JP2021063433A - 仮締切り体と閉塞型の仮締切り体構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】堰の周囲の完全閉塞と一部閉塞を可能にした仮締切り体と、この仮締切り体に含まれる閉塞型の仮締切り体の構築方法を提供する。【解決手段】堰柱10と、堰柱10の側方に延設する昇降自在な本設ゲートとを有する堰において、堰柱10の周囲に構築される仮締切り体200であって、堰柱10の周囲の上流側と下流側にはそれぞれ、上流側箱体20と下流側箱体30が配設され、双方の箱体20,30の間の堰柱10の側方には第1隙間があり、上流側箱体20と下流側箱体30はそれぞれ、上流側壁体40と下流側壁体50を備えており、壁体40,50を閉合することにより、第1隙間が閉塞されて、双方の箱体20,30と双方の壁体40,50とにより、閉塞型の仮締切り体200が形成される。【選択図】図3

Description

本発明は、仮締切り体と閉塞型の仮締切り体構築方法に関する。
河川のうち、その分岐点付近には、水位の調節や制限により洪水や低水を計画的に分流させる分流堰が設けられ、その河口部(感潮区間)には、塩水の遡上を防止して流水の正常な機能を維持する潮止堰が設けられ、その他、河川の水位を調節することにより、都市用水や灌漑用水、発電水等を取水する取水堰が設けられる。また、上記各種の堰に関し、基礎地盤から固定部の天端までの高さが15m以上であり、流水の貯留による流量調節を目的とし、堤防に接続しないものがダムである。さらには、上記各種の堰に関し、堤防の機能を有し、洪水や高潮による流水の氾濫を防止もしくは軽減するもが水門や樋門である。従って、本明細書において、「堰」と称する場合は、上記する各種の堰や、ダムや水門、樋門等を含むものとする。
ところで、河口部に設けられる堰は、河川を締め切り、海水の遡上を遮蔽することにより、農業用水や工業用水等の確保のために利用されるとともに、洪水や高潮を防止する治水を目的として利用される。この堰は、間隔を置いて立設されている複数の堰柱と、隣接する堰柱と堰柱の間において上下に昇降自在に配設されている本設ゲート(門扉)とを備えている。堰柱は、水底にある例えば鉄筋コンクリート製のフーチング体の上方において水上まで立設しており、堰柱に設けられている昇降機構により本設ゲートが昇降されるようになっている。
堰柱と本設ゲートを備えた堰において、堰柱の耐震補強を含む補修工事や改修工事を行う場合、例えば本設ゲートにて海水の遡上を防止した状態で堰柱の周囲を気中作業環境下に置くべく、仮締切りが行われる。
一般には、堰柱の周囲に鋼矢板を打設したり、築堤を造成することにより仮締切りを構築して堰柱を囲った後、これら仮締切りの内部の水を排水することにより、気中作業環境を形成している。しかしながら、これらの仮締切りの構築方法では、仮設である仮締切りが大掛かりなものとなり、仮締切り構築作業とその後の仮締切り撤去作業に多くの時間と費用を要する。そのため、補修工事等が渇水期に限定され得る河川工事においては、補修工事等のための作業時間が制約を受けるといった課題がある。
ここで、特許文献1には、側面に開口部を有する作業函が提案されている。この作業函は、平面視において開口部を通って水中にある構造物の一部を収容し、作業函と構造物とにより作業空間が形成された状態において、構造物に取り付いて上下方向に延びる作業函の端部が、作業空間の内側が狭く、外側が広くなるように傾斜した第1傾斜面と、構造物と第1傾斜面との隙間に設けられた楔形の第1止水パッキンとを備える。第1止水パッキンを第1傾斜面に沿って作業空間に近づく方向に移動させ、作業空間からの排水を行って第1止水パッキンに水平方向に加わる水圧を作用させることにより、作業函の止水が行われる。尚、この工法は、NDR(Neo-Dry Repair Method)工法とも称される。
一方、特許文献2には、台座に立設した構造物に外装し、水没した台座に着座して締切る締切り用ケーソンが提案されている。この締切り用ケーソンは、複数に縦割りした浮力調整可能な分割函体からなり、各分割函体の一方側を開閉自在にヒンジで連結し、各分割函体の刃口の底面に連続して緩衝シール材を取り付け、各分割函体の刃口の底面に分割函体の刃口を台座から離隔して支持する支持脚を突設し、分割函体の内側に構造物と一定距離を保って係合可能な複数のガイドスぺーサを横向きに突設している。この締切り用ケーソンを適用し、ケーソンを構成する分割函体を開閉操作して構造物に外装し、緩衝シール材を台座に着座させ、ケーソンの刃口部に沿って止水グラウトを充填し、緩衝シール材と止水グラウトとによりケーソンの刃口部を止水することにより、締切りが行われる。尚、この工法は、RUP(Reinforce & Repair Underwater Pier)工法とも称される。
特開2016−79591号公報 特開平9−189043号公報
特許文献1に記載の作業函を用いた仮締切り工法では、堰柱等の構造物の側方に本設ゲートが延設する堰において、海水や河川水の行き来を遮蔽した状態で仮締切りを構築しようとした場合に、構造物における本設ゲートの一方側しか仮締切りを行うことができない。一方、特許文献2に記載の締切り用ケーソンを用いた仮締切り工法では、その仮締切り対象が橋脚等であることから、堰柱の側方に本設ゲートが延設している堰において、海水や河川水の行き来を遮蔽した状態で仮締切りを構築することができない。
ところで、出水期と渇水期では、本設ゲートの昇降のタイミングや頻度が相違する。例えば、出水期においては、上流側に流入する雨量が多くなると干拓域に水が浸入する可能性があることから、堰の上流側の水位が下流側の水位(潮位)より高くなった段階で本設ゲートが開放され、上流側の水を下流側に放流する。そのため、複数の堰が併設され、隣接する堰の間で本設ゲートが昇降する場合には、全ての本設ゲートを昇降(稼働)できる状態で補修工事等を行う必要がある。
一方、渇水期においては、必ずしも全ての本設ゲートを昇降できる状態とする必要はないことから、一部の本設ゲートのみ昇降できる状態とし、残りの本設ゲートを側方に備える堰に関しては、当該堰の周囲を完全に閉塞して補修工事等を行うことができる。
以上のことから、堰の周囲の完全な閉塞と、堰の周囲の一部の閉塞を可能にした仮締切り体にて堰を包囲することにより、出水期と渇水期の双方に対応した補修工事等が可能になる。
しかしながら、特許文献1,2には、堰の周囲の完全閉塞と一部閉塞を可能にした仮締切り体に関する記載はない。
本発明は、堰の周囲の完全閉塞と一部閉塞を可能にした仮締切り体と、この仮締切り体に含まれる閉塞型の仮締切り体の構築方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による仮締切り体の一態様は、
堰柱と、該堰柱の側方に延設する昇降自在な本設ゲートと、を有する堰において、該堰柱の周囲に構築される仮締切り体であって、
前記堰柱の周囲の上流側と下流側にはそれぞれ、上流側箱体と下流側箱体が配設され、双方の該箱体の間の前記堰柱の側方には第1隙間があり、
前記上流側箱体と前記下流側箱体はそれぞれ、上流側壁体と下流側壁体を備えており、
前記壁体を閉合することにより、前記第1隙間が閉塞されて、双方の前記箱体と双方の前記壁体とにより、閉塞型の仮締切り体が形成されることを特徴とする。
本態様によれば、堰柱の周囲の上流側と下流側に上流側箱体と下流側箱体が配設され、双方の箱体の間の堰柱の側方に第1隙間が設けられ、上流側箱体と下流側箱体がそれぞれ、上流側壁体と下流側壁体を備えていることにより、双方の壁体を閉合することによって第1隙間を閉塞することができ、双方の箱体と双方の壁体とにより、閉塞型の仮締切り体を形成することができる。従って、双方の壁体を閉合しない場合は、堰柱の側方にある第1隙間は開放されることになり、開放型の仮締切り体が形成される。
そのため、出水期には、双方の壁体を閉合せずに開放し、堰柱の側方において本設ゲートを昇降自在としておき、堰柱のうち、上流側箱体と下流側箱体にて包囲されている領域の補修工事等を行うことができる。
一方、渇水期には、双方の壁体を閉合することによって堰柱の周囲を完全に閉塞する閉塞型の仮締切り体を形成することにより、堰柱の周囲の全域の補修工事等を行うことができる。
箱体に対する壁体の閉合や開放は、壁体の回動やスライドによる形態の他、壁体を第1隙間に曳航し、重機やダイバー等によって双方の箱体に壁体を取り付ける形態などがある。
また、本発明による仮締切り体の他の態様は、前記上流側壁体と前記下流側壁体のいずれか一方の側方に、仮設ゲートが取り付け自在であることを特徴とする。
本態様によれば、上流側壁体と下流側壁体のいずれか一方の側方に仮設ゲートが取り付け自在であることから、例えば閉塞型の仮締切り体の側方に仮設ゲートが取り付けられることにより、本設ゲートが開放された(上昇位置にある)状態でも、仮設ゲートにて上流側と下流側の海水や河川水の行き来を遮断することができる。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、前記上流側壁体と前記下流側壁体はそれぞれ、前記上流側箱体と前記下流側箱体に対して回動自在に取り付けられていることを特徴とする。
本態様によれば、上流側箱体と下流側箱体に対してそれぞれ、上流側壁体と下流側壁体が回動自在に取り付けられていることにより、双方の壁体の回動による壁体の閉合と開放をスムーズに行うことができる。また、双方の壁体が双方の箱体の外側で回動することから、壁体の回動が箱体の内部の補修工事等に影響することがない。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、前記上流側壁体と前記下流側壁体はそれぞれ、前記上流側箱体と前記下流側箱体において、前記第1隙間に向かってスライド自在に収納されていることを特徴とする。
本態様によれば、上流側箱体と下流側箱体に対してそれぞれ、上流側壁体と下流側壁体が第1隙間に向かってスライド自在に収納されていることにより、双方の壁体のスライドによる壁体の閉合と開放をスムーズに行うことができる。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、前記堰柱と前記箱体との間には、仮設支保工を構成する切梁が架け渡されており、
前記閉塞型の仮締切り体が形成されている場合は、一方もしくは双方の前記壁体と前記堰柱との間にも、仮設支保工を構成する切梁が架け渡されていることを特徴とする。
本態様によれば、堰柱と箱体との間に、仮設支保工を構成する切梁が架け渡されていることにより、堰柱の周囲に箱体を安定的に固定することができる。また、閉塞型の仮締切り体においては、さらに、一方もしくは双方の壁体と堰柱との間にも、仮設支保工を構成する切梁が架け渡されていることにより、堰柱に対して壁体を安定的に固定することができる。例えば、切梁の端部もしくは途中位置にジャッキ(キリンジャッキ等)が設けられていて、ジャッキを作動させてピストンロッドを伸長させることにより、切梁と伸長したジャッキにて箱体及び壁体と堰柱とを強固に仮接続することができる。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、前記仮設支保工は、前記切梁と支柱を有し、
前記支柱は、前記堰柱の近傍において該堰柱との間に第2隙間を置いて立設されており、
前記切梁は、対応する前記支柱と前記箱体との間、対応する前記支柱と前記壁体との間にそれぞれ架け渡されており、
前記第2隙間において、短尺切梁が前記支柱と前記堰柱との間に架け渡されており、
前記堰柱を補修もしくは補強する際には、前記短尺切梁の一部が盛り替えられて前記第2隙間に作業空間が形成されるようになっていることを特徴とする。
本態様によれば、仮設支保工に含まれる支柱が、堰柱の近傍において該堰柱との間に第2隙間を置いて立設され、第2隙間において、短尺切梁が支柱と堰柱との間に架け渡されていることにより、堰柱を補修もしくは補強する際には、短尺切梁の一部が盛り替えられて第2隙間に作業空間が形成されることにより、仮設支保工を大掛かりに変更することなく、堰柱の補修等を効率的に行うことができる。ここで、「短尺切梁の一部を盛り替える」とは、堰柱の補修等の際に障害となる位置にある短尺切梁を一時的に撤去し、撤去された短尺切梁を仮置きしておく形態や、撤去された短尺切梁を近傍の他の場所に転用すること等により、短尺切梁が撤去された領域の箱体や壁体の支保強度を安定的に確保する形態等が含まれる。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、前記箱体と前記壁体はそれぞれ、箱体ヒンジと壁体ヒンジを備え、該箱体ヒンジと該壁体ヒンジによりヒンジ機構が構成されており、
前記壁体ヒンジは、上下に第3隙間を置いて配設されている二枚の第1水平ヒンジ片と、該二枚の第1水平ヒンジ片を繋ぐヒンジピンとを備え、
前記箱体ヒンジは、前記第3隙間に遊嵌されて、前記ヒンジピンが貫通するピン孔が設けられている第2水平ヒンジ片を備え、
前記第2水平ヒンジ片の厚みは前記第3隙間よりも小さく、該第2水平ヒンジ片に対して前記二枚の第1水平ヒンジ片を上下移動させ、前記壁体を上下移動できるようになっていることを特徴とする。
本態様によれば、上流側箱体と下流側箱体に対してそれぞれ、上流側壁体と下流側壁体が回動自在に取り付けられている形態において、箱体と壁体がヒンジ機構を構成する箱体ヒンジと壁体ヒンジを備え、壁体ヒンジが上下に第3隙間を置いて二枚の第1水平ヒンジ片を備え、箱体ヒンジが第3隙間に遊嵌されて第3隙間よりも厚みの小さな第2水平ヒンジ片を備えていることにより、第2水平ヒンジ片に対して二枚の第1水平ヒンジ片を上下移動させることによって、壁体を上下移動することができる。このことにより、底盤上で壁体を回動させる際に、底盤の表面凹凸が大きな際に、随時壁体を上下移動させることによって、壁体を底盤の表面凹凸に干渉させることなくスムーズに回動させることができる。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、前記壁体ヒンジの備える前記第1水平ヒンジ片の側面の少なくとも一部には、第1止水材が取り付けられており、
前記箱体の側面から前記壁体ヒンジに向かって第2止水材が張り出しており、
前記第1水平ヒンジ片の回動範囲に亘って、前記第1止水材と前記第2止水材が接触していることを特徴とする。
本態様によれば、壁体ヒンジの備える第1水平ヒンジ片の側面の少なくとも一部に第1止水材が取り付けられ、箱体の側面から壁体ヒンジに向かって第2止水材が張り出し、第1水平ヒンジ片の回動範囲に亘って第1止水材と第2止水材が接触していることにより、箱体と壁体の回動部(ヒンジ機構)における高い止水性を保証することができる。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、前記上流側壁体と前記下流側壁体が閉塞した際の双方の外部水側の端部側面のうち、一方の端部側面には第3止水材が取り付けられており、他方の端部側面には第4止水材が取り付けられ、該第4止水材の端部が前記第3止水材の外側から接触し、前記外部水の水圧によって該端部が該第3止水材に押圧されていることを特徴とする。
本態様によれば、双方の壁体が閉塞した際の外部水側の端部側面のうち、一方の端部側面に第3止水材が取り付けられ、他方の端部側面に第4止水材が取り付けられ、第4止水材の端部が第3止水材の外側から接触していることにより、第4止水材の端部を外部水の水圧によって第3止水材に押圧することができ、双方の壁体の閉合部における高い止水性を保証することができる。
また、本発明による仮締切り体の他の態様において、出水期には、前記第1隙間が開放されて、開放型の仮締切り体が形成され、前記本設ゲートが昇降自在となっており、
渇水期には、前記閉塞型の仮締切り体が形成され、前記上流側壁体と前記下流側壁体のいずれか一方の側方に延設する前記仮設ゲートが設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、出水期には、第1隙間が開放されて、本設ゲートを昇降自在としながら開放型の仮締切り体が形成され、渇水期には、閉塞型の仮締切り体が形成されて壁体の側方に仮設ゲートが設けられていることにより、出水期と渇水期の双方に臨機に対応した仮締切り体を提供することができ、結果として、年間を通した堰柱の補修等工事に要する工期の短縮を図ることができる。
また、本発明による閉塞型の仮締切り体構築方法の一態様は、
堰柱と、該堰柱の側方に延設する昇降自在な本設ゲートと、を有する堰において、該堰柱の周囲を完全に閉塞する閉塞型の仮締切り体を構築する、閉塞型の仮締切り体構築方法であって、
前記堰柱の周囲の上流側には上流側箱体を配設し、前記堰柱の周囲の下流側には下流側箱体を配設し、双方の該箱体の間に第1隙間を設ける、箱体設置工程と、
前記堰柱の側方のうち、前記本設ゲートと干渉しない位置に仮設支保工を設置し、前記上流側箱体から張り出し可能な上流側壁体と、前記下流側箱体から張り出し可能な下流側壁体のうち、前記本設ゲートと干渉しない一方の壁体を張り出させて前記仮設支保工と接続する、一方壁体設置工程と、
前記一方の壁体の側方に仮設ゲートを設置する、仮設ゲート設置工程と、
前記本設ゲートを上昇させ、他方の前記壁体を張り出させて前記仮設支保工と接続することにより、双方の前記壁体によって前記第1隙間を閉塞して、双方の前記箱体と双方の前記壁体とにより構成される、閉塞型の仮締切り体を構築する、第1隙間閉塞工程と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、堰柱の周囲の上流側と下流側に第1隙間を設けた状態で上流側箱体と下流側箱体を配設し、堰柱の側方のうち、本設ゲートと干渉しない位置に仮設支保工を設置し、上流側箱体から張り出し可能な上流側壁体と、下流側箱体から張り出し可能な下流側壁体のうち、本設ゲートと干渉しない一方の壁体を張り出させて仮設支保工と接続し、一方の壁体の側方に仮設ゲートを設置し、本設ゲートを上昇させ、他方の壁体を張り出させて仮設支保工と接続することにより、双方の壁体を閉合することによって第1隙間を閉塞することができ、双方の箱体と双方の壁体とにより、閉塞型の仮締切り体を形成することができる。閉塞型の仮締切り体にて堰柱の周囲を完全に閉塞することにより、例えば渇水期において堰柱の全周における補修等を行うことが可能になる。また、形成された閉塞型の仮締切り体においては、壁体の側方に仮設ゲートが設けられていることにより、本設ゲートが開放された(上昇位置にある)状態でも、仮設ゲートにて上流側と下流側の海水や河川水の行き来を遮断することができる。
また、本発明による閉塞型の仮締切り体構築方法の他の態様において、前記第1隙間閉塞工程では、さらに、
前記堰柱の側面と、双方の前記壁体と、双方の前記箱体の開口端と前記堰柱の側面との開口接合部と、により形成される壁体内部空間からの水抜きと、前記開口接合部の撤去を行うことを特徴とする。
本態様によれば、閉塞型の仮締切り体が形成された後、堰柱の側面と壁体と箱体と堰柱のとの開口接合部にて囲まれた壁体内部空間からの水抜きを行い、開口接合部の撤去を行うことにより、閉塞型の仮締切り体と堰柱の全周との間の空間をドライ空間にでき、堰柱の全周の補修等工事を行うことができる。
また、本発明による閉塞型の仮締切り体構築方法の他の態様において、前記第1隙間閉塞工程では、前記開口接合部の側方に盛り替え切梁を設置し、前記壁体内部空間からの水抜きを行い、前記開口接合部の撤去を行うことを特徴とする。
本態様によれば、開口接合部の撤去に先行して、開口接合部の側方に盛り替え切梁を設置することにより、開口接合部に作用する外部水による水圧を盛り替え切梁にて安定的に支保しながら、開口接合部の撤去を安全に行うことができる。
また、本発明による閉塞型の仮締切り体構築方法の他の態様において、前記第1隙間閉塞工程では、前記箱体の内部に注水して、前記開口接合部に対する前記箱体からの水圧と前記壁体内部空間からの水圧をバランスさせ、前記開口接合部の側方に盛り替え切梁を設置し、前記開口接合部の撤去を行い、前記箱体と前記壁体内部空間からの水抜きを行うことを特徴とする。
本態様によれば、箱体の内部に注水して、開口接合部に対する箱体からの水圧と壁体内部空間からの水圧をバランスさせ、開口接合部の側方に盛り替え切梁を設置した後に開口接合部の撤去を行うことにより、開口接合部に作用する外部水による水圧を盛り替え切梁にて安定的に支保した状態で、開口接合部の左右の箱体側と壁体内部空間側から作用する左右の水圧がバランスしていることから、開口接合部の撤去を高い安全性の下で行うことができる。
本発明の仮締切り体と閉塞型の仮締切り体構築方法によれば、堰の周囲の完全閉塞と一部閉塞を可能にした仮締切り体を提供するとともに、この仮締切り体に含まれる閉塞型の仮締切り体構築方法を提供することができる。
実施形態に係る仮締切り体の一例に含まれる、開放型の仮締切り体の一例の斜視図である。 実施形態に係る仮締切り体の一例に含まれる、閉塞型の仮締切り体の一例の斜視図である。 閉塞型の仮締切り体の側方に仮設ゲートが取り付けられている状態を示す斜視図である。 (a)から(c)の順に、実施形態に係る閉塞型の仮締切り体構築方法の一例を説明する工程図である。 図4に続いて、(a)から(c)の順に、実施形態に係る閉塞型の仮締切り体構築方法の一例を説明する工程図である。 実施形態に係る箱体の一例を示す縦断面図である。 図6AのB部の拡大図であり、かつ、実施形態に係る箱体の喫水調整方法を説明する図である。 (a)から(c)の順に、実施形態に係る箱体の搬送・設置方法の一例を説明する工程図であり、かつ、実施形態に係る箱体搬送用のフロート台船の一例を説明する図である。 箱体の内部に設けられているガイドユニットを説明する斜視図である。 図8AのB部の拡大図である。 実施形態に係る箱体の搬送・設置方法の一例のうち、箱体設置工程を詳細に説明する工程図である。 図9に続いて、箱体設置工程を詳細に説明する工程図である。 図10に続いて、箱体設置工程を詳細に説明する工程図である。 実施形態に係る箱体の沈設固定方法の一例を説明する工程図であり、かつ、実施形態に係る箱体の固定構造(箱体と底盤の固定構造)の一例と、箱体と底盤の止水構造の一例を示す図である。 (a)から(d)の順に、底盤の目地開き部の処理方法を示す工程図である。 (a)から(e)の順に、底盤の目地段差・欠損部の処理方法を示す工程図である。 実施形態に係る箱体の固定構造(箱体と堰柱の固定構造)の一例と、箱体と堰柱の止水構造の一例を示す図である。 壁体と仮設ゲートの接続部を示す斜視図である。 図16AのB部を拡大した平面図である。 箱体と壁体のヒンジ機構の一例を示す側面図である。 図17AのB−B矢視図であって、ヒンジ機構における止水構造をともに示す平面図である。 図17AのC−C矢視図であって、ヒンジ機構における止水構造をともに示す平面図である。 上流側壁体と下流側壁体が閉塞した際の双方の外部水側の端部側面の止水構造を示す平面図である。 実施形態に係る仮設ゲートの一例の斜視図である。 実施形態に係る仮設ゲートの正面図である。 ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。 実施形態に係る仮設ゲート昇降システムの一例の全体構成を示すとともに、仮設ゲート昇降システムを構成する牽引具とユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
以下、実施形態に係る仮締切り構築方法と仮締切り体について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る仮締切り体と閉塞型の仮締切り体構築方法]
はじめに、図1乃至図5を参照して、実施形態に係る仮締切り体の一例と閉塞型の仮締切り体構築方法の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る仮締切り体の一例に含まれる、開放型の仮締切り体の一例の斜視図であり、図2は、実施形態に係る仮締切り体の一例に含まれる、閉塞型の仮締切り体の一例の斜視図であり、図3は、閉塞型の仮締切り体の側方に仮設ゲートが取り付けられている状態を示す斜視図である。また、図4(a)から(c)、及び図5(a)から(c)は順に、実施形態に係る閉塞型の仮締切り体構築方法の一例を説明する工程図である。
仮締切りが構築されて気中作業環境下に置かれた状態で補修や改修が行われる堰柱10は、堰1(河口堰)を形成する(図9参照)。この補修は、例えば、大規模地震時の樋門損壊による農業用水源の喪失や塩害を防止するための耐震化対策の一環である、連続繊維巻き付け工法等による補強工事である。尚、図示例は、堰1として河口堰を例示しているが、堰には、分流堰や潮止堰、取水堰が含まれ、さらにはダムや水門、樋門が含まれる。従って、実施形態に係る仮締切り体は、様々な堰の補修工事に適用される。また、実施形態に係る仮締切り体は、堰の補修工事の他にも、水中にある橋台や橋脚等、水中に存在する様々な水中構造物の補修等工事に際して、その周囲を仮締切りする際にも適用可能である。
堰1は、河口の幅方向に間隔を置いて配設される複数の堰柱10と、隣接する堰柱10の有する昇降機構16により上下に昇降される本設ゲート14(門扉)(いずれも図9参照)とを有する。
また、水底には、図1に示すように、鉄筋コンクリート製の底盤15があり、底盤15の上方において水上まで堰柱10が立設している。堰柱10の側面11には、本設ゲート(図示せず)の端部が遊嵌される本設ゲート落とし込み溝12が設けられており、本設ゲート落とし込み溝12から離れた位置には、仮設ゲート73(図4参照)が落とし込まれる第1落とし込み溝13が設けられている。
図1に示すように、堰柱10の側面11の周囲の上流側と下流側にはそれぞれ、上流側箱体20と下流側箱体30が配設され、双方の箱体20,30の間の堰柱10の側方(堰柱10の左右の側方)には、第1隙間10aがある。上流側箱体20と下流側箱体30はいずれも平面視略コの字状を呈しており、それぞれの端部にある開口26,36を介して堰柱10の両端部がそれぞれの内部25,35に収容され、堰柱10に取り付けられている。
ここで、「上流側」と「下流側」とは、例えば、湖側と湾側、河川側と海側、河川のうちの山側と海側等、対象となる堰の設置位置等により、それらの内容は多様である。
上流側箱体20と下流側箱体30は、それぞれの端部にある開口26,36において、上流側壁体40と下流側壁体50を回動自在に備えており、図1では、上流側壁体40と下流側壁体50が開放された状態の、開放型の仮締切り体100が示されている。
上流側箱体20は、下段に配設される下段箱体21と、下段箱体21の上に搭載される、複数段(図示例は2段)の上段箱体22,23とを有する3段構造を呈しており、下段箱体21と上段箱体22,23が相互に接続されている。また、最上段の上段箱体23の最上面には、波圧抵抗用パネル24が取り付けられている。
一方、下流側箱体30も、下段に配設される下段箱体31と、下段箱体31の上に搭載される、複数段(図示例は2段)の上段箱体32,33とを有する三段構造を呈しており、下段箱体31と上段箱体32,33が相互に接続されている。また、最上段の上段箱体33の最上面には、波圧抵抗用パネル34が取り付けられている。
箱体20,30の構成については以下で詳説するが、箱体20,30は、図示例以外にも、1段もしくは3段以上の上段箱体を有していてもよいし、積層構造ではなくて一体構造であってもよい。
堰柱10の側面11と箱体20,30との間には、仮設支保工60を構成する複数の切梁62が架け渡されている。より具体的には、箱体20,30の内壁面に沿って間隔を置いて複数の支柱61が立設され、対向する支柱61は対を成し、対を成す支柱61の間に切梁62が架け渡されている。また、堰柱10の側面11の近傍においては、支柱63が堰柱10の側面11との間に僅かな第2隙間69を置いて立設され、この支柱63と対を成す内壁面に立設している支柱61との間に切梁62が架け渡されている。
そして、僅かな第2隙間69には、短尺切梁64が配設され、支柱63と堰柱10の側面11の間に架け渡されている。支柱61,63や切梁62は、例えばH形鋼等の形鋼材により形成され、切梁62はその途中位置や端部にキリンジャッキ等のジャッキ(図示せず)を備えている。また、短尺切梁64は、短尺のH形鋼等の形鋼材や鋼管、円管等により形成され、同様にジャッキ(図示せず)を備えていてよい。ジャッキを作動させることにより、切梁62に軸力が導入され、対向する支柱61,63にて箱体20,30に作用する外水圧等に対抗できるようになるとともに、切梁62と対応する短尺切梁64とにより、箱体20,30が堰柱10の側面11に固定される。
仮設支保工60に含まれる支柱63が、堰柱10の近傍において堰柱10の側面11との間に第2隙間69を置いて立設され、第2隙間69において、短尺切梁64が支柱63と堰柱10との間に架け渡されていることにより、堰柱10の側面11を補修等する際には、短尺切梁64の一部を盛り替えて第2隙間69に作業空間を形成することができる。従って、短尺切梁64の長さは、必要な作業空間を確保できる長さに設定される。
図示例の仮設支保工60の構成によれば、堰柱10の側面11の補修等に際して切梁が障害となる場合において、延長の長い切梁を盛り替える必要がなく、短尺切梁64を盛り替えるだけでよいことから、仮設支保工60を大掛かりに変更することなく、堰柱10の補修等を効率的に行うことができる。
箱体20,30のそれぞれの開口26,36の側方にある開口接合部20'、30'は、図2に示す閉塞型の仮締切り体200の形成に当たり、撤去されるようになっており、図2に示すように、開口接合部20'、30'の撤去された領域には、箱体20,30を支持する開口補強支柱65と、開口補強支柱65と堰柱10の側面11を繋ぐ開口補強短尺切梁66が設けられるようになっている。
箱体20,30には、対応する壁体40,50が、複数のヒンジ機構41,51を介して回動自在に取り付けられている。
各箱体20,30に対してそれぞれ、壁体40,50が回動自在に取り付けられていることにより、双方の壁体40,50の回動による壁体40,50の閉合(図2に示す状態)と開放(図1に示す状態)をスムーズに行うことができる。また、双方の壁体40,50が双方の箱体20,30の外側で回動することから、壁体40,50の回動が箱体20,30の内部の補修工事等に影響することがない。
尚、箱体20,30に対する壁体40,50の開閉形態は、図示例の他にも、双方の箱体20,30において、第1隙間10aに向かって壁体40,50がスライド自在に収納されていて、壁体40,50が収納されることにより第1隙間10aが開放され、壁体40,50がスライドして張り出すことにより第1隙間10aが閉合される形態であってもよい。さらには、壁体40,50を第1隙間10aに曳航し、重機やダイバー等によって双方の箱体20,30に壁体40,50を取り付けることにより第1隙間10aを閉合する手動形態などもある。
図2に示すように、閉塞型の仮締切り体200では、双方の壁体40,50の端部と堰柱10の側面との間にも、仮設支保工が構築される。具体的には、双方の壁体40,50の内側面に跨がるようにして壁体支持用支柱67が立設され、壁体支持用支柱67と堰柱10の側面11の間に壁体支持用短尺切梁68が架け渡される。
このように、堰柱10の側面11と箱体20,30との間に、仮設支保工60を構成する切梁62と短尺切梁64が架け渡されていることにより、堰柱10の周囲に箱体20,30を安定的に固定することができる。また、閉塞型の仮締切り体200においては、さらに、双方の壁体40,50と堰柱10との間にも、仮設支保工を構成する壁体支持用短尺切梁68が架け渡されていることにより、堰柱10に対して壁体40,50を安定的に固定することができる。
また、図3に示すように、閉塞型の仮締切り体200においては、上流側壁体40と下流側壁体50のいずれか一方の側方(図示例は、上流側壁体40の側方)に、仮設ゲート73が取り付けられている。
より具体的には、上流側壁体40の側方には、間隔をおいて第2落とし込み溝72を左右に備える複数の仮支柱71が立設している。この仮支柱71は、例えばH形鋼により形成され、ウエブと二つのフランジとにより第2落とし込み溝72が形成される。尚、以下で詳説するが、仮支柱71の下方は、鋼製の角パイプや円管等により形成される筒材71'(図20参照)が設けられていて、底盤15に予め設けられている既設の凸部15aに対して筒材71'を被せるようにして落とし込むことにより、仮支柱71が底盤15の上に立設するようになっている。
仮設ゲート73は、複数(図示例は3枚)の角落とし材74,75が相互に接続金物76を介して連結されることにより一体に形成されている。下方の2枚の角落とし材74は、例えば既に存在する既設角落とし材であり、上方の角落とし材75は、例えば新規の新設角落とし材である。尚、角落とし材の枚数は図示例に限定されず、さらには、全ての角落とし材が新設角落とし材であってもよい。新設角落とし材75の上面には、牽引具78から垂下される吊り材79の下端が係止される吊りフック75aが設けられている。
また、壁体40の側方には端部支持鋼材46が立設しており、端部支持鋼材46にて壁体側の端部にある仮設ゲート73の端面が支持されている。そして、壁体40の側面には第3落とし込み溝47が設けられており、壁体側の端部にある仮設ゲート73の端部は第3落とし込み溝47に落とし込まれている。
出水期には、図1に示す開放型の仮締切り体100が形成されることにより、第1隙間10aが開放されることによって、本設ゲート14を昇降自在としておき、堰柱10のうち、上流側箱体20と下流側箱体30にて包囲されている領域の補修工事等を行うことができる。
一方、渇水期には、双方の壁体40,50を閉合することによって、堰柱10の側面11の周囲を完全に閉塞する、閉塞型の仮締切り体200を形成することにより、堰柱10の周囲の全域の補修工事等を行うことができる。
さらに、上流側壁体40と下流側壁体50のいずれか一方の側方に、図3に示すように仮設ゲート73が取り付け自在であることから、例えば閉塞型の仮締切り体200の側方に仮設ゲート73が取り付けられることにより、本設ゲート14が開放された(上昇位置にある)状態でも、仮設ゲート73にて上流側と下流側の海水や河川水の行き来を遮断することができる。
次に、図4及び図5を参照して、実施形態に係る閉塞型の仮締切り体構築方法の一例を説明する。
閉塞型の仮締切り体構築方法では、まず、図4(a)に示すように、堰柱10の側面11の周囲のうち、上流側には上流側箱体20を配設し、下流側には下流側箱体30を配設し、双方の箱体20,30の間に第1隙間10aを設ける。また、それぞれの箱体20,30の内部には仮設支保工60を設置し、箱体20,30を堰柱10の側面11に固定することにより、開放型の仮締切り体100を構築する(以上、箱体設置工程)。
次に、本設ゲート14の昇降を可能にするべく、第1隙間10aのうち、本設ゲート14と干渉しない上流側において壁体支持用支柱67を立設し、壁体支持用支柱67と堰柱10の側面11を壁体支持用短尺切梁68で繋ぐ。
壁体支持用支柱67と堰柱10の側面11を壁体支持用短尺切梁68で繋いだ後、図4(b)に示すように、上流側壁体40をX1方向に回動させて第1隙間10aに張り出させ、上流側壁体40の端部を、仮設支保工を構成する壁体支持用支柱67と接続する(以上、一方壁体設置工程)。
次に、図4(c)に示すように、上流側壁体40の内側面に設けられている第3落とし込み溝47と、対応する堰柱10の第1落とし込み溝13に対して仮設ゲート73を落とし込む。
さらに、上流側壁体40の外側に端部支持鋼材46を立設し、間隔を置いて複数の仮支柱71を立設した後、上流側壁体40の外側面に設けられている第3落とし込み溝47と、隣接する仮支柱71の備える第2落とし込み溝72に対して仮設ゲート73を落とし込む。
さらに、隣接する仮支柱71の双方の第2落とし込み溝72に対して仮設ゲート73を落とし込むことにより、堰柱10の側面11の側方に連続した仮設ゲート73を施工する(以上、仮設ゲート設置工程)。
次に、図5(a)に示すように本設ゲート14を上昇させ、図5(b)に示すように、下流側壁体50をX2方向に回動させて第1隙間10aに張り出させ、下流側壁体50の端部を、仮設支保工を構成する壁体支持用支柱67と接続することにより、双方の壁体40,50によって第1隙間10aを閉塞して、双方の箱体20,30と双方の壁体40,50とにより構成される、閉塞型の仮締切り体200を構築する。
また、閉塞型の仮締切り体200が構築された後、図5(b)に示すように、開口接合部20'、30'の側方に盛り替え用の開口補強支柱65と開口補強短尺切梁66を設置する。次いで、図5(c)に示すように、堰柱10の側面11と、双方の壁体40,50と、開口接合部20'、30'とにより形成される壁体内部空間からの水抜きを行い、開口接合部20'、30'の撤去を行うことにより、堰柱10の側面11の周面の全域を連通させる(以上、第1隙間閉塞工程)。
ここで、第1隙間閉塞工程では、その他、箱体20,30の内部に注水して、開口接合部20'、30'に対する箱体20,30からの水圧と壁体内部空間からの水圧をバランスさせた後に、開口接合部20'、30'の側方に盛り替え用の開口補強支柱65と開口補強短尺切梁66を設置し、開口接合部20'、30'の撤去を行い、箱体20,30と壁体内部空間からの水抜きを行う方法が適用されてもよい。
図示する閉塞型の仮締切り体構築方法によれば、閉塞型の仮締切り体200が形成された後に壁体内部空間からの水抜きを行い、開口接合部20'、30'の撤去を行うことにより、閉塞型の仮締切り体200と堰柱10の側面11の全周との間の空間をドライ空間にでき、堰柱10の側面11の全周の補修等工事を行うことができる。
尚、例えば渇水期には、図4(a)の状態で、双方の箱体20,30によって包囲されている堰柱10の側面11の領域のみをドライ空間にして、補修等工事を行うことができる。
[実施形態に係る仮締切り体を構成する箱体と箱体の喫水調整方法]
次に、図6を参照して、実施形態に係る仮締切り体を構成する箱体の一例と、箱体の喫水調整方法の一例について説明する。ここで、図6Aは、実施形態に係る箱体の一例を示す縦断面図であり、図6Bは、図6AのB部の拡大図であり、かつ、実施形態に係る箱体の喫水調整方法を説明する図である。尚、以下、上流側箱体20を取り上げてその構成を説明するが、下流側箱体30の構成も実質的には上流側箱体20の構成と同様である。
箱体20は、下段に配設される下段箱体21と、下段箱体21の上に搭載される、複数段(図示例は2段)の上段箱体22,23とを有する3段構造を呈しており、下段箱体21と上段箱体22,23が相互に接続されている。また、最上段の上段箱体23の最上面には、波圧抵抗用パネル24が取り付けられている。
下段箱体21と上段箱体22,23はいずれも、複数の形鋼材からなる芯材20aと、芯材20aの外部水側に取り付けられている鋼製スキンプレート20bと,芯材20aの内側に取り付けられている鋼製スキンプレート20cにより形成されている。尚、必要に応じて、内側に取り付けられている鋼製スキンプレート20cを省略してもよい。
下段箱体21は、中空部21aと、中空部21aと外部水Wを連通する注排水管21cと、注排水バルブ21bと、給排気管21eと、給排気バルブ21dと、給排気管21eに圧力空気を供給する圧力空気供給部21fとを備えている。尚、図示例の他にも、上段箱体22,23も下段箱体21と同様に、中空部21aや注排水管21c、注排水バルブ21b等を備えていてもよい。また、図示例のように複数段の積層構造体でなく、平面視コの字状の一体構造体であってもよい。
図示例のように、箱体20が、下段箱体21と、複数段の上段箱体22,23とを有することにより、例えば箱体20の規模が大きい場合に、工場から作業ヤードである桟橋300(図7参照)までの陸上搬送等の際の搬送性が良好になり、桟橋300における箱体20の吊り下ろしの際に利用する重機の大型化を抑制でき、吊り下ろし性も良好になる。
また、箱体20が、芯材20aとなる複数の形鋼材と、芯材20aの少なくとも外部水側に取り付けられている鋼製スキンプレート20bとによって形成されていることにより、剛性が高く、可及的に軽量な箱体20を形成することができ、堰柱10の周囲に設置された際の耐水圧性に優れ、陸上搬送性に優れた箱体となる。
また、箱体20の最上面に、波圧抵抗用パネル24が取り付けられていることにより、箱体20の内部への海水等の浸入を抑制することができる。尚、波圧抵抗用パネル24は、波圧分のみを負担することから、例えば鋼製で薄厚のパネルが適用される。
注排水バルブ21bと給排気バルブ21dの少なくとも一方の開閉により、中空部21aに注水される外部水(バラスト)の量が調整されて箱体20の喫水が所望に調整され、この喫水の調整によって箱体20をZ1方向に浮沈させることができる。そのため、例えば喫水が十分に確保できない場合には、水底地盤Gを無駄に浚渫することなく、箱体20を所望に浮上させることにより、喫水を調整することが可能になる。
ここで、注排水バルブ21bと給排気バルブ21dの開閉は、箱体20に搭乗した作業員による手動操作にて行うことができる。あるいは、注排水バルブ21bと給排気バルブ21dがいずれも自動制御バルブであり、箱体20に喫水を計測するセンサが取り付けられていて、遠隔にいる管理者の備えるユーザ端末やコンピュータが、喫水データをセンサから受信し、喫水データに応じて注排水バルブ21b等に開閉指令を送信し、開閉指令に基づいて注排水バルブ21b等が自動開閉制御されるように構成してもよい。
箱体20を沈降させる際は、少なくとも、注排水バルブ21bによる中空部21aへの注水が実行される。一方、箱体20を浮上させる際は、給排気バルブ21dによる中空部21aへの給気と、注排水バルブ21bによる中空部21aからの排水が実行される。
[実施形態に係る箱体の搬送・設置方法と箱体搬送用のフロート台船]
次に、図7乃至図11を参照して、実施形態に係る箱体の搬送・設置方法の一例と箱体搬送用のフロート台船の一例について説明する。ここで、図7は、(a)から(c)の順に、実施形態に係る箱体の搬送・設置方法の一例を説明する工程図であり、かつ、実施形態に係る箱体搬送用のフロート台船の一例を説明する図である。また、図8Aは、箱体の内部に設けられているガイドユニットを説明する斜視図であり、図8Bは、図8AのB部の拡大図である。また、図9乃至図11は順に、実施形態に係る箱体の搬送・設置方法の一例のうち、箱体設置工程を詳細に説明する工程図である。尚、図示例では、フロート台船330にて上流側箱体20を搬送し、堰柱10に設置する方法を示すが、下流側箱体30も、作業ヤードとなる桟橋は相違するものの、実質的に同様の方法で搬送され、堰柱10に設置される。
まず、フロート台船330の構成を説明すると、図7(a)に示すように、フロート台船330は、箱体20が仮固定される入り江331を備え、入り江331には、引き戻しウインチ332と送り出しウインチ333が設けられている。フロート台船330は、入り江331に箱体20を仮固定した状態で、堰柱10の設置位置の近傍まで曳舟340(図7(b)参照)にて曳航されるようになっている。尚、フロート台船330は、自走式の台船であってもよい。
引き戻しウインチ332及び送り出しウインチ333と、箱体20との間には、ワイヤ334,335が取り付けられており、堰柱10に対して箱体20を設置する際には、引き戻しウインチ332と送り出しウインチ333にて双方のワイヤ334,335を介して箱体20の水平姿勢が調整される。
次に、箱体の搬送・設置方法の一例を説明する。箱体の搬送・設置方法では、まず、工場にて製作された、下段箱体21,上段箱体22,23がトラック310に積み込まれ、陸上輸送にて作業ヤードである桟橋300まで搬送される。
桟橋300にはフロート台船330が係留されており、桟橋300にある重機320により、まず下段箱体21が入り江331に吊り下ろされる。
入り江331に吊り下ろされた下段箱体21の上方に、重機320にて上段箱体22,23を順次吊り下ろし、下段箱体21と上段箱体22,23を相互に連結することにより、箱体20を形成する。この連結作業は、フロート台船330を作業床として行うことができる。また、箱体20の形成の過程で、下段箱体21の中空部21aに外部水を随時注水することにより、箱体20の喫水を所望に調整することができる。
入り江331にて形成された箱体20を入り江331に仮固定し、図7(b)に示すように、曳舟340にてフロート台船330を施工対象の堰柱10までX3方向に曳航する。
作業ヤードである桟橋300の側方にフロート台船330を係留し、桟橋300から重機320を利用して、下段箱体21や上段箱体22,23を入り江331に順次吊り下ろし、フロート台船330を作業床として、下段箱体21や上段箱体22,23を順次連結して箱体20を形成する。そして、箱体20の喫水を随時調整することにより、箱体20を所望に浮沈させた状態で入り江331に仮固定する。このように、入り江331を備えたフロート台船330を適用することにより、桟橋300からの下段箱体21等の入り江331への吊り下ろしから、フロート台船330を作業床として下段箱体21等を連結することによる箱体20の形成、フロート台船330への箱体20の仮固定、さらには箱体20の搬送までの一連の作業を、効率的に行うことができる(以上、箱体搬送工程)。
次に、図7(c)に示すように、施工対象の堰柱10に曳航されたフロート台船330を、複数の係留ワイヤ336を介して係留する。ここで、図示例の施工区域では、堰柱10の上方に空頭制限障害物400である管理道路等が存在しており、この空頭制限障害物400との干渉を防止しながら堰柱10に対して箱体20を設置する。
より詳細には、図7(c)及び図9に示すように、堰柱10の近傍にフロート台船330を係留した後、箱体20が空頭制限障害物400と干渉しないように喫水を調整し、設置に先行して箱体20を所望にX4方向に沈降させる。
次に、フロート台船330の入り江331では、引き戻しウインチ332及び送り出しウインチ333と、箱体20との間に取り付けられているワイヤ334,335とを利用して、ワイヤリングにより箱体20をX5方向に進退させながら姿勢調整を行い、箱体20の備える開口26を介して堰柱10の一部を箱体20の内部25に収容しながら、箱体20を堰柱10に設置する(以上、箱体設置工程)。
ここで、箱体20の内部には、図8A及び図8Bに示すように、箱体20の内側側面から内部に延設するガイド桟28と、ガイド桟28の先端において回転自在なガイドローラ29とにより構成される、複数のガイドユニット27が設けられている。複数のガイド桟28は、堰柱10の端部の側面11を側方から包囲するように組み付けられている。
ガイド桟28の先端には、外管28bと内管28aの二重管が取り付けられており、内管28aの先端にガイドローラ29が回転自在に取り付けられている。また、外管28bに対して内管28aが相対的に張り出し自在に構成されている。尚、内管に対して外管が張り出し自在に構成されていてもよい。
この内管28aの張り出し形態としては、二重管がシリンダ機構(図示せず)等を備えていて、シリンダ機構等を自動制御することによる自動張り出し形態や、作業員による手動張り出し形態などがある。
箱体搬送工程では、外管28bの内部に内管28aが収容された状態となっており、従って、堰柱10の端部が箱体20の内部25に収容された際には、堰柱10の側面11から各ガイドローラ29は後退した位置にある。
箱体設置工程に移行した後、外管28bに対して内管28aを堰柱10の側面側へ張り出させることにより、ガイドローラ29を堰柱10の側面11に当接させる。この状態で、引き戻しウインチ332と送り出しウインチ333を作動させてワイヤ334,335を利用したワイヤリングを行うことにより、各ガイドローラ29を堰柱10の側面11に滑らせながら箱体20の姿勢調整を行う。従って、堰柱10に対する箱体20の水平姿勢の調整(中でも微調整)を効率的に行うことが可能になる。
堰柱10に対する箱体20の水平姿勢の調整を行った後、例えば、下段箱体21の中空部21aに注水することにより、図8(b)及び図10に示すように、箱体20を堰柱10の側面11に沿って鉛直下方へX6方向に沈降させ、箱体20の下端を底盤15上に着底させる。そして、以下で詳説するように、箱体20の下端を底盤15の所定位置に固定することにより、箱体20の設置が完了する。
箱体20が設置された後、図11に示すように、箱体20を搬送してきたフロート台船330を退避させ、代わりに、重機320を搭載した別途のフロート台船330Aを箱体20に近接させ、ガイドユニット27を撤去し、箱体20の内部に仮設支保工60を設置する。
[実施形態に係る箱体の沈設固定方法と箱体の固定構造、箱体と底盤の止水構造と箱体と堰柱の止水構造]
次に、図12乃至図18を参照して、実施形態に係る箱体の沈設固定方法の一例と箱体の固定構造の一例、箱体と底盤の止水構造の一例と箱体と堰柱の止水構造の一例について説明する。ここで、図12は、実施形態に係る箱体の沈設固定方法の一例を説明する工程図であり、かつ、実施形態に係る箱体の固定構造(箱体と底盤の固定構造)の一例と、箱体と底盤の止水構造の一例を示す図である。また、図13は、(a)から(d)の順に、底盤の目地開き部の処理方法を示す工程図であり、図14は、(a)から(e)の順に、底盤の目地段差・欠損部の処理方法を示す工程図である。また、図15は、実施形態に係る箱体の固定構造(箱体と堰柱の固定構造)の一例と、箱体と堰柱の止水構造の一例を示す図である。また、図16Aは、壁体と仮設ゲートの接続部を示す斜視図であり、図16Bは、図16AのB部を拡大した平面図である。また、図17Aは、箱体と壁体のヒンジ機構の一例を示す側面図であり、図17Bは、図17AのB−B矢視図であって、ヒンジ機構における止水構造をともに示す平面図であり、図17Cは、図17AのC−C矢視図であって、ヒンジ機構における止水構造をともに示す平面図である。さらに、図18は、上流側壁体と下流側壁体が閉塞した際の双方の外部水側の端部側面の止水構造を示す平面図である。
箱体の沈設固定方法を説明しながら、この固定方法により形成される箱体の固定構造について説明する。ここで、「箱体の固定構造」には、箱体と底盤の固定構造と、箱体と堰柱の固定構造が含まれる。
箱体の沈設固定方法では、まず、堰柱10の下方にある底盤15に、ダイバー等が脚部ガイド鋼材18を設置する。脚部ガイド鋼材には、箱体20が設置される設置位置に沿って帯状に連続する脚部ガイドライナー17と、脚部ガイドライナー17の外側(箱体20が沈設される側)において、脚部ガイドライナー17の長手方向に間隔を置いて設けられている複数の案内部18とを有する。案内部18は、上端内側にテーパー片18aを備えている。
脚部ガイドライナー17はH形鋼等の形鋼材により形成されており、箱体20の着底位置において箱体20の輪郭に沿って内側に配設され、底盤15に対してボルト17bを介して固定されている山形鋼等の固定形鋼材17aにより、脚部ガイドライナー17の両側が挟まれ、位置決めされている。
脚部ガイドライナー17の外側面には、間隔を置いて複数の案内部18が溶接等により固定されている(以上、ガイド設置工程)。
図12に示すように、堰柱10の側面11に沿って鉛直下方にZ2方向へ沈降された箱体20の下端は、案内部18のテーパー片18aに沿ってZ3方向へ案内されながら底盤15の所定位置に着底される。このように、脚部ガイド鋼材17,18が底盤15に対して固定されていることから、案内部18に案内されて着底した箱体20は、帯状の脚部ガイドライナー17の外側に位置決めされ、脚部ガイド鋼材17,18を介して間接的に底盤15に固定され、箱体と底盤の固定構造120(箱体の固定構造の一例)が形成される(以上、沈設固定工程)。
沈設固定工程において、脚部ガイド鋼材である案内部18と箱体20の側面の脚部との間に隙間がある場合は、図12に示すように、隙間に対してライナープレート19を嵌め込んで隙間を塞ぐ。
このように、局所的に存在し得る隙間に対して、ライナープレート19を嵌め込んで隙間を塞ぐことにより、脚部ガイドライナー17の全長に亘り、箱体20の側面の脚部を脚部ガイド鋼材17,18との間に隙間なく位置決めすることができる。
図12に示すように、箱体と底盤の固定構造120が形成された状態においては、箱体と底盤の止水構造130も形成される。以下、箱体と底盤の止水構造130について説明する。
底盤15に着底された箱体20の脚部の側面の側方(外部水側)には、脚部鋼板20dが箱体20の側面(鋼製スキンプレート20b)との間に隙間を置いて第1隙間保持ボルト20hを介して固定されており、隙間には脚部用第1止水材20e(第1止水材の一例)が収容されて、その先端が底盤15に接している。
脚部用第1止水材20eの上方には、脚部用第1止水材20eを下方へY1方向に押し込む第1押し込みボルト20iが設けられており、第1押し込みボルト20iにて脚部用第1止水材20eが底盤15に押し込まれている。
ここで、脚部用第1止水材20eの先端には変形誘導孔20fが設けられており、底盤15へ押し込まれることにより、脚部用第1止水材20eの先端が変形誘導孔20fに誘導されて変形し、底盤15の表面の不陸に対して脚部用第1止水材20eの先端を入り込ませ易くなっている。
また、脚部用第1止水材20eには、縦方向の第1長孔20gが設けられており、第1隙間保持ボルト20hが第1長孔20gを貫通している。
このように、脚部用第1止水材20eにおいて縦方向の第1長孔20gが設けられ、第1隙間保持ボルト20hが第1長孔20gを貫通していることにより、脚部用第1止水材20eが底盤15へ押し込まれた際に、第1長孔20gの内部に留まる第1隙間保持ボルト20hは、脚部用第1止水材20eから押し込まれることなく、その姿勢を保持することができる。
一方、箱体20の脚部の下面の内側には、内部空気により伸縮自在である、もしくは水膨潤自在である、脚部用第2止水材21g(第2止水材の一例)が設けられている。空気の供給により、もしくは水膨潤により脚部用第2止水材21gが膨らむことで底盤15との間に止水構造を形成し、脚部用第1止水材20eと底盤15との間の止水構造を外部水が仮に通過してきた場合でも、脚部用第2止水材21gと底盤15との間の止水構造により外部水の箱体20の内部への通水を抑制もしくは抑止することができる。
このように、脚部用第1止水材20eと底盤15との間の止水構造と、脚部用第2止水材21gと底盤15との間の止水構造と、の二重止水構造により、箱体と底盤の止水構造130が形成される。
次に、底盤15における箱体20の設置位置(箱体20の脚部の下面位置)に存在する目地に、目地開き部がある場合と、目地段差・欠損部がある場合の補修方法について説明する。
まず、目地開き部がある場合の補修方法を概説すると、図13(a)に示すように、底盤15の目地Mの表面に目地開き部Hが存在し、目地開き部Hに堆積物Tが堆積している場合は、箱体20の着底に先行して、図13(b)に示すように、ダイバー等によりウォータージェット等で堆積物Tを除去し、目地開き部Hの清掃を行う。
次に、図13(c)に示すように、清掃された目地開き部Hに対して早強グラウトSGを充填し、表面を平滑処理した後、図13(d)に示すように、箱体20を沈設して底盤15に着底させることにより、目地開き部Hが早強グラウトSGにて埋められた上に箱体20が着底される。
次に、目地段差・欠損部がある場合の補修方法を概説すると、図14(a)に示すように、底盤15の目地Mの表面に目地段差・欠損部Dが存在し、目地段差・欠損部Dに堆積物Tが堆積している場合は、図14(b)に示すように、ダイバー等によりウォータージェット等で堆積物Tを除去した後、欠損形状を測量する。
沈設される箱体20の脚部の下面には、測量された欠損形状を埋める大きさの袋体21hが設けられており、図14(c)及び図14(d)に示すように、袋体21hを目地段差・欠損部Dに収容されるようにして箱体20を底盤15に着底させる。ここで、袋体21hは、例えばナイロン等の樹脂素材の袋体を適用できる。
次いで、図14(e)に示すように、箱体20の内部から袋体21hに早強グラウトSGを充填することにより、目地段差・欠損部Dを早強グラウトSGにて埋めることができる。
早強グラウトSGが充填される袋体21hが、脚部用第1止水材20eと脚部用第2止水材21gに加わることにより、箱体と底盤の止水構造130は局所的には三重止水構造となる。
箱体の沈設固定方法の説明に戻ると、沈設固定工程では、箱体20が底盤15の所定位置に沈設され、箱体と底盤の固定構造120と箱体と底盤の止水構造130が形成された後、さらに、堰柱10の側面11に対して箱体20を固定する。
具体的には、図15に示すように、箱体20の端部(堰柱10の側面11と当接する端部)には、押し出し機構85と、押し出し機構85により押し出し自在な支圧板88とが設けられている。
図示例の押し出し機構85は、二つのフリーナット86と、それぞれのフリーナット86の回転によって進退するロッド87とを備えており、二つのロッド87の先端に支圧板88が取り付けられている。
箱体20は、芯材20aと、外部水側の鋼製スキンプレート20bと、内側の鋼製スキンプレート20cとを有し、それぞれの鋼製スキンプレート20b、20cには不図示の開口が設けられている。
沈設固定工程では、各開口から作業員が手を入れて二つのフリーナット86を回転させることにより、二つのロッド87を堰柱10側へX8方向に張り出させ、支圧板88を堰柱10の側面11に圧接させることにより、箱体20は堰柱10に対して移動不可の状態で固定される。
また、堰柱10と箱体20の端部の固定箇所の内側には、堰柱10の側面11と箱体20の端部の側面に跨がる固定用治具82を取り付け、固定用治具82の一端を堰柱10の側面11に対して固定用ボルト83にて固定し、固定用治具82の他端を箱体20の側面に対して別途の固定用ボルト84にて固定する。尚、図示例の他にも、固定用治具82に代わって被係合部を取り付けておき、被係合部に対して固定用治具を係合させる形態であってもよい。このように、支圧板88を堰柱10の側面11に圧接させて箱体20を堰柱10に対して移動不可の状態で固定しながら、固定用治具82を介して堰柱10と箱体20をボルト固定することにより、箱体と堰柱の固定構造140(箱体の固定構造の一例)が形成される。
以上のように、沈設固定工程では、箱体20の脚部は、脚部ガイド鋼材17,18を介して底盤15に位置決め固定され、箱体20の壁面の端部は、押し出し機構85及び支圧板88と、固定用治具82及び固定用ボルト83,84とにより、堰柱10の側面11に対して強固に固定される。図15に示すように、箱体と堰柱の固定構造140が形成された状態においては、箱体と堰柱の止水構造150も形成される。以下、箱体と堰柱の止水構造150について説明する。
箱体20が堰柱10の側面11に固定されている端部の側面の側方(外部水側)には、側部鋼板80aが箱体20の側面(鋼製スキンプレート20b)との間に隙間を置いて第2隙間保持ボルト80fを介して固定されており、隙間には箱体端部第1止水板80b(第1止水板の一例)が収容されて、その先端が側面11にラップした状態で接している。
箱体端部第1止水板80bの他端には、箱体端部第1止水板80bを側方へY2方向に押し込む第2押し込みボルト80gが設けられており、第2押し込みボルト80gにて箱体端部第1止水板80bが堰柱10の側面11に押し込まれている。
ここで、箱体端部第1止水板80bには、水平方向に延設する第2長孔80cが設けられており、第2隙間保持ボルト80fが第2長孔80cを貫通している。
このように、箱体端部第1止水板80bにおいて水平方向の第2長孔80cが設けられ、第2隙間保持ボルト80fが第2長孔80cを貫通していることにより、箱体端部第1止水板80bが堰柱10側へ押し込まれた際に、第2長孔80cの内部に留まる第2隙間保持ボルト80fは、箱体端部第1止水板80bから押し込まれることなく、その姿勢を保持することができる。
また、箱体端部第1止水板80bと鋼製スキンプレート20bの間には、丸孔80eを備えた箱体端部第2止水板80d(第2止水板の一例)が介在し、その端部は堰柱10の側面11に当接している。そして、第2長孔80cを貫通する第2隙間保持ボルト80fが丸孔80eをさらに貫通している。
このように、第2長孔80cの側方に第2隙間保持ボルト80fが嵌まり込む丸孔80eを備えた箱体端部第2止水板80dがあることにより、第2長孔80cを介した箱体20の内部への外部水の通水を箱体端部第2止水板80dにて抑制もしくは抑止することができる。
さらに、鋼製スキンプレート20bの内側には、堰柱10の側面11と箱体の端面との間を閉塞するように、内部空気により伸縮自在である、もしくは水膨潤自在である、箱体端部第4止水材(第4止水材の一例)が設けられている。
空気の供給により、もしくは水膨潤により箱体端部第4止水材が膨らむことで堰柱10の側面11との間に止水構造を形成し、箱体端部第1止水板80bと箱体端部第2止水板80dとの止水構造を外部水が仮に通過してきた場合でも、箱体端部第4止水材と堰柱10の側面11との間の止水構造により、外部水の箱体20の内部への通水を抑制もしくは抑止することができる。
このように、箱体20の端部と堰柱10の側面11との間には、箱体端部第1止水板80bと箱体端部第2止水板80d、さらには箱体端部第4止水材による、三重止水構造である箱体と堰柱の止水構造150が形成される。
次に、図16を参照して、上流側壁体40と仮設ゲート73の端部の止水構造について説明する。尚、図16Aでは、例えば図3に示す端部支持鋼材46の図示を省略している。
図16Aに示すように、上流側壁体40の外部水側の側面には、鉛直方向に延設する一対の落とし込み溝形成用鋼材48が取り付けられている。
図16Bに示すように、一対の落とし込み溝形成用鋼材48の間に角落としされる仮設ゲート73の端部の両側面には、断面視P状の仮設ゲート端部止水材49が取り付けられている。一対の落とし込み溝形成用鋼材48の間に仮設ゲート73の端部が角落としされた際に、二条の仮設ゲート端部止水材49が対応する落とし込み溝形成用鋼材48と当接することにより、上流側壁体40と仮設ゲート73の端部の止水構造が形成される。
断面視P状の仮設ゲート端部止水材49を適用することにより、水圧がどの方向から作用した場合でも、十分な止水性が保証される。
次に、図17及び図18を参照して、上流側箱体20と上流側壁体40のヒンジ機構41とヒンジ機構41における止水構造を説明するとともに、上流側壁体40と下流側壁体50が閉塞した際の双方の外部水側の端部側面の止水構造について説明する。尚、下流側箱体30と下流側壁体50のヒンジ機構51とその止水構造についても、それらの構成は実質的に同様である。
図17A及び図17Bに示すように、箱体20と壁体40はそれぞれ、箱体ヒンジ42と壁体ヒンジ43を備え、箱体ヒンジ42と壁体ヒンジ43によりヒンジ機構41が構成されている。
図17Aに示すように、壁体ヒンジ43は、上下に第3隙間41aを置いて配設されている二枚の第1水平ヒンジ片43と、二枚の第1水平ヒンジ片43の有するピン孔43aを貫通するヒンジピン44とを備えている。一方、箱体ヒンジ42は、第3隙間41aに遊嵌されて、ヒンジピン44が貫通するピン孔42aが設けられている第2水平ヒンジ片42を備えている。そして、第2水平ヒンジ片42の厚みは、第3隙間41aの高さよりも小さく設定されている。
この構成により、第2水平ヒンジ片42に対して二枚の第1水平ヒンジ片43を上下移動させることによって、壁体40を上下移動させることができる。このことにより、底盤15上で壁体40を回動させる際に、底盤15の表面凹凸が大きな場合は、壁体40を随時上下移動させることによって、壁体40を底盤15の表面凹凸に干渉させることなくスムーズに回動させることが可能になる。
また、図17B及び図17Cに示すように、壁体ヒンジ43の備える第1水平ヒンジ片43の側面の少なくとも一部には、ヒンジ第1止水材45a(第1止水材の一例)が取り付けられており、箱体20の側面からは、壁体ヒンジ43に向かってヒンジ第2止水材45b(第2止水材の一例)が張り出している。そして、第1水平ヒンジ片43の回動範囲であるX7範囲(90度範囲)に亘って、ヒンジ第1止水材45aとヒンジ第2止水材45bが接触している。
この構成により、箱体20と壁体40の回動部(ヒンジ機構41)における高い止水性を保証することができる。
また、図18に示すように、上流側壁体40と下流側壁体50が閉塞した際の双方の外部水側の端部側面のうち、一方の端部側面には壁体閉合端部第3止水材91(第3止水材の一例)が取り付けられ、他方の端部側面には壁体閉合端部第4止水材92(第4止水材の一例)が取り付けられており、壁体閉合端部第4止水材92の端部が壁体閉合端部第3止水材91の外側から接触し、外部水の水圧によって壁体閉合端部第4止水材92の端部が壁体閉合端部第3止水材91に押圧されている。
この構成により、壁体閉合端部第4止水材92の端部を外部水の水圧によって壁体閉合端部第3止水材91に押圧することができ、双方の壁体40,50の閉合部における高い止水性を保証することができる。
[実施形態に係る仮設ゲートと仮設ゲート昇降システム]
次に、図19乃至図22を参照して、実施形態に係る仮設ゲートの一例と仮設ゲート昇降システムの一例について説明する。ここで、図19は、実施形態に係る仮設ゲートの一例の斜視図であり、図20は、実施形態に係る仮設ゲートの正面図である。また、図21は、ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図であり、図22は、実施形態に係る仮設ゲート昇降システムの一例の全体構成を示すとともに、仮設ゲート昇降システムを構成する牽引具とユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
図19及び図20に示すように、堰柱10の側面11には第1落とし込み溝13が設けられ、堰柱10の側方には間隔をおいて第2落とし込み溝72を備える複数の仮支柱71が立設し、箱体20は第3落とし込み溝47を備えた壁体40を有している。
仮支柱71はH形鋼により形成され、ウエブと二つのフランジにより形成される左右の空間が第2落とし込み溝72を形成している。
また、仮支柱71の脚部は、角パイプ等の筒材71'により形成されており、底盤15に設けられている既設の凸部15aに筒材71'を被せることにより、仮支柱71の脚部が底盤15に立設される。筒材71'の側面下端には山形鋼等の固定治具71aが溶接されており、既設の凸部15aに筒材71'を被せた際に、固定治具71aの一片が底盤15に載置される。例えばダイバー等が、この一片を底盤15に対して固定ボルト71bにて固定することにより、底盤15に対して仮支柱71が固定される。
複数の仮支柱71の上端には支持梁77が設置され、支持梁77における各仮支柱71の間にそれぞれ、複数(図示例は2つ)の牽引具78が設置されている。このように、複数の仮支柱71の上端に設置されている支持梁77の各所に牽引具78が設置されていることにより、牽引具78を様々な設置することができ、また、設置位置を随時変更することができる。
仮設ゲート73は、例えば3枚の角落とし材74,75が相互に接続金物76を介して連結されることにより一体に形成されており、図示例では、下方の2枚の角落とし材74は既に存在する既設角落とし材であり、上方の角落とし材75は新規の新設角落とし材である。新設角落とし材75の上面には吊りフック75aが設けられており、牽引具78から垂下されるチェーン等の吊り材79の下端が吊りフック75aに係止されている。
牽引具78は電動チェーンブロックであり、以下で詳説するように、遠隔にて管理者が電動チェーンブロック78を駆動させることにより、仮設ゲート73のY3方向への昇降が実行されるようになっている。
図示例の仮設ゲート73によれば、仮設ゲート73が設置された場合においても、本設ゲート14と同様に仮設ゲート73を随時昇降させることができ、必要に応じて海水や河川水の行き来を許容することができる。また、図示例の仮設ゲート73によれば、固有の牽引具78にて各仮設ゲート73が昇降されることから、角落としされている場所が異なる全ての仮設ゲート73の一部もしくは全部を、所望に昇降させることができる。
次に、仮設ゲート昇降システムについて説明する。
図22に示すように、仮設ゲート昇降システム500は、仮締切り体200の備える仮設ゲート73の備える牽引具78と、管理者等の備えるユーザ端末95とを有する。電動チェーンブロック78とユーザ端末95がネットワーク98を介して接続されることにより、仮設ゲート昇降システム500が形成される。ユーザ端末95としては、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やタブレット、スマートフォン等が挙げられる。
ネットワーク98には、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。
図21に示すように、ユーザ端末95は、接続バス95jにより相互に接続されているCPU95e、主記憶装置95f、補助記憶装置95g、通信IF(interface)95h、及び入出力IF95iを備えている。主記憶装置95fと補助記憶装置95gは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
CPU95eは、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU95eは、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU95eは、コンピュータからなるユーザ端末95の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU95eは、例えば、補助記憶装置95gに記憶されたプログラムを主記憶装置95fの作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
主記憶装置95fは、CPU95eが実行するコンピュータプログラムや、CPU95eが処理するデータ等を記憶する。主記憶装置95fは、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置95gは、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置95gには、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF95hを介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、ネットワークに接続する電動チェーンブロック78等が含まれる。
補助記憶装置95gは、例えば、主記憶装置95fを補助する記憶領域として使用され、CPU95eが実行するコンピュータプログラムや、CPU95eが処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置95gは、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置95gとして、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示され、着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
通信IF95hは、ユーザ端末95が接続するネットワーク98とのインターフェイスである。通信IF95hは、ネットワーク98を介して、各仮設ゲート73の備えるそれぞれの電動チェーンブロック78に対して駆動信号や駆動停止信号を送信する。
入出力IF95iは、ユーザ端末95に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF95iには、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。ユーザ端末95は、入出力IF95iを介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。また、入出力IF95iには、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続される。
図22に示すように、ユーザ端末95は、CPU95eによるプログラムの実行により、少なくとも、第2通信部95a、操作部95bの各種機能を提供する。
一方、電動チェーンブロック78は、第1通信部78aと牽引駆動部78bを有する。
ユーザ端末95の操作部95bによる指令信号は、第2通信部95aを介して電動チェーンブロック78の第1通信部78aに送信され、牽引駆動部78bにより、仮設ゲート73の昇降制御が実行される。
図示例の仮設ゲート昇降システム500によれば、ユーザ端末95を用いて遠隔にて仮設ゲート73の昇降制御を行うことができる。尚、各仮設ゲート73は、手動によるチェーンブロックにて昇降される形態であってもよい。
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
1:堰(河口堰)
10:堰柱
10a:第1隙間
11:側面
12:本設ゲート落とし込み溝
13:第1落とし込み溝
14:本設ゲート
15:底盤
15a:既設の凸部
16:昇降機構
17:脚部ガイドライナー(脚部ガイド鋼材)
17a:固定形鋼材
17b:ボルト
18:案内部(脚部ガイド鋼材)
18a:テーパー片
19:ライナープレート
20:上流側箱体(箱体)
20':開口接合部
20a:芯材(形鋼材)
20b、20c:鋼製スキンプレート
20d:脚部鋼板
20e:脚部用第1止水材(第1止水材)
20f:変形誘導孔
20g:第1長孔
20h:第1隙間保持ボルト
20i:第1押し込みボルト
21:下段箱体
21a:中空部
21b:注排水バルブ
21c:注排水管
21d:給排気バルブ
21e:給排気管
21f:圧力空気供給部
21g:脚部用第2止水材(第2止水材)
21h:袋体(第3止水材)
22:上段箱体(二段目箱体)
23:上段箱体(三段目箱体)
24:波圧抵抗用パネル
25:内部
26:開口
27:ガイドユニット
28:ガイド桟
28a:内管
28b:外管
29:ガイドローラ
30:下流側箱体(箱体)
30':開口接合部
31:下段箱体
32:上段箱体(二段目箱体)
33:上段箱体(三段目箱体)
34:波圧抵抗用パネル
35:内部
36:開口
40:上流側壁体(壁体)
41:ヒンジ機構
41a:第3隙間
42:箱体ヒンジ(第2水平ヒンジ片)
42a:ピン孔
43:壁体ヒンジ(第1水平ヒンジ片)
43a:ピン孔
44:ヒンジピン
45a:ヒンジ第1止水材(第1止水材)
45b:ヒンジ第2止水材(第2止水材)
46:端部支持鋼材
47:第3落とし込み溝
48:落とし込み溝形成用鋼材
49:仮設ゲート端部止水材
50:下流側壁体(壁体)
51:ヒンジ機構
60:仮設支保工
61:支柱
62:切梁
63:支柱
64:短尺切梁
65:開口補強支柱
66:開口補強短尺切梁
67:壁体支持用支柱
68:壁体支持用短尺切梁
69:第2隙間
71:仮支柱
71':筒材
71a:固定治具
71b:固定ボルト
72:第2落とし込み溝
73:仮設ゲート
74:既存角落とし材(角落とし材)
75:新設角落とし材(角落とし材)
75a:吊りフック
76:接続金物
77:支持梁
78:牽引具(電動チェーンブロック)
78a:第1通信部
78b:牽引駆動部
79:吊り材(チェーン)
80a:側部鋼板
80b:箱体端部第1止水板(第1止水板)
80c:第2長孔
80d:箱体端部第2止水板(第2止水板)
80e:丸孔
80f:第2隙間保持ボルト
80g:第2押し込みボルト
81:箱体端部第4止水材(第4止水材)
82:固定用治具
83,84:固定用ボルト
85:押し出し機構
86:フリーナット
87:ロッド
88:支圧板
91:壁体閉合端部第3止水材(第3止水材)
92:壁体閉合端部第4止水材(第4止水材)
95:ユーザ端末
95a:第2通信部
95b:操作部
98:ネットワーク
100:開放型の仮締切り体(仮締切り体)
120:箱体と底盤の固定構造(箱体の固定構造)
130:箱体と底盤の止水構造
140:箱体と堰柱の固定構造(箱体の固定構造)
150:箱体と堰柱の止水構造
200:閉塞型の仮締切り体(仮締切り体)
300:桟橋
310:トラック
320:重機
330,330A:フロート台船
331:入り江
332:引き戻しウインチ
333:送り出しウインチ
334,335:ワイヤ
336:係留ワイヤ
340:曳舟
400:空頭制限障害物(管理道路)
500:仮設ゲート昇降システム
W:外部水(海水、河川水)
G:水底地盤
M:目地
H:目地開き部
D:目地段差・欠損部
T:堆積物
SG:早強グラウト

Claims (14)

  1. 堰柱と、該堰柱の側方に延設する昇降自在な本設ゲートと、を有する堰において、該堰柱の周囲に構築される仮締切り体であって、
    前記堰柱の周囲の上流側と下流側にはそれぞれ、上流側箱体と下流側箱体が配設され、双方の該箱体の間の前記堰柱の側方には第1隙間があり、
    前記上流側箱体と前記下流側箱体はそれぞれ、上流側壁体と下流側壁体を備えており、
    前記壁体を閉合することにより、前記第1隙間が閉塞されて、双方の前記箱体と双方の前記壁体とにより、閉塞型の仮締切り体が形成されることを特徴とする、仮締切り体。
  2. 前記上流側壁体と前記下流側壁体のいずれか一方の側方に、仮設ゲートが取り付け自在であることを特徴とする、請求項1に記載の仮締切り体。
  3. 前記上流側壁体と前記下流側壁体はそれぞれ、前記上流側箱体と前記下流側箱体に対して回動自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の仮締切り体。
  4. 前記上流側壁体と前記下流側壁体はそれぞれ、前記上流側箱体と前記下流側箱体において、前記第1隙間に向かってスライド自在に収納されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の仮締切り体。
  5. 前記堰柱と前記箱体との間には、仮設支保工を構成する切梁が架け渡されており、
    前記閉塞型の仮締切り体が形成されている場合は、一方もしくは双方の前記壁体と前記堰柱との間にも、仮設支保工を構成する切梁が架け渡されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の仮締切り体。
  6. 前記仮設支保工は、前記切梁と支柱を有し、
    前記支柱は、前記堰柱の近傍において該堰柱との間に第2隙間を置いて立設されており、
    前記切梁は、対応する前記支柱と前記箱体との間、対応する前記支柱と前記壁体との間にそれぞれ架け渡されており、
    前記第2隙間において、短尺切梁が前記支柱と前記堰柱との間に架け渡されており、
    前記堰柱を補修もしくは補強する際には、前記短尺切梁の一部が盛り替えられて前記第2隙間に作業空間が形成されるようになっていることを特徴とする、請求項5に記載の仮締切り体。
  7. 前記箱体と前記壁体はそれぞれ、箱体ヒンジと壁体ヒンジを備え、該箱体ヒンジと該壁体ヒンジによりヒンジ機構が構成されており、
    前記壁体ヒンジは、上下に第3隙間を置いて配設されている二枚の第1水平ヒンジ片と、該二枚の第1水平ヒンジ片を繋ぐヒンジピンとを備え、
    前記箱体ヒンジは、前記第3隙間に遊嵌されて、前記ヒンジピンが貫通するピン孔が設けられている第2水平ヒンジ片を備え、
    前記第2水平ヒンジ片の厚みは前記第3隙間よりも小さく、該第2水平ヒンジ片に対して前記二枚の第1水平ヒンジ片を上下移動させ、前記壁体を上下移動できるようになっていることを特徴とする、請求項3,請求項3に従属する請求項5又は6のいずれか一項に記載の仮締切り体。
  8. 前記壁体ヒンジの備える前記第1水平ヒンジ片の側面の少なくとも一部には、第1止水材が取り付けられており、
    前記箱体の側面から前記壁体ヒンジに向かって第2止水材が張り出しており、
    前記第1水平ヒンジ片の回動範囲に亘って、前記第1止水材と前記第2止水材が接触していることを特徴とする、請求項7に記載の仮締切り体。
  9. 前記上流側壁体と前記下流側壁体が閉塞した際の双方の外部水側の端部側面のうち、一方の端部側面には第3止水材が取り付けられており、他方の端部側面には第4止水材が取り付けられ、該第4止水材の端部が前記第3止水材の外側から接触し、前記外部水の水圧によって該端部が該第3止水材に押圧されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の仮締切り体。
  10. 出水期には、前記第1隙間が開放されて、開放型の仮締切り体が形成され、前記本設ゲートが昇降自在となっており、
    渇水期には、前記閉塞型の仮締切り体が形成され、前記上流側壁体と前記下流側壁体のいずれか一方の側方に延設する前記仮設ゲートが設けられていることを特徴とする、請求項2,請求項2に従属する請求項3乃至9のいずれか一項に記載の仮締切り体。
  11. 堰柱と、該堰柱の側方に延設する昇降自在な本設ゲートと、を有する堰において、該堰柱の周囲を完全に閉塞する閉塞型の仮締切り体を構築する、閉塞型の仮締切り体構築方法であって、
    前記堰柱の周囲の上流側には上流側箱体を配設し、前記堰柱の周囲の下流側には下流側箱体を配設し、双方の該箱体の間に第1隙間を設ける、箱体設置工程と、
    前記堰柱の側方のうち、前記本設ゲートと干渉しない位置に仮設支保工を設置し、前記上流側箱体から張り出し可能な上流側壁体と、前記下流側箱体から張り出し可能な下流側壁体のうち、前記本設ゲートと干渉しない一方の壁体を張り出させて前記仮設支保工と接続する、一方壁体設置工程と、
    前記一方の壁体の側方に仮設ゲートを設置する、仮設ゲート設置工程と、
    前記本設ゲートを上昇させ、他方の前記壁体を張り出させて前記仮設支保工と接続することにより、双方の前記壁体によって前記第1隙間を閉塞して、双方の前記箱体と双方の前記壁体とにより構成される、閉塞型の仮締切り体を構築する、第1隙間閉塞工程と、を有することを特徴とする、閉塞型の仮締切り体構築方法。
  12. 前記第1隙間閉塞工程では、さらに、
    前記堰柱の側面と、双方の前記壁体と、双方の前記箱体の開口端と前記堰柱の側面との開口接合部と、により形成される壁体内部空間からの水抜きと、前記開口接合部の撤去を行うことを特徴とする、請求項11に記載の閉塞型の仮締切り体構築方法。
  13. 前記第1隙間閉塞工程では、前記開口接合部の側方に盛り替え切梁を設置し、前記壁体内部空間からの水抜きを行い、前記開口接合部の撤去を行うことを特徴とする、請求項12に記載の閉塞型の仮締切り体構築方法。
  14. 前記第1隙間閉塞工程では、前記箱体の内部に注水して、前記開口接合部に対する前記箱体からの水圧と前記壁体内部空間からの水圧をバランスさせ、前記開口接合部の側方に盛り替え切梁を設置し、前記開口接合部の撤去を行い、前記箱体と前記壁体内部空間からの水抜きを行うことを特徴とする、請求項12に記載の閉塞型の仮締切り体構築方法。
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