JP2021059459A - ガラス溶解方法、ガラス溶解炉、及びガラス製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1次側が交流電源に接続され、2次側が巻線数の選択が可能なトランスと、前記交流電源と前記トランスの1次側との導通をスイッチングするスイッチング素子と、前記トランスによって供給された電圧をガラス原料に印加し、前記ガラス原料を溶解して溶融ガラスを得る電極対と、前記溶融ガラスを保持する溶解槽とを有するガラス溶解炉を用いたガラス溶解方法であって、前記トランスの2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、前記トランスの2次側の巻線数が選択されて前記電極対に接続される選択ステップと、前記選択ステップによって変更された前記トランスの2次側に出力される電圧が、予め定めた実効値となるように、前記スイッチング素子がスイッチングされるスイッチングステップとを含むことを特徴とするガラス溶解方法。
前記溶解槽で、前記ガラス原料を溶解して溶融ガラスを得る溶解工程と、
前記溶解槽より下流に設けられた成形炉で、前記溶融ガラスを成形する成形工程と、
前記成形炉より下流に設けられた徐冷炉で、成形されたガラスを徐冷する徐冷工程と
を含むガラス製造方法。
図1は、本実施形態によるガラス溶解炉1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、ガラス溶解炉1は、トランス11〜13と、サイリスタ21〜23と、タップ切替部31〜33と、電圧検出部41〜43と、溶解槽50と、電極51〜54と、制御装置60とを備えている。
交流電源2は、たとえば、3相交流200Vの商用電源、又は発電機により発電された電源である。交流電源2は、たとえば、50Hz又は60Hzの低周波の交流電源である。交流電源2は、電源線R、電源線S、及び電源線Tに、それぞれ位相が120度ずれた200Vの電圧を供給する。
図2に示すように、トランス10は、1次側コイルTC1と、2次側コイルTC2とを有する絶縁型のトランスである。また、1次側コイルTC1は、端子T11と端子T12とを備えており、端子T11と端子T12とには、交流電源2が接続される。
また、2次側コイルTC2は、端子T21と、複数の端子T22−1〜T22−N(タップ)とを備えており、2次側コイルTC2の巻線数を選択可能に構成されている。すなわち、端子T22−1〜T22−Nの接続を切り替えることにより、トランス10の巻線比が、選択可能になっている。端子T21と、端子T22−1〜T22−Nとは、タップ切替部30に接続される。
サイリスタ21は、トランス11の1次側と交流電源2との導通をスイッチングし、サイリスタ22は、トランス12の1次側と交流電源2との導通をスイッチングする。また、サイリスタ23は、トランス13の1次側と交流電源2との導通をスイッチングする。
タップ切替部31は、トランス11に接続されており、制御装置60からの制御信号に基づいて、トランス11の2次側の端子T21と、端子T22−1〜T22−N(タップ)のうちの1つとを電圧供給線L1と電圧供給線L2とに接続する。すなわち、タップ切替部31は、制御装置60からの制御信号に基づいて、トランス11の2次側のタップの接続を切り替えて、電極51と電極52との電極対に接続する。
タップ切替部33は、トランス13に接続されており、制御装置60からの制御信号に基づいて、トランス13の2次側の端子T21と、端子T22−1〜T22−N(タップ)のうちの1つとを電圧供給線L3と電圧供給線L4とに接続する。すなわち、タップ切替部33は、制御装置60からの制御信号に基づいて、トランス13の2次側のタップの接続を切り替えて、電極53と電極54との電極対に接続する。
スイッチング制御部61は、トランス11〜13の2次側に出力される電圧が、予め定めた実効値(以下、所定の実効値という。)となるように、サイリスタ21〜23のスイッチングを制御する。すなわち、スイッチング制御部61は、電圧検出部41〜43が検出したトランス11〜13の出力電圧に基づいて、所定の電圧が電極対に供給されるように、制御信号(たとえば、トリガ信号)をサイリスタ21〜23に出力する。たとえば、スイッチング制御部61は、トランス11〜13の出力電圧が、0Vになってから、所定の電圧に応じた所定の時間経過したタイミングでトリガ信号をサイリスタ21〜23に出力する。ここで、「所定の実効値」は、所定の実効値を指す場合もあれば、所定の範囲の実効値を指す場合もある。
まず、図3を参照して、サイリスタ20及び制御装置60のスイッチング制御部61の動作について説明する。
この図において、グラフは、上から順に、トランス10の2次側の出力電圧のグラフと、制御装置60が出力する制御信号のグラフとを示している。各グラフの縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。
トランス10の2次側の出力電圧は、時刻t1において、サイリスタ20が非導通状態であるため、0Vである。
また、同様に、スイッチング制御部61は、たとえば、時刻t5、時刻t6、及び時刻t7において、サイリスタ20を導通させるトリガ信号を出力する。
ここで、トランス10の2次側の出力電圧が、変換電圧の70%以上というのは、面積S1が、時刻t1から時刻t4の面積の49%以上であることを意味する。また、トランス10の2次側の出力電圧が、変換電圧の98%以下というのは、面積S1が、時刻t1から時刻t4の面積の91%以下であることを意味する。
図4は、本実施形態のガラス溶解炉1を用いたガラス溶解方法の一例を示すフローチャートである。
図4において、まず、トランス10の2次側に出力される電圧が、変更電圧の70%以上、98%以下となるように、作業者によって、トランス10の2次側のタップが選択される(ステップS101)。これにより、トランス10の2次側の巻線数が選択されて電極対に接続される。ステップS101の処理の詳細について、図5を参照して後述する。
図4に示すガラス溶解炉1を用いたガラス溶解方法において、ステップS101は、トランス10の2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、2次側コイルTC2の巻線数が選択されて電極対に接続される選択ステップに対応する。また、ステップS102は、選択ステップによって変更されたトランス10の2次側に出力される電圧が、所定の実効値となるように、サイリスタ20がスイッチングされるスイッチングステップに対応する。
図5は、本実施形態のトランス10の2次側のタップの選択手順の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず、作業者によって、トランス10の2次側のタップが選択されて、変換電圧V1が指定される(ステップS201)。制御装置60は、選択されたタップが電極対に接続されるように、タップ切替部30に制御信号を出力する。
前記のように、トランス10の2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、2次側のタップ(2次側巻線比)が選択される。
波形W3は、電極対に印加される電圧が大きいため、酸素泡、及び電極51〜54の腐食が発生し易くなる。
波形W1の電圧E1の最大値をE1max、波形W3の電圧E3の最大値をE3maxとして、電圧E1の実効値(E1eff)、電圧E3の実効値(E3eff)は、それぞれ式(1)、式(2)によって算出される。
E3eff=(E3max/√2)×0.3 (2)
これに対して、本実施形態のガラス溶解方法では、波形W1の面積S1の部分に示すように、トランス10の2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、トランス10の2次側の巻線数が選択されることで、電極対に印加される電圧の最大値が低減されるため、酸素泡の発生、及び電極51〜54の腐食を低減できる。
トランス10の2次側に出力される電圧は、変換電圧の80%以上が好ましく、95%以下が好ましい。前述のとおり、トランス10の2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上であれば、電極対に印加される電圧の最大値が低減される。また、変換電圧の98%以下であれば、トランス10の巻線数を都度選択せずに、サイリスタ20がスイッチングされ、電極対に印加される電圧を増減させることができる。
ここで、変換電圧が80%以上は、波形Wの面積が、時刻t1から時刻t4の面積の61%であることを意味する。また、変換電圧が95%以下は、波形Wの面積が、時刻t1から時刻t4の面積の85%であることを意味する。
よって、本実施形態のガラス溶解方法は、安価な構成でありながら、酸素泡の発生、及び電極51〜54の腐食を低減できる。そのため、本実施形態のガラス溶解方法は、ガラス溶解炉1で溶解されて製造されるガラス製品の品質を向上できる。
これにより、本実施形態のガラス溶解方法は、所定の電圧が電極対に供給されるように、サイリスタ20のスイッチングを適切に制御できる。
これにより、本実施形態のガラス溶解方法は、トランス10の2次側のタップを選択することで、トランス10の2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、容易に実現できる。
これにより、本実施形態のガラス溶解方法は、たとえば、200Vの商用電源を用いてガラス原料を溶解することができる。
これにより、本実施形態のガラス溶解炉1は、本実施形態のガラス溶解方法と同様に、安価な構成でありながら、酸素泡の発生、及び電極51〜54の腐食を低減できる。
図6は、本実施形態のガラス製造方法の一例を示すフローチャートである。
ガラス原料を溶解槽50内に供給し、ガラス原料を加熱して溶解し、溶融ガラスを得る(溶解工程:S10)。トランス10によって電極対に供給された電圧をガラス原料に印加し、通電してジュール熱を発生させ、ガラス原料を加熱する。
溶融ガラスGは、溶解槽50より下流に設けられた成形炉(不図示)で成形される(成形工程:S20)。成形されたガラスは、成形炉より下流に設けられた徐冷炉(不図示)で徐冷され(徐冷工程:S30)、ガラス製品となる。
たとえば、前記の実施形態において、作業者によって、制御装置60が操作され、図4及び図5に示す処理が実行される例を説明したが、作業者によって実行された処理(手順)の一部又は全部を制御装置60が実行するようにしてもよい。この場合、ガラス溶解炉1は、トランス11〜13と、サイリスタ21〜23と、タップ切替部31〜33と、電圧検出部41〜43と、溶解槽50と、電極51〜54と、制御装置60とを備え、制御装置60は、スイッチング制御部61と、変更制御部(不図示)とを備えていてもよい。
また、前記の実施形態において、スイッチング制御部61は、トランス10の2次側の出力電圧に基づいて、サイリスタ20のスイッチングを制御する例を説明したが、これに限定されるものではない。スイッチング制御部61は、たとえば、トランス10の1次側(1次側コイルTC1)の電圧に基づいて、サイリスタ20のスイッチングを制御してもよい。
また、前記の実施形態において、ガラス溶解炉1が、スイッチング素子の一例として、サイリスタ20を備える例を説明したが、トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの他のスイッチング素子を備えてもよい。
2 交流電源
10、11、12、13 トランス
20、21、22、23 サイリスタ(スイッチング素子)
30、31,32、33 タップ切替部
40、41、42、43 電圧検出部
50 溶解槽
51、52、53、54 電極
60 制御装置
61 スイッチング制御部
G 溶融ガラス
TC1 1次側コイル
TC2 2次側コイル
T11、T12、T21、T22−1〜T22−N 端子
Claims (6)
- 1次側が交流電源に接続され、2次側が巻線数の選択が可能なトランスと、前記交流電源と前記トランスの1次側との導通をスイッチングするスイッチング素子と、前記トランスによって供給された電圧をガラス原料に印加し、前記ガラス原料を溶解して溶融ガラスを得る電極対と、前記溶融ガラスを保持する溶解槽とを有するガラス溶解炉を用いたガラス溶解方法であって、
前記トランスの2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、前記トランスの2次側の巻線数が選択されて前記電極対に接続される選択ステップと、
前記選択ステップによって変更された前記トランスの2次側に出力される電圧が、予め定めた実効値となるように、前記スイッチング素子がスイッチングされるスイッチングステップと
を含むことを特徴とするガラス溶解方法。 - 前記トランスは、2次側コイルの端子の選択によって前記変換電圧の選択が可能となっており、電圧が最大の変換電圧に対する、隣り合う端子の変換電圧の差の比が15%以下となるように、前記巻線数が設定されている
請求項1に記載のガラス溶解方法。 - 前記選択ステップにおいて、前記電極対に印加される交流電圧の実効値が、200V以上となるように、前記トランスの2次側の巻線数が選択されて前記電極対に接続される
請求項1又は2に記載のガラス溶解方法。 - 1次側が交流電源に接続され、2次側が巻線数の選択が可能なトランスと、
前記交流電源と前記トランスの1次側との導通をスイッチングするスイッチング素子と、
前記トランスによって供給された電圧をガラス原料に印加し、前記ガラス原料を溶解して溶融ガラスを得る電極対と、
前記溶融ガラスを保持する溶解槽と
を備え、
前記トランスの2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、前記トランスの2次側の巻線数が選択されて前記電極対に接続され、
前記巻線数の選択によって変更された前記トランスの2次側に出力される電圧が、予め定めた実効値となるように、前記スイッチング素子がスイッチングされる
ことを特徴とするガラス溶解炉。 - 1次側が交流電源に接続され、2次側が巻線数の選択が可能なトランスと、
前記交流電源と前記トランスの1次側との導通をスイッチングするスイッチング素子と、
前記トランスによって供給された電圧をガラス原料に印加し、前記ガラス原料を溶解して溶融ガラスを得る電極対と、
前記電極対に供給された電圧を制御する制御装置と、
溶融ガラスを保持する溶解槽と
を備え、
前記制御装置は、
前記トランスの2次側に出力される電圧が、変換電圧の70%以上、98%以下となるように、前記トランスの2次側の巻線数を選択して前記電極対に接続させる変更制御部と、
前記巻線数の選択によって変更された前記トランスの2次側に出力される電圧が、予め定めた実効値となるように、前記スイッチング素子をスイッチングさせるスイッチング制御部と
を備えることを特徴とするガラス溶解炉。 - 請求項4又は5に記載のガラス溶解炉を用いたガラス製造方法であって、
前記溶解槽で、前記ガラス原料を溶解して溶融ガラスを得る溶解工程と、
前記溶解槽より下流に設けられた成形炉で、前記溶融ガラスを成形する成形工程と、
前記成形炉より下流に設けられた徐冷炉で、成形されたガラスを徐冷する徐冷工程と
を含むガラス製造方法。
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