JP2021059501A - ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテルを含む組成物、およびハイドロフルオロエーテルを用いるコーティング膜の形成方法と物品洗浄方法 - Google Patents

ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテルを含む組成物、およびハイドロフルオロエーテルを用いるコーティング膜の形成方法と物品洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の溶質、例えばフッ素含有ポリエーテルなどのポリマーを溶解することが可能なハイドロフルオロエーテル、およびその製造方法を提供すること。【解決手段】以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテル、およびこのハイドロフルオロエーテルを含む組成物が提供される。【化1】式(1)において、nは1または2であり、nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である。nが1の場合、mは0でもよい。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態の一つは、分子内にフッ素を含有するエーテル(以下、ハイドロフルオロエーテルと記す)に関する。あるいは本発明の実施形態の一つは、ハイドロフルオロエーテルを含む組成物、またはハイドロフルオロエーテルを用いるコーティング膜の形成方法若しくは物品洗浄方法に関する。
ハイドロフルオロエーテルは、ヒートポンプ用の冷媒などの伝熱媒体、発泡剤、コーティング膜形成用の溶剤、洗浄剤、反応溶媒、抽出剤、水切り剤(乾燥用溶剤)などの幅広い用途に有用であることが知られている(特許文献1、2)。
米国特許第5273592号明細書 特開2015−143359号公報
本発明の実施形態の一つは、新規のハイドロフルオロエーテルとその製造方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、種々の溶質、例えばフッ素含有ポリエーテルなどのポリマーを溶解することが可能なハイドロフルオロエーテルを提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、上記ハイドロフルオロエーテルを含む組成物、およびハイドロフルオロエーテルを用いるコーティング膜の形成方法と物品洗浄方法を提供することを課題の一つとする。
本発明の実施形態の一つは、以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルである。
Figure 2021059501
nは1または2であり、nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である。
本発明の実施形態の一つは、以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルを含有する組成物である。
Figure 2021059501
nは1または2であり、nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である。
本発明の実施形態の一つは、コーティング膜を作製する方法である。この方法は、パーフルオロポリエーテルを以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルに溶解して組成物を調製すること、組成物を物品に塗布すること、および塗布された組成物からハイドロフルオロエーテルを蒸発させることを含む。
Figure 2021059501
nは1または2であり、nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である。
本発明の実施形態の一つは、物品洗浄方法である。この物品洗浄方法は、物品に対して以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルを接触させることを含む。
Figure 2021059501
nは1または2であり、nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である。
本発明の実施形態により、種々の溶質を溶解可能な、高い溶解力を有するハイドロフルオロエーテル、およびこれを含む組成物が提供される。あるいは本発明の実施形態により、種々の物品の表面にコーティング膜を効率よく形成する方法、および物品表面に付着した物質を除去するための方法が提供される。
以下、本発明の各実施形態について説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態や実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下の実施形態や実施例の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者が容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
1.ハイドロフルオロエーテルの構造
本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルは、式(1)で表される化合物である。
Figure 2021059501
ここで、nは1または2である。nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である。より具体的には、本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルには、以下の六つの化合物AからFが含まれる。
以下の式で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(1−フルオロエトキシ)プロパン(化合物A:n=1、m=3)。
Figure 2021059501
以下の式で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(1,2−ジフルオロエトキシ)プロパン(化合物B:n=1、m=2)。
Figure 2021059501
以下の式で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(1,2,2−トリフルオロエトキシ)プロパン(化合物C:n=1、m=1)。
Figure 2021059501
以下の式で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパン(化合物D:n=1、m=0)。
Figure 2021059501
以下の式で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2−フルオロエトキシ)プロパン(化合物E:n=2、m=2)。
Figure 2021059501
以下の式で表される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)プロパン(化合物F:n=2、m=0)。
Figure 2021059501
実施例で示すように、これらのハイドロフルオロエーテルは溶質、特にフッ素含有ポリエーテルに対して高い溶解力を示すため、溶剤(特にコーティング膜形成用の溶剤)、反応溶媒、抽出剤として利用することが可能である。また、これらのハイドロフルオロエーテルは蒸気圧が高く、沸点が低い。さらにアルコールなどのプロトン性溶媒、ケトンやアミド系溶媒などの極性溶媒に対する親和性が高いことから、洗浄剤、乾燥用溶剤、冷媒などの伝熱媒体、発泡剤としても有用である。ここで乾燥用溶剤とは、物品を洗浄する際に物品表面に付着した溶媒を沸点の低い溶媒で置換することで乾燥を促進するための薬剤(水切り剤)である。また、本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルは引火点が無いことから、消火剤としても利用することができる。
2.ハイドロフルオロエーテルの製造方法
本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルの製造方法に制約はないが、以下のスキームに従う置換反応を利用することで、穏和な条件下で高収率で高純度のハイドロフルオロエーテルを得ることができる。具体的には、塩基存在下、容易に入手可能な1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを脱離基Lを有するハイドロフルオロカーボン(L−CHn2-n−CHm3-m)と反応させることでハイドロフルオロエーテルを製造することができる。
Figure 2021059501
ここで、nは1または2であり、nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である。
脱離基Lとしては、トリフルオロメタンスルホニル基、メタンスルホニル基、フルオロスルホニル基、ノナフルオロブタンスルホニル基、塩素、ヨウ素、臭素、パラトルエンスルホニル基など、高いpKaを有する共役酸残基が挙げられる。なかでも、塩素を脱離基Lとして有するハイドロフルオロカーボンは安価に合成できることから、好ましい。
塩基の種類に制約はないが、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムなどに例示されるアルカリ金属若しくは2族元素の炭酸塩、炭酸水素塩や水酸化物、ピリジンやピラジンなどの含窒素ヘテロ芳香族化合物、ジアルキルアニリンなどの芳香族アミン、トリアルキルアミンやジアルキルピペラジン、アルキルピロリジンなどの脂肪族三級アミンなどが例示される。
置換反応において使用される溶媒にも制約はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄溶媒、エチルメチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフランやジオキサンなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。なかでも弱塩基条件下で安定であり、高い極性を有し、ハイドロフルオロエーテルとの沸点の差が大きいアミド系溶媒が好ましい。
製造方法の手順の一例は以下の通りである。溶媒と塩基の混合物中に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを加え、この混合物中に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールと等量、または少過剰の脱離基Lを有するハイドロフルオロカーボンを滴下する。反応温度は0℃以上50℃、0℃以上40℃、あるいは10℃以上30℃の範囲から適宜選択することができる。滴下速度は、反応が暴走しないように適宜調整される。反応時間はハイドロフルオロカーボンの反応性や塩基の種類にも依存するが、例えば1時間から3日、4時間から1日、10時間から20時間の範囲から選択できる。反応の進行状態は、例えばガスクロマトグラフィーや1H−核磁気共鳴分光法(1H−NMR)、あるいは19F−核磁気共鳴分光法(19F−NMR)を用いて1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールの濃度を監視することで確認することができる。
反応終了後、加えた塩基や反応によって析出する塩を濾過により取り除き、残渣を減圧蒸留することで目的とするハイドロフルオロエーテルを得ることができる。蒸留時の圧力は、例えば10kPa以上50kPa以下とすればよい。必要に応じてさらに精密蒸留を行うことで、高純度のハイドロフルオロエーテルを得ることができる。
3.ハイドロフルオロエーテルを含む組成物
3−1.構成
上述したように、本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルは、コーティング膜形成用の溶剤、反応溶媒、抽出剤、水切り剤、洗浄剤、伝熱媒体、発泡剤、消火剤などの機能性媒体として利用することができる。機能性媒体として利用する場合には、単離されたハイドロフルオロエーテルを単独で用いてもよく、式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルから選択される複数種のハイドロフルオロエーテルを含む組成物を用いてもよい。あるいは、単離されたハイドロフルオロエーテルと添加剤を含む組成物、または式(1)で表される複数種のハイドロフルオロエーテルと添加剤を含む組成物を用いてもよい。本発明の実施形態の一つは、上述した組成物も含む。
組成物が式(1)で表される複数種のハイドロフルオロエーテルを含む場合、これらの割合は任意に調整することができる。組成物が添加剤を含む場合、組成物中における式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルの割合(濃度)も任意に調整することができ、例えば0.1重量%以上100重量%未満、または20重量%以上100重量%未満となるように組成物を構成すればよい。あるいは、添加剤の濃度は、0重量%よりも高く30重量%以下、1重量%以上20重量%以下、あるいは1重量%以上10重量%以下となるように組成物を構成してもよい。
3−2.添加剤
添加剤としては、組成物の用途に応じ、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルとは異なるハイドロフルオロエーテル、潤滑剤、安定剤、難燃剤、界面活性剤、防錆剤、溶媒などから選択することができる。添加剤は二種類以上組成物に含まれていてもよい。
(a)ハイドロクロロフルオロカーボン
ハイドロクロロフルオロカーボンとしては、例えば炭素数3以上8以下の鎖状または環状の、塩素およびフッ素を含む置換アルカンが挙げられる。具体的には3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンなどが挙げられる。
(b)ハイドロフルオロカーボン
ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば炭素数4以上8以下の鎖状または環状の、フッ素を含む置換アルカンが挙げられる。具体的には、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタンなどが挙げられる。
(c)ハイドロフルオロオレフィン
ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば炭素数3以上6以下のフッ素、および/または塩素を含む置換アルケンが挙げられる。具体的には、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどが挙げられる。
(d)ハイドロフルオロエーテル
式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルとは異なるハイドロフルオロエーテルとしては、例えば1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−エトキシプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−n−プロポキシプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−イソプロポキシプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−n−ブトキシプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−tert−ブトキシプロパン、(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−メトキシブタン、1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−エトキシブタン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)プロパン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)プロパンなどが挙げられる。
(e)潤滑剤
潤滑剤としては、鉱物油、合成油、あるいはこれらの混合物が挙げられる。鉱物油は、直鎖状若しくは分岐状のパラフィンを含むパラフィン系鉱物油でもよく、環状パラフィンを含むナフテン系鉱物油でもよい。合成油としては、アルキルベンゼン、ポリ(αオレフィン)、エステル、ポリアルキレングリコール、あるいはポリビニルエーテルなどでもよい。
アルキルベンゼンとしては、n−オクチルベンゼン、n−ノニルベンゼン、n−デシルベンゼン、n−ウンデシルベンゼン、n−ドデシルベンゼン、n−トリデシルベンゼン、2−メチル−1−フェニルヘプタン、2−メチル−1−フェニルオクタン、2−メチル−1−フェニルノナン、2−メチル−1−フェニルデカン、2−メチル−1−フェニルウンデカン、2−メチル−1−フェニルドデカン、2−メチル−1−フェニルトリデカンなどが挙げられる。
エステルとしては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸のエステル、安息香酸などの芳香族モノカルボン酸とエチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールとのエステルなどが挙げられる。あるいは、吉草酸やカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸などの脂肪族モノカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ(トリメチロールプロパン)、トリ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ(ペンタエリスリトール)、トリ(ペンタエリスリトール)などの多価アルコールとのエステルなどが挙げられる。あるいは、プロピレンカーボネートなどのアルキル炭酸エステルでもよい。
ポリアルキレングリコールとしては、メトキシ基、エトキシ基、直鎖状または分枝状のプロポキシ基、直鎖状または分枝状のブトキシ基、直鎖状または分枝状のペンチルオキシ基、直鎖状または分枝状のヘキシルオキシ基を末端に有するポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキドなどが例示される。
ポリビニルエーテルとしては、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリn−プロピルビニルエーテル、ポリイソプロピルビニルエーテルなどが挙げられる。
(f)安定剤
安定剤としては、ニトロ化合物、エポキシ化合物、フェノール、イミダゾール、アミン、炭化水素などが挙げられる。
ニトロ化合物は脂肪族ニトロ化合物でも芳香族ニトロ化合物でもよい。脂肪族ニトロ化合物としては、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパンなどが挙げられる。芳香族ニトロ化合物としては、ニトロベンゼン、o−、m−、またはp−ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、o−、m−、またはp−ニトロトルエン、o−、m−、またはp−エチルニトロベンゼン、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、または3,5−ジメチルニトロベンゼン、o−、m−、またはp−ニトロアセトフェノン、o−、m−、またはp−ニトロフェノール、o−、m−、またはp−ニトロアニソールなどが挙げられる。
エポキシ化合物としては、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、グリシドール、エピクロルヒドリン、グリシジルメタアクリレート、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどのモノエポキシ化合物、ジエポキシブタン、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどの多官能性エポキシ化合物などが挙げられる。
フェノールとしては、未置換のフェノールのほか、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ハロゲンなどの置換基を芳香族環上に有するフェノールが挙げられる。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−t−ブチルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール、ブチルヒドロキシアニソール、キシレノールなどの一価のフェノール、あるいはt−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−アミノヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどの二価のフェノールなどが例示される。
イミダゾールとしては、無置換のイミダゾールのほか、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上18以下のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を芳香環上の置換基として有する置換イミダゾールが挙げられる。置換イミダゾールとしては、1−メチルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−(β−オキシエチル)イミダゾール、1−メチル−2−プロピルイミダゾール、1−メチル−2−イソブチルイミダゾール、1−n−ブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾールなどが例示される。
アミンとしては、メチルアミンやジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ベンジルアミン、α−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミンなどに例示される脂肪族アミン、アニリンやN−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ジフェニルアミンなどに例示される芳香族アミン、ピリジンなどの含窒素ヘテロ芳香族化合物などが例示される。あるいは、エチレンジアミンやプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの多価アミンでもよく、ジエチルヒドロキシルアミンなどのヒドロキシルアミンでもよい。
炭化水素としては、イソプレンなどのジエン、α−メチルスチレンやp−イソプロペニルトルエンなどの芳香族炭化水素、プロパジエン誘導体、テルペン誘導体が例示される。
(g)難燃剤
難燃剤としては、ペンタブロモジフェニルエーテルやオクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどの複数の臭素を置換基として有するジアリールエーテル、ヘキサブロモベンゼンやテトラブロモビスフェノールAなどの複数の臭素を置換基として有する芳香族化合物、ヘキサブロモシクロドデカンなどの複数の臭素を置換基として有する脂肪族炭化水素、リン酸トリフェニルなどの芳香族リン酸エステル、2,3,4,5,6,8−ヘキサクロロデカンなどの複数の塩素を置換基として有する脂肪族炭化水素などが挙げられる。
(h)界面活性剤
界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤やアニオン性界面活性剤でもよく、あるいはノニオン系界面活性剤でもよい。ノニオン系界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエ−ト、ソルビタントリオレエ−トなどに例示される、ラウリン酸やオレイン酸などの長鎖脂肪族カルボン酸のソルビタンエステル、ポリオキシエチレンのソルビットテトラオレエ−トなどに例示される多官能性アルコールと長鎖脂肪族カルボン酸のエステル、ポリオキシエチレンラウリルエ−テルに例示される、長鎖アルキル基を末端酸素上に有するポリオキシエチレンアルキルエ−テル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テルに例示される、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイン酸アミドに例示されるポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミドなどが挙げられる。
(i)防錆剤
防錆剤としては、例えば金属表面に不働態を形成し得る化合物が挙げられる。典型的な防錆剤としては、ベンゾトリアゾールとその誘導体、トリアゾールとその誘導体、チアゾールとその誘導体、ベンゾチアゾールとその誘導体、イミダゾールとその誘導体、およびベンズイミダゾールとその誘導体などの含窒素ヘテロ芳香族化合物が挙げられる。
(j)溶媒
溶媒としては、所謂汎用溶媒と呼ばれる溶媒が挙げられる。例えば常圧(0.1013MPa)における沸点が100℃以下の有機溶媒が挙げられる。このような有機溶媒としては、メタノールやエタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、アセトンやエチルメチルケトンなどのケトン系溶媒、クロロホルムや塩化メチレン、1,2−ジクロロエチレンなどのハロゲン化アルキル系溶媒、ヘプタンやヘキサンなどの飽和炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテルやジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。常圧における沸点が100℃を超える溶媒を使用することもでき、例えば酢酸などのカルボン酸、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒なども添加剤として使用してもよい。
実施例で示すように、本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルはこれらの汎用溶媒と相溶性が高く、均一な溶液を形成する。このため、上記例示された溶媒を添加剤として加えることで、相分離を起こすことなくハイドロフルオロエーテルを含む溶剤の粘性や溶解力、比熱容量などの種々の特性を調整することができる。
4.ハイドロフルオロエーテルを用いるコーティング膜の形成方法
実施例でも述べるように、本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルは、種々の溶質、特にフッ素含有ポリエーテルを高濃度で溶解することができ、長期にわたって均一な状態が維持された溶液を形成することができる。このため、膜を与えることが可能なポリマーを式(1)で表されるハイドロフルオロエーテル、あるいはこれを含む組成物に溶解し、得られる混合物(以下、コーティング液と記す)をコーティング膜を形成する対象物(以下、単に物品と記す)に塗布し、さらにハイドロフルオロエーテルを蒸発させることで、物品をポリマーを含む膜でコーティングすることができる。式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルの沸点は比較的低いため、ハイドロフルオロエーテルの蒸発は速やかに進行する。このため、効率よく物品上にコーティング膜を形成することが可能である。
膜を与えることが可能なポリマーに制約はないが、高い撥水性と撥油性を併せ持つフッ素含有ポリマーが挙げられる。典型的にはフッ素含有ポリエーテルであり、以下の式(2)から(5)で表されるパーフルオロポリエーテルが例示される。これらのポリマーを物品上に薄膜として形成することで、物品表面に対して撥水性と撥油性を付与することができるため、物品の汚染を防止することができる。
Figure 2021059501
式(2)において、jおよびkは1以上の整数であり、j+kは8以上120以下である。R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基である。式(2)で表されるパーフルオロポリエーテルの数平均分子量(Mn)は、1300以上8000以下が好ましい。
式(3)において、pおよびqは1以上の整数であり、p+qは25以上350以下である。R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基である。式(3)で表されるパーフルオロポリエーテルの数平均分子量は、3200以上23000以下が好ましい。
式(4)において、rは10以上80以下の整数であり、R5は炭素数1から3のパーフルオロアルキル基である。式(4)で表されるパーフルオロポリエーテルの数平均分子量は、2000以上11000以下が好ましい。
式(5)において、s、t、u、およびvは1以上の整数であり、t/sは2以上5以下、(u+v)/(s+t+u+v)は0.07以上0.2以下、s/(s+t+u+v)は0.1以上0.3以下である。R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基である。式(5)で表されるパーフルオロポリエーテルの数平均分子量は、1000以上20000以下が好ましい。
上述したパーフルオロアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基から選択される。
コーティング液中におけるポリマーの濃度は任意に設定することができ、例えば0.1重量%以上60重量%以下、1重量%以上40重量%以下、1重量%以上20重量%以下、あるいは1重量%以上10重量%以下となるようにコーティング液が調製される。
コーティング液を塗布する方法に制約はなく、スプレー法、インクジェット法、印刷法、ディップコーティング法、スピンコーティング法などを適用してもよく、あるいは刷毛などを用いて塗布してもよい。これらの方法を組み合わせてもよく、また、塗布する回数にも制約はない。
5.ハイドロフルオロエーテルを用いる物品洗浄方法
本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルは、種々の溶質を溶解し得ることから、物品を洗浄するための洗浄剤として用いることができる。また、メタノールやエタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒に例示される極性溶媒に対して高い親和性を有していることから、乾燥用溶剤としても利用可能である。
本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルを用いて物品を洗浄する場合には、単離されたハイドロフルオロエーテル、または上述した組成物を洗浄液として用いればよい。洗浄は、洗浄液を物品に接触させることで行われる。具体的には、液体状態で存在する洗浄液を物品の表面に滴下する、または射出することで行うことができる。あるいは液体状態で存在する洗浄液に物品を浸漬することで洗浄を行ってもよい。あるいは、洗浄液を気化して蒸気とし、物品をこの蒸気に曝してもよい。
本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルを物品の乾燥に用いる場合には、例えば物品を水で洗浄した後、液体状態で存在する、単離されたハイドロフルオロエーテル若しくは上述した組成物を乾燥用溶媒として物品の表面に滴下する、または射出することで水をハイドロフルオロエーテルで置換する。あるいは液体状態で存在するこの乾燥用溶媒に物品を浸漬することによって、物品表面に付着した水をハイドロフルオロエーテルで置換してもよい。あるいは、上記乾燥用溶媒を気化して蒸気とし、水が付着した物品をこの蒸気に曝してもよい。なお、物品を水で洗浄した後、水をアルコールまたはケトン系溶媒で置換し、その後物品表面上に残留するアルコールまたはケトン系溶媒をハイドロフルオロエーテルを含む乾燥用溶媒で置換してもよい。この方法では、洗浄段階は増加するものの、ハイドロフルオロエーテルは水よりもアルコールやケトン系溶媒に対してより高い親和性を有するため、効率よく物品を乾燥することができる。
1.実施例1
本実施例では、本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルの一つである化合物F(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)プロパン、以下、HFIP−TFEと記す)を製造した例について説明する。HFIP−TFEの製造は、以下のスキームに従って行った。
Figure 2021059501
滴下ロート、冷却管、温度計、および攪拌モーターを備えたガラス製2L4口フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)566g(600mL)を加え、氷浴で冷却した。フラスコ内の温度を20℃以下に維持しながら1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパノール353g(2.1mol)を0.5時間かけてフラスコ内に導入した。その後、炭酸カリウム348g(2.5mol)をフラスコ内に加え、引き続きトリフルオロメタンスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチル536g(TfOCH2CF3、2.3mol)を滴下ロートを用いてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、反応混合物を25℃で20時間攪拌した。反応混合物を19F−NMRで分析したところ、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパノールの転化率は99%であった。
次いで、析出した塩を吸引濾過により取り除き、濾液(988g)に対してフラッシュ蒸留(内温93℃から96℃、圧力40kPaから10kPa)を行うことで、留分544gを回収した。得られた留分を水210gで洗浄した後、常圧下、内温80℃から150℃で精密蒸留を行い、317gのHFIP−TFEを得た(収率60%)。得られたHFIP−TFEをガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−2100Plus)で分析したところ、純度は99.9%であった。HFIP−TFEの沸点は71.6℃(1気圧)であった。JEOL RESONANCE社製400JJYHを用いて測定されたHFIP−TFEのNMRデータは以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):4.18(2H,q,J=8.0Hz)、4.23(1H,m)
19F−NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm):−75.3(3F,s)、−74.5(6F,s)
本実施例の結果は、本発明の実施形態の一つによって式(1)で表される、高純度のハイドロフルオロエーテルが高収率で得られることを示している。なお、得られたHFIP−TFEの引火点を自動引火点測定器atg−8l(田中科学機器製作社製)を用いて検討した結果、HFIP−TFEは引火点を示さないことが確認された。
2.実施例2
本実施例では、本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルと添加剤との相溶性を検討した結果について述べる。実験は、ハイドロフルオロエーテルとしてHFIP−TFE1gを6mLのサンプル瓶に加え、これに種々の添加剤1gを入れて室温で混合し、混合液の状態を目視で観察した。添加剤としては、エタノール、ジイソプロピルエーテル、クロロホルム、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、および酢酸を用いた。その結果、いずれの添加剤を用いても混合液は均一であり、相分離しないことが分かった。以上の結果から、本発明の実施形態の一つに係るハイドロフルオロエーテルは種々の添加剤に対して高い相溶性を示すことが確認された。
3.実施例3
本実施例では、式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルの溶質を溶解する能力(溶解力)を評価した結果について述べる。ハイドロフルオロエーテルとしては、HFIP−TFEを用いた。なお、比較例のハイドロフルオロエーテルとして、以下の構造式で表される1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(以下、HFE−347pc−fと記す)を用いた。
Figure 2021059501
溶質としては、KRYTOX(商標登録)GPL107と143AD(いずれもデュポン社製)を用いた。前者は上記式(2)で表されるパーフルオロポリエーテルの一つであり、以下の構造式で表される、平均分子量7500のポリマーである。
Figure 2021059501
後者は上記式(4)で表されるパーフルオロポリエーテルの一つであり、以下の構造式で表される、平均分子量7480のポリマーである。
Figure 2021059501
溶解力の評価は以下のように行った。ガラス製スクリュー管(10mL)にハイドロフルオロエーテルを2g加え、溶質の濃度が5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、または40重量%になるようにGPL107または143ADを添加し、得られた混合物を10分間攪拌した。混合物を密閉し、室温(20℃)、遮光下で保存し、0日後(すなわち、攪拌終了直後)、4日後、および10日後の混合物の状態を目視で観察した。結果を表1に示す。表1において、「〇」は混合物に着色や濁りが観察されなかったことを意味し、「△」は混合物にわずかに濁りが観察されたことを意味し、「×」は混合物が明確に着色する、混合液中にゲルが発生する、あるいは混合物が二相に分離したことを意味する。
Figure 2021059501
本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルであるHFIP−TFEの場合、いずれのパーフルオロポリエーテルを用いても、均一溶液が調製できることが確認された(0日目のカラム参照)。GPL107が溶質の場合、溶質濃度が増大すると4日後には着色、ゲルの発生、あるいは相分離が観察されたが、少なくとも10重量%以下の濃度では、10日後においても着色や濁り、沈殿物の生成などは観察されなかった。また、溶質が143ADの場合には、混合物は40重量%という高濃度を有しているにもかかわらず均一であり、10日後においても着色は観察されず、均一溶液として存在することが確認された。
一方、HFE−347pc−Fを溶剤として用いた場合には、いずれのパーフルオロポリエーテルも十分な溶解性を示さず、143ADが5重量%であっても均一溶液を形成することができなかった。
以上の結果は、本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルはパーフルオロポリエーテルを溶解する溶解力が高く、パーフルオロポリエーテルを含む混合物を均一溶液として長期間維持できることを示している。したがって、本実施形態に係るハイドロフルオロエーテルは、コーティング膜を形成するための溶剤として優れた特性を示すと言える。

Claims (15)

  1. 以下の式(1)で表され、
    Figure 2021059501
    nは1または2であり、
    nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2であるハイドロフルオロエーテル。
  2. nが2であり、mが0である、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル。
  3. 以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルを含有し、
    Figure 2021059501
    nは1または2であり、
    nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である組成物。
  4. nが2であり、mが0である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記ハイドロフルオロエーテルを0.1重量%以上100重量%未満の濃度で含有する、請求項3に記載の組成物。
  6. 前記ハイドロフルオロエーテルを20重量%以上100重量%未満の濃度で含有する、請求項3に記載の組成物。
  7. ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、および前記ハイドロフルオロエーテルと異なるハイドロフルオロエーテル、および溶媒のうち少なくとも一つをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
  8. 安定剤、難燃剤、界面活性剤、防錆剤のうち少なくとも一つをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
  9. パーフルオロポリエーテルを含む、請求項3に記載の組成物。
  10. 前記パーフルオロポリエーテルは、数平均分子量が1300以上8000以下であって以下の式(2)で表される化合物、数平均分子量が3200以上23000以下であって以下の式(3)で表される化合物、数平均分子量が2000以上11000以下であって以下の式(4)で表される化合物、および数平均分子量が1000以上20000以下であって以下の式(5)で表される化合物のうち少なくとも一つであり、
    Figure 2021059501
    jおよびkは1以上の整数であり、j+kは8以上120以下であり、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基であり、
    pおよびqは1以上の整数であり、p+qは25以上350以下であり、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基であり、
    rは10以上80以下の整数であり、R5は炭素数1から3のパーフルオロアルキル基であり、
    s、t、u、およびvは1以上の整数であり、t/sは2以上5以下、(u+v)/(s+t+u+v)は0.07以上0.2以下、s/(s+t+u+v)は0.1以上0.3以下であり、R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基である、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記組成物は溶液である、請求項9に記載の組成物。
  12. パーフルオロポリエーテルを以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルに溶解して組成物を調製すること、
    Figure 2021059501
    前記組成物を物品に塗布すること、および
    塗布された前記組成物から前記ハイドロフルオロエーテルを蒸発させることを含み、
    nは1または2であり、
    nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である、コーティング膜を作製する方法。
  13. 前記パーフルオロポリエーテルは、数平均分子量が1300以上8000以下であって以下の式(2)で表される化合物、数平均分子量が3200以上23000以下であって以下の式(3)で表される化合物、数平均分子量が2000以上11000以下であって以下の式(4)で表される化合物、および数平均分子量が1000以上20000以下であって以下の式(5)で表される化合物のうち少なくとも一つであり、
    Figure 2021059501
    jおよびkは1以上の整数であり、j+kは8以上120以下であり、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基であり、
    pおよびqは1以上の整数であり、p+qは25以上350以下であり、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基であり、
    rは10以上80以下の整数であり、R5は炭素数1から3のパーフルオロアルキル基であり、
    s、t、u、およびvは1以上の整数であり、t/sは2以上5以下、(u+v)/(s+t+u+v)は0.07以上0.2以下、s/(s+t+u+v)は0.1以上0.3以下であり、R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1から3のパーフルオロアルキル基である、請求項12に記載の方法。
  14. 物品に対して以下の式(1)で表されるハイドロフルオロエーテルを接触させることを含み、
    Figure 2021059501
    nは1または2であり、
    nが1のときmは0から3の整数のいずれかであり、nが2のときmは0または2である、物品洗浄方法。
  15. 前記ハイドロフルオロエーテルと前記物品との接触は、気体状態または液体状態の前記ハイドロフルオロエーテルを用いて行われる、請求項14に記載の物品洗浄方法。
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