲の上限値以下であると、白金等のシンタリングが抑制され、白金等の表面積の低下が抑制される。結果として、水素化異性化触媒上の活性点が増加し、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
水素化異性化触媒における、白金等の粒子径は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、1〜20nmであることが好ましく、1〜15nmであることがより好ましく、1〜11nmであることがさらに好ましい。白金等の粒子径が前記範囲の上限値以下であると、水素化異性化触媒上の活性点が増加し、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
水素化異性化触媒における、白金等の表面積は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、白金の場合、0.05〜15m/gであることが好ましく、0.1〜10m/gであることがより好ましく、0.13〜5m/gであることがさらに好ましい。パラジウムの場合の表面積の好ましい範囲は白金の二倍の値となる。白金等の表面積が前記範囲の下限値以上であると水素化異性化触媒上の活性点が増加し、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
水素化異性化触媒における、白金等の分散度は、本分野の効果を有する限り特に限定されないが、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。白金等の分散度が前記下限値以上であると、水素化異性化触媒上の活性点が増加し、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
本実施形態の水素化異性化触媒の平均粒子径、比表面積、外表面積、細孔容積は、使用するMFI型ゼオライトにおける各物性値とほぼ同等の値となる。具体的には、本実施形態の水素化異性化触媒の平均粒子径、比表面積、外表面積、細孔容積は通常、使用するMFI型ゼオライトにおける対応する物性値の0.7〜1.1倍程度となる。
水素化異性化触媒に含まれるアルカリ土類金属の酸化物換算の総質量に対する白金等の金属換算の総質量の割合(白金等の金属換算の総質量/アルカリ土類金属の酸化物換算の総質量)は、0.15〜0.7であることが好ましく、0.2〜0.6であることがより好ましく、0.24〜0.52であることがさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、水素化異性化触媒に含まれるアルカリ土類金属の酸化物換算の総質量に対する白金等の金属換算の総質量の割合(白金等の金属換算の総質量/アルカリ土類金属の酸化物換算の総質量)は、0.5〜3.3であることが好ましく、1.0〜3.3であることがより好ましく、1.5〜3.3であることがさらに好ましい。
水素化異性化触媒に含まれるアルカリ土類金属に対する白金等の割合(白金等の総モル数/アルカリ土類金属の総モル数)は、0.03〜0.13であることが好ましく、0.04〜0.12であることがより好ましく、0.05〜0.11であることがさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、水素化異性化触媒に含まれるアルカリ土類金属に対する白金等の割合(白金等の総モル数/アルカリ土類金属の総モル数)は、0.1〜1.5であることが好ましく、0.2〜1.5であることがより好ましく、0.3〜1.5であることがさらに好ましい。
MFI型ゼオライトに含まれる全アルミニウム元素に対する白金等の割合(白金等の総モル数/アルミニウムの総モル数)は、0.28〜0.35であることが好ましく、0.3〜0.33であることがより好ましく、0.31〜0.32であることがさらに好ましい。
水素化異性化触媒に含まれる全酸量に対する白金等の割合(白金等の総モル数/酸量の総モル数)は、0.37〜0.6であることが好ましく、0.4〜0.58であることがより好ましく、0.42〜0.56であることがさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、水素化異性化触媒に含まれる全酸量に対する白金等の割合(白金等の総モル数/酸量の総モル数)は、0.37〜0.9であることが好ましく、0.4〜0.85であることがより好ましく、0.42〜0.77であることがさらに好ましい。
<水素化異性化触媒の製造方法>
本実施形態の水素化異性化触媒の製造方法は、MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させることを含む。
(MFI型ゼオライトの製造方法)
MFI型ゼオライトは、本分野において公知の方法によって製造することができる。MFI型ゼオライトは、例えば、構造規定剤、Si原料、Al原料を含む水溶液を得る水溶液調製工程、前記水溶液を熟成させる熟成工程、及び熟成後の前記水溶液を水熱条件で結晶化させる水熱合成工程を経ることにより得ることができる。
・水溶液調製工程
Si原料としては、本分野において公知のSi原料を使用することができ、例えば、オルトケイ酸テトラエチル、コロイダルシリカ、シリカゲル乾燥粉末、シリカヒドロゲル、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどを使用することができる。
Al原料としては、本分野において公知のAl原料を使用することができ、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウムなどを使用することができる。
構造規定剤(Organic Structure−Directing Agent。以下、単に「OSDA」ともいう。)は、得ようとするゼオライトに応じて適宜選択を行えばよく、例えば、ZSM−5を製造する場合、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドをOSDAとして使用することができる。
使用するSi原料の量とAl原料の量との比は、目的とするSi/Alを基に適宜調整を行えばよい。また、得られるゼオライト中のAlに対するカウンターカチオン源を適宜選択し、添加してもよい。例えば、カウンターカチオンをナトリウムにする場合、塩化ナトリウムを添加してもよい。Al原料中のAlのモル数に対するカウンターカチオンのモル数の比(カウンターカチオン/Al)は、特に限定されないが、例えば5以下としてもよい。
水溶液中のSiのモル数に対するOSDAのモル数の比(OSDA/Si)は、特に限定されないが、例えば、0.1〜1でもよく、0.1〜0.5でもよい。また、水溶液の総体積に対するSiのモル量(以下[Si]とも表す。)を制御することで、得られるゼオライトの粒子径、並びに比表面積に対する外表面積の割合を制御することが可能となる。具体的には、[Si]を小さくすると粒子径が大きく、比表面積に対する外表面積の割合が小さいMFI型ゼオライトを得ることができる。そして、[Si]を大きくすると粒子径が小さく、比表面積に対する外表面積の割合が大きいMFI型ゼオライトを得ることができる。[Si]は水溶液中の水の量を調整することにより制御することができる。
[Si]は0.2〜1.5mol/Lであることが好ましく、0.4〜1.3mol/Lであることがより好ましく、0.6〜1.1mol/Lであることがさらに好ましい。
・熟成工程
前記水溶液を撹拌しながら熟成を行う。熟成の温度、時間は、本分野において公知の条件を採用することができる。熟成温度は、通常15〜80℃で、熟成時間は、通常1〜24時間である。
・水熱合成工程
熟成工程後の水溶液をオートクレーブに移し、水熱条件で結晶化を行う。水熱条件は、本分野において公知の条件を採用することができる。反応温度は、通常100〜180℃で、反応時間は通常24〜120時間である。
このようにして得られたMFI型ゼオライトを含む固形分の回収は、例えば水熱合成後の前記固形分を含む懸濁液を濾過し、固形分を乾燥することにより行うことができる。また、前記乾燥の前に必要に応じて洗浄処理を行ってもよい。
このようにして得られた固形分から、構造規定剤を除去するために、空気雰囲気下での焼成を行うことが好ましい。焼成温度としては、上述の構造規定剤が除去できる温度以上であれば特に限定されないが、例えば400〜600℃であることが好ましく、500〜600℃であることがより好ましい。また、焼成時間は、例えば3〜24時間とすることができる。
このようにして得られるMFI型ゼオライト中のAl元素に対応するカウンターカチオンは前記水溶液中に存在していたカチオンとなる。例えば、上述のように塩化ナトリウムをカウンターカチオン源として水溶液に添加した場合、得られたMFI型ゼオライトは、Na型のMFI型ゼオライトとなる。このNa型のMFI型ゼオライトをプロトン型のMFI型ゼオライトとする場合、Naをアンモニウムイオンでイオン交換後、空気雰囲気下で焼成を行えばよい。
前記焼成温度としては、アンモニウムカチオンから、アンモニアが脱離する温度であれば、特に限定されないが、例えば、300〜600℃とすることができる。また、このアンモニウム型のMFI型ゼオライトからプロトン型のMFI型ゼオライトへの変換は、後述のアルカリ土類金属、白金等を担持した後の焼成により行ってもよい。
上述のようにして得られたMFI型ゼオライトにアルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金等を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる。以下、MFI型ゼオライトに担持されるアルカリ土類金属、白金、パラジウムを総称して「担持成分」ともいう。
MFI型ゼオライトに担持されるアルカリ土類金属の原料化合物としては、特に限定されず、例えば、硝酸マグネシウム6水和物、塩化マグネシウム6水和物、硫酸マグネシウム7水和物、硝酸カルシウム等が例として挙げられる。
MFI型ゼオライトに担持される白金又はパラジウムの原料化合物としては、特に限定されず、例えば、塩化白金酸、塩化テトラアンミン白金、ジアンミンジニトロ白金酸、ビス(アセチルアセトナト)白金、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化テトラアンミンパラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム等が例として挙げられる。
前記担持成分の担持方法としては、担体としてMFI型ゼオライトを用いる以外は、本分野で公知の担持方法を採用することができる。本分野で公知の担持方法としては、例えば、含浸法、共沈法、イオン交換法等が挙げられ、含浸法が特に好ましい。
含浸法としては、MFI型ゼオライトをその全細孔容積に対して過剰の含浸溶液に浸した後に乾燥することにより、担持成分を担持する蒸発乾固法、MFI型ゼオライトをその細孔容積に対して過剰の含浸溶液に浸した後に、ろ過等の固液分離により担持成分を担持する平衡吸着法、MFI型ゼオライトにその細孔容積とほぼ同体積の含浸溶液を含浸し、乾燥させることにより、担持成分を担持する細孔充填法(Incipient Wetness法)が例として挙げられる。
担持成分を均一、かつ高分散に所定の量をMFI型ゼオライトに担持する観点から、細孔充填法が好ましい。
アルカリ土類金属、白金等をMFI型ゼオライトに含浸させる方法としては、同時法、逐次法がある。同時法は、全ての原料化合物を溶解した溶液をMFI型ゼオライトに含浸する方法である。逐次法は、各原料化合物を別個に溶解した溶液を調製し、逐次的にMFI型ゼオライトに各溶液を含浸させる方法である。
逐次法の例としては、白金等を含む原料化合物を溶解した第1の含浸溶液をMFI型ゼオライトに含浸し、触媒前駆体1を得、引き続いて、アルカリ土類金属を含む原料化合物を溶解した第2の含浸溶液を前記触媒前駆体1に含浸する方法(逐次法1)が例として挙げられる。上述の例では、白金等を担持した後に、アルカリ土類金属を担持したが、アルカリ土類金属を担持した後に白金等を担持してもよい。すなわち、アルカリ土類金属を含む原料化合物を溶解した第1の含浸溶液をMFI型ゼオライトに含浸し、触媒前駆体2を得、引き続いて、白金等を含む原料化合物を溶解した第2の含浸溶液を前記触媒前駆体2に含浸する方法(逐次法2)としてもよい。
アルカリ土類金属は、白金等を含む原料化合物を溶解した含浸溶液が酸性溶液である場合、酸性溶液中において溶解する恐れがあるため、白金等を担持した後にアルカリ土類金属を担持する前者の方法がより好ましい。
また、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上させる観点からは、逐次法2がより好ましい。
逐次法1で水素化異性化触媒を製造する場合、アルカリ土類金属の担持量は、触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%含有するように担持させることが好ましく、0.3〜3質量%がさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、逐次法1で水素化異性化触媒を製造する場合、アルカリ土類金属の担持量は、触媒基準、酸化物換算で0.3〜2質量%含有させるように担持させることが好ましく、0.3〜1.2質量%がより好ましい。
逐次法2で水素化異性化触媒を製造する場合、アルカリ土類金属の担持量は、触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%含有するように担持させることが好ましく、0.3〜3質量%がさらに好ましい。
本発明の別の側面としては、逐次法2で水素化異性化触媒を製造する場合、アルカリ土類金属の担持量は、触媒基準、酸化物換算で0.15〜0.8質量%含有するように担持させることが好ましく、0.15〜0.6質量%がより好ましく、0.2〜0.5質量%がさらに好ましい。
担持成分を含浸により担持した後に乾燥により含浸液中の溶媒を除去し、引き続いて空気雰囲気下で焼成を行うことが好ましい。乾燥温度及び焼成温度は、溶媒の種類等に応じて適宜決定できる。例えば、溶媒が水の場合、乾燥温度を80〜300℃、焼成温度を300〜600℃としてもよい。また、乾燥は減圧で行っても常圧で行ってもよい。
上述した逐次法の場合、第1の含浸溶液を含浸し、乾燥した後に、第2の含浸溶液を含浸してもよいし、第1の含浸溶液を含浸し、乾燥、焼成を行った後に、第2の含浸溶液を含浸してもよい。
<分岐パラフィンの製造方法>
本実施形態の分岐パラフィンの製造方法は、水素の存在下、上述の水素化異性化触媒に、長鎖直鎖パラフィンを接触させて、前記長鎖直鎖パラフィンよりも炭素数が少ない分岐パラフィンを得る。より具体的には、炭素数が8〜24の長鎖直鎖パラフィンから炭素数が6〜20の分岐パラフィンを得ることが好ましく、炭素数が10〜20の長鎖直鎖パラフィンから炭素数が6〜15の分岐パラフィンを得ることがより好ましい。
炭素数が6〜20の分岐パラフィンとしては、2−メチルオクタン、2−メチルヘプタン、2−メチルヘキサン、2−メチルペンタン、2−メチルノナン、2-メチルドデカン、2−メチルオクタデカン等が挙げられる。
本実施形態の分岐パラフィンの製造方法に供される長鎖直鎖パラフィンとしては、石油精製プロセスにおいて得られる長鎖直鎖パラフィンでもよく、動植物性由来の油脂を水素化脱酸素反応させることによって得られる長鎖直鎖パラフィンでもよい。
本実施形態の分岐パラフィンの製造方法における反応温度は、200〜300℃であることが好ましく、200〜250℃であることがより好ましい。反応温度が前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化反応の転化率が高まる。反応温度が前記範囲の上限値以下であると、過剰な水素化分解反応が抑制され、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
本実施形態の分岐パラフィンの製造方法における原料である長鎖直鎖パラフィンと、水素化異性化触媒との接触時間(以下、「W/F[(g−触媒)/(g−原料/h)]」とも言う。)は、0.1〜5(g−触媒)/(g−原料/h)であることが好ましく、0.1〜3(g−触媒)/(g−原料/h)であることがより好ましく、0.2〜1(g−触媒)/(g−原料/h)であることがさらに好ましい。好適なW/Fは、処理量や用いる水素化異性化触媒の性能によって異なるが、W/Fが前記範囲の下限値以上であると、水素化異性化反応の転化率が高まる。W/Fが前記範囲の上限値以下であると、過剰な水素化分解反応が抑制され、目的とする炭素数の分岐パラフィンの収率が向上する。
本実施形態の分岐パラフィンの製造方法における原料である長鎖直鎖パラフィンの分圧に対する水素の分圧の比(水素/原料)は、5〜20であることが好ましく、7〜20であることがより好ましく、9〜20であることがさらに好ましい。原料である長鎖直鎖パラフィンの分圧に対する水素の分圧の比が前記範囲の下限値以上であると、目的の反応が充分に進行する。原料である長鎖直鎖パラフィンの分圧に対する水素の分圧の比が前記範囲の上限値以下であると、過度な分解の抑制に併せて原料分圧を下げすぎず十分な反応速度を確保できる。また、過剰に水素を消費することもなく、処理コストを削減できる。また、必要に応じて窒素等の不活性ガスを水素に同伴させて供給してもよい。
本実施形態の水素化異性化触媒は、使用前に(すなわち、本実施形態の分岐パラフィンの製造を行うのに先立って)、反応装置内で、還元処理を行い、活性化を行う。この還元処理は、通常300〜500℃で行われ、400〜450℃で行うことが好ましい。還元ガスとしては水素ガスを使用することが好ましい。
本実施形態の分岐パラフィンの製造方法を商業規模で行う場合には、本発明に係る水素化異性化触媒の触媒層を反応装置内に形成し、この反応装置内に長鎖直鎖パラフィン及び水素を導入し、上記の条件下で水素化異性化反応を行えばよい。
当該触媒層は、固定床、移動床、又は流動床式のいずれであってもよい。具体的には、固定床式触媒層を反応装置内に形成し、長鎖直鎖パラフィン及び水素を反応装置の上部に導入し、固定床を上から下に通過させ、反応装置の下部から生成物を流出させる方法、長鎖直鎖パラフィン及び水素を反応装置の下部に導入し、固定床を下から上に通過させ、反応装置の上部から生成物を流出させる方法が最も一般的である。
本発明に係る分岐パラフィンの製造方法は、本発明に係る水素化異性化触媒を、単独の反応装置に充填して行う一段の水素化異性化反応であってもよく、幾つかの反応装置に充填して行う多段連続水素化異性化反応であってもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<キャラクタリゼーション>
MFI型ゼオライトの比表面積、外表面積、細孔容積は、窒素吸着により測定した。MFI型ゼオライトの平均粒子径は、SEM観察により測定した。水素化異性化触媒中の白金の平均粒子径、表面積、分散度は、COパルス吸着法により測定した。MFI型ゼオライト及び水素化異性化触媒の酸特性をNH−TPD法により測定した。
・窒素吸着
後述のMFI型ゼオライトA又はBを300℃で一晩乾燥処理を行い、窒素吸着装置としてマイクロトラック・ベル社製のBELSORP−miniを使用して窒素吸着を行った。上述の方法で、比表面積、外表面積、細孔容積を得た。
・SEM観察
加速電圧15kV、照射電流10μAの条件で、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡(JEOL JSM−7500F)を使用して、後述のMFI型ゼオライトA又はBのSEM観察を行った。上述の方法で、平均粒子径を得た。
・COパルス吸着法
後述の水素化異性化触媒A〜Dを450℃で1時間乾燥し、その後水素還元を行い、CO吸着装置としてマイクロトラック・ベル社製のBEL−METAL−1を使用して50℃でCOパルス吸着を行った。
・NH−TPD法
後述のMFI型ゼオライトA、MFI型ゼオライトB、水素化異性化触媒A〜Hを550℃で1時間加熱し前処理を行った。その後、100℃でNHを吸着後、5℃/minで昇温して、脱離するNHに由来する重量減少からNH脱離量を求めた。なお、測定条件は、昇温時の脱離ガスとしてHeガスを使用した。また、前記重量減少は、熱天秤として株式会社島津製作所製のTGA−50を使用して測定した。150〜250℃で脱離したNH量のうち物理吸着したNHの脱離量を減算することで、酸点に吸着したNH量を求め、MFI型ゼオライトA、MFI型ゼオライトB、水素化異性化触媒A〜Hの酸量を求めた。
<原料>
・オルトケイ酸テトラエチル(以下、「TEOS」ともいう、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・アルミニウムイソプロポキシド(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(以下、「TPAOH」ともいう、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・塩化ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・硝酸アンモニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・硝酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・塩化白金酸(Sigma−Aldrich社製)
・硝酸マグネシウム6水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・n−ドデカン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
<MFI型ゼオライトの合成>
[製造例1]
10質量%TPAOH水溶液に純水を加え、カチオン源の塩化ナトリウム、Al源のアルミニウムイソプロポキシドを溶解させ、Al溶液を得た。Al溶液にTEOSを添加し、一晩撹拌し、構造規定剤、Si原料、Al原料を含む水溶液を得た。pH=10となるように硝酸を前記水溶液に滴下し、2〜3時間撹拌した。得られた溶液をオートクレーブに移し、10rpmで撹拌しながら、150℃の水熱条件で、72時間反応を行った。水熱合成終了後、遠心分離を行い、得られた固形分を蒸留水で洗浄した。その後、固形分を空気雰囲気下、550℃で12時間焼成を行い、TPAOHを除去し、Na型のMFI型ゼオライトを得た。Na型のMFI型ゼオライトを75℃の0.83M硝酸アンモニウム水溶液中で3時間撹拌を行い、その後遠心分離を行った。同様の操作を1.25M及び1.67Mの硝酸アンモニウム水溶液を用いて計3回行った後、110℃で一晩乾燥し、アンモニウム型のMFI型ゼオライトAを得た。得られたアンモニウム型のMFI型ゼオライトAのキャラクタリゼーションを行った。
アンモニウム型のMFI型ゼオライトAの調製条件、及びキャラクタリゼーション結果を表1に示す。
[製造例2]
構造規定剤、Si原料、Al原料を含む水溶液中の水の量を調整してSi濃度を0.5mol/Lとした以外は製造例1と同様にMFI型ゼオライトを合成し、アンモニウム型のMFI型ゼオライトBを得た。得られたアンモニウム型のMFI型ゼオライトBのキャラクタリゼーションを行った。
アンモニウム型のMFI型ゼオライトBの調製条件、及びキャラクタリゼーション結果を表1に示す。
Figure 2021070022
[実施例1]
塩化白金酸を蒸留水に溶解させた塩化白金酸溶液を細孔充填法で上述のMFI型ゼオライトAに含浸した。含浸体を減圧乾燥し、さらに常圧、110℃で3時間乾燥させ、その後空気雰囲気下、550℃で3時間焼成を行い、Pt/MFI型ゼオライトAを得た。なお、上記焼成によって、アンモニウム型のMFI型ゼオライトAはプロトン型のMFI型ゼオライトAに変換された。
硝酸マグネシウム6水和物を蒸留水に溶解させた硝酸マグネシウム溶液を細孔充填法で上述のPt/MFI型ゼオライトAに含浸した。含浸体を減圧乾燥し、さらに常圧、110℃で3時間乾燥させ、その後空気雰囲気下、550℃で3時間焼成を行い、プロトン型のMFI型ゼオライトAに酸化マグネシウム及び白金が担持された触媒Aを得た。触媒AのPt分析結果、酸特性分析結果を表2に示す。
内径9mm石英反応管に後述のW/Fとなるように所定量の触媒Aを充填し、水素流通下、450℃で1時間の条件で水素還元前処理を行った。長鎖直鎖パラフィンのモデル原料として、n−ドデカンを1.6mL/hで、水素及び同伴ガスの窒素を計43mL/minで反応管に供給した。反応管に供給されるn−ドデカンの分圧は7kPa、水素分圧は63kPaであった(すなわち、水素/原料=9)。反応温度は200℃とし、W/Fは0.8[(g−触媒)/(g−原料(n−ドデカン)/h)]とした。反応器出口を冷却し、液体成分をサンプリングし、気体成分はガスバッグにてそれぞれ全量捕集した。液体成分及びガス成分をガスクロマトグラフにより分析した。
転化率及び各成分の収率を表2に示す。なお、表2中、「Cn」は炭素数がn個のパラフィンを示し、「n−」は直鎖であることを、「iso−」は分岐鎖であることを示す。
転化率は、反応器出口のn−ドデカンと、供給したn−ドデカンの炭素物質量基準で算出した。各成分の収率は、反応器出口の各成分と、供給したn−ドデカン炭素物質量で算出した。表2中の不明分は、ガスクロマトグラフにより同定できなかった成分を、非定量分は、供給したn−ドデカンと、生成物の炭素物質基準のマテリアルバランスの差を意味する。表2中の「iso−C7+iso−C8+iso−C9」は、iso−C7の収率と、iso−C8の収率と、iso−C9の収率の合計を示す。表2中の「C1〜C6」は、C1〜C6の収率の合計を示す。
[実施例2]
反応温度を225℃とした以外は、実施例1と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
反応温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
W/F=0.24となるように触媒Aの充填量を変更し、反応温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
W/F=0.08となるように触媒Aの充填量を変更し、反応温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
MFI型ゼオライトAに代えてMFI型ゼオライトBを使用した以外は、実施例1と同様にしてプロトン型のMFI型ゼオライトBに酸化マグネシウム及び白金が担持された触媒Bを得た。触媒BのPt分析結果、酸特性分析結果を表2に示す。
内径9mmの石英反応管に後述のW/Fとなるように所定量の触媒Bを充填し、水素流通下、450℃で1時間の条件で水素還元前処理を行った。長鎖直鎖パラフィンのモデル原料として、n−ドデカンを1.6mL/hで、水素及び同伴ガスの窒素を計43mL/minで反応管に供給した。反応管に供給されるn−ドデカンの分圧は7kPa、水素分圧は63kPaであった(すなわち、水素/原料=9)。反応温度は250℃とし、W/Fは0.24[(g−触媒)/(g−原料(n−ドデカン)/h)]とした。反応器出口を冷却し、液体成分をサンプリングし、気体成分はガスバッグにてそれぞれ全量捕集した。液体成分及びガス成分をガスクロマトグラフにより分析した。
転化率及び各成分の収率を表2に示す。
[実施例7]
酸化マグネシウムの担持量を2質量%とした以外は、実施例1と同様にしてプロトン型のMFI型ゼオライトAに酸化マグネシウム及び白金が担持された触媒Dを得た。触媒DのPt分析結果、酸特性分析結果を表2に示す。
内径9mmの石英反応管に後述のW/Fとなるように所定量の触媒Dを充填し、水素流通下、450℃で1時間の条件で水素還元前処理を行った。長鎖直鎖パラフィンのモデル原料として、n−ドデカンを1.6mL/hで、水素及び同伴ガスの窒素を計43mL/minで反応管に供給した。反応管に供給されるn−ドデカンの分圧は7kPa、水素分圧は63kPaであった(すなわち、水素/原料=9)。反応温度は250℃とし、W/Fは0.27[(g−触媒)/(g−原料(n−ドデカン)/h)]とした。反応器出口を冷却し、液体成分をサンプリングし、気体成分はガスバッグにてそれぞれ全量捕集した。液体成分及びガス成分をガスクロマトグラフにより分析した。
転化率及び各成分の収率を表2に示す。
[比較例1]
塩化白金酸を蒸留水に溶解させた塩化白金酸溶液を細孔充填法で上述のゼオライトAに含浸した。含浸体を減圧乾燥し、さらに常圧、110℃で3時間乾燥させ、その後空気雰囲気下、550℃で3時間焼成を行い、プロトン型のMFI型ゼオライトAに白金が担持された触媒Cを得た。触媒CのPt分析結果、酸特性分析結果を表2に示す。
内径1/2インチの石英反応管に後述のW/Fとなるように所定量の触媒Cを充填し、水素流通下、450℃で1時間の条件で水素還元前処理を行った。長鎖直鎖パラフィンのモデル原料として、n−ドデカンを1.6mL/hで、水素及び同伴ガスの窒素を計43mL/minで反応管に供給した。反応管に供給されるn−ドデカンの分圧は7kPa、水素分圧は63kPaであった(すなわち、水素/原料=9)。反応温度は200℃とし、W/Fは0.8[(g−触媒)/(g−原料(n−ドデカン)/h)]とした。反応器出口を冷却し、液体成分をサンプリングし、気体成分はガスバッグにてそれぞれ全量捕集した。液体成分及びガス成分をガスクロマトグラフにより分析した。
転化率及び各成分の収率を表2に示す。
[比較例2]
反応温度を225℃とした以外は、比較例1と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
W/F=0.2となるように触媒Cの充填量を変更し、反応温度を250℃とした以外は、比較例1と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例8]
塩化白金酸を蒸留水に溶解させた塩化白金酸溶液を細孔充填法で上述のMFI型ゼオライトAに含浸した。含浸体を減圧乾燥し、さらに常圧、110℃で3時間乾燥させ、その後空気雰囲気下、550℃で12時間焼成を行い、Pt/MFI型ゼオライトAを得た。なお、上記焼成によって、アンモニウム型のMFI型ゼオライトAはプロトン型のMFI型ゼオライトAに変換された。
硝酸マグネシウム6水和物を蒸留水に溶解させた硝酸マグネシウム溶液を細孔充填法で上述のPt/MFI型ゼオライトAに含浸した。含浸体を減圧乾燥し、さらに常圧、110℃で3時間乾燥させ、その後空気雰囲気下、550℃で12時間焼成を行い、プロトン型のMFI型ゼオライトAに酸化マグネシウム及び白金が担持された触媒Eを得た。触媒Eの酸特性分析結果を表2に示す。
内径9mm石英反応管に後述のW/Fとなるように所定量の触媒Eを充填し、水素流通下、450℃で1時間の条件で水素還元前処理を行った。長鎖直鎖パラフィンのモデル原料として、n−ドデカンを1.6mL/hで、水素及び同伴ガスの窒素を計43mL/minで反応管に供給した。反応管に供給されるn−ドデカンの分圧は7kPa、水素分圧は63kPaであった(すなわち、水素/原料=9)。反応温度は250℃とし、W/Fは0.6[(g−触媒)/(g−原料(n−ドデカン)/h)]とした。反応器出口を冷却し、液体成分をサンプリングし、気体成分はガスバッグにてそれぞれ全量捕集した。液体成分及びガス成分をガスクロマトグラフにより分析した。
[実施例9]
硝酸マグネシウム6水和物を蒸留水に溶解させた硝酸マグネシウム溶液を細孔充填法で上述のMFI型ゼオライトAに含浸した。含浸体を減圧乾燥し、さらに常圧、110℃で3時間乾燥させ、その後空気雰囲気下、550℃で12時間焼成を行い、Mg/MFI型ゼオライトAを得た。なお、上記焼成によって、アンモニウム型のMFI型ゼオライトAはプロトン型のMFI型ゼオライトAに変換された。
塩化白金酸を蒸留水に溶解させた塩化白金酸溶液を細孔充填法で上述のMg/MFI型ゼオライトAに含浸した。含浸体を減圧乾燥し、さらに常圧、110℃で3時間乾燥させ、その後空気雰囲気下、550℃で12時間焼成を行い、プロトン型のMFI型ゼオライトAに酸化マグネシウム及び白金が担持された触媒Fを得た。触媒Fの酸特性分析結果を表2に示す。
内径9mm石英反応管に後述のW/Fとなるように所定量の触媒Fを充填し、水素流通下、450℃で1時間の条件で水素還元前処理を行った。長鎖直鎖パラフィンのモデル原料として、n−ドデカンを1.6mL/hで、水素及び同伴ガスの窒素を計43mL/minで反応管に供給した。反応管に供給されるn−ドデカンの分圧は7kPa、水素分圧は63kPaであった(すなわち、水素/原料=9)。反応温度は250℃とし、W/Fは0.6[(g−触媒)/(g−原料(n−ドデカン)/h)]とした。反応器出口を冷却し、液体成分をサンプリングし、気体成分はガスバッグにてそれぞれ全量捕集した。液体成分及びガス成分をガスクロマトグラフにより分析した。
[実施例10]
酸化マグネシウムの担持量を0.3質量%とした以外は、実施例8と同様にしてプロトン型のMFI型ゼオライトAに酸化マグネシウム及び白金が担持された触媒Gを得、得られた触媒Gを用いて実施例8と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
[実施例11]
酸化マグネシウムの担持量を0.3質量%とした以外は、実施例9と同様にしてプロトン型のMFI型ゼオライトAに酸化マグネシウム及び白金が担持された触媒Hを得、得られた触媒Hを用いて実施例9と同様にn−ドデカンの水素化異性化反応を行った。結果を表2に示す。
Figure 2021070022
アルカリ土類金属を含まない比較例1〜3では、反応温度が高くなるにつれ、転化率は向上したものの、それに伴い過剰な水素化分解反応が進行し、炭素数が1〜6のパラフィン収率が高くなり、目的とするiso−C7、iso−C8、iso−C9の収率の合計は反応温度225℃で頭打ちとなった。特に、(iso−C7+iso−C8+iso−C9)/(C1〜C6)が反応温度225℃以上では極めて低く、分解反応が優勢に進行していることがわかる。
アルカリ土類金属を含む実施例1〜3では、反応温度を高くするにつれ、転化率が向上し、それに伴い目的とするiso−C7、iso−C8、iso−C9の収率の合計も向上し、反応温度250℃で19.8%となった。反応温度が高くなっても(iso−C7+iso−C8+iso−C9)/(C1〜C6)の低下が小さく、分解反応が抑制されていることがわかる。
W/Fを下げて反応を行った実施例4、5においてもiso−C7、iso−C8、iso−C9の生成が確認された。また、実施例6のMFI型ゼオライトBを用いて製造した触媒Bに比べ、平均粒子径が小さく、外表面積に対する比表面積の割合が大きい実施例4のMFI型ゼオライトAを用いて製造した触媒Aの方が、転化率が高く、かつiso−C7、iso−C8、iso−C9の収率の合計が高くなることがわかった。さらにアルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で2質量%担持されている実施例7の触媒Dに比べ、アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で1質量%担持されている実施例4の触媒Aの方が、転化率が高く、かつiso−C7、iso−C8、iso−C9の収率の合計が高くなることがわかった。
PtとMgOの担持順序を変えた実施例8と実施例9を比較すると、MgO、Ptの順番で担持した実施例9の方が転化率は高かったものの、iso−C7、iso−C8、iso−C9の収率は低かった。
Pt、MgOの順で担持し、MgOの担持量を変えた実施例8と10を比較すると、MgOが0.3質量%の実施例10の方が転化率、iso−C7、iso−C8、iso−C9の収率ともに高かった。
MgO、Ptの順で担持し、MgOの担持量を変えた実施例9と11を比較すると、転化率はほとんど変わらないものの、MgOが0.3質量%の実施例11の方がiso−C7、iso−C8、iso−C9が極めて高かった。
本発明の水素化異性化触媒を用いることによって、低いW/F条件において、反応温度を高くすることにより、生産効率を高めることが期待される。
本発明は、長鎖直鎖パラフィンを水素化異性化反応することにより目的とする炭素数の分岐パラフィンを収率よく得ることが可能な水素化異性化触媒、前記長鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法、及び前記水素化異性化触媒を用いた分岐パラフィンの製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金又はパラジウムのいずれか一方又は両方が触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%担持されている、長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
  2. 前記MFI型ゼオライトの平均粒子径が2000nm以下である、請求項1に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
  3. 前記MFI型ゼオライトの比表面積に対する外表面積の割合が0.3〜5%である、請求項1又は2に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
  4. 前記アルカリ土類金属が触媒基準、酸化物換算で0.3〜3質量%担持されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒。
  5. MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%、白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
  6. MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.15〜3質量%含有するように担持させ触媒前駆体を得、前記触媒前駆体に白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、請求項5に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
  7. MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.3〜3質量%、白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、請求項4に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
  8. MFI型ゼオライトに、アルカリ土類金属を触媒基準、酸化物換算で0.3〜3質量%含有するように担持させ触媒前駆体を得、前記触媒前駆体に白金及びパラジウムのいずれか一方又は両方を触媒基準、金属換算で0.1〜1質量%、含有するように担持させる、請求項7に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒の製造方法。
  9. 水素の存在下、請求項1〜4のいずれか一項に記載の長鎖直鎖パラフィンの水素化異性化触媒に、長鎖直鎖パラフィンを接触させて、前記長鎖直鎖パラフィンよりも炭素数が少ない分岐パラフィンを得る、分岐パラフィンの製造方法。
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