JP2021063187A - 接着性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エナメル質、象牙質といった歯質、卑金属、金属酸化物といった金属、セラミックスのいずれに対しても強固な接着性を示し、かつ保存安定性や長期耐久性にも優れる接着性組成物を提供すること。【解決手段】 酸性基含有重合性単量体を含む歯科用接着性組成物において、酸性基含有重合性単量体として、(メタ)アクリル基とホスホン酸基とが、両端のアルキレン基の鎖長が夫々メチレン基又はエチレン基であるジアルキレンエーテル基で連結された、下記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体を使用する。本発明の接着性組成物は下記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体を含有する重合性単量体成分を含んでなることを特徴とする。【化1】(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2であり、mは1又は2である。)【選択図】なし

Description

本発明は金属、セラミックス、歯質等を接着するためのプライマーや接着材として有用な接着性組成物に関する。
(メタ)アクリレート系重合性単量体は歯科用硬化性組成物あるいは歯科用接着性組成物といった歯科材料、光学材料、印刷製版、フォトレジスト材料、塗料、接着剤、インク、光造形樹脂等の幅広い分野で利用可能である。特に、歯科用接着性組成物において、特許文献1、2に例示されるリン酸エステル基含有重合性単量体及びホスホン酸含有重合性単量体は歯質のスメア層の脱灰や歯質及び金属との接着に重要な役割を果たしていることが知られている。例えば、特許文献1には、5−(メタ)アクロイルオキシペンチルジハイドロジェンフォスフェートのような、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基にエステル結合を介してホスホリック残基が結合した特定構造の重合性単量体を含む歯科用接着剤は、ニッケルクロム合金に対して高い接着力を有することが記載されている。
また、特許文献2には、N−(メタ)アクリロイル1−アミノ−1−ベンジルホスホン酸のような特定構造の重合性アミノホスホン酸誘導体を含む接着性組成物が開示されている。なお、特許文献2によれば、特許文献1に開示されているようなエステル結合を含む(メタ)アクリレート系モノマーを含む接着材には、エステル結合が加水分解することにより(初期)接着力が微減すると共に、使用後においても接着剤と歯質との接着界面での加水分解などにより接着性が低下するといった問題がある旨が説明されており、上記接着性組成物は当該問題を解決するものであるとされている。
特公昭63−13435号公報 特開2009−46397号公報
前記特許文献2に開示されている接着性組成物は、エステル結合を有さないホスホン酸含有重合性単量体を使用しているため、前記加水分解に起因する問題は起こり難いものの、リン酸エステル基を含有しないことに起因して(リン酸エステル基含有重合性単量体と比べて疎水性が高くなり)、親水性・疎水性のバランスが崩れることが原因と思われるが、他の酸性基含有重合性単量体と併用せずホスホン酸基含有重合性単量体を単独で用いた場合には歯質に対する接着性が必ずしも十分ではなかった。
そこで、本発明は、エナメル質、象牙質といった歯質、卑金属、金属酸化物といった金属、セラミックスのいずれに対しても強固な接着性を示し、かつ保存安定性や長期耐久性にも優れる接着性組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため、ホスホン酸基含有重合性単量体の分子構造に着目し、鋭意検討を行った。その結果、ホスホン酸基含有重合性単量体の主鎖内にエーテル結合を導入することで、親水性・疎水性を制御し、良好な接着性及び加水分解耐性が得られ上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
Figure 2021063187
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2の整数を表し、mは1又は2の整数を表す。)
で示されるホスホン酸基含有重合性単量体を含有する重合性単量体成分を含んでなることを特徴とする接着性組成物である。
上記本発明の接着性組成物においては、前記重合性単量体成分は、前記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体100質量部と、当該ホスホン酸基含有重合性単量体以外の重合性単量体50質量部以上10000質量部以下と、の混合物であることが好ましい。また、重合開始剤、水及び有機溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有してなることが好ましい。また、多価金属化合物を含有してなることが好ましい。
本発明の接着性組成物は、エナメル質、象牙質といった歯質、卑金属、金属酸化物といった金属、セラミックスのいずれに対しても強固な接着性を示す。また、保存安定性や本発明の接着性組成物を用いて修復を行った場合における修復の長期耐久性にも優れる。
このような優れた効果が得られる作用機構は、次のようなものであると推定している。すなわち、エステル結合に代えて主鎖に(加水分解性の低い)エーテル結合を導入し、適度な親水性・疎水性のバランスが実現されることにより、強固な接着性を有し、ホスホン酸基部分の加水分解が生じないため良好な加水分解耐性が得られるためと推定している。
本発明の接着性組成物は、特許文献1乃至2に開示される接着性組成物と同様に、酸性基含有重合性単量体(以下、単に「酸性モノマー」ともいう。)を含む重合性単量体成分を使用し、当該酸性モノマーの酸性基の作用により接着性を向上させたものであるが、酸性モノマーとして特定のものを使用することにより、前記したような優れた効果を発現する。すなわち、本発明の接着性組成物は、酸性モノマーとして下記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体を使用した点に最大の特長を有する。
Figure 2021063187
前記一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1又は2であり、mは1又は2である。これらR、n及びmの組み合わせは任意であり、特定の組み合わせのものを単独で使用しても良いし、夫々異なる組み合わせのものを混合して使用しても良い。
なお、酸性モノマーとしては前記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体のみを使用することが好ましいが、本発明の効果を損なわない少量であれば、特許文献1乃至2で使用されているような「他の酸性モノマー」も合わせて使用することができる。他の酸性モノマーの使用量は、通常、一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体100質量部に対して5質量部以下であり、好ましくは3質量部以下である。
本発明で好適に使用できる前記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体を具体的に例示すると、夫々下記構造A乃至Hで表される重合性単量体を挙げることができる。
Figure 2021063187
これらの中でも、歯質に対する接着性の良さの観点、から、前記Aで示される化合物を使用することが特に好ましい。
前記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体は、レーザー光によって露光可能な平版印刷版原版の材料として使用できる材料物質として米国特許出願公開第2005/0048398号明細書に開示されているものでもあるが、次のような方法により、製造することができる。すなわち、下記一般式(2)で示される一方端にホスホン酸基を有し、他方端に水酸基を有するホスホン酸基含有アルコール化合物と、下記一般式(3)で示される一方端に(メタ)アクリル基を有し、他方端に水酸基を有する(メタ)アクリル基含有アルコール化合物と、を反応させる、具体的には両化合物の前記一方端の水酸基どうしを反応させて脱水縮合することにより容易に製造することができる。
Figure 2021063187
{式中、mは前記一般式(1)中におけるmと同義である。}
Figure 2021063187
{式中、R及びnは前記一般式(1)中におけるnと同義である。}
なお、前記一般式(2)で示されるホスホン酸基含有アルコール化合物は、下記一般式(4)で示される化合物を三塩化リンと反応させることにより、容易に得ることができる。
Figure 2021063187
{式中、mは前記一般式(1)中におけるmと同義である。}
このようにして得られたホスホン酸基含有重合性単量体の構造は、核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)測定等の一般的な分析法や構造解析法により、容易に確認することができる。なお、製造過程において、ホスホン酸基含有重合性単量体のホスホン酸塩およびホスホン酸エステル化合物が一部含まれる場合がある。
本発明の接着性組成物の重合性単量体成分は、酸性モノマーを用いた従来の接着性組成物と同様に、酸性モノマー以外の重合性単量体を含有する。このような酸性モノマー以外の重合性単量体としては、従来公知のものを何ら制限なく使用可能であるが、重合性や生体への安全性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル系の重合性単量体を用いることが好ましい。以下に、これらの他の重合性単量体の具体例示す。
単官能重合性単量体〔オレフィン性二重結合(官能基)を1つ有する重合性単量体〕としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1 0−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができるである。
2官能重合性単量体(官能基を1つ有する重合性単量体)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA ジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3 −(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレートなどを挙げることができる。
多官能重合性単量体(官能基を3つ以上有する重合性単量体)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン) ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタンなどを挙げることができる。
これらの(酸性モノマー以外の)他の重合性単量体は、一種を単独で用いても良いが、二種以上を組合せて使用しても良い。また、本発明の接着性組成物の重合性単量体成分における前記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体と上記他の重合性単量体の配合割合は、通常、上記ホスホン酸基含有重合性単量体100質量部に対して、上記他の重合性単量体50質量部以上10000質量部以下の範囲であり、好ましくは100質量部以上2000質量部以下の範囲である。
接着性組成物には、水を配合するのが、歯質脱灰作用を高度に発揮させ、高い接着性を得る観点から好ましい。また、その場合に、接着性組成物を長期保存しても、初期接着強度が高度に維持できる本発明の効果が顕著に発揮されるため好ましい。配合する水は、歯質と修復材料との接着強さの発現に対して悪影響を及ぼすような不純物は極力含有していないものを使用することが好適であり、一般には蒸留水またはイオン交換水が使用される。
接着性組成物において水の配合量は、歯質に対する脱灰作用を向上させ、硬化体の機械的強度も良好にする観点から、接着性組成物に含有される全重合性単量体100質量部に対して5〜50質量部の範囲であるのが好ましく、6〜30質量部であることがより好ましい。配合量が5質量部未満では脱灰作用が不十分となり接着強さが低下してしまう場合があり、50質量部を超える場合は、水がエアブローで除去しきれずに残存して接着を阻害する場合や、重合性単量体の加水分解が促進され保存安定性が低下する傾向がある。
接着性組成物には、多価金属化合物を配合するのが、各種被着対象への接着性を得る観点から好ましい。この理由としては、酸性モノマーの酸性基と多価金属イオンとがイオン結合して形成されるイオン架橋により、高い接着強度が得られるためだと考えられている。多価金属化合物とは多価金属アルコキシド、多価金属フッ化物、多価金属炭酸塩、多価金属水酸化物、多価金属水素化物、及びアルキル多価金属の少なくともいずれかから選択される化合物である。
前記多価金属アルコキシドにおける有機基としては、特に制限はなく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル等が挙げられ、中でも、炭素数4以下のアルキル基が好ましい。
前記アルキル多価金属におけるアルキル基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、保存安定性が高く、より接着強度に優れることから、前記多価金属アルコキシドが好ましい。なお、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記多価金属化合物を構成する金属元素としては、特に制限はなく、周期律表の第2族〜第13族の金属元素が挙げられるが、接着強度に優れることから、第四族の金属元素が好ましく、中でも、チタンが特に好ましい。なお、前記多価金属化合物の価数としては、特に制限はなく、二価以上であればよい。
前記多価金属アルコキシドの具体的な化合物としては、例えば、マグネシウムジエトキシド、カルシウムジイソプロポキシド、バリウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、ガリウムトリエトキシド、スカンジウムトリイソプロポキシド、ランタントリイソプロポキシド、イッテルビウムトリイソプロポキシド、イットリウムテトライソプロポキシド、セリウムテトライソプロポキシド、サマリウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド、タンタル(V)エトキシド、クロム(III)イソプロポキシド、モリブデン(V)エトキシド、タングステン(VI)イソプロポキシド、鉄(III)エトキシド、銅(II)エトキシド、亜鉛(II)エトキシド等が挙げられ、前記多価金属フッ化物の具体的な化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化アルミニウム、フッ化チタン、フッ化ランタン、フッ化ジルコニウム、フッ化亜鉛等が挙げられ、前記多価金属炭酸塩の具体的な化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸アルミニウム、炭酸ランタン、炭酸イットリウム、炭酸ジルコニウム、炭酸亜鉛等が挙げられ、前記多価金属水素化物の具体的な化合物としては、例えば、水素化カルシウム、水素化アルミニウム、水素化ジルコニウム等が挙げられ、前記アルキル多価金属の具体的な化合物としては、例えば、ジエチルマグネシウム、トリメチルアルミニウム等が挙げられる。
多価金属化合物の接着性組成物中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、脱灰作用が高く、安定した接着強度が得られることから、前記酸性モノマーのモル数の和が、前記多価金属化合物中の多価金属の総価数よりも大きくなる範囲であることが好ましい。
ここで、前記「多価金属化合物中の多価金属の総価数」とは、前記接着性組成物に含まれる前記多価金属化合物全量のモル数と、該多価金属化合物の価数を掛け合わせたものである。
上記範囲の中で、更に、前記酸性モノマーのモル数と、前記多価金属の総価数との比(酸性モノマー/多価金属の総価数)が、1.0〜2.5であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。
本発明の接着性組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、光重合開始剤および化学重合開始剤のいずれも使用可能である。また、光重合開始剤と化学重合開始剤を併用し、光重合と化学重合のどちらによっても重合を開始させることの出来るデュアルキュアタイプとすることも可能である。
代表的な光重合開始剤としては、ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4'−ジメトキシベンジル、4,4'−オキシベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体、ベンゾフェノン、p,p'−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p'−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体、さらには、アリールボレート化合物/色素/光酸発生剤からなる系が挙げられる。硬化性の観点からこれらの中でも特に好ましいのは、α−ジケトン系の光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤、及びアリールボレート化合物/色素/光酸発生剤を組み合わせた系からなる光重合開始剤である。
なお、α−ジケトン類やアシルホスフォンオキサイド誘導体を使用する場合において、これらは単独でも光重合活性を示すが、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ラウリル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミン化合物と併用することがより高い重合活性を得られて好ましい。
代表的な化学重合開始剤としては、有機過酸化物及びアミン類の組み合わせ、有機過酸化物類、アミン類及びスルフィン酸塩類の組み合わせ、酸性化合物及びアリールボレート類の組み合わせ、バルビツール酸、アルキルボラン等の化学重合開始剤等が挙げられる。
接着性組成物における重合開始剤の配合量は、有効量であれば良く、一般には、接着性組成物に含有される全重合性単量体100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲であるのが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましい。最も好適には、1〜10質量部の範囲である。
さらに、接着性組成物には、有機溶媒や充填材を添加してもよい。有機溶媒は、接着性組成物を特にプライマーとして用いる場合に配合するのが効果的である。このような有機溶媒は、従来公知の有機溶媒を何ら制限無く使用可能であるが、生体に対する為害作用を勘案すれば、エタノール、イソプロパノール又はアセトンの使用が好ましい。その配合量は、接着性組成物に含有される全重合性単量体100質量部に対して10〜300質量部の範囲であるのが好ましく、30〜200質量部であることがより好ましい。
また、充填材は、従来公知である充填材を何ら制限無く使用可能である。具体的には、有機充填剤や無機充填剤、有機無機複合充填材を例示でき、これら単独或いは二種以上を混合して使用することができる。その配合量は、特に制限はなく、組成物の用途に応じて、粘度(操作性)や硬化体の機械的物性を考慮して適宜決定すればよいが、歯科用接着材や歯科用プライマーとして用いる場合には、前記全重合性単量体成分100質量部に対して0.5質量部〜100質量部が好ましく、5質量部〜50質量部がより好ましい。また、歯科用コンポジットレジンや歯科用セメントとして用いる場合には、全重合性単量体100質量部に対して30質量部〜1500質量部が好ましく、50質量部〜1000質量部がより好ましい。
この他、接着性組成物には、必要に応じて、その性能を低下させない範囲で、有機増粘材、重合禁止剤、重合調整剤、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を添加することが可能である。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。
以下に、各実施例および各比較例の接着性組成物において使用した物質の略称について説明する
<前記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体>
Figure 2021063187
<その他酸モノマー>
・PM1:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート。
<多価金属化合物>
・Al(O−iPr):アルミニウムトリイソプロポキシド。
・Ca(O−iPr):カルシウムジイソプロポキシド。
・Ti(O−iPr):チタニウムテトライソプロポキシド。
<その他の重合性単量体>
・BisGMA:2.2’ ―ビス[4―(2―ヒドロキシ―3―メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン。
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート。
・HEMA:2―ヒドロキシエチルメタクリレート。
<重合開始剤>
・CQ:カンファーキノン。
・DMBE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル。
<重合禁止剤>
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール。
実施例1〜4及び比較例1〜2
表1に示すように各成分を混合することで、接着性組成物を調製した。
Figure 2021063187
次に、得られた接着性組成物について、次のようにして各種被着体−コンポジットレジン間の接着強度の評価を行った。
すなわち、先ず下記(1)〜(4)に示す4種類の被着体を準備した。
(1)屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、注水下、耐水研磨紙P600で研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質平面を削り出した被着体。
(2)屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、注水下、耐水研磨紙P600で研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、象牙質平面を削り出した被着体。
(3)コバルト―クロム合金「ワークローム」(トーワ技研社製、縦10mm×横10mm×厚み3mm)を#1500の耐水研磨紙で磨いた後にサンドブラスト処理した卑金属合金からなる被着体。
(4)ジルコニアセラミックス「TZ−3Y−E焼結体」(東ソー社製、縦10mm×横10mm×厚み3mm)を#120の耐水研磨紙で磨いた後にサンドブラストした金属酸化物(ジルコニアセラミックス)からなる被着体。
その後、これら4種類の被着体のそれぞれの研磨面に、直径3mmの穴を開けた両面テープを貼り付けた。続いて、研磨面のうち両面テープの穴から露出している接着面に、表1に示す各実施例および各比較例の接着性組成物を塗布し、5秒間エアブローして乾燥させた。その後、可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)を用い、光照射10秒による光硬化を行った。
直径8mmの穴が設けられた厚み0.5mmのパラフィンワックスを、パラフィンワックスの穴と、両面テープの穴とが同心円となるように接着性組成物が塗布された接着面に貼り付けて模擬窩洞を作製した。この模擬窩洞に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣクイック、トクヤマデンタル社製)を充填してポリエステルフィルムで軽く圧接した後、前記可視光線照射器を用い、光照射10秒による光硬化を行った。その後、あらかじめ研磨したSUS304製丸棒(直径8mm、高さ18mm)をレジンセメント(ビスタイトII、トクヤマデンタル社製)で接着した。最後に、37℃の水中にて24時間浸漬することで接着強度測定用のサンプルを得た。なお、使用したコンポジットレジン(エステライトΣクイック)は、カンファーキノンおよびアミン化合物を含む光重合性の組成物である。
サンプル作製に際しては、存安定性及び耐久性を評価するために、被着体に塗布する接着性組成物として、接着性組成物を調製した直後のもの、および、接着性組成物を調製した後に容器内に密封しさらに50℃の恒温槽中で8週間保管した後のものの2種類を使用し下記3種のサンプルを作製した。
(a)初期接着強度評価用サンプル:接着面に対して調製直後の接着性組成物を塗布することにより得られたサンプル
(b)長期保管後接着強度評価用サンプル:接着面に対して調製後にさらに50℃の恒温槽中で8週間保管した後の接着性組成物を塗布することにより得られたサンプル
(c)耐久試験後接着強度評価用サンプル:接着面に対して調製直後の接着性組成物を塗布することにより得られたサンプルをさらに水温5度の水槽と、水温55度の水槽とに、それぞれ30秒間ずつ交互に浸漬する浸漬処理を1セットとし、これを3000回繰り返し実施したサンプル
これらサンプルについて、島津製作所製オートグラフ(クロスヘッドスピード2mm/分)を用いて引張接着強度を測定した。各実施例および比較例について、4個のサンプルの測定値を平均し、測定結果とした。測定結果を表2に示す。
Figure 2021063187
実施例1、2、3、4は本発明の構成を満足するよう配合された接着性組成物を用いたものである。いずれの場合においても、接着試験結果は初期、長期保存後、耐久試験後共に良好な接着強度であった。
一方、比較例1は酸性基含有重合性単量体を含まないため、各接着強度が低い値であった。比較例2は酸性基含有重合性単量体としてリン酸エステル基含有重合性単量体を用いているため、リン酸エステル基の加水分解により、長期保存後、耐久試験後の接着強度が低下した。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2021063187
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2の整数を表し、mは1又は2の整数を表す。)
    で示されるホスホン酸基含有重合性単量体を含有する重合性単量体成分を含んでなることを特徴とする接着性組成物。
  2. 前記重合性単量体成分が、前記一般式(1)で示されるホスホン酸基含有重合性単量体100質量部と、当該ホスホン酸基含有重合性単量体以外の重合性単量体50質量部以上10000質量部以下と、の混合物からなる請求項1に記載の接着性組成物。
  3. 重合開始剤、水及び有機溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有してなる請求項1又は2に記載の接着性組成物。
  4. 多価金属化合物を更に含有してなる請求項1から3のいずれかに記載の接着性組成物。
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