JP2021169809A - ポンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のモータポンプを備えるポンプ装置であっても、該ポンプ装置から発生する振動と騒音とを低減できるポンプ装置を提供する。【解決手段】ポンプ装置100は、直列に連続して接続される複数のポンプユニット1A,1B,1Cを備える。各ポンプユニット1は、磁石5が埋設される羽根車14と、磁石5に対向する位置に配置されるモータ固定子6と、モータ固定子6に接続されるインバータ装置7と、羽根車14を収容するポンプケーシング2と、モータ固定子6を収容するモータケーシング3と、を備える。複数のポンプユニット1A,1B,1Cのうちの少なくとも1つのポンプユニット1は、その羽根車14の回転速度が残りのポンプユニット1の羽根車14の回転速度と異なるように運転される。【選択図】図2
Description
本発明は、ポンプ装置に関し、特に、複数のモータポンプを搭載したポンプ装置に関する。
ポンプ装置は、吸込槽などの移送元から吐出槽などの移送先へと取扱液を移送するために用いられる装置であり、要求される圧力を取扱液に付与するためのポンプを有している。また、ポンプ装置は、取扱液を循環させるための循環ラインに配置されることもある。この場合、ポンプ装置のポンプは、取扱液が循環ラインを適切に流れるように、該取扱液の圧力を上昇させる。
ポンプ装置の設置場所、および/または取扱液の種類によっては、ポンプ装置からの取扱液の漏洩がユーザーに嫌われることがある。例えば、取扱液の漏洩が、工場に配置されたガス検知器を誤検知させてしまう場合は、取扱液の漏洩を極力避ける必要がある。また、取扱液が高価な液体である場合も、ランニングコストが上昇しないように、取扱液の漏洩を防止することが望まれる。
ポンプ装置からの取扱液の漏洩を防止するために、ポンプ装置のポンプとしてキャンドモータポンプ(以下、単に「モータポンプ」と称する)が用いられることがある。特許文献1は、永久磁石が埋設された羽根車を、モータ固定子が発生する磁界により回転させるモータポンプを開示している。このようなモータポンプは、取扱液の漏洩を防止しつつ、その大きさを比較的小さくすることができる。
ここで、モータポンプの羽根車は比較的高回転で運転されることから、ポンプ装置の吸込性能を確保することが難しい。すなわち、ポンプ装置から吐出される取扱液の圧力をユーザーの要求に合わせようとすると、ポンプ装置に適切な量の取扱液を吸い込むことができないことがあった。このような場合は、従来は、複数のモータポンプを配管を介して直列に連結していた。
なお、特許文献2は、複数の羽根車を共通の回転軸に直列に連結したポンプ装置を開示している。このような構成によっても、ポンプ装置の吸込性能をある程度改善できる可能性がある。
しかしながら、同一の構成を有する羽根車をそれぞれ備えた複数のモータポンプを同一の回転速度で運転すると、各モータポンプで発生した騒音が重畳して、大きな騒音が発生するおそれがある。各モータポンプで発生した振動も同様に重畳する(例えば、共振する)ことで大きくなるおそれがある。特に、上記特許文献2に記載されるような、複数の羽根車を共通の回転軸に直列に連結したポンプ装置の場合、複数の羽根車の全てが同一の回転速度で回転されるため、ポンプ装置から大きな騒音と振動が発生しやすい。
そこで、本発明は、複数のモータポンプを備えるポンプ装置であっても、該ポンプ装置から発生する振動と騒音とを低減できるポンプ装置を提供することを目的とする。
一態様では、取扱液を移送するポンプ装置であって、直列に連続して接続される複数のポンプユニットを備え、各ポンプユニットは、磁石が埋設される羽根車と、前記磁石に対向する位置に配置されるモータ固定子と、前記モータ固定子に接続されるインバータ装置と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、前記モータ固定子を収容するモータケーシングと、を備えており、前記複数のポンプユニットのうちの少なくとも1つのポンプユニットは、その羽根車の回転速度が残りのポンプユニットの羽根車の回転速度と異なるように運転されることを特徴とするポンプ装置が提供される。
一態様では、前記複数のポンプユニットは、全てのポンプユニットの羽根車の回転速度がそれぞれ異なるように運転される。
一態様では、前記複数のポンプユニットは、全てのポンプユニットの羽根車の回転速度がそれぞれ異なるように運転される。
一態様では、取扱液を移送するポンプ装置であって、直列に連続して接続される複数のポンプユニットを備え、各ポンプユニットは、磁石が埋設される羽根車と、前記磁石に対向する位置に配置されるモータ固定子と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、前記モータ固定子を収容するモータケーシングと、を備えており、前記複数のポンプユニットのうちの少なくとも1つのポンプユニットの羽根車の翼数が残りのポンプユニットの羽根車の翼数と異なることを特徴とするポンプ装置が提供される。
一態様では、前記複数のポンプユニットのうちの少なくとも1つのポンプユニットの羽根車の直径が残りのポンプユニットの羽根車の直径と異なる。
一態様では、前記モータケーシングは、前記モータ固定子が収容されるモータ室と、前記モータ室に前記取扱液を流入させるための少なくとも1つのモータ室入口孔を有している。
一態様では、前記モータケーシングは、前記モータ室入口孔を介して前記モータ室に流入させた取扱液によって、前記モータ室内の取扱液を排出させるための少なくとも1つのモータ室出口孔を有している。
一態様では、前記複数のポンプユニットのうちの最も前段に位置する前記初段ポンプユニットに接続され、吸込口を有する吸込ケーシングをさらに備え、前記吸込ケーシングには、前記吸込口を通過した前記取扱液が前記モータ室入口孔を通過するように案内する案内部材が配置されている。
一態様では、前記取扱液は、絶縁性を有している。
一態様では、前記モータケーシングは、前記モータ固定子が収容されるモータ室と、前記モータ室に前記取扱液を流入させるための少なくとも1つのモータ室入口孔を有している。
一態様では、前記モータケーシングは、前記モータ室入口孔を介して前記モータ室に流入させた取扱液によって、前記モータ室内の取扱液を排出させるための少なくとも1つのモータ室出口孔を有している。
一態様では、前記複数のポンプユニットのうちの最も前段に位置する前記初段ポンプユニットに接続され、吸込口を有する吸込ケーシングをさらに備え、前記吸込ケーシングには、前記吸込口を通過した前記取扱液が前記モータ室入口孔を通過するように案内する案内部材が配置されている。
一態様では、前記取扱液は、絶縁性を有している。
本発明によれば、各ポンプユニットで発生する振動および騒音の全てが重畳してしまうことを防止できる。したがって、ポンプ装置を運転したときに、大きな振動および騒音が発生することを抑制できる。さらに、各ポンプユニットで生じる吐出圧力の脈動の周波数の全てが同一となることを回避することできるので、ポンプ装置を運転したときに、該ポンプ装置に発生する振動の振幅を低減できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、以下の図面および説明において、各符号の末尾に付された、大文字のアルファベットである添字(A,B,C)は、該添字が付された構成要素がポンプ装置の何れのポンプユニットに属するかを示す包括記号である。例えば、添字「A」は、複数のポンプユニットのうちの最も前段に位置する初段ポンプユニットの構成要素に付され、添字「B」は、初段ポンプユニットに続く2段目ポンプユニットの構成要素に付される。さらに、特に区別する必要がない場合、および複数のポンプユニットに共通する構成要素を代表して示す場合は、添字「A,B,C」を省略することがある。
図1(a)は、一実施形態に係るポンプ装置の配置の一例を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示すポンプ装置の配置の他の例を示す模式図である。図1(a)および図1(b)に示すポンプ装置100は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cを有しており、移送元の一例である吸込槽110に貯められた取扱液を移送先(図示せず)に移送する。詳細なポンプ装置100の構成は後述するが、これらポンプユニット1A,1B,1Cは、直列に連続して配置されている。
図1(a)に示すポンプ装置100では、複数のポンプユニット1A,1B,1Cは鉛直方向に配列されており、図1(b)に示すポンプ装置100は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cは水平方向に配列されている。図1(a)および図1(b)に示す実施形態では、ポンプ装置100は、該ポンプ装置100(のポンプユニット1A,1B,1C)よりも下方に位置する液面を有する取扱液を吸い込み、ポンプユニット1A,1B,1Cで取扱液の圧力を上昇させて移送先まで該取扱液を移送する。
なお、吸込槽110内の取扱液の液面に対するポンプ装置100の配置位置は任意であり、図1(a)および図1(b)に示す例に限定されない。例えば、ポンプ装置100は、吸込槽110内の取扱液の液面よりも下方に位置していてもよい。さらに、ポンプ装置100の複数のポンプユニット1は水平方向または鉛直方向に対して斜めに配列されていてもよい。さらに、ポンプ装置100が有するポンプユニット1の数も任意である。例えば、ポンプ装置100は、2つ以下のポンプユニット1を有していてもよいし、4つ以上のポンプユニット1を有していてもよい。
図2は、図1(a)に示すポンプ装置100の概略断面図である。ポンプ装置100は、直列に連結された複数の(図2では、3つの)ポンプユニット1A,1B,1Cを有している。これらポンプユニット1A,1B,1Cは、取扱液の漏洩を防止可能なモータポンプ(キャンドモータポンプ)である。以下では、複数のポンプユニット1A,1B,1Cのうちの最も前段に位置する初段ポンプユニット1Aの構成を説明するが、ポンプユニット1A,1B,1Cは、特に説明しない限り同一の構成を有しており、その重複する説明を省略する。
初段ポンプユニット1Aは、環状の永久磁石5Aが埋設された羽根車14Aと、永久磁石5Aに作用する磁力を発生するモータ固定子6Aと、羽根車14Aを収容するポンプケーシング2Aと、モータ固定子6Aを収容するモータ室33Aを有するモータケーシング3Aと、羽根車14Aのラジアル荷重およびスラスト荷重を支持する軸受10Aと、を備えている。
ポンプケーシング2Aとモータケーシング3Aとの間にはシール部材としてのOリング9Aが設けられている。羽根車14Aとモータケーシング3Aとは微小な隙間を介して対向しており、羽根車14Aは、モータ固定子6Aにより発生される回転磁界が永久磁石5Aに作用することによって回転する。羽根車14Aとモータケーシング3Aとの隙間の大きさは、モータ固定子6Aにより発生される回転磁界によって羽根車14Aが回転可能である限り任意である。しかしながら、この隙間の大きさは、羽根車14Aとモータケーシング3Aとが互いに接触しない程度にできるだけ小さいことが好ましい。
モータ固定子6Aおよび軸受10Aは、羽根車14Aの吸込側に配置されており、羽根車14Aは単一の軸受10Aによって回転自在に支持されている。本実施形態では、この軸受10Aは取扱液の動圧を利用したすべり軸受(動圧軸受)である。一実施形態では、軸受10Aは取扱液の動圧を利用しないすべり軸受であってもよい。
図2に示す軸受10Aは、互いに緩やかに係合する回転側軸受要素11Aと固定側軸受要素12Aの組み合わせから構成される。回転側軸受要素11Aは、羽根車14Aに固定されており、羽根車14Aの液体入口を囲むように配置されている。固定側軸受要素12Aはモータケーシング3Aに固定されており、回転側軸受要素11Aの吸込側に配置されている。この固定側軸受要素12Aは、羽根車14Aのラジアル荷重を支持するラジアル面12Aaと、羽根車1のスラスト荷重を支持するスラスト面12Abとを有している。ラジアル面12Aaは羽根車14Aの軸心と平行であり、スラスト面12Abは羽根車14Aの軸心に対して垂直である。
回転側軸受要素11Aは環形状を有しており、回転側軸受要素11Aの内周面が固定側軸受要素12Aのラジアル面12Aaに対向し、回転側軸受要素11Aの側面が固定側軸受要素12Aのスラスト面12Abに対向している。回転側軸受要素11Aの内周面とラジアル面12Aaとの間、および回転側軸受要素11Aの側面とスラスト面12Abとの間には微小な隙間が形成されている。また、回転側軸受要素11Aの内周面および側面には、動圧を発生させるための図示しないスパイラル溝が形成されている。
羽根車14Aから吐き出された取扱液の一部は、羽根車14Aとモータケーシング3Aとの間の微小な隙間を通って軸受10Aに導かれる。回転側軸受要素11Aが羽根車14Aとともに回転すると、回転側軸受要素11Aと固定側軸受要素12Aとの間に取扱液の動圧が発生し、これにより羽根車14Aが軸受10Aによって非接触に支持される。固定側軸受要素12Aは、直交するラジアル面12Aaおよびスラスト面12Abにより回転側軸受要素11Aを支持しているので、羽根車14Aの傾動は軸受10Aにより規制される。軸受10A(すなわち、回転側軸受要素11Aおよび固定側軸受要素12A)は、例えば、セラミックまたはカーボンなどの耐摩耗性に優れた材料から形成されている。
羽根車14Aには、環状の永久磁石5Aに隣接して環状のマグネットヨーク(磁性体)19Aが埋設されている。永久磁石5Aはマグネットヨーク19Aの吸込側に配置されている。永久磁石5Aとモータ固定子6Aとは互いに対向するように配置され、モータ固定子6Aは羽根車14Aの吸込側に配置されている。
なお、図2に示す羽根車14Aには、環形状を有する1つの永久磁石5Aが埋設されているが、本実施形態はこの例に限定されない。例えば、羽根車14Aには、複数の永久磁石5Aが埋設されていてもよい。この場合、羽根車14Aに埋設される複数の永久磁石5Aは環状に配列されており、各永久磁石5Aは、例えば、扇形の形状を有する。
羽根車14Aは、非磁性材料から形成される。さらに、羽根車14Aは、好ましくは、滑りやすく、かつ摩耗しにくい材料から形成される。このような材料の例としては、テフロン(登録商標)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、およびPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの樹脂や、セラミックが挙げられる。
ポンプケーシング2Aは、磁性材料(例えば、金属)から形成されてもよいし、非磁性材料から形成されてもよい。ポンプケーシング2Aが非磁性材料から形成される場合、ポンプケーシング2Aを、羽根車14Aと同じ材料から形成することができる。
本実施形態では、モータケーシング3Aは、環形状のモータ室33Aを有している。モータ固定子6Aは、モータ室33Aに収容される。モータ固定子6Aは、複数の歯を有する固定子コア23Aと、これらの歯にそれぞれ巻回された固定子コイル24Aと、を有している。歯および固定子コイル24Aは環状に配列されており、羽根車14Aおよびモータ固定子6Aは、軸受10Aと同心状に配列されている。
モータケーシング3Aを金属材料から形成してもよい。しかしながら、モータ固定子6Aの電気的絶縁を確保し、かつ渦電流の発生を防止する観点から、モータケーシング3Aは非金属材料から形成されるのが好ましい。モータケーシング3Aを形成する非金属材料の例としては、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、およびPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの樹脂が挙げられる。モータケーシング3Aを羽根車14Aと同じ樹脂材料から形成してもよい。樹脂製のモータケーシング3Aは、固定子コイル24Aがモータケーシング3Aに接触しても該固定子コイル24Aの電気的絶縁が保たれ、地絡のおそれがないという利点がある。
固定子コイル24Aには、3本のリード線17Aが接続されている。後述するように、リード線17Aの端部は駆動回路に接続され、この駆動回路は、該駆動回路の動作を制御する制御部と、電源とに接続される。駆動回路からリード線17Aを介して固定子コイル24Aに供給された電流によって、モータ固定子6Aには回転磁界が発生させられる。回転磁界は、羽根車14Aに埋設された永久磁石5Aに作用し、これにより、羽根車14Aが回転する。
複数のポンプユニット1A,1B,1Cのうちの最も前段に位置する初段ポンプユニット1Aは、他のポンプユニット1B,1Cと異なり、吸込口4aを有する吸込ケーシング4を有している。モータケーシング3Aは、吸込ケーシング4とポンプケーシング2Aとに挟まれている。より具体的には、吸込ケーシング4は、モータケーシング3Aの液体入口側に連結され、ポンプケーシング2Aは、モータケーシング3Aの液体出口側に連結されている。吸込ケーシング4は、上方向に開口する吸込口4aと、吸込口4aに接続されるケーシング本体4bとを有しており、この吸込口4aは、図示しない取扱液の入口ラインに接続される。入口ラインは、例えば、吸込槽などの移送元からポンプ装置100まで延びるラインである。本実施形態では、吸込口4aは、吸込ケーシング4の中央に配置されている。具体的には、吸込口4aの中心は、吸込ケーシング4のケーシング本体4bの中心軸線上にある。吸込ケーシング4を、羽根車14Aと同じ材料から形成してもよい。さらに、吸込口4aをケーシング本体4bと一体に形成してもよい。
羽根車14Aが回転すると、取扱液は吸込ケーシング4の吸込口4aから羽根車14Aの液体入口に導入される。取扱液は羽根車14Aの回転によって昇圧され、初段ポンプユニット1Aに続く2段目ポンプユニット1Bに移送される。羽根車14Aが回転している間、羽根車14Aの背面は昇圧された取扱液によって吸込側に(すなわち吸込口4aに向かって)押圧される。軸受10Aは、羽根車14Aの吸込側に配置されているので、羽根車14Aのスラスト荷重を吸込側から支持する。本実施形態に係る構成によれば、1つの軸受10Aにより羽根車14Aのラジアル荷重およびスラスト荷重を非接触で支持することができるので、パーティクルを発生させることのないコンパクトなポンプユニットを実現することができる。
他のポンプユニット1B,1Cも同様の構成を有するので、各ポンプユニット1A,1B,1Cをコンパクトに構成することができる。したがって、これらポンプユニット1A,1B,1Cを直列に連続して連結することにより、ポンプ装置100の小型化を達成することができる。
複数のポンプユニット1A,1B,1Cのうちの最も後段に配置される3段目ポンプユニット1Cのポンプケーシング2Cには、吐出口16が形成されている。この吐出口16は、図示しない取扱液の出口ラインに接続される。出口ラインは、例えば、ポンプ装置100から吐出槽などの移送先まで延びるラインである。本実施形態では、吐出口16は、3段目ポンプユニット1Cのポンプケーシング2Cの中央に配置されている。具体的には、吐出口16の中心は、3段目ポンプユニット1Cのポンプケーシング2Cの中心軸線上にある。
吸込ケーシング4、初段ポンプユニット1Aのモータケーシング3Aおよびポンプケーシング2A、2段目ポンプユニット1Bのモータケーシング3Bおよびポンプケーシング2B、並びに、3段目ポンプユニット1Cのモータケーシング3Cおよびポンプケーシング2Cは、この順に配列されており、この状態で、複数の連結ボルト(図示せず)によって一体に連結されている。
本実施形態では、初段ポンプユニット1Aは、該初段ポンプユニット1Aに続く2段目ポンプユニット1Bまで前記取扱液を所望の流量で移送可能な吸込性能を有する。例えば、初段ポンプユニット1Aは、所望の流量で吸込槽110に貯められた取扱液を2段目ポンプユニット1Bまで移送可能な揚程H(図1(a)および図1(b)参照)を有する。
初段ポンプユニット1Aに吸い込まれた取扱液は、2段目ポンプユニット1Bに移送され、該2段目ポンプユニット1Bで昇圧される。2段目ポンプユニット1Bで昇圧された取扱液は、3段目ポンプユニット1Cに移送され、該3段目ポンプユニット1Cでさらに昇圧される。その後、取扱液は、3段目ポンプユニット1Cのポンプケーシング2Cに形成された吐出口16から出口ライン(図示せず)に吐き出される。
図3(a)は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cに接続される駆動回路と制御部の一例を示す模式図であり、図3(b)は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cに接続される駆動回路と制御部の他の例を示す模式図であり、図3(c)は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cに接続される駆動回路と制御部のさらに他の例を示す模式図である。
上述したように、初段ポンプユニット1Aの固定子コイル24Aには、3本のリード線17Aが接続されており、リード線17Aの端部は駆動回路7Aに接続される。同様に、2段目ポンプユニット1Bの固定子コイル24Bに接続される3本のリード線17Bの端部は駆動回路7Bに接続され、3段目ポンプユニット1Cの固定子コイル24Cに接続される3本のリード線17Cの端部は駆動回路7Cに接続される。
図3(a)に示す例では、駆動回路7Aは、該駆動回路7Aの動作を制御する制御部8Aと、電源9Aとに接続される。同様に、駆動回路7Bは、該駆動回路7Bの動作を制御する制御部8Bと、電源9Bとに接続され、駆動回路7Cは、該駆動回路7Cの動作を制御する制御部8Cと、電源9Cとに接続される。駆動回路7A,7B,7Cは、例えば、インバータ装置であり、制御部8A,8B,8Cは、インバータ装置に配置されたパワー素子(例えば、IGBT素子などのスイッチング素子)などを用いて、電源9A,9B,9Cから固定子コイル24A,24B,24Cに供給される電流のタイミングをそれぞれ制御する。
図3(b)に示す例では、駆動回路7A,7B,7Cが共通の電源9に接続される。図3(c)に示す例では、さらに、駆動回路7A,7B,7Cの動作が共通の制御部8によって制御される。
図3(a)乃至図3(c)に示すいずれの例でも、制御部8A,8B,8C、または制御部8は、羽根車14A,14B,14Cの回転速度を駆動回路7A,7B,7Cを介してそれぞれ任意に、かつ独立して調整可能である。すなわち、制御部8A,8B,8C、または制御部8は、各ポンプユニット1A、1B,1Cの運転速度を各駆動回路7A,7B,7Cを介して独立に制御することができる。
このような構成によれば、ポンプ装置100の初段ポンプユニット1Aは、所望の流量で取扱液を移送元(例えば、図1(a)および図1(b)に示す吸込槽110)から2段目ポンプユニット1Bに移送することができる。上述したように、制御部8A,8B,8C、または制御部8は、各ポンプユニット1A,1B,1Cの運転速度を独立に制御することができるので、初段ポンプユニット1A以降のポンプユニット1B,1Cによって、取扱液の圧力を自在に調整することができる。その結果、吸込性能を改善した高揚程の小型のポンプ装置100を提供することができる。
上述したように、初段ポンプユニット1Aは、取扱液を所望の流量で2段目ポンプユニット1Bに移送可能な吸込性能を有する。本実施形態では、制御部8A,8B,8C、または制御部8は、初段ポンプユニット1Aを他のポンプユニット1B,1Cの運転速度よりも低速で運転させる。一般に、ポンプの運転速度(すなわち、羽根車の回転速度)を低速にすることにより、高速で運転するときよりもポンプの吸込性能を増加させることができる。ただし、ポンプの揚程は、高速で運転するときよりも低下してしまう。
本実施形態では、初段ポンプユニット1Aが所望の流量で2段目ポンプユニット1Bに取扱液を移送し、初段ポンプユニット1A以降のポンプユニット1B,1Cによって、取扱液の圧力を自在に調整する。したがって、初段ポンプユニット1Aの運転速度を低速にしても、ポンプ装置100は所望の揚程を確保することができる。この場合、同一の形状を有する羽根車14A,14B,14Cを使用することができるので、ポンプ装置100の製作コストおよび管理コストを低減することができる。なお、所望の揚程を確保するために、初段ポンプユニット1A以外のポンプユニット1B,1Cを互いに異なる運転速度で運転してもよいのはもちろんである。
初段ポンプユニット1Aに要求される吸込性能を確保するために、初段ポンプユニット1Aの羽根車14Aの構成を、初段ポンプユニット1A以外のポンプユニット1B,1Cの羽根車14B,14Cの構成と異ならせてもよい。
図4は、初段ポンプユニット1Aの羽根車14Aを拡大して示した概略断面図である。初段ポンプユニット1Aに要求される吸込性能を確保するために、初段ポンプユニット1Aの羽根車14Aの吸込口径d1を、他のポンプユニット1B,1Cの羽根車14B,14Cの吸込口径よりも大きくしてもよい。一実施形態では、他のポンプユニット1B,1Cの羽根車14B,14Cの吸込口径を互いに異ならせてもよい。一般に、ポンプの羽根車の吸込口径を大きくすることで、ポンプの吸込性能を増加させることができる。なお、他のポンプユニット1B,1Cの羽根車14B,14Cの吸込口径よりも大きな吸込口径d1を有する羽根車14Aを、羽根車14B,14Cよりも低速で回転させてもよい。
羽根車14Aの吸込口径d1を他の羽根車14B,14Cの吸込口径よりも大きくする代わりに、あるいはこれに加えて、羽根車14Aの出口幅bを、他の羽根車14B,14Cの出口幅よりも大きくしてもよい。一実施形態では、他のポンプユニット1B,1Cの羽根車14B,14Cの出口幅を互いに異ならせてもよい。一般に、ポンプの羽根車の出口幅を大きくすることで、ポンプの吸込性能を増加させることができる。なお、他のポンプユニット1B,1Cの羽根車14B,14Cの吸込口径および/または出口幅よりも大きな吸込口径d1および/または出口幅bを有する羽根車14Aを、羽根車14B,14Cよりも低速で回転させてもよい。
さらに、本実施形態に係るポンプ装置100によれば、ポンプ装置100から発生する振動と騒音を低減することができる。図5(a)は、同一の構成を有する羽根車をそれぞれ備えた複数のポンプユニットを同一の回転速度で運転した場合に発生する騒音の一例を模式的に示したグラフであり、図5(b)は、同一の構成を有する羽根車をそれぞれ備えた複数のポンプユニットをそれぞれ異なる回転速度で運転した場合に発生する騒音の一例を模式的に示したグラフである。図5(a)および図5(b)において、縦軸は騒音の音圧レベルを表し、横軸は騒音の周波数を表す。
図5(a)に示すように、同一の構成を有する羽根車14A,14B,14Cをそれぞれ備えた複数のポンプユニット1A,1B,1Cを同一の回転速度で運転すると、各ポンプユニット1A,1B,1Cで発生した騒音が重畳して、大きな騒音がポンプ装置100から発生するおそれがある。各ポンプユニット1A,1B,1Cで発生した振動も同様に重畳する(例えば、共振する)ことで大きくなるおそれがある。さらに、各ポンプユニット1A,1B,1Cで生じる吐出圧力の脈動の周波数も同一になるおそれがあり、この場合、ポンプ装置100に発生する振動の振幅が大きくなる。
本実施形態では、制御部8A,8B,8C、または制御部8は、各ポンプユニット1A,1B,1Cの運転速度を独立に制御することができる。したがって、複数のポンプユニット1A,1B,1Cの少なくとも1つのポンプユニット1の羽根車14を、他のポンプユニット1の羽根車14の回転速度と異なる回転速度で運転させることができる。その結果、ポンプ装置100から発生する振動および騒音を低減することができる。なお、図5(b)に示すように、各ポンプユニット1A,1B,1Cの運転速度をそれぞれ異ならせることで、ポンプ装置100から発生する振動および騒音を最も低減することができる。さらに、各ポンプユニット1A,1B,1Cで生じる吐出圧力の脈動の周波数の全てが同一となることを回避することできるので、ポンプ装置100に発生する振動の振幅も低減可能である。
ポンプ装置100から発生する振動および騒音が全て重畳してしまうのを防止するために、および各ポンプユニット1A,1B,1Cで生じる吐出圧力の脈動の周波数の全てが同一となることを防止するために、複数のポンプユニット1A,1B,1Cのうちの少なくとも1つのポンプユニット1の羽根車14の構成を、他のポンプユニット1の羽根車14の構成と異ならせてもよい。例えば、羽根車14Aの翼20A(図4参照)の数を、他の羽根車14B,14Cの翼の数と異ならせてもよい。翼の数を異ならせることに代えて、またはこれに加えて、羽根車14Aの直径d2(図4参照)を、他の羽根車14B,14Cの直径と異ならせてもよい。一実施形態では、複数のポンプユニット1A,1B,1Cの羽根車14A,14B,14Cの構成(例えば、翼の数、および/または直径)を互いに異ならせてもよい。
図6は、他の実施形態に係るポンプ装置の概略断面図である。複数のポンプユニット1A,1B,1Cを有するポンプ装置100を運転すると、モータ固定子6A,6B,6C(特に、固定子コイル24A,24B,24C)が発熱する。モータ固定子6A,6B,6Cの過度の発熱は、該モータ固定子6A,6B,6Cの劣化や破損につながる。そこで、図6に示すポンプ装置100では、モータ固定子6A,6B,6Cを効率的に冷却する構成を備えている。なお、本実施形態で特に説明しない構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図6に示す初段ポンプユニット1Aの吸込ケーシング4は、吸込口4aから吸い込まれた取扱液の流れ方向を変更して、取扱液が初段ディフューザー21(後述する)を通過するように案内する案内部材15を有している。本実施形態では、案内部材15は略円盤形状を有している。
案内部材15によって、吸込口4aから吸込ケーシング4に吸い込まれた取扱液は、案内部材15の一方の面(図6では下面)上を吸込ケーシング4の半径方向外側に向かって流れ、ケーシング本体4bの側壁の内面に衝突する。そして、取扱液は、案内部材15の他方の面(図6では上面)に回り込んで、吸込ケーシング4の半径方向内側に向かって流れる。すなわち、案内部材15によって、吸込ケーシング4の半径方向外側に放射状に広がり、次いで、吸込ケーシング4の半径方向内側に収束する取扱液の吸込流路4cが形成される。この吸込流路4cは、ケーシング本体4bに形成されており、吸込口4aから延びて、モータケーシング3Aに形成された流路3Aaに接続される。
吸込流路4cには、複数の初段ディフューザー21が配置されている。初段ディフューザー21によって、吸込流路4cを流れる取扱液がモータケーシング3Aに形成された流路3Aaに適切に案内される。初段ディフューザー21は、吸込流路4cの壁面に固定されている。より具体的には、初段ディフューザー21は、吸込流路4cの壁面を形成する吸込ケーシング4のケーシング本体4bの底壁の内面に固定されている。本実施形態では、案内部材15は、複数の初段ディフューザー21に支持されており、この状態で、案内部材15の中心は、吸込ケーシング4の(ケーシング本体4bの)中心軸線上にある。
初段ポンプユニット1Aのモータケーシング3Aおよび軸受10Aの中心部には、それぞれ液体流路3Aa,10Aaが形成されている。これら液体流路3Aa,10Aaは一列に連結される。吸込口4aから吸い込まれて、吸込ケーシング4の吸込流路4cを流れた取扱液は、モータケーシング3Aの流路3Aaおよび軸受10Aの流路10Aaを直線状に流れて羽根車14Aの液体入口に吸い込まれる。このように、流路4c,3Aa,10Aaは、吸込口4aから羽根車14Aの液体入口まで延びる1つの液体流路を構成する。
初段ポンプユニット1Aのポンプケーシング2Aは、羽根車14Aから2段目ポンプユニット1Bまで延びる連通流路26Aを有している。羽根車14Aから吐出された取扱液は、連通流路26Aを通って2段目ポンプユニット1Bのモータケーシング3Bに流れ込む。連通流路26Aの壁面には、中間ディフューザー22Aが固定されている。より具体的には、中間ディフューザー22Aは、連通流路26Aの壁面を形成するポンプケーシング2Aの底壁の内面に固定されている。中間ディフューザー22Aによって、羽根車14Aから吐き出された取扱液が2段目ポンプユニット1Bのモータケーシング3Bに形成された流路3Baに案内される。
初段ポンプユニット1Aと同様に、2段目ポンプユニット1Bのモータケーシング3Bおよび軸受10Bの中心部には、それぞれ液体流路3Ba,10Baが形成されており、液体流路3Ba,10Baも一列に連結されている。初段ポンプユニット1Aから2段目ポンプユニット1Bに流れ込んだ取扱液は、モータケーシング3Bの流路3Baおよび軸受10Bの流路10Baを直線状に流れて羽根車14Bの液体入口に吸い込まれる。
2段目ポンプユニット1Bのポンプケーシング2Bも、羽根車14Bから3段目ポンプユニット1Cまで延びる連通流路26Bを有している。羽根車14Bから吐出された取扱液は、連通流路26Bを通って3段目ポンプユニット1Cのモータケーシング3Cに流れ込む。連通流路26Bの壁面には、中間ディフューザー22Bが固定されている。より具体的には、中間ディフューザー22Bは、連通流路26Bの壁面を形成するポンプケーシング2Bの底壁の内面に固定されている。中間ディフューザー22Bによって、羽根車14Bから吐き出された取扱液が3段目ポンプユニット1Cのモータケーシング3Cに形成された流路3Caに案内される。
3段目ポンプユニット1Cも2段目ポンプユニット1Bと同様の構成を有する。すなわち、2段目ポンプユニット1Bの連通流路26Bを通って3段目ポンプユニット1Cに流れ込んだ取扱液は、モータケーシング3Cおよび軸受10Cの中心部に形成された液体流路3Ca,10Caを流れて羽根車14Cの液体入口に吸い込まれる。羽根車14Cから吐き出された取扱液は、3段目ポンプユニット1Cのポンプケーシング2Cに形成された連通流路26Cを流れて、吐出口16から吐出される。図示した例では、連通流路26Cには、中間ディフューザー22Cが配置されているが、この中間ディフューザー22Cを省略してもよい。
初段ポンプユニット1Aのモータ固定子6Aは、初段ディフューザー21が固定される壁面とは反対側の面に接触している。より具体的には、モータ固定子6Aは、環状の突起25Aを有しており、該突起25Aの先端が、初段ディフューザー21が固定される吸込ケーシング4のケーシング本体4bの底壁の外面に接触している。モータ固定子6Aで発生した熱は、突起25Aからケーシング本体4bを介して初段ディフューザー21に伝わる。初段ディフューザー21は、吸込流路4cを流れる取扱液に接触しているので、モータ固定子6Aの突起25Aからケーシング本体4bを介して初段ディフューザー21に伝えられた熱は取扱液に効率よく放散される。その結果、モータ固定子6Aを効率よく冷却することができる。
同様に、2段目ポンプユニット1Bのモータ固定子6Bは、中間ディフューザー22Aが固定される壁面とは反対側の面に接触しており、3段面ポンプユニット1Cのモータ固定子6Cは、中間ディフューザー22Bが固定される壁面とは反対側の面に接触している。より具体的には、モータ固定子6Bの環状の突起25Bの先端は、中間ディフューザー22Aが固定される初段ポンプユニット1Aのポンプケーシング2Aの底壁の外面に接触しており、モータ固定子6Cの環状の突起25Cの先端は、中間ディフューザー22Bが固定される2段目ポンプユニット1Bのポンプケーシング2Bの底壁の外面に接触している。このような構成により、モータ固定子6Bで発生した熱は、突起25Bからポンプケーシング2Aを介して中間ディフューザー22Aに伝わり、該中間ディフューザー22Aから連通流路26Aを流れる取扱液に放散される。同様に、モータ固定子6Cで発生した熱は、突起25Cからポンプケーシング2Bを介して中間ディフューザー22Bに伝わり、該中間ディフューザー22Bから連通流路26Bを流れる取扱液に放散される。その結果、モータ固定子6B,6Cを効率よく冷却することができる。
このように、初段ディフューザー21、および中間ディフューザー22A,22Bは、モータ固定子6A,6B,6Cで発生した熱を取扱液に伝えて放散するための放熱部材としても機能する。その結果、従来のモータポンプで必要とされた冷却装置(例えば、冷却フィンまたは冷却ファン)が不要となるため、ポンプ装置100の大型化および製造コストの上昇を抑制することができる。さらに、ポンプ装置100に流入する取扱液の温度の上限値をあげることができるので、ポンプ装置100の運転範囲を拡大することができる。
初段ディフューザー21、および中間ディフューザー22A,22Bを形成する材料は任意である。しかしながら、初段ディフューザー21、および中間ディフューザー22A,22Bは、熱を効率よく取扱液に放散するために、高い熱伝導率を有する材料から形成されるのが好ましい。例えば、初段ディフューザー21、および中間ディフューザー22A,22Bは、ステンレススチールなどの金属から形成される。一実施形態では、初段ディフューザー21、および中間ディフューザー22A,22Bは、樹脂から形成されてもよい。
図7は、さらに他の実施形態に係るポンプ装置の概略断面図である。図7に示すポンプ装置100も、モータ固定子6A,6B,6Cを効率的に冷却する構成を備えている。なお、本実施形態で特に説明しない構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図7に示すポンプ装置100のポンプユニット1A,1B,1Cは、それぞれ、ディフューザー21,22A,22Bの代わりに、モータ室33A,33B,33Cに取扱液を流入させるための少なくとも1つのモータ室入口孔を有している。本実施形態では、モータ室33A,33B,33Cに取扱液が流入するため、モータ固定子6A,6B,6Cの固定子コイル24A,24B,24Cがショートしないように、取扱液は、絶縁性を有する液体(例えば、フッ素系の絶縁性液体)である。
一実施形態では、固定子コイル24A,24B,24Cの巻線として、耐水絶縁電線を用いてもよい。この場合は、モータ室33A,33B,33Cに導電性を有する取扱液(例えば、水)が流入しても、固定子コイル24A,24B,24Cがショートすることはない。耐水絶縁電線は、巻線自体が防液性(防水性)を有する電線の総称である。耐水絶縁電線は、例えば、銅線などの導体の外周面に被覆されたエナメルなどの絶縁性材料層と、該絶縁性材料層の外周面にさらに被覆された樹脂層とを有する。この樹脂層は、耐水絶縁性能に優れる樹脂から構成される。このような樹脂は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、または、ポリプロピレン等)である。
一実施形態では、各固定子コイル24A,24B,24Cの巻線全体を、絶縁性を有する樹脂でモールドしてもよい。このような構成でも、モータ室33A,33B,33Cに流入した、導電性を有する取扱液によって、固定子コイル24A,24B,24Cがショートすることはない。さらに、この実施形態では、固定子コイル24A,24B,24Cの巻線として、耐水絶縁電線よりも安価な絶縁被覆電線を用いることができる。
図7に示すポンプ装置100の初段ポンプユニット1Aには、モータ室33Aに取扱液を流入させるための環状の開口孔37Aが形成されている。開口孔37Aによって、モータケーシング3Aのモータ室33Aが吸込ケーシング4に形成された吸込流路4cと連通する。したがって、吸込ケーシング4の吸込流路4cを流れる取扱液の一部は、開口孔37Aを介してモータ室33Aに流入し、該モータ室33Aを満たす。すなわち、開口孔37Aは、吸込口4aから吸い込まれた取扱液をモータ室33Aに流入させるモータ室入口孔として機能する。モータ固定子6Aは、吸込流路4cから開口孔37Aを通ってモータ室33Aに流入した取扱液に浸漬される。
モータ固定子6Aに発生した熱は、モータ室33Aを満たした取扱液に伝わり、該取扱液の温度を上昇させる。しかしながら、ポンプ装置100の運転中、モータ室33A内の取扱液は、常に吸込ケーシング4の吸込流路4cを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行い(図7の黒塗り矢印参照)、これにより、モータ固定子6Aが冷却される。
同様に、2段目ポンプユニット1Bには、モータ室33Bに取扱液を流入させるための環状の開口孔(モータ室入口孔)37Bが形成され、開口孔37Bによって、モータケーシング3Bのモータ室33Bが連通流路26Aと連通する。3段目ポンプユニット1Cには、モータ室33Cに取扱液を流入させるための環状の開口孔(モータ室入口孔)37Cが形成され、開口孔37Cによって、モータケーシング3Cのモータ室33Cが連通流路26Bと連通する。2段目ポンプユニット1Bのモータ室33B、および3段目ポンプユニット1Cのモータ室33Cには、それぞれ、開口孔37B,37Cを介して取扱液が流入し、該モータ室33B,33C内のモータ固定子6B,6Cが取扱液に浸漬される。ポンプ装置100の運転中、モータ室33B,33C内の取扱液は、常に連通流路26A,26Bを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行うので、モータ固定子6B,6Cが冷却される。
このように、本実施形態では、各ポンプユニット1A,1B,1Cに、開口孔(モータ室入口孔)37A,37B,37Cを設けるといった簡易な構成で、モータ固定子6A,6B,6Cを効率的に冷却することができる。その結果、従来のモータポンプで必要とされた冷却装置(例えば、冷却フィンまたは冷却ファン)が不要となるため、ポンプ装置100の大型化および製造コストの上昇を抑制することができる。さらに、ポンプ装置100に流入する取扱液の温度の上限値をあげることができるので、ポンプ装置100の運転範囲を拡大することができる。
図7に示す例では、モータ室入口孔として機能する開口孔37Aは、環形状を有する1つの孔であり、吸込流路4cに連通している。しかしながら、本実施形態はこの例に限定されない。例えば、図8に示すように、モータ室入口孔として機能する複数の(図8では、6つの)開口孔37Aを吸込ケーシング4のケーシング本体4bの底壁に設けてもよい。複数の開口孔37Aをケーシング本体4bの底壁に設ける場合は、開口孔37Aの数、位置、断面形状、および大きさ(例えば、直径)は任意であるが、開口孔37Aをケーシング本体4bの周方向に沿って等間隔で配置するのが好ましい。さらに、モータ室入口孔として機能する1つのまたは複数の開口孔37Aを、モータケーシング3Aの液体流路3Aaに連通させてもよい。
同様に、モータ室入口孔として機能する複数の開口孔37Bと、モータ室入口孔として機能する複数の開口孔37Cを、それぞれ、初段ポンプユニット1Aのポンプケーシング2Aの底壁と、2段目ポンプユニット1Bのポンプケーシング2Bの底壁に設けてもよい。開口孔37Bの数、位置、断面形状、および大きさ(例えば、直径)は任意であるが、複数の開口孔37Bは、ポンプケーシング2Aの周方向に沿って等間隔で配置されるのが好ましい。同様に、開口孔37Cの数、位置、断面形状、および大きさ(例えば、直径)は任意であるが、複数の開口孔37Cは、ポンプケーシング2Bの周方向に沿って等間隔で配置されるのが好ましい。さらに、モータ室入口孔として機能する1つのまたは複数の開口孔37Bを、モータケーシング3Bの液体流路3Baに連通させてもよく、モータ室入口孔として機能する1つのまたは複数の開口孔37Cを、モータケーシング3Cの液体流路3Caに連通させてもよい。
本実施形態では、上述した案内部材15によって、吸込口4aを通過した取扱液が開口孔(モータ室入口孔)37Aを通過するように積極的に案内される。したがって、案内部材15によって、開口孔37Aの上方に常に低温の取扱液の流れが作り出され、これにより、モータ固定子6Aを効率よく冷却することができる。
図9は、図7に示すポンプ装置の変形例を説明するための概略断面図である。図9は、初段ポンプユニット1Aのモータケーシング3Aの一部を拡大して示している。図示はしないが、初段ポンプユニット1A以降のポンプユニット1B,1Cのポンプケーシング3B,3Cも図9に示す構成と同様の構成を有していてもよい。
図9に示すように、モータケーシング3Aは、内筒30Aと、該内筒30Aの半径方向外側に配置される外筒31Aと、内筒30Aおよび外筒31Aを連結する隔壁32Aと、を備えている。内筒30Aは、略円筒形状を有しており、その中心部には上記した流路3Aaが形成されている。外筒31Aも略円筒形状を有しており、隔壁32Aは環形状を有している。この隔壁32Aは、羽根車14Aとモータ固定子6Aとの間に位置しており、モータ固定子6Aが発生する回転磁界は、隔壁32Aを通って羽根車14Aの永久磁石5Aに到達する。
図9に示すように、隔壁32Aには、開口孔40Aが形成されている点で図7に示すモータケーシング3Aと異なる。なお、発明の理解を深めるために、図7では、図9に示す開口孔40A(および、開口孔40B,40Cも)点線で示している。隔壁32Aに形成された開口孔40Aによって、モータ室33Aがポンプケーシング2Aに形成された羽根車14Aの収容空間と連通する。
羽根車14Aから吐き出された取扱液の圧力は、羽根車14Aに吸い込まれる前の取扱液(すなわち、流路4c,3Aa,10Aaを流れる取扱液)の圧力よりも高い。したがって、羽根車14Aから吐き出された取扱液の一部は、開口孔40Aを通って、取扱液で満たされたモータ室33Aに流入することができる。すなわち、本実施形態では、隔壁32に形成された開口孔40Aが羽根車14Aから吐出された取扱液(すなわち、吸込口4aから吸い込まれた取扱液)をモータ室33Aに流入させるためのモータ室入口孔として機能する。
本実施形態では、開口孔(モータ室入口孔)40Aを通ってモータ室33Aに流入した取扱液によって、モータ室33Aを満たしていた取扱液が開口孔37Aを通って、吸込ケーシング4の吸込流路4cに押し出される。すなわち、上述した開口孔37Aは、開口孔40Aからモータ室33に流入した取扱液よって吸込流路4cに排出される取扱液のモータ室出口孔として機能する。このような構成によれば、羽根車14Aが回転している間、すなわち、ポンプ装置100の運転中は、モータ室33A内の取扱液が、常に、開口孔40Aから流入した低温の取扱液と入れ替えられる。したがって、より効率的にモータ固定子6Aを冷却することができる。
隔壁32に形成された開口孔40Aの数も任意である。例えば、隔壁32Aは、1つの環状の開口孔40Aのみを有していてもよいし、2つ以上の開口孔40Aを有していてもよい。複数の開口孔40Aが隔壁32Aに形成される場合は、開口孔40Aを隔壁32Aの周方向に沿って等間隔で配置するのが好ましい。一実施形態では、開口孔40Aの数は固定子コイル24Aの数に一致し、各固定子コイル24Aに対して1つの開口孔40Aが割り当てられる。
図10は、さらに他の実施形態に係るポンプ装置の概略断面図である。図10に示すポンプ装置100は、初段ポンプユニット1Aと、該初段ポンプユニット1Aに続く2段目ポンプユニット1Bとを有している。本実施形態では、2段目ポンプユニット1Bが複数のポンプユニット1A,1Bのうちの最も後段に位置するポンプユニットである。図示はしないが、ポンプ装置100は、2段目ポンプユニット1Bに続くさらなるポンプユニット1を有していてもよい。
図10に示すポンプ装置100は、ポンプユニット1A,1Bに駆動回路7A,7Bがそれぞれ内蔵されている点で図7に示すポンプ装置100と異なる。駆動回路7A,7Bをポンプ装置100に内蔵することにより、駆動回路7A,7Bを収容する箱体を別途用意する必要がなくなる。また、ポンプ装置100のメンテナンスが容易になる。
駆動回路7Aは、回路ケーシング27Aに収容されており、駆動回路7Bは、回路ケーシング27Bに収容されている。回路ケーシング7Bは、以下で説明する回路ケーシング7Aと同様の構成を有しているため、その重複する説明を省略する。
回路ケーシング27Aは、内筒27Aaと、該内筒27Aaの半径方向外側に配置される外筒27Abと、内筒27Aaおよび外筒27Abを連結する底壁27Acと、を備えている。内筒27Aaは、略円筒形状を有しており、その中心部には取扱液の流路27Adが形成されている。外筒27Abも略円筒形状を有しており、底壁27Acは環形状を有している。駆動回路7Aは、内筒27Aa、外筒27Ab、および底壁27Acで囲まれた駆動回路室27Aeに収容されている。本実施形態では、駆動回路7Aは、インバータ装置であり、環形状を有している。以下では、駆動回路7Aを「インバータ装置7A」と称することがあり、回路ケーシング27Aを「インバータケーシング27A」と称することがあり、駆動回路室27Aeを「インバータ室27Ae」と称することがある。同様に、駆動回路7Bを「インバータ装置7B」と称することがあり、回路ケーシング27Bを「インバータケーシング27B」と称することがあり、駆動回路室27Beを「インバータ室27Be」と称することがある。
インバータケーシング27Aは、吸込ケーシング4とモータケーシング3Aとの間に挟まれており、上記した吸込流路4cは、インバータケーシング27Aに形成された流路27Adに連結される。流路27Adは、さらにモータケーシング3Aに形成された流路3Aa、および軸受10Aに形成された流路10Aaに一列に連結される。吸込口4aから吸い込まれて、吸込ケーシング4の吸込流路4cを流れた取扱液は、インバータケーシング27Aの流路27Ad、モータケーシング3Aの流路3Aa、および軸受10Aの流路10Aaを直線状に流れて羽根車14Aの液体入口に吸い込まれる。
インバータ装置7Aは、パワー素子(例えば、IGBTなどのスイッチング素子)を有しており、該パワー素子を用いて固定子コイル24Aに供給する電流のタイミングを制御する。インバータ装置7Aは、パワー素子を集約したパワー素子モジュール29Aを有している。
初段ポンプユニット1Aを運転すると、主として、インバータ装置7Aのパワー素子から熱が発生する。すなわち、インバータ装置7Aの主要発熱源は、パワー素子である。本実施形態では、インバータ装置7Aの主要発熱源であるパワー素子をパワー素子モジュール29Aに集約している。
図10に示すように、インバータ装置7Aは、上述した初段ディフューザー21が固定される壁面とは反対側の面に接触している。より具体的には、インバータ装置7Aのパワー素子モジュール29Aが、初段ディフューザー21が固定される吸込ケーシング4のケーシング本体4bの底壁の外面に接触している。インバータ装置7A、特に、パワー素子モジュール29Aで発生した熱は、ケーシング本体4bを介して初段ディフューザー21に伝わる。初段ディフューザー21は、吸込流路4cを流れる取扱液に接触しているので、インバータ装置7Aからケーシング本体4bを介して初段ディフューザー21に伝えられた熱は取扱液に効率よく放散される。その結果、インバータ装置7Aを効率よく冷却することができる。
さらに、モータ固定子6Aがインバータケーシング27Aに接触している。より具体的には、モータ固定子6Aの突起25Aの先端がインバータケーシング27Aの底壁27Acの外面に接触している。モータ固定子6Aで発生した熱は、突起25Aからインバータケーシング27Aに伝わる。インバータケーシング27Aは、流路27Adを流れる取扱液に接触しているので、モータ固定子6Aの突起25Aからインバータケーシング27Aに伝えられた熱は取扱液に効率よく放散される。その結果、モータ固定子6Aを効率よく冷却することができる。
同様に、2段目ポンプユニット1Bのインバータ装置7Bは、上述した中間ディフューザー22Aが固定される壁面とは反対側の面に接触している。より具体的には、インバータ装置7Bのパワー素子モジュール29Bは、中間ディフューザー22Aが固定される初段ポンプユニット1Aのポンプケーシング2Aの底壁の外面に接触している。このような構成により、インバータ装置7B、特に、パワー素子モジュール29Bで発生した熱は、モータケーシング3Aを介して中間ディフューザー22Aに伝わり、該中間ディフューザー22Aから連通流路26Aを流れる取扱液に放散される。その結果、インバータ装置7Bを効率よく冷却することができる。
さらに、モータ固定子6Bの突起25Bの先端も、インバータケーシング27Bの底壁27Bcの外面に接触しており、モータ固定子6Bの突起25Bからインバータケーシング27Bに伝えられた熱は、インバータケーシング27Bの流路27Bdを流れる取扱液に効率よく放散される。その結果、モータ固定子6Bを効率よく冷却することができる。
本実施形態では、初段ディフューザー21、および中間ディフューザー22Aは、インバータ装置7A,7Bで発生した熱を取扱液に伝えて放散するための放熱部材としても機能する。その結果、従来のモータポンプで必要とされた冷却装置(例えば、冷却フィンまたは冷却ファン)が不要となるため、ポンプ装置100の大型化および製造コストの上昇を抑制することができる。さらに、ポンプ装置100に流入する取扱液の温度の上限値をあげることができるので、ポンプ装置100の運転範囲を拡大することができる。
図10に示すように、初段ポンプユニット1Aは、インバータケーシング27Aの流路27Adに配置された放熱フィン(放熱部材)50Aを有していてもよい。同様に、2段目ポンプユニット1Bは、インバータケーシング27Bの流路27Bdに配置された放熱フィン(放熱部材)50Bを有していてもよい。放熱フィン50Bは、放熱フィン50Aと同様の構成を有するので、その重複する説明を省略する。
放熱フィン50Aは、インバータケーシング27Aの内筒27Aaの内面から流路27Adに突出する板部材である。放熱フィン50Aは、インバータ装置7Aおよびモータ固定子6Aから発生した熱をインバータケーシング27Aの内筒27Aaを介して流路27Adを流れる取扱液に放散することができる。したがって、放熱フィン50Aによって、インバータ装置7Aおよびモータ固定子6Aをさらに効率よく冷却することができる。
放熱フィン50Aは、熱を効率よく取扱液に放散するために、高い熱伝導率を有するのが好ましい。例えば、放熱フィン50Aは、ステンレススチールなどの金属から形成される。
図11に示すように、放熱フィン50Aは、インバータケーシング27Aの内筒27Aaの周方向に均等に配置されるのが好ましい。図11では、8つの放熱フィン50Aがインバータケーシング27Aの内筒27Aaの内面に設けられる例が示されているが、放熱フィン50Aの数は任意である。
さらに、放熱フィン50Aは、インバータケーシング27Aの流路27Ad内の取扱液の流れを乱さないように、流路27Adにおける取扱液の流れ方向に平行に延びるのが好ましい。図10では、流路27Adにおける取扱液の流れ方向は、羽根車14Aの軸心方向に平行な方向である。
図12は、さらに他の実施形態に係るポンプ装置の概略断面図である。図12に示すポンプ装置100も、インバータ装置7A,7Bおよびモータ固定子6A,6Bを効率的に冷却する構成を備えている。なお、本実施形態で特に説明しない構成は、図10に示す実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図12に示すポンプ装置100は、ディフューザー21,22Aの代わりに、インバータ室27Ae,27Beに取扱液を流入させるための少なくとも1つのインバータ室入口孔を有している。本実施形態では、インバータ室27Ae,27Beに取扱液が流入するため、インバータ装置7A,7Bがショートしないように、取扱液は、絶縁性を有する液体(例えば、フッ素系の絶縁性液体)である。
一実施形態では、各インバータ装置7A,7Bの全体を、絶縁性を有する樹脂でモールドしてもよい。この場合は、インバータ室27Ae,27Beに導電性を有する取扱液(例えば、水)が流入しても、インバータ装置7A,7Bがショートすることはない。
本実施形態でも、特に説明しない限り、インバータケーシング7Bは、以下で説明するインバータケーシング7Aと同様の構成を有しているため、その重複する説明を省略する。
図12に示す初段ポンプユニット1Aには、インバータ室27Aeに取扱液を流入させるための複数の開口孔53Aが形成されている。より具体的には、複数の開口孔53Aは、吸込ケーシング4のケーシング本体4bの底壁に形成されている。複数の開口孔53Aは、好ましくは、吸込ケーシング4の周方向に沿って等間隔で配置される。開口孔53Aによって、インバータケーシング27Aのインバータ室27Aeが吸込ケーシング4の吸込流路4cと連通する。したがって、吸込ケーシング4の吸込流路4cを流れる取扱液の一部は、開口孔53Aを介してインバータ室27Aeに流入し、該インバータ室27Aeを満たす。すなわち、開口孔53Aは、吸込口4aから吸い込まれた取扱液をインバータ室27Aeに流入させるインバータ室入口孔として機能する。インバータ装置7Aは、吸込流路4cから開口孔53Aを通ってインバータ室27Aeに流入した取扱液に浸漬される。
インバータ装置7Aに発生した熱は、インバータ室27Aeを満たした取扱液に伝わり、該取扱液の温度を上昇させる。しかしながら、ポンプ装置100の運転中、インバータ室27Ae内の取扱液は、常に吸込ケーシング4の吸込流路4cを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行い、これにより、インバータ装置7Aが冷却される。
さらに、モータ固定子6Aの突起25Aの先端がインバータケーシング27Aの底壁の外面に接触しているので、モータ固定子6Aで発生した熱は、突起25Aからインバータケーシング27Aに伝わる。インバータケーシング27Aのインバータ室27Ae内は、取扱液で満たされているので、モータ固定子6Aの突起25Aからインバータケーシング27Aに伝えられた熱はインバータ室27Ae内の取扱液に効率よく放散される。その結果、モータ固定子6Aを効率よく冷却することができる。
同様に、2段目ポンプユニット1Bには、インバータ室27Beに取扱液を流入させるための複数の開口孔(インバータ室入口孔)53Bが形成され、開口孔53Bによって、インバータケーシング27Bのインバータ室27Beが初段ポンプユニット1Aの連通流路26Aと連通する。2段目ポンプユニット1Bのインバータ室27Beには、開口孔53Bを介して取扱液が流入し、該インバータ室27Be内のインバータ装置7Bが取扱液に浸漬される。ポンプ装置100の運転中、インバータ室27Be内の取扱液は、常に連通流路26Aを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行うので、インバータ装置7Bが冷却される。さらに、モータ固定子6Bの突起25Bの先端がインバータケーシング27Bの底壁の外面に接触しているので、モータ固定子6Bで発生した熱は、突起25Bからインバータケーシング27Bを介してインバータ室27Be内の取扱液に効率よく放散される。その結果、モータ固定子6Bを効率よく冷却することができる。
図12に示す実施形態では、初段ポンプユニット1Aは、吸込流路4cに連通し、インバータ室入口孔として機能する複数の開口孔53Aを有しているが、本実施形態はこの例に限定されない。例えば、初段ポンプユニット1Aは、インバータ室入口孔として機能する1つの開口孔53Aを有していてもよい。さらに、インバータ室入口孔として機能する1つのまたは複数の開口孔53Aを、インバータケーシング27Aの流路27Aeと連通させてもよい。
同様に、2段目ポンプユニット1Bは、連通流路26Aに連通し、インバータ室入口孔として機能する複数の開口孔53Bを有しているが、本実施形態はこの例に限定されない。例えば、初段ポンプユニット1Bは、インバータ室入口孔として機能する1つの開口孔53Bを有していてもよい。さらに、インバータ室入口孔として機能する1つのまたは複数の開口孔53Bを、インバータケーシング27Bの流路27Beと連通させてもよい。
このように、本実施形態では、各ポンプユニット1A,1Bに開口孔(インバータ室入口孔)53A,53Bを設けるといった簡易な構成で、インバータ装置7A,7B、およびモータ固定子6A,6Bを効率的に冷却することができる。その結果、従来のモータポンプで必要とされた冷却装置(例えば、冷却フィンまたは冷却ファン)が不要となるため、ポンプ装置100の大型化および製造コストの上昇を抑制することができる。さらに、ポンプ装置100に流入する取扱液の温度の上限値をあげることができるので、ポンプ装置100の運転範囲を拡大することができる。
図12に示す実施形態では、上述した案内部材15によって、吸込口4aを通過した取扱液が開口孔(インバータ室入口孔)53Aを通過するように積極的に案内される。したがって、案内部材15によって、開口孔53Aの上方に常に低温の取扱液の流れが作り出され、これにより、インバータ装置7Aおよびモータ固定子6Aを効率よく冷却することができる。さらに、インバータケーシング27Aのインバータ室27Aeに満たされた取扱液によって、インバータ装置7Aの全体を直接冷却することができる。そのため、インバータ装置7Aは、その内部にパワー素子モジュール29Aを配置してもよい。同様に、インバータ装置7Bは、その内部にパワー素子モジュール29Bを配置してもよい。
図13は、図12に示すポンプ装置の変形例を説明するための概略断面図である。図13は、初段ポンプユニット1Aのインバータケーシング27Aおよびモータケーシング3Aを拡大して示している。図示はしないが、初段ポンプユニット1A以降のポンプユニット1Bのインバータケーシング27Bおよびモータケーシング3Bも図13に示す構成と同様の構成を有していてもよい。特に説明しない本実施形態の構成は、図12に示すポンプ装置100の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図13に示す実施形態では、インバータ室入口孔として機能する複数の開口孔53Aがインバータケーシング27Aの内筒27Aaに形成されている。インバータ室27Aeには、インバータケーシング27Aの流路27Adを流れる取扱液が流入する。
さらに、インバータケーシング27Aの底壁27Acには、少なくとも1つの開口孔54Aが形成されている。図13に示すように、モータケーシング3Aは、インバータケーシング27Aに連結されている。より具体的には、モータケーシング3Aは、インバータケーシング27Aの底壁27Acに連結されている。したがって、開口孔54Aによって、モータ室33Aがインバータ室27Aeと連通する。底壁27Acに形成された開口孔54Aは、インバータ室27Ae内の取扱液をモータケーシング3Aのモータ室33Aに流入させるための少なくとも1つの連通孔として機能する。
モータ固定子6Aで発生した熱は、連通孔54Aを介して、モータ室33Aに流入した取扱液に伝わり、さらに、インバータ室27Ae内の取扱液に伝わる。しかしながら、インバータ室27Ae内の取扱液は、常にインバータケーシング27Aの流路27Adを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行うので、インバータ装置7Aおよびモータ固定子6Aを効率よく冷却することができる。なお、本実施形態では、モータ固定子6Aの全体がモータ室33Aを満たした取扱液によって冷却される。そのため、モータ固定子6Aの突起25Aを省略することができる。
連通孔として機能する開口孔54Aの代わりに、モータケーシング3Aの内筒30Aに、上述した開口孔37A(図13の点線参照)を設けてもよい。開口孔37Aは、モータケーシング3Aの流路3Aaを流れる取扱液をモータ室33Aに流入させるモータ室入口孔として機能する。この場合、インバータ室27Aeは、インバータケーシング27Aの流路27Adから開口孔53Aから流入する取扱液によって満たされ、モータ室33Aは、モータケーシング3Aの流路3Aaから開口孔37Aを介して流入する取扱液で満たされる。
一実施形態では、モータケーシング3Aの隔壁32Aに、開口孔40Aを形成してもよい。上述したように、羽根車14Aから吐き出された取扱液の圧力は、羽根車14Aに吸い込まれる前の取扱液(すなわち、流路4c,27Ad,3Aa,10Aaを流れる取扱液)の圧力よりも高い。したがって、羽根車14Aから吐き出された取扱液の一部は、開口孔40Aを通って、取扱液で満たされたモータ室33Aに流入し、さらに、インバータ室27Aeに流入することができる。すなわち、本実施形態でも、隔壁32Aに形成された開口孔40Aが羽根車14Aから吐出された取扱液(すなわち、吸込口4aから吸い込まれた取扱液)をモータ室33Aに流入させるためのモータ室入口孔として機能する。
開口孔(モータ室入口孔)40Aを通ってモータ室33Aに流入した取扱液によって、モータ室33Aを満たしていた取扱液が連通孔54Aを通って、インバータケーシング27Aのインバータ室27Aeに押し出される。連通孔54Aを介してインバータ室27Aeに流入した取扱液は、インバータ室27Aeを満たしていた取扱液を開口孔53Aを介してインバータケーシング27Aの流路27Adに押し出す。すなわち、上述した開口孔53Aは、連通孔54Aからインバータ室27Aeに流入した取扱液よってインバータケーシング27Aの流路27Adに排出される取扱液のインバータ室出口孔として機能する。このような構成によれば、羽根車14Aが回転している間、すなわち、ポンプ装置100の運転中は、モータ室33Aおよびインバータ室27Ae内の取扱液が、常に、開口孔40Aから流入した低温の取扱液と入れ替えられる。したがって、より効率的にモータ固定子6Aおよびインバータ装置7Aを冷却することができる。
図14に示すように、インバータケーシング27Aは、開口孔54Aが開口孔53Aに接続された大きな開口孔を有していてもよい。このような構成により、インバータ室27Aeおよびモータ室33Aに取扱液を同時にかつ容易に導くことが可能となる大きな開口孔を初段ポンプユニット1Aに設けることができる。
図15は、図13に示すポンプ装置の他の変形例を説明するための概略断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図13に示す実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図15に示す実施形態では、インバータケーシング27Aの少なくとも1つの開口孔(インバータ室入口孔)53Aは、吸込ケーシング4に形成された流路4cに開口している。この開口孔53Aによって、インバータケーシング27Aのインバータ室27Aeは流路4cに連通し、流路4cを流れる取扱液がインバータ室27Aeに流入する。インバータ室27Aeは、流路4cから開口孔53Aを通って流入した取扱液によって満たされる。
さらに、インバータ室27Aeに流入した取扱液は、開口孔(連通孔)54Aを通ってモータ室33Aに流入し、該モータ室33Aを満たす。本実施形態では、インバータ室27Ae内の取扱液は、常に吸込ケーシング4の流路4cを流れるより低温の取扱液と直接的に熱交換を行うので、インバータ装置7Aおよびモータ固定子6Aを効率よく冷却することができる。
図13を参照して説明した実施形態と同様に、連通孔として機能する開口孔54Aの代わりに、モータケーシング3Aの内筒30Aに、上述した開口孔37A(図15の点線参照)を設けてもよい。開口孔37Aは、モータケーシング3Aの流路3Aaを流れる取扱液をモータ室33Aに流入させるモータ室入口孔として機能する。
さらに、モータケーシング3Aの隔壁32Aに、開口孔40Aを形成してもよい。この場合、隔壁32Aに形成された開口孔40Aが羽根車14Aから吐出された取扱液(すなわち、吸込口4aから吸い込まれた取扱液)をモータ室33Aに流入させるためのモータ室入口孔として機能する。羽根車14Aから吐き出された取扱液の一部は、開口孔40Aを通って、取扱液で満たされたモータ室33Aに流入し、さらに、開口孔54Aを介してインバータ室27Aeに流入することができる。
開口孔(モータ室入口孔)40Aを通ってモータ室33Aに流入した取扱液によって、モータ室33Aを満たしていた取扱液が連通孔54Aを通って、インバータケーシング27Aのインバータ室27Aeに押し出される。連通孔54Aを介してインバータ室27Aeに流入した取扱液は、インバータ室27Aeを満たしていた取扱液を開口孔53Aを介してインバータケーシング27Aの流路27Adに押し出す。したがって、開口孔40Aをモータケーシング3Aの隔壁32Aに設けた場合は、上述した開口孔53Aは、連通孔54Aからインバータ室27Aeに流入した取扱液よってインバータケーシング27Aの流路27Adに排出される取扱液のインバータ室出口孔として機能する。このような構成によれば、羽根車14Aが回転している間、すなわち、ポンプ装置100の運転中は、モータ室33Aおよびインバータ室27Ae内の取扱液が、常に、開口孔40Aから流入した低温の取扱液と入れ替えられる。したがって、より効率的にモータ固定子6Aおよびインバータ装置7Aを冷却することができる。
図16は、上述した実施形態に係るポンプ装置100が搭載された給水装置の一例を示す模式図である。給水装置は、例えば、オフィスビルやマンションなどの建物に水を供給するための装置である。
図16に示す給水装置200は、上述した実施形態に係るポンプ装置100を備えている。本実施形態では、上述した制御部8は給水装置200全体の動作を制御する制御部として使用される。ポンプ装置100の初段ポンプユニット1Aの吸込ケーシング4の吸込口4aは、吸込管219を介して水道本管209に接続されている。ポンプ装置100の最も後段に位置するポンプユニット1Cに形成された吐出口16は排水管220を介して給水管207に接続されている。この給水管207は、図示しない建物の給水栓(蛇口など)に連通している。
図16では、各ポンプユニット1A,1B,1Cの運転速度を調整する駆動回路7A,7B,7Cの図示を省略しているが、これら駆動回路7A,7B,7Cは、各ポンプユニット1A,1B,1Cの外部に配置されていてもよいし(図3(a)乃至図3(c)参照)、各ポンプユニット1A,1B,1Cに内蔵されていてもよい(図10、図12、図13、図14、および図15参照)。
本実施形態の給水装置200は、水道本管209の圧力を利用し、必要に応じて増圧することで建物の各給水栓に水を供給するように構成される。このタイプの給水装置200は、吸込側が水道本管209に直結されているので、直結型給水装置と呼ばれる。ただし、本発明は本実施形態に限定されず、給水装置200は、吸込側が受水槽に接続された受水槽型給水装置であってもよい。
図16に示す給水装置200は、水を加圧するための複数のポンプユニット1A,1B,1Cを有するポンプ装置100と、ポンプ装置100の最も後段に位置するポンプユニット1Cの吐出し側に配置された逆止弁222と、逆止弁222の吐出し側に配置されたフロースイッチ224と、フロースイッチ224の吐出し側に配置された吐出し圧力センサ226および圧力タンク223を備えている。
逆止弁222およびフロースイッチ224は、排水管220に取り付けられている。吐出し圧力センサ226および圧力タンク223は、排水管220に接続されている。逆止弁222は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cの全てが停止しているときの水の逆流を防止するための弁である。フロースイッチ224は複数のポンプユニット1A,1B,1Cを流れる水の流量を検出する流量検出器である。本実施形態におけるフロースイッチ224は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cから吐き出された水の流量が所定の値以下にまで低下したことを検出する。一実施形態として、フロースイッチ224は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cに流入する水の流量を検出してもよい。
吐出し圧力センサ226は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cの吐出し圧力を測定するための水圧測定器である。圧力タンク223は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cが停止している間の吐出し圧力を保持するための圧力保持器である。
各ポンプユニット1A,1B,1Cには、電源(商用電源)9からそれぞれ延びる電力線(リード線)17A,17B,17Cが接続されている。電力線17A,17B,17Cには、漏電遮断器(Earth Leakage Circuit Breaker:ELB)238がそれぞれ設けられている。
図示はしないが、駆動回路7A,7B,7Cが各ポンプユニット1A,1B,1Cの外部に配置される場合は、駆動回路7A,7B,7Cは、それぞれ、漏電遮断器238と各ポンプユニット1A,1B,1Cの間の電力線17A,17b,17Cに配置される。
ポンプユニット1A,1B,1Cは、それぞれ、ポンプユニット1A,1B,1Cの温度を測定する温度センサ18A,18B,18Cを有している。図9、図12、図13、図14、および図15に示すように、温度センサ18Aは、例えば、モータ固定子6Aに取り付けられている。同様に、温度センサ18B,18Cも、それぞれ、モータ固定子6B,6Cに取り付けられている。温度センサ18A,18B,18Cは、その測定値を制御部8に送る。
さらに、図9、図12、図13、図14、および図15に示すように、初段ポンプユニット1Aは、該初段ポンプユニット1Aの振動を検知する振動センサ20Aを有していてもよい。振動センサ20Aは、初段ポンプユニット1Aの運転時に発生する振動を検出する。振動センサ20Aは、例えば、振動の振幅(大きさ)、向き、および/または加速度を検出可能なセンサである。本実施形態では、振動センサ20Aは、モータケーシング3Aの内筒30Aに配置されており、制御部8に接続されている。振動センサ20Aは、その測定値を制御部8に送る。同様に、2段目ポンプユニット1B、および3段目ポンプユニット1Cも、それぞれ、2段目ポンプユニット1Bの運転時に発生する振動、および3段目ポンプユニット1Cの運転時に発生する振動を測定する振動センサを有していてもよい。これら振動センサも制御部8に接続されており、その測定値を制御部8に送る。
制御部8は、給水装置200の運転に必要な各種設定値、およびプログラムを記憶した第1記憶装置227と、第1記憶装置227に記憶されたプログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置(例えばCPU)228とを備えている。フロースイッチ224、吐出し圧力センサ226、および温度センサ18A,18B,18Cは、制御部8に信号線によって接続されている。上記振動センサ(図9、図12、図13、図14、および図15に示す振動センサ20A参照)がポンプユニット1A,1B,1Cにそれぞれ設けられる場合は、これら振動センサも信号線によって制御部8に接続される。
各ポンプユニット1A,1B,1Cの駆動回路7A,7B,7Cは、通信線230によって制御部8に接続されている。通信線230の一端は、制御部8の通信ポート226に接続される。通信線230の他端は、ポンプ装置100に設けられたポンプユニット1A,1B,1Cの数に応じて分岐され、各駆動回路7A,7B,7Cに接続される。制御部8と各駆動回路7A,7B,7Cは、各種指令や各種設定値の送受信のための通信を行う。
制御部8は、以下に説明する自動運転による給水を行う。自動運転では、複数のポンプユニット1A,1B,1Cは、初段ポンプユニット1Aが最初に起動され、その後、残りのポンプユニット1B,1Cが基本的に交互に始動されるように制御部8によって制御される。複数のポンプユニット1A,1B,1Cの全てを停止するときは、最後に初段ポンプユニット1Aが停止される。制御部8は、初段ポンプユニット1A以外のポンプユニット1B,1Cのそれぞれの運転回数や停止時間が平準化されるようにこれらポンプユニット1B,1Cの運転を制御する。制御部8は、初段ポンプユニット1A以外のポンプユニットの台数や並列運転する台数を、給水装置200の運転に必要な設定値として記憶するとよい。
次に、図17および図18を参照して、給水装置200の運転動作の一例を説明する。図17は、図16に示す給水装置200に搭載されたポンプ装置100の始動動作の一例を説明するためのフローチャートであり、図18は、図16に示す給水装置200に搭載されたポンプ装置100の停止動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図17に示すように、全てのポンプユニット1A,1B,1Cが停止状態にあるときに、制御部8は、所定の始動条件が成立したか否かを監視している(ステップ1参照)。例えば、制御部8は、吐出し圧力センサ226によって測定される吐出し圧力が所定の始動圧力以下であるか否かを監視している。全てのポンプユニット1A,1B,1Cが停止状態にあるときに建物内の水が使用されると、圧力タンク223内に保持されている水が建物に供給される。圧力タンク223は、ポンプユニット1A,1B,1Cの頻繁な起動停止を防止し、且つ給水圧力の変化を円滑に保つ作用をする。建物内でさらに水が使用されると、圧力タンク223内の水が少なくなり、結果として吐出し圧力が所定の始動圧力以下に低下する。制御部8は、所定の始動圧力を予め記憶しており、吐出し圧力が所定の始動圧力以下まで低下したときに、所定の始動条件が成立したと決定する。
所定の始動条件が成立すると(ステップ1のYES参照)、制御部8は、最初に、初段ポンプユニット1Aを始動させる(ステップ2参照)。この理由は、初段ポンプユニット1Aは、該初段ポンプユニット1Aに続く2段目ポンプユニット1Bまで前記取扱液を所望の流量で移送可能な吸込性能を有するからである。制御部8は、始動時の初段ポンプユニット1Aの運転速度を、給水装置200の運転に必要な設定値として記憶するとよい。
初段ポンプユニット1Aの運転中に、制御部8は、吐出し圧力センサ226から送られる吐出し圧力の測定値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御を実行する。吐出圧力一定制御では、吐出し圧力が所定の目標値(設定圧力)を維持するように一定に制御される。推定末端圧力一定制御で制御部8は、吐出し圧力の目標値を適切に変化させることにより、建物内の末端の給水栓での水圧(末端圧)が所定の圧力(設定圧力)を維持するように制御する。
初段ポンプユニット1Aの運転中に給水先での水の需要が増えると、制御部8は、待機中のポンプユニット1B,1Cのいずれかを追加運転する。具体的には、制御部8は、初段ポンプユニット1Aを始動した後で、次ポンプユニットを追加運転するか否かを決定するための条件が成立したか否かを監視している(ステップ3参照)。以下では、次ポンプユニットを追加運転するか否かを決定するための条件を「次ポンプユニット始動条件」と称する。制御部8は、次ポンプユニット始動条件を、給水装置200の運転に必要な設定値として予め記憶している。
次ポンプユニット始動条件は、例えば、初段ポンプユニット1Aの運転速度、または吐出し圧力センサ226によって測定される吐出し圧力である。初段ポンプユニット1Aの運転中に、給水先での水の需要が増えると、初段ポンプユニット1Aの運転速度が増加する。制御部8は、次ポンプユニット始動条件として初段ポンプユニット1Aの運転速度のしきい値を予め記憶している。制御部8は、初段ポンプユニット1Aの運転速度がしきい値を超えると、次ポンプユニット始動条件が成立したと決定する。
あるいは、制御部8は、次ポンプユニット始動条件として吐出し圧力のしきい値を予め記憶していてもよい。初段ポンプユニット1Aの運転中に、給水先での水の需要が増えると、吐出し圧力が低下する。制御部8は、吐出し圧力がしきい値よりも低下したときに、次ポンプユニット始動条件が成立したと決定する。
次ポンプユニット始動条件が成立すると(ステップ3のYES参照)、制御部8は、次ポンプユニットを始動させる(ステップ4参照)。次ポンプユニットは、初段ポンプユニット1Aとは異なるポンプユニットであり、図16に示した給水装置では、2段目ポンプユニット1Bまたは3段目ポンプユニット1Cである。制御部8は、ポンプユニット1B,1Cが交互に始動されるように、2段目ポンプユニット1Bまたは3段目ポンプユニット1Cのいずれかを次ポンプユニットとして選択し、該次ポンプユニットを始動させる。
初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニット1B(または1C)の運転中も、制御部8は、吐出し圧力センサ226から送られる吐出し圧力の測定値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御を実行する。
給水先での水の需要がさらに増えると、制御部8は、待機中のポンプユニット1C(または1B)を追加運転する。具体的には、制御部8は、初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニット1B(または1C)を起動した後で、次々ポンプユニットを追加運転するか否かを決定するための条件が成立したか否かを監視している(ステップ5参照)。以下では、次々ポンプユニットを追加運転するか否かを決定するための条件を「次々ポンプユニット始動条件」と称する。制御部8は、次々ポンプユニット始動条件を、給水装置200の運転に必要な設定値として予め記憶している。
次々ポンプユニット始動条件は、例えば、次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度、または吐出し圧力センサ226によって測定される吐出し圧力である。初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニット1B(または1C)の運転中に、給水先での水の需要が増えると、次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度が増加する。制御部8は、次々ポンプユニット始動条件として次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度のしきい値を予め記憶している。制御部8は、次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度がしきい値を超えると、次々ポンプユニット始動条件が成立したと決定する。
あるいは、次ポンプユニット始動条件と同様に、制御部8は、次々ポンプユニット始動条件として吐出し圧力のしきい値を予め記憶していてもよい。初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニット1B(または1C)の運転中に、給水先での水の需要が増えると、吐出し圧力が低下する。制御部8は、吐出し圧力がしきい値よりも低下したときに、次々ポンプユニット始動条件が成立したと決定する。
次々ポンプユニット始動条件が成立すると(ステップ5のYES参照)、制御部8は、次々ポンプユニットを始動させる(ステップ6参照)。次々ポンプユニットは、初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニットとは異なるポンプユニットである。図16に示す給水装置200で、次ポンプユニットがポンプユニット1B(または1C)の場合は、次々ポンプユニットは、ポンプユニット1C(または1B)である。
初段ポンプユニット1A、次ポンプユニット1B(または1C)、および次々ポンプユニット1C(または1B)の運転中も、制御部8は、吐出し圧力センサ226から送られる吐出し圧力の測定値に基づいて推定末端圧力一定制御または吐出圧力一定制御を実行する。
次に、ポンプ装置100の停止動作について図18を参照して説明する。全てのポンプユニット1A,1B,1Cが運転中に給水先での水の需要が減ると、制御部8は、次々ポンプユニット1C(または1B)の運転を停止する。具体的には、制御部8は、全てのポンプユニット1A,1B,1Cが運転を始動した後で、次々ポンプユニット1C(または1B)を停止させるか否かを決定するための条件が成立したか否かを監視している(ステップ7参照)。以下では、次々ポンプユニット1C(または1B)を停止させる否かを決定するための条件を「次々ポンプユニット停止条件」と称する。制御部8は、次々ポンプユニット停止条件を、給水装置200の運転に必要な設定値として予め記憶している。
次々ポンプユニット停止動条件は、例えば、次々ポンプユニット1C(または1B)の運転速度、または吐出し圧力センサ226によって測定される吐出し圧力である。全てのポンプユニット1A,1B,1Cの運転中に、給水先での水の需要が減ると、次々ポンプユニット1C(または1B)の運転速度が減少する。制御部8は、次々ポンプユニット停止条件として次々ポンプユニット1C(または1B)の運転速度のしきい値を予め記憶している。制御部8は、次々ポンプユニット1C(または1B)の運転速度がしきい値よりも低下すると、次々ポンプユニット停止条件が成立したと決定する。
あるいは、制御部8は、次々ポンプユニット停止条件として吐出し圧力のしきい値を予め記憶していてもよい。全てのポンプユニット1A,1B,1Cの運転中に、給水先での水の需要が減ると、吐出し圧力が上昇する。制御部8は、吐出し圧力がしきい値よりも増加したときに、次々ポンプユニット停止条件が成立したと決定する。次々ポンプユニット停止条件が成立すると(ステップ7のYES参照)、制御部8は、次々ポンプユニット1C(または1B)を停止させる(ステップ8参照)。
次々ポンプユニット1C(または1B)を停止させた後で(すなわち、初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニット1B(または1C)の運転中に)、給水先での水の需要がさらに減ると、制御部8は、次ポンプユニット1B(または1C)を停止する。具体的には、制御部8は、次々ポンプユニット1C(または1B)を停止させた後で、次ポンプユニットを停止するか否かを決定するための条件が成立したか否かを監視している(ステップ9参照)。以下では、次ポンプユニット1B(または1C)を停止する否かを決定するための条件を「次ポンプユニット停止条件」と称する。制御部8は、次ポンプユニット停止条件を、給水装置200の運転に必要な設定値として予め記憶している。
次ポンプユニット停止条件は、例えば、次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度、または吐出し圧力センサ226によって測定される吐出し圧力である。初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニット1B(または1C)の運転中に、給水先での水の需要が減ると、次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度が減少する。制御部8は、次ポンプユニット停止条件として次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度のしきい値を予め記憶している。制御部8は、次ポンプユニット1B(または1C)の運転速度がしきい値よりも低下すると、次ポンプユニット停止条件が成立したと決定する。
あるいは、次々ポンプユニット停止条件と同様に、制御部8は、次ポンプユニット停止条件として吐出し圧力のしきい値を予め記憶していてもよい。初段ポンプユニット1Aおよび次ポンプユニット1B(または1C)の運転中に、給水先での水の需要が減ると、吐出し圧力が上昇する。制御部8は、吐出し圧力がしきい値よりも上昇したときに、次ポンプユニット停止条件が成立したと決定する。次ポンプユニット停止条件が成立すると(ステップ9のYES参照)、制御部8は、次ポンプユニット1B(または1C)を停止させる(ステップ10参照)。
次ポンプユニット1B(または1C)を停止させた後で(すなわち、初段ポンプユニット1Aのみの運転中に)、給水先での水の使用がさらに減ると(例えば、給水先での水の使用が停止されると)、制御部8は、初段ポンプユニット1Aを停止する。具体的には、制御部8は、次ポンプユニット1Bを停止させた後で、初段ポンプユニット1Aを停止するか否かを決定するための所定の条件が成立したか否かを監視している(ステップ11参照)。以下では、初段ポンプユニット1Aを停止する否かを決定するための所定の条件を「全停止条件」と称する。制御部8は、全停止条件を、給水装置200の運転に必要な設定値として予め記憶している。
全停止条件は、例えば、フロースイッチ224から送信される過少流量検出信号の受信の有無である。給水先での水の使用が減っていくと、複数のポンプユニット1A,1B,1Cを流れる水の流量が低下する。フロースイッチ224は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cを流れる水の流量が所定の値以下まで低下したこと(過少流量)を検出すると、過少流量検出信号を制御部8に送る。制御部8がこの過少流量検出信号を受けとると、制御部8は、全停止条件が成立したと決定する。
あるいは、制御部8は、全停止条件として吐出し圧力のしきい値を予め記憶していてもよい。初段ポンプユニット1Aの運転中に、給水先での水の需要が減ると、吐出し圧力が上昇する。制御部8は、吐出し圧力がしきい値よりも上昇したときに、全停止条件が成立したと決定する。
全停止条件が成立すると(ステップ11のYES参照)、制御部8は、吐出し圧力が所定の停止圧力に達するまで初段ポンプユニット1Aの回転速度を一時的に増加させる蓄圧運転を行い、圧力タンク223に蓄圧した後に初段ポンプユニット1Aを停止させる。このような初段ポンプユニット1Aの停止動作は、小水量停止動作と呼ばれる。また、小水量停止動作にて全てのポンプユニット1A,1B,1Cが停止した状態を小水量停止状態と称する。
次ポンプユニット1B(または1C)を停止させた後で(すなわち、ステップ10の後で)、次ポンプユニット始動条件が成立すると(ステップ3のYes参照)、制御部8は、再度、次ポンプユニット1B(または1C)を始動させる(ステップ4参照)。同様に、次々ポンプユニット1C(または1B)を停止させた後で(すなわち、ステップ8の後で)、次々ポンプユニット始動条件が成立すると(ステップ5のYes参照)、制御部8は、再度、次々ポンプユニット1C(または1B)を始動させる(ステップ6参照)。
このように、給水装置200のポンプ装置100の自動運転制御では、所定の始動条件が成立すると、最初に初段ポンプユニット1Aが始動される。さらに、初段ポンプユニット1Aは、他のポンプユニット1B,1Cが停止された後で所定の停止条件が成立するまで、その運転を継続する。すなわち、初段ポンプユニット1Aは、最後に停止される。
図16に示すように、制御部8は、吐出し圧力センサ226から延びる信号線が接続された圧力信号入力端子233、フロースイッチ224から延びる信号線が接続された流量信号入力端子234、および温度センサ18からそれぞれ延びる信号線が接続された温度信号入力端子235を備えている。吐出し圧力の測定値、過少流量検出信号、および各ポンプユニット1の温度の測定値は、圧力信号入力端子233、流量信号入力端子234、および温度信号入力端子235を通じて制御部8の処理装置228に入力されるようになっている。制御部8は、温度センサ18からそれぞれ送られてくるポンプユニット1の温度の測定値が上限値を超えたときは、ポンプ過熱の異常を検出したとして該当するポンプユニット1の運転を異常停止させる。
本実施形態では、異常停止は、異常が発生したポンプユニット1を強制的に運転不可能な状態にすることを言う。具体的には、運転中のポンプユニット1を異常停止させると、該ポンプユニット1は、その運転を停止させられる。停止中のポンプユニット1を異常停止させると、該ポンプユニット1は、停止状態を維持させられ、始動させることができなくなる。
制御部8は、電源9から延びる電力線から分岐する電力線242に接続されており、電力線242を通じて電力が制御部8に供給されるようになっている。制御部8は電源スイッチ243を備えており、この電源スイッチ243が入れられると、電力は電力線242を通じて制御部8に供給される。制御部8は、各ポンプユニット1が運転中であるかどうか(各ポンプユニット1の発停)を示すON/OFF信号である運転信号や、各ポンプユニット1などの故障を知らせる故障信号を装置外部に出力するための出力端子245をさらに備えている。
制御部8は、さらに、各漏電遮断器238から延びる信号線が接続されたトリップ信号入力端子239備えている。漏電遮断器238が漏電を検出すると、漏電遮断器238は制御部8にトリップ信号を発する。このトリップ信号は、トリップ信号入力端子239を通じて制御部8の処理装置228に入力される。制御部8は、トリップ信号を漏電遮断器238から受信したときは、異常を検出したとして、該当するポンプユニット1の運転を異常停止させる。
さらに、駆動回路7A,7B,7Cに電流を供給する電力線17A,17B,17Cには、電流センサ(電流検出手段)251がそれぞれ配置されている。これら電流センサ251は、各ポンプユニット1に流れる電流値をそれぞれ測定している。これら電流センサ251も制御部8に接続され、電力線17A,17B,17Cを流れる電流の測定値を制御部8に送る。図16では、図が煩雑となるのを避けるために、電流センサ251から制御部8まで延びる信号線を省略している。電流センサ251によって測定された各ポンプユニット1に供給される電流値も制御部8の処理装置228に入力される。なお、駆動回路7A,7B,7Cがインバータ装置である場合は、該駆動回路7A,7B,7Cから各ポンプユニット1に供給される電流の大きさが制御部8に送られ、処理装置228に入力される。
制御部8は、各ポンプユニット1に供給される電流のリミット値を予め記憶しており、各ポンプユニット1に供給される電流の測定値がリミット値を超えたときは、過電流異常を検出したとして、該当するポンプユニット1を異常停止する。
さらに、ポンプ装置100が各ポンプユニット1の振動を測定する振動センサ20を有する場合は、これら振動センサ20も制御部8に接続され、振動の測定値を制御部8に送る。制御部8に送られた振動の測定値も処理装置228に入力される。
各ポンプユニット1の運転状態(ポンプユニット1が正常に運転されているか否か)を、運転中のポンプユニット1に発生する振動に基づいて判断することができる。例えば、羽根車14および/または軸受10に不具合が発生すると、ポンプユニット1に発生する振動の振幅および加速度が大きくなる。そこで、制御部8は、振動センサ20から送信される振動の測定値(振動の振幅、向き、および/または加速度の測定値)が所定のしきい値を超えたときは、振動異常を検出したとして、該当するポンプユニット1を異常停止する。
このように、制御部8は、各ポンプユニット1で発生した異常をポンプユニット1ごとに検出可能に構成されている。制御部8は、複数のポンプユニット1A,1B,1Cのうち、異常が発生したポンプユニット1のみを異常停止させる。建物に水を供給する給水装置200はライフラインであるため、極力断水を回避することが望まれる。本実施形態に係るポンプ装置100を備えた給水装置200によれば、異常が発生しているポンプユニット1とは異なるポンプユニット1を運転させることで、取扱液である水道水を建物に供給し続けることができる。以下では、この運転制御動作の一例を説明する。
制御部8は、初段ポンプユニット1A以外のポンプユニット1B,1Cで異常が発生した場合、該異常が発生したポンプユニット1B(または1C)のみを異常停止させる。異常停止させられたポンプユニット1B(または1C)が運転中である場合は、制御部8は、初段ポンプユニット1Aの運転を継続しつつ、異常停止させられたポンプユニット1B(または1C)とは異なるポンプユニット1C(または1B)を始動させる。
異常停止させられたポンプユニット1B(または1C)が停止中である場合は、該ポンプユニット1B(または1C)を始動させることができない。この場合に、次ポンプユニット始動条件が成立すると(図14のステップ3のYes参照)、制御部8は、異常停止中のポンプユニット1B(または1C)とは異なるポンプユニット1C(または1B)を始動させる。したがって、給水装置200は、所望の流量を有する水を所望の吐出し圧力で給水先に送ることができる。
異常停止させられたポンプユニットが初段ポンプユニット1Aである場合、制御部8は、全てのポンプユニット1A,1B,1Cを異常停止にする。一実施形態では、初段ポンプユニット1Aが異常停止させられた場合に、他のポンプユニット1B,1Cを運転して、給水先に水を供給してもよい。この場合、給水先に供給可能な水の流量は、所望の流量よりも小さいおそれがあるが、建物の断水を防止することができる。
一実施形態では、制御部8は、過熱により各ポンプユニット1を非常停止させるための第1のしきい値を記憶しており、各ポンプユニット1に取り付けられた温度センサ18から出力されたポンプ温度の測定値がこの第1のしきい値以上になった場合は、該当するポンプユニット1を非常停止させる。
さらに、制御部8は、第1のしきい値よりも低い第2のしきい値を予め記憶している。第1のしきい値は、ポンプユニット1が過熱により非常停止されるポンプユニット1の温度であり、例えば、60℃である。第2のしきい値は、この第1のしきい値よりも低く、例えば、50℃に設定される。温度センサ18により測定されたポンプ温度が第2のしきい値よりも高い場合、制御部8は該当するポンプユニット1に温度異常が発生したと決定して、該当するポンプユニット1のみを異常停止させる(温度停止)。
さらに、制御部8は、異常停止されたポンプユニット1以外のポンプユニット1を始動して、所望の流量を有する水を所望の吐出し圧力で給水先に送り続ける。これにより、複数のポンプユニット1A,1B,1Cを水が流れるので、温度異常により異常停止されたポンプユニット1の温度をすばやく低下させることができる。
制御部8は、第2のしきい値よりも低い第3のしきい値を有していてもよい。第3のしきい値は、温度異常によって異常停止されたポンプユニット1が再運転可能となる温度であり、「復帰温度」と称されることもある。異常停止されたポンプユニット1の温度が第3のしきい値以下になると、制御部8は、該当するポンプユニット1の異常停止を解除する。これにより、全てのポンプユニット1の運転が可能となる。
建物への断水を極力回避するために、初段ポンプユニット1Aの定格容量を、他のポンプユニット1B,1Cの定格容量よりも大きくしてもよい。さらに、初段ポンプユニット1Aに供給される電流のリミット値を、他のポンプユニット1B,1Cに供給される電流のリミット値と異ならせてもよい。例えば、初段ポンプユニット1Aに供給される電流のリミット値を他のポンプユニット1B,1Cに供給される電流のリミット値よりも小さく設定してもよい。このような措置を取ることで、初段ポンプユニット1Aを余裕を持って運転することが可能となり、初段ポンプユニット1Aの長寿命化を期待できる。
給水装置200のユーザーによっては、給水装置200の運転を極力継続して欲しいと希望する場合がある。この場合、制御部8は、温度センサ18Aによって測定される初段ポンプユニット1Aのポンプ温度が上記第2のしきい値に到達しても、初段ポンプユニット1Aの運転を継続させてもよい。すなわち、制御部8は、初段ポンプユニット1Aのポンプ温度が上記第1のしきい値に到達して非常停止されるまで、初段ポンプユニット1Aの運転を継続させてもよい。
図16に示すように、給水装置200に搭載されるポンプ装置100は、制御部8に接続された操作装置247をさらに備えていてもよい。本実施形態では、操作装置247は制御部8上に配置されているが、制御部8に電気的に接続されている限りにおいて、操作装置247は制御部8から離れて配置されてもよい。例えば、操作装置247は、近距離無線通信(NFC)やBLUETOOTH(登録商標)などの無線通信、または有線ネットワーク、シリアル通信などの有線通信により制御部8に接続された、表示操作可能な外部表示器(不図示)であってもよい。図16に示す操作装置247は、各ポンプユニット1の試験・停止・自動運転を選択する運転切替スイッチ252と、運転・故障を示すランプ253と、給水装置200の運転に必要な各種設定値(例えば吐出し圧力など)を制御部8に入力するための操作ボタン254を有する入力装置としての操作部255とを備えている。さらに、操作装置247は、給水や駆動回路7A,7B,7Cに関する情報を表示するための液晶ディスプレイなどからなる表示装置256を備えている。入力装置としての操作部255と、表示装置256は、一体的な構成であるが、一実施形態では、操作部255と表示装置256は離れて配置されてもよい。
運転切替スイッチ252を操作することにより、各ポンプユニット1の運転状態を切り替えることができる。具体的には、操作装置247の運転切替スイッチ252にて「自動」を選択すると、制御部8は上述した自動運転による給水を行うため、インバータ装置である駆動回路7A,7B,7Cは制御部8からの指令に従って各ポンプユニット1の運転を可変速制御する。運転切替スイッチ252にて「停止」を選択すると、制御部8は、吐出し圧力の状態にかかわらず、各ポンプユニット1の運転を停止する。また、運転切替スイッチ252にて「試験」を選択すると、ユーザーは、制御部8を介して、各ポンプユニット1を手動で運転することができる。
また、操作部255の操作ボタン254を操作することにより、給水装置200の運転に必要な各種設定値を入力したり、駆動回路7A,7B,7Cの可変速制御で用いる設定(例えば加速時間や減速時間、ストール電流値等の可変速制御パラメータ)や表示装置256に表示する内容を変更する(切り替える)ことができるようになっている。給水装置200の運転に必要な各種設定値の例としては、吐出し圧力の設定値、各ポンプユニット1の温度に関する第1乃至第3のしきい値などが挙げられる。吐出し圧力の設定値は、具体的には、圧力一定制御の設定圧力または/および推定末端圧一定制御の設定圧力である。推定末端圧一定制御の設定圧力は、最大流量時の複数のポンプユニット1A,1B,1Cの吐出し圧力の目標値であってもよい。その他、始動条件、次ポンプユニット始動条件、次々ポンプユニット始動条件、次々ポンプユニット停止条件、次ポンプユニット停止条件、および全停止条件も給水装置200の運転に必要な各種設定値に含まれる。さらに、上記異常停止の検出パラメータも給水装置200の運転に必要な各種設定値に含まれる。
図19は、上述した実施形態に係るポンプ装置が搭載された給水装置の他の例を示す模式図である。より具体的には、図19は、上述した実施形態に係る複数のポンプ装置100が搭載された給水装置200の一例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図16に示す給水装置200の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図19に示す各ポンプ装置100は、図16に示すポンプ装置100と同様の構成を有する複数のポンプユニット1A,1B,1Cを備えている。各ポンプ装置100の初段ポンプユニット1Aは、吸込集合管219から分岐した分岐吸込管219Aに接続されており、最も後段に位置するポンプユニット1Cは、分岐排水管220Aに接続されている。分岐排水管220Aは、排水集合管220に合流する。
各ポンプ装置100は、上記逆止弁222とフロースイッチ224を備えている。一方で、各ポンプ装置100は、共通の吐出し圧力センサ226および圧力タンク223を備えている。各ポンプ装置100の逆止弁222とフロースイッチ224は、分岐吸込管219Aに取り付けられており、各ポンプ装置100で共通の吐出し圧力センサ226および圧力タンク223は、排水集合管220に接続されている。
図19に示す給水装置200は、図16を参照して説明された制御部8と同様の構成を有する制御部8を有しており、この制御部8は、各ポンプ装置100の動作を制御する。すなわち、図19に示す制御部8は、各ポンプ装置100で共通の制御部として機能する。一実施形態では、各ポンプ装置100が専用の制御部8を有していてもよい。この場合、各制御部8は、相互に情報の送受信が可能なように構成され、例えば、信号線および/または通信線で連結される。
図19に示すように、給水装置200の吸込集合管219は、受水槽206に連結され、給水装置200は、受水槽206に貯められた水道水を移送先(例えば、建物の給水栓)に移送する。受水槽206は、導入管210を介して水道管209に連結されており、水道管209を流れる水は、導入管210を通って受水槽206に移送される。
受水槽206には、該受水槽206内の水位を検知するための水位検知器260が取り付けられている。図19に示す水位検知器260は、複数の電極棒を用いて水位を検知する電極棒式水位検知器である。水位検知器260も、制御装置8に信号線を介して接続されている。一実施形態では、水位検知器260は、フロートスイッチ式水位検知器、または超音波式水位検知器であってもよい。
本実施形態の給水装置200は、各ポンプ装置100の複数のポンプユニット1A,1B,1Cを用いて、受水槽206に貯められた水道水を移送先に移送する。上述したように、初段ポンプユニット1Aは、該初段ポンプユニット1Aに続く2段目ポンプユニット1Bまで前記取扱液を所望の流量で移送可能な吸込性能を有する。したがって、給水装置200が受水槽206の液面よりも高い位置に設置される場合でも、水道水を移送先に移送することができる。さらに、各ポンプ装置100は、初段ポンプユニット1A以降のポンプユニット1B,1Cによって、取扱液の圧力を自在に調整することができる。したがって、移送先で要求される流量を有する水道水を所望の圧力で該移送先に移送することができる。
各ポンプ装置100は、図17および図18を参照して説明された始動動作および停止動作で運転される。さらに、制御部8は、各ポンプ装置100で発生した異常をポンプユニット1ごとに検出可能に構成されている。異常が検出されたポンプユニット1は異常停止させられるが、他のポンプユニット1を用いて水道水を、建物の給水栓などの移送先に移送することができる。したがって、建物に断水が発生することが防止される。
本実施形態では、給水装置200は、このように運転される複数の(図19では、2つの)ポンプ装置100を備えている。一方のポンプ装置100が運転されているときは、他方のポンプ装置100は、予備のポンプ装置として待機状態にある。3つ以上のポンプ装置100を搭載する給水装置200は、少なくとも1つのポンプ装置100が予備ポンプ装置として待機状態にあるとよい。制御部8は、ポンプ装置100のそれぞれの運転回数や停止時間が平準化されるようにこれらポンプ装置100の運転を制御する。例えば、給水装置200が2つのポンプ装置100を有する場合は、制御部8は、これらポンプ装置100を交互に運転する。
本実施形態に係る給水装置200によれば、各ポンプ装置100の長寿命化が期待できる。さらに、1つのポンプ装置100が運転できなくなっても、他のポンプ装置100で水道水を建物に移送することができる。したがって、建物に断水が発生することを防止することができる。
一実施形態では、複数のポンプ装置100のうちの1つのポンプ装置100を非常用ポンプ装置として常に待機状態としてもよい。非常用ポンプ装置は、非常用ポンプ装置以外の全てのポンプ装置が故障したときに運転されるポンプ装置である。この場合も、建物に断水が発生することを防止することができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
1A,1B,1C ポンプユニット
2A,2B,2C ポンプケーシング
3A,3B,3C モータケーシング
4 吸込ケーシング
5A,5B,5C 永久磁石
6A,6B,6C モータ固定子
7A,7B,7C 駆動回路(インバータ装置)
8,8A,8B,8C 制御部
9,9A,9B,9C 電源
10A,10B,10C 軸受
14A,14B,14C 羽根車
15 案内部材
18A,18B,18C 温度センサ
20A 振動センサ
21 初段ディフューザー
22A,21B,22C 中間ディフューザー
23A,23B,23C 固定子コア
24A,24B,24C 固定子コイル
25A,25B,25C 突起
26A,26B,26C 連通流路
27A,27B 回路ケーシング(インバータケーシング)
33A,33B,33C モータ室
37A,37B,37C 開口孔
40 開口孔
50A,50B 放熱フィン(放熱部材)
53A,53B 開口孔
54A,54B 開口孔
100 ポンプ装置
200 給水装置
224 フロースイッチ
226 圧力センサ
251 電流検出器
2A,2B,2C ポンプケーシング
3A,3B,3C モータケーシング
4 吸込ケーシング
5A,5B,5C 永久磁石
6A,6B,6C モータ固定子
7A,7B,7C 駆動回路(インバータ装置)
8,8A,8B,8C 制御部
9,9A,9B,9C 電源
10A,10B,10C 軸受
14A,14B,14C 羽根車
15 案内部材
18A,18B,18C 温度センサ
20A 振動センサ
21 初段ディフューザー
22A,21B,22C 中間ディフューザー
23A,23B,23C 固定子コア
24A,24B,24C 固定子コイル
25A,25B,25C 突起
26A,26B,26C 連通流路
27A,27B 回路ケーシング(インバータケーシング)
33A,33B,33C モータ室
37A,37B,37C 開口孔
40 開口孔
50A,50B 放熱フィン(放熱部材)
53A,53B 開口孔
54A,54B 開口孔
100 ポンプ装置
200 給水装置
224 フロースイッチ
226 圧力センサ
251 電流検出器
Claims (8)
- 取扱液を移送するポンプ装置であって、
直列に連続して接続される複数のポンプユニットを備え、
各ポンプユニットは、
磁石が埋設される羽根車と、
前記磁石に対向する位置に配置されるモータ固定子と、
前記モータ固定子に接続されるインバータ装置と、
前記羽根車を収容するポンプケーシングと、
前記モータ固定子を収容するモータケーシングと、を備えており、
前記複数のポンプユニットのうちの少なくとも1つのポンプユニットは、その羽根車の回転速度が残りのポンプユニットの羽根車の回転速度と異なるように運転されることを特徴とするポンプ装置。 - 前記複数のポンプユニットは、全てのポンプユニットの羽根車の回転速度がそれぞれ異なるように運転されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
- 取扱液を移送するポンプ装置であって、
直列に連続して接続される複数のポンプユニットを備え、
各ポンプユニットは、
磁石が埋設される羽根車と、
前記磁石に対向する位置に配置されるモータ固定子と、
前記羽根車を収容するポンプケーシングと、
前記モータ固定子を収容するモータケーシングと、を備えており、
前記複数のポンプユニットのうちの少なくとも1つのポンプユニットの羽根車の翼数が残りのポンプユニットの羽根車の翼数と異なることを特徴とするポンプ装置。 - 前記複数のポンプユニットのうちの少なくとも1つのポンプユニットの羽根車の直径が残りのポンプユニットの羽根車の直径と異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポンプ装置。
- 前記モータケーシングは、
前記モータ固定子が収容されるモータ室と、
前記モータ室に前記取扱液を流入させるための少なくとも1つのモータ室入口孔を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポンプ装置。 - 前記モータケーシングは、前記モータ室入口孔を介して前記モータ室に流入させた取扱液によって、前記モータ室内の取扱液を排出させるための少なくとも1つのモータ室出口孔を有していることを特徴とする請求項5に記載のポンプ装置。
- 前記複数のポンプユニットのうちの最も前段に位置する前記初段ポンプユニットに接続され、吸込口を有する吸込ケーシングをさらに備え、
前記吸込ケーシングには、前記吸込口を通過した前記取扱液が前記モータ室入口孔を通過するように案内する案内部材が配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載のポンプ装置。 - 前記取扱液は、絶縁性を有していることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のポンプ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020073966A JP2021169809A (ja) | 2020-04-17 | 2020-04-17 | ポンプ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020073966A JP2021169809A (ja) | 2020-04-17 | 2020-04-17 | ポンプ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021169809A true JP2021169809A (ja) | 2021-10-28 |
Family
ID=78119392
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020073966A Pending JP2021169809A (ja) | 2020-04-17 | 2020-04-17 | ポンプ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021169809A (ja) |
-
2020
- 2020-04-17 JP JP2020073966A patent/JP2021169809A/ja active Pending
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