JP2021063473A - モータポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で、モータ固定子を効率よく冷却することができるモータポンプを提供する。【解決手段】本発明のモータポンプは、磁石5が埋設される羽根車1と、磁石5に対向する位置に配置されるモータ固定子6と、取扱液の吸込口4aを有する吸込ケーシング4と、羽根車1を収容するポンプケーシング2と、モータ固定子6を収容するモータ室33を有するモータケーシング3と、を備える。モータケーシング3は、吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33に流入させるための少なくとも1つの入口孔37を有している。【選択図】図3
Description
本発明は、モータポンプに関し、特に、モータ固定子を取扱液で冷却するモータポンプに関する。
永久磁石が埋設された羽根車を、モータ固定子が発生する磁界により回転させるモータポンプが知られている。例えば、モータポンプは、半導体製造装置などの外部装置を冷却または温度調整するために使用される取扱液(熱媒体)を、該取扱液が貯留されるタンクと外部装置の熱交換部との間で循環させるために用いられる。このようなモータポンプは、タンクと熱交換部との間で取扱液を循環させる循環ラインに配置される。
モータポンプの取扱液として、例えば、フッ素系の絶縁性液体が使用されることがある。この場合、以下の理由により、取扱液を循環させるモータポンプとして、液体の漏洩を起こさないキャンドモータポンプ(以下、単に「モータポンプ」と称する)が使用されることがある。
i)取扱液自体が高価である。
ii)工場(例えば、半導体製造工場)には製造プロセスで使用される有毒なガスを検知するためのガス検知器が設置されていることがあり、取扱液の漏洩が発生するとガス検知器を誤検知させてしまうことがある。
i)取扱液自体が高価である。
ii)工場(例えば、半導体製造工場)には製造プロセスで使用される有毒なガスを検知するためのガス検知器が設置されていることがあり、取扱液の漏洩が発生するとガス検知器を誤検知させてしまうことがある。
モータポンプを運転するとモータ固定子が発熱し、モータ固定子の過度の発熱は、該モータ固定子の劣化や破損につながる。さらに、循環ラインを流れる取扱液の温度が高い場合(すなわち、モータポンプに吸い込まれる取扱液の温度が高い場合)は、モータ固定子の温度が上昇しやすく、かつモータ固定子の冷却が困難なことが多い。そのため、モータ固定子の温度の上昇を抑制するために、冷却フィンなどの放熱部材、および/または冷却流体を供給する冷却装置(例えば、冷却ファン)をモータポンプに設ける場合もある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、放熱部材および/または冷却装置をモータポンプに設けると、該モータポンプの構成が複雑となり、モータポンプの大型化や製造コストの上昇につながる。放熱部材および/または冷却装置を省略すると、モータポンプに流入する取扱液の温度に上限値を設ける必要があり、その結果、モータポンプの運転範囲が制限されてしまう。
そこで、本発明は、簡易な構成で、モータ固定子を効率よく冷却することができるモータポンプを提供することを目的とする。
一態様では、取扱液を移送するモータポンプであって、磁石が埋設される羽根車と、前記磁石に対向する位置に配置されるモータ固定子と、前記取扱液の吸込口を有する吸込ケーシングと、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、前記モータ固定子を収容するモータ室を有するモータケーシングと、を備え、前記モータケーシングは、前記吸込口から吸い込まれた取扱液を前記モータ室に流入させるための少なくとも1つの入口孔を有していることを特徴とするモータポンプが提供される。
一態様では、前記吸込ケーシングは、前記モータケーシングに連結されており、前記モータケーシングは、前記吸込ケーシングと前記ポンプケーシングとに挟まれている。
一態様では、前記吸込ケーシングには、前記吸込口を通過した前記取扱液が前記入口孔を通過するように案内する案内部材が配置されている。
一態様では、前記吸込ケーシングには、前記吸込口を通過した前記取扱液が前記入口孔を通過するように案内する案内部材が配置されている。
一態様では、前記吸込ケーシングは、前記ポンプケーシングに連結されており、前記ポンプケーシングは、前記吸込ケーシングと前記モータケーシングとに挟まれている。
一態様では、前記モータケーシングは、前記入口孔を介して前記モータ室に流入させた取扱液によって、前記モータ室内の取扱液を排出させるための少なくとも1つの出口孔を有している。
一態様では、前記モータポンプは、前記モータ固定子の温度を測定する温度センサをさらに有している。
一態様では、前記取扱液は絶縁性を有している。
一態様では、前記モータケーシングは、前記入口孔を介して前記モータ室に流入させた取扱液によって、前記モータ室内の取扱液を排出させるための少なくとも1つの出口孔を有している。
一態様では、前記モータポンプは、前記モータ固定子の温度を測定する温度センサをさらに有している。
一態様では、前記取扱液は絶縁性を有している。
本発明によれば、入口孔から流入した取扱液で、モータ室が満たされる。モータ室を満たした取扱液は、モータポンプ内を流れる取扱液と熱交換を行うことができる。すなわち、モータ室に配置されたモータ固定子で発生した熱は、該モータ室を満たしている取扱液を介して、モータポンプ内を流れるより低温の取扱液に伝達され、モータポンプから該取扱液とともに排出される。したがって、取扱液がモータ室に流入する入口孔をポンプケーシングに設けるだけで、モータポンプを効率よく冷却することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係るモータポンプを示す概略断面図である。図1に示すモータポンプの取扱液は、絶縁性を有する液体であり、例えば、フッ素系の絶縁性液体である。
図1は、一実施形態に係るモータポンプを示す概略断面図である。図1に示すモータポンプの取扱液は、絶縁性を有する液体であり、例えば、フッ素系の絶縁性液体である。
モータポンプは、環状の永久磁石5が埋設された羽根車1と、永久磁石5に作用する磁力を発生するモータ固定子6と、羽根車1を収容するポンプケーシング2と、モータ固定子6を収容するモータ室33を有するモータケーシング3と、吸込口4aを有する吸込ケーシング4と、羽根車1のラジアル荷重およびスラスト荷重を支持する軸受10とを備えている。
本実施形態では、モータケーシング3は、吸込ケーシング4とポンプケーシング2とに挟まれている。より具体的には、吸込ケーシング4は、モータケーシング3の入口側に連結され、ポンプケーシング2は、モータケーシング3の出口側に連結されている。吸込ケーシング4は、モータケーシング3の上側に配置されており、ポンプケーシング2は、モータケーシング3の下側に配置されている。吸込ケーシング4、モータケーシング3、およびポンプケーシング2は、この順に配列されており、この状態で、吸込ケーシング4、モータケーシング3、およびポンプケーシング2は、複数の連結ボルト(図示せず)によって一体に連結されている。吸込ケーシング4は、上方向に開口する吸込口4aと、吸込口4aに接続されるケーシング本体4bとを有しており、この吸込口4aは、図示しない取扱液の入口ラインに接続される。入口ラインは、例えば、半導体製造装置などの外部装置の熱交換部とタンクとの間で取扱液を循環させる循環ラインの一部であり、該熱交換部からモータポンプまで延びるラインである。本実施形態では、吸込口4aは、吸込ケーシング4の中央に配置されている。具体的には、吸込口4aの中心は、吸込ケーシング4の中心軸線上にある。一実施形態では、吸込口4aをケーシング本体4bと一体に形成してもよい。
なお、図1では、説明の便宜上、吸込ケーシング4、モータケーシング3、およびポンプケーシング2がこの順に鉛直方向に配列され、吸込ケーシング4の吸込口4aが上向きに開口しているモータポンプの例を示している。すなわち、図1では、縦向きに配置されたモータポンプの例が示されている。しかしながら、本実施形態は、この例に限定されない。例えば、吸込ケーシング4、モータケーシング3、およびポンプケーシング2を、この順に水平方向に配列してもよい。この場合、モータポンプは横向きに配置されており、吸込ケーシング4の吸込口4aは横方向に開口する。あるいは、吸込ケーシング4、モータケーシング3、およびポンプケーシング2がこの順に配列されたモータポンプを、水平方向または鉛直方向に対して斜めに配置してもよい(すなわち、モータポンプは斜めに配置される)。この場合、吸込ケーシング4の吸込口4aは、水平方向または鉛直方向に対して斜めに開口する。さらに、一実施形態では、吸込口4aは、その中心が吸込ケーシング4の中心軸線からずれていてもよい。
吸込ケーシング4とモータケーシング3との間には、シール部材としてOリング13が設けられており、ポンプケーシング2とモータケーシング3との間にはシール部材としてのOリング9が設けられている。羽根車1とモータケーシング3とは微小な隙間を介して対向しており、羽根車1は、モータ固定子6により発生される回転磁界が永久磁石5に作用することによって回転する。羽根車1とモータケーシング3との隙間の大きさは、モータ固定子6により発生される回転磁界によって羽根車1が回転可能である限り任意である。しかしながら、この隙間の大きさは、羽根車1とモータケーシング3とが互いに接触しない程度にできるだけ小さいことが好ましい。例えば、羽根車1とモータケーシング3との隙間の大きさは、0.5mm〜1mmの範囲内にある。
モータ固定子6および軸受10は、羽根車1の吸込側に配置されており、羽根車1は単一の軸受10によって回転自在に支持されている。本実施形態では、この軸受10は取扱液の動圧を利用したすべり軸受(動圧軸受)である。一実施形態では、軸受10は取扱液の動圧を利用しないすべり軸受であってもよい。
図1に示す軸受10は、互いに緩やかに係合する回転側軸受要素11と固定側軸受要素12の組み合わせから構成される。回転側軸受要素11は、羽根車1に固定されており、羽根車1の液体入口を囲むように配置されている。固定側軸受要素12はモータケーシング3に固定されており、回転側軸受要素11の吸込側に配置されている。この固定側軸受要素12は、羽根車1のラジアル荷重を支持するラジアル面12aと、羽根車1のスラスト荷重を支持するスラスト面12bとを有している。ラジアル面12aは羽根車1の軸心と平行であり、スラスト面12bは羽根車1の軸心に対して垂直である。
回転側軸受要素11は環形状を有しており、回転側軸受要素11の内周面が固定側軸受要素12のラジアル面12aに対向し、回転側軸受要素11の側面が固定側軸受要素12のスラスト面12bに対向している。回転側軸受要素11の内周面とラジアル面12aとの間、および回転側軸受要素11の側面とスラスト面12bとの間には微小な隙間が形成されている。また、回転側軸受要素11の内周面および側面には、動圧を発生させるための図示しないスパイラル溝が形成されている。
羽根車1から吐き出された取扱液の一部は、羽根車1とモータケーシング3との間の微小な隙間を通って軸受10に導かれる。回転側軸受要素11が羽根車1とともに回転すると、回転側軸受要素11と固定側軸受要素12との間に取扱液の動圧が発生し、これにより羽根車1が軸受10によって非接触に支持される。固定側軸受要素12は、直交するラジアル面12aおよびスラスト面12bにより回転側軸受要素11を支持しているので、羽根車1の傾動は軸受10により規制される。軸受10(回転側軸受要素11および固定側軸受要素12)は、例えば、セラミックまたはカーボンなどの耐摩耗性に優れた材料から形成されている。
図1に示す吸込ケーシング4は、取扱液の流れ方向を変更して、取扱液が後述する開口孔37(の近傍)を通過するように案内する案内部材15を有している。図2は、図1に示す案内部材15の概略平面図である。図1および図2に示すように、案内部材15は、円盤状の本体15aと、本体15aを貫通して該本体15aの上面および下面から突出する複数の(図2では、4つの)支柱15bと、を有する。図2では、支柱15bにハッチングを付している。吸込ケーシング4をモータケーシング3に連結すると、支柱15bは、吸込ケーシング4の上壁の内面とモータケーシング3の上面とに挟まれ、吸込ケーシング4内での案内部材15の位置が固定される。案内部材15の本体15aの中心は、吸込ケーシング4の中心軸線上にある。
案内部材15によって、吸込口4aから吸込ケーシング4に吸い込まれた取扱液は、案内部材15の一方の面(上面)上を吸込ケーシング4の半径方向外側に向かって流れ、ケーシング本体4bの側壁の内面に衝突する。そして、取扱液は、案内部材15の他方の面(下面)に回り込んで、吸込ケーシング4の半径方向内側に向かって流れる。すなわち、案内部材15によって、吸込ケーシング4の半径方向外側に放射状に広がり、次いで、吸込ケーシング4の半径方向内側に収束する取扱液の流路4c(図1の白抜き矢印参照)が形成される。この流路4cは、ケーシング本体4bに形成されており、吸込口4aから延びて、モータケーシング3に形成された流路3a(後述する)に接続される。
モータケーシング3、および軸受10の中心部には、それぞれ液体流路3a,10aが形成されている。これら液体流路3a,10aは一列に連結される。吸込口4aから吸い込まれて、吸込ケーシング4の流路4cを流れた取扱液は、モータケーシング3の流路3aおよび軸受10の流路10aを直線状に流れて羽根車1の取扱液入口に吸い込まれる。このように、流路4c,3a,10aは、吸込口4aから羽根車1の液体入口まで延びる1つの液体流路を構成する。羽根車1が収容されるポンプケーシング2の側面には、吐出口16aを有する吐出ポート16が設けられており、回転する羽根車1によって昇圧された液体は、吐出口16aを通ってモータポンプから吐き出される。
羽根車1は、絶縁性を有する取扱液(例えば、フッ素系の絶縁性液体)に耐性のある非磁性材料から形成される。さらに、羽根車1は、好ましくは、滑りやすく、かつ摩耗しにくい材料から形成される。このような材料の例としては、テフロン(登録商標)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、およびPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの樹脂や、セラミックが挙げられる。ポンプケーシング2も羽根車1と同じ材料から形成することができる。さらに、モータケーシング3および吸込ケーシング4を、羽根車1と同じ材料から形成してもよい。
図1に示すように、羽根車1には、環状の永久磁石5に隣接して環状のマグネットヨーク(磁性体)19が埋設されている。永久磁石5はマグネットヨーク19の吸込側に配置されている。永久磁石5とモータ固定子6とは互いに対向するように配置され、モータ固定子6は羽根車1の吸込側に配置されている。
なお、図1に示す羽根車1には、環形状を有する1つの永久磁石5が埋設されているが、本実施形態はこの例に限定されない。例えば、羽根車1には、複数の永久磁石5が埋設されていてもよい。この場合、羽根車1に埋設される複数の永久磁石5は環状に配列されており、各永久磁石5は、例えば、扇形の形状を有する。
本実施形態では、モータケーシング3は、環形状のモータ室33を有している。モータ固定子6は、モータ室33に収容される。この状態で、モータ室33は、蓋部材35によって塞がれる。
モータ固定子6は、複数の歯6aを有する固定子コア6Aと、これらの歯6aにそれぞれ巻回された固定子コイル6Bと、を有している。歯6aおよび固定子コイル6Bは環状に配列されており、羽根車1およびモータ固定子6は、軸受10と同心状に配列されている。
固定子コイル6Bには、3本のリード線17が接続されている。リード線17の端部は駆動回路7に接続され、この駆動回路7は、該駆動回路7の動作を制御する制御装置8と、電源9とに接続される。駆動回路7は、例えば、インバータ装置であり、制御装置8は、インバータ装置に配置されたスイッチング素子などを用いて、電源9から各固定子コイル6Bに供給される電流のタイミングを制御する。このような駆動回路7からリード線17を介して固定子コイル6Bに供給された電流によって、モータ固定子6には回転磁界が発生させられる。回転磁界は、羽根車1に埋設された永久磁石5に作用し、これにより、羽根車1が回転する。
羽根車1が回転すると、取扱液は吸込ケーシング4の吸込口4aから流路4c,3a,10aを通って羽根車1の液体入口に導入される。取扱液は羽根車1の回転によって昇圧され、吐出口16aから吐き出される。羽根車1が取扱液を移送している間、羽根車1の背面は昇圧された取扱液によって吸込側に(すなわち吸込口4aに向かって)押圧される。軸受10は、羽根車1の吸込側に配置されているので、羽根車1のスラスト荷重を吸込側から支持する。本実施形態に係る構成によれば、1つの軸受10により羽根車1のラジアル荷重およびスラスト荷重を非接触で支持することができるので、パーティクルを発生させることのないコンパクトなモータポンプを実現することができる。
モータケーシング3を形成する材料は、絶縁性を有する取扱液(例えば、フッ素系の絶縁性液体)に対する耐性を有する限り限定されない。例えば、モータケーシング3を金属材料から形成することができる。しかしながら、モータ固定子6の電気的絶縁を確保し、かつ渦電流の発生を防止する観点から、モータケーシング3は非金属材料から形成されるのが好ましい。モータケーシング3を形成する非金属材料の例としては、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、およびPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの樹脂が挙げられる。上述したように、モータケーシング3を羽根車1と同じ樹脂材料から形成してもよい。樹脂製のモータケーシング3は、固定子コイル6Bがモータケーシング3に接触しても該固定子コイル6Bの電気的絶縁が保たれ、地絡のおそれがないという利点がある。
図3は、図1に示すモータケーシング3の一部を拡大して示す概略断面図である。図3に示すように、モータケーシング3は、内筒30と、該内筒30の半径方向外側に配置される外筒31と、内筒30および外筒31を連結する隔壁32と、を備えている。内筒30は、略円筒形状を有しており、その中心部には上記した流路3aが形成されている。外筒31も略円筒形状を有しており、隔壁32は環形状を有している。この隔壁32は、羽根車1と固定子コイル6Bとの間に位置しており、モータ固定子6が発生する回転磁界は、隔壁32を通って羽根車1の永久磁石5に到達する。
さらに、モータケーシング3は、隔壁32と反対側の端部に形成された環状の開口を塞ぐ蓋部材35と、モータ室33内でのモータ固定子6を位置決めするための固定リング38と、を備えている。モータ固定子6を収容するモータ室33は、内筒30の外周面、外筒31の内周面、隔壁32の表面(上面)、および蓋部材35の表面(下面)によって区画される。
固定リング38は、モータ固定子6の固定子コア6Aに接触しており、モータ固定子6をモータケーシング3の隔壁32に対して押圧している。したがって、固定リング38は、モータ室33におけるモータ固定子6の位置を固定する固定部材として機能する。
蓋部材35は、環形状を有している。蓋部材35の内周面は、固定リング38の外周面に接触し、蓋部材35の外周面は、外筒31の内周面に接触する。この状態で、蓋部材35および固定リング38は、図示しない固定具を用いてモータケーシング3に固定される。蓋部材35および固定リング38をモータケーシング3から取り外すと、モータ固定子6にアクセスすることができる。一実施形態では、蓋部材35に、リード線17の結線基板(図示せず)を配置してもよい。この場合、リード線17は、固定子コイル6Bから結線基板を介して、駆動回路7まで延びる。あるいは、環形状を有する結線基板自体を蓋部材35として用いてもよい。
図3に示すように、蓋部材35には、複数の開口孔37が形成されている。開口孔37は、蓋部材35の一方の側面(上面)から他方の側面(下面)まで延びており、これら開口孔37によって、モータ室33が吸込ケーシング4に形成された流路4cと連通する。したがって、吸込ケーシング4の流路4cを流れる取扱液の一部は、開口孔37を介してモータ室33に流入し、該モータ室33を満たす。すなわち、開口孔37は、吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33に流入させるための入口孔として機能する。モータ固定子6は、流路4cから開口孔(入口孔)37を通ってモータ室33に流入した取扱液に浸漬される。取扱液は、電気絶縁性を有しているため、モータ室33に流入した取扱液によって、固定子コイル6Bがショートすることはない。
モータポンプを運転するために固定子コイル6Bに電流を供給すると、固定子コイル6Bが発熱する。固定子コイル6Bに発生した熱は、モータ室33を満たした取扱液に伝わり、該取扱液の温度を上昇させる。しかしながら、モータポンプの運転中、モータ室33内の取扱液は、常に吸込ケーシング4の流路4cを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行い(図3の黒塗り矢印参照)、これにより、モータ固定子6が冷却される。したがって、開口孔37を蓋部材35に設けるといった簡易な構成で、モータ固定子6を効率的に冷却することができる。その結果、従来のモータポンプで必要とされた冷却装置(例えば、冷却フィンまたは冷却ファン)が不要となるため、モータポンプの大型化および製造コストの上昇を抑制することができる。さらに、モータポンプに流入する取扱液の温度の上限値をあげることができるので、モータポンプの運転範囲を拡大することができる。
なお、図3に示す蓋部材35は、開口孔37を除いて、隔壁32と反対側の端部に形成された環状の開口を完全に塞いでいるが、本実施形態は、この例に限定されない。すなわち、蓋部材35は、隔壁32と反対側の端部に形成された環状の開口を完全に塞がなくてもよい。例えば、蓋部材35の外周面が外筒31の内周面に接触する一方で、蓋部材35の内周面と固定リング38の外周面との間に隙間があってもよい。あるいは、蓋部材35の内周面が固定リング38の外周面に接触する一方で、蓋部材35の外周面と外筒31の内周面との間に隙間があってもよい。さらに、蓋部材35は、その内周面および/または外周面に形成された1つのまたは複数の切り欠き(図示せず)を有していてもよい。
蓋部材35に形成された開口孔37の数は任意である。例えば、蓋部材35は、1つの開口孔37のみを有していてもよいし、2つ以上の開口孔37を有していてもよい。複数の開口孔37が蓋部材35に形成される場合は、開口孔37を蓋部材35の周方向に沿って等間隔で配置するのが好ましい。一実施形態では、開口孔37の数は固定子コイル6Bの数に一致し、各固定子コイル6Bに対して1つの開口孔37が割り当てられる。
一実施形態では、上述した案内部材15を省略してもよい。この場合、吸込ケーシング4の流路4cを、直線状に形成して、モータケーシング3の流路3aと直線状に連結してもよい。しかしながら、モータポンプの吸込ケーシング4が案内部材15を有するのが好ましい。案内部材15によって、吸込口4aから吸込ケーシング4の流路4cに流入した取扱液は開口孔(入口孔)37に向けて積極的に案内される。したがって、案内部材15によって、開口孔37の上方に常に低温の取扱液の流れが作り出され、これにより、モータ固定子6を効率よく冷却することができる。
図3に示すように、モータポンプは、モータ固定子6の温度を測定する温度センサ18を有していてもよい。温度センサ18は、モータ固定子6に取り付けられており、上記した制御装置8(図1参照)に接続されている。温度センサ18は、その測定値を制御装置8に送り、制御装置8は、この測定値に対するしきい値を予め記憶している。制御装置8は、温度センサ18の測定値がしきい値を超えると、モータポンプの運転を停止して、警報を出力する。一実施形態では、制御装置8は、モータポンプの運転の停止、および警報の出力のいずれか一方のみを行ってもよい。
図1に示すように、吸込ケーシング4の吸込口4aは、モータ固定子6が収容されるモータ室33よりも高い位置に配置される。この場合、吸込口4aから吸い込まれた取扱液を確実にモータ室33に流入させることができる。このような構成により、モータポンプの動作中は、モータ固定子6の固定子コイル6Bを取扱液に浸漬させて直接冷却させる状態を保つことができる。なお、モータポンプが斜めに、または横向きに配置されても、取扱液を開口孔37を介してモータ室33に流入させ、モータ固定子6の固定子コイル6Bを該取扱液に浸漬させることができる。
さらに、駆動回路(例えば、インバータ装置)7の動作を制御する制御装置8に、駆動回路7からモータ固定子6に供給される電流を監視させてもよい。モータポンプ内に取扱液が存在しない状態(以下、「ドライ状態」と称する)で、モータポンプが運転されると、回転側軸受要素11と固定側軸受要素12との間に取扱液が導入されない。結果として、回転側軸受要素11は固定側軸受要素12に摺動し、軸受10に摩擦熱が発生してしまう。このようなドライ状態でモータポンプを運転し続けると、軸受10は、取扱液によって冷却されず、軸受10の温度は上昇し続ける。その結果、軸受10が焼き付きによって破損したり、モータポンプが故障してしまったりするおそれがある。
一方で、ドライ状態でモータポンプが運転されると、モータポンプの動力は減少するので、モータ固定子6に供給される電流が減少する。つまり、ドライ状態では、羽根車1にかかる負荷は最小になるため、電流は最小になる。そこで、制御装置8は、駆動回路7からモータ固定子6に供給する電流を監視し、電流の変化率および/または電流値の変化と所定のしきい値とを比較する。ここで、所定のしきい値とは、以下に示す値(基準値を下回った回数、設定値、規定値、許容値を下回った回数や偏差量など)の総称を意味する。
例えば、制御装置8は、駆動回路7からモータ固定子6に供給する電流を監視して、所定期間当たりの電流の変化率を計算するように構成される。一実施形態では、制御装置8は、所定期間(例えば1ヶ月)毎に、該所定期間当たりの電流の変化率を計算する。
そして、制御装置8は、モータ固定子6に供給される電流に基づいて、電流が異常レベルにあるか否か(すなわち、モータポンプがドライ状態で運転されているか否か)を決定する。電流の異常レベルは、例えば、次のように定義することができる。すなわち、あらかじめ、モータポンプが正常に運転されている時の電流値から得られる値(例えば、平均値)を基準値として設定する。そして、この基準値を用いて供給している電流の変化率を算定する。この変化率の値が所定の回数だけ負の数となったとき、制御装置8は、電流が異常レベルにあると決定する。一実施形態では、電流の変化率が所定の設定値よりも小さくなった場合、制御装置8は、電流が異常レベルにあると決定してもよい。これら基準値および設定値は同じ値であってもよく、または異なる値であってもよい。
他の実施形態では、制御装置8は、モータポンプの運転開始後、所定の時間間隔で、電流値を測定していく。制御装置8は、過去の電流の測定値と現在の電流の測定値との偏差の値が所定の規定値よりも小さくなった場合に、電流が異常レベルにあると決定してもよい。この場合、制御装置8は、電流の変化率ではなく、電流の変化を算定する。電流の変化は上記偏差の値である。さらに他の実施形態では、制御装置8は、この偏差の値が所定の許容値を下回った回数や偏差量に基づいて電流が異常レベルにあるか否かを決定してもよい。これら規定値および許容値は同じ値であってもよく、または異なる値であってもよい。
制御装置8は、電流の変化率および/または電流値の変化が所定のしきい値を超えて減少した場合、駆動回路7へ制御信号を送信し、モータ固定子6への電流の供給を停止させる。これにより、ドライ状態で、すなわち、モータ固定子6の固定子コイル6Bを取扱液によって直接冷却することができない状態で、モータポンプが運転されることを防止することができる。その結果、モータポンプの温度が過大に上昇してしまうことを防止できる。
さらに、図3に示すように、モータポンプは、該モータポンプの振動を検知する振動センサ20を有していてもよい。振動センサ20は、モータポンプの運転時に発生するモータポンプの振動を検出する。振動センサ20は、例えば、振動の振幅(大きさ)、向き、および/または加速度を検出可能なセンサである。本実施形態では、振動センサ20は、モータケーシング3の内筒30に配置されており、上記した制御装置8(図1参照)に接続されている。
モータポンプの運転状態(モータポンプが正常に運転されているか否か)を、運転中のモータポンプに発生する振動に基づいて判断することができる。例えば、羽根車1および/または軸受10に不具合が発生すると、モータポンプに発生する振動の振幅および加速度が大きくなる。そこで、制御装置8は、振動センサ20から送信される振動の測定値(振動の振幅、向き、および/または加速度の測定値)を監視し、振動の変化率と所定のしきい値とを比較する。
例えば、制御装置8は、振動センサ20から送信される振動の測定値を監視して、所定期間当たりの振動の変化率を計算するように構成される。一実施形態では、制御装置8は、所定期間(例えば1ヶ月)毎に、該所定期間当たりの振動の変化率を計算する。
そして、制御装置8は、振動センサ20から送信される振動の測定値に基づいて、モータポンプの運転状態(すなわち、モータポンプが正常に運転されているか否か)を決定する。モータポンプの運転状態の異常は、例えば、次のように定義することができる。すなわち、あらかじめ、モータポンプが正常に運転されている時の振動の測定値から得られる値(例えば、平均値)を基準値として設定する。そして、この基準値を用いて振動の変化率を算定する。この変化率の値が制御装置8に予め記憶された所定のしきい値を越えると、制御装置8は、モータポンプの運転が異常であると決定する。さらに、制御装置8は、モータポンプの運転を停止させ、警報を出力する。一実施形態では、制御装置8は、モータポンプの運転の停止、および警報の出力のいずれか一方のみを行ってもよい。
一実施形態では、蓋部材35を省略してもよい。図4は、図3に示すモータケーシングの変形例を示す概略断面図である。図4に示すモータケーシング3は、蓋部材35が省略されている点で図3に示すモータケーシング3と異なる。
図4に示すモータケーシング3では、モータ固定子6を収容するモータ室33は、内筒30の外周面、外筒31の内周面、および内筒30と外筒31とを連結する隔壁32の表面(上面)によって区画されている。したがって、モータ室33は、隔壁32と反対側の端部に環状の開口37’を有している。本実施形態では、この環状の開口37’が吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33に流入させるための入口孔として機能する。この場合、モータ室33内の取扱液が吸込ケーシング4の流路4cを流れるより低温の取扱液と接触可能となる面積が最大となり、その結果、モータ固定子6の冷却効果を高めることができる。
本実施形態では、モータ室33内の3本のリード線17は、固定具(図示せず)を用いて、モータ室33の内壁に固定されるのが好ましい。図4に示す例では、リード線17は、外筒31の内周面に固定されている。一実施形態では、リード線17は、内筒30の外周面に固定されてもよい。このような構成により、取扱液の流れによって、モータ室33内のリード線17がモータ固定子6に衝突することが防止される。
図5は、他の実施形態に係るモータポンプのモータケーシングの一部を拡大して示す概略断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図1乃至図4を参照して説明された実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図5に示すモータポンプのモータケーシング3は、隔壁32に複数の開口孔40が形成されている点で図3に示すモータケーシング3と異なる。隔壁32に形成された開口孔40によって、モータ室33がポンプケーシング2に形成された羽根車1の収容空間と連通する。
羽根車1から吐き出された取扱液の圧力は、羽根車1に吸い込まれる前の取扱液(すなわち、流路4c,3a,10aを流れる取扱液)の圧力よりも高い。したがって、羽根車1から吐き出された取扱液の一部は、開口孔40を通って、取扱液で満たされたモータ室33に流入することができる。すなわち、本実施形態では、隔壁32に形成された開口孔40が羽根車1から吐出された取扱液(すなわち、吸込口4aから吸い込まれた取扱液)をモータ室33に流入させるための入口孔として機能する。
本実施形態では、開口孔(入口孔)40を通ってモータ室33に流入した取扱液によって、モータ室33を満たしていた取扱液が蓋部材35に形成された開口孔37を通って、吸込ケーシング4の流路4cに押し出される。すなわち、蓋部材35の開口孔37は、開口孔40からモータ室33に流入した取扱液よって流路4cに排出される取扱液の出口孔として機能する。このような構成によれば、羽根車1が回転している間、すなわち、モータポンプの運転中は、モータ室33内の取扱液が、常に、開口孔40から流入した低温の取扱液と入れ替えられる。したがって、より効率的にモータ固定子6を冷却することができる。
隔壁32に形成された開口孔40の数も任意である。例えば、隔壁32は、1つの開口孔40のみを有していてもよいし、2つ以上の開口孔40を有していてもよい。複数の開口孔40が隔壁32に形成される場合は、開口孔40を隔壁32の周方向に沿って等間隔で配置するのが好ましい。一実施形態では、開口孔40の数は固定子コイル6Bの数に一致し、各固定子コイル6Bに対して1つの開口孔40が割り当てられる。
図5に示す実施形態でも、図4を参照して説明されたように、蓋部材35を省略することができる。この場合、隔壁32と反対側の端部に形成された環状の開口孔(図4に示す環状の開口孔37’に相当する)がモータ室33に流入した取扱液よって流路4cに排出される取扱液の出口孔として機能する。
図6は、さらに他の実施形態に係るモータポンプを示す概略断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態に係るモータポンプの構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図6に示すモータポンプでは、吸込口4aは、水平方向に開口しており、吸込ケーシング4の上端に形成されている。すなわち、吸込口4aの中心軸線は、吸込ケーシング4のケーシング本体4bの中心軸線から上方向にずれている。また、吸込ケーシング4は、上述した案内部材15を有していない。取扱液は、吸込ケーシング4の上部に形成された吸込口4aから、モータポンプに水平方向に流入する。吸込口4aに流入した取扱液は、吸込ケーシング4内で下方向へ向かう流れと、モータケーシング3の流路3aへ向かう水平方向への流れに分割される。吸込口4aが吸込ケーシング4の上端に形成されているので、吸込ケーシング4の流路4cを容易に取扱液で満たすことができる。
下方向に流れた取扱液は、吸込ケーシング4のケーシング本体4bの下壁に衝突した後で上昇し、モータケーシング3の流路3aに流入する。流路3aに流入した取扱液は、軸受10の流路10aを通って羽根車1に吸い込まれ、上方向を向いた吐出ポート16の吐出口16aから吐出される。
本実施形態でも、隔壁32には、吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33に流入させるための入口孔として機能する複数の開口孔40が設けられている。さらに、蓋部材35には、複数の開口孔37が設けられており、該開口孔37は、開口孔40を通ってモータ室33に流入した取扱液によって押し出される取扱液の出口孔として機能する。開口孔37を通った取扱液は、吸込ケーシング4の流路4cに排出される。なお、本実施形態でも、蓋部材35を省略してもよい。この場合、隔壁32と反対側の端部に形成された環状の開口孔(図4に示す環状の開口孔37’に相当する)がモータ室33に流入した取扱液よって流路4cに排出される取扱液の出口孔として機能する。
このような構成でも、モータポンプの運転中は、モータ室33内の取扱液が、常に、開口孔40から流入した低温の取扱液と入れ替えられる。したがって、効率的にモータ固定子6を冷却することができる。
一実施形態では、開口孔40を省略してもよい。この場合、取扱液は、蓋部材35に形成された開口孔37からモータ室33に流入する。すなわち、開口孔37が吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33に流入させるための入口孔として機能する。図3を参照して説明したように、モータ室33を満たした取扱液は、常に吸込ケーシング4の流路4cを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行うことができる。その結果、モータ固定子6を効率的に冷却することができる。さらに、吸込口4aが吸込ケーシング4のケーシング本体4bの上端に形成されているので、吸込ケーシング4の流路4cは容易に取扱液で満たされ、その結果、モータポンプの動作中は、モータ固定子6の固定子コイル6Bを取扱液に浸漬させて直接冷却させる状態を保つことができる。
さらに、一実施形態では、開口孔40だけでなく蓋部材35も省略してもよい。この場合、図4を参照して説明したように、隔壁32と反対側の端部に形成された環状の開口孔(図4に示す環状の開口孔37’に相当する)が吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33に流入させるための入口孔として機能する。
図7は、さらに他の実施形態に係るモータポンプを示す概略断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図7に示すモータポンプでは、モータケーシング3は、ポンプケーシング2に連結されており、ポンプケーシング2は、吸込ケーシング4とモータケーシング3とに挟まれている。吸込ケーシング4のケーシング本体4bは、略円筒形状を有しており、吸込ケーシング4の流路4cの中心は、羽根車1の中心軸線と一致する。
吸込ケーシング4、ポンプケーシング2、およびモータケーシング3は、この順に配列されており、この状態で、複数の連結ボルト(図示せず)によって一体に連結されている。吸込ケーシング4とポンプケーシング2との間には、シール部材としてOリング46が設けられており、ポンプケーシング2とモータケーシング3との間にはシール部材としてのOリング47が設けられている。一実施形態では、吸込ケーシング4をポンプケーシング2と一体に形成してもよい。この場合、Oリング46は省略される。
モータケーシング3は、羽根車1の液体入口を囲むように配置されたライナーリング48を備えている。モータ固定子6および軸受10は、羽根車1の裏面側に配置されており、羽根車1は単一の軸受10によって回転自在に支持されている。この軸受10の回転側軸受要素11は、羽根車1に固定されており、羽根車1の主板の裏面に配置されている。固定側軸受要素12はモータケーシング3に固定されており、回転側軸受要素11の下方に配置されている。
本実施形態でも、回転側軸受要素11は環形状を有しており、回転側軸受要素11の内周面が固定側軸受要素12のラジアル面12aに対向し、回転側軸受要素11の側面が固定側軸受要素12のスラスト面12bに対向している。回転側軸受要素11の内周面とラジアル面12aとの間、および回転側軸受要素11の側面とスラスト面12bとの間には微小な隙間が形成されている。また、回転側軸受要素11の内周面および側面には、動圧を発生させるための図示しないスパイラル溝が形成されている。
羽根車1から吐き出された取扱液の一部は、羽根車1とモータケーシング3との間の隙間を通って軸受10に導かれる。回転側軸受要素11が羽根車1とともに回転すると、回転側軸受要素11と固定側軸受要素12との間に取扱液の動圧が発生し、これにより羽根車1が軸受10によって非接触に支持される。回転側軸受要素11と固定側軸受要素12との間の隙間に供給された取扱液は、羽根車1の主板に形成された貫通孔1aを通って、羽根車1内に戻される。
羽根車1に埋設される環状の永久磁石5は、主板の裏面側に埋設されており、羽根車1には永久磁石5に隣接して環状のマグネットヨーク(磁性体)19が埋設されている。モータ固定子6は、永久磁石5とモータ固定子6とが互いに対向するように、羽根車1の裏面側に配置されている。
モータケーシング3は、モータ固定子6が収容される環形状のモータ室33を有しており、モータ室33内には、リード線17用の結線基板42が配置されている。モータケーシング3の下端開口は、モータカバー45によって閉じられている。モータケーシング3とモータカバー45との間にはシール部材としてのOリング49が設けられている。
モータカバー45は、円盤状の本体45aと、本体45aの中心部から突出する軸部45bとを備えている。モータ室33は、内筒30の外周面、外筒31の内周面、隔壁32の表面(下面)、およびモータカバー45の本体45aの表面(上面)によって区画される。モータカバー45の軸部45bの先端は、羽根車1の主板の裏面近傍まで延びている。軸部45bの外周面と内筒30の内周面との間には、隙間45cが形成されている。
本実施形態でも、モータケーシング3は、内筒30と外筒31を連結する隔壁32には、複数の開口孔40が設けられている。この開口孔40によって、モータ室33は、羽根車1とモータケーシング3との間に形成された隙間と連通し、該開口孔40は、吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33に流入させるための入口孔として機能する。さらに、モータケーシング30の内筒30には、複数の開口孔37が設けられている。さらに、固定リング38には、複数の開口孔37にそれぞれ対応して形成された複数の貫通孔38aが形成されている。これら開口孔37および貫通孔38aによって、モータ室33は、モータカバー45の軸部45bの外周面と内筒30の内周面との間に形成された隙間45cと連通する。開口孔37は、開口孔40を通ってモータ室33に流入した取扱液によって、モータ室33内の取扱液を排出させるための出口孔として機能する。
羽根車1が回転すると、取扱液は吸込ケーシング4の吸込口4aから流路4cを通って羽根車1の液体入口に導入され、吐出ポート16の吐出口16aから吐出される。羽根車1から吐き出された取扱液の一部は、羽根車1の裏面に回り込み、軸受10に供給される。軸受10に供給される取扱液の一部は、開口孔40を通ってモータ室33に流入する。モータ室33に流入した取扱液は、モータ室33を満たしている取扱液を開口孔37を介して隙間45cに押し出す。隙間45cに排出された取扱液は、該隙間45cを通って、羽根車1に裏面に到達し、さらに、主板に形成された貫通孔1aを通って羽根車1内に戻される。
このように、羽根車1が回転している間、すなわち、モータポンプの運転中は、開口孔(入口孔)40を通ってモータ室33に流入した取扱液によって、モータ室33を満たしていた取扱液が内筒30に形成された開口孔37を通って、羽根車1内に戻される。したがって、モータポンプの運転中は、モータ室33内の取扱液が、常に、開口孔40から流入した低温の取扱液と入れ替えられるので、効率的にモータ固定子6を冷却することができる。
一実施形態では、開口孔37を省略してもよい。この場合、モータ室33には、入口孔として機能する開口孔40から取扱液が流入する。モータ室33を満たした取扱液は、常に、羽根車1とモータケーシング3との間に形成された隙間を流れる低温の取扱液と直接的に熱交換を行うことができる。その結果、モータ固定子6を効率的に冷却することができる。
上述した実施形態では、絶縁性を有する取扱液を移送するモータポンプを説明してきた。取扱液が絶縁性を有している場合、固定子コイル6Bの巻線として、一般的に広く用いられている絶縁被覆電線を用いることができる。絶縁被覆電線は、例えば、銅線などの導体の外周面にエナメルなどの絶縁性材料の被覆を施した構造を有する。
一実施形態では、モータポンプによって移送される取扱液は絶縁性を有していなくてもよい。すなわち、取扱液は、導電性を有していてもよい。例えば、固定子コイル6Bの巻線として、耐水絶縁電線を用いる場合は、モータ室33に導電性を有する取扱液(例えば、水)が流入しても、固定子コイル6Bがショートすることはない。耐水絶縁電線は、巻線自体が防液性(防水性)を有する電線の総称である。耐水絶縁電線は、例えば、絶縁被覆電線の外周面(すなわち、上記絶縁性材料の表面)に、さらに、耐水絶縁性能に優れる樹脂が被覆された構造を有する。このような樹脂は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、または、ポリプロピレン等)である。
あるいは、各固定子コイル6Bの巻線全体を、絶縁性を有する樹脂でモールドしてもよい。このような構成でも、モータ室33に流入した、導電性を有する取扱液によって、固定子コイル6Bがショートすることはない。さらに、この実施形態では、固定子コイル6Bの巻線として、耐水絶縁電線よりも安価な絶縁被覆電線を用いることができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
1 羽根車
2 ポンプケーシング
3 モータケーシング
4 吸込ケーシング
5 永久磁石
6 モータ固定子
10 軸受
15 案内部材
18 温度センサ
30 内筒
31 外筒
32 隔壁
35 蓋部材
37 開口孔
38 固定リング
40 開口孔
42 結線基板
45 モータカバー
48 ライナーリング
2 ポンプケーシング
3 モータケーシング
4 吸込ケーシング
5 永久磁石
6 モータ固定子
10 軸受
15 案内部材
18 温度センサ
30 内筒
31 外筒
32 隔壁
35 蓋部材
37 開口孔
38 固定リング
40 開口孔
42 結線基板
45 モータカバー
48 ライナーリング
Claims (7)
- 取扱液を移送するモータポンプであって、
磁石が埋設される羽根車と、
前記磁石に対向する位置に配置されるモータ固定子と、
前記取扱液の吸込口を有する吸込ケーシングと、
前記羽根車を収容するポンプケーシングと、
前記モータ固定子を収容するモータ室を有するモータケーシングと、を備え、
前記モータケーシングは、前記吸込口から吸い込まれた取扱液を前記モータ室に流入させるための少なくとも1つの入口孔を有していることを特徴とするモータポンプ。 - 前記吸込ケーシングは、前記モータケーシングに連結されており、
前記モータケーシングは、前記吸込ケーシングと前記ポンプケーシングとに挟まれていることを特徴とする請求項1に記載のモータポンプ。 - 前記吸込ケーシングには、前記吸込口を通過した前記取扱液が前記入口孔を通過するように案内する案内部材が配置されていることを特徴とする請求項2に記載のモータポンプ。
- 前記吸込ケーシングは、前記ポンプケーシングに連結されており、
前記ポンプケーシングは、前記吸込ケーシングと前記モータケーシングとに挟まれていることを特徴とする請求項1に記載のモータポンプ。 - 前記モータケーシングは、前記入口孔を介して前記モータ室に流入させた取扱液によって、前記モータ室内の取扱液を排出させるための少なくとも1つの出口孔を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモータポンプ。
- 前記モータ固定子の温度を測定する温度センサをさらに有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモータポンプ。
- 前記取扱液は絶縁性を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモータポンプ。
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---|---|---|---|
JP2019188834A JP2021063473A (ja) | 2019-10-15 | 2019-10-15 | モータポンプ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022230013A1 (ja) * | 2021-04-26 | 2022-11-03 | 株式会社荏原製作所 | モータポンプ |
DE112022001919T5 (de) | 2021-04-02 | 2024-01-11 | Denso Corporation | Impedanzberechnungsgerät und batterieverwaltungssystem |
-
2019
- 2019-10-15 JP JP2019188834A patent/JP2021063473A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022230013A1 (ja) * | 2021-04-26 | 2022-11-03 | 株式会社荏原製作所 | モータポンプ |
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