JP2021060354A - データ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】目的成分の濃度が低いサンプルを測定対象とした場合であっても、ピーク面積を精度よく算出することができるデータ処理方法を提供する。【解決手段】実測サンプルに含まれる目的成分の検出が開始される予測タイミングT3を取得する。予測タイミングT3より前に、目的成分のピーク面積の取得の開始タイミングT1を設定する。開始タイミングT1から所定時間後に、目的成分のピーク面積の取得の終了タイミングT2を設定する。予測タイミングT3より前に取得された目的成分の検出強度と、終了タイミングT2の前又は後に取得された目的成分の検出強度と、から、測定データのベースラインLを算出する。ベースラインL及び測定データを用いて、目的成分のピーク面積を取得する。【選択図】 図3
Description
本発明は、データ処理方法に関するものである。
水質分析計を用いたオンライン分析においては、測定対象となる液体サンプルの測定が定期的に行われることにより、複数回分の測定データが得られる。これらの測定データに対するデータ処理が順次行われ、各測定データに含まれるピークを検出することにより、サンプルにおける不純物などの混入の有無を検知することができる。
測定データに対するデータ処理の際には、検出されたピークの面積(ピーク面積)が算出される(例えば、下記特許文献1参照)。一般的には、サンプルに含まれる目的成分の検出強度の経時的変化を表す測定データにおいて、検出強度が増加しているときの傾斜角度(変動率)が第1閾値以上になったタイミングがピークの開始タイミングに決定され、検出強度が減少しているときの傾斜角度が第2閾値以下になったタイミングがピークの終了タイミングに決定される。そして、開始タイミングにおける検出強度と終了タイミングにおける検出強度を結ぶベースラインに対するピークの面積が算出される。
目的成分の濃度が低いサンプル(例えば、超純水のように純度の高い水サンプル、又は、低濃度に希釈されたサンプル)を測定対象として、水質分析計による測定を行なった場合には、検出強度の絶対値が比較的小さく、これにより変動量も比較的小さい。したがって、検出強度が増加及び減少しているときの傾斜角度(変動率)が小さく、決定される開始タイミング及び終了タイミングに誤差が生じやすい。そのため、上述のようなピーク面積の算出方法では、ベースラインを精度よく算出することができず、当該ベースラインを基準に算出されるピーク面積にも誤差が生じやすい。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、目的成分の濃度が低いサンプルを測定対象とした場合であっても、ピーク面積を精度よく算出することができるデータ処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、水質分析計において得られる測定データを処理する方法である。前記測定データは、サンプルに含まれる目的成分の検出強度の経時的変化を表す。前記方法は、予め記憶された、前記水質分析計にサンプルの注入を開始してから前記目的成分の検出が開始されるまでの時間と、前記水質分析計に実測サンプルの注入を開始したタイミングと、に基づいて、前記実測サンプルに含まれる目的成分の検出が開始される予測タイミングを取得するステップと、前記予測タイミングより前に、前記目的成分のピーク面積の取得の開始タイミングを設定するステップと、前記開始タイミングから所定時間後に、前記目的成分のピーク面積の取得の終了タイミングを設定するステップと、前記予測タイミングより前に取得された前記目的成分の検出強度と、前記終了タイミングの前又は後に取得された前記目的成分の検出強度と、から、前記測定データのベースラインを算出するステップと、前記ベースライン及び前記測定データを用いて、前記目的成分のピーク面積を取得するステップとを含む。
本発明の第1の態様によれば、検出強度の変動に基づいて開始タイミング及び終了タイミングが設定されるのではなく、予測タイミングに基づいて、開始タイミング及び終了タイミングが設定される。したがって、検出強度の変動量が比較的小さい目的成分の濃度が低いサンプルを測定対象とした場合であっても、設定される開始タイミング及び終了タイミングに誤差が生じにくく、ベースラインを精度よく算出することができるため、当該ベースラインに基づいてピーク面積を精度よく算出することができる。
1.水質分析計の構成
図1は、水質分析計の構成例を示した概略図である。この水質分析計は、測定対象となる液体サンプルに含まれる全有機体炭素濃度(TOC濃度)を測定可能な全有機体炭素計であり、その構成の一部のみを図1に示している。液体サンプルは、目的成分の濃度が低いサンプルであり、例えば超純水のように純度の高い水サンプル、又は低濃度に希釈されたサンプルである。低濃度とは、例えば1〜100ppb程度の濃度である。液体サンプルに含まれる目的成分としては、全炭素及び無機体炭素などを例示することができる。
図1は、水質分析計の構成例を示した概略図である。この水質分析計は、測定対象となる液体サンプルに含まれる全有機体炭素濃度(TOC濃度)を測定可能な全有機体炭素計であり、その構成の一部のみを図1に示している。液体サンプルは、目的成分の濃度が低いサンプルであり、例えば超純水のように純度の高い水サンプル、又は低濃度に希釈されたサンプルである。低濃度とは、例えば1〜100ppb程度の濃度である。液体サンプルに含まれる目的成分としては、全炭素及び無機体炭素などを例示することができる。
この水質分析計では、液体サンプルに含まれる全炭素を燃焼させてCO2に酸化させ、その濃度を測定することにより、TC濃度(全炭素濃度)を測定することができる。また、液体サンプルに酸溶液を添加することにより、液体サンプルに含まれる無機体炭素の量に応じたCO2を発生させ、その濃度を測定することにより、IC濃度(無機体炭素濃度)を測定することができる。そして、TC濃度とIC濃度とに基づいて、TOC濃度を測定することができる。このとき、TOC濃度は、TOC濃度=TC濃度−IC濃度の関係式を用いて算出することができる。
水質分析計には、例えば流路切替部1、シリンジ2、燃焼部3、測定部4、制御部5、操作部6、表示部7、記憶部8及びプリンタ9などが備えられている。流路切替部1は、例えば複数のポート11〜15を備えたマルチポートバルブからなる。ポート11は共通ポートであり、当該ポート11に対して他のポート12〜15のいずれかを選択的に連通させることができる。流路切替部1の各ポート11〜15間の連通状態は、例えばモータM1の駆動により自動で切り替えることができる。なお、流路切替部1のポートの数は、任意に設定可能である。
シリンジ2には、例えば筒体21及びプランジャ22が備えられている。プランジャ22は筒体21内に挿入されており、筒体21の内面とプランジャ22とにより囲まれたシリンジ2の内部空間に、液体サンプルを採水することができる。このとき、筒体21内に挿入されているプランジャ22を変位させることにより、シリンジ2への吸引動作及びシリンジ2からの吐出動作が行われる。プランジャ22は、例えばモータM2の駆動により自動で行うことができる。
この例では、共通ポートであるポート11が、シリンジ2に接続されている。ポート12は、配管121を介して液体サンプル供給部(図示せず)に接続されている。したがって、ポート11及びポート12を連通させた状態でプランジャ22を変位させ、シリンジ2への吸引動作を行うことにより、シリンジ2内(筒体21内)に液体サンプルを採水することができる。このとき、プランジャ22の変位量を制御することにより、シリンジ2への液体サンプルの採水量を調整することができる。
ポート13は、配管131を介して燃焼部3に接続されている。上記のようにしてシリンジ2内に液体サンプルを採水した後、ポート11及びポート13を連通させ、プランジャ22を変位させてシリンジ2からの吐出動作を行うことにより、燃焼部3に液体サンプルを注入することができる。このとき、プランジャ22の変位量を制御することにより、燃焼部3への液体サンプルの注入量を調整することができる。
ポート14は、配管141を介して洗浄液供給部(図示せず)に接続されている。したがって、ポート11及びポート14を連通させた状態でプランジャ22を変位させ、シリンジ2への吸引動作を行うことにより、シリンジ2内に洗浄液を導入することができる。例えば水質分析計を用いた測定の開始時又は終了時などには、シリンジ2内に洗浄液を導入することにより、シリンジ2内を洗浄液で洗浄することができる。
ポート15は、配管151を介してドレンに接続されている。シリンジ2内の残った液体サンプル又は洗浄液は、配管151を介してドレンに排出される。すなわち、ポート11及びポート15を連通させた状態でプランジャ22を変位させ、シリンジ2からの吐出動作を行うことにより、配管151を介してシリンジ2内の液体サンプル又は洗浄液をドレンに排出することができる。
燃焼部3には、例えば燃焼管31及び加熱炉32が備えられている。加熱炉32は、例えば電気炉により構成されており、燃焼管31を設定された温度に加熱することができる。加熱炉32の設定温度は、例えば600〜700℃である。燃焼管31内には、例えば白金触媒が設けられている。シリンジ2から燃焼部3に注入された液体サンプルは、燃焼管31内で加熱され、液体サンプルに含まれる目的成分が燃焼することにより酸化される。燃焼部3で酸化された目的成分は、測定部4へと送られ、その目的成分の濃度の測定が開始される。
液体サンプル中には、有機物以外にも、塩化物などの他の成分が含まれる場合がある。そのような有機物以外の成分の中には、有機物が酸化された後も燃焼管31内に残留する成分もある。したがって、燃焼管31内に残留する成分を少なくするために、本実施形態のように、低濃度に希釈されたサンプルが液体サンプルとして用いられる場合がある。このような低濃度の液体サンプルを測定対象とした場合には、検出強度の絶対値が比較的小さく、これにより変動量も比較的小さいため、算出されるピーク面積に誤差が生じやすい。同様に、超純水のように純度の高い水サンプルを測定対象とした場合にも、検出強度の絶対値が比較的小さく、これにより変動量も比較的小さいため、算出されるピーク面積に誤差が生じやすい。
測定部4は、例えばCO2を検出可能な赤外線ガス検出器により構成することができる。この場合、液体サンプルをシリンジ2から燃焼部3に注入し、当該液体サンプルに含まれる全炭素を燃焼させることにより生じたCO2を測定部4で検出することにより、その検出強度に基づいてTC濃度を測定することができる。ただし、測定部4は、赤外線ガス検出器に限らず、他の各種検出器により構成することができる。
シリンジ2から配管131を介して燃焼部3側へと導かれる液体サンプルは、その一部を分岐管132から排水することができるようになっている。これにより、シリンジ2内に採水された液体サンプルを燃焼部3側へと導きながら、その液体サンプルを部分的に燃焼部3に注入し、残りの液体サンプルを分岐管132から排水することができる。
制御部5は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む構成である。制御部5は、モータM1,M2及び加熱炉32などの水質分析計の各部の動作を制御するとともに、測定部4から入力される測定データに対する処理などを行う。操作部6は、ユーザが入力操作を行うためのものであり、例えばキーボード及びマウスにより構成される。表示部7は、例えば液晶表示器により構成され、測定結果などを表示画面に表示する。記憶部8は、例えばハードディスク及びRAM(Random Access Memory)により構成され、測定に必要なデータや測定結果などの各種データが記憶される。プリンタ9は、測定結果などを印刷する。
2.測定データに対するデータ処理
図2は、制御部5の構成例を示したブロック図である。制御部5は、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより、予測部50、タイミング設定部51、ベース点決定部52、ベースライン算出部53及び面積算出部54などとして機能する。
図2は、制御部5の構成例を示したブロック図である。制御部5は、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより、予測部50、タイミング設定部51、ベース点決定部52、ベースライン算出部53及び面積算出部54などとして機能する。
記憶部8には、測定部4における測定により得られた測定データが記憶されている。測定データは、液体サンプルに含まれる目的成分の検出強度の経時的変化を表すデータである。すなわち、測定開始のタイミングから所定の周期で測定部4における検出強度が取得され、各検出強度と時間との関係が測定データとして記憶部8に記憶される。
シリンジ2内に液体サンプルを採水し、その液体サンプルを燃焼部3に注入して測定を行うことにより、1回分の測定データが得られる。本実施形態では、液体サンプルの測定が定期的に行われるオンライン分析により、複数回分の測定データが得られ、各測定データが記憶部8に記憶される。制御部5では、各測定データに対するデータ処理が順次行われる。すなわち、記憶部8に記憶されている測定データには、今回測定する実測サンプルの測定データだけでなく、過去に測定したサンプルの測定データも含まれる。各測定データには、液体サンプルを燃焼部3に注入したタイミング(サンプルの注入を開始したタイミング)のデータも含まれる。
予測部50は、実測サンプルに含まれる目的成分の検出が開始されるタイミングを予測し、そのタイミングを予測タイミングとして取得する処理を行う。目的成分の検出が開始されるタイミングとは、例えば目的成分の検出強度が増加しているときの傾斜角度(変動率)が閾値以上になるタイミングである。記憶部8に予め記憶されている過去に測定したサンプルの測定データには、当該サンプルの注入を開始してから目的成分の検出が開始されるまでの時間(検出開始時間)のデータが含まれる。予測部50は、この検出開始時間と、実測サンプルの注入を開始したタイミングとに基づいて、予測タイミングを取得する。例えば、前回の測定時の測定データにおける検出開始時間を、実測サンプルの注入を開始したタイミングに加算することにより、予測タイミングを取得してもよい。あるいは、過去の複数回の測定時の測定データにおける検出開始時間の平均値を算出し、その平均値を実測サンプルの注入を開始したタイミングに加算することにより、予測タイミングを取得してもよい。
タイミング設定部51は、開始タイミング及び終了タイミングを設定する処理を行う。開始タイミングは、目的成分のピーク面積を取得する際の開始点のタイミングであり、予測タイミングよりも前のタイミングに設定される。終了タイミングは、目的成分のピーク面積を取得する際の終了点のタイミングであり、開始タイミングから所定時間後のタイミングに設定される。終了タイミングは、予測タイミングよりも後のタイミングであり、開始タイミングと終了タイミングとの間に、液体サンプルに含まれる目的成分の検出ピークが収まると推定される。タイミング設定部51による処理は、ユーザによる操作部6の操作に基づいて行われてもよいし、予め設定された値に基づいて行われてもよい。
ベース点決定部52は、目的成分のピーク面積を取得する際の開始点、及び、目的成分のピーク面積を取得する際の終了点を決定する。開始点における時間軸(横軸)の値は上記開始タイミングであり、強度軸(縦軸)の値は、予測タイミングより前に取得された目的成分の検出強度に基づいて算出される。終了点における時間軸(横軸)の値は上記終了タイミングであり、強度軸(縦軸)の値は、終了タイミングの前又は後に取得された目的成分の検出強度に基づいて算出される。
ベースライン算出部53は、ベース点決定部52により決定された開始点及び終了点に基づいて、測定データにおけるベースラインを算出する処理を行う。例えば、開始点及び終了点を結ぶ直線がベースラインとして算出されてもよい。ただし、ベースラインは、開始点及び終了点を結ぶ直線に限らず、開始点及び終了点に基づいて算出される他の直線であってもよい。
面積算出部54は、ベースライン算出部53により算出されたベースラインと、測定データとに基づいて、開始タイミングと終了タイミングとの間の目的成分のピーク面積を算出する処理を行う。例えば、開始タイミングと終了タイミングとの間の領域において、測定データと横軸とで囲まれる領域の面積から、ベースラインと横軸とで囲まれる領域の面積を差し引く演算が行われる。これにより、ベースラインよりも検出強度が高い領域の面積がピーク面積として算出される。
算出されたピーク面積は、液体サンプルに含まれる目的成分の濃度を算出する際の基準とすることができる。したがって、ピーク面積の値を所定の閾値と比較すれば、液体サンプルにおける不純物などの成分の混入の有無を判定することができる。算出されたピーク面積の値、又は、ピーク面積の値に基づく判定結果などは、表示部7に表示されてもよいし、プリンタ9により印刷されてもよい。
3.ピーク面積の算出方法
図3は、ピーク面積の算出方法の一例について説明するための図である。図3には、横軸を時間、縦軸を検出強度として、測定データの一例が示されている。
図3は、ピーク面積の算出方法の一例について説明するための図である。図3には、横軸を時間、縦軸を検出強度として、測定データの一例が示されている。
タイミングT0は、水質分析計(燃焼部3)に実測サンプルの注入を開始したタイミング(注入タイミング)である。開始タイミングT1は、予測タイミングT3よりも前であれば特に限定されないが、例えば注入タイミングT0と予測タイミングT3との間の期間(ピーク開始期間S2)に含まれるように設定される。終了タイミングT2は、目的成分の検出ピークよりも後であれば特に限定されないが、例えば注入タイミングT0から所定期間S1が経過したタイミングT4よりも後のピーク終了期間S3に含まれるように設定される。所定期間S1は、ユーザが操作部6を操作することにより任意の値に設定可能であり、例えば110secなどの値に設定される。
ただし、所定期間S1は、ユーザが操作部6を操作することにより設定されるものに限らず、例えば自動で設定されるものであってもよい。所定期間S1を自動で設定する場合には、例えば代表的な複数の液体サンプルを用いて測定を行うモードが実行されてもよい。この場合、各液体サンプルを用いて得られた各測定データについて、従来のように、検出強度が減少しているときの傾斜角度(変動率)が閾値以下になったタイミングがピークの終了点に決定される。そして、各測定データにおける注入タイミングT0から終了点までの時間の平均値を算出し、その平均値に係数を乗算することにより、所定期間S1を自動で算出してもよい。上記係数は、例えば1.5であるが、これに限られるものではない。
ピーク開始期間S2は、開始タイミングT1が含まれる期間であり、開始点P1を算出するための期間である。ピーク開始期間S2は、予測タイミングT3に応じて変動するが、例えば15secである。ただし、ピーク開始期間S2は、注入タイミングT0を始点とする期間に限らず、例えば注入タイミングT0の前又は後のタイミングを始点とする期間であってもよい。ピーク開始期間S2は、開始タイミングT1が含まれる期間に限らず、開始タイミングT1の前又は後に設定されてもよい。
開始点P1に対応する検出強度(縦軸の値)は、ピーク開始期間S2における検出強度の変化に基づいて決定される。例えば、ピーク開始期間S2における検出強度の平均値が、開始点P1に対応する検出強度(ベースラインLの開始タイミングT1における強度値)として決定される。上記平均値は、ピーク開始期間S2に一定周期で得られる各検出強度の全ての平均値であってもよいし、一部の平均値であってもよい。ピーク開始期間S2における最も大きい検出強度(または大きい方から順に複数の検出強度)と最も小さい検出強度(または小さい方から順に複数の検出強度)を除いて、残りの各検出強度の平均値が開始点P1に対応する検出強度として決定されてもよい。
開始点P1に対応するタイミング(横軸の値)は、ピーク開始期間S2内の任意のタイミングに設定できるが、例えばピーク開始期間S2の中央のタイミングであってもよい。この場合、ピーク開始期間S2が注入タイミングT0から15secの期間であるとすると、開始点P1に対応するタイミング(開始タイミングT1)は、注入タイミングT0から7.5secのタイミングとなる。
ピーク終了期間S3は、終了タイミングT2が含まれる期間であり、終了点P2を算出するための期間である。ピーク終了期間S3は、タイミングT4から一定期間(例えば20sec)が経過するまでの期間に設定されている。ただし、ピーク終了期間S3は、タイミングT4を始点とする期間に限らず、例えばタイミングT4の前又は後のタイミングを始点とする期間であってもよい。ピーク終了期間S3は、終了タイミングT2が含まれる期間に限らず、終了タイミングT2の前又は後に設定されてもよい。
終了点P2に対応する検出強度(縦軸の値)は、ピーク終了期間S3における検出強度の変化に基づいて決定される。例えば、ピーク終了期間S3における検出強度の平均値が、終了点P2に対応する検出強度(ベースラインLの終了タイミングT2における強度値)として決定される。上記平均値は、ピーク終了期間S3に一定周期で得られる各検出強度の全ての平均値であってもよいし、一部の平均値であってもよい。ピーク終了期間S3における最も大きい検出強度(または大きい方から順に複数の検出強度)と最も小さい検出強度(または小さい方から順に複数の検出強度)を除いて、残りの各検出強度の平均値が終了点P2に対応する検出強度として決定されてもよい。
終了点P2に対応するタイミング(横軸の値)は、ピーク終了期間S3内の任意のタイミングに設定できるが、例えばピーク終了期間S3の中央のタイミングであってもよい。この場合、ピーク終了期間S3がタイミングT4から20secの期間であるとすると、終了点P2に対応するタイミングは、タイミングT4から10secのタイミングとなる。
このようにして開始点P1及び終了点P2が決定されると、開始点P1及び終了点P2を結ぶ直線Lがベースラインとして算出される。そして、ベースラインLと検出ピークとで囲まれた領域の面積、すなわち図3にハッチングで示した領域の面積が、ピーク面積として算出される。
図4は、ピーク面積の算出方法の一例を示したフローチャートである。図4に示す各ステップS101〜S104は、全てが制御部5の処理により行われてもよいし、全てがユーザにより手動で行われてもよい。また、各ステップS101〜S104の一部が制御部5の処理により行われ、残りがユーザにより手動で行われてもよい。
図4に示すように、ピーク面積を算出する際には、まず、実測サンプルに含まれる目的成分の検出が開始される予測タイミングが取得される(ステップS101)。そして、予測タイミングより前に開始タイミングT1が設定されるとともに、開始タイミングT1から所定時間後に終了タイミングT2が設定される(ステップS102)。そして、設定された開始タイミングT1及び終了タイミングT2に基づいて、測定データにおけるベースラインLが算出される(ステップS103)。その後、算出されたベースラインLに基づいて、測定データにおける開始タイミングT1と終了タイミングT2との間のピーク面積が算出される(ステップS104)。
4.変形例
上記のようなピーク面積の算出方法は、目的成分の濃度が低い液体サンプルを測定対象とする場合にのみ用いられてよい。濃度が100ppbを超える高濃度の液体サンプルを測定対象とする場合には、従来のように、検出強度が増加しているときの傾斜角度(変動率)が第1閾値以上になったタイミングが開始点に決定され、検出強度が減少しているときの傾斜角度が第2閾値以下になったタイミングが終了点に決定されてもよい。この場合、液体サンプルの濃度に応じて、ピーク面積の算出方法が切り替えられてもよい。例えば、燃焼部3に注入される液体サンプル中の目的成分の総量が算出され、その総量が基準値を下回った場合には本実施形態に係るピーク面積の算出方法が用いられ、基準値以上である場合には従来のピーク面積の算出方法が用いられてもよい。
上記のようなピーク面積の算出方法は、目的成分の濃度が低い液体サンプルを測定対象とする場合にのみ用いられてよい。濃度が100ppbを超える高濃度の液体サンプルを測定対象とする場合には、従来のように、検出強度が増加しているときの傾斜角度(変動率)が第1閾値以上になったタイミングが開始点に決定され、検出強度が減少しているときの傾斜角度が第2閾値以下になったタイミングが終了点に決定されてもよい。この場合、液体サンプルの濃度に応じて、ピーク面積の算出方法が切り替えられてもよい。例えば、燃焼部3に注入される液体サンプル中の目的成分の総量が算出され、その総量が基準値を下回った場合には本実施形態に係るピーク面積の算出方法が用いられ、基準値以上である場合には従来のピーク面積の算出方法が用いられてもよい。
以上の実施形態では、水質分析計が全有機体炭素計である場合について説明した。しかし、水質分析計は、全有機体炭素計に限らず、例えば全窒素計などの他の分析計であってもよい。
5.態様
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係るデータ処理方法は、
水質分析計において得られる測定データを処理する方法であって、
前記測定データは、サンプルに含まれる目的成分の検出強度の経時的変化を表し、
予め記憶された、前記水質分析計にサンプルの注入を開始してから前記目的成分の検出が開始されるまでの時間と、前記水質分析計に実測サンプルの注入を開始したタイミングと、に基づいて、前記実測サンプルに含まれる目的成分の検出が開始される予測タイミングを取得するステップと、
前記予測タイミングより前に、前記目的成分のピーク面積の取得の開始タイミングを設定するステップと、
前記開始タイミングから所定時間後に、前記目的成分のピーク面積の取得の終了タイミングを設定するステップと、
前記予測タイミングより前に取得された前記目的成分の検出強度と、前記終了タイミングの前又は後に取得された前記目的成分の検出強度と、から、前記測定データのベースラインを算出するステップと、
前記ベースライン及び前記測定データを用いて、前記目的成分のピーク面積を取得するステップとを含んでいてもよい。
水質分析計において得られる測定データを処理する方法であって、
前記測定データは、サンプルに含まれる目的成分の検出強度の経時的変化を表し、
予め記憶された、前記水質分析計にサンプルの注入を開始してから前記目的成分の検出が開始されるまでの時間と、前記水質分析計に実測サンプルの注入を開始したタイミングと、に基づいて、前記実測サンプルに含まれる目的成分の検出が開始される予測タイミングを取得するステップと、
前記予測タイミングより前に、前記目的成分のピーク面積の取得の開始タイミングを設定するステップと、
前記開始タイミングから所定時間後に、前記目的成分のピーク面積の取得の終了タイミングを設定するステップと、
前記予測タイミングより前に取得された前記目的成分の検出強度と、前記終了タイミングの前又は後に取得された前記目的成分の検出強度と、から、前記測定データのベースラインを算出するステップと、
前記ベースライン及び前記測定データを用いて、前記目的成分のピーク面積を取得するステップとを含んでいてもよい。
第1項に記載のデータ処理方法によれば、検出強度の変動に基づいて開始タイミング及び終了タイミングが設定されるのではなく、予測タイミングに基づいて、開始タイミング及び終了タイミングが設定される。したがって、検出強度の変動量が比較的小さい目的成分の濃度が低いサンプルを測定対象とした場合であっても、設定される開始タイミング及び終了タイミングに誤差が生じにくく、ベースラインを精度よく算出することができるため、当該ベースラインに基づいてピーク面積を精度よく算出することができる。
(第2項)第1項に記載のデータ処理方法において、
前記ベースラインの前記開始タイミングにおける強度値は、前記開始タイミングを含む所定期間であるピーク開始期間における検出強度の平均値であってもよい。
前記ベースラインの前記開始タイミングにおける強度値は、前記開始タイミングを含む所定期間であるピーク開始期間における検出強度の平均値であってもよい。
第2項に記載のデータ処理方法によれば、開始タイミングを含む所定期間であるピーク開始期間という限られた期間内の検出強度に基づいて、ベースラインの始点の強度値を適切に決定できる。
(第3項)第2項に記載のデータ処理方法において、
前記開始タイミングは、前記ピーク開始期間の中央のタイミングであってもよい。
前記開始タイミングは、前記ピーク開始期間の中央のタイミングであってもよい。
第3項に記載のデータ処理方法によれば、開始タイミングを含む所定期間であるピーク開始期間という限られた期間内において、ベースラインの始点のタイミングを適切に決定できる。
(第4項)第1項〜第3項のいずれか一項に記載のデータ処理方法において、
前記ベースラインの前記終了タイミングにおける強度値は、前記終了タイミングを含む所定期間であるピーク終了期間における検出強度の平均値であってもよい。
前記ベースラインの前記終了タイミングにおける強度値は、前記終了タイミングを含む所定期間であるピーク終了期間における検出強度の平均値であってもよい。
第4項に記載のデータ処理方法によれば、終了タイミングを含む所定期間であるピーク終了期間という限られた期間内の検出強度に基づいて、ベースラインの終点の強度値を適切に決定できる。
(第5項)第4項に記載のデータ処理方法において、
前記終了タイミングは、前記ピーク終了期間の中央のタイミングであってもよい。
前記終了タイミングは、前記ピーク終了期間の中央のタイミングであってもよい。
第5項に記載のデータ処理方法によれば、終了タイミングを含む所定期間であるピーク終了期間という限られた期間内において、ベースラインの終点のタイミングを適切に決定できる。
1 流路切替部
2 シリンジ
3 燃焼部
4 測定部
5 制御部
6 操作部
7 表示部
8 記憶部
9 プリンタ
50 予測部
51 タイミング設定部
52 ベース点決定部
53 ベースライン算出部
54 面積算出部
P1 開始点
P2 終了点
S2 ピーク開始期間
S3 ピーク終了期間
T1 開始タイミング
T2 終了タイミング
T3 予測タイミング
2 シリンジ
3 燃焼部
4 測定部
5 制御部
6 操作部
7 表示部
8 記憶部
9 プリンタ
50 予測部
51 タイミング設定部
52 ベース点決定部
53 ベースライン算出部
54 面積算出部
P1 開始点
P2 終了点
S2 ピーク開始期間
S3 ピーク終了期間
T1 開始タイミング
T2 終了タイミング
T3 予測タイミング
Claims (5)
- 水質分析計において得られる測定データを処理する方法であって、
前記測定データは、サンプルに含まれる目的成分の検出強度の経時的変化を表し、
予め記憶された、前記水質分析計にサンプルの注入を開始してから前記目的成分の検出が開始されるまでの時間と、前記水質分析計に実測サンプルの注入を開始したタイミングと、に基づいて、前記実測サンプルに含まれる目的成分の検出が開始される予測タイミングを取得するステップと、
前記予測タイミングより前に、前記目的成分のピーク面積の取得の開始タイミングを設定するステップと、
前記開始タイミングから所定時間後に、前記目的成分のピーク面積の取得の終了タイミングを設定するステップと、
前記予測タイミングより前に取得された前記目的成分の検出強度と、前記終了タイミングの前又は後に取得された前記目的成分の検出強度と、から、前記測定データのベースラインを算出するステップと、
前記ベースライン及び前記測定データを用いて、前記目的成分のピーク面積を取得するステップとを含む、データ処理方法。 - 前記ベースラインの前記開始タイミングにおける強度値は、前記開始タイミングを含む所定期間であるピーク開始期間における検出強度の平均値である、請求項1に記載のデータ処理方法。
- 前記開始タイミングは、前記ピーク開始期間の中央のタイミングである、請求項2に記載のデータ処理方法。
- 前記ベースラインの前記終了タイミングにおける強度値は、前記終了タイミングを含む所定期間であるピーク終了期間における検出強度の平均値である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデータ処理方法。
- 前記終了タイミングは、前記ピーク終了期間の中央のタイミングである、請求項4に記載のデータ処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019186063A JP2021060354A (ja) | 2019-10-09 | 2019-10-09 | データ処理方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114002406A (zh) * | 2021-10-09 | 2022-02-01 | 中国地质调查局西安地质调查中心(西北地质科技创新中心) | 固体样品有机碳含量数据采集方法、系统、设备及应用 |
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2019
- 2019-10-09 JP JP2019186063A patent/JP2021060354A/ja active Pending
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CN114002406A (zh) * | 2021-10-09 | 2022-02-01 | 中国地质调查局西安地质调查中心(西北地质科技创新中心) | 固体样品有机碳含量数据采集方法、系统、设备及应用 |
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