以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
本願では、典型的な蛇口の姿勢に基づいて、「上」、「上側」、「下」、「下側」、「上下方向」等の文言が用いられる。蛇口の姿勢が典型的ではない場合、これらの文言は、当該姿勢に沿って解釈される。なお、特に説明した場合を除き、ホース接続具における上下関係は、後述の基準状態において判断される。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るホース接続具10が取り付けられた水栓f1の斜視図である。図2は図1のホース接続具10付き水栓f1の正面図であり、図3は図2のA−A線に沿った断面図である。図4はホース接続具10と水栓f1とが分離した状態を示す斜視図であり、図5はホース接続具10の分解斜視図である。図1から図3は、ホース接続具10が水栓f1に接続された状態(接続状態)を示す。この接続状態では、スライド体200が上側から吐水管f3(曲がり部f5)に当接している。ホース接続具10の接続状態では、スライド操作部110(ネジ部材)が締め込まれ、ホース接続具10が水栓f1に固定されている。
水栓f1は、水栓本体f2と、吐水管f3と、ハンドルf4とを有する。吐水管f3は、水栓本体f2に接続している。水栓本体f2を通過した水は、吐水管f3を経て排出される。水栓f1には、バルブ(図示されず)が内蔵されている。ハンドルf4を操作(回転)させることで、このバルブが開閉される。ハンドルf4の操作により、吐止水の切替及び吐水量の調整がなされる。
本実施形態において、水栓f1は、水栓本体f2に対して吐水管f3が固定されている。当業者において、この水栓f1は、横水栓と称されている。この称呼は、JIS B 2061で定められている。なお、この水栓f1では水栓本体f2と吐水管f3との境界が必ずしも明確ではないが、バルブよりも下流側の部分が吐水管f3とみなされてもよい。また、太さ(外径)が一定の部分が吐水管f3と見なされてもよい。
ホース接続具10が使用可能な水栓f1として、横水栓の他、横水栓(吐水口回転形)及び横水栓(自在形)が例示される。これらの称呼も、JIS B 2061で定められている。横水栓(吐水口回転形)は、万能ホーム水栓とも称される。横水栓(自在形)は、自在水栓とも称される。
吐水管f3は、その少なくとも一部が曲がって延びている。すなわち、吐水管f3は、曲がり部f5を有する。更に吐水管f3は吐水口f6を有する。吐水口f6から水が吐出される。吐水管f3は、水栓本体f2から延び、吐水口f6で終端している。曲がり部f5は、吐水口f6が下向きになるように曲がっている。
図5がよく示すように、ホース接続具10は、本体部100と、スライド体200とを有する。スライド体200は、本体部100に、スライド移動が可能な状態で取り付けられている。
スライド体200は、全体として、中空部材の前方部分及び下方部分が欠落した構造を有する。すなわち、スライド体200の中空部は、前方及び下方に開放されている。スライド体200の詳細については、後述される。
図3が示すように、本体部100は、スライド体配置部102と、吐水管挿入部104と、ホース接続部106と、パッキン108と、スライド操作部110とを有する。図5がよく示すように、構成部品の観点からは、本体部100は、パッキン108と、第1部材112と、第2部材114と、スライド操作部110とを有する。
図3が示すように、第1部材112と第2部材114とは、パッキン108を挟み込みつつ、ネジ機構で結合している。結合した第1部材112及び第2部材114が、内側に空洞を有する吐水管挿入部104を構成している。吐水管挿入部104は上側開口を有しており、吐水管f3が当該上側開口から吐水管挿入部104に挿入される。スライド体配置部102は第1部材112の上部に形成されている。スライド体配置部102は、本体部100の上部に形成されている。ホース接続部106は、第2部材114の下部に形成されている。ホース接続部106は、本体部100の下部に形成されている。ホース接続部106に、ホース(図示されない)が接続される。なお、ホース接続部106の周溝107には環状シール部材(Oリング等)が装着される。この環状シール部材の図示は省略されている(図3参照)。
本体部100は、スライド操作部110を支持する押圧支持部120を有する。スライド操作部110がスライド体200を押圧すると、この押圧力の反力が生ずる。押圧支持部120は、この反力を受け止める。
図3が示すように、本実施形態では、操作支持部120は壁部である。押圧支持部120は、第1部材112の一部である。操作支持部120にネジ穴122が形成されている。本実施形態では、スライド操作部110がネジ部材である。スライド操作部110は、軸部124と頭部126とを有する。軸部124には雄ねじ部が形成されている。この雄ねじ部が、ネジ穴122に螺合(ネジ結合)している。頭部126は使用者の手で回転操作を行いやすい形状を有する。スライド操作部110を第1方向(締め付け方向)に回転させると、スライド操作部110が押圧支持部120(スライド体配置部102)に対して前方に移動する。この移動により、スライド操作部110はスライド体200を押圧し、スライド体200を前方に移動させる。スライド操作部110を第1方向とは逆の第2方向(緩み方向)に回転させると、スライド操作部110は後方に移動する。接続状態を達成するためには、スライド体200が吐水管f3に当接するまで、スライド体200を前方に移動させる。
本実施形態において、スライド操作部110は、ネジ部材である。このネジ部材は、ねじ込まれて前進することによってスライド体200を押圧する。ネジ部材を有するネジ機構は、回転操作をしない限り移動しないので、スライド体200の後方へのスライド移動を規制する規制機構を含んでいる。なお、スライド操作部の機構はネジ機構に限定されず、例えばラチェット機構が採用されうる。ラチェット機構にトグル機構が組み合わされてもよい。
なお、本願において前方とは、スライド体200のスライド移動において吐水管f3に近づく方向を意味する。本願において後方とは、スライド体200のスライド移動において吐水管f3から離れる方向を意味する。図3には、前方D1及び後方D2が矢印で示されている。
図5が示すように、パッキン108は、環状の部材である。図3が示すように、パッキン108は、基部130と内方延在部132とを有する。基部130は環状である。内方延在部132は環状である。基部130は第1部材112と第2部材114とに挟まれることで、パッキン108は本体部100に固定されている。接続状態では、吐水管f3が上側から吐水管挿入部104に挿入される。吐水管f3は、パッキン108を通過して吐水管挿入部104に達している。パッキン108の内方延在部132は、吐水管f3の外面に密着している。パッキン108により、シール性が確保されている。
本体部100は、接続状態において下方から水栓f1に当接しうる下側当接部134を有する。下側当接部134は、第1部材112に形成されている。図3が示すように、下側当接部134は、接続状態において下方から水栓本体f2に当接する。
図4が示すように、ホース接続具10は、全体として分離していない。ホース接続具10を水栓f1に取り付ける方法は、容易に把握されうる。使用者は、ホース接続具10の取り付け方法を直感的に理解できる。
水栓f1へのホース接続具10の取り付けでは、先ず、吐水管f3が上側から吐水管挿入部104に挿入される。次に、スライド操作部110を操作(回転)して、スライド体200を前方D1にスライド移動させる。スライド体200が吐水管f3に当接するまで、この操作が続行される。スライド体200が吐水管f3に当接することで、接続状態が達成される。このように、ホース接続具10の取り付けは容易である。
図6(a)は、第1部材112を斜め上側から見た斜視図である。図6(b)は、第1部材112を斜め下側から見た斜視図である。図6(c)は、第1部材112の平面図である。図6(d)は、第1部材112の正面図である。図6(e)は、図6(d)のA−A線に沿った断面図である。
前述の通り、第1部材112(本体部100)は、スライド体配置部102を有している。第1部材112は、前述した下側当接部134を有する。第1部材112は、吐水管挿入部104の上側開口140を有する。第1部材112は、第2部材114と螺合しうる雌ねじ部142を有する。第1部材112は、吐水管挿入部104の外壁を構成している(図3参照)。
スライド体配置部102は、前述した押圧支持部120及びネジ穴122を有する。更に、スライド体配置部102は、スライド底面144と、スライド底面144から上側に延びる壁部146とを有する。スライド底面144は平面である。スライド底面144は上側開口140と壁部146との間に延在している。壁部146はスライド底面144の後方、右側及び左側に設けられている。壁部146のうち、スライド底面144の後方の部分が、押圧支持部120を構成している。スライド底面144の前方D1では、壁部146が途切れている。スライド底面144の前方D1には、壁部欠落部147が形成されている。壁部欠落部147により、スライド体配置部102は前方D1に向かって開放されている。スライド体配置部102は、前方D1及び上方に向かって開放されている。
スライド体配置部102は、第1スライド係合部148を有する。第1スライド係合部148は、左右に分散して配置されている。第1スライド係合部148は、左係合部148aと右係合部148bとを有する。
壁部146の内面に、突出部150aと突出部150bとが設けられている。突出部150aと突出部150bとで、上下方向位置は同じである。
突出部150aは、スライド底面144よりも上側の位置で、スライド底面144と平行に延びている。突出部150aは、スライド方向(前後方向)に延びる突条部である。突出部150aとスライド底面144とでスライド溝が形成されている。すなわち、左係合部148aは、突出部150aとスライド底面144との間に形成されたスライド溝である。突出部150bは、スライド底面144よりも上側の位置で、スライド底面144と平行に延びている。突出部150bは、スライド方向(前後方向)に延びる突条部である。突出部150bとスライド底面144とでスライド溝が形成されている。すなわち、右係合部148bは、突出部150bとスライド底面144との間に形成されたスライド溝である。このように、本実施形態では、本体部100が有する第1スライド係合部148は、スライド溝である。
図7(a)は、スライド体200を斜め上側から見た斜視図である。図7(b)は、スライド体200を斜め下側から見た斜視図である。図7(c)は、スライド体200の底面図である。図7(d)は、スライド体200の正面図である。図7(e)は、図7(d)のA−A線に沿った断面図である。
スライド体200は、上側形成部202と、上側形成部202から下方に延びる下方延在部204とを有する。下方延在部204は、下端面206と、左壁部208と、右壁部210と、後方壁部212とを有する。下方延在部204は、その前方部分が欠落している。換言すれば、下方延在部204は、前方開口部214を有する。この結果、スライド体200は前方D1に向かって開放されている。スライド体200は、底部を有さない。スライド体200は下方に向かって開放されている。スライド体200は、前方D1及び下方に向かって開放されている。
スライド体200は、被押圧部218を有する。被押圧部218は、後方壁部212の外面である。被押圧部218に、スライド操作部110の前端が当接する。本実施形態では、被押圧部218に、スライド操作部110の軸部124の先端が当接する。被押圧部218はスライド操作部110に押圧される。この押圧により、スライド体200は前方D1に移動する。
スライド体200は、第2スライド係合部220を有する。第2スライド係合部220は、左右に分散して配置されている。第2スライド係合部220は、左係合部220aと右係合部220bとを有する。左係合部220aは、左壁部208の外面に設けられている。左係合部220aは、スライド突起を構成している。スライド突起220aは、スライド方向(前後方向)に延びる突条部である。右係合部220bは、右壁部210の外面に設けられている。右係合部220bは、スライド突起を構成している。スライド突起220bは、スライド方向(前後方向)に延びる突条部である。このように、本実施形態では、スライド体200が有する第2スライド係合部220は、スライド突起である。
第1スライド係合部148と第2スライド係合部220とにより、スライド体200のスライド移動を可能とするスライド機構が構成されている。左係合部(スライド溝)148aに左係合部(スライド突起)220aがスライド移動可能に係合している。右係合部(スライド溝)148bに右係合部(スライド突起)220bがスライド移動可能に係合している。このスライド機構により、スライド体200が本体部100(スライド体配置部102)に対して移動しうる。
スライド体200は、第1スライド係合部148と第2スライド係合部220との係合を達成しつつ、スライド体配置部102のスライド底面144上に載置されている。スライド体200に作用する重力により、スライド体200の下端面206はスライド底面144に当接している。スライド体200のスライド移動において、下端面206はスライド底面144上を摺動する。
スライド体200は、当接押さえ部222を有している。当接押さえ部222は、下側に向かって突出する突出部である。当接押さえ部222は、上側形成部202から下側に向かって突出している。当接押さえ部222は、スライド体200の内部において下側に突出している。接続状態において、当接押さえ部222は、吐水管f3に上側から当接する。当接押さえ部222の詳細については、後述される。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係るホース接続具20が取り付けられた水栓f1の斜視図である。図9は図8のホース接続具20付き水栓f1の正面図であり、図10は図9のA−A線に沿った断面図である。図11はホース接続具20と水栓f1とが分離した状態を示す斜視図であり、図12はホース接続具20の分解斜視図である。図8から図10は、ホース接続具20が水栓f1に接続された状態(接続状態)を示す。
水栓f1は、水栓本体f2と、吐水管f3と、ハンドルf4とを有する。吐水管f3は、水栓本体f2に接続している。水栓本体f2を通過した水は、吐水管f3を経て排出される。水栓f1には、バルブ(図示されず)が内蔵されている。ハンドルf4を操作(回転)させることで、このバルブが開閉される。ハンドルf4の操作により、吐止水の切替及び吐水量の調整がなされる。水栓f1については、第1実施形態で説明した通りである。
図12がよく示すように、ホース接続具20は、本体部300と、スライド体400と、スライド締め具を有する。スライド体400は、本体部300に、スライド移動が可能な状態で取り付けられている。
スライド体400は、全体として、中空部材の前方部分及び下方部分が欠落した構造を有する。スライド体400の詳細については、後述される。
図10が示すように、本体部300は、スライド体配置部302と、吐水管挿入部304と、ホース接続部306と、パッキン308と、スライド操作部310と、環状スライド体318とを有する。図12がよく示すように、構成部品の観点からは、本体部300は、パッキン308と、第1部材312と、第2部材314と、スライド操作部310と、環状スライド体318とを有する。
図10が示すように、第1部材312と第2部材314とは、パッキン308を挟み込みつつ、ネジ機構で結合している。結合した第1部材312及び第2部材314が、内側に空洞を有する吐水管挿入部304を構成している。吐水管挿入部304は上側開口を有しており、吐水管f3が当該上側開口から吐水管挿入部304に挿入される。スライド体配置部302は第1部材312の上部に形成されている。スライド体配置部302は、本体部300の上部に形成されている。ホース接続部306は、第2部材314の下部に形成されている。ホース接続部306は、本体部300の下部に形成されている。ホース接続部306に、ホース(図示されない)が接続される。なお、ホース接続部306の周溝307には環状シール部材(Oリング等)が装着されるが、この環状シール部材の図示は省略されている(図10参照)。
本体部300は、スライド操作部310を支持する押圧支持部320を有する。スライド操作部310がスライド体400を押圧すると、この押圧力の反力が生ずる。押圧支持部320は、この反力を受け止める。
環状スライド体318は、第1実施形態のホース接続具10には存在しない部材である。環状スライド体318は全体として環状の部材である。接続状態において、吐水管f3が環状スライド体318に挿通される。環状スライド体318の構造及び機能の詳細は、後述される。
図10及び図12が示すように、本実施形態では、操作支持部320は、環状スライド体318に設けられている。操作支持部320(環状スライド体318)にネジ穴322が形成されている。本実施形態では、スライド操作部310がネジ部材である。スライド操作部310は、雄ネジ部324と頭部326とを有する。ネジ穴322に雄ネジ部324が螺合(ネジ結合)している。頭部326は使用者の手で回転操作を行いやすい形状を有する。スライド操作部310を第1方向(締め付け方向)に回転させると、スライド操作部310が押圧支持部320(環状スライド体318)に対して前方D1に移動する。換言すれば、環状スライド体318がスライド操作部310に対して後方D2に移動する。これらの移動により、スライド操作部310がスライド体200を押圧すると同時に、環状スライド体318が後方D2に引き寄せられる。結果として、吐水管f3が、スライド体400と環状スライド体318の前方部362(後述)とで挟まれ、接続状態が達成される。
パッキン308の構造及び機能は、前述したパッキン108と同じである。
図11が示すように、ホース接続具20は、全体として分離していない。ホース接続具20を水栓f1に取り付ける方法は、容易に把握されうる。使用者は、ホース接続具20の取り付け方法を直感的に理解できる。
水栓f1へのホース接続具20の取り付けでは、先ず、吐水管f3は、環状スライド体318に挿入されつつ、上側から吐水管挿入部304に挿入される。次に、スライド操作部310を操作(回転)して、スライド体400を前方にスライド移動させる。スライド体400が吐水管f3に当接するまで、この操作が続行される。スライド体400が吐水管f3に当接することで、接続状態が達成される。このように、ホース接続具20の取り付けは容易である。
図13(a)は、第1部材312を斜め上側から見た斜視図である。図13(b)は、第1部材312を斜め下側から見た斜視図である。図13(c)は、第1部材312の平面図である。図13(d)は、第1部材312の正面図である。図13(e)は、図13(d)のA−A線に沿った断面図である。
前述の通り、第1部材312(本体部300)は、スライド体配置部302を有している。第1部材312は、吐水管挿入部304の上側開口340を有する。第1部材312は、第2部材314と螺合しうる雌ねじ部342を有する。第1部材312は、吐水管挿入部304の外壁を構成している(図10参照)。
スライド体配置部302は、スライド載置面344と、スライド載置面344から上側に延びる壁部346とを有する。スライド載置面344は平面である。スライド載置面344は上側開口340と壁部346との間に延在している。壁部346はスライド載置面344の右側及び左側に設けられている。スライド底面144の前方及び後方では、壁部346が途切れている。スライド載置面344の後方には、壁部欠落部345が形成されている。壁部欠落部345により、スライド体配置部302は後方に向かって開放されている。スライド載置面344の前方には、壁部欠落部347が形成されている。壁部欠落部347により、スライド体配置部302は前方に向かって開放されている。スライド体配置部302は、前方、後方及び上方に向かって開放されている。
スライド体配置部302は、第1スライド係合部348を有する。第1スライド係合部348は、左右に分散して配置されている。第1スライド係合部348は、左係合部348aと右係合部348bとを有する。左係合部348aはスライド溝である。スライド溝348aは、スライド方向(前後方向)に延びている。スライド溝348aは、壁部346の内面に設けられている。スライド溝348aは、スライド載置面344よりも上側の位置で、スライド載置面344と平行に延びている。右係合部348bはスライド溝である。スライド溝348bは、スライド方向(前後方向)に延びている。スライド溝348bは、壁部346の内面に設けられている。スライド溝348bは、スライド載置面344よりも上側の位置で、スライド載置面344と平行に延びている。スライド溝348aとスライド溝348bとで、上下方向位置は同じである。このように、本体部300が有する第1スライド係合部348は、スライド溝である。
図14(a)は、環状スライド体318を斜め上側から見た斜視図である。図14(b)は、環状スライド体318を斜め下側から見た斜視図である。図14(c)は、環状スライド体318を上側から見た平面図である。図14(d)は、環状スライド体318の正面図である。図14(e)は、図14(d)のA−A線に沿った断面図である。
環状スライド体318は、全体として環状の部材である。環状スライド体318は、吐水管挿通孔360と、前方部362と、後方部364と、左サイド部366と、右サイド部368とを有する。吐水管挿通孔360は、貫通孔である。接続状態では、吐水管挿通孔360に吐水管f3が挿通されている(図10参照)。接続状態において、吐水管挿通孔360は、環状スライド体318を上下方向に貫通している。前方部362は、吐水管挿通孔360の前方に位置する。後方部364は、吐水管挿通孔360の後方に位置する。左サイド部366は、吐水管挿通孔360の左側に位置する。右サイド部368は、吐水管挿通孔360の右側に位置する。
環状スライド体318は、スライド上面370を有する。スライド上面370は、吐水管挿通孔360の周囲に形成されている。左サイド部366及び右サイド部368の上面は、スライド上面370である。後方部364における左サイド部366寄りの部分も、スライド上面370を構成している。スライド上面370は平面である。
後方部364は、前述した押圧支持部320を有する。後方部364は、後方立設部372を有する。この後方立設部372が、押圧支持部320を有する。前述の通り、押圧支持部320は、ネジ穴322を有する。
前方部362は、接続状態において下方から水栓f1に当接しうる下側当接部374を有する。図3が示すように、下側当接部374は、水栓本体f2及び/又は吐水管f3に下方から当接している。更に、前方部362は、接続状態において後方から水栓f1に当接しうる裏側当接部376を有する。下側当接部374が裏側当接部376であってもよい。本実施形態では、前方部362が下側当接部374であり、裏側当接部376でもある。前方部362において、下側当接部374の位置と裏側当接部376の位置とは、同じであってもよいし、相違していてもよい。
図15(a)は、スライド体400を斜め上側から見た斜視図である。図15(b)は、スライド体400を斜め下側から見た斜視図である。図15(c)は、スライド体400を下側から見た底面図である。図15(d)は、スライド体400の正面図である。図15(e)は、図15(d)のA−A線に沿った断面図である。
スライド体400は、上側形成部402と、上側形成部402から下方に延びる下方延在部404とを有する。下方延在部404は、下端面406と、左壁部408と、右壁部410と、後方壁部412とを有する。下方延在部404は、その前方部分が欠落している。換言すれば、下方延在部404は、前方開口部414を有する。この結果、スライド体400は前方に向かって開放されている。スライド体400は、底部を有さない。スライド体400は下方に向かって開放されている。スライド体400は、前方及び下方に向かって開放されている。
スライド体400は、被押圧部418を有する。被押圧部418は、後方壁部412の外面である。被押圧部418に、スライド操作部310の前端が当接する。本実施形態では、被押圧部418に、スライド操作部310の雄ネジ部324の先端が当接する。被押圧部418はスライド操作部310に押圧される。この押圧により、スライド体400は前方に移動する。
スライド体400は、第2スライド係合部420を有する。第2スライド係合部420は、スライド突起である。第2スライド係合部420は、左右に分散して配置されている。第2スライド係合部420は、左係合部420aと右係合部420bとを有する。左係合部420aは、左壁部408の外面に設けられている。左係合部420aは、スライド突起を構成している。スライド突起420aは、断面が円形の突起である。右係合部420bは、右壁部410の外面に設けられている。右係合部420bは、スライド突起を構成している。スライド突起420bは、断面が円形の突起である。このように、本実施形態では、スライド体400が有する第2スライド係合部420は、スライド突起である。
スライド体400は、当接押さえ部422を有している。当接押さえ部422は、スライド体400の内部において下側に突出する突出部である。接続状態において、当接押さえ部422は、吐水管f3に上側から当接する。当接押さえ部422の詳細については、後述される。
第1スライド係合部348と第2スライド係合部420とにより、スライド体400のスライド移動を可能とするスライド機構が構成されている。スライド溝348aにスライド突起420aが係合している。スライド溝348bにスライド突起420bが係合している。このスライド機構により、スライド体400が本体部300(スライド体配置部302)に対して移動しうる。
第2実施形態では、第1実施形態と異なり、環状スライド体318が設けられている。第2実施形態のホース接続具20は、環状スライド体318のスライド移動を可能とするサブスライド機構を有する。
図13(d)がよく示すように、スライド体配置部302は、前述した第1スライド係合部348に加えて、第3スライド係合部380を有する。第3スライド係合部380は、スライド溝である。第3スライド係合部380は、左右に分散して配置されている。第3スライド係合部380は、左係合部380aと右係合部380bとを有する。左係合部380aはスライド溝である。スライド溝380aは、スライド方向(前後方向)に延びている。スライド溝380aは、壁部346の内面に設けられている。スライド溝380aは、スライド載置面344よりも上側の位置で、スライド載置面344と平行に延びている。右係合部380bはスライド溝である。スライド溝380bは、スライド方向(前後方向)に延びている。スライド溝380bは、壁部346の内面に設けられている。スライド溝380bは、スライド載置面344よりも上側の位置で、スライド載置面344と平行に延びている。スライド溝380aとスライド溝380bとで、上下方向位置は同じである。
第3スライド係合部380は、第1スライド係合部348の下側に位置する。図13(d)及ぶ図13(e)がよく示すように、第3スライド係合部380(スライド溝380a、380b)は、第1スライド係合部348(スライド溝348a、348b)の下側に配置されている。
図14(a)〜(e)が示すように、環状スライド体318は、第4スライド係合部330を有する。第4スライド係合部330は、左右に分散して配置されている。第4スライド係合部330は、左係合部330aと右係合部330bとを有する。左係合部330aは、左サイド部366の外縁部によって形成されている。左係合部330aは、スライド突起を構成している。スライド突起330aは、スライド方向に延びる突条部を構成している。右係合部330bは、右サイド部368の外縁部によって形成されている。右係合部330bは、スライド突起を構成している。スライド突起330bは、スライド方向に延びる突条部を構成している。
第3スライド係合部380と第4スライド係合部330とにより、環状スライド体318のスライド移動を可能とするサブスライド機構が構成されている。左係合部380a(スライド溝)に左係合部330a(スライド突起)がスライド移動可能に係合している。右係合部380b(スライド溝)に右係合部330b(スライド突起)がスライド移動可能に係合している。このスライド機構により、環状スライド体318が本体部300(スライド体配置部302)に対して移動しうる。
図10及び図11が示すように、スライド体400は、環状スライド体318の上に載せられている。スライド体配置部302のスライド載置面344の上に環状スライド体318が載せられており、環状スライド体318の上にスライド体400が載せられている。環状スライド体318のスライド上面370にスライド体400の下端面406が当接している。環状スライド体318のスライド移動では、環状スライド体318はスライド載置面344上を摺動する。環状スライド体318のスライド移動の方向は前後方向である。スライド体400のスライド移動では、スライド体400は環状スライド体318のスライド上面370上を摺動する。スライド体400のスライド移動の方向は前後方向である。スライド上面370は、スライド体400が載置されている面であるので、スライド底面でもある。
スライド体400は環状スライド体318に載せられているので、環状スライド体318が移動すると、スライド体400も環状スライド体318とともに移動する。ただし、スライド体400は環状スライド体318に対して移動しうるので、環状スライド体318とスライド体400との間で、前後方向への移動は互いに独立している。
接続状態において、スライド体400の位置は、吐水管f3への当接により定まる。スライド体400の位置が定まると、スライド体400を押圧するスライド操作部310の位置も定まる。一方、環状スライド体318の位置は、前方部362と水栓f1との当接により定まる。スライド操作部310を操作(回転)させることで、スライド操作部310に対する環状スライド体318の位置が変化する。スライド操作部310を第1方向(締め付け方向)に回転させることで、スライド体400が前方D1に押圧されて吐水管f3に押し付けされると同時に、環状スライド体318が後方D2に引き寄せられ、前方部362が水栓f1(吐水管f3)に押し付けられる。結果として、吐水管f3が前方部362とスライド体400とで挟み込まれ、ホース接続具20は水栓f1に固定される。なお、環状スライド体318の前方部362は、2つの突起384を有している(図14(c)参照)。突起384は、吐水管挿通孔360の中央側に向かって突出している。前方部362において水栓f1(吐水管f3)に当接しているのは、これらの突起384である。
本願に係るホース接続具として、上述したホース接続具10及びホース接続具20が例示される。いずれの実施形態でも、スライド操作部(ネジ部材)はスライド体に当接しており、水栓f1には当接しない。よって、スライド操作部(ネジ部材等)による水栓f1の傷つきは生じない。
本願に係るホース接続具は、以下の構成を備えうる。
[上側から当接する当接押さえ部]
スライド体は、吐水管f3(曲がり部f5)に上側から当接する当接押さえ部を有しているのが好ましい。ホース接続具10のスライド体200は、当接押さえ部222を有する。ホース接続具20のスライド体400は、当接押さえ部422を有する。
当接押さえ部222は、吐水管f3に上側から当接する。「上側からの当接」とは、当該当接により吐水管f3に付与される力(当接力)が吐水方向の成分を有する当接を意味する。当接押さえ部222は下向き面を有する。当接押さえ部222において、下向き面は、下側に突出する当接押さえ部222の下端面である。この下向き面が、吐水管f3に上側から当接する。
図16は、図3の一部を拡大した拡大断面図である。図16が示すように、当接力Fは、吐水方向の成分F1と、前方向きの成分F2とを有する。当接押さえ部222は吐水管f3に上側から当接している。当接押さえ部222は、曲がり部f5に上側から当接している。スライド体200は、前方開口部214から、吐水管f3の曲がり部f5を、スライド体200の内部に受け入れている。スライド体200は、前方開口部214から、曲がり部f5の凸曲面f51を、スライド体200の内部に受け入れている。この結果、当接押さえ部222は、吐水管f3(曲がり部f5)に上側から当接することができる。また、接続状態に至る過程で吐水管f3がスライド体200の側壁部(左壁部208、右壁部210)及び後方壁部212に当接でき、スライド体200の姿勢が接続状態に適した状態に調整されやすい。スライド体400についても同様である。
なお、吐水方向は、水が吐出される方向である。正確には、吐水方向は、以下のように定義される。図16が示すように、吐水管f3が、真っ直ぐに延びて吐水口f6に至るストレート部f7を有する場合、このストレート部f7の中心線の方向が、吐水方向D3と定義される。吐水管f3が吐水口f6まで曲がっている場合、吐水口f6の端面f8を含む平面に垂直な直線の方向が、吐水方向D3と定義される。
前述の通り、吐水管f3は曲がり部f5を有する。曲がり部f5の外面は、凸曲面f51と凹曲面f52とを有する。凸曲面f51は、曲がりの外側(外周側)に形成されており、凹曲面f52は、曲がりの内側(内周側)に形成されている。水栓f1を正面から見たとき、凹曲面f52は吐水管f3の裏側に位置している。
当接押さえ部222は、凸曲面f51に当接している。当接押さえ部222と当接する位置において、凸曲面f51は、後方D2にいくにつれて下方となるように傾斜している。この傾斜は、吐水方向D3の成分F1を生じさせる。水圧によりホース接続具10が吐水方向D3に抜けようとすると、吐水方向D3の成分F1が増加し、当接押さえ部222には、この成分F1と同じ大きさの反力が吐水方向D3とは逆向きに作用する。このため、ホース接続具10の抜けが効果的に抑制される。
[当接押さえ部の形状]
図3、図7(b)及び図7(e)がよく示すように、ホース接続具10のスライド体200において、当接押さえ部222は、上側にいくにつれて前方となる形状を含んでいる。当接押さえ部222の下面(下端面)が、上側にいくにつれて前方となる形状を含んでいる。図10、図15(b)及び図15(e)がよく示すように、ホース接続具20のスライド体400における当接押さえ部422も、上側にいくにつれて前方となる形状を含んでいる。当接押さえ部422の形状は、当接押さえ部222の形状と同じである。
図7(b)が示すように、当接押さえ部222の下面は、階段状の形状を有している。図7(e)が示すように、当接押さえ部222の下面は、第1突出部222aと第2突出部222bとを有する。第1突出部222aは、第2突出部222bに対して、上側且つ前方に位置する。第1突出部222aと第2突出部222bとの組み合わせは、上側にいくにつれて前方となる形状の一例である。また、当接押さえ部222の下面は、上側にいくにつれて前方となる斜面222cを有する。この斜面222cは、上側にいくにつれて前方となる形状の一例である。このように、上側にいくにつれて前方となる形状として、階段状の形状、斜面及びそれらの組み合わせが例示される。当接押さえ部222の下面は、上側にいくにつれて段階的に前方となっていてもよいし、上側にいくにつれて徐々に前方となっていてもよい。この形状が斜面の場合、この斜面は平面であってもよいし、曲面であってもよい。この曲面は、凸曲面であってもよいし、凹曲面であってもよい。
上側にいくにつれて前方となる形状は、異なる吐水管f3に対する適応性を高める。すなわち、この形状により、吐水管f3の形状が変化しても、当接押さえ部222が吐水管f3に上側から当接しやすい。また、スライド体が前後方向に移動するので、当接押さえ部222も前後方向に移動する。前後方向への移動と、上側にいくにつれて前方となる形状との組み合わせにより、異なる吐水管f3に対する適応性が高まる。この形状は、吐水管f3に対する当接箇所の増加に寄与しうる。接続状態において、当接押さえ部222は、横水栓の吐水管f3に上側から当接しうる。接続状態において、当接押さえ部222は、横水栓(吐水口回転形)の吐水管f3に上側から当接しうる。接続状態において、当接押さえ部222は、横水栓(自在形)の吐水管f3に上側から当接しうる。上側にいくにつれて前方となる形状は、ホース接続具の汎用性を高める。
[下側当接部]
下側当接部は、水栓f1(吐水管f3及び/又は水栓本体f2)に下方から当接する。図3及び図4がよく示すように、ホース接続具10は、接続状態において下方から水栓f1に当接しうる下側当接部134を有する。下側当接部134は、前方に向かって突出している。下側当接部134は、吐水管挿入部104から前方に延びている。スライド体200が吐水管f3の後方に位置するのに対して、下側当接部134は吐水管f3の前方に位置する。水栓f1の使用者から見て、下側当接部134は吐水管f3の裏側に位置する。第1実施形態の本体部100は、水栓f1のうち吐水管f3以外の部分(水栓本体f2)に当接している。
下側当接部134が水栓f1に与える当接力は、鉛直方向上向きの成分を有する。図10及び図11が示すように、ホース接続具20は、接続状態において下方から水栓f1に当接しうる下側当接部374を有する。下側当接部374が水栓f1に与える当接力は、鉛直方向上向きの成分を有する。
図3が示すように、接続状態において、水栓f1は、スライド体200の当接押さえ部222と下側当接部134とで挟み込まれる。スライド操作部110の操作(締め付け)により、挟み込む力が高まる。ホース接続具10は、高い水圧が作用しても水栓f1から外れにくい。図10が示すように、接続状態において、水栓f1は、スライド体400の当接押さえ部422と下側当接部374とで挟み込まれる。ホース接続具10は、高い水圧が作用しても水栓f1から外れにくい。
ホース接続具10が水圧等に起因して水栓f1から抜けるとき、ホース接続具10は、曲がり部f5の曲がりに沿った回転方向R1に回転する(図3参照)。下側当接部134の当接力の反力は、ホース接続具10に、回転方向R1とは逆方向の回転モーメント(回転阻止モーメント)を与える。下側当接部134により、ホース接続具10が水栓f1から抜けるときに生ずるホース接続具10の回転が抑制される。下側当接部134は水圧によるホース接続具10の抜けを効果的に抑制しうる。
ホース接続具20が水圧等に起因して水栓f1から抜けるとき、ホース接続具20は、並進移動しつつ、曲がり部f5の曲がりに沿った回転方向R1に回転する(図10参照)。下側当接部374の当接力の反力は、ホース接続具20に、回転方向R1とは逆方向の回転モーメント(回転阻止モーメント)を与える。下側当接部374により、ホース接続具20が水栓f1から抜けるときに生ずるホース接続具20の回転が抑制される。下側当接部374は、水圧によるホース接続具20の抜けを効果的に抑制しうる。
下側当接部は、あらゆる水栓に対応しているのが好ましい。下側当接部は、横水栓に取り付けられた接続状態において、下方から水栓f1に当接するのが好ましい。下側当接部は、横水栓(吐水口回転形)に取り付けられた接続状態において、下側から水栓f1に当接するのが好ましい。下側当接部は、横水栓(自在形)に取り付けられた接続状態において、下側から水栓f1に当接するのが好ましい。
後述の通り、水栓f1において吐水管外周円C1が定義される。横水栓の吐水管外周円C1の直径は、37mm以上42mm以下である。横水栓(吐水口回転形)の吐水管外周円C1の直径は、48mm以上51mm以下である。横水栓(自在形)の吐水管外周円C1の直径は、67mm以上70mm以下である。各種水栓への適合性の観点から、下側当接部は、吐水管外周円C1の直径が37mm以上70mm以下の水栓に取り付けられた接続状態において、下側から水栓f1に当接するのが好ましい。横水栓及び横水栓(吐水口回転形)への適合性の観点からは、下側当接部は、吐水管外周円C1の直径が37mm以上51mm以下の水栓に取り付けられた接続状態において、下側から水栓f1に当接するのが好ましい。
[裏側当接部]
図10が示すように、ホース接続具20は、裏側当接部376を有する。前述の通り、裏側当接部376は、環状スライド体318の前方部362である。前述の通り、ホース接続具20は、環状スライド体318のスライド移動を可能とするサブスライド機構を有する。スライド操作部310を第1方向(締め付け方向)に回転させると、環状スライド体318がスライド操作部310に対して後方D2に移動し、裏側当接部376が曲がり部f5の凹曲面f52に当接する。裏側当接部376の当接による当接力は、後方向きの成分を含む。結果として、水栓f1(吐水管f3)が、スライド体400の当接押さえ部422と裏側当接部376とで挟み込まれる。ホース接続具20は、スライド操作部310の操作(締め付け)により、挟み込む力が高まるように構成されている。ホース接続具20は、高い水圧が作用しても水栓f1から外れにくい。
[スライド機構]
前述の通り、ホース接続具10は、スライド溝である第1スライド係合部148とスライド突起である第2スライド係合部220とにより、本体部100に対するスライド体200のスライド移動を可能とするスライド機構が構成されている。ホース接続具20は、スライド溝である第1スライド係合部348とスライド突起である第2スライド係合部420とにより、本体部300に対するスライド体400のスライド移動を可能とするスライド機構が構成されている。スライド突起とスライド溝との組み合わせは、スライド機構の一例である。スライド移動が達成される限り、スライド機構の構成は限定されない。スライド突起の形状は限定されない。スライド突起は、第2スライド係合部220のようなスライド方向を長手方向とする突起であってもよいし、第2スライド係合部420のような断面円形の突起であってもよいし、他の形状の突起であってもよい。また、ホース接続具10及びホース接続具20では、スライド突起がスライド体に設けられ且つスライド溝が本体部に設けられているが、逆に、スライド突起が本体部に設けられ且つスライド溝がスライド体に設けられてもよい。
[スライド機構の円滑作動性]
スライド機構の円滑作動性の観点からは、スライド操作部がスライド体に当接する当接位置が、スライド中心面SP1に近いのが好ましい。スライド中心面SP1は、スライド機構の中心面である。スライド機構がスライド溝を有する場合、スライド中心面SP1は、スライド溝の中心線L1を含む面である。スライド中心面SP1は平面であるのが好ましい。中心線L1は、スライド溝の底面の中心線とされうる。前述した第1及び第2実施形態のように、スライド機構が両側にスライド溝を有する場合、スライド中心面SP1は、一方の(左側の)スライド溝の中心線L1と、他方の(右側の)スライド溝の中心線L1とを含む平面とされうる。
図17(a)は、図6(e)と同じく、第1実施形態に係る第1部材112の断面図である。図17(b)は、第2実施形態に係る断面図であって、図13(e)と図14(e)とが組み合わされた断面図である。即ち図17(b)は、第1部材312に環状スライド体318が取り付けられた部材の断面図である。
図17(a)及び図17(b)において二点鎖線で示されているのは、スライド体におけるスライド操作部からの押圧当接点の軌跡線L2である。この押圧当接点はスライド体の移動に伴い移動するが、連続的に移動する押圧当接点の集合が、軌跡線L2である。第1及び第2実施形態では、軌跡線L2は、スライド操作部の雄ネジ部の中心線に一致する。第1及び第2実施形態では、軌跡線L2は、ネジ穴の中心線に一致する。なお、スライド操作部とスライド体との当接が面接触である場合、当該接触面の図心が前記押圧当接点とみなされ、この図心の軌跡が軌跡線L2とされる。
第1及び第2実施形態は、前記スライド機構が、スライド溝におけるスライド突起の移動により構成されている。これらの実施形態では、スライド体におけるスライド操作部からの押圧当接点が、スライド溝の中心線L1よりも上側に位置する。この関係は、スライド体の位置に関わらず成立している。すなわち、図17(a)及び図17(b)が示すように、軌跡線L2が中心線L1よりも上側に位置する。軌跡線L2はスライド中心面SP1よりも上側に位置する。この上下関係は、後述の基準状態において決定されうる。なお上述の通り、スライド機構において、スライド溝がスライド体に形成されていてもよい。
第2実施形態では、スライド体におけるスライド操作部からの押圧当接点は、スライド溝の上下方向幅の範囲内に位置している。この関係は、スライド体の位置に関わらず成立している。すなわち、図17(b)が示すように、軌跡線L2は、スライド溝348の上下方向幅の範囲内に位置している。この上下関係は、後述の基準状態において決定されうる。
図17(a)及び図17(b)において両矢印S1で示されているのは、スライド中心面SP1と軌跡線L2との距離である。距離S1は、スライド溝の中心線L1と軌跡線L2との上下方向距離でもある。距離S1は、後述の基準状態で測定されうる。スライド体の機構の円滑作動性の観点からは、距離S1は、5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下がより好ましい。距離S1は、0mmであってもよい。すなわち、軌跡線L2がスライド中心面SP1上に位置していてもよい。軌跡線L2と中心線L1との上下方向位置が一致していてもよい。後述の通り、接続状態におけるスライド体の前傾の観点からは、距離S1は0mmより大きいのが好ましい。
第1及び第2実施形態では、軌跡線L2は、スライド中心面SP1に平行である。軌跡線L2は、スライド溝(左係合部)148aの中心線L1に平行であり、且つ、スライド溝(右係合部)148bの中心線L1に平行である。また、スライド溝148aの中心線L1と軌跡線L2との距離は、スライド溝148bの中心線L1と軌跡線L2との距離に等しい。これらの構成は、スライド機構の円滑作動性に寄与する。
図7(d)及び図15(d)において両矢印H1で示されるのは、スライド体の高さである。距離S1及び高さH1の好ましい範囲を考慮すると、S1/H1は、1/4以下が好ましく、1/5以下がより好ましい。S1/H1は、0であってもよい。後述の通り、接続状態におけるスライド体の前傾の観点からは、S1/H1は0より大きいのが好ましい。なお、高さH1は、スライド体全体の高さであり、後述の基準状態において測定される鉛直方向高さである。
第1及び第2実施形態では、スライド体におけるスライド操作部からの押圧当接点は、スライド体の重心よりも下側に位置する。この押圧当接点がスライド溝の中心線L1よりも上側に位置する場合、スライド移動の際にスライド体が前傾しうるが、当該押圧当接点がスライド体の重心よりも下側とされることで、スライド移動中におけるスライド体の前傾が抑制されうる。スライド機構の円滑作動性の観点から、この押圧当接点は、スライド体の重心よりも下側に位置するのが好ましい。この関係は、スライド体の移動範囲の全体で成立するのが好ましい。すなわち、上記軌跡線L2は、スライド体の重心よりも下側に位置するのが好ましい。この上下関係は、後述の基準状態で判断されうる。
[スライド体の傾きを許容する構成]
上述したスライド機構は、スライド体の移動範囲の少なくとも一部においてスライド体の傾きを許容するように構成されていてもよい。スライド機構は、前方及び/又は後方へのスライド体の傾きを許容するように構成されていてもよい。
第1実施形態のホース接続具10において、スライド体200の傾きを許容する構成は、スライド突起220とスライド溝148との間の遊び(隙間)である。遊び(隙間)の幅と、スライド突起220の長手方向長さとによって、傾きの度合いが調整されうる。第2実施形態のホース接続具20において、スライド体400の傾きを許容する構成は、スライド突起420の形状である。断面が円形のスライド突起がスライド溝348内において回転できるので、スライド体400の傾きが許容される。スライド体400の傾きの度合いは、スライド体400とその接地面(スライド上面(スライド底面)370)との関係、及び、前記サブスライド機構における遊びによって規制される。
図7(e)が示すように、スライド体200の下端面206が凸曲面を形成している。この凸曲面がスライド底面144に接地している。この下端面206は、スライド底面との設置面積を少なくし、スライド底面144に対する摺動性を高める。また、この下端面206は、スライド体200の傾きを容易にすると共に、傾いたときのスライド体200の安定性を高める。
スライド機構は、スライド体の後方への傾きを許容するように構成されていてもよい。スライド機構は、吐水管を吐水管挿入部に挿入するときにスライド体の後方への傾きを許容するように構成されていてもよい。スライド体の後方への傾きは、吐水管挿入部への吐水管f3の挿入を容易とする。図18(a)は、吐水管挿入部104に吐水管f3が挿入される際のスライド体200の傾斜の一例を示す断面図である。スライド体200の後方への傾斜は、吐水管f3の挿入を容易とする。また、スライド体200の後方への傾斜により、吐水管f3を挿入する際のスライド体200の後方への移動量を少なくすることができる。このため、スライド操作部110の操作量を抑制することができる。また、スライド移動のストロークを小さくすることができ、ホース接続具10の小型化が可能となる。
スライド機構は、スライド体の前方への傾きを許容するように構成されていてもよい。スライド体の前方への傾きは、接続状態におけるホース接続具10の固定性を高めるのに寄与する。図18(b)は、接続状態におけるスライド体200の傾斜の一例を示す断面図である。スライド体200の前方への傾斜は、当接力Fにおける下向き成分F1(前述)を高めるのに寄与する。またこの前方への傾斜により、スライド体200の当接押さえ部222と吐水管f3との当接位置がより前方とされうる。よって、ホース接続具10が水栓f1から外れにくくなる。また、前方への傾斜角度は、吐水管f3の形状変化に対する適応性を高める。すなわち、様々な吐水管f3の形状に対応して傾斜角度が変化しうる。接続状態において、スライド体200は、横水栓の吐水管f3に上側から当接しつつ前傾しうる。接続状態において、スライド体200は、横水栓(吐水口回転形)の吐水管f3に上側から当接しつつ前傾しうる。接続状態において、スライド体200は、横水栓(自在形)の吐水管f3に上側から当接しつつ前傾しうる。ホース接続具10は汎用性に優れる。
スライド体の傾斜に起因する利点を高める観点から、スライド体の傾きが許容されているスライド位置において、スライド体の前後方向における傾斜角度幅θは、10°以上が好ましく、20°以上がより好ましく、30°以上がより好ましい。スライド機構の円滑作動性の観点から、傾斜角度幅θは、スライド体の傾きが許容されているスライド位置において、上記傾斜角度幅θは、40°以下が好ましく、38°以下がより好ましく、35°以下がより好ましい。
傾斜角度幅θは、スライド体を限界まで前方に傾斜させたときと、スライド体を限界まで後方に傾斜させた時との間の、傾斜角度幅である。傾斜角度幅θは、スライド体の傾斜がスライド操作部及び吐水管によって制約されない状態で測定される。また、傾斜角度幅θは、基準状態とされたホース接続具において測定される。
なお、本願において基準状態とは、吐水管挿入部(ホース接続部)の中心線CL1(図3)が鉛直方向とされ、スライド操作部及び水栓f1がスライド体に当接していない状態と定義される。
傾斜角度幅θの測定では、上記基準状態にあるホース接続部において、スライド体が前後方向に傾けられる。前後方向(スライド方向)に平行で且つ鉛直方向に平行な平面が基準平面とされるとき、スライド体は、この基準平面に沿って傾けられる。すなわち、傾けられるとき、スライド体に属するあらゆる点は、この基準平面に沿って動く。この基準平面に平行なスライド体の断面において任意の2点を決めるとき、この2点を結ぶ線分の角度変化は、傾斜角度幅θである。
なお、図18(a)及び図18(b)では、第1実施形態のホース接続具10が用いられているが、ホース接続具10の場合、スライド突起220とスライド溝148との間に遊び(隙間)を設けることで、スライド体200の傾きが可能となる。一方、第2実施形態のホース接続具20では、スライド突起420が円柱形状とされているので、前記遊び(隙間)が無くても、スライド体400は傾く。スライド体200の傾きを許容する観点から、第1実施形態に係るスライド突起220をスライド突起420と同じ円柱形状とすることもできる。このように、第1実施形態の各構成と第2実施形態の各構成とは互いに置換することができる。
図17(a)及び図17(b)の実施形態では、スライド体におけるスライド操作部からの押圧当接点(軌跡線L2)が、スライド溝の中心線L1よりも上側に位置する。この構成は、接続状態におけるスライド体の前方への傾きを促進し、ホース接続具の固定性を高めうる。接続状態においてスライド体を前傾させる観点からは、前記距離S1は、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がより好ましい。
図17(b)の実施形態では、スライド体におけるスライド操作部からの押圧当接点(軌跡線L2)は、スライド溝348の上下方向幅の範囲内に位置している。この構成は、スライド機構の円滑作動性とホース接続具の固定性との両立に役立つ。
スライド機構の円滑作動性とホース接続具の固定性との両立の観点からは、接続状態となりうるスライド位置において傾斜角度幅θが大きく、その他のスライド位置において傾斜角度幅θが小さくされてもよい。この観点から、ホース接続具のスライド機構は、次の構成(a)を備えていてもよい。
(a)スライド体の移動範囲が、第1範囲と、前記第1範囲よりも後方に位置する第2範囲とを含んでおり、前記第1範囲における傾斜角度幅θが、前記第2範囲における傾斜角度幅θよりも大きい。
この構成(a)は、例えば、スライド溝の幅を変えることで達成することができる。例えば、スライド溝の後端から中間地点までスライド溝の幅を所定値で一定としておき、前記中間地点から前端までスライド溝の幅を前記所定値よりも大きくすることで、前記構成(a)が達成されうる。この場合、前記中間地点から前端までのスライド溝の幅が、前方にいくにつれて徐々に大きくされてもよい。スライド機構の円滑作動性の観点からは、前記第2範囲における傾斜角度幅θは、10°以下が好ましく、5°以下がより好ましく、3°以下がより好ましい。前記第2範囲における傾斜角度幅θは、実質的に0°(0.5°未満)であってもよい。
吐水管f3の挿入しやすさとホース接続具の固定性との両立の観点からは、吐水管f3が挿入されうるスライド位置において傾斜角度幅θが大きく、それ以外のスライド位置において傾斜角度幅θが小さくされてもよい。この観点から、ホース接続具のスライド機構は、次の構成(b)を備えていてもよい。
(b)スライド体の移動範囲が、第1範囲と、前記第1範囲よりも後方に位置する第2範囲とを含んでおり、前記第2範囲における傾斜角度幅θが、前記第1範囲における傾斜角度幅θよりも大きい。
この構成(b)は、例えば、スライド溝の幅を変えることで達成することができる。例えば、スライド溝の前端から中間地点までスライド溝の幅を所定値で一定としておき、前記中間地点から後端までスライド溝の幅を前記所定値よりも大きくすることで、前記構成(b)が達成されうる。この場合、前記中間地点から後端までのスライド溝の幅が、後方にいくにつれて徐々に大きくされてもよい。スライド機構の円滑作動性の観点からは、前記第1範囲における傾斜角度幅θは、10°以下が好ましく、5°以下がより好ましく、3°以下がより好ましい。前記第1範囲における傾斜角度幅θは、実質的に0°(0.5°未満)であってもよい。
上記構成(a)と構成(b)とを組み合わせた下記の構成(c)も可能である。
(c)スライド体の移動範囲が、第1範囲と、前記第1範囲よりも後方に位置する第2範囲と、前記第2範囲よりも後方に位置する第3範囲を含んでおり、前記第1範囲における傾斜角度幅θが、前記第2範囲における傾斜角度幅θよりも大きく、前記第3範囲における傾斜角度幅θが、前記第2範囲における傾斜角度幅θよりも大きい。
この構成(c)は、例えば、スライド溝の幅を変えることで達成することができる。例えば、スライド溝の中間領域においてスライド溝の幅を所定値で一定としておき、前記中間領域から後端までのスライド溝の幅を前記所定値よりも大きくし、且つ、前記中間領域から前端までのスライド溝の幅を前記所定値よりも大きくすることで、前記構成(c)が達成されうる。この場合、前記中間領域から前端までのスライド溝の幅が、前方にいくにつれて徐々に大きくされてもよい。また、前記中間領域から後端までのスライド溝の幅が、後方にいくにつれて徐々に大きくされてもよい。スライド機構の円滑作動性の観点からは、前記中間領域において、傾斜角度幅θは、10°以下が好ましく、5°以下がより好ましく、3°以下がより好ましい。前記中間領域において、傾斜角度幅θは、実質的に0°(0.5°未満)であってもよい。
[吐水管外周円、吐水管内周円]
本願では、吐水管外周円及び吐水管内周円が定義される。吐水管外周円及び吐水管内周円は、吐水管f3の中心線を含む中心断面において定義される。
図19は、図16と同じ断面図である。図19は、吐水管f3の中心断面を含んでいる。図19が示すように、この中心断面において、吐水管外周円C1及び吐水管内周円C2が定義される。吐水管外周円C1は、前記中心断面における凸曲面f51の外面断面線E1に沿った円である。吐水管内周円C2は、前記中心断面における凹曲面f52の外面断面線E2に沿った円である。
より正確には、吐水管外周円C1は、次のように定義される。外面断面線E1は、第1端点P1と、第2端点P2と、中点P3とを有する。第1端点P1は、曲線と直線との境界点又は変曲点である。同様に、第2端点P2は、曲線と直線との境界点又は変曲点である。中点P3は、点P1及びP2を両端とする有限曲線の中点である。吐水管外周円C1は、第1端点P1と、第2端点P2と、中点P3とを通る円である。
同様に、吐水管内周円C2は、次のように定義される。外面断面線E2は、第1端点P4と、第2端点P5と、中点P6とを有する。第1端点P4は、曲線と直線との境界点又は変曲点である。同様に、第2端点P5は、曲線と直線との境界点又は変曲点である。中点P6は、点P4及びP5を両端とする有限曲線の中点である。吐水管内周円C2は、第1端点P4と、第2端点P5と、中点P6とを通る円である。
図19が示すように、前記中心断面において、下側当接部134は、吐水管内周円C2の外側に位置している。ホース接続具10が水圧等に起因して水栓f1から抜けるとき、ホース接続具10は、曲がり部f5の曲がりに沿った回転方向R1に回転する。この回転の中心は、実質的に、吐水管内周円C2の中心またはその近傍である。前述の通り、下側当接部134の当接力の反力は、ホース接続具10に、回転方向R1とは逆方向の回転モーメント(回転阻止モーメント)を与える。下側当接部134が吐水管内周円C2より外側に位置することで、この回転阻止モーメントが高まる。下側当接部134は、水圧によるホース接続具10の抜けを効果的に抑制しうる。
図19の実施形態では、前記中心断面において、下側当接部134は、吐水管外周円C1の内側に位置する。この実施形態では、下側当接部134は、吐水管外周円C1の外側に位置しうる外側当接部を有していない。
[外側当接部]
図20は、第3実施形態のホース接続具30の断面図である。ホース接続具30は、ホース接続具10の下側当接部134よりも大きい下側当接部134aを有する。下側当接部を除き、ホース接続具30はホース接続具10と同じである。
下側当接部134aは、前記中心断面において吐水管外周円C1の外側に位置する外側当接部136を有する。ホース接続具30が水圧等に起因して水栓f1から抜けるとき、ホース接続具30は、曲がり部f5の曲がりに沿った回転方向R1に回転する。この回転の中心は、実質的に、吐水管外周円C1の中心またはその近傍である。外側当接部136の当接力の反力は、ホース接続具30に、回転方向R1とは逆方向の回転モーメント(回転阻止モーメント)を与える。外側当接部136が吐水管外周円C1より外側に位置することで、この回転阻止モーメントが高まる。外側当接部136は、水圧によるホース接続具30の抜けを効果的に抑制しうる。
図21は、第4実施形態のホース接続具40の断面図である。ホース接続具40は、ホース接続具10の下側当接部134に、付加部材m1が装着されたものである。下側当接部134に付加部材m1が取り付けられることで、下側当接部134bが形成されている。下側当接部134bは、下側当接部134よりも大きい。下側当接部134bは、前記中心断面において吐水管外周円C1の外側に位置する外側当接部138を有する。外側当接部138は付加部材m1で形成されている。
外側当接部138の当接力の反力は、ホース接続具40に、上記回転阻止モーメントを与える。外側当接部138が吐水管外周円C1より外側に位置することで、この回転阻止モーメントが大きくなる。外側当接部138は、水圧によるホース接続具40の抜けを効果的に抑制しうる。
付加部材m1は、本体部100に、取り外し可能に取り付けられている。水栓f1の形状次第で、付加部材m1を装着したり取り外したりすることができる。着脱可能な付加部材m1は、異なる水栓f1へのホース接続具40の適応性を高める。
外側当接部は、あらゆる水栓に対応しているのが好ましい。外側当接部は、横水栓に取り付けられた接続状態において、吐水管外周円C1より外側に位置するのが好ましい。外側当接部は、横水栓(吐水口回転形)に取り付けられた接続状態において、吐水管外周円C1より外側に位置するのが好ましい。外側当接部は、横水栓(自在形)に取り付けられた接続状態において、吐水管外周円C1より外側に位置するのが好ましい。
横水栓の吐水管外周円C1の直径は、37mm以上42mm以下である。横水栓(吐水口回転形)の吐水管外周円C1の直径は、48mm以上51mm以下である。横水栓(自在形)の吐水管外周円C1の直径は、67mm以上70mm以下である。各種水栓への適合性の観点から、外側当接部は、吐水管外周円C1の直径が37mm以上70mm以下の水栓に取り付けられた接続状態において、吐水管外周円C1より外側に位置するのが好ましい。横水栓及び横水栓(吐水口回転形)への適合性の観点からは、外側当接部は、吐水管外周円C1の直径が37mm以上51mm以下の水栓に取り付けられた接続状態において、吐水管外周円C1より外側に位置するのがより好ましい。
図3において両矢印W1で示されているのは、吐水管挿入部104(ホース接続部106)の中心線CL1と下側当接部134との最大距離である。この距離W1は、中心線CL1と下側当接部134の前端との間の距離である。この距離W1は、中心線CL1に垂直な方向に沿って測定される。上述の回転阻止モーメントを高める観点及び汎用性の観点から、距離W1は、30mm以上が好ましく、33mm以上がより好ましく、35mm以上がより好ましい。ホース接続具の小型化の観点から、距離W1は、39mm以下が好ましく、37mm以下がより好ましく、35mm以下がより好ましい。
第2実施形態では、下側当接部374が移動するので、距離W1が変動する。上述の回転阻止モーメントを高める観点からは、第1実施形態の下側当接部134のように、距離W1が変動しないのが好ましい。
図15において両矢印H2で示されるのは、スライド体の最下点から当接押さえ部の最下点までの高さである。高さH2は、上記基準状態で測定され、鉛直方向に沿って測定される。高さH2が過小であると、スライド体が受け入れうる吐水管のバリエーションが少なくなり、汎用性が低下する。この観点から、高さH2は、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、18mm以上がより好ましい。高さH2が過大であると、前述の高さH1が過大となり、スライド体の姿勢が不安定となりやすい。また、高さH1が過大であると、水栓f1のハンドルf4にスライド体が干渉しうる。これらの観点から、高さH2は、25mm以下が好ましく、23mm以下がより好ましく、20mm以下がより好ましい。
上述の通り、距離W1及び高さH1は、過大であっても過小であっても好ましくない。高さスライド動作の円滑作動性、汎用性及びホース接続具の小型化を総合的に考慮すると、H1/W1は所定の範囲内であるのが好ましい。下限としては、H1/W1は、1/2以上が好ましく、1/1.5以上がより好ましく、1/1以上がより好ましい。上限としては、H1/W1は、2/1以下が好ましく、1.5/1以下がより好ましく、1.3/1以下がより好ましい。
図17(a)において破線PL1で示されるのは、スライド底面144を前方に延長した延長平面である。下側当接部134は、延長平面PL1よりも下側に位置する。すなわち、下側当接部134は、スライド底面144よりも下側に位置する。この上下関係は、上記基準状態で判断されうる。シール性の観点から、接続状態において、吐水管挿入部104に挿入される吐水管f3の挿入長は一定以上である必要がある。特に吐水管f3が短い場合、この挿入長が不足し、シール性が低下しうる。下側当接部134を下側とすることで、吐水管挿入部104に吐水管f3を挿入する際に、下側当接部134が水栓f1に当たって前記挿入長が不足することが抑制される。
[第5実施形態]
図22は、第5実施形態に係るホース接続具50が水栓に取り付けられた接続状態を示す斜視図である。図23は、図22の断面図である。図24は、ホース接続具50における第2部材の断面図である。図22及び図23は、ホース接続具50は水栓f10に接続された接続状態を示す。
ホース接続具50は、水栓f10に取り付けられている。水栓f10は、JIS B 2061で定められている、横水栓(自在形)である。
水栓f10は、水栓本体f12と、吐水管f13と、ハンドルf14とを有する。吐水管f13は、水栓本体f12に接続している。吐水管f13は、その一部が曲がって延びている。すなわち、吐水管f13は、曲がり部f15を有する。更に吐水管f13は吐水口f16を有する。吐水口f16から水が吐出される。吐水管f13は、水栓本体f12から延び、吐水口f16で終端している。吐水管f13は、曲がり部f15に加えて、中間ストレート部f17を有する。中間ストレート部f17は直線に沿って真っ直ぐに延びている。中間ストレート部f17は、水栓本体f12と曲がり部f15との間に位置する。曲がり部f15は、中間ストレート部f17と吐水口f16との間に位置する。
ホース接続具50は、本体部500と、スライド体200とを有する。スライド体200は、本体部500に、スライド移動が可能な状態で取り付けられている。スライド体200は、前述した第1実施形態のそれと同じである。
本体部500は、スライド体配置部102と、吐水管挿入部504と、ホース接続部106と、パッキン108と、スライド操作部110とを有する。構成部品の観点からは、本体部500は、パッキン108と、第1部材512と、第2部材114と、スライド操作部110とを有する。図23が示すように、第1部材512と第2部材114とは、パッキン108を挟み込みつつ、ネジ機構で結合している。結合した第1部材512及び第2部材114が、内側に空洞を有する吐水管挿入部504を構成している。
図24が示すように、第1部材512の内面に、係合突起t1が設けられている。すなわち、吐水管挿入部504の内面に、係合突起t1が設けられている。係合突起t1の存在を除き、第1部材512は、第1実施形態の第1部材112と同じである。係合突起t1の存在を除き、吐水管挿入部504は、第1実施形態の吐水管挿入部104と同じである。係合突起t1の存在を除き、本体部500は、第1実施形態の本体部100と同じである。係合突起t1の存在を除き、ホース接続具50は、第1実施形態のホース接続具10と同じである。
係合突起t1は、吐水管挿入部504の空洞に突出している。係合突起t1は、吐水管挿入部504の半径方向内側に向かって突出している。
図23が示すように、ホース接続具50の下側当接部134は、水栓f10に当接していない。ホース接続具50は、下側当接部134が水栓f10に当接しない状態で、接続状態とされうる。ホース接続具50の使用状態によっては、下側当接部134は、吐水管f13(中間ストレート部f17)に当接しうる。
水栓f10の吐水管f13は、吐水口f16に沿って形成された環状突出部f18を有する。環状突出部f18は、吐水管f13の下端部を形成している。環状突出部f18は、吐水口f16の半径方向外側に向かって突出している。
図23が示すように、係合突起t1は、環状突出部f18に係合している。係合突起t1は、環状突出部f18の上側に係合している。図24が示すように、係合突起t1は、先端t2を有する。先端t2が、環状突出部f18に係合している。この係合により、高水圧でホース接続具50が吐水管f13から外れることが抑制されている。
ホース接続具50が水栓f10に接続した接続状態において、係合突起t1は環状突出部f18に係合しうる。このホース接続具50は、高水圧時における抜け止め性能に優れる。
[第6実施形態]
図25は、第6実施形態に係るホース接続具60が取り付けられた水栓f1の斜視図である。図26は図25のホース接続具60付き水栓f1の平面図であり、図27は図26のA−A線に沿った断面図である。図28はホース接続具60と水栓f1とが分離した状態を示す斜視図であり、図29はホース接続具60の分解斜視図である。図25から図27は、ホース接続具60が水栓f1に接続された状態(接続状態)を示す。この接続状態では、スライド体700が上側から吐水管f3(曲がり部f5)に当接している。水栓f1は、図1等で示されているものと同じである。
図29がよく示すように、ホース接続具60は、本体部600と、スライド体700とを有する。スライド体700は、本体部600に、スライド移動が可能な状態で取り付けられている。
図27が示すように、本体部600は、スライド体配置部602と、吐水管挿入部604と、ホース接続部606と、パッキン608とを有する。図29が示すように、構成部品の観点からは、本体部600は、パッキン608と、第1部材612と、第2部材614と、第3部材616とを有する。
図27が示すように、第1部材612と第2部材614とは、第3部材616を介してパッキン608を挟み込みつつ、ネジ機構で結合している。結合した第1部材612、第2部材614及び第3部材616が、内側に空洞を有する吐水管挿入部604を構成している。吐水管挿入部604は上側開口を有しており、吐水管f3が当該上側開口から吐水管挿入部604に挿入される。スライド体配置部602は第1部材612の上部に形成されている。スライド体配置部602は、本体部600の上部に形成されている。ホース接続部606は、第2部材614の下部に形成されている。ホース接続部606は、本体部600の下部に形成されている。ホース接続部606に、ホース(図示されない)が接続される。
前述の第1実施形態では、本体部100がスライド操作部110を有する。これに対して、本実施形態の本体部600は、スライド体を押圧して移動させるスライド操作部を有さない。スライド体700は、指等で押圧されることで、スライド移動される。前方へのスライド移動も、後方へのスライド移動も、指等で直接スライド体700に力を加えることで実施される。
本体部600は、接続状態において下方から水栓f1に当接しうる下側当接部634を有する。下側当接部634は、第1部材612に形成されている。図27が示すように、下側当接部634は、接続状態において下方から水栓f1(水栓本体f2)に当接する。
図28が示すように、ホース接続具60は、全体として分離していない。ホース接続具60を水栓f1に取り付ける方法は、容易に把握されうる。使用者は、ホース接続具60の取り付け方法を直感的に理解できる。
水栓f1へのホース接続具60の取り付けでは、先ず、吐水管f3が上側から吐水管挿入部604に挿入される。指等でスライド体700を押圧して、スライド体700を前方にスライド移動させる。スライド体700が吐水管f3に当接するまで、この押圧が続行される。スライド体700が吐水管f3に当接したら、後述の規制機構を非規制状態から規制状態に切り換えて、スライド体700を固定する。後述の通り、この切り換えは、規制操作部708を回すだけで済む。このように、ホース接続具60の取り付けは容易である。
図30(a)は、第1部材612を斜め上側から見た斜視図である。図30(b)は、第1部材612を別の角度から見た斜視図である。図30(c)は、第1部材612の平面図である。図30(d)は、第1部材612の側面図である。
前述の通り、第1部材612(本体部600)は、スライド体配置部602を有している。スライド体配置部602は、底面644と、底面644から上側に延びる壁部646とを有する。壁部646は底面644の右側及び左側に設けられている。スライド体配置部602は、前方に向かって開放されている。スライド体配置部602は、後方に向かって開放されている。
スライド体配置部602は、第1スライド係合部648を有する。第1スライド係合部648は、左右に分散して配置されている。第1スライド係合部648は、スライド突起である。このスライド突起648は、スライド方向(前後方向)に延びる突条部(レール)である。
図29が示すように、スライド体700は、スライド本体部702と、係合体704と、カム移動体706と、規制操作部708とを有する。スライド本体部702は、第2スライド係合部710を有する。スライド本体部702の左右のそれぞれに、第2スライド係合部710が形成されている。第2スライド係合部710はスライド溝である。スライド本体部702は、当接押さえ部712を有する(図27及び図29参照)。図27が示すように、当接押さえ部712は、上側にいくにつれて前方となる形状を有している。当接押さえ部712は、接続状態において吐水管f3(曲がり部f5)に上側から当接している。
本実施形態では、スライド体700のスライド移動を可能とするスライド機構は、スライド突起648とスライド溝710とで構成されている。図28が示すように、スライド体700は、底面644から浮いている。スライド本体部702の底面は、底面644よりも上側に位置する。スライド本体部702の底面は、底面644から離れている。スライド突起648とスライド溝710との係合が、スライド体700を底面644よりも上側の位置で保持している。この構成により、スライド体700の高さが調整されている。なお、スライド本体部702の底面は、底面644に接触していてもよい。
図31(a)は、図26において四角線で囲まれた部分の拡大図である。ただし、図31(a)では、水栓f1のハンドルf4が除去されている。図31(a)では、規制操作部708が第1回転位置RP1にある。図31(b)は、規制操作部708が第2回転位置RP2にあるときを示す。本実施形態では、第1回転位置RP1と第2回転位置RP2とは、位相が90°相違する。
スライド体700は、2つの係合体704及び2つのカム移動体706を有する。係合体704は、左右一つずつ設けられている。カム移動体706も、左右一つずつ設けられている。係合体704のそれぞれは、歯部704aを有する。歯部704aは、断面が三角形の突起が複数並ぶことで構成されている。カム移動体706のそれぞれは、カム当接部706aと延在部706bとカム押圧部706cとを有する。図29を参照して、規制操作部708は、手動操作部708aと、軸部708bとを有する。軸部708bは、回転支持部708cとカム突起708dとを有する。手動操作部708aは、軸部708bを回転軸とする規制操作部708の回転を容易とする形状を有する。図31(a)が示すように、2つのカム突起708dが形成されている。カム突起708dは、軸部708bの周方向における180°おきに形成されている。
係合体704の歯部704bが噛み合う歯部650は、スライド体配置部602に設けられている。スライド体配置部602の壁部646の内面に、歯部650が形成されている。左右一対の係合体704に対応して、左右一対の歯部650が設けられている。歯部650は、スライド突起648に沿って形成されている。歯部650は、断面が三角形の突起が複数並ぶことで構成されている。
規制操作部708の回転支持部708cは、スライド本体部702に形成された孔に挿入されている(図27参照)。規制操作部708は、軸部708bを中心として回転しうる。
スライド本体部702は、カム移動体706の移動方向を規制するガイド溝714を有する(図31(a)参照)。ガイド溝714に、カム移動体706の延在部706bが配置されている。延在部706bがガイド溝714に拘束されているため、カム移動体706の動きガイド溝714に沿った方向のみに規制されている。
ホース接続具60において、スライド体700の後方への動きを規制する規制機構は、スライド体700側において係合体704、カム移動体706及び規制操作部708を有し、スライド体配置部602側において歯部650を有する。規制操作部708の回転操作により、スライド体700の後方(及び前方)へのスライド移動を規制する規制状態と、スライド体700の後方(及び前方)へのスライド移動を許容する非規制状態とが切り換えられる。
図31(a)では、規制操作部708は、第1回転位置RP1にある。この状態では、カム突起708dがカム当接部706aを押し、カム移動体706が係合体704側に動く。この結果、カム押圧部706cが係合体704の歯部704bの裏側を押圧し、歯部704bが歯部650に押し付けられる。規制操作部708が第1回転位置RP1に位置する限り、歯部704bと歯部650との係合が維持される。このため、スライド体700はスライド移動することができない。このように、規制操作部708が第1回転位置RP1とされることで、前記規制状態が達成されている。
図31(b)では、規制操作部708は、第2回転位置RP2にある。この状態では、カム突起708dがカム当接部706aから離れ、カム移動体706が係合体704側に押圧されない。よって、歯部704bの歯部650への押し付けは解除される。このため、歯部704bと歯部650との係合は、スライド体700をスライド移動する力によって容易に解除される。このように、規制操作部708が第2回転位RP2とされることで、前記非規制状態が達成される。
以上の通り、ホース接続具60は、スライド体700の後方へのスライド移動を規制する規制機構を有している。スライド体700は、前記規制機構の規制状態と非規制状態とを切り換える規制操作部708を有している。この規制操作部708は、操作(回転操作)により前記規制状態と前記非規制状態とを切り換えることができる。前記規制状態では、スライド体700の後方及び前方へのスライド移動が規制される。前記非規制状態では、スライド体700の後方及び前方へのスライド移動が許容される。
[第7実施形態]
図32は、第7実施形態に係るホース接続具70が取り付けられた水栓f1の斜視図である。図33は図1のホース接続具70付き水栓f1の平面図である。図34は図33のA−A線に沿った断面図である。図35はホース接続具70と水栓f1とが分離した状態を示す斜視図である。図36はホース接続具70の分解斜視図である。図32から図34は、ホース接続具70が水栓f1に接続された状態(接続状態)を示す。この接続状態では、スライド体900が上側から吐水管f3(曲がり部f5)に当接している。ホース接続具70の接続状態では、スライド操作部110(ネジ部材)が締め込まれ、ホース接続具70が水栓f1に固定されている。水栓f1は、図1等で示されるものと同じである。
図36がよく示すように、ホース接続具70は、本体部800と、スライド体900とを有する。スライド体900は、本体部800に、スライド移動が可能な状態で取り付けられている。
スライド体900は、中実の部材である。前述した第1実施形態のスライド体200とは異なり、スライド体900は、側壁部(左壁部208、右壁部210)及び後方壁部212を有さない。スライド体900の詳細については、後述される。
図34が示すように、本体部800は、スライド体配置部802と、吐水管挿入部804と、ホース接続部806と、パッキン808と、スライド操作部110とを有する。スライド操作部110は、第1実施形態のそれと同じである。図36がよく示すように、構成部品の観点からは、本体部800は、パッキン808と、第1部材812と、第2部材814と、第3部材816とを有する。
図34が示すように、第1部材812と第2部材814とは、第3部材816を介してパッキン808を挟み込みつつ、ネジ機構で結合している。結合した第1部材812、第2部材814及び第3部材816が、内側に空洞を有する吐水管挿入部804を構成している。吐水管挿入部804は上側開口を有しており、吐水管f3が当該上側開口から吐水管挿入部804に挿入される。ホース接続部806は、第2部材814の下部に形成されている。ホース接続部806に、ホース(図示されない)が接続される。
本体部800は、スライド操作部110を支持する押圧支持部820を有する。スライド操作部110がスライド体900を押圧すると、この押圧力の反力が生ずる。押圧支持部820は、この反力を受け止める。
図36が示すように、本実施形態では、操作支持部820は壁部である。押圧支持部820は、第1部材812の一部である。操作支持部820にネジ穴822が形成されている。スライド操作部110を第1方向(締め付け方向)に回転させると、スライド操作部110はスライド体900を押圧し、スライド体900を前方に移動させる。スライド操作部110を第1方向とは逆の第2方向(緩み方向)に回転させると、スライド操作部110は後方に移動する。接続状態を達成するためには、スライド体900が吐水管f3に当接するまで、スライド体900を前方に移動させる。
本実施形態において、スライド操作部110は、ネジ部材である。このネジ部材は、ねじ込まれて前進することによってスライド体900を押圧する。ネジ部材を有するネジ機構は、回転操作をしない限り移動しない。よって、このネジ機構は、スライド体900の後方へのスライド移動を規制する規制機構である。
前述の通り、第1部材812(本体部800)は、スライド体配置部802を有している。スライド体配置部802は、底面844と、底面844から上側に延びる壁部846とを有する。壁部846は底面844の右側、左側及び後方に設けられている。スライド体配置部802は、前方に向かって開放されている。
スライド体配置部802は、第1スライド係合部848を有する。第1スライド係合部848は、左右に分散して配置されている。第1スライド係合部848は、スライド突起である。このスライド突起848は、スライド方向(前後方向)に延びる突条部(レール)である。
図37(a)はスライド体900を斜め上側から見た斜視図であり、図37(b)はスライド体900を別の角度から見た斜視図であり、図37(c)はスライド体900を後方から見た背面図であり、図37(d)はスライド体900を前方から見た正面図である。
スライド体900は、前面902と、後面904と、上面906と、下面908と、側面910とを有する。下面908は、スライド方向に対して平行である。下面908は、スライド方向に対して平行でなくてもよい。前面902と下面908との成す角度θcは、90°である。角度θcは90°でなくてもよい。
側面910はスライド体900の左右のそれぞれに形成されている。左右の側面910のそれぞれに、第2スライド係合部912が形成されている。第2スライド係合部912はスライド溝である。
本実施形態におけるスライド機構は、スライド突起848とスライド溝912とで構成されている。図34及び図35が示すように、スライド体900は、底面844から浮いている。スライド体900の下面908は、底面844よりも上側に位置する。下面908は、底面844から離れている。スライド突起848とスライド溝912との係合が、スライド体900を底面844よりも上側の位置で保持している。この構成により、スライド体900の高さが調整されている。
スライド体900は、吐水管f3に上側から当接する当接押さえ部914を有している(図34参照)。本実施形態では、当接押さえ部914は、前面902の下縁である。当接押さえ部914は、下面908の前縁である。当接押さえ部914は、前面902と下面908とが交差して形成される角部である。なお、この角部に丸みが付与されていてもよい。この角部に面取りが形成されていてもよい。
スライド体900は、当接押さえ部914よりも前方にある部分を有さない。スライド体900は、当接押さえ部914よりも下側にある部分を有さない。スライド体900は、角部である当接押さえ部914以外に、吐水管f3と干渉しうる部分を有していない。このため、当接押さえ部914は確実に吐水管f3(曲がり部f5)に当接しうる。加えて、当接押さえ部914は、吐水管f3の形状変化に対する適応性に優れる。ホース接続具70は汎用性が高い。
スライド体900は、スライド操作部110によって押圧される被押圧部916を有する。被押圧部916は、後面904に設けられている。被押圧部916は、係合当接部918を有する。係合当接部918は、凹部である。係合当接部918の形状は、スライド操作部110の軸部124の先端の形状に対応している。軸部124の先端が係合当接部918に挿入された状態で、スライド体900はスライド操作部110に押圧される。軸部124の先端と係合当接部918との係合により、押圧力が安定的にスライド体900に伝達される。係合当接部918は、スライド機構の円滑作動性を高める。
このスライド体900が示すように、スライド体は単純な形状であってもよい。例えばスライド体が全体として棒状(丸棒状等)であってもよい。スライド体は、吐水管f3に上側から当接する当接押さえ部を有していれば良い。スライド体900では、当接押さえ部が角部であったが、例えば、当接押さえ部は、凸曲面であってもよい。断面が円形の曲面は、この凸曲面の一例である。
[第8実施形態]
図38は、第8実施形態に係るホース接続具80が取り付けられた水栓f1の斜視図である。ホース接続具80は、本体部1000と、スライド体1100とを有する。スライド体1100は、本体部1000に、前後方向にスライド移動が可能な状態で取り付けられている。
本体部1000は、差し込み部材1010と、差し込み部材1010を支持する押圧支持部1020を有する。押圧支持部1020は、後方から差し込み部材1010を支持している。差し込み部材1010は、下側に向かうにつれて前後方向幅が小さくなる形状を有している。差し込み部材1010は、楔状の部材である。差し込み部材1010は、スライド体1100と押圧支持部1020との間に差し込まれている。差し込み部材1010を下側に押圧すると、差し込み部材1010がより深く挿入される。このため、スライド体1100は後方から差し込み部材1010に押圧されて、前方にスライド移動する。
ホース接続具80の接続状態では、差し込み部材1010は下側に押し込まれている。このため差し込み部材1010は、押圧支持部1020とスライド体1100とで挟まれ圧縮されている。差し込み部材1010の挿入方向位置は、静止摩擦力によって維持されている。差し込み部材1010の存在により、スライド体1100の後方への移動が規制されている。差し込み部材1010は、スライド体1100の後方へのスライド移動を規制する規制機構を構成している。また、差し込み部材1010は、操作により前方に向かってスライド体1100を押圧するスライド操作部である。この操作は、差し込み部材1010を下側に押圧することである。接続状態を解除するときには、差し込み部材1010は上側に引き抜かれる。
なお、差し込み部材1010の挿入方向位置を固定する固定手段として、静止摩擦力の利用の他に、例えば、ラチェット機構やネジ止め機構等が採用されうる。ラチェット機構としては、例えば、スライド体1100と差し込み部材1010との当接面及び/又は押圧支持部1020と差し込み部材1010との当接面に、ラチェット機構が設けられうる。このラチェット機構として、差し込み部材1010の上側への移動を規制し且つ下側への移動を容易とする形状を備えた複数の凹凸(歯)が例示される。ネジ止め機構としては、差し込み部材1010とは別に、ネジの先端が差し込み部材1010に当接するネジ機構を設ける構成が採用されうる。差し込み部材1010が所定の位置にあるときにネジ機構のネジを締め込むことで、差し込み部材1010の挿入方向位置が固定されうる。静止摩擦力を利用する場合、差し込み部材1010の固定性を高める観点からは、差し込み部材1010が軟質の材料(軟質樹脂、ゴム等)とされてもよい。
[第9実施形態]
図39は、第9実施形態に係るホース接続具90が取り付けられた水栓f1の斜視図である。ホース接続具90は、本体部1200と、スライド体1300とを有する。スライド体1300は、本体部1200に、スライド移動が可能な状態で取り付けられている。
本体部1200は、スライド付勢部材1210と、スライド付勢部材を支持する押圧支持部1220と、ネジ機構1230とを有する。スライド付勢部材1210は、押圧支持部1220とスライド体1300との間に配置されている。スライド付勢部材1210は弾性体である。本実施形態では、スライド付勢部材1210は圧縮バネ(圧縮コイルバネ)である。バネ以外の弾性体が用いられてもよい。スライド付勢部材1210はスライド体1300を後方から押圧している。スライド付勢部材1210はスライド体1300を前方に付勢している。スライド体1300の前後方向位置に関わらず、スライド付勢部材1210は常にスライド体1300を前方に付勢している。ネジ機構1230はネジ部材1240を有している。本体部1200は、スライド体1300の側方に位置する壁部1250を有しており、ネジ部材1240はこの壁部1250に形成されたネジ穴にねじ込まれている。ネジ部材1240をねじ込むと、ネジ部材1240の先端がスライド体1300に当接する。ネジ部材1240をねじ込むことで、スライド体1300のスライド方向位置が固定されうる。
スライド付勢部材1210は、操作によらずスライド体1300を常に前方に押圧する押圧部材である。またスライド付勢部材1210は、スライド体1300の後方へのスライド移動を規制する規制機構を構成している。更に、ネジ機構1230は、スライド体1300の後方へのスライド移動を規制する規制機構である。
第9実施形態のホース接続具90では、吐水管f3が吐水管挿入部に挿入されると、自動でスライド体1300が吐水管f3に押し付けられる。よって、操作によりスライド体を吐水管f3に押し付ける必要がない。吐水管f3を吐水管挿入部に挿入するときは、スライド付勢部材1210の付勢力に抗してスライド体1300を後方に押しのけることができる。この押しのけは、吐水管f3をスライド体1300に押し当てることで達成されうる。このように、ホース接続具90では、吐水管f3への固定が容易である。ホース接続具90は、水栓f1への装着性に優れる。
ネジ機構1230は、スライド体1300を固定する目的のみで用いられている。ネジ機構1230は、第1実施形態のスライド操作部110のような、スライド体をスライド移動のために押圧するためのものではない。ネジ機構1230の締め付け時におけるネジ部材1240の移動量は少ない。すなわち、ネジ機構1230の操作は少なくて済む。
スライド体の材質として、樹脂及び金属が例示される。水栓f1の傷つきを抑制する観点から、樹脂が好ましい。樹脂としては、強度及び生産性に優れる樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。強度の観点から、ポリアセタール(POM)がより好ましい。上述した各実施形態において、スライド体の材質は、ポリアセタール(POM)とされた。
本体部の第1部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。樹脂としては、安価で生産性に優れる樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。安価で且つ強度に優れるとの観点から、ABSがより好ましい。上述した各実施形態において、本体部の第1部材の材質は、ABSとされた。
本体部の第2部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。樹脂としては、安価で生産性に優れる樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。安価で且つ強度に優れるとの観点から、ABSがより好ましい。上述した各実施形態において、本体部の第2部材の材質は、ABSとされた。
本体部の環状スライド体(第2実施形態)の材質として、樹脂及び金属が例示される。水栓f1の傷つきを抑制する観点から、樹脂が好ましい。樹脂としては、強度及び生産性に優れる樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。強度の観点から、ポリアセタール(POM)がより好ましい。上述した第2実施形態において、スライド体の材質は、ポリアセタール(POM)とされた。
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
本体部と、
水栓の吐水管に近づく前方及び前記吐水管から離れる後方へのスライド移動が可能なスライド体と、
前記スライド移動を可能とするスライド機構と、
前記スライド体の後方へのスライド移動を規制する規制機構と、
を有しており、
前記本体部が、パッキンを有する吐水管挿入部と、ホース接続部とを有しており、
前記スライド体が、前記吐水管に上側から当接する当接押さえ部を有しているホース接続具。
[付記2]
前記本体部が、操作によって前記前方に向かって前記スライド体を押圧し、且つ、前記規制機構を構成するスライド操作部を有している付記1に記載のホース接続具。
[付記3]
前記スライド体が、前記前方への移動に伴い、曲がって延びる前記吐水管の一部を受け入れるように構成された前方開口部を有している付記1又は2に記載のホース接続具。
[付記4]
前記当接押さえ部が、上側にいくにつれて前方となる形状を含む付記1から3のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記5]
前記当接押さえ部が、前記スライド体の内部において下側に突出する突出部である付記1から4のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記6]
前記スライド機構が、前記スライド体の移動範囲の少なくとも一部において前記スライド体の傾きを許容するように構成されている付記1から5のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記7]
前記スライド機構が、接続状態において前記スライド体の前方への傾きを許容するように構成されている付記6に記載のホース接続具。
[付記8]
前記スライド機構が、前記吐水管を前記吐水管挿入部に挿入するときに前記スライド体の後方への傾きを許容するように構成されている付記6又は7に記載のホース接続具。
[付記9]
前記スライド機構が、スライド溝とスライド突起とで構成されており、
前記スライド体における前記スライド操作部からの押圧当接点が、前記スライド溝の中心線よりも上側に位置する付記1から8のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記10]
前記スライド機構が、スライド溝とスライド突起とで構成されており、
前記スライド体における前記スライド操作部からの押圧当接点が、前記スライド溝の上下方向幅の範囲内に位置する付記1から9のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記11]
前記押圧当接点が、前記スライド体の重心よりも下側に位置する付記9又は10に記載のホース接続具。
[付記12]
前記本体部が、前方に向かって突出して延び且つ接続状態において下方から前記水栓に当接する下側当接部を更に有している付記1から11のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記13]
前記本体部が、前記スライド体が載置され前記スライド体の下端面が当接するスライド底面を有しており、
前記下側当接部が、前記スライド底面よりも下側に位置する付記12に記載のホース接続具。
[付記14]
前記吐水管の中心線を含む中心断面において、前記吐水管の凸曲面の外面断面線に沿った円である吐水管外周円が定義されるとき、
前記下側当接部が、前記中心断面において前記吐水管外周円の外側に位置する外側当接部を有している付記12又は13に記載のホース接続具。
[付記15]
前記本体部が、前記吐水管挿入部の内面に係合突起を有しており、
接続状態において、前記係合突起が、前記吐出管の下端部に形成された環状突出部に係合する付記1から14のいずれか1項に記載のホース接続具。
本願には、独立形式請求項に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。