JP2021063261A - 三次元形状造形物の製造方法および三次元形状造形物を製造するための製造装置 - Google Patents

三次元形状造形物の製造方法および三次元形状造形物を製造するための製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低エネルギー条件下で三次元形状造形物を効率的に製造するための方法を供すること。【解決手段】本発明の一実施形態では、金属ナノ粒子および溶媒を含んで成る組成物をターゲットの所定箇所に吐出する吐出工程と、前記所定箇所に吐出した前記組成物の前記溶媒を揮発させて、少なくとも前記金属ナノ粒子同士を接合させる接合工程とを含み、前記吐出工程と前記接合工程とを繰り返し行うことで、所定のパターンを有する層を形成し、該層を積層することで三次元形状造形物を製造する、方法が供される。【選択図】図3

Description

本開示は、三次元形状造形物の製造方法および三次元形状造形物を製造するための製造装置に関する。
近年コンピュータ上で作成した3Dデータに基づき、三次元形状造形物を製造するための3Dプリンターが生産工場に導入される場合がある。3Dプリンターを使用することで、複雑な3次元形状や中空構造を切削加工することなく容易に製造することができる。
3Dプリンターで使用可能な材料は樹脂系材料と金属系材料とに分けることができる。樹脂系材料を用いる利点は三次元形状造形物を安価に造形できる点であり、ABS、ナイロン、アクリル等の樹脂系材料を用いることができる。一方、金属系材料を用いる利点は強度と耐熱性とを兼ね備えた三次元形状造形物を製造できる点であり、ステンレス、チタン、インコネル等の金属系材料を用いることができる。3Dプリンターで造形した部品は航空機用エンジンにも採用されており、当該部品は今後も幅広い分野で使用されていくと考えられ製造業への貢献度が大きい。
三次元形状造形物を製造するための方式は3つある。具体的には、三次元形状造形物を製造するための方式は、結合剤噴射法、粉末床溶融結合法、および指向性エネルギー堆積法である。
結合剤噴射法は、平坦状に敷き詰めた金属粉末層にインクジェットヘッドから光硬化性樹脂を結合材として噴射し、金属粉末層を層毎に固めていく方式である。結合剤噴射法は、造形速度が速く、形状精度が高いといった利点がある(例えば特許文献1参照)。一方、結合剤噴射法は結合剤として樹脂材料を用いるため、得られる三次元形状造形物の耐熱性が低くなり得る。
粉末床溶融結合法は、平坦状に敷き詰めた金属粉末層にレーザービーム又は電子ビームを照射して、層毎に溶融結合させる方式である。粉末床溶融結合法は、高融点金属材料を用いた造形が可能であり、これに起因して耐久性を有する三次元形状造形物を製造可能である(例えば、特許文献2参照)。一方、粉末床溶融結合法は、形成した金属粉末層の全てを用いないため、溶融結合させない金属粉末は三次元形状造形物の製造のために用いられないため材料のロスが大きくなり得る。
指向性エネルギー堆積法は、レーザーを照射しながら、金属粉末を吹き付けて固めていく方式である。指向性エネルギー堆積法は金属粉末を積層して三次元形状造形物を製造する方式ではないため、金属粉末の使用量は三次元形状造形物の製造に必要な量分ですむ。そのため、指向性エネルギー堆積法は大型の三次元形状造形物の製造に適している(例えば、特許文献3参照。)。
特開2019−111792号公報 特開2017−177557号公報 特開2017−31490号公報
ここで、本願発明者らは、上記の指向性エネルギー堆積法を用いて三次元形状造形物を製造する場合、以下の技術的課題が生じ得ることを新たに見出した。具体的には、レーザーにより融点以上の温度にまで、吹き付ける金属粉末を加熱して溶融させ、得られた溶融物を凝固させる必要がある。そのため、レーザー等を用いる高エネルギー条件下で三次元形状造形物を製造する必要がある。
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものである。すなわち、本発明の目的は、低エネルギー条件下で三次元形状造形物を効率的に製造するための方法およびそのための製造装置を供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
金属ナノ粒子および溶媒を含んで成る組成物をターゲットの所定箇所に吐出する吐出工程と、
前記所定箇所に吐出した前記組成物の前記溶媒を揮発させて、少なくとも前記金属ナノ粒子同士を接合させる接合工程と
を含み、
前記吐出工程と前記接合工程とを繰り返し行うことで、所定のパターンを有する層を形成し、該層を積層することで三次元形状造形物を製造する、方法が提供される。
又、上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
金属ナノ粒子および溶媒を含んで成る組成物を少なくともターゲットの所定箇所に吐出可能な吐出部を備える、三次元形状造形物の製造装置が提供される。
本発明の一実施形態に従えば、低エネルギー条件下で三次元形状造形物を効率的に製造可能である。
本発明の実施形態1に係る三次元形状造形物の製造方法を示すフロー図 三次元形状造形物の製造のために用いる組成物を模式的に示す断面図 金属ナノ粒子同士を接合させるメカニズムを模式的に示すフロー図 溶媒沸点とネッキング率との関係を示す図 三次元形状造形物の製造装置のチャンバー内の温度とネッキング率との関係を示す図 本発明の実施形態2に係る三次元形状造形物の製造方法を示すフロー図 三次元形状造形物の製造のために用いる第2の組成物を模式的に示す断面図 組成物と第2の組成物の合計質量に対する第2の組成物の割合と三次元形状造形物の質量変化比/ネッキング率との関係を示す図 本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造装置を模式的に示す斜視図 吐出部の模式平面図
[本発明の製造方法]
以下、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
本願発明者らは、高エネルギー条件下でなくとも三次元形状造形物を好適に製造可能な三次元形状造形物の製造方法およびそのための製造装置について鋭意検討した。その結果、本発明を案出するに至った。
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る三次元形状造形物の製造方法について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る三次元形状造形物の製造方法を示すフロー図である。
本発明の実施形態1は、主として、吐出工程101と接合工程102とを含み、吐出工程101と接合工程102とを繰り返し行うことで、所定のパターンを有する層を形成し、当該層を積層することで三次元形状造形物を製造することを特徴とする。
吐出工程101は、金属ナノ粒子および溶媒を含んで成る組成物(以下の第1の組成物に相当)をターゲットの所定箇所に吐出する工程である。接合工程102は、ターゲットの所定箇所に吐出した組成物の溶媒を揮発させて、少なくとも金属ナノ粒子同士を接合させる工程である。
すなわち、接合工程102は、ターゲットの所定箇所への組成物の接触工程103と、少なくとも金属ナノ粒子同士を接合させる工程104とを含む。なお、当該接合工程102は、後述するターゲットと金属ナノ粒子との間における接合態様も含む。
第1の組成物
以下、上記の組成物(第1の組成物に相当)について具体的に説明する。図2は、三次元形状造形物の製造のために用いる組成物を模式的に示す断面図である。
第1の組成物105は、金属ナノ粒子106と溶媒を主成分とするバインダー107とを含んで成る液状の組成物である。
・金属ナノ粒子
第1の組成物に用いられる金属ナノ粒子106としては、Cu、Fe、Ni、Ag、およびSnから成る群から選択される少なくとも1種の金属元素を含むものが好ましい。さらに、金属ナノ粒子106としては、Fe−Ni、Ni−Sn、Ag−Cu、Sn−Ag等の2元合金でも良く、2元合金にSb、Bi、In、Ag、Cu、およびSnから成る群から選択される少なくとも1種の元素を更に含んで良い。一例としては、金属ナノ粒子106は、Cu粒子であってよい。
金属ナノ粒子106は、下記で述べる金属ナノ粒子間での固相拡散のしやすさを考慮して100nm以下のモード径を有することが好ましい。例えば、金属ナノ粒子106として80nmのモード径を有するものが用いられてよい。
・バインダー
第1の組成物に用いられるバインダー107は、溶媒として例えば2−プロパノール(沸点82℃)およびジカルボン酸(例えばアジピン酸)の混合物である。バインダー107の合計質量に対する溶媒の比率は特に限定されるものではないが70質量%〜90質量%、例えば80質量%である。金属ナノ粒子106とバインダー107は75:25の質量比率で混合されていてよい。
以下、金属ナノ粒子同士を接合させるメカニズムについて説明する。図3は、金属ナノ粒子同士を接合させるメカニズムを模式的に示すフロー図である。
まず、図3(a)に示すように、まずターゲットの所定箇所に第1の組成物を吐出する。第1の組成物に含まれる溶媒が主成分であるバインダー107が時間の経過とともに揮発し始める。これにより、図3(b)に示すように隣接する金属ナノ粒子106との距離が徐々に短くなる。そして、図3(c)に示すように、バインダー107の揮発が更に進み、隣接する金属ナノ粒子106が接触すると、金属ナノ粒子106間で固相拡散によるネッキング108が発生する。その結果、金属ナノ粒子106同士を接合することが可能となる。なお、ターゲット(例えば製造途中の三次元形状造形物の前駆体又は三次元形状造形物を支持するステージ)と金属ナノ粒子との間でも固相拡散によるネッキングが進んで、金属ナノ粒子がターゲットに接合する。
金属粒子径が小さいと粒子の持つ表面エネルギーの割合が大きくなるため、粒子表面で固相状態での原子の拡散が発生し得る。金属粒子の場合、粒子径が概ね100nm以下であると、固相拡散が顕著に現れる。最後に、図3(d)に示すように、バインダー107が全て揮発すると、金属ナノ粒子106同士の接合およびターゲットへの金属ナノ粒子106の接合が完了する。
以下、溶媒沸点とネッキング率との関係について説明する。図4は、溶媒沸点とネッキング率との関係を示す図である。
図4では、造形物の断面を分析することでネッキング率を数値化している。一例として、40℃のチャンバー内の温度にて造形を行う。造形物の断面を電子後方散乱回折法(EBSD)で分析して結晶方位の違いから金属ナノ粒子の輪郭を導き出し、粒子の外周長さAを数値化する。ネッキングが進行すると外周長さが短くなり得る。そのため、ネッキングしていない初期の粉末の外周長さBとすると、ネッキング率は(B−A)/B×100で表すことができる。なお、ネッキング率が高い方が金属ナノ粒子同士の接合が強いことを意味する。
図4に示すように、溶媒沸点(溶媒沸点ともいう)が78℃を超えるとネッキング率が40%以上になり結合状態が良好になる。これは溶媒が揮発することによって固相拡散が進むことによる。溶媒沸点がさらに高くなるとネッキング率も上昇するが、溶媒沸点が120℃を超えるとネッキング率は40%未満に低下する。これは溶媒の揮発が不十分となり固相拡散の進行が進まなくなることによる。
以上の事から、ネッキング率は60%以上であればより強固な結合となり得る点を鑑み、溶媒沸点は70℃以上120℃以下であってよく、好ましくは80℃以上110℃以下であり、例えば82℃以上110℃以下である。かかる点を鑑み、上記の溶媒としては、上記の2−プロパノール(沸点82℃)以外にトルエン、ブタノール等も用いることができる。
以下、三次元形状造形物の製造装置(造形装置に相当)のチャンバー内の温度とネッキング率との関係について説明する。図5は、造形装置のチャンバー内の温度とネッキング率との関係を示す図である。
図5に示すように、チャンバー内の温度が40℃を超えるとネッキング率は40%以上になり良好な結合状態となる。これは溶媒の揮発がスムーズに進んで固相拡散が行われることによる。なお、チャンバー内温度がさらに高くなるとネッキング率が上昇するが、チャンバー内温度が70℃を超えるとネッキング率は40%未満に低下する。
かかる事項は溶媒の揮発が早く進み過ぎて、第1の組成物がターゲット(例えば三次元形状造形物の前駆体又は三次元形状造形物を支持するステージ)の所定部位に接触する前に金属ナノ粒子が露出して当該粒子表面が酸化膜で覆われるためである。金属ナノ粒子表面が酸化膜で覆われると固相拡散が進行しなくなり得る。
かかる点を鑑み、ネッキング率は60%以上であれば強固な結合となることが一般的である点を鑑み、チャンバー内の温度は40℃よりも高く70℃よりも低いことがよい。好ましくは、チャンバー内の温度は50℃以上で60℃以下であることが望ましい。
以上の事からも、実施形態1では、組成物の吐出工程101で、金属ナノ粒子106とバインダー107とを混合して得られる第1の組成物105をターゲットの所定箇所に接触させ、溶媒の揮発により固相拡散を生じさせることで金属ナノ粒子106同士の接合およびターゲットへの金属ナノ粒子106の接合をすることが可能となる。
そのため、吐出工程101と接合工程102とを繰り返し行うことで、所定のパターンを有する層を形成し、当該層を積層することができ、その結果として、最終的に本発明の実施形態1に係る三次元形状造形物を製造することができる。以上の事から、本発明によれば、レーザー等を用いる高エネルギー条件下によることなく低エネルギー条件下で三次元形状造形物を製造することができる。
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る三次元形状造形物の製造方法について説明する。図6は、本発明の実施形態2に係る三次元形状造形物の製造方法を示すフロー図である。
実施形態2は、実施形態1と異なり、吐出時に第1の組成物に加えて第2の組成物を更に吐出するものである。具体的には、実施形態2に係る三次元形状造形物の製造方法は、第1の組成物の吐出工程109と、第2の組成物の吐出工程110と、組成物に含まれる金属ナノ粒子同士を接合させる接合工程111とを含む。接合工程111は、ターゲットの所定箇所への第1の組成物の接触工程112と、ターゲットの所定箇所への第2の組成物の接触工程113と、組成物に含まれる金属ナノ粒子同士を接合させる接合工程114を有する。
第1の組成物の吐出工程109および第2の組成物の吐出工程110はそれぞれ、三次元形状造形物の材料である組成物を吐出する工程であり、具体的には金属を含有する液状の原料をターゲットの所定部位に吐出する工程である。ターゲットの所定箇所への第1の組成物の接触工程112およびターゲットの所定箇所への第2の組成物の接触工程113はそれぞれ、吐出した組成物をターゲットの所定箇所に接触させる工程である。
実施形態2では、第1の組成物の吐出工程109および第2の組成物の吐出工程110と、組成物に含まれる金属ナノ粒子同士を接合させる接合工程114とを繰り返すことによって、三次元形状造形物を製造する。なお、第1の組成物の吐出と第2の組成物の吐出は独立して吐出量を制御することが好ましい。
第2の組成物
以下、第2の組成物について具体的に説明する。図7は、三次元形状造形物の製造のために用いる第2の組成物を模式的に示す断面図である。
第2の組成物115は、金属粒子116および溶媒を主成分とするバインダー117を含んで成る液状の組成物である。
金属粒子116としては例えばCu粒子を用いることができる。レーザー回折・散乱法で測定した金属粒子116のモード径は2μm以上であり、例えば2.5μmである。かかる点を鑑み、本明細書では、金属粒子116を金属マイクロ粒子と称し得る。
第2の組成物に用いられるバインダー117は、溶媒として例えば2−プロパノール(沸点82℃)およびジカルボン酸(例えばアジピン酸)の混合物である。バインダー117の合計質量に対する溶媒の比率は、特に限定されるものではないが例えば90質量%である。金属粒子116とバインダー117は例えば90:10の質量比率で混合される
以下、第1の組成物と第2の組成物の合計質量に対する第2の組成物の含有割合と、三次元形状造形物の質量変化比/ネッキング率との間の関係について説明する。図8は、第1の組成物と第2の組成物の合計質量に対する第2の組成物の割合と三次元形状造形物の質量変化比/ネッキング率との関係を示す図である。なお、三次元形状造形物の質量比は、第2の組成物の比率が0である場合1としてこれに対する比率を示す。
ここで、金属粒子径が小さくなると粒子の比表面積が大きくなる。比表面積が大きい金属粒子を含む組成物を吐出する場合、吐出可能な粘度を維持するために、組成物に含まれるバインダー量を多くする一方金属量を減らす必要がある。つまり、粒子径が小さい金属ナノ粒子を含む組成物を吐出する場合、単位時間あたりの金属吐出量が減少してしまう。そのため、最終的に得られる三次元形状造形物の製造に時間を要する可能性がある。
かかる点を鑑み、三次元形状造形物の製造のために用いる材料が、ナノサイズのモード径を有する金属ナノ粒子を含む第1の組成物に加えて、マイクロサイズのモード径を有する金属粒子116を含む第2の組成物を含むことが好ましい。
この点につき、図8に示すように、第2の組成物の含有割合を10%に高めると、第2の組成物の含有割合が0%である場合と比較して得られる三次元形状造形物の質量は1020倍に増加する。第2の組成物の含有割合を20%に高めると、第2の組成物の含有割合が0%である場合と比較して得られる三次元形状造形物の質量は2300倍になり得る。
なお、第2の組成物の含有割合が10%以下である場合、ネッキング率が60%以上となるが、第2の組成物の含有割合が20%になるとネッキング率が45%に低下する。第2の組成物の含有割合が30%を超えるとネッキング率は20%以下になる。これは、モード径が2μmの金属マイクロ粒子の割合が多くなると、固相拡散による結合量が少なくなることによる。
以上の事から、単位時間あたりの金属吐出量の低減防止と、ネッキング率が40%以上確保されることがよいという当業者の認識との両立をふまえ、第2の組成物の含有割合は20%以下が望ましい。なお、実施形態1にて述べたように、ネッキング率が60%以上であればより強固な接合が可能となる点を鑑み、第2の組成物の含有割合は10%であることがより好ましい。
それ故、第1の組成物の吐出工程109と第2の組成物の吐出工程110とを併用することで、時間あたりの吐出する造形材料に含まれる金属量を増やすことができる。その結果として、最終的に得られる三次元形状造形物の製造速度を高める、すなわち三次元形状造形物の製造時間を短縮させることが可能となる。
[本発明の製造装置]
以下、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造装置について説明する。図9は、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造装置を模式的に示す斜視図である。
本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造装置は、少なくとも金属ナノ粒子および溶媒を含んで成る組成物105(上記第1の組成物に相当)をターゲットの所定箇所に吐出可能な吐出部123を備えることを特徴とする。
吐出部123の一例としては、ノズル形態の吐出部を用いることができる。当該吐出部123を用いることで、少なくとも組成物105をターゲットの所定箇所に吐出可能である。なお、当該吐出部123に加え、後述する本発明の一実施形態に係る製造装置の構成要素は全てチャンバー127の内部に設けられている。
ターゲットの所定箇所に組成物105を吐出すると、組成物105に含まれる溶媒が揮発し始め、それによって隣接する金属ナノ粒子との距離が徐々に短くなる。主成分が溶媒であるバインダーの揮発が更に進み、隣接する金属ナノ粒子が接触すると、金属ナノ粒子間で固相拡散によるネッキングが発生する。その結果、金属ナノ粒子同士およびターゲット(例えば製造途中の三次元形状造形物の前駆体又は三次元形状造形物を支持するステージ)への金属ナノ粒子の接合を行うことが可能となる。
なお、本発明の製造方法の欄で述べているように、組成物105中に含まれる金属ナノ粒子は、ネッキングを好適に生じさせる観点から100nm以下のモード径を有することが好ましい。
吐出部123からの造形物の材料である組成物105の吐出と、金属ナノ粒子同士の接合およびターゲットと金属ナノ粒子との接合と、を繰り返し行うことで、所定のパターンを有する層を形成することができる。そして、当該層を積層することで、最終的に上記の実施形態1に係る三次元形状造形物を製造することができる。以上の事から、本発明の製造装置を用いれば、レーザー等を用いる高エネルギー条件下によることなく低エネルギー条件下で三次元形状造形物を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造装置は、下記態様を採ることが好ましい。
一態様では、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造装置は、加熱部126を更に備えていることが好ましい。製造途中の三次元形状造形物の前駆体122の土台となるステージ125の下部には、任意の温度に制御可能な加熱部126が設けられている。
これにより、ターゲット(ステージ125又はステージ125上に位置する三次元形状造形物の前駆体122)を加熱することができる。その結果、ターゲットの加熱に起因して、金属ナノ粒子同士およびターゲットと金属ナノ粒子が接合可能となるように溶媒をより好適に揮発させることができる。
具体的には、加熱部126の内部にはシースヒーターが組み込まれており、ステージ125の温度を30℃から90℃の範囲で一定の温度に保持可能となっている。加熱源はシースヒーターに限らず、カートリッジヒーター、シリコンラバーヒーター、セラミックヒーター、および電熱線等からなる群から少なくとも1つを選択することができる。また、ステージ125と接触させることなく、遠赤外線ヒーター、石英ガラス管ヒーター等を用いて加熱してもよい。
一態様では、本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造装置は、第1の貯蔵部118および第2の貯蔵部119を備えていることが好ましい。第1の貯蔵部118は、第1の組成物105を貯蔵するための貯蔵部である。第2の貯蔵部119は、第2の組成物115を貯蔵するための貯蔵部である。
上記の吐出部123は、第1の貯蔵部118の底部および第2の貯蔵部119の底部を共有するように設けられている。又、図10に示すように、吐出部123は、組成物105を吐出するための第1の吐出穴120と後述する第2の組成物を吐出するための吐出穴121を有して成る。
吐出部123がかかる構成を有することで、第1の貯蔵部118と連通する第1の吐出穴120から組成物105(第1の組成物)を吐出させ、ターゲット122の所定箇所に第1の組成物105を接触させることが可能となる。又、第2の貯蔵部119と連通する第2の吐出穴121から第2の組成物115を吐出させ、ターゲット122の所定箇所に第2の組成物115を接触させることが可能となる。
なお、本発明の製造方法の欄で述べているように、第2の組成物115は金属マイクロ粒子を含んで成ることが好ましく、単位時間あたりの金属吐出量の低減を防止する観点から2μm以上のモード径を有することが好ましい。
吐出部123から第1の組成物105に加え第2の組成物115をターゲットの所定箇所に独立して吐出することで、時間あたりの吐出する造形材料に含まれる金属量を増やすことができる。その結果として、最終的に得られる三次元形状造形物の製造速度を高める、すなわち三次元形状造形物の製造時間を短縮させることが可能となる。
なお、吐出穴の平面形状は円形が望ましいが、楕円形、三角形、多角形であっても良い。また、吐出穴の断面形状は入口側と出口側の寸法が等しい直線型が望ましいが、入口側と出口側で寸法の異なるテーパ型又は逆テーパ型であってもよい。
一態様では、ノズル形態の吐出部123が、組成物を吐出可能な温度となるように温度制御部124を備えていることが好ましい。これは、吐出部123の温度が組成物を吐出可能な温度未満であると、吐出部123からターゲットの所定箇所に対して所定量を好適に吐出できない可能性があること等による。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
本発明の一実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法および三次元形状造形物の製造装置は、低エネルギー条件下で三次元形状造形物を製造するために用いることができる。
101 組成物の吐出工程
102 接合工程
103 組成物のターゲットの所定箇所への接触工程
104 金属ナノ粒子同士の接合工程
105 第1の組成物
106 金属ナノ粒子
107 バインダー
108 ネッキング
109 第1の組成物の吐出工程
110 第2の組成物の吐出工程
111 接合工程
112 第1の組成物のターゲットの所定箇所への接触工程
113 第2の組成物のターゲットの所定箇所への接触工程
114 金属粒子同士の接合工程
115 第2の組成物
116 金属粒子
117 バインダー
118 第1の貯蔵部
119 第2の貯蔵部
120 第1の吐出穴
121 第2の吐出穴
122 三次元形状造形物の前駆体
123 吐出部
124 温度調節部
125 ステージ
126 加熱部
127 チャンバー

Claims (17)

  1. 金属ナノ粒子および溶媒を含んで成る組成物をターゲットの所定箇所に吐出する吐出工程と、
    前記所定箇所に吐出した前記組成物の前記溶媒を揮発させて、少なくとも前記金属ナノ粒子同士を接合させる接合工程と
    を含み、
    前記吐出工程と前記接合工程とを繰り返し行うことで、所定のパターンを有する層を形成し、該層を積層することで三次元形状造形物を製造する、方法。
  2. 前記溶媒の揮発により、隣接する一方の金属ナノ粒子と他方の金属ナノ粒子との間の距離を漸次短くし、それによって前記金属ナノ粒子同士を接合させる、請求項1に記載の三次元形状造形物の製造方法。
  3. 前記溶媒として、沸点が70℃以上120℃以下であるものを用いる、請求項1又は2に記載の三次元形状造形物の製造方法。
  4. 前記溶媒として、沸点が80℃以上110℃以下であるものを用いる、請求項3に記載の三次元形状造形物の製造方法。
  5. 前記三次元形状造形物の製造をチャンバー内で行い、該チャンバー内の温度を40度よりも高く70℃よりも低い温度に設定する、請求項1〜4のいずれかに記載の三次元形状造形物の製造方法。
  6. 前記組成物中に含まれる前記金属ナノ粒子は、100nm以下のモード径を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の三次元形状造形物の製造方法。
  7. 前記金属ナノ粒子は、Cu、Fe、Ni、Ag、およびSnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含んで成る、請求項1〜6のいずれかに記載の三次元形状造形物の製造方法。
  8. ノズルを用いて前記ターゲットの所定箇所へと該組成物を吐出し、該ノズルの温度を所定の温度に制御する、請求項1〜7のいずれかに記載の三次元形状造形物の製造方法。
  9. 2μm以上のモード径を有する金属マイクロ粒子および前記溶媒を含んで成る第2の組成物を更に用いる、請求項1〜8のいずれかに記載の三次元形状造形物の製造方法。
  10. 前記吐出工程において、ノズルを用いて、隣接する2つのノズル孔から前記組成物および前記第2の組成物を個別に吐出する、請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法。
  11. 少なくとも金属ナノ粒子および溶媒を含んで成る組成物をターゲットの所定箇所に吐出可能な吐出部を備える、三次元形状造形物の製造装置。
  12. 前記ターゲットが三次元形状造形物の前駆体又は三次元形状造形物を支持するステージであり、前記溶媒が揮発して少なくとも前記金属ナノ粒子同士が接合可能となるよう該ターゲットを加熱する加熱部を更に備える、請求項11に記載の製造装置。
  13. 前記吐出部がノズル形態となっており、該ノズル形態の吐出部が前記組成物を吐出可能な温度となるように、該吐出部に温度制御部が設けられている、請求項11又は12に記載の製造装置。
  14. 前記組成物中に含まれる前記金属ナノ粒子が、100nm以下のモード径を有する、請求項11〜13のいずれかに記載の製造装置。
  15. 前記吐出部が前記所定箇所に第2の組成物を更に吐出可能となっており、該第2の組成物が2μm以上のモード径を有する金属マイクロ粒子および前記溶媒を含んで成る、請求項11〜14のいずれかに記載の製造装置。
  16. 前記吐出部が、前記組成物を貯蔵可能な第1の貯蔵部と、前記第2の組成物を貯蔵可能な第2の貯蔵部と連通している、請求項15に記載の製造装置。
  17. 前記吐出部が、前記組成物と前記第2の組成物を個別に吐出可能な隣接する2つのノズル孔を備えている、請求項15又は16に記載の製造装置。
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