JP2021066717A - アミノカルボン酸の製造方法およびポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 重合塔に特殊な装置を付加することなく、反応速度を短縮するアミノカルボン酸およびポリアミド樹脂の製造方法を提供する。【解決手段】 アンモニアおよびと水の存在下で、ラクタムを開環させアミノカルボン酸を製造することを特徴とする。【選択図】 なし
Description
本発明は、ラクタムから開環重合によりポリアミド樹脂を製造する際に、アミノカルボン酸を効率よく製造する方法に関する。
ポリアミド6に代表されるラクタムの重合によるポリアミド樹脂は、1930年代に米・独の研究者らによって製造研究がなされて以来、繊維、樹脂、フィルムなどの幅広い分野で工業利用が進んでいる。
ラクタムから開環重合によりポリアミド樹脂を得る一般的な方法は、開始材としての水を共存させたラクタムを加圧系で加熱し、過剰な水を脱水することにより、ポリアミド樹脂を得る方法である。この水を用いた開環重合は、カプロラクタム、ウンデカラクタム、ラウロラクタムを原料として、それぞれポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12を得る方法として工業的に利用されている。
しかし、この重合方法は重合速度が十分に速いとは言えず重合時間が長くなり、このため工業的に大量のポリアミド樹脂を得ようとすると大規模な重合施設が必須となる。
これらの重合速度を向上させ、小型重合塔で効率的に大量のポリアミド樹脂を得るために多くの検討・提案がなされてきた。例えば、重合塔中間部の反応中間体の一部を塔頂部に帰還させる方法が開示されている(特許文献1参照)。その他、カプロラクタムと水を固体酸触媒により処理して得られるアミノカルボン酸混合物からポリアミド6を得る方法が開示されている(特許文献2参照)。いずれの方法もラクタムと水が反応することによって得られるアミノカルボン酸を効率よく得るための方法である。
しかしながら、特許文献1で開示されるように、重合塔に特殊な装置を付加する方法では、プロセスが煩雑になり初期設備投資が大きくなるばかりか、操作が複雑であり故障が多いなどの問題があった。特許文献2の固体酸触媒を用いる方法では、アミノカルボン酸の生成が効率的ではなく、重合時間の短縮が不十分であった。また、市販のアミノカプロン酸を添加する方法でも重合時間を短縮できるが、市販のアミノカルボン酸は極めて高価であるために工業的な規模での生産にはほとんど採用されていないのが現状である。
そこで、本発明は、従来技術の有する上記課題に鑑み、重合塔に特殊な装置を付加することなく、反応速度を短縮することができるアミノカルボン酸およびそれを用いたポリアミド樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ラクタムからポリアミド樹脂を製造する際に、アンモニアと水を共存させることによって、短時間で効率的にラクタムからアミノカルボン酸への開環反応を進行させることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)アンモニアおよび水の存在下で、ラクタムを開環させることを特徴とするアミノカルボン酸の製造方法。
(2)前記ラクタムが、カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタムからなる群から選ばれる(1)に記載のアミノカルボン酸の製造方法。
(3)前記アミノカルボン酸が、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、そのオリゴマーからなる群から選ばれる(1)または(2)に記載のアミノカルボン酸の製造方法。
(4)前記アンモニアを、前記ラクタム100重量部に対し、0.01重量部〜10重量部存在させる(1)から(3)のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法により得られたアミノカルボン酸を開始剤とすることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
(6)(1)から(4)のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法により得られたアミノカルボン酸を、ラクタムに加え開環重合する(5)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(7)前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド11,ポリアミド12からなる群から選ばれる(5)または(6)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)アンモニアおよび水の存在下で、ラクタムを開環させることを特徴とするアミノカルボン酸の製造方法。
(2)前記ラクタムが、カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタムからなる群から選ばれる(1)に記載のアミノカルボン酸の製造方法。
(3)前記アミノカルボン酸が、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、そのオリゴマーからなる群から選ばれる(1)または(2)に記載のアミノカルボン酸の製造方法。
(4)前記アンモニアを、前記ラクタム100重量部に対し、0.01重量部〜10重量部存在させる(1)から(3)のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法により得られたアミノカルボン酸を開始剤とすることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
(6)(1)から(4)のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法により得られたアミノカルボン酸を、ラクタムに加え開環重合する(5)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(7)前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド11,ポリアミド12からなる群から選ばれる(5)または(6)に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
本発明の製造方法により、ラクタムから、開環重合によりポリアミド樹脂を得る際に、重合塔に特殊な装置を付加することなく、反応速度を短縮してアミノカルボン酸を製造することができる。これにより、短時間で効率的に、目的の分子量のポリアミド樹脂を得ることができる。
本発明は、「アンモニアと水存在下で、ラクタムからアミノカルボン酸を製造する方法」と、「アンモニアと水存在下で、ラクタムからアミノカルボン酸を製造し、アミノカルボン酸を開始剤とすることによるポリアミド樹脂の製造方法」からなる。
(1)アミノカルボン酸の製造
本発明に係るアミノカルボン酸の製造方法は、ラクタムに水とアンモニアを作用させることを特徴とする。
アミノカルボン酸を得るための水の量は特に限定されないが、ラクタム100重量部に対して、1重量部から10000重量部が好ましい。10重量部から1000重量部がより好ましい。水の量が1重量部以上の場合、ポリアミド樹脂を重合するために十分な開始剤となるアミノカルボン酸を得ることができる。水の量が10重量部以上の場合、より多くのアミノカルボン酸を得ることができる。水の量が10000重量部以下の場合、ラクタム、アンモニアの濃度が高くなるため、効率よくアミノカルボン酸が得られる。水の量が1000重量部以下の場合、ラクタム、アンモニアの濃度がより高くなるため、より効率よくアミノカルボン酸が得られる。
本発明に係るアミノカルボン酸の製造方法は、ラクタムに水とアンモニアを作用させることを特徴とする。
アミノカルボン酸を得るための水の量は特に限定されないが、ラクタム100重量部に対して、1重量部から10000重量部が好ましい。10重量部から1000重量部がより好ましい。水の量が1重量部以上の場合、ポリアミド樹脂を重合するために十分な開始剤となるアミノカルボン酸を得ることができる。水の量が10重量部以上の場合、より多くのアミノカルボン酸を得ることができる。水の量が10000重量部以下の場合、ラクタム、アンモニアの濃度が高くなるため、効率よくアミノカルボン酸が得られる。水の量が1000重量部以下の場合、ラクタム、アンモニアの濃度がより高くなるため、より効率よくアミノカルボン酸が得られる。
アミノカルボン酸を得るためのアンモニアの量は特に限定されないが、ラクタム100重量部に対して、0.01重量部から10重量部が好ましい。0.1重量部から5重量部がより好ましい。アンモニアの量が0.01重量部以上の場合、ポリアミド樹脂重合を加速させるために必要なアミノカルボン酸の生成量が増加する。アンモニアの量が0.1重量部以上の場合、より多くのアミノカルボン酸が生成する。アンモニアの量が10重量部以下の場合、末端アミド結合を有する副生成物(例えばカプロラクタムを原料とした場合は、6−アミノヘキサンアミド)の生成を抑制することができる。アンモニアの配合方法は、特に限定されない。液化アンモニアから発生するアンモニアガスを用いても、アンモニア水を用いてもよい。
水に対するアンモニアの割合は、水100重量部に対して、0.1重量部から50重量部が好ましい。0.4重量部から5重量部がより好ましい。アンモニアの量が0.1重量部以上の場合、ポリアミド樹脂を重合するために十分な開始剤となるアミノカルボン酸を得ることができる。アンモニアの量が50重量部以下の場合、常温常圧で水に溶解させる事ができるため、取扱が容易となる。
アミノカルボン酸を得るための反応温度は、特に限定されないが、80℃以上300℃以下が好ましい。80℃以上である場合、反応が迅速に進行する。300℃以下の場合、副反応が押さえられる。原料がカプロラクタムの場合は、150℃以上260℃以下が特に好ましい。
本反応では、原料であるラクタムと反応生成物であるアミノカルボン酸の混合物が得られる。アミノカルボン酸は、ラクタムを重合しポリアミド樹脂を製造する開始剤の機能を有する。後述する方法で、ラクタムとアミノカルボン酸の混合物を用いて、ポリアミド樹脂を効率よく製造することができる。ポリアミド樹脂を製造する際、得られたラクタムとアミノカルボン酸の混合物をそのまま用いても良く、必要に応じて、得られたラクタムとアミノカルボン酸の混合物を、ラクタムで希釈し、任意のアミノカルボン酸濃度に調節して、ポリアミド樹脂重合に用いてもよい。また、得られたラクタムとアミノカルボン酸の混合物を脱水濃縮した後、この濃縮物をラクタムに加え、ポリアミド樹脂を重合することができる。得られたラクタムとアミノカルボン酸の混合物中の、ラクタムとアミノカルボン酸の定量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により求めることができる。
(2)ラクタム
原料であるラクタムは、第2級または第3級のアミド結合を有する多員環構造のラクタムを意味する。
ラクタムとしては、5〜20員環のラクタムが好ましく用いられる。例えば第2級のアミド結合を有する多員環構造のラクタムとして、ブチロラクタム、バレロラクタム、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、デカノラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタム等などが挙げられる。第3級のアミド結合を有する多員環構造のラクタムは、第2級のラクタムのアミド結合の窒素にアルキル置換基が導入された化合物が挙げられる。これらのラクタムは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。中でも得られるポリアミド樹脂の機械特性が優れていることから、カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタムが好ましく用いられる。
原料であるラクタムは、第2級または第3級のアミド結合を有する多員環構造のラクタムを意味する。
ラクタムとしては、5〜20員環のラクタムが好ましく用いられる。例えば第2級のアミド結合を有する多員環構造のラクタムとして、ブチロラクタム、バレロラクタム、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、デカノラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタム等などが挙げられる。第3級のアミド結合を有する多員環構造のラクタムは、第2級のラクタムのアミド結合の窒素にアルキル置換基が導入された化合物が挙げられる。これらのラクタムは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。中でも得られるポリアミド樹脂の機械特性が優れていることから、カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタムが好ましく用いられる。
(3)アミノカルボン酸
アミノカルボン酸は、原料であるラクタムのアミド結合が加水分解により開環した化合物、またはそのオリゴマーであり、ラクタムからポリアミド樹脂を重合する開始剤として機能する。アミノカルボン酸として、好ましくは6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、そのオリゴマーからなる群から選ばれる。例えば、カプロラクタムを原料とした場合のアミノカルボン酸は、6―アミノカプロン酸、またはそのオリゴマーである。6−アミノカプロン酸のオリゴマーの例として、6−(6−アミノヘキサンアミド)ヘキサン酸、6−(6−(6−アミノヘキサンアミド)ヘキサンアミド)ヘキサン酸などがあげられる。
アミノカルボン酸は、原料であるラクタムのアミド結合が加水分解により開環した化合物、またはそのオリゴマーであり、ラクタムからポリアミド樹脂を重合する開始剤として機能する。アミノカルボン酸として、好ましくは6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、そのオリゴマーからなる群から選ばれる。例えば、カプロラクタムを原料とした場合のアミノカルボン酸は、6―アミノカプロン酸、またはそのオリゴマーである。6−アミノカプロン酸のオリゴマーの例として、6−(6−アミノヘキサンアミド)ヘキサン酸、6−(6−(6−アミノヘキサンアミド)ヘキサンアミド)ヘキサン酸などがあげられる。
(4)ポリアミド樹脂の製造
本発明に係るポリアミド樹脂の製造方法は、ラクタムを水とアンモニア共存下で開環させアミノカルボン酸を調製し、加熱下で過剰な水を脱水させながら重合反応を行い、ポリアミド樹脂を得ることができる。あるいは、ラクタムに水とアンモニアを作用させる事で得られるアミノカルボン酸を開始剤とし、任意の割合でラクタムと混合し、加熱下で重合反応を行うことで得られる。また、ラクタムを水とアンモニア共存下で開環させ、得られたラクタムとアミノカルボン酸の混合物を脱水濃縮した後、この濃縮物をラクタムに加え、ポリアミド樹脂を製造することができる。この重合は水が不要であり、脱水操作の必要がない。さらに、ラクタムを水とアンモニア共存下で加熱し、過剰な水を脱水させながら重合反応を行うことでポリアミド樹脂を得ることができる。
本発明に係るポリアミド樹脂の製造方法は、ラクタムを水とアンモニア共存下で開環させアミノカルボン酸を調製し、加熱下で過剰な水を脱水させながら重合反応を行い、ポリアミド樹脂を得ることができる。あるいは、ラクタムに水とアンモニアを作用させる事で得られるアミノカルボン酸を開始剤とし、任意の割合でラクタムと混合し、加熱下で重合反応を行うことで得られる。また、ラクタムを水とアンモニア共存下で開環させ、得られたラクタムとアミノカルボン酸の混合物を脱水濃縮した後、この濃縮物をラクタムに加え、ポリアミド樹脂を製造することができる。この重合は水が不要であり、脱水操作の必要がない。さらに、ラクタムを水とアンモニア共存下で加熱し、過剰な水を脱水させながら重合反応を行うことでポリアミド樹脂を得ることができる。
ラクタムを水とアンモニア共存下で加熱し、過剰な水を脱水させながら重合反応を行うことでポリアミド樹脂を得る場合、水の量は特に限定されないが、ラクタム100重量部に対して、1重量部から10000重量部が好ましい。5重量部から50重量部がより好ましい。10重量部から15重量部が特に好ましい。水の量が1重量部以上の場合、アミノカルボン酸が効率よく得られるため、ポリアミド樹脂を短時間で得ることができる。水の量が10重量部以上の場合、アミノカルボン酸がより効率よく得られるため、ポリアミド樹脂をより短時間で得ることができる。水の量が10000重量部以下の場合、ラクタム、アンモニアの濃度が高くなるため、効率よくアミノカルボン酸が得られる。水の量が50重量部以下の場合、速やかに脱水工程を完了できるため、工業的に望ましい。水の量が15重量部以下の場合、より速やかに脱水工程を完了できるため、工業的に望ましい。
ラクタムを水とアンモニア共存下で加熱し、過剰な水を脱水させながら重合反応を行うことでポリアミド樹脂を得る場合、アンモニアの量は特に限定されないが、ラクタム100重量部に対して、0.01重量部から10重量部が好ましい。0.1重量部から1重量部がより好ましい。アンモニアの量が0.01重量部以上の場合、ポリアミド樹脂を効率よく得ることができる。アンモニアの量が0.1重量部以上の場合、ポリアミド樹脂をより効率よく得ることができる。アンモニアの量が10重量部以下の場合、アミド結合を有する副生成物(例えばカプロラクタムを原料とした場合は、6−アミノヘキサンアミド)を抑制することができる。アンモニアの配合方法は、特に限定されない。液化アンモニアから発生するアンモニアガスを用いても、アンモニア水を配合してもよい。
ラクタムを水とアンモニア共存下で加熱し、過剰な水を脱水させながら重合反応を行うことでポリアミド樹脂を得る場合、水に対するアンモニアの割合は、水100重量部に対して、1重量部から50重量部が好ましい。アンモニアの量が1重量部以上の場合、ポリアミド樹脂を重合するために十分な開始剤となるアミノカルボン酸を得ることができる。アンモニアの量が50重量部以下の場合、常温常圧で水に溶解させる事ができるため、取扱が容易となる。
ラクタムを水とアンモニア共存下で加熱し、過剰な水を脱水させながら重合反応を行うことでポリアミド樹脂を得る場合、ポリアミド樹脂を得るための重合反応温度は、特に限定されないが、150℃以上300℃以下が好ましい。150℃以上である場合、重合反応が迅速に進行する。300℃以下の場合、副反応が押さえられる。原料がカプロラクタムの場合は、150℃以上260℃以下が特に好ましい。ここで過剰な水を除く際に、同時にアンモニアも除かれる。除かれたアンモニアは回収して再利用しても良い。
ラクタムに水とアンモニアを作用させる事で得られるアミノカルボン酸を開始剤とし、任意の割合でラクタムと混合し、加熱脱水反応を行うことでポリアミド樹脂を得る場合、ラクタムとアミノカルボン酸の割合は、ラクタム100重量部に対して、アミノカルボン酸が1重量部から10重量部となるように混合するのが良い。1重量部以上である場合、重合反応が迅速に進行する。10重量部以下の場合、高分子量のポリアミド樹脂が得られる。この時用いるアミノカルボン酸は、水溶液の状態であっても濃縮物であっても良い。
重合の進行度は得られたポリアミド樹脂に含まれるラクタム量を測定することで判断できる。ラクタム残存量が少ないほど、反応が進行していると見なすことができる。ポリアミド樹脂中に含まれるラクタム残存量はNMRにて求めることができる。
カプロラクタムから得られるポリアミド6の場合は、重合完結後のポリアミド6中であっても、樹脂100重量部に対して5重量部から10重量部のカプロラクタムが必ず残存する。これはカプロラクタムとポリアミド6が重合温度条件において、平衡であるためである。なお、工業的にはポリアミド6に含まれるカプロラクタムを温水抽出により除いて、ポリアミド6の純度を高くすることができる。
アミノカルボン酸を開始剤とし、ラクタムを重合するための重合反応温度は、特に限定されないが、150℃以上300℃以下が好ましい。150℃以上である場合、重合反応が迅速に進行する。300℃以下の場合、副反応が押さえられる。原料がカプロラクタムの場合は、150℃以上260℃以下が特に好ましい。
(5)ポリアミド樹脂
本発明の実施形態により得られるポリアミド樹脂の数平均分子量は、25000〜500000であることが好ましく、33000〜200000であることがより好ましい。数平均分子量が25000以上の場合は、ポリマーとしての機械的強度が向上する。一方、数平均分子量が500000以下の場合は、溶融状態のポリマー粘度が高くなり過ぎないため、取扱に優れる。なお、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求めることができる。
本発明の実施形態により得られるポリアミド樹脂の数平均分子量は、25000〜500000であることが好ましく、33000〜200000であることがより好ましい。数平均分子量が25000以上の場合は、ポリマーとしての機械的強度が向上する。一方、数平均分子量が500000以下の場合は、溶融状態のポリマー粘度が高くなり過ぎないため、取扱に優れる。なお、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例において用いた試薬は以下のとおりである。
・宇部興産社製カプロラクタム
・東京化成工業社製アンモニア水
実施例において用いた試薬は以下のとおりである。
・宇部興産社製カプロラクタム
・東京化成工業社製アンモニア水
反応水溶液から、ラクタムとアミノカルボン酸の定量は、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により算出した。
HPLC装置:Prominence(島津製作所社製)
カラム:Synergi hydro−RP(Phenomenex社製)、長さ250mm、内径4.60mm、粒径4μm
移動相:0.1重量%リン酸水溶液/アセトニトリル=95/5(体積比)
流速:1.0mL/min
検出:UV(210nm)
カラム温度:40℃。
HPLC装置:Prominence(島津製作所社製)
カラム:Synergi hydro−RP(Phenomenex社製)、長さ250mm、内径4.60mm、粒径4μm
移動相:0.1重量%リン酸水溶液/アセトニトリル=95/5(体積比)
流速:1.0mL/min
検出:UV(210nm)
カラム温度:40℃。
ポリアミド樹脂の数平均分子量は、以下に示す条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出した。
ポンプ:Waters 515(Waters社製)
検出器:示差屈折率計 Waters 410(Waters社製)
カラム:Shodex HFIP−806M(2本)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:1.0ml/min
試料注入量:0.1ml
カラム温度:30℃
分子量校正:ポリメチルメタクリレート
ポンプ:Waters 515(Waters社製)
検出器:示差屈折率計 Waters 410(Waters社製)
カラム:Shodex HFIP−806M(2本)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:1.0ml/min
試料注入量:0.1ml
カラム温度:30℃
分子量校正:ポリメチルメタクリレート
ポリアミド樹脂中に含有するカプロラクタムの定量は、日本電子社製400MHz核磁気共鳴装置(NMR)にて、重ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いたH−NMRにより算出した。
実施例1
内容量0.2Lのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業株式会社製)にカプロラクタム50g、1.5重量%アンモニア水100g(アンモニア重量1.5g)を加え、オートクレーブ内を窒素で置換した後、オートクレーブ内の温度を200℃に昇温した。15分200℃で保持した後、室温まで放冷し、反応溶液を回収した。エバポレータにて脱水濃縮した後、濃縮物をHPLCにより分析し、カプロラクタム残量とアミノカプロン酸生成量を算出した結果を表1に示す。
内容量0.2Lのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業株式会社製)にカプロラクタム50g、1.5重量%アンモニア水100g(アンモニア重量1.5g)を加え、オートクレーブ内を窒素で置換した後、オートクレーブ内の温度を200℃に昇温した。15分200℃で保持した後、室温まで放冷し、反応溶液を回収した。エバポレータにて脱水濃縮した後、濃縮物をHPLCにより分析し、カプロラクタム残量とアミノカプロン酸生成量を算出した結果を表1に示す。
比較例1
1.5重量%アンモニア水100gを、水100gに変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。
1.5重量%アンモニア水100gを、水100gに変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。
実施例2
内容量0.2Lのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業株式会社製)にカプロラクタム50g、1.5重量%アンモニア水6.5g(アンモニア重量97.5mg)を加え、オートクレーブ内を窒素で置換した後、オートクレーブ内の温度を200℃に昇温した。15分200℃で保持した後、60分かけて260℃まで昇温、その間60分かけて放圧して水を除去した。260℃到達後、窒素フロー下で30分保持した後、室温まで放冷し、得られたポリアミド6を回収した。得られたポリマーの数平均分子量分子量と、ポリマー中に含まれるカプロラクタム残量を分析した結果を表2に示す。
内容量0.2Lのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業株式会社製)にカプロラクタム50g、1.5重量%アンモニア水6.5g(アンモニア重量97.5mg)を加え、オートクレーブ内を窒素で置換した後、オートクレーブ内の温度を200℃に昇温した。15分200℃で保持した後、60分かけて260℃まで昇温、その間60分かけて放圧して水を除去した。260℃到達後、窒素フロー下で30分保持した後、室温まで放冷し、得られたポリアミド6を回収した。得られたポリマーの数平均分子量分子量と、ポリマー中に含まれるカプロラクタム残量を分析した結果を表2に示す。
実施例3
1.5重量%アンモニア水を、1.0重量%アンモニア水6.5g(アンモニア重量65mg)に変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。
1.5重量%アンモニア水を、1.0重量%アンモニア水6.5g(アンモニア重量65mg)に変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。
実施例4
1.5重量%アンモニア水を、0.5重量%アンモニア水6.5g(アンモニア重量32.5mg)に変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。
1.5重量%アンモニア水を、0.5重量%アンモニア水6.5g(アンモニア重量32.5mg)に変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。
比較例2
1.5重量%アンモニア水を、水6.5gに変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。
1.5重量%アンモニア水を、水6.5gに変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。
実施例5
内容量0.2Lのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業株式会社製)にカプロラクタム48g、実施例1で得られた反応液の濃縮物2gを加え、オートクレーブ内を窒素フローしながら60分かけて260℃まで昇温した。260℃到達後、窒素フロー下で30分保持した後、室温まで放冷し、得られたポリアミド6を回収した。得られたポリマーの数平均分子量分子量は35000、ポリマー中に含まれるカプロラクタム残量は9.0重量%であった。
内容量0.2Lのステンレス製オートクレーブ(耐圧硝子工業株式会社製)にカプロラクタム48g、実施例1で得られた反応液の濃縮物2gを加え、オートクレーブ内を窒素フローしながら60分かけて260℃まで昇温した。260℃到達後、窒素フロー下で30分保持した後、室温まで放冷し、得られたポリアミド6を回収した。得られたポリマーの数平均分子量分子量は35000、ポリマー中に含まれるカプロラクタム残量は9.0重量%であった。
Claims (7)
- アンモニアおよび水の存在下で、ラクタムを開環させることを特徴とするアミノカルボン酸の製造方法。
- 前記ラクタムが、カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタムからなる群から選ばれる請求請1に記載のアミノカルボン酸の製造方法。
- 前記アミノカルボン酸が、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、そのオリゴマーからなる群から選ばれる請求請1または2に記載のアミノカルボン酸の製造方法。
- 前記アンモニアを、前記ラクタム100重量部に対し、0.01重量部〜10重量部存在させる請求請1から3のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法。
- 請求請1から4のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法により得られたアミノカルボン酸を開始剤とすることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
- 請求請1から4のいずれかに記載のアミノカルボン酸の製造方法により得られたアミノカルボン酸を、ラクタムに加え開環重合する請求請5に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド11,ポリアミド12からなる群から選ばれる請求請5または6に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
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JP2019195599A JP2021066717A (ja) | 2019-10-28 | 2019-10-28 | アミノカルボン酸の製造方法およびポリアミド樹脂の製造方法 |
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2019
- 2019-10-28 JP JP2019195599A patent/JP2021066717A/ja active Pending
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