JP2021059646A - 熱硬化性樹脂組成物、コンポジット積層板、及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドリル加工による孔を形成しても、孔の内壁面の傷つきを生じにくく、かつ高いはんだ耐熱性を有する絶縁層を作製するために使用できる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、不織布基材に含浸させることで樹脂含浸基材を作製するためのものである。熱硬化性樹脂(A)と、無機充填材(B)と、を含有する。無機充填材(B)は、水酸化アルミニウムと、カオリンクレーと、タルクとを含み、かつワラストナイト又はガラス粉又はその両方を含む。【選択図】図1
Description
本開示は、熱硬化性樹脂組成物、コンポジット積層板、及びプリント配線板に関する。より詳細には、不織布基材に含浸させることで樹脂含浸基材を作製するための熱硬化性樹脂組成物、この熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含むコンポジット積層板、及びプリント配線板に関する。
従来、プリント配線板等の電子回路基板材料における絶縁層には、熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む組成物を不織布に含浸させた基材が備えられている。また、電子回路基板材料を備える電子機器の高性能化に応じて、絶縁層には様々な特性が要求されている。
例えば、特許文献1では、不織布基材を樹脂組成物に含浸させた不織布層を備える積層板において、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂、ラジカル重合開始剤、及び無機フィラーを含む樹脂組成物が開示されている。そして、この樹脂組成物を含む積層板から金属張積層板を作製し、金属張積層板から回路基板を形成することが提案されている。
しかし、金属張積層板から回路基板を作製するにあたって、金属張積層板に導電用のスルーホール等のための孔を形成するためにドリル加工を施す場合、金属張積層板における絶縁層の内壁面に傷つきが生じることがある。このような傷は、孔の内面にめっき処理を施すなどして作製されるスルーホールにおける、導通不良の原因になる。また、回路基板等に用いられる絶縁層には、はんだを形成する際のはんだ耐熱性も要求される。
本発明の目的は、ドリル加工による孔を形成しても、孔の内壁面の傷つきを生じにくく、かつ高いはんだ耐熱性を有する絶縁層を作製するために使用できる熱硬化性樹脂組成物、この熱硬化性樹脂組成物から作製された絶縁層を備えるコンポジット積層板、及びこの熱硬化性樹脂組成物から作製された絶縁層を備えるプリント配線板を提供することにある。
本開示の一態様に係る熱硬化性樹脂組成物は、不織布基材に含浸させることで樹脂含浸基材を作製するための熱硬化性樹脂組成物であり、熱硬化性樹脂(A)と、無機充填材(B)と、を含有する。前記無機充填材(B)は、水酸化アルミニウムと、カオリンクレーと、タルクとを含み、かつワラストナイト又はガラス粉又はその両方を含む。
本開示の一態様に係るコンポジット積層板は、織布と前記織布に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む二つの表材層と、不織布と前記不織布に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む芯材層と、を備え、前記二つの表材層と前記芯材層とが、前記二つの表材層の間に前記芯材層が介在した状態で積層しているコンポジット積層板である。前記不織布は、厚み0.25mm以上0.45mm以下である。前記第二の樹脂組成物は、上記熱硬化性樹脂組成物である。
本開示の一態様に係るプリント配線板は、絶縁層と、導体配線と、を備える。前記絶縁層は、織布と前記織布に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む二つの表材層と、不織布と前記不織布に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む芯材層と、を備える。前記二つの表材層と前記芯材層とは、前記二つの表材層の間に前記芯材層が介在した状態で積層している。前記不織布は、厚み0.25mm以上0.45mm以下である。前記第二の樹脂組成物は、上記熱硬化性樹脂組成物である。
本開示の一態様によれば、ドリル加工による孔を形成しても、孔の内壁面の傷つきを生じにくく、かつ高いはんだ耐熱性を有する絶縁層を作製するために使用できる熱硬化性樹脂組成物、この熱硬化性樹脂組成物から作製された絶縁層を備えるコンポジット積層板、及びこの熱硬化性樹脂組成物から作製された絶縁層を備えるプリント配線板が得られる。
1.概要
まず、本開示の熱硬化性樹脂組成物、コンポジット積層板1、及びプリント配線板100の概要について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎず、本開示の目的を達成できれば設計に応じて種々の変更が可能である。
まず、本開示の熱硬化性樹脂組成物、コンポジット積層板1、及びプリント配線板100の概要について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎず、本開示の目的を達成できれば設計に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、不織布基材に含浸させることで樹脂含浸基材を作製するためのものである。熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)と、無機充填材(B)とを含有する。無機充填材(B)は、水酸化アルミニウムと、カオリンクレーと、タルクとを含み、かつワラストナイト又はガラス粉又はその両方を含む。樹脂含浸基材は、熱硬化性樹脂組成物を不織布に含浸させ、かつ熱硬化性樹脂組成物を硬化させることで作製することができる。樹脂含浸基材における熱硬化性樹脂組成物は、上記の無機充填材(B)を含有することで、この樹脂含浸基材から作製される絶縁層にドリル加工によって孔を形成しても、孔の内壁面の傷つきを生じにくくすることができる。すなわち、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、樹脂含浸基材から作製される絶縁層の耐ドリル摩耗性を向上させることに寄与できる。
上記熱硬化性樹脂組成物によって、耐ドリル摩耗性及びはんだ耐熱性を向上できる理由は詳細には明らかになっていないが、以下のような理由によると推察される。
無機充填材(B)が、水酸化アルミニウム、カオリンクレー及びタルクに加えてワラストナイトとガラス粉とのうちのいずれか一方又は両方を含むことによって、絶縁層へのドリル加工時に、絶縁層によるドリルの先端にかかる負担が低減しうる。このため、絶縁層をドリル加工により切削することで発生する切粉がドリルと孔の内壁面との間に介在してこの内壁面に擦らせても、孔の内壁面を傷つけにくくなり、絶縁層の強度を確保しやすくなる、と考えられる。また、無機充填材(B)が、水酸化アルミニウムを含むと耐熱性は低下しやすくなるが、特にカオリンクレー及びタルクに加えてワラストナイトとガラス粉とのうちのいずれか一方又は両方を含むことによって、はんだ耐熱性を向上できると考えられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、二つの表材層2(21,22)と芯材層3とを備えるコンポジット積層板1における表材層2(21,22)を作製するための樹脂組成物として用いることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、絶縁層50と導体配線60とを備えるプリント配線板100における絶縁層50を作製するための樹脂組成物として用いることもできる。詳細については、それぞれ後述する。
2.詳細
以下、本開示の熱硬化性樹脂組成物、コンポジット積層板1(10)、及びプリント配線板100について順に具体的に説明する。
以下、本開示の熱硬化性樹脂組成物、コンポジット積層板1(10)、及びプリント配線板100について順に具体的に説明する。
2.1.熱硬化性樹脂組成物
まず、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物について、説明する。
まず、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物について、説明する。
熱硬化性樹脂組成物は、既に述べたとおり、不織布基材に含浸させることで樹脂含浸基材を作製するためのものである。熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)と、無機充填材(B)とを含有する。
熱硬化性樹脂(A)は、例えばエポキシ樹脂及びラジカル重合性化合物からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。
エポキシ樹脂は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及びアントラセン型エポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上の樹脂を含有することができる。特にエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
熱硬化性樹脂(A)がエポキシ樹脂である場合、熱硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂の硬化剤を含有してもよい。硬化剤は、例えばアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、及びイミダゾール系硬化剤からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。特に硬化剤が、イミダゾール系硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤がイミダゾール系硬化剤を含有すると、熱硬化性樹脂組成物が加熱される場合の硬化速度が速くなると共に、常温では熱硬化性樹脂組成物の安定性が高くなる。イミダゾール系硬化剤は、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート及びエポキシ−イミダゾールアダクトからなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
特に、熱硬化性樹脂組成物が、イミダゾール系硬化剤を含有し、イミダゾール系硬化剤のエポキシ樹脂に対する割合が、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。この割合が0.1質量%以上であることで、熱硬化性樹脂組成物の熱硬化が特に効率良く進行する。また、この割合が1.0質量%以下であることで、熱硬化性樹脂組成物の常温下でのゲル化が特に抑制され、これにより熱硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好となる。このイミダゾール系硬化剤の割合は0.2質量%以上0.8質量%以下であればより好ましく、0.2質量%以上0.6質量%以下であれば更に好ましい。
ラジカル重合性化合物は、適宜のラジカル重合が可能な化合物であってよく、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシビニルエステル樹脂、及びラジカル重合性不飽和単量体からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。特にラジカル重合性化合物は、エポキシビニルエステル樹脂及びラジカル重合性不飽和単量体を含有することが好ましい。エポキシビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂とエチレン性不飽和一塩基酸とを反応させることで合成される。
なお、熱硬化性樹脂としては、上記で示したエポキシ樹脂及びラジカル重合性化合物に限られず、適宜の熱硬化性の樹脂を採用できる。
無機充填材(B)は、水酸化アルミニウムと、カオリンクレーと、タルクとを含み、かつワラストナイト又はガラス粉又はその両方を含む。熱硬化性樹脂組成物が無機充填材(B)を含有することで、熱硬化性樹脂組成物の粘度上昇を生じにくくでき、流動性を維持することができる。このため、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材の成形性を向上することができる。そして、上述した通り、特に、無機充填材(B)が水酸化アルミニウムと、カオリンクレーと、タルクとを含み、かつワラストナイト又はガラス粉又はその両方を含むことで、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される層の耐ドリル摩耗性及びかつはんだ耐熱性を向上させうる。
無機充填材(B)の形状は、例えば粒状、針状、繊維状、及び板状から選択される少なくとも一つであってよい。
水酸化アルミニウムの、メジアン径である平均粒径D50(以下、メジアン径D50という)は、3μm以上8μm以下であることが好ましい。水酸化アルミニウムのメジアン径D50が3μm以上8μm以下であると、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される層の耐ドリル摩耗性をより向上させることができ、また樹脂含浸基材から作製される層におけるはんだ耐熱性を維持することができる。
カオリンクレーのメジアン径D50は、4μm以上6μm以下であることが好ましい。カオリンクレーのメジアン径D50が4μm以上6μm以下であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度を、好適な粘度5000mPa・s以上15000mPa・s以下に調整しやすい。カオリンクレーのメジアン径D50が4μm未満であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、6μm超であると、樹脂含浸基材から作製される層の耐ドリル摩耗性が悪化しやすい。
タルクのメジアン径D50は、10μm以上15μm以下であることが好ましい。タルクのメジアン径D50が10μm以上15μm以下であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度への影響を上昇しにくく、かつ分散性を確保できる。タルクのメジアン径D50が10μm未満であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、また15μm超であると、熱硬化性樹脂組成物における分散性が悪化する。
ワラストナイトのメジアン径D50は、15μm以上30μm以下であることが好ましい。ワラストナイトのメジアン径D50が15μm以上30μm以下であると、樹脂含浸基材から作製される層の耐熱性を向上できる。ワラストナイトのメジアン径D50が15μm未満であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、また30μm超であると、樹脂含浸基材から作製される層の耐ドリル摩耗性が悪化する。
ガラス粉の平均粒径メジアン径D50は、10μm以上20μm以下であることが好ましい。ガラス粉のメジアン径D50が10μm以上20μm以下であると、樹脂含浸基材から作製される層の耐熱性に寄与できる。ガラス粉の平均粒径メジアン径D50が10μm未満であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、また20μm超であると、樹脂含浸基材から作製される層のドリル摩耗性が悪化する。
特に、タルクのメジアン径D50が10μm以上15μm以下であり、水酸化アルミニウムのメジアン径D50が3μm以上8μm以下であり、かつカオリンクレーのメジアン径D50が4μm以上6μm以下であることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂組成物は、樹脂含浸基材から作製される層の耐ドリル摩耗性を向上しつつ、且つ耐熱性を有する。
なお、メジアン径D50とは、レーザ回折・散乱法で測定される粒度分布から算出され、その粒径分布における頻度の累計が50%になる粒子径である。
水酸化アルミニウムのモース硬度は、2.5以上4.0以下であることが好ましい。モース硬度とは、物質の硬さを示す指標であり、1から10段階で物質の硬さが規定されるものである。水酸化アルミニウムのモース硬度が2.5以上であることで、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の強度を確保することに寄与できる。このモース硬度が4.0以下であることで不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の耐ドリル摩耗性を向上させることに寄与できる。
カオリンクレーのモース硬度が2.5以上であることで、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の強度を確保することに寄与できる。このモース硬度が4.0以下であることで、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の耐ドリル摩耗性を向上させることに寄与できる。
タルクのモース硬度が0.5以上1.5以下であれば、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から絶縁層を作製するにあたっての加工性を向上させることができる。
水酸化アルミニウムのモース硬度が2.5以上4.0以下であり、カオリンクレーのモース硬度は、2.5以上4.0以下であり、かつタルクのモース硬度が0.5以上1.5以下であれば、特に好ましい。この場合、熱硬化性樹脂は、不織布をこの熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の耐ドリル摩耗性を特に向上させることができる。
ワラストナイトのモース硬度は、4.5以上5以下であることが好ましい。ワラストナイトのモース硬度が4.5以上5以下であると、樹脂含浸基材から作製される絶縁層の強度を向上させることに寄与できる。
ガラス粉のモース硬度は、6以上7以下であることが好ましい。ガラス粉のモース硬度が6以上7以下であると、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の強度を向上させることに寄与できる。
熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対する、無機充填材(B)の量は、120質量部以上160質量部以下であれば好ましい。
熱硬化性樹脂(A)100質量部に対する水酸化アルミニウムの量は、50質量部以上90質量部以下であることが好ましい。この場合、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の耐ドリル摩耗性の向上に寄与しうる。熱硬化性樹脂(A)100質量部に対する水酸化アルミニウムの量は55質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂(A)100質量部に対するカオリンクレーの量は、10質量部以上40質量部以下であることが好ましい。この場合、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層のはんだ耐熱性の向上に寄与しうる。熱硬化性樹脂(A)100質量部に対するカオリンクレーの量は、15質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂(A)100質量部に対するタルクの量は、35質量部以上60質量部以下であることが好ましい。この場合、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の耐ドリル摩耗性の向上に寄与しうる。熱硬化性樹脂(A)100質量部に対するタルクの量は、40質量部以上55質量部以下であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物において、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対する、水酸化アルミニウムの量は、55質量部以上90質量部以下であり、カオリンクレーの量は、15質量部以上30質量部以下であり、かつタルクの量は、40質量部以上55質量部以下であることが特に好ましい。この場合、不織布を熱硬化性樹脂組成物に含浸させた樹脂含浸基材から作製される絶縁層の耐ドリル摩耗性を向上させることができ、かつ絶縁層の強度を向上させることができる。
なお、無機充填材(B)は、本開示の効果を逸脱しない限りにおいて、上記の水酸化アルミニウム、カオリンクレー、タルク、ワラストナイト、及びガラス粉以外の無機充填材(B1)を含んでもよい。この場合、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対する上記の水酸化アルミニウム、カオリンクレー、タルク、ワラストナイト、及びガラス粉の合計の割合は115質量%以上であれば好ましく、150質量%以上であれば更に好ましい。無機充填材(B1)の例としては、カーボンブラック、アルミナ、酸化チタン、及びチタン酸バリウムからなる群から選択される一種以上の材料等を挙げることができる。熱硬化性樹脂(A)100質量部に対する無機充填材(B1)の割合は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、上記で説明した成分以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば硬化剤、硬化触媒、減粘剤、カップリング剤、及び溶剤等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、適宜の方法で調整すればよいが、例えば上記で説明した熱硬化性樹脂(A)、無機充填材(B)を含む各成分を、ディスパー、ボールミル、及びロール等を用いて混合することで、調製できる。
2.2.コンポジット積層板
本実施形態に係るコンポジット積層板1は、二つの表材層2(21,22)と、芯材層3と、を備える。二つの表材層2(21,22)は、織布20と、織布20に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む。芯材層3は、不織布30と、不織布30に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む。コンポジット積層板1は、二つの表材層2(21,22)の間に芯材層3が介在した状態で積層している。以下の説明では、二つの表材層21,22のうち少なくとも一方のことを総称して「表材層2」ということもある。
本実施形態に係るコンポジット積層板1は、二つの表材層2(21,22)と、芯材層3と、を備える。二つの表材層2(21,22)は、織布20と、織布20に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む。芯材層3は、不織布30と、不織布30に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む。コンポジット積層板1は、二つの表材層2(21,22)の間に芯材層3が介在した状態で積層している。以下の説明では、二つの表材層21,22のうち少なくとも一方のことを総称して「表材層2」ということもある。
表材層2における織布20としては、例えばガラスクロス、及び合成樹脂クロス等を挙げることができる。合成樹脂クロスは、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びアラミド繊維などの合成樹脂繊維から作製される。織布20の厚みは、例えば150μm以上250μm以下である。
表材層2における第一の樹脂組成物は、特に制限されないが、織布20に含浸させることができ、かつ硬化物を形成できるものであればよい。第一の樹脂組成物の例は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性成分、及びラジカル重合性化合物からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。
エポキシ樹脂及びラジカル重合性化合物の各々は、上記で説明した熱硬化性樹脂(A)におけるエポキシ樹脂及びラジカル重合性化合物の各々と同じであってよい。
第一の樹脂組成物は、第二の樹脂組成物と同一の成分、すなわち上記2.1で説明した熱硬化性樹脂組成物を含有してもよく、又は第二の樹脂組成物とは異なる成分を含有してもよい。例えば、第一の樹脂組成物は、必要により添加剤を含有してもよい。添加剤としては、上記で説明した熱硬化性樹脂組成物に配合されうる材料と同じものであってよい。また、第一の樹脂組成物は、本開示の効果を阻害しない範囲において、無機充填材を含有してもよい。無機充填材としては、上記2.1で説明した「無機充填材(B)」に含まれる材料を挙げることができる。
第一の樹脂組成物は、適宜の方法で調製すればよいが、例えば上記で説明した第一の樹脂組成物に含まれうる成分を、ディスパー、ボールミル、及びロール等を用いて混合することで、調製できる。
芯材層3における不織布30は、例えばガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維などの合成樹脂繊維、及び紙からなる群から選択される少なくとも一種の材料から作製される。不織布30は、例えば繊維同士を、バインダーを介して接着することで形成されてもよい。
不織布30の厚みは、0.03mm以上0.50mm以下であることが好ましい。この場合、コンポジット積層板1における芯材層3に、よりドリル加工による摩耗を生じにくくすることができる。不織布30の厚みは、0.25mm以上0.45mm以下であればより好ましい。
芯材層3における第二の樹脂組成物は、上記2.1で説明した熱硬化性樹脂組成物である。
本実施形態のコンポジット積層板1では、二つの表材層2とその間に介在する芯材層3とが積層されている。芯材層3は、上記の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含有するため、コンポジット積層板1の表材層2側からドリル加工により孔を空ける場合にも芯材層3の孔の内壁面には傷が生じにくくなる。これにより、孔の内壁面にめっき処理を施すなどしてスルーホールを作製しても、スルーホールに導通不良が生じにくい。
コンポジット積層板1は、二つの表材層2(21,22)のいずれか一方又は両方に重なる金属箔4を備えてもよい。すなわち、コンポジット積層板1は、片面金属張積層板又は両面金属張積層板であってもよい。なお、図1Aには、二つの表材層21,22にそれぞれ重なる二つの金属箔4(41,42)を備える両面金属張積層板であるコンポジット積層板1を示している。
金属箔4は、電導性を有する導体層として機能しうる。金属箔4としては、例えば銅箔、アルミ箔、及びニッケル箔等を挙げることができる。金属箔4の厚みは、例えば18μm以上70μm以下である。
なお、コンポジット積層板1は、図1Bに示すような、金属箔4を備えないアンクラッド板であってもよい。
コンポジット積層板1の作製方法は、特に制限されない。コンポジット積層板1は、例えば第一の樹脂組成物を各々含浸させた二つの織布20の間に、第二の樹脂組成物を含浸させた不織布30が介在するようにして織布20及び不織布30を積層し、第二の樹脂組成物及び第一の樹脂組成物を熱硬化させることで作製できる。
コンポジット積層板1の製造方法の具体的な一形態を、図2を参照して説明する。なお、本方法では、二つの導体層としての金属箔4、二つの表材層2及び一つの芯材層3を備えるコンポジット積層板1が製造される。
本方法では、長尺な不織布30、長尺な織布20及び長尺な金属箔4を連続的に搬送しながら、不織布30に第二の樹脂組成物を含浸させると共に、織布20に第一の樹脂組成物を含浸させ、更に不織布30、織布20及び金属箔4を積層してから加熱することで、第二の樹脂組成物及び第一の樹脂組成物を熱硬化する。これにより、コンポジット積層板1が製造される。得られたコンポジット積層板1を、必要に応じて所定寸法にカットする。
製造方法について、より具体的に説明する。
長尺な不織布30のロール71を用意し、このロール71から不織布30を引き出して搬送する。不織布30の搬送経路上に供給装置72を配置し、この供給装置72で不織布30に第二の樹脂組成物を供給する。これにより、不織布30に第二の樹脂組成物が含浸する。図2における供給装置72は、ロールコータであるが、供給装置72は、不織布30に第二の樹脂組成物を供給することで不織布30に第二の樹脂組成物を含浸させるように構成されているものであれば、これに限定されない。
なお、本方法では、一つの不織布30を含む芯材層3を形成するために、不織布30のロール71を一つだけ用いるが、複数の不織布30を含む芯材層3を形成する場合には、それに応じて不織布30のロールを複数用いる。
また、長尺な織布20のロール70を二つ用意し、各ロール70から織布20を引き出して搬送する。各織布20の搬送経路上に供給装置73を配置し、この供給装置73で織布20に第二の樹脂組成物を塗布する。図2における供給装置73は、ロールコータであるが、供給装置73は、織布20に第一の樹脂組成物を供給することで織布20に第一の樹脂組成物を含浸させるように構成されているものであれば、これに限定されない。
また、長尺な金属箔4のロール74を二つ用意し、各ロール74から金属箔4を搬送する。
上記の第一の樹脂組成物が含浸した不織布30、第二の樹脂組成物が含浸した二つの織布20及び二つの金属箔4を、搬送しながら、金属箔4、織布20、不織布30、織布20、金属箔4の順に積層することで、積層物11を作製し、この積層物11を二つのロール75,75間に導入する。これにより、積層物11の厚み調整及び積層物11内の樹脂量の調整をおこなう。
この積層物11を、加熱炉76内に連続的に搬送することで加熱する。これにより、第二の樹脂組成物と第一の樹脂組成物とを熱硬化させる。加熱温度及び加熱時間は、第二の樹脂組成物及び第一の樹脂組成物の組成等に応じて適宜設定されるが、例えば加熱温度(最高到達温度)は、100℃以上150℃以下、加熱時間は、30分以上60分以下の範囲内である。
加熱炉76から引き出されたコンポジット積層板1を、カッター77で所定の寸法にカットする。これにより、所定寸法のコンポジット積層板1が得られる。このコンポジット積層板1を更に加熱することで後硬化(アフターキュア)させてもよい。
なお、コンポジット積層板1の製造方法は、上記連続工法に限られない。例えば第一の樹脂組成物を各々含浸させた二つの織布20の間に、第二の樹脂組成物を含浸させた不織布30が介在するようにして積層物を作製し、この積層物を熱盤などを用いて加熱プレスすることで、コンポジット積層板1を製造してもよい。
上記では、コンポジット積層板1が金属箔4(41,42)を備える場合(図1A参照)について説明したが、これに限られず、図1Bに示すように、コンポジット積層板1(10)は、金属箔4を備えていなくてもよい。
2.3.プリント配線板
本実施形態に係るプリント配線板100は、絶縁層50と、導体配線60とを備える。絶縁層50は、二つの表材層2(21,22)と、芯材層3と、を備える。二つの表材層2(21,22)は、織布20と織布20に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む。芯材層3は、不織布30と不織布30に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む。二つの表材層と芯材層とは、二つの表材層2(21,22)の間に芯材層3が介在した状態で積層している。不織布30は、厚み0.25mm以上0.45mm以下である。第二の樹脂組成物は、上記で説明した熱硬化性樹脂組成物を含む。
本実施形態に係るプリント配線板100は、絶縁層50と、導体配線60とを備える。絶縁層50は、二つの表材層2(21,22)と、芯材層3と、を備える。二つの表材層2(21,22)は、織布20と織布20に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む。芯材層3は、不織布30と不織布30に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む。二つの表材層と芯材層とは、二つの表材層2(21,22)の間に芯材層3が介在した状態で積層している。不織布30は、厚み0.25mm以上0.45mm以下である。第二の樹脂組成物は、上記で説明した熱硬化性樹脂組成物を含む。
本実施形態のプリント配線板100における絶縁層50は、上記の芯材層3を備えており、芯材層3は、熱硬化性樹脂組成物を含有する。すなわち、絶縁層50は、既に述べた無機充填材(B)を含有するため、絶縁層50にドリル加工によるスルーホール等を形成するための孔7を形成しても、その孔7の内壁面を傷つきにくくすることができる。言い換えれば、本実施形態のプリント配線板100は、上記の熱硬化性樹脂組成物を含有する絶縁層50に形成されうる孔7における内壁面は、ドリル加工による損傷が抑制されている。また、絶縁層50における芯材層3の不織布30の厚みが0.25mm以上0.45mm以下であることで、芯材層3に、よりドリル加工による摩耗を生じにくくすることができる。
なお、プリント配線板100の絶縁層50における表材層2及び芯材層3の各々は、2.2.で説明した表材層2及び芯材層3の各々と同じであるため、詳細な説明は省略する。
プリント配線板100の作製方法は、特に制限されず適宜の方法を採用することができ、例えばプリント配線板100を作製するには、アディティブ法、サブトラクティブ法、及びセミアディティブ法等を挙げることができる。
プリント配線板100の作製方法の具体的な例について説明する。
まず、プリント配線板100における絶縁層50は、第一の樹脂組成物を各々含浸させた二つの織布20の間に、第二の樹脂組成物を含浸させた不織布30が介在するようにして織布20及び不織布30を積層し、第一の樹脂組成物及び第二の樹脂組成物を熱硬化させることで、製造される。すなわち、プリント配線板100における絶縁層50は、二つの表材層2(21,22)との芯材層3を介在させて形成される、既に述べたコンポジット積層板1を作製するのと同様に作製することができる。
続いて、絶縁層50における表材層21、芯材層3、及び表材層22にドリル加工を施すことで、スルーホールとなる孔7を形成する。孔7の寸法は、適宜調整すればよい。なお、ドリル加工による孔7は、絶縁層50を貫通させて形成されていなくてもよい。
続いて、孔7が形成された絶縁層50にめっき処理を施すことで、絶縁層50上に導体配線60を形成する。これにより、絶縁層50と導体配線60とを備えるプリント配線板100が得られる。
また、プリント配線板100は、例えば金属箔4を備えるコンポジット積層板1(図1A参照)から作製されてもよい。例えば、コンポジット積層板1における金属箔4の一部又は全部をエッチング等により除去してから、絶縁層50(表材層21、芯材層3、及び表材層22)にドリル加工を施し、孔7を形成する。続いて、孔7にめっき処理を施すことで、導体配線60を形成する。これにより、プリント配線板100が得られる。
金属箔4を備えるコンポジット積層板1からプリント配線板100を作製するにあたっては、金属箔4を備えた状態で、すなわちエッチング等の処理を施すことなく、ドリル加工を行うことで、孔7が形成されてもよい。プリント配線板100は、コンポジット積層板1における金属箔4及び絶縁層50に孔7を形成してから、めっき処理を施すことで、導体配線60を形成することで作製してもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できれば設計に応じて種々の変更が可能である。
(1)熱硬化性樹脂組成物(第二の樹脂組成物)の調製
後掲の表1に示す樹脂組成物の欄に示す成分を配合して、第一の樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物(第二の樹脂組成物)を調製した。
後掲の表1に示す樹脂組成物の欄に示す成分を配合して、第一の樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物(第二の樹脂組成物)を調製した。
表1に掲げる樹脂組成物の組成における各成分の詳細は、以下の通りである。
[第一の樹脂組成物]
・熱硬化性樹脂:変性エポキシ樹脂(DIC株式会社製 品番CE−330−IM)。
・重合開始剤1:日本油脂株式会社製 品名 パークミルH−80。
・重合開始剤2:日本油脂株式会社製 品名 パーヘキサHC。
・無機充填材A:水酸化アルミニウム(住友化学工業株式会社製 品番:水酸化アルミCL−303Y 平均粒径(メジアン径D50)4μm。モース硬度3)
・添加剤:(Chiping Huahao製 品番:アセチルアセトン)。
・難燃付与剤(アンチモン):和益工業製 品番:HY−1030)。
[第二の樹脂組成物]
・熱硬化性樹脂:変性エポキシ樹脂(ジャパンコンポジット株式会社製 品番 S−6087)。
・ラジカル重合性化合物:スチレンモノマー。
・シランカップリング剤:東レ・ダウ株式会社製 品番SH6040。
・減粘剤:ビックケミー株式会社製 品番BYK−W9010。
・無機充填材1:水酸化アルミニウム(住友化学工業株式会社製 品番 C−305。メジアン径D50 5.3μm。モース硬度3)。
・無機充填材2:ワラストナイト(啓和炉材株式会社製 品番 K−400。メジアン径D50 5.2μm。モース硬度5)。
・無機充填材3:カオリンクレー(啓和炉材株式会社製 品番 FC−K。メジアン径D50 21.5μm。モース硬度3)。
・無機充填材4:ガラス粉(富士タルク株式会社製 品番 PAG。メジアン径D50 12μm。モース硬度7)。
・無機充填材5:タルク(富士タルク株式会社製 品番 MG115。メジアン径D50 5.3μm。モース硬度1)。
[第一の樹脂組成物]
・熱硬化性樹脂:変性エポキシ樹脂(DIC株式会社製 品番CE−330−IM)。
・重合開始剤1:日本油脂株式会社製 品名 パークミルH−80。
・重合開始剤2:日本油脂株式会社製 品名 パーヘキサHC。
・無機充填材A:水酸化アルミニウム(住友化学工業株式会社製 品番:水酸化アルミCL−303Y 平均粒径(メジアン径D50)4μm。モース硬度3)
・添加剤:(Chiping Huahao製 品番:アセチルアセトン)。
・難燃付与剤(アンチモン):和益工業製 品番:HY−1030)。
[第二の樹脂組成物]
・熱硬化性樹脂:変性エポキシ樹脂(ジャパンコンポジット株式会社製 品番 S−6087)。
・ラジカル重合性化合物:スチレンモノマー。
・シランカップリング剤:東レ・ダウ株式会社製 品番SH6040。
・減粘剤:ビックケミー株式会社製 品番BYK−W9010。
・無機充填材1:水酸化アルミニウム(住友化学工業株式会社製 品番 C−305。メジアン径D50 5.3μm。モース硬度3)。
・無機充填材2:ワラストナイト(啓和炉材株式会社製 品番 K−400。メジアン径D50 5.2μm。モース硬度5)。
・無機充填材3:カオリンクレー(啓和炉材株式会社製 品番 FC−K。メジアン径D50 21.5μm。モース硬度3)。
・無機充填材4:ガラス粉(富士タルク株式会社製 品番 PAG。メジアン径D50 12μm。モース硬度7)。
・無機充填材5:タルク(富士タルク株式会社製 品番 MG115。メジアン径D50 5.3μm。モース硬度1)。
(2)コンポジット積層板の作製
上記(1)で調整した熱硬化性樹脂組成物(第二の樹脂組成物)を、不織布(オリベスト株式会社製のガラスペーパー。厚み0.38mm)に含浸させた。
上記(1)で調整した熱硬化性樹脂組成物(第二の樹脂組成物)を、不織布(オリベスト株式会社製のガラスペーパー。厚み0.38mm)に含浸させた。
また、第一の樹脂組成物を、織布(7628クロス:グローテック株式会社製。厚み0.18mm)に含浸させた。
続いて、第一の樹脂組成物を含浸させた1枚の織布、第二の樹脂組成物を含浸させた1枚の不織布、及び第一の樹脂組成物を含浸させた1枚の織布をこの順番に積層し、更に両側の最外層に銅箔を配置することで積層物を得た。
この積層物を、最高加熱温度100℃、加熱時間30分間加熱することで、第一の樹脂組成物及び第二の樹脂組成物を硬化させ、これにより、表材層、芯材層、及び表材層をこの順に備えるコンポジット積層板を得た。
(3)評価試験
(3−1)ドリル摩耗率(加工時の耐ドリル加工性)
(2)で作製したコンポジット積層板の両面の最外層の銅箔を、エッチングにより取り除いたアンクラッド板を準備し、このアンクラッド板に対し、直径0.65mmのドリル刃でドリル加工を施した。これにより、加工前後でのドリル刃の変化を、ミツトヨ株式会社製の測定顕微鏡装置により測定し、測定結果に基づいて、ドリル刃の形状の変化を解析することで、ドリル摩耗率を数値化して算出し、以下のように評価した。
A:摩耗率が40%以下である。
B:摩耗率が40%超60%以下である。
C:摩耗率が60%超である。
(3−1)ドリル摩耗率(加工時の耐ドリル加工性)
(2)で作製したコンポジット積層板の両面の最外層の銅箔を、エッチングにより取り除いたアンクラッド板を準備し、このアンクラッド板に対し、直径0.65mmのドリル刃でドリル加工を施した。これにより、加工前後でのドリル刃の変化を、ミツトヨ株式会社製の測定顕微鏡装置により測定し、測定結果に基づいて、ドリル刃の形状の変化を解析することで、ドリル摩耗率を数値化して算出し、以下のように評価した。
A:摩耗率が40%以下である。
B:摩耗率が40%超60%以下である。
C:摩耗率が60%超である。
(3−2)はんだ耐熱性
260℃に加熱したはんだ表面に、(2)で作製したコンポジット積層板の銅箔面が接触するように乗せ、コンポジット積層板を乗せてから銅箔面が膨れるまでの時間を計測した。計測した時間に基づき、以下のように評価した。
A:銅箔面が膨れるまでの時間が60秒以上であった。
B:銅箔面が膨れるまでの時間が30秒以上60秒以下であった。
C:銅箔面が膨れるまでの時間が30秒以下であった。
260℃に加熱したはんだ表面に、(2)で作製したコンポジット積層板の銅箔面が接触するように乗せ、コンポジット積層板を乗せてから銅箔面が膨れるまでの時間を計測した。計測した時間に基づき、以下のように評価した。
A:銅箔面が膨れるまでの時間が60秒以上であった。
B:銅箔面が膨れるまでの時間が30秒以上60秒以下であった。
C:銅箔面が膨れるまでの時間が30秒以下であった。
(3−3)強度(曲げ強度)
(2)で作製したコンポジット積層板を、幅40mm、長さ25mm(又は幅25mm、長さ40mm)、厚み1.6mmに切り出してから、切り出した積層板の両面の最外層の銅箔を取り除き、これを試験片とした。水平面と平行な面上に、金属製であり、先端に丸みを有する2つの支持部材を試験片の長さよりも短い間隔(23.7mm)に配置した。2つの支持部材の間隔の中心に、試験片の長さ方向の中心が重なるように、支持部材上に試験片を配置した。続いて、試験片の中心の上方から、金属製であり、先端に丸みを有する加圧具を、試験片の中央部に押し当てて試験片に力を加えた。試験片に力を加える速度は、1.0mm/分とした。試験片に力を加え続けて、試験片が折れたときに終了とした。支持部材間距離(支点間の距離)、試験片の幅、試験片の厚み、及び試験片が折れたときに加えていた力に基づいて、曲げ強度を算出した。その測定結果を表1に示した。
(2)で作製したコンポジット積層板を、幅40mm、長さ25mm(又は幅25mm、長さ40mm)、厚み1.6mmに切り出してから、切り出した積層板の両面の最外層の銅箔を取り除き、これを試験片とした。水平面と平行な面上に、金属製であり、先端に丸みを有する2つの支持部材を試験片の長さよりも短い間隔(23.7mm)に配置した。2つの支持部材の間隔の中心に、試験片の長さ方向の中心が重なるように、支持部材上に試験片を配置した。続いて、試験片の中心の上方から、金属製であり、先端に丸みを有する加圧具を、試験片の中央部に押し当てて試験片に力を加えた。試験片に力を加える速度は、1.0mm/分とした。試験片に力を加え続けて、試験片が折れたときに終了とした。支持部材間距離(支点間の距離)、試験片の幅、試験片の厚み、及び試験片が折れたときに加えていた力に基づいて、曲げ強度を算出した。その測定結果を表1に示した。
(3−4)基板の色調(エッチング後の基板の色調)
(2)で作製したコンポジット積層板の両面の最外層の銅箔を、エッチングにより取り除いたアンクラッド板を準備し、このアンクラッド板の表面の色調を、目視により観察し、その色調につき、比較例1を「黄褐色」と判定し、比較例1と比較して各実施例及び比較例の色調を判定し、表1に示した。
(2)で作製したコンポジット積層板の両面の最外層の銅箔を、エッチングにより取り除いたアンクラッド板を準備し、このアンクラッド板の表面の色調を、目視により観察し、その色調につき、比較例1を「黄褐色」と判定し、比較例1と比較して各実施例及び比較例の色調を判定し、表1に示した。
(3−5)灰分
(2)で作製したコンポジット積層板の両面の最外層の銅箔を、エッチングにより取り除いたアンクラッド板を準備し、このアンクラッド板を30mm角に切り取ったものを試験片とした。試験片の重量(W1)を測定し、この試験片をルツボに入れ、800±5度の電気炉で約2時間加熱処理をした。加熱後、試験片入りのルツボを3分間自然放冷した後、乾燥塩化カルシウム入りのデシケーター内に入れて、試験片及びルツボを室温まで冷却した。冷却後、試験片入りのルツボの重量(W2)を測定した。さらに、ルツボから試験片とルツボ内に生じた粉体を完全に除去してから、ルツボのみの重量(W3)を測定した。上記で測定した重量W1,W2,W3から次式(i)に基づき、灰分a(%)を算出した。
a(%)=(W2−W3)/W1 ・・・(i)
算出結果に基づいて、50%超の場合をA:規格範囲内、50%以下の場合をB:規格範囲外と評価した。
(2)で作製したコンポジット積層板の両面の最外層の銅箔を、エッチングにより取り除いたアンクラッド板を準備し、このアンクラッド板を30mm角に切り取ったものを試験片とした。試験片の重量(W1)を測定し、この試験片をルツボに入れ、800±5度の電気炉で約2時間加熱処理をした。加熱後、試験片入りのルツボを3分間自然放冷した後、乾燥塩化カルシウム入りのデシケーター内に入れて、試験片及びルツボを室温まで冷却した。冷却後、試験片入りのルツボの重量(W2)を測定した。さらに、ルツボから試験片とルツボ内に生じた粉体を完全に除去してから、ルツボのみの重量(W3)を測定した。上記で測定した重量W1,W2,W3から次式(i)に基づき、灰分a(%)を算出した。
a(%)=(W2−W3)/W1 ・・・(i)
算出結果に基づいて、50%超の場合をA:規格範囲内、50%以下の場合をB:規格範囲外と評価した。
なお、上記(3−1)から(3−5)の結果を表1に示した。
1 コンポジット積層板
2 表材層
3 芯材層
20 織布
30 不織布
50 絶縁層
60 導体配線
2 表材層
3 芯材層
20 織布
30 不織布
50 絶縁層
60 導体配線
Claims (5)
- 不織布基材に含浸させることで樹脂含浸基材を作製するための熱硬化性樹脂組成物であり、
熱硬化性樹脂(A)と、
無機充填材(B)と、
を含有し、
前記無機充填材(B)は、水酸化アルミニウムと、カオリンクレーと、タルクとを含み、かつワラストナイト又はガラス粉又はその両方を含む、
熱硬化性樹脂組成物。 - 前記水酸化アルミニウムのモース硬度は、2.5以上4.0以下であり、
前記カオリンクレーのモース硬度は、2.5以上4.0以下であり、
前記タルクのモース硬度は、0.5以上1.5以下である、
請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。 - 前記熱硬化性樹脂(A)100質量部に対し、前記水酸化アルミニウムの量は、55質量部以上90質量部以下であり、前記カオリンクレーの量は、15質量部以上30質量部以下であり、かつ前記タルクの量は、40質量部以上55質量部以下である、
請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。 - 織布と前記織布に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む二つの表材層と、不織布と前記不織布に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む芯材層と、を備え、前記二つの表材層と前記芯材層とが、前記二つの表材層の間に前記芯材層が介在した状態で積層しているコンポジット積層板であって、
前記不織布は、厚み0.25mm以上0.45mm以下であり、
前記第二の樹脂組成物は、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物である、
コンポジット積層板。 - 絶縁層と、導体配線と、を備え、
前記絶縁層は、織布と前記織布に含浸した第一の樹脂組成物の硬化物とを各々含む二つの表材層と、不織布と前記不織布に含浸した第二の樹脂組成物の硬化物とを含む芯材層と、を備え、前記二つの表材層と前記芯材層とが、前記二つの表材層の間に前記芯材層が介在した状態で積層しており、
前記不織布は、厚み0.25mm以上0.45mm以下であり、
前記第二の樹脂組成物は、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物である、
プリント配線板。
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WO2022264661A1 (ja) * | 2021-06-17 | 2022-12-22 | ジャパンコンポジット株式会社 | 積層品 |
-
2019
- 2019-10-03 JP JP2019183216A patent/JP2021059646A/ja active Pending
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