以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
[概要]
近年、多機能携帯電話(以下「スマートフォン」という)やタブレット型携帯端末などの、携帯端末の普及は急速に進みつつある。携帯端末の普及に伴い、複数のユーザが1つの携帯端末を共有して使用するといったユースケースも増えてきている。複数のユーザが1つの携帯端末を共有して使用する場合、情報セキュリティの観点から、携帯端末に記憶される画像データへのアクセス権の付与や、閲覧・編集などの機能の許否を、ユーザ毎に切り替えることが望まれている。
携帯端末に搭載されるOSは、近年複数のユーザによって使用されることを想定したマルチユーザモードに対応している。マルチユーザモードでは、ユーザを識別するためにユーザ毎にアカウントが発行され、携帯端末は、携帯端末に記憶される画像データへのアクセス権の付与や、閲覧・編集などの機能の許否を、アカウント毎に管理している。また、スマートフォンでは、ユーザを識別するための情報として、SIMカードID(IMSI:国際移動体加入者識別番号)を使用している。従来では、特定のSIMカードIDを有するSIMカードが搭載されているときのみ、携帯端末の各種機能が有効化されていた。しかし、近年ではこの制限を解除(SIMフリー化)し、SIMカードの種類に依存せずに携帯端末を有効化することができるようになった。SIMフリー化された携帯端末では、ユーザがSIMカードを差し替えることで、複数のユーザで1つの携帯端末を共有して使いまわせる携帯端末として使用することができる。
スマートフォンを使用するユーザを識別するための情報として、携帯端末上の特定のアプリケーション内で生成されるUUIDがある。UUIDはアプリケーション内での使用に限られるが、携帯端末は、ユーザ毎に一意に決定されるUUIDを生成し、UUIDをユーザ情報としてユーザ情報の管理をすることができる。携帯端末は、携帯端末に記憶される画像データへのアクセス権の付与や、閲覧・編集などの機能の許否をUUIDに応じて切り替える。これにより、複数ユーザで1つの携帯端末を共有して使いまわしても、情報セキュリティを確保することができる。
本発明では、上述したような複数ユーザモードのアカウント情報(例えば、機密性が高くないユーザIDなど)、SIMカードID情報およびUUID情報などを、ユーザ情報として認証印刷を実行するために使用する。これにより、複数ユーザが1つの携帯端末を共有して使用する場合においても、簡単にユーザ単位の認証を行うことができ、セキュリティの高い認証印刷を実現することができる。
前述の通り、従来技術では、文章管理サーバが、携帯端末の端末個体識別子のみを認証した場合に認証印刷を実施する構成であった。本発明では、複数ユーザが1つの携帯端末を共有して使用することを想定して、携帯端末の端末個体識別子に加えて、ユーザ情報も認証した場合に認証印刷を実施する構成とした。
なお、本発明の実施形態において、ユーザ情報として複数ユーザモードのアカウント情報、SIMカードID情報およびUUID情報などを例示している。これらユーザ情報は、全世界で一意に決定される識別情報ではなく、各々が重複する恐れがある。したがって、端末個体識別子の代わりに、ユーザ情報のみを認証することにより認証印刷を実施する構成とすることは、情報セキュリティの観点から望ましい形態ではない。
[実施形態1]
図1は、本実施形態における認証印刷システム100構成の一例を示す図である。本実施形態に係る認証印刷システム100は、画像形成装置200と、認証サーバ300と、携帯端末400とから構成され、画像形成装置200と、認証サーバ300と、携帯端末400とは、ネットワーク101を介して相互に接続される。
ネットワーク101は、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)などの形態をとることができ、無線または有線によって構成することができる。
画像形成装置200は、スキャン、FAX、プリント、コピーなど、種々の機能を有する複合機とすることができる。あるいはまた、プリント機能のみを有するプリンタ装置であってもよい。認証印刷を実行する場合、画像形成装置200は、近距離センサ209(図2)を介して携帯端末400から認証情報を取得する。
携帯端末400は、携帯電話、PDA、スマートフォン、タブレットなどとすることができる。本実施形態では、スマートフォンを例に説明するが、端末個体識別子とユーザ情報とを取得し、印刷データを生成し、生成した印刷データを送信可能な通信機能を備えるものであれば、いかなる形態のものであってもよい。携帯端末400は、携帯端末400上で閲覧し、編集した画像データを印刷データに変換することができる。携帯端末400は、携帯端末400が備える通信機能を用いて、変換した印刷データを認証サーバ300に送信することができる。
携帯端末400が印刷データを生成する場合、携帯端末400は当該携帯端末400の端末個体識別子を取得し、取得した端末個体識別子を印刷データに付加する。ここで、端末個体識別子は、MACアドレスや、IMEI(国際移動体装置識別番号)などとすることができ、携帯端末400は、全世界で一意に決められる識別情報を携帯端末400の端末個体識別子として取得する。
印刷データへ端末個体識別子を付加する処理と同様に、携帯端末400は、当該携帯端末400を使用しているユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報も印刷データに付加する。携帯端末400上で稼動するOSが、マルチユーザモードに対応している場合、携帯端末400はユーザ情報としてアカウント情報(機密性の高くないユーザIDなど)を使用することができる。携帯端末400が、SIMフリー化された携帯端末400である場合、携帯端末400はユーザ情報としてSIMカードID情報を使用することができる。携帯端末400が、特定のアプリケーション生成されたUUIDを利用可能である場合、携帯端末400はユーザ情報として当該UUID情報を使用することができる。
本実施形態におけて、携帯端末400が画像形成装置200に対して認証印刷指示をする場合、近距離センサ408(図4)と、画像形成装置200の近距離センサ209(図2)とを介して端末個体識別子とユーザ情報とを画像形成装置200に送信する。このとき、端末個体識別子とユーザ情報とは認証情報を構成する。
本実施形態における認証サーバ300は、画像形成装置200が印刷処理を行うことができる種々の印刷データを複数保持し、認証情報である端末個体識別子とユーザ情報と、これら印刷データとを関連付けて管理する機能を有する。
さらに、認証サーバ300は、認証サーバ300が印刷データを受信したタイミングで印刷データの中身を解析する処理を実行する。印刷データの解析処理の結果、認証サーバ300は、印刷データに含まれる端末個体識別子と、ユーザ情報と、印刷設定情報とを抽出し、後述する印刷データ管理テーブル330を更新する。
次いで、画像形成装置200が認証印刷処理を実行するとき、認証サーバ300は、画像形成装置200から認証情報を受信する。認証サーバ300は、画像形成装置200からの認証情報を受信すると、印刷データ管理部324が管理し、記憶装置304に記憶されている印刷データ群に対して、認証情報が一致する印刷データを抽出する。認証サーバ300による処理の詳細は、図19において後述する。
図2は、本実施形態における画象形成装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2では画象形成装置200単体の構成を示しているが、図1で説明した通り、画像形成装置200は、認証サーバ300と、携帯端末400と、ネットワーク101を介して無線または有線で相互に接続される。印刷処理を実行するための印刷ジョブは、上記の携帯端末400または認証サーバ300から、ネットワーク101やUSBなどのインターフェースを経由して画象形成装置に送信される。本発明の実施形態における認証印刷処理では、認証サーバ300から印刷データが送信される態様で認証印刷処理の内容を説明している。本発明の別態様においては、画像形成装置200に認証サーバ300の機能を含めた構成とすることもできる。この場合、画像形成装置200は、携帯端末400から直接印刷データを受信する。
図2の画像形成装置200は、CPU201、RAM202、記憶装置203、RIP204、ネットワークI/F205、近距離センサI/F206、操作部I/F207、デバイスI/F208とを含んで構成される。画像形成装置200は、さらに近距離センサ209、操作部210、プリンタエンジン211とを含んで構成され、各構成部はバス212を介して通信可能に接続されている。なお、「I/F」は「インターフェース」を意味する(以下同じ)。
CPU201は演算回路からなり、画像形成装置200を統括制御する。RAM202は一時記憶領域であり、CPU201による演算実行時に用いられる。記憶装置203は記憶領域としての機能を有し、種々のプログラムが記憶される。記憶装置203は例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、CPU201は記憶装置203に記憶されたプログラムをRAM202に読み出し、種々の処理を実行する。
CPU201は並列処理を実現するために、ハードウェアとしてプロセッサを複数有するマルチプロセッサシステムを採用してもよい。また、マイクロプロセッサとして、複数のプロセッサコアを備えているものであっても。ハイパースレッディングのようなプロセッサ内のレジスタやパイプラインの空き時間を有効利用して、1つのプロセッサをあたかも複数のプロセッサであるかのように動作させる技術を用いたものであってもよい。
RIP204(Raster Imange Processor)は、中間印刷データをラスタイメージに展開する専用ハードウェアである。RIP204は、RAM202上に生成された中間印刷データを高速かつ、CPU201の実行と並列に、処理するためのものである。
ネットワークI/F205は、CPU201の制御に基づいてネットワーク101と画像形成装置200とのデータの入出力を制御する。なお、ネットワークI/F205とネットワーク101との接続においては、有線による接続および無線による接続のいずれの形態であってもよい。
近距離センサI/F206は、CPU201の制御に基づいて近距離センサ209とのデータの入出力を制御する。近距離センサI/F206および近距離センサ209は、本実施形態における認証情報を送受信することができる規格であることを条件に、種々の通信規格を採用することができる。例えば、近距離センサI/F206および近距離センサ209として、赤外線通信、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)などの規格に沿った近距離無線通信インターフェースを用いることができる。
操作部I/F207は、CPU201の制御に基づいて操作部210とのデータの入出力を制御する。操作部I/F207は、操作部210に表示する画像データを出力するとともに、ユーザが操作部210を介して入力した情報を、入力情報としてCPU201に伝送する。操作部210は、例えば出力装置として液晶パネルと音源などを備え、入力装置としてタッチスクリーンディスプレイ、キーボード、マイクなどを備える。
画像形成装置200は、デバイスI/F208介して、プリンタエンジン211に接続される。デバイスI/F208は、CPU201の制御に基づいてプリンタエンジン211への画像信号の送信、デバイス動作指示の送信、プリンタエンジン211からのデバイス情報の受信処理を実行する。
プリンタエンジン211は、画像形成装置200からの画像信号を記録用紙などの媒体上に出力する出力機であり、電子写真方式、インクジェット方式などの構成とすることができる。
また、本発明の別実施形態において、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体を読み取り/書き込み可能なディスクドライブをバス212に接続可能な構成であってもよい。同様に、フラッシュメモリなどの可搬型の不揮発性記録媒体を読み取り/書き込み可能なリーダライタなどがバスに接続可能な構成であってもよい。本実施形態の処理内容が記述されたプログラムが、上述の各種媒体を介して記憶装置203に保存され、画像形成装置200にインストールされる態様であってもよい。
図3は、本実施形態における認証サーバ300のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3の認証サーバ300は、CPU301、RAM302、ネットワークI/F303、記憶装置304とを含んで構成される。さらに、各構成部はバス305を介して通信可能に接続されている。
CPU301は演算回路からなり、認証サーバ300を統括制御する。RAM302は一時記憶領域であり、CPU301による演算実行時に用いられる。記憶装置304は記憶領域としての機能を有し、種々のプログラムが記憶される。記憶装置304は例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、CPU301は記憶装置304に記憶されたプログラムをRAM302に読み出し、種々の処理を実行する。
ネットワークI/F303は、CPU301の制御に基づいてネットワーク101と認証サーバ300とのデータの入出力を制御する。なお、ネットワークI/F303とネットワーク101との接続においては、有線による接続および無線による接続のいずれの形態であってもよい。
また、本発明の別実施形態において、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体を読み取り/書き込み可能なディスクドライブをバス305に接続可能な構成であってもよい。同様に、フラッシュメモリなどの可搬型の不揮発性記録媒体を読み取り/書き込み可能なリーダライタなどがバス305に接続可能な構成であってもよい。本実施形態の処理内容が記述されたプログラムが、上述の各種媒体を介して記憶装置304に保存され、認証サーバ300にインストールされる態様であってもよい。
図4は、本実施形態における携帯端末400のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4の携帯端末400は、CPU401、RAM402、記憶装置403、ネットワークI/F404、操作部I/F405、近距離センサI/F406、操作部407、近距離センサ408とを含んで構成される。さらに、各構成部はバス409を介して通信可能に接続されている。
CPU401は演算回路からなり、携帯端末400を統括制御する。RAM402は一時記憶領域であり、CPU401による演算実行時に用いられる。記憶装置403は記憶領域としての機能を有し、種々のプログラムおよび画像データなどのユーザデータが記憶される。記憶装置403は例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、CPU401は記憶装置403に記憶されたプログラムをRAM402に読み出し、種々の処理を実行する。
ネットワークI/F404は、CPU401の制御に基づいてネットワーク101と携帯端末400とのデータの入出力を制御する。なお、ネットワークI/F404とネットワーク101との接続においては、有線による接続および無線による接続のいずれの形態であってもよい。本実施形態の携帯端末400は、ネットワークI/F404およびネットワーク101を介してコンテンツサーバーにアクセスし、携帯端末400専用のアプリケーションをダウンロードし、記憶装置403にインストール可能な態様であってもよい。
操作部I/F405は、CPU401の制御に基づいて操作部407とのデータの入出力を制御する。操作部I/F405は、操作部407に表示する画像データを出力するとともに、ユーザが操作部407を介して入力した情報を、入力情報としてCPU401に伝送する。操作部407は、例えば出力装置として液晶パネルと音源などを備え、入力装置としてタッチスクリーンディスプレイ、キーボード、マイクなどを備える。
近距離センサI/F406は、CPU401の制御に基づいて近距離センサ408とのデータの入出力を制御する。近距離センサI/F406および近距離センサ408は、本実施形態における認証情報を送受信することができる規格であることを条件に、種々の通信規格を採用することができる。例えば、近距離センサI/F406および近距離センサ408として、赤外線通信、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)などの規格に沿った近距離無線通信インターフェースを用いることができる。
また、本発明の別実施形態において、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体を読み取り/書き込み可能なディスクドライブをバス409に接続可能な構成であってもよい。同様に、フラッシュメモリなどの可搬型の不揮発性記録媒体を読み取り/書き込み可能なリーダライタなどがバスに接続可能な構成であってもよい。本実施形態の処理内容が記述されたプログラムが、上述の各種媒体を介して記憶装置403に保存され、画像形成装置200にインストールされる態様であってもよい。
図5は、本実施形態における画像形成装置200のソフトウェアモジュール構成図である。図5に記載した各ソフトウェアモジュールは、プログラムとして記憶装置203に格納され、RAM202にロードされ、CPU201によって実行される。
制御部221は、認証情報生成処理、印刷データの送受信処理、データ解釈処理、画像のレンダリング処理の各種処理の制御の全般を司る。データ解釈部は、送受信部が受信する印刷データを、制御部221を介して読み込み、ドキュメント内の描画情報を解釈する。このデータ解釈処理の結果として抽出した描画情報は、制御部221を介してレンダラに送信され、レンダリング処理に使用される。レンダラは、データ解釈部から送信された描画情報を、RIPを使用してビットマップイメージを生成する。生成されたビットマップイメージは、デバイスI/Fを介してプリンタエンジンに送信され、印刷用紙に対する画像形成処理が実行される。
認証情報生成部224は、近距離センサ209から取得される端末個体識別子と、ユーザ情報などから、携帯端末400の認証情報を生成する。送受信部222は、印刷データ、印刷データリストテーブル340、生成された認証情報、要求印刷データテーブル260などをネットワークI/F205を介して送信または受信する。
図6は、本実施形態における認証サーバ300のソフトウェアモジュール構成図である。図6に記載した各ソフトウェアモジュールは、プログラムとして記憶装置304に格納され、RAM302にロードされ、CPU301によって実行される。
制御部321は、印刷データの送受信処理、保存処理、認証処理の各種処理の制御の全般を司る。送受信部322は、携帯端末400から送信される印刷データや、画像形成装置200から送信される認証情報などをネットワークI/F303を介して受信する。さらに、送受信部322は、印刷データリストテーブル340や、印刷データなどを画像形成装置200へネットワークI/F303を介して送信する。
印刷データ管理部324は、複数の印刷データを管理し、印刷データ管理部324が管理対象とする印刷データを、記憶装置304に記憶することができる。印刷データ管理部324が管理対象とする印刷データは、携帯端末400の認証情報を構成する端末個体識別子と、ユーザ情報とからなる認証情報と、印刷設定とが、関連付けられてデータテーブル形式で保持される。印刷データ管理部324がデータテーブルを記憶する方法の詳細は、図12および図17を参照して後述する。
印刷データ抽出部323は、印刷データ管理部324によって管理される印刷データから、画像形成装置200が印刷処理を実行する対象となる印刷データの抽出を行う。印刷データ抽出部323は、制御部321が受信した認証情報と、印刷データ管理部324が記憶装置304に保持している印刷データ群とを参照し、認証情報が一致する印刷データを抽出する。印刷データ抽出部323は、抽出した抽出結果を、制御部321およびネットワークI/Fを介して画像形成装置200に送信する。
図7は、本実施形態における携帯端末400のソフトウェアモジュール構成図である。図7に記載した各ソフトウェアモジュールは、プログラムとして記憶装置403に格納され、RAM402にロードされ、CPU401によって実行される。制御部421は、印刷データ生成処理、送受信処理、ユーザ情報管理処理の各種処理の制御の全般を司る。送受信部422は、認証印刷の対象となる印刷データを、ネットワークI/F404を介して認証サーバ300へ送信する。
印刷データ生成部424は、携帯端末400上で閲覧または編集されている画像データを、印刷データへ変換する。印刷データ生成部424は、さらにユーザ情報管理部423が管理しているユーザ情報と、携帯端末400の端末個体識別子とを、印刷データに付加する処理を実行する。
ユーザ情報管理部423は、携帯端末400を使用する複数のユーザ毎に、文書データへのアクセス制限や、閲覧・編集機能の許否を制御するユーザ情報管理処理を実行する。
本発明において、ユーザ情報管理部423は、ユーザ情報として、アカウント情報、SIMカードID情報、アプリケーションのUUID情報などを使用することができる。また、ユーザ情報管理部423は、1つの携帯端末400上で複数のユーザ情報を管理することができる。より詳細には、1つの携帯端末400上で稼動するOS(オペレーティングシステム)が、複数のユーザ情報をそれぞれアカウント情報として管理することができる。
ユーザ情報はこれらに限定されるものではなく、複数ユーザが1つの携帯端末400を共有して使用する場合に、ユーザを識別してユーザ情報管理を行うことが可能なユーザ情報であれば、このようなユーザ情報を使用することができる。
図8は認証印刷指示時の携帯端末400の操作部407に表示される画面の一例を示す図である。操作部407に表示される画面には、プレビュー431およびポップアップ432が含まれる。プレビュー431は、ユーザが携帯端末400の画面で画像データを閲覧または編集する際に表示される。ポップアップ432は、携帯端末400の画面で閲覧または編集している画像データを認証印刷する際に表示される。
ユーザが、ポップアップ432内に表示されるNoボタン434を選択すると、プレビューとして表示される画像データの認証印刷指示がキャンセルされる。一方、ユーザがポップアップ内に表示されるYesボタン433を選択すると、プレビューとして表示される画像データの認証印刷指示が開始される。
なお、本実施形態においては、ユーザが携帯端末400の画面で閲覧または編集が可能なデータを画像データとした。ユーザが携帯端末400の画面で閲覧または編集が可能な画像データには、文章や画像などの種々のコンテンツを含むことができる。
図9(a)は画像形成装置200の操作部に表示される画面の一例を示す図である。操作部210に表示される画面には、印刷データリスト231、Cancelボタン235、および印刷ボタン234が含まれる。印刷データリスト231には、認証印刷の対象となる印刷データがリスト形式で示される。さらに、印刷データリスト231には、認証印刷指示を受付ける印刷データを選択するために、チェックボックス232がリスト各々に対応付けられて設けられている。なお、本実施形態において、チェックボックス232は認証印刷指示を受付ける選択受付手段として機能する。
ユーザが複数の印刷データについて認証印刷を指示する場合、該当するチェックボックス232を選択することにより認証印刷指示を受け付ける。ユーザが誤って認証印刷を指示してしまった場合、チェックボックス232にチェックを外すことにより、チェックボックス232に対応する印刷データリスト231中の印刷データを認証印刷の対象から除外することができる。
ユーザが、操作部210に表示されるCancelボタン235を選択すると、認証印刷の指示をキャンセルすることができる。ユーザが、操作部に表示される印刷ボタン234を選択すると、チェックボックス232で選択された印刷データに対して認証印刷の指示を行うことができる。印刷ボタン234が選択されると、チェックボックス232で選択された印刷データが、認証サーバ300から受信され、次いで画像形成装置200で印刷処理が開始される。
図9(b)は画像形成装置200の操作部に表示される画面の一例を示す図である。操作部に表示される画面には、ポップアップ241およびOKボタン242が含まれる。図9(b)の画面では、認証印刷の対象となる印刷データが存在しないことをユーザに通知する。ポップアップ241は、認証が失敗し、認証印刷の対象となる印刷データが存在しない場合に表示される。ユーザは、認証印刷の対象となる印刷データが存在しないことを確認し、ポップアップ内に表示されるOKボタン242を選択すると、画像形成装置200で印刷処理を行わず、認証印刷処理を終了する。
図10は、本実施形態において、認証印刷に使用される印刷データのデータ構造の一例を示す図である。本実施形態において、認証印刷に使用される印刷データは、携帯端末400の印刷データ生成部424により生成される。図10に示される印刷データには、端末個体識別子441、ユーザ情報442、印刷設定443、およびコンテンツ情報444とが含まれる。端末個体識別子441、ユーザ情報442および印刷設定443はヘッダ部を構成し、コンテンツ情報444に付加される。
端末個体識別子441は、送信元の携帯端末400を一意に識別するための情報である。ユーザ情報442は、ユーザを識別するための情報であり、送信元の携帯端末400で使用されているマルチユーザモードのアカウント情報、SIMカードID、UUIDなどから生成される。印刷設定443は、文書データを印刷する際の設定情報であり、例えば、カラー/モノクロ、集約レイアウト、ステイプル位置指定などを設定するための情報である。コンテンツ情報444は、画像データ自体に含まれる画像データの描画内容を規定する情報である。コンテンツ情報444はMicrosoft Office(登録商標)のデータ形式などのファイル形式をとることができるが、PostScriptなどのPDL形式をとることもできる。
図11は、本実施形態において、認証印刷に使用される認証情報のデータ構造の一例を示す図である。本実施形態において、認証印刷に使用される認証情報は、画像形成装置200の認証情報生成部224により生成される。画像形成装置200の認証情報生成部224は、近距離センサ209を介して読み取った携帯端末400の端末個体識別子251と、ユーザ情報252とから認証情報を生成する。
端末個体識別子251は、近距離センサ209を介して読み取った携帯端末400を一意に識別するための情報である。ユーザ情報252は、ユーザを識別するための情報であり、近距離センサ209を介して読み取った携帯端末400で使用されているマルチユーザモードのアカウント情報、SIMカードID、UUIDなどから生成される。
図12は、本実施形態において、認証サーバ300の印刷データ管理部324が管理する印刷データ管理テーブル330を示す図である。認証サーバ300は、種々の携帯端末400から送信される複数の印刷データを一時的に保持することが可能であり、印刷データ管理部324は、印刷データ管理テーブル330を用いてこれら複数の印刷データを管理する。なお、印刷データ管理テーブル330は、認証サーバ300の記憶装置304にデータとして記憶される。認証サーバ300によって保持される印刷データが印刷された場合、または印刷データがある一定期間経過した場合、印刷データは消去されるとともに、印刷データ管理テーブル330からも除外される。
印刷データ管理テーブル330は、印刷データID、端末個体識別子、ユーザ情報、印刷設定、コンテンツ情報を各々のフィールドに格納する。印刷データIDは、印刷処理の対象となる印刷データを一意に識別するための情報であり、印刷データ管理部324によって付与される。端末個体識別子は、印刷データの送信元の携帯端末400で使用されているマルチユーザモードのアカウント情報などのユーザを識別するための情報である。印刷設定は、画像データを印刷する際の設定情報である。コンテンツ情報は、画像データ自体に含まれる画像データの描画内容を規定する情報であり、具体的には、画像データのファイル名称が用いられる。
図13は、本実施形態において、認証サーバ300の印刷データ抽出部323が生成する印刷データリストテーブル340を示す図である。認証サーバ300の印刷データ抽出部323は、画像形成装置200から送信される認証情報と、認証サーバ300が保持している複数の印刷データとを照合し、認証情報が印刷データに含まれる情報とが合致した場合、当該印刷データを抽出する。印刷データ抽出部323は、抽出した印刷データを、印刷データリストテーブル340で管理する。なお、印刷データリストテーブル340は、認証サーバ300の記憶装置304にデータとして記憶される。
認証サーバ300は、印刷データリストテーブル340を画像形成装置200に送信し、画像形成装置200は、受信した印刷データリストテーブル340に基づいて、印刷データリストを操作部の画面に表示する(図9(a))。
印刷データリストテーブル340は、ファイル番号、コンテンツ情報を各々のフィールドに格納する。印刷データ抽出部323は、認証データと印刷データに含まれる情報とが合致した場合に抽出された印刷データごとに、ファイル番号を付与する。ファイル番号は、抽出された印刷データを一意に識別するための情報である。コンテンツ情報は、画像データ自体に含まれる画像データの描画内容を規定する情報であり、具体的には、画像データのファイル名称が用いられる。
図14は、本実施形態において、画像形成装置200の制御部221が生成する要求印刷データテーブル260を示す図である。画像形成装置200の制御部221は、図9(a)に示される印刷データリスト231において、チェックボックス232への入力がされた印刷データリスト231中の印刷データを抽出する。制御部221は、抽出した印刷データを、要求印刷データテーブル260で管理する。なお、要求印刷データテーブル260は、画像形成装置200の記憶装置203にデータとして記憶される。
画像形成装置200の制御部221は、要求印刷データテーブル260を認証サーバ300に送信する。認証サーバ300の印刷データ管理部324は、画像形成装置200から送信された要求印刷データテーブル260の情報と、認証サーバ300で保持している印刷データとを照合し、印刷対象となる印刷データを指定する。
要求印刷データテーブル260は、ファイル番号、コンテンツ情報を各々のフィールドに格納する。各々の情報は印刷データリストテーブル340のものと同様であるため、以下の説明は省略する。
図15は、本実施形態における、認証印刷処理の処理内容を示す概略図である。図15に示される概略図では、図12〜図14で説明した各テーブルおよび各テーブルに格納される種々の情報を例に、本実施形態における認証印刷処理について説明する。
まず、携帯端末400の制御部421は、印刷データを認証サーバ300へ送信する。例えば、端末個体識別子が「AA−BBBBBB−CCCCCC−D」、ユーザ情報が「00000241」、印刷設定が「Xxxxxx」、コンテンツ情報が「AAAAA.doc」であったとする(図10)。このとき、携帯端末400の制御部421は、端末個体識別子と、ユーザ情報と、印刷設定と、コンテンツ情報とから構成される印刷データを、認証サーバ300に送信する(A.印刷データ送信処理)。
認証サーバ300の制御部321は、端末個体識別子「AA−BBBBBB−CCCCCC−D」、ユーザ情報「00000241」、印刷設定「Xxxxxx」、コンテンツ情報「AAAAA.doc」からなる印刷データを受信する。認証サーバ300の印刷データ管理部324は、印刷データを印刷データ管理テーブル330に記憶する(図12)。
次に、画像形成装置200の制御部221は、携帯端末400から受信した認証情報を認証サーバ300へ送信する。例えば、端末個体識別子が「AA−BBBBBB−CCCCCC−D」、ユーザ情報が「00000241」であったとする(図11)。このとき、画像形成装置200の制御部221は、端末個体識別子と、ユーザ情報とから構成される認証データを、認証情報として認証サーバ300に送信する(B.認証印刷処理)。
認証サーバ300の印刷データ抽出部323は、印刷データ管理テーブル330から、認証情報の端末個体識別子およびユーザ情報と一致する印刷データを抽出する。図15に示される例では、認証情報の端末個体識別子「AA−BBBBBB−CCCCCC−D」、ユーザ情報「00000241」と一致する印刷データは、印刷データ管理テーブル330(図12)に記憶されている。印刷データ抽出部323は、一致する印刷データを抽出し、ファイル番号「000001」、コンテンツ情報「AAAAA.doc」からなる印刷データリストテーブル340(図13)とし画像形成装置200に送信する(C.認証印刷データ抽出処理)。
画像形成装置200の制御部221は、認証サーバ300から受信した印刷データリストテーブル340を参照して、印刷データ一覧画面(図9(a))を操作部に表示する。そして、画像形成装置200の制御部221は、チェックボックス232で選択された印刷データを対象として、用紙等への印刷処理を実行する(S316)。例えば、図9(a)に示される印刷データ一覧画面において、ファイル番号「000001」、ファイル名「AAAAA.doc」に対応するチェックボックス232が選択されたとする。この場合、画像形成装置200の制御部は、チェックボックス232が選択されたファイル名「AAAAA.doc」に対応する印刷データを対象として、印刷ボタン234が選択されたことを条件に用紙等への印刷処理を実行する(S316)。
図16は、認証印刷時における、携帯端末400の印刷データ送信処理の処理内容を示すフローチャートである。図16に示されるフローチャートを用いて、認証印刷時における、携帯端末400から画像形成装置200への印刷データ送信処理の処理内容について説明する。携帯端末400の操作部407に表示されているYesボタン433(図8)を選択すると、本フローチャートの処理が開始される。
S101において、携帯端末400の制御部421は、携帯端末400上で閲覧、編集している画像データを印刷データに変換する。制御部421は、画像形成装置200が描画処理を実行することができるように、画像データからPostScriptなどの印刷データ形式へと変換する。本実施形態においては、S101において制御部421が画像データを印刷データ形式へ変換しているが、別実施形態ではMicrosoft Officeアプリケーションなどで使用されるデータ形式を変換することなく次のステップへ進むようにしてもよい。この場合は、画像形成装置200がデータ形式を解釈し、携帯端末400から受信した画像データを印刷データに変換する。また、S101において、ユーザは携帯端末400の操作部407への操作を行うことにより、カラー/モノクロ、集約レイアウト、ステイプル位置指定などの印刷設定を行うことができる。設定された各種印刷設定は、印刷データのヘッダ部に付加される。
S102において、制御部421は、携帯端末400の端末個体識別子を取得する。取得した端末個体識別子は、印刷データのヘッダ部に認証情報として付加される。
S103において、制御部421は、携帯端末400のユーザ情報を取得する。取得したユーザ情報は、印刷データのヘッダ部に認証情報として付加される。
S104において、制御部421は、生成した印刷データを、送受信部422を介して認証サーバ300へ送信する。
以上の処理により、認証印刷時における、携帯端末400から画像形成装置200への印刷データ送信処理が実行される。
図17は、認証サーバ300の印刷データ受信処理の処理内容を示すフローチャートである。図17に示されるフローチャートを用いて、認証サーバ300の印刷データ受信処理内容について説明する。印刷データが携帯端末400から認証サーバ300へと送信されると、本フローチャートの処理が開始される。
S201において、認証サーバ300の制御部321は、携帯端末400から送信される印刷データを受信する。
S202において、認証サーバ300の印刷データ管理部324は、受信した印刷データを記憶装置に記憶する。また、S202おいて、印刷データのヘッダ部に付加されている、送信元の携帯端末400の端末個体識別子と、ユーザ情報と、印刷設定とを、当該印刷データを識別する印刷データIDと関連付けて印刷データ管理テーブル330に記憶する。
以上の処理により、認証サーバ300の印刷データ受信処理が実行される。
図18は、画像形成装置200の認証印刷処理の処理内容を示すフローチャートである。図18のフローチャートを用いて、画像形成装置200の認証印刷処理の処理内容について説明する。携帯端末400の近距離センサ408が、画像形成装置200の近距離センサ209に対して近接され、携帯端末400と画像形成装置200との通信が開始されると、本フローチャートの処理が開始される。
S301において、画像形成装置200の制御部221は、近距離センサ209を介して携帯端末400の端末個体識別子を取得する。
S302において、制御部221は、近距離センサ209を介して携帯端末400のユーザ情報を取得する。
S303において、画像形成装置200の認証情報生成部224は、S301およびS302において取得した携帯端末400の端末個体識別子とユーザ情報とから、認証情報を生成する。なお、S301およびS302において、端末個体識別子およびユーザ情報を受信する、近距離センサ209は、本発明の認証情報受信手段を構成する。
S304において、制御部221は、S303において生成した認証情報を、送受信部322を介して認証サーバ300へと送信する。S305以降のステップは、認証サーバ300が印刷データを抽出し、画像形成装置200が抽出結果を受信するまで待機状態となる。画像形成装置200は、認証サーバ300から抽出結果を受信すると、S305以降の処理を再開する。
S305において、画像形成装置200は抽出結果を受信すると、制御部221は、当該抽出結果を参照して、携帯端末400から取得した認証情報に該当する印刷データが存在するか判断する。該当する印刷データが存在しない場合(S305:No)、S306に移行する。該当する印刷データが存在する場合(S305:Yes)、S307に移行する。
S306において、制御部221は、認証印刷データが存在しないことを通知する画面(図9(b))を、操作部201に表示する処理を実行する。本実施形態において、画像形成装置200が認証サーバ300に対して認証情報を送信し、認証サーバ300の印刷データ管理部324が当該認証情報に関連付けられた印刷データが存在しなかった場合、S306に移行することが判定される。このとき、本認証印刷システム100では、認証印刷処理を継続することができない。認証印刷データが存在しないことを通知する画面(図9(b))が表示されているとき、ユーザが操作部210を介してOKボタン242が選択されると、本フローチャートの処理を終了する。
S307において、制御部221は、印刷データリストテーブル340(図13)を認証サーバ300から受信する。印刷データリストテーブル340は、認証印刷データ抽出処理(S408)で生成され、認証サーバ300から送信される。
S308において、制御部221は、S307で受信した印刷データリストテーブル340を参照して、印刷データリストなどを含む印刷データ一覧画面(図9(a))を操作部に表示する。
S309において、制御部221は、操作部210に印刷データ一覧画面が表示されているときに、Cancelボタン235(図9(a))が選択されたかを判定する。Cancelボタン235が選択されたと判定された場合(S309:Yes)、ユーザが操作部210を介して認証印刷処理をキャンセルする指示を画像形成装置200の制御部221に送信する。そのため、画像形成装置200の制御部221は認証印刷処理を終了する。Cancelボタン235が選択されていないと判定された場合(S309:No)、S310に移行する。
S310において、制御部221は、操作部210に印刷データ一覧画面が表示されているときに、チェックボックス232(図9(a))が1つ以上選択されたかを判定する。ユーザによる操作部210への操作を介してチェックボックス232が1つ以上選択された場合(S310:Yes)、S311へ移行する。チェックボックス232が1つも選択されない場合(S310:No)、S308へ戻り、S308以降の処理を再び繰り返す。また、このとき制御部221は、チェックボックス232が1つ以上選択されたと判定すること(S310:Yes)に応じて、印刷ボタン234(図9(a))の選択を受付け可能な状態にする、印刷ボタン234を有効化する処理を実行する。
S311において、制御部221は、操作部210に印刷データ一覧画面が表示されているときに、印刷ボタン234(図9(a))が選択されたかを判定する。ユーザによる操作部210への操作を介して印刷ボタン234が選択されたと判定された場合(S311:Yes)、S312へ移行する。印刷ボタン234が選択されていないと判定された場合(S311:No)、S308へ戻り、S308以降の処理を再び繰り返す。
S312において、制御部221は、S310においてチェックボックス232が選択された印刷データを対象として、要求印刷データテーブル260(図14)を生成する。
S313において、制御部221は、S312において生成した要求印刷データテーブル260を、送受信部222を介して認証サーバ300に送信する。本実施形態では、S310で選択されたチェックボックス232に対応する印刷データの情報を、テーブル形式のデータとして認証サーバ300にデータ送信する。これにより、ユーザが印刷を所望した印刷データについて、認証サーバ300に対して選択的に印刷要求を送信することができる。
S313において、制御部221は、S312において生成した要求印刷データテーブル260を、認証サーバ300へと送信する。S314以降のステップは、認証サーバ300の印刷データ管理部324が、印刷の対象となる対象印刷データを画像形成装置200に送信し、画像形成装置200が当該対象印刷データを受信するまで待機状態となる。画像形成装置200は、認証サーバ300から対象印刷データを受信すると、S314以降の処理を再開する。
S314において、画像形成装置200の制御部221は、S313において印刷の対象となる対象印刷データを、認証サーバ300から送受信部を介して受信する。次いで、S315において、制御部221は、認証サーバ300から対象印刷データを全て受信完了したかどうかを判定する。
制御部221が、全ての対象印刷データを受信完了した場合(S315:Yes)、対象印刷データについて印刷処理を実行する(S316)。一方、制御部221が全ての対象印刷データを受信完了していない場合(S315:No)、再びS314で対象印刷データを認証サーバ300から受信する処理に戻る。なお、本実施形態では、S315において、全対象印刷データを全て受信したかを判定してから印刷処理の実行を開始する処理としているが、印刷データを1つでも受信完了したと判定した場合、随時印刷を実行する処理を開始する態様であってもよい。
以上の処理により、画像形成装置200による認証印刷処理が実行される。
図19は、認証サーバ300の認証印刷データ抽出処理の処理内容を示すフローチャートである。図19に示されるフローチャートを用いて、認証サーバ300の認証印刷データ抽出処理の処理内容について説明する。S304(図18)において、画像形成装置200から認証サーバ300に認証情報が送信されると、本フローチャートの処理が開始される。
S401において、認証サーバ300の送受信部322は、画像形成装置200から送信される認証情報を受信する。
S402において、印刷データ抽出部323は、印刷データ管理テーブル330(図12)を参照して、S401で受信した認証情報から、端末個体識別子を特定する。
S403において、印刷データ抽出部323は、S402で特定した端末個体識別子と一致する印刷データ群を、S402で参照した印刷データ管理テーブル330から抽出する。
S404において、印刷データ抽出部323は、S401で受信した認証情報から、ユーザ情報を特定する。
S405において、印刷データ抽出部323は、S404で特定したユーザ情報と一致する印刷データを、S403で抽出した印刷データ群から抽出する。本実施形態においては、S403の抽出結果の印刷データ群から更に、ユーザ情報と一致する印刷データを抽出することで、端末個体識別子とユーザ情報の組み合わせが一致する印刷データを抽出する。印刷データを抽出するために上述の処理を実行することにより、複数のユーザで共有する携帯端末から印刷指示を行う場合でも、ユーザ単位の認証を行うことができ、セキュリティの高い認証印刷を実現することができる。
S406において、印刷データ抽出部323は、S405における抽出結果を、送受信部322を介して画像形成装置200へ送信する。本実施形態においては、S406において抽出した印刷データの数が1つ以上あれば、「該当データ有り」という抽出結果を送信する。抽出した印刷データの数が0であれば、「該当データなし」という抽出結果を送信する。
S407において、制御部321は、S405で抽出した印刷データが存在するかどうか判断する。S405で抽出した印刷データが存在する場合(S407:Yes)、S408へ移行する。抽出した印刷データが存在しない場合(S407:No)、印刷対象とする印刷データが存在せず、画像形成装置200が認証印刷処理を継続することができないため、本認証印刷データの抽出処理を終了する。
S408において、制御部321は、S405において抽出した印刷データから、印刷データリストテーブル340(図13)を生成する。
S409において、制御部321は、S408において生成した印刷データリストテーブル340を、画像形成装置200へ送信する。本実施形態においては、S405において抽出した印刷データを、印刷データリストテーブル340としてテーブル形式のデータとして画像形成装置200に送信される。
以上の処理により、認証サーバ300の認証印刷データ抽出処理が実行される。
図20は、認証サーバ300が、要求印刷データテーブル260によって指定される、印刷の対象となる対象印刷データを呼び出して、画像形成装置200に送信する処理の処理内容を示すフローチャートである。図20に示されるフローチャートを用いて、印刷の対象となる対象印刷データを呼び出して、画像形成装置200に送信する処理について説明する。S313(図18)において、画像形成装置200から、認証サーバ300に要求印刷データテーブル260が送信されると、本フローチャートの処理が開始される。
S501において、認証サーバ300の制御部321は、画像形成装置200から送信される要求印刷データテーブル260を、送受信部322を介して受信する。
S502において、認証サーバ300の印刷データ管理部324は、S501で受信した要求印刷データテーブル260に含まれる印刷の対象となる印刷データを記憶装置304から呼び出し、呼び出した対象印刷データを、画像形成装置200へ送信する。
S503において、制御部321は、S501で受信した要求印刷データテーブル260に含まれる全ての印刷データを画像形成装置200へ送信したかを判定する。要求印刷データテーブル260に含まれる、全ての対象印刷データを画像形成装置200に送信した場合(S503:Yes)、本フローチャートの処理を終了する。一方、要求印刷データテーブル260に含まれる、全ての対象印刷データの送信を完了していない場合(S503:No)、S502の処理に戻り、再び対象印刷データの送信処理を繰り返す。
以上の処理により、印刷の対象となる対象印刷データを呼び出して、画像形成装置200に送信する処理が実施される。
[実施形態2]
実施形態1における認証印刷システム100では、画像形成装置200が印刷処理を実行するために、携帯端末400の端末個体識別子と、ユーザ情報とを用いて認証印刷処理を実行する態様について説明した。
従来技術においては、画像形成装置200または認証サーバ300が認証システム内で使用される複数のユーザ情報を予め管理する印刷システムについて知られている。このような印刷システムでは、印刷システム内の端末(以下「印刷指示端末」という)からユーザ情報を受信し、受信したユーザ情報が上記複数のユーザ情報うち1つと一致した場合に、画像形成装置200が印刷処理を実行する。
実施形態2における認証印刷システム100では、複数のユーザ情報を予め管理する既存の印刷システムと、本発明の特徴的な構成である認証情報とを連携させることにより、本発明の技術思想を適用した認証印刷処理を実行する態様について説明する。
図21は、本実施形態における、認証印刷処理の処理内容を示す概略図である。まず、印刷指示端末500の制御部は、印刷データを認証サーバ300へ送信する。例えば、端末個体識別子が「EE−FFFFFF−GGGGGG−D」、ユーザ情報が「00000241」、印刷設定が「Xxxxxx」、コンテンツ情報が「AAAAA.doc」であったとする。このとき、印刷指示端末500の制御部は、端末個体識別子と、ユーザ情報と、印刷設定と、コンテンツ情報とから構成される印刷データを、認証サーバ300に送信する(A.印刷データ送信処理)。尚、上記印刷指示端末500は、後述の携帯端末400とは別の端末であり、特許請求の範囲における「第1の印刷指示端末」に相当する。
認証サーバ300の制御部321は、端末個体識別子「EE−FFFFFF−GGGGGG−D」、ユーザ情報「00000241」、印刷設定「Xxxxxx」、コンテンツ情報「AAAAA.doc」からなる印刷データを受信する。認証サーバ300の印刷データ管理部324は、印刷データを印刷データ管理テーブル330に記憶する(図12)。
次に、画像形成装置200の制御部221は、携帯端末400から受信した認証情報を認証サーバ300へ送信する。例えば、端末個体識別子が「AA−BBBBBB−CCCCCC−D」、ユーザ情報が「00000241」であったとする。このとき、画像形成装置200の制御部221は、端末個体識別子と、ユーザ情報とから構成される認証データを、認証情報として認証サーバ300に送信する(B.認証印刷処理)。尚、上記携帯端末400は、前述の印刷指示端末500とは別の端末であり、特許請求の範囲における「第2の印刷指示端末」に相当する。
認証サーバ300の印刷データ抽出部323は、印刷データ管理テーブル330から、認証情報の端末個体識別子と一致する印刷データを抽出する。図21に示される例では、認証情報の端末個体識別子は「AA−BBBBBB−CCCCCC−D」である一方、印刷データ管理テーブル330の端末個体識別子は「EE−FFFFFF−GGGGGG−D」である。そのため、印刷データ抽出部323は印刷データを抽出することができない(S403)。
本実施形態における認証印刷処理においては、端末個体識別子と一致する印刷データを抽出することができない場合であっても、ユーザ情報と一致する印刷データを抽出する処理を実行する(S405)。図21に示される例では、認証情報のユーザ情報は「00000241」であり、印刷データ管理テーブル330のユーザ情報も「00000241」である。この場合、印刷データ抽出部323はさらに、認証情報のユーザ情報「00000241」が、画像形成装置200または印刷サーバが管理する複数のユーザ情報のうち1つに一致するかを判定する。なお、上述の認証情報のユーザ情報を用いて印刷データ管理テーブル330のユーザ情報と照合する処理、および画像形成装置200または印刷サーバが管理する複数のユーザ情報と照合する処理は、図19のS405で実行される。
印刷データ抽出部323は、認証情報のユーザ情報「00000241」が一致すると判定した場合、印刷データ管理テーブル330から、認証情報のユーザ情報と一致する印刷データを抽出する。図21に示される例では、認証情報のユーザ情報「00000241」と一致する印刷データは、印刷データ管理テーブル330に記憶されている。印刷データ抽出部323は、一致する印刷データを抽出し、ファイル番号「000001」、コンテンツ情報「AAAAA.doc」からなる印刷データリストテーブル340(図13)とし画像形成装置200に送信する(C.認証印刷データ抽出処理)。
画像形成装置200の制御部221は、認証サーバ300から受信した印刷データリストテーブル340を参照して、印刷データ一覧画面(図9(a))を操作部に表示する。そして、画像形成装置200の制御部221は、チェックボックス232で選択された印刷データを対象として、用紙等への印刷処理を実行する(S316)。例えば、図9(a)に示される印刷データ一覧画面において、ファイル番号「000001」、ファイル名「AAAAA.doc」に対応するチェックボックス232が選択されたとする。この場合、画像形成装置200の制御部221は、チェックボックス232で選択されたファイル名「AAAAA.doc」に対応する印刷データを対象として、印刷ボタン234が選択されたことを条件に用紙等への印刷処理を実行する(S316)。
本発明の実施形態2においては、印刷指示端末500の端末個体識別子と、携帯端末400の端末個体識別子とが異なっていても、認証印刷処理を可能とする。具体的には、画像形成装置200または認証サーバ300が管理する複数のユーザ情報と認証情報のユーザ情報とを連携させることにより、認証印刷処理を可能とする。そのため、印刷データを送信する印刷指示端末500と、画像形成装置200の付近で近距離センサ209を介して認証情報を送信する携帯端末400が異なる場合であっても、本発明を適用した認証印刷を実行することができる。
以上、これまで説明した本発明によれば、複数のユーザで共有する携帯端末から印刷指示を行う場合でも、簡単にユーザ単位の認証を行うことができ、セキュリティの高い認証印刷を実現することができる。
[その他の実施例]
実施形態1および実施形態2では、認証サーバ300が印刷データ抽出処理を実行する態様について説明したが、実施形態はこれに限られない。画像形成装置200が認証サーバ300の機能を備え、印刷データ抽出処理を実行する構成であってもよい。
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
また、本実施形態の機能を実現するためのプログラムコードを、1つのコンピュータ(CPU、MPU)で実行する場合であってもよいし、複数のコンピュータが協働することによって実行する場合であってもよい。さらに、プログラムコードをコンピュータが実行する場合であってもよいし、プログラムコードの機能を実現するための回路等のハードウェアを設けてもよい。またはプログラムコードの一部をハードウェアで実現し、残りの部分をコンピュータが実行する場合であってもよい。